EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AGRICULTURE !!
“The tradition of agriculture involves practice, cultivation, technique, ingenuity, innovation, and patience. Across musical traditions these elements are also fundamental.”
DISC REVIEW “THE SPIRITUAL SOUND”
「Agriculture。農業。この名前は音韻的にも心地よい。それに加えて、農業の伝統には練習、栽培、技術、創意工夫、革新、忍耐が含まれる。 音楽の伝統全体においても、これらの要素は基本的なものだからね。良い音楽というのは、野生のまま育つこともあれば、多くの栽培と成長から生まれることもある。 私たちはその両方を持っていると思う」
指先一本でタッチすれば何でも知ることができる世界。画面をスクロールするだけで、未知の快感が無限に湧き出でて、ドーパミンが溢れ続ける時代。もちろん音楽やアートでさえ、私たちはほんの少し人差し指を動かすだけで、瞬時に生成できてしまいます。そんなすべてが刹那に消費され、麻薬のようなアルゴリズムに支配されたインスタントな世界で、私たちは実際に汗をかく、手を動かす、技術を磨く、思考をめぐらせるという文明の根幹を、あまりにも軽んじすぎてはいないでしょうか?
ロサンゼルスを拠点とする、AGRICULTURE のニュー・アルバム “The Spiritual Sound” は、そうした状況への明確な拒絶の長城として立ちはだかります。これはお手軽なプレイリストでもなければ、軽薄なバイブスでもなく、練習、栽培、技術、創意工夫、革新、忍耐を経て生まれた野生と成長の音楽作物なのです。
「そうした影響は、本当に私自身の興味に従って、私自身の人生を語ることから生まれているの。このアルバムを書くにあたって、私は浅薄なアイデンティティに基づいた文章に頼ることなく、クィアとしての自分の経験を語りたかった。 デヴィッド・ヴォイナロヴィッチ、デニス・クーパー、サミュエル・ディレイニーなどの作家による初期のクィア文学は、その方法を見つけるのに役立ったわ。 何よりも私の目標は、私たちが慣れ親しんでいる一口サイズの表面的なクィアのイメージや物語、ミームよりも、クィアライフの全体像を描くことだったわ」
そうした AGRICULTURE の実り大き作物 “The Spiritual Sound” は、その全編を通して、両極端を貫く物語の弧を描いていきます。それは決して、インスタントなプレイリストのアルゴリズムには到達できない境地。A面は焼けつくようなカタルシス、B面はゆっくりと燃え上がる、信仰深い底流。つまりこのアルバムは、バンドの二人の主要ソングライター、Dan Meyer と Leah B. Levinson の個性とヴィジョンが見事に融合し補完し合ったもの。
Dan は、ノイズを通して神とチャネリングでもするかのように、菩提達磨と禅宗、歴史的崩壊、恍惚とした悲しみを歌い上げます。一方で Leah の個性はクィア (既存の性別や性的指向の枠に当てはまらない多様なセクシュアリティやジェンダーアイデンティティを包括的に指す言葉) の歴史とエイズ時代の文学に根ざしていて、息苦しい霧に包まれた現代社会において、少数派が日々の儀式のように生き抜くことの重荷を描いていきます。
Leah の歌詞は、クィア・コミュニティとその集団的闘争を、ブランド化や神話化、ミーム化に陥れることなく、いかに尊重するか、いかに誠実であり続けるか、抑圧や恐怖に対していかに今を生き抜くかを実体験を通して深い場所から伝えていきます。そうして、Dan と Leah、それぞれ異なる個性を持ちながらも、ふたりの声は唯一無二のスピリチュアルな場所でつながり、収束していきます。
「僕たちは皆、物事をどう見るかによって、自分、演奏者、そして聴衆の双方を、別のレベルの関わり合い、あるいは離脱へと導いてくれる音楽を大切にしている。 そうやって、音楽に没頭すること、計り知れない感情、特に喜びで満たされることが僕らの喜びなんだ。 僕たちの演奏を見て、人々はよく “ワオ、エクスタティックだった!” と言ってくれるからね」
最もヘヴィな音楽とは、最も深い感情的な繋がりを生み出す音楽のはずです。そうした意味で、”The Spiritual Sound” はまさに心底ヘヴィで心を射抜く、エクスタティック・ブラックメタル。感情の極限を、叫び声とシュレッド、崩壊と希望、静と動、ミニマルとマキシマル、そして美麗なノイズの洪水で織りなす彼らの音楽は、まさに “恍惚” を誘うブラックメタル。その激しさの中で、思慮深く内省的な歌詞を紡ぎ、世界の闇と光の二面性を考察していきます。だからこそ、多くのバンドが暗がりのみを競い合うブラックメタルというジャンルにおいて、AGRICULTURE のアプローチはインスタントとはほど遠く、爽快なほど人間味に満ちているのです。
今回弊誌では、AGRICULTURE にインタビューを行うことができました。「宮崎駿監督の映画も大好きで、他にも “オーディション”, “リング”, “薔薇の葬列”, “たんぽぽ”, “House ハウス” などが大好き。 中でも “薔薇の葬列” は、トランス性愛をテーマにした映画史上最高の作品だと思う。 最近では、蛭子能収の漫画にもハマっているよ」 どうぞ!!
AGRICULTURE “THE SPIRITUAL SOUND” : 10/10
INTERVIEW WITH AGRICULTURE
Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?
【RICHARD】: I grew up listening to a lot of Jazz, classical, and metal. When I was a teenager I got really into Van Halen and Children of Bodom, as well as a lot of the Thrash Metal from where I grew up in the East Bay. When I was at university I became very interested in the music of 20th century classical composers like György Ligeti and Toru Takemitsu.
【KERN】: We all grew up listening to pretty diverse things. For me it was a lot of punk, post-punk, jazz and experimental music. My first favorite band was AFI. Then later, groups like Deerhoof and The Fall were super inspiring, as well as the Miles Davis albums Bitches Brew and Miles Smiles. And Sun Ra is maybe my all time favorite musician.
Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?
【RICHARD】: ジャズ、クラシック、メタルをたくさん聴いて育ったよ。10代の頃は VAN HALEN や CHILDREN OF BODOM に夢中になり、イーストベイで育ったから地元のスラッシュ・メタルにも熱中していたよ。それから大学時代には、György Ligeti や武満徹といった20世紀のクラシック音楽作曲家の音楽に強い関心を持つようになったね。
【KERN】: 僕たちはみんな、かなり多様な音楽を聴いて育ったんだ。僕の場合は、パンク、ポストパンク、ジャズ、実験音楽など、色々な音楽を聴いて育ったよ。最初に好きになったバンドはAFIだったね。その後、DEERHOOF や THE FALL といったグループ、そして Miles Davis のアルバム “Bitches Brew” や “Miles Smiles” にもとても刺激を受けていった。そして、Sun Ra はおそらく僕の一番好きなミュージシャンだろうな。
Q2: How did Dan and Leah meet? What made you have a good chemistry?
【LEAH】: We knew each other for a year or two through the experimental music scene in LA. Kern and I knew each other for about as long, but I didn’t know either very well until joining the band when they needed a bassist.
We all have different places where our creative interests and tastes overlap. Dan and I differ wildly in music and art we are drawn to, but we share a lot of common ground in the ways we think and talk about music. And we can usually agree on things we think are truly great. It makes for good collaboration because we can counterbalance and challenge each other while staying on the same page.
Q2: AGRICULTURE の中心人物は、Dan と Leah だと伺っていますが、ふたりの出会いはどんなきっかけでしたか? また、ケミストリーが生まれた理由はなんだったんですか?
【LEAH】: 私たちはLAの実験音楽シーンを通じて1, 2年前から知り合いだった。Kern と私も同じくらい前から知りあいだったけど、彼らがベーシストを必要として私がバンドに加わるまで、どちらもよくは知らなかったの。
私たちは皆、クリエイティブな興味や嗜好が重なる場所がそれぞれ違う。Dan と私は、惹かれる音楽や芸術は大きく異なるけど、音楽についての考え方や話し方には共通点が多い。そして、本当に素晴らしいと思うものについては、たいてい意見が一致するよ。 同じページにいながら、互いにバランスを取り、挑戦し合うことができるから、いいコラボレーションができるんだ。
Q3: Agriculture is the origin and integral part of civilized humanity, but to name a band after it is surprising. Why did you choose this name?
【KERN】: It sounds cool! At least in English.
【RICHARD】: as Kern said, the name is phonetically pleasing. In addition to that, the tradition of agriculture involves practice, cultivation, technique, ingenuity, innovation, and patience. Across musical traditions these elements are also fundamental.
Q3: “農業” とは文明人の原点であり、不可欠な要素ですよね。しかし、この言葉をバンド名に選ぶとは驚きです。
【KERN】: クールな響きだからね。少なくとも英語では 。
【RICHARD】: Kern が言ったように、この名前は音韻的にも心地よい。それに加えて、農業の伝統には練習、栽培、技術、創意工夫、革新、忍耐が含まれる。 音楽の伝統全体においても、これらの要素は基本的なものだからね。
Q4: In fact, your music is like “Agriculture” in its own right. It takes time, thought, and ingenuity to harvest. That is why you can produce a tasty crop. Art in complete albums, not playlists. Very different from the instant, artificial, consumed music or culture of today, would you agree?
【RICHARD】: I completely agree with you.
【LEAH】: Good music can either grow in the wild or come from a great deal of cultivation and growth. I think we have a little of both.
Q4: 実際、あなたの音楽はそれ自体が “農業” のようなものですよね。 農業も音楽も、収穫には時間と思考と工夫が必要です。 だからこそ、実り大き作物ができるのです。 AGRICULTURE の音楽は、プレイリストではなく、完全なアルバムでの芸術。 インスタントで、人工的で、消費される今日の音楽や文化とはまったく違いますね?
【RICHARD】: 完全に同意するよ。
【LEAH】: 良い音楽というのは、野生のまま育つこともあれば、多くの栽培と成長から生まれることもある。 私たちはその両方を持っていると思うよ。
Q5: Leah’s influence on queer and AIDS literature also suggests that “The Spiritual Sound” is more about minorities and those who struggle with oppression and pain. What is the meaning of this record in today’s America, world, and SNS, where totalitarianism, xenophobia, discrimination, violence, and falsehoods are commonplace?
【LEAH】: Those influences really come from me following my own interests and speaking to my own life. Writing this record, I wanted to speak to my experience as a queer person without resorting to shallow identity-based writing. Earlier queer literature by writers like David Wojnarowicz, Dennis Cooper, and Samuel Delaney, among others, helped me find ways of doing that. More than anything, my goal was to paint a fuller picture of queer life than the bite-sized images, stories, and memes we are used to.
Q5: Leah がクィア文学やエイズ文学に影響を受けたことも、”Spiritual Sound” がマイノリティや抑圧や痛みと闘う人々についての作品であることを示唆していますね。
全体主義、排外主義、差別、暴力、虚偽がまかり通る今日のアメリカ、世界、そしてSNSにおいて、このレコードにはどんな意味があるのでしょうか?
【LEAH】: そうした影響は、本当に私自身の興味に従って、私自身の人生を語ることから生まれているの。このアルバムを書くにあたって、私は浅薄なアイデンティティに基づいた文章に頼ることなく、クィアとしての自分の経験を語りたかった。
デヴィッド・ヴォイナロヴィッチ、デニス・クーパー、サミュエル・ディレイニーなどの作家による初期のクィア文学は、その方法を見つけるのに役立ったわ。 何よりも私の目標は、私たちが慣れ親しんでいる一口サイズの表面的なクィアのイメージや物語、ミームよりも、クィアライフの全体像を描くことだったわ。
Q6: You call yourself Ecstatic Black Metal. Ecstatic” has many meanings, but what is your intention in calling yourself “Ecstatic”?
【KERN】: “Ecstatic” feels more modest and approachable than “transcendant”
We all value music that bring both us, the players, and the audience to another level of either engagement or detachment, depending on how you look at things. To lose yourself on the music, to be filled with immense feelings, especially of joy. And people very often tell us “wow that was ecstatic!” when they see us play, so it seems to be the right word.
Q6: あなたは自らをエクスタティック・ブラックメタルと呼んでいます。”Ecstatic” にはさまざまな意味がありますが、あなたが “Ecstatic” と名乗る意図はどこにあるんですか?
【KERN】: “Ecstatic” は、”Transcendant” よりも控えめで親しみやすい感じがする。
僕たちは皆、物事をどう見るかによって、自分、演奏者、そして聴衆の双方を、別のレベルの関わり合い、あるいは離脱へと導いてくれる音楽を大切にしている。 そうやって、音楽に没頭すること、計り知れない感情、特に喜びで満たされることが僕らの喜びなんだ。 僕たちの演奏を見て、人々はよく “ワオ、エクスタティックだった!” と言ってくれるからね。
Q7: What do you think is the message or spirituality that can be conveyed today because of extreme music like heavy metal and noise?
【RICHARD】: I have always felt that music is spiritual. It requires devotion, practice, and self-reflection, and it can facilitate fellowship and community. The process of composition helps me understand myself, while performance allows me to engage in fellowship with my bandmates as well as the listeners. There is something so powerful about being in the middle of a set, playing this really intense music, and looking up and feeling the pure energy that is being transmitted between the four of us on stage, and then looking out to the audience and feeling the symbiotic transmission of energy with them as well.
Q7: ヘヴィ・メタルやノイズのような過激な音楽だからこそ、今の世界に伝えられるメッセージや精神性とは何だと思いますか?
【RICHARD】: 音楽はスピリチュアルなものだと僕はいつも感じている。 音楽は献身と練習と内省を必要とし、親睦と共同体を促進する。 作曲のプロセスは自分自身を理解するのに役立つし、演奏はバンド・メンバーや聴衆との親睦を深めるのに役立つ。
セットの途中で、本当に激しい音楽を演奏しているとき、顔を上げてステージ上の4人の間に伝わっている純粋なエネルギーを感じ、さらに観客の方を見て、彼らとのエネルギーの共生的な伝達を感じるのは、とてもパワフルなことだよ。











