EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SENRI KAWAGUCHI !!
20 Years Old Drum Maestro, Sernri Kawaguchi From Japan Has Just Released Hard & Sweet Fusion Record, “Cider” !!
DISC REVIEW “CIDER ~Hard & Sweet~”
“手数姫” こと女子大生スーパードラマー、川口千里が遂にメジャーデビュー作 “CIDER ~Hard & Sweet~” をリリースしました!!二十歳の節目にメンバーを固定して望んだ成長著しい快作は、まさに茫々と広がる世界への確かな切符となるでしょう。
インタビューにもあるように、5歳でドラムと運命的な出会いを果たし、8歳であの “手数王” 菅沼孝三氏に師事を始めたという彼女の物語は、さながら現代のお伽噺のごとく素敵な奇跡と共に幕を開けました。12歳で挑んだプレイスルー動画の総再生回数は4000万回に迫り、世界的なドラム関連サイト “ドラマーワールド” では世界のトップドラマー500に撰されるなど、もはやその存在はワールドワイドに熱い視線を浴びていると言えますね。
すでにインディーズで2枚のソロ作品をリリースしている川口千里。しかしその活躍は自身のリーダー作のみに留まりません。E-girls, Guthrie Govan のライブをサポートし、Lee Ritenour とも共演。さらには 映画 “さらばあぶない刑事” のサウンドトラック、ももいろクローバーZのアルバム “AMARANTHU” にも参加するなどその素晴らしくジャンルを股に掛けた活躍により、彼女はしっかりと自身の軌跡を刻んで行っているのです。
「20歳を記念するアルバムなので、大人をイメージしつつ爽やかな若さもあるタイトル」「私のドラミングの “Hard” な部分も “Sweet” な部分も両方感じてほしい」 という理由から名付けられた3作目のリーダー作 “CIDER ~Hard & Sweet~”。アニバーサリーの冒険で彼女がキーパーソンに指名し絶大な信頼を置いたのが、Philippe Saisse でした。THE ROLLING STONES, David Bowie から David Sanborn, Al Di Meora まで数多の巨人と共演しそのアレンジを手がけて来た、フランスの偉大なキーボーディストにしてコンポーザー、プロデューサーは自身のグループ PSP の “S” を Simon Phillips から Senri Kawaguchi に翻しその力を貸すことにも吝かではありませんでした。
アルバムオープナー “FLUX CAPACITOR” は “バックトゥザフューチャー”、時代を行き来する作品の予告編でしょうか?フュージョンがスムーズジャズと呼ばれる以前のクロスオーバーなエキサイトメントとフリーダムを掲げつつ、同時に Philippe のポップなセンスを活かすクリアーなプロダクションとモダンなテクニックを内包する楽曲は瑞々しさに満ちています。ゴーストノートやハイハットの細かな刻みまで隈なく見渡せるサウンドの透明度は本当に群を抜いていますね。
Philippe のビンテージな機材から繰り出されるキャッチーなテーマは、川口千里の刻々と拍子を移すダイナミックなリズムワークに牽引され、万華鏡のように鮮やかな広がりを見せて行きます。Pino Palladino の代役として参加したカメルーン生まれのテクニシャン Armand Sabal-Lecco は、低音域から高音域までフレキシブルなベース捌きを披露し、Philippe の Jan Hammer を想起させるスリリングなソロワークと相まってギターの不在を感じさせませんね。トリオのタイトなグルーヴがダブルタイムへ移行すると、そのカタルシスはさらに加速しロックの衝動をさえ孕みながら音のユーフォリアを創造していくのです。
マリンバを使用し野性的な雰囲気を演出する “Wupatki”、彼女自身が作曲を行ったロマンチックなバラード “Longing Skyline” を挟んで訪れる “Do Do Ré Mi” はアルバムのハイライトと言えるかもしれませんね。ジャズスタンダードの古典ようにスタイリッシュに幕を開ける楽曲は、突如その舞台を現代的なフュージョンへと移します。アルバムに収録するのが初めてとは思えないほど堂にいった4ビートから6/8拍子へと切り替わるその魔法の瞬間はリスナーに音楽の “楽しさ” を運ぶはずです。”間”を大切にしたという彼女の言葉通り、スティック一閃、バンドがピタリと完全に音を止める瞬間はあまりにクールで川口千里というコンダクターの実力を存分に見せつけています。
さらに 「現場での化学反応が想像以上に凄かった」 と語るように、楽曲終盤のサンバをベースとした、ドラムスがリード楽器に思えるほど壮絶なインタープレイは、”Ginza Blues~intro~” や “Senri and Armand Groove” と並んで “手数姫” の面目躍如であり、同時にメンバーの個性、そしてトリオのケミストリーが結実した得難き刹那だと感じました。
インタビューでフュージョンを音楽の “交差点” と位置づけた千里さんの想いを乗せたアルバムは、奇しくも個性的な三者の道が交差した証である “In Three Ways” でカラフルに幕を閉じました。「単なるスムーズジャズじゃない」という言葉に込められたプライドをしっかりと実現した充実の51分。
今回弊誌では、川口千里さんにインタビューを行うことが出来ました!世界を見据えつつ、同時に現役女子大生らしいかわいらしい部分も垣間見えると思いますよ。どうぞ!!
SENRI KAWAGUCHI “CIDER ~Hard & Sweet~” : 9.7/10
INTERVIEW WITH SENRI KAWAGUCHI
Q1: First of all, what inspired you to start playing drums? You know, you were said to be genius drummer of high school student, haha.
【SENRI】: It is such a horrible thing to be a genius, haha.
When I was 5 years old, my father bought an electric drum suddenly. It was the first chance. Even though no one can play the drums by my family. The reason was he wanted to know the mechanism of the electronic drum. This expensive shopping became my “toy” with an incredible excuse of “I bought it for children” after that. Anyway, the drum that sounds out if you hit it was fun without any reason, so I immediately decided to search for a drum classroom in the neighborhood. It seemes Youtube video that I uploaded when I was 12 to 13 years old when I first caught the eye of many people. My father began to get into a video this time, I shot the performance of the animation piece I was talking about at that time and released it to the Internet. To be honest, I was embarrassed, but with this unexpected response, a lot of messages came from people all over the world. At this time, I think whether it began to become conscious of “the world” for the first time.
Q1: 本誌初登場です!まずは、川口さんがドラムスを始めたきっかけについて話していただけますか?女子高生時代には、すでに天才ドラマーとして大きな話題になっていましたね?
【SENRI】: 天才だなんて、そんな恐れ多いです(笑)。
きっかけは、私が5歳のころ、父が突然買ってきた電子ドラムです。家族にドラムを叩ける人は一人もいないのに。理由は、「電子ドラムの仕組みが知りたかった」から。この高額なお買い物は、そのあと「子供のために買った!」という信じられない言い訳とともに私の”おもちゃ”になりました。
とにかく、叩けば音が出るドラムは理屈抜きに楽しくて、すぐにハマって近所のドラム教室を探してもらうことになりました。
私が最初に多くの人の目に留まったのは、12~13歳のころにアップしたYoutube 動画ではないでしょうか。父が今度はビデオに凝り始めて、当時話題だったアニメ楽曲の演奏を撮影してインターネットに公開したんです。
正直なところ恥ずかしかったんですが、それが思わぬ反響で、世界各国の人からたくさんメッセージが来て。この時、初めて「世界」を意識するようになったのかなと思います。
Q2: What have you learned from your teacher, Mr. Kouzou Suganuma?
【SENRI】: You can see how I am influenced by Mr. Kozo Suganuma when you see my drumming and drum setting. I have taken a lesson of Suganuma since I was 8 years old. I think that it is “fun” of drums, above all, that I was taught most by my teacher. Then, when I was a elementary school student, when I went to see my teacher ‘s live, suddenly I was pulled out and there were times when I had a jump – in session. It was hard to play the songs for the first time ever, but my heart and improvisation were trained. I think now, this was a truly appreciated experience. However, I was sorry for the audiences who came to listen to professional performances, haha.
Q2: “手数姫” と称されることもあるように、師匠である “手数王” 菅沼孝三さんは川口さんにとって大きな存在だと思います。菅沼さんから学ばれたことは、テクニック以外にも多くのことがありそうですね?
【SENRI】: 私のドラミングやドラムのセッティングを見てもらうと、いかに菅沼孝三さんの影響を受けているか、わかってもらえますよね?
私は8歳から菅沼さんのレッスンを受けています。私が師匠から一番に教えてもらったのは、何よりも、ドラムの “楽しさ” だと思います。
それから、まだ小学生のころ、師匠のライブを観に行くと、突然引っ張り出されて飛び入りセッションをということが何度もありました。初めての曲を演奏することもあって大変でしたけど、度胸や即興力が鍛えられました。今思うと、これは本当にありがたい経験でしたね。ただ、プロの演奏を聴きに来たお客さんには申し訳なかったですけど(笑)。
Q3: Who do you respect as a drummer, musician?
【SENRI】: Actually, I will be immediately inspired. When I hear it by chance, I come to love it, haha. So, who will respect it will change soon. Dave Weckl, Steve Gadd, Dennis Chambers, and Buddy Rich etc, there are no dirt. But there was never aiming for one person forever. Artists other than drummers are the same. I am attracted to artists who are cool and listening with smiling.
Regarding my music field, basically I aim for activity in all genres. There is a part attracted by each genre, and the things obtained are also different, in other words.
the feeling that I do not want to divide music vertically in genres. The song that was impressed at that time is “the best!” So I am trying to touch various songs usually. It is because there is much activity in the field of jazz and fusion because it is like “intersection” that is going back and forth.
Q3: 菅沼さんは勿論ですが、これまでに目指してきたドラマーや、尊敬するアーティストについて話していただけますか?
川口さんはいわゆるジャズ/フュージョンのフィールドでご活躍されていますが、E-girls、ももいろクローバーZ、さらには過去に弊誌でもインタビューを行ったギターマスター、ガスリー・ゴーバンとの共演、”さらばあぶない刑事” のサントラにも参加されるなど幅広い活動を行っている印象です。
ポップス、プログロック、メタルなど他ジャンルからの影響も多いのでしょうか?
【SENRI】: 実は、私はすぐに感化されちゃうんですよ。たまたま聴いたらハマってしまったとか(笑)。なので、誰をリスペクトするかは、すぐに変わってしまうんです。
デイヴ・ウェックル、スティーブ・ガッド、デニス・チェンバース、そしてバディ・リッチなどなど、挙げればキリがない。でも、誰か一人をずっと目指したりすることはなかったです。ドラマー以外のアーティストも同じです。かっこよくて、聴いていてつい笑みがこぼれてくる”お茶目さ”というのか、そういうものがさりげなく溢れるアーティストに惹かれます。
私の音楽フィールドですが、基本的にはオールジャンルでの活動を目指してます。各ジャンルそれぞれ惹かれる部分があって得られるものも違う…というより、音楽をジャンルで縦割りしたくないという感覚。その時に感動した曲が「一番!」なんです。なので、普段から様々な楽曲に触れるようにしています。
ジャズ・フュージョン分野での活動が多いのは、そこが行ったり来たりしている”交差点”みたいな感じだからではないでしょうか?
Q4: So, let’s talk about your newest album “CIDER ~Hard & Sweet~”. What made you choose this title?
【SENRI】: Because it is an album that commemorating my 20 years old, the word which caught the eye when I thought that it was a title with fresh youthfulness, also imagining an adult was CIDER. Japanese cider is a refreshing drink, but knowing that there is also the meaning of drinking, “This is it!” And since it seems to call apple liqueur as hard cider and apple juice as sweet cider, it also means that I want both of the “Hard” part of my drumming and the “Sweet” part to feel both. I think that I could express that the sparkling image which Shuwashwa bounces is not just a smooth jazz, but how is it? Aside from that, my first solo work is “A LA MODE”, and my second work is “Buena Vista”. The first letter of the third work is determined by C if the initial letters are A and B, haha.
Q4: では、素晴らしい新作 “CIDER ~Hard & Sweet~” について話しましょう。”Cider” とはサイダー、リンゴ酒の意味を持つ単語ですが、このタイトルに決めた理由を教えてください。川口さんが20歳になられたことも関係していますか?
【SENRI】: 鋭いです(笑)。20歳を記念するアルバムですから、大人をイメージして、爽やかな若さもあるタイトルで、と考えていた時に目にとまった単語が CIDER でした。
日本語のサイダーは清涼飲料水ですが、本当はお酒という意味もあるんだと知って、「これだ!」と。そして、リンゴ酒を hard cider、リンゴジュースを sweet cider と呼ぶこともあるらしいので、私のドラミングの “Hard” な部分も “Sweet” な部分も両方感じてほしいという意味も込めてます。
シュワシュワっとはじけるスパークリングなイメージが、単なるスムーズジャズではないことを表現できたと思っているんですけど、いかがですか?余談ですが、私のソロ1作目が “A LA MODE”、2作目が “Buena Vista” なんです。頭文字がA、Bとくれば3作目の頭文字はCで決まりですよね(笑)。
Q5: What made you collaborate with Philippe Saisse, again?
【SENRI】: My past two solo records was produced with the feeling like “A LA MODE” to play with the great musicians inviting every music. Because I loved PSP (Philippe Saisse, Simon Phillips, Pino Palladino), I asked Philippe Saisse to participate in my second album “Buena Vista”. In creating a new album this time, there is a strong desire to “be a fixed member this time,” and again suggested to Philippe, “Why do not you try to make S of SSP, Senri Kawaguchi?” It is. It is reckless, haha. Then Philippe accepted! However, Pino Palladino did not meet the schedule and instead Philippe introduced Armand Sabal-Lecco who was on the tour of Al Di meora. I liked him for a moment and I decided to participate immediately. I was committed to recording at LA. In the last recording, because of the environment LA knows that the drum really sounds pleasantly. “I’d like to record the next work with LA!”, I asked selfish and it was realized.
Q5: あのフィリップ・セスがサウンドプロデューサーを務め、LAでレコーディングが行われたアルバムは、川口さんのリーダー作3作目にしてメジャーデビュー作品となりました。まずはこの最高の環境、布陣で制作に至った経緯について話していただけますか?
【SENRI】: 過去2作のソロアルバムは、楽曲ごとに素晴らしいミュージシャンの皆様をお呼びして演奏するという、まさに “A LA MODE” な感じで制作したんです。私は PSP(フィリップ・セス、サイモン・フィリップス、ピノ・パラディーノ)が大好きだったので、フィリップ・セスさんには2作目の”Buena Vista”で参加をお願いしました。
今回、新しいアルバムを作るにあたって、「今度は、ぜひ固定メンバーで!」という希望が強くあり、再びフィリップさんに、「PSP のSを、Senri Kawaguchi にしてみませんか?」と提案してみたんです。無謀でしょ(笑)。
そうしたらなんと、フィリップさんはこの話に乗ってくれたんです!ただ、ピノ・パラディーノさんはスケジュールが合わず、代わりにフィリップさんがアル・ディ・メオラのツアーで一緒だったアルマンド・サバルレッコさんを紹介してくれました。私は彼を一瞬で気に入ってしまい、即、参加してもらうことになりました。
LAでのレコーディングは私のこだわりがあったんです。前回のレコーディングで、環境のせいかLAでは本当に気持ち良くドラムが鳴るということを知ってしまって。「次の作品も、ぜひLAで録音したい!」と、わがままをいって実現してもらいました。
Q6: How was the impression of actually playing with Phillippe?
【SENRI】: Recording with Philippe, in a nutshell, exciting anyway! Just with him, the energy of the studio increases more and more. I felt this even at the time of the second work, but this time it was the whole album so I was able to feel its energy in particular. His physical strength to continue working on production is amazing. In this recording, it was only 3 days that all three people were able to record. From the morning to the night of that three days, I was deeply impressed by the way his work diligently without concentrating. Even after recording, he gave out ideas to make it better, so I thought that the expression “great” is perfect for his enthusiasm. I also have to work hard not to lose, haha.
Q6: 実際にそのジャズジャイアント、フィリップ・セスとの共演、制作を終えたご感想はいかがですか?
【SENRI】: フィリップさんとのレコーディングは、一言でいうと、とにかくエキサイティング!彼がいるだけで、スタジオのエネルギーがグーンと増すんです。
これは2作目の時も感じていたんですけど、今回はアルバム全体だったので、特にそのエネルギーを感じることができました。制作に取り組み続ける体力も凄いです。今回のレコーディングでは、3人そろって録れるのはたったの3日。その3日間の朝から夜まで、一度も集中を切らさずに真摯に取り組む姿には感動しました。
収録後も、より良くするためのアイデアを次々に出してくれて、作品を作り上げる情熱は、「偉大」という表現がピッタリだと思いましたよ。私も、負けないように頑張らなければいけません(笑)!
Q7: How was the writing process? What was the goal of this record?
【SENRI】: Since Philippe Saisse took full responsibility for producing, it was a stance to trust and leave everything to trust. Originally I thought “Since it is a piano trio, will it be an acoustic feeling that places emphasis on improvisation?”, But the field of view spread with the first demonstration sound source from Phillippe. I realized we aimed for a more precise and aggressive form. From that moment a new image grew steadily. I also wanted to challenge for a stylish drumming that made use of “space”. I devised not to become monotonous but consistent from the strong thought that one album is long and repeatedly heard. Of course, do not forget the occasional change unique to 3 pieces, we inspired each other at the recording site, and aimed at a higher place. Initially, “Ginza Blues ~ intro ~” and “Senri and Armand Groove” which were not in the schedule were put in the album is a manifestation that the chemical reaction in the field was more than imagined.
In this album, I composed three songs. Among them, “Longing Skyline” is my first ballad. Up to now, I first tried to think from the rhythm first, but in this song I made a melody first from a certain image and challenged by the way I applied the rhythm last. You guys consider the main melody first? You know, It’s a drummer way, I had a hard time, haha. After having arranged by Mr. Jun Abe and Philippe, I finished it as a really wonderful song and it became one of my favorite songs
Q7: ライティングプロセスではどういった手法を取ったのでしょう?
作品は、難解なリズムアプローチ一辺倒ではなく、”Am Stam Gram” のようなシンプルさや、8ビートのブルース “Ginza Blues” のモダンな感覚も光っています。アルバムで目指したゴールはどういった場所でしたか?
【SENRI】: フィリップ・セスさんがプロデュースを全面的に引き受けてくれましたので、信頼してすべてお任せするというスタンスでした。初め私は、「ピアノトリオだから、インプロビゼーション重視のアコースティックな感じになるのかな?」と思っていましたが、フィリップさんからの最初のデモ音源で視野がパッと広がりました。もっと緻密でアグレッシブな形を目指すんだとわかったんです。その瞬間から新しいイメージがどんどん湧いていきました。
“間”を活かした粋なドラミングにもチャレンジしたいという気持ちも込めました。一枚のアルバムを長く、そして繰り返し聴いて欲しいという強い思いから、一貫性がありつつも単調にならないように工夫しました。
もちろん、3ピースならではの臨機応変さも忘れず、レコーディング現場ではお互いにインスパイアしあって、さらに高いところを目指しました。当初は予定になかった “Ginza Blues~intro~” や “Senri and Armand Groove” をアルバムに入れたのは、現場での化学反応が想像以上に凄かったことの現れです。
このアルバムで、私は3曲を作曲しました。その中で、”Longing Skyline” は私の初めてのバラードです。これまで私は、まずリズムから考えるというパターンが普通だったんですけど、この曲では、あるイメージからメロディを先に作って、あえてリズムは最後に当てはめる方法でチャレンジしました。
皆さんなら主旋律を先に考えますよね?ドラマーの性なんですよ、苦労しました(笑)。そのあと、安部潤さんとフィリップさんのアレンジを経て本当に素晴らしい曲に仕上げていただいて、私の大のお気に入りの一曲になりました。
Q8: Could you tell us about detail of the album?
【SENRI】: The most difficult thing for me is “Do Do Ré Mi” which is included in the fourth song. If you think that it is a 4beat song, it is a song that you can listen to when it comes to Latin tone or a rapidly developing configuration. Because it can not be made fake in the trio’s recording, practice was also equivalent and I was nervous. Initially, it was my first time to put 4 beat songs in my solo album. I think that my 4beat is still developing, because I started from Classic rock like Deep Purrple and Whitesnake. In this song I also dared to expose it, challenging to record with the excitement of “I wonder where my 4beat level has come.” I would be happy if you could hear such a part and feel something.
Q8: アルバムで特にチャレンジングだった楽曲や、この箇所は拘り抜いたので注意して聴いて欲しいと思う場面、テクニックについて話していただけますか?
【SENRI】: 私にとって一番の難関だったのは、4曲目に収録されている “Do Do Ré Mi” です。4beat の楽曲かと思えば、途中でラテン調になったりめまぐるしく展開する構成が聴きどころの楽曲です。トリオのレコーディングでは誤魔化しはできませんから、練習も相当しましたし緊張もしました。
そもそも、4beat の楽曲を自分のソロアルバムに入れることが初めてだったんです。DEEP PURPLE や WHITESNAKE といったロックからスタートした私の 4beat は、まだまだ発展途上だと思っています。この曲ではそれも思い切って曝け出して、「自分の4beat のレベルは何処まできたかな」というワクワクする気持ちでレコーディングに挑みました。そんな部分も聴き取って何かを感じてもらえたら嬉しいです。
Q9: Is it difficult to balance university students with professional drummer?
【SENRI】: I moved to Tokyo for entering the university, but with this, the density of my life became overwhelmingly high. Since I went to Tokyo from Mie prefecture every Saturdays, Sundays, and holidays when I was a junior high school and high school student, so now I have gained a lot of flexibility. It is fun to learn new knowledge from the university lecture, and every day is substantial enough to think that it is impossible to go to all over the country, America, China, South Korea, Europe and overseas. Of course sometimes it’s tough, but I think I can do my best with that tough situation. I tried to do my best with both my drum and study, and it made what I am now, I think.
Actually, I always have trouble with the question “What is your hobby other than drums?” Well, it’s often said “You play drums very well, so are you good at sports?”, But I’m not good at sports at all, haha. On the day off, I am basically withdrawing and drowning. I like to spend my day off while listening to music. Perhaps it is a reaction to what I usually go on a trip abroad like on a regular basis, haha.
Q9: さて、現在は現役女子大生でもある川口さんですが、学生生活とプロドラマーの両立は大変ですか?また、ドラムス以外にハマっていることがあれば教えてください。
【SENRI】: 大学入学を機に上京しましたが、このことで一日の密度は圧倒的に高くなりました。中学・高校生時代は、土日祝日のたびに三重県から上京していましたので、今はいろいろ融通がきくようになりました。大学の講義も新しい知識を学ぶことは楽しいし、全国各地やアメリカ・中国・韓国・ヨーロッパと海外にも行かせてもらって、「あり得ない」と思うぐらい毎日が充実しています。
もちろん大変なこともありますけど、私は追い詰めらた方が頑張れちゃうタイプなんだと思いますね。ドラムと勉強の両方を目いっぱい頑張ろうとしたからこそ、今の自分があるんだと思います。実は、「ドラム以外の趣味は?」という質問には、いつも困ってしまうんですよ。よく、「あれだけドラムを叩くんだから、運動とか得意でしょ?」と言われるんですが、運動はとても苦手です(笑)。
休みの日は、基本的に引きこもってぼーっとしています。音楽を聴きながらごろごろして過ごすのも好きです。おそらく、普段ライブなどで遠征に出ることが多いことの反動でしょうね(笑)。