“Our Music Has Dark Parts And Light Parts. “Two Become One” Is The Concept Of The Band. Music Made Together By One Person Living In France And One Person Living In Japan. A World That Mixes European And Japanese Culture. An Atmosphere That Mixes The Past And The Present…”
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DRYAD OF 虚极 (BLISS-ILLUSION) !!
“I Personally Believe That Black Metal Is a Very Special Form Of Music, With Themes Given To It By People. I Don’t Care About These Things, I Love Black Metal Very Much, But I Won’t Be Limited To My Love For It.”
“Retelling Our Root Story Is a Very Important Thing As a Taiwanese Musician. We Have So Many Interesting And Beautiful Stories In This Small island, I Don’t Want These To Be Forgotten.”
“We Were Drawing Energy From The Ground, But For The Band, It Will Be Drawing Energy From Our Ancestors, Which Is One Of The Main Ideas That We’re Trying To Portray In Our Song.”
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIIKKA VIRTAPURO OF VALKEAT !!
“For Us As Artists It’s Important To Do Something New And Fresh, And Not Only Redo Stuff That People Have Already Done. We Want To Expand The Map Of Kantele Music And Metal Music.”
“When I Pray To My God, It Gives Me The Strength To Believe That I Can Achieve My Dreams.”
CARRYING OUT OUR DREAMS WITHOUT FORGETTING OUR ROOTS
ヒジャブのメタル戦士 VOICE OF BACEPROT の3人組、Sitti, Widi, Marsya は歩くときは腕を組み、三つ子と間違えられるほど似た姿で笑顔を振りまきます。3人は決して笑いを止めません。その笑いはさながらヘヴィ・メタルのごとく周りに伝染し、3人が母国語のスンダ語で話しているにもかかわらず、誰もが笑顔を纏うようになるのです。VOICE OF BACEPROT は、お互いの皿から食べ物を食べ、疲れたときにはお互いを支え合い、昼寝をするときにはそれぞれが腕や足、頭を他の誰かの上に置いて眠る。まるで、互いに手を離すとどこかへ飛んで行くのではないかと心配しているかのように。
スンダ語でうるさい声の意味を持つ VOICE OF BACEPROT は、インドネシアの西ジャワにある小さな村、シンガジャヤの出身です。シンガジャヤには 無線LAN もレコーディング・スタジオもなく、5人家族が月30ポンドで暮らしています。VoB の3人は学校の進路指導カウンセラーのPCを覗いているときに、SYSTEM OF A DOWN のアルバム “Toxicity” を偶然発見し、2014年バンドを始めることを決意します。
当時14歳だった Sitti は、学校にあった申し訳程度のドラムセットで1ヶ月の大半を譜面を覚えることに費やしました。Marsya はギターを、Widi はベースで同じことをやって、1ヵ月後には最初のカバーを完成させます。そうして、バンド結成のきっかけとなったコンピュータの教師、アーバ・エルザは3人の情熱と才能に驚き、彼がうっかり蒔いた種を育てることに専念しようと決意するのです。
そうした騒音と嘲笑は、3人に “God, Allow Me (Please) To Play Music” “神様、お願いだからわたしたちに音楽を演奏させて!” という楽曲を書かせました。”わたしは憎しみの深い穴に落ちていくような気がする/わたしは犯罪者じゃない/わたしは敵じゃない/ただ魂を見せるために歌を歌いたいんだ”。しかし、そうした周囲のノイズはトリオに寛容と敬意についての貴重な教訓をも与えました。大切なのは、ルーツを忘れずに夢を追うこと。
「女性だけのメタルバンドがヒジャブを着ているのは、それほど一般的ではないのは事実よ。でも、わたしたちの国はそれほど厳格ではないのも事実。わたしたちは村では、(イスラム教徒として)多数派である自分たちの特権に安住しすぎていたの。でもメタル・シーンに入ると、ヒジャブをかぶった女性はメタル・シーンの一部とは見なされず、わたしたちは少数派になってしまった。だからこそ、許し合うこと、平和と寛容のメッセージがとても重要だとわかるのよ」
自分たちの身体や服の選択についてのコメントにうんざりしていた若きロックスターたちは、 “Not Public Property” という曲を思いつきました。3人は家庭内暴力やジェンダーに基づく暴力の被害者を支援するためにこの曲を捧げました。また、ウーマン・オブ・ザ・ワールド(WOW)財団と協力して、被害者を支援するために資金を集めています。
「この曲は家庭内暴力の被害者へのラブレター。そのほとんどは子供と女性なの。彼女たちは一生トラウマを抱えて生きていかなければならないの。彼女たちは常に責められている。そして人々は、女性が人前でどのように振る舞うべきかを取り締まり始める。まるで女性の体が公共物であるかのような気分にさせられるわ。誰もそんな扱いを受けたくはない!わたしたちは、この問題の支持者が増えていることを実感しているの。ステレオタイプではない環境に生きていることを嬉しく思うわ。異なる視点が必要よ」と Marsya は付け加えました。
3人の成長は、”Retas” 収録の新曲のひとつで、バンド初のインストゥルメンタル・ナンバーである “Kawani” を聴けば明らかです。スリリングなスンダ語で “勇気” の意をも持つ楽曲は、グルーヴィでヘヴィなセクションとスンダ風味のベース・ソロが4分足らずの長さで展開されていきます。この曲は、VOICE OF BACEPROT がスンダ音楽を探求するきっかけになるかもしれない。「将来的には、スンダの伝統楽器を演奏できる人とコラボレーションできるかもしれない」と Marsya はつぶやきます。
インドネシアではメタルが盛んです。61歳のジョコ・ウィドド大統領まで、自らをメタル・ヘッドだと語っています。シーンは密度が高く、Hellprint, Hammersonic, Rock In Solo といった巨大なフェスティバルが毎年何十万人もの観衆を魅了しています。バンドのマネージャー Nadia は何十年もの間、男性中心のシーンでマネージメントしてきましたが、2017年にアーバ・エルザから VOB のマネージメントを手伝ってほしいという電話を受けたとき、ひどく興味をそそられました。彼女はジャカルタから11時間かけて3人のの村まで会いに行き、2時間かけて音楽業界の落とし穴、上下関係、政治、そして名声についての説明を行いました。そして、何か質問はないかと尋ねました。
Marsya が手を挙げます。「食べ物が飛んでいる飛行機の中で、どうやって食事をとるの?」 Widi が重々しく付け加えます。 「あと、オシッコも」
その時、Nadia は3人の旅にどうしても参加しなければならないと思いました。
地元のバンドの中には、3人の若い女性がやってきてショーを “盗む” ことを良しとしない人たちも少なくありませんでした。彼女たちは陰口をたたかれ、VOB がフェスティバルに出演するために金を払っているとデマを振りまかれました。Nadia はそれにもめげず、大人の男たち全員に文句を言ってまわりました。そして今、5年間の努力の末、VOB はインドネシアのメタルシーンの全面的な支持を得ました。2021年のシングル “God Allow Me (Please) to Make Music” は、インドネシアのすべての主要放送局でオンエアされ、シーンすべてのメタル・ヘッドからリポストされるようになったのです。
VOICE OF BACEPROT は、当初から自分たちの音楽を用いて重要な社会問題に関心を寄せてきました。初期の曲のひとつである “The Enemy of Earth is You” は、環境汚染と気候変動を嘆く楽曲で、VOB の出身地である西ジャワ州ガルトの鉄砲水など、インドネシアで記録的な自然災害が発生した2016年にリリースされています。さらに高校生だった3人は、硬直した教育システムを批判する “School Revolution” を書いた。そしてアルバム “Retas” は2017年に書いた反戦賛歌 “What’s the Holy (Nobel) Today?” で幕を開けます。
VOICE OF BACEPROT の楽曲は、宗教的寛容、気候変動、女性差別、戦争といった “問題” を取り上げていて、Nadia は彼らの肩にかかる重すぎる責任に罪悪感を感じることがあると認めています。「インドネシアにおけるイスラム教の意味を世界に示すのは、3人次第なのよ」