EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DARK QUARTERER !!
“It Was Thus Natural For Us To Try To Describe a Unique Event In Our History That Has Returned, After Almost Two Thousand Years, The Photograph Of a City That Has Remained Crystallized Over Time, To Reach Us Telling Us Stories Of Our Distant Ancestors”
DISC REVIEW “POMPEI”
「イタリアに住むということは、歴史との共存を意味するんだ。私たちが住んでいる街の起源は非常に古く、私たちが歩いている道は古代ローマ人によって作られ、私たちの周りには数千年前に建てられた建物の痕跡が残っていることがよくあるからね。」
歴史とヘヴィーメタルのマリアージュはいつだって極上の音景色を運びます。ヴァイキングに中世ヨーロッパ、侍から世界大戦まで、メタルは場所や時間を超えて古のロマンを伝え続けています。そんな歴史とメタルの蜜月の中で、ローマ帝国の絵巻物を紡ぐべきは、70年代中盤から続くイタリアの語り部 DARK QUARTERER こそが相応しいと言えるでしょう。
「イタリアのジャーナリスト Claudio Cubito が1987年に私たちを、”プログレッシブエピック” の創始者と呼んだんだ。私はその言葉がこのバンドを定義する一つの鍵だと思う。」
今では巨大で確立されたジャンルとなったエピックメタル。MANILLA ROAD, CIRITH UNGOL と並んで、DARK QUARTERER はその領域の先駆者です。ただし、彼らの異端はそこに多様な音の葉、プログレッシブなスピリットを落とし込んでいる点にあります。
「融合を達成するための最も親和性の高い方法は、すべての音楽的な道を通ることだよ。様々なスタイルの知識があったからこそ、私たちはエピックとプログレッシブを統合することができたんだよね。」
一つの要因は、イタリアというプログレッシブな風土でしょう。クラッシックやオペラの盛んな雅で歴史的街並みには、すでに PFM, BANCO, ARTI, NEW TROLLS, I POOH といったロマンを組曲へと封じる繊細知的な先人が多数存在したのですから。
加えて、メンバー間の歳の差もバンドの異質な存在感に拍車をかけました。ベース/ボーカルの Gianni & ドラムスの Paolo と、ギター、キーボードを操る2人の Francesco の間には20歳もの年齢差が存在します。DEEP PURPLE や GENTLE GIANT を起点に、CANDLEMASS のドゥーム、DIO SABBATH のダーク、FATES WARNING の深層、KING DIAMOND の猟奇, Yngwie の技巧が共存する音故知新な世界地図。世代と世代を掛け合わせることで、DARK QUARTERER はさながらローマ帝国のごとく音楽的な版図を拡大していったのです。
「所謂 “エピック” なサウンドを選択したのは意識的ではなく、むしろエトルリア、そしてローマの領土の起源に関連した自然なインスピレーションによるものだったんだ。」
全ての音はローマに通ず。そうしてあまりにも膨大な音の領土を獲得した皇帝が世界進出に選んだテーマは、ポンペイでした。イタリア南部で繁栄し、ヴェスヴィオ火山噴火の火砕流により一夜にして埋もれ消え去った悲劇の街。
ヴェスヴィオの噴火、そして死の到来を告げるメタルオペラの幕開けから、Gianni の絶唱は埋まり遺跡となった都市の結晶を溶かしていきます。
メタリックなイアン・ギラン、強靭なキング・ダイアモンドとでも形容可能な狂人の喉は、マーティー・フリードマンを想わせる Francesco Sozzi の流麗情緒なソロワーク、Francesco Longhi の古き良きハモンドの魔法と遭遇してプログレッシブエピックの本懐を遂げます。たしかに彼は語り部で、バンドは劇場に巣食っています。
運命の日に抗う個人の物語も出色。ローマの司令官、科学者、作家であった “Plinius the Elder”は、噴火の最中に愛する人を救おうと奮闘し、命を落とします。その8分弱のドラマは、爆発的なプログメタルから、温もりのある繊細なチェンバーピアノのパッセージへと繋がり、愛の強さと自然の無慈悲を殊更に強調するのです。
牧歌的な人生と平和を夢見ていた “Gladiator” もまた、生き残りたいという本質的な衝動に駆られます。噴火で闘いからの甘い解放を享受した闘士は、瞬時に自らの命を守る原始的な戦いへと移行します。その衝動の並置はメタルの叙事詩として完璧なまでのダイナミズムを生み出しました。
終幕は “Forever”。ドラマティシズムが乱れ咲くプログレッシブエピックのコロッセオで、結晶の街は永遠にもにた静かな眠りに落ちるのです。
今回弊誌では、DARK QUARTERER にインタビューを行うことが出来ました。「私たちの歴史のユニークな出来事を作品として表現するのは自然なことだったんだよ。約二千年の時を経て、結晶化したままの都市の姿が、遠い祖先の物語を伝えてくれるようになったんだからね。」 クラッシックメタル再構築の波にも共鳴した傑作。どうぞ!!
DARK QUARTERER “POMPEI” : 10/10
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