EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JACKIE PEREZ GRATZ OF GRAYCEON !!
“I Made a Pact To Myself That If There Are No Women On The Bill I Won’t Go To The Show, Or If I Am The Only Woman On the Stage, I Won’t Accept The Gig. In Doing This, It Makes The Booking Agents Aware That If They Want Grayceon They Better Get At Least One Other Band That Has a Female In It.”
DISC REVIEW “MOTHERS WEAVERS VULTURES”
「GRAYCEON は決してチェロのことを一番に考えたことがないのよ。チェロという楽器のために特別に何かを書いたり、仕立てたりしているわけではないし、バンドにチェロがいるという事実に基づいて作曲を決定しているわけでもないの。」
卓越したチェロ奏者であること。女性であること。親であること。メタル世界にとってこれまで決して当たり前でなかった物事は、GRAYCEON の中ではすでに当たり前として捉えられています。常識を超えて大きな感情を呼び起こすバンドのアプローチは、そうして本来あるべき姿をシーンへと自然体で伝えていくのです。
「ヘヴィーな音楽を弾きたいと思うようになって、少しの間ベースを弾いてみたんだけど、頭の中で聞こえていたものが弾けなくてイライラするようになったのね。ベースを置いてチェロを手に取ることもよくあったわ。そうしてある時点で、自分の弾き方をよく知っている楽器で、もっと重い音楽を弾くことを阻むものは何もないだろうと思ったわけなの。」
NEUROSIS や TODAY IS THE DAY との共演、AMBER ASYLUM, GIANT SQUID と百戦錬磨、クラッシックの教育を受けた Jackie Perez Gratz にしても、当初常識という固定観念は強固な壁でした。愛器のチェロを一度は捨ててベースへと持ちかえた過去、親となることでツアーを諦めた過去、ボーイズクラブに阻害された過去。GRAYCEON はそんな不自然と不条理を自然へと回帰させるプロジェクトです。
「自然こそが世界の魔法であり、私たちは目に見えない神ではなく、地球を崇拝すべきだということについて書かれているのよ。」
かつて Ronnie James Dio が唱えた魔法の呪文は、半世紀の時を経て “Mothers Weavers Vultures” へと形を変えて受け継がれました。「天国も地獄もない」Jackie は “The Lucky Ones” でそう何度も歌い上げます。すべてはまやかしの人工物。痛みや過ちを消し去る、神も死後の世界も存在しない。存在するのは、ただ地球のみ。自然の中で有限の存在として生きる本質的な真実、摂理の魔法。
“Diablo Wind” でカリフォルニアの山火事を憂い自然破壊に怒るのも、”Rock Steady” でパートナーへの愛情を募らせるのも、すべては有限の尊さを伝えるため。ドゥームの暗闇やスラッジの獰猛はプログフォークの神秘と時に反目し、時に融解していきます。それはさながら正義の怒りと愛の気高さを投影しているようでもあり、誰にでも訪れる確実な死が愛の価値を高めるという本質に言葉という歌詞と、チェロという音波の両面から迫っているようにも思えるのです。
生々しくも有機的な Jack Shirley のプロダクション、Zack の印象的なフィルインも不可欠。そうして、NEUROSIS の実験と MASTODON の野心、SUBROSA の陰鬱に Yo-Yo Ma の旋律を宿したメビウスのコンビネーションはその加速度を増していくのです。
今回弊誌では、Jackie Perez Gratz にインタビューを行うことができました。「私は、もし女性が出演していなければショウには行かないし、もし私がショウの唯一の女性であれば(少なくとも3つのバンドが出演している内の)ギグを受けないと心に誓っているの。そうすることで、ブッキングエージェントにもし GRAYCEON が欲しいなら、少なくとも女性が出演している他のバンドを1組は確保した方がいいと認識させることができるでしょ。それに、彼らが女性が出演していればより多くの女性がライヴに足を運ぶとことを知ることで、他のライヴのことも考えることになる。だから、ボーイズクラブの解体はブッキング、そして会場やエージェントがどのようなアプローチで観客を呼び込むかということから始まると思っているの。」 どうぞ!!
GRAYCEON “MOTHERS WEAVERS VULTURES” : 9.9/10
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