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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ICEFISH : HUMAN HARDWARE】【PFM : EMOTIONAL TATTOOS】MARCO SFOGLI SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARCO SFOGLI FROM ICEFISH & PFM !!

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Italian Guitar Virtuoso, One Of The Most Influential Prog-metal Maestro, Marco Sfogli Has Just Released Two Masterpieces With ICEFISH & PFM !!

DISC REVIEW “HUMAN HARDWARE” & “EMOTIONAL TATTOOS”

James LaBrie が見出せしイタリアのマエストロ、ギターファンタジスタ Marco Sfogli が趣の異なる、しかし傑出した二枚のアルバムをリリースしました!!”ミュージシャンズミュージシャン” の色濃い Marco のイメージは、よりマスリスナーへとアピールする明快な二枚のマイルストーンを経て鮮やかな変貌を遂げるはずです。
遂に光を浴びた Marco の秘めたる野心は、ネオフューチャーとノスタルジア、二つの一見相反する創造物として具現化されました。AI の過度な進化を近未来として描写し、希薄になる人間同士の絆を危惧する “Human Hardware” は Marco がプログシーンのスーパーバンド ICEFISH の一員としてリリースしたコンテンポラリーなプログメタル作品です。
ICEFISH の物語は、PLANET X, UK 等で辣腕を振るうシーン屈指のドラマー Virgil Donati のリーダー作 “In This Life” から始まりました。Brett Garsed, Alex Machacek 等錚々たるメンバーの中、ギタープレイの中核を担った Marco は Virgil と意気投合。Marco のソロ作品と “In This Life” 双方でブレインを務めたキーボーディスト Alex Argento、DGM とも繋がりのあるベース/ボーカル Andrea Casali をスカウトし、新たなスーパーグループを結成したのです。
ラインナップから想像出来るように、確かに “Human Hardware” はハイテクニカルでアグレッシブなレコードです。しかし、驚くことにそれ以上にこの繊細かつ大胆な現代建築は Andrea の巧妙でキャッチーなボーカルを中心に据えて深くデザインされているのです。
アルバムオープナー “Paralyzed” を聴けば、ICEFISH が TOTO の精神性を引き継いでいることに気づくでしょう。Djenty とさえ言えるダークで複雑な Marco のギターリフ、音数の多いサイバーな Alex の鍵盤捌き、そして緻密なハイハットワークでその両方を難無く追いかける Virgil のテクニック。それだけでエキサイティングなフュージョンメタルが成立し得る彼らのミュージックフィールドは、しかし Andrea の爽快でポップなボーカリゼーションを得て初めてバンドの本質を顕にします。
「ICEFISH のプランは、プログの要素を保ちつつ、より大勢のリスナーに受け入れられる音楽を作ることだった。」 Marco はそう語ります。知的にうねるリフワークに煌めくシンセサウンドが映える “It Begins” はまさに始まりの証、バンドの象徴。ジャジーなコーラスにリアルなグルーヴを纏った DIRTY LOOPS をさえ想起させるキャッチーなキラーチューンは、同時に Marco のトリッキーで奇想天外なリードを携えバンドのスピリットと目的地を雄弁に物語っているのです。
アルバムを締めくくる、ウルトラポップでしかしシーケンシャルなユニゾンが恐ろしいほどに波寄せる “The Pieces” はまさに彼らの “Human Hardware” が結実した成果でしょう。
“It Begins” は Marco のノスタルジーサイドへの入口でもあります。楽曲のコンポジションに力を貸した Alberto Bravin はイタリアの伝説 Premiata Forneria Marconi (PFM) の新メンバー。そして Marco もまた、彼と同時に PFM の正式メンバーに抜擢されているのです。
「最初はビックリしたね。バンドの熱心なファンという訳ではなかったし、実際彼らの曲は何曲かしか知らなかったんだから。」 バンドのマスターマインド Franz Di Cioccio からの誘いを受けた時の気持ちを Marco はそう率直に語ります。
しかし故に、オリジナルメンバーで創作の中心に居た Franco Mussida の後任という難しいポジションを現在彼は楽しんで務めることが出来ているのかも知れませんね。実際、PFM が4年振りにリリースした新作 “Emotional Tattoos” で Marco は新鮮な風を運ぶと同時に、すでに不可欠なメンバーとして風格と輝きを放っています。
“Morning Freedom” や “The Lesson” で啓示する至高のメロディーは、バンドが最もヴィヴィッドに輝いた70年代の栄光を21世紀へと伝える虹の架け橋かもしれません。同時にそれは彼らのポップセンスを受け継いだ BIG BIG TRAIN, IT BITES などの理想ともシンクロし、ASIA のセオリーとも共鳴し、文字通り至高のエモーションを刻みながらプログスターの存在感を際立たせます。
映画のサウンドトラックをイメージした 2006年の “States Of Imagination”, 2010年の 新解釈 Fabrizio De Andre “A.D.2010 – La buona novella”、クラッシックに捧げた2013年の “PFM in Classic – Da Mozart a Celebration”等、近年 PFM はテイストの異なる作品を続けてリリースしていましたが、遂にフォーキーでイマジナリーな自らのオーケストラへと帰還を果たした “Emotional Tattoos” にはやはりオリジネーターの凄みと巧みが濃密なまでに織り込まれているのです。
アルバムを牽引するベーシスト Patrick の印象的なキメフレーズ、Lucio の美麗なヴァイオリン、Franz のメランコリーが溶け合う “There’s A Fire In Me” はその象徴かも知れませんね。
同時に Marco Sfogli のコンポジション、アレンジメント、リードプレイは、21世紀を生きるバンドの確固としたステートメントに思えます。インタビューにもある通り、”A Day We Share” のテーマとなったスリリングで鮮烈なユニゾンパートやファンクの意外性は Marco の手によるものですし、トライバルでフォーキーな DIXIE DREGS さえ想起させる希望のインストゥルメンタル “Freedom Square” は実際 Marco の楽曲と呼んで差し支えがないほどにアンビシャスです。
勿論、Kee Marcello のピッキングの粒立ちと加速の妙、Van Halen のトリック、Lukather のテンションなどを広く吸収し、しかし自身のメロディーセンスとスリルを強烈にアピールするリードプレイのクオリティーは群を抜いていますね。何より PFM がニューカマーに全面的な創作の “自由” を与えている事実がバンドの野心と Marco の才能を物語っていますね。
Greg Lake が PFM を発見し、”Photos of Ghosts” で世界に紹介してからおよそ45年。Greg は旅立ちましたが、PFM は確実に彼の世界観、スピリットを受け継いでいます。そして、今度はその PFM が Marco Sfogli を世界に披露するのです。
ノスタルジアとコンテンポラリーを両立し、奇しくも英語詞とイタリア語詞二つのフォーマットが用意されたアルバムを締めくくる感傷的な名曲 “It’s My Road” は、Marco の秘めたる決意なのかも知れませんね。
今回弊誌では、Marco Sfogli にインタビューを行うことが出来ました。Matt Guillory, Peter Wildoer との新たなプロジェクトも期待出来そうです。「一つのジャンルだけに囚われずオープンマインドでいようね。」 どうぞ!!

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ICEFISH “HUMAN HARDWARE” : 9.8/10

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PFM “EMOTIONAL TATTOOS” : 10/10

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