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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WOBBLER : FROM SILENCE TO SOMEWHERE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LARS FREDRIK FRØISILIE OF WOBBLER !!

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Norwegian Progressive Master, Wobbler Gives You An Ear Candy Of Classic Prog Vintage Sounds, And Challenging Spirits With Masterpiece “From Silence To Somewhere” !!

DISC REVIEW “FROM SILENCE TO SOMEWHERE”

70年代初頭のプログレッシブワールドを現代に再構築する、ノルウェーのレトロマイスター WOBBLER が素晴らしき追憶のメモリーレーン “From Silence to Somewhere” をリリースしました!!プログレッシブの新聖域から創生する全4曲47分、あの時代の天真爛漫な空気を再現した濃密なエピックは、改めてクリエイティブの意味を伝えます。
90年代後半から活動を続けるプログクインテット WOBBLER は、前作 “Rites at Dawn” で本格化を果たしたと言えるでしょう。新たに加わったボーカル/ギター Andreas Wettergreen Strømman Prestmo が醸し出す Jon Anderson にも似た多幸感は、より緻密で繊細なコンポジション、瑞々しい北欧シンフォニックの息吹、飛躍的にグレードアップしたプロダクションとも相俟って、バンドを一躍シーンのトップコンテンダーへと位置づけることになりました。
インタビューにもあるように、オリジナルメンバーでリードギタリスト Morten Andreas Eriksen の脱退、そして期限、制約を設けないコンポジションにより、6年という長い月日を経てリリースされた最新作 “From Silence to Somewhere” はそして実際、タイムレスなプログロック史に残る傑作に仕上がったのです。
ファンタジーとインテリジェンスの魅力的な交差点は、21分の劇的なタイトルトラックで幕を開けます。メタモルフォシスやアルケミー。バンドが以前から追求する超自然のテーマは、彼らの奥深きヴィンテージサウンドへとより深く融合し、同時にダークでミステリアスな翳りは光と影のコントラストを際立たせる結果となりました。
タイムチェンジを孕んだ愛しくも耳馴染みの良い6拍子のイントロは、いつしか YES の崇高へとシフトし、カンタベリーの精神、イタリアンプログのシンフォニーや多様性をも携えながら激しさを増していきます。
ルネサンスの優美でクラシカルな響きは狂熱のトリガー。パーカッシブな宴の合図を皮切りに、フルートが狂い咲く淫美でエスニックなダンスは遂にその幕を開けます。ANGLAGARD や ANEKDOTEN のダークなインテンスと JETHRO TULL のフォルクローレが同居するエキサイティングなプログレッシブ舞踏会は、新鋭の気概とクリエイティビティの確かな証。そしてたどり着く大円団、KING CRIMSON と YES が鬩ぎ合い迎えるフィナーレはまさに圧巻の一言。
実際、このプログロックの完璧なるジグソーパズルは、カラフルなムーグとハモンド、オーガニックなギターリック、リッケンバッカーの骨太なベースライン、ダイナミズム溢れるドラムスといったヴィンテージのピースを集約し、メロトロンの温かな額縁でつつみこむように構成されているのです。
故に、”Tarkus” と “Sound Chaser”, “Heart of the Sunrise” の暗重でエニグマティックなダークキメラ “Fermented Hours” でさえ、全くオマージュのイメージ、メタリックな領域へは近づかず、WOBBLER の卓越した個性として昇華しているのですから、バンドのコンポジションが如何に精巧で時間をかけた美しきタペストリーであるか伝わるはずです。
アルバムは、ハープシコードが牽引する幻想的な狐火 “Foxlight” で幕を閉じます。幽玄なイントロダクションと相反するエッジーなメインパートは、ハープシコードをリード楽器に据えたダイナミックなロックファンタジー。事実、ヴィンテージキーボードのコレクターでもある鍵聖 Lars Fredrik Frøislie ほどヘヴィーにハープシコードを操るプレイヤーは、ルネサンスの時代から数えても存在しないに違いありません。
天賦の才能は悪魔の楽器を伴って、自らの最高到達点を軽々とと突破して見せたのです。同時にバンドは、この楽曲、そしてレコードでプログレッシブロックに灯る可能性の炎を高々と掲げて見せました。
“Prog is not Dead” と世界に宣言するマスターピース。今回弊誌では、Lars Fredrik Frøislie にインタビューを行うことが出来ました。In Lingua Mortua, Tusmørke, White Willow でも活躍するスペシャリスト。「LEPROUS のボーカル/キーボード Einar は、僕たちが Andreas を得る前にボーカルのオーディションを受けに来たんだ。LEPROUS のみんなは長年僕たちのファンだそうだね。」 どうぞ!!

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WOBBLER “FROM SILENCE TO SOMEWHERE” : 10/10

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