EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HANS PLATZ OF FEUERSCHWANZ !!
“We Wanted To Expand Medieval Rock Into The World Of Metal, We Wanted To Cross German Lyrics With Heavy Metal Riffs, Folk Violin With Wild Guitar Solos, Bagpipes With Powerful Metal And Put This Into a Massive Fantasy World Full Of Swords, Mead And Dragons.”
DISC REVIEW “MEMENTO MORI”
「確かにフォイアーシュワンツ・ドラゴンは成長しているけど、私たちの核となるメッセージは変わっていないんだ。私たちの目にはまだユーモアが宿っていて、人生のポジティブな面を歌い、楽しんでいるよ。だけどたしかに、よりシリアスな意味合いを持ってきたね」
ドイツのメディーヴァル・メタル、炎龍こと FEUERSCHWANZ が新作 “Memento Mori” を2021年12月31日にリリースするとを決めたのは、ある意味宿命でした。近年の人類史において最も暗い1年を締めくくり、多くの人に必要な笑顔をもたらすに適したバンドがあるとすれば、それは FEUERSCHWANZ をおいて他にはないはずですから。98%のメタル・バンドがダークでシリアスなイメージを追求し孤独と闇を分かち合う中で、彼らは一貫してポジティブかつ陽気。優しく楽しく朗らかにリスナーの心へと寄りそいます。
「私たちは常に人生、人間、友情を祝福しているんだ。このアルバムのテーマ “Memento Mori” は、今日がまるで最後の日であるかのように、精一杯生きるんだ!ってことだから」
アルバムのテーマとなったラテン語の慣用句 “Memento Mori” とは、死はいつもそばにある、だから今を全力で生きようという古からのメッセージ。死が当たり前の出来事だった中世から遠く離れた現代でも、多くの人は喪失や憂鬱をかかえていて毎日を自分らしく前向きに生きられていないようにも思えます。FEUERSCHWANZ は初期のコミカルなイメージを捨て、真剣に人間や人生に向き合うことで、リスナーの悩みや憂鬱を炎で焼きつくす美しきドラゴンの姿へと進化を遂げたのです。
「メディーヴァル・ロックの多くのバンドはドイツの大きなお祭りであるルネッサンス・フェアで演奏し、同時に自分たちのツアーもやっているんだよね。私たちはそこから発展させて、ドイツ語の歌詞とヘヴィ・メタルのリフ、伝統のバイオリンとワイルドなギターソロ、バグパイプとメタルパワーを掛け合わせ、剣や蜂蜜酒やドラゴンに満ちた巨大なファンタジー世界に落とし込みたかったんだ」
インタビューに答えてくれた実は凄腕のシュレッダー Hans Platz のギター・サウンドはこれまでよりも遥かに強烈で、キャプテン・フォイアーシュワンツの歌声は威風堂々。ヴァイオリンやハーディー・ガーディー、フルートの助けを借りながらルネッサンス・フェアに始まった緩やかなメディーヴァル・ロックを激しいメタルの頂へと導いていきます。
タイトル・トラック “Memento Mori” の脈打つようなベースライン、胎動するクランチーなリフワーク、炎焔の音の葉が示すように、明らかに FEUERSCHWANZ はこの作品でキャッチーの中にメタリックな印象を著しく強化して、己の陽の信条を真摯にリスナーへと伝えています。音楽的にも哲学的にも、SABATON や POWERWOLF のパワー・メタルに接近した結果と言えるのかもしれませんね。
Johanna とプリンスこと Ben Metzner による伝統楽器の色合いもアルバムを通して驚異的です。”Untot im Drachenboot” における狂気のバグパイプ、血湧き肉躍る “Rohirrim” の角笛、”Am Galgen” の雄弁なヴァイオリンは、ロード・オブ・ザ・リングのファンタジーはもとより、ゲーム・オブ・スローンズの壮大なる激戦をも現代に蘇らせていきます。時にはローハンの騎士の物語を、時には聖ニコラスの伝説を、時にはカルタゴの将軍の逸話をドラゴンの目を通して伝えながら。
「みんなメタルで使われる英語に慣れきってしまっているから、このままドイツ語で歌い続けていたら逆に何か新しいものが生まれるかもしれないと思っているんだよ。音楽という言語は国際的なものだし、歌詞は分からなくても音楽は理解されると信じている」
すべてがドイツ語であることに何か問題があるでしょうか?むしろ、ドイツ語のメロディックな一面に彼らは気づかせてくれるはずです。重要なのは、瞬時にストーリーを理解することはできないにしても、高揚していつのまにか口ずさむ楽曲のコーラス。世界は中世より多少ましになった程度の暗闇かもしれませんが、結局私たちが墓場に持っていけるのは棺桶くらいのもの。失うものは何もない。死が鋭いそのナイフをつきつけるまでは、今を生きよう!FEUERSCHWANZ の音楽はそう語りかけているのです。
今回弊誌では、Hans Platz にインタビューを行うことができました。「音楽が進化することは重要だと思うし、今現在、伝統楽器を持つバンドはメタルに新しいものをもたらしているんだ」 AMON AMARTH から O-ZONE, THE WEEKEND のカバーまで収録したデラックス・エディションも楽しい試みですね。今だからこそアツいマイアヒ。こういったバンドには珍しくギタリストがヴァーチュオーゾ・タイプなのも良いですし、今回はアレンジもフック満載。GLORYHAMMER から飛び出た Thomas 氏もゲスト参加。どうぞ!!
FEUERSCHWANZ “MEMENTO MORI” : 10/10
INTERVIEW WITH HANS PLATZ
Q1: First of all, can you tell us about the origin of the band name, Feuerschwanz?
【HANS】: The name translates to fire tail, the tail of dragon, and we sing a lot about dragons. This is probably the most accurate answer to this question. The real reason why this name was chosen was lost centuries ago, and maybe one day, during archeological excavations in a far distant future, people while find old writings with the true reason. A future Indiana Jones will crawl through the catacombs of castle Feuerschwanz, and at the end of a long cave he will find a lightly glowing chest which contains the writings of the forefathers and a bottle of the one and only true golden mead.
Q1: まずは、FEUERSCHWANZ というバンド名について、教えていただけますか?
【HANS】: FEUERSCHWANZ という名前は火の尾、竜の尾と訳される。私たちは竜についてよく歌うからね。これが最も正確な答えだろう。
この名前が選ばれた本当の理由は、何世紀も前に失われてしまった。いつか遠い未来の考古学的発掘調査で、本当の理由が書かれた古い書物が発見されるかもしれないけどね。未来のインディ・ジョーンズが、フォイアーシュワンツ城の地下墓地を彷徨い、長い洞窟の果てに、先祖の書物や唯一無二の真のゴールデンミード (黄金の蜂蜜酒) の瓶が入った光る宝箱を見つける時にね。
Q2: You guys are called Medieval Metal, what made you decide to recreate the medieval world in metal?
【HANS】: There’s a big scene for medieval rock in Germany, basically it’s rock music plus historical European instruments like bagpipes, flutes, violins etc. A lot of those bands play on renaissance fairs, which can be really huge in Germany, but also do their own tours. We wanted to expand this into the world of metal, we wanted to cross German lyrics with heavy metal riffs, folk violin with wild guitar solos, bagpipes with powerful metal and put this into a massive fantasy world full of swords, mead and dragons.
Q2: FEUERSCHWANZ はよく “Medieval Metal” 中世のメタルと呼ばれています。メタルに中世のイメージを持ち込んだきっかけは何だったんですか?
【HANS】: ドイツにはメディーヴァル・ロックの大きなシーンがあるからね。それは基本的に、ロック・ミュージックにバグパイプ、フルート、バイオリンといったヨーロッパの歴史的な楽器を加えたものなんだ。
多くのバンドがドイツの大きなお祭りであるルネッサンス・フェアで演奏し、同時に自分たちのツアーもやっているんだよね。私たちはそこから発展させて、ドイツ語の歌詞とヘヴィ・メタルのリフ、伝統のヴァイオリンとワイルドなギター・ソロ、バグパイプとメタルパワーを掛け合わせ、剣や蜂蜜酒やドラゴンに満ちた巨大なファンタジー世界に落とし込みたかったんだ。
Q3: What are some of the difficulties in bringing medieval instruments like bagpipes, flutes and violins into metal? Do you want to add more traditional instruments in the future?
【HANS】: At first it might sound difficult, but in reality those instruments support the standard instruments which you find in metal. The bagpipes support the guitars, the violins and flutes add melodies which usually a second guitar might play. Overall they add a layer of sound, which really support the epic and mystical mood you might look for in heavy metal. And of course, we might instruments if we need them, but at the moment we are super happy with the sound we created!
Q3: バグパイプ、ヴァイオリン、フルートといったヨーロッパの民族楽器をメタルに持ち込む上で、大変なことは何ですか?
【HANS】: 実は、一見難しそうに思えるけど、実際のところ民族楽器はメタルによくある楽器をサポートしているんだよね。バグパイプはギターをサポートし、ヴァイオリンとフルートは通常セカンドギターが演奏するようなメロディーを加える。全体としてこれらの楽器は、メタルに求められる壮大で神秘的なムードをサポートするための音のレイヤーを追加しているんだ。
もちろん、必要であれば楽器を追加することもあるけど、今のところ、自分たちが作った音にとても満足しているよ。
Q4: What’s interesting is that the concept of “Memento Mori” is medieval, yet it still exists today. The world is still a place where the weak are oppressed, wars are unresolved, fascists are on the rise, and religions are ruthless. Are you guys criticizing the modern world while depicting the Middle Ages?
【HANS】: In general we have a very positive outlook in our lyrics. That’s something that might distinguish us from a lot of bands – if you look for dystopian topics you are listening to the wrong band. We celebrate live, humanity, friendship. Live your live to the fullest as if it’s your last day! Every now and then when we feel it’s needed, we have songs like ‚Im Bauch des Wals‘, which is about environmental damage or ‚Herz eines Drachen‘, which is about war and a difficult father to son relationship.
Q4: 興味深いことに、アルバム・タイトルのメメントモリとは、中世の考え方ですが現代にも存在しますよね?
今でも世界では、弱者が抑圧され、戦争は治らず、ファシストが再度台頭しています。中世同様、今を生きざるを得ない、死を忘れる暇もないほど死がすぐそばにあるような気がします。
【HANS】: 基本的に、私たちの歌詞はとてもポジティブなものなんだよ。もし君がディストピア的なトピックを探しているのなら、間違ったバンドを聴いていることになるね。
私たちは常に人生、人間、友情を祝福しているんだ。このアルバムのテーマは、今日がまるで最後の日であるかのように、精一杯生きるんだ!ってことだから。時々、必要だと思うときには、環境破壊をテーマにした “Im Bauch des Wals” や、戦争と難しい父と息子の関係をテーマにした “Herz eines Drachen” のような曲も作るんだけどね。
Q5: Originally, Feuerschwanz was completely fantastical, even a little comical, but in recent years, has it moved in a more serious direction?
【HANS】: Yes, the Feuerschwanz Dragon has grown up, but the core message of Feuerschwanz didn’t change. We still have the jest in our eyes, we still sing about the positive things of live, we have fun, but with a more serious connotation.
Q5: ただ、初期の完全にファンタジックでコミカルでさえあったころよりは、大分シリアスな方向に向かっていますよね?
【HANS】: たしかに、確かにフォイアーシュワンツ・ドラゴンは成長しているけど、私たちの核となるメッセージは変わっていないんだ。私たちの目にはまだユーモアが宿っていて、人生のポジティブな面を歌い、楽しんでいるよ。だけどたしかに、よりシリアスな意味合いを持ってきたね。
Q6: Recently, more and more bands in the metal world are sticking to their native language, why do you guys stick to German?
【HANS】: The band was started in around 2004, and we were singing in German from the beginning. The medieval rock scene is a very local scene, so it’s just logical to sing in German. So fur us it is quite new that people out of our country start to notice us. But people are so used to the English language being used in metal that we feel it might add something new if we keep singing in German. The language of music is international and I believe people understand the music, even though they might not understand the lyrics.
Q6: 最近では、母国語で歌うことにこだわるメタル・バンドも増えています。あなたたちのドイツ語は素晴らしく音楽にフィットしていますね?
【HANS】: バンドを始めたのは2004年頃で、当初からドイツ語で歌っていたんだ。メディーヴァル・ロックシーンは非常にローカルなものだから、ドイツ語で歌うのは理にかなっているんだよね。
だから、海外の人たちが私たちに注目してくれるのは、とても新鮮なことなんだよ。結局、みんなメタルで使われる英語に慣れきってしまっているから、このままドイツ語で歌い続けていたら逆に何か新しいものが生まれるかもしれないと思っているんだよ。音楽という言語は国際的なものだし、歌詞は分からなくても音楽は理解されると信じている。
Q7: Your stage performances and videos are really fascinating, it’s like watching a historical movie. Are you influenced by Manowar and Amon Amath, who you cover on the bonus disc? Are there any other movies or TV shows that inspire you?
【HANS】: Thank you! Of course we love Amon Amarth and Manowar. But also a lot of other bands, and of course we are big fans of shows like Lord Of The Rings, Game Of Thrones, Witcher and everything related to fantasy! Visual play a big role in Feuerschwanz and in general, so we love to do big videos which invites the watcher and listener into our world.
Q7: あなたたちの MV やステージはスペクタクルに溢れていて素晴らしいですね!
カバーで取り上げていた MANOWAR や AMON AMARTH を彷彿とさせますし、TVドラマや映画からの影響も窺えますね?
【HANS】: ありがとう!もちろん、私たちは AMON AMARTH や他の偉大なバンドたちが大好きだよ。あとは当然、ロード・オブ・ザ・リングやゲーム・オブ・スローンズ、ウィッチャーといったファンタジーに関連する全ての番組の大ファンなんだ。映像は FEUERSCHWANZ にとって大きな役割を担っているから、観る人や聴く人を私たちの世界に誘うようなビッグな映像作品を作るのが好きなんだ。
Q8: Recently, in the metal world, besides Medieval Metal bands like you and Amon Amath, Nordic folk bands like Wardruna, Heilung, and Myrkur have become very popular for their medieval sounds and lore, right? Do you feel any sympathy for them?
【HANS】: Yes, we are big fans of all those bands, and even though they all are related in a way (because of the instruments used), we all sound very different and bring our own personality to the big table of heavy metal. I think it’s important that music evolves, and at the moment those bands with their instruments bring something new to metal!
Q8: 最近では、あなたたちや AMON AMARTH のようなメディーヴァル・メタルとはまた違ったやり方で中世以前を描く、HEILUNG や WARDRUNA, MYRKUR といったノルディック・フォークも人気ですよね?彼らに親近感をおぼえますか?
【HANS】: うん、私たちはそういったバンドすべての大ファンなんだ。(使用している楽器から)ある意味関連性があるとはいえ、みんなサウンドはまったく違って、ヘヴィ・メタルという大きなテーブルに自分たちの個性を持ち込んでいるんだ。
音楽が進化することは重要だと思うし、今現在、伝統楽器を持つバンドはメタルに新しいものをもたらしているんだ。