EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SPLATTERPVNK OF SAIDAN !!
“Our Goal Was To Have Something Similar In Style To Suehiro Maruo. One Of My Favorite Bands “BALZAC” Used His Art On One Of Their Early Albums And It Really Stood Out To Me And I Wanted Something Like That.”
DISC REVIEW “VISUAL KILL: THE BLOSSOMING OF PSYCHOTIC DEPRAVITY”
「このアルバムは、僕らのファースト・アルバム以来、最もJ-Rockの影響を受けたリフを持っているかもしれないね。ちょうど X JAPAN, L’arc-en-Ciel, Versailles, その他多くのヴィジュアル系バンドをよく聴いていて、それがアルバム・タイトルにもインスピレーションを与えたんだ。でも、BALZAC や Hi-STANDARD のような日本のパンク・バンドも、このアルバムの多くの部分に影響を与えているよ」
SAIDAN は、その名の通りプリミティブなブラック・メタルの祭壇に、日本の音楽やアートの生け贄を捧げ、メロディックな恐怖と狂気を錬金する米国の司祭。まさにスタイルを創造し、カテゴライズを無視し、規範からの逸脱を掲げる21世紀のブラック・メタルを象徴するような存在でしょう。
実際、彼らの創造物が発散する波動にステレオタイプなものは何もなく、ブラック・メタルの新たなオルタナティヴの形として唯一無二の呪怨を放っています。このアルバムには、ドメスティックでメロディックな J-Rock の純粋が、嘔吐を誘うような害虫スプラッターに染まる瞬間が克明に映し出されています。言いかえれば、”生の” ブラック・メタルが “生” でなくなる前に、どれほどメロディックになれるのか?そんな命題に “Visual Kill: The Blossoming of Psychotic Depravity” は挑戦しているのです。
「アートワークを丸尾末広に似たようなスタイルにすることが目標だったんだ。僕の大好きなバンド BALZAC の初期のアルバムに丸尾末広のアートが使われていて、それがすごく印象的で、ああいうのが欲しかったんだよね」
“見てはいけないもの” ほど人の関心をかうのは世の常でしょう。それはアートにおいても同じ。そして、純粋無垢が穢れる、悪意に染まる、発狂する瞬間ほど、”見てはいけないもの” やタブーとなりやすいものは他にないのかもしれませんね。丸尾末広のアートはまさにそんな瞬間をまざまざと描いていました。だからこそ、旋律美に蟲が沸き、血が滴る SAIDAN の音楽に、彼をオマージュしたアートワークは必要不可欠だったのです。
「”SICK ABDUCTED PURITY” という曲は、古田順子さんが殺害された事件 (1989年に足立区で起こった女子高生コンクリート詰め殺人事件) を題材に書いたもの。その事件を初めて知ったとき、僕は本当に心が傷つき、大きな悲しみを覚えたんだ…そしてずっとあの事件について書きたかった。もし歌にするのであれば、ある種の敬意を表しつつも、彼女に起こったことから逃げないようにしたいと思ったんだ」
そんな SAIDAN にとって、最も “見てはいけないもの” のひとつが、日本の足立区で起こった悍ましき “女子高生コンクリート詰め殺人事件” でした。人間はこれほどまでに獣になれるのか。そもそもは純粋だったはずの若者たちが、狂気と悪意に突き動かされ残酷残忍を極めたこの事件から、彼らは目を背けることができませんでした。
切り刻まれ、冒涜され、熱を帯びたシンフォニックな恐怖は、人間の貪欲さ、悪意、獣性、狂気によって複雑化されたメロディックな暴力によって蹂躙されていきます。いえ、きっと目を背けてはいけないのです。忘れてはいけないのです。風化とはすなわち、あまりにも無惨な被害者の魂を忘れ去ってしまうこと。きっと私たちは、この残忍なブラック・メタルと華麗な X JAPAN のアーティスティックな交差点で、人の残忍と純粋をいつまでも噛み締めておくべきなのでしょう。誰だって、ほんの少しの掛け違えで堕落の底まで落ちてしまう可能性をはらんでいるのですから。
今回弊誌では、SAIDAN にインタビューを行うことができました。「ブラック・メタルは、パンクのように他のジャンルのヘヴィ・ミュージックにも応用できる能力を持った、数少ないジャンルのひとつだと思う。僕の意見は、”メタル” の部分がメタルである限り、そのジャンルを自分のものにするために、好きなことをすればいいと思っているよ」 二度目の登場! どうぞ!!
SAIDAN “VISUAL KILL: THE BLOSSOMING PSYCHOTIC DEPRAVITY” : 10/10
INTERVIEW WITH SPLATTERPVNK
Q1: First of all, the artwork this time is also very nice and shocking. Why did you choose this composition of a Japanese high school girl hanging from a skeleton? Who did the artwork?
【SPLATTERPVNK】: Thank you! We really wanted the album artwork to help us tell the story this time around. This album follows a student as she becomes increasingly more depraved over the course of each song. And to us the artwork shows that. The artwork was done by a very talented tattoo artist named Kelly Lu.
Q1: まず、今回のアートワークもとても素敵で衝撃的です。日本の女子高生が骸骨で首を吊っているという構図を選んだのはなぜですか?
このアートワークは誰が手がけたのでしょう?
【SPLATTERPVNK】: ありがとう!今回のアルバムのアートワークは、ストーリーを伝えるのに役立つものにしたかったんだ。このアルバムは、一人の生徒が曲ごとにどんどん堕落していく様子を描いている。僕たちにとって、このアートワークはまさしくその様を表しているんだ。ケリー・ルーというとても才能のあるタトゥー・アーティストにお願いしたんだよ。
Q2: Your artwork is always great, but is there a particular Japanese manga or anime that you particularly like the drawings of?
【SPLATTERPVNK】: Our goal was to have something similar in style to Suehiro Maruo. One of my favorite bands “BALZAC” used his art on one of their early albums and it really stood out to me and I wanted something like that.
Q2: SAIDAN のアートワークは毎回素晴らしいですが、特にインスパイアされた日本の漫画やアニメの絵はありますか?
【SPLATTERPVNK】: 丸尾末広に似たようなスタイルにすることが目標だったんだ。僕の大好きなバンド BALZAC の初期のアルバムに丸尾末広のアートが使われていて、それがすごく印象的で、ああいうのが欲しかったんだよね。
Q3: In the past, I think you have rather focused on older horror stories, but this time the theme is modern horror, isn it?
【SPLATTERPVNK】: Yes! The last two albums were based around different ghost stories and folklore from America and Japan. This time I decided to try my hand at my own story. I wanted something that was hyper-violent and poetic. Many of the themes in the story may be a bit over the top, but I’m a big fan of trashy slasher movies and that’s the way I wanted this album to feel lyrically.
Q3: これまではどちらかというと古いホラーを中心に描いてきたと思いますが、今回は現代的なホラーがテーマですよね?
【SPLATTERPVNK】: そうだね!過去2枚のアルバムは、アメリカや日本の様々な怪談や民話をテーマにしていた。でも今回は自分自身が描く物語に挑戦することにしたんだ。超暴力的ででも詩的なものが欲しかったんだ。
ストーリーのテーマの多くはちょっと大げさかもしれないけど、僕はゴミみたいなスラッシャー映画の大ファンだし、このアルバムもそういう歌詞にしたかったんだ。
Q4: Can you tell us the story of “Visual Kill: The Blossoming of Psychotic Depravity?” You even describe the afterlife of the main character, right?
【SPLATTERPVNK】: Sure, the album actually opens with the end of the main characters life and is telling the story of them dying and getting to Heaven just for God to show them all the horrible things they did before sending them to Hell. The rest of the album is a retelling of their depraved sins and is supposed to be viewed a few different ways as many of the songs are from the perspective of the main character. But many passages throughout the record are actually from the listeners perspective. Throughout each song the lyrics become less understandable until the title track “VISUAL KILL” where the main character has completely lost their mind and the story wraps up with the final track “SUFFER” which is about the main character being alone in Hell.
Q4: では、その “Visual Kill: The Blossoming of Psychotic Depravity” で描いたストーリーを教えていただけますか?主人公の死後の世界まで描かれていますよね?
【SPLATTERPVNK】: もちろん、アルバムは主人公の人生の終わりから始まり、彼らが死んで天国に行き、神が彼らを地獄に送る前に彼らが人生で行ってきた恐ろしいことをすべて見せるというストーリーになっている。
アルバムの残りの部分は、彼らの堕落した罪の物語であり、多くの曲が主人公の視点からのものであるから、いくつかの異なる見方ができるようになっている。しかし、レコード全体を通してみれば、実際にはリスナーの視点からのパッセージが多い。各曲を通して、主人公が完全に正気を失っているタイトル曲 “VISUAL KILL” まで、どんどん歌詞は理解できなくなり、物語は主人公が地獄で孤独になるという最終曲 “SUFFER” で締めくくられる。
Q5: Are there any Japanese horror movies or stories that particularly inspired you for this record?
【SPLATTERPVNK】: This time there wasn’t as much influence in terms of Japanese horror movies or stories. But the song “SICK ABDUCTED PURITY” was written about the Junko Furuta murder. I wanted to write about that for a long time since it really effected me and brought me a great deal of sadness when I first learned about it. I knew if I wrote a song about it I would want to show some sort of respect but also not shy away from what happened to her.
Q5: 今回のアルバムで特にインスピレーションを受けた日本のホラー映画や物語はありますか?
【SPLATTERPVNK】: 今回は日本のホラー映画や物語の影響はあまりなかった。ただ、”SICK ABDUCTED PURITY” という曲は、古田順子さんが殺害された事件 (1989年に足立区で起こった女子高生コンクリート詰め殺人事件) を題材に書いたもの。
その事件を初めて知ったとき、僕は本当に心が傷つき、大きな悲しみを覚えたんだ…そしてずっとあの事件について書きたかった。もし歌にするのであれば、ある種の敬意を表しつつも、彼女に起こったことから逃げないようにしたいと思ったんだ。
Q6: I love the chord progression and guitar solo on “Sick Abducted Purity,” which shows a big X Japan influence! In fact, is this album also heavily influenced by Japanese music?
【SPLATTERPVNK】: Thank you, I really appreciate it. I’d say this album might have the most Jrock influenced riffs since our first album. I was listening to a lot of X Japan, L’arc-en-Ciel, Versailles, and many other Visual Kei bands which is what inspired the album title. But Japanese punk bands like “BALZAC” and “Hi-STANDARD” also influenced a lot of parts of this album.
Q6: その”Sick Abducted Purity” のコード進行とギター・ソロには、X Japan からの影響が大きく注がれていて大好きですよ!
実際、このアルバムも日本の音楽から大きな影響を受けているのでしょうか?
【SPLATTERPVNK】: ありがとう。このアルバムは、僕らのファースト・アルバム以来、最もJ-Rockの影響を受けたリフを持っているかもしれないね。ちょうど X JAPAN, L’arc-en-Ciel, Versailles, その他多くのヴィジュアル系バンドをよく聴いていて、それがアルバム・タイトルにもインスピレーションを与えたんだ。
でも、BALZAC や Hi-STANDARD のような日本のパンク・バンドも、このアルバムの多くの部分に影響を与えているよ。
Q7: One of your signature features is your synthesizers, which create a sometimes disturbing, sometimes uplifting atmosphere! How do you see the role of “non-metal” instruments in black metal?
【SPLATTERPVNK】: I think the use of synths really works with the style of Black Metal we make. I really love to hear “non-metal” instruments in Black Metal. If it’s done right it can really set a band apart from others who stick to more traditional sounds.
Q7: SAIDAN の特徴のひとつはシンセサイザーで、時に不穏、時に高揚した雰囲気を作り出しています。
ブラック・メタルにおける “ノン・メタル“ な楽器の役割をどのように考えていますか?
【SPLATTERPVNK】: シンセの使用は、僕たちが作るブラック・メタルのスタイルにとても合っていると思う。僕はブラック・メタルで “ノン・メタル “楽器を聴くのが大好きなんだ。うまくいけば、伝統的なサウンドにこだわる他のバンドとは一線を画すことができると思う。
Q8: In fact, bands from Japan such as Asuno Jokei and Kokeshi, are becoming very popular and diverse and “pushing the boundaries” of black metal music. How do you feel about the potential of Black Metal?
【SPLATTERPVNK】: I think Black Metal is one of the few genres that has the ability to be used in other genres of heavy music similar to Punk. My opinion is as long as the “Metal” part is still Metal then you can do whatever you want with the genre to make it your own.
Q8: 実際、明日の叙景や Kokeshi のような日本のバンドは、ブラック・メタルの “境界を押し広げる” ような多様性を持ち、非常に人気が出てきています。
そうした、”ブラック・メタルの可能性” についてはどのように感じていますか?
【SPLATTERPVNK】: ブラック・メタルは、パンクのように他のジャンルのヘヴィ・ミュージックにも応用できる能力を持った、数少ないジャンルのひとつだと思う。
僕の意見は、”メタル” の部分がメタルである限り、そのジャンルを自分のものにするために、好きなことをすればいいと思っているよ。