EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDY MARSHALL OF SAOR !!
“When People Listen To SAOR, I Want Them To Close Their Eyes And Be Transported Somewhere Else―Away From Their Worries, Even If Just For a Little While. Music Has That Power, And I Think That’s What Makes It So Special.”
DISC REVIEW “ADMIST THE RUINS”
「メタルには生の激しさがあり、伝統的な民族音楽と見事に調和するパワーがある。民族音楽は魂に語りかけるもので、歴史や感情、土地との深いつながりを運んでくる。それとメタルのヘヴィネスとエネルギーとを組み合わせると、重厚で深い感動が生まれる。自然な融合だよ」
ブラックメタルが根付いた土地の文化や自然を愛する営みは、今やメタル世界において最も純粋さが感じられる尊い瞬間のひとつ。その老舗であり盟主、SAOR の中の人 Andy Marshall は世界屈指のフォーク/ブラックメタル・アーティストであり、スコットランドの計り知れない美しさと民俗文化に誰よりも思いを馳せ、愛情を注ぎながらその音楽を書いています。そう、ヘヴィ・メタルも伝統音楽も、魂に語りかける歴史と感情の音楽。だからこそ両者は、純粋に、そして外連見なく溶け合います。
「僕はいつもスコットランドの歴史に魅了されてきたんだ。”グレンコーの虐殺” は、僕たちの過去において最も暗く悲劇的な瞬間のひとつだった。僕は自分の音楽でスコットランドの歴史の異なる時代を探求していくのが好きなのだけど、当時は、この特殊なストーリーがとても心に響いたんだよね」
“Amidst the Ruins” “廃墟の中で” と題された SAOR 6枚目のアルバムは、ここ数作で少し霞んでいたスコットランドの自然、荒涼とした高地、艶やかな湖、霧に覆われた渓谷が再びまざまざと眼下に広がる作品に仕上がりました。壮大でプログレッシブ。伝統楽器とディストーションがドラマチックに勇躍する旋律の重厚舞踏。
ブラックメタルの激しさとケルト民謡のメロディーの壮大な融合はそうして、ハイランドの歴史に生命を吹き込んでいきます。 カレドニアの精神に導かれ、SAOR の音楽は故郷の古代の物語と響き合い、時を超えます。哀愁漂う廃墟と自然の中で SAOR の奏でる音魂は、人間の裏切りから森がささやく秘め事まで、時代を超越した風景と人類の業を風化した幽玄なる渓谷から蘇らせていくのです。
インタビューの中で Andy は、歳をとるにつれて政治に関心がなくなってきた、暴力や欺瞞が蔓延る暗い現代よりも自分の音楽に集中したいと語っています。実際、スコットランドの独立を願っていた以前よりも肩の力が抜けて、スコットランドの美点へとよりフォーカスした作品はそんな考え方の変化を反映しているようにも感じます。
ただし、そうした変化の中でも Andy は、荘厳にして深淵、一際悲哀を誘う “Glen of Sorrow” で “グレンコーの虐殺” を取りあげました。これは17世紀にイングランド政府が手引きして起こった、スコットランド、グレンコーの罪なき村人たちが殺戮された忌まわしき事件。この一件により、スコットランドとイングランドはより険悪な関係となり、その余韻は300年を経た今でも少なからず続いています。ハイランドの嘆きの谷。そこに巣食う亡霊は今の世界を見て何を思うのでしょうか?きっと、Andy Marshall はそんな問いかけをこの美しくも悲しい暗がりで世界に発しているのではないでしょうか?
今回弊誌では、Andy Marshall にインタビューを行うことができました。
「僕はメタルだけじゃなく、すべての音楽は、ある意味で逃避場所になりうると思う。人々がSAORを聴くとき、目を閉じてどこか他の場所へ…ほんの少しの間でも悩みから遠ざかってほしい。音楽にはそういう力がある。それが音楽を特別なものにしていると思う」それでも、私たちにはヘヴィ・メタルがある。二度目の登場。 どうぞ!!
SAOR “ADMIST THE RUINS” : 10/10
INTERVIEW WITH ANDY MARSHALL
Q1: I interviewed you exactly 10 years ago and the situation in Scotland and the UK has changed dramatically since then. How did you cope with those changes?
【ANDY】: The world has changed a lot, not just here but everywhere. Honestly, I just keep going, same as anyone else. I don’t dwell too much on politics―it feels like the older I get, the less I care about it. Life moves on, and I try to focus on what really matters to me.
Q1: 最後にあなたにインタビューしたのはちょうど10年前ですが、スコットランドと英国の状況はそれ以来劇的に変化しています。あなたはその変化にどう対応しましたか?
【ANDY】: ここだけでなく、どこの国でも世界は大きく変わった。正直なところ、他の人と同じように年をとればとるほど、政治に関心がなくなっていくような気がする。人生は前へ進むものだし、自分にとって本当に重要なことに集中するようにしているよ。
Q2: Speaking of change, the world has changed a lot since then.There have been major wars, genocides, deepening divisions, and pandemics.Have these dark changes affected your life and your work?
【ANDY】: Not really. The world keeps turning, people keep making the same mistakes, the rich get richer, the poor struggle, and we all carry on. It’s a cycle that never seems to end. I try to focus on my own life and my music rather than getting caught up in all the negativity..
Q2: 戦争、虐殺、深刻化する分断、パンデミックなど2020年代の暗い変化は、あなたの人生や音楽に影響を与えましたか?
【ANDY】: そうでもないよ。世界は回り続け、人々は同じ過ちを犯し続ける。金持ちはより金持ちになり、貧乏人は苦労し、それでも僕たちの人生は皆続いていく。決して終わることのないサイクルだ。僕はすべての否定的な意見に巻き込まれるのではなく、自分自身の人生と音楽に集中するようにしているんだ。
Q3: That said, the very fantastic SAOR music is still here if you listen to “Admist the Ruins”. Your beautiful music is a wonderful escape for these dark times. In fact, do you think that fantastical, out-of-this-world heavy metal is an effective way to escape painful reality, pain, and loneliness?
【ANDY】: Thanks! I think all music can be an escape in one way or another. When people listen to SAOR, I want them to close their eyes and be transported somewhere else―away from their worries, even if just for a little while. Music has that power, and I think that’s what makes it so special.
Q3: とはいえ、”Admist the Ruins” を聴けば、とても素晴らしい SAOR の音楽がまだここにあることに安堵します。あなたの美しい音楽は、この暗い時代の素晴らしい逃避場所ですよ。実際、SAOR の音楽のような幻想的でこの世のものとは思えないヘヴィ・メタルは、辛い現実、痛み、孤独から逃れる効果的な方法だと思いますか?
【ANDY】: ありがとう!僕はメタルだけじゃなく、すべての音楽は、ある意味で逃避場所になりうると思う。人々がSAORを聴くとき、目を閉じてどこか他の場所へ…ほんの少しの間でも悩みから遠ざかってほしい。音楽にはそういう力がある。それが音楽を特別なものにしていると思う。
Q4: Speaking of fantasy, Japan is also famous as a fantasy mecca. Are you interested in Japanese games, anime, or music?
【ANDY】: Not so much these days, but when I was younger, I was really into certain Japanese games like Final Fantasy. I also loved Berserk. As for music, I can’t say I know a lot of Japanese bands, but I’m always open to discovering new things.
Q4: ファンタジーといえば、日本はファンタジーのメッカとしても有名です。日本のゲームやアニメ、音楽に興味はありますか?
【ANDY】: 最近はあまりやらないけど、若い頃はファイナルファンタジーのような日本のゲームに夢中だったんだ。ベルセルクも大好きだった。音楽に関しては、日本のバンドはたくさん知っているとはいえないけど、僕は新しいものを発見することには常にオープンなんだ。
Q5: This album is another perfect blend of Celtic melodies and ferocious heavy metal that captures the magnificence of Scotland! In recent years, there has been a growing trend around the world to blend metal with local traditional cultures and melodies, Why do you think metal can blend with cultures from all over the world?
【ANDY】: Metal has a raw intensity, a power that pairs beautifully with traditional folk music. Folk music speaks to the soul―it carries history, emotion, and a deep connection to the land. When you combine that with the heaviness and energy of metal, it creates something massive and deeply moving. It’s a natural fusion.
Q5: このアルバムもまた、ケルトのメロディーと獰猛なヘヴィ・メタルの完璧な融合で、スコットランドの素晴らしさを見事に表現していますね!近年、メタルとその土地土地の伝統文化やメロディーを融合させようという動きが世界中で高まっていますが、なぜ、メタルは世界中の文化と融合できるのでしょうか?
【ANDY】: メタルには生の激しさがあり、伝統的な民族音楽と見事に調和するパワーがある。民族音楽は魂に語りかけるもので、歴史や感情、土地との深いつながりを運んでくる。それとメタルのヘヴィネスとエネルギーとを組み合わせると、重厚で深い感動が生まれる。自然な融合だよ。
Q6: “Glen of Sorrow” is a wonderful song, though, filled with sadness, It is about the Massacre of Glencoe. Why did you choose this theme?
【ANDY】: I’ve always been fascinated by Scottish history, and the Massacre of Glencoe is one of the darkest and most tragic moments in our past. I like to explore different periods of Scottish history in my music, and at that time, this particular story really resonated with me.
Q6: “Glen of Sorrow” は、悲しみに満ちた素晴らしい曲ですが、”グレンコーの虐殺” をテーマにしています。なぜこのテーマを選んだのですか?
【ANDY】: 僕はいつもスコットランドの歴史に魅了されてきたんだ。”グレンコーの虐殺” は、僕たちの過去において最も暗く悲劇的な瞬間のひとつだった。僕は自分の音楽でスコットランドの歴史の異なる時代を探求していくのが好きなのだけど、当時は、この特殊なストーリーがとても心に響いたんだよね。
Q7: The album is called “Amidst the Ruins”. Which Scottish locations were particularly inspirational for this album?
【ANDY】: There weren’t any particular locations tied to the album, but the name came to me while I was out hillwalking. I came across some old ruined buildings, and it just clicked. That said, my favorite places for inspiration are Glencoe and the Isle of Skye―I visit them often, and they never fail to spark creativity.
Q7: アルバムのタイトルは “Amidst the Ruins” “廃墟の中で” です。このアルバムで特にインスピレーションを受けたスコットランドの場所はどこだったんですか?
【ANDY】: 特にアルバムに関連した場所はなかったんだけど丘陵地帯を歩いているときに、古い廃墟のような建物に出くわして、ピンときたんだ。とはいえ、インスピレーションを与えてくれるお気に入りの場所は、グレンコーとスカイ島だね。よく訪れるんだけど、創造力をかきたてられる場所なんだ。
Q8: By the way, in recent years, Japanese football players such as Furuhashi, Maeda, and Hatate have been very successful in the Scottish league. Have their successes brought Scotland and Japan closer together?
【ANDY】: Well, I’m a Rangers supporter, so I can’t say I’m a big fan of them, haha! But honestly, I think Scotland and Japan have a stronger connection over whisky than football.
Q8: ところで近年、古橋、前田、旗手といった日本人フットボール選手がスコットランドのリーグで大活躍しています。彼らの活躍によって、スコットランドと日本の距離は縮まったと思いますか?
【ANDY】: まあ、僕はレンジャーズ (彼らが所属するセルティック最大のライバルチーム) のサポーターだから、彼らの大ファンとは言えないけどね!(笑) でも、正直なところ、スコットランドと日本はフットボールよりもウイスキーの方が強い絆で結ばれていると思う。
ANDY MARSHALL’S PLAYLIST !!
SILHOUETTE “LES DIRES DE L’AME”
DRUDKH “SHADOW PLAY”
I don’t listen to a lot of new music these days―life is just too busy! But I have been enjoying Silhouette from France and the latest Drudkh material.