NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SIGN OF THE WOLF : SIGN OF THE WOLF】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TONY CAREY OF SIGN OF THE WOLF !!

“In The Original Era, 60s, 70s, and 80s, The Music Was New And The Style Was Being Invented. It’s Now 50 Years Later For Me – I Joined Rainbow In 1975 – And The Bands I Hear Today Aren’t Inventing Anything. That’s The Difference.”

DISC REVIEW “SIGN OF THE WOLF”

「Ronnie の声?まさに最高の一人だよ。人として?彼は僕より14歳年上で、叔父さんのような存在だった。Ronnie も Wendy Dio も素晴らしい人たちだったし、彼は僕と同じアメリカ人だったからね。僕はイギリス人ミュージシャンと仕事をしたことがなかったから、バンドにもう一人アメリカ人がいたことは大きな助けになったんだよ」
70年代/80年代を象徴するハードロックについて語るとき、RAINBOW の “Rising”、BLACK SABBATH の “Heaven And Hell”、DIO の “Holy Diver” が挙がることは間違いないでしょう。共通項はもちろん、伝説のボーカリスト Ronnie James Dio の存在。彼の歌声、彼の魔法、彼のファンタジーが失われて久しい2025年の暗闇に虹をかけるような傑作が、Ronnie を愛する人々の手によって生まれました。SIGN OF THE WOLF。彼の掲げるメロイック・サインに集いし者たち。
「オリジナルの時代…60年代、70年代、80年代は、音楽が新しく、スタイルが発明がどんどん発明されていった。僕は1975年に RAINBOW に加入したんだ。それから50年が経って…今僕が耳にする新しいバンドは何も発明していない。それが違いだと思うよ」
この美しいプロジェクトは、Firework Mag の Bruce Mee の発案で始まりました。”Tarot Woman” のイントロ、Tony Carey の幽玄神秘なキーボードが彼をハードロックに引き込み、Ronnie の圧倒的な歌声に忠誠を誓いました。そうして長年音楽業界に身を置く中で、今回のインタビューイ Tony Carey と同く、現代のハードロックにどこか物足りなさを感じるようになったのです。かつての、個性的で、音楽の発明が各所に散りばめられた壮大なるメロディの園を甦らせたい。そうして彼は Tony Carey をはじめ、温故知新で才能豊かなアーティストを集めることに決めたのです。
「このプロジェクトにはたくさんの才能があるし、僕はとにかく、Doug Aldrich と Vinnie Appice と一緒にやってみたかったんだ」
ドラム・キットの後ろには、”Mob Rules” や “Holy Diver” など数多のマイルストーンでエンジンとなった Vinnie Appice が鎮座し、Chuck Wright や Mark Boals といった名手とタッグを組みます。リード・ギターは Doug Aldrich。ご承知の通り、WHITESNAKE に再び魂を込め、DIO を復活に導いたカリスマにして、真のギターヒーロー。
もちろん、Ronnie James Dio の歌声は誰にも代えられませんが、ここでは全曲に Andrew Freeman が参加。Vivian Campbell が DIO を受け継ぐ LAST IN LINE (“Ⅱ” の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい) でボーカルを務める Andrew の実力は本物。良い意味で “ジェネリック・ディオ” ともいえる彼のキャッチーな力強さは、SIGN OF THE WOLF の音楽に真のフックと重厚さを与えています。そこに、Doug や Vinnie と演奏をしてみたかったと語る RAINBOW のレジェンド Tony Carey が合流。絶対的なハードロックの金字塔がここに誕生しました。
「”Rising” がこんなに長く愛されていることに驚いているよ。たいていのレコードは2~3年で忘れ去られてしまうものだからね。”Rising” はほとんど50年も人々の記憶に残っているんだから」
実際、Tony の参加した “The Last Unicorn” や “Rage of Angels” では、まさに “Tarot Woman” や “Stargazer” が放っていた神秘的で荘厳なロックの魔法が降臨しています。まだ鍵盤がロックの中心にいた虹色の時代。ただし、アルバムは RAINBOW のみならず、”Arbeit Machat Frei” では THIN LIZZY を (まるで Doug の BAD MOON RISING の3rd のようでもある)、”Silent Killer” では DIO を、そして壮大なタイトル・トラックではあの名曲 “Heaven and Hell” をも探訪して、ロックやメタル、その革命の炎を今でもあかあかと燃やせることを証明するのです。Steve Mann や Steve Morris, Mark Mangold の美学が炸裂するメロディックな楽曲もまた素晴らしい。
今回弊誌では、Tony Carey にインタビューを行うことができました。「実は、RAINBOW のライブは、スタジオでの RAINBOW とはまったく違っていたんだ。コンサートではハモンドをたくさん弾いたけど、レコードではほとんど弾かなかった。”Rising” と “Long Live Rock and Roll” のレコードは、ハモンドの代わりにギターのオーバーダブがほとんどだったんだ。だから僕たちのライブ・サウンドはスタジオとはとても違っていて、そのライブ・サウンドこそが僕にとっての RAINBOW だったんだ」本物にしか作りえない本物のハードロック・アルバム…Dio といえば “Dehumanizer” の再評価も進んで欲しいと祈りながら…どうぞ!!

SIGN OF THE WOLF “S.T.” : 10/10

INTERVIEW WITH TONY CAREY

Q1: “Sign of the Wolf” is one of the best hard rock albums of the century for me! It’s really masterpiece! This project started as a project of Bruce Mee of Firework Mag, would you agree?

【TONY】: I was asked by somebody else to play on two songs, I don’t know Bruce Mee personally. I’m happy that you like it so much…. there’s a lot of talent in this project, and I wanted to work with Doug Aldrich and Vinnie Appice anyway.
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Q1: “Sign of the Wolf” は、私にとって今世紀最高のハードロック・アルバムのひとつですよ!本当に傑作ですね!このプロジェクトは、Firework Mag の Bruce Mee のプロジェクトとして始まったそうですね?

【TONY】: Bruce Mee とは個人的には面識がないんだ。でも、君がとても気に入ってくれて嬉しいよ。このプロジェクトにはたくさんの才能があるし、僕はとにかく、Doug Aldrich と Vinnie Appice と一緒にやってみたかったんだ。

Q2: Many of the band members are associated with Ronnie James Dio. In a way, is it a tribute to him?Also, what was Dio’s voice and person like for you?

【TONY】: I hadn’t thought of it as a tribute to Ronnie. Ronnie’s voice? One of the very best. As a person? I loved the guy, he was 14 years older than me and more like an uncle. I never had any sort of problems with Ronnie or Wendy Dio, they were great people and Ronnie was American, like me.
I had never worked with British musicians and having another American in the band was a great help.

Q2: バンド・メンバーの多くは Ronnie James Dio と関係がありますよね。ある意味、彼に対するトリビュートのような意味合いもあったのですか?また、あなたにとって Ronnie はどんな存在でしたか?

【TONY】: Ronnie へのトリビュートとは考えていなかったよ。Ronnie の声?まさに最高の一人だよ。人として?彼は僕より14歳年上で、叔父さんのような存在だった。Ronnie も Wendy Dio も素晴らしい人たちだったし、彼は僕と同じアメリカ人だったからね。
僕はイギリス人ミュージシャンと仕事をしたことがなかったから、バンドにもう一人アメリカ人がいたことは大きな助けになったんだよ。

Q3: When your keyboard sound echoed in the introduction of “The Last Unicorn,” it was as if Rainbow had returned. In fact, your keyboards were indispensable on “Rising” and “On Stage”.
What did you think at the time about the keyboard’s place in Rainbow, with the absolute presence of Ritchie Blacbmore?

【TONY】: Rainbow live was very different than Rainbow in the studio. I played a LOT of Hammond in concert, and (almost) none on the records. The ‘Rising’ and ‘Long Live Rock and Roll’ records were mostly guitar overdubs instead of Hammond. Our live sound was very different and THAT was Rainbow for me.

Q3: “The Last Unicorn” のイントロであなたのキーボードの音が響いたとき、まるであの RAINBOW が戻ってきたかのように感じましたよ。実際、”Rising” と “On Stage”, そして “Long Live Rock’n’ Roll” の一部ではあなたのキーボードが RAINBOW にとって不可欠な存在となっていました。
Ritchie Blackmore が絶対的な存在として君臨していた RAINBOW におけるキーボードの役割について、当時どのように考えていましたか?

【TONY】: 実は、RAINBOW のライブは、スタジオでの RAINBOW とはまったく違っていたんだ。コンサートではハモンドをたくさん弾いたけど、レコードではほとんど弾かなかった。”Rising” と “Long Live Rock and Roll” のレコードは、ハモンドの代わりにギターのオーバーダブがほとんどだったんだ。
だから僕たちのライブ・サウンドはスタジオとはとても違っていて、そのライブ・サウンドこそが僕にとっての RAINBOW だったんだ。

Q4: Back then, there were many keyboard heroes like you, Keith Emerson, and Jon Lord in the hard rock world, but there are few of them in the rock and metal world today. Why is it so hard to develop keyboard heroes?

【TONY】: Well, I’m not a hard-rock keyboard player, I’m a singer-songwriter. I played what I thought the band wanted to hear in Rainbow, and that was my only hard-rock band ever. MY influences are Matthew Fischer, Richard Wright, Ray Manzarek… NOT Emerson or Lord. Hard rock keyboards are out of style and there is a very small audience for retro bands who play 70s and 80s style. There are MANY, MANY fantastic keyboard players playing other genres of music. I’ve played with Cory Henry a lot, he’s a mix of jazz, Gospel, Blues – Cory might be the best player I’ve ever worked with, and one of the best I’ve ever heard. He’s 35 years old and he’s not interested in hard rock. And honestly, neither am I, although when I get offered a session like ‘Sign of the Wolf’, I’m happy to do it if I like the songs and arrangements.

Q4: 当時、ハードロック界にはあなたや Keith Emerson, Jon Lord のようなキーボード・ヒーローがたくさんいましたが、今のロックやメタル世界にはほとんどいなくなってしまいました。なぜキーボード・ヒーローは少なくなってしまったのでしょうか?

【TONY】: まあ、僕はハードロックのキーボード・プレイヤーではなく、シンガー・ソングライターだからね。RAINBOW ではバンドが聴きたいと思うものを演奏したし、それが僕にとって唯一のハードロック・バンドだった。僕が影響を受けたのは、Matthew Fischer, Richard Wright, Ray Manzarek であって、Emerson や Lord じゃなかったからね。
今やハードロックのキーボードは流行遅れだし、70年代や80年代のスタイルを演奏するレトロなバンドのリスナーはとても少ない。でもね、他のジャンルの音楽を演奏する素晴らしいキーボード奏者はたくさんいるんだよ。ジャズ、ゴスペル、ブルースをミックスしたような Cory Henry とはよく一緒に演奏したね。今まで仕事をした、聴いてきた中でも最高のひとりだよ。彼は35歳で、ハードロックには興味がない。正直なところ、僕もそうだ。”Sign of the Wolf” のようなセッションのオファーを受けたときは、曲とアレンジが気に入れば喜んで引き受けるけどね。

Q5: “Rainbow’s End” is a really great song, but in a way it is an iconic title. Is it about Rainbow as a band?

【TONY】: Sorry, I don’t know the song.

Q5: “Rainbow’s End” はまた実に素晴らしい曲ですが、ある意味象徴的なタイトルですね。バンドとしての RAINBOW のことを隠喩しているのでしょうか?

【TONY】: ごめんね、その曲についてはよく知らないんだ。

Q6: However, the album is not only about Rainbow, but also about Dio, Black Sabbath (Dio&Martin Era), Thin Lizzy, and other great hard rock bands. How do you feel about the difference between that era and today’s hard rock and metal scene?

【TONY】: In the original era, 60s, 70s, and 80s, the music was new and the style was being invented. It’s now 50 years later for me – I joined Rainbow in 1975 – and the bands I hear today aren’t inventing anything. That’s the difference.

Q6: それにしても、このアルバムは RAINBOW だけでなく、DIO, BLACK SABBATH (Dio&Martin 時代) , THIN LIZZY, その他の偉大なハードロック・バンドを包括したような素晴らしさです!
あの時代と現在のハードロックやメタル・シーンの違いについて、あなたはどう感じていますか?

【TONY】: オリジナルの時代…60年代、70年代、80年代は、音楽が新しく、スタイルが発明がどんどん発明されていった。僕は1975年に RAINBOW に加入したんだ。それから50年が経って…今僕が耳にする新しいバンドは何も発明していない。それが違いだと思うよ。

Q7: The music industry has changed dramatically since the 1970s.The music world, which used to be about buying physical music and enjoying it album by album for a long time, has now changed to one of free and instant enjoyment through streaming and cut-out videos on social networking sites. Listeners’ attention spans have become shorter, and some young people cannot even listen to a song through. How do you see these changes?

【TONY】: It is what it is. I hate it. Everything has to be one minute long – like TikTok – and then the listener moves on to the next thing. All of the mystery is gone, and all of the magic. I was lucky enough to be active in the 70s-90s. The music business fell apart around 2000 and will never be the same.
That’s what I mean with ‘it is what it is’, there’s no going back.

Q7: 音楽業界は1970年代から劇的に変化を遂げました。かつてはフィジカルを購入し、アルバムごとに長い時間をかけて楽しむのが当たり前だった音楽界は、今ではストリーミングやSNSでの切り抜き動画を通じて無料でインスタントに楽しむものへと変化しました。
リスナーの注意力も短くなり、1曲通して聴けない若者も少なくありませんね。こうした変化をあなたはどう見ていますか?

【TONY】: “仕方がない”。それがすべてだよ。僕は今のそうした風潮が嫌いだ。すべてが TikTok のように1分でなければならず、リスナーはすぐに次のことに移ってしまう。音楽にミステリーもマジックもなくなってしまった。僕は幸運にも70年代から90年代にかけて活動することができた。音楽ビジネスは2000年頃に崩壊し、決して元には戻らないだろう。
それが僕の言う “仕方がない” で、つまりもう後戻りはできないんだ。

Q8: Cozy Powell, Ronnie James Dio and Jimmy Bain have all passed away, leaving you and Ritchie Blackmore as the only surviving members of “Rising”… Still, it’s great that an album made almost 50 years ago created the template for hard rock and metal and is still loved by so many people today! Looking back now, What does “Rising” mean to you?

【TONY】: I’m amazed at how long it’s held up. Most records are forgotten in 2-3 years. ‘Rising’ is almost 50 years old. A lot of people think I’m a hard-rock legend, but I’m not. I’m a musician and I’ve recorded and produced in many genres of music. Still, those were amazing times, I was 21 years old and went around the world… so no complaints.

Q8: Cozy Powell, Ronnie James Dio, Jimmy Bane の3人が他界し、”Rising” の存命メンバーはあなたと Ritchie Blackmore だけとなりました…それにしても、約50年前に作られたアルバムがハードロックやメタルの雛形を作り、今も多くの人に愛されているのは素晴らしいことです!
今振り返って、あなたにとって “Rising” とはどんな存在ですか?

【TONY】: こんなに長く愛されていることに驚いているよ。たいていのレコードは2~3年で忘れ去られてしまうものだからね。”Rising” はほとんど50年も人々の記憶に残っているんだから。
あの作品のおかげで、多くの人が僕のことをハードロックのレジェンドだと思っているけど、実はそうじゃないんだ。僕はミュージシャンで、さまざまなジャンルの音楽をレコーディングし、プロデュースもしてきた。それでも、あの頃は最高だったよ。21歳で世界中を回ったんだから…なにも文句はないよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED TONY’S LIFE!!

Miles Davis ‘Bitches brew’, Bob Dylan (anything from his early work), The Doors, Creedence Clearwater Revival, Joni Mitchell, Elton John, Janis Joplin, Jimi Hendrix… there’s a very long list of artists who influenced me. I woudn’t say that any record ‘changed my life’, though.

MESSAGE FOR JAPAN

日本のみんな、こんにちは! 僕は今、ソロ・ライヴ(ピアノとギターと僕の声、たった一人でステージに立つ)のシリーズを企画しようとしているんだ!2026年の後半に、また日本に行けたらいいね!

Hello, Japan! I’m trying to organise a series of solo shows (a piano, a guitar, and my voice, all alone on stage) and I hope to see you all again later this year or in 2026!

TONY CAREY

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