NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KORYPHEUS : GILGAMESH】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDY GUSHIN OF KORYPHEUS !!

“Since August I am serving in the army. So we stopped writing new music. However, before that we managed to record 2 new songs and were about to record the third one in September but…”

DISC REVIEW “GILGAMESH”

「僕たちはロシアの SLAUGHTER TO PREVAIL とのツアー、その経験から距離を置こうとしているんだ。ああした協力は、今では不可能だよ。8月から僕は兵役に就いているんだ。だから、僕らは新曲を作ることをやめざるを得なかった。なんとか、その前に2曲の新曲をレコーディングすることができて、9月には3曲目をレコーディングしようとしていたんだけどね…」
戦争に巻き込まれること…それは私たちが享受し、人生の糧としている “文化” の破壊にもつながります。ウクライナの素晴らしきプログレッシブ・メタルコア KORYPHEUS は、ロシアの侵略によって多くを失いました。SLAUGHTER TO PREVAIL は決して侵略を肯定しているバンドではありませんが (というより、Alex Terrible は当局による逮捕の可能性もあって、アメリカに居を移している)、それでも彼らはロシアのバンドと協力することは今や不可能だといいます。メタルの寛容さや壁を壊す力も、非道の戦争には抗えません。
そして何より、ボーカリスト Andy Gushin が祖国を守るため兵役についたことで、バンドの未来さえ暗礁に乗り上げようとしているのです。それでも、KORYPHEUS はドローンとミサイルが飛び交うキーウの防空壕から見事なアルバムを届けてみせました。それはきっと、音楽家としての誇りと使命がもたらしたもの。
「子供の頃から神話が好きだった。 ギルガメシュは最古の叙事詩だ。 後の多くの登場人物、神話、英雄のルーツはメソポタミアにある。でも、このアルバムは古代の神話をテーマにしているわけではないんだ。 実際、僕たちの脳の奥深くに根付いていて、自分たちの行動や潜在意識に影響を与えている原型というものがある。それは過去と現在が出会う場所だ。僕たちはアマテラスのことも知っているよ。とても興味深いよね」
そんな KORYPHEUS が自らの “叫び” を音に乗せるため、選んだテーマは様々な神話をベースにしていました。”Gilgamesh”, “Odysseus” そして “Icarus”。神話上の人物を想起させるタイトルの数々は、古代の英雄譚に巣食う人の傲慢さ、そして悲劇へとつながり、そのアルバムを通じた人間の業はそのまま彼らが今直面している現代の悪夢へと通じているのです。
「メソポタミアは文明発祥の地。 古代のルーツを知ることは重要だ。僕たちは今でも、メソポタミアの文化と音楽は広い意味で自分たちのものだと感じているんだ。Yossi のことは、ORPHANED LAND とツアーをする予定だったから知っているんだよ。 戦争のせいで実現しなかったんだ」
JINJER, IGNEA など活気あふれるウクライナのプログ/メタルコア世界においても、KORYPHEUS が放つ異世界感は明らかに際立っています。それは、彼らがメソポタミアという人類の素晴らしさ、そして愚かさすべての始まりの地を大きな柱としているから。もちろん、彼らの音楽は PERIPHERY や GOJIRA のように実に新鮮でモダンで知的で重くダイナミックですが、同時にそこにはメソポタミアが育んだ太古の響きとドラマが潜んでいます。そうして彼らは、遥か昔の神話を現代に重ねるように、その音楽でも過去と現在を見事に出会わせていくのです。愚かな歴史は繰り返すのかもしれませんが、歴史から学べるのもまた、人間の良さなのですから。
今回弊誌では、Andy Gushin にインタビューを行うことができました。「キーウの状況はあまりよくないよ。 毎日、この都市はドローンやミサイルで攻撃されているんだ。だから、多くの人が安全を求めて防空壕に逃げ込んでいる。一方で、このような事態に嫌気がさし、危険を無視して家に留まり閉じこもっている人もいるんだ」ヘヴィ・メタルの轟音でも戦争の足音はかき消せないかもしれませんが、それでも私たちはこの優しい音楽と共に “浅はか” な思考回路を捨て去り、様々な世界に共感して文化を、そして平和を守っていくべきでしょう…どうぞ!!

KORYPHEUS “GILGAMESH” : 10/10

INTERVIEW WITH ANDY GUSHIN

Q1: First, what is the situation in Kiev right now? Are you safe?

【ANDY】: Hello, dear Japanese friends. Thanks a lot for the opportunity to tell you a little bit about us and our music. The situation here is not great. Every day cities are being attacked by drones and missles. So, many people run for safety to the bombshelters. Others are so tired of all this that just ignore the danger and stay home.

Q1: まず、現在のキーウの状況を教えていただけますか?あなたは今は安全ですか?

【ANDY】: 日本の皆さん、こんにちは。 僕らと僕らの音楽について少し話す機会を与えてくれて本当にありがとう。キーウの状況はあまりよくないよ。 毎日、この都市はドローンやミサイルで攻撃されているんだ。だから、多くの人が安全を求めて防空壕に逃げ込んでいる。一方で、このような事態に嫌気がさし、危険を無視して家に留まり閉じこもっている人もいるんだ。

Q2: I believe that the life of Ukrainian people has changed a lot due to the Russian invasion. I have great respect for you for continuing to make music in the midst of all this. What are some of the challenges you face in making music now?

【ANDY】: Since August I am serving in the army. So we stopped writing new music. However, before that we managed to record 2 new songs and were about to record the third one in September but….

Q2: ロシアの侵攻によって、ウクライナの人々の生活は大きく変わったと思います。 そんな中でも音楽を作り続けているあなたたちを、私はとてもリスペクトしています。 今、音楽を作る上で直面している課題は何ですか?

【ANDY】: 8月から僕は兵役に就いているんだ。だから、僕らは新曲を作ることをやめざるを得なかった。なんとか、その前に2曲の新曲をレコーディングすることができて、9月には3曲目をレコーディングしようとしていたんだけどね…。

Q3: Still, “Gilgamesh” is REALLY great album! Gilgamesh is a hero from Mesopotamian mythology, and Icarus is a character from Greek mythology. Is the album about various mythologies?

【ANDY】: Thank you for appreciating our music. It is not an easy one. We find that for many people it’s too complex or “heavy”. We try to combine the heaviness with melody. That’s our goal. Since childhood I am fond of mythology. Gilgamesh is the oldest epic. Many later characters, myths and heroes have their roots in Mesopotamia. The album is not about ancient mythologies though. In fact, there are certain archetypes that are rooted deep in our brains and influence our behavior and subconscious. That’s the point where the past meets the present. We know about Amaterasu. That’s very interesting.

Q3: それにしても、”Gilgamesh” は本当に素晴らしいアルバムですね! アルバムに登場するギルガメシュとはメソポタミア神話の英雄ですが、同様に登場するイカロスはギリシャ神話の人物ですね。 様々な神話をテーマにしたアルバムなのでしょうか?

【ANDY】: 僕たちの音楽を評価してくれてありがとう。 簡単ではなかったよ。多くの人々にとっては複雑すぎたり、”ヘヴィ” だったりする音楽だからね。僕たちはヘヴィネスとメロディーを融合させようとしているんだ。それが僕たちの目標だよ。
子供の頃から神話が好きだった。 ギルガメシュは最古の叙事詩だ。 後の多くの登場人物、神話、英雄のルーツはメソポタミアにある。でも、このアルバムは古代の神話をテーマにしているわけではないんだ。 実際、僕たちの脳の奥深くに根付いていて、自分たちの行動や潜在意識に影響を与えている原型というものがある。それは過去と現在が出会う場所だ。僕たちはアマテラスのことも知っているよ。とても興味深いよね。

Q4: Speaking of Mesopotamia, you are a Ukrainian band but with strong influences from traditional Middle Eastern music, and even Yossi Sassi is a guest. What draws you to that place and its music?

【ANDY】: Mesopotamia – is a cradle of civilisation. It’s important to know your ancient roots. We still feel that this culture and this music is ours in a broad sense. We know Yossi because we were planning to tour with Orphaned Land. It never happened for us because of war.

Q4: メソポタミアといえば、あなたたちはウクライナのバンドですが、伝統的な中東音楽の影響を強く受けていますよね。あの Yossi Sassi もゲスト参加していますし。その場所と音楽に惹かれる理由は何ですか?

【ANDY】: メソポタミアは文明発祥の地。 古代のルーツを知ることは重要だ。僕たちは今でも、メソポタミアの文化と音楽は広い意味で自分たちのものだと感じているんだ。Yossi のことは、ORPHANED LAND とツアーをする予定だったから知っているんだよ。 戦争のせいで実現しなかったんだ。

Q5: Musically, are Djent and Meshuggah still your major roots?

【ANDY】: Although Meshuggah are the fathers, we are (better ask Oleg, our guitarist) more influenced by their disciples – Periphery. Each of us in the band love and listen to different type of music. Denis Kurov and Pavel Shkodiak are into death and brutal death metal. Oleg follows Satriani. Jullian worships Pantera. I listen to Tesseract and even Deep Purple. Babymetal is fun to listen. We all love Gojira though. They are our idols. Of course we closely follow all current major bands. From 2025 we love albums by Igorrr, Deftones. Korypheus is our meeting point where we bring our thoughts and influences, melt them to create something new.

Q5: 音楽的には、メソポタミアに加えて、MESHUGGAH や Djent があなたたちのルーツなんでしょうか?

【ANDY】: MESHUGGAH は “父親” だけど、僕らは(ギタリストのOlegに聞いた方がいいかもだけど)彼らの “弟子” である PERIPHERY からもっと影響を受けているんだよ。バンドのメンバーは、それぞれ違うタイプの音楽を愛し、聴いている。 Denis Kurov と Pavel Shkodiak はデスメタルとブルータル・デスメタルが好きだ。Oleg はサトリアーニを追っかけてる。Jullian は PANTERA を崇拝している。僕は TesseracT や DEEP PURPLE も聴くしね。 Babymetal は聴いていて楽しいよ。でもみんな GOJIRA が大好きなんだ。 彼らは僕らのアイドルだ。 もちろん、現在のメジャーなバンドはすべてフォローしているよ。 2025年では、Igorrrや DEFTONES のアルバムが大好きだよ。つまり、KORYPHEUS は、僕らの考えや影響を持ち寄り、それらを溶かして新しいものを生み出すためのミーティング・ポイントなんだ。

Q6: I see that Dmitry from JINJER is doing the mixing. Like them, you and Ignea, a lot of great progressive metalcore/Djent bands have emerged in Ukraine and gained worldwide popularity. Do such scenes and strong connections exist?

【ANDY】: Connections exist because of certain people – like late Vlad Liashenko (promoter, concert manager) and Dima Kim who manage to work with many. I met Helle just once and never met guys/gal from Jinjer.

Q6: JINJERの Dmitry がミキシングを担当していますね。 彼らやあなた、IGNEA もそうですが、ウクライナでは多くの素晴らしいプログレッシブ・メタルコア/Djent・バンドが登場し、世界的な人気を得ています。そうしたシーンや、バンド同士の強いつながりは存在するのでしょうか?

【ANDY】: 故 Vlad Liashenko(プロモーター、コンサート・マネージャー)や 多くの人と仕事をしてきた Dima Kim のような、特別な人たちのおかげでコネクションが生まれたんだ。 まあ Helle に1度会っただけで、JINJER のメンバーにはほぼ会ったことがないんだけどね。

Q7: You have toured with Slaughter to Prevail, how do you frankly feel about playing with a Russian band now?

【ANDY】: We try to distance from this experience. Such collaboration is impossible now.

Q7: あなたたちは、ロシアの SLAUGHTER TO PREVAIL とツアーをしたことがありますが、今ロシアのバンドと共演することについて率直にどう思いますか?

【ANDY】: 僕たちはあの経験から距離を置こうとしているんだ。ああした協力は、今では不可能だよ。

Q8: The world has changed dramatically in 2020’s, divisions are growing, and your country is at war. What can metal do in such a dark world?

【ANDY】: I don’t think metal can do much about it unless you are John Lennon with Give Peace A Chance and Imagine. Still, in our music and poetry we try not to be shallow and remind that we must be humane in all circumstances.
“He saw the hidden, he knew the secret,
He brought us news of the days before the flood,
He went on a long journey, but grew tired and resigned,
He carved a story of his labors in stone…”
Epic of Gilgamesh

Q8: 2020年代に入り、世界は劇的に変化し、分断は拡大し、あなたの国は戦争状態にあります。そんな暗い世界で、メタルには何ができるでしょうか?

【ANDY】: “Give Peace A Chance” や “Imagine” のジョン・レノンでもない限り、メタルができることは少ないと思う。それでも、僕たちは音楽や詩の中で、浅はかにならないように努め、どんな状況においても人道的でなければならないことを思い起こさせるべきなんだ。
“彼は隠されたものを見、秘密を知っていた
彼は洪水の前の日々の知らせを私たちに伝えた
彼は長い旅に出たが、疲れてあきらめた
彼はその労苦の物語を石に刻んだ
ギルガメシュ叙事詩より”

FIVE ALBUMS THAT CHANGED KORYPHEUS’S LIFE!!

Meshuggah “Immutable”
Pantera “Vulgar Display of Power”
Korn “Untouchables”
Gojira “Magma”
Meshuggah “Obzen”

Jullien

Deep Purple “In Rock”
Gojira “Magma”
Black Sabbath “Teсhnical Ecstasy”
Periphery “This time is personal”
TesseracT “Sonder”

Andy

MESSAGE FOR JAPAN

I watched virtually all movies of great Akira Kurosawa. His art is the door to Japan for the western people. I cried in the end of Kagemusha.
There was the Soviet film about netsuke and great culture of miniatures.
I read Kobo Abe, Murakami and Akutagawa.
Japanese culture is unique and one of the deepest. It is the bulwark of the civilisation.
We wish you happiness! Arigato.

偉大な黒澤明監督の映画はほぼすべて観ているよ。彼の芸術は西洋人にとって日本への扉だ。”影武者” のラストでは泣いたね。 根付とミニチュアの偉大な文化を扱ったソ連の映画もあった。安部公房、村上春樹、芥川も読んだ。
日本の文化は独特で、最も奥深いもののひとつだよ。そしてその文化はまさに文明の防波堤だ。
君たちの幸せを祈っているよ!ありがとう。

ANDY GUSHIN

KORYPHEUS Facebook

KORYPHEUS LINKTREE

mmmB5dvKwaCcAEznJZ

PLZ FOLLOW US ON FACEBOOK !!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です