EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FLORENT CHARLET OF 6:33 !!
“We Were Stunned (As We Tried To Pay Tribute On The Album’s Artwork) By “Cyberpunk” Animes Such as Akira, Ghost in the shell ou Gunnm, And Some Of Their OST. Nicko Is a Huge Fan of Yoko Kanno.”
DISC REVIEW “FEARY TALES FOR STRANGE LULLABIES”
「バンドが誕生したのが長いクレイジーな夜のパーティーの後、午前6時33分だったから 6:33 なんだ。バンドの名前を決めるのは往々にしてとても複雑で、何か意味があるのか、何かを参照しているのかといろいろ探したり、メンバー全員が別々の自分の考えを持っていたりする……だから僕たちは、単純に、効率的に、深い意味はなく、ただ楽しい名前を選んだんだ」
6:33 を “楽しいプログ・バンド” と位置づけている。そんな Florent の言葉通り、フランスのイカれた変態集団 6:33 は、複雑難解で何事にも意味や哲学を求める傾向のプログ世界を “楽しい” に変える破天荒の確信犯。
「音楽スタイルの多様性についてだけど、僕は、うまくいって、楽しくなるならば何でもすぐにそれを実行するんだよ。僕たちのこういった音楽スタイルの変化は、ユーモアのようなもので、悲しみから喜びへと瞬く間にジャンプするんだよね」
ファンク、スウィング・ジャズ、ヒップホップ、R&B、ポップス、サウンドトラック、ワルツ、サーカス、スカ、ゴスペル、チャーチオルガン、チューブラー・ベル、80年代のシンセ・ウェイブ、ブラス・バンド、オーケストラ….世界で最も多様なメタル・バンドとしてあの DIABLO SWING ORCHESTRA と双璧をなす 6:33 のパレットには、ありとあらゆる音の色彩が用意されています。
例えば、やたらとメニューの多い中華屋に入って肝心の味に閉口する。6:33 の料理にそんな杞憂は必要ありません。まさになんでもあって心から楽しめる一流の料理店。これをプログと呼んでいいのでしょうか?それともプログメタル・アルバム?いえ、”Feary Tales For Strange Lullabies – The Dome” はそのすべてであり、それ以上のものなのかもしれません。
「僕たちは、若いアーティストがスターになるために巨大な都市(ドーム)に引っ越してくるという、ある種のオルタナティブ・ワールドを作りあげたんだ。そこで彼は色とりどりの人々と出会い、自分の中の声(頭の中の奇妙な虫のようなものの声)に心を動かされるんだ。そして、彼は自分の目標に突き進んでいく」
“Feary Tales For Strange Lullabies – The Dome” は、全11曲、53分10秒の “オペラ・コミック”。日本の “サイバーパンク・アニメ” に影響を受けた近未来のダークな物語を、アートの粋を集めながら、直接的に楽しく語ります。率直で境界線のない変態集団は、ウルトラ・キャッチーなメロディー、それにエネルギーに満ちたシンガロングを作り出すコツを心得ていて、最高にプログレッシブでありながら、ヘッドバンキングしたり、足を踏みならしたり、指でどこかを叩いたりすることが宿命づけられた “踊れるプログミュージック” を完成へと導いたのです。
オープナー “Wacky Worms” は、アルバムの縮図となるような一曲。あえて言えばこのアルバムの中で最も “メタル” な楽曲ですが、6:33 らしくあらゆるものが含まれていながら、それぞれが自然にシームレスに接続されているため、一層豊かな音楽の乗り心地に身を委ねることができるのです。それはまさに彼らが6年をかけて目指したもの。さらに 男女ツインボーカル、ダブル・キーボードという新たな編成を得てはじめて、音楽に真の鼓動が脈打ち始めました。プログラミングされたドラムスも、ついに新メンバーが加わり、以後ライブでは ”生” で再現されていきます。
1枚のアルバムの中で、これほどまでに多様なスタイルが次から次へと飛び交い、しかもそれが自然な流れの中で巧みに織り込まれている作品がどれだけあるでしょう?QUEEN, THE BEATLES, GENESIS, FAITH NO MORE, ブロードウェイ、シンセウェイブ、ディスコ、トランス、そしてもちろんメタル、まさに Devin Townsend の音の壁がグランドピアノの音に宿り壮大に幕を閉じる “Prime Focus”。これでほんの一曲。常軌を逸しています。
“Party Inc.” では、子供たちの合唱団まで登場します。これ以上ないほどシアトリカルですが、同時に遊び心があり、生き生きとしていて、都会の地下に巣食う粗野で殺伐とした未来のリアルにリスナーは贖うことができません。そうして到達する “Hangover”。Flow が師匠と呼ぶ Mike Patton が乗り移ったかのような千変万化なパフォーマンスに我々は声を失います。降り注ぐ拍手とスタンディング・オベーション。しかしきっとこれで終わりではありません。名演にはアンコールがつきものです。
今回弊誌では、ボーカリスト Florent Charlet にインタビューを行うことができました。「思春期の僕たちは、Akira、攻殻機動隊、銃夢といった “サイバーパンク” アニメや、それらのOST(バンドのギタリスト兼コンポーザーである Nicko は、菅野よう子の大ファン)に衝撃を受けたんだよね。アルバムのアートワークも日本のサイバーパンクに敬意を表しているんだよ」どうぞ!!
6:33 “FEARY TALES FOR STRANGE LULLABIES” : 9.9/10
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