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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BE’LAKOR : COHERENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEVE MERRY OF BE’LAKOR !!

“We Have Always Tried To Retain The Melodies. I Think The Style Of The Melodies Does Evolve Over The Years, But They Always Remain a Big Thing In Our Music.”

DISC REVIEW “COHERENCE”

「私たちは今でも自分たちのことをストレートなプログ・メタルではなく、プログレッシブな要素を強く持つメロディック・デスメタルバンドだと考えているんだ。結成当初はもっとそうで、ほとんど純粋なメロディック・デスメタルだった。だから、音楽にもう少しプログレッシブな要素を取り入れるためには、地道で段階的なプロセスを踏むことが必要だったんだと思う。若い頃の私たちは、IN FLAMES, AT THE GATES, DARK TRANQUILLITY, OPETH の名盤に大きく影響されていたんだよ」
メロディック・デスメタルは一本調子だ。そう謳われたのは過去のこと。今では、このジャンルを始動したオリジネーターはもちろん、後続の綺羅星たちも数多の興味深いバリエーションを生み出し多様性の高いサブジャンルであることを証明しています。
中でも最も興味深いのは、00年代半ばに台頭した OMNIUM GATHERUM, INSOMNIUM, ETERNAL TEARS OF SORROW といったフィンランドのバンドでした。ヨーテボリ生まれのオリジナルスタイルに、よりアトモスフェリックな味わいを加えた夢見る涙の登場。このニッチで魅惑のスタイルは当然厳寒を湛えた北欧のバンドに多く見られますが、不思議なことに陽光降り注ぐオーストラリアの5人組、BE’LAKOR は異世界のメロデスを特徴をさらに際立たせるため冒険的でプログレッシブな音の葉を注入し、南半球に知で凍てつく冬の寒さをもたらしています。
「最近の2枚のアルバム、特にこの “Coherence” ではスポークン・ワードがより大きな特徴になっているよね。本質的に、語り手を加えて物語を伝えるという感覚を大事にしたいんだ。私たちは、それを音楽に加えるのが好きなんだよね」
“物語のメロデス” で中心となるのは、山とそこに住む人々の描写です。 大きな山に住んでいる女性がいて、その山やその周辺に住んでいる別の人物の物語が、それぞれの楽曲で描かれていきます。 彼らはお互いを知らず、それぞれが自分の哀しみ、苦痛を語る中で人間にとって共通の課題が露わになっていきます。最後はこの山で育つ子供たちの物語。彼らはまだ人生の重荷を背負っていません。人生について学び、偶然にもアルバムの中で描かれてきた人物を見たり、会ったりする中で人生の現実を、世界を目の当たりにしていきます。
抽象度の高いジャケットアートとは裏腹に、”Coherence” は印象派の絵画のような流れを持つアルバムで、具体的なストーリーとビジュアルをまさに自分の目に映った印象そのままを投影していくような作品です。ただし、印象派によくある自然を題材にしたテーマと、メタルらしいファンタジックなテーマが巧みに融合している点で、アルバムの物語は彼らの音楽と完全にシンクロしています。メタリックなリフ・ワークとキーボードのアンビエンス、そしてピアノとアコースティック・ギターによる夢見心地なパッセージが溶け合う自然の中の群集劇。
BE’LAKOR はテンポや音色を変化させながら、カオスで凶暴な極寒から瞬時にプログ的傾向をより深め、アップテンポでメタリックな怒りやグルーブ感、アトモスフィアにアコースティック・バラードなど、さながら山々の四季のように多彩な変化を与えていきます。8章仕立ての長大なアンセムにも思える1時間の包括的な体験。だからこそ、”Sweep of Days” のようなメロデスの一閃が尚更切れ味をましていきます。「私たちは常に哀愁や慟哭を保とうとしてきたんだよ」
“The Jester Race” や “The Gallery” といった90年代の名作に魅了されたリスナーに愛されながら、NE OBLIVISCARIS や ALCEST のようなプログレッシブかつアトモスフェリックな領域に踏み込むことは決して簡単ではありません。しかし、彼らはやり遂げました。メタルの世界では、シンプルさと複雑さは敵対するものではなく、むしろパートナーとして機能しているのですから。
今回弊誌では、鍵盤奏者 Steven Merry にインタビューを行うことができました。「アルバムとしては “Damnation” がとても好きで、あれにはデスメタル・ヴォーカルが存在しないよね。でも、あのアルバムの曲はとても陰鬱で、聴く人を引き込むんだ。彼らの新しい作品は、少し面白みや魅力に欠ける気がするな」 どうぞ!!

BE’LAKOR “COHERENCE” : 9.9/10

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