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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SYMPHONITY : MARCO POLO: THE METAL SOUNDTRACK】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LIBOR KRIVAK OF SYMPHONITY !!

“I Still Had In Mind That Marco Polo Should Be a Strong Power Metal Album At The First Place.”

DISC REVIEW “MALCO POLO: THE METAL SOUNDTRACK”

「GAMMA RAY の “Land of the Free” は、パワー・メタルが沈んでいた時代、トンネルの先に光を与えてくれたんだ」
愛と勇気とファンタジーのパワー・メタルはこれまで、何度か絶滅の危機に瀕してきました。90年代に世界を覆ったダウナーな霧は、チェコの英雄 Libor Křivák が語るようにもちろんこのジャンルを疲弊させました。ただし、後にシンフォニックなオーロラが生き残ったパワー・メタルの勇壮なメロディまでも抱きしめた時、私たちはその美しさの裏で画一化というそこはかとない恐怖もまた、感じていたのです。
「最近、メタル・オペラはたくさんあるけど、本物のパワー・メタルのサウンドトラックは今まで誰も作っていないから、このサウンドトラックのアイデアは気に入っているよ。”Marco Polo” はパワー・メタルとしての力強さを第一に考えていたんだ」
チェコという西洋と東洋の交差点に居を構える SYMPHONITY が、マルコ・ポーロの東方見聞録をアルバムのテーマとして選んだのは、ある意味自然な流れだったのかもしれません。そうして、マルコの足跡を辿ったこのアルバムには、第三世界が勃興した現代のヘヴィ・メタル世界を投影するかのように、様々な国のミュージシャン、伝統音楽、伝統楽器が登場します。当然、バンド名が表す通り、この作品はたしかにオペラのような荘厳な “シンフォニー” を全身に纏っています。
ただし、それでも、このアルバムはワールド・ミュージックにも、シンフォニックなオペラにも、全く飲み込まれてはいません。重要なのは、パワー・メタルとしての雄々しきカタルシス、絶対的な扇情力。かつて、GAMMA RAY が “Land of the Free” で見せつけたパワー・メタルの自由、本物のメタル・オペラを SYMPHONITY はモリコーネに敬意を表しながら受け継いでいきます。Kiske と Kai のダブル・シンガーだったあのアルバムと同様に、2人の歌い手が丁々発止その個性を漲らせながら。
「この物語は、マルコが父や叔父とともに通過した古代の国々。そのエキゾチックな楽器やハーモニー、音階を発見するとてもユニークな機会を与えてくれたんだ。どんな音楽にも、それぞれの魔法があるからね。例えば、中東の音楽にはたくさんの音階がある。他にも様々な音楽が登場する。チベットのホルンは人間の足の骨でできているし、モンゴルの喉歌はとても独創的だよ」
とはいえ、SYMPHONITY が培ったジャーマン・メタルの骨子は、ホーミーや馬頭琴、人骨のチベタン・ホルンにウード、ダルシマーといったシルクロードの民族楽器で巧みに肉付けされ、リスナーを30年の果てしない旅路へと誘います。そうして、シンフォニックであると同時に豊かな質感を備えたこのアルバムは、最終的に重くメタルらしいリフと向き合うことでマルコの苦難を巧みに表現しているのです。
ある意味で、”Malco Polo” はシンフォニックとパワー・メタル真の橋渡しと言えるのかもしれませんね。もちろん、マルコ・ポーロの母国イタリアの至宝 RHAPSODY、そしてエンニオ・モリコーネに対する愛情をも十二分に示しながら。風格と威厳、そして逞しさを備えたメタル・サウンドトラックの堂々たる帰還。
今回弊誌では、ギターマスター Libor Křivák にインタビューを行うことができました。「君が僕たち以外のチェコ共和国のバンドを知らなくても不思議はないんだ。チェコではメタルはとても人気があって、Masters of Rock や Metalfest のような大きなフェスティバルも開催される。だけど、ほとんどすべての国内のバンドの問題は、チェコの歌詞を使っ”ビール・メタル” のような音楽を演奏していて、海外で人気が出るチャンスがないことなんだ」 どうぞ!!

SYMPHONITY “MARCO POLO : THE METAL SOUNDTRACK” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MODERN DAY BABYLON : THE OCEAN ATLAS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Tomáš Raclavský OF MODERN DAY BABYLON!!

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ONE OF THE NEXT GENERATION OF MODERN METAL, MODERN DAY BABYLON HAS JUST RELEASED THEIR AWESOME NEW EP “THE OCEAN ATLAS” !!

次世代ギターヒーローの1人 Tomáš Raclavský 率いるチェコのスリーピースモダンプログバンド MODERN DAY BABYLON。JAKUB ZYTECKI, SERGEY GOLOVIN という2人の天才プレイヤーがゲスト参加した前作 “TRAVELERS” はヘヴィーグルーヴとキャッチーなメロディー、そしてアトモスフィアを高次元で融合し、世界中の DJENT, モダンプログファンにその存在を知らしめた名作でした。それから3年、彼らの待望の新EP “THE OCEAN ATLAS” が遂にリリースされました!ジャンル自体の拡散により様々な方面で使用されるようになっている DJENT というワードですが、彼らはあくまでもその原体験に拘り突き詰めているように感じます。EPを通して貫かれるグルーヴに対する美学。そしてそれと相反するような美しいリードプレイやアトモスフェリックパートが幾重にも折り重なるようにして展開していく様はまさに圧巻です。TOMAS は SKERVESENというポーランドのギターメーカーとエンドース契約を結んでいるのですが、新世代ギタリストたちの中でも非常に音作りが巧みなのではないでしょうか?また、今回のEPで最も MDB を象徴するような名曲 “WATER DROPS” には先日の初来日公演で多くのファンを魅了した PLINI がゲスト参加し楽曲をネクストステージに引き上げています。ANIMALS AS LEADERS や PERIPHERY のファンにはぜひ聴いていただきたいアルバムだと思います。今回弊誌ではバンドの創設者でギタリスト、幼少時からピアノを学んだ音楽人 Tomáš Raclavský に話が聞けました!!

MMM RAITING⭐️

“THE OCEAN ATLAS” 8,2/10

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