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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【STANDARDS : FRUIT TOWN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARCOS MENA OF STANDARDS !!

“Fruit Is Cute! Fruit Is a Great Symbol For Our Music And When You Listen To It You Become a Citizen Of Fruit Town.”

DISC REVIEW “FRUIT TOWN”

「僕も、今世界で起こっている出来事に対して、精神的に迷うことはあるんだ。だけど、それでも僕たちが一緒になって楽しめる音楽が世界に存在できるように、作り続けていこうという気持ちになるんだよ」
クロス・タップのギタリスト Marcos Mena のキュートで陽気なメロディーに導かれ、LAのデュオ STANDARDS は、情熱のリフと白熱のドラムスを緻密なインストゥルメンタル・マス・ロックのパレットへと描き出していきます。一見、無節操なパリピの音楽にも思える “Fruit Town”。しかし、そんな LA の太陽の裏側には、マスロックを明るい日差しのもとに連れ出したい、そして世界を覆うネガティヴをポジティブな日焼けで覆いたい、そんな想いが潜んでいるのです。
「このバンドは、本当にギターリフひとつとドラムに単純化できると思うんだ。ドラムの友人と一緒に演奏するときに、ギターリフだけをカバーしたのが始まりだったと思う。ベースやボーカルがいないと物足りない部分もあるんだけど、一方でギターとドラムのシンプルさを楽しむこともできる。最近は、曲の要素をどんどん増やしているんだけど、ギターとドラムが中心であることは変わりないよ」
インストゥルメンタルでプログレッシブであるにもかかわらず、このバンドのモットーは常にキャッチーで歌いやすくあるべし。そうして、リスナーをフルーツのマスコットが踊り狂う果物の街へと誘います。新鮮で多種多様な果実の味わいや匂いは、そのまま彼らのカラフルな個性につながっているのです。
ギターとドラムスというシンプルなデュオが構築するフルーティーな島や街は、ニヤリと笑うメロンやベリーが、心地よく捻れるリフと重く癖のあるリズムに合わせて揺れ動くような異世界です。フルーツ・アイランドの砂のようにきらめく6弦のさざ波は、計算されたものでありながら、どこかのんびりとしていて、明るく、人々を笑顔にしていきます。
「どんなものでも見せ方次第で魅力的になるんだ。よりテクニカルな音楽を、キャッチーなメロディーとキュートなイメージでアピールできるよう、これからも挑戦していきたいと思っているよ」
他の新進気鋭なギタリストと比較して、ジミヘンをヒーローと仰ぎ、TERA MELOS の Nick Reinhart, LITTLE TYEBEE の Josh Martin に師事し、タッピングの魔法使い Stanley Jordan の研究に勤しんだ Marcos のギタリズムは、斬新のみに絡め取られることなく、温故知新のユニークさを宿しています。そして、これまで難解でシリアスというイメージが先行していたジャンルに、ゆるキャラのポップでキュートな親しみやすさを落とし込みました。
それは例えば、メインストリームに目配せするクールな POLYPHIA, アニメの主題歌やキャラクターを自身の音に昇華する Sithu Aye, 音楽でチルアウトを企む CHON, そしてコスプレやヒーロー物で MV を飾り立てる COVET といったマスロック、プログレッシブの新鋭たちと同様に、 このジャンルのステレオタイプを破壊してマスリスナーに届けたいという想いのあらわれに違いありません。
今回、弊誌では Marcos Mena にインタビューを行うことができました。「だって、フルーツはキュートじゃないか!だから、フルーツは僕たちの音楽の最高のシンボルなんだよ。君たちが STANDARDS の音楽を聴いた瞬間から、フルーツタウンの住人さ!」 どうぞ!!

STANDARDS “FRUIT TOWN” : 9.9/10

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