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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VICTORIANO : LIVING AN ODYSSEY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SERGIO VICTORIANO FROM VICTORIANO !!

“I Fell My Selfattracted By The Originality Of Japanese Music, The Way They Mix Many Styles Into One Piece, That’s Absolutely Outstanding, For Example I Really Like Acid Black Cherry, Cause They Have Songs In Different Styles, From Rock, Jazz, Ballad, Pop. etc…”

DISC REVIEW “LIVING AN ODYSSEY”

「日本の音楽のオリジナリティに惹かれたんだ。いろんなスタイルを1つの作品にミックスするやり方は、本当に素晴らしい。例えば、僕は Acid Black Cherry が大好きなんだけど、彼らはロック、ジャズ、バラード、ポップスなど様々なスタイルの曲を持っている。日本のバンドから受けた影響によって、僕らの心は新しい音楽の地平へと開かれ、日本の音楽によって VICTORIANO は様々な音楽スタイルに挑戦し、自分たちの道を見つけることができた」
かつて、日本の音楽は西欧よりも “遅れている”、テクニックが足りていない、外国では売れない、日本語が壁になるなどと言われていた時代がありましたが、インターネットの進歩によってそうした言説が誤ちであることが証明されつつあります。もちろん、他文化を受け入れる風潮が高まったという時流の変化もあるでしょうが、むしろ日本の音楽は “発見” されていなかっただけで、今ではその独特のコード感やメロディ、日本語の響きを含めて “クール” だと感じる外国人が明らかに増えています。
地球の反対側、チリから現れた VICTORIANO もそんなバンドのひとつ。ただし、彼らの日本に対する愛情はアメリカ大陸においても群を抜いています。
「数年間日本語を勉強していて、日本語はとても美しい言語だと気づいたし、その響きが好きになったから。その頃僕は、何か本当にオリジナルなことをしたいと思い、アメリカ大陸で日本語でフルアルバムをリリースする初めてのバンドになるという挑戦を自分に課したんだ。僕らの音楽を日本のリスナーの心に届けることは、僕にとってとても重要なこと。だからすべての愛を込めて、特に日本の人たちのためにアルバムを作ったんだ」
日本の音楽、その美しいメロディと多様なスタイル、そしてリリックの侘び寂びに魅せられた VICTORIANO。だからこそ、彼らは “日本語で” 歌うことにこだわりました。当然、ラテン系の言語と日本語の間には大きな隔たりがあります。その習得だけでも容易ではありません。ましてや、心を込めて歌うことには相当の鍛錬が必要でしょう。そうして彼らはやりきりました。
「最近日本の音楽でよく聴いているのは、Iron Attack, Imari Tones, 陰陽座, Siam Shade, Acid Black Cherry, Xie, Saluki, Galneryus だね。VICTORIANO のスタイルはかなり実験的で、ロック、ダブステップ、インダストリアル・メタル、プログレッシブ・ロック、ポップ、ジャズの間のミクスチャーだ。僕たちにとって最も重要なことは、他のバンドのスタイルを真似たり、守ったりするのではなく、オリジナルのスタイルを確立することだ」
“Living an Odyssey” を聴けば、その音楽のそこかしこに、古き良き往年のパワー・メタルと共生する日本の息吹を感じるはずです。バンドとして敬愛する Acid Black Cherry を筆頭に、Siam Shade, L’Arc~en~Ciel といったVとメタルの架け橋となったバンドの刹那のメロディ。さらにはボーカルの Sergio が幼少期から愛するアニソンとメタルの架け橋、Make Up や影山ヒロノブの遺伝子。そして Yama-B のゲスト参加が物語るように、日本を代表するパワー・メタルの伝説 GALNERYUS の純真。聖飢魔IIや Daita のシュレッドを思わせる場面も。
チリは敬虔なカトリックの国ですが彼らはプロテスタントで、興味深いことに彼らはそうした日本に対する愛情をキリスト教文化の中に落とし込みました。ルカの福音書にインスピレーションを得た “神の許しがない” を筆頭に、STRYPER も顔負けの穢れなきまっすぐなリリックは、不思議と日本語の響き、日本の音楽に自然に融合し、新たなアマルガムを創造していきます。広がるメタルの世界。その情報過多とも思える彼らの創造こそ、まさに今のメタルが翼を広げて飛翔する姿の象徴でしょう。
今回弊誌では、Sergio Victoriano にインタビューを行うことができました。「間違いなく僕は子供の頃からパワー・メタルが大好きだった。そして、これからもパワー・メタルを、新しい曲を作り続けていきたい。今の時代、パワー・メタルがそれほど人気がなくても構わないんだ。大事なのは、心の中にある音楽を作れるかどうかだから」 二度目の来日にも期待。どうぞ!!

VICTORIANO “LIVING AN ODYSSEY” : 9.9/10

INTERVIEW WITH SERGIO VICTORIANO

Q1: I am glad that you guys have great affection for Japan! First of all, what made you interested in Japan in the first place?

【SERGIO】: Since I was a kid at that age I used to watch many Akira Kurosawa’s movies, I used to practice Karate, so in that sense Japanese culture seems very attractive to me, also I like the Japanese food, as well as Anime and Japanese music such as Rock, Metal, Gospel, Pop, Ballad and New Age music, for example I love Kitaro, all of those things make me feel love for Japanand I have many Japanese friends too.

Q1: あなたたちが日本に大きな愛着を持ってくれて嬉しいですよ!まず、日本に興味を持ったきっかけから教えていただけますか?

【SERGIO】: 子供の頃から黒澤明の映画をよく観ていたし、空手もやっていたから、そういう意味では日本の文化はその頃からとても魅力的に思えたね。
日本食も好きだし、アニメやロック、メタル、ゴスペル、ポップス、バラード、ニューエイジなどの日本の音楽も好きだよ。例えば、僕はは喜多郎が大好きだしね。そうしたすべてが、日本が大好きだと感じさせてくれるんだ。日本人の友達もたくさんいるしね。

Q2: Obviously, your music is heavily influenced by Japanese music, ranging from J-Pop, J-Rock, Metal, V-Kei, and even Johnny’s. What kind of Japanese music have you been listening to?

【SERGIO】: Lately from Japan I’ve been listening a lot to Iron Attack, Imari Tones, Onmyouza, Siam Shade , Acid Black Cherry , Xie, Saluki and Galneryus. Victoriano’s style is quite experimental, it is mixture between Rock, Dubstep, Industrial Metal, Progressive Rock, Pop, Jazz. What really matters most to us is being able to develop an original style, not imitating nor trying to keep other bands’ stlyle.

Q2: あなたの音楽は、J-POP、J-ROCK、メタル、V系、そしてジャニーズまで、明らかに日本の音楽から多大な影響を受けていますね。どんな日本の音楽を聴いてきましたか?

【SERGIO】: 最近日本の音楽でよく聴いているのは、Iron Attack, Imari Tones, 陰陽座, Siam Shade, Acid Black Cherry, Xie, Saluki, Galneryus だね。VICTORIANO のスタイルはかなり実験的で、ロック、ダブステップ、インダストリアル・メタル、プログレッシブ・ロック、ポップ、ジャズの間のミクスチャーだ。
僕たちにとって最も重要なことは、他のバンドのスタイルを真似たり、守ったりするのではなく、オリジナルのスタイルを確立することだ。

Q3: It is not easy to encounter and delve into Japanese music in Chile. After all, did the evolution of streaming service bring you and Japanese music together?

【SERGIO】: Yes of course it did. all of these yearssince YouTube exist I was able to discover a lot of Japanese music that going back in years was very hard to get, in that sense internet and all of that media around they’ve become an extremely important source to make the music flow, either trying to get works from new independent artists and also it is a great way to distribute your own music.

Q3: チリで日本の音楽と出会い、掘り下げるのは容易ではないでしょう。やはりストリーミング・サービスの進化が、あなたと日本の音楽を結びつけたのでしょうか?

【SERGIO】: もちろんそうだよ。YouTubeが存在するようになってから、昔は入手するのがとても難しかった日本の音楽をたくさん発見することができた。そういう意味で、インターネットやその周辺のメディアは、新しいインディペンデント・アーティストの作品を手に入れようとしたり、自分の音楽を配信したりするのに究極に重要な情報源になっているんだ。

Q4: What attracted you to Japanese music compared to Western music or your local music?

【SERGIO】: well, first of all, I fell my selfattracted by the originality of Japanese music, the way they mix many styles into one piece, that’s absolutely outstanding, for example I really like Acid Black Cherry, Cause they have songs in different styles, from Rock, Jazz, Ballad, pop. etc…
All that influence that came from Japanese bands made our minds were open to a new musical horizon, that fact encouraged Victoriano to experiment into several musical styles and find our own way, but at the same time it is a little sad to say that bands in Latin America they are not very original, so you realize that most of them try to sound similar to some other bands, just a little number of them are able to develop an original style, and it is even harder to accept that in Latin America Rock is not very popular, the most of Latin audience they are focus on Salsa, urban music, reggaeton, Latin dance music, and the people seems to spin around in circles into those music styles..

Q4: 西欧の音楽や地元の音楽と比べて、日本の音楽のどこに魅力を感じましたか?

【SERGIO】: まず、日本の音楽のオリジナリティに惹かれたんだ。いろんなスタイルを1つの作品にミックスするやり方は、本当に素晴らしい。例えば、僕はAcid Black Cherry が大好きなんだけど、彼らはロック、ジャズ、バラード、ポップスなど様々なスタイルの曲を持っている。
日本のバンドから受けた影響によって、僕らの心は新しい音楽の地平へと開かれ、日本の音楽によって VICTORIANO は様々な音楽スタイルに挑戦し、自分たちの道を見つけることができた。しかし同時に、ラテン・アメリカのバンドがあまりオリジナリティがないというのは少し悲しいことで、ほとんどのバンドが他のバンドと似たようなサウンドを出そうとしていることに気づく。個性を追求しているバンドはごく少数だ。
ラテン・アメリカではロックはあまり人気がなく、サルサ、アーバン・ミュージック、レゲトン、ラテン・ダンス・ミュージックに人気が集中しているんだ。

Q5: Amazingly, you guys sing most of your songs in Japanese! What made you decide to sing in Japanese?

【SERGIO】: I studied Japanese for a few years, and I realized that Japanese it’s a very beautiful language and I like how it sounds, in that moment I was searching for doing something really original, so I proposed to myself the challenge of being the first band in the Americas to release a full album in Japanese, it is very important to me reaching the hearts of the Japanese audience with our music, we composed it with all of our love especially for people in Japan.

Q5: 驚くべきことに、あなたはほとんどの曲を日本語で歌っています!なぜ日本語で歌おうと思ったのですか?

【SERGIO】: 数年間日本語を勉強していて、日本語はとても美しい言語だと気づいたし、その響きが好きになったから。その頃僕は、何か本当にオリジナルなことをしたいと思い、アメリカ大陸で日本語でフルアルバムをリリースする初めてのバンドになるという挑戦を自分に課したんだ。
僕らの音楽を日本のリスナーの心に届けることは、僕にとってとても重要なこと。だからすべての愛を込めて、特に日本の人たちのためにアルバムを作ったんだ。

Q6: What was difficult about singing in Japanese? How did you write the lyrics?

【SERGIO】: It was quite difficult, the Japanese language is very difficult for us, very different from Spanish, but I have a Japanese friend named Rene Kembo san, who helped me a lot to make a good translation for the lyrics from Spanish to Japanese, and he also was me guide in pronunciation, trying to do it the best as possible, he is a great friend of mine.

Q6: 日本語で歌うことの何が難しかったですか?歌詞はどのように書いたのでしょう?

【SERGIO】: とても難しかったよ。僕らにとって日本語はとても難しいし、スペイン語とは全然違うからね。でも、レネ・ケンボさんという日本人の友達がいて、スペイン語から日本語への歌詞の翻訳をとても助けてくれたし、発音のガイドもしてくれたんだ。彼のおかげでうまくいったし、大親友だよ!

Q7: I see that Yama-B is a guest! Did he and Galneryus stand as heroes for you?

【SERGIO】: Oh Yes, of course they did! in my opinion Yama-B is the best Asian metal singer, he is really talented, he has an incredible voice, and Galneryusis a great band, they’re excellent musicians, I really love them.

Q7: Yama-Bがゲスト参加していますね!彼と GALNERYUS はあなたにとってヒーローなんでしょうか?

【SERGIO】: ああ、もちろんそうだよ!僕の意見では、Yama-B は最高のアジアン・メタル・シンガーで、本当に才能があるし、信じられないような声を持っている。それに GALNERYUS は偉大なバンドで、彼らは並外れたミュージシャンたちだよ!

Q8: Power metal has never been the most popular music today. But in this dark world, power metal fantasy must be a much-needed escape. Can a band singing in Japanese in Chile revive power metal?

【SERGIO】: Well, power metal is the music that all of Vicotriano members we have been listening to since we were teenagers, many bands such as Stratovarius, Sonata Arctica, Nightwish, Rhapsody and Helloween they are very important to us, we really love them, thanks to our friend, the great Japanese guitarist “Iron Chino” from the band Iron Attack, I dared to make power metal, he very kindly invited me to sing a song for his album “Perpetual Nightmare”, the song is called “Fantasma”, after the recording of that song I realized that I could sing into that style and we composed “Living an Odyssey” I was able to return to the early years when we used to compose power metal songs many years ago, and I have to say that I’ve loved power metal since I was a kid practically, we hope to continue composing power metal, creating new songs, it doesn’t matter if in this era it is not so popular, the important thing is to be able to make the music that is inside the heart.

Q8: パワー・メタルは今日、決して最も人気のある音楽ではありません。しかし、この暗い世界で、パワー・メタル・ファンタジーこそ必要とされ、現実からの逃避場所となるべきではないでしょうか。チリで日本語で歌うバンドは、そのパワー・メタルを復活させることができるでしょうか?

【SERGIO】: STRATOVARIUS, SONATA ARCTICA, NIGHTWISH, RHAPSODY, HELLOWEEN など、パワー・メタルの多くのバンドは僕らにとってとても重要で、本当に大好きなんだ。友人の偉大な日本人ギタリスト、IRON ATTACK の “アイアン・チノ “のおかげで、僕はパワー・メタルを作ることを決心した。彼のアルバム “Perpetual Nightmare” のために、彼はとても親切にも僕に曲を歌うよう誘ってくれた。その曲は “Fantasma” という曲で、この曲のレコーディングの後、僕はこのスタイルで歌えることに気づいて “Living an Odyssey” を作曲したんだ。僕は、何年も前にパワーメタルの曲を作曲していた初期の頃に戻ることができたんだよ。
そう、間違いなく僕は子供の頃からパワー・メタルが大好きだった。そして、これからもパワー・メタルを、新しい曲を作り続けていきたい。今の時代、パワー・メタルがそれほど人気がなくても構わないんだ。大事なのは、心の中にある音楽を作れるかどうかだから。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED SERGIO’S LIFE!!

Queen “The Works”

Europe “The Final Countdown”

Bon Jovi “Slippery When Wet”

Stratovarius “Visions”

Helloween “Keeper of the Seven Keys”

MESSAGE FOR JAPAN

Sergio Victoriano: well as you can see I really like a lot of things from Japan, anime, video games, films, food, my message for Japan is:
We are Victoriano and we composed our music with care and affection especially for you all in Japan, we hope that you like and enjoy our music and I hope we can tour throughout Japan into the future, greetings from Santiago de Chile Thanks again!
ありがとう!

見ての通り、僕は日本のいろんなものが大好きなんだ。アニメ、ビデオゲーム、映画、食べもの…僕たちは VICTORIANO で、特に日本のみんなのために心を込めて作曲したんだよ。僕たちの音楽を気に入って楽しんでもらえたらうれしいし、将来日本全国をツアーできることを願っているよ!チリのサンチアゴから愛を込めて。ありがとう!

SERGIO VICTORIANO

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AROGYA : SUPERNATURAL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AROGYA !!

“Visual Kei Bands Have This Incredible Ability To Seamlessly Blend Various Genres And Styles Within Their Music.”

DISC REVIEW “SUPERNATURAL”

「BLOODYWOOD は典型的なインドの要素をうまく音楽に取り入れているけれど、すべてのインドのバンドが同じ道をたどる必要はないということを認識することが重要だ。それぞれのバンドには独自の芸術的ビジョンと音楽スタイルがあり、誰かの成功を真似たり複製したりするのではなく、自分たちのビジョンに忠実であることが不可欠なんだ」
ヘヴィ・メタルは今や文字通り “みんなのもの”。その生命力、感染力、包容力で、様々な民族、文化、人種、宗教の壁を乗り越え世界各地に根を張っています。中でも、世界で2番目に多い13億の人口を誇るインドのエネルギッシュな多様性は、現代のメタル・スピリットと圧倒的にマッチしているようです。
「AROGYA の全体的なコンセプトは、当初ヴィジュアル系バンド(インド初、そしておそらく唯一のバンド)としてスタートしたんだよ。ヴィジュアル系が体現する自由な表現に影響され、様々なジャンルを探求し、様々なサウンドを試し、伝統的な制約にとらわれない音楽体験を創り出すことが目的だったんだ」
かつてインドの音楽業界は、ボリウッドや古典音楽が象徴でありすべてでした。しかし、この10年でインターネット、SNS やストリーミング・サービスが普及し、多様なジャンルの音楽が人気を集めるようになっています。今では、インド全土で年間約20の音楽フェスティバルが開催され、その3分の1では海外国内問わず様々なロックやメタルのバンドが喝采を浴びているのです。
特に、インド北東部はカラフルなメタルのメッカ。もちろん、BLOODYWOOD の極めてインド的なコンセプト、”メタル・ボリウッド” は見事なもので、海外における躍進の原動力となり、後続に門戸を開きました。ただし、文化や人種、宗教のるつぼであるインドにルールやステレオタイプは存在しません。そして、ネパールにルーツを持つ AROGYA が目指し焦がれたのは、日本のヴィジュアル系に宿る “自由” でした。
「the GazettE のようなヴィジュアル系バンドには予測不可能な音楽的多様性がある。様々なジャンルやスタイルをシームレスに融合させる素晴らしい能力を持っている。クレイジーなデスメタルのリフから始まり、エレクトロニックやインダストリアルな要素に移行し、美しくハートフルなラヴバラードへと発展する曲も珍しくない。この多才さと、異なるサウンドやジャンルを試す意欲は、ヴィジュアル系バンドを真に際立たせ、アーティストとして僕たちを魅了するものだ。さらにヴィジュアル系は、バンドやアーティストが自由に探求し、多様な方法で表現することを可能にする、ユニークな芸術的自由を提供している」
AROGYA が言うように、日本で生まれたヴィジュアル系はおそらく、特定のサウンドよりも世界観を重視したジャンルで、ゆえにロック、パンク、メタル、ポップ、グラム、ゴシック、ニューウェィヴ、クラシック、インダストリアルにプログと何でもござれな音世界を構築してきた自由な場所なのかもしれませんね。
それを “まがいもの” と受け取るか、”実験” と受け取るかで、リスナーのV系に対する評価は180°変わるのでしょうが、少なくとも日本よりは遥かに剣呑なネパールとインドの交差点でいくつもの “壁” と悪しき伝統を壊そうと尽力する AROGYA にとって、V系の音楽的な奔放さや 華々しい “メディア・ミックス” の可能性はあまりにも魅力的な挑戦でした。
「文化的アイデンティティという点では、僕たちはネパールとインドの両方を、自分自身を構成する重要な部分として捉えている。僕たちは、両国の文化遺産と、共有する人間性を認め祝福したいんだ。僕たちの文化的背景の多様性と豊かさが、AROGYA の音楽を形成し、その独特の風味と共鳴に寄与している」
つまり AROGYA は、民族音楽やボリウッドよりも、多様で豊かな自らの背景を音楽的、詩的なアイデンティティとすることに決めたのです。だからこそ、the GazettE から LINKIN PARK, RAMMSTEIN, IN FLAMES に GHOST, 果ては EUROPE まで、世界中の “アリーナ・ロック” を融合した強烈無比なメロディック・メタルを生み出すことができました。
彼らの究極的な目標は、音楽で世界を一つにつなげること。互いを許し合い、認め合うこと。そのために、シンセでダークなアリーナ・ロックほど格好のツールは存在しませんでした。そうして “癒やし手” の名を冠する5人の音楽家は、日々、痛み、失恋、孤独、憂鬱、精神的な問題、はかなさ、内なる悪魔と戦う人たちに、一筋の光をもたらすのです。
今回弊誌では、AROGYA にインタビューを行うことができました。「MIYAVI、Crystal Lake、BABYMETAL、Hyde、Ryujin(旧Gyze)といったアーティストたちは、その独特な音楽スタイル、パワフルなパフォーマンス、芸術的なビジョンで僕たちの注目を集めてきたんだ。これらのバンドはそれぞれが独特のユニークなものをもたらし、日本の音楽シーンで可能なことの限界を押し広げ続けている」 どうぞ!!

AROGYA “SUPERNATURAL” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IER : 妖怪】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH IER !!

“Dir en grey Is One Of My Main Influences, And Also One Of My Favourite Bands Ever. They Are Really Original And Creative, But Sadly That Kind Of Japanese Bands Don’t Get Much Attention In The West.”

DISC REVIEW “妖怪”

「アルゼンチンでは、僕の世代の多くの子供たちが日本文化に触れて育っているんだ。90年代はアルゼンチンにグローバリゼーションと新自由主義をもたらした。ケーブルテレビではたくさんのアニメが放送され、いくつかの出版社が多くの漫画の権利を取得し国内で商業化を始めたんだ。90年代後半には、スペイン語でアニメを紹介する雑誌まで出版され、アニメやコスプレの大会も開催されるようになってね。」
まさに地球の裏側、アルゼンチンでこれほどまでに日本文化が花開いているなどと誰が想像したでしょうか。IER の首謀者 Ignacio Elías Rosner は、音楽で日本の怪談を紡ぎその流れを牽引する越境の使者に違いありません。
「怪談に関しては、表現しているテーマの多さに魅了されているんだ。日本人は超自然や死後の世界に対する理解が非常に異なっている。西洋の信仰とのコントラストはとても強く、僕たちを魅了し、同時に怖がらせてくれるんだ。個人的には、それらの民話や伝説、伝統が、僕が好きだったアニメや映画の至る所にあったからこそ、自分の子供時代の一部を代表していると言えるんだ。」
ケーブルテレビで目にしたドラゴンボールや聖闘士星矢、エヴァンゲリヲン。プレイステーションでリリースされるサイレント・ヒルやファイナル・ファンタジーの魅力的ソフトの数々。Ignacio はアルゼンチンに放たれたジャパニーズ・サブカルチャーの虜となり、その場所から日本の音楽や伝統文化、哲学へと歩みを進めていきました。
「怪談の復讐、抑圧、永遠の不幸、孤独、憂鬱、怒り、喪失感、失恋などのテーマは、僕が IER で取り組みたいと思っていたものと同じだった。日本文化に立ち返って、同時に比喩で表現する方法を与えてくれたんだよね。登場人物、状況、行為を通して、僕は多くの感情を外に出すことができ、同時に奇妙で不穏な雰囲気を作り出すことに成功したのさ。」
すべてを Ignacio 一人で収録する IER の J-Horror 四部作は完結へと向かっています。”怪談”、”うずまき”、そして95分の狂気 “妖怪” は壮大なコンセプトの第三幕。アルバムや楽曲タイトルを、漢字を含む日本語で表記する時点で Ignacio の本気と知性が伝わりますが、それ以上に伊藤潤二や日本のホラー映画、怪談を読み込み、分析して音に再現するその異能はある意味常軌を逸しています。
「Dir en grey は大きな影響を受けたバンドの一つで、これまでで一番好きなバンドの一つでもある。彼らは本当に独創的で創造的なんだけど、悲しいかな、この手の日本のバンドは欧米ではあまり注目されていないんだよね。例えば、アルゼンチンではほとんどの人が Dir en grey のことを「アニメ音楽」だと言うだろうから。」
西洋で生まれた恐怖と憂鬱の最高峰、ブラックメタルをプログレッシブに奏でながら、日本の音の葉を織り込む手法こそ Ignacio の語り口。原点である凶暴なカオスは、V系の美学、Dir en grey や Sukekiyo の複雑怪奇、邦画やゲームのサンプリング、伝統芸能のしきたりをカウンターとして絶妙なコントラスト、恐怖のジェットコースターを描き出します。
その情緒に、アルゼンチン由来のラテンやアコースティック、フォーク、スペイン語を重ねた唯一無二は、間違いなく西欧の例えば CANNIBAL CORPSE 的ショックホラーや猟奇よりも、不穏で不気味で奇怪に感じられるはずです。中でも、日本語で皿の数を怒号する “皿屋敷” の恐ろしさは白眉。
今回弊誌では、アルゼンチンのメタル法師 Ignacio にインタビューを行うことができました。「”うずまき” の映画化の監督であるヒグチンスキーは、僕が映画からのサンプルを含む “うずまき” アルバムをリリースした後に連絡してきてね。最初は彼が怒るのかと思ったけど…。それどころか、全然違うんだよ。彼は感激してくれて、法的な問題を避けるために、映画の権利を持っていた映画会社に連絡するのを手伝ってくれたんだ。ありがたいことに、僕は著作権侵害をしていなかったし、ヒグチンスキーは自分のSNSでアルバムをシェアしてくれたんだよ!」 どうぞ!!

IER “妖怪” : 10/10

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