EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANNEKE VAN GIERSBERGEN OF VUUR !!
An Anthemic Opening Statement From Dutch Progressive Metallers VUUR Is Anneke Van Giersbergen’s Heaviest, Most Ambitious Work To Date !!
DISC REVIEW “IN THIS MOMENT WE ARE FREE – CITIES”
THE GATHERING, THE GENTLE STORM, DEVIN TOWNSEND PROJECT 等で妖艶かつ伸びやかな歌声を披露。欧州で確かな地位を確立するオランダのメタルプリマドンナ Anneke van Giersbergen が鮮烈なるニューバンド VUUR でその瑞々しい創造性の “浄火” を灯します。プログレッシブでヘヴィーな彼女の新たな航海は、コンテンポラリーな風を味方にシーンの先へと舵を取ります。
AYREON のマスターマインド Arjen Anthony Lucassen とタッグを組み、中世のフォルクローレで大航海時代のオランダを壮麗に描いた THE GENTLE STORM は VUUR の壮大な序曲でした。
インタビューにもあるように、GOJIRA, MASTODON, OPETH といったモダンなプログメタルを愛聴する Anneke は、プロジェクトの終焉と同時に THE GENTLE STORM の強靭なライブバンドをスカウトし、オランダ語で”火” “推進力” の名も映える、先鋭の狂熱 VUUR を生み出す決断を下したのです。
“In This Moment We Are Free – Cities” と名付けられたバンドのデビューフルレングスは、文字通り Anneke がこれまでツアーで訪れた世界中の都市をインスピレーションに制作されました。「どの街や都市にも異なるヴァイブやエナジーが存在するの。」 と語る通り、アルバムは実に多様でカラフルなサウンドスケープを誇っているのです。
Anneke と巡る世界旅行は、ベルリンに漂う悲哀と享楽の文化的カオスを反映するかのような “My Champion – Berlin” で幕を開けます。GOJIRA を想起させる有機的で巨大なグルーヴと、Anneke のオペラティックなメランコリーが溶け合うアンセムは、実に壮観であまりに独創的な化学反応だと言えますね。
事実、これまでカルトでディープなプログメタルは大抵男性がボーカルを務めて来ましたし、逆に言えば NIGHTWISH のような女声を前面に配するシンフォニックなアプローチではシンプルなリフワークを貫きバランスを取るケースが殆どでした。つまり、カルトとゴージャスが交差する VUUR のエピックは、前代未聞の野心的な物語だと言えるのです。
“Time – Rotterdam” はまさに “In This Moment We Are Free” のスピリットを体現するトラックでしょう。入り組んだタイムストラクチャーの中、時にハーモニーを創造し、時にポリフォニックなチャレンジを聴かせ、アコースティックの味わいまで司るギターチームのクリエイティビティは群を抜いていますね。経過音を多用する Jord の滑らかなリードプレイも印象的で見事なアクセントになっています。
さらに Anneke の揺らぎと艶は、厳かに巧みにレイヤーを重ねる中でその表情、深みを増して、プログメタルの巧妙なるストラクチャーの中へ驚くほどに溶け入っていますね。
MASTODON の砂漠を内包する “The Martyr and The Saint – Beirut”、Kate Bush のスピリットを受け継ぐ “The Fire – San Francisco” でオプティミスティックな熱気を伝えると、VUUR の旅路はリオの港へと辿り着きます。
PERIPHERY の Mark Holcomb との共作により生まれた “Rio – Freedom” は、繊細なクリーントーンがマスロック、ポストロックのイメージさえ植え付けるコンテンポラリーな楽曲。作中でも最もエモーションを発する Anneke のボーカリゼーションと相まって、極上のモダンプログレッシブワールドを形成しています。
実際、Mark 以外にも ANATHEMA の Daniel Cardoso が “Valley of Diamonds – Mexico City” に、AMORPHIS の Esa Holopainen が “Sail Away – Santiago”, “Save Me – Istanbul” のコンポジションに参加し、”耽美” や “勇壮”、”哀愁” といったそれぞれの “色” を加えたことでアルバムはより豊潤で多様なモダニズムを備えることとなりました。
同時に、AYREON, EPICA との仕事で知られるチャートヒッター Joost van den Broek のセンスも忘れる訳には行きませんね。そして Djent やポストブラックまで経由した VUUR とリスナーの旅路は、Mark Holcomb が手がけたエセリアルで多幸感溢れる “Reunite! – Paris” で鮮やかな余韻を残しつつ幕を閉じるのです。
今回弊誌では、Anneke van Giersbergen にインタビューを行うことが出来ました。「私はいつだって今を生きようとしているのよ。」 アルバムに収録した楽曲すべてに Anneke は “In This Moment We Are Free” の一節を忍ばせています。どうぞ!!
VUUR “IN THIS MOMENT WE ARE FREE – CITIES” 9.8/10
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