EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Ivar Bjørnson OF ENSLAVED !!
Finally, Enslaved Are Going To Play For Japan For The First Time! Don’t Miss Their Amazing Performance At Loud Park 16 !!
DISC REVIEW “IN TIMES”
ノルウェーを代表する Viking / Progressive Black Metal バンド, ENSLAVED が Loud Park 16 で遂に日本初上陸を果たします!!ライブバンドとしても名高い彼らのパフォーマンスは、日本のメタルファンを確実にノックアウトすることでしょう。
初期にはプリミティブな Black Metal 色の濃い Extreme Metal を追求していたENSLAVED ですが、近年はプログレッシブな要素を多分に取り入れた、荘厳で唯一無二の Progressive-Black サウンドを指標しています。
最も頻繁に比較されるのは OPETH でしょうが、PINK FLOYD を思わせるサイケデリックな瞬間も存在し、Herbrand Larsen の美麗なクリーンボイスは KATATONIA をも想起させる、実にフレキシブルで才能豊かななバンドです。同時に Herbrand のオルガンからメロトロン、シンセサイザーまで自在に操るエピカルなキーボードサウンドが、他の Extreme Metal との大きな差異を生んでいるとも言えますね。
特に、”Axioma Ethica Odini” でシーンの売れっ子プロデューサー Jens Bogren を起用してからは神がかっており、前作 “Riitiir” ではもはや Extreme Metal の枠にさえ収まり切らない、完璧な構成美を誇る神々しいまでに進化したエピックサウンドを完成させていました。
昨年リリースした “In Times” は、”Riitiir” という一つの完成形を経て、現在の成熟したバンドが新たに勇壮でプリミティブな原点に立ち返ったレコードと言えるでしょう。
アルバムオープナー、”Thurisaz Dreaming” はバンドの過去と現在が溶け合った “In Times” を象徴するような楽曲です。ノルウェーが誇る強烈なブラストビートを元にした、怒りに満ちた Blackend のブリザードで幕を開ける巨人の夢は、確かに初期の ENSLAVED を彷彿とさせます。Grutle Kjellson の邪悪で無慈悲な叫びは、彼らが今でも”古い価値観”を守り続けていることの証です。しかし、楽曲はスムーズに、違和感もなく、バンドのメロディック、プログサイドへと移行し、彼らの武器であるクリーンボーカルを伴った優雅でアンビエントなサウンドを響かせるのです。
ブリットロック的な感覚さえ存在する、キャッチーで美しく、オーガニックな “Building With Fire” にしても、残虐なオーラを纏ったスクリームと共に、ダークなパッセージが用意されていますし、”One Thousand Years of Rain” ではメロディックに疾走するエクストリームパートに呼応する、彼ら独特の浮遊感溢れるコーラスが白眉です。この振れ幅の大きさを自然に感じさせる、見事なバランス感覚こそが、アルバムの肝だと言えるのではないでしょうか。
同時に、前作に比べて、良い意味でラフで空間が目立つ “In Times” は、ドラマー Cato Bekkevold の強靭なタイム感、バラエティー豊かで個性的なフィルインの数々がリスナーを惹き付ける重要なランドマークとなっていることは記して置くべきでしょう。
特筆すべきは、タイトルトラック “In Times”。ENSLAVED の先進的で型にはまらないドラマ性を集約したかのような楽曲は、虚無なる宇宙を漂うかのようなサイケデリックなイントロから、バンドの光と影を反映するかのように、幻想的な神秘性と無慈悲な残忍さが交差します。ブラック、サイケ、プログ、アグレッション、アトモスフィア、ハーモニー、そして至高の構成美。ENSLAVED を形作る全ての要素が内包されたかのような10分間の大曲は、間違いなく彼らの新たなシンボルとなるはずです。
今回弊誌では、バンドの創立メンバーでギタリスト、Ivar Bjørnson にインタビューを行うことが出来ました。90年代からシーンを牽引し続けてきた人間の言葉はやはり重いです。どうぞ!!
ENSLAVED “IN TIMES” : 9.5/10
【INTERVIEW WITH Ivar Bjørnson】
Q1: Hi, Ivar! A few days later, you’ll appear at Loud Park 16! This is your FIRST show in Japan! Can you believe it?
【IVAR】: It is hard to believe, and we are so happy that it is finally happening! Totally awesome, this is a longtime dream coming through.
Q1: 遂に Loud Park 16がやって来ましたね!ENSLAVED にとって初の日本でのライブですね!
【IVAR】: 信じられないね。遂に実現するんだ!本当に嬉しいよ。長年の夢が叶うんだから、こんな素晴らしいことはないよ。
Q2: Also, 2016 is 25 years anniversary for Enslaved! Can you imagine such a long career from the beginning? What made you continue it?
【IVAR】: To be honest, we never thought more than a week ahead when we were a young band. Everything was just about writing the next song, trying to save money for the studio, trying to get on tours and so on. So when we turned 25 years now, it was almost a surprise for us, haha! “Have we really been going for this long?!” For us the motivation has always been to make our own favorite music; to mix our influences with our own ideas and visions.
Q2: 2016年は ENSLAVED にとって記念すべき結成25周年でもありますね!バンドを始めた当初、こんなに長く続けることを想像していましたか?
【IVAR】: 正直、僕たちが若い頃は、一週間以上先のことなんて考えたこともなかったよ。全てはただ、次の楽曲を書いたり、スタジオ代のために節約したり、ツアーに出たりといったことだけに注がれていたね。だから、いざ25周年に差しかかってみると、僕たちに取っては、ほとんどサプライズのような感じだったね!(笑)
どうやってこんなに長く続けてきたかって?! 僕たちのモチベーションは、いつだって自分たちのフェイバリットな音楽を作ることだったね。僕たち自身のアイデア、ビジョンと、受けた影響をミックスさせてね。
Q3: When you started Enslaved, you were still so young, and Norwegian Black Metal scene were in the controversial moment. You know, your band name “Enslaved” is named after Immortal’s “Enslaved in Rot”. Looking back now, what was the moment to you?
【IVAR】: Yeah it was a very special time for everybody; inside and outside the scene. We were sort of both; we were inspired by the same music and friends with most people in that scene – but already then we were a bit “different”. Those were very inspiring and creative days, and the spirit of the scene was really one of cooperation and community… not like later when people started to become more commercial and “competitive”. I think we still maintain the “old values”.
Q3: 仰るように、あなたが ENSLAVED を始めた時は非常に若く、ノルウェーの Black Metal シーンは色々と物議を醸していた時代でもありました。バンド名 ENSLAVED も IMMORTAL の “Enslaved in Rot” に因んでいる訳ですが、今振り返ってみて、あの時代はどんな瞬間でしたか?
【IVAR】: うん、シーン内外のみんなにとって、本当に特別な時代だったね。僕たちは、その両方だったと思うんだ。同じような音楽にインスパイアされていたし、シーンの人はほとんどが友人だったけど、僕たちはすでに当時から少し”変わって”いたね。
当時の空気にはとても鼓舞されたし、クリエイティブな日々だったよ。シーンのスピリットも、実に協力的で素晴らしいコミュニティだったんだ。後にコマーシャルで”競争的”になるまではね。僕たちはまだ”古い価値観”を守っていると思うな。
Q4: Your music has changed in this 25 years. In your early days, you played aggressive and primitive extreme metal, but now, it is so progressive and sometimes you use even beautiful clean vocal. What caused this drastic change?
【IVAR】: I experience it more like a gradual change and evolution more than a sudden change. I guess our own tastes in music found its way into our own music; and as we opened up to more progressive and melodic music ourselves it flowed into our music also. We have never been afraid of changing and adding new elements. If it feels right, we should go for it – that has been our motto and that is what brought us where we are now.
Q4: とは言え、ENSLAVED の音楽性はこの25年間で大きく変化していますよね?初期はアグレッシブでプリミティブな Extreme Metal をプレイしていましたが、現在はよりプログレッシブで、美しいクリーンボーカルもしばしば使用しています。
【IVAR】: うん、ただその変化は決して突然起こった訳ではなく、緩やかに進んで行ったんだ。おそらくは、僕らの音楽における独自のテイストは、自身の音楽の中から生まれて来たんだよ。だから、僕たちがよりプログレッシブでメロディックな音楽への扉を開けた時、それが音楽自身にも流れ込んで来たんだと思う。
僕たちは変化や新しい要素を加えることを恐れたことはないんだよ。もし正しいと感じれば、やってみるだけさ。それが僕たちのモットーだし、だから現在の僕たちがいるとも言えるね。
Q5: With your musical change, lyrics have also changed from Norwegian to English. What’s the reason of that?
【IVAR】: There was no profound or dramatic reasons behind this. We started out with Norwegian, Old Norse and Icelandic lyrics. Then, around 1995-1997 we started to tour the world more, and I guess it maybe put things in a context of how global the band had become. This might have inspired us to move to English, but it was a very subtle and “soft” transition. We tried a few lyrics in English and it really worked for us. But we have done Norwegian after that and might do more of it in the future. That’s the fun thing with Enslaved, you never know what is going to happen haha!
Q5: なるほど。では、音楽の変化に伴って、ノルウェー語から英語へとリリックを移行して行ったのはなぜですか?
【IVAR】: それについては、深く、ドラマティックな理由なんてないんだ。僕たちはノルウェー語、古ノルド語、アイスランド語で歌詞を書き始めたんだよ。それから、1995~1997年頃に、世界中をツアーするようになったね。それによって、僕はいかにバンドがグローバルになったか深く悟ったんだよ。だから英語へと移行することを決めたんだ。
ただ、それは微妙でソフトな移行だったね。まずは幾つかの歌詞を英語で書いてみたんだけど、実に上手く行ったね。ただ、それ以降もノルウェー語で歌詞を書いているし、将来的にもそうするだろうね。何が起こるか分からないのが ENSLAVED の面白い所さ!(笑)
Q6: So, you will release “The Sleeping God-Thorn” on 11/11. The Songs appeared between “Axioma Ethica Odini” and “Riitiir”. And you released them as EPs on 2011. What made you release these material as full-length album?
【IVAR】: I have never written an Enslaved song I was not very passionate about. So even though these songs are found on quite limited releases, they are still “full quality”, equally important Enslaved songs. So after a while, as people also reminded me about this: that they were into the songs – hey, some long-time fans even listed songs from these as their favorite tracks ever! So now, that I had my own label By Norse Music, up and running; the timing was perfect – this was finally the time to strike! I hope new and old fans alike will enjoy them!
Q6: 11/11には “The Sleeping God-Thorn” をリリースしますね!”Axioma Ethica Odini” と “Riitiir” の間に制作され EP としてリリースされた作品群をフルアルバムとして再発する訳ですが、なぜこのタイミングなのでしょう?
【IVAR】: 僕が情熱を注いでいない ENSLAVED の楽曲なんて存在しないよ。だから、確かにこれらの楽曲は非常に限られたリリースだったんだけど、他の重要な楽曲と同様に、充分にフルアルバムのクオリティーを備えているんだ。
しばらくしてから、その事を思い出させてくれた人がいるんだ。彼らは “The Sleeping God-Thorn” の楽曲にのめり込んでいたんだよ。長年のファンでさえ、フェイバリットとして挙げるほどデキが良かったという訳さ!
今では自身のレーベル “By Norse Music” を持って稼働しているから、タイミングはパーフェクトだったね。遂にその時が来たんだよ!新旧両方のファンが楽しんでくれるといいな!
Q7: Anyway, I felt your latest release, “In times” was back to your roots somehow. Do you agree that? And when you’ll release your next record, what kind of album will it be?
【IVAR】: Yes, I can agree with that in a sense; I understand what you mean with that and I think so too. As a very active band, we tour a lot, and hence we relate to our old material on a regular basis. This also means fueling a continuous flow of inspiration into our current work – and there is a lot of great energy in the old work!
About the next album; it is a little early to tell, so I will not make any predictions already – hope you understand!.
Q7: 最新作 “In Times” では幾らかルーツに立ち返ったようにも思えましたが、そういった意図はありましたか?また、次のレコードについて、現段階で話せることはありますか?
【IVAR】: うん、ある程度は同意するよ。君が意図することは分かるし、僕もそう思うよ。ENSLAVED は実にアクティブなバンドだから、ツアーも沢山こなすし、それ故、古いマテリアルも定期的にプレイするんだ。つまり、そういった昔のマテリアルからのインスピレーションが、現在の作品に常に流れ込んで来るんだよ。勿論、昔のマテリアルにも実に素晴らしいエナジーが存在するしね。
新作については、ちょっと語るのが早すぎるね。まだ何も予想出来ないんだよ。ゴメンね!
Q8: You keep working Jens Bogren since “Axioma Ethica Odini”. What do you like him? And do you want to work with him on your next release?
【IVAR】: Yes, Jens is a wonderful guy to work with, absolutely professional and very talented in what he does. He is very tidy, and in a sense he acts as a counterforce to the very experimental nature of Enslaved – which I think is also needed; an analytical, organizing and preserving nature amidst the weirdness. Makes sense? I hope so. I am as certain as I can be that he will be working with us at least for the next album, yes!
Q8: プロデューサーの Jens Bogren とは、”Axioma Ethica Odini” からの長い付き合いとなりました。彼の仕事のどこが気に入っていますか?次の作品でも再度起用する予定ですか?
【IVAR】: うん、Jens とは本当に仕事がやりやすいんだよ。究極にプロフェッショナルで、才能豊か。とても整然とした人物だから、ある意味、実験的な性質を持つ ENSLAVED の反対勢力とも言えると思うんだ。
奇妙なアイデアを分析し、整理して保存する役割が必要でしょ? だから、少なくとも、次のアルバムまでは一緒に働いて欲しいと思っているよ!