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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【UNDEATH : MORE INSANE】 JAPAN TOUR 24′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALEXANDER JONES OF UNDEATH !!

“Anthrax – Fistful of Metal Is a Pretty Obvious Inspiration Here!”

DISC REVIEW “MORE INSANE”

「僕たちは非常にグロテスクでタブーなことを歌っているけど、皮肉混じりで、ユーモアがあり、舌を巻くような態度でそのテーマを扱おうととしているのさ」
アンデッドの進撃、悪魔のような賞金稼ぎ、殺人、恐ろしく失敗した倒錯的な人体実験、血の涙を流して泣き叫ぶ死者、そして殺人(再び)。ドラマーの Matt Browning の手による狂気のジャケット・アートを抱いた狂気より狂気な “More Insane” で、UNDEATH が “Lesions Of A Different Kind” で始めたグロテスクな3部作は終わりを告げます。
「”More Insane” のアートワークはタイトル曲の歌詞にインスパイアされたもので、サビに “My head/a catacomb” “俺の頭はカタコンベ” という一節があるんだ。ANTHRAX の “Fistful of Metal” は、かなり強烈で明らかなインスピレーションだよ!」
UNDEATH がオールドスクール・デスメタルをリバイバルするバンドの中でも際立っているのは、彼らがデスメタルの中にあるユーモアやグロテスクを深く抱きしめ、理解している点でしょう。例えば、CANNIBAL CORPSE のアートワークやリリックが発禁ものの悍ましさを宿していても、巨首のフロントマンはクレーンゲームでぬいぐるみを集めて子供たちに寄付しています。
つまり、デスメタルの中の内臓やゾンビに血飛沫はホラー映画的な空想の世界であって、お化け屋敷のようにはしゃいで楽しむべきもの。むしろ、暗い現実を忘れられる逃避場所のファンタジー。”インターネット音楽オタク” である UNDEATH の面々は、特にその “シリアスでありながらシリアスでない” デスメタルの長所をあまりにもよく理解していて、地獄の音楽をポジティブに奏でる天才なのです。
「僕たちは皆、単純にこのバンドをできる限り遠くまで、ビッグになるまで運ぶことを目指しているんだ」
そのポジティブな哲学は、UNDEATH の楽曲にまで深く浸透しています。CANNIBAL CORPSE, MORBID ANGEL, AUTOPSY といったデスメタルの礎石に敬意を表しながらも、彼らはよりキャッチーで口ずさめるデスメタルを目指しています。インディ・ロックの達人 Scoops Dardaris とのコラボレーションもその一貫。そしてなにより、リード・シングル “Brandish The Blade” を聴けば、そこに JUDAS PRIEST や IRON MAIDEN といった古き良き “アリーナ・メタル” の遺産を感じるはずです。
実際、彼らはこのアルバムで、”70年代半ばから現代までのメタルの道のりをなぞる” 旅を目論んでいました。その理由は、より多くの人に UNDEATH のデスメタルを届け、より多くの人に楽しい時間を過ごしてもらうため。ダークで抑圧的な雰囲気を作り上げるメタル・バンドは少なくありませんが、彼らはこのニッチなジャンルに対する期待を遥かに超えたメタルの共同体に訴えかけ、より祝祭的な “Fun” なメタルを創造したいのです。
その試みはどうやら成功を収めたようです。そうして UNDEATH は、前人未到 “More Insane” のアリーナに到達するデスメタルをいつか手中に収めるでしょう。
今回弊誌では、フロントマン Alexander Jones にインタビューを行うことができました。「ビデオゲームといえば、UNDEATH という名前は実は Skyrim のMODから来ているんだ。僕らのデスメタル同様、楽しくて、キャッチーで、印象に残る名前だと思ったからね」 どうぞ!!

UNDEATH “MORE INSANE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ANCIIENTS : BEYOND THE REACH OF THE SUN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KENNY COOK OF ANCIIENTS !!

“Opeth And Mastodon Are Amazing Bands And Are Clearly The Benchmark For Progressive Metal In Todays Perspective.”

DISC REVIEW “BEYOND THE REACH OF THE SUN”

「ANCIIENTS を結成した当時、僕はちょうど OPETH と MASTODON を発見したところで、彼らがやっていることに本当にインスパイアされたんだ。両者とも素晴らしいバンドで、現代的な観点から見れば明らかにプログレッシブ・メタルのベンチマークだからね」
OPETH と MASTODON。まさにモダン・プログ・メタルのベンチマークであり、雛形とも言える両雄の完璧なキメラとして生を受けた ANCIIENTS は、デビュー作 “Heart of Oak” からプログ・メタルの未来という評価を確固たるものとします。時は Bandcamp 戦国時代。INTRONAUT や WILDERUN, CALIGULA’S HORSE といった次世代を担うプログ・メタルの新鋭が鎬を削った10年代前半においても、ANCIIENTS の描く複雑の青写真と存在感は群を抜いていました。あの Bandcamp の音とアートワークの海の中で、彼らの作品を覚えていないディガーなどモグリでしかありません。そして16年には、地元カナダのグラミーと言われるジュノー賞を獲得。プログの “古代” と現代を巧みに融合する彼らの未来は約束されたように思えました。
「一連の不幸な出来事に直面し、音楽活動から身を引いていたんだよね。家族の深刻な健康問題、バンド内のメンバーチェンジ、そしてコヴィッド。この3つが、長期の活動休止の理由だった」
しかし彼らはさながら古代のロスト・テクノロジーのように、突如として沈黙し、休眠期間に入ります。8年という長い不在の間に、ライバルたちはメジャー・レーベルへと移籍。しかし、ついに復活を遂げた ANCIIENTS の音楽は決して名を上げた彼らに劣ってはいません。むしろ、8年という沈黙は、そして痛みは、ANCIIENTS の音楽をさらなる高みへと押し上げました。
“Beyond The Reach of The Sun” 制作のために戦い抜かなければならなかった試練や苦難(家族の病気、メンバーの交代、転居、パンデミック)を知ることで、このアルバムには感情的な重みが加わります。フロントマン Kenny Cook が逆境を乗り越えてきた年月があったからこそ、このアルバムは不確実で、孤独で、恐怖の長い夜が明けて勝利の夜明けを迎えたような印象を与えるのでしょう。
「面白いことに気づいたね!ここ数年、ALICE IN CHAINS, SOUNDGARDEN など、あの時代の曲を聴き直しているんだ。ギターを習っていた頃は、そうしたバンドの大ファンだったし、ミュージシャンとしての僕に大きな影響を与えてくれたからね」
特筆すべきは、Kenny がこの作品でさらに、自らの原体験、ルーツへと回帰した点でしょう。リード・シングルの “Melt the Crown” では、1本でも2本でもなく、3本のギター・ソロが飛び出しますが、そのひとつひとつが、フォークからサザン・ブルース、サイケデリック・プログまで、独自のテイストを持っています。MASTODON の哲学と70年代が煌めくこの楽曲において、響き渡るは Mikael Akerfeldt の陰を帯びた美声、そして Jerry Cantrell の陰鬱なコーラス・ワーク。
そう、私たちはグランジとメタルをとかく別のフィールドに置きがちですが、確実にその垣根はつながっています。”Beyond The Reach of The Sun” は、90年代から00年代を駆け抜けた ALICE IN CHAINS, OPETH, MASTODON の連続性と類似性を見事に実証したレコードだと言えるでしょう。
そう、アルバムのテーマは “Wisdom”、”叡智”。これは異次元からの力によって奴隷化された社会の物語。思考が停止するやいなや奴隷化されてしまう世界で今、最も必要な洞察力や叡智を養えるプログ・メタルの有用性も、彼らは同時に証明してくれたのです。
今回弊誌では、Kenny Cook にインタビューを行うことができました。「当時は、特にプログレッシブ・ロックのジャンルにおいて、多くの実験が行われていた。KING CRIMSON, YES, CAMEL, PINK FLOYD, Alan Persons Project は、何らかの形で僕らのサウンドに大きな影響を与えた。同時に、JUDAS PRIEST の古いレコード、THIN LIZZY、そしてもちろん DEEP PURPLE も同じようなテイストを持っているが、よりハード・ロックのジャンルだよね」 どうぞ!!

ANCIIENTS “BEYOND THE REACH OF THE SUN” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【MARCIN : DRAGON IN HARMONY】


COVER STORY : MARCIN “DRAGON IN HARMONY”

“The First Thing, Which Is Pretty Accessible For Any Guitarist, Is To Learn Tapping With Your Left Hand So That You’re Able To Produce Melodies And Basslines Very Clearly, Without Weird Overtones. It Frees Up Your Right Hand To Do a Bunch Of Fun Stuff.”

DRAGON IN HARMONY

フラメンコ、クラシックの世界から登場したギター・センセーション、Marcin Patrzalek は、デビュー・アルバムを世に放った時点ですでに何百万人ものファンが彼の才能に畏敬の念を抱いているという驚くべき存在です。そう彼は今、”エレキ・ギターの大物” たちから脚光を浴びながら、”アコースティック・ギターの未来” を披露しようとしているのです。
ポーランド生まれの24歳、Marcin はその若さにもかかわらず、すでに世界を股にかけて活躍し、アコースティック・ギターの新たな可能性を推し進めています。彼のデビュー・アルバム “Dragon In Harmony” は、クラシックで鍛えた左手とフラメンコをベースにしたストラミング、そして器用なパーカッシブ・テクニックが織り成す、ジャンルを融合させた妙技で大きな話題を呼んでいるのです。
17歳の誕生日を迎える前にポーランドとイタリアのTVタレントショーで勝利を収めた Marcin は、2019年に “America’s Got Talent” の準決勝に進出し、さらに多くの視聴者を獲得しました。数々のバイラルと成功を通じて、彼はすでに162万人のYouTube登録者を獲得しています。
LED ZEPPELIN の “Kashmir” のDADGADストンプ、ベートーベンの “月光” のロマンチックなメロディー、SYSTEM OF A DOWN の “Toxicity” におけるメタリックな激情。彼のカバー・ソングは2000万ビューを超え、同時にオリジナル曲も想像力をかきたてる魅力的な世界観を誇ります。
Marcin は、Tim Henson や Ichika といったモダン・ギター・シーンの “ビッグ・ボーイズ “たちがやっていることを見て、この楽器に対する人々の認識を再定義し、アコースティック・ギターがエレキ・ギターと同じくらいクールでありうることを証明したいと考えているのです。

「僕のゴールは、ミュージシャンやギタリストだけでなく、世界中にパーカッシブ・アコースティックが次の大きな流行になると示すこと。
これはメインストリームや一般大衆が注目するに値するもので、まだ多くの人が見たことも聞いたこともないものだからね。だから僕の曲は、”Snow Monkey” のように、ヒップホップ、ラテン、レゲトンの影響を受けた、よりメインストリーム向けのものなんだ。実験的な演奏と、メインストリームで親しみやすいものとの融合…。
アリアナ・グランデのようなサウンドになるとは言っていない。でもそれはギター界に欠けているものかもしれない。僕は実験的でニッチな音楽が大好きだけど、パーカッシブなギターは何にでも入れられるということをみんなに知ってほしい。こういった様々なサウンドやアプローチを使うことで、一般の人たちに、これが次の大きな流行になることを理解してもらえるはずだ!」
若手のギタリストはもちろんのこと、Steve Vai, Tom Morello, Jack Black といった大御所たちも皆、 Marcin のギタリズムには驚きを隠せません。2022年にギター・ワールドが彼を “同世代で最も才能あるギタリストのひとり” と称賛したのも決してフロックではないのです。
Marcin にとって、この数年は実にワイルドな日々でした。SNS のアカウントでファースト・ネームだけを名乗り、クラシック・ギターの頂に上り詰め、その世界では事実上他に類を見ないクロスオーバーの成功を収め、実写版 “One Piece” にも楽曲を提供。最近では “成功した” ことの最大のシンボルである彼自身のシグネチャー・ギターを手に入れました。

Marcin の特徴は、自分のギターを時にドラムセットのように扱いながら、叩いたり、ピッキングしたり、スクラッチしたりするアプローチでしょう。
このアプローチは、実際の音楽と同じかそれ以上に視覚的な派手さが重要視される現在の音楽業界の潮流において、Marcin を際立たせました。例えば、彼のSpotifyの月間リスナーは8万2000人弱ですが、YouTubeのチャンネル登録者数はその10倍近く、Instagramのフォロワー数は100万人を超えています。クラシック音楽界の多くを支配する伝統主義的な考え方を考えると、その成果は特に印象的。
「クラシック・ギターは、他の人、特に古い世代のクラシック音楽家を模倣することが多い。だから僕は、可能な限りワイルドなことをやりたかったし、それがこのスタイルに結実した」
そして Marcin は、そのスタイルをより多くの聴衆に伝える機会を十分に得ています。2年連続で、Jared Dines によるホリデーシーズン恒例のシュレッド・コラボレーションに参加し、Matt Heafy, Jason Richardson, Herman Li といったエレクトリックの巨匠たちとともにアコースティックでシュレッドを刻みました。また最近では、日本が誇る Ichika とのチームも注目を集めています。彼がこれまでに共演したギタリストの多彩さは、ギター界が今いかに健全であるかを物語っていると Marcin は誇ります。
「もはやポップスやロックが支配的な力ではなくなっているため、ギター・プレイヤーたちは “より折衷的で特異な” 演奏方法に引き寄せられている。そうしなければ、自分の居場所はないからね。
私はすべてを違うサウンドにしようとする、 たとえそれがインスタグラムの1分間の動画であってもね。
それが今の音楽のクールなところなんだ」

IbanezのMRC10は、20フレット全てに手が届くディープ・カッタウェイ、フィッシュマン・プリアンプ内蔵、そしておそらく最も重要なのは、Marcin 独特のパーカッシブなボディ・タッピング奏法を強化するためにデザインされた強化ウッド・プレートでしょう。
「ストラップを自分に巻けば、ギターを持ってステージを走り回ったり、飛び跳ねたりできるギターなんだ。このギターがあれば何でもできる。
僕はパーカッシブ・プレイヤーとしては、かなりユニークな立場だ。ソニー・ミュージックという大きなレーベルにいて、何百万人もの人が僕の名前をオンラインで知っている。だからこそ、自分ができることの全領域を見せたいんだ。このアルバムは、モダンなパーカッシブ・ギターがどのようなものであるかというヴィジョンと、今現在の自分の立ち位置を忠実に表現したものなんだ」
そんな Marcin のバックグラウンドは純粋にクラシック。10歳から勉強を始めたと彼は言います。
「ギターを手にしたのは10歳のとき。クラシック・ギターだったんだけど、この世界では、10歳というのは始めるにはちょっと遅いんだ。クラシックのヴァイオリン奏者を見ると、普通は4、5歳で始めている。僕がクラシックを始めたのは、父親が僕に何かやることを見つけてほしかったからなんだ。
音楽、特にメタルが好きだったのは10歳の頃。METALLICA はメタルで最初にハマる人が多い。父もロックが大好きで、僕に練習を始めさせたかったんだよね。
最初の先生は、大柄で風変わりな人だった。でも彼はとても率直で、とても協力的だった。彼は僕に完全なギターのヴィジョンを与えてくれたんだ。
練習が本当に楽しくて、普通は嫌がることだけど、そのおかげですぐに打ち込むことができた。正確な日付は覚えていないけど、父と先生から3ヶ月で最初のコンクールで優勝したと聞いた……初心者にしては超早いよね。10歳の大会だったんだけど、それからはすごくやる気が出たんだ。
それからの数年間は、僕にとって発展途上の日々だったが、徐々にクラシック音楽に、いや、他の人が何十年も何世紀も演奏してきたことをただ繰り返すことに、少し飽き始めた。クラシックのレパートリーでは定番中の定番で、学校の他の50人とまったく同じように弾くんだ。それで何が言いたいの?」

13歳のとき、”フラメンコのメッカ” バレンシアのフラメンコ教師兼大学教授、カルロス・ピナーニャにマンツーマンで指導を受けることになりました。
「ワークショップに参加したとき、先生は僕を見て “スカイプで教えてあげよう、少年” と言ったんだ。それは僕にとって大きな出来事だった」
そうして Marcin は5年間、家庭教師の指導を受け、その経験は彼の右手を大きく変え、その過程でクラシックとフラメンコ、2つの伝統的なスタイルを融合させることになったのです。
「クラシック・ギターはとても伝統的で、多くを語ることはできないが、その多くが音楽全般とギター演奏の基礎を形成している。フラメンコはそれほど厳密ではないけれど、それでも厳格なリズムやコンパス、ギターにおけるフラメンコ音楽とは何かという具体的な考え方がある。単なるアコースティック・ギターには制限がない。
アコースティック・ギターは焚き火を囲んで演奏することもできるし、誰も予想しないようなワイルドなこともできる。アコースティック・ギターに転向してからは、ネットで他のパーカッシブ・プレイヤーがやっていることを見たり、自分自身のクラシックやフラメンコのテクニックを取り入れたりして、自分の音楽をさらに進化させられると確信したんだ」
つまり、Marcin は伝統主義にはこだわっていません。Tommy Emmanuel との出会いによって、彼はパーカッシブな演奏の世界に足を踏み入れます。それは、何百年ものギターの歴史を否定することなく、アコースティックに現代的なエネルギーを注入するための、パズルの最後のピースとなったのです。
「Tommy Emmanuel はアコースティック・ギターの伝統的な道を歩まない人たちが世界にいることを教えてくれた。それはとてもニッチだった。でも、僕はアウトサイダーになりたかったんだ」

クラシックをコンテンポラリーに聴かせるための秘訣はあるのでしょうか?
「例えば、僕はメタルを聴いたときに、Djent のブレイクダウンを聴いてインスピレーションを受ける。それがすべて僕のアプローチに反映されているんだ。Paco De Lucia は僕の最大のアイドルの一人で、彼の音楽からはたくさんの激しいテクニックや信じられないようなことが聴き取れる。Tommy Emmanuel もその一人で、若い頃は毎日、時には1日に2本もビデオを見ていたね。とはいえ、誰かのモノマネをすることは決してなかったよ」
クラシックといえば、メタルの世界にも Yngwie Malmsteen のような “クラシック奏者” が存在します。
「僕の考えでは、すべてのジャンルは一緒に混ざり合うことができる。多くのメタルはクラシックやシンフォニック・ミュージックから引用している。Yngwie はパガニーニから多くのことを学び、それらを自然に組み合わせることができたからだ。メタルのテクニックや和声構造は、特にパガニーニを見ると、クラシックに非常に近いものがある。
また、ANIMALS AS LEADERS のようにジャズのアイデアを多く取り入れたバンドでも、和声的な類似点はたくさんある。それは、もし彼らがディストーションやよりヘヴィなドラム・ビートを使わなければ、もっと明白になるのかもしれないね。
それから、CHON のようなバンドもある。彼らはドラムとリズムを取り除けば、ジャズやクラシック音楽に近い。だから、どのステップを踏んで、どのように枝分かれしていくかがすべてなんだよね….」

その独特なパーカッシブ・スタイルのアコースティック・プレイを習得するための最初のステップはどんな方法が適しているのでしょうか?
「どんなギタリストでも簡単にできることだけど、まずは左手のタッピングを覚えて、変な倍音を出さずにメロディーやベースラインをはっきり出せるようにすることだね。そうすれば、右手を解放していろいろな楽しいことができるようになる。左手だけですべてを演奏できるようになれば、自由な右手で可能性は無限に広がるんだ。左手でアストゥリアス(イサーク・アルベニスの曲)のベースラインを弾いて、右手をどう使うかはプレイヤーの想像力次第だ。
左手は低音弦をちょっと叩いて、それを鳴らすだけでいいんだ。右手については、まず弾きやすい曲を見て、なぜそうなるのかを理解し、メトロノームを使ってゆっくり弾くようにした。
人は練習しているときにいつしかメトロノームのことを忘れてしまい、答えは明白なのになぜうまくいかないのかと疑問に思う。僕のフラメンコの先生は、メトロノームはトイレにまで持って行けと言っていたよ!」
Marcin のスタイルを習得するためには、マルチタスクが得意であるべきなのでしょうか?
「正直なところ、人間がマルチタスクをこなせるとは思っていない。僕たちの脳はそういう仕組みになっていないと思う。意識的に2つのことを同時にこなすことはできない。もし僕がギターを弾きながら君に話しかけられるとしたら、それは僕が長年かけて鍛え上げたマッスルメモリーを駆使しているだけで、僕はただ自分が話していることに集中し、ギターは筋肉が覚えているんだよね。
だから、普段は左手が何をしているかなんて、脳内のシナプスは少しも考えていない。僕が考えているのは右手のことで、右手はより複雑でエキサイティングなリズムを刻んでいる。
一方で、右手がキックドラムのパートを演奏しているだけなら、左手に集中する。それは脳のスペースを空けることであって、分割しようとすることではないんだ。音楽は全体であって、別々のレイヤーの束ではないからね」

ギターのボディからさまざまな音を出すためのコツはあるのでしょうか?
「多くの人はドラムセットのようにアプローチするけど、重要なのは右手のどの部分を使うかだ。手首でボディを叩けば、どこを叩いてもとても低い音が出る。それがキック・ドラムになるんだ。
一方で、人差し指と親指でボディをL字型に叩くと、ムチのような動きになって、キックと同じところを叩いても、スナッピーでタイトなスネアができるんだ。
また、ナットから先の弦を叩けば、キメのいいシンバルになるし、爪でギターのボディを引っ掻くこともできる。
大きな違いはギターの側面だ。ここで最も一般的なのは、リムをかすめてサウンドホールに向かう方法だ。これは非常にキレがいいし、音も大きい。作曲をしていると、ちょっとした隙間(のようなもの)が見えてくるから、そういうテクニックを使えばそれを埋めることができる」
では、ドラムキットの感覚どの程度忠実に守っているのでしょう?
「アレンジを始めるとき、実はドラム・キットのことは考えないんだ。だからライブではドラマーと一緒に演奏するし、アルバムではカホンやさまざまなサンプルとのレイヤリングを多用している。すべてをギター・パートで代用するのは傲慢だ。ドラマーとパーカッシブスタイルのアコースティックな演奏をすることを誰も止めないよ」
弦ではなく、ギターのボディにラスゲアード (複数の指を使って弦を掻き鳴らすフラメンコのテクニック) を使うこともあります。
「あれはフラメンコの直接の影響なんだけど、僕がよくやるからネットで自分のパロディをよく見かける!薬指、人差し指、親指、または薬指、中指、人差し指という動きで、スネアを叩くようにボディを叩くんだ。右手のストラミング・テクニックをパーカッシブな演奏に取り入れるのが好きなんだ」

ソロ・ギターでバンド演奏をカバーするには、必ず取捨選択が必要です。
「ソロ・ギターのためのアレンジを始めようと思っている人は、最初は原曲をミラーリングしてみるといい。異なるパートや楽器が何をやっているのかがわかるだろう。それはかなり直訳的なものになるだろうが、もちろん自分ひとりですべてをこなすことはできないので、いくつかの犠牲を強いられることになる。
でもね、そうやって曲をカバーするのは、しばらくすると、とても芸術的ではないことに気づいた。僕はまるでCDプレイヤーとして生きているようなものだった。
だからソロ・ギターの限界を克服するクールな方法を見つける必要がある。結局、曲を完璧に再現しようとするのをやめて、音楽に新しい命を吹き込もうとした。今は、何かをアレンジすると決めたら、特にすでによく知っている曲はあまり聴かない。カバーするときにオリジナルを尊重する必要はないと思う。
むしろ、カバーにおいても “オリジナリティ” が大事なんだ。同じ音楽を違う頭脳と心で演奏するのだから。だから、僕の “Cry Me A River” のカバーには、ブラジルのボサノヴァのセクションが全部入っているんだ。メロディーを上に持ってくるまでは、オリジナルとのつながりはない。実験するのは自由だ」
右手で指板の上をタップすることも少なくありません。
「実用的なんだ。僕の右手は特によく動く。流動性を保つために円を描くように動かすので、いつも自然に手が戻ってくるんだ。だから、両手でタッピングするのは実用的だし、スクラッチパッドも17フレットあたりから始まるんだ」
このスタイルでは、オープンチューニングを使用するプレイヤーが多いといわれています。
「僕もオープンチューニングが大好きなんだけど、今まで誰もやったことがないようなセミ・オープンチューニングを試しているんだ。これは “Classical Dragon” と “I Don’t Write About Girls” で使ったチューニングで、B5スタンダードと呼んでいるんだ。
低音3弦はB5コード(B F# B)、そして上弦はスタンダード(G B E)。上の弦はおなじみだからアドリブで自由に弾けるけど、そのあと低音弦は地獄のように肉厚で、Animals As Leaders のベース・サウンドだって作ることができるんだ」

“Classical Dragon” といえば、POLYPHIA の Tim Henson がゲスト参加して見事なプレイを披露しています。
「”Classical Dragon” は実はとても古い曲なんだ。2020年頃に書き始めたんだ。その頃の僕の目標は、フィンガースタイルの枠を飛び出して、エレクトリック・プレイヤーの真似をすることなく、彼らと手を組むことだった。僕の世界では誰もそういうことに挑戦していなかった。Tim はインスタグラムで僕をフォローし始めてくれたから、僕は “よし、どうやって彼を曲に誘おうか?” と思って、彼を意識して書いたんだ。
POLYPHIA のトラップっぽいハイハットが多かった。Tim にこの曲についてメッセージを送ったんだ。彼はすぐに返事をくれて、”これは素晴らしい、一緒に何かやろう!”って言ってくれたよ。
彼が送ってくれたパートは素晴らしかった。彼がこれまでやってきたこととはまったく違っていて、それに触発されて、より Marcin らしい曲にしようと思ったんだ。その後、何度も作り直したよ。彼がやっていることには本当に畏敬の念を抱いているので、彼がこの曲に参加してくれたことは信じられない経験だった」
この曲ではタッピングを多用しています。
「成長した複雑なアプローチなんだ。クラシックの曲は特に、ハーモニーという点ではかなり肉付けされたものになる。だから僕のタッピングは典型的な意味でのアルペジオではなく、コードの輪郭を描くのが普通でね。通常、ステップを踏んだり降りたりはしない。開放弦もたくさん使うよ。
左手でタッピングしながら、右手の指を1本か2本使えば、残りの指で開放弦を弾くことができる。突然、たくさんの音が鳴り響くハープのような構造を作ることができる。
パガニーニのカプリス24番を演奏したときに、よりゆっくりした、より開放的な変奏があるのがわかるだろう。基本的に、僕はこれらの下降音階を演奏しようとしたけど、できるだけ多くの音が鳴り響くように演奏したんだ。レガートでバタバタと弾くような感じがいいんだ。僕はこれをやるのが大好きでね」

両手タップに最も影響を与えたプレイヤーは誰なのでしょう?
「Michael Hedges について、ギターを始めた当初は知らなかったけど、このスタイルをやっている人はみんな彼を知っている。彼はこのスタイルのOGだ。80年代から90年代にかけて、彼は本質的に今起こっていることの青写真を作ったし、それは今でも発展し続けている。彼は悲劇的な早すぎる死を遂げたよね…
僕は彼から直接何かを学んだわけではないけど、間接的に大きな影響を受けた。そして、僕のアレンジをカバーしたり、僕のスタイルで演奏する人は、間接的に彼に影響を受けていることになる。彼のテクニックは誰をも超越しているし、まだ多くの人が彼のことをよく知らないから、彼のことに触れておきたかったんだ。
Mike Dawes も尊敬するプレーヤーの一人だ。僕が15歳のとき、彼はアレンジメントで爆発的に売れ始めていて、僕のスタイルに大きな影響を与えた。彼は今では私の友人で、インスタグラムで連絡を取り合っている。会えそうな機会もあったんだけど、Covidがそれを完全にぶち壊してしまった。彼は素晴らしい人だし、彼と知り合えて幸せだよ。
Jon Gomm も素晴らしい人だし、ミュージシャンでもある。彼は僕のスタイルに大きな影響を与えたわけではないし、また、彼はシンガーでもあり、それは素晴らしいことだが、僕自身は歌いたいという願望はないにしてもね。そうした人たちすべてがなんらかの影響を与えてくれた。だから僕は、メタルからフラメンコ、ヒップホップまで、どんなものでもアレンジに取り入れるよ」
パーカッシブな演奏にギターの種類は関係あるのでしょうか?
「でも、どんなアコースティック・ギターでもパーカッシブな演奏はできるよ。優れたパーカッシブ奏者なら、テイラー・スウィフトのギターでも僕のギターでも同じように演奏できる。
DIYで変えられるのは、弾き心地の良さだ。タッピング、特にゴースト・タップは音が大きくなるのでよくやるんだけど、ロー・アクションが絶対的な鍵になると思う。ロー・アクションだと鳴りが少ないから、きれいに弾きやすいんだ。
スクラッチパッドは最もわかりやすい付加物で、僕のIbanezのシグネチャーモデル MRC10 には非常に特別なもの(オイルフィニッシュされた無垢のシトカ・スプルース製)が使われている。ボディにスクラッチすることもできる」

ライブでギターを叩きすぎて、手が痛くなることはないのでしょうか?
「何かが当たってその場にとどまると、衝撃が長引くよ。でも、ちょっと叩いて手を離すだけなら、振動が発生するだけで、自分自身やギターを傷つけることはない。例えば、建物は常に振動している。日本はそうやって地震に耐えているんだ。
唯一の問題は、キック・ドラムを手首で叩くときで、振動が同じになるのが嫌だから、ギターのボディに少し長く置いたままにするんだ。ギターを傷める可能性があるけど、ブレーシングを補強するプレートを追加することができる」
Steve Vai も Marcin の才能を見出したひとりです。
「彼はギター界の光だ。彼は励ましてくれた…とても直接的に、徹底的にね。彼はとても明晰で、自分の意見やアドバイスをくれる。最近、彼は僕のLA公演にやってきて、バックステージで1時間も話をしたんだ。彼は僕が成功して、最高の自分になることを望んでいるんだ」
パーカッシブ・アコースティックを次の大きな流行にしたいと、Marcin は望んでいます。
「ここ2、3年で目にしたのは、フラメンコのパーカッシブをやっている人たちのカバーやアレンジのレベルが一気に上がったということだ。”Classical Dragon” が出てから、3日後にはネットでカヴァーがアップされるようになった。
だから今、このスタイルの聖火は多くの人に受け継がれつつある。クラシカル・フラメンコ的なパーカッシブな奏法が存在することを集団で理解するようになった。これはギミックではなく、ギターの世界を純粋にレベルアップさせるものなんだ」
若き天才は、さらに若い次の世代にどんなアドバイスを贈るのでしょうか?
「ピッキングがとても正確なプレーヤーがいる。僕はその一人だとは言えないし、下手なわけでもない。僕のスタイルでは、フレットを叩く手が常に支配的なんだ。どのプレイヤーも自分の長所を見極めるべきだし、みんなユニークな才能を持っている。
だから、できる限りそれを伸ばして、自分の音に磨きをかけることが重要なんだ。僕は世界最速のピッカーになりたいとは思っていない。
だからまず、好きな人全員のすべてを真似をしたり、すべてのテクニックを求めるのではなく、全ての基本をしっかりと身につけること。それは当たり前のことで、その上で、どれが自分のスタイルに響くかを見極めるんだ」


参考文献: GUITAR WORLD :“Classical-flamenco percussive playing is not a gimmick – it’s a level-up of the guitar world”: Steve Vai mentored him, Tim Henson lent him his talents, and now he’s invented his own “semi-open” tuning – Marcin is on a mission to redefine acoustic guitar

GUITAR WORLD :“Classical guitar is often about emulating other people, especially older generations – so I just wanted to do the wildest thing possible”: Marcin Patrzalek is reinventing the nylon-string for a new generation – and going viral while he’s at it

GUITAR WORLD :Marcin Patrzalek: “My goal is to show the world that percussive acoustic guitar should be the next big thing”

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SCARCITY : THE PROMISE OF RAIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRENDON RANDALL-MYERS OF SCARCITY !!

“NYC Is Also Objectively a Hard Place To Live – It’s Expensive, It’s Cramped, And The Infrastructure Is Constantly On The Verge Of Breaking – So The People That Stay Here Are Very Driven And a Little Crazy. I Think That Discomfort And Difficulty Also Feed Into The Sound And Ethos Of a Lot Of NYC Bands.”

DISC REVIEW “THE PROMISE OF RAIN”

「ニューヨークは客観的に見ても住みにくい場所だ。物価は高いし、窮屈だし、インフラは常に壊れかけている。だから、それでもここに滞在する人たちはとても意欲的で、少しクレイジー。その不快感や困難さが、多くのニューヨークのバンドのサウンドやエトスにも影響していると思う」
ニューヨークが現代の “アヴァンギャルド” なメタルにとって聖地であり、産地であることは語るまでもないでしょう。KRALLICE, IMPERIAL TRIUMPHANT, DYSRHYTHMIA. そして PYRRHON。ブラックメタルやデスメタルといった “エクストリーム・ミュージック” における実験を推し進め、アートの域まで昇華する彼らの試みは、明らかにNYCという “土壌” が育んでいます。
港湾を有し、人種の坩堝といわれる NYC。多様な人種が集まれば、そこには多様な文化の花が咲き、未知なる経験を胸いっぱいに摂取したアーティストたちの野心的な交配が活性化されていきます。物価の高騰や人口の密集、インフラの老朽化。NYC は必ずしも住みやすい場所ではありません。それでも彼の地に居を構え、アートに生を捧げる人が後をたたないのは、そうした “土壌” の肥沃さに理由があるのでしょう。
「正直なところ、僕らはみんなニューヨークのシーンで長い付き合いなんだ。Doug とは大学時代からの付き合いで、PYRRHON の最初のフル・アルバムからのファンなんだ。彼とは2016年の時点から一緒にプロジェクトをやろうという話をしていて、最終的に2020年に “Aveilut” になるもののMIDIデモを送ったら、彼が歌ってくれることになったんだ。
そんな NYC で、メタルとアヴァンギャルドの完璧なハイブリッドとして登場したのが SCARCITY です。マルチ奏者 Brendon Randall-Myers の落胤として始まった “希少性” の名を持つプロジェクトは、 NYC の同士 PYRRHON の Doug Moore の力を得て産み落とされました。デビュー作にして “Aveilut” “追悼” と名づけられたそのレコードは、パンデミックの発生による人と世界の死に対する “悲嘆の儀式” として、あまりにも孤独なマイクロトーナル・ブラックメタルとして異端の極北を提示したのです。
「僕たちは明らかに伝統的なブラック・メタル・バンドになろうとしているわけではない。でも、このジャンルには大好きなものがたくさんあるし、ブラック・メタルはこのバンドがやっていることの根底にあり続けると思う」
そうして到達したセカンド・アルバム “The Promise of Rain” で彼らは、さらに NYC の風景を色濃く反映しました。KRALLICE や SIGUR ROS, Steve Reich のメンバーが加わり、メタルとアヴァンギャルド、そしてノイズの融合に温かみと人間性を施したアルバムは、あまりにも雄弁で示唆に富んだブラックメタルの寓話。
ユタ州の砂漠を旅しながら恵みの雨を待った経験をもとに作られたコンセプトは、前作の悲しみから人生へとそのテーマを移し、困難に直面する人々や困難な地域における苦闘を、トレモロの噴火から火災報知器、ドローンにDJを駆使して描いていきます。たしかに、迷路のようですべてがポジティブな作品ではありません。それでも、少なくともこの作品は孤独でも引きこもりでもありません。われわれのいない世界から、SCARCITY はわれわれを含む世界へと戻ってきたのですから。
今回弊誌では、Brendon Randall-Myers にインタビューを行うことができました。「ゲームでは、コナミやフロム・ソフトウェアのゲームが大好きで、任天堂やスクウェア、スクウェア・エニックスの名作もたくさんやっているよ。最近 FFVII:Rebirth を終えて、今はエルデンリングのDLCをプレイしているんだ。
アニメは、あまり最新ではないけど、AKIRA やエヴァンゲリオン、攻殻機動隊、カウボーイビバップなどの名作を高校生の時に観ていて、最近ではデスノート、鋼の錬金術師、約束のネバーランド、進撃の巨人、風が強く吹いている、呪術廻戦などを観ているね。
バンドでは、G.I.S.M.、Gauze、Envy、Melt Banana、Boris、Boredoms、Ruins が好きだよ。読んで、聞いてくれてありがとうね!」どうぞ!!

SCARCITY “THE PROMISE OF RAIN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IN SEARCH OF SUN : LEMON AMIGOS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADAM LEADER OF IN SEARCH OF SUN !!

“I Think The Whole ‘Angry Looking Metal Band’ Is Getting a Bit Stale In General.”

DISC REVIEW “LEMON AMIGOS”

「”怒っているように見えるメタル・バンド” というのは、一般的に少し古臭くなってきていると思う。”Virgin Funk Mother” は間違いなく、自分たちの個性を探求し、殻を破り始めたアルバムだ。典型的なメタルではないアイデアを持ち込むことを恐れなくなった」
かつて、ヘヴィ・メタルといえば、そのイメージの中心に “怒り” が必ずありました。それは、隣の家のババアが凍るくらい寒いスイスの冬に向けられた怒りかもしれませんし、親のクドクドしたお説教に突きつける “Fuckin’ Hostile” かもしれませんし、ド悪政に対して売りつける喧嘩歌舞伎なのかもしれません。もちろん、そうやって怒りを吐き出すことで、アンガーマネージメントを行い、心の平穏を保つこともできました。つまり、メタルの中にはネガティブな怒りと、ポジティブな怒りが常に同居していたのです。
しかし、多様なモダン・メタルの開花とともに、メタル=怒りという単純な方程式は崩れつつあります。喪失や痛みを陰鬱なメタルで表現するバンドもあれば、希望や回復力を光のメタルで提示するバンドもいます。
そして、BULLET FOR MY VALENTINE, FUNERAL FOR A FRIEND, TWELVE FOOT NINJA といった大御所ともステージを共にしてきたロンドンの新たな才能 IN SEARCH OF SUN は、明らかに “高揚感” をそのメタルの主軸に据えています。典型という概念さえ時代遅れとなりつつある今、人生にもメタルにも、愛、幸福、悲しみ、怒りといったあらゆる感情が内包されてしかるべきなのかもしれませんね。
「本当に単純なことなんだけど、僕らはいろんな音楽が大好きで、みんなグルーヴに夢中なんだ!それがいつも僕らの曲作りに現れていて、それが僕らの音楽にファンキーな雰囲気を加えているんだと思う。グルーヴがなければ、音楽はただのノイズだからね!」
パッション・イエローの背景に、輪切りの悪魔的レモン。そのアートワークを見れば、IN SEARCH OF SUN がメタルの典型を一切気にしていないことが伝わります。もちろん、悪魔こそここにいますが、ではトヨタのロゴマークを悪魔に模した車すべてが真性の悪魔崇拝者なのでしょうか?むしろ、ここには甘酸っぱいエモンの果汁や、ちょっとしたユーモア、そして踊り出したくなるような楽しい高揚感で満たされています。
もしかすると、例えば、最強の魔法ゾルトラークがほんの10年ちょっとで誰にでも使える一般攻撃魔法になってしまったように、メタルの怒りや過激さ、凶悪な音、そんなヘヴィのイタチごっこにも限界があるのかもしれません。だからこそ、グルーヴがなければ音楽なんてただのノイズだと言い切る彼らの、冒険を恐れない多様性、典型を天啓としない奔放さ、そして何より、メインストリームにさえ挑戦可能な豊かで高揚感のあるリズムとメロディの輝きは、メタルの未来を託したくなるほどに雄弁です。
今回弊誌では、Adam Leader にインタビューを行うことができました。「ファースト・アルバムの中に “In Search Of Sun” という曲があるんだけど、この曲は内なる葛藤と、自分が一番愛しているものを掴みに行くための世界との戦いについて歌ったものなんだ。この曲は、決意と自分自身を決してあきらめないことについて歌っている。僕たち全員がそのような姿勢を共有しているから、自分たちを真に定義するような名前に変えるのは正しいことだと思ったんだ」 PANTERA や Djent, BON JOVI とMJと、UKポップス、UKガレージ、ダンス・ミュージックが出会う刻。どうぞ!!

IN SEARCH OF SUN “LEMON AMIGOS” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KINGCROW : HOPIUM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DIEGO CAFOLLA OF KINGCROW !!

“I Think Kintsugi Is Really a Great Metaphor About Dealing With Traumas And Overcoming Them And Even Celebrate Them Since They Are Part Of Our Growth Process.”

DISC REVIEW “HOPIUM”

「金継ぎは素晴らしいアイデアだと思ったんだ。自身のトラウマ、傷と向き合い、それを克服し、さらには成長過程の一部でもあるその傷を祝福できるようになる。金継ぎは、その歌詞の実に素晴らしい比喩だと思ったね。また、金継ぎのコンセプトはアートワークにも使用し、アルバムのビジュアル表現にも全面的に取り入れているよ。なぜなら、その魅力的な哲学をおいても、素晴らしく美しい芸術形態だから」
欠けたり割れたりした器を、漆を使って修復する日本の伝統的な技法、金継ぎ。もう二度と戻らない致命的な “傷” を優しくつなぎ合わせ、美しい金でコーティングすることでその傷を唯一無二の前向きな個性とする金継ぎはもはや、修理を超えてアートの域に達しています。
イタリアの伊達プログ KINGCROW は、その技法と哲学、アイデアに魅せられ、”Kintsugi” を自らの血肉へと昇華させました。ネットの普及により致命的な心の “傷”を負いやすい時代に、彼らは金継ぎを人間そのものに例えます。 つなげない傷なんてない。トラウマを克服し、いつかはその傷を個性とし、その傷ごと優しく抱きしめられる日がやってくる。彼らの “Kintsugi” はそんな美しい希望の歌になったのです。
「答えを提示するのではなく、自分の考えや視点を説くのでもなく、さまざまなトピックについてリスナーに考えさせ、自分なりの答えを見つけさせようとしている。だから、君が指摘したように、”Hopium” のアイデアのひとつも、盲目的に従うのではなく、疑問を持つことなんだ。そう、フェイクニュースや誤った情報が氾濫する時代には、物事に対して疑問を持つことがこれまで以上に重要なんだよ」
“Kintsugi” を収録した KINGCROW の最新作、そのタイトルは “Hopium”。”Hope” “希望” と “Opium” “麻薬” を掛け合わせたアメリカの新たなスラングには、幻想的な甘い希望の意味が込められています。ネットのエコーチェンバー、バブルの中に閉ざされて自身を絶対的な正義だと思い込み、異なる意見、異なる存在を悪と断じる狂気の世界で、彼らはただ、”疑問” を持って欲しいと願います。差別や分断を煽るフェイクニュースやプロパガンダをまずは、少しでも疑うこと。KINGCROW は、そう投げかけることで、一度傷つき “割れて” しまった人類の絆を取り戻し、より美しく、再びつなぎあわせたいのです。
「PAIN OF SALVATION の “マジック” の中核には、とても感情的な創造性があると思うし、それは僕たちも同じだと思いたい。クールなものを作るために、曲のエモーショナルなメッセージを犠牲にすることは絶対にないからね。僕たちはただ、感情を揺さぶる音楽を、興味深い美学とさまざまなレイヤーで表現しようとするだけだ」
KINGCROW がつなぎ合わせるのは、人だけではありません。プログ以外にも、メタル、オルタナティヴ、エレクトロニカといった珠玉のジャンルを黄金の光沢でつなぎあわせ、唯一無二の美しき個性とする彼らの音楽こそ、まさに金継ぎ。感情を決して置き忘れず、極限まで洗練された楽曲には必ず、ハッと息を呑むような、魂を揺さぶられる瞬間が用意されていて、リスナーは大鴉のマジックにただ酔しれます。アルバムには、奇しくも現在 PAIN OF SALVATION で鍵盤をつとめる Vikram Shankar がゲスト参加していますが、もしかすると彼らこそが “魂の救済” を謳った最も “エモーショナル” なプログ・メタルバンドの後継者なのかもしれませんね。
今回弊誌ではギタリスト、キーボーディストでメイン・コンポーザーの Diego Cafolla にインタビューを行うことができました。「バンド名を探していたとき、実はちょうどエドガー・アラン・ポーの詩集を読んでいて、”大鴉” にはいつも心を奪われるものがあったんだ。会話のすべてが主人公の心の中で起こっているという事実は、本当に魅力的なアイデアだ。
僕にとっては、外界といかにかかわるかで、自分の現実だけがそこにあると思い込んでしまうことを象徴していた。だから結局、KINGCROW という名前になったんだ」 もはや、LEPROUS, HAKEN, CALIGULA’S HORSE と並んでモダン・プログ・メタル四天王の風格。どうぞ!!

KINGCROW “HOPIUM” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HOUKAGO GRIND TIME : KONCERTOS OF KAWAIINESS: STEALING JOHN CHANG’S IDEAS, A BOOK BY ANDREW LEE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREW LEE OF HOUKAGO GRIND TIME !!

“I Think That Would Be My Ultimate Goal: To Write a Series That Could Be Adapted By KyoAni, And Then Compose Music For It.”

DISC REVIEW “Koncertos Of Kawaiiness: Stealing Jon Chang’s Ideas, A Book By Andrew Lee”

「萌えアニメを伝道するのに最適な方法かどうかはわからないけど、これが僕が知っている唯一の方法だから。自分には同人誌を描く能力がない。だから、音楽やグッズで愛を表現するしかないんだよ。京アニでアニメ化されるようなシリーズを書いて、そのために作曲をする…というのが僕の最終目標かな」
オッサンがオッサンというだけで抑圧される時代。それでもオッサンは、艱難辛苦に耐え忍び生きて行かなければなりません。オッサンがそうした辛い現実や抑圧から逃避する場所。その代表こそ、萌えアニメであり、ヘヴィ・メタルなのです。
Kawaii に癒され、メタルで首を振る。間違っても、オッサンが Kawaii で腰を振ることは許されません。とにかく、オッサンにだって、心のオアシスは必要です。HOUKAGO GRIND TIME の Andrew Lee は、DISCORDANCE AXIS や GRIDLINK で有名な “先輩” に敬意を表しつつ、そんなオアシスとオアシスの悪魔合体に挑み、そして成功を収めました。
「やっと日本でライブができて本当に感謝しているよ!アメリカ国内でライブをする場合、観客の年齢層は少し高めで、アニメ文化に馴染みがないことがほとんどだ。”遊戯王” や “ぼくのぴこ” のもっと有名なミームならわかる人も何人かいるかもしれないけど、ほとんどの人にとってアニメのサンプルはただの面白い音でしかないんだ。日本でショーに来てくれた人たちはみんな真のオタクで、イントロやサンプルをしっかり理解してくれていた。それは本当にうれしいことだったんだ」
Andrew の悪魔合体。しかしそれは、母国アメリカでは少し孤独な戦いでもありました。グラインド・コアと萌えアニメの両方を等しく愛する彼にとって、強烈なグラインド・コアだけを求めるアメリカのファンには、少し違和感を感じていたのかもしれませんね。そんな中で、大成功を収めた日本ツアーは、Andrew にとって自らのアートが完璧に認められた瞬間で、孤独から解放された瞬間で、生きがいを得た瞬間でもありました。わかりあえる、認め合えるというだけで、孤独なオッサンやオタクにとっては奇跡のような “めたる・タイム・きらら” が生まれることもあるのです。
「いろいろなアニメのサウンドトラックを楽しんでいるけど、特に菅野よう子さんの “天空のエスカフローネ” のOSTが大好きでね。もちろん、”Just Communication”、”Irony”、”sister’s noise”、”only my railgun”、”Don’t Say Lazy” など、OPやEDの名曲もたくさんあるよね。ただ、あのスタイルで書くのは自分には難しいので、基本的にはギターソロくらいで、僕の曲に影響を与えていることはないかな。また、”響け!ユーフォニアム” や “ぼざろ” には、ひどい演奏がいくつか入っているのもいい!コンサート・バンドの最初の演奏は学生が録音したのに、最後の演奏はプロが作ったとか、ぼっちちゃんのの最初のバンド・シーンで聴ける意図的なミスや突っ込みとかね」
“Koncertos Of Kawaiiness: Stealing Jon Chang’s Ideas, A Book By Andrew Lee” は、まさにわかりあえるオタク、認め合えるオッサンだけに贈られた Kawaii のメタル・コンチェルト。萌えメタてぇてぇ。Moe to the Gore。腸が煮えくり返るようなボーカルとハイパー・ブラストなゴミ箱スネアの旋風に刻み込まれた萌えアニメの尊いわかりみ、そしてウルトラ・テクニカルなギター・ソロ。そのアンバランスはしかし、まるでこの分断された世界で Kawaii とメタルだけが世界をつないでくれるような不思議な期待感を持たせてくれます。
そう、世界がこれほどまでに分断され、激動している今、唯一の処方箋はわかりみと Kawaii の二重奏に違いありません。オッサンだって自己実現してもいい。オッサンだって美少女になりたい。Kawai くないようじゃ、無理か。オッサンもね、Kawai くしておかないと。オッサンがすべからく HENTAI だと思うなよ!盲点。むしろ久しい。
今回弊誌では、Andrew Lee にインタビューを行うことができました。「僕の人生のすべてが “ハルヒ” と “らき☆すた” に捧げられている。これらの作品を見て、僕は自分をただ “アニメを見ている” 人間だと思わなくなり、真の “オタク “になれたのだから」 わかります。二度目の登場。 彼の本職 (?), RIPPED TO SHREDS も最高です。どうぞ!!

HOUKAGO GRIND TIME “KONCERTOS OF KAWAIINESS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【OCTOPLOID : BEYOND THE AEONS】”TALES FROM THE THOUSAND LAKES” 30TH ANNIVERSARY!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH OLI-PEKKA LAINE OF OCTOPLOID & AMORPHIS !!

“Probably The Most Important Band For Amorphis Were Piirpauke, Wigwam and Kingston Wall. Especially, Since It Was Possible To Witness Kingston Wall Live, It Made a Huge Impact On Us.”

DISC REVIEW “BEYOND THE AEONS”

「AMORPHIS も BARREN EARTH も素晴らしい人たちから成る素晴らしいバンドだと思うけど、僕は自分のキャリアの中で初めて、音楽的に100%自分の言葉で何かをする必要があったんだ。そうした “マザーバンド” とそれほど違いはないけれど、OCTOPLOID の作曲やプロダクションには、他のバンドでは不可能なニュアンスがあるんだ」
“Beyond the Aeons” “永劫の彼方に” と名付けられた OCTOPLOID という不思議な名前のバンドによるアルバムは、まさにフィンランド・メタル永劫の歴史を眺め続けてきた Olli-Pekka Laine の結晶だといえます。彼は1990年に北欧の伝説 AMORPHIS を結成したメンバーのひとりであり、2000年代にバンドを脱退した後、今度はプログ・メタルの英雄 BARREN EARTH に参加。そして2017年、AMORPHIS に復帰しました。加えて、MANNHAI, CHAOSBREED, といったバンドでもプレイしてきた Oli にとって、”Beyond the Aeons” は自身が歩んだ道のり、まさにフィンランド・メタルの集大成なのかもしれません。
「当時も今と同じように自分たちの仕事をしていただけだから、少し奇妙に感じるよ。ただ、当時としては他とはかなり違うアルバムだったから、 AMORPHIS のフォロワーにとってなぜ “Tales” が重要なのかは、なんとなくわかるよ。デスメタルに民族音楽とプログを組み合わせ、神秘的な歌詞と素晴らしいプロダクション。要は、そのパッケージがあの時代にドンピシャだったんだ。それまで誰もやったことのないコンビネーションだったから、上手くいったのさ」
Oli が歩んだ道のりを包括した作品ならば、当然そのパズルのピースの筆頭に AMORPHIS が位置することは自然な成り行きでしょう。特に Oli にとって思い入れの深い、今年30周年を迎える “Tales From The Thousand Lakes”。そのデスメタルとフォーク、プログを北欧神話でつないだ奇跡の悪魔合体は、この作品でもギラリとその牙を剥いています。しかし、AMORPHIS が AMORPHIS たる由縁は、決してそれだけではありませんでした。
「おそらく僕ら AMORPHIS にとって最も重要なバンドは、PIIRPAUKE, WIGWAM, KINGSTON WALL だったと思う。特に KINGSTON WALL のライブを見ることができたことは大きくて、本当に大きな衝撃を受けたんだ。だから、OCTOPLOID のサウンドにサイケデリアを加えるのは自然なことだった」
Oli が牽引した90年代の “ヴィンテージ” AMORPHIS にとって、フィンランドの先人 KINGSTON WALL のサイケデリックなサウンド、イマジネーションあふれるアイデアは、彼らの奇抜なデスメタルにとって導きの光でした。そしてその光は、”Elegy”, “Tuonela” と歩みを進めるにつれてより輝きを増していったのです。Oli はあまり気に入っていなかったようですが、”Tuonela” で到達した多様性、拡散性は、モダン・メタルの雛形としてあまりにも完璧でしたし、その音楽的包容力は多彩な歌い手たちを伴い、明らかに OCTOPLOID にも受け継がれています。
AMORPHIS の遺産 “Coast Of The Drowned Sailors”、KINGSTON WALL の遺産 “Shattered Wings”。両者ともにそのメロディは珠玉。しかしそれ以上に、ヴァイキングの冒険心、素晴らしいリードとソロ、70年代の思慮深きプログ、80年代のシンセワーク、サイケデリアが恐ろしき悪魔合体を果たした “Human Amoral ” を聴けば、Oli がフィンランドから世界へ発信し続けてきた、アナログの温もり、ヘヴィ・メタルの可能性が明確に伝わるはずです。聴き慣れているけど未知の何か。彼の印象的なベース・ラインは、これからもメタルの未来を刻み続けていくのです。
今回弊誌では、Olli-Pekka Laine にインタビューを行うことができました。「Tomi Joutsen と一緒に大阪と東京の街をよく見て回ったし、この前は西心斎橋通りで素晴らしいフレットレスの日本製フェンダーベースを買ったよ。いいエリアだったよ!日本の人たちも素晴らしいよ。日本の自然公園もぜひ見てみたい。定年退職したら、日本に長期旅行すると誓うよ!」 どうぞ!!

OCTOPLOID “BEYOND THE AEONS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DAATH : THE DECEIVERS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH EYAL LEVI OF DAATH !!

“I Think That This Is The Best Time In History To Be a Musician. Because, Just The Only Time In History Where You Have Been Able To Reach The Masses And Reach Niche Audiences Are On Your Own Without Having a Huge Labour.”

DISC REVIEW “THE DECEIVERS”

「今はミュージシャンとして史上最高の時期だと思う。というのも、大衆にリーチし、ニッチな聴衆にリーチすることができる。巨大な労働力を使わずに自力でね。今はそんな歴史上唯一の時代だからね」
2000年代初頭。New Wave of American Heavy Metal 通称 NWOAHM の波が盛り上がりを見せ始めました。”ヨーロピアン・スタイルのリフワークに乾いた歌声を乗せて、メタルをメジャーに回帰させる” というムーブメントはたしかに一定の成果を上げ、いくつかのメタル・バンドはメジャー・レーベルと契約していきました。特に熱心だったレーベルがロードランナー・レコードで、当時新進気鋭のバンドをまるで豊穣な木に実ったおいしい果実のように青田買いを続けたのです。
DAATH もロードランナーに見出されたバンドのひとつ。他の NWOAHM とは明らかに一線を画していましたが、さながら十把一絡げのようにレーベルは彼らと契約。2007年の “The Hinderers” で大成功を収め、その年の Ozzfest にも出演しました。彼らのデスメタルには、バークリー仕込みのウルトラ・テクニック、高度な建築理論、さらにオーケストレーションとエレクトロ的なセンスがあり、まさに彼らの名曲 “Dead On The Dance Floor” “ダンス・フロアの死体” を地でいっていたのです。旧約聖書の生命の樹、その隠されたセフィアの名を冠したバンドの才能は、”どこにもフィットせず”、しかし明らかに際立っていました。
しかし、御多分に洩れずロードランナーのサポートは停滞。その後、DAATH は何度もメンバー・チェンジを繰り返し、レコード会社を変えながら数年活動を続けましたが、2010年のセルフタイトルの後、実質的に活動を休止したのです。世界は14年も DAATH を失いました。しかし、SNS や YouTube といったプラットフォームが完備された今、彼らはついに戻ってきました。もはや巨大な資本や労働力よりも、少しのアイデアや好奇心がバズを生む現代。”どこにもフィットしない” ニッチな場所から多くのリスナーへ音楽を届けるのに、今以上に恵まれた時代はないと DAATH の首謀者 Eyal Levi は腹を括ったのです。
「シュレッドは戻ってきたと思うし、シュレッディングはしばらくここにある。それがバンドを復活させるのにいい時期だと思った理由のひとつでもあるんだ。リスナーは今、シュレッドやテクニックを高く評価して、ヴァーチュオーゾの帰還を喜んでいるように思えたんだ。全体として、今の観客はもっとオープンになっているように感じる。今はヘヴィ・ミュージックをやるには歴史上最高の時代だと思うし、それが観客が楽器の可能性の限界に挑戦するバンドやアーティストに飢えている理由のひとつなんだ」
Eyal はもうこれ以上待てないと、ほとんどのメンバーを刷新してこの再結成に望みました。そして今回、彼が DAATH のメンバーの基準としたのは、ヴァーチュオーゾであること。そして、異能のリード・パートが書けること。
そもそも、Eyal からして父はイングヴェイとも共演した有名クラシック指揮者で、音楽の高等教育を受けし者。そこに今回は、あの OBSCURA でフレットレス・ギターを鳴らした Rafael Trujillo、DECAPITATED や SEPTICFLESH の異端児ドラマー Krimh、さらにあの Riot Games でコンポーザーを務める作曲の鬼 Jesse Zuretti をシンセサイザーに迎えてこの “シュレッド大海賊時代” に備えました。念には念を入れて、Jeff Loomis, Dean Lamb, Per Nillson, Mark Holcomb といった現代最高のゲスト・シュレッダーまで配置する周到ぶり。
「自然を見ると、例えば火山のように、美しいけれど自然がなしうる最も破壊的なこと。海や竜巻など、自然には素晴らしい美しさがある一方で、破壊的で残酷な面もある。だから、美しさと残忍さ、あるいは重苦しさの中の美しさは、必ずしも相反するものだとは思わない。だから、僕のなかでヘヴィで破壊的で残酷な音楽と、美しいメロディやオーケストレーションはとてもよくマッチするんだ。というか、真逆という感覚がないね。メロディーやオーケストレーションは、ヘヴィネスの延長線上にあるもので、音楽をより強烈なものにしてくれる」
そう、そしてこの “The Deceivers” にはまさに旧約聖書のセフィア DAATH が目指した美しき自然の獰猛が再現されています。”妨害者”、”隠蔽者”、そして “詐欺師” を謳った DAATH の人の欺瞞三部作は、人類がいかに自然の理から遠い場所にいるのかを白日の下に晒します。欺瞞なき大自然で、美と残忍、誕生と破壊はひとつながりだと DAATH の音楽は語ります。愚かなプロパガンダ、偽情報に踊り踊らされる時代に必要なのは、自然のように飾らない正直で純粋な魂。
Riot Games の Jesse が手がけた荘厳なオーケストレーションを加えて、”The Deceivers” の音楽は、さながら RPGゲームのボス戦が立て続けに発生するようなアドレナリンの沸騰をリスナーにもたらします。いや、むしろこれはメタルのオーケストラ。そしてこのボス戦のデスメタルが戦うのは、きっと騙し騙され嘘を生業とした不純な現代の飾りすぎた魂なのかもしれませんね。
今回弊誌では、Eyal Levi にインタビューを行うことができました。「インストゥルメンタル・プログレッシヴの POLYPHIA や INTERVALS, PLINI, SHADOW OF INTENT がそうだよね。とてもとてもうまくやっている。芸術的な妥協はゼロでね。僕らの時代にこのようなタイプの技術があれば、よかったと思うよ」 どうぞ!!

DAATH “THE DECEIVERS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ESODIC : DE FACTO DE JURE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ZED AMARIN OF ESODIC !!

“Even If Acceptance Doesn’t Grow Significantly, I Don’t Foresee Metal Vanishing From the Middle East, As It Conveys Specific Messages And Emotions That Resonate Uniquely With Its Audience.”

DISC REVIEW “DE FACTO DE JURE”

「ロサンゼルスに移住してバンドを復活させようと決めたのは、ヨルダンですべてのチャンスを使い果たしたから。どんなに最善を尽くしても、ヨルダンで自分のバンドや他のバンドとドラムを演奏して持続可能なキャリアを築くことはできなかった。自分の情熱を追求し、好きなことで生計を立てられる場所に移住する必要があることがはっきりしたんだ」
スラッシュ・トリオ、ESODIC の歴史は深く長く、1995年にヨルダンのアンマンで結成され、当初は PURGATORY として知られていました。彼らは過去30年間にデモ、スプリット、そして2枚のEPをリリースしていますが、ヨルダンでのメタル活動には限界がありました。
「スラッシュ・メタルに惹かれた理由。スラッシュには、現実の問題や社会的不正義を訴えてきた長い歴史があり、それが僕たちの心に深く響いた。SEPULTURA, KREATOR, EXODUS のようなバンドは、政治的なテーマや抑圧への反抗を声高に主張してきた。このサブジャンルは、強烈でパワフルな音楽を通して、僕たちのフラストレーションをぶつけ、現実の複雑さに取り組むための完璧なはけ口を提供してくれる」
SLAYER, TESTAMENT, KREATOR, SEPULTURA, EXODUS といった巨人たちにインスパイアされた ESODIC の音楽と哲学は、抑圧や差別と戦い続けてきた偉人たちの薫陶を受け、常に中東の激動する社会政治情勢を反映したものでした。だからこそ、中東、ヨルダンという不安定な場所においては、バンドとしての存在そのものが嫌がらせや逮捕の危険にさらされていたのです。
「メタル関連の品物をすべて没収されたり、投獄されたり、殴られたり、精神的にも肉体的にも拷問に耐えた者もいた。僕たちの元メンバーは皆、何年にもわたる拘留と激しい嫌がらせに苦しんできた。ムスリム同胞団が大きな影響力を持つ中、ヨルダン政府は僕たちのイベントでの過激な暴力の可能性を防ぐために、メタルヘッズを標的にしていたんだ。それは例えば、10年ほど前、怒った首長の一団がハロウィーン・パーティーで100人以上の人々を石で攻撃したことがあるから。悪魔崇拝者だと決めつけたからだ」
悪魔崇拝。かのパリ・オリンピックでも GOJIRA が揶揄されたように、21世紀の今となってもメタルに貼り付けられたレッテルはそうやすやすと剥がれ落ちてはくれません。伝統や宗教色が濃い国ならなおさらでしょう。しかし、ESODIC やメタルが目指す抑圧への怒り、自由への回復力、寛容な世界への祈りはそれでも決して根を上げることはありません。
“De Facto De Jure” で彼らはウダイ・フセインをテーマにスラッシュ・アタックをキメています。あのサダム・フセインの息子にして、”中東で最も忌み嫌われた男”。女性やスポーツ選手の命をあまりに無慈悲に、ぞんざいに扱った男の愚行は、何年経っても忘れ去るわけにはいかないのです。
「中東ではイスラム教の存在とその禁止事項が強いにもかかわらず、メタル音楽が完全に消滅することはないだろうね。多くのアラブ諸国は、以前よりも徐々にメタルを受け入れつつある。たとえ受容が大きく進まないとしても、メタルがこの地域から消えることはないだろう。なぜなら、メタルは聴衆の心に響く特別なメッセージや感情を伝えているからだよ」
ESODIC は、あらゆる困難をものともしない強さを、回復力を音楽的な寛容さへと還元し、多様で豊かな中東と世界の融解を導き出しました。ここでは、神秘的でエキゾチックなアラビアン・ナイトと、デスラッシュの狂気がひとつの均質な塊として信じられないほどうまく機能しています。ヘヴィなギターとブルータルなボーカルが、トライバルなリズムと繊細な民族音学、民族楽器に命を吹き込む冒険のシンドバッド。ほのかに漂うメランコリーは、ヨルダンを出国せざるを得なかった Zed の望郷の念でしょうか。
今回弊誌では、Zed Amarin にインタビューを行うことができました。「音楽には癒しと団結の力があるように、理解と思いやりを育む役割を果たすことができると信じているからね。ボブ・マーリーがかつて言ったように、”音楽のいいところは、当たっても痛みを感じないところだ”。音楽は架け橋となり、僕たちに共通の人間性を思い出させ、明るい未来をもたらす手助けをすることができるよ」 どうぞ!!

ESODIC “DE FACTO DE JURE” : 10/10

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