EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BLOODY TYRANT (暴君) !!
“Retelling Our Root Story Is a Very Important Thing As a Taiwanese Musician. We Have So Many Interesting And Beautiful Stories In This Small island, I Don’t Want These To Be Forgotten.”
DISC REVIEW “HAGAKURE Ⅱ”
「BLOODY TYRANT の新しいラインナップの日本ツアーは今回が初めてだから、日本のファンに新しいタイラントを見てもらうのが待ちきれないよ!個人的には、また明治神宮に行きたいね! 本当に美しい場所だから…」
3年間の活動休止と大幅なメンバー・チェンジを経て、台湾の BLOODY TYRANT はバンドが不死鳥であることを証明しました。偉大なる Chthonic の後ろ姿を追っていたのも今や昔。シンフォニック・ブラックの皮を徐々に脱ぎ捨てた彼らは、今では独自のエスニックなメロディック・デスメタルで堂々と、欧州の列強たちに挑戦状を叩きつけています。ただし、Chthonic との共通点として、今でも守られているものもあります。それは、台湾の誇りと日本への愛情。そうして彼らは、アジアの “ヴァイキング” として島国の物語を語り継いでいくのです。
「僕の観点では、日本は台湾にとって最も重要な影響力を持つ国で、特に第二次世界大戦中は台湾の軍隊が武士道の影響を多く受けていた。だから、”ここから始めてはどうかな” と考えていたんだよね。戦争が終わって何十年も経った今でも、僕らの日常生活の中に日本の影響を受けたものがあるのを感じるし、武士道が日本人の考え方に少しずつ影響を及ぼしていることも感じるんだ」
最新 EP “Hagakure Ⅱ” は、大名鍋島光茂の家臣であった山本常朝(1659-1719)の回想からなる “葉隠” の物語を締めくくるもの。この写本は150年以上も鍋島家に隠されていた秘伝の書。”武士道といふは死ぬ事と見付けたり” という一節から始まるため、死を賭して君命を果たすと誤解されがちですが、”葉隠” は武士達に死を要求しているのではありません。死の覚悟を不断に持することによって、生死を超えた “自由” の境地に到達し、そうすることで “武士としての職分を落ち度なく全うできる” という意味が込められています。武士として “恥” をかかずに生き抜くための教訓とでも言えるでしょうか。
つまり、死ぬ覚悟さえあれば、生を全うできるという”メメント・モリ” 的な思想でもあるわけです。そうして、血の圧制者、暴君はまさにそこに惹かれました。
「そう、漫画のシグルイに僕は一番影響を受けているよ!そして、シグルイの物語を含む小説、駿河城御前試合。僕たちには、駿河城御前試合の最終章を題材にした “劍士皆亡” という曲があるんだ」
“武士道は死狂ひなり。一人の殺害を数十人して仕かぬるもの”(武士道は死に狂いである。一人を殺すのに数十人がかりでかなわないこともある)を由来とする漫画 “シグルイ”。BLOODY TYRANT がこの物語に感化されたのは、おそらく今の台湾情勢も影響しているでしょうか。中国/台湾の伝統的な撥弦楽器であるピパの音色そのものが持つ魔力は、彼らの音楽に潜む孤独や暗闇を増幅させ、運命に翻弄される台湾という国のメランコリーを引き出していきます。それでも彼らは武士に焦がれます。一騎当千、死の覚悟も厭わない BLOODY TYRANT の面々は、メタルにおいても、政治においても、決して自らの意思を折ることはないのです。
オルガン、オーボエ、チェロ、ヴィオラなどを導入して、台湾の創世をアルバムとした “島嶼神話” のフォーク・メタルはひとつの転機だったでしょうか。島の歴史を知ることは、自分自身を知ることの始まり。歴史を忘れた民族は滅びると歌った彼らの決意も、もちろん武士道の一環に違いないのです。
今回弊誌では、BLOODY TYRANT にインタビューを行うことができました。「台湾は第一列島の真ん中に位置し、非常に複雑な歴史を持ち、隣国から様々な影響を受けている。だから、僕たちのルーツ・ストーリーを語り継ぐことは、台湾のミュージシャンとしてとても重要なことなんだ。この小さな島には、面白くて美しい物語がたくさんあるからね。それを忘れられたままにはしたくないんだ」来日決定!どうぞ!!
BLOODY TYRANT “HAGAKURE Ⅱ” : 10/10
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