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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DORMANT ORDEAL : TOOTH AND NAIL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MACIEJ NIESCIORUK OF DORMANT ORDEAL !!

“I always liked intelligent intensity, something that can be enjoyed both live and at home.”

DISC REVIEW “TOOTH AND NAIL”

「このアルバムの目標は異なるものの調和だった。 スピードとブルータリティを維持しながら、よりシンプルな曲にして、テクニカルなリフを減らしたかったんだ。同じことを繰り返さないようね。このアルバムは、真のエクストリームなジャンル・ファンにとってはソフトすぎるし、メロディーを求める人にとっては激しすぎるという意見を耳にしているよ。そうして、誰もレッテルを貼れないような音楽を作ることができて、僕はとても満足なんだ」
テクデス・シーンと結びつけられることも多い、ポーランドの新星 DORMANT ORDEAL。しかし、彼らはそうしたテクニカル合戦、スピード競争から距離を置こうとしています。少なくとも、あの Willowtip からリリースされた4枚目のアルバム “Tooth and Nail” は、DEFEATED SANITY や ARCHSPIRE とは異なる場所にいることはたしかでしょう。なぜなら、彼らは技巧や速度を超越した、総合芸術としての攻撃性と獰猛さを追求しているから。
「ポーランドのブラックメタル・シーンはかなり充実しているし、ポスト・ブラックメタル・シーンはさらに混雑している。だから、いくつかの形容詞に絞り込んで表現するのはかなり難しいけど、激しく、凶暴で、機械的でありながら、一貫した知性があるという君の説明は好きだ。僕はいつも知的な激しさが好きで、ライブでも家でも楽しめるようなものが好きなんだ」
VADER に端を発するポーランドの凶暴なる音の流れは、BEHEMOTH, DECAPITATED, BATUSHKA, Mgła、そしてこの DORMANT ORDEAL という多種多様な地獄の業火を生み出してきました。彼らの炎は灼熱でありながら冷徹で、それ以上に一貫した知性と冒険への野心が漲っています。今回のインタビューイ Maciej が語るように、ライブでは当然そのエネルギーに圧倒されますが、同時に家でじっくりと腰を落ち着けて聴く時でも何かしらの新たな発見や好奇心をそそる展開が待ち受けている。そんなポーランド・エクストリーム世界の哲学を今に体現したバンドこそ、DORMANT ORDEAL なのです。
「”To fight tooth and nail” とは、全力で戦う、あらゆる手段を使う覚悟がある、簡単にはあきらめないという慣用句だ。 リリックでは、戦争のような外的なものであれ、憂鬱や自信喪失のような内面に向けられたものであれ、戦いや闘争という主題に触れている。 アートワークについては、上記のすべてを要約する試みだったよ」
“Tooth and Nail” というタイトルもふさわしく、DORMANT ORDEAL はこの作品で容赦のないブラック/デスメタルの集中砲火を届けます。周囲のすべてが破壊されていく中、塹壕の中で縮こまるような感覚。安全地帯から出ようとするたびに、容赦ない砲撃の波が再びリスナーをシェルターへと押し戻します。
そうした圧倒的で容赦のない音攻の中で彼らは、様々なスタイルを融合させながら、しかしいずれのスタイルにも完全には染まらない独自のエクストリーム・メタルを生み出しました。テクニカルなセンスが光るリフの猛攻にも、テクデスらしいフレットボードを駆け回るヒロイックな表現はありません。不協和音とメロディーの二律背反は必需品ではなく秘密兵器となり、何者にも染まらない DORMANT ORDEAL 独自の凶暴を生み出しました。
DECAPITATED のごとき激しいリズムの非人間的異変は、Mgła や BEHEMOTH を彷彿とさせるブラックメタルのエッジと溶け合い、そこにアンビエントなタッチが加わることで、ポーランドらしい強烈な中毒性と痛烈なまでに生々しいサウンドを実現。アートワークから内容まで、”Tooth and Nail” は DORMANT ORDEAL の真髄を体現しています。バンドの唯一の創設メンバーと別れるのは容易なことではありませんが、諦めずに死に物狂いの苦闘で乗り越えて、傑作にたどりつきました。揺るがぬ決意と、困難なに立ち向かうことこそメタルの真骨頂。不条理に全力で戦いぬけと、DORMANT ORDEAL は叫び続けます。
今回弊誌では、Maciej Nieścioruk にインタビューを行うことができました。「1993年に MEGADETH, METALLICA, それに SEPULTURA と CANNIVAL CORPSE を初めて聴いたときからすべてが始まったんだ。 その後、メタルのダムが決壊し、バンドはより残忍であればあるほど良くなった。とにかく、アグレッションと生々しい獰猛さを愛しているんだ。この数十年の間に僕の好みは大きく進化したけど、90年代にリリースされたこうしたのアルバムには今でも思い入れがあるね」 どうぞ!!

DORMANT ORDEAL “TOOTH AND NAIL” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【THE PRETTY WILD : ZERO.POINT.GENESIS】


COVER STORY : THE PRETTY WILD “zero.point.genesis”

“The Paranormal Is Normal For Us”

zero.point.genesis”

ラスベガスを拠点とする姉妹デュオ、THE PRETTY WILD は、トラウマ、神秘主義、そして女性の怒りを、神話的でジャンルを超越した探求に込めています。そうして、Sumerian Recordsよりリリースされたデビュー・フルアルバム “zero.point.genesis” は、未知への幻想的な欲求を体現した作品群となったのです。
Jyl と Jules の Wylde 姉妹は、超常現象のテーマと彼女たち反骨精神を織り交ぜ、今や実験精神の代名詞となっています。昨年、画期的なシングル “sLeepwAlkeR” をリリースして以来、彼女たちはメタル・シーンで躍進を続け、女性らしさと激しさのバランスを力強く取りながら、他のアーティストとは一線を画す存在感を発揮しています。
デビューアルバムのリリース後も、姉妹にはタイトなスケジュールが待っています。来年2月から3月にかけて、SLEEP THEORY の2026年ヨーロッパツアーのサポートツアーに出る予定。また、Welcome To Rockville と Inkcarceration でフェスデビューを果たしたふたりは、2026年にはSonic Temple、Download、Vainstream Rockfest のステージでも世界をを席巻する予定なのです。
SLEEP THEORY との公演では、デビュー・アルバムを全曲演奏する予定ですが、Jules と Jyl はこの記念碑的なリリースの現実をまだ実感できていないと語る。
「レコードを手にするまでは、本当にリアルで、すごく直感的に感じられることはないと思う。でも、その時になって初めて、何かが腑に落ちるかもしれない」
「このアルバムは、私たちが曲作りに着手する前から、自分たちの中で取り組んで体現してきたたくさんのものの集大成。だから、それが現実に形になるのを見るのは、本当に信じられない気持ちだよ」
むき出しの脆さと神聖なエネルギーに突き動かされた “zero.point.genesis” は、恐れを知らない精神を伝えています。”PARADOX” や “hALf aLiVE” といった自由奔放なトラックを通して、Wylde 姉妹は神秘と深い自己省察の両方を体現しているのです。
「このアルバムは、多くの点で、女性らしさが芽生えていく作品なの」と Jyl は語ります。 「姉妹として、私たちが互いに自信を深め、エネルギーを持ち、それを維持していくのは、本当に素晴らしい進化だった。他の女性たちにも同じように感じてもらえるように、有害な女性らしさを捨て去り、協力的なエネルギーを真に受け入れ、力を合わせれば、もっと力強くなれることを実感できたんだ」

ニューアルバムのサウンドについて、Jules はこう語っています「私たちはクリエイティブな面で成長し、様々な方法で自分たちを追い込んできたと思う。色々なことに挑戦したよ。楽器編成だけでなく、ボーカル・パート、そして楽曲の成熟度や深みといった点でも、様々な領域に挑戦していった」
このアルバムは崩壊と再生のアルバムだと Jyl は表現しています。
「完全なコンセプトアルバムだよ。多くのテーマは、体系的なプログラム、社会的なプログラム、そうした規範を覆すことから生まれている。プログラムされている時は、それが自分にとってどれほど病的だったり、惨めだったりするのか気づかないんだよね。それが当たり前になってしまっているから。それが健康的ではなかった、自分には向いていなかったと気づき始めるまで、そこから引き離されるまで、そのことに気づかない。そしてそこから抜け出すと、過去の自分への悲しみに苛まれる部分があり、このアルバムの大部分はその悲しみを探求しているんだ。特に女性としての力。女性らしさを失わずに生きるためのロールモデルは、私の意見では、これまであまり多くなかったからね」
アルバムには、時代を超えた神話がインスピレーションを与えていると Jules が付け加えます。
「作品の多くは、少し古風だけど時代を超えた文学の世界から着想を得ているの。多くの曲で悲劇に触れたり、ギリシャ神話やローマ神話に触れたり。そういったクールで時代を超越した作品が、私たちに影響を与えてきたんだよね。コンセプト・アルバムについて言えば、BRING ME THE HORIZON の “NeX GEn”、あれは素晴らしいアルバムね。私たちはあのアルバムの大ファンなの。聴いている人をその世界に引き込み、12曲、14曲、15曲も続けて聴けるような感覚にさせてくれるのは、本当に素晴らしいと思う」

このアルバムは、個人的な要素が込められていると同時に、真摯な作品でもあります。姉妹は、このアルバムをここ数年で自分たちについて深めてきた理解、そのすべての集大成だと表現しています。このプロジェクトは意図的に多層的な構成になっていますが、真の女性らしさを受け入れ、探求を学ぶことが、このアルバムの大きな目的となっているのです。
「アルバム全体が神秘主義に根ざしていることは周知の事実だよ」と Jyl は語ります。「アルバムは、自分自身を取り戻し、自分の影と向き合い、多くの内なる子供心に向き合い、そして、体系的に見て、女性たちの育てられ方の多くが必ずしもお互いや社会のためになっていないことに気づくことについて…でも、誰かの気持ちを理解し、その気持ちに寄り添うまで、有害だと気づかないようなことがたくさんあるんだよね。このアルバムには、まさにその反発のエネルギーが詰まっているの」
全11曲を通して、”zero.point.genesis” は劇的な要素と、怒りと、魅力を鋭く織り交ぜたサウンドを融合させ、サウンド的にも精神的にも束縛されることを拒むアルバムとなりました。そしてヴァンパイアのような “living ded” であれ、ダークでロマンチックな “AFTERLIFE (feat. Magnolia Park)” であれ、このアルバムに収録されているすべての曲は、それぞれが独自の物語として際立っているのです。
映画、演劇、そして超常現象から音楽的インスピレーションを得ている THE PRETTY WYLDE の楽曲はどれも、それぞれが独自の映画的世界観を紡いでいます。神話や超自然的な伝説に深く影響を受けたふたりは、そうした物語を独自の不気味で神秘的なな芸術性に取り入れているのです。
「自分が経験しているありふれた日常の出来事を、より大きな神話の弧へと結びつけていくんだ」と Jyl は言います。「そうやって、物事の中に多くの類似点を見出していく。神話は、自分が経験している辛いことに対処するための教科書だと感じることがあるんだよね」

“Button Eyes” のビジュアルも実にシアトリカルで革命的。作曲中、すでにビジュアルやミュージックビデオのことを考えているのでしょうか?
「Jules は演劇の世界出身だから」 と Jyl は胸を張ります。「特に私たちの場合は、ただ歌を歌うのではなく、曲全体を通して風景を思い描いて書いて、演奏しているんだ。ファッションから舞台装置まで、私たちが作り上げている世界観を思い描いてね。だから、聴いてくれる人たちは、私たちがエネルギッシュに表現しようとしている芸術的な空間に引き込まれる。商業的な枠組みの中では、そうするのは難しいこともあるけどね。でも、私たちは自分たちのやり方を見つけているよ。特にこの次の作品では、その世界観がより現実のものになると思う」
つまり、THE PRETTY WILD は音楽を超えた総合芸術だと Jules は考えています。
「これからファッションの要素をもっと深く掘り下げていくつもり。私たちにとってアートとは、音楽以上の深い意味を持っているの。それは、私たちが築き上げている精神や世界観についても同じ。そして、その要素の多くは、ビデオやファッション、ヘアメイクといったクリエイティブな決断を通して表現されるの。どの時代をチャネリングするか、バロックの要素を取り入れているかどうか、クラシックの要素を混ぜているか、Nu-metal とミックスしているか…そうやって考えながらね。これはちょっと面白い組み合わせよね」
Jules に “叫び方” を教えたのは Jyl でした。
「実は、Jyl がスタジオで叫ぶ方法を教えてくれたんだ。初めて曲の中で本気で叫んだのは “Sleepwalker” の時だった。だから今、”Sleepwalker” を聴き返すと、ああ、もっとうまくできたはずって思うんだよね。でも、ちょっと面白かったよ。それから、ハーシュなボーカルに関しては、私たち二人とも似たような感じになることが多いのよね。でも、私は低音パートをシャウトすることが多いのに対して、Jyl は高音パート、ザラザラした感じの部分を多用する傾向にあるかな」
Jyl が “Sleepwalker” に込められたメッセージを伝えます。
「この曲の芸術的なメッセージは、女性が怒りと甘さを同時に抱えているという二面性だと思う。だから、音楽にはその両方が必要だったんだ。みんな “メロディックなクリーンボーカルを作るのは本当に難しい” って言うんだけど、私たちは “なんとかするよ” って感じなんだよね」

クラシック音楽は、メタルコア、Nu-metal と並んで THE PRETTY WILD の大きなインスピレーションとなっていると Jyl は語ります。
「クラシック音楽はずっと私たちの共通のテーマ。クラシック音楽は私たちのホームベースだから、THE PRETTY WILD にクラシック音楽を取り入れる必要があったのよ。当然のことだった。それから、私はダークポップが大好きで、ダークポップのメロディーも、ダークポップの構造も大好きなの。私にとって、オルタナティブ・ダークポップはまさにバイブス。そして Jules は間違いなくメタルシーンに根ざしている。だから、すべてがうまく機能したんだよ」
同じ精神を共有していると感じているアーティストは誰でしょう?Jyl と Jules が答えます。
「ジャック・ホワイトが好き。THE CIVIL WARS にはいつも大きな影響を受けているよ。サウンド的には、最小限の楽器編成で観客を惹きつけている。彼らのエネルギーには、そうさせる特別な力があるよね。それは間違いなく大きなインスピレーションだよ。私は何でも聴きくかな」
「明らかにメインストリームと言えるのは、LINKIN PARK の美学と Nu-metal だね。彼らは真に様々なジャンルを融合させ、その後シーンを築き上げた他のバンドと共に、パイオニア的存在となった。Jyl が言ったように、私たちは様々な理由で、実に様々なバンドやアーティストが融合した存在なので、単純にどれかを切り離して考えるのは難しいんだよね」
バンドの音楽的アイデンティティに関して言えば、THE PRETTY WILD は社会や業界の基準に従わず、常に自分自身に忠実であり続けることと同義になっています。だからこそ、意外なことに今日ではダーク・メタルコアで知られるこの姉妹は、当初はオルタナティブ・カントリー・アーティストとして音楽シーンに登場していたのです。
“y’allternative(ヤオールオルタナティブ)” というジャンルの先駆者である THE PRETTY WILD は、2022年に “XANAX & CHAMPAGNE” や “Eastwood” といったカントリーのシングルでデビューしました。しかし、この姉妹はカントリーからメタルへの旅は必然だったと考えています。
「自分たちが伝統的なジャンルにおいて、伝統的ではないことに気づいたんだ」と Jyl は説明します。「当時、自分たちがカントリーのシーンにいた頃は、あまりにも多くのルールを破ろうとしていた。それが当時の私たちにとっては本物だったから。でも、”自分たちに抵抗する人たちのエネルギーに囲まれたくない” と気づいたんだよね。そうして、より多様なメタルに根ざした、より共鳴するものを見つけたんだ」

サウンドは進化を遂げてきたものの、この二人の特徴であるリリカルな詩情と骨太なストーリーテリングの感覚は、カントリー/オルタナティブ時代からずっと変わっていません。Jules は、当時のレーベルを離れて以来、オルタナティブ・シーンから離れたことが、自分たちにとってプラスに働いたと語ります。
「私たちは普通じゃないのが普通なの。私たちは、あのシーンの人たちより、クリエイティブに奇抜なことをすることができたんだ。そして、それが今の、よりヘヴィなトーンへと進化し始めた。それはずっと私の興味の対象だったから。私はかなり若い頃からずっとメタルに夢中だったんだけど、Jyl はもっとダークでガーリーなポップなジャンルから来ている。だから、私たちの曲の多くには、ヘヴィなブレイクダウンやクラシカルな要素がある一方で、ポップなコーラスにはダークなコンセプトが盛り込まれている。陳腐に聞こえるかもしれないけど、そうした多様性が今の私たちを形作ったんだ」
今、THE PRETTY WILD は型破りで社会の流れに逆らうことを目指す、揺るぎない音楽的精神で進んでいます。ルールを破ること、いや、ジャンルの壁を壊すことを恐れない姉妹は、自分たちにある “内面を見つめる能力” こそが、メタル・シーンの他のアーティストたちと一線を画すものだと言います。
「何が起こっているのか、ある程度は把握していなければならないんだ」と Jules は言います。「でも、コンセプトやアイデアを思いついたり、曲をカットしたりする時は、あまり深く考えないんだ。スタジオはとてもプライベートな空間で、もちろん防音対策も万全で、他のことは考えない。だから、ただ自分が作りたいものを作り、それを心から誇りに思えるんだ。もちろん、それを人に見せたい気持ちはあるけれど、何よりもまず、自分のために音楽を作っているからね」

Jyl がこう付け加えます。「ルールに気を配ることはできるけど、最終的には自分の感覚に従うしかない。ルールを学ぶことは大切。でも、もしそれが自分のすべきことではないと感じたり、何か違うものが必要だと感じたら、その感覚に身を任せればいいんだよ。
いつもみんなに “予想外のことが起こることを期待して” と言っている。私たちは常に、まるでクリエイティブ・マシンみたいに、情熱とエネルギーとアイデアを次々と生み出していて、それが止まることはないんだよ。
だから、私たちの頭の中にあるものを現実のものにし、私たちが恋に落ちたこの世界を描き、みんなに届けられることを、本当に楽しみにしているんだ。
そして、正直に言って、周りの人たち、特に女性たちにインスピレーションを与えたいと思っているの。違った考え方をすることで、感情を大切にすることで、女性が大きな創造力を持っていることに気づくことができる。それが私たちにとって本当に大切なことなんだ。そして、それを実際に見せ、実証し、現実のものにしていくのよ!」
最終的に、THE PRETTY WILD は、彼女たちの名前が象徴するもの、つまり美しさと怒り、光と闇、意志と大胆さを体現しています。そうしてこの姉妹は、デュオの初となるフル・アルバムを通して、彼女たちは未知なるものを信じ、壁を壊し、リスナーにも縛られないことを望んでいるのです。
「特に女性なら、自分の直感に耳を傾け、感情を受け入れるべきだよ。だって、それがあなたのスーパーパワーだから」と Jyl は言います。「そして、このアルバムは最終的に、女性が直感と感情全てを取り戻し、自分の感情を表現することを恐れないことをテーマとしているの。同じ言葉、同じ音楽の中で、美しさと怒りを表現することはできる。それは何も悪いことじゃない。健全なことなのよ」
最後に、このアルバムはふたりにとってどんな存在となるのでしょう?
「まるでビッグバンの瞬間のように、この無形のものが誕生したんだ。創造性が強迫的に爆発しているんだよね。最初から最後まで、まるで旅のようで、アルバムは私たちを様々な場所へと連れて行ってくれる。混沌としているけど、それがバンドの起源なの。
アルバム全体を通して、社会によって自分自身から切り離せと言われてきた部分を取り戻すことについて歌っている。だからこそ、このアルバムは混沌としていて、生々しく、叫び声のような、それでいて美しいものでもあるんだ。なぜなら、切り離されたものを再び統合した時、そこに美しさが生まれるから。多くの人は闇を見て怖がると思うけど、私たちは真っ逆さまに闇に飛び込むの。そうすれば、もう闇を恐れなくなるからね。闇は私たちをコントロールできなる。その価値観を得た日が新たな人生の誕生日であり、世界へと自分自身を導くための、新しい知覚レンズなんだと思うよ」

参考文献: NEW NOISE MAG:INTERVIEW: THE PRETTY WILD TALK ‘ZERO.POINT.GENESIS’

HARDBEAT :Interview with The Pretty Wild

v13net:METALThe Pretty Wild: “When people can take you into this world and you feel like you’re there for 12, 14, 15 tracks, it’s really admirable…”

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MORON POLICE : PACHINKO】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SONDRE SKOLLEVOLL OF MORON POLICE !!

“Especially the JRPGs, went on to influence millions of kids, who then, because of the music in these games, had a natural inclination towards progressive rock/metal (and classical too, to an extent). It was basically prog rock/metal, just on a Super Nintendo/Playstation!”

DISC REVIEW “PACHINKO”

「世界は年を追うごとに暗くなっているように思えるね。 インターネットが普及し、ソーシャルメディアが発達したことで、僕たちはあらゆるものを見聞きし、何らかの形でそうしたノイズに関わらざるを得なくなったからだ。 これはとても、とても憂鬱なことだよね。そんな世界でノルウェーの小さなバンドが世界中に広がり、こんなにも遠い日本という岸辺に居場所を見つけることができるなんて、不思議なことだ。でも、これってインターネットってこうして僕たちを引き合わせるものであって、引き離すものではないということを示す素晴らしい例だと思う!」
今や世界は、インターネットとSNSに支配されています。分断や差別を煽るだけの無責任かつ野放図なアルゴリズムは、ただただ悪意と対立を感染させる狂気のウィルスとして日々世界中にばら撒かれています。現代を生きる私たちに、そこから逃れるすべはありません。インターネットなしで生きることのできない私たちには、そうしたノイズを完全に遮断することなど不可能なのです。
しかし、インターネットやSNSは本来、人と人、好きと好きをつなげるポジティブなツールであるべきでしょう。ノルウェーの美しき海辺の街、ベルゲンから世界に旅立った MORON POLICE は、彼らの音楽が遠き日本の岸辺へと届き、この国で人気を博すこととなった現代の “メッセージ・イン・ザ・ボトル” こそがインターネットのあるべき姿だと胸を張ります。
「これは近未来の東京で、ある男が悪魔によってパチンコ台にされてしまうというコンセプト・アルバムなんだ。ストーリーが日本を舞台にしているからというのが一番の理由なんだけどね! それに、僕は日本に興味があるからね! 祖父母と叔父が80年代に確か3年間日本に住んでいて、日本から輸出されるさまざまな文化を見て育ったから、日本の文化や歴史、さまざまな自然に興味があるんだ。それから、アイヌの人々にはとても興味があって、いつか北海道を訪れてみたいと思っているんだ。”Hanabi” については、北野武監督の同名の映画にちなんだ楽曲なんだ」
だからこそ、MORON POLICE の心臓、Sondre Skollevoll は最新作の舞台に日本と “パチンコ” を選びました。実際、このミュージカルのようにカラフルな、そしてジェットコースターのように目まぐるしい風変わりなアルバムに “パチンコ” というタイトルは完璧にフィットしています。現実世界から逃避できる、光のような高揚感も音楽的な射倖心を煽ります。ただし、パチンコに闇があるように、この作品にも暗がりは存在していました。それは、Sondre の親友で長年の相棒でもあったドラマー、Thore Omland Pettersen の死去でした。
「”Pachinko” は彼が亡くなる前にすでに書かれていて、彼はアルバムの曲を知っていた。だから僕たちは、彼のためにもアルバムを完成させたかったんだ。僕が唯一得意なのは音楽を作ることだけど、彼がいなければ同じようにはいかないね。 正直、彼が亡くなってからあまり音楽を作っていないんだけど、それでも今でも演奏するのは楽しいよ。これから僕らの音楽はもっと増えるだろう。それが彼の遺産を称えることであり、2008年に僕たちが始めたことを称えることだと考えているよ。 彼の死を理由に MORON POLICE を終わらせてしまったら、彼は本当に本当に怒ると思うからね」
2022年に不慮の交通事故で亡くなってしまった親友にしてバンドの盟友。Sondre は真剣に、MORON POLICE の終焉を考えました。しかし、それは決して亡き Thore の望みではないと思い直します。そして、Thore も携わっていた “Pachinko” は思わぬ形で完成を見ました。亡き Thore が心酔していた THE DILLINGER ESCAPE PLAN、Billy Rymer の参加です。そうして、ポップとプログ、そしてゲーム音楽のクロスオーバーとして名を上げた MORON POLICE の音楽は、そこにハードコアと混沌を取り入れることでさらなる進化を遂げました。高揚感と遊び心、繊細と優雅の狭間にパンチの効いたアクセントを取り入れたアルバムは、まさに前人未聴。誰も聴いたことのないオープンワールド・ミュージックの傑作として、紆余曲折の末、遂にリスナーの元に届きます。
今回弊誌では、Sondre Skollevoll にインタビューを行うことができました。「JRPGの多くは、何百万人もの子供たちに影響を与え、影響を受けた子供たちは、これらのゲームに登場する音楽のおかげで、プログレッシブ・ロック/メタル(そしてある程度はクラシックも)に自然と傾倒するようになった。 だから、あの頃のゲーム音楽はスーパーファミコン/プレイステーションに乗っているだけで、基本的にプログ/メタルだったんだ!”」 二度目の登場。どうぞ!!

MORON POLICE “PACHINKO” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MORS PRINCIPIUM EST : DARKNESS INVISIBLE】JAPAN TOUR 26′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH VILLE VILJANEN OF MORS PRINCIPIUM EST !!

“When we started, we just wanted to make melodic death metal. We did not want to sound exactly like some other band, so maybe that is one reason. But I guess our songwriters just wanted to write songs the way we have done.”

DISC REVIEW “DARKNESS INVISIBLE”

「結成当初は、ただメロディック・デスメタルを作りたかったんだ。ただ、他のバンドと同じようなサウンドにはしたくなかった。それがテクニカルになった理由のひとつかもね。このバンドの歴代のソングライターたちは、そうして僕らがやってきたように、テクニカルな曲を書いていきたかっただけなんだと思う」
メロデス始まりの地、イエテボリから少し離れたフィンランド。彼の地もまた、メロデスを牽引した重要な場所のひとつであるだけでなく、より革命的なメロデスを生み出したと OMNIUM GATHERUM のインタビューにて記しました。AMORPHIS とカレワラの奇跡的な邂逅は、後のフィンランドのメロデス世界に “個性的である” ことを運命づけたとも言えます。CHILDIEN OF BODOM, OMNIUM GATHERUM、そして最近の BRYMIR までフィンランドのメロデスは、それぞれステレオタイプとは異なる並外れた個性を持って戦ってきました。
MORS PRINCIPIUM EST もそんなフィンランドの綺羅星のひとつ。彼らの個性は、激烈なデスメタルに、ハイパー・メロディックでウルトラ・テクニカルな冷気を吹き込むことでした。
「僕にとっては、どのアルバムも特別だよ。 それぞれのアルバムがなければ、僕らはここにいなかったし、”Darkness Invisible” というアルバムもなかっただろうからね。でもそうだね、このアルバムにはファースト・アルバムからの影響もあるけど、新しいアルバムからの影響もあると思う」
古のメタル・ファンにとって、そんなフィンランドの冷気と冷徹の洗礼を存分に浴びたのが、デビュー作 “Inhumanity” であり、名作 “The Unborn”, “Liberation = Termination” だったのです。当時のギター・チームが脱退し、Andy Gillion というメロデス・シュレッド・マシンを得て、MORS PRINCIPIUM EST は荘厳シンフォニックな要素も加えながらさらに飛翔。Gillion を失うも、黄金のギター・チーム、そしてほぼオリジナル・メンバーが復帰して最新作 “Darkness Invisible” が完成を見たのです。そうして、今回のインタビューイ、バンドの首領 Ville Viljanen が語る通り、アルバムは初期と後期の完璧なる融合、MPE 集大成ともいえる傑作に仕上がったのです。
“Of Death” と “Venator”、開幕の二連撃から我々は、Jori Haukio のメカニカルかつ抒情的なシュレッドに “Liberation = Termination” の影を見ます。そうして、牧歌的なインタルードを挟んで押し寄せる、中盤の威風堂々たるドラマティシズムに我々はただ圧倒されるのみ。近年の耽美と荘厳で磨き抜かれた初期の激情と慟哭は、狂おしいまでにフィンランドの風を運び、リスナーに北欧のカタルシスを届けるのです。そう、彼らの個性はもはやフィンランドの秘宝。
今回弊誌では、ボーカリスト Ville Viljanen にインタビューを行うことができました。「メロデスは以前ほど人気がなかったり、他のジャンルほど人気がなかったりするかもしれないのはたしかだ。それでも今でも必要とされているし、求められていると思う。僕たちが演奏を続けているのは、ただメロデスを演奏するのが楽しいからなんだ」 来日も決定!どうぞ!!

MORS PRINCIPIUM EST “DARKNESS INVISIBLE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MATTIAS “IA” EKLUNDH : RESIST THE EROSION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATTIAS “IA” EKLUNDH !!

“I’ve never had world domination or fame as a goal ― just to write and perform my music, something I’ve lived off solely since I was nineteen, and something I’m incredibly grateful for. The least you can do is hug someone who supports your experimenting and songwriting.”

DISC REVIEW “RESIST THE EROSION”

「リスナーや観客がいなければ、私は一体何者なんだい?誰も聴いてくれなければ、私の音楽は空っぽのままなんだから。世界的に有名になることや名声を目標にしたことはなく、ただ自分の音楽を作り、演奏することだけが私の生きがいなんだ。私は19歳のときからこの仕事だけで生きてくることができた。そして、そのことに心から感謝しているんだよ。せめてできることは、自分の実験や作曲を応援してくれる人を抱きしめることだからね」
FREAK KITCHEN の、本当に久々となった来日公演に足を運んだ方はきっと、その会場の “温かさ” に驚かされたはずです。これほど、演者と観客の “壁” が、もっといえば観客と観客の間の “壁“ もないライブは少なくとも私は初めてでした。謎のスウェーデン語を練習させられたり、変拍子をカウントしたり、Mattias の漫談に笑い転げたり。曲の良さ、楽器の妙技はもちろん、それ以上に、人と人とが直接つながることの楽しさを心の底から実感できたライブでした。
それは、Mattias “IA” Eklundh という異能のギタリストが、誰よりもつながりを大切にしているからこそ生まれた空間でした。ライブが始まる前に観客席に姿を現し一人一人と握手をしたり、シグネイチャー・ギターの購入者を招待して一緒に写真を撮ったり。ライブ中には漫談やスウェーデン語講座で会場を盛り上げ、一体化してくれました。
顔の見えないSNSでの交流、もっと言えば引用での一方通行な “交流” がメインとなった現代世界において、Mattias は顔と顔を付き合わせたつながりを誰よりも大切にしています。それは、彼の型破りな実験に付き合い、楽しみ、応援してくれるファンがいなければ、音楽ではなくただ “音” であることを知っているから。
「”Resist The Erosion” は、プロジェクトではなくバンド形態。私の素晴らしい友人である B.C. Manjunath, Yogev Gabay, Lior Ozeri と一緒に作った作品だよ。彼らは私の音楽を驚くほど高めてくれるんだ。彼らが私と一緒に仕事をしたいと思ってくれて、素晴らしい作品を作るために本当に努力してくれたことを、とても誇りに思い、感謝しているんだよ。このアルバムは、私のアーティスト人生において常に大きなハイライトとなるだろうね」
そう、Mattias “IA” Eklundh の実験 “Freak Audio Lab” は、いつも楽しく、そして感謝に満ち溢れています。そんなラボラトリーの中でも、”Resist the Erosion” が群を抜いて印象的な、Mattias の金字塔となることは間違いないでしょう。
この Mattias のプロジェクトは、インド音楽、特にコナッコルとして知られる南インドのカルナータカ音楽への憧憬から始まりました。コナッコルは、複雑な数式に基づいた非常に入り組んだリズムと拍子で、打楽器の音節をボーカルで演奏する芸術。B.C.Manjunath は、この伝統的なインド音楽の哲学をジャズやワールドミュージックの世界に取り入れることで、その重要な担い手となっています。だからこそカルナータカ音楽に心酔する Mattias は、Manjunath から現代メタルと古代南インドの音楽スタイルを融合させたコラボレーションについて連絡を受けた際、大きな衝撃を受けたのです。
ベーシストの Lior Ozeri とドラマー/パーカッショニストの Yogev Gabay を起用し、ベテラン音楽家4人組となった Mattias のラボラトリーは、さながら John McLaughlin が全く新しいSHAKTI を結成したかのような、驚異的な10曲を生み出しました。フィボナッチの難解さで迫るコナッコルとムリダンガムの複雑怪奇が、Mattias の Djenty な8弦モダン・メタルの宇宙と出会う時、メタルとギター音楽は別の次元へと旅立ちます。きっと真のイノベーションとは、こうした純粋な情熱と好奇心から起こるのでしょう。115/16、34/4。想像を絶する複雑な拍子と、楽器同士の対位法に彩られながらも、ここには目を見張るような感情の渦と濃密なメロディが広がっています。だからこそ、”Resist the Erosion” は未曾有の景色となり、Mattias “IA” Eklundh は生涯を通したギターの科学者であるのです。
今回弊誌では、Mattias “IA” Eklundh にインタビューを行うことができました。「何よりも、停滞しないこと、新しい境地を開拓することについてだね。もちろん、私たちは奇妙な時代に生きている。特に、日々の情報攻勢に晒され、自分が今どこにいるのかさえ分からなくなってしまうような状況だ。私にとって一番良いのは、それらを無視して、自分の人生を思い通りに形作ること。家族、音楽、自然、そして何の制約もない自由な創造など、自分にとって良いものを大切にしながらね」 4度目の登場。どうぞ!!

Anyone who attended FREAK KITCHEN’s first concert in Japan in a long time was surely surprised by the warmth of the venue. At least for me, it was the first time I’d ever experienced a live performance where there was such a clear barrier between the performers and the audience, and even between the audience members themselves. We were made to practice some mysterious Swedish, counted out odd time signatures, and laughed our heads off at Mattias’s comedy routines. The quality of the songs and the virtuosity of the instruments were undeniable, but more than that, it was a concert where I truly felt the joy of direct human connection.
It was an atmosphere born out of the extraordinary guitarist Mattias “IA” Eklundh, who values ​​connections more than anyone else. He appeared in the audience before the show to shake hands with each person, and invited those who purchased his signature guitar to take photos with him. During the show, he livened up the venue with comedy routines and Swedish language lessons, bringing the audience together. In today’s world, where faceless social media interactions and, even more so, one-way “interactions” based on quotes are the norm, Mattias values ​​face-to-face connections more than anyone else. He knows that without fans who engage with, enjoy, and support his unconventional experiments, it’s just “sound,” not music.
Mattias “IA” Eklundh’s “Freak Audio Lab” experiments are always joyful and filled with gratitude. Even within this lab, “Resist the Erosion” stands out as a monumental achievement.
Mattias’s project was born out of his admiration for Indian music, particularly the South Indian Carnatic music known as Konakkol. Konakkol is an art of vocally playing percussion syllables with highly intricate rhythms and signatures based on complex mathematical formulas. B.C. Manjunath has become a key advocate for this traditional Indian musical philosophy, incorporating it into the worlds of jazz and world music. That’s why Mattias, a lover of Carnatic music, was so thrilled when Manjunath contacted him about a collaboration that would fuse modern metal with ancient South Indian musical styles. Mattias’s laboratory, now a quartet of veteran musicians with bassist Lior Ozeri and drummer/percussionist Yogev Gabay, has produced 10 astounding tracks that sound like John McLaughlin had formed a whole new SHAKTI. When the Fibonacci-esque intricacies of the konakkol and mridangam meet Mattias’s djenty, eight-string modern metal universe, metal and guitar music are transported to another dimension. True innovation truly comes from pure passion and curiosity. 115/16, 34/4. Though colored by incredibly complex time signatures and instrumental counterpoint, there’s a swirl of stunning emotion and dense melody unfolding here. That’s what makes “Resist the Erosion” such an unprecedented landscape, and why Mattias “IA” Eklundh is a lifelong guitar scientist.
This time, we had the pleasure of interviewing Mattias “IA” Eklundh. This is his fourth appearance. Enjoy!!

FREAK AUDIO LAB “RESIST THE EROSION” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【OMNIUM GATHERUM : MAY THE BRIDGES WE BURN LIGHT THE WAY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARKUS VANHALA OF OMNIUM GATHERUM !!

“I actually have Alexis old Chevy Monte Carlo SS as his sister wanted me to get it after Alexi passed away. I’ve been cherishing and building it to the max, and Alexi would really respect in what shape and supercharged and LOUD the car is nowadays. It’s fun!”

DISC REVIEW “MAY THE BRIDGES WE BURN LIGHT THE WAY”

「実は今、Alexi の古いシボレー・モンテカルロSSを所有しているんだ。Alexi が亡くなった後、彼の姉が私に譲りたいと言ってくれたんだ。これまで大切にして、最大限に磨き上げてきたんだ。今のこのマシンの出来栄え、スーパーチャージャー、そして大音量を、Alexi もきっとリスペクトしてくれると思う。楽しいよ!」
スウェーデンのイエテボリで生を受けたメロディック・デスメタル。しかし、その発展は決してスウェーデンとイエテボリだけが担ってきたわけではありません。特に、フィンランドとメロデスの蜜月はあまりにも濃密で、同時に革命的でもありました。英雄 AMORPHIS のカレワラに端を発したフィンランドのメロデスは、MORS PRINCIPIUM EST の常軌を逸したシュレッドや、INSOMNIUM の映画のような風景で常にその領域を拡大し続けています。
そんなフィンランドの創造的なメロデス、その両輪として牽引し続けたのが CHILDIEN OF BODOM と OMNIUM GATHERUM だったのです。そして、Alexi Laiho の悲劇的な死から5年。OMNIUM GATHERUM, INSOMNIUM, CEMETERY SKYLINE でギターを紡ぐ Markus Vanhala は Alexi の愛車と遺志を今日も守り続けています。
「僕は Mutt Lange と DEF LEPPARD の大ファンなんだ。実は前作の “Origin” の時、メロデスの “Hysteria” バージョンを作ろうと思ったって冗談を言ったくらいでね。だから、80年代のロック用語で僕らの音楽を “アダルト・オリエンテッド・デスメタル” と呼ぶんだよ。これはデスメタルのアリーナ・ロックを目指す “AORデスメタル” みたいなもの。ステレオタイプ的には “メロデス” というジャンルは狭すぎるように思えるかもしれないけど、僕は固定観念にとらわれずに考えるようにしているからね」
Markus が居城 OMNIUM GATHERUM で目指す革命は AOD。アダルト・オリエンテッド・デスメタルの構築です。そして実際、”May The Bridges We Burn Light The Way” には、DEF LEPPARD が “Hysteria” で成し遂げた透明で奥深くもキャッチーなアリーナ・サウンド、DOKKEN が誇ったカミソリのようなギター・リード、EUROPE のカラフルでゴージャスな哀愁がたしかに存在しています。
なにより重要なのは、前作 “Origin” ではそうした “80、90年代のAORサウンド” を加えることで減退したかのように感じられたメロデスの源衝動、慟哭が今作においてはいささかも失われてはいないことでしょう。いや、むしろシームレスに洗練されたノスタルジアを注ぐことで、OMNIUM GATHERUM が創造してきたメロデスの輪郭がより鮮やかに、色味を増して新鮮に感じられるのです。
「実はメロディック・デスメタルという言葉ももう好きじゃないんだよね。でも、ジャンル名が必要なのは理解している。僕は OMNIUM GATHERUM の音楽をただ “ヘヴィ・メタル”と呼ぶのが好きでね。それが僕らの音楽だから。Bjorn Strid は僕と音楽への愛がすごく似ているんだ。デスメタルからAOR、そしてその間の音楽まで、僕らの音楽の幅広さには音楽的に深い繋がりを感じていてね。だから、彼と一緒に仕事をするのはすごく楽しかったんだ」
だからこそ、SOILWORK の誰あろう Bjorn Strid をこの作品のプロデュースを手掛けたのはまさに天啓でした。70年代のプログレッシブ、80年代のAOR、そして90年代のメロデスをこよなく愛し、近年の SOILWORK 及び NIGHT FLIGHT ORCHESTRA でその素養を遺憾なく発揮している Bjorn と組むことで、Markus の楽曲は例えば “My Pain” の近未来的スリルや “Last Hero” のアリーナ・メタル的威風堂々、そして “The Darkest City” のメロデスとプログの夢幻回廊まで、その陶酔感の螺旋はより克明に描き出されることとなりました。メロデスの守護者でありながら開拓者でもあり続ける OMNIUM GATHERUM こそ、フィニッシュ・メタルの王に違いありません。
今回弊誌では、Markus Vanhala にインタビューを行うことができました。「僕が持っているのは、国際ビジネスと物流学なんだよ。友達にいつも笑われるんだけどね。学位に関係する仕事なんて一つもしてないって言われて(笑)。でも、僕はいつも “本当にそうかな?” って聞いてるんだよ。だって、このレベルのバンドはみんな会社を経営しているからね。僕もこのバンドの会社に深く関わっていて、基本的に必要なのは国際ビジネスと物流学だよね?だから、会社経営のコツやちょっとした落とし穴を知るのに役立ってるんだよね」 どうぞ!!

OMNIUM GATHERUM “MAY THE BRIDGES WE BURN LIGHT THE WAY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DEFECTO : ECHOES OF ISOLATION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NICKLAS SONNE OF DEFECTO !!

“Melody is what makes it human. You can feel aggression and emotion through growls and screams, but clean vocals bring vulnerability – and that’s powerful.”

DISC REVIEW “ECHOES OF ISOLATION”

「メタルは常に現実を映し出す鏡であり、同時に現実を超える手段でもある。ヘヴィ・ミュージックは人々にフラストレーションや痛み、そして希望のはけ口を与えてくれるんだ。孤独を感じている人々を結びつけ、自分は一人ではないことを思い出させてくれる。メタルは世界を修復したり、変えることはできないけど、何かリアルなものを感じさせることはできる。そして、きっとそれが力強いスタートとなるんだよ」
痛みを力に。孤独をアートに。複雑を情熱に。DEFECTO は、地元デンマークの名物スモーブローのように、現代に巣食う病巣や難解さを様々な味付けで美味しく料理し、暗い世界におけるメタルのあり方を示してくれます。メタルはありのままの現実を映し出し、その現実を超える力を持つ。世界を変えることはできないけど、希望へ歩み始める最初の一歩への後押しならできる。DEFECTO のメタルは背中を押すメタルなのです。
「バランスが大切なんだよ。メロディと感情が好きだけど、メタルのカオスやテクニカルな面も大好きなんだ。だから、ベースには複雑な部分があっても、表面的には感情的に繋がるような曲を作ろうとしているんだ。メロディアスなボーカル・パートのほとんどは、簡単に追えて、のめり込める。見せびらかすための複雑さではなく、聴くたびにもっと多くのことがわかるようなレイヤーを作り出すことが大切なんだ。僕にとって本当の魔法はそこにあるんだ」
DEFECTO の魔法はまさにスモーブロー的オープン・サンド。その下地であるビートは実に難解で複雑。奇数の海で強烈なグルーヴが繰り広げられますが、重なる具材は実に華やかで、何層にも連なる色彩豊かなメロディとハーモニーを堪能することが可能。そして、その卓越したメロディの訴求力によって、リスナーは現代というメカニカルな暴力の時代に、優しさや寛容さといった人間味を感じ取ることができるのです。
「メロディーは時代を超越するものだとずっと信じてきたからね。曲がどれだけヘヴィで複雑であっても、メロディーこそがその曲を “人間” らしくするものだ。グロウルやスクリームからは攻撃性や感情が感じられるけど、クリーン・ボーカルは脆さや弱さをもたらしてくれる。そして、その両方が揃うことこそパワフルなんだ。メタル・シーンが再び両方の側面を受け入れているのは素晴らしいことだと思うよ。なぜなら、真の感情は美しさと混沌の間のどこかに宿るからね」
“歌”、歌の力が戻ってきたメタル世界において、アグレッションと難解さ、そして弱さと人間味を併せ持つ DEFECTO の音楽はある意味理想的です。そして、その理想を具現化するのが、マルチ・プレイヤーで唯一無二のシンガー、英雄 Nicklas Sonne。彼の怒りと弱さを同様に抱きしめた自由自在な歌声は、”Echoes of Isolation” の闇と光を巡る感情の旅、その葛藤の中に強さと平和を見出します。そう、これは構造と感情が互いを増幅し合い、卓越した技巧をより人間味あふれるものに昇華させ、共感によって研ぎ澄まされた新時代のプログレッシブ・メタル。身を委ねれば美しい傷跡を残す、心に深く刻まれる映画のような旅路。
今回弊誌では、Nicklas Sonne にインタビューを行うことができました。「KING DIAMOND や DIZZY MIZZ LIZZY のようなバンドは、小さな国でも真にユニークなものを生み出せることを証明してくれたね。彼らは誰かを真似しようとはせず、独自のアイデンティティを築き上げた。それは僕にとって非常に刺激的なことだったんだ。DEFECTO も常に同じことを成し遂げたい思っているんだ。つまり、独自のサウンドとメッセージを維持しながら、デンマークのメタルを国際的に代表することだよ」Michael Romeo と Russell Allen を一人二役でこなせる奇跡。今年リリースされた Nicklas のソロ作品も素晴らしいですよ。どうぞ!!

DEFECTO “ECHOES OF ISOLATION” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NYTT LAND : SONGS OF THE SHAMAN】 JAPAN TOUR 25′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANATOLY PAKHALENKO OF NYTT LAND !!

“Throat singing is a real treasure, the heritage of our indigenous peoples. We use throat singing in our music quite actively, as it is an incredible magic and it is our connection with our ancestors.”

DISC REVIEW “SONGS OF SHAMAN”

「私たちにとってシベリアで暮らすのは、世界のどの地域よりもずっと簡単なんだ。 ここは私たちの祖国であり、祖先の土地であり、自分たちのルーツを大切にして、伝統を守ることが重要なんだよ。 私たちはアジア人で、ライフスタイルの面では非常に保守的だ。 フランス、ノルウェー、セルビアなど、他の国や大都市への移住を何度も勧められよ。でも、私たちはそんなことはしたくない。 どこまでも続く美しい草原、山々、森といった生まれ育った土地を離れることは、私たちにとって大きなストレスになる。 ここが私たちの人生のすべてであり、私たちが生まれた場所であり、先祖が生まれた場所であり、私たちの一部であり、だからこそ私たちはここに住んでいるのだよ」
シベリアの大地に深く根を張る NYTT LAND の作品は、2021年の “Ritual” を皮切りに、北欧のフォーク・ミュージックからシベリアの伝統をより深く表現するダークな音楽へと徐々に移行し、最新アルバム “Songs Of The Shaman” で頂点を極めました。
満州・ツングース民族のシャーマニズム的な歌や呪文を、彼ら自身の言語と伝統楽器を用いて解釈することで NYTT LAND は自らの古代文化を守り、より幅広いオーディエンスに届けることを目指しています。NYTT LAND の音楽を聴けば、かつてシベリアに広がっていた風景や営みが心に深く刻まれるような感覚を覚えます。それは、まさに太古の昔からもたらされた音のささやき。 これはもはや、地球上で最も古い文化を巡る魅力的な旅。そして、”Songs Of The Shaman” でその旅路の鮮やかさは一段と際立っています。
「ホーミーはシベリアとモンゴルの先住民の伝統的な歌唱法なんだ。こうした伝統的な歌い方は、世界中のどこを探しても見つからない。もし誰かが、バイキングの間でのどを使った歌い方があったという話をしたら、その人の顔にツバを吐いてもいいだろう。現在では、喉歌をヨーロッパ民族のものとすることが非常にポピュラーになっているけど、これはまったくのナンセンスだよ。喉歌は、先住民族の遺産であり、真の宝なんだ。私たちが非常によく喉歌を使うのは、喉歌が信じられないような魔法であり、祖先とのつながりでもあるからなんだ」
伝統的なシャーマニズムの歌と呪文を解釈した NYTT LAND の音楽。すべての曲は原語で録音され、喉歌や太鼓などの非常に古い音楽技法が用いられています。そうして彼らは、イントネーションとリズムからも生まれる魔法の力を逃さないようにしています。降霊術、呪文、祝福…古代の魔法は、慎重に選択され、有害な呪いは意図的に排除されていきました。NYTT LANDは聴く者すべてを、精霊たちが今も支配し、神々でさえも恐れる時空の秘境、音楽の旅へと誘います。
そうしてこの音の旅は、原始的な人間性に対する理解を何よりも深めてくれるはずです。真っ暗な草原の夜空の下、焚き火のそばに座り、シャーマンが祖先、星々、そこに宿る神々、そしてこの極寒の地を形作る岩や川についての物語を紡ぐのをただ聞いている。そしてシャーマンが炎の中で喉歌を歌い踊る姿に目を奪われる…そこに広がるのは民俗神話の荘厳なる世界。
そう、NYTT LAND こそ古の草原を旅する真の音楽遊牧民。そしてもちろん、この原始と神話、古代の再来は、NYTT LAND が祖先、土地、ルーツと伝統を心から大切にしてきたからこそ成り立っているのです。
今回弊誌では、Anatoly Pakhalenko にインタビューを行うことができました。妻 Natalia とのユニット。「私たちはメタルを演奏するのではなく、伝統的な儀式のフォークロアとその音楽における解釈を研究しているんだ。 そう、私たちの聴衆の一部は間違いなくメタル・ヘッズで、それはクールなことだ。 これは、私たちの音楽がすべての人の魂に触れ、ある種の感情を呼び起こすことを意味している」 ARKONA との来日も決定。どうぞ!!

NYTT LAND “SONGS OF THE SHAMAN” : 10/10

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COVER STORY 【STRAPPING YOUNG LAD : 30TH ANNIVERSARY】


COVER STORY : STRAPPING YOUNG LAD “30TH ANNIVERSARY”

“Obnoxious music with super fast double kick, lots of random explosions and a bald guy screaming his balls off over top. Stress music made for catharsis.”

STRAPPING YOUNG LAD

Devin Townsend は、VAI の1993年のアルバム “Sex & Religion” で世に出ました。二人はその後、それぞれ別々に大成功を収めていますが、Steve Vai は Devin との仕事の思い出を今でも大切にしています。
「Devin は全身全霊で音楽に打ち込んでいたね。彼と一緒にいて、初めて彼の才能が自分の音楽にどう役立つかに気づいたんだ。彼は素晴らしいシンガーだった。彼はどんな歌でも歌えるんだ。そして本当に面白くて、奇抜で、ワイルドで、そういうところが大好きだった。でも、当時は彼が真にクリエイティブな人間だとは気づいていなかった。VAI は私が仕切っていたからね。でも、彼は私のバンドで活動して、何かを学んだんだろう。一度ツールを手に入れると、爆発的に成長した。とにかく表現したかったんだ」
Vai は Devin が作り上げた STRAPPING YOUNG LAD の2005年のアルバム “Alien” がお気に入りだと明かし、そのメロディアスで圧倒的な内容は “研究” に値するとまで称賛しています。そして誰がその言葉に異論を唱えられるでしょう?”Alien” は不健康な状況下で制作された(Devin が双極性障害の薬を断薬していた)にもかかわらず、メタル史に残る傑作となりました。
「Devin についてもう一つ言わせてくれ。彼の音楽は、どんなに激しいものでも、邪悪なものではない。その奥には、光、変革を求める、輝かしい欲求がある。彼の創作活動をずっと見てきた。彼の音楽が、彼にとってカタルシス的なプロセスとなり、自分自身の心に安らぎと心地よさを見出していく過程を目の当たりにしてきたんだ。STRAPPING YOUNG LAD の “Alien” は研究する価値がある。あの作品は、これまで聴いた中でも、これほどまでに強烈な作品はなかったよ」

STRAPPING YOUNG LAD は、Devin Townsend の作品群の中でも特別な位置を占めています。このバンドのヘヴィ・メタル的文脈を構成するインダストリアル、グルーヴ・メタル、デスメタル、ノイズの要素は、同時期の Devin の他のソロ作品にも存在し、同様に、ザッパ以降のシアトリカルでパノラマ的なシネマティック・プログは、STRAPPING YOUNG LAD のすべてのレコードに深く織り込まれています。そのため、サウンド面では意外にもそれほど深い差別化はないようにも思えますが、STRAPPING YOUNG LAD を信奉するファンは未だに絶えません。
もちろん、このオールスターバンドのメンバーが Jed Simon(ギター、当時はインダストリアル・グループFRONTLINE ASSEMBLY に在籍)、Byron Stroud(ベース、2004年から2012年までは FEAR FACTORY にフルタイムで参加)、Gene Hoglan(史上最高のエクストリーム・メタル・ドラマー)だったことはプラスに働きました。しかし、それ以上にこのバンドは Devin Townsend の血と汗と涙と才能と怒りと双極性障害、そのすべてを凝縮していたからこそ特別だったのです。
「OCEAN MACHINE の “The Death of Music” はまるでファンタジーの世界みたいだ。行くべき場所があるような気分になれる。うまくいけば、他の人も、あの音の逃避行を作ろうとしていた頃の僕と同じ精神状態を、少なくとも訪れることができる。”The Death of Music” は、Steve Vai のレコードを制作した直後に生まれた曲で、音楽業界に完全に幻滅していたんだ。何もかもが自分の思い通りにはならなかった。それから僕はRelativity recordsと契約していたけど、不運にも “Noisescapes” というプロジェクトに携わることになった。結局、このレコードは未完成に終わり、完成した作品もレーベルから “統合失調症的” すぎるという理由で却下されたんだ。このレコードは STRAPPING YOUNG LAD と OCEAN MACHINE の起源でその二つが一つにまとまっていて、レーベルはそれが混乱を生むと感じていた)。僕は他のレーベルにもデモ音源を依頼しようとしたけど、最終的には、アプローチしたすべての関係者が同じ意見だった。
それで僕は THE WILDHEARTS の友人たちのギタリストとしてイギリスのバーミンガムに移り、そこでよりアグレッシブな楽曲に注力し始めたんだ。だから、このファースト・アルバムの曲はイギリス滞在中に書かれたもの。”The Rainy Season”, “SYL” をはじめ、このアルバムの核となる曲は、SUICIDAL TENDENCIES とのヨーロッパ・ツアー中に書かれていった。
当時は非常に不安定な時期で、当時の僕の心境を最も端的に反映したのが、この奇妙で怒りに満ちた、非常に “レッド” なアルバムだった。CDのジャケットに写っているのは僕のお尻だよ。悪くないでしょ?肘を二つくっつけたみたいに見えるって言われたことがある。まあいいか。プロダクションは不安定で、ソングライティングにもかなりの浮き沈みがあったけど、僕の活動をまず紹介する作品としては、当時の僕をよく表していると思う」

SYL 名義での最初のアルバム “Heavy as a Really Heavy Thing” は、Devin が Vai のバンドに在籍していた直後にリリースされました。楽曲制作からツアーに至るまで、メジャー・レーベルの不手際への不満がこの作品を、初期のインダストリアル・メタル、デスメタル、スラッシュといった、よりエクストリームな領域へと導いたと言われています。Devin はその後、このアルバムを痛烈に批判するようになりましたが、実際には彼が言う以上に力強い作品でしょう。それは後期の作品にある映画的なスケール感がまだ未熟で、よりダーティーでザラザラとしたアルバムとなっているからかも知れません。そのインダストリアルな音色は、Devin の作品に大きな影響を与えたことで知られる GODFLESH の “Streetcleaner” にも違和感なく調和し、そのプロダクションは、初期 MESHUGGAH のような、当時のエクストリームなデス/スラッシュ・バンドに見られるようなメタリックなサウンドに近いものです。
「混乱と敵意に満ちた心境でイギリスから帰国した。Vai との活動は音楽業界全般への嫌悪感を生み、WILDHEARTS での活動は多くの疑問と怒りを生んだ。Jason Newsted(他にも数名)とのサイド・プロジェクトも期待外れだった。SYLの最初のアルバムは大ヒットしなかった。そこで、バンクーバーを離れ、音楽の新たな可能性を探る時が来たと感じた。
都会の醜悪な自然と、比較的目立たない場所に魅了され、ロサンゼルスの準工業地帯のような荒廃地はインスピレーションを得るのに良い場所だと考え、マリナ・デル・レイの友人数人と暮らしながら作曲を始めたんだ。
当時は、いくつかのアルバム(MORBID ANGEL の “Domination”、FOETUS の “Gash”、OLD LADY DRIVERS の “Formula” や “Cop Shoot Cop” など)に心を奪われていた。センチュリー・メディア・レコードの郵便室で注文を処理する仕事も時々していたけど、ほとんどの時間はSYLのダークな曲をひたすら書き続けていたんだ。”Oh My Fuckin’ God” を聴いてくれよ。偽善的なバカどもについて話しているんだけど、俺はこのシーン全体からなんとか逃れてきたんだ。だって、ファッションショーみたいでね。新作はいいけど KORN が好きなキッズには受けないって言われるのにうんざりだから。アディダス履いてウォレットチェーン持ち歩くようなクソみたいなの、もうやめてくれ。メタル・シーン全体で一番問題なのは、女性蔑視的な部分なんだ。
それから、”Spirituality”。曲の最後の部分に、かなりヘヴィな詩節がある。歌詞と、自分の考えを伝えることが、僕にとって一番大切なこと。僕が書くのは、どんなに些細で下品なことでも、僕の人生で起こっていることだ。たとえそれがセブンイレブンで働いている人とのトラブル、職場でのトラブル、家族とのトラブル、妹との喧嘩など、人によっては些細なことに思えるかもしれないけれど…本当に腹が立つようなことを歌っていて、ただ “ジェネレーションX” 的な “もううんざり、みんな最低、世界は私に生計を立てる義務がある、政府はクソだ” みたいな、ありきたりな怒りをただ吐き出しているだけじゃないなら…何を歌っているかなんて関係ない。ただそこに誠実さがあれば、音楽は10倍になるから…自分が歌っていることを感じられればね。この新しいアルバムで誇りに思っていることがあるとすれば、それは全部、僕の体の一部から生まれたものなんだ。それが睾丸でも、胃でも、心臓でも、わかるでしょ?
とにかく、デモも完成した頃、ハリウッドのライブで Gene Hoglan と出会ったんだ。彼がファースト・アルバムを気に入ったと言ってくれたので、彼を誘って “City” を制作することになった。彼は何ヶ月も演奏しておらず、ブラストにも慣れていなかったので、最初は少し難航したけど、リハーサルを始めて3日ほどで彼の素晴らしい才能に気づき、最終的にハリウッドにある Steve Vai のスタジオでレコーディングすることになったんだ。旧友の Byron と Jed をロサンゼルスに招き、より “バンドらしい” レコーディング体験をしようとした。意気投合したね。この初めての本格的なレコーディング体験が、後の僕たちの原点となったんだ」

“City” は STRAPPING YOUNG LAD の最高傑作と広く考えられています。Devin 自身も、このアルバムをバンドのディスコグラフィーの中で最高傑作だと考えているようです。その理由は明白。”Heavy as a Really Heavy Thing” をテンプレートとすれば、本作はほぼあらゆる面で確実に進歩を遂げているから。前作のヘヴィなデス/スラッシュ・プロダクションや、ザラザラとしたローファイなデモ感は消え去り、Devin が最初からこのプロジェクトに込めていたであろう、シネマティックなビジョンが全編に渡り採用されています。”City” は “Ocean Machine: Biomech” と並行して作曲・レコーディングされており、ヘヴィさを除けば、両者にはたしかに類似点が存在。”Ocean Machine: Biomech” は広大なサウンドスケープを用いて、ヘヴィとドリーミーの中間の空間を創り出し、人体に関する長編プログの寓話を表現しているのに対し、”City” は荒々しくノイジーな工業都市の風景を表現しているのです。工業都市なのに歌舞伎町から超鋼鉄重低爆撃。
“City” を語る上で、このレコードの音楽の激しさは欠かせません。もし “Heavy as a Really Heavy Thing” が、方向性を見失い、整理されていない創造的エネルギーの爆発だとしたら、”City” はそうした本能が軽躁病的な混乱と恐怖へと絞り込まれた作品だったと言えるでしょう。焼けつくような激しさにもかかわらず、このレコードのテーマは怒り以上にむしろ、双極性障害の片端からドラッグとアルコールで満たされた躁のエネルギーが爆発したように感じられます。それは “Ocean Machine: Biomech” の物悲しくメランコリックな壮大さとは対照的。アルバムは悪意に満ちているというより、むしろ慌ただしく、狂乱し、混乱しているように感じられ、危険がないわけではないものの、害悪の意志は感じられません。つまり、インスピレーションとなった大都市の混乱を、躁病に陥った身体の混乱、行き詰まり、そして途方もなく複雑な内なるエネルギー、自身の生々しい部分を象徴するメタファーとして用いているのです。

「”Physicist” のツアーを経てライブ・シーンに再び触れた後、僕は “City” に影響を与えた自らの中にある恐怖感を克服し始めた。再び SYL のような作詞作曲に挑戦し始め、”典型的なメタル・バンド” のアプローチを取れば、SYL に再び関わっても問題ないだろうと自分に言い聞かせたんだ。
なぜなら、正直に言うと “City” がもたらした注目は嬉しかったし、称賛やライブショーは実に魅力的だったから。セルフ・タイトルの楽曲と歌詞の8割は僕が持ち込んだものの、Gene と Jed には彼らが蓄えていたアイデアを出し合うように促すようになった。
このアルバムの歌詞は、僕がこれまで手がけてきた作品の中で最も自分と繋がりが薄いかもしれない。どちらかというと “クールに聞こえるか”、そして僕自身の “タフガイ” 的な姿勢を重視した作品だからね。満足できる要素もいくつかあったけど…”Bring On The Young” の一部は、当時の戦争への恐怖を直接反映していたよ。だけま、”Rape Song” のような曲は、激しいテーマと遠い感情的な繋がりが絡み合った結果、僕が意図していたものとは正反対の形で生まれてしまったんだ。
フランスのテレビ番組でレイプシーンのある番組を見て、女性にあんなことをする人への憎しみが募り、レイプ犯をぶちのめす曲を書かざるを得なくなったんだ。ところが、その意図は裏目に出て、一部の人たちはこれを “レイプ賛美” だと捉えてしまった…
SYL はこうした特異な性質のために、常に僕を不安にさせてきた。僕は無意識のうちに演じる “役割” に多大な労力を費やしていた。当時は気づいていなかったけど、僕のエネルギーの多くは、自分が抱いていたイメージを守ることに費やされていたんだ。そのイメージがどう進化していくのかをひどく恐れていたし、そのことを人々に悟られないようにするためにね」

セルフタイトルのアルバム “Strapping Young Lad” は、”City” のツアー後、グループが一時活動休止した後にリリースされました。当時、Devin は満足のいくヘヴィな音楽が書けなくなったと述べ、代わりに後の “Physicist” と “Terria” となる作品に注力したのです。しかし、あの9.11をきっかけに、Devin は新たな創作意欲を見出したようでした。地震や津波といった自然災害から、大国による帝国主義的な戦争、そしてそれが引き起こす小国や非力な国々の権力の空白まで、あの規模の悲劇は世界各地を悩ませ、今もなお続いていますが、9月11日の出来事は、アーティストであろうとそうでなかろうと、西洋の多くの人々の心の奥底を揺さぶったのです。突然、世界の苦しみの現実が明らかになる。一部の人々はこれを愛国主義や人種差別に利用しようとしましたが、Devin はいつものように自分のエネルギーを自分自身に注ぎ、最終的には、セルフタイトルのレコード “Strapping Young Lad” と、同時に結成された THE DEVIN TOWNSEND BAND 初のレコード “Accelerated Evolution” の両方を作り上げたのです。
「このアルバムは全てを変えた。”Alien” の後、SYLはもう終わりだと悟ったんだ。ライフスタイルを変える必要があるとね。このアルバムに至るまでの出来事、そしてレコーディングを取り巻く状況は、自分自身と精神を破壊してしまったと心から思うほど、混乱を招いた。僕の創作サイクルはタイムラインを見ればわかるように明らかに循環的だけど、そのことに気づいたことが、今の僕をありがたいことに導いてくれたんだ。
本質的には、”Alien” は、僕が自ら、そして当時の周りの人々によって、精神的に崩壊するほどにまで煽られた躁病の結果だった。SYLのセルフタイトル・アルバムで(善意にかかわらず)”有名” になってしまったことで、またしても中途半端なアルバムに対する批判に耐えられなかったのだろう。”Alien” に全力を注ぎ、”Infinity” の時と同じように、自分のプロセスに徹底的に取り組もうと決意したんだ。
“Infinity” でかつて自分を駆り立てた “殉教者芸術家” というロマン主義が頭から離れず、再びその境地に達してメタルというジャンルに “傑作” を残せると信じていた。”誰も成し遂げていない” 境地まで自分を追い込むことで、”City” 時代には自然にできていたことが、今や “無理やり” 生み出されるようになり、SYLを取り巻く状況はますます暴力的になり、今にして思えば自分がほとんど何も知らなかった事柄と複雑に絡み合っていた。そのため、僕の歌詞の傾向は歪んでいった。
怒ったり、落ち込んだり、あるいは何らかの負の感情を抱かなければ幸せになれない人がいるという考えがある。そして、僕がその限界まで自分を追い込む能力(そしてその意志)を持っていた時、僕は自らを暗く悪意に満ちた結末へと導くシナリオに陥っていた。注目を浴びることを喜び、”Terria” 時代にはそれを抑制していた薬の服用をやめてしまった。マリファナとアルコールへの依存が悪影響を及ぼしていたことを認めようとしていなかった。むしろ、それが歪んだ視界を悪化させていたんだよ。
このアルバムは Gene Hoglan と密に協力して制作し、毎日彼の家でリハーサルを行っていた。エクストリーム・ミュージックにおけるテクノロジーの可能性を最大限に活かそうとしたよ。実際、”Alien” で本当に良かったと思えることがあるとするなら、それは彼と音楽仲間として歩んできた道のりだ。僕たちは議論し、妥協し、そして最終的には、一人で作るよりも良いものを作り上げた。でも、二人で作り上げたものは、最終的に僕にとって非常に居心地の悪いものとなり、その後のツアー期間中ずっと落ち込んでいたんだ。
最後の曲 “Info Dump” は、朝4時に地下室でモールス信号と数学的なアイデアを駆使して書いたもの。巧妙で “限界に挑戦した” と思ったものの、結果として僕を恐怖の抜け殻のような人間にしてしまった。自分自身と自分の置かれた状況に対する妄想と恐怖は、つい最近まで僕を悩ませていた。しかし、少し距離を置いて、そして数年経ってから…このアルバムは、アーティストとして非常に誇らしい瞬間だと言えるようになったよ。だけどその誇りの大部分は、苦い経験を​​通して学んだ教訓を、二度と繰り返すつもりはないという自覚から生まれている」

終わりの始まり。”City” が真実だとすれば、”Alien” は現実だと言えます。”City” は間違いなく、このグループの壮大なコンセプトが初めて実現された瞬間でした。しかし “Alien” は、より歳を重ね、より賢明になったグループが、より感情的な精緻さを伴って、同じ考え方に立ち返った作品です。”City” は、身体と精神との関係における都市の比喩的なイメージに焦点を当てていました。大都市のすべてを理解することは困難です。一方 “Alien” は、酩酊状態、精神疾患、神経発達障害などによって、私たちが自分自身を理解できず、自分が思考プロセスの外側にいるように感じてしまうことに焦点を当てています。その結果、私たちは周囲の世界と繋がり、意味のある形で進んでいくことができなくなるのです。
つまり、”City” が外に向けられた躁状態だとすれば、”Alien” は内へと注ぎ込む、内破する精神のブラックホールだったのです。狂気じみた疑似哲学的 “Skeksis” は、それ自体が Devin の映画的なアート・メタルのキャリアの過去と現在を縮図のように捉えています。この時期 Devin は SYL の存在意義についてこう語っていました。
「STRAPPING YOUNG LAD が効果的なのは、僕らがそれほど人気が​​ないからだと思う。人気がないからこそ、自分をどう見せるかに多少の自由がある。僕は大成功なんて求めていない。次のアクセル・ローズになりたいとも思っていない。成功という点では、せいぜい SLIPKNOT (当時) と同程度だろう。彼らもまた、自分たちのやり方で成功を収めてきたヘヴィ・バンドだからね。でも、例えば METALLICA や GN’R だったら…
“Some Kind of Monster” っていうドキュメンタリーを見たんだけど、あいつらはもうメタルのためにやってるって感じじゃない。”マジかよ、俺らは億万長者なのに人生最悪だ” みたいな顔してる」
Devin が SYL を継続することが不可能な精神状態になり、必要なものさえも消し去ってしまったプロジェクトだと語る時、彼が言及しているのは主に “Alien” でした。このアルバムには、Devin が芸術的な高みに到達するために意図的に抗精神病薬を断薬したという神話が流れています。しかし、彼は自らの躁状態と鬱状態は過剰な薬物使用と若くして音楽業界に身を置く環境に起因する可能性が高いと判断し、抗精神病薬の服用を中止し、自らを見直すことを決意しただけでした。当時は禁酒状態だったため、精神状態はますます悪化し、それが心理的に不安を掻き立てるほど化け物じみたアルバムへと発展したのです。Devin は SYL と DTB の関係性をいつしかこう表現するようになっていました。
「STRAPPING YOUNG LAD って、ある意味、誰かに無理やり引っ張られて、やらされているって感じだからね。分かる? 全てを燃やし尽くすような、そういう宣言なんじゃないかな。政治も宗教も、全部クソくらえ! 物事は大丈夫かもしれない、なんて言う段階は完全に過ぎ去ってる。だって、大丈夫じゃないんだから。そういう感情への反応なんだ。Devin Townsend の次のレコードは、それと正反対だ。あのレコードは “大丈夫” って言ってる。この2つはそういう関係性なんだ。SYL は “なんてこった!” って言ってるし、DTB は “大丈夫” って言ってる。SYLはゾクゾクするけど、DTBは頭が柔らかくなる。どちらも自分とは正反対のものを体現していると思うから…だから、できるだけ正反対の要素を取り入れているのが良いと思っている。”Alien” にはアコースティックとか、ソロの雰囲気に合う部分もあるけれど。SYLの雰囲気は独特で、曲作りをしている時にすぐに違いが分かるんだ。DTBは温かい家族のような雰囲気。SYLとはセックスするし、DTBとは結婚しているんだ」

そうして、漆黒のスワンソング “The New Black” でその歴史に幕を下ろした STRAPPING YOUNG LAD。Devin のライブにおいても、SYL の楽曲は取り上げられていますが、おそらく復活することはないでしょう。ただし、Devin はSYL再結成の要望を賛辞と受け止めています。
「いつ再結成するのかって?この質問で一番気に入っているのは “いつ” という言葉だよ。まるで再結成の兆しがあるかのように聞こえるよね。でも、もうバンドの誰とも話していない。25年前の自分とはまるで別人だ。そうしたくない。それが僕の答えだと思う。 他の人たちがそれを望んでいるのを知っているから、それは罪悪感を伴う難しい選択だ。でも、この2、3年で学んだことがあるとすれば、自分自身の欲求に注意を払わなければならないということ。だから SYL を再結成するつもりはないけれど、みんながこのバンドに夢中になって、再結成を待ち望んでいるという事実は、僕にとって大きな名誉なんだ。これほどまでに光栄なことはないよ。これからも、みんなが待ち望んでくれるようなプロジェクトを作り続けたいと思っているよ。で関心を持ってくれて本当にありがとう!」
最後に、SYL を初めて聴く若者に Devin はこの音楽をどう説明するのでしょう?
「7弦ギター。チューニングはGCGCGCE。超高速ダブルキック、ランダムな爆発音、そしてその上にハゲ男が大声で叫ぶ耳障りな爆音。カタルシスのために作られたストレス発散音楽だ」

参考文献: https://hevydevy.com/discography/