EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JIM GREY OF CALIGULA’S HORSE !!
“There Is Never a Moment Of Darkness In Caligula’s Horse Without Emphasising The Light – The Last Thing That I Want Is To Put Music Out In The World That Is Celebrating Something Tragic Or Dark Without Showing That There Is a Way Out.
DISC REVIEW “RISE RADIANT”
「CALIGULA’S HORSE には、光を強調しない闇は決してないんだよ。僕にとって最も好ましくないことは、出口を示さず、悲惨なことや暗いことを祝う音楽を世に送り出すことだから。そのコントラストこそ、僕たちの作曲における中心であり焦点の1つなんだ。」
性的倒錯、残忍な浪費家、狂気の暴君。ローマを刹那支配した悪名高きカリグラ帝は、しかし少なくとも愛馬を元老院に任ずるほど愛していました。もはやオーストラリアを代表するプログメタルのインペラトルにとって、レコードを覆うメランコリーの闇芝居はすべて愛情や強さを手繰り寄せる一条の光への道筋に違いありません。
プログレッシブのネオサザンクロスとして KARNIVOOL, NE OBLIVISCARIS, VOYAGER といった綺羅星と共に台頭した CALIGULA’S HORSE は、最もプログメタルの流儀を残すその手法が例えば英国の HAKEN と深く通じているのかも知れませんね。特に、Djent やシュレッダーの流れを汲む Sam Vallen の悍馬のテクニックを基盤としたメタリックな “Caligula’s Groove” は、絶対的なバンドの顔となっています。
一方で、プログメタルもう一つの巨星 LEPROUS とシンクロする表情も少なくはありません。シーンでも最高の評価を分かち合う Einar Solberg と Jim Grey は共に果てなきメランコリーの使徒ですし、コンテンポラリーな音のメルティングポットとしても双方存分です。では、CALIGULA’S HORSE 自身の強烈なアイデンティティーはどこにあるのでしょうか?肝要なその答えこそ、最新作 “Rise Radiant” にあるはずです。
「”Rise Radiant” は再定義と言うよりも、別の自然な進化の結実だと思う。世界中をツアーする中で多くを学び、書きたいことや演奏したいものをしっかり理解出来たんだ。」
8分の大曲 “Salt” を聴けば、CALIGULA’S HORSE がクラッシックにも通じるやり方で、エピカルなメタルの交響曲を具現化したことに気づくでしょう。ヴァイオリンやヴィオラの荘厳な響きはありませんが、それでも充分にこの絶佳の名曲はワーグナーでありリストのロマンチシズムを湛えています。
「エンディングは Ruggero Leoncavallo の手によるオペラ “道化師” で歌われるアリア “衣装をつけろ” から触発されたと言っていたね。最終的に、”Salt” は音楽テーマの要約 (楽章からの音楽テーマをもう一度提示すること)で終わるんだ。つまり、その構造を通じて、よりクラシックなスタイルからインスピレーションを得ているのは確かだよね。」
シンコペートするピアノの響きは指揮者、レイヤーにレイヤーを重ねたコーラスは聖歌隊、8弦ギターのほろ苦き低音はコントラバスでしょうか。モチーフの膨らませ方、印象の変化もあまりに劇的で巧みです。
一方で、最近メタルはあまり聴いていないと語る Jim の言葉を裏付けるように Becca Stevens や Jacob Collier の色彩を付与した “Resonate” は、電子音とアコースティックの狭間を浮遊する海月のしなやかさを描き、牧歌的な “Autumn” でフォークやカントリーの領域まで掘り下げてメタルの新たな可能性を提示するのです。
いつものように閉幕は長尺のエピック。”The Ascent” のドラマ性はベートーベンのシンフォニーにも引けを取ることはありません。
今回弊誌では Jim Grey にインタビューを行うことができました。「努力を重ね、ウイルスの遮断に大きな進歩を遂げてきた国は素晴らしいよ。残念ながら、そういった国々の努力を完全に台無しにしている国がいくつかあるよね。
どの国について話しているかわかるよね? 音楽と国際的なツアーの世界がコロナ以前と同じになることはなさそうだよね…結局は待つしかないんだけどね! 」何と三度目の登場!感謝です。どうぞ!!
CALIGULA’S HORSE “RISE RADIANT” : 9.9/10
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