EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PERTURBATOR A.K.A JAMES KENT !!
Perturbator a.k.a. James Kent, a Parisian Synthwave Genius Brings You Cold And Dark Trip With His Genre Defining New Record “New Model” !!
DISC REVIEW “NEW MODEL”
“メタルファンのためのエレクトロニカ” とも評される、フランスのシンセウェーブ開拓者 PERTURBATOR が、自身とジャンル双方の文字通り “ニューモデル” となるマイルストーン “New Model” をリリースしました!!PERTURBATOR a.k.a. James Kent が描き出す、テクノロジーへと過度に依存し衰退する人類の未来、ダークで陰鬱なディストピアは、現代のポップカルチャーに対する嫌悪感さえ孕みつつ、シンセウェーブを新たな領域へと誘います。
現在、シンセウェーブムーブメントがビッグでシリアスな “波” として音楽シーンに押し寄せていることは確かでしょう。80年代の風を受け、レトロな SF 映画やアニメ、ゲームのムードとモダンな手法、サウンド、アトモスフィアを融合させるレトロフューチャーなその視点は、ミュージックシーンのみならず、”King Fury” や “Drive”, “Far Cry” のような映画やゲームの分野にまで強く波及していますね。
2000年代後半、COLLEGE や Kavinsky によって産声をあげた追憶と清新を内包する瑞々しき異端の音楽、領域で、PERTURBATOR はまさにフロントランナーの位置にいます。実際、ポップテイストとライトなトーンにフォーカスした眩いばかりの “Sexualizer” EP から、実験的で新たなジャンルの創設にも思えた “Dangerous Days” まで PERTURBATOR は先鋭で孤身の旅路に身を置き続けてきました。そして、彼が “New Model” で辿り着く先は、まさに未開の地と呼ぶに相応しき前人未到のディストピアです。
硬質で頑健なファクトリーを写実的に描いたモノクロームのアートワークは、アルバムを紐解く鍵と言えるのかも知れませんね。ここには典型的なレトロウェーブらしい煌びやかなネオンも、グラマラスな女性も、サイバーパンクのギミックすらも存在せず、むしろ相反する冷徹でマシナリーなムードが作品を支配しているのです。
James Kent は “New Model” を 「これまでに作った中で最も内省的なアルバムで、自分自身についてより話している作品」 だと語ります。「音楽は究極の表現方法。だから、決して限定的に感じさせてはならないんだよ。80年代のノスタルジーに浸りたい人は、ここじゃなくても充分に浸れる場所はあるからね。」 とも。
究極なまでにシネマティックな前作 “The Uncanny Valley” は象徴的ですが、確かに勿論、これまで Kent のダンスフロアは主に暗い闇の中にありました。しかし同時に、レイヤーにレイヤーを重ねたその絢爛なるシンセサウンドは、脈打つ光明から遠く離れることもなかったのです。
つまり、赦しや慰めの月明かりさえ届かない、シンプルでエッジー、無慈悲なまでにメタリックで荒々しい “New Model” のサウンドコンセプトは、NINE INCH NAILS の理想にも共鳴するインダストリアルな狂気と暴力性をを纏って、シンセウェーブの “ニューモデル” を創造していると言えるでしょう。
2053年、ノクターンシティー。輝くネオンの裏側に芽吹く暴力的な街の本質。”Birth of the New Model” はマシーンの目覚め、覚醒を宣言するオープナーです。プログラミングの無機質なハイハットワークは金属体の象徴、ベースのパルスは生命と感情の証。人間のセンス、言語、時間、死をも司る全能の AI “マシーン” は、ダークなシンセサウンドを鼓動にして厳かに誕生します。
“Vantablack” はフランスのエレクトロポップアクト OddZoo が歌う唯一のボーカル曲。人類が知る最も “黒い” 物質の名を冠した楽曲は、作品で最もロマンティックかつ最も陰鬱な戦慄の塊かも知れません。”私のステンレスの刃で、あなたの肌を切り裂くことをお許しください” 。自我を宿した”マシーン”の反乱、エニグマティックで得体の知れない狂気は、ゴシックなムードを携えてリスナーの不安を煽るのです。
アルバムは10分に迫るエピック “God Complex” でその幕を閉じます。”CULT OF LUNA こそが、今日のメタルシーンで最も重要なバンドの一つだと信じている” と語る James。神の領域へと到達し、ヒューマンに啓示をもたらす AI シナプスのストーリーは、確かにポストメタルの大胆かつ繊細なデザイン、アトモスフィアを内包し、荘厳に終焉を迎えるのです。
今回弊誌では、PERTURBATOR こと James Kent にインタビューを行うことが出来ました。”攻殻機動隊” と “AKIRA” が最大のインスピレーションだと語るように、日本の文化にも精通している才人です。どうぞ!!