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COVER STORY + INTERVIEW 【PRIMAL FEAR : THALIA BELLAZECCA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH THALIA BELLAZECCA OF PRIMAL FEAR !!

“Power Metal Is Like You Go Back To Childhood And Imagine Yourself Riding Eagles And Killing Enemies, Being a Hero Or Becoming The Dark Evil Guy That Wants To Conquer The World.”

PRIMAL FEAR

「PRIMAL FEAR だと、”Rulebreaker” は特に気に入っているアルバムだし、その中の “Bullets & Tears” という曲が特に好きな曲ね。バンドの中で私は本当に若いけれど、子供の頃にメタルが好きになった80年代、90年代のシュレッディなソロをもっと出したい。彼らの全アルバムに収録されているパワフルでヘヴィなパワー・リフはそのままにね」
Kiko Loureiro, Joe Satriani, Steve Vai, Guthrie Govan, Paul Gilbert, Andy Timmons, Marty Friedman, Jason Becker, Yngwie Malmsteen など、数え切れないほどのギター・ヒーローたちから多大な影響を受けた左利きのニュー・ヒロインは、イタリアの FROZEN CROWN で名を上げ、Angus McSix との共闘で刃を研ぎ澄まし、そうして遂に独パワー・メタルのベテラン PRIMAL FEAR へとたどり着きました。
Tom Naumann と Alex Beyrodt。Matt Sinner の心臓 SINNER を原点とするふたりのギタリストは、PRIMAL FEAR でもその実力を余すところなく発揮して、バンドの強靭なリフワークと華々しいシュレッドを鋭利な刃物のように研ぎ澄ませてきました。彼らの脱退は PRIMAL FEAR にとって当然大きな損失でしたが、バンドはロックとサルサで育った異色のメタル・ウーマン Thalìa Bellazecca と、達人として名高い Magnus Karlsson を引き入れることでさらなる高みを目指すことになりました。
「Angus McSix でこの役を “コスプレ” できて、とても嬉しいし光栄よ。リーグ・オブ・レジェンド(大好きで今でもプレイしているゲーム)やアニメのおかげで、いつもコスプレをもっと掘り下げてみたいと思っていたんだけど、残念ながら時間がなかったんだ。コスプレって自分を象徴する分身を持つようなもので、より自分に自信を持ち、自分の行動やあり方に誇りを持つことにも役立っていると思うの」
ファンタジーをテーマとするパワー・メタルの世界において、役を演じる “ロール・プレイ”、そして役になりきる “コスプレ” は、暗く煩わしい日常から離れ異世界へと旅立つためにとても重要な “ツール” なのかもしれませんね。Thalìa はそのコスプレというツールを、パワー・メタルの世界で誰よりも巧みに使いこなします。GLORYHAMMER を追われた Angus McSix との共闘では、カレドニアのレイザー・アマゾンの女王を演じて喝采を浴びました。
しかし、実際のコスプレだけではなく、彼女はさまざまな “ペルソナ” を現実世界でも演じています。自身の人気 YouTube チャンネルを運営し、ヘヴィ・ミュージックとロック全般に対する彼女のスキルと情熱を紹介したと思えば、なんとモデルの領域にも進出。彼女のゴージャスな写真は、ミラノのPERSONAの公式インスタグラムで確認できますが、とにかく自身の “分身”、自身の才能をいくつも揃えることで、彼女は自信を携え、パワー・メタルの栄光に向かって邁進することができるようになったのです。
「パワー・メタルは、誰にでもある現実や嫌なことから逃避するのに役立っているの。それに、パワー・メタルは本当に楽しいジャンルだし、すべてのバンドが何かのキャラクターのコスプレをすることで、さらにエンターテイメント性が増す。まるで子供の頃に戻って、自分がワシに乗って敵を殺したり、ヒーローになったり、世界を征服しようとする暗い悪者になったりするのを再び想像することができるのよ」
大人になって、子供のころのように異世界への想像を膨らませたり、空想のキャラクターになりきることはそうそう許されることではないでしょう。しかし、Thalìa のような自信と才能に満ちたアーティストが先陣を切って、パワー・メタルの楽しさ、エンターテイメント、そして逃避場所としての優秀さを広めてくれたとしたら…私たちはためらいなく、エルフやドワーフ、もしくは侍になりきって、子供のころのように煩わしい日常を忘れられる “エンパワーメント・メタル” に浸ることができるのかもしれませんね。
今回弊誌では、Thalìa Bellazecca にインタビューを行うことができました。「デスノート、エヴァンゲリオン、デス・パレード、デッドマン・ワンダーランド、それにスタジオジブリの全作品が大好きよ。音楽なら、BAND-MAID, ALDIOUS, NEMOPHILA, LOVEBITES, MAXIMUM THE HORMONE, NIGHTMARE, それに TK from 凛として時雨。ゲームなら、ベヨネッタ、どうぶつの森、スーパーマリオ(特にギャラクシー)全部、Bloodborne、Ghost of Tsushima、大神。もともとファンタジーやSFのゲーム、映画が好きだったので、日本に行って、それがストリートでも受け入れられているのを見て、日本がもっと好きになったのよね」 どうぞ!!

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COVER STORY + INTERVIEW 【ROLAND GRAPOW : HELLOWEEN : MASTER OF THE RINGS】 30TH ANNIVERSARY !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROLAND GRAPOW !!

“At The Beginning I Was a Little Upset, After All, I Was a Big Part Of The Helloween’s History, I Wrote a Lot Of Songs. But I’m a Fatalist, I Believe That Everything That Happens In This World, Everything Happens For The Best.”

DISC REVIEW “MASTER OF THE RINGS”

「”Master of the Rings” は、新しい HELLOWEEN のラインナップによる素晴らしいアルバムだ。バンド・メンバーやレコード会社の不安定な状況が何年も続いた後、僕たちは再び少し自由を見つけ、再び素晴らしいパワー・メタル・アルバムを作ることができた。僕たちもファンも幸せだった。振り返れば、実に素晴らしい時代だったね」
ここ日本で、いや世界中で、90年代のメタル・キッズをメタルへと誘った HELLOWEEN の傑作 “Master of the Rings” から30年。四半世紀以上の時を経ても、このアルバムが色褪せることはなく、素晴らしく時の試練に耐えています。それはきっと、”Master of the Rings” が、メタルの持つ逆境からの “回復力” と共鳴したから。実際、この前年、HELLOWEEN は崩壊の危機に瀕していました。
「僕は Weiki に、日本で “Chameleon” の曲(アコースティックな曲も多かった)を演奏した時、ファンが僕の前で泣いていたと言ったんだ。そして、”Keeper 1+2″ のような昔のスタイルに戻るべきだとも言った。彼は納得していたよ。それから数ヶ月して、Andi がバンドに加わった。彼も僕と同じことを言って、なぜ “Chameleon” のようなアルバムを作ったんだい?と尋ねていたね。とにかく、Uli と Andi がバンドに加わったことで、僕らの進むべき方向はまたひとつになったんだ」
“Master of the Rings” がリリースされる前年、HELLOWEEN が発表した “Chameleon” という文字通りカラフルなアルバムは大きな失敗と受け止められました。典型的なメタル、HELLOWEEN らしいパワー・メタルを捨てて、ポップな実験を試みたこのアルバムは、あまりに早すぎたのかもしれませんね。今聴けば、その多様性や芳醇なメロディが好奇心をそそる好盤にも思えますが、ステレオタイプは当時あまりに大きな壁でした。
「素晴らしい気持ちと同時に悲しい気持ちもあった。Ingo は病気だったし、僕らには本当にそうする以外選択肢がなかったんだ。一方で、Michael はポップ指向に傾倒していて、メタル・ミュージックにはもう興味がなかった。Andi と Uli は、ちょうどいいタイミングで適切なメンバーだったんだ」
さらに、HELLOWEEN の顔ともいえた Michael Kiske と Ingo Schwichtenberg の脱退は、負の連鎖に拍車をかけることとなります。しかし、心の病に侵された Ingo、そしてメタルに興味を失った Kiske がバンドを続けることは不可能でした。そして救世主となったのが、Andi Deris と Uli Kusch だったのです。
“Master of the Rings” は、あまりに印象的なドラム・フィルをイントロとする強烈な2つのスピード・チューンでその幕を開けます。実際、このドラム・フィルに心を奪われてメタルに誘われたファンも少なくないはずです。加えて、ガチガチのツイン・ペダルで暴風のように疾走する開幕の二撃。Uli の個性とインプットは、明らかにこの作品の見せ場となりました。
そして何より、Andi Deris の旋律。哀愁。高揚。激情。楽曲毎にコロコロと、猫の目のようにその色を変える Andi の感情は、ヘヴィ・メタルの強みを完璧なまでに代弁していました。
“Perfect Gentleman” で笑い、”Secret Alibi”で疼き、”In the Middle of Heartbeat” で咽び泣く。”Game is On” で初代ゲームボーイとのシンクロを楽しみ、”Mr.Ego” で素晴らしくも憎らしい Michael Kiske を偲ぶ。Andi の歌う新たな HELLOWEEN のアルバムには、明らかに、人の心に寄り添うヘヴィ・メタルの生命力が見事に吹き込まれていました。そして同時に、この作品には HELLOWEEN 史上最も理知的な整合感を極めたソング・ライティングとリフワークが備わっていたのです。何という復活!私たちはこの作品を聴いて、暗闇にもいつか光が射すことを教わりました。多くの困難は克服できると学びました。
「彼らのことを思えば満足だ。僕は招待されなかったから、再結成には参加していない。そう、最初は少し動揺したんだ。何しろ、僕はバンドの歴史の大きな部分を占めていたし、たくさんの曲を書いたからね。でも僕は運命論者で、この世で起こることはすべて最善のために起こると信じている」
“まだいける。俺たちはまだまだいけるんだ!”。30年前、アルバムに誰よりも力強い “Still We Go” を提供し大復活の立役者となった Roland Grapow はしかし30年後、HELLOWEEN の過去と未来をつなぐ大集結 PUMPKINS UNITED に呼ばれることはありませんでした。あの名曲 “The Chance” や “Someone’s Crying”, “Mankind” を作曲したにもかかわらず。
ある意味、これもまた大きな壁であり痛みなのかもしれません。しかし、”負けヒーロー” となった Roland は腐ることなく現在のメンバーたちにエールを贈ります。これぞまさに、ヘヴィ・メタルの寛容さ、包容力。音楽業界への失望を克服し、前を向いた Roland はこれからもまだまだ “いける” のです。
今回弊誌では、Roland Grapow にインタビューを行うことができました。「Weiki と僕がギターの腕前を競い合ったことは一度もなかった。Weiki はそのことについていつもクールだったからね。僕はただ、ギタリストとしてのスキルを少しでも伸ばしたかったんだ」 30年…Roland のお気に入り、”Dark Ride” の評価が海外で爆上がりしているのも面白いですね。どうぞ!!

HELLOWEEN “MASTER OF THE RINGS” : ∞/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GLYPH : HONOR. POWER. GLORY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JEFF BLACK OF GLYPH !!

“Honor. Power. Glory.” Sums Up All The Fun, Silly And Awesome Things About Power Metal That We Love. Something That’s Really Important To Us Is To Do Things That Are a Little Crazy And Over The Top, Like In Pro Wrestling!”

DISC REVIEW “HONOR. POWER. GLORY.”

「”Honor. Power. Glory.” というタイトルは、僕たちが愛してやまないパワー・メタルの、楽しくて、バカバカしくて、だからこそ最高なものすべてを要約してくれている。僕らにとって本当に大切なことは、プロレスのようにちょっとクレイジーで大げさなことをすることなんだ!多くのバンドは、自分たちの音楽スタイルにある馬鹿げたことを受け入れるにはクールすぎる感じに振る舞っているけど、僕らはその真逆をやりたいんだ」
“GLYPH。彼らは単なるヘヴィ・メタル・バンドではなく、宇宙船VSSドラゴンロードで滅びゆく惑星を脱出する銀河系傭兵のクルー。明らかに、彼らはただ曲を作っているのではなく、新たに世界を構築している”。
そんな謳い文句がしっくりくるほど、GLYPH の音楽やルックはあまりにも大仰でシアトリカルです。それは、彼らがメタルを WWE のようなあからさまで、しかしリスナーに勇気を与える素晴らしきエンターテイメントだと信じているから。エンタメではとにかく突き抜けた者が勝者。そんな彼らのメンタリティは、確実に現代のシリアスなメタル世界に一石を投じます。そう、メタルは現実を見つめても、現実から逃避しても、勇気を出して現実と対峙してもかまわない。そんな寛容な音楽なのです。
「もし人々が GLYPH から強さ、希望、勇気を見出してくれるなら、僕たちは自分たちの仕事を正しくやっているという証拠だよね。パワー・メタルは今、特に北米とヨーロッパで盛り上がっているよ。SABATON, POWERWOLF, WIND ROSE のようなバンドがこのジャンルに新しい息吹をもたらし、人々はその息吹に大きく反応している。ファンタジーやSFを題材にした音楽とつながる “オタク” と呼ばれる人々の文化全体が、かつてないほど大きくなっているんだよ」
栄誉。力。栄光。まるで、努力、友情、正義を掲げた少年ジャンプのようなアルバム・タイトルも彼らの “やりすぎ” なパワー・メタルにはよく似合います。そして彼らはこの場所から、リスナーに強さや希望、勇気といったポジティブなエナジーを見出して欲しいと願います。パワー・メタルというジャンル自体も、この暗い世界でかつてないほどに輝きを放ち始めました。それはある意味、抑圧され、逃げることを余儀なくされたアニメや映画、ゲームといったファンタジーの信奉者、”ナード” “オタク” と呼ばれしものたちのレコンキスタなのかもしれませんね。
「現代のパワー・メタル・バンドをいくつか聴いて、複雑な気持ちになったんだ。曲作りがタイトで即効性があり、コーラスやフックの力強さが好きだったんだけど、ただそこにはメタル要素(リフやソロ)がかなり不足しているように聴こえたんだ。だから、90年代や2000年代のパワー・メタルのクールな要素を取り入れて、タイトでメロディ主導のソングライティング・スタイルに持っていったら面白いと思ったんだ」
そして何より、GLYPH のパワー・メタルには華があります。現代のパワー・メタル、その華のなさ、足りないクレイジーに不満を持って始めた新世代のバンドだけに、DRAGONFORCE や SABATON の剛と勇、そこに90年代が輩出した STRATOVARIUS や BLIND GUARDIAN のシュレッドやエピックが存分に埋め込まれたメタルの園はもはや楽園。もはやその実力はデビュー作にして TWILIGHT FORCE や GLORYHAMMER にも匹敵しています。残念ながら、優れたフロントマンの R.A. は脱退してしまいましたが、もちろんメタルの回復力でより強くなって戻ってきてくれることでしょう。
今回弊誌では、Jeff Black にインタビューを行うことができました。「17歳のときに2ヶ月間日本を訪れたこともあるんだ。 学生時代は漫画やアニメに夢中で、今でも時々見ているよ。好きだったシリーズは、”るろうに剣心”、”カウボーイビバップ”、”新世紀エヴァンゲリオン”、”エルフェン・リート”。ファンタジーやSFに対する日本のアプローチにはいつも感心しているんだ。とても独特で無節操なんだ。スピリチュアルやファンタジーの要素がたくさんあって、でもロマンスなど他のジャンルにも入り込んでいるからね」 新たなキーボード・ヒーローの誕生。どうぞ!!

GLYPH “HONOR. POWER. GLORY.” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【UNLEASH THE ARCHERS : PHANTOMA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRITTNEY SLAYES OF UNLEASH THE ARCHERS !!

“I Do Wish Though That Maybe The World Was Better Equipped To Have Children On Tour!”

DISC REVIEW “PHANTOMA”

「世界は利己的で、批判的で、孤独な場所かもしれないけど、他人の期待に応える生き方をやめ、自分自身の健康と幸福を第一に考えた選択をすることで、私たちは幸せを見つけることができるのだと思う。
これがファントマが学んだ教訓であり、このアルバムの真意でもある。AIは善にも悪にも使えるツールであり、結局それを決めるのはその背後にいる人間。 私はAIを恐れているのではなく、暗い意図を持った人々がAIを使ってやることを恐れているの」
北米パワー・メタルの巨星 UNLEASH THE ARCHERS は、パワー・メタルの特性である “ストーリー・テリング” “物語” の能力を誰よりも遺憾無く発揮しています。パワー・メタルのファンタジーを歌にのせることこそ、Brittney Slayes の幸せ。今回、バンドは近年の音楽業界で話題となっている人工知能(AI)”物語” に選びました。面白いことに、今のところ、AI は自己の幸せを追求することも、ファンタジーを語ることも得意ではなさそうです。今のところ、人間の “道具” にすぎないようです。しかし、近い未来ではどうでしょうか?
「”Phantoma” の作曲にAIは使っていないよ。だって作曲こそミュージシャンとしての醍醐味のひとつなのに、なぜそれを放棄しなければならないの? 他のみんなも同じだと思う。 私たちは楽しみながら実験し、AIがどんなものかを見ていくだろうが、結局のところ、音楽は人間が人間のために作り続けるもの。 AIが作った音楽で音楽の旅を始める人もいるだろうし、それはそれでいい。 もちろんAIは、これまで音楽に触れることができなかった人たちに作曲する能力を与えるだろうし、私はそれでいいと思う。 でもね、私自身は、昔ながらの方法で音楽を作り続けるつもりだよ。最終的にはAIがそのプロセスの一部になるのかもしれないけど、それまでにはまだ何年もかかると思う」
実際、彼らは最近、”Green & Grass” のプロモーション・ビデオにおけるAIの使用で批判に直面し、芸術的創造プロセスにおいてこのテクノロジーを使用することがどこまで許容範囲なのかという疑問をはからずしも提供することになりました。Brittney の回答はシンプルです。最新のテクノロジー・トレンドは道具にしかすぎない。音楽の裾野が広がることは悪くないけど、結局、音楽に携わる上で最も “楽しみ” である部分、作曲を人が手放すことはあり得ないと。
「日本のバンドで一番好きなのはとにかく GALNERYUS! 何よりボーカリストが素晴らしいわね!そして、音楽がとてもキャッチーで、一緒に歌いやすい!それが私にとってとても大事なことなのよ!(笑)」
そしてその作曲において、UNLEASH THE ARCHERS が最も大事にしていること。それがキャッチーなメロディであり、シンガロングできるコーラスなのです。ウルトラ・テクニカルなギター、超高速ドラム、地下室の咆哮、荘厳なシンフォニー、躍動的な聖歌隊がジェットコースターのように駆け巡るこのコンセプト・アルバムにおいて、しかし彼らの作曲の美学だけはいっさいブレることはありません。物語のなかでAIの主人公ファントマが、人間性を理解し、完璧な人間になりたいと望むように、UNLEASH THE ARCHERS は完璧なパワー・メタルを生み出したいと望みます。
「子供が生まれて、ただ立ち上がって何週間もツアーをするというわけにはいかない。すべてのロジスティクスを、何カ月も前から詳細に計画しなければならないのよ。でもね、最初から苦労することはわかっていたし、うまくいくためには何でもやると自分に言い聞かせていたから、後悔も不満もない。 ただ、ツアー中に子供を育てられる環境が世の中に整っていたらいいなと思うことはある (笑)。 でも、それが変わる可能性は低いと思うけどね!」
人間性、望みといえば、UNLEASH THE ARCHERS はメタル世界に “寛容さ” の輪を広げたいとも望んでいます。もちろん、近年女性の数は増えてきましたが、まだ子供を育てながらツアーに出られるような環境が整っているとは言い難い現状。彼女は先駆者のひとりとなることで、その状況を変えていきたいと願っています。もちろん、日本盤のボーナス・トラックを日本語で歌ったのも “寛容さ” の一環。そうやって、箱や壁はひとつひとつ取り払われていくべきなのでしょう。
今回弊誌では、Brittney Slayes にインタビューを行うことができました。「”Ghosts In The Mist” という曲は日本語に訳すのに適していると思ったから、15年ほど前に日本に移住した友人に翻訳を手伝ってもらったのよ。 彼と彼の奥さんはネイティブ・ジャパニーズで、発音まで手伝ってくれたのよ。 私は一生懸命日本語に取り組んだけど、残念ながらそれでも完璧にはほど遠い。でも、私はあなたたちの言葉が大好きよ! うまく伝わることを願っているわ!」 Olivia Newton John を思わせる彼女の声の透明感が肝。どうぞ!!

UNLEASH THE ARCHERS “PHANTOMA” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FREEDOM CALL : SILVER ROMANCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRIS BAY OF FREEDOM CALL !!

“The Audience On Our Concerts Is In Between The Ages Of 5 And 70. And We Are Happy To Maintain The Flame Of Metal For The Next Generations.”

DISC REVIEW “SILVER ROMANCE”

「”去年の夏は、SLAYERにハマってたんだ” なんて話を聞いたことはないだろう?そんなことはありえないんだ。メタル・ヘッズかそうでないか。人はそのどちらかだ。つまり、子供の頃はメタルを聴いていたけど、もう聴いていないなんていう人はいないはずだ。もし君がメタルに夢中なら、ずっと夢中なんだ!
一度ハマったら抜け出せねえ。言ってみれば、宗教さ」
EXODUS の Steve Souza の言葉です。たしかに、ヘヴィ・メタルの世界には自分も含めて “卒業” とは縁遠いファンが多いような気がします。メタルほど深い沼はない。その理由を、今年パワー・メタルの銀婚式を迎えた FREEDOM CALL の Chris Bay が弊誌に語ってくれました。
「メタル・ファンが最も忠実だということに同意するよ。私の意見だけど、メタル・ヘッズはただメタル音楽を聴いているのではないんだ。メタルはバック・グラウンドで流しているような音楽のスタイルではないからね。ロックとメタルはライフ・スタイルであり、このジャンルのファンは愛する音楽を積極的に、能動的に聴きながら生活しているのだよ…ラウドで激しくね..」
あのアルバムが出た時、結婚相手に出会った。就職した時は、あのTシャツを着ていた。愛猫が家に来た時は、あのライブに行った。そう、メタルはライフ・スタイルとなり、その人の人生と重なるような、インスタントとは程遠いヘヴィな音楽なのです。そうして、ファンとメタルは離婚とは無縁の幾久しき絆を育てていきます。
「”メタル・ジェネレーション” というアイデアは、何年も、何世代にもわたってこの種の音楽を支えてくれているすべてのメタル・ヘッズへの感謝の気持ちなんだ。私たちのコンサートの観客は5歳から70歳まで幅広い年代が来てくれる。そうやって、次の世代のためにメタルの炎を維持できることを嬉しく思っているんだ」
25年の銀婚式で幕を開ける FREEDOM CALL の “Silver Romance” は、まさにその幾久しき絆を祝う祝祭のパワー・メタル・アルバム。このバンドの素晴らしさは、勇壮なメタルの中に Chris Bay の趣味全開な80年代ポップス的かわいらしいメロディ、ビバリーヒルズ・コップを想起させるレトロなキーボードの祝祭感が織り込まれているところでしょう。
そんな彼らのお茶目で新たなサマー・パーティ・アンセムとなる “Metal Generation” は、メタルの絆を、灯火をつなげていくという決意表明でもあります。何世代にもわたってつながれ、更新され、愛され続けてきたヘヴィ・メタルの炎。5歳から70歳までが拳を突き上げ、 “メタルはみんなのもの” とシャウトする FREEDOM CALL のライブこそがメタルの寛容さ、自由、多様性の象徴でしょう。
「”フリーダム・コール” の意味は、以前にも増して時事的、今にあったものになっている。なぜなら、今この世界には数え切れないほどの戦争や残酷な行為があって、苦しむ人々、何百万人もの難民がいるからね。自由を求める声はかつてないほど大きくなっているよ」
そう、彼らのポジティブで優しい “ハッピー・メタル” こそ、暗い現代が求めるもの。彼らは大真面目に、寛容で敬意にあふれた世界、メタルによる世界平和の実現を夢見ています。バンド名を “自由への叫び” と名づけた25年前よりもかくじつに、世界には自由を求める人たちが増えています。FREEDOM CALL はそんな世界で今日も、法律より強く、鋼鉄とプライドでできた愛と平和のパワー・メタルを心の底から歌うのです。”メタル革命” が成就するその日まで。
今回弊誌では、Chris Bay にインタビューを行うことができました。「”メタルはみんなのもの” という言葉は調和のとれた世界を表現しているんだ。”一人はみんなのために、みんなは一人のために” というのがテーマだからね。ステージでこの言葉をつかうのは、もし世界中の人々がメタル・ファンになれば……地球は平和になると信じているからだ! メタルで地球に平和をもたらそう!」 二度目の登場。 どうぞ!!

FREEDOM CALL “SILVER ROMANCE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【INDUCTION : MEDUSA】JAPAN TOUR 24′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM HANSEN OF INDUCTION !!

“Power Metal, Or Heavy Metal Just Seems Like The Most Versatile Metal Genre To Me. I Love The Focus On Great Melodies And The Freedom To Go Slow And Heavy, Or Fast And Hard. Power Metal To Me Is a Feeling, Not a Genre. And I Try To Embody That With Induction.”

DISC REVIEW “MEDUSA”

「パワー・メタル、あるいはクラシックなヘヴィ・メタルは、僕にとって最も汎用性の高いメタル・ジャンルに思えるんだ。素晴らしいメロディーを重視し、スローでヘヴィーな曲も、速くてハードな曲も自由自在なところが好きなんだよ。僕にとってのパワー・メタルは、ジャンルではなくフィーリングなんだ。そして、僕は INDUCTION でそれを体現しようとしているんだよ」
かつて、ヘヴィ・メタル、そのステレオタイプの象徴だったパワー・メタルを、”柔軟で汎用性の高い自由なジャンル” と言い切るジェネレーションが遂にあらわれました。それだけでももう隔世の感がありますが、その言葉があのミスター・パワー・メタル Kai Hansen の息子 Tim Hansen から発せられたのですから、時代と価値観の変化はたしかなものに違いありません。
「音楽的には父の世代より間違いなく一歩進んでいるし、いわゆるジャーマン・メタルのバンドたちとはサウンドは違う。でも、もしかしたら僕たちは “ジャーマン・メタルのニューウェーブ” と言えるかもしれないね。僕はそのサウンドが好きだ」
実際、Tim は自身のバンド INDUCTION で “ジャーマン・メタルのニューウェーブ”、そのアンバサダーに就任しました。INDUCTION がその称号に相応しいのには確固たる理由があります。Tim が “ディズニー・メタル” と称賛する TWILIGHT FORCE の完璧にオーケストレートされたシンフォニー、BEAST IN BLACK のダンス・パーティー、POLYPHIA や PERIPHERY まで想起させるモダンなギター・テクニック、硬軟取り揃えた曲調の妙。そんな現代的なアップデートを、80、90年代のクラシックなジャーマン・メタルに落とし込む。
「たしかに父がいなかったら、音楽とギターにのめり込むことはなかったと思う。でも、ギターを手にしたいと思わせる要素はもっとたくさんあったんだ。特定のギター・ヒーローがいたわけではないんだけど、お気に入りのギタリストは、Guthrie Govan, Teemu Mäntysaari, Kasperi Heikkinen。僕は人生の困難な時期に、自分自身に新しい使命が必要だと思った。そして、そのときから僕は完全に音楽にコミットし始め、自分の道を歩むようになった。でも、何かヒントが必要なときに、父のように側に助けてくれる人がいるのはいつもありがたかったよ!」
パワー・メタルを自由の土地とみなし、明日を見据えて狂気と才気を発電する。楽しい音楽を作ること。もちろん、その偉業の達成は Hansen 家の血が後押ししていますが、それだけではないでしょう。そもそも、メタル世界は政治や会社のように世襲制ではありません。継ぐべき地盤も資産もないのですから。それでも、Tim Hansen は父と同じパワー・メタルという夢の国で反乱を起こすと決めたのです。それは、パワー・メタルが好きだから。パワー・メタルへの情熱があふれるから。パワー・メタルが使命だから。ジャーマン・メタル。その過去へのトリビュートと未来への才狂を実現できるのは、Tim Hansen しかいないのですから。
今回弊誌では、Tim Hansen にインタビューを行うことができました。「とにかく楽しい音楽を書きたい。ライヴに来て、日常や普段の生活をすべて忘れて、ただ一晩放心状態になれる。そんな音楽をね。そういう意味で、僕はリスナーに逃避を提供しようとしているんだ。でもそれだけじゃなく、音楽をもっと深く掘り下げると、寓話やファンタジーだけでなく、曲の中にたくさんの実体と意味があることに気づくはずだよ」 親子での来日も決定!あの Ralf Scheepers も GAMMA RAY に帯同します。どうぞ!!

INDUCTION “MEDUSA” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AURO CONTROL : THE HARP】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LUCAS DE OURO OF AURO CONTROL !!

“You Feel Thrilled To Bang Your Head Because There’s a Force In Some Songs That Push You To It. It’s The Same Idea With The Brazilian Percussive Style, Specifically Here In Our Hometown Bahia.”

DISC REVIEW “THE HARP”

「メタルの曲の中には、リズムのおかげでとても素晴らしくなったものがある。ヘッド・バンギングしたくなるようなゾクゾク感があるのは、曲によってはリズムにそれを後押ししてくれる力があるからだ。ブラジルのパーカッシブなスタイルも同じで、特にここバイーアには有名なパーカッシブ・アーティストがたくさんいる。ヘッド・バンギングは、パーカッションで踊っているようなものなんだ。体が音楽に反応しているんだ。だからブラジリアン・パーカッションはメタルによく合うんだと思う」
西欧から旅立ち世界各地で芽吹いたメタルの種は、その土地土地における文化や個性を吸収しながらスクスクと育ち、今、実りの時を迎えています。そんなメタルの生命力、感染力、包容力が最も根付いた場所のひとつが、南米、ブラジルでしょう。
思い返せば、ブラジルはメタル多様化のきっかけともなった場所。ANGRA が多少強引でも、アマゾンの伝統音楽をメタルに引き込んだ “Holy Land” のやり方はあまりに革命的でしたし、SEPULTURA が “CHAOS A.D.” や “Roots” でメタルにブラジルの鼓動を持ち込んだその手法は、世界各地のメタル・アーティストに勇気ときっかけを与えたのです。そんなブラジルからまた超新星が現れました。AURO CONTROL。黄金を意味する Auro と “Out of Control” がかけられたバンド名が示す通り、彼らのヘドバン・パーカッションは黄金の制御不能です。
「僕らの曲には ANGRA の影響が大きいけど、バイーア・パーカッションのアプローチは ANGRA のアイデアとは少し違うんだ。だけど、”Holy land” はブラジリアン・ヘッドバンガーのプレイリストに必ず入っているアルバムだ。僕はアルバム “Rebirth” がとても好きで、彼らがもうライブでは演奏しないこのアルバムの曲を聴いて、とてもノスタルジックな思い出に浸っている。”Unholy Wars” だよ」
AURO CONTROL が黄金である理由。それは、まさに偉大な先人である ANGRA と SEPULTURA 両者の遺伝子を深く受け継いでいるところにあります。パワー・メタルのスペクタクルとプログ・メタルの深み、バイーア・ブラジリアン・パーカッションの躍動的なリズムが見事に融合した圧巻のデビュー・アルバム “The Harp” は、制御不能を制御したブラジル・パワー・メタル、そしてブラジル北東部の誇り。
「Andre Matos は、ユニークな声と比類なき音域を持つマエストロだった。そして Edu Falaschi は、僕が人生で最も聴いたブラジリアン・メタル・ボーカリストだ。彼も僕と同じでロー・トーンだから、僕は Edu に共感することが多いね。彼は感情を込めて歌う達人だよ」
何よりも、AURO CONTROL の制御不能には、魂とエモーション、そしてサウダージが深々と刻み込まれています。Andre Matos の驚異と、Edu Falaschi の感情に薫陶を受けた Lucas de Ouro の歌唱は、暗い時代の困難、抑圧、孤独との戦いを複雑に響かせながら、パワー・メタルのファンタジーとパーカッションのダンスを従え、暗黒を勇気と鋼の意志、そして光へと変容させていきます。そのレジリエンス、メタルの回復力はまさにアートワークに描かれた不死鳥。そうして力を得たパワー・メタルのフェニックスは、ブラジルから炎とともに大きく羽ばたいていくのです。
今回弊誌では、Lucas de Ouro にインタビューを行うことができました。「日本のコントラストが大好きになった。奈良の自然と文化の美しさに惚れ込み、秋葉原や渋谷の喧騒に夢中になった。巨匠鳥山明の作品が大好きで、漫画を描いて育ったからね。ギターの Lucas Barnery も日本文化に夢中だ。彼は、巨匠・三浦健太郎の漫画 “ベルセルク” のタトゥーを入れているし、尾田栄一郎先生と岸本斉史先生の “ONE PIECE” と “NARUTO” が大好きなんだ。アルバムのブックレットにある彼の “Thanks session” には、ファイナル・ファンタジーのビデオゲームに対するスクウェア・エニックスへの愛が綴られている!GALNERYUS, X JAPAN, Babymetal, Crossfaith のようなバンドの曲も大好きだしね。スーパー戦隊や特撮シリーズも大好きさ」
HIBRIA の Thiago “Bonga” を正式メンバーに、Aquiles Priester, Felipe Andreoli の ANGRA組、Jeff Scott Soto をゲストに迎え、ex-SHAMAN の Thiago Bianchi がプロデュース。オールスター・キャストで贈るメタル・カーニバル。ANGRA の “Angels and Demons” を彷彿とさせる “Rise of the Phoenix” の威容に思わず感涙。どうぞ!!

AURO CONTROL “THE HARP” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VIOLET ETERNAL : RELOAD THE VIOLET】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JIEN TAKAHASHI OF VIOLET ETERNAL !!

“I Studied From Timo Tolkki About Most Important Things. He Taught Me The We Need The Respect For Cherish Individuality By My Own.”

DISC REVIEW “RELOAD THE VIOLET”

「自分も満足出来て尚且つファンの人が喜んでくれるであろう夢のような音楽を作り続ける為に人脈を広げていく努力は惜しみなくしていますが、なによりも人間関係に恵まれたという部分が大きいと思います」
かつて、日本のメタル・アーティストが、海外のプレイヤーと共闘することはほとんどありませんでした。それは、言葉の壁、文化の壁、そして文字通り “海” という壁が大きく立ちはだかっていたから。もちろん、だからこそ日本のメタルは独特の “味” を持つようになったといわれる一方で、世界で認知されるには少しばかりドメスティックになりすぎたのかもしれませんね。
やはり、歴史を変えるのは若い力です。聳り立つ壁の数々を、ギタリスト Jien Takahashi はいとも簡単に薙ぎ倒していきます。Timo Tolkki に見出され、MAJUSTICE で颯爽とシーンに登場した Jien は、Kaz Nakamura, Kotaro Tanaka, Kelly SIMONZ という日本の百戦錬磨と共に、海外の烈士たち、Iuri Sanson, Ralf Scheepers, Vitalij Kuprij を従えていました。その姿はさながらメタル世界の坂本龍馬。インターネットという新たな海を自在に泳ぎ、Jien は信頼できる仲間を世界中で見つけました。
まさにメタルの生命力、感染力、そして包容力。彼にとって、国籍、人種、文化、性別は一切壁にはなり得ません。重要なのは、自らの才能を具現化できるパーティ。そして、その力を余すことなく使い切って、リスナーに極上の個性的なパワー・メタルを届けること。
「トルキとはかなりコンスタントに連絡を取るようになり、STRATOVARIUS 時代の楽曲をどのように作り上げたかなど色んなことを教えて頂けました。そして彼から独自の作曲方法を伝授されてからは一貫して彼の方法論を踏襲しています。しかし、それはあくまで方法論に過ぎず彼から学んだ最も大切な事は”個性的であれ”という事です。このジャンルに於いて”独創的”でいる事は難儀ですが、個性的であることを大切にしてこれからも精進していきます」
パワー・メタルはたしかにステレオタイプになりがちなジャンルで、飽和と定型化が衰退を招いたこともありました。しかし近年、TWILIGHT FORCE や GLORYHAMMER, FELLOWSHIP, IMMORTAL GUARDIAN といった若い力は、振り切った個性とテクニックで再びこのジャンルに活力を取り戻しています。Jien の新たな冒険となる VIOLET ETERNAL もそうしたバンドのひとつでしょう。
「村下孝蔵さんや弘田三枝子さんのような歌謡界のレジェンドから、私立恵比寿中学やアンジェルムのようなアイドル音楽など幅広く日本のポピュラーミュージックを愛しています。
太鼓の達人でお馴染みのナムコオリジナルやロマンシング・サガシリーズの楽曲を手がける伊藤賢治さんの作る音楽も大好きです。ヨーロッパっぽいメロディも大好きなのですが、ぼくは日本的なメロディで曲を作っていくのが楽しいしその点に生き甲斐を覚えています」
思い返してみれば、かつてパワー・メタルの銀河帝国を築き上げた綺羅星たちには、それぞれのユニーク・スキルが備わっていました。VIOLET ETERNAL のそのスキルはおそらく、欧州と日本の融合。実に耽美的でヨーロピアンでありながら、戦隊もの、アニメの主題歌、J-Rock で慣れ親しんだ日本的なコード進行や勇壮な旋律が五感を刺激するカタルシス。バンドのアンセムである “Under the Violet Sun” は、後半の転調を含めてまさしくその象徴でしょう。平坦になりがちな海外のパワー・メタルに比べて、VIOLET ETERNAL の楽曲はコード進行や転調の魔法が実に鮮やか。
DERDIAN の盟友 Ivan Giannini をはじめとした海外のパワーと、GALNERYUS の YUHKI をはじめとする繊細な日本のメタルが交わる様もまさに Jien が理想とするパワー&メタルの有り様。リスナーはただ、タクトを振るいながら美技を連発する Jien の紫に踊らされればよいのです。
今回弊誌では、Jien Takahashi にインタビューを行うことができました。「BanGDreamに関しては声優の工藤晴香さんのファンクラブにも入ったくらいどハマりしましたね!一時期は髪色まで工藤晴香さんの真似をしていたくらいです(笑)。実際に今でもInstagramでは工藤晴香さんとティモ・トルキの名前を捩った名称をIDにしていますね」
あの RING OF FIRE の “Circle of Time” を彷彿とさせる “The Echoes of Time” からさらに飛翔する “Now And Forever” の流れは絶品。開幕からメロパワ!メロパワ!でねじ伏せるアルバムは、HELLOWEEN の “Master of the Rings” 以来では? どうぞ!!

<収録曲>
01.The Titans
02. The Echoes of Time
03.Now and Forever
04.Ember Flame
05. Under the Violet Sun
06.Land of Golden Sun
07.Never Surrender…In My Dreams
08.Heartless
09. Over the Sorrow
10.Sonata Black
Line-up:
・Ivan Giannini (Vocals)
・Jien Takahashi (Guitarist)
Sound Producer:
・Dennis Ward (Sound Producer)
Additional Musicians:
・Track 02~10. Andrea Cappellari (NEKOMATA, ex-SKELETOON) as Guitarist
・Track 02~10. Ollie Bernstein (ILLUSION FORCE) as Bassist Track 09. Takao (MinstreliX) as Guitarist
・Track 09. Gabriel Guardian (IMMORTAL GUARADIAN) as Guitarist and Keyboardist
・Track 10. YUHKI (GALNERYUS, ULTIMA GRACE) as Keyboardist
・Track 09 10. Ryuya Inoue as Drummer
・Track 10. Timo Tolkki (ex-STRATOVARIUS) as Songwriter

VIOLET ETERNAL “RELOAD THE VIOLET” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【METAL DE FACTO : LAND OF THE RISING SUN PART.1】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ESA ORJATSALO OF METAL DE FACTO !!

“Power Metal Is The Pinnacle Of Music. It Is Music De Facto, Metal Music De Facto… And From There It Came, Metal De Facto!”

DISC REVIEW “LAND OF THE RISING SUN Pt.1”

「パワー・メタルは音楽の最高峰だということだ。これこそが真の音楽であり、真のメタルだとね…そしてそこから生まれたのが METAL DE FACTO だったんだ!パワー・メタルが再び大衆の意識の中で正当な地位を取り戻すことを願っているんだ!」
魅力的なアートを生み出すために最も必要なのは、好きを突きつめることかもしれません。フィンランドが輩出したパワー・メタルの秘宝 METAL DE FACTO は、その音楽も、そのテーマも自らの好きを貫き通して、情熱の炎で新たな傑作を世に産み落としました。
「たしかにパワー・メタルは、2000年代初頭の全盛期を過ぎると、世間のレーダーから姿を消したように思えたけど、完全に姿を消したわけではなかったと思う。ファンやミュージシャンは、かつてほどの人気がなかったにもかかわらず、パワー・メタルを存続させた」
そう、かつて、パワー・メタルはヘヴィ・メタルが揶揄されるマンネリの象徴でした。”すべてが予定調和で、同じに聴こえる”。そんな逆境中でも、パワー・メタルを愛し、その可能性を信じ続けた STRATOVARIUS, BLIND GUARDIAN, GAMMA RAY, HELLOWEEN といった不屈の魂は、いつしかこのジャンルを豊かで実り多い大地へと変えていきました。METAL DE FACTO は彼らの背中を見て育ち、追い求め、そしてついには同じ舞台、同じ高みへと到達しました。
フィンランド訛りが郷愁を誘う Tony Kakko のような歌声、Steve Harris への憧憬が愛しいベース捌き、疾走するツインリードに Jens Johansson 印の眩いキーボード。”Make Power Metal Great Again” を掲げる彼らの眼差しには、パワー・メタル・マニアックスが求めるものすべてが克明に映し出されているのです。
「大学で民族音楽学を専攻していたとき、ゼミで日本の芸術音楽について研究していたんだけど、日本人がフィンランドのアーティストをどう受け止めているか、フィンランドのメディアがフィンランドのアーティストの日本公演をどう報じているかについても研究したんだ。そう考えると、日本についてのアルバムを作るのはとても自然なことだったと思う」
そうして METAL DE FACTO は、パワー・メタルという暗い現実を薙ぎ払うファンタジーにも好きを貫きます。テーマに選んだ天照大神、赤穂浪士、元寇。それは、Esa Orjatsalo が人生で憧れ続けた日本の歴史や神話そのもの。そうして彼らは “Land of the Rising Sun” “日出る国” と第打ったアルバムで、愛する日本とパワー・メタルの今の姿を重ねます。沈んだ太陽。しかし日はまた必ず昇る。そう、権力や多数派に惑わされず、私たちが好きを貫き続ければ。可能性を信じ続ければ。
今回弊誌では、Esa Orjatsalo にインタビューを行うことができました。「”社畜”。この歌は、権力を得るために会社(または主人)に人生を捧げ、大成功を収めたものの、心の中は空虚で、権力なしで人生がシンプルだった時代を懐かしむ人の物語だからね。また、この曲には、何を望むかには注意しなさい、それは実際に望むものではないかもしれないというより普遍的なテーマもあるんだよ」 どうぞ!!

METAL DE FACTO “LAND OF THE RISING SUN PT.1” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VALENTINO FRANCAVILLA : MIDNIGHT DREAMS】 RIOT 祭り 24!!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH VALENTINO FRANCAVILLA!!

“I Learned The Constancy From Riot, Do What You Love With The Heart And If You Persevere With Such Thing Someone Will Be Happy Listening Your Music Or Recognize You As Something Like Fresh Air In His Life Thanks To The Art.”

DISC REVIEW “MIDNIGHT DREAMS”

「RIOT から “不変であること” を学んだんだ。自分の好きなことを心をこめてやれば、誰かが自分の音楽を聴いて幸せな気持ちになったり、自分のアートで人生に新鮮な風が吹いたと認めてくれるだろう。そう、自分の好きなことを変わらずやり続ければね」
かつて、パワー・メタルはヘヴィ・メタルが揶揄されるマンネリの象徴でした。”すべてが予定調和で、同じに聴こえる”。そんな中でも、RIOT は己が愛するパワー・メタルをやり続けました。好きをやり続けることで RIOT のパワー・メタルは豊かに熟成されて、フォーキーだったり、メタリックだったり、エモーショナルだったり、テクニカルだったり、Valentino Francavilla が語るように時季折々の個性を醸し出すようになりました。多くの人の人生に救いや癒しをもたらしました。そして、パワー・メタルの復権と拡散、新たな才能の礎になったのです。
「RIOT は僕のヒーローであり、インスピレーションなんだ!16歳の頃、クラシックなオールドスクール・ヘヴィメタルのコンピレーションを聴いていて、”Thundersteel” が流れてきたんだ。最初のコーラスの後、”これが真のヘヴィ・メタルというものなんだ” と雷に打たれ、この素晴らしいバンドに恋をしたのさ!」
イタリアでメタルに目覚めた Valentino Francavilla は、RIOT の “Thundersteel” を聴いて文字通り雷に打たれたような衝撃を受けました。これこそが個性的で真なるヘヴィ・メタル。いや、真なるヘヴィ・メタルは個性的だと確信した Valentino は、そうしてギター、さらには歌の研鑽に励みました。WHITE SKULL で名を上げ、胸筋と SNS で火がつき、ついにはソロ・デビュー。そして7月にはここ日本で、RIOT V との共演が決定。彼もまた、好きをやり続けた結果、まさに “Midnight Dreams” が実現するのです。
「僕は何か新しいものを発明しているわけじゃない。僕が作曲したものは、人生の季節季節で耳にしたものから影響を受けた音楽だから。でも、僕は人の個性を本当に信じているんだ。人はひとりひとりがそれぞれ個性的だ。だから僕は、良いインスピレーションと影響、愛と独自性を持って、最高の音楽を作ろうとしたんだ!」
Valentino の言葉どおり、彼の音楽は決して真新しい革命的な何かではありません。とはいえ、彼の人生の四季折々を反映した、実に個性的で芳醇なパワー・メタル。たしかに、パワー・メタルには一定のフォーミュラ、型が存在しますが、そこに注がれるのはアーティスト個性であり、”好き” の源。つまり、個性を知り、音楽の色を積み重ねたアーティストにとって、そうしたフォーミュラは創造性の妨げにはならないのです。
「僕がステージで演奏するときに最初に考えるのは、目の前にいる人たちは新鮮な空気を吸って、人生を楽しむためにここにいるんだということ。こんな困難な時代だからこそね。ヘヴィ・メタルや音楽全般は、心理的な問題に対しても、本当に多くの方法で人々を助けることができると思う」
そうして Valentino のパワー・メタルは暗い世界の灯火となります。モダンで高度なテクニックと、クラシックなメタルのメロディ、そして積み重ねてきた音楽の色は雄弁に交合わさり、憂鬱や痛みをかかえる人々にひとときの癒しを提供し、新鮮な一陣の風を心に吹き込むのです。
今回弊誌では、Valentino Francavilla にインタビューを行うことができました。「LOUDNESS や X Japan のような日本のヘヴィ・メタル・バンドも大好きで、彼らからたくさん影響を受けたよ!Xの “Sadistic Desire” や LOUDNESS の “Crazy Doctor”, “Like Hell”, “In The Mirror”, “Heavy Chains” のようなリフが本当に大好きでね。彼らはいつも僕に夢を与えてくれたし、高崎晃の演奏も大好きだよ」 祭りには胸筋。どうぞ!!

VALENTINO FRANCAVILLA “MIDNIGHT DREAMS” : 10/10

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