タグ別アーカイブ: Modern Metal

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【QUADVIUM : TETRADOM】 STEVE DI GIORGIO SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEVE DI GIORGIO OF QUADVIUM & TESTAMENT !!

“You Can Make a Fretless Sound Like Fretted If You Want, But You Can Never Make a Fretted Sound Like a Fretless…The Fretless Bass Is Just So Much More Expressive And Has a Greater Distance From The Guitar.”

DISC REVIEW “Tetradōm”

「異なるサウンドを作るために実験的にエクストリーム・サウンドにフレットレスを持ち込んだんだ。もし望むなら、フレットレスをフレット付きのように鳴らすことはできるけど、フレット付きをフレットレスのように鳴らすことは決してできない……フレットレス・ベースの方が表現力が豊かで、ギターとの距離もとても近いんだ」
メタル世界で “フレットレス”、つまりヴァイオリンのようにフレットのない楽器は今や珍しいものではありません。ベースはもとより、Tom Fountainhead のようにギターにまでその波は広がっています。フレットを取り払った異次元的で滑らかな音色は、どんな楽曲にもえもいわれぬ独特な風味を加え、メタルの幻想と宇宙を深化させてくれるのです。
「DEATH は僕にとってすべてを意味する。Chuckは僕にミュージシャンとして成長するチャンスを与えてくれたし、何より他の人たちが注目できるよう僕をメタルの地図に載せてくれたんだからね。もちろん、”Individuals” の2年前には、僕にとってとても重要なアルバムに参加していたんだけどね… “Human” だよ。CYNIC の才能ある連中と一緒に、あんなに若くしてデスメタルの景色を変えたんだからね。あの作品で新しい方向への扉が開かれ、まったく新しいジャンルが生まれたんだ」
Steve Di Giorgio はそんなフレットレスの魔法をメタルに持ち込んだパイオニアのひとり。今は亡き Chuck Schuldiner が作り上げた DEATH の “Human” は、硬質なメタル世界に “浮遊感” という宇宙を持ち込みました。その新たな景色を描くために Chuck が必要としたのが、ジャズ/フュージョンに精通した CYNIC の面々と Steve のフレットレス・ベースだったのです。
そう、いつだって “壁” を壊すのは “奇抜” にも思える挑戦的なアイデア。以来、エポック・メイキングな “Human” は、テクニカル/プログレッシブ・デスメタルの金字塔となり、フレットレスはメタルの異世界を描く貴重な筆のひとつとなっていったのです。
「僕たちが若く、影響を受けながら成長していた頃、ベースは曲にとって他の何よりも重要だった。だけど、残念ながら90年代にはインスピレーションに溢れたベース演奏が乏しくなり、それは新世紀に入っても続いた。しかし、ここ10~15年の間に、非常に優れた、創造的なスタイルを持つ新しい世代のベーシストが現れ、メタルの中にベースの重要性を取り戻しつつあると思う。ベースが影から出てくると同時に、バンドをサポートし続けることが一般的になってきているんだよ」
始まりの場所 SADUS から、Steve が家と呼ぶ TESTAMENT、ARTENSION や SOEN、果ては MEGADETH まで果てないベースの旅を続ける Steve。そんな彼の挑戦と求道の中でも、QUADVIUM ほど “奇抜な” 試みは初めてでしょう。そう、QUADVIUM にはフレットレス・ベースの達人が Steve 以外にもうひとり、存在するのです。Jeroen Paul Thesseling。OBSCURA や PESTILENCE で名を成したオランダの奇才が加わることで、QUADVIUM はまさに前代未聞の “異質” な物体となりました。
“多弦フレットレス・ベースをさらに進化させたら?” をコンセプトに掲げる QUADVIUM。アルバム “Tetradōm” は、DEATH, CYNIC, ATHEIST, PESTILENCE といった90年代のテクニカル・デスメタルと、現代的なフュージョン・プログ・メタルを基盤とし、楽器の攻撃性と滑らかでジャジーなコード進行、そしてフレットレスの浮遊感、宇宙的景観を巧みに融合させながら、特徴的なダブルベースのサウンドを際立たせていきます。
次から次へとアイデアが飛び交うメタルの迷宮。アストラルな静寂の海、幻想的なハーモニーを切り裂く技巧と激情のインテンション。ふたりのベースの達人は、どちらが主役をはるでもなく、まさに Steve が語る表に出ながらサポートするというこの楽器の理想型を見せつけていきます。
ベースの進化はメタルの進化。「Chuck はよりオープンでメロディアスなギター・リフ・スタイル、”Human” や “Individual” のより創造的なやり方に戻るために僕のベースが必要だと感じていたんだ。でも、僕たちが2作目の CONTROL DENIED の計画を立てている最中に、彼の健康状態が悪化し、完成させることができなくなってしまったんだ。とても、悲しかったよ…それは、その音楽が彼の最も冒険的な楽曲であったからというだけでなく、いや、それ以上に僕たちが出会った1986年、アルバム前のデモの時代からずっと良い友人であったからなんだ。僕はひとりの親友を失い、世界はユニークな先見の明を失った」 TESTAMENT の新作も控えています。Steve Di Giorgio です。どうぞ!!

QUADVIUM “TETRADOM” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【QUADVIUM : TETRADOM】 STEVE DI GIORGIO SPECIAL !!

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HIDEOUS DIVINITY : UNEXTINCT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ENRICO SCHETTINO OF HIDEOUS DIVINITY !!

“Metal Sex Workers Degrading Metal” Makes No Sense At All, Especially Because The Metal Community Always Claims To Be The Most Open-Minded And Inclusive Of All Music Communities.”

DISC REVIEW “UNEXTINCT”

「僕らのマネージャーはずいぶん前から、日本がいかに重要か、そしてSNSやTwitter/X を正しく使って日本のファンと接触する方法を理解していた。時間と労力がかかることだが、最終的には報われる。ファンと個人的な対話をすることができれば(Tito はその達人だ)、アーティストはファンにとってより大きい存在になるだろう。日本で僕たちにアプローチしてくるファンは、言葉の壁があるにもかかわらず、僕たちを “より身近な存在” だと感じていることに気づいた。とても誇らしく、謙虚な気持ちになったよ」
世界は今や、SNSがすべての中心にあります。それは音楽の世界も同じ。知名度を高め、人気を得るために SNS の効果的な運用は不可欠でしょう。HIDEOUS DIVINITY と彼らが所属するイタリアのレーベル Death To All は、そうした状況を深く理解しています。
彼らは特に、日本のマーケット、その重要性を認識していて、SNS を日本語でも運用。こまめにチェックとエゴサを重ねて、言及のあったアカウントにいいねやリプライを送ることも欠かしません。それはたしかに、時間と労力を消費する裏の仕事ですが、資金をかけることなくマーケティングが可能な金の卵でもあるでしょう。遠く離れたファンとつながれる、幸せな時間でもあるはずです。そうして実際、HIDEOUS DIVINITY 初の日本ツアーは大盛況のうちに幕を閉じたのです。
「正直、あの時は彼女の職業については知らなかったんだ!”メタルのセックス・ワーカーがメタルの品位を落とす” というのは、まったくもって筋が通っていない。特にメタルのコミュニティは、あらゆる音楽コミュニティの中で最もオープン・マインドで包容力があると僕は常に主張しているのだから。一部の例外を除いて、メタル世界に差別的なエピソードは見当たらない。 もちろん、世界は愚か者でいっぱいだ。だからメタルを聴くバカもたまにはいるだろうが、それについて我々ができることはほとんどないんだよな」
一方で、SNS には暗い側面も存在します。誹謗中傷や差別の助長。HIDEOUS DIVINITY の日本公演にゲストとして招待されていたあるセックス・ワーカーのポストについて、”セックス・ワーカーがメタルに言及すると、メタルの品位が落ちる” と発言するアカウントが現れました。
さて、モダン・メタルの “品位” “品格” とは何でしょうか?個人的に、それは Enrico のいうように、包容力、寛容さ、そして教養だと感じています。人種や文化、性別や職業に貴賤がないことは、現代を生きる人々にとってまさに不文律といえます。その不文律こそ、人類が、そしてメタル世界が長い年月をかけて培ってきた知性であり、教養であるはずです。そこに、”区別” と称して差別や抑圧を持ち込むことこそ、前時代的であり、”メタルを聴くバカ” に違いありません。
せっかく、我々はどんなジャンルよりも多様で幅広いテーマを扱う、”教養” を養えるヘヴィ・メタルの世界にいるのです。その “教養” を粗末にするような SNS の使い方は避けるべきでしょう。
「僕たちの音楽が歓迎され、高く評価されたのを見ると、日本のファンを増やすことはできると思う。熱狂的で情熱的なデスメタルのファンに沢山会ったけど、彼らの多くは、UNBIRTH や PUTRIDITY といったイタリアの他のバンドのファンだった。僕たちはただブルータルなデスメタル・バンドではなく、他の方向に向かっていると思うから不思議なんだけど、それでもフィードバックはとても良かったんだ」
実際、多くの日本のファンは寛容だったようです。HIDEOUS DIVINITY の音楽は、決して一筋縄ではいきません。実に哲学的でテクニカルでありながら、暴力的で混沌したノスフェラトゥ。相反する要素を併せ持つ、彼らのテクニカルでプログレッシブなデスメタルを追求するリスナーは決して多くはないでしょう。それでも、日本のリスナーは、決して最推しではなくても、彼らの音楽に耳を傾け、理解しようと努力し、愛情を注ぐようになりました。もちろん、音楽の “品位” が高いことは当然ですが、そうして好奇心と寛容さでメタルの世界が広がることこそ、SNS 時代において最も美しい光景ではないでしょうか?
今回弊誌では、ギター・マイスター Enrico Schettino にインタビューを行うことができました。「日本のSNSにおける、トレンディング・トピックの達成は信じられなかったよ!日本に惹かれる理由はメンバーそれぞれだと思う。Enrico・H はアニメの世界に最も造詣が深いかもしれないし、メンバーみんなが80年代や90年代に人生を変えたビデオゲームを知っている。 個人的に、僕にとっての日本とは、黒澤、北野、葉隠、そして相撲だ。 一般的に、僕はいつも西洋の基準とは全く異なる世界に魅力を感じていたんだよ」 どうぞ!!

HIDEOUS DIVINITY “UNEXTINCT” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HIDEOUS DIVINITY : UNEXTINCT】

COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【DREAMWAKE : THE LOST YEARS】


COVER STORY : DREAMWAKE “THE LOST YEARS”

“Wavecore Is Essentially The Mixture Of Synthwave And Metalcore. We Just Took The Two Coolest Sounding Words From Both Of Those And Put Them Together.”

WAVECORE

2025年のヘヴィ・ミュージック・シーン。多くのモダン・メタル・バンドが創造的なことをしているのを目にします。SLEEP TOKEN はメタルに強烈でポップなオーラをもたらし、ELECTRIC CALLBOY はヘヴィ・ミュージックをパーティーに変えていきます。また、ICE NINE KILLS はメタルのスタイルでホラーに命を吹き込んでいます。
そして4年前、シンセ・ウェーブへの強烈な愛と情熱をメタル・コアのスタイルに融合させたバンドは今、そのアイデアを広げただけでなく、サックスを全面的に取り入れ、彼らのブランド “ウェーブ・コア” のアーバンでセクシーなサウンドを開花させました。
メタル・コアにプログレッシブなアプローチを取り入れ、そこにシンセウェイヴやサックスパートを持ち込む野心。コネチカットの DREAMWAKE は2018年以降、そのサウンドと野心を見事にスケール・アップさせてきました。セカンド・アルバム “The Lost Years” では、まさに独自の進化を遂げたメタルの構築に成功。彼らの “ウェーブ・コア”サウンドは、メタル・コアのヘヴィネスとシンセウェイブの温かくノスタルジックなフィーリングをカップリングしたもので、まさに唯一無二の取り合わせ。まず、ウェーブ・コアとはどういったジャンルなのでしょうか?ギタリストの Dave Pazik が答えます。
「ウェーブ・コアとは、基本的にシンセ・ウェーブとメタル・コアのミックスだ。 シンセ・ウェーブとメタル・コアの中で、最もクールな響きを持つ2つの言葉を一緒にしたんだ。それでウェーブ・コアになった。 少しずつ定着し始めているね。シンセ・コアやレトロ・コアを使う人もいるけど、僕らはウェーブ・コアが気に入っている。それがこのバンドの本質なんだ。 僕らは典型的なメタルコア・バンドよりも少し多くのことをやろうとしている。 メタル・コアは僕らが大好きなものだけど、シンセ・ウェーブの要素を加えて、僕らのアートの原動力にしたいんだ」
フロントマンの Bobby Nabors も付け加えます。
「シンセウェーブは僕らの人生の中でとても大きな部分を占めている。 僕らはみんな、2017年にリリースされた “Nocturnal” で THE MIDNIGHT というバンドを知ったんだ。 僕たち全員が初めてそれを聴いて、音楽的にも人間としても変わったんだ。僕らの人生、キャリア、そして目標において、とても重要なポイントだった。 このアルバムは、僕たちがバンドとしての本当のアイデンティティを見つける手助けをしてくれたんだよ。僕たちはまだまだ拡大し、成長し、実験していくような気がするけど、超自然に真摯に僕たちの心と魂を完全に注ぎ込むことができるものを見つけたんだ。とても情熱を持っているよ。シンセ・ウェーブは DREAMWAKE の大きな部分を占めていて、これからもこの要素を加えたいと思っているんだ」

メタル・コアとして始まり、そこにシンセウェーブを加えたのでしょうか?Bobby が答えます。
「僕ら3人は、このバンドを結成する前にも複数のバンドをやっていたんだ。シンセを取り入れたバンドもあったけど、ほとんどはストレートなメタル・コアだった。それからバンドを始めて、EP “Dark Thoughts in Vibrant Minds” をリリースして、自分たちの本当のサウンドというか、少なくとも方向性を見つけることができた。でも、その中の何曲かはただのストレートなメタル・コアだった。 方向性が定まっていなかったんだ。実際にサックスを使って少し実験してみるまではね。サックス奏者 Jesse Molloy は、僕たちのすべてのレコーディングに参加してくれている。確か “Paradise” という曲で実験的に彼に声をかけたんだ。 この曲は春のビーチのようなフィーリングで、僕たちはサックスで一段上のフィーリングにしたかった。うまくいったし、だから僕たちはそれを取り入れて走り出した。Jesse は、それまでメタルはやったことがなかったので、自分とはまったく違うものだと言っていたけどね。こうして DREAMWAKE のサウンドが誕生したんだ。 サックスはかなり大きな存在だけど、シンセ・ウェーブで自分たちのサウンドを見つけたんだ」
つまり、DREAMWAKE にとってはメタル・コアと同じくらい、シンセ・ウェーブとの出会いが衝撃的だったのです。Dave が回想します。
「僕らが初めてシンセ・ウェーブに出会ったときのことを覚えている。とてもクールな瞬間だった。友人の車で音楽を聴いていたとき、彼が初めて THE MIDNIGHT を聴かせてくれたんだ。それまであまり聴いたことのない、本当にクールなスタイルの音楽だった。だから僕たちは、自分たちがすでに知っていて大好きなものを使って、シンセ・ウェーブを自分たちのものにする方法を見つけたかった」

Bobby がシンセ・ウェーブに見つけたのは、エモーションとノスタルジアでした。
「感情に訴える音楽に関しては、僕らはみんな本当に情熱的だと思う。僕たちは皆、音楽に何かを求めている。 何かを感じさせてくれるような… シンセ・ウェーブや THE MIDNIGHT、そういったバンドに出会って、一気に世界が広がった。シンセ・ウェーブの音楽の多くには、僕たちが書く傾向にあるものと似たテーマがある。人生、内なる葛藤、物事のダークでヘヴィな側面、でも同時にポジティブであること。ほろ苦さという奇妙なエネルギーがある。ノスタルジックで温かみがあると同時に、ちょっと冷たい感じもする。この作品は感情に左右される音楽で、サックスはその素晴らしい一部だと感じている。感情を引き出してくれる。 それこそが、僕らの音楽の正義なんだ。
サックスが入ると、ひとつのレベルからまったく違う領域になるんだ。鳥肌が立つような感じだ。バンドをやりながら自分たちを表現できることが本当に嬉しいね」
とはいえ、今をときめくあのバンドにも影響を受けています。
「SPIRITBOX, PERIPHERY, ERRA, NOVELISTS といったバンドやアーティストからインスピレーションを受けている。加えて、The Midnight, FM-84, Timecop 1983 といったシンセウェーブ・アーティストからも多くのインスピレーションを受け、プログレッシブ・メタルコアとシンセウェーブ・ミュージックの両方から影響を得ることで、現在のサウンドを作り上げることができたんだ」

モダン・メタルの世界では、多くのバンドが同じように外部から様々な影響を取り入れようとしていますが、不誠実で歪なやり方も少なくありません。しかし、DREAMWAKE は実に自然です。Bobby はこの実験をとても気に入っています。
「ありがとう。 サックスを使った実験は、最初は1回限りのものだったんだけど、曲の感情をうまく引き立てているのを聴いて、僕らのサウンドの永久的な一部にする必要があると感じたんだ。 僕らの曲はサックスがとてもよく合っている。
以前は曲を書いてから、入れる場所をサックス奏者に選んでもらっていた。サックスを入れる場所を決めてもらっていたんだ。でも今回のアルバムでは、彼に楽しんでもらうことにしたんだ。 やりすぎたり、無理強いしたりすることなく、サックスの出番を増やすようにした。以前のレコードよりもサックスを散りばめて、そのメッセージを訴えかけるようにしているんだ」
“The Lost Years” は、前作 “Virtual Reality” よりも様々な点で進化を遂げていると Dave は語ります。
「幅を広げたという感じかな。 サックスやシンセ・ウェーブ、軽めのパートもたくさん書いたけど、ヘヴィなパートも間違いなく増えた。 そういう意味でも幅が広がったと思う。今回は DREAMWAKE のダイナミックさがより広がったと思う。まず、僕らは “Virtual Reality” で自分たちのサウンドを見つけたんだ。今回のアルバムでは、自分たちがやっていることを両極端により強烈な形で届けるにはどうしたらいいか、より意図的で計算されたものにしたのさ」

“The Lost Years” から何を感じ取ってほしいのでしょう?Bobby が答えます。
「”The Lost Years” は人生の “ページめくり” のような気がするね。青春時代から、大人としての自分を発見し、人生の目的を見つける。人生の次のステップを踏み出し、自分が進むべき道を進む。制作中の何年かの間に、僕らはちょっとしたアイデンティティの危機に陥っている。
“The Lost Years” の多くは、痛みや感情、人生の良い年や悪い年について書かれている。しかし、トンネルの中には光もある。怖いけれど、楽観的になること。 地平線の先には、必ず良いことが待っている。人生は前進する。もしこのアルバムを聴いてくれる人がいたら、大丈夫だと感じてほしいし、人生がどんなに苦しくても、怖くても、前に進み続ける理由があることを知ってほしいんだ」
Dave が付け加えます。
「さらにいえば、陳腐に聞こえるかもしれないが、”君はひとりじゃない” というメッセージを発信したかった。年齢を重ね、問題や葛藤を抱えていると、かなり孤立してしまうような気がするんだよ。周りのみんなもそうした苦労をしている。時には結局自分しかいないことに気づくこともある。それは良いことでもあるけれど、誰にでもサポートシステムが必要だし、自分が経験している苦難は一時的なもので、解決できるものだと気づかせてくれる人が必要なんだ。僕らの音楽がそのための逃げ道になったり、苦境に立たされているのは自分だけではないということを誰かにわかってもらうためのプラットフォームになったりするのなら、それは素敵なことだ。それが大きな目標であり、僕たちの活動から受け取ってほしいメッセージなんだよ」

DREAMWAKE にとって、歌詞やメッセージはとても大切なものだと、フロントマンは語ります。
「僕は歌詞を書くとき、それが良いものであれ悪いものであれ、特定の感情を感じない限り何も書けないんだ。無理やり書くことを自分に許さない。書けるのは、音楽を通して納得して、解決するに値する何かを感じているときだけだ。だから歌詞を書くときは、誰がどう解釈してもいいように曖昧に書く。 でも、僕は自分自身の個人的な葛藤や自分の人生で経験していることから歌詞を書いているんだよ。
歌詞はある意味セラピーのようなもの。 自分の考えや感情を処理するためのね。誰だってそれを吐き出す方法が必要だ。僕の方法は幸運にも音楽だ。 歌詞には誇りを持っているし、時間をかけている。僕にとってとても大切なものであり、このアルバム全体がとても重要なものなんだ」
シンセ、サックス、そしてプログレッシブなメロディー。 曲を作るプロセスを Dave が説明します。
「どの曲もスタートが違う気がする。 最近はシンセのメロディから始まる曲が多い。というより、リフから書くことだけは避けるようにしている。むしろ、すでにそこにあるメロディにリフをつけるほうがいい。僕たちはいつも演奏を先に仕上げる。Bobby と僕は10代の頃からずっとそうだった。スタジオに行って、歌詞のない曲を書いて、曲を完成させる。 そうすれば、自分たちのサウンドスケープを作ることができる。 ギター・パートやシンセの多くが、まるでボーカルのメロディーのように歌えることに気づくだろう。 ボーカルを入れる前に、そういうものをたくさん入れるようにしているんだ。なぜなら、初めて聴いたときには気づかないような、サブリミナル的なメロディーが背後にあるからだ」

ボーカリストも、バックの演奏には絶大な自信を持っています。
「インストゥルメンタルの面では、ボーカルがいなくても、僕らの曲は大きな声で語りかけてくるような気がする。何が起こっているのか聴き取れる。僕らの音楽と作曲プロセスには、たくさんのレイヤーがある。 集中しないと聞こえないこともある。そのプロセスには、とても多くの思いが込められているんだ。もちろん、ボーカルがあるときは、とてもいいし、音楽に素晴らしい要素を加えているのだけど、インストゥルメンタルだけを聴いていないと聴こえないようなものがたくさん隠されてしまうんだ。だからファンにはインストゥルメンタルも集中して聴いてほしいと思っているんだ。ある意味、曲を別の視点から聴いているようなものだからね。
どのレイヤーも無駄にはなっていない。僕らの音楽には、ひとつひとつに明確な目的がある。 フィラーもナンセンスもない。それぞれのピースがそこになければならないと感じているんだ。 インストゥルメンタルにはプライドがあるんだ。僕らはバンドで全領域をカバーしようとしているんだ。 トラック内のあらゆるものが常にシュレッドしているようにしたいんだ(笑)。 もしそうでないなら、僕たちはそれをさらに加速させる必要がある。 すべての小品が印象的であってほしい。 どの曲にも驚きを与えたいんだ」
DREAMWAKE は音楽と歌詞だけでなく、MVやマーチャンダイズにもノスタルジックでレトロ・フューチャーな雰囲気が醸し出されています。逆にいえば、メタル・バンドが定期的に使うような色彩はあまり見かけません。Bobby が説明します。
「そうすることで、自分たちを最大限に表現することができる。このバンドのピースは、イメージ、マーチャンダイズ、すべてを含めて、僕たちの心の一部みたいなものなんだ。それはまた、僕たちがバンドと迷い、そして今ここにいること、人生の様々な時期に似ているのかもしれない。シンセ・ウェーブ/ヴェイパーウェイブの美学は、僕たち自身を本当によく捉えている。ノスタルジックな子供時代のような、温かくてファジーな感覚を持ちながら、同時に切なくてエモーショナルでもある。
ピンクとブルーを見ると、誰もが自動的に DREAMWAKE 思い浮かべるよね(笑)。それが僕らのカラーなんだ!」

ブルーとピンク。Bobby はそのツートンカラーの色合いを、完璧主義者とそこからの解放のふたつで実践しています。
「少なくとも僕は、ミュージシャンとして毎公演完璧でありたいと思っている。でも毎晩必ず何かがあるわけだから、自分の頭で考えて、ショーの後に自分を責めないことが大切なんだ。多くのミュージシャンは、少なくとも僕が会った人たちはそうだった。完璧でありたい、もっとうまくなりたいと思うのはみんな同じだけど、常に自分が一番の批判者なんだ。以前はステージから降りると、その晩はずっと怒っていて、ツアーや旅を台無しにしていた。今は、ステージに立つこと、そしてそのステージをやり遂げることに喜びを感じられるようになった。何が起ころうとも、起こったことは起こったことだし、自分が一生懸命やった限り、それがすべてなんだ。この前のツアーでは、それを本当に実践したし、精神状態も以前よりずっと良くなった。 ミュージシャンとして、少なくとも僕にとっては、毎晩110%完璧でなくても大丈夫だということが、大きなことだと感じている。 人間である以上、何かは起こるものだから、そこに行って人々のためにやった自分を褒めてあげて、多幸感を感じて次のステージに行くんだ」
DREAMWAKE というバンド名も、そもそも “多幸感” を意識してつけられました。
「DREAMWAKE という名前の由来は、音楽を演奏することで自分たちの感覚を体現できるような名前を見つけようとしたことからきているんだ。僕たちはそれを、夢やフロー状態、ネガティブな考えやアイディアから解放された状態だと考えたい。 音を通して、現実から一時的に逃避し、多幸感に浸るようなね」
シンセ・ウェーブは、ここ10年ほどの間に、音楽だけでなく様々な側面に浸透してきました。バンド全員がその事実に興奮を覚えています。
「本当にクールだと思うよ。 僕らのビデオにも、そういった側面をいくつか使っている。”Night Rider” のビデオでは、ランボルギーニが登場し、背景にはサイバー・パンクのような街並みが映っていた。
シンセ・ウェーブの要はフィーリングに浸れることだ。 だから、純粋でオーセンティックなシンセウェーブを取り入れたものには、何らかの愛着が湧くんだ。 胸に響く感覚を与えてくれる。僕らにとってはとてもありがたいことなんだ。
今、シンセウェーブが注目されているのはとても嬉しいことだよ。みんなが大好きなものだから、あちこちのメディアで目にすることができる。ある意味、僕らのために作られたトレンドのようなものだ。僕らにとっては、子供時代に似ているんだ。90年代に育ったから、80年代後半から90年代がスイートスポットだと感じている。まさにノスタルジーだね。僕たちがこの音楽をやっているのと同じ頃に流行っているというのは神だ。もちろん、情熱的なプロジェクトだから、流行に乗るつもりはないけれど、社会がシンセウェーブで病みつきになっているのは事実だ。僕たちはその利点を享受することができるんだ」

参考文献: DEAD RHETRIC : Dreamwake – Championing Wavecore

KILL THE MUSIC : UNSIGNED SPOTLIGHT DREAMWAKE

100% ROCK MAG: DREAMWAKE Interview

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CALVA LOUISE : EDGE OF THE ABYSS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JESSICA ALLANIC OF CALVA LOUISE !!

PIC BY HENRY CALVERT

“I grew up during a very hard economic and social crisis in Venezuela so the alternative scene was disappearing, I felt the need to leave the country.”

DISC REVIEW “EDGE OF THE ABYSS”

「多様なルーツはアドバンテージだよ。なぜなら、それぞれの文化から吸収した影響があって、ひとつに左右されないから。私たちが共通して持っているものに従い、より純粋な形でつながることができるから」
世界は、異なる文化や人種を再び “排斥” する方向へと向かっています。SNS において無闇に恐怖を煽る、悪質なデマを流す大声の煽動者たち。しかし、そもそも本当に異文化や異人種は “悪” なのでしょうか?寛容さはお花畑なのでしょうか?差別と区別は異なるものなのでしょうか?
イギリスに本拠地を置きながらも、ベネズエラ、フランス、ニュージーランドと多国籍な “移民” が集う CALVA LOUISE は、音楽によって壁を壊し、世界をつなげられると信じています。
「私はベネズエラの非常に厳しい経済・社会危機の中で育った。そんな状況だからベネズエラのオルタナティヴな音楽シーンは消えつつあり、国に止まる以外の様々な可能性を考慮しなければならなかったのよ。非常に複雑なプロセスに直面して、国を離れる必要性を感じていたのね。
しかし、最終的には、そうして国を離れたにもかかわらず、ベネズエラの人々、そして世界中の多くのベネズエラ人から多くの好意的なコメントを受け取っているのよ!」
まるで THE DILLINGER ESCAPE PLAN に加入した Poppy。そんな例えが違和感なく感じられる、破天荒なボーカリスト Jessica Allanic。そんな彼女の音楽人生もまた、波乱に満ちたものでした。
ベネズエラに生まれた Jessica は、彼の国の政情不安、ハイパーインフレーション、貧困、そして治安の悪化と向き合いながら育ちました。しかし彼女が最も耐え難かったのは、MUSE や SYSTEM OF A DOWN, QUEENS OF THE STONE AGE に憧れながら、ベネズエラのメタルやオルタナティブ・シーンが国力と共に衰退していったこと。そうして彼女は、欧州への移住を決意します。
「メタルにはカタルシスという側面もあるし、生々しく純粋な感情や深いメッセージを表現することで、そしてこのジャンルが人々にもたらす複雑な感情を表現することで、本物のつながりを作ることができる。私たちはバンドとして、特に今、それが本当に重要だと感じているのよ」
フランスで盟友と出会い、そしてイギリスでまた別の大陸の盟友と出会った Jessica は、自身の幼少期の想像の世界、SFの理想と夢を CALVA LOUISE で現実のものとします。彼女の夢には、どんな壁もありません。スペイン語、フランス語、英語はあまりにも自然に Jessica の夢幻世界へと溶け込み、オルタナティブもポップもNu-metalもメタルコアもプログもフォークもまた、あまりにも自然に夢のシチューで煮込まれて、えもいわれぬ極上の美味と混沌を生み出します。
バンド名の由来となったイヨネスコの不条理劇は、画一化されたアートへの反抗、社会規範への同調、その危険性を皮肉たっぷりに描いています。そして、CALVA LOUISE もまた、移民であること、多国籍であることをアイデンティティとして、全体主義、画一化への抵抗、創造的自由の追求をかかげているのです。音楽で世界をつなげるために。
今回弊誌では、Jessica Allanic にインタビューを行うことができました。今年の2月に2週間日本に行くことができ、最高の経験をしたの! デジモン、セーラームーン、カードキャプターさくら、その他たくさんのアニメを見て育ったからね! Maximum the Hormone のような日本のバンドや、Bunnyのような新しいアーティストも大好き! 私の夢は、いつか日本で演奏すること!」 どうぞ!!

CALVA LOUISE “EDGE OF THE ABYSS” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CALVA LOUISE : EDGE OF THE ABYSS】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CRIMSON SHADOWS : WHISPERS OF WAR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JIMI MALTAIS OF CRIMSON SHADOWS !!

“We’re Definitely Inspired By The Way Metalcore Bands Like Killswitch Engage Blend Growls And Clean Vocals, And We Wanted To Bring Some Of That Emotional Intensity Into a Power Metal Context.”

DISC REVIEW “WHISPERS OF WAR”

「KILLSWITCH ENGAGE のようなメタルコア・バンドの、グロウルとクリーン・ボーカルを融合させる手法にインスパイアされているのは確かで、そのエモーショナルな激しさをパワー・メタルに持ち込みたかったんだ。 同時に、僕たちは常にメタルのダークでシアトリカルな側面のファンでもあるので、CRADLE OF FILTH のようなバンドの影響は、僕たちのアレンジや雰囲気の一部にも自然に表れているはずだよ。 僕らにとっては、厳密なジャンルの枠に収まることよりも、自分たちのストーリーを伝え、自分たちが望むムードを作り出すために正しいと感じるものをブレンドすることの方が重要なんだ。それこそがパワー・メタル、あるいはエクストリーム・パワー・メタルの進化形と言えるかもしれないね」
エクストリーム・パワー・メタル。CRIMSON SHADOWS のサウンドはそんな二つ名で呼ばれています。そして、実際にそのパワー・メタルはあまりにもエクストリームで規格外。だからこそ、長い活動休止がなければ、明らかに彼らは DRAGONFORCE と共にモダン・パワー・メタルの主力となっていたはずでした。
CRIMSON SHADOWS のサウンドは、もし DRAGONFORCE が90年代後半から2000年代前半の北欧に降り立っていたら、長じて北米の恩恵を胸いっぱいに吸い込んでいたらこうなっていただろうと思わせる圧倒的な推進力と破壊力を備えています。つまり、メロデスやブラック・メタル、メタル・コアの手法を、ファンタジックでエピカル、ファストなパワー・メタルに叩きつけているのです。
「僕たちにとって、グロウルは、ただ単に他と違うことをしようとするためのものではなかったんだ。僕たちが語っているストーリーの種類や、音楽にもたらしたい激しさによって、導入するのが自然に感じられたんだよね。パワー・メタルは非常に高揚感があり、メロディックであることもあるけれど、僕たちは常に戦争、喪失、闘争といったダークなテーマに傾倒してきた。だからハーシュ・ヴォーカルを採用することで、感情の重みをより直感的な方法で表現できるようになったんだ。クリーン・ボーカルとのコントラストは、曲にダイナミックな幅を与えるのにも役立っている。 高揚感のある壮大な瞬間から、よりアグレッシブでプリミティブなものへと変化させることができるからね」
そうして、もしかすると CRIMSON SHADOWS は、同じカナダの INTO ETERNITY や UNLEASH THE ARCHERS 以上に、パワー・メタルにおけるグロウルの導入を見事にやってのけているかもしれませんね。この試みの難しいところは、パワー・メタルにグロウルを取り入れすぎると、例えば WINTERSUN や KALMAH のようなメロデスになってしまうこと。それは、初期のイエテボリ勢が多かれ少なかれ、パワー・メタルに影響を受けていたことにも通じます。しかし、CRIMSON SHADOWS のやり方は、あくまでもパワー・メタルが主軸。同時に、戦争という重苦しい、血生臭いテーマにグロウルの凶暴で巧みにリアリティを与えていきます。
「戦争は難しいテーマだけど、人類の歴史や物語には常につきまとうものだ。僕たちにとって、”戦争のささやき” は争いを美化するものではなく、戦争の現実と結果、それに伴う痛み、喪失感、回復力を探求するものだったんだ。 世界が分断され、暴力的になっているように感じる中、僕たちは、そのような葛藤に正直に光を当てたいと思った。 時に音楽は、困難な感情を処理し、暗い時代であっても団結することに強さと希望があることを人々に思い出させる手段となり得る。それは、特に今、伝えるべき重要な物語のように感じるね」
平和への希望を持ち続けても、実際に戦争はすぐそばにある。そんな葛藤を CRIMSON SHADOWS は “Whispers of War”、”戦争のささやき” において、希望のクリーンと絶望のグロウルで見事に描き出していきます。試されるのは忍耐力。自分を信じ、他人を信じ、全てを乗り越える力強さを、彼らは200bpmの猛スピードで世界に示して見せるのです。
今回弊誌では、ボーカリスト Jimi Maltais にインタビューを行うことができました。「際立っているのは、カナダのバンドのテクニックの高さだ。たぶん冬が長いからだと思う。1年の半分は楽器を抱えて家に閉じこもっていて、他にすることがないからね。練習し、曲を書き、すべてを微調整する時間がたくさんある。そのおかげで、正確さと生々しさがミックスされ、カナディアン・メタル独自の味わいが生まれるんだ」 どうぞ!!

CRIMSON SHADOWS “WHISPERS OF WAR” : 9.9/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CRIMSON SHADOWS : WHISPERS OF WAR】

COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【CAR BOMB : TILES WHISPERS DREAMS】


COVER STORY : CAR BOMB “TILES WHISPERS DREAMS”

“At The End Of The Day, The Process Of Making And Playing Music Is The Biggest Reward, So You’d Better Be Making Something That You Love.”

TILES WHISPERS DREAMS

複雑なメロディとリズムの融合は、メタルの誕生以来、常にその主要な要素の一つでした。BLACK SABBATH の楽曲における Bill Ward のジャズ的なドラミングや、LED ZEPPELIN の層を重ねたアレンジ、シンコペーションなど、メタルの激しさはその複雑さと密接に結びついてきました。そして、そのつながりは時と共にさらに強固なものとなっています。
ニューヨークの CAR BOMBは結成されてからほぼ25年間、演奏が困難なほど複雑なメタルを創造する最前線に立ち続けています。そして、6年ぶりとなる巨匠の帰還。ポスト・ハードコア、メタルコア、マスコア、そしてパンクのあらゆる要素を、純粋無垢な激しさでぶつけ合った、野蛮で妥協のない短編アルバム “Tiles Whisper Dreams” の12分はあまりも濃密で予測不能かつ衝撃的です。
そんな CAR BOMB の混沌は、どのように始まったのでしょうか?ギタリストの Greg Kubacki が説明します。
「1990年代後半、Mike と僕は NECK というバンドに所属していて、Elliot と Jon は SPOOGE というグループで一緒に演奏していたんだ。両バンドはロングアイランドのロックビル・センターにある同じリハーサルスペースを共有していて、互いの音楽のファンだったんだ。だから、両バンドが解散してから数年経った後、僕たちは力を合わせ、以前のプロジェクトよりもヘヴィでテクニカルな音楽に挑戦することを決めたんだよ。以来、僕たちは CAR BOMB に全力で取り組んできた。
2000年代初頭に結成後、僕たちは自らのサウンドを探求し、アイデアを書き下ろし録音する方法を学ぶために多くの時間を費やした。最初のアルバム “Centralia” は2007年に Relapse Records からリリースされ、同レーベルの他のバンドと共にツアーを開始した。だけど僕らは昼間の仕事を完全に辞めることを望まなかったから、Relapse と別れ、自分たちのペースで音楽を作り、全てを自分たちで手がける道を選択したんだ。僕たちは3枚のアルバム “w^w^^w^w”, “Meta”, “Mordial” を自らレコーディング・リリースし、Meshuggah, Gojira, Dillinger Escape Plan, Between the Buried and Me, Animals as Leaders といったバンドとのツアーにも参加する幸運に恵まれたんだ」

CAR BOMB の音楽は、時にエイリアン・コアなどと例えられています。
「創造的な活動を言葉で表現するのは難しい。僕らは感覚に依存しているからね。それでも言葉にするならばおそらく、プログレッシブ・デスコア、マスコア、プログレッシブ・メタルに、スペースロックやシューゲイザーの要素を混ぜたものと言えるだろう。まあ、”エクストリーム・メタ” や “エイリアン・コア”、甚至いは “レーザー・コア” と呼ぶ人もいるよ…(笑)。僕たちは多くの実験をするけれと、ジャジーやアバンギャルドな方向へ行き過ぎないように注意しているんだ。ヘヴィでグルーヴィーなサウンドを保つことを重視しているし、それが僕たちの独自のグルーヴの解釈であってもね。
僕たちの音楽に惹かれる人々は、僕たちが好むようなヘヴィなサウンドを求めていると思う。ただし、それは従来のジャンルに囚われないもの。僕たちは常に異なるアイデアや、曲、ドラムビート、コード進行、リフを歪める方法を模索していて、ファンもそのような実験的な要素を好むと考えているよ」
パンク、ハードコア・パンクもメタルと同様、CAR BOMB にとって重要な要素です。
「リフを演奏するときの感覚として、パンクの美学は常に持っていたいと思っている。メロディックなパートであっても、洗練されていないというか、そう表現するのが一番だと思う。 あまりプロダクションを加えたりせず、かなりラフな状態に保ちたいんだ。2017年に GOJIRA とツアーを行い、30日間ぶっ通しで演奏したんだ。 彼らがどのようにエネルギーを使い、それぞれのリフを曲の完璧な部分に落とし込んでいくかを見て、僕たちは本当に感銘を受け、それを目指して努力した。ランダムに長尺の曲を作るのではなく、”オーケー、異なる拍子のランダムなリフがいくつかあるけれど、どうすればもっと多くの断片を曲の後の部分に入れることができるだろう?” とか、”どうすればリフを持ってきて、半分に切ったり反転させたりできるだろう?” と考えてみたんだ」

つまり、GOJIRA から学んだのは混沌をコンパクトに纏めること。
「繰り返しになるけど、GOJIRA との経験に戻らなきゃいけないと思うんだ。観客の反応や、彼らがどれだけ誠実に音楽を作っているかを目の当たりにしたからね。 スタジオが一緒だから、彼らのレコーディングや曲作りを見ることができるんだけど、彼らのやることはすべて100%本心からなんだ。彼らの音楽がより原始的になるにつれて、彼らはいつも SEPULTURA “Roots” 時代や “Chaos A.D.” 時代のグルーヴ・メタルに近いものを追求している。 僕たちはあまりそういうことはしないんだけど、”自分たちの音楽でやっていることをすべてコンパクトにして、より良いストーリーを語るにはどうしたらいいか? どうすれば観客を驚かせることができるだろうか?”… 今回は、それを本当に恐れていない。”ああ、またあの部分が出てきた!”と思うような部分もある。 “w^w^w^w” の時は、ランダムなリフに次ぐランダムなリフの奇妙なピースのようだった」
これだけ複雑な音楽を制作するためには、クラシックや理論の教育が必要なのでしょうか?
「特には必要ないよ。僕たちの中には、クラシックの訓練を受けた人はいない。実際、最も多くのレッスンを受けたのはボーカルの Mike で、彼は狂ったようなクラシックギター奏者だった。ナッソーコミュニティカレッジで3年間ほどクラシックギター音楽を専攻していたからね。
僕たちはフィリップ・グラス、スティーブ・ライヒ、ストラヴィンスキーのような現代の作曲家に影響を受けている。フィリップ・グラスは完璧な例で、彼は常に1つの要素を少しずつ追加していくんだ。7/8拍子から4/4拍子、9/8拍子へと拍子を伸ばしていくのだけど、それは非常に自然で、不快なものではない。それはもはや数えるようなものではなく、リスナーを包み込むような織物のようなパターンになり、それこそが僕たちも目指しているものなんだ。数えられるならいいし、数えられなくてもいい…できれば、頭を使わなくても消化できるようなものを目指しているんだ」

長い音楽生活の中で、現在の CAR BOMB を刺激しているものは何なのでしょう?
「明らかに Meshuggah と Deftones で、彼らの影響は僕たちの音楽の至る所に感じられるよ。個人的には、90年代と00年代にやや主流から外れたミュージシャンが好きで、その時代のフェイバリット・アーティストとしては、Aphex Twin, Autechre, Failure, My Bloody Valentine, Coalesce, Suffocation, Boards of Canada, Mew, Radioheadなどがいるね。IDM…インテリジェント・ダンス・ミュージックとは、ワープ・レーベルに所属していた人たちの呼び名で、Squarepusher など、1990年代前半に大流行した音楽。 僕たちはみんな、1990年代前半にそういうものに夢中になって育ったんだ。 特に最新作では、僕らがどこから影響を受けているのかがよくわかる。 Meshuggah のリフをそのままパクることを恐れているわけじゃない。 僕らはそういうバンドが大好きだから、そうだ、それを入れようって感じなんだ。 そういうバンドは最初から続いているんだ。
CAR BOMB ができる前は、2つの別々のバンドとして一緒にリハーサル・スペースでジャムっていたんだけど、Elliotが “Destroy Erase Improve” が出た時にテープでくれたんだ。 ちなみに、僕は今でもそのコピーを持っている。 それを聴いてすぐに、そして Eliot の演奏を聴いて以来、彼とずっと一緒に演奏したいと思うようになったんだ。
現在、僕は Turnstile や Sanguisugabogg のようなバンドによるハードコアの復活に本当に刺激を受けているんだ。彼らは、現代の音楽に欠如している生のエナジーを再びもたらしているよね」
ラインナップが不変で、共に創造性を高め続けられるのも CAR BOMB の強みでしょう。
「最初から僕らにとって常に新しい音楽を作るという意図のようなものがあった。たぶん、これまでに試したことのないようなもの、あるいは音楽界である意味ユニークだと感じるようなもの。 さっきも言ったように、僕らは他のバンドからたくさんのものを借りているけど、自分たちらしいものを作りたいと思っているんだ。 Mike の歌い方、僕のエフェクトのかけ方、Elliot のドラムの叩き方、そして Jon の怪物的なベース。 でも、僕たちはいつも新しいものを聴いたり、新しい映画や番組を見たり、新しいアート作品を鑑賞したりしている。新しいものを探すことは、僕たちのDNAに組み込まれているようなものだから、それも大いに関係していると思う」

 

生死を問わず、共演してみたいアーティストは?
「うーん、難しい質問だけど、今ならグスタフ・ホルストを選ぶだろう。彼は1920年代に “ザ・プラネッツ” を作曲したイギリスの作曲家で、今回、一連の曲の作曲に大きな影響を与えてくれたんだ。彼の頭の中をのぞき、シンプルなモチーフを感情豊かな音楽に展開する方法を学べたら、僕にとって非常に興味深く興奮する経験になるだろうね」
“Tiles Whisper Dreams” には、バンドの進化、6年の歳月が反映されています。
「2019年に前作のアルバム “Mordial” をリリースし、その直後から音楽の制作を開始し、以来ずっと試行錯誤を続けてきたんだ。数多くの異なる試みを重ね、最終的にそれらのアイデアは数曲に凝縮されていったんだ。そのうちの3曲が今回の新EPを構成しているよ。過去20年間で学んだ全てを、最もインパクトのある曲に凝縮しようと努めたんだ。
ギター的にはそれぞれが独自の難しさがあるね。”Paroxysm” は右手の腕を酷使する曲、”Tiles Whisper Dreams” は左手のリフの連打が特徴的で、”Blindsides” はエフェクトの切り替えが頻繁。 3曲ともライブで圧倒的な迫力を出すように設計されているので、大きなフェスティバルのPAスピーカーでどう響くか楽しみだよ。昔の曲だと、”Secret Within” をライブでやるのはいつも楽しいね」
これからの目標はどこに置いているのでしょう?
「現在の目標は、作曲と音楽のリリースを続けること。音楽の作曲とレコーディングは僕の最大の情熱で、今までにないほど、それに集中したいという強い衝動を感じているんだ。CAR BOMB は現在、来年リリース予定のLP用に8曲の制作を進めている。また、Xytechra(私のエレクトロニック・ミュージック・プロジェクト)、Thrush(ギターを軸にした新規プロジェクト)、Ben Frost とのコラボレーション作品も複数あり、今年後半にリリース予定だよ」

25年の経験を踏まえて、若いアーティストに贈るアドバイスとは?
「まず、最も共鳴する音楽やアートを追求すべきだね。結局のところ、音楽の制作や演奏できること自体が最大の報酬なんだから、あとは愛するものを創り続けるべきだよ。次に、諦めずに続けること。バンド Bent Knee の友人 Courtney Swain が “成功するバンドの秘訣は解散しないことだ” と教えてくれたね。言うは易く行うは難しだけど、続けるほどに芸術表現のスキルが向上し、新たな機会が拓けていくよ。
僕たちが成功を収めている大きな理由は、バンド内のトラブルや人生の責任、様々な障害にもかかわらず、常に友人として結束し、諦めずに努力し続けたことだと確信しているんだ。つまり、3曲リリースするのに6年かかったけどね(2年に1曲…笑)。過酷なプロセスで、時にはこれが終わることはないと感じることもあった。でも諦めず続け、今ようやく音楽が世に出る楽しい段階にたどり着けたんだ」
演奏できること自体が最大の報酬。そう、CAR BOMB はライブを愛しています。
「僕が最も好きなのは、ステージ上で全員が完全に調和し、非常に緊密に演奏している瞬間なんだ。その瞬間は、自分が何を演奏しているか考えず、音楽が独自の生命を帯びていくのを感じるよ。体は自動操縦状態にあるような至福の状態で、同時にPAから響く巨大な歓声と、観客の熱気を感じている。その感覚を言葉で表現するのは難しいけど、その感覚に浸ることは中毒性があるね…落ち着きとエネルギーが同時に感じられるんだ。
キャリアのハイライトとしてショーを選ぶなら、Hellfest のメインステージは本当に壮観だった…人波の前で演奏する経験は、まさに現実離れしたものだったから。でも、おそらく最大の節目と言えるのは、2014年に Meshuggah とツアーをしたことだね。ヒーローたちの前座を務めることは、信じられないほどの栄誉で、僕たちに “このバンドをどこまで連れていけるのか” と考えさせてくれたから」
しかし、CAR BOMB ももはやその Meshuggah と遜色のない伝説の位置にいます。
「Meshuggah のレコードはいつでも聴き返せる。Radiohead のレコードも、My Bloody Valentine のレコードも、Aphex Twin のレコードも。 恥ずかしながら、僕のリスニング時間の50%は Aphex なんだ。”OK Computer” や “Selected Ambient Works Vol.2” などを聴いたときのような感覚を味わえるような、1年に1回聴き返せるような、カタログの定番として僕らを聴きたいと思ってくれる人がいたら、それだけでいいなと思っているんだ」

参考文献: Amplify:Interview with GREG KUBACKI from CAR BOMB

decibelmagazine: car-bomb-interview

INVISIBLE ORANGE: Car Bomb

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MARIO INFANTES : BITACORA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARIO INFANTES !!

“There’s a reason why there are so many amazing artists within such a small country. The nature is mind-blowing and so inspiring, and the winters are very long, creating art is what allows us to channel all that beauty and not lose our minds.”

DISC REVIEW “BITACORA”

「僕は非常に好奇心旺盛な人間で、遠い土地への憧れを常に抱いてきたんだ。アイスランドに移住する前から長年アイスランドに夢中だった。だから、その決断は僕にとってあまりに当然のことだったね。アイスランドの驚くべき自然は、僕の音楽における最大のインスピレーションだよ。感情と世界観に次いでね」
Mario Infantes は音の旅人です。スペインに生まれた彼は、自らの好奇心と “音の羅針盤” に従って、縁もゆかりもないアイスランドに移住。その場所で音楽を作り続けています。未だ知らぬ景色や文化への憧れは、想像の翼を広げ、創造への強い衝動となり得ます。それが絶景の宝庫、アイスランドならなおさらでしょう。Sigur Ros, Solstafir, Agent Fresco, Mur…だからこそ、彼の地は異端でしかし素晴らしき音楽家の宝庫でもあるのです。そして、Mario の音楽もまた、間違いなくその絶景の一部となるはずです。
「このアルバムでは、多くの異なる文化の楽器と言語を使用しているし、今後のアルバムでも同様の取り組みを続けていくよ。しかし、アイスランドの音楽、芸術、言語は、僕の作品において常に重要な役割を果たすだろうね。それは単に僕がここに住んでいるからではなく、この場所を愛し、僕の本質と深く共鳴しているからなんだ」
そうして Mario Infantes は、国境、言語、伝統、ステレオタイプを超えたサウンド・ジャーナル “Bitácora” で音楽の旅に出ました。まるでオペラ歌手のように卓越したボーカル・レンジと、文化の伝道師として知られる彼は、様々なバックグラウンドを持つアイスランドの著名ミュージシャンとのコラボレーションにより、豊かな音のタペストリーを織り成していきました。
スペイン語で “船の羅針盤” を意味する “Bitácora” は、メタルの生々しいエネルギー、アイスランドを中心としたヨーロッパの民族的伝統の妖しい美しさ、そしてシネマティックでの没入感のあるテクスチャーを融合させ、氷河ように絶大な音楽的風景を投影した航海へと誘います。 そのメロディーはランドマークとして、リスナーを自己実現、変革、そして共感を求める憧れの旅へと導くのです。
「”アヴァンギャルド” という言葉には違和感はないよ。なぜなら、それは特定のジャンルに縛られず、実験やリスクを恐れないアーティストたちを象徴している言葉だからね」
ウード、ハンドパン、ドゥドゥク、バンスリ、ズルナ…多様なムードとジャンルを探求する Mario Infantes は、豊かな民族音楽の伝統とメタル、そしてシンフォニックな影響を融合させ、様々な国の楽器アンサンブルを駆使しています。その結果、同じ “アヴァンギャルド” という呼称で呼ばれながらも、IGORRR や Devin Townsend とはまた異なるサウンドパレットを披露しています。その中心にあるのが、Mario の飛び抜けた歌声の素晴らしさでしょう。
スペイン語と英語、アイスランド語で歌う Mario は、マルチ・ボイス、マルチ・リンガル、マルチ・インストゥルメンタリストとしてこのプロジェクトの多様性を体現しています。彼には Einar Solberg 風の幽玄なファルセットから響き渡るテノールまでオペラ的な感性があって、Igorrr 風のグロウル、重層的なハーモニー、喉歌(またはそれに近いもの)、そしてよりパフォーマティブな声の演技(笑いの瞬間、スポークンワード、ラップ)まで、あまりにも様々な声を使い分け、使いこなします。アヴァンギャルドとは支離滅裂を意味するわけではありません。革新的でありながら、ここにあるのは心に響く流れるようなサウンド、そして真の感情。彼の音楽的な実験は、コンパスの導きによっていつも成功を収めるのです。
今回弊誌では、Mario Infantes にインタビューを行うことができました。「アイスランドに移住する前、長年合気道を練習していたんだ。(アイスランドにはたった1つの道場しかなく、彼らの合気道の流派は私のものとは大きく異なっている)。また、指圧療法士でもある。スペインの公式な日本式指圧学校で、小野田重雄先生のもとで5年間指圧を学び、現在もアイスランドでセラピストとして働いているよ」 どうぞ!!

MARIO INFANTES “BITACORA” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MARIO INFANTES : BITACORA】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JOVIAC : AUTOFICTION PT.1-SHARDS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH VILJAMI JUPITER WENTTOLA OF JOVIAC !!

“One Thing That Always Attracted Me To Toto Was That They’re Amazing Musicians, But They Don’t Need To Show Off All The Time. They Just Want To Make Good Tunes.”

DISC REVIEW “AUTOFICTION PT.1 – SHARDS”

「僕はメロディを愛し、80年代のポップ音楽の大ファンなんだ。プログレッシブとポップは必ずしも異なるものではないと思う。プログの世界には素晴らしいポップなフックの例が数多く存在し、ポップに傾倒したり、完全にポップに転向したバンドもいるよね。例えば GENESIS だよね。僕は記憶に残るコーラスが大好きで、プログレッシブ・メタルの分野では、CIRCUS MAXIMUS のようなバンドは別格だよね」
GHOST や SLEEP TOKEN の大成功を見れば、メタルの振り子が “歌” に戻ってきたことがわかります。実際、”歌”、つまり耳を惹く歌心やポップ・センス、そしてフックの山脈は、今を生きるアーティストにとって強力な武器になります。時はSNS戦国時代。コスパやタイパを何よりも重視する若い世代は、アーティストに5分はおろか30秒、もっといえば5秒の短い時間しか与えてはくれません。そんなリスナーのスクロールする指を止めるために、メロディのグラデーションは重要なキー・アイテムとなっているのです。
そして今、フィンランドから大きな注目を集める、”メロい” メタル・バンドが登場しました。JOVIAC。タンペレ出身の彼らは、プログレッシブなメタルを奏でていますが、変拍子や高度なテクニック、作曲の複雑性…そうした驚きや好奇心の探求のコーティングに輝くような砂糖菓子の旋律を使って、プログとAORのミルフィーユを作り上げました。
GENESIS や YES、それから DREAM THEATER はもちろん、PERIPHERY や PROTEST THE HERO といった例を挙げるまでもなく、プログとポップは綿密に結びついてきましたが、JOVIAC は MOON SAFARI や A.C.T. 並のポップさでモダンなエッジをも際立たせているのです。
「TOTO に惹かれた理由の一つは、素晴らしいミュージシャンであるにもかかわらず、常に自慢する必要がない、テクニックを見せつけないこと。彼らはただ良い曲を作りたいだけなんだよ。TOTO のメンバーは、数十年にわたりハリウッドをはじめ世界中で最も評価され、起用されるセッションミュージシャンだった。彼らの技術と音楽界への貢献を本当に尊敬しているよ」
ボーカルとギターを担当する JOVIAC の心臓 Viljami Jupiter Wenttola にとって、そのメロディとコンポジションの源泉は TOTO にありました。Viljami は TOTO を愛しすぎて、”あの” 紋章を自らの腕にまで刻んでいます。そう、JOVIAC も TOTO 同様、並外れたミュージシャンの集まりでありながら、決してそのテクニックを誇示するような音楽の作り方はしていません。アクセシビリティに重点を置きながらも、聴くたびに新たな発見がある、音楽的な好奇心や冒険心を満たしてくれる様々な仕掛けやフックを縦横無尽に張り巡らせているのです。”Shine” 冒頭の “時間” の使い方ね。天才的!
そして、聡明な読者の皆様ならば、”Kingdom of Desire” からの TOTO がとりわけメタルやプログに接近していたこともご存知でしょう。インタビュー中で Viljami も指摘していますが、”Falling in Between” のプログ・メタル的素晴らしさね。
「DREAM THEATER は道を切り拓き、このジャンルの先駆者の一人となった。彼らの努力がようやくメジャーの認知を得たことは、きっと素晴らしいことだと思うんだ。ただし、僕の最も好きな DREAM THEATER のアルバムは初期の時代のもので、特に Kevin Moore 時代は常に僕の心に深く刻まれているよ」
フィンランドはメタルの故郷、そのひとつとして知られていますが、これまで世界に進出する画期的なプログレッシブ・メタルを輩出したとはいえません。JOVIAC は2017年から、その状況を改变するために休むことなく活動してきました。プログレッシブ音楽の自由、人間の感情、中毒性のあるフック、巧妙なアレンジを組み合わせるという独自のビジョンに基づいた、キャッチーなリフとメロディと、概念的で思慮深い要素を融合させる多様で深い音楽。それはきっと Kevin Moore 時代の DREAM THEATER にも通じる音。そうやって彼らは偉大な先人と同様に、北欧の新たな道を切り開いていくのです。
今回弊誌では、Viljami Jupiter Wenttola にインタビューを行うことができました。「最も転機となったのは中学校の頃、初めて CHILDREN OF BODOM を聴いた時だったね。当時ドラマーだった僕は、CoB のアルバム “Hatebreeder” の素晴らしいメロディに魅了され、エレキギターを弾くことを決意したんだ。そしてその時に、音楽に人生を捧げることも決心したんだ。Alexi、安らかに」 あの DISPERSE にも通じるものがありますよね。どうぞ!!

JOVIAC “AUTOFICTION PT.1 -SHARDS : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JOVIAC : AUTOFICTION PT.1-SHARDS】

COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【SPIRITBOX : TSUNAMI SEA】


COVER STORY : SPIRITBOX “TSUNAMI SEA”

“I Think Anything That Women Like Is Always Mocked, But I Think Teenage Girls Are The Purveyors Of Culture.”

TSUNAMI SEA

津波が本当の姿を現すのは、その波が水辺に到達してからだと言います。最初はほとんど見えない深海を脈打ちますが、最終的にはこの壊滅的な自然災害は無慈悲な水の壁を築き上げ、その進路にあるすべてのものを押しつぶすのです。
「津波が陸に到達した後、それが私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか飲み込めていないうちに、その災害は無慈悲に通過していく」
SPIRITBOX の生活は既に計り知れないほど変化しました。2015年にカルト的なマスコア・クルー iwrestledabearonce の灰から生まれ変わった Courtney LaPlante と Mike Stringer は、以前よりも暗く洗練された音楽を作ることを目指していきました。そうして、デビュー作 “Eternal Blue” からの “Holy Roller” や “Blessed Be” といった曲は、新たな表現を求めていたファンたちの心に響き、彼らをメタルの頂点へと押し上げたのです。以来、彼らは勢いを増し続け、2022年のDownloadフェスティバルでのテントを揺るがすデビューから、Reading & Leedsのメインステージ、Megan Thee Stallionとのレコーディング、先月のAlly Pallyでのソールドアウト公演まで、着実に歩みを進めてきました。その勢いは、メタルコア世界の狭い枠組みを飛び出した津波ともいえました。
しかし、SPIRITBOX はタイトルの “津波” そのものではありません。むしろ、縦波、横波、波浪、風浪、うねり、磯波…数多くの波が積み重なって壮大なコンセプトを形作る広大な海。メンタルヘルスにおける比喩的な津波…うつ病や暗い思考が心を押し流す状態。そして、Courtney と Mike の故郷バンクーバー島での生活経験…船以外では離れることができない孤独な環境。そうした痛みや恐怖、孤独の影響は、2022年の “Rotoscope EP” と2023年の “The Fear Of Fear” の即効的なスリル追求と比べ、より威圧的で包み込むような “Tsunami Sea” への到達に現れています。

大きな成功が Courtney の率直な歌詞の核心にある危機感を侵食するのではなく、”Tsunami Sea” はそれがさらに激化と同化したようにも思えます。”Eternal Blue” のタイトル・トラックで彼女は “苦痛が離岸流のように引きずり始める” と歌いました。4年後、ボーカリストの感情は今や海洋規模となり、”私のすべての涙を津波の海に変える” と表現されています。それでも、Courtney と SPIRITBOX はただ痛みの海に押し流されることはありませんでした。つまり、この音楽は、メンバー個人の内面的葛藤はもちろん、元メンバーの死去やベース奏者がロサンゼルスの山火事で自宅を失うなど、逆境を乗り越えてきたバンドにふさわしいものとなっているのです。
「Bill Crook の死は恐ろしいことだった。突然のことで、私たちはツアー中だったのよ。彼の母親が、彼の友人全員が追悼式に出席できるようにしてくれたことに、私たちは本当に感謝しているの。彼女は追悼式を延期してくれたのよ。
このアルバムは本当に彼のためのもの。なぜなら、彼は私たちと同じ場所で育ち、同じ経験をしてきたから。アルバムで話していることの多く – 私が精神的に向き合い、克服しようとしていること – 彼と私はその点で非常に似ていたんだよ。アルバムを彼に見せられたらよかったと思う。毎日彼をとても恋しく思っているわ。この数ヶ月は皆にとって大変だったけど、私たちは大丈夫。今年は本当に良い年になると思うよ」

“Soft Spine” という力強いリードシングルから、変幻自在なメロディが光る “Perfect Soul”、そしてインダストリアルな要素を交えた176秒の “No Loss, No Love” まで、リスナーはすでにこの11曲が SPIRITBOX の最高峰であることを直感しているでしょう。大きなステージで演奏する機会を得たことで、彼らは “A Haven With Two Faces” のような壮大な瞬間を捉える直感を磨いてきました。一方で、彼らは “Crystal Roses” のような予測不能なサウンド、例えば変幻自在なドラムンベースに挑戦する勇気をも得たのです。
「音楽を書く時はそれを意識しないが、後に1万人や2万人の観客の前で自分の好きな曲を演奏すると観客はただスマホをいじっているだけだ。一方、特に気にかけていない曲では、みんな跳ね回って大騒ぎしている。なぜそうなるのかと疑問に思うようになる。それは曲作りに直接影響するわけではなく、単に “この曲でみんなが狂喜する姿が見える” と気づくだけだ。でも、私はいつも間違っている。私の好きな曲は、いつも最も再生回数が少ない曲だ。それは呪いのようだ…このアルバムだと “Black Rainbow” に夢中なんだがね。あらゆるタイプの音楽からあらゆるインスピレーションを得ることは、とてもとても重要だ。 どのジャンルの中にも良いトーン、ソングライティング、メロディがあるんだ。だからブレイクダウンだけを聴くことに自分を限定すべきではない」
一方で、Courtney は観客の反応をあまり気にはしていません。
「それが私の音楽の楽しみ方じゃない。人々がモッシュしているかどうかで、私たちが良い仕事をしているかどうかを判断しないよ。もし彼らがモッシュするなら、それは素晴らしい。それがその人の音楽の楽しみ方だ。でも、ただ頷いているだけの人もいる。それがその人の音楽の楽しみ方かもしれない。そして、ただ立っているだけで音楽を吸収している人に対しては、エゴを持ってはいけない。もしかしたら、彼らはそこで SPIRITBOX を初めて発見しているのかもしれない。もしかしたら、ただ全てを吸収しているだけかもしれない。だから私は大好きな曲を歌いながら、人生で最も楽しい時間を過ごしているだけなの。結婚式で踊る人みたいに、自分の小さな世界に入り込んでいる!馬鹿に見えても構わないさ!」

美しさ、陶酔、そして命がけの混沌が、”Tsunami Sea” を駆け抜ける中で尽きることなく展開されます。このバンドは、”Keep Sweet” のようなのモッシュ・コンフェクションを混ぜ合わせ、次に “Ride The Wave” の滑らかなオルタナティブ・ポップを軽やかに滑り、クリーンな歌声のクロージング・トラック “Deep End” では目眩く多様性を備えています。
「Michael も私も、本当に何でも聴くのが好きなの。 たとえそれが、プロダクションや歌詞のつながり、インストゥルメンタルや全体の雰囲気など、研究的に聴いているものであっても、聴かずにはいられないの。真空の中で曲を書くことはできない。 常に外部の音楽から影響を受けているんだ」
しかし、そのすべては心からの、しばしば胸を締め付けるような、感情に支えられています。”悲しみが私を追いかける” と、Courtney はオープニング・トラック “Fata Morgana” が迫力満点に始まると呟きます。 “呼吸するたびに、その悲しみを胸に感じる…” その悲しみの糸は彼女の中で途切れることはありません。周囲の騒音や勝利の味わいにもかかわらず、内側の暗闇は枯渇することがないのです。
「私の人生で素晴らしいことが起こっても、メンタルヘルスに気を配らなければ、私たちは常に極端な感情の波に翻弄されるだろう。特に私のような人間なら。それが私の感じ方よ。それが私の一部。悲しみや怒りの歌詞は、おそらく私にとって常に共感できるものだろう。
面白いことに…キャリアでの幸せや成功、人間関係での充実感が増すほど、まだあのネガティブな感情を抱えていることに恥ずかしさを感じるの。人生が順調なのに、メンタルヘルスが低下することに恥を感じている人は多い。そして、私は歌詞を通じて、見知らぬ人々にその感情をさらけ出したい衝動があるの。おそらく、それは自分自身をより深く理解するためのメカニズムかもしれない。そうやって、良い人間であるためにできる限りのことをしながら、その抑うつ症のブラックホールに引きずり込まれないようにしているの」

6年前、彼女は時給$8でウェイターとして働いていました。”Eternal Blue” がリリースされた当時でさえ、彼女と Michael はバンドの資金調達のために、データ入力の仕事をしていたのです。そうしてダウンロードで数万の観客を前に Courtney は、”Perfect Soul” の感動的なパフォーマンスを披露し、”私の夢はただの幻想だ” と歌いました。
「数万人の前でそんな個人的な感情を表現するのは、とても難しいこと。でも私を知っている人なら、私たちの旅路を見てきた人なら、私が言っていることに、私の生活について現実を投影できるだろう。でも、ほとんどの人が本当の私を知らない。あの言葉は、私たちのバンドとしての経験を超えた多くのことを指している。残念ながら、あの感情は私にとって常にレリバントなものだ。それは私の人生の一部だった。精神疾患、ペテン師症候群 (自分の能力や成功を過小評価し、自身を詐欺師のように感じてしまう) の経験があることを、私はずっと知らなかった。私は問題にしないのが上手だから、ただ隙間をすり抜けてきただけ。それは潮の満ち引きのような循環的なものだった」
Courtney はメタルにおける女性の存在についても、常に思考を巡らせています。
「人生のある時点で、女性や少女たちが誰も招待されていないパーティーには参加する気にならなくなるものよ。そこに、ドアマンが私を入場させるかどうか待って並ぶつもりはない。自分の、他のクラブを探しに行くでしょう。望まれないなら、私を歓迎してくれる場所を探すだけよ。
これは、若い少女の頃、メタルの世界から歓迎されていないと感じた経験からも来ているの。例えば、小さなメタルのライブに行って、なぜここにいるのかと疑問に思われるような状況。その状況は改善されているけど、私たちはより高い基準を求め、私たちに投げられたパン屑にはこだわらない必要がある。私たちはステーキを食べようとしているのだから」

Courtney にとって、女性リスナーの存在はとても大きなものです。
「SPIRITBOX, BAD OMENS, SLEEP TOKEN, そしておそらく KNOCKED LOOSE が共通しているのは、他の同世代のバンドと比べて女性リスナーがかなり多いことだと思う。Rise-core 時代や emo 時代のバンドも同じだ。METALLICA のドキュメンタリーを見ても、その点で笑われていた。女性が好きなものは常に嘲笑されるものだけど、私はティーンエイジャーの女の子が文化の伝道者だと考えているのよ」
“Crystal Roses” や “Ride the Wave” では、ボトルの中、エコーチェンバーの中に閉じ込められる怖さを、島で育った自身と重ねています。
「私たちがこれまで作ったすべての作品—歌詞的にもサウンド的にも—は、コンセプトアルバムとして考えていて、このアルバムのすべての曲は互いに関連しているの。最後の曲は、私が話したすべてのものの集大成。奇妙なサウンドは実際、海の音だよ。それは説明するものではないけれど。聴く人にさりげなく伝われば幸いだよ。
歌詞的には、このアルバムは私自身が何者であるかを、私の頭の中で描いた自伝のようなもの。育った環境は、世界を見る方法に深く刻み込まれていると思いの。15歳の時、バンクーバー島に移住したんだ。そこで、私のバンドのメンバーである夫の Michael と出会ったんだ。孤立した島で暮らし、キャリアの夢を叶えるために難しい環境は、私を非常に孤立させたの。それは私の人格を大きく形作ったけど、同時に懐かしさも感じている。故郷の場所を美化してしまうというかね。そこにいた時は私を縛っていたのに、離れてからは懐かしむの。家族を恋しく思うからかな」

SPIRITBOX はずっと冷静で、”自分たちが何になりたいのかを模索中だ” と語り、創造性に過度のストレスをかけることで創作物を歪めてしまうことを避けてきました。
「それが私たちの本質だと思う。過去数年間、たくさんのクールでクレイジーな経験を積んできた。グラミー賞でレッドカーペットを歩き、インタビューを受けた。しかし、そのようなことを繰り返すほど、私たちはまだ最低賃金の昼間の仕事をしていて、バンドを立ち上げるのが不可能に思えた時代と、今もつながっていることに気づくんだ。あの経験は、”レッドカーペットに立つ” というイメージよりもずっと身近なの。ああしたイベントは日常の一部ではないし、慣れるまでには長い時間がかかるでしょう。そして、私たちにはそれが起こり続けるかどうかは本当にどうでもいいんだよ…」
シーンの連帯感がプレッシャーを和らげる一方で、その裏側には、新しい世代の象徴としてそのコミュニティを背負う重圧がかかってきます。Courtney は、SPIRITBOX が “目隠しをして、それについて考えないようにし、音楽が誰かの消費対象となるための流行戦略討論に陥らないようにする” と主張します。
「考えれば考えるほどストレスが増す。みんなが歌詞を全部知っているのは、私たちにとってまだ非常に奇妙なことだ。インターネット・バンドとして実家の地下室で生まれた私たちが、”未来のフェスティバルのヘッドライナー” と呼ばれるようになったのは奇妙な感覚だ。プレッシャーは確かに存在する。しかし、自分たちらしさを保ち、楽しむ音楽をリリースし続ける限り、非難されることはない。それが現実だ… 自分の音楽は、無限の可能性を持っていたいんだ」

Courtney はメタルを非常に “二元的な” ジャンルだと理解しています。
「バンドがスローな曲をリリースしたら、”彼らは今やスローな曲しか作らない” とか、本当にヘヴィな曲をリリースしたら、”バンドが戻ってきた。彼らは最もヘヴィな曲を作ったし、それが彼らの現在だ” とか。
私たちの世界では、極めて二元的なのよね。実際に、ミュージックビデオのプレミア上映中に人々を見ていると、”OK、彼女は30秒叫んで、今は45秒歌ってる。ああ、ダメだ! でも、ブレイクダウンがある、神様ありがとう。また好きになった” と。サイドバーで “これはひどい” と表示されていても、私が叫び始めると、彼らは “やった!” と反応する。
なぜそんな二元的になるのだろう。私は常に、地元のシーンや地域のシーンの一部ではないと感じていたの。常に少し外側にいるような感覚だった。そしてある日、誰かがクリックし、誰かが魔法の杖を振ったかのように、プロのメディアが “このバンドは素晴らしい。これが君たちが好きになるべきバンドだ” って言い出したんだ。でも、自分たちが “メタルコア・バンドだ!” なんて思ったことは一度もないんだよね」
SPIRITBOX はメタルのステレオタイプを破壊してここまできました。
「私たちは “1つのバンドの価格で2つのバンドを味わえる” と言っているの。人々がそれを好むかどうかは分からないわ。誰かに2つの異なる SPIRITBOX の曲を聴かせても、同じバンドだと気づかないかもしれないよね。
だから、すべてのバンドがそうではないことは知っているけど、流動性って大事だよね。私は “血統” や “こうしないとメタルではない“ という外部の圧力を感じていないんだ。なぜなら、私はメタルを聴いてきたのに “メタルではない” と言われ続けてきたから。誰が気にするの? DEFTONES のようなバンドがそれについてどう思っているのか、いつも疑問に思っているよ」

Courtney がメタルを聴き始めたのは遅く、だからこそこのジャンルはサブジャンルに囚われすぎだと感じています。
「18歳くらいまで、メインストリーム以外の音楽を聴いたことがなくてね。そして、私が初めて接したメタルは、Protest the Hero, Despised Icon といったカナダのバンドたちだった。Misery Signals はカナダ出身ではないけど、私たちは彼らをカナダのバンドとして数えているんだけどね。
つまり、自分で探した音楽ではなく、私の島にやってくる人たちの音楽だった。非常に露出が少なかったよね。そして少し年を取ってから…私は確かにエクストリームな音楽が好きだと気づいた。Job for a Cowboy の “Entombment of a Machine” をかけて、技術的な能力を聴き分けていたんだよね。他の同年代の人がメタル音楽を聴き始めるのとは異なる方法で聴いていたんだ。後からその音楽を学んだから、なぜこうしたバンドがこうした音をしているのかを理解する必要があった」
今や、インターネット空間には様々な批判や悪意が蔓延しています。差別や抑圧に抗い、多様性を認め合うことはどんどん難しくなっています。
「私たちは互いを守ろうとしているの。憎しみを増幅させたくないのよね。個人的には、自分自身のことに集中したいだけで、常に悪口を言いたくないんだよ。右派の振り子の揺れもどし、アルゴリズムによる人々の過激化…そして、メタルは私たちが思っていたよりずっと保守的だったのかもしれないね。もちろん、公の場で批判することはできるけど、それがまさにあの彼らが求めていることのように感じるんだ。だから私は成功を収め、持っている影響力を活用して影響を与えることを望んでいるのよね。
NINE INCH NAILS はいい例だよ。フェスで一緒になった時、彼らがステージを見て “私たちのステージに女性を配置し、多様な人種の人々を配置する必要がある。これは受け入れられない” と言ったことがある。私は “Wow、あのバンドの影響力だ。彼らはそうできるんだ” と思った。だから、いつか私もそうできるかもしれないし、私の同世代の多くもそうできるかもしれない。全員を知っているわけではないけど、彼らは私たちと同じように感じていると思う。だから、同志のバンドたちが成功すると、それが私たち全員を強化することになるんだよね」

SPIRITBOX にとっての同志とは、BAD OMENS であり、SLEEP TOKEN でしょう。
「私の周りにメタルを聴いたことのない人たちが、SLEEP TOKEN の音楽を聴いている。特別なケースだよね。彼らは断然最もポップ寄りのバンド。
彼らに会ったことはないけど、多分私たちや BAD OMENS に近い存在だと思う。彼らとこの話題について話したことはないけど、彼らも作った曲のジャンルについて考えたことはないと思う。それが良いか悪いかは分からない…でも少なくとも AI にこんな音楽は作れないよ」
SPIRITBOX の成功は、疑いながらも自分を信じて諦めなかったことから生まれました。
「私は本当に妄想的な人間で、人生がこうなることをずっと知っていた。その確信は、極度の自己疑念とペテン師症候群の霞の中で常にそこにあった。27歳の誕生日は “最悪の日” だった。決して忘れないよ。その日、私はコーヒーショップで一人で働いていた。他の従業員は全員病気で休んでいてね。コーヒーを作ったり、サンドイッチを作ったりしながら、誕生日なのに最低賃金の仕事をしていることに恥ずかしさでいっぱいだった。そして、誰かがミルクの瓶を倒してしまい、私は床に膝をついて掃除しながら、涙が溢れそうで、怒り始めた客たちに囲まれていたんだ。”27歳で、教育も金もなくて、前のバンドを辞めたばかりなのに、牛乳をこぼしただけで泣いてるなんて!”と。
それでも、SPIRITBOX の成功は私にとって起こるべきことだと分かっていた。私たちは次のことにばかり集中して、今この瞬間を生き、自分を褒めることを十分にできていないのかもしれない。私たちが既にどれほど遠くまで来たかを考えると、信じられないほどだよ…」
結局、Courtney は音楽 “オタク” だったかつての自分からその本質は変わっていないのです。
「そう、だから自意識過剰なんだと思う。高校のクールな連中はみんな私たちをボコボコにしただろうね。ただ不愉快だからいじめられるオタクっているでしょ? それが私たち。ただ不愉快なだけなんだ。 私たちは “私たちは違うから嫌われてるんでしょ? “でも、”違うよ、ただ君が嫌いなだけだよ “って言われるんだ (笑)。
でも、だからこそ私たちは奇妙な音楽を作ることができる。 みんなにバカにされるけどね (笑)」

参考文献: ELI ENIS :”Your whole family’s going down”: A blunt talk with Spiritbox singer Courtney LaPlante

KERRANG! :Spiritbox: “Every time I walk out onstage, I can’t believe this is my life”

GRAMMY AWARDS :On ‘Tsunami Sea,’ Spiritbox’s Courtney LaPlante Contemplates Adversity, Solidarity & Renewal

COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【SLEEP THEORY : AFTERGLOW】


COVER STORY : SLEEP THEORY “AFTERGLOW”

“Nowadays, Heavy Bands Have Flipped The Script, Making Music For Everyone’s Ears. You Might Be The Sort Of Listener Who Considers Themselves a Pop Fan, But You Could Turn On a Sleep Token Song And Enjoy It.”

AFTERGLOW

「僕たちはアートを作るためにここにいる。 みんなと同じでは何も始まらないからね」
SLEEP THEORY のフロントマン、Cullen Moore の最初の記憶は、リビングのソファーで父とボビー・ブラウンの反抗的なアンセム “My Prerogative” を一緒に歌ったことでした。”誰の許可も必要ない 自分で決断をする それが自分の特権だ”。
このマインドセットは、メタルの境界を破る SLEEP THEORY に結実しました。そのポップな滑らかさとR&B の野性味は前例のない共鳴、共感を呼んだのです。彼らはラジオを支配し続け、今後の大規模なフェスティバル出演が成功を確固たるものにしています。
「ガソリン・スタンドで止まった時、父が “SLEEP THEORY がこんなに大きくなるなんて考えたことある?” と聞いてきた。僕はただうん、と答えて父に “それは僕が決して小さくさせなかったからだよ” と伝えたんだ。僕は僕が関わるものに対しては、競争心が強く、決して自分の水準を下回ることを許さない。そのアティテュードがどこから来たのかは分からない。ただ、ずっとそうだっただけだ。それは他の人より “優れている” ことではない。誰かが何かを成し遂げるのを見て、自分がどれだけできるか試したいという意欲なんだ。SLEEP THEORY が既に到達したレベルに達していなくても、それが実現するまで努力を続けるだけだ」
Cullen のその自信には、作られた要素は一切ありません。 テネシー州とミシシッピ州の州境の南側で音楽に囲まれて育った彼は、その場所を親しみを込めて “メンフィシッピ” と呼びます。その背景が、彼の自信の大きな要因となっているのです。ブルースの発祥地であるビールストリート、メンフィス・ラップの誕生地である粗野な街、そしてエルヴィスのグレースランドの豪華絢爛な世界など、アメリカを象徴する多くのサウンドは、彼の家の玄関から車で 30 分圏内で生まれました。
「みんなは、僕がいつ歌えるようになったのか尋ねてくるけど、正直覚えていない。ただずっと歌っているだけなんだだ。それが唯一、僕ずっとできてきたことだから。父はいつも歌っていた。祖母も。叔父も。もう一人の叔父も。叔母も。大叔母も。僕たちは皆歌手だった。そして皆自然にやっている。人生で経験した多くのことにおいて、音楽が関与していた。そして、それは僕の人格の核心的な部分となった。歌が人生であることを疑ったことは一度もないんだ」

粒子の粗いVHSで父親の音楽ビデオを見たことが、Cullen が歌を職業として実現可能だと確信するきっかけになりました。両親は息子に良い育ちと彼が得るべき機会を与えるために努力しました。時には、勉学を優先して音楽を “プランB” にすべきだと奨励しましたが、それは決して彼の道ではなかったのです。
「12歳から音楽をやっている。そして14歳からスタジオにいる」
まずは、創造的な道を模索することが第一でした。Cullen にとってヒップ・ホップに手を出すことは魅力的ではなく、父親から受け継がれた純粋なR&Bのバトンを継ぐこともありませんでした。そうして彼は、人生のコントロールを握るという別の目標から父親の足跡をたどり、アメリカ軍に入隊しました。ミシシッピ州コリントを拠点とする警備隊での3年間、それは自己肯定感の向上と現実の厳しさを同時に感じた経験だったのです。
「あの瞬間を鮮明に覚えている。軍隊では、自分を正す必要があると感じるから入隊する人もいる。僕はバランスの取れた家庭で育った。悪い子供ではなかった。だけど、大学を中退し、自分がどこへ行きたいのか、何をしたかったのか分からない状態だったんだ。数歳年下の友人と将来の計画について話していた時、彼は軍隊に行くと言った。僕は人生で何をしたいのか分からなかったから、同じように入隊を決意したんだ。父には話さなかった。父が軍に行かせたがっていたことは知っていたけど、もしそれが気に入らないものになったら、彼のせいにするのではなく自分で決めたことだと言いたかったから」
軍での経験は強さを養い、Cullen は自信を磨きました。同時に、日本のアニメは “良い人間” になる手助けをしてくれたと語り、”Naruto” のタトゥーを腕に刻みました。
「僕は常に非常に意志の固い人間だった。非常に頑固で、自然に自分自身に自信を持っていた。しかし、軍隊を経験したことで、すでに制御不能な炎のように感じていたものがさらに強まったんだ。軍隊は僕に冷静な判断力を与え、本当に僕のパーソナリティを1000倍に強化してくれた。そして、忍耐とチームワークを教えてくれたんだ。もし時間を遡れるなら、再び入隊するだろうか?一瞬の迷いもなく、イエスだね!」

2023年初頭、SLEEP THEORY はまだ無名でした。 彼らのラインナップが固まったのはつい最近のことで、名前が決まったのはそのほんの数ヶ月前のことでした。新曲 “Another Way” の17秒のプレビューを気まぐれにTikTokに投稿したときは、ほとんど期待もしていませんでした。しかし、36時間以内に再生回数は50万回を記録し、新たなファンの軍団が続々と押し寄せてきたのです。
その瞬間が SLEEP THEORY の物語から切り離せないのはたしかですが、Cullen は彼らが “一夜の成功” と受け止められることには皮肉を感じています。なぜなら、2018年に軍を退役した彼は、それからずっと地元のプロデューサー、David Cowell と二人三脚で歩んできたからです。
「メタルのブルーノ・マーズになりたいと David に言ったんだ。僕は次に何をするのか全くわからないような、そういう明確なアイデンティティを持ったアーティストになりたかったんだ。 David はその時点でメンフィスで最高のプロデューサーだったと思うけど、まだ注目されていなかった。そして今、彼はプロデューサーとして、そして SLEEP THEORY はバンドとしてブレイクを果たした。彼の天才ぶりが注目されるのはいいことだ!」
最初の数年間はスタジオ・プロジェクトでしたが、2021年にベーシストの Paolo Vergara を迎え入れ、本格的に活動を開始しました。Paolo の紹介でドラマーの Ben Puritt が参加するようになり、素晴らしいシュレッダー/スクリーマーである Ben の弟 Daniel が加わったことで、すべてがかみ合いました。
「俳優、プロデューサー、撮影監督がいる映画を作るとしたら、僕は監督みたいなものかな。 ギターを弾くことはできないけど、物事を見て、物事を聞いて、すべてがどこに向かうべきかを理解することはできる。 また、他の人たちに仕事を任せるために、自分のやり方から離れるべきときも学んできた。 最初のころは、まだ物事を理解しようとしていたけれど、今は、よりよく動くマシーンになったよ」

Cullen にとって、自身の作品にラベルを付けるプロセスは難しいものでした。他のバンド名として “Monolith”(暗すぎる)と “Wavelength”(ポップすぎる)を却下し、オンラインで科学用語を閲覧していた際に、”Sleep Theory” に決めました。
「これが正しいと感じる。口に馴染む。重すぎず、軽すぎず」
2023年にEpitaphからリリースされた “Paper Hearts” はEPでしたが、その6曲に費やされた時間と努力は、それ以上のものを感じさせる作品でした。そうして、David のSupernova Soundスタジオ(メンフィス北東部)と往復しながら “Afterglow” のレコーディングを行った Cullen は、これがそのEP以上の決定的な声明である必要があると悟ったのです。
「”Afterglow” は “Paper Hearts” の続きから始まる。情熱的だが最終的に抽象的な感情の枠組みで、僕たちがこれまで語ってきたストーリーに終止符を打つものだ。愛する誰かと共に多くのことを経験したにもかかわらず、まだ “私とあなた” の間で迷っている感覚を捉えているんだよ。その余韻—アフターグロウ—は僕をまだ悩ませているんだよ。そこには個人的な経験が含まれているけど、それは僕だけに限定されたものではない。このバンドのどのメンバーからも、または僕たちのプロデューサーからも来得るもの。もちろん、スタジオに入って “さあ、愛について話そう!” と言ったわけではないけど、アルバムの曲は共感できるものにしたいと思っていた。誰もが失恋を経験するので、意識的か無意識かに関わらず、そのことを書いたんだよ」
ヒップホップのビートとエレクトロのアトモスフィア、メタルコアの咆哮とR&Bの官能性が融合し、刺激的な作品を構成。緊張感あふれるアドレナリンの爆発、脆い切なさ、魂を揺さぶるカタルシスの瞬間を織り交ぜるアルバムは実にユニークです。例えば “Hourglass” は、A Day To Remember の全盛期を思わせるポップ・パンクとメタルコアの融合。”Stuck In My Head” は、失恋の物語に巨大なフックを埋め込んで煮詰めた共感の一曲。EPからの継続曲 “Numb” はアンセムで、”壊れた夢の目を覗き込む / 縫い目が裂けた新たな計画” と挑発的に歌っていきます。

しかし、最も心に響くトラックは、新曲 “III”(「スリーズ」と発音)でしょう。バンドから奪われた何かが “想像し得る最悪の形で汚された” というストーリー。その耳に残るフックと楽曲の成功は、彼らにとって最も満足のいく復讐となるでしょう。
「人生に酸っぱいレモンを与えられたら、そこからレモネードを作ればいい。そんな悪い経験をしても、それをヒット曲に変えればいいんだ!」
正直さと純粋なビジョンが全て。たとえそれが、彼らの成功が SNS の “バズ” から始まったとしても。
「僕は “TikTokアプローチ” をただ受け入れるつもりはない。トレンドには興味がないんだ。一時的なバズのためにここにいるわけじゃない。みんながやっているなら、僕はやりたくない。TikTokダンスをしたり、他所でよく見かけるような目立つためのクリップを作ったりする人間にはならない。それではただ、大衆に迎合するだけだ。
「”Another Way” の最初のティーザーでも、それは “夏のTikTokソング” を目指すことではなく、僕たちが目指すよりプロフェッショナルなイメージを確立するためだった。僕はTikTokの基準に妥協しない。僕たちはコメディアンになるためにここにいるのではない。アートを作るためにここにいる。それは他の人と同じ場所から始まるものではない」

Cullen には説教臭さも不自然な派手さもありません。急速に成功を収めたアーティストとしては、驚くべきほど傲慢さがないのです。そうして論理、問題解決能力、そして抗いがたい自然な好奇心が存在します。彼は、SLEEP THEORY の急激な上昇だけでなく、より広範な盛り上がるオルタナティブ・シーン全体、そして SPIRITBOX から SLEEP TOKEN まで新たなリーダーたちにも焦点を当て、変化の潮流を見据えています。
「昔の Bring Me The Horizon は、好きか嫌いかの二者択一だった。しかし、最近の新しい Bring Me The Horizon には、多くの異なる要素が絡み合っていて、多くの人々がその中から気に入るものを見つけることができる。歴史は繰り返す。2009年ごろ、ヒップ・ホップとポップが真のブームを迎えていて、ロックはその波についていけなかった。ほとんどのアーティストは、この音楽を幅広い層に受け入れられるようにする努力をしていなかった。もしそうしていたなら、彼らは Thirty Seconds To Mars や Imagine Dragons のようなカテゴリー(ポップサウンドを直接取り入れた)か、Kings Of Leon のようなバンド(ポップな曲作りを重視した本格的なバンド)に分かれてったはずだ。適切なバンドがとてもポップな感覚を学んでね。でも、実際はヘヴィなメタルコアやスクリーモのジャンルに入ると、それははるかに “好みが分かれるもの” だった。
でも現在、ヘヴィなバンドは方針を転換し、誰もが楽しめる音楽を作っている。ポップ・ファンを自認する聴き手でも、SLEEP TOKEN の曲を聴いて楽しむことができる。感情の幅も広くなっている。悲しみや暗いテーマばかりではなく、より共感できる内容で、古いバンドが扱っていた感情の幅を捉えているんだ」

“Stuck in My Head “の野外アコースティック・パフォーマンスにも彼らのポップ・センスが現れています。
「アコースティックで曲を歌うのが大好きなんだ。 このプロジェクトの背景にあるアイデアは、ヘヴィなギターをすべて取り除けば、ポップな曲になるということなんだ。 どんなメタルやロックの曲でも、アコースティック・ヴァージョンを作れば歌えるんだ。
この曲のライティングやメロディが、ポップ・ソングとして問題なく成立させているんだと思う。 もしカントリー・アーティストが “Stuck in My Head” をカヴァーしたら、間違いなく完璧に歌いこなせるだろう」
あの BACKSTREET BOYS でさえ、彼らの栄養となっています。
「”Static”のビデオ撮影で “I Want It That Way” を4人で歌った。バンの中でみんなで歌ってるけど、まあリハーサルするようなことじゃないよ。 ただ歌い始めるだけ! ミュージックビデオの撮影で、僕が “You are my fire/The one desire” と歌い始めたら、他のみんなも歌い始めた。 だからインスタグラム用にちょっと作ったんだ」
あの伝説的なバンドも彼らの一部となっています。
「どのバンド・メンバーも、演奏や作曲に関して最も影響を受けたアーティストがいる。だけど SLEEP THEORY のサウンドに関して言えば、LINKIN PARK は僕らの音楽を形成する上で重要な役割を果たした。サウンドだけでなく、曲作りへのアプローチやオーディエンスとのつながり方にも影響を与えている。 多様性を受け入れること、純粋な感情を表現すること、サウンドで実験すること、そして自分独自の芸術的な声に忠実であること…それはロックとオルタナティヴ・ミュージックの世界に忘れがたい足跡を残したバンドの影響を反映しているんだ」

BEARTOOTH と共に大規模な会場でライブを敢行し、WAGE WAR から NOTHING MORE, HOLLYWOOD UNDEAD まで、あらゆるバンドとステージを共有してきた SLEEP THEORY は、現在のヘヴィ・メタル界のトップクラスと肩を並べる能力を証明してきました。それでも、Cullen は青春時代聴いていたバンドを参考に、自身の道を模索しています。3つのフェイバリットを挙げるよう促されると、彼はさらに多くのバンドを挙げていきました。
「LINKIN PARK, FALL OUT BOY, PARAMORE と言えるかもしれない。でも DISTURBED, THREE DAYS GRACE, SAOSINとも言える。または WOE IS ME, DANCE GAVIN DANCE とも言える。僕にとって、一つに絞るには変数が多すぎる。難しいよ」
まず第一に、Cullen は音楽のファンであり、バンドのファンなのです。だからこそ、自分のバンドに対して他人が感じるファン心を、彼は最も誇りに思っています。たしかにストリーミング指標やチケットの売上は SLEEP THEORY の成功の一端を示すかもしれませんが、人間同士のつながりの電気のような力は、名声や富よりも価値があると信じています。
「”大きなバンド” になることは、人々の心を動かすことだ。それはほんの少しかもしれないけど、人々の生活を変えることだ。SLEEP THEORY の変化に気づいたのは、あるコンサートでのことだった。僕よりずっと年上の男性が写真撮影を求めて近づいてきた。彼が震えているのに気づき、大丈夫ですかと尋ねた。彼は “ヒーローに会うから緊張している” って。音楽が人々に影響を与えていることは知っていたけど、その瞬間、本当に実感したんだ。理解するのが難しかったよ。僕は人生のほとんどを、僕より年上の人々を尊敬してきたけど今や、僕より長く生き、多くの経験を積んだ人々が、僕を尊敬していると言っているんだからね!」
結局、最も重要なのは自分自身を満足させることです。様々な影響の中でも、Cullen はアトランタのメタルコアの先駆者 ISSUES、特に2019年のランドマーク作 “Beautiful Oblivion” を、最も模倣したいテンプレートとして挙げています。彼にとってこれは完璧なアルバムであり、自身のキャリアの終着点として無駄な曲の影も残さないことを理想としています。
「僕はマイケル・ジャクソンのようなアーティストを聴きながら育った。だから、これで十分だと言うような人間にはならない。平均的な曲は欲しくない。ただやり過ごすための曲も欲しくない。人々が僕のカタログを見て “素晴らしいけど、あの曲はもっと良くなれたはず…” と言うような曲も欲しくない。そして、ファンが聴きたいものを作りたいとは思っているけど、自分が作りたくないものは絶対に作らない。
人々はアーティストが聴き手に合わせるという考えに慣れすぎている。僕は誰にも合わせないよ。自分のやりたいことをやる。自分自身に忠実なだけだ。それに共感するかどうかはリスナー次第。僕は決して他人の気まぐれに屈しない。合わせることができない。それが本当に僕の本質だから」


参考文献: KERRANG!:Sleep Theory: “We’re here to make art. That does not begin with being the same as everybody else”

REVOLVER:TORNADOS, TIKTOK AND THE TRUTH: SLEEP THEORY TALK HIGHLY ANTICIPATED DEBUT ALBUM ‘AFTERGLOW’

LOUDWIRE: SLEEP THEORY INTERVIEW