EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GIUSEPPE SBRANA OF SKINFLINT !!
“No Metal Bands Were Covering African Mythology And Tales. So I Wanted To Incorporate This Element Of Our Culture Into The Music. I Feel These Tales Are The Most Important Aspect Of Skinflint.”
“Why Not Do The Screams?’ And Now It’s Like, ‘Why Do The Screams?’ You Can’t Win!”
THE LAST WILL AND TESTAMENT
OPETH のニュー・アルバム “The Last Will & Testament” から、”§1″ というタイトルの新曲が発表されると、この楽曲は2019年の “In Cauda Venenum” からの曲よりもずっと大きな話題となりました。それは、これまでよりもずっとヘヴィで、数年ぶりに Mikael Åkerfeldt のグロウルが戻ってきたからでした。しかし、なぜ今なのでしょう?
「そうだね。グロウルがいつも問題になる。以前は、”なぜグロウルを使わないんだ?” で、今は “なぜグロウルを使ったのか?”。勝ち目がないね!でも、なぜ今なのか?ニュー・アルバムはコンセプト・アルバムだから、あのようなボーカルが有効だと思ったんだよ。
ある意味、流行に流されないのが好きなんだ。だから、あのデス・メタルのボーカルを復活させるときは、人々がもう気にしなくなったときにしたかったんだ!
逆に言えば、外からのプレッシャーを感じたことはない。もちろん、私も “OPETH はかつて素晴らしかった”, “OPETH をもう一度素晴らしくしてくれ。また OPETH をうならせてくれ” という声は知っていたよ。でも過去4枚のアルバムでは、そういうボーカルの余地はなかった。自分のもうひとつの声ももう少し追求したかったし、音楽がそれを必要としていなかった。前の4枚のアルバムには、そういうボーカルを入れる意味がなかったんだ。
それに、自信を持てたんだ。古い曲をたくさん演奏するツアーを何度かやったけど、楽しかった。私にとってスクリーミングは、ある意味ラップに近い。ラップがうまいというわけではないけど、私のリズム全体が面白いと思う。
私はグロウルにはとてもこだわりがあるんだ。相当うまくなければならない。具体的でなければならない。そういうものに関しては特別なセンスがあるんだ。そしてもちろん、音楽全体のアイデアにプラスになるものでなければならない。今回はコンセプト・レコードだから、そうなっている。全体として、より良いレコードになったと思う」
16年ぶりにうなる最初のラインは?”死に包まれて…伝承の遠吠え…”。この冒頭のセリフはこれから起こることの舞台を整えていますが、同時にグループとしての OPETH の伝承、伝説、歴史を物語っています。結成当初から、OPETH と Mikael は、メタルの同胞たちとは一線を画してきました。初期には、フロントマンが見事なグロウルとクリーン・パッセージを聴かせるプログレッシブ・スタイルのデス・メタルとブラック・メタルを提示することで、同世代のバンドとは一線を画していました。
その後のリリースごとに、バンドはソングライティングに対してより簡潔で合理的なアプローチを示し、自分たちを繰り返すことなく、優れた作品を作り続けました。コンセプト・アルバムであろうと、ハーシュとメロウという異なるスタイルをフィーチャーしたツイン・レコードであろうと、デス・グロールを完全に捨て去ろうと、英語とスウェーデン語の両方でアルバムをリリースしようと、Mikael とその仲間たちは常に自分たちの音楽を最高水準に保ってきました。彼らはその完全性を徹底的に守りながら、次の進化に努めてきたのです。
古い曲をライヴで演奏するのと、再びスタジオで、新曲で叫ぶのは異なる体験なのでしょうか?
「みんなに変な感じ?って聞かれたよ。いや、そんなことはなかったよ。ボーカルは全部、自宅の地下室でひとりで座って録音したんだ。でも、なぜかうまくいった。他のシンガーの友人には、私が怠け者の年寄りのように座ってボーカルを録音したことを話したけど、とにかくなぜだかうまくいったんだ。ただ試してみて、最終的にカッコいいと思える曲ができた。それをみんなに送ったら、グロウルを聴いて、クールだって言ってくれたんだ」
グロウルを必要としたコンセプトはどんなストーリーなのでしょうか?
「時代は第一次世界大戦後の世界。3人の兄妹が実家の豪邸に到着するところから始まる。彼らの父親は厳格で年老いた保守的で偏執的で邪悪で高貴なクソ野郎だが、他界したんだ。3人の兄妹は、20代後半の男女2人の双子と、ポリオという骨格系の病気に冒された少女だ。そして、歌詞は遺言の朗読のようになっている。だから曲にはタイトルがなく、ただ1…2…7…と段落があるだけなんだ。
“遺言 “の朗読を通して、この子供たちは自分自身について、父親の秘密について、家族とのつながりについて、たくさんのことを知る。双子の兄妹はドナーによる子作りの結果生まれた。父とその妻は子供を作ろうとしたがうまくいかず、彼は妻が不妊であると責めた。しかしどうしても子供が必要だった彼は、妻に他の男をあてがうんだ。妻は双子を妊娠したが、その間、主人公は妻が他の男に犯されたことを後悔していた。だから、彼は基本的に2人の双子を後悔している。
“遺言 “の朗読を通して、双子は彼が本当の父親でないことを知り、最終的に遺産から取り残される。彼の唯一の血のつながった本当の子供は、病気の女の子だ。彼女はすべてを受け継ぐ。しかし彼女は、彼が屋敷のメイドと交わした恋の結果だった。彼は妻に、彼女のかわいそうな子供を身内のように面倒を見るべきだと嘘をついたんだ。
今、彼の妻も亡くなった。しかし、妻は夫が浮気をしていたことを知っていたようで、彼女は血のつながった相続人となった。彼女はすべてを相続する。そして遺言が終わり、最後の曲 “The Story Never Told” がはじまる。
彼女は今、屋敷に住んでいる。彼女はすべてを手に入れた。しかし、そこに一通の手紙が届く。それはメイドである母親からのもの。”私はあなたの父親に嘘をつきました。あなたは別の恋愛の結果です。彼はあなたの父親ではなかった” って。つまり、父は不妊症だったんだ」
かの KING DIAMOND が生み出しそうなストーリーです。
「否定できないね!(笑) だけど、彼はキャラクターとか名前とか、そういうことにもっと興味があるんだ。でも、私は家族全体に興味があったんだ。遺産相続をめぐって家族がどう衝突するかとか、血は水よりも濃いとか、そういうことにね。前作でもそうだった。そして、それをいい形で表現できるような音楽があれば、面白くてダークなトピックになると感じたんだ」
アルバムには、ブラックモアやギルモアを想起させるギターヒーロー的な見せ場もふんだんに盛り込まれています。
「ああ、それはとてもいい指摘だ。Fredrik は ARCH ENEMY に在籍していたんだ。それに彼はスウェーデンの TALISMAN というバンドにいて、そのバンドには元Yngwie Malmsteenの2人、Marcel Jacob とJeff Scott Soto がいた。まさにギターヒーローだよ。彼はスウェーデンでトップ・ギタリストの一人として確立されていたけど、加えてミュージシャンとしての地位を確立したいという願いがあった。彼は私が難しいと感じることもこなせるし、私にはないギターヒーロー的な気概も持っている。私は彼のギターが大好きだ。彼は世界最高のギタリストだと思う。
私自身もギター・ヒーローが大好きだけど、私はソングライターでもあるから、シュレッドするときとソウルフルで長い音を出すときがはっきりしているんだ」
唯一曲名を持つ “A Story Never Told” のソロはそんなふたりのギターヒーローの協力の結果です。
「Fredrik には何も言う必要はなかった。彼はブレーキを踏むタイミングも知っているし、トップギアに入れるタイミングも知っている。彼はただ素晴らしいソロを披露してくれた。私は、ただ “ああ、最高だ” と言うだけだよ。
“A Story Never Told” のソロも上手くやるって言ってね。私はちょうど RAINBOW の “Bent Out Of Shape” を聴いていたんだけど、その中に “Snowman” という曲があって、すごくスローなんだ。だからこそ私はブラックモアが大好きなんだ。彼はいろんなトリックを持っていて、素晴らしいプレイヤーだったけど、いつも音楽的だった。Fredrik もそうさ!」
今回のレコーディングでは珍しく、テレキャスターも使用しました。人間らしさを得るために。
「私たちが目指しているのは完璧さではない。バーチャルの楽器を本物の楽器に置き換えるとき、欠点を探すのではなく、人間的な面を探している。不完全さの中にこそ人間性がある。それはデモにはないものだ。私のデモを聴けば、クソ完璧だ。私は、繰り返しになるが、人間的なサウンドの擁護者なのだ。完璧は私にとっては正しい音ではないんだ。完璧なテンプレートがあるのはいいことだけど、それをレコーディングするときにちょっと失敗して、最終的に人間的なサウンドのレコードになるんだ」
元 PARADISE LOST のスティックマンである Waltteri Väyrynen もバンドに新鮮な要素をもたらしています。彼がボスを感心させたことは間違いありません。
「Walt が素晴らしいドラマーだということは知っていた。このバンドはくだらないミュージシャンの集まりじゃない。演奏はできる。でも私たちはロックフィールド・スタジオに座っていて、彼は非常識でテクニカルな曲をワンテイクでやっていた。ほとんどリアルタイムでレコーディングしていた!彼はすごいよ!」
そう、これは OPETH 史上最高のギター・アルバムで、リズム・アルバムでもあるのです。バンドのもうひとりのキーパーソン、ギタリスト、Fredrik Åkesson も今回のアルバムの仕上がりには興奮を隠せません。
アルバムの複雑なテーマを踏まえて、Fredrik は Mikael とのコラボレーションが鍵だったと明かしました。
「このアルバムは、2008年の “Watershed” でバンドに加わったときと同じくらいエキサイティングだと今でも思っている。僕にとって特別なアルバムだからね。もちろん、どのアルバムも良いし、どれも満足しているけれど、このアルバムは、古い OPETH とプログの OPETH が新しい方向性と一歩前進のために組み合わされたような作品なんだ。
だからこそ、自分を本当にプッシュしたかったんだ。そして、すべてのソロに目的を持たせたかったんだ。Mikael と僕はヘヴィなリズム・リフを分担し、僕はアルバムの多くのメロディーを演奏した。Mikael はアコースティック・ソロを弾いているね。
“In Cauda Venenum” の時僕は、Mikael のスタジオで即興的にソロを弾いていた。でも今回は、音楽を送ってくれたんだ。だから、自分のスタジオでソロを考え、今までやったことのないことをやろうとより多くの時間を費やした。どのソロもそれぞれ違うものにしたかったんだ」
そうして Fredrik はこのアルバムで、より思慮深いアプローチへと突き進みました。この新しい創造的な空間において、彼は楽曲だけでなくレコードの大きな物語に合うように、それぞれのソロを綿密に作り上げていったのです。
「”目立ちたい “という考え方は好きじゃないんだ。テクニカルなものを盛り込むのは好きだけど、それは目的があってのこと。このアルバムでは、リードに多くの時間と余韻を費やした。
かつて Gary Moore が言ったように、”あなたが弾くすべての音色は、人生で最後に弾く音色のようであるべきだ”。そういうメンタリティなんだ。人生を当たり前だと思ってはいけない。常にベストを尽くしたいと思うだろう。それがいいモデルだと思うし、できればそれ以上になりたい。ちょっと野心的に聞こえるかもしれないけど、ある意味、少なくとも僕が目指していたのはそういうことなんだ。みんながどう思うかはこれからだけど、かなりいい出来だと思うよ」
ヘヴィでアグレッシヴなパッセージと、幽玄でメランコリックな瞬間がぶつかり合う OPETH の特徴的なサウンドは、このアルバムの中核をなしています。この両極端の間の複雑なバランスは、バンドが長年かけて習得してきたもので、彼らはアイデンティティを失うことなく、幅広いサウンドパレットを探求できるようになりました。そして彼らの14枚目のスタジオ・アルバムでは、そうした対照的な要素の相互作用が、慣れ親しんだものであると同時に、新たに活性化されたようにも感じられると Fredrik は言います。
「僕の見方では、OPETH の曲は陰と陽のようなものなんだ。とてもアグレッシブなパートと、よりメランコリックなパートが出会って、一方が他方のパートを糧にする。これはレコーディングの方法でどのように演奏し、どのようなサウンドを使うかによって、音楽にそうした極端な変化を生み出すことができるんだ。
ヘヴィなものから森のような夢のようなサウンドスケープまで。それは “Orchid” 以来、OPETH の一部になっているものだと思う。しかし、それは常に発展し、様々な方法で行われてきたんだよ」
“The Last Will and Testament” が形になるにつれ、この作品は Fredrik のようなベテラン・ミュージシャンにとっても新たな挑戦となることは明らかでした。レコーディング・プロセスでは、技術的な複雑さと新鮮な創造的要素がプロジェクトの重みを増し、バンドは予想外の方向にまで突き進みました。しかし、限界に挑戦し続けるというバンドの決意は揺るがず、革新と芸術的進化への深い情熱がその決意を支えたのです。実際 Fredrik は、音楽そのものの複雑さが障害となり、また成長の源となったことを明かしています。
「今回のドラムのパートはとても複雑だから、リフを入れるのに時間がかかった。ポリリズム的なものがとても多いんだ。だから、リフのいくつかを捉えるのに時間がかかった。でも僕は挑戦することが好きなんだ。Mikael は常に僕らにも挑戦したかったんだと思う。いい意味でちょっとサディスティックなんだ」
“The Last Will and Testament” は過去への回帰を意味するのか、それとも OPETH の進化の継続を意味するのでしょうか?
「継続だ。一歩前進だ。これは初期の OPETH とプログ時代の OPETH をひとつにまとめたものだ。他のアルバムとはいろいろな意味で違うが、OPETH サウンドは健在だ。ちょっと新しいサウンドなんだ。グロウルのヴォーカルもあるけど、Mikael は “Paragraph I” で聴けるような、もっと芝居がかったクリーン・ヴォイスを開発したんだ。これまでそういうことはしてこなかったからね」
バンドとして革新と進化を続ける原動力は、自己満足を避けたいからだと Fredrik は説明します。
「飽きられたくない。常にステップアップし、レベルを上げ、限界を上げなければならない。もちろん、それは難しいことだ。でも、新しいアルバムはリスナーに対してではなく、自分自身に対して何かを証明する機会なんだよね。
毎回また何かを証明する必要があると思うし、それは今でも OPETH のアルバムのモットーなんだ。ビジネスを維持するためだけにアルバムを作るのなんて意味がないからね」
最後に Mikael は自分とバンドの立ち位置を明確にします。
「私は自分をミュージシャンだと思いたい。ミュージシャン…つまり、私は自分が消費する音楽の産物だ。私はもう50歳だ。だから、長年にわたってたくさんの音楽を聴いてきた。そうして多くの音楽を盗み、参考にしてきたんだ。でも結局のところ、私は自分が何をやっているのかわからないんだよな!」
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FRANCOIS VAN DER MERWE OF THE FALLEN PROPHETS !!
“All The Major Cities In South Africa Have Their Problems With Crime. It Could Possibly Affect Our Music. We Do Live In a Place That, As Beautiful As It Is, Constantly Reminds Us Of Violence And The Dark Nature Of Humanity.”
DISC REVIEW “PRIMORDIAL INSTINCT”
「ケープタウンは危険な街だよ。僕たちは皆、犯罪に何度も遭遇しながら育ったんだ。それが世界の他の都市とどう違うのかはわからないけど、南アフリカの主要都市はどこも犯罪の問題を抱えている。それはもしかしたら僕たちの音楽にも影響しているかもしれないね。美しいと同時に、暴力や人間の暗い本性を常に思い起こさせる場所に住んでいるのだから」
南アフリカ発祥の地 “マザーシティ” と称されるケープタウンは、風光明媚な多文化自然都市として知られています。最先端のショッピングタウンに街の象徴テーブルマウンテン、そして世界で最も美しい岬、喜望峰。そんな理想的に見える場所には実は裏の顔が存在します。世界で最も危険な都市のひとつ。
貧困と格差、失業率の高さが生み出す犯罪は後をたたず、強盗、スリ、性犯罪、車上荒らし、そして南アフリカ全体で1日に75件の殺人事件が発生。銃社会のこの国は、アパルトヘイト撤廃後の混乱と流入にうまく対処できなかったのです。
そんな南アフリカ、ケープタウンの光と闇を全身全霊で喰らい尽くしたバンドこそ、THE FALLEN PROPHETS です。彼らのデスメタルには、常に流れるような美しさと人間の深い闇が同居しています。
「アフリカのメタルは市場が小さいし、ほとんどの国際的なアーティストにとってアフリカは地理的にかなり遠いという事実。通貨も弱い。しかし、世界がデジタルの時代へと進化し、アフリカがその不利を克服してきたことで、僕たちは最近より多くの音楽に触れることができるようになった。今アフリカは間違いなく、世界で最もユニークなメタルを生み出している」
世界で最も遅くメタルが根付いたアフリカ大陸は、インターネットで世界が小さくなった今、個性的でユニークなメタルを生み出す奇跡の場所へと変貌しつつあります。そして、THE FALLEN PROPHETS は、ダークでアグレッシブなテーマとデスメタルの揺るぎないルーツ、そしてクラシックやバロック音楽からの意外な影響を融合させることでケープタウンの今を投影し、アフリカのメタル、その進化を証明してみせました。
“Primordial Instinct” はそんなバンドにとって大胆な新章の幕開けです。ネオ・クラシカルの複雑さを取り入れ、より洗練された彼らのデスメタルはブラックメタルの凶暴まで内包。”Beneath The Veil Of Flesh” では、デスメタルの真髄である容赦ないリフ、ブラックのトレモロにブラストビートを叩きつけながら、バロック・ギターのイントロ、複雑なアルペジオ、ディミニッシュのランで彼らの個性を際立たせていきます。これぞメタルの没入感。ハイテンションで強烈で時に流麗。自身のペルソナと同化した彼らのデスメタルはもはや単なる音楽ではなく、生き方そのものとなりました。ABORTED, BLOODBATH, CANNIBAL CORPSE, HYPOCRISY, NILE, VADER といったバンドに対する情熱や憧れは、ケープタウンの風景の中に昇華されていきます。
今回弊誌では、ギタリスト Francois van der Merwe にインタビューを行うことができました。「差別はなくなったのか?いや、なくなってはいない。残念ながらこれからも差別が完全になくなることはないだろう。そして、過去の残虐行為のせいで、人々から軽蔑されることも常にある。でもね、幸運なことに、そういう考え方をする人の数は日に日に少なくなっているのもまた事実なんだ」 どうぞ!!
THE FALLEN PROPHETS “PRIMORDIAL INSTINCT” : 9.9/10
“If Putting a Label On Ourselves, We Would Probably Say Progressive Semi-Technical Melodic Thrash-Infused Death Metal? Our Sound Really Is a Mixture Of a Lot Of Influences.”
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NOISE OF KANONENFIEBER !!
“The Topic Of War In The Metal Genre Is Often Handled In a Provocative And Glorifying Way. We Wanted To Create a Contrast To That And Develop a Project That Depicts War In Its Worst Aspects, Serving As a Warning.”
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YUSUKE SUMITA OF DEFILED !!
(ALL PHOTOS BY SHIGENORI ISIKAWA)
“I Think Everyone Has Something They Love And Can’t Get Enough Of. If We Pursue It With Full Curiosity And Love, We Can Reach a Certain Point, Even If We Are Complacent.”
COVER STORY : BLOOD INCANTATION “ABSOLUTE ELSEWHERE”
“A Lot Of People Would Say, ‘I Don’t Even Listen To Any Metal At All, But This Record Somehow Does It For Me,’ Which I Found Amazing”
ABSOLUTE ELSEWHERE
「PINK FLOYD をどう説明する?彼らはサウンドトラックを作った。他のこともやっていた。”彼らはメタルやロック、プログのバンドだ” と言われるのではなく、ただ “バンドの名前だ” と言われるような立場にいることは、とてもクールなことだと思う。そして、僕らもその段階に差し掛かりつつある。BLOOD INCANTATION はただ BLOOD INCANTATION なんだ」
一見、BLOOD INCANTATION の作品はとっつきにくいように思えるかもしれません。デンバーの実験的デス・メタル・バンドは、過去10年間、音楽的挑戦だけでなく、一見不可解で幻覚的なイメージも包括する世界に肉薄してきました。その哲学は、彼らの歌詞だけでなく、アルバムのアートワークにも浸透しています。
つまり、BLOOD INCANTATION を完全に理解するには、エイリアンやピラミッド、オベリスクの意味を理解しようとする必要があるのです。CANNIBAL CORPSE が “スター・ウォーズ” なら、BLOOD INCANTATION は “2001年宇宙の旅”。
難解な音楽を披露するバンドにもかかわらず、彼らは幅広く多様な聴衆を惹きつけることに成功しています。2016年に発表された初のフルアルバム “Starspawn” は、バンドの土台を築き、より壮大でプログレッシブな野心を示す、最初の突破口となりました。しかし、扉を大きく開けたのは2019年の “Hidden History Of The Human Race” でしょう。その代表曲は18分ものサイケ・エピック “Awakening From The Dream Of Existence To The Multidimensional Nature Of Our Reality (Mirror Of The Soul)” であるにもかかわらず、”Hidden History” は2010年代で最も幅広く評価されたメタル・アルバムの1枚となりました。そうして、ブルース・ペニントンの象徴的なアルバム・ジャケット(グレーのエイリアン、淡いブルーの空、謎の浮遊物)をあしらったTシャツは、インディ・ロックのライヴで見かけるくらいに有名になったのです。
ギタリストの Morris Kolontyrsky は、「多くの人が、”私はメタルをまったく聴かないのに、このレコードはなぜか聴いてしまう” と言うんだ」 と目を細めます。
“Nile Is Unconcerned With Delusions Of Functioning As an Ethnomusicological Museum Conservatory”
THE UNDERWORLD AWAITS US ALL
その名の通り、NILE はあの悠久の流れのごとく決して静止することはありません。10枚目のアルバム “The Underworld Awaits Us All” は、バンドにとってまた新たな王朝の幕開けとなりました。NILE のディスコグラフィにおけるこれまでの9作と同様、このアルバムもまた兄弟作とは一線を画すユニークな作品となっています。実際、唯一神 Karl Sanders 率いる砂漠の軍団は、アルバムごとに新たな王朝を開いていて、その芸術的刷新の傾向はこのアルバムでも続いています。太陽が昇るように規則正しく、バンドは再び前作から学んだことを取り入れ、その苦労して得た経験を頑丈な土台に注ぎ込み、ピラミッドの改築と再構築に役立てているのです。
「”Amongst the Catacombs of Nephren-Ka” と “Black Seeds of Vengeance” 以来、私たちが作ったアルバムはどれも、”他の NILE のアルバムに似ている “とか、”あのアルバムのようなサウンドにしたかったのか? “とか、好きなレコードのどれかに似ていると言う人がいることに気づいたが、私はシンプルに “メタルを作ることに集中する” ことを好む。人々が愛着を抱くような過去のアルバムを作ったことで、最終的に “やると呪われる、やらないと呪われる” 状況が生まれるのなら、我々は “呪われる” を選ぶんだ」
とはいえ、その新鮮さにもかかわらず “The Underworld Awaits Us All” は紛れもなく NILE のアルバムであり、すぐにそれとわかるバンドの特徴が焼き付けられています。好奇心をそそるエジプト学と古代史、練り込まれたオリエンタルなリフ、燃えるようなテンポと骨の折れるようなスローダウン。これは1994年に NILE がデビュー・デモをリリースして以来、創意工夫を重ねてきたデスメタルの異形であり偉業です。
そして30年後の今、私たちは “Chapter For Not Being Hunged Upside Down On A Stake In The Underworld And Made To Eat Feces By The Four Apes” “冥界の杭の上で逆さまに吊るされ、四匹の猿に糞を食べさせられることのないように” という信じられないようなタイトルの曲を食べさせられることになりました。決してその場しのぎではない、タイトルから曲調に至るまで、デスメタルを愛する人々のためのデスメタル。
新たな血の注入を受けた “Four Apes “は、NILE が今でもレッドラインを越えてなおアクセルを吹かせられることを証明しているのです。ドラマーのファラオ、George Kollias の音の壁を破るようなパフォーマンスだけでも YouTubeは大賑わいでしょう。ある意味、人間離れしたスピードとレーザーガイドのような正確さが組み合わさったこの曲は、過去にバンドが好んだテクニカルなワークアウトを進化させています。NILE のDNAは、そのカタログの総和。
ゆえに、”Four Apes” は2015年の “What Should Not Be Unearthed” のような楽しさがあり、2019年の “Vile Nilotic Rites” のようなダイナミックできらびやかな鋼鉄のサウンドデザインも完備しています。それでも、NILE に刻まれた DNA のもう1つ、改革に執着する部分も存分に発揮されています。
その改革と再生へのこだわりは、”The Underworld Awaits Us All” に深く入り込めば入り込むほど明確になっていきます。”Doctrine Of Last Things” は、NILE の真髄であるスローモーなリフをピラミッドのように積み重ね、盛り上げていきます。テクニカル・ドゥームを愛する多くのリスナーが、なぜこのバンドをマイルストーンとして挙げるのか。Sanders とその仲間たちがもたらす、脂ぎった、悪臭を放つグロテスクな音像はしかし、川の急流のように決して淀まず、静止せず、前へ前へと流れていくのです。
「我々は歴史保存協会ではない。どの曲もアイデアを見つけるのにかなりの時間を費やし、そしてそのアイデアを新しい場所に持っていく。リサーチするだけでは十分ではない。私たちに言いたいことがあることも重要だと思う。これまでのレコードを振り返ってみると、私たちがただ歴史を語っているのではないことがわかる。これは歴史小説だ。歴史小説という媒体を通して、私たち自身の視点や考えを伝えているのだよ」
アメリカを拠点とする NILE は今回も、エジプト学のダークなエッセンスを再びより集めました。エジプト地域の残忍でしかし神秘的な歴史に、これほど適切なサウンドトラックを提供したアーティストはこれまでいないでしょう。しかし Sanders は NILE の音楽が、まず文化の保存ありきではないと主張します。
「NILE は、民族音楽博物館としての機能には無頓着だ。我々は、何よりもまずメタル・バンドである。だから、民族音楽学上の食人族に近いかもしれない。我々のギター・リフの基礎となっている東洋的な様式や調性は、すべてのメタル・リフの遺産とも共通していて、その性質上、多様なアイデアの交配と再利用を推し進めているんだ。それは古代の文化を守ることとは正反対だ。私たちはそうしたアイデアを取り入れて新たなメタルを “作って” いるのだから」
NILE は、ただの文化的なトリビュート・バンドとみなされることへの挑戦を続けると同時に、30年の間に冥界を震撼させるような作品を次々と発表してきたことで、自分たちに課したプレッシャーも克服しているのです。だからこそ、過去のアルバムとは一線を画す部分があります。
「これはストレートな NILE のアルバムだ。東洋の影響を受けたトーンや様式美はまだそこにあるが、このアルバムの直感的な焦点は、メタルの純粋で野蛮な本質にある。私は最近、無意味にオーケストレーションされ、過剰にプロデュースされたレコードの数々を聴いてうんざりしていたので、このアルバムを書いている間、キーボードを下ろしてクローゼットの中にしまい込んだのさ」
Sanders はこの作品でデスメタルの意味を再発見しました。
「デスメタルのレコードは、まず殴打し、次に楽しませるものだと思う。思慮深く、より複雑でスローなものを最初にレコードの前面に出すと、人々は “ああ、これはブルータルじゃない。邪悪さが足りない。あいつらどうしたんだ?” ってなるからね。
それを、”Ithyphallic” で気づいたんだ。”Ithyphallic” の1曲目、”What May Be Safely Written” は、ビッグで長くて壮大な野獣のような曲だけど、必ずしも即効性のある曲ではない。かけてすぐにバーンという感じではない。奇妙で、クトゥルフ的で、クトニックなスタートだった。あの曲に対するリアクションが、このレコードをどうするか、決定づけたんだ。ハードでツボを押さえた曲を前面に出さなかったせいで、迷子になってしまった人もいると思う。教訓を得たよ。まずは頭を殴って、それから別の場所に連れて行こう」
デスメタルに音楽理論は必要なのでしょうか?
「でも、ギターというのは本来、自分が何をやっているのかわからなくてもいいものだと思う。CELTIC FROST のフロントマンである Tom G. Warrior は、ギターで何をやっているのかさっぱりわかっていないが、信じられないような音楽を作っている!
私が知っているデスメタルを演奏している人たちの中には、自分が何を演奏しているのかまったくわからないのに、音楽を作っている人たちがいる。では、理論は必要なのか?いいえ」
しかし、Sanders 自身は音楽をもっと深く掘り下げているように思えます。
「私はいろんなタイプの音楽を聴く。それは NILE の音楽にも表れていると思う。CANNIBAL CORPSE と SUFFOCATION しか聴かない人、とは思えないよね。NILE を聴くと、他のものもたくさん聴こえてくる。でも、それは必ずしもデスメタルにとって必要なものではない。
つまり、デスメタルばかり聴いていれば、デスメタルをうまく演奏できるようになると思うよ。実際、そういう人はたくさんいるけど、私はたまたまいろんなものが好きなだけなんだ。
影響を受けたものが1つだけだと、音楽的には満足できない。世の中には宇宙みたいに広い音楽の海があって、楽しめるものがたくさんある。実際、クソほどたくさんの音楽があり、クソほどたくさんのギターがある。学べば学ぶほど、自分が何も知らないことを知ることになる!」
A面、B面というロスト・テクノロジーもこの作品で再び発掘されました。
「レコードのシーケンスは、デジタルの時代になって失われた芸術だと思う。70年代には、アイズレー・ブラザーズのレコードがあった。A面はパーティーのレコードで、B面までに誰かとイチャイチャしていなければ、大失敗だ。
10代の頃、友達の家に集まってレコードをかけて、ハイになって、しばらくアルバムのジャケットを見つめていたね。A面とB面の曲順は本当に重要だった」
実際、NILE はエジプトの歴史を紐解くだけでなく、ロックやメタルの歴史をも紐解いているのです。
「ブルータルなリズム・パートから別のリズム・パートへと移行し、フィーリングを変化させたり、フックの到来を予感させたりするようなパッセージ。それは、エレクトリック・ギターの先駆者たちにさかのぼる。ブルースやジャズのコード進行、モチーフ、ターンアラウンドからね。それらははすべて、CREAM やEric Clapton, 初期の Jeff Beck といった初期のものを研究した結果なんだ。Jeff Beck! なんてすごいギタリストなんだ!
レノンとマッカートニーの作品を研究するだけでも、学べることはたくさんある!たとえ君がテクデスを演奏していたとしても、何であれ、ソングライティングはクソ重要だ。音楽的な要素をどのように取り入れ、それらを使って音楽的なストーリーを語るかを知ることは、ただ空から降ってくるようなものではない。
そのためには多くの技術が必要で、巨匠たちの作品を研究することが重要だ」
“The Underworld Awaits Us All” におけるバンドのヴィジョンは、そうしたロックの生々しく奔放で野蛮さのある作曲をすることでした。
「過去の NILE のアルバムでは、確かにエキゾチックな楽器をふんだんに取り入れた。バグラマ・サズやグリセンタール、トルコのリュート、古代エジプトのアヌビス・シストラムに銅鑼、様々なパーカッションなど、自分たちの手で演奏するアコースティックな楽器もあれば、キーボード、ギター・シンセ、映画音楽のライブラリもあった。すべてが混ざり合って、静かに脳を爆発させる音楽。
それはそれでとても楽しいよ。弦楽器では、ギターのテクニックをクロスオーバーさせることもある。バグラマやグリセンタを手にしたときでも、私がメタル奏者であることに変わりはない。やっぱり自分なんだ。つまり、魔法のようにマハラジャに変身したりはしない。私はメタル・パーソンだからな。
でもね、今回は曲の進展が進むにつれ、合唱パートをキーボードで考えるのではなく、本物のヴォーカリストにやってもらおうと思ったんだ。高校時代の友人が地元のゴスペル・クワイアで活動していて、4人のゴスペル・シンガーを紹介してくれた。ゴスペル・シンガーたちとのレコーディング・セッションは、とても素晴らしいものだった。彼らは私たちが誰なのかも、デスメタルというものが一体何なのかも知らなかった。しかし、レコーディング・セッションが進むにつれて、彼らはブルータルなグルーヴとの天性の関係をすぐに見出し、あっという間にヘッドバンギングをしていたよ」
例えばテム (アトゥム) 神。タイトル・トラック “The Underworld Awaits Us All” の主題である創造神テムは、同じ名前の略奪的なオンラインショッピングサイト Temu の形で復活したのかもしれません。Sanders は、神をデジタルの形で解き放つという役割に喜びを感じています。
「PCのスタートページに Temu が現れ、すでにアマゾンで買ったものを売りつけようとするのを見るたびに、このタイトル曲の歌詞を思い出すよ。”死がなかった時代があった、テム神だけが存在した時代が”。
今考えているのは、このアルバムがリリースされたら、Temu のAIボットが私に直接広告を出して、 “The Underworld Awaits Us All” を Temu で買わせようとするなんて皮肉な未来だ。いずれわかるだろう」
とはいえ、メタルはデジタルの恩恵も強く受けています。Sanders はメタルとギターの進化に目を細めています。
「新しいデスメタルはファンがいろいろ送ってくれるから、どんなことがあっても見つけられる。私の受信箱はバンドからの問い合わせでいっぱいだ。デスメタルからは逃れられないんだ。でも、私たちは今、メタルという芸術の爆発的な進化の中に生きていると思う。
YouTubeの登場は、音楽活動のあり方を大きく変えた。例えば私が演奏を学んでいた頃は、YouTubeはなかった。何かを学ぶことは、必ずしも今ほど簡単ではなかった。でも今は、もし君が若いギタリストなら、スティーブ・ヴァイと入力するだけで、ビデオが150本も出てくる。そしてそれを見ることができる。
誰かが何かをやっているのを見るのは、それをただ聴くのとはまったく違う経験だ。好むと好まざるとにかかわらず、私たちは霊長類なのだ。だから今、私たちは、信じられないほど豊富なギター演奏の知識に瞬時にアクセスできる世代を持つことになった。クリックひとつで、しかも無料で。
それを理解し、ハングリーで、何かを学びたいと思っている人たちにとっては、まさにうってつけだ。ここ10年のギター・プレイのレベルは、こんな感じだ!生きていてよかった。まさにメタル・リスナーのための時間だよ」
同時に、怒りが渦巻く世界で、その対処法も古代エジプトからヒントを得ました。
「”Stelae Of Vultures”(禿鷹の墓)。個人的なアンガーマネジメントみたいなものだね。エンナトゥムがウンミテ人を容赦なく虐殺し、その殺戮を楽しんだときに何が起こったのか?いったいなぜ彼は人々を虐殺し、ハゲタカの餌にするようなことをしたのか?なぜ彼は殺戮と残虐行為に酔いしれたのか?誰も、戦いの初期に彼が矢で目を撃たれたことについては言及しない。矢で目を撃たれるなんて、痛いに決まっている。一日中痛むに違いない。慈悲や人間性という概念が窓から消えてしまうに違いない。
これは人間の状態を表す良いたとえ話だ。目には目をというだけではない。目には目をから始まり、そして飽くなき、しかし破壊的な血の欲望を鎮めるために、さらにもっととエスカレートしていく」