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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VENOM PRISON : SAMSARA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LARISSA STUPAR OF VENOM PRISON !!

“We’re Always Quick Enough To Point Fingers At Metal But Sexism And Misogyny Is a Global Issue That We Face In Every Aspect Of Our Lives, Not Just Within The Music Industry. It’s a General Problem Within Our Society. And When I Speak About Fighting Sexism, I Want To Fight It On Every Level, Not Only In My Micro Cosmos Called Metal.”

DISC REVIEW “SAMSARA”

残忍で暴力的、グロテスクなデスメタルの陰惨は、特定のリスナーにとっては快楽で気韻生動の源でありながら、一般的には嫌悪の対象であると言えるでしょう。
故に、それがファンタジーの絵巻物、アートの一環であるとの主張虚しく糾弾を受けることもしばしばで、レイプや殺人の夢想家 CANNIBAL CORPSE がオーストラリアで発禁処分を受けていたことは記憶に新しいところです。
もちろん、そういった過度な猟奇はホラー映画や絵画、小説にも散見される表現ですが、例えば CANNIBAL CORPSE のアートワークを見ればそこにミソジニー、女性蔑視や性差別の痕跡まで確かに存在するようにも思えます。
「セクシズムと言えば私たちはすぐにメタルを批難するけれど、性差別や女性嫌いは音楽業界だけでなく、私たちの生活のあらゆる面で直面する世界的な問題なの。だからセクシズムとの闘いについて話すとき、私はメタルという自分のミクロな宇宙の中だけでなく、あらゆるレベルで戦いたいと思うのよ。」
ファンタジーにかこつけたミソジニーを負の遺産と捉え始めたシーンの潮流において、VENOM PRISON のフロントウーマン Larissa Stupar は潮目を違える天変地異なのかも知れません。反逆はデビューフル “Animus” で始まりました。
イスラエルの芸術家 Eliran Kantor の手によるネオクラシカルスタイルのアートワークには、ストイックな女性のグループが男性の性器を強制的に切除している様子が描かれています。ただし状況に反して上品に仕上げられたアートに、傷や性器自体は見られません。そしてそのカバーはレイプ犯に対する詩的な復讐を実現する “Perpetrator Emasculation” “加害者の解放” と結び付いていたのです。
ジャンヌ・ダルクのようにエクストリームミュージック、ひいては世界の性差別に立ち向かう Larissa。「”Samsara” は私の目には現実的に、”Animus” のステップアップで進化形に映るのよ。 」 彼女の言葉通り最新作 “Samsara” はさらなる義憤のレコードです。
同じく Kantor の手によるアートワークには、拘束された蜘蛛女が卵を産む姿が描かれています。そしてその描写は、子孫に食される母の悲傷を唄うオープナー “Matriphagy” への直接的な言及。さらに “Uterine Industrialisation” “子宮工業化” に対する憤激へと繋がっていきます。
Larissa は昨年アメリカをツアーした際、インドにおける商業的な代理出産のニュースを耳にします。
インドの貧困の中で暮らす脆弱な女性から搾取し、自分の子供を持つことが困難な米国の若い家族からも搾取するという悪魔の二重構造は、長い間彼女の頭を離れませんでした。古代インドの言葉サンスクリットで “Samsara” とは即ち輪廻。彼らは負の輪廻を構築する現代社会に鋭い牙を向けるのです。
ただし、VENOM PRISON の牙は上顎にデスメタルを、下顎にハードコアの “毒” を宿した音楽の鋭き牙。
「私たちがバンドを始めた2015年はデスメタルは勢いを無くして、メロディックメタルコアのリバイバルが全盛だったのよ。だから私たちはハードコアシーンにも少しはみ出している訳なんだけど。」 と Larissa が語る通り、CODE ORANGE や VEIN がハードコアとメタルの禍々しき婚姻をハードコア側のプロポーズで成立させたのに対し、VENOM PRISON はデスメタルの血統で見事にクロスオーバーの美学を体現します。
Ash Gray と Ben Thomas が織り成す美麗でしかしブルータルなシュレッドのタペストリーは確かにメタルのロマンを伝承し、ブラストとD-beat をスイッチするリズム隊の圧倒的カオスで革新の波を起こす VENOM PRISON。その中枢には、デスメタルのグロウルとハードコアの咆哮を行き来する Larissa の “情け容赦ない” Take-No-Prisoners なパフォーマンスが原動力として存在するのは明らかでしょう。
今回弊誌では、Larissa Stupar にインタビューを行うことが出来ました。「私は “フィーメールフロンテット” って言葉が好きじゃないの。だってこの言葉はただフロントを務める人物のジェンダーのみによって、サブジャンルのようなものを形成してしまうから。その女性ボーカルを擁するバンドたちが生み出す音楽関係なしにね。その行為はとても限定的で、逆効果だと思うの。」どうぞ!!

VENOM PRISON “SAMSARA” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DEVIL MASTER : SATAN SPITS ON CHILDREN OF LIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HADES APPARITION OF DEVIL MASTER !!

“I Think The Desire To Find The Most Chaotic And Moribund Sound Is What Drew Us To Japan’s Underground Music Scene. It Has Had a Huge Impact On Us Musically And Aesthetically.”

DISC REVIEW “SATAN SPITS ON CHILDREN OF LIGHT”

「僕たちのライティングプロセスにおいて、禁止されていることは何もないし、創造的なプロセスを阻害するいかなる意図も働かないよ。」
エクストリームミュージックの世界において、ジャンルの “純血” を守るためのみに存在する特有の “ルール” はもはや過去のものへとなりつつあります。ヴァンパイアの血を引く “漆黒のプリンス” を盟主に仰ぎ、フィラデルフィアから示現したオカルト集団 DEVIL MASTER は、天衣無縫な怪異の妖気でメタル、ハードコア、ゴス、ポストパンクといったジャンルのボーダーラインをドロドロに溶かしていきます。
「 G.I.S.M., ZOUO, MOBS, GHOUL, GASTUNK…間違いなく彼らの影響は、僕たちが成そうとしていることの基礎となっているね。最も混沌とした、瀕死のサウンドを見つけたいという願望が、日本のアンダーグラウンドミュージックシーンに僕たちを引き寄せたんだと思うよ。」
ブラックメタルの歪みと混沌、スラッシュの突進力、衝動的なハードコアのD-beat、ゴシックロックの濃密なメランコリー、揺らぐポストパンクのリバーブ、そしてクラッシックメタルの高揚感。モダンメタルの多様性を究極に体現する DEVIL MASTER の音の饗宴。その骨子となったのは驚くことに、ここ日本で80年代に吹き荒れたハードコアパンクの凶悪な嵐、いわゆるジャパコアでした。
確かに、ZOUO のサタニックなイメージをはじめとして、パンクらしからぬ高度な演奏テクニック、ノイジーでメタリックなサウンドメイクなど、良い意味でガラパゴス化した当時のジャパコアシーンの異端なカオスは、DEVIL MASTER の原点としてあまりに符号します。
そして皮肉なことに、DEVIL MASTER が極東の前世紀アンダーグラウンドを起点として、多彩な阿鼻叫喚を創造したのは、今現在 「大半のモダンメタルが陥っている一種の停滞から自身をしっかり識別、認識させたいという願望」 にありました。
「サタニズムに纏わる事柄は、間違いなく僕たちの音楽に内包されているね。だけど、僕たちのアプローチは確実に典型的な意味では用いられていないんだ。」
ギターの片翼 Hades Apparition も固執する “典型” を嫌うマスターの哲学。さらにマスターマインド Darkest Prince は、「サタンは世界を前進させる力だと思う。神にも似て…いや神なんてものはいない。それは”フォース”の名称であるだけさ。邪悪だって存在しない。ただ、”道義心” が社会を形作っているだけなんだよ。」 と語ります。
つまり、彼らのサタンは “生を肯定” する存在。サタニズムを邪悪や悲惨のネガティブな一元論で語るバンドが多い中、”Devil Is Your Master” に示された通り DEVIL MASTER は、”マスター” という “フォース” の栄光を讃えることで、サタニズム由来のメランコリズムと高揚誘う勝利のサウンドを見事に両立しているのです。
EP のコンピレーションを経て Relapse からリリースとなったデビューフル “Satan Spits on Children of Light”。ピアノに始まりピアノに終わるレコードは、”Skeleton Hand” でハイテンションのホラーパンクを、”Desperate Shadow” で MERCYFUL FATE の劇場感を、”Dance of Fullmoon Specter” では古の日本の伝承を探求し、70年代のオカルト映画に通じる退廃的な邪悪をシアトリカルに体現するスペクタクルとなりました。それは聴覚とそして視覚からリスナーを地獄の底へと誘う旅。
CODE ORANGE, POWER TRIP を手がけた Arthur Rizk のプロデュースはまさしくクロスオーバー最先端の証でしょうし、もちろん、GHOST の手法を想起するリスナーも多いでしょう。
今回弊誌では、Hades Apparition にインタビューを行うことが出来ました。「一つの旗の下に音楽を創作するという典型的な “近視” の状態ではなく、僕たちの全ての影響を出したいと願うよ。そうすることで、僕たちの音楽に住む混沌とした性質をさらに加速させることが出来ると思うんだ。」 どうぞ!!

DEVIL MASTER “SATAN SPITS ON CHILDREN OF LIGHT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【OLA ENGLUND : MASTER OF THE UNIVERSE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH OLA ENGLUND !!

“I’ve Always Been Very Business Wise In My Approach, Coming From a Background Of Working As An Accountant, And For Me It’s All About Being As Diverse As Possible. If You Want To Be Able To Survive You Have To Be Smart.”

DISC REVIEW “MASTER OF THE UNIVERSE”

PERIPHERYの Misha Mansoor は 「メタルバンドはお金を産まなくなってしまった。これから重要なのは収入の多様化だ。」 と語り、アーティストにとって過酷な時代の生存術を提示しました。
ある時はエクストリームなシュレッダー、ある時は YouTube のエンターテイナー、そしてまたある時はギターブランドのイノベーター。Ola Englund の音楽ビジネスに対するアプローチはまさに Misha の提唱するサバイバル術を実践しています。
「生き残りたいならスマートになるべきさ。ただし、成功に簡単な方法があると考えるのは間違いだよ。そんなものはないね。全てはハードワークと献身の結果なんだ。」
Ola のアプローチは確かに合理的で現代的ですが、決してハードワークを怠っているわけではありません。そして、世界がスウェーデンの埋もれた才能を発掘したのは、まさに尽瘁と先鋭的なビジョンが詰まった Ola の YouTube チャンネルだったのです。
ウィットとユーモアに富み、絶佳の技術と無尽蔵の知識でギター関連の機材をレビューしデモ演奏を披露する Ola のチャンネルは、自身のエクストリームメタルバンド FEARED と共にその名声を高めていきました。
そして登録者数32万を超えるコンテンツは、重要な収入源であると同時に規格外の広告塔としての役割も果たし、遂には SIX FEET UNDER、そして現所属 THE HAUNTED といったビッグバンドへの加入へと繋がったのです。ギターブランド Solar Guitar の立ち上げも、YouTube で養った経験と英知が寄与しているのは明らかですね。
多忙な生活の中でも Ola は音楽を製作し続けます。「ほとんどの人はメタルリフとデスメタルの演奏でいつもの僕を知っている訳だよ。だからこの作品をリリース出来たのは素晴らしいよ。世界中に僕にはエモーションがあって、様々なスタイルの音楽を好んでいると知らしめることが出来るからね。」
初のソロアルバムとなった “Master of the Universe” は自らの感情と音楽的な多様性を余すことなく注入した “猫の目の” 宇宙です。
コミカルなタイトルに反して “Pizza Hawaii” のデザインは実にシリアスです。RUSH を想わせる知性のアルペジオを序奏として、トレンドの TOSKA 的プログレッシブグルーヴと OPETH のミステリアスなリフエイジを投影したシュレッドロマンは素晴らしくエピカルです。
コンテンポラリーで理知的ななヘヴィーグルーヴと、荘厳なシンセを纏った静謐が異次元のダイナミズムをもたらす “Cerberus”、シアトリカルなピアノの響きが Devin Townsend にもシンクロする “Slutet på Skivan”。中でも Ola にとって特別な言葉 “Solar” を冠した太陽組曲はプログレッシブリスナーに絶景をもたらす銀光のルミナリエ。
ピアノ、アコースティックギター、サクスフォンまで駆使してメタリックに、プログレッシブに、ジャジーに、アンビエントに、そしてクラシカルに踏破する24分の感情山脈は、映画のサウンドトラックにも似て究極の音景をリスナーに届けるのです。
今回弊誌では、Ola Englund にインタビューを行うことが出来ました。「僕はいつも自分のアプローチにとてもビジネス的なビジョンを取り入れてきたね。それは会計士として働いていたバックグラウンドから来ているんだけれど。そして全てを出来るだけ多様化するように心掛けているんだ。」 どうぞ!!

OLA ENGLUND “MASTER OF THE UNIVERSE” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SWALLOW THE SUN : WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATTI HONKONEN OF SWALLOW THE SUN !!

“The Whole Album Is Personal And Very Special For Juha Raivio And For Us Also As a Band. All I Want To Say Is That I Believe There Is Hope Also Involved On The Album. A Light At The End Of The Tunnel. “

DISC REVIEW “WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT”

2016年、ギタリストでメインコンポーザー Juha Raivio が長年のパートナーでコラボレーターでもあった Aleah Stanbridge を癌で失って以来、フィンランドの哀哭 SWALLOW THE SUN はまさに涙淵へと深く沈んでいました。
ツアースケジュールの延期に隠遁生活。そうして2年の服喪の後、最終的に Juha が自らの沈鬱と寂寞を吐き出し、Aleah との想い出を追憶する手段に選んだのはやはり音楽でした。
Aleah の闘病中に制作された前作、”Songs From the North I, II and III” はメタル史においても前代未聞、3枚組2時間半の大エピックとしてリリースされました。「僕たちのスローガンを明瞭に示したんだ。憂鬱、美麗、そして絶望。僕たちが音楽に封じている三原則だよ。同時に、Juha Raivio にとってはとてもパーソナルなアルバムにもなったんだ。彼が当時、人生で経験したことを封じているからね。」Matt Honkonen が語るように、Juha の尽き果てる希望を憂鬱、美麗、絶望というバンドの三原則で封じたレコードは、同時にアルバム単位から楽曲単位へと評価の基準が移り行くインスタントミュージックの機運に一石を投じる壮大なアンチテーゼでもあったのです。
「ああいったエピック、トリプルアルバムをリリースした後だったから、僕たちは何か別のとても特別なものを創出したかったんだと思うんだ。」Matt の言葉通り、喪が開けて Aleah への追悼と Juha の深痛を宿す最新作は、”Lumina Aurea” と “When a Shadow is Forced Into the Light”、EP & フルアルバムというイレギュラーなリリースとなったのです。
13分半のタイトルトラックとそのインストバージョンで構成された EP “Lumina Aurea” の音楽は、これまでの SWALLOW THE SUN スタイルとは大きく異なっていました。
ネオフォークの大家 WARDRUNA の Einar Selvik と、イタリアンドゥームの傑物 THE FORESHADOWING の Marcus I の助力を得て完成させた楽曲は、完全にジャンルレス。ネオフォーク、ドゥーム、スポークンワードにオーケストレーションとグレゴリアンスタイルを加味した “Lumina Aurea” は、ただ純粋に Juha の慟哭と闇を音楽の姿に写した鬼哭啾々の異形でした。
一方で、「僕はこのアルバムに関しても希望は存在すると信じているし、トンネルの出口には光が待っているんだ。」 と Matt が語る通り、フルアルバム “When a Shadow is Forced Into the Light” はタイトルにもある “影”、そしてその影を照らす “光” をも垣間見られる感情豊かな作品に仕上がったのです。
デスメタルとドゥーム、そしてゴシックが出会うメランコリーとアトモスフィアに満ちたレコードは、まさにバンドが掲げる三原則、”憂鬱、美麗、絶望” の交差点です。
恍惚のオーケストレーション、アコースティック、ダイナミックなドゥームグルーヴ、胸を抉るボーカルハーモニーにグロウル。リッチなテクスチャーで深々と折り重なる重層のエモーションを創出するタイトルトラックは、SWALLOW THE SUN のレガシーを素晴らしく投影する至高。
“Lumina Aurea” の深海から浮上し、暗闇に光を掲げる “Firelight” のメランコリーはバンドの長い歴史に置いても最もエモーショナルな瞬間でしょう。死は人生よりも強靭ですが、きっと愛はその死をも凌駕するのです。
もちろん、”Clouds On Your Side” を聴けば、ストリングスがバンドのメロウなアンビエンスと痛切なヘヴィネスを繋ぐ触媒であることに気づくでしょう。そうしてアルバムは、ダークでしかし不思議と暖かな “Never Left” でその幕を閉じます。
“When a Shadow is Forced Into the Light” を聴き終え、Juha と Aleah の落胤 TREES OF ETERNITY の作品を想起するファンも多いでしょう。リリースにあたって、全てのインタビューを拒絶した Juha ですが、1つのステートメントを残しています。
「このアルバムは Aleah を失ってからの僕の戦いの記録だ。”影が光に押しやられる時” このタイトルは Aleah の言葉で、まさに僕たちが今必要としていること。2年半森で隠棲して人生全てをこの作品へと注ぎ、影を払おうと努力したんだ。言葉で語るのは難しいよ。全てはアルバムの音楽と歌詞が語ってくれるはずさ。」 バンドに18年在籍する代弁者、ベーシスト Matti Honkonen のインタビューです。どうぞ!!

SWALLOW THE SUN “WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HORRENDOUS : IDOL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HORRENDOUS !!

“We Definitely Did Not Have Any Intention Of Sounding Like The Bands Like Cynic, Death, Atheist, And In My Mind Any Similarities Between Us And Them Are Mostly Philosophical. “

DISC REVIEW “IDOL”

2009年に Matt と Jamie の Knox 兄弟、そして Damian Herring によって産声を上げたフィラデルフィアの “ポストデスメタル” アクト HORRENDOUS。デスメタルの過去と未来を繋ぐその進化の徒花は、アルバムを重ねるごとに狂気の色を濃くしています。
USデスメタルとヨーロピアンデスメタル、もしくは古の残虐と技術革新を結ぶ “恐怖の” 架け橋。オールドスクールへの憧憬を垣間見せつつ、CYNIC や DEATH を彷彿とさせる洗練されたコンポジションとテクニックに、EDGE OF SANITY や DARK TRANQUILLITY のロマンチシズムを封入。さらにはマスロックの難解、ポストロックのアトモスフィアさえ加味した前作 “Anareta” は、新旧メタルファンから絶賛を受けたマイルストーンとなりました。
しかし、「冒険的という意味では、どの作品でも僕たちはずっと “プログレッシブ” だったつもりなんだ。ただし、ほとんどのリスナーが最新作を最もプログレッシブなアルバムだと言うのは分かるんだけどね。」 と Jamie が語る通り、進化を止めないバンドの冒険は真の意味での “プログレッシブ” を一層探求した新作 “Idol” へと結実しています。
Jamie の「Alex がライティングプロセスへと加わることでこのアルバムに違いが生まれたのは確かだけどね。というのも、彼はフィラデルフィアのシーンの中でもエクスペリメンタルやフリージャズに精通しているからね。」 との言葉が裏付けるように、長年ベースレスのトリオとして積み重ねて来たバンドの実験的フィロソフィーは、卓越したベースマン Alex Kulick の加入でその深淵を一層増すこととなりました。
CYNIC を想起させるアトモスフェリックなイントロダクション “Prescience” は作品のムードを決定付ける重要なスターター。デスメタルシーンのトレンドがオールドスクールへと傾く中、HORRENDOUS の選択はあくまでも実験性とテクニックの追求でした。もちろん、ベースラインの蠢くようなジャズダンスも Alex の鮮烈な紹介状となっていますね。
邪悪な影が際立つ “Soothsayer” はフォーピースとなったバンドの能力を最大限に見せつけたアドレナリンラッシュ。DEATH よりも複雑に、CYNIC よりも哲学的に、AUTOPSY よりも陰重に。エゴにも似た各自の煌めく技巧は、いつしか一塊りとなりバンドの飽くなき欲望を代弁していきます。
Marty Friedman はもちろん、時に Chris Poland をもイメージさせるインテレクチュアルな Matt と Damian のツインギターアタックは、アルバムを通じて MEGADETH のスリルを再現していますね。
幽玄なアルペジオと Alex のジャズダンスに導かれる “The Idolater” は、バンドの重厚で繊細なレイヤードへの拘りが体現した楽曲。まるでワーグナーに魅入られたかのように威風堂々、高尚かつ壮大なデスメタル楽劇は、リスナーをリピートの無限地獄へと陥れる好奇心の泉なのかもしれません。その中毒性は、いつしか視聴毎に訪れる新たな発見の喜びへと変化していきます。
“Divine Anhedonia” は何よりバンドの実験精神が憑依した楽曲でしょう。メインリフで祝われる Miles Davis の “Bitches Brew” にも通じるロックとジャズの婚姻は、メタルのエナジー、そして千変万化な触手の如きタイムストラクチャーをも纏って “無快楽” を快楽へと転化するのです。確かに “リズムの可能性の探求は “Idol” の大きな部分を占めて” いるようですね。
“Devotion (Blood for Ink)” のクリーンボーカルとグロウルの対比に在りし日の OPETH へと想いを馳せるファンも多いでしょう。それにしても実に多様で創造性に満ちた作品です。「CYNIC, DEATH との相似点はむしろ哲学的なものなんだ。」その言葉こそが “Idol” “偶像” の本質を射抜いているのではないでしょうか。
今回弊誌では、HORRENDOUS のメンバー全員にインタビューを行うことが出来ました。「僕にとっては大前提として、ジャズとはジャンル分けの言葉というよりも政治的な言葉なんだ。」 本誌2度目の登場。どうぞ!!

HORRENDOUS “IDOL” : 9.9/10

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SPECIAL INTERVIEW 【BLACK EARTH : JOHAN LIIVA】”BURNING BRIDGES” 20th ANNIVERSARY JAPAN TOUR 2019


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHAN LIIVA OF BLACK EARTH !!

“At This Very Time Arch Enemy Was In a Stage Of Taking The Step Up To The Next Level And I Simply Was Not Able To Give It a 100 % Unfortunately. “

DISC REVIEW “BURNING BRIDGES”

CARCASS が発案し、AT THE GATES をはじめとするゴーセンバーグの英雄たちが確立した霊宝、メロディックデスメタル。
デスメタルの獰猛に、滑らかなリードの雪月花とリフの美学で艶やかな旋律を織り込むそのトライアルは、今や多様なモダンメタルの雛形の一つとして君臨しています。中でも初期の ARCH ENEMY には一線を画す神秘と浪漫が確かに備わっていました。
CARCASS においてその流麗なメロディーとフックの担い手であった Michael Amott。後にメタルワールドのメロディーメイカーとして大いに花開く彼が、クラッシックロックを追求するSPIRITUAL BEGGARS のサイドプロジェクトとして立ち上げたエクストリームコレクティブこそ ARCH ENEMY でした。
当初はメンバーでさえも、過度の期待は投じていなかったようですね。実際、「当時僕たちは10.000枚売れれば日本に行ってライブが出来ると言われたんだ。それを聞いて僕は、”いやいや、そんなこと起こるはずもない。” って思ったんだよ。」 CARNAGE でも Michael と同僚だった当時のボーカル Johan Liiva はそう回想しています。
しかし、ファストなシュレッドを得意とする弟 Christopher、ダイナミックなドラミングに定評のある Daniel Erlandsson を巻き込んだ主の敵サタンは、予想を裏切り瞬く間にここ日本でビッグバンドへの階段を駆け上がることとなったのです。
その要因は唯一無二のダイナミズムと、高度なミュージシャンシップにあるはずです。例えば、IN FLAMES と比較しても、初期の ARCH ENEMY にはよりトラディショナルなデスメタルの鼓動が脈打っているように感じます。一方で、デビュー作収録の “Cosmic Retribution” を聴けば、アコースティックの静謐も、界隈で最も巧みに演じていたことは明らかです。
タイトなスキルが構築する網の目のアグレッションと深々たる寂然、ファストとスロウの満ち引きが基盤にあるが故に、Michael や Chris の奏でる神々しくもエセリアルなメロディー、翡翠のツインリードがより鮮やかさを増すのでしょう。その透徹したダイナミズムの奇跡は “Fields of Desolution” が証明しています。
そして、メタルとハードコアを等しくルーツとする Johan のくぐもった唸り声、若干いなたいパフォーマンスもまたバンドの象徴となっていましたね。インタビューで 「ちょうどあの頃、ARCH ENEMY は次のレベルへとステップアップする段階にあって、残念だけど単純に僕ではその進化に100%貢献することが出来なかったんだよ。」と語るように、確かに “Wages of Sin” でバンドと Angela Gossow が成し遂げた、狙いすました洗練とセルアウトに Johan が貢献出来る隙間はなかったのかも知れません。
とは言え、彼の創出するミステリアスで荘厳なオーラが現在の ARCH ENEMY にほとんど感じられないことも事実でしょう。少なくとも、日本にはあの叙情とテンション煌めくエニグマをもう一度と望むファンは多いはずです。
そしてその願いはライブパフォーマンスにおいて叶えられました。全てのきっかけは Loud Park 15でした。イベントの10周年を記念して Johan と Chris が ARCH ENEMY のステージに飛び入り参加を果たし、そこから初期メンバーで集結しツアーを行うアイデアが浮上したのです。
2016年、デビューアルバムの名を冠した BLACK EARTH として返り咲いた初期 ARCH ENEMY のメンバーたちは、20年前の強力無比な楽曲を現代のプロダクションで復刻し文字通り日本を熱狂の渦に落とし入れました。嬉しいことに、現行 ARCH ENEMY で半音上げられるチューニングも、オリジナルの二音半下げで忠実に再現され禍々しさも増強。その人気ぶりは、シークレットアクトとして登場した Loud Park 17の、午前中にも関わらず詰めかけたファンの数が証明していますね。
あれから2年。2019年、遂に BLACK EARTH が帰ってきます。名手 Sharlee D’angelo を加え完成したラインナップで、Johan 期のフィナーレを飾った大傑作 “Burning Bridges” の20周年を祝う宴です。
“Silverwing” に “Burning Bridges”, そして “Diva Satanica”。光と闇、憎悪と希望のコントラストに満ちた緩急とフックのマイルストーンを、当時文字通り “背水の陣” であった Johan は成熟と共にどの様に描き出すのでしょう。
今回弊誌では、Johan Liiva にインタビューを行うことが出来ました。「今振り返ってみると、僕の脱退は全員にとって最高の決断だったと思うんだよね。ARCH ENEMY は活動を続けて、とてもとても大きな成功を収めてきたね。そして僕も今の人生にとても満足しているんだよ。特に今は、BLACK EARTH でもしばしばステージに上がることが出来るからね。」どうぞ!!

ARCH ENEMY “BURNING BRIDGES” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【INTO ETERNITY : THE SIRENS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM ROTH OF INTO ETERNITY !!

“As I Was Writing The Sirens, My TV Would Have The News Channel CNN On Just In The Background. After The Fukushima Disaster Happened, It Was On The News Everyday And I Was Just So Inspired To Write a Song Dedicated To Our Wonderful Japanese Fans.”

DISC REVIEW “THE SIRENS”

遺灰の散華は忘却という名の埋葬。しかしカナダのプログメタルミソロジー INTO ETERNITY は、10年の嗜眠から覚め神話の伝承を続開します。
00年代のプログメタルシーンにおいて、メロディーの乱舞、ハイテクニックの応酬にデス/スラッシュの凶暴やブラックメタルの陰鬱を投影した複雑怪奇なメビウスの輪、INTO ETERNITY の投げかけたハイブリッドのイデオロギーは、現代の多様なモダンプログレッシブへと繋がるゲートウェイだったのかも知れませんね。
特に、目眩く豊富なアイデアをシアトリカルに綴る “The Scattering of Ashes” の眩いばかりの完成度は、カタログの中でも群を抜いていました。
ところが、インタビューにもあるように、活動のスピードを落とさざるを得なくなった10年代初頭からバンドの歯車は狂い始めました。何より、七色ならぬ六人の声と顔を使い分ける傑出したシンガー Stu Block を ICED EARTH に引き抜かれたのはバンドにとって大きな痛手だったと言えるでしょう。
しかし、永遠を司る不死鳥は灰の中から蘇ります。「実は僕たちは何人か男性ボーカルをオーディションしたんだけど、最終的に Amanda のルックスと声が最も適していると判断したんだ。彼女は Stu が出していた全てのハイトーンをカバー出来るし、同時に僕等が必要としているデスボイス、グロウルもこなす事が出来るね。」と Tim が語る通り、新たに女性ボーカル Amanda Kiernanをフロントに据えたバンドは、新作 “The Sirens” で再びそのシグニチャーサウンドを地上に響かせることとなったのです。
幕開けは静謐なるピアノのイントロダクション。厳かに奏でられるモチーフは本編へと受け継がれ、決定的にネオクラシカルな響きをタイトルトラック “The Sirens” へ、ひいてはアルバム全編へともたらします。
マスターマインド Tim Roth の煌きは10年を経ても決して色褪せることはありません。ただし、かつて “エクストリームプログレッシブメタル” と称されたハイブリッドの比率は少々変化を遂げています。
確かに以前と比べて長尺の楽曲が増えた一方で、急転直下の場面展開、変拍子を伴うリズムのダンスはより自然体で作品の中へと溶け込んでいます。
もちろん、RACER X や CACOPHONY を思わせるスリリングなギターハーモニー、プログレッシブなデザイン、血湧き肉躍るクリエイティブなコンポジションは健在ですが、10年前と比較してよりパワーメタルへと接近したベクトルは 「”The Sirens” こそ、僕たちのレコードの中で最もヘヴィーメタルのファンにアピールする作品だと思っているよ。」 と語る Tim の言葉を強く裏付けます。
“Fringes Of Psychosis” はその新生 INTO ETERNITY を象徴する楽曲かも知れませんね。リッチなアコースティックギターから Michael Romeo にも迫るネオクラシカルの津波まで封じ込めた Tim のギターワーク、珠玉のメロディーと邪悪なグロウルを行き来する Amanda のウイッチリーなボーカル、エクストリームでブラストのハイテンションまで組み込んだリズム隊の妙。
静と動のダイナミズムに、リリカルで雄々しきドラマティシズム。即効性を持ってメタルアーミーの耳に馴染む、バンドのメタモルフォーゼは Stu が加入した ICED EARTH や “Jugulator” 期の JUDAS PRIEST にも並び得る鋭き牙とエナジーに満ちています。
惜しむらくは、若干チープなサウンドプロダクションでしょうか。インディペンデントでのリリースとなったため致し方ない部分とも言えますが、次作ではよりビッグなプロダクション、充実の制作環境に身を置けることを願います。
今回弊誌では Tim Roth にインタビューを行うことが出来ました。「”The Sirens” を書いている時に、テレビで、確か CNN だったと思うんだけど速報が入ったんだ。そうして、福島の災害が起きた後は、連日のようにニュースとなっていたね。僕はただとても感化されて、僕たちの素晴らしい日本のファンのために捧げる楽曲を書いたんだよ。」 どうぞ!!

INTO ETERNITY “THE SIRENS” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【REVOCATION : THE OUTER ONES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVID DAVIDSON OF REVOCATION !!

“Sometimes I’ll Discover Some Cool Voicings While Working On a Jazz Tune And I’ll Try To Manipulate Them In a Certain Way So That It Fits Into The Metal Framework Better.”

DISC REVIEW “THE OUTER ONES”

エクストリームメタルシーンの “名状しがたきもの”。刻々とその姿を変える轟音の支配者 REVOCATION は、神秘探求者たるリスナーの脳を時に捕捉し、時に喰らうのです。
「彼らは時代によって音楽性を少しづつ変化させていたでしょ?」David は信奉する DEATH の魅力についてそう語りましたが、自らのバンド REVOCATION にも同様の試みを投影しています。
ハイテクニカルなデスメタルの知性とスラッシュメタルの衝動の中に、オーセンティックなメタルの様式美を組み込んだ初期の煌きは眩しく、一方で鬼才 ARTIFICIAL BRAIN にも所属する Dan Gargiulo 加入以降の、前衛的で中毒性を宿した VOIVOD にも通じる不協和のカオスもまた魅力の一つだったと言えるでしょう。
そうして最新作 “The Outer Ones” でバンドが辿り着いた魔境こそ、トレードマークである演奏能力とアグレッションを拠り所とする”完璧なデスメタル”、すなわち “The Inner Ones” に、荘厳でリリカルなメロディーのイヤーキャンディーやジャズの複雑怪奇、すなわち “The Outer Ones” を織り込んだコズミックな宇宙でした。
饗宴の始まりはダークでソリッドな “Of Unworldly Origin” から。TRIVIUM の爽快さまでイメージさせる耳障りの良いファストチューンは、しかし同時にブルーノートを起点としたジャジーなコードボイシングで自らの異形をアピールします。
分解してスウィングさせればツーファイブにもフィットするウネウネとしたリードプレイから、冷徹でしかしファンタジックな DEATH の遺産、ツインリードへと雪崩れ込むギターの魔法は2人のマエストロを備える REVOCATION ならではの至宝でしょう。
実際、唯一のオリジナルメンバーとなった David Davidson のジャズに対する愛情は、先日あの TESTAMENT のジャズスラッシャー Alex Skolnick との対談でお互いが認め合ったように、本物です。ギター教師の一面も持つインテリジェントな David は、メタルにとって規格外のコード進行、ボイシング、そしてスケールを操りながらアルバムを未知の領域へと誘います。
ロマンチックとさえ表現可能な “Blood Atonement” はまさに David の異能が濃縮した楽曲でしょう。ブラッケンドな激情を叩きつける漆黒のワルツは幽かな叙情を宿し、一転して静寂の中紡がれるクリーントーンの蜜月は Joe Pass の匠を再現します。まさに David 語るところの “コントラスト” が具現化した “血の償い” は、CYNIC のアトモスフィアさえ纏って怪しくも神々しく輝くのです。
“Fathomless Catacombs” で再び DEATH への深い愛情を示した後、バンドは “The Outer Ones” で BETWEEN THE BURIED AND ME の重低音のみ抜き出したかのような不規則な蠢きでラブクラフトのホラーを体現し、さらに不気味なコードワークが映える “Vanitas” では VOIVOD はもとより ATHEIST, PESTILENCE のカオスをも須らく吸収してみせました。
アルバムを締めくくる大曲 “A Starless Darkness” はまさに名状しがたき暗闇。ドゥームの仄暗い穴蔵から這い出でし闇の化身は、勇壮なエピック、スラッシュの突心力、デスメタルの沈痛、シュレッドのカタルシスと多様にその姿を変えながら、OBSCURA と並びプログレッシブデスメタルの森を統べる者としての威厳を示すのです。
今回弊誌では、バンドのマスターマインド David Davidson にインタビューを行うことが出来ました。「ジャズの楽曲に取り組んでいる時、しばしば僕はクールなボイシングをいくつか発見するんだけど、それがメタルのフレームワークへとうまく収まるように手を加えてみるんだ。」フックと展開の目眩くクトゥルフ。今、最もハイテクニカルなギターチームが揃ったバンドの一つでしょう。どうぞ!!

REVOCATION “THE OUTER ONES” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【OBSCURA : DILUVIUM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LINUS KLAUSENITZER OF OBSCURA !!

“I Am Missing Innovation a Lot In The Tech Death Scene. When a New Tech Death Album Comes Out, It’s Mostly a Rip Off Of Something That Was There Before. Actually I Prefer The Term Of “Progressive Death Metal” More. “

DISC REVIEW “DILUVIUM”

哲学するプログレッシブデスメタルの巨塔 OBSCURA は、アルバム4枚にも及んだ悠遠かつ考究のコンセプトサイクルを最新作 “Diluvium” で遂に完結へと導きます。Schopenhauer, Goethe, Schelling といった母国ドイツの哲学者にインスピレーションを得た、実存の真理を巡るコスモジャーニーは “Cosmogenesis” のビッグバンから “Diluvium” で迎える終焉まで生命の存在意義を思慮深く追求し描くのです。
或いは、もはや OBSCURA を “Tech-death” という小惑星へと留めることは烏滸の沙汰だと言えるのかも知れませんね。「僕は Tech-death シーンにはイノベーションがとても欠けていると感じていたんだ。実際、僕は Tech-death というタームより “プログレッシブデスメタル” の方を気に入っているからね。」と Linus が語るように、赤と黒が司る終末の物語は皮肉にもバンドに進化を促す未曾有の翼を与えることとなりました。
変化の兆しはオープニングから顕著です。”Clandestine Stars” でバンドは自らのシグニチャーサウンドである複雑にデザインされたポリリズミックなストラクチャー、ハイテクニック、デスメタルのファストなアグレッションと地を這うグルーヴに、エセリアルなメロディーとアトモスフィアを降臨させることに成功しています。
続く “Emergent Evolution” はより顕著にメロディックでキャッチーなバンドの新機軸を投影します。CYNIC のボコーダーをイメージさせる神秘のコーラスワークは、身を捩る狂おしさとひりつく感傷をまとってリスナーの感情へダイレクトに訴えかけるのです。新加入 Rafael Trujillo のロマンティックで時空を架けるリードプレイも作品のテーマやムードと見事にシンクロしていますね。
「今回、僕は本当にバンド全員が同じだけ “Diluvium” の作曲に貢献したと思っているんだよ。だから当然その事実は多様性へと繋がるわけさ。」と Linus が語るように、ある意味バンドのマスターマインド Steffen が一歩引いて民主化を進めることで “Diluvium” の充実度、多様性は飛躍的に上昇したと言えるのかもしれませんね。
Rafael とドラマー Sebastian が共作した “Ethereal Skies” はその確固たる証でしょう。シーケンシャルなクラシカルフレーズが流麗に冒頭を飾る楽曲は、リズムの実験を交えつつテクニカルにエセリアルに深淵から光を放射し、彷徨える空へと救済をもたらすのです。
ブルータルなグロウルと荘厳なるコーラスのコール&レスポンスはすなわち死と生を表現し、Rafael のストリングスアレンジメントはさながら天空へと続く螺旋の階段なのかも知れません。何より OBSCURA のニューフロンティアを切り開くシンフォニックな感覚、鬼才 V.Santura との共同作業は、瑞々しさに満ちています。
さらに終盤、バンドは “The Seventh Aeon” で OPETH の濃密なプログレッシブを、”The Conjuration” でブラックメタルの冷徹なる獰猛を抱きしめ、拡大する可能性をより深く鮮やかに提示して見せました。特に前者で Linus が繰り広げるフレットレスベースの冒険、陰陽の美学は白眉で、アルバムを通してユニークな OBSCURA サウンドを牽引するリードベースマンの存在感を改めて浮き彫りにしていますね。
アルバムは “無限へのエピローグ” でその幕を閉じます。OBSCURA がこの4連作で培った全ての要素はきっとここに集結しているはずです。救済者で破壊者、宇宙の始まりから見守り続けた神と呼ばれた存在は、そうして恒久にも思われた世界が虚無に飲まれるまでを見届けたのでしょうか。一筋の希望、魂の栄光を祈りながら。
今回弊誌では、シーンきってのベースヒーロー Linus Klausenitzer にインタビューを行うことが出来ました!インタビューには弟の話がありますが、実は彼の父は著名なヴァイオリニスト、指揮者の Ulf Klausenitze で今作にもゲスト参加を果たしています。「アドレナリンが身体中を駆け巡り、その感情をオーディエンスとシェアする瞬間は何物にも変えがたいんだよ。」本誌2度目の登場です。どうぞ!!

OBSCURA “DILUVIUM” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【RIVERS OF NIHIL : WHERE OWLS KNOW MY NAME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADAM BIGGS FROM RIVERS OF NIHIL !!

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Pennsylvania Based Progressive Death Metal Quinted, Rivers Of Nihil Contribute To Re-branding Death Metal Into A Eclectic, Expressive Art-form With Incredible New Record “Where Owls Know My Name” !!

DISC REVIEW “WHERE OWLS KNOW MY NAME”

遂に食物連鎖の頂点へと躍り出たペンシルベニアの梟神 RIVERS OF NIHIL が、深遠かつエクレクティックなプログレッシブデスメタルへとドラスティックな変貌を果たす傑作 “Where Owls Know My Name” をリリースしました!!生と死、そして知性を司る伝承の神明は、猛禽の鋭さと神々しきアトモスフィアでシーンの潮流を支配します。
テクニカル、メロディック、デスコア、ブルータル。雨後の筍のごとく現れるデスメタルアクトの大半は、エモーションのスペクトルを怒りに起因する狭い領域へとフォーカスし、ある意味では檻の中で固定観念と共に囚われているようにも思えます。
「この作品では、僕たちが期待されているようなサウンドを放棄した。」と Adam が語るように、RIVERS OF NIHIL が “Where Owls Know My Name” で達成した偉業は、真にユニークな感性で鋼鉄の慣習から羽ばたいたその勇気にあると言えるでしょう。
多様で創造性に満ち、複雑でしかし凄艶な星の一生を目撃するサイエンスフィクションは、数年前に FALLUJAH がアトモスフィアと共に導入したジャンルのパラダイムシフトをも超越し、さらに時空を行き来するタイムマシンなのかも知れませんね。
アルバムオープナー “Cancer / Moonspeak” は来たるべき運命、旅路のムードを決定づけます。まるで CYNIC のような浮遊するアンビエントは、アコースティックの響き、レトロなシンセ、ムードに満ちたクリーンボイスを伴ってリスナーを深遠なるストーリーへと誘います。
刹那、雷鳴のように鋭利なギターリフが轟くと雰囲気は一変。革命的な “The Silent Life” がスタートします。揺るぎのない無慈悲なアグレッションとインテンスは、徐々に理知的なギターと官能のサクスフォンが支配するスロウなジャズブレイクへと転換していきます。その変化は驚くほどにナチュラルでオーガニック。そうして静と動、混沌と平穏のコントラストは終盤に向けて奇跡の融解を遂げるのです。まるで人生本来の姿を描くかのように。
CANNIBAL CORPSE と KING CRIMSON が果たした未知との遭遇。例えることは容易いですが、実際、獰猛な猟奇性と神々しき英知を寸分も失うことなく一つのサウンドクラフトに収めることがどれほど困難かは想像に難くありません。何より彼らのデザインはあまりに自然で、神々の創造物のように生き生きとした姿を晒しているのですから。
厳かなクリーンボーカルを導入し、モダンなメロディックデスメタルにサイケデリックな夢幻のアトモスフィアを付与した “A Home”、激烈なアサルトに一片の叙情を込めて老衰の無常を伝える “Old Nothing” を経て辿り着く “Subtle Change (Including the Forest of Transition and Dissatisfaction Dance)” はアルバムのハイライトだと言えるでしょう。
“Epitaph” を思わせる悲壮なアコースティックをイントロダクションに据えた8分30秒のエピックは 「KING CRIMSON は僕のオールタイムフェイバリットバンドなんだよ。」と Adam が語る通りクラッシックなプログロックの息吹を全身に宿した濃密な叙情のスロウダンス。ソフトでエレガントな繊麗と、野蛮で蒼然としたアグレッションは、ギターやサクスフォン、オルガンのトラディショナルで大胆ななソロワーク、プログロックのダイナミックな変拍子やシーケンスを抱きしめながら、詩情と偉観そして奇妙なカタルシスを伴って文明の移り変わりを描く壮大なマグナムオパスを形成するのです。
一方でこの大曲には、djenty なリフワークやシンフォブラックの狂騒などコンテンポラリーな一面も散りばめられており、幽玄なクリーンボイスが創出する崇高美とも相俟って、もしかすると NE OBLIVISCARIS が纏う神秘ともシンクロしているのかも知れませんね。
続くインストゥルメンタル “Terrestria III: Wither” では、情景を切り取るポストロックのデザインを導入し、コンテンポラリーなエレクトロニカやアンビエント、インダストリアルノイズのキャンパスに冷徹かつ耽美な絵巻物を描いてみせるのですから、バンドのエクレクティックな感性、タイムラインの混沌には驚かされるばかりです。
アルバムは、バンドの審美を全て詰め込んだタイトルトラックで再度サクスフォン、ヴィンテージシンセ、クリーンボイスの温もりを呼び起こし作品のコアを認識させた後、ダークなギターがメロトロンの海を切り裂く “Capricorn / Agoratopia” で荘厳にリリカルに、一握りの寂寞を胸に秘め星の死を見届けながらその幕を閉じました。
今回弊誌では、ベース/クリーンボーカルを担当する Adam Biggs にインタビューを行うことが出来ました。まさにメタルとプログのタイムラインに交差する異形のランドマーク。モダン=多様性とするならばこの作品ほど “モダン” なスピリットを抱いた奇跡は存在しないでしょう。ex-THE FACELESS の Justin McKinney、BLACK CROWN INITIATE の Andy Thomas もゲストとして素晴らしい仕事を果たしています。どうぞ!!

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RIVERS OF NIHIL “WHERE OWLS KNOW MY NAME” : 10/10

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