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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【downy : 第六作品集『無題』】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROBIN AOKI OF downy!!

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One Of The Greatest Post-Rock, Dark Electronic Outfit From Japan, downy Has Just Released Deep And Cold New Masterpiece “Mudai Ⅵ” !!

DISC REVIEW “第六作品集『無題』”

日本の至宝、5人組ロックバンド downy が新作 “第六作品集『無題』” をリリースしました !!
日本における Post-Rock の先駆けとも評される downy は、映像担当のメンバーが存在する特異な形態のバンドです。当初から、映像と音楽の融合を掲げて来たバンドは、同時に現在フェスやクラブシーンに根付きつつある VJ の先駆者とも言えるでしょう。また、音楽担当以外のメンバーを擁するという点では、勿論初期の KING CRIMSON と通じるフレキシブルな集団でもあるのです。
Post-Rock と一言で語られることも多い downy の音楽ですが、一つのジャンルで括ってしまうには、彼らの才能は多彩で、先鋭的で、オリジナル過ぎると感じます。
静と動を巧みに行き来する独特のダイナミズム、ナチュラルな変拍子の使用が創出する緊張感、儚くも美しいメランコリー、文学的なリリックにレイヤーされた豊かなエモーションが、Hardcore, Post-Hardcore, Psychedelic Rock, Prog Rock, Metal, Jazz, Hip Hop, Electronica, Trip Hop など多様なフィルターを通して downy の世界観、芸術として昇華し、リスナーの元に届けられるのです。
9年の活動休止の後、リリースされた前作 “第五作品集『無題』” は、休止以前と同様、チャレンジングでストイックな作品でしたが、同時に以前、アルバムを覆っていたどこか無機質なムードに仄かな光が射し込んだような、暖かな変化も感じられましたね。
それから3年の間に、downy は休止以前よりも、シーンの軸としてある種の責任感を背負いながら動いてきたようにも思われます。
2014年のフジロック初出演、クラムボントリビュートアルバムへの参加、THE NOVEMBERS への楽曲提供、そして、何と言っても同世代で日本が誇るオルタナティブの雄、envy, Mono と共に Synchronicity” とのコラボレーションから “After Hours” というフェスを立ち上げるなど、実に積極的に活動を続けて来ています。
そういった成果が結実したのが新作 “第六作品集『無題』” であると言えるかも知れませんね。演奏にはさらに人間味を加え、青木ロビン氏のボーカルにはエモーション以上のスピリチュアルな何かが宿っているようにも感じます。
アルバムオープナー、”凍る花” はこの新たな傑作を象徴するような楽曲です。レコードの幕開けを告げるシンセサウンドが鳴り響くと、リスナーは驚きと共に急速に downy ワールドへと誘われます。前作で仄かに射し込んだ暖かな光は、実はこのアルバムでは感じられません。7拍子が導くヒリヒリとした緊張感、さらに説得力を増したメランコリックな歌唱が伝える冷たく蒼い世界観は、まさしく downy 唯一無二のもの。初期の感覚、原点を、現在の成熟した downy が奏でるといったイメージも少なからず存在するようにも思います。
続く”檸檬” はウッドベースとツッコミ気味のハイハットがジリジリとした焦燥感を生み出す壮絶な5拍子。”海の静寂” は R&B 的な黒い歌唱と、静寂を切り裂くギターのうねりが印象的。プレイ自体は人間らしい感情の熱を帯びているにもかかわらず、殺伐とした冷ややかな雰囲気を保ち続けるアルバムは、やはり異形なまでに特殊です。
同時に、”色彩は夜に降る”, “親切な球体” にも言えますが、リズム隊の究極に研ぎ澄まされた、ミニマルかつインプレッシブなリフアプローチが冴え渡った作品とも言えますね。
今回弊誌では、青木ロビン氏にインタビューを行うことが出来ました。内容にもある通り、メタル、プログロックのファンにも強く聴いていただきたいバンドです。どうぞ!!

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downy “第六作品集『無題』” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KAYO DOT : PLASTIC HOUSE ON BASE OF SKY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOBY DRIVER OF KAYO DOT !!

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US Avant-Garde / Experimental Icon, KAYO DOT Has Just Released Neo-Futuristic landscape Record “Plastic House On Base Of Sky” !!

DISC REVIEW “PLASTIC HOUSE ON BASE OF SKY”

Realising Media による招聘で、先日初の日本ツアーを行った、US Avant-Garde / Experimental の旗手 KAYO DOT が新たな傑作 “Plastic House on Base of Sky” をリリースしました!!
バンドの頭脳、Toby Driver の溢れる才能故に、2度と同じ方向性のアルバムを作らないなどと称される KAYO DOT。 “Plastic House on Base of Sky” はしかしながら、前作 “Coffins on Io” の New Wave / Art Pop サウンドをある程度引き継ぎながら、様々な点でより深化を遂げた高いレベルの作品に仕上がりました。
アルバムオープナー、”Amalia’s Theme” は作品を象徴するような楽曲です。冒頭のレトロウェーヴなシンセサイザーサウンドは確かに80年代の New Wave を想起させます。David Bowie の世界観を感じる場面もあるでしょう。とは言え、複雑なリズムを伴って未来を奏でるそのコンポジションは、例えば DEPECHE MODE などと比較するよりも、現代のより先進的な ULVER のようなアーティストと比べる方がしっくり来るように思えます。
インタビューで Toby は、アルバムが日本が誇るテクノポップの巨匠、平沢進さんの強い影響下にあることを公言していますが、同様に日本出身のアーティスト 上田風子さんが手掛けた独創的なアートワークとも相俟って、ネオフューチャーなサイバーパンクワールドを確立しています。
ビートさえ消滅するような実験的混沌 “All The Pain In All The Wide World” を経てアルバムのクライマックスは “Magnetism” で訪れます。型破りで JAZZ の如くスウィングする変拍子の上を、キーボードサウンドとシンセパターンが幾重にもレイヤーされ近未来感を演出します。憂いを帯びた Toby のメロディーライン、歌唱は実に見事で、これはアルバムを通して言えますが、彼の少しひねくれたポップセンスが炸裂しているようにも思えますね。
ドリーミーでシルクのようにレイヤードされたキーボードサウンドは、勿論、アルバムの根幹を成していますが、それはアルバムに Toby 以外にも2人のキーボードプレイヤーが参加していることを考慮しても、現在彼の興味の中心であることは明らかでしょう。Toby はキーボード、ギター以外にもクラリネット、チェロ、ダブルベース など様々な楽器をこなします。そこに、Daniel Means, ギターもプレイする Ron Varod, という2人のキーボードプレイヤー と異次元のドラマー Keith Abrams が加わることで、KAYO DOT は少人数でシンフォニーを奏でる類稀な集団へと変貌しているのです。
勿論、”Hubardo” で見せたような傑出した Doom / Metal 要素と、彼のオリジナリティーの融合を懐かしむファンも多いでしょう。しかし、インタビューで “僕は本当に、メタルシーンだけに限定されたくないんだよ” と断言したように、彼の才能は1つのジャンルに留まることを許しません。そして今回の冒険も、行先は違えど素晴らしい旅となっているように感じましたよ。
今回弊誌では Toby にインタビューを行うことが出来ました。有難いことにこれで3度目の登場です。どうぞ!!

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KAYO DOT “PLASTIC HOUSE ON BASE OF SKY” : 9.5/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ROLO TOMASSI : GRIEVANCES】JAPAN TOUR 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAMES SPENCE OF ROLO TOMASSI !!

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UK Experimental / Mathcore Titan, Rolo Tomassi Is Going To Come Back To Japan On September! Don’t Miss Their New Sounds From New Record “Grievances” !!

DISC REVIEW “GRIEVANCES”

9/27に Realising Media の招聘で1夜限りの来日公演が決定した、UK シェフィールドが生んだエクレクティックな5人組 ROLO TOMMASI。紅一点、ボーカル Eva Spence のエモーショナルなクリーンボイス、そしてその麗しい外見からは想像もつかないような迫力のあるグロウルを武器に、マスコアからエレクトロニカまで取り入れた実験的な音楽性が高く評価されているバンドです。そして彼らの最新作 “Grievances” は、さらにそのサウンドの領域を広げ、新しい境地に達したエポックメイキングなレコードとなりました。
“Raumdeuter” は彼らの新しいチャレンジを象徴するような楽曲です。Eva の美しいクリーンボーカルにトレモロリフまでフィーチャーしたこの曲は、Post-Black, さらには Shoegaze まで取り入れたアトモスフェリックなサウンドスケープが実に印象的。そこに彼ら特有のエレクトロニカ要素を融合させることで、より荘厳で優美な楽曲となっているその手法はまるで魔法のようにも思えますね。
“Prelude III: Phantoms” から “Opalescent” の流れはアルバムで最もメロディーにフォーカスした瞬間です 。幽玄なピアノの旋律をバックに、朗々と歌い紡ぐ Eva と James のデュエットのプレリュードは、美しく絡まり合い溶け合いながら プログレッシブな “Opalescent” を導きます。様々にアーティキュレーションを施した Jazz のようにスウィングする 6/8拍子を、ピアノとギターが時にダイナミックに、時に繊細に紡いでいく様はまさにカタルシス。Eva のアンニュイなボーカルも実にハマっていますね。
TOOL のようにインタルードを見事に活用したアルバムの中で、同様にペアとなる“Crystal Cascades” “Chandelier Shiver” では、アンビエントなピアノとストリングスが非常に効果的で、GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR すら想起させる美麗なサウンドスケープ、世界観が創出されています。
とは言え、アルバムには勿論、オープナー “Estranged” や “The Emberes”, “Funereal” のように THE DILLINGER ESCAPE PLAN 由来のカオティックでアグレッシブな要素を反映した楽曲も収録されており、結果として新機軸、美麗なストリングスの導入は、バンド本来のブルータルな要素を対比により強く際立たせる効果ももたらしていますね。
クラシカルで壮大なエピック “All That Has Gone Before” で幕を閉じるまで、作品は生々しいエモーションを放ちながら、目まぐるしくも整合感を伴ってリスナーの耳を捉え続けます。ダークでエモーショナルな一本の名作映画を観終わった時のような感動を与える作品だと感じました。
今回弊誌では、ボーカルとシンセサイザーを担当するバンドの中心人物 James Spence にインタビューを行うことが出来ました。Eva ちゃんとは兄弟なのでご安心を。どうぞ!!

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ROLO TOMASSI “GRIEVANCES” : 9.8/10

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WORLD PREMIERE : “BLACK SWAN” “AWAY / ABSENT” 【OBSIDIAN KINGDOM】


WORLD PREMIERE: “BLACK SWAN” OF OBSIDIAN KINGDOM !!

WORLD PREMIERE: “AWAY / ABSENT” OF OBSIDIAN KINGDOM !!

Ester Segarra

EXPERIMENTAL ROCK BAND FROM CATALAN CAPITAL,SPAIN.OBSIDIAN KINGDOM SET TO RELEASE LONG AWAITED NEW ALBUM “A YEAR WITH NO SUMMER”!!

スペインはカタラン出身、POST-MODERN なニューカマー、OBSIDIAN KINGDOM が待望の2ndアルバム “A YEAR WITH NO SUMMER” を3/11に SEASON OF MIST よりリリースします。JENS BOGREN がプロデュースを手掛けた彼らのデビュー作 “MANTIIS” は、前衛的なアートロックとキャッチーさ、ポストプログのアトモスフィアにポストロックの轟音を共存させた独自の POST-MODERN な世界観が秀逸で、一気にシーンの注目を集めました。ゲストボーカルに MAYHEM の ATTILA と ULVER の KRISTOFFER を迎えた新作ではどのような進化が見られるのでしょうか?

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Their sophomore album ‘A Year With No Summer’ is now adding to the eclectic puzzle and a big step in an continuing evolution. To say that the Catalans move further away from their roots in extreme metal and towards a more progressive sound is equally correct as misleading. There are still burning
guitars and harsh riffing to be found, yet there is also simply much more of everything else. Contrasts, shifts, and raw emotions created and guided by intricate rhythm patterns, electronic tapestries as well as highlights are combined into a carefully composed musical painting of monumental dimensions. There are hints of the epic approach offered by such influences as PINK FLOYD and MARILLION, yet OBSIDIAN KINGDOM use a far darker range of colours on their pallet. There is a constant sense of drowning, darkness and depression threading through ‘A Year With No Summer’, which binds the wide stylistic range offered by its diverse song material together.
新作 “A YEAR WITH NO SUMMER” はさらにエクレクティックに進化を続けた大きな一歩なんだよ。エクストリームメタルのルーツから離れ、よりプログレッシブな方向に舵を切ったという説明は正しくもあり誤りでもある。新作にも強烈なリフは存在するんだけど、全てをよりシンプルに仕上げたんだ。複雑なリズムとエレクトロの音層に導かれ生まれる対比、変化、生々しい感情。こういったエピカルなアプローチのヒントになったのが PINK FLOYD, MARILLION といったバンドだよ。勿論、僕たちの方がダークだけどね。”A YEAR WITH NO SUMMER” には常にダークで陰鬱な雰囲気が流れているけど、多様性を持った楽曲たちが収録されているんだ。

Ester Segarra

Line-up
Zer0 Æmeour Íggdrasil: keys and vocals
Ojete Mordaza II: drums
Rider G Omega: guitars and vocals
Seerborn Ape Tot: guitars
Om Rex Orale: bass

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http://www.facebook.com/obsidiankingdom
http://www.facebook.com/seasonofmistofficial

WORLD PREMIERE : “AAI” 【AMOGH SYMPHONY】


WORLD PREMIERE: “AAI” FROM “Ⅳ” OF AMOGH SYMPHONY !!

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FROM INDIA, RUSSIA, US, AND PORTUGAL.INTERNATIONAL PROG METAL OUTFIT, AMOGH SYMPHONY HAS JUST RELEASED FIRST TRACK FROM THEIR UPCOMING ALBUM “Ⅳ”!!

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以前弊誌でインタビューを行った前衛的なプログメタルバンド AMOGH SYMPHONY。今年リリースされる新作から新曲を弊誌でプレミア公開致します!! インド、ロシア、USの多国籍バンドは新たにポルトガル人 DERICK GOMES をメンバーに迎えさらにパワーアップ。四人全員がマルチ奏者という異形のラインナップが生み出す、様々な楽器を使用したその音楽は、初期のプログメタルからは遠く離れ JAZZ, ELECTRONICA, EXPERIMENTAL な独特の世界を創造しています。

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Jim Richman : Drums, Engineering/Mixing.
Derick Gomes : Synth, Percussion, Electronics, Engineering/Mixing.
Andrey Sazonov : Accordion, E-Piano, Balalaika and Violin.
Vishal J.Singh : Microtonal Semi acoustic guitar, Tokari(2 strings), Electric Guitar, Guitar synth, Strings orchestration, Engineering/Mixing.
Goregaon Brass Orchestra : Horns(Nandan : Clarinet, Raju : Tenor Sax, Vilas : Alto Sax, Raja : Trumpet)
Deep Saikia : Pepa tribal horn

“Mother is Onamika. The same character from Vectorscan. This time the story has different angles of view : motherhood in animals. Goddess worship in tribes. Unconditional love.”
“IV” is our forth upcoming album. This time instead of joining many songs to tell one story, we decided to treat each song as one story. Because we are already “been there, done that” with darker themes and sci-fi concept albums, this time we focus towards simpler yet ignored stories. Each song is like soundtrack of a short film. We can’t wait to share this album with you guys. Till then, let us know how do you feel about “Aai” and the plan. Email us your feedback at amoghsymphony@gmail.com
“Aai”は “VECTORSCAN” に登場した ONAMIKA の話なんだ。前作とは違った視点で描かれているよ。無償の愛、母性がテーマだね。 “Ⅳ”は僕たちの新作なんだ。今回は前作のようなコンセプトアルバムではなく、各楽曲にストーリーを持たせることにしたんだ。ダークなテーマやSFのコンセプトアルバムはすでにやり終えたからね。だから今度はよりシンプルな方向に向かうことにしたのさ。どの楽曲も短編映画のサウンドトラックの様だよ。君達にシェアするのが待ちきれないね。この楽曲や僕たちのプランについて感想を amoghsymphony@gmail.com まで送って欲しいな。
Tracklist:
1. Good morning.
2. Aai.
3. You have an appointment today.
4. Mujhe bhi joker banna hai.
5. Catch the train before they drop the bomb.
6. Capturing Poltegiest to disturbed forces.
7. Low-Fi life of a Cyborg who loved a Goddess once.
8. Rebelião.
9. Blindness for kindness, never ending run to the sun.
10. Tuponi.

http://www.amoghsymphony.net/
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PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【AMOGH SYMPHONY】

WORLD PREMIERE : “SIZQ” + INTERVIEW 【NETWORKS : DYNAMIC NATURE】


WORLD PREMIERE : NEW MV !! “SIZQ” OF NETWORKS !!

 JAPANESE ECLECTIC INSTRUMENTAL TRIO, NETWORKS HAS JUST RELEASED THEIR NEWEST ALBUM “DYNAMIC NATURE” !!

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ミニマル、エレクトロニカ、ロック、ジャズ、エクスペリメンタル、ダンス、マス、プログレッシブ…。様々な音楽的要素をキラキラとエクレクティックに取り込んだ東京発の3人組 NETWORKS 待望の2ndアルバム “DYNAMIC NATURE” がリリースされました。2010年にリリースされ、デビュー作にして傑作と評された “WHITE SKY” から実に5年。待っただけの価値は十分にある作品だと思います。まずはアルバム収録曲で、今回弊誌で独占公開、 “SIZQ” のMVをご覧いただきたいと思います。吉野耕平監督が生み出す色彩感覚と NETWORKS の音楽が完璧にシンクロし新しくも生き生きとした芸術の息吹を感じられるでしょう。「楕円運動のダンス音楽」 「最終的に祈祷になる事」 をテーマにバンド活動を続けている NETWORKS。前者は世の中に溢れる4/4拍子を円運動に見立て、楕円即ち奇数拍子、変拍子でも踊れるでしょう?そこにカタルシスが生まれるかもしれませんよ?というメッセージ。これは以前からそう思っていましたが後者の解釈はより難解でした。しかし “DYNAMIC NATURE” を聴きこむにつれて、後者は個々のミュージシャンとしてのエゴを捨て去り、より音楽と同化するといった意味で受け取るようになりました。正しい解釈はインタビューで答えてくれていますが、”DYNAMIC NATURE” がそれだけ自然体で彼らのヴィジョンを再現し、多くのインストバンドが犯す技量の詰め込みからはかけ離れた、多幸感に満ちた完成度の高いアルバムだと感じたからでしょう。リズムやメロディーにただ身を任せてもよし、思考を重ね深く突き詰めるもよし。ただインタビューをご覧になれば、皆様も歌詞のない彼らの内面がいかに哲学的、文学的であるかお分かりになるでしょう。キーボードの新後さん、ギターの齊所さん、ドラムスの濱田さん。メンバー全員による三者三様の回答をお楽しみください。

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【YOSHIDA YOHEI GROUP : PARADISE LOST, IT BEGINS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YOHEI YOSHIDA OF YOSHIDA YOHEI GROUP !!

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NEW WAVE OF EXPERIMENTAL INDY POP/ROCK FROM TOKYO !! YOSHIDA YOHEI GROUP HAS JUST RELEASED THEIR NEWEST & GREAT RECORD “PARADISE LOST, IT BEGINS” !!

日本のシティーポップ、インディーポップ界隈が2010年代、際立って面白くなってきています。実験性とポップスを見事に融合させたオルタナティブなアーティストが続々と現れているのです。面白い事に、トクマルシューゴ、cero、森は生きている、oono yuuki、蓮沼執太フィルといったモダンポップの新世代たちはお互い時につながりながら、室内楽的な管弦楽器を含む多くの音を交えて表現するという共通点があります。今回フューチャーする 吉田ヨウヘイgroup はその中でも東京インディーズの顔として一際異彩を放っていると言えるでしょう。和製 DIRTY PROJECTORS と評された鮮烈なデビュー。そして前作 “Smart Citizen” は各方面から非常に高く評価され彼らの出世作となりました。それから一年。彼らはメンバーチェンジ、フジロック出演を経てさらにバンドとしてタイトになった新作 “Paradise Lost, it begins” をリリースしました。改めてその豊かな音楽性、アイデアには驚くばかり。フォーキーな歌唱、ポストロックの質感、ジャズ/マスロック由来の複雑でダイナミックなリズム、クラッシックのようなバンドアンサンブル。メンバー各自の音楽に対する造詣の深さが滲みでるような素晴らしい作品だと思います。新たなギターヒーローの座を約束されたかのような西田さんのプレイは時に硬質で時に情感豊か。池田さんのクラッシックをルーツとするフルートの演奏、アレンジと素晴らしく噛み合いバンドとしての成長を感じさせます。USインディーもブルックリンの音楽シーンも咀嚼し、前作よりも確実にロックのダイナミクス、グルーヴを強固にした新作はまるでポップスとは何か?を我々に問いかけているようにさえ感じました。 Jazz The New Chapter が拡散していくジャズならば、この人の提示するポップスはポップス界の Jazz The New Chapter ではないでしょうか? !バンドのリーダーである吉田ヨウヘイさんが彼らしく客観的にインタビューに答えてくれました!!

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PICK UP ARTIST + INTERVIEW 【THE SOIL & THE SUN】


【ROSTER OF AUDIOTREE】

読者の皆様はAUDIOTREEというシカゴの会社をご存知でしょうか。音楽PVを製作したり、LIVE SESSIONを配信したりと多方面に事業を拡大する音楽業界のセブン&アイホールディングスのような会社です。
彼らのセッションは今や若手ミュージシャンの登竜門的な場所になっており、例えばメタルならVEIL OF MAYA, SCALE THE SUMMIT、オルタナならNOTHING, THE DEAR HUNTER、マスロックならAND SO I WATCH YOU FROM AFAR,THIS TOWN NEEDS GUNSなどなどこれでも氷山の一角で実に錚々たるメンツが出演しています。
そのAUDIOTREEが契約を結んだアーティストが今回特集するTHE SOIL & THE SUNなのです。例えばSIGUR ROS、例えばRADIOHEAD、そんなバンドを思い浮かべました。様々な楽器を使用したアーティスティックな音楽でありながら高いPOPセンスを有していてアトモスフェリック。即座に魅了されました。

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