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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CYBORG OCTOPUS : LEARNING TO BREATHE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVID WU OF CYBORG OCTOPUS !!

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The Brightest Hope Of Modern Prog Metal 2016, CYBORG OCTOPUS Has Just Released Their Debut Full-length “Learning To Breathe” !! Hentai Tentacle Assault You !!

“LEARNING TO BREATH” REVIEW

文字通り、タコの触手のように様々なジャンルを股に掛ける、USの新鋭プログメタル CYBORG OCTOPUS がデビューフルレングス “Learning To Breathe” をリリースしました!!
ジャンルの垣根を易々と崩壊させる傑出したアルバムは、例えば昨年の NATIVE CONSTRUCT を想起させるような、2016年の最もユニークで印象的なデビュー作品となるでしょう。
CYBORG OCTOPUS の特徴は、先に挙げた NATIVE CONSTRUCT、もしくは HAKEN, EARTHSIDE といったモダンプログメタルの新鋭たちと比較して、よりヘヴィーでメタルコアの遺伝子を多分に受け継いでいる点にあります。
アルバムオープナー “Data_M1nefield” は、キーボード、ボコーダーの使用法やミドルセクションのラテンなパートこそ実にプログレッシブで変態的ですが、その実、楽曲の土台は THE BLACK DAHLIA MURDER, CONDUCTING FROM THE GRAVE といったブラストやトレモロを駆使したモダンなメタルコア / エクストリームメタルに在ることがわかります。アルバムを通してその土台は存在し続け、そこに様々な要素を加えることで、CYBORG OCTOPUS の奇妙で魅力的な音楽が形作られているのです。
例えば、クラシカル/オペラに特化した “Divine Right (In D Minor) は、クラッシックギターやオペラティックな歌唱が効果的に使用され、フレット上を縦横無尽に駆け巡るクラシカルなギタープレイと併せて究極にヘヴィーでドラマティックに仕上がっていますし、”Baptism of Clay” のシタールまで使用したオリエンタルな世界観も、強烈なアグレッションとの対比があってこそ。同時に、パンキッシュでカオティックな”Shark Pit” を聴けば、彼らのルーツに PROTEST THE HERO が含まれることが明らかになりますね。
中でも、最も驚くべきは “Discobrain!” でしょう。バンドの”最も魅力的な”メンバー Patrick のサクスフォンは間違いなくバンドの重要なアイデンティティーの1つとなっていますが、この楽曲ではほとんどメイン楽器として使用されています。バンド全体が生み出すグルーヴも最凶にファンキーで、ここまで Tech Metal meets Funk をやり切った楽曲はほとんど聴いたことがないように感じます。そして何と言っても、ただ実験的なだけではなく、その突進力が素晴らしいカタルシスを生んでいることが重要ですね。
東洋的でオリエンタルなムードをテーマとした大曲 “Epiphany” でアルバムを締めくくるまで、凄まじいテンションと驚異的な展開力は全く止むことがありません。
今回弊誌では、バンドの設立者でギタリストで “The Most Attractive” 最も魅力的なメンバー、 David Wu にインタビューを行うことが出来ました。変態らしく、久々にわりとハッチャけた回答をいただけましたよ。どうぞ!

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CYBORG OCTOPUS “LEARNING TO BREATHE” : 9.1/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TREMONTI : DUST】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARK TREMONTI !!

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One Of The US Top Guitarist, Legendary Mark Tremonti Has Just Released His Modern And Flesh New Album “Dust” !!

DISC REVIEW “DUST”

CREED, ALTER BRIDGE の大成功で、文字通り US ギタリストの頂点に君臨する Mark Tremonti が自身の名前を冠したバンド TREMONTI で最新作 “Dust” をリリースしました!!
グランジムーブメントが下火になりかかっていた90年代中盤から終盤にかけて現れた “ポスト・グランジ” バンドたちは、静と動のダイナミズム、うねるようなグルーヴといった点で、明らかにグランジムーブメントから強く影響を受けながらも、よりラジオフレンドリーなメロディー、楽曲とプロダクションで瞬く間に US ロックシーンの主役となりました。NICKELBACK, PUDDLE OF MUDD といったバンドと並んで CREED は勿論その1つ。グラミー賞も獲得し、全世界で4000万枚以上を売り上げたバンドを牽引していたのが不世出のギタリスト、Mark Tremonti でした。
ただ、彼の魅力は、CREED が一旦解散した後 (2009年に再結成を遂げた後、現在は休眠中) Mark が CREED の楽器隊とあの Slash も目をつけた Myles Kennedy という本格派ボーカリストを得て結成した ALTER BRIDGE、そしてよりソロプロジェクトに近いこの TREMONTI で一層伝わるのかも知れませんね。
Myles のブルージーな歌唱を活かし、LED ZEPPELIN を現代に蘇らせたかのような ALTER BRIDGE のロックサイド、自らがボーカルを務めよりメタルに特化した TREMONTI。どちらのバンドでも、Mark のトレードマークである独特のアルペジオ、キックドラムとシンクロするアグレッシブな低音リフ、何よりアイデア豊富で強烈なエモーションを発するリードプレイを存分に楽しむことが出来ますね。
TREMONTI の最新作 “Dust” は、前作 “Cauterize” の続編で、2枚はレコーディングも同時に行われた実質2枚組の大作です。アルバムオープナー “My Last Mistake” から “The Cage” への流れは TREMONTI を象徴しています。変拍子をも織り交ぜたヘヴィーなリフは実に複雑で、リズムセクションとのシンクロが実に見事。究極にキャッチーなコーラスパートは NWOAHM の流れを組んでいるようにも感じます。”The Cage” のカントリーミュージックで主に使用される、チキンピッキングを組み込んだリードプレイはただただ圧倒的で、彼が長年トップに立っている理由が伝わりますね。
加えて、リフの嵐、畳み掛けるような “Catching The Fire” のオリエンタルなミドルセクションなどは、プログレッシブとも言えるほどで、アルバムをフレッシュなモダンメタル作品へと昇華させています。
一方、タイトルトラック “Dust” は彼が CREED で培ったものが見事に結実していると感じました。具体的には、 “One Last Breath” で聴くことの出来る、ユニークなコードワーク、アルペジオ、そして情熱的なメロディー。Mark の歌唱、リードプレイは共に究極なまでにエモーショナルで、それは逆に、つまり彼が CREED を眠らせている意味がこの楽曲に存在するような気さえしますね。
そして、Mark は現在 ALTER BRIDGE でも新作を制作中。”Dust” から伝わる、今こそが絶頂期だと確信してしまうほど充実している Mark の状態を考えれば、素晴らしい作品になることは間違いないでしょう!
今回弊誌では、Mark Tremonti にインタビューを行うことが出来ました。残念ながら、日本では Mark の実力、音楽があまり浸透していないと思います。ぜひこの機会にチェックしてみてくださいね!どうぞ!!

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TREMONTI “DUST” : 9.2/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VEKTOR : TERMINAL REDUX】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVID DISANTO OF VEKTOR !!

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US Sci-fi Prog Thrash Outfit, Vektor Returns With “Terminal Redux”, An Intense And Intelligent Masterpiece For The First Time In Five Years !!

DISC REVIEW “TERMINAL REDUX”

Thrash Revival ムーブメントで頭角を現し、SF的な世界観と Proggy なインテリジェンスで黄金世代にも匹敵する個性を作り上げた US の4人組 VEKTOR が、実に5年振りの新作 “Terminal Redux” をリリースしました!!
73分にも及ぶ大作SF映画のような作品は、アグレッションとアトモスフィア、直情性と実験性の対比が見事で、リスナーにランニングタイムの長さを感じさせないフックに満ちた傑作に仕上がりました。
アルバムオープナー、VOIVOD meets WATCHTOWER とでも例えたくなる “Charging The Void” はまさに VEKTOR を象徴するような楽曲です。キャッチーかつアグレッシブなリフワーク、Black Metal にも通じるようなトレモロとブラストビート、効果的に挿入されるテンポチェンジ。彼らが指標する “Sci-fi Prog-Thrash” のレシピを惜しげも無く披露していますね。
近未来感を演出するドラマティックなコーラスも実に効果的です。エピカル&ドラマティック。”Terminal Redux” は間違いなく以前の作品よりも大幅にドラマ性が増しています。
そのエピカルな進化を強く物語るのが、アルバムの最後を飾る3曲 “Pillars of Sand”, “Collapse” から “Recharging The Void” の流れだと感じました。
“Pillars of Sand” はただただ、キラーチューンという言葉がシックリくる壮絶で強烈な哀愁溢れる5分間。ドラマティックでクラシカルな David と Erik のツインギターは白眉ですし、DEATH の “Crystal Mountain” を思い出すファンも多いのではないでしょうか。
9分を超える “Collapse” の前半は、ボーカル David DiSanto のメロディアスな歌詞をフィーチャーしたほとんどバラードとも呼べる新機軸。この楽曲にとどまらず、David は前作まで多用していた金切り声を抑え、ミッドレンジを生かして”歌う”ことによりフォーカスしているように感じます。SLAYER の Tom Araya も “South Of Heaven” 以降、そういったアプローチを取ることが多くなりましたが、攻撃性を失わず説得力を増した現在の2人のには通じるものがありますね。こちらも DEATH の影響を感じさせる、メタルアンセム的な後半とのマッシュアップが、より楽曲をエピカルで印象的にしています。
続く14分近い大曲 “Recharging The Void” はアルバムを締めくくる楽曲で、同時にアルバムオープナー “Charging The Void” と対となる楽曲。”Terminal Redux” の縮図とも言えるエピックチューンは Thrash と Prog を巧みに融合させ、全てのピースを最高の位置に配置した驚異的な展開力を誇る1曲です。驚くことに、アンビエントなミドルセクションでは David の素朴で優しいクリーンボーカルと共に、女性ソウルシンガーを起用しており、2人のデュエットが織り成す荘厳な雰囲気はリスナーに小宇宙を感じさせるほど美しいですね。
勿論、楽器隊の大健闘も記して置かなければなりません。”Psychotropia” のギターとベースのデュエルや “LCD” のイントロが示すように、時にクラシカル、時にジャジーなリードプレイは実にスリリングで、アルバムの重要な聴き所となっています。
さらに、しっかりと Thrash “Golden Age” の遺伝子を伝えている点もリスナーのリピートを誘います。VOIVOD, DEATH の名前は既に挙げましたが、”Pteropticon” で感じられるようなインテンスは KREATOR をも想起させ、David の Chuck Schuldiner, Mille Petrozza 直系のアジテイトと相俟って最高のエキサイトメントを創出していますね。
今回、弊誌ではバンドのフロントマン、ボーカル/ギターの David DiSanto にインタビューを行うことが出来ました。今年聴くべきメタルレコードの内の1枚。どうぞ!!

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VEKTOR “TERMINAL REDUX” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DANIMAL CANNON : LUNARIA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAN BEHRENS A.K.A DANIMAL CANNON!!

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“Chiprog-Metal” is born!! Genius, Danimal Cannon has just released Chiptune and Prog-Metal cross-over masterpiece “Lunaria”!!

【DISC REVIEW : LUNARIA】

EDM/Chiptune 界の革命児、DANIMAL CANNON が”クロスオーバー/エクレクティック”な音楽が求められている昨今の音楽シーンに衝撃を与える新作 “Lunaria” をリリースしました!!
DANIMAL CANNON とはチップチューンアーティスト/ギタリスト Dan Behrens のソロプロジェクト。作曲にギターと任天堂ゲームボーイを使用し、プログメタルとチップチューンを融合させたそのユニークな音楽性は、まさに奇才と呼ぶに相応しいですね。”Lunaria” は3枚目のアルバムとなりますが、完全に一皮剥けたこの新作でその知名度は飛躍的に向上することでしょう。
作品は、月が原始地球と火星ほどの大きさの天体が激突した結果形成されたとされる “ジャイアントインパクト説”をテーマとしたコンセプトアルバム。アルバムオープナー “Axis” こそ、彼が創作する “Chiprog-Metal” を体現する楽曲だと思います。キラキラとしたキャッチーなメロディーと、ヘヴィーグルーヴィーなリフが見事に融合。チップチューンサウンドとギターシュレッドが楽曲の主役を巡って鬩ぎ合うかのような、極上のスリルを味わうことが出来ますね。
対して、月の女神に扮した女性ボーカル Emily Yancey をフィーチャーしたタイトルトラック “Lunaria” は息をのむほどの美しさ。例えば、チップチューンのような電子音に感情が宿るのかという懐疑的な音楽ファンをも虜にするような普遍的魅力に満ちています。ゲームボーイは1989年に発売されたハードです。実は、そのサウンドチップは同時に3音までしか鳴らすことが出来ません。にもかかわらず、ここまで幻想的なサウンドを生み出す彼のプログラミングテクニックには驚くばかりですね。
また、アートワークや “Collision Event” からは、彼がファイナルファンタジーシリーズ、そして植松伸夫氏に多大な影響を受けていることに気づくでしょう。この辺りはゲームのサントラも手がけるコンポーザーとしての面目躍如といったところ。同時に自身がボーカルをとる NIN リスペクトな “Surveillance” というロック寄りの楽曲も収録されており、アルバムは実にチャレンジングでバラエティーに富んでいますね。
今回弊誌では、Dan Behrens にインタビューを行うことが出来ました。やはり日本の文化には思い入れが強いようですね。どうぞ!

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DANIMAL CANNON “LUNARIA” : 9.6/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SNARKY PUPPY : FAMILY DINNER VOL.2】JAPAN TOUR 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MICHAEL LEAGUE OF SNARKY PUPPY !!

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TWO TIMES GRAMMY WINNER, JAZZ ORIENTED REVOLUTIONALY GROUP, SNARKY PUPPY ARE GOING TO COME TO JAPAN ON JUNE WITH THEIR AMAZING NEW RECORD “FAMILY DINNER VOL.2”!!

2014年には “Something” で Best R&B Performanceを、今年はアルバム “Sylva” が Best Contemporary Instrumental Album を、2度もあの栄誉ある Grammy Award を獲得。世界中のアーティストや音楽ファンから尊敬を集めるコンテンポラリーJAZZ集団 SNARKY PUPPYが新作 “Family Dinner Vol.2” をリリースしました!!同時に cero, origami PLAYERS, Michelle Willis といった新世代の注目アーティストをサポート/オープニングアクトに起用した6月の単独公演も決定しています。
SNARKY PUPPY は北テキサス大学でベーシストの Michael League を中心に結成された、総勢30~40名が所属する大所帯のコンテンポラリーJAZZグループ。Robert Glasper 以降の所謂 “Jazz the New Chapter” 文脈で語られることも多く、その唯一無二な音楽性は新しく拡散するJAZZやアートの形を提唱しているように思えます。
流動的なメンバーですが、主要人物は12名ほど。彼らの多くが JAZZ はもとよりメインストリームのアーティストたちにも引く手あまたで、Kendrick Lamar, John Mayer, Marcus Miller, Snoop Dog, Justin Timberlake, といった才能たちと共演を果たしています。中には日本人パーカッショニスト小川慶太さんや、ソロ作も非常に充実している鍵盤奏者 Bill Laurance といった顔もありますね。
最新アルバム “Family Dinner Vol.2” は2013年にリリースされた “Family Dinner” の続編として制作されました。ゲストボーカリストたちを迎え、彼らの楽曲をリアレンジして収録するという試みは今回も同じですが、前作が R&B 色の濃い作品だったのに対して、今作では世界中からゲストを招き、より多彩でキャッチーな、ワールドミュージックの影響も強く感じさせる作品に仕上がりました。
中でも、アフリカはマリ出身、アルビノの奇才 Sarif Keita をボーカリストに迎え、ブラジルのパンデイロやフルート奏者を合流させた “Soro(Afriki)” の素晴らしさは筆舌に尽くし難いですね。アフリカのオリエンタルな伝統音楽にサンバのリズムが加わり、それを現代的なサウンドで立体的に表現した楽曲は全音楽ファン必聴と断言したいほど。また御年71歳を迎えたペルーの伝説、Afro-Peruvian リバイバルの重要人物 Susana Beca と Joe Satriani に師事し D’Angelo や John Mayer にも認められた8弦ギター使い Charlie Hunter の共演 “Molino Molero” では、ブルースとAfro-Peruvianに共通するルーツ”アフリカ”を強く感じることが出来ます。この2曲は、白人音楽と黒人音楽の歴史的背景にまで想いを馳せるよう意図されているのかも知れませんね。
新進気鋭のボーカル多重録音アーティスト Jacob Collier の “Don’t You Know” も衝撃的。自らのボーカルを多重録音し、アカペラと卓越した楽器の演奏で音楽シーンに登場した彼のパフォーマンスは、この楽曲に置いても輝きを放っていますね。対照的に、アルバムを締めくくる David Crosby 御大の飾り気のない “Somebody Home” での歌唱も見事の一言でした。
“We Like It Here”, “Sylva”, そして今作と、スタジオライブレコーディングを続けている SNARKY PUPPY。彼らの様々な新しい試みからは、音楽シーンを本当に変えてやろうという気概が強く伝わって来ます。そしてそれが遂に受け入れられつつあることはシーンの希望だと心から思います。
今回弊誌では、グループの首謀者 Michael League に独占インタビューを行うことが出来ました。少し難しく綴ってしまったかもしれませんが、彼らの本質は JAZZ, HIP HOP, ROCK, R&B, DANCEといった音楽のハイブリッド良いとこ取り。万人が楽しめる音楽だと信じます。どうぞ!!

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SNARKY PUPPY “FAMILY DINNER VOL.2” : 10/10

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EXCLUSIVE INTERVIEW 【PAT METHENY】JAPAN TOUR 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PAT METHENY !!

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The Legendary Jazz Guitar Player, Pat Metheny set to come to Japan on May!! Don’t miss his brand new band Premiere!!

Jazz、いや音楽シーンのレジェンド、20度ものグラミー受賞歴を誇る天才 Pat Metheny が5月に新バンドのワールドプレミア公演を日本で行います!!
日本では、最近 “JOJO” のエンディングで使用された “Last Train Home” で知ったという若い音楽ファンも多いかも知れませんね。しかし彼は70年代から活躍し、自身の PAT METHENY GROUP で賞賛を浴び続ける才能で、同時に、Jaco Pastorius, David Bowie, Joni Mitchell, Ornette Coleman といったジャンル不問の偉大なミュージシャンたちと共演を果たして来たミュージシャンズミュージシャンでもあるのです。
ジャンル不問…昨今、Jazz the New Chapter で紹介される Jazz ミュージシャンたちが Jazz の新しい扉を押し広げようとしていますが、Pat Metheny の偉大な点はその部分にあり、JTNC のパイオニアでもある気がします。
自身初のリーダー作 “Bright Size Life” では Marvin Gaye の楽曲を取り上げていますし、次の “Watercolors” では二作目にして既に カントリー、フォーク、ポップスの要素をアルバムに自然に取り入れ見事 Jazz と融合させています。Fusion という一言で語られることも多いですが、当時流行していたテクニカルでロックテイストを取り入れた Fusion とは明らかに一線を画しており、 音の先に美しい風景が見えるようなスムーズジャズを推し進めたと解釈することも出来るでしょう。
78年に結成した PAT METHENY GROUP では特に Lyle Mays のピアノと Pat のギターのコンビネーションが抜群でした。そしてグループとしても、革新的な試みを次々に発表して行きます。大胆に8ビートを使用したロックへの回答とも言われる代表作 “American Garage” や、ギターシンセサイザーを導入した “Offramp”。中でも “Offramp” に収録されている “Are You Going With Me?” は常にライブでも演奏されて来た Pat Metheny を象徴するような楽曲です。ギターシンセを使用し、繊細な音色から雄叫びのような咆哮まで自在に操る Pat のギターワークと、ドラマティックなエンディングに花を添える Lyle のピアノ。まさに名演とはこのことだと何度聴いても思ってしまいますね。
後に Pat は ECM から GEFFIN に移籍し、ブラジル音楽に接近。若い頃から影響を受けていた Samba, Bossa Nova, そして Milton Nasciment など MPB(Musica Popular Brasileira)界隈への憧れを反映した “Still Life(Talking)”, “Letter From Home” という2枚の名作を残します。ECM 時代に比べて Jazz 的な面白さは減りましたが、作り込まれたより大衆向けの完成された音楽はさらに Pat の名を世界に轟かせることとなります。”Last Train Home” を聴けば 名手 Paul Wertico でさえ、ブラシで16分を刻む淡々としたプレイに制限されていることが分かります。勿論、エレクトリック・シタールやボイスを使用したりと実験的な試みもありますが、インタープレイなどは抑え、映画のような情景を創り出すことに全神経を注いだように感じられますね。
また90年代には、ラテンアメリカの音楽に傾倒する傍らで、Jim Hall, Charlie Haden, Chick Corea といった Jazz Giant たちとの共演、再演も成功させ、素晴らしいレコードを残しています。
彼の音楽に対する情熱は近年でも衰えることを知りません。2010年に発表した “Orchestrion” はファンの度肝を抜きました。オーケストリオンとは、元々20世紀初頭に存在した複数の楽器を自動制御で同時に演奏させる大掛かりな機械なのですが、Pat はそれをコンピューターを利用して現代に蘇らせたのです。巨大な機械と1人で対峙しながら、生まれる音楽は PAT METHENY GROUP そのものなのですから圧巻です。また、新たに立ち上げた UNITY BAND, そしてマルチプレイヤー Giulio Carmassi を得て進化した UNITY GROUP でもその創造性を遺憾無く発揮しています。さて今回日本で初公開される新しいバンドではどのようなサプライズが待っているのでしょう?今回弊誌では Pat に非常に濃厚な独占インタビューを行うことが出来ました。弊誌初登場のグラミーウイナーです!”Are You Going With Pat?” どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MOON TOOTH : CHROMAPARAGON】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NICK LEE OF MOON TOOTH & RIOT !!

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Aggressive Progressive, From Prog to Sludge!! Eclectic Talented band from NYC, MOON TOOTH has just released their incredible debut full-length “Chromaparagon” !!

NYC からまたカラフルで一風変わった音楽性の素晴らしいバンドが現れました!MOON TOOTH がリリースしたデビューフルレングス “Chromaparagon” のプログレッシブでアグレッシブなサウンドは多くのロックファンを惹き付けることでしょう。
バンドを率いるギタリストの Nick はあの RIOT が亡き Mark Reale の後任として指名した新たな才能でもあります。しかし、MOON TOOTH の音楽は RIOT のトラディショナルなメタルとは大きく異なります。
アルバムオープナーの”QUEEN WOLF”を聴けば、彼らのモダンで自由なコンポジションに圧倒されるでしょう。Mathy & Heavy で実にインテレクチュアルなリフの洪水に、PEARL JAM の Eddie Vedder を髣髴とさせる表情豊かな John のボーカルが乗る楽曲は、近年のプログロックシーンでも一際異彩を放っていますね。
畳み掛けるように “Offered Blood” がアルバムの世界観を確立します。MASTODON をさらにプログレッシブにしたかのようなヘヴィーでテクニカルなリフと、時にスポークン・ワードまで駆使する John のボーカルが生み出す個性は強烈で唯一無二。この楽曲での Nick のギタープレイ、またそれに呼応する手数の多い Ray のドラムスは本当に驚異的ですね。
同時に “Little Witch”, “Chorma” のようなストレートでパンキッシュな楽曲は彼らの多彩さを物語ります。その一癖も二癖もあるオルタナティブなキャッチーさは INCUBAS を想起させますね。
また組曲となっている “Vesvius Ⅰ” “Vesvius Ⅱ” の前衛的なポストハードコアサウンドは THE MARS VOLTA の精神性と近いものを感じさせます。
アルバムを通してリズムへの拘り、複雑で大胆なアプローチはバンドの一体感を伴って MOON TOOTH のアイデンティティになっていると感じました。そして Prog-Sludge を軸としながらもその枠には一切収まりきらないエクレクティックなサウンドは見事としか言いようがないですね。
今回弊誌では Nick に MOON TOOTH, そして RIOT について語っていただきました。Shine On!!

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MOON TOOTH “CHROMAPARAGON” : 9.5/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CASPIAN : DUST AND DISQUIET】JAPAN TOUR 2016 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Philip Jamieson of CASPIAN !!

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One of the best Post-Rock act CASPIAN set to come to Japan first time on March !! Don’t miss Their splendid performance of “BEAUTY AND BEAST”!!

Tokyo Jupiter Records の招聘で、3月にインストゥルメンタルポストロックの至宝こと CASPIAN が遂に初来日を果たします!!
昨今、時折 “Post-Rock は死んだ” というフレーズを見かけることがあります。確かに1度飽和したシーンはポストロックアイコン ISIS の活動停止もあり、衰退している様にも思えます。しかし、果たして彼らの最新作 “Dust and Disquiet” を聴いても “Post-Rock は死んだ”と言い切れるのでしょうか?
前作 “Waking Season” の成功の後、バンドは中心メンバーでベーシストの Chris Friedrich が亡くなるという不幸に見舞われます。困難な時間を経て、メンバーを6人に増やしリリースした最新作は、亡き Chris のスピリットを受け継ぐ最高傑作に仕上がりました。アートワークの7本の羽がその事実を如実に物語っていますね。
アルバムは悲しみと前向きなエモーションに満ち、壮大で、美と轟音の一大絵巻です。”Arcs of Command”, “Darkfield” で聴かれるヘヴィーでダークな音像はまさしくその困難な時間、悲しい出来事を反映しているように感じます。トリプルギターが生み出す重厚感、獰猛さには圧倒されるばかり。
また、”Echo and Abyss” “Run Dry” にはボーカルを導入。前作でもボーカルの使用はありましたが、あくまで楽器の1つとして。しかし、特にカントリーテイストの “Run Dry” はそうですが、今作では完全に感情表現を伴った”歌”として使用されており、彼らの魅力がまた一つ開花したように思います。
そしてファーストトラックの”Sad Heart of Mine” はボーカルこそ入っていませんが、悲しみを胸に秘め前向きに生きるという決意を ALCEST 的な光のシューゲイズで表現しており秀逸。
逆に、ストリングスを大胆に導入した “Rioseco”、ピアノ、アコースティックギター、ホーンなどを使用し驚異的な構成力を披露するタイトルトラックなどは、まさしくポストロック、これぞ CASPIAN といった楽曲で、ファンを大いに納得させることでしょう。
実際、新機軸と持ち味の配分が絶妙で、バラエティーに富んだ映画のサントラのような至高の作品だと思います。個人的には、悲しみを乗り越えて傑作を生み出したという点でも WE LOST THE SEA とポストロック共同戦線を張ってもらいたいと感じています。
今回弊誌では、念願の来日決定に興奮冷めやらぬギタリストの Philip Jamieson に話を聞くことが出来ました。どうぞ!!

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MMM RATING IS…

CASPIAN “DUST AND DISQUIET” 9,7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HORRENDOUS : ANARETA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAMIE KNOX OF HORRENDOUS !!

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Splendid “Post-Death Metal” From Philadelphia !! HORRENDOUS takes Death Metal to the place that never dreamed of going !!

デスメタルの最新型、US産恐怖のスリーピース HORRENDOUS が新作 “Anareta” をリリースしました!!
Jamie (Drums) と Matt (Guitar, Vocal, Bass) の Knox 兄弟と Damian (Guitar, Vocal, Bass)から成るフィラデルフィアの新鋭は海外のメタルシーンで今最も注目を集めている存在でしょう。Dark Descent Records から10月にリリースされた “Anareta” は老舗メタルマガジン Decibel Magazine において “Album of the Year” 1位、Pitchfork 誌で8.2という高評価を獲得。他の大手音楽誌においても軒並み “Best Metal Albums” に選されています。
では、彼らの何がこれほどまで高く評価されているのでしょうか?それはおそらく、デスメタルの”過去と未来”を見事に融合しているからだと思います。
まず”過去”にフォーカスしてみると、彼らがUS産デスメタルとヨーロピアンデスメタル、2つのルーツを併せ持った稀有なバンドであることが分かります。それを象徴するのが “Siderea” から “Polaris” への流れ。”Siderea” は EDGE OF SANITY = Dan Swano が書きそうな哀愁の叙情的インストで、そこに繋がる “Polaris” のリフやボーカルはメカニカルでカミソリのような DEATH = Chuck Schuldiner そのもの。またその2つが共存している “Stillborn Gods” のような楽曲も存在します。どちらかをリスペクトしているバンドは山ほどあると思いますが、フロリダとゴーゼンバーグをまたに掛け、高いレベルで独自に再現しているアーティストは決して多くはないでしょう。余談ですが、フレットレスベースのように聴こえるジャジーなベースラインも CYNIC や DEATH を想起させ実に効果的ですが、実際は普通のベースを使用しているそう。
では”未来”とは何でしょう?キーワードは “Math” と “Atmosphere”。オープニングトラック “The Nihilist” が示すように、アルバムを通して彼らはリフやリズム面で非常に数学的なアプローチにトライしています。KRALLICE や LITURGY が最新作で同様の挑戦を試みたことも記憶に新しいですね。また、”Acolytes” の後半では DEAFHEAVEN を彷彿とさせるようなアトモスフェリックなパートを導入しています。Post-Black 界隈が発信する、現代メタルシーンのトレンドと言えるこの2つの要素をデスメタルに取り入れることで Post-Death Metal とも呼べるような新鮮味を生み出しているように感じました。勿論、難しい話を抜きにしても、好奇心を満たす実験性と、ブルータリティー、そしてキャッチーなメロディーを兼ね備えた実に素晴らしい作品だと思いますよ。
今回弊誌では、ドラムスを担当するバンドのリーダー、Jamie Knox にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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HORRENDOUS “ANARETA” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【EARTHSIDE : A DREAM IN STATIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BEN SHANBROM OF EARTHSIDE !!

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Incredible New Commer from US!! EARTHSIDE create dramatic “Cinematic Rock” with Orchestra. “A Dream In Static” is one of the important release on 2015 !!

モダンプログシーン、上半期のブライテストホープが NATIVE CONSTRACT だとしたら下半期は間違いなく彼らでしょう。”Cinematic Rock” を指標する期待のUS産4人組 EARTHSIDE がデビュー作 “A Dream In Static” をリリースしました!
実は BUSHWHACK という Post-Djent を掲げていたバンドを母体とするバンド。メンバー全員が音楽の学位を持っているという驚くべき背景を元に、持てる知識と創造性を全て注ぎ込んだ非常に野心的なアルバムです。フックに満ち、カラフルでストーリーを感じさせる作風は、まさに彼らが掲げる”映画”をイメージさせますね。
まず言及すべきはアルバム2曲目の “Mob Mentality” でしょう。なんとモスクワスタジオ交響楽団、つまりオーケストラが楽曲に全面参加しているのです。勿論、オーケストラを起用したロック/メタルバンドはこれまでにも少なくありませんが、メタルの楽曲にチョロっとストリングスを加えたといった程度の生ぬるいものが多かったように思います。彼らのやり方はそれとは根底から異なっており、まずオーケストレーションありきのコンポジションなため、圧倒的な構成力と生き生きとした生楽器の演奏を楽しむことが出来ますね。
EARTHSIDE はこのデビュー作で4人のシンガーを起用しています。”Mob Mentality” では SEVENDUST の Lajon Witherspoon が参加しているのですが、ソウルフルに歌い上げる彼のスタイルが見事にハマッています。他にも TesseracT の Dan Tompkins, SOILWORK の Bjorn Strid, FACE THE KING の Eric Zirlinger といったジャンルもカラーも異なる実力派シンガーたちを適材適所に起用し、様々な”色”を感じさせる作品に仕上げています。
音楽的には、Djent/モダンプログを柱としながらも、アトモスフェリックなポストロックから TOOL 的マス/オルタナティブ、モダンなメロディックデスメタルの要素まで幅広く、彼らのやり方で見事に取り込んで、新しいジャンル “Cinematic Rock” を生み出したとさえ言えるのではないでしょうか?ポストプログ/Djentの雄、 TesseracT を大仰にドラマティックにしたようなサウンドだと感じる人もいるでしょう。KARNIVOOL や TEXTURES のように洗練された繊細なイメージを持つ人もいるでしょう。
ストックホルムまで出向いて Jens Bogren + David Castillo というモダンメタルシーン最高最重要レコーディングチームと制作したことも大吉でしたね。彼らと組むことでさらに最新のメタル/プログを色濃く反映した傑作 “A Dream In Static”。 今回弊誌ではバンドのソングライター/スポークスマンにして驚異的なドラマーでもある Ben Shanbrom に話が聞けました。どうぞ!!

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MMM RATING

EARTHSIDE “A DREAM IN STATIC” : 9,8/10

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