“We Do Think Of War As Part Of Human History And Mainly a Great Way To Learn That Violence Is Never The Answer To Resolving Any Conflict. There’s Nothing Positive In Death Of Innocents That Benefits Humanity At Large.”
DISC REVIEW “HEIR OF THE RISING SUN”
「歌詞を読んでみると、この作品がただの歴史の授業ではなく、詩的で、時には出来事の完全な説明というより、もっとテーマを喚起するような内容になっていることに気がつくと思うんだ。中世ビザンツ帝国の時代は北米じゃ軽視されがちだけど、歌詞の内容的にも音楽的にも大きな可能性を秘めた、取り組むべき興味深い題材だと思った」
大砲が何発も何発も都市の城壁に打ち込まれる中、ダミアヌスは深く動揺しながらも、矢を手に城壁の上に立つ。彼はすぐに聖母に祈りを捧げた後、弓を包囲者たちに向けて放つ。埃が空中に舞い上がり、大砲を操るオスマン軍の将を左に数センチ外してしまう。パニックの中、ダミアヌスは選択を迫られる。先祖の土地を捨てて去るべきか、それとも戦って死ぬべきか?ダミアヌスが戦うことを決断した数分後、大砲の弾が命中し、彼の手足は引き裂かれ骨は粉々になった。おそらく神は帝国の滅亡を望んでおられるのだろう。コンスタンティノープルの街のあちこちが限界点に達し、ノヴァローマの富を手に入れるため、オスマン帝国はついに征服不可能な都市に突入した。
「実は、この曲はウクライナ戦争が始まるずっと前に作られたものなんだ。とはいえ、僕たちは戦争を人類の歴史の一部と考え、暴力がどんな争いも解決するための答えには決してならない、そのことを学ぶために最適な方法だと考えているんだ。罪のない人々の死が、人類全体の利益となるなんてことは絶対にない。戦争にポジティブなことは何もないのだから」
この “The Fall of Constantinople” “コンスタンティノープルの陥落” は、AETERNAM の5枚目のアルバム “Heir of the Rising Sun” を締めくくる、ビザンツ帝国の終焉を描いた壮大な楽曲です。この歴史的、音楽的なクライマックスに到達するために、AETERNAM は SEPTICFLESH の映画的シンフォニー、WILDERUN の知の陶酔、AMORPHIS の旋律劇、ORPHANED LAND の異国の香りを見事に混交しています。リスナーはこのレコードで時を超え、オスマンとビザンツの時代に旅をしながら、”永遠” の名を持つバンドが提起する人類永遠の課題 “戦争” を追体験するのです。この物語は遠い昔の話しでありながら、実は過去の遺物ではありません。そろそろ私たちは、ほんの少しでも歴史から何かを学ぶべきでしょう。
「”Kasifi’s Verses” の冒頭にあるトルコ語のちょっとしたナレーションを入れると、実は5つあるんだよね。 それは、曲の中で僕たちが語る人々に対する言葉でのオマージュと見ることができるだろうね」
“Heir of the Rising Sun” で AETERNAM はアグレッシブ・メロディアスなリフの合間に、中東・北アフリカの風を受けたギターリードがオスマン帝国の誇りを見せつけ、”征服者” がコンスタンティノープルを手にするため力をつけていく様を描いていきます。もちろん、その絵巻物の情景は、モロッコに生まれ育った Achraf の歌声が肝。
そうしてアルバムは、1453年5月29日が近づくにつれそのオリエンタルなテンションを増していきます。”Beneath the Nightfall” や “Where the River Bends” におけるブラックメタルの激しい旋律、荘厳に勝利を響かせる “Nova Roma”。
一方で、”The Treacherous Hunt” では、東洋の水にグレゴリオ聖歌とシンフォニック・ブラックメタルの構造を無理なく融合させて、ビザンツ帝国の側からもストーリーを肉付けしていきます。戦争に正義などありませんし、完全に善と悪で割り切れるものでもないでしょう。AETERNAM は侵略者、被侵略者、両方の物語を描く必要があることを知っていました。英語、ギリシャ語、トルコ語、ノルウェー語、ラテン語という5つの言語を使用したメタル・アルバムなど前代未聞。しかし、それはこの壮大な “教訓” をリアルに語るため、絶対に不可欠な要素だったのです。
フィナーレにしてクライマックスのクローザーでは、大胆なメロディとスタッカート主体のリフ、ドラムが大砲のように鳴り響き、オスマントルコの攻撃を演出。しかし、途中から勇壮なギター・リフに移り変わり、ビザンツ兵の視点が強調されます。逃げ出すか、このまま街に残って死ぬか。彼は嘆きながらこう決心するのです。
「もし神の意志で街がこの夜に滅びるのなら 私は命を捧げた戦士たちの側に倒れよう」
今回弊誌では、魂のボーカル&ギター Achraf Loudiy と、創始者のドラマー Antoine Guertin にインタビューを行うことができました。「Achraf と僕が出会ったとき、彼は AETERNAM の曲にもっと東洋的なメロディーを取り入れるというアイディアを持っていたんだ。 彼はモロッコでそうしたメロディーを聴いて育ったし、彼の母親が素晴らしいシンガーであることも重要だった。家系的にもそうなんだよね」 どうぞ!!
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MONIQUE PYM OF RELIQA !!
“A ‘Relic’ Refers To Something Old, Like an Artefact. A Lot o Of People Say This Contradicts Us a Bit, And We Agree, Because One Of Our Goals As Musicians Is To Create Sounds That Are Contemporary And New.”
DISC REVIEW “I DON’T KNOW WHAT I AM”
「深い意味合いでは、バンド名の元となった “relic” とは古い人工物のようなものを指すの。だから、多くの人が矛盾していると言うわ。なぜなら、私たちのミュージシャンとしてのゴールのひとつは、現代的で新しいサウンドを作り出すことだから (笑)」
シドニーの現代的なプログレッシブ集団 RELIQA。その名前は実は不適切で矛盾をはらんでいると言わざるを得ません。RELIQA というバンド名は過去の遺物、アイテム、工芸品を連想させますが、そのサウンドと音楽は未来を見据えた全く異なるイデオロギーに満ちているのですから。
もちろん、そんな異変に気づく賢明なリスナーなら、第二の異変、この EP のタイトルにも明らかな矛盾を感じるはずです。”I Don’t Know What I Am”。”自分が何者なのかわからない”。しかし、このバンドは間違いなく、自分たちが何者であるか、自分たちの方向性は何か、音楽的に何を達成したいのかを、正確かつ的確に把握しているのですから。そしてそれは、過去ではなく、現在と未来の超越的にプログレッシブでヘヴィな音の葉を創造すること。
「自分たちに対して正直であることが重要なのよ。それが何であれ、”自分たち” らしさを感じる音楽を作る。それが大事。確かに少し奇抜ではあるけれど、自分たちの音楽をわかりやすく、まとまりのあるものにするために積極的に取り組んでいるわ」
ヘヴィ・プログの常識を破る女性がフロントに鎮座したパフォーマンス、きらびやかで最先端のプロダクション、そしてダイナミックで驚きと楽しさに満ちた不可解な楽曲をさながら現代建築のごとく巧みに組み立てる想像力など、このバンドの意識は前時代の慣習すべてを置き去りにするほどモダンで先鋭的。
そのサウンドは、90年代以降に芽吹いた音の新芽を沸騰した鍋に投入し、轟音とともにかき混ぜ、完璧な味付けをほどこし、カラフルでありながら逆説的に首尾一貫まとまった形で仕上げられた、耳なじみの良いプログのオージー料理。
一見、バラバラな要素が組み合わされ、完成するはずのないパズルが完成してしまう。”Safety” のメタル好きにはたまらないヘヴィネスはもちろん、ストリングスとピアノが導く甘く高揚感のあるバラード “Second Naure”、実験的インスト曲 “blip”、ポップなボーカル、ラップにエレクトロニカ、果てはエスニックで東洋的な瞬間など、実際、この6曲入り EP にはあまりに多くのアイデアが滝のように密集して流れ落ちているのです。
個々の技術、曲作りの技術、そしてそれらを分かりやすく聴きやすいパッケージに落とし込む技術に長けた異能の集団。その料理の腕前は あの GOJIRA や SYSTEM OF A DOWN を彷彿とさせるほど。
「長い間男性に支配されてきたこの業界で、周りの女性たちと支え合うネットワークを形成できることは、とても “神聖” なことだと思っているの。だからこそ、SPIRTBOX の Courtney が “Good For A Girl” “女の子のために” というポッドキャストを始めたとき、彼女の目的がいかに素晴らしいものであるかということがよくわかったのよね」
10代後半から20代前半の若者が葛藤しながら向き合い、探し出す自分。そんな魂とアイデンティティの探求をテーマとした作品で、バンドのボーカリスト Monique は女性であることにも対峙しました。今やメタル世界のカリスマとなった SPIRTBOX の Courtney LaPlante。彼女と連帯することで、Monique の物語はさらに深い色を帯びていきます。
女性の学びの経験やエンパワーメント、女性らしさについて、ヘヴィ・メタルを牽引する女性たちがポッドキャストで配信する。そのネットワークや配信自体、そして、ポッドキャストや YouTube チャンネル、SNS のようなプラットフォームを開拓することがいかに重要で、抑圧された人たちを解放する力となるのか。彼女たちは自らを研ぎ澄まし、語り合い、支え合い、成長し、表現することで伝えようとしています。
「オージー・バンドのミュージックビデオを見ていると、YouTube のコメント欄には必ず “オーストラリアの水には何かがある!” と書かれているのよ。私もその通りだと思う。本当にたくさんの素晴らしい才能がここは存在している。そういう背景があるから、今、彼らの多くとステージを共有し、オーストラリアのプログレッシブ・メタルの新たな新興世代の一員となったことが、どれほど特別な気分か想像できるでしょ?」
オーストラリアがヘヴィ・ミュージックやプログレッシブのエルドラドであることを隠さなくなった10年ほど前から、数多のバンドが “急成長中” や “新星” というレッテルを貼られ、期待を寄せられていますが、一方でその中の大半はひっそりと消え行く南半球の仇星となったのが実情。
しかし、RELIQA は、例えば SPIRTBOX の Courtney LaPlante から賛辞を送られたり、MAKE THEM SUFFER の Sean Harmanis が作品に参加したりと、大器の片鱗をすでに見せています。彼らが正しい行動さえとれば、プログレッシブ・ヘヴィの未来は約束されているのです。
今回弊誌では、Monique Pym にインタビューを行うことができました。「ミュージシャンとしての私たちが自分たちが何者で、どこに属しているのかよくわからないのと同じように、人間としての私自身も、まだ自分が何者で、周囲の世界の中で自分のアイデンティティは何なのかを見極めようとしているところなのよ」Z世代の苦悩と葛藤、そして光。どうぞ!!
“You Feel Tension—Music Helps To Release It. You Feel Sad—Music Helps You Feel a Little Bit Happier. You Feel Anger And Pain—Creativity Is Also Your Savior. You Only Need How To Push The Negative Feeling Into a Creative Direction.”
“We Put On Our Different Daily Masks To Deal With Co-workers, Our Loved Ones Or Other Members Of Society. We Want To Be Able To Be Someone Different In Every Situation In Order To Be Or Feel Accepted. These Masks Represent Mostly That.”
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CARSON PACE OF THE CALLOUS DAOBOYS !!
“The Non-metal Elements Are Way More Important, That’s What Sets Us Apart. We Would Be Playing To 5 People At Local Shows Once a Month If We Didn’t Think Outside Of The Box And Push Ourselves To Be More Than Just a Heavy Band.”
DISC REVIEW “CELEBRITY THERAPIST”
「真の “ダークサイド” なんて存在しないんだよ。少なくとも、君や僕が同意しない側にいる人々にとって、彼ら自身はまったく “ダークサイド” ではないんだから。彼らは自分を社会ののけものとか殉教者だと思っているかもしれないけど、少なくとも自分から見て悪意ある行動をとっているわけではなくてね。真摯に話せる友人がいないから間違った道に進んでしまう」
ジョージア州アトランタのメタルコア・ハイブリッド、THE CALLOUS DAOBOYS。彼らはマスコア、ソフトジャズ、ボサノバ、オルタナティブ、ラジオ・ロック、エフェクトで歪んだヴァイオリンなど複雑なサウンドの嵐を生成し、メタル世界で大きな注目を集めています。そしてその台風の目には、Carson Pace がいます。
ステージ上のエネルギーレベルは桁外れで、PUPIL SLICER とのコラボレートや GREYHAVEN とのツアー、そしてバンドの待望のセカンド・アルバム “Celebrity Therapist” のリリースで、彼らの知名度は飛躍的に向上しました。重要なのは、世界に解き放たれたことで Pace が対話を始める機会を多く得られたということ。彼の叫びはなぜか、陰謀論やカルトに囚われた人たちにも素直に届きます。それはきっと、頭ごなしに否定から入ることをしないから。”ダークサイド” だと見下し、馬鹿にして、間違っていると断言することで、囚われの勇者たちはむしろ、自分が正しいと確信してしまうのですから。
「安倍晋三は去った。それが僕の公式見解だよ。右と左の争いについては、グッドラック!としか言えないよね。僕たちはその解決策をまだ見つけられていないけど、まあ解決策を探す人たちには幸運を祈るよ」
しばしば謎めいた歌詞のアプローチにもかかわらず、Carson は THE CALLOUS DAOBOYS にその生来のストーリーテラー、語り部の感覚を持ちこむことに成功しています。Carson の声は、パワーハウス的な叫びから、Mike Patton や Greg Puciato のような筋張った歌声へとドラマティックに変化して、ストーリーを紡ぎます。”Celebrity Therapist” における Carson のリリックは、盲目の愛国心、陰謀論、アルコール依存症、有名人の崇拝などを点と線で結びつけ、人は皆いずれかの悪徳に陥っていると主張しているのです。
例えば、”Title Track” では、彼は “有名人だと威張って話すリードシンガーの不条理さ” を論じていますが、この内観は逆説的に自己矛盾を抱えていることを自覚しています。つまり、Carson がハマってしまった “カルト” とはナルシズム。自分たちが FOO FIGHTERS ではないにもかかわらず押し寄せるエゴイズム。そう、陰謀論やカルトは決して他人事、宇宙人の話ではないのです。
「THE DILLINGER ESCAPE PLAN も MR. BUNGLE も僕の大好きなバンドだからね。でも、先日イギリスのインタビュアーが、僕らを90年代の Madonna と比較していたんだけど、あれは最高にクールだったね。僕はヘヴィーな音楽よりもポップスやエレクトロニック・ミュージックをよく聴くんだけど、それが間違いなく曲作りに反映されていると思うんだ」
カルトといえば、彼らの “アート・メタル” もカルト的なファンを集めています。”Celebrity Therapist” に収録されたよりプリズム的で、常識はずれな楽曲の数々は、流動性と万華鏡の輝きを保ちながら、常にメタルの常識を疑っています。つまり、彼らの教義とは、疑うこと。エレベーター・ミュージックをモチーフにした轟音スラッシュ “The Elephant Man in the Room”、ポップでロックなファンク・ベースと組み合わされたサイコなバイオリン “Beautiful Dude Missile”、サックスが冴える理路整然なポップとグロテスク・デス・モッシュ “What Is Delicious? Who Swarms”。そうした異端と驚きの数々は、メタルらしさ、メタルの定形を疑うことから生まれ落ちたのです。
今回弊誌では、Carson Pace にインタビューを行うことができました!「僕たちにとってはメタル以外の要素の方がずっと重要で、それが僕らを際立たせているんだ。もし、メタルという狭い箱から出なかったとしたら、自分たちを単なるヘヴィー・バンド以上の存在に押し上げなかったとしたら、月に一度、地元のライブでたった5人を相手に演奏することになっていただろうからね」 どうぞ!!
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Sgah’gahsowah OF BLACKBRAID!!
“Our Ancestors Have Been Painting Their Faces In This Way For Thousands Of Years, Long Before Metal Existed, So We Honor Them By Painting Our Faces In The Same Ways.”
DISC REVIEW “BLACKBRAID I”
「自然に対する尊敬の念は、僕の人生の中で大きな部分を占めている。だからそれは、僕の音楽にも大きく反映されているよ。僕は自然を敬い、神聖な方法で人生を送れるよう最善を尽くしているんだ。 BLACKBRAID は、日常的に自然を体験する機会に恵まれていない人々に、自然からのメッセージや体験を届ける手助けをする方法なんだよね」
近年、ブラックメタルに携わる者は皆、自身の中から湧き出るテーマや意図を持っているように思えます。反差別、反暴力、反ファシズム。
このジャンルを築いたいくつかのバンドが持っていた右翼的で人種差別的なニュアンスを考えれば、それはまさしく革命的な変化であると言えるでしょう。ただし、BLACKBRAID はそういった新しい波とも少し距離を置いているように見えます。首謀者 Sgah’gahsowah はただ、自身のブラックメタルを聴いて、外に出て、自然と対話してほしいと願っているのです。
「そう、僕はネイティブ・アメリカンだよ。人生の大半をニューヨーク州北部に住んで過ごしてきた。若いころは少し引っ越しもしたけど、長い間この地域、アディロンダックに住んでいるんだ」
Sgah’gahsowah のあり方は、今日の世界に蔓延する絶対悪や政治を無視していると主張する人もいるかもしれませんが、地球の状態や気候問題を見れば、もっとシンプルに、自然の中に身を置いてみることの重要性が伝わるはずです。人生の大半を大自然の中で過ごし、日焼けをし、狩り、釣り、剥製など、スピリチュアルで伝統的な生き方を貫く Sgah’gahsowah。
窓の外には3万エーカーの山々が広がり、今は人里離れた場所で24時間365日自然とつながる彼はただ、ハイキングをしたり、山を見たり、小川で泳いだりすることを知らない人々に、音楽を通してそれを伝えたいだけなのです。大都会の高級ブランドならいくつでも名前を挙げられる人が、鳥の名前や魚の名前は一つも挙げることが出来ない。それは果たして “自然” なのか?Sgah’gahsowah はそんな現実を憂い、自分の見ている世界を音楽によって見せたいのです。そこから、何かが変わるかもしれないと仄かな期待を寄せながら。
「僕たちの祖先は、ヘヴィ・メタルが存在する何千年も前からこの方法で顔にペイントしてきたんだよ。だからこそ、僕たちはメタルをやる時に、先祖と同じように顔にペイントを施すことが誇りなんだ。フルートや他の先住民の楽器を使うときも同じで、こうした伝統を自分のブラックメタルに取り入れることができるのは名誉なことなんだ」
もちろん、自然への尊敬と崇拝は、ネイティブ・アメリカンの祖先を敬うことにもつながります。”Sacandaga” や “As the Creek Flows Softly By” を聴けば、彼がネイティブな楽器の音、そして魂をブラックメタルに受け継ぐことを一切恐れないことが伝わります。同時に、始まりの場所、”Barefoot Ghost Dance on Blood Soaked Soil” のような楽曲では、USBM, 特に WOLVES IN THE THRONE ROOM や PANOPTICON といった自然崇拝のカスカディアン・ブラックに対する憧憬をも隠そうとはしません。敬うべきを敬い、敬意に値しない価値観は捨て去る。さらにその場所からも一歩進んで、郷愁を誘うアコースティック・フォーク “As the Creek Flows Softly By”、そしてアコースティックとエレクトリックの二重奏で相互作用を喚起する “Warm Wind Whispering Softly Through Hemlock” と BLACKBRAID は自身に与えられた “ギフト” を存分に見せつけていくのです。
「ブラックメタルが持つ反キリスト教的な思想に共感するのは確かだけど、自然や闇に対する畏敬の念も大きな部分を占めていて、ブラックメタルは僕の音楽にとって完璧なメディアだと思っているんだ」
WAYFARER, UNTAMED LAND, DARK WATCHER のようなアメリカ西部をテーマとするバンドが活躍する中で、USBM には明らかに先住民の声が欠けていました。それはもちろん、ブラックメタルの根元にあったアンチクライストという考え方が、キリスト教に冷酷に弾圧され抑圧された先住民にとって親和性が高いから。しかし、Sgah’gahsowah はそれでも誰かを責めるよりも、闇や自然を敬っていたいのです。政治は彼にとってあまりにも不純な闇だから。争いからは何も生まれないことを知っているから。
今回弊誌では、Sgah’gahsowah にインタビューを行うことができました。どうぞ!!
EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALASDAIR DUNN OF ASHENSPIRE !!
“What We Wanted To Do Though Was Expand That Observation On Western Class Dynamics, Look Underneath It, And Then Show How Those Underlying Motives And Mechanisms Of Late-stage Neoliberal Capitalism Saturate Every Level Of Society.”
DISC REVIEW “HOSTILE ARCHITECTURE”
「僕たちがやりたかったのは、西洋の階級力学に関する観察を拡大し、その背後を注意深く探り、後期新自由主義資本主義の根本的な動機とメカニズムが、社会のあらゆるレベルに飽和してしまっていることを示すことだった。結果として、労働者階級の劣悪な居住環境は、より広い問題の徴候に過ぎず、僕たちはそのことに注意を促したかったんだ」
大都市に住んでいれば、ホームレスや劣悪な居住環境で暮らす労働者の存在を切り離すことはできません。公園のベンチの真ん中に作られた鉄のレール、日よけの下にあるスパイク、絶え間なく点滅するライトなど、持たざる者に対する “敵対的な建築” は現代の都市デザインの主流となっていて、公共の建築物は一時的なシェルターとなるどころか、多くの人を抑圧しています。
スコットランドの建築メタル ASHENSPIRE は、そうしたモダンで冷徹な建築物を現代社会を観察するレンズとして、富の不平等、階級闘争を取り巻く様々な問題を映し出していきます。2017年の “Speak Not of the Laudanum Quandary” で、これまであまり議論されてこなかった歴史の残虐行為に焦点を当てた ASHENSPIRE。しかし、私たちはそれでもまだ学べず、また同じ過ちを犯しているのでしょうか?敵対的な建築物は、今、この瞬間も、リアルタイムで抑圧の甍を叫んでいます。
「資本主義リアリズムとは、労働者階級や疎外されたコミュニティといった社会から恩恵を受けるべき人々の想像力を制限することで、そうやってアメリカはこの不平等な秩序を維持している。
そうやって労働階級や抑圧された者たちが皆、この世界(後期新自由主義資本主義世界)が可能な限り最高の世界だと信じさせられているから、それを変えるために戦うのではなく、単に抑圧に耐えようとし、それを “世の中の流れ” あるいは “あるべき物事のあり方” として受け流し、最終的に彼らを搾取する側に利益をもたらす態度をとってしまうんだ。このような状況から抜け出すのは大変なことだと思う」
ドラマーで、歌い手でもある Alasdair Dunn の言葉には、無慈悲に断罪された者たちの悲愴や無念が漂っています。”Hostile Architecture” の中心には、抉り取られた魂がボロボロに蠢いていて、それぞれが幻滅のマントラを唱えているような感覚に陥ります。”3ヶ月で貧民街に逆戻り”、”偉大なヤツなどいない。多くのモブが偉大なのだ”、”俺たちは仕事のカルト、カルト労働者だ”…ASHENSPIRE はそうした言葉をハンマーのように扱って、アヴァンギャルドなメタルと共にそのメッセージをリスナーの耳へと叩き込みます。
血のコーラスに研ぎ澄まされた詩を織り交ぜ、感情のクレッシェンドを司り、多種多様な楽器の怒りでフラストレーションを切り裂いていきます。つまり、A FOREST OF STARS との比較はある程度的を得ていて、独自のスパイラル、苛烈でありながら振動するアイデンティティを計算された自信で表現しているのです。
「機能的な建築物であると同時に前衛的な表現であるという点で、僕たちの音を象徴するような物質的な建物はそうそうないと思うけど、ニコライ・ラドフスキー(合理主義運動の魅力的な前衛建築家)が1921年に “コレクティブハウス” “集合住宅” のスケッチを描いているんだ。もし僕たちの音楽が建物になるとしたら、あのような感じになるだろうな」
解散した ALTAR OF PLAGUES のスワンソングと同様に、ASHENSPIRE はポスト・メタルを思わせる設計図でカオスの層を積み重ね、催眠術のような効果をもたらします。ただし、ASHENSPIRE の集合住宅では、無骨で冷淡な”工業的な” 雰囲気よりも、ハンマー・ダルシマーやヴァイオリンの有機的振動で反抗世界が彩られ、最も暗い瞬間を美しくも儚く鳴らしています。つまり、”Hostile Architecture” は、後期新自由主義資本主義下において、都市の文脈で制約された様々な構造の階層と抑圧が再び動き出す方法を探る音響作品なのでしょう。
つまり、この作品は、ブルータリズム、ポストモダン、実用主義的な建築構造からインスピレーションを得ていて、産業革命後の都市の至る所で見受けられる本質的に呪術的で、手頃な価格のコスト削減住宅や、ホームレス対策用の手すりやスパイクを通して、コンクリートで固められた矛盾の不協和音に本来の住むとは、生きるとはの問いを投げかけているのです。
今回弊誌では、ASHENSPIRE の首謀者 Alasdair Dunnにインタビューを行うことができました。「僕が書いていた音楽は、他の多くのバンドが喚起するロマンチックなスコットランド観に反するものだとわかっていたからこそ、まず、スコットランドとの関連を明示したかったんだよ。過ぎ去った時代にグラスゴーのスカイラインを支配した煤と煙を吐き出す煙突、次に、それらの煙突の多くを映し出す、またはそこから発展したように見える高層アパート群を参考にしてね」 どうぞ!!