EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAIJIRO OF JYOCHO !!
One Of The Most Talented Guitar Player From Japan, Daijiro Nakagawa With JYOCHO Has Just Released Very Impressing Math-Rock Meets J-Pop Record “A Prayer In Vain” !!
DISC REVIEW “祈りでは届かない距離”
Math-Rock という東洋が主たる発信地の魅力的で、しかし曖昧なジャンルにおいて、宇宙コンビニが果たした役割は非常に大きなものでした。短いキャリアで閃光のように強い輝きを放ったバンドは、時に幾何学的、時に有機的な美しきサウンドスケープに、日本らしいポピュラーミュージックの色合いを添え、ジャンルの曖昧さを逆手に取って Math-Rock の可能性を証明し、世界中から大きな賞賛を浴びたのです。
バンドの解散から一年半。リーダーでギタリストのだいじろー氏が JYOCHO というプロジェクト名でリリースしたデビュー作 “祈りでは届かない距離” は、さらに研ぎ澄まされたそのポップセンス、多様でカラフルな音楽性、高いミュージシャンシップを滑らかに溶け合わせ、今度は自身の可能性を証明したレコードとなりました。
JYOCHO とはすなはち”情緒”。インタビューにもあるように、日本らしい四季のような感情の変化を世界に伝えたいという想いで名付けられた JYOCHO はまさにこのカラフルなレコードを体現しています。
アルバムオープナー、”family” は宇宙コンビニと JYOCHO を繋ぐミッシングリンクのような存在です。クリーンでピュア、しかしテクニカル。宇宙コンビニ時代からだいじろー氏のトレードマークとも言えるマスマティカルなギターフレーズに導かれたリスナーは、流れ来るフルートの美しく雅な響きに驚きを覚えるでしょう。アルバムを通してこのフルートの音色は、JYOCHO の唯一無二の世界観”情緒”を醸し出すことに大いに貢献していますね。
確かにジャジーなリズムパターン、複雑なコンポジション、繊細なギターフレーズは Math-Rock のアイデンティティーを主張しますが、楽曲へと自然に溶け込み寄り添い、ただ深化を促すジグソーパズルのピースとして存在しているようにも思えます。
実際、ポップスの領域へと繋がるような、rionos の中性的でイノセントな歌声、メロディーが JYOCHO, そして “祈りでは届かない距離” を特別な存在にしていることは明らかです。
だいじろー氏が原点だと語る出身地、京都を想いながら作られたであろう “故郷” は、その Post-Rock 的なサウンドスケープを背景に歌い紡がれる rionos の優しく、懐かしく、実にエモーショナルなボーカルが、リスナーの心へフワリフワリと侵入し様々な感情を喚起します。勿論、そこに情緒を感じるファンも多いでしょう。
とは言え、アルバムにはロック的なスリルも当然存在します。”太陽と暮らしてきた” の変拍子、ギターとフルートのユニゾン、そして対位法的インプロヴァイズは実にエキサイティングで JYOCHO という集団のミュージシャンシップの高さを見せつけています。だいじろー氏のギターにより深く耳を傾ければ、タッピング以外にも、ベンドやアルペジオ、ハーモニクスの使用法が卓越していることにも気づくはずです。人生を変えたアルバムを見れば分かる通り、驚異的なアコースティックギタリストから影響を受け、右手の五本指をも自在に操る彼の奏法はロックのフィールドにおいては実に異端で革新です。
こうした JYOCHO の楽器とボーカルの素晴らしいバランス、見事な調和は、rionos の歌声にも相まって、偶然にも、”祈り”を捧げるアーティスト Cocco の名作群 “クムイウタ” や “ラプンツェル” を想起させる瞬間が存在します。確かに世界は “祈りでは届かない距離” で隔てられていますが、それでも私たちは”気づく”必要がありますし、”調和”へと向かうべきでしょう。
今回弊誌では、だいじろー氏にインタビューを行うことが出来ました。読者のみなさまにも”気づいて”いただければ幸いです。どうぞ!!
JYOCHO “祈りでは届かない距離” : 10/10
【INTERVIEW WITH DAIJIRO】
Q1: 日本のみならず、世界的にも大きな注目を集め始めていた宇宙コンビニの解散は非常に残念な出来事でした。今振り返ってみて、だいじろーさんにとって宇宙コンビニとはどういった存在でしたか?
【DAIJIRO】: どういった存在…とても難しいですが、生活の中の一番だったと思います!
皆さんに支えて頂いて、あのような活動ができていたので本当に感謝の気持ちと、少し複雑な気持ちが今でもあります。
どうしようもない事が世の中にはたくさん存在するので、僕はそれにしっかり向き合って、生きていきたいと思うきっかけにもなりました。
Q2: 宇宙コンビニの解散から、今回 JYOCHO を立ちあげるまで1年半ほどの期間がありましたね。その間に、どのような想いで、どのような時間を過ごしていましたか?
【DAIJIRO】: 解散後に、音楽は何らかの形で続けれたらと思っていたのですがやはり明確に活動していこうといった気持ちに至るまで時間がかかりました。
とりあえず環境を変えてみようと思いました。山の近くに引っ越ししたり、ギターを弾かなかったり、音楽を聞かなかったり。
一人で自分を静かに考える時間を持つことによって、自分の今持っている不安や気持ちの変化に向き合うことができました。理由などを突き詰めていくと視界がクリアーになりました。
Q3: 11月には、日本にもマスロックが定着してきた証とも言えるマスフェスに、宇宙コンビニとして以来の出演がありましたね。感想を教えていただけますか?
【DAIJIRO】: とても楽しかったです!たくさんのお客さんが見にきてくれて、本当に嬉しかった。マスロックという括りは未だにしっかり理解できていない自分がいるのですが、日本にもそういった新しい音が定着してきた雰囲気を自分でも感じることができました。
そして出会ったたくさんの方々に素敵な言葉をかけて頂いて、今後のモチベーションに繋がりました。
Q4: ソロプロジェクトを JYOCHO という名前に決めた理由を教えてください。だいじろーさんの音楽に”情緒”は溢れていますし、やっぱり京都という場所を想起しますが?
【DAIJIRO】: 僕の原点である京都にもかなり影響を受けていると思います!しかし一番は今まで生きてきた中での自分のぴったりなツボですね。それが”情緒”です。
音楽を聞いた時に美しいと感じる、寂しいと感じるなどの心を揺さぶられる瞬間を自分の中で考え抜いた結果が、情緒につながっていると思います。そのめまぐるしく移りゆくような感情の感覚って海外でも理解してもらえると思ったんです。また、それを広めたいと思いJYOCHOにしました!
Q5: JYOCHO のデビュー作が “祈りでは届かない距離” というタイトルでリリースされました。この言葉は、”太陽と暮らしてきた”にも登場するキーワードとなっていますね。
“祈りでは届かない距離” という言葉が象徴するように、作品には社会や日本にたいするどうしようもない絶望、悲観から始まって、それでも前向きに生きていこうというメッセージが込められているように感じました。だいじろーさんが作品に込めた想いを教えてください。
【DAIJIRO】: 他のインタビューでたくさん答えたので、今回は裏テーマを答えようと思います。今作、僕が今まで書いてきた楽曲の続きの話です。
これまで自分が失敗と成功の積み重ねの毎日で生きて、同時にたくさんの出会いの中で貴重な経験をさせていただくこともありました。
楽曲を書くということは、自分を成長させ、同時に自分の未熟さを突きつけられる機会であると最近とても感じます。
楽曲のテーマが決まったり、これを題材にしたいというものが出て来ると、徹底的にそれに関してクリアなソースを探し出し、調べることをするのですが今作も新たな出会いがたくさんありました。
今までは二元的な世界の話でしたが、今回はさらに深く、そもそもどうして二つに自分で分けるのか、分かれているのか、というお話です。
その原因を作っているのは自分自身で、でもその感覚は誰かに生きていくうちに勝手に指定されたものだということに自分も気付かなければならないと感じています。 気付きと調和がテーマです!
Q6: rionos さんの声は、宇宙コンビニのえみちょこさんと似た部分もありますが、より中性的というか、イノセントな雰囲気を感じます。このあたりも作品のコンセプトと通じるような気がしますが、今回彼女を起用した理由、併せてだいじろーさんが女性ボーカルに拘る訳を教えていただけますか?
【DAIJIRO】: 質感が好みなんです、少年っぽい声で。僕の歌詞は疑問を発するので、そのイメージにぴったりでした!
女性に拘っているということは特にないのですが、現状自分の音楽に合っていると感じています。もし今後男性で良い出会いがあればJYOCHOが男性ボーカルになる可能性もかなりあると思います。
Q7: アルバムは、フルートが重要な役割を果たしていますし、アコースティックギター、ピアノ、波音など非常にオーガニックな感覚を大事にされているように感じました。音楽的に、JYOCHO は宇宙コンビニの続きと言えますか?それとも全く新しい領域なのでしょうか?
【DAIJIRO】: 両方ですね。宇宙コンビニも含めて、僕が今までやってきた音楽全ての続きだし、同時に新たな側面も出せてると思います。
ですので答えは、”意識していない”です!
Q8: 勿論、だいじろーさんのギタープレイは革新的でテクニカルですが、必ず楽曲に寄り添っているように思います。だいじろーさんが今回、ギターをプレイする時に拘ったことを話していただけますか? また、マスロックのイメージをある程度は頭に置いて作曲されているのでしょうか?
【DAIJIRO】: マスロックのイメージは頭に入れて作曲してないです、しかし影響は必ず存在していると思います。ですので例えば楽曲を作る際に、拍子や展開などをあらかじめイメージして作るようなアプローチではないんですね。楽曲の抽象的な全体像に一つずつピースをはめていく感じです。
楽曲に寄り添っていると感じてくださったのはとても嬉しいです、コード感などは特に意識しています。複雑なアルペジオやタッピングを使用した時もコードやそれの連なる流れが綺麗だと、良い化学反応が起きます。自分ではそれが心地よさに繋がっていると理解しています。
【FIVE ALBUMS】
FIVE ALBUMS THAT CHANGED DAIJIRO’S LIFE!!
OWLS “OWLS”
TIPOGRAPHICA “THE MAN WHO DOES NOT NOD”
PIERRE BENSUSAN “WU WEI”
TERA MELOS “DRUGS / COMPLEX”
岸辺眞明 “BLOOM”
【MESSAGE FOR JAPAN】
JYOCHOは自由な存在です。聞きたい時、あなたが必要な時に聞いてください。
記事がきっかけで素敵な出会いが増えることを楽しみにしています!!
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