NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WITHOUT WAVES : COMEDIAN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ZAC LOMBARDI OF WITHOUT WAVES !!

“The Record Often Deals With Themes Such As Duality, Perspective, And Intent And We Feel That This Scene Represents That Perfectly. What Appears To Be An Act Of Violence Is In Fact An Act Of Nourishment.”

DISC REVIEW “COMEDIAN”

「少なくとも僕たちにとっては、まさしくプログとは “なんでもできる” ものなんだ。このバンドを始めたのは、自分たちが正しいと思うことを何でもできるようにするためだったからね。もし本当に良いアイデアであれば、どんな音楽であれ、僕たちはそれを認めるべきなんだ」
シカゴの雑踏で生まれた WITHOUT WAVES は、”Cometian” でその雑多な音の葉にさらなる激しさを加え、すでに圧巻だった音楽に感情的な重みを加えています。ここ数年、彼らはプログ・メタルの領域でゆっくりと、しかし確実にその存在感を増してきました。
前作 “Lunar” で、バンドはプログレッシブな要素とマスコア、オルタナティブ、メタルを組み合わせた幅広い才能を発揮。そして今、3枚目のフルアルバム “Comedian” で彼らは、そんなプログレッシブな調和に波音を立てることなく、それでもアグレッシブな海溝を探索していくのです。
「このレコードは、二元性、視点、意図といったテーマを主に扱っているんだけど、このシーンはそれを完璧に表現していると感じているよ。暴力行為に見えるものが、実は栄養をつけてあげるのための行為 (突いて流血させたのではなく、雛を育てるフラミンゴ・ミルクが流れているだけ) であるんだからね」
誰もが “Comedian” のアートワークには衝撃を受けるはずです。雛に餌を与えているフラミンゴが、他の鳥に突かれて血を流しているように見えるのですから。しかし、一見理不尽な暴力に見えるこの光景は、雛を養うためのフラミンゴ・ミルクを流している一場面でした。つまり、このアートワーク自体が、バンドがアルバムで追求する情報化社会の恐怖、二面性を代弁して、さらには激しいマスコアの暴力と、繊細美麗なプログが共存するレコードの音楽までも暗示しているのです。 アルバムの楽曲には不安の糸が通されていて、情報の選別、恐怖、闇に対する無数の感情的反応がその周辺を包んでいます。
「僕たちは現代社会の闇を純粋にシニカルな意味ではなく、むしろ受け入れるという意味で言っているんだよ。人生にはニュアンスがあって、葛藤の中にも美しさがあるものだ。それを含めて笑い飛ばせることが大切だと思うんだよね。特に自分自身のことは」
このアルバムでは時に難しいトピックが扱われていますが、彼らは悲劇にはしばしばユーモアが住むことを認めており、コメディは難しい真実を和らげ、より簡単に解釈し処理することができると信じています。例えば、アカデミー賞でコメディアンと俳優が起こしたイザコザも、むしろ私たちがコメディアンとなって受け取るだけで随分と空気が変わるのかもしれません。つまり、”Comedian” という作品は本質的に、悩みを和らげるためにユーモアやアートを使うことの重要性を掘り下げているのです。
故に、”Comedian” はカオスと調和の中間に位置する、巧みなバランスを披露します。前半では、印象的なテクニックと精巧なソングライティングを披露し、魅惑のプログ・メタルと無慈悲なマスコアをシームレスに融合。”Good Grief” や “Animal Kingdom” は THE DILLINGER ESCAPE PLAN や MESHUGGAH のような重音の数学を教えつつ、DEFTONES や Devin Townsend の崇高で余韻と息つく間を与えダイナミズムを創成。
後半はメロディックな側面が顕著となるものの、”Do What Scares You” や “Sleight in Shadows” にはダークで攻撃的な瞬間がいくつも組み込まれており、そのスリルと青々とした美しさが絶妙に対比の美学を形作ります。そして、静けさと混沌、浮遊するアンビエンスと威圧が交差する”Worlds Apart” と “Seven” は完璧なクローザー。
そうして彼らは、プログレッシブというラベルを超越的に解釈し、前述のバンド以外にも、GOJIRA, MASTODON, PORCUPINE TREE といった “フォワード・シンキング” なバンドのファンのコレクションに心地よく収まるようなレコードを作り上げました。プログレッシブとヘヴィネスに対する彼らのダイナミックで実験的な試みは、刺激的で示唆に富み、型にはまることはありません。まさに足し算のファンタジスタ。
今回弊誌では、要のギタリスト Zac Lombardi にインタビューを行うことができました。「好きなゲームは “メタルギア・ソリッド”, “ゼルダの伝説 Bless of the Wild”, “天誅 ステルス・アサシン” だね。あとは、MELT BANANA も大好きなんだ」 どうぞ!!

WITHOUT WAVES “COMEDIAN : 9.9/10

INTERVIEW WITH ZAC LOMBARDI

Q1: This is the first Interview with you. So, at first, could you tell us about yourself and the band? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【ZAC】: We’re from Chicago and have been friends and bandmates for a very long time. I didn’t really get into music until high school. I was very into skateboarding but once I was introduced to Metallica….

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【ZAC】: 僕たちはシカゴ出身で、とても長い間の友人でありバンド仲間なんだ。音楽にのめり込んだのは高校生の頃だったね。スケートボードに夢中だったけど、一度メタリカを紹介されたらもう…。

Q2: How did the band come to be? What’s the meaning behind your band name, Without Waves?

【ZAC】: We started without waves about twelve years ago but have been playing together in one form or another for roughly twenty years now. The name is probably our way of expressing an analog for nothingness, silence, zero.

Q2: WITHOUT WAVES というバンド名にはどんな意味が込められているのですか?

【ZAC】: WITHOUT WAVES という名前を使い始めたのは12年ほど前だけど、メンバーはもう20年ぐらい、何らかの形で一緒に演奏しているね。
この名前はおそらく、無、沈黙、ゼロの類似形を表現する僕たちなりの方法だった。

Q3: You came to Japan a few years ago and enjoyed the guitar stores in Shibuya and the Nakatsu Onsen, haha. Are you influenced by Japanese culture, like anime, games, and music?

【ZAC】: I definitely have been with video games and probably somewhat indirectly due to the huge impact of Kurosawa. My favorite games of all time are Metal Gear Solid, botw, and tenchu stealth assassins. I also love Melt Banana.

Q3: あなたは何年か前に日本に来て、渋谷の楽器屋や中津温泉を楽しんだそうですが、日本の文化に惹かれているのでしょうか?

【ZAC】: 僕は間違いなく、日本のビデオゲームを人生友としてきたんだよ。それはおそらく、間接的に黒澤明の大きな影響も受けているってことだよね。
好きなゲームは “メタルギア・ソリッド”, “ゼルダの伝説 Bless of the Wild”, “天誅 ステルスアサシン” だね。あとは、MELT BANANA も大好きなんだ。

Q4: The artwork for “Comedian” was stunning. It looks like a bird feeding its chicks is being pecked by a bird and bleeding. Why did you choose this scene for the artwork?

【ZAC】: The record often deals with themes such as duality, perspective, and intent and we feel that this scene represents that perfectly. What appears to be an act of violence is in fact an act of nourishment.

Q4: それにしても、”Comedian” のアートワークは衝撃的ですね。
雛に餌を与えている鳥が、他の鳥に突かれて血を流しているように見えます。

【ZAC】: このレコードは、二元性、視点、意図といったテーマを主に扱っているんだけど、このシーンはそれを完璧に表現していると感じているよ。
暴力行為に見えるものが、実は栄養をつけてあげるのための行為 (突いて流血させたのではなく、雛を育てるフラミンゴ・ミルクが流れているだけ) であるんだからね。

Q5: For example, sometimes criticism can be made more satirical or less venomous by mixing in humor, right? Wasn’t the title of your album “Comedian” also key to your comical depiction of the darkness of modern society?

【ZAC】: Ha! It certainly is. We don’t mean this in a purely cynical way but more so acceptance. Life is nuanced and there is beauty in the struggle. I think it’s important to be able to laugh at it all, especially one self.

Q5: “コメディアン” というタイトルも興味深いですね。例えば、時に批判はユーモアを交えることでより風刺的に、毒の薄まったものへと変わります。
つまり、この作品は現代の闇をコミカルに風刺する意図があったと思えるのです。

【ZAC】: 確かにそうだよね。ただ、僕たちは現代社会の闇を純粋にシニカルな意味ではなく、むしろ受け入れるという意味で言っているんだよ。
人生にはニュアンスがあって、葛藤の中にも美しさがあるものだ。それを含めて笑い飛ばせることが大切だと思うんだよね。特に自分自身のことは。

Q6: Speaking of humor, “Comedian” is more challenging and experimental than “Lunar,” and has more humor than the typical “prog”, and that’s why it becomes really incredible, would you agree?

【ZAC】: Oh wow, thank you. I would say that we really tried to be as honest as possible on this record and hope that people connect with it.

Q6: ユーモアといえば、”Comedian” は前作 “Lunar” に比べてより挑戦的で実験的、典型的な “プログ” よりも “ユーモア” が効いていますよね?

【ZAC】: わあ、ありがとう!まちがいなく言えるのは、僕たちはこのレコードでできる限り正直になろうとしたし、みんながその正直さとつながってくれることを望むってことかな。

Q7: Perhaps the album was written with the pandemic and was strangely destined to be released at the beginning of the war, but what impact has that harsh situation had on you?

【ZAC】: We were fortunate in that we were already near the end of the actual recording process when the pandemic hit. It did delay everything from that point forward though. Personally I was very lucky with the pandemic. One thing it did do was force me to realize how lucky I am to be in this band. The lockdown in Chicago was the longest break from playing together since we started as teenagers. It’s just something we’ve always done and being away from it during that time was very unsettling.

Q7: パンデミックの最中に制作され、戦争の始まりにリリースされるレコードとなりましたね。

【ZAC】: 幸運なことに、パンデミックが発生したとき、僕たちはすでにレコーディング・プロセスの終わりに近づいていたんだ。まあだけど、その時点からすべてが遅れてしまったよね。
個人的には、このパンデミックはとてもラッキーだったと感じる。ひとつは、このバンドにいることがいかに幸運であるかを、改めて噛みしめることができた。シカゴでのロックダウンにより、僕らが10代で始めたときから、一緒に演奏するのを一番長く休むことになった。いつもやっていることなのに、バンドの演奏から離れるのはとても不安なことだったよ。

Q8: What’s great about you guys is that you mix everything equally, whether it’s metal like Devin Townsend or Opeth, mathcore like The Dillinger Escape Plan, or alternative like Faith No More, and you establish your own personality! I take it that your word “prog” means “anything goes”, right?

【ZAC】: It does for us at least. The whole point of starting this band was to be able to do whatever we felt was right. If an idea is truly good, then we should all be able to recognize it as such. So, with this understanding we have found ourselves in unexpected situations.

Q8: あなたたちが素晴らしいのは、THE DILLINGER ESCAPE PLAN のようなマスコアも、Devin Townsend のようなプログ・メタルも、FAITH NO MORE や DEFTONES のようなオルタナティブも等しく抱きしめているとろこですよ。
あなたにとってプログとは、”なんでもできる” と同義語のようですね?

【ZAC】: 少なくとも僕たちにとっては、まさしくプログとはなんでもできるものなんだ。このバンドを始めたのは、自分たちが正しいと思うことを何でもできるようにするためだったからね。もし本当に良いアイデアであれば、どんな音楽であれ、僕たちはそれを認めるべきなんだ。
そういう相互理解が前提となった上で、僕たちは予期せぬ音楽的な事態に遭遇しているんだよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED ZAC’S LIFE

THE DILLINGER ESCAPE PLAN “IRONY IS A DEAD SCENE”

CYNIC “FOCUS”

KING CRIMSON “DISCIPLIN”

PINK FLOYD “DARK SIDE OF THE MOON”

SLEEPYTIME GORILLA MUSEUM “OF NATURAL HISTORY”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you for everything! Kanpai!

ZAC LOMBARDI

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