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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE CHRONICLES OF THE FATHER ROBIN : THE SONGS & TALES OF AIROEA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREAS WETTERGREEN OF THE CHRONICLES OF FATHER ROBIN !!

“We Think It’s Sad If Someone Wants To Live And Express Themselves Only Through «New Formulas» And Dogmatic Only Seek To Do Something That No One Has Done Before. Then You Forget History And The Evolution Of Things, Which In Our Opinion Is At The Core Of Human Existence.”

DISC REVIEW “THE SONGS & TALES OF AIROEA – BOOK Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ

「最初は若いワインのように最初は有望で実り豊かなバンドだったけど、やがて複雑さを増し、私たち集団の心の奥底にある濁った深みで数年間熟成され、エレジオンの森のオーク樽で熟成されたとき、ついにそのポテンシャルを完全に発揮することになったのさ」
アルバムの制作に長い時間をかけるバンドは少なくありませんが、それでも30年を超える月日を作品に費やすアーティストはほとんど前代未聞でしょう。ノルウェー・プログの粋を集めた THE CHRONICLES OF FATHER ROBIN は、ロビン神父の数奇なる物語に自分たちの人生や経験を重ね合わせ、四半世紀以上かけてついに壮大な3部作を完成させました。
「90年代に親が着ていた70年代の古着に身を包み、髪を伸ばし、1967年から1977年の音楽ばかりを聴いていたんだ。当時のポップ・ミュージックやポップ・カルチャー・シーンにはとても否定的で、RUSH や YES, そして DOORS の音楽は、例えば RED HOT CHILLI PEPPERS や RAGE AGAINST THE MACHINE, NEW KIDS ON THE BLOCK など他のバンドが聴いている音楽よりもずっと聴き応えがあると、パーティーで長い間議論していたほどでね。私たちは、自分たちが他人よりより高い位置にいると確信し、できるだけ多くの “失われた魂” を救おうとしていたんだ。だけどそれからしばらくして、私たちは他人がどう思うかとか、彼らが何に夢中になっているかということに疲れ、ただ自分たちの興味と、ミュージシャンとして、バンドとしての成長にエネルギーを集中させていくことにした」
70年代が終焉を告げて以来、プログレッシブ・ロックはつねに大衆から切り離された場所にありました。だからこそ、プログの世界に立ち入りし者たちはある種の特権意識に目覚め、あまつさえ大衆の啓蒙を望む者まで存在します。90年代のカルチャーに馴染めなかった TCOFR のメンバーたちも当初はカウンター・カルチャーとしてのプログに惹かれていましたが、しかしワインのように熟成され、長い年月を重ねるにつれて、ただ自分たちが夢中になれる音楽を創造する “道” へと進んでいきました。
3部作のコンセプト最初の芽は、民話、神話、幻想文学、サイケデリア、冒険的な音楽に共通の興味を持つ10代の仲間から生まれ、最新の発見を紹介し合ううち、徐々にノルウェーの仲間たちは独自の糸を紡ぎ、パッチワークやレンガのように新たな色彩や経験を積み重ねるようになりました。それは30年もの長きにわたる壮大なブレイン・ストーミング。
「確かに、私たちはプログ・ロックの穴を深く這いずり回ってきたけど、クラシック・ロック、フォーク・ロック、サイケ、ジャズ、クラシック音楽、エスニック、ボサノヴァ、アンビエント・エレクトロニック・ミュージックなどを聴くのをやめたことはない。たとえ自分たちが地球上で最後の人間になったとしても、こうした音楽を演奏するだろう。私たちは、お金や “大衆” からの評価のために音楽をやったことはない。もちろん、レコードをリリースして夢を実現できるだけのお金を稼ぎたいとは思っているけど、どんなジャンルに属するものであれ、音楽を通じて自分たちの考えや感情を顕在化させることが最も重要であり、これからもそうあり続けるだろう。そしてそれこそが、極めてプログレッシブなことだと私たちは考えているんだ」
WOBBLER, WHITE WILLOW, Tusmørke, Jordsjø, IN LINGUA MORTUA, SAMUEL JACKSON 5など、ノルウェーの実験的でプログレッシブなバンドのアーティストが一堂に会した TCOFR は、しかしプログレッシブ・ロックの真髄をその複雑さや華麗なファンタジーではなく、個性や感情を顕在化させることだと言い切ります。
とはいえ、プログの歴史が積み重ねたステレオタイプやクリシェを否定しているわけではありません。学問もアートもすべては積み重ねから生まれるもの。彼らは先人たちが残したプログの書を読み漁り、学び、身につけてそこからさらに自分たちの “クロニクル” を書き加えようとしているのです。
表現力豊かな和声のカデンツ、絶え間なく変化するキーボードの華やかさ、ジャンキーなテンポ、蛇行するギター・セクションの間で、TCOFR の音楽は常に注意力を翻弄し、ドーパミンの過剰分泌を促します。ここにある TCOFR の狂気はまちがいなく、ノルウェーにおける温故知新のプログ・ルネサンスの成果であり、大衆やトレンドから遠すぎる場所にあるがゆえに、大衆やトレンドを巻き込むことを期待させるアートの要塞であり蔵から発掘された奇跡の古酒なのです。
今回弊誌では、WOBBLER でも活躍する Andreas Wettergreen にインタビューを行うことができました。「芸術の発展は、決して1969年の “In The Court of the Crimson King” やバッハのミサ曲ロ短調から始まったわけではない。芸術と芸術を通した人間の表現力は非常に長い間続いており、それは何世紀にもわたって展開し続けている。イタリアの作曲家カルロス・ゲスアルドは、16世紀に複雑で半音階的な難解な合唱作品を作ったが、一方で今日作られるもっとシンプルな合唱作品も美しく興味深いものである。両者は共存し、決して競い合うものではない。
心に響くなら、それはとても良いスタートだ。それが知性も捉えるものであれば、なおさらだ。音楽と芸術はシステムの問題ではなく、感情と気持ちの問題なんだよ。最も重要なことは、良い音楽に限界はないということだ」 ANEKDOTEN, ANGLAGARD に追いつけ、追い越せ。どうぞ!!

THE CHRONICLES OF FATHER ROBIN “THE SONGS AND TALES OF AIROEA” : 10/10

INTERVIEW WITH ANDREAS WETTERGREEN

Q1: Amazingly, The Chronicles of Father Robin was formed in 1993, right? Are you saying that this project has aged over the past 30 years, as if it were a vintage wine?

【ANDREAS】: – It has indeed! When we started out we were teenagers filled to the brim with dreams, hopes and sky high ambitions. Compared to our more «normal» classmates we were in a way considered to be freaks and weirdos. We dressed up in our parents old clothes from the 70’s, grew our hair and listened almost exclusively to music from 1967-1977. We were very much in opposition to the pop music/pop culture scene of the day, (apart from skateboarding and roleplaying games…), and we had long discussions on parties were we argued that the music of Rush, Yes and even The Doors was a much more rewarding listening experience than for instance Red Hot Chilipeppers, Rage Against the Machine, NKOTB or what other bands people was listening to. We were convinced that we held the higher ground and tried to salvage as many «lost souls» as possible. After a while we tired of the whole thing of what other people might think or what they were into, and we just concentrated our energy on our own interests and development as musicians and as a band.
As we made more and more songs, the concept and the story chiseled itself out and we understood that the songs were all connected within a greater idea. We developed a creative principle that was as follows; Many of the things that happened to us in «real life» translated to what happened to Father Robin in the story, and the members of the band combined was the character Father Robin. Over the years this has resulted in a story where TCOFR as a collective have contributed greatly. So we’ve had a lot of conversations and discussions to see where different things would fit in… This is probably some of the explanation to why it took us 30 years to complete it all, and why the concept is so comprehensive and solid as a whole.
So, like a young wine TCOFR was promising and fruitful at first, then it developed its complexity and when it had been matured for several years in the murky depths of our collective mind, on oak casks from Eleision Forest, it finally reached its full potential.

Q1: 驚いたことに、The Chronicles of Father Robin は1993年に結成されたんですよね?まるでヴィンテージ・ワインのように、このプロジェクトはこの30年間で熟成され、ついに音源がリリースされたということですか?

【ANDREAS】: その通りだよ!結成当時、私たちは夢と希望と高い野心に満ち溢れたティーン・エイジャーだった。普通の同級生と比べると、私たちはある意味、かわっていて変人だと思われていたね。90年代に親が着ていた70年代の古着に身を包み、髪を伸ばし、1967年から1977年の音楽ばかりを聴いていたんだ。当時のポップ・ミュージックやポップ・カルチャー・シーンには(スケートボードやロールプレイング・ゲームは別として…)とても否定的で、RUSH や YES, そして DOORS の音楽は、例えば RED HOT CHILLI PEPPERS や RAGE AGAINST THE MACHINE, NEW KIDS ON THE BLOCK など他のバンドが聴いている音楽よりもずっと聴き応えがあると、パーティーで長い間議論していたほどでね。
私たちは、自分たちが他人よりより高い位置にいると確信し、できるだけ多くの “失われた魂” を救おうとしていたんだ。だけどそれからしばらくして、私たちは他人がどう思うかとか、彼らが何に夢中になっているかということに疲れ、ただ自分たちの興味と、ミュージシャンとして、バンドとしての成長にエネルギーを集中させていくことにした。
すると曲を作っていくうちに、コンセプトやストーリーが見えてきて、曲はすべて大きなアイデアの中でつながっていることがわかったんだ。”現実の生活” で私たちに起こったことの多くが、物語の中でロビン神父に起こったことに置き換わり、バンドのメンバーがロビン神父というキャラクターと同化していった。そうして何年にもわたって、TCOFR という集団が大きく貢献した物語が完成したんだ。様々なものがどこに収まるのか、多くの会話や議論を重ねてきたよ…これが、なぜ私たちがすべてを完成させるのに30年もかかったのか、そしてなぜ全体としてこれほど包括的で強固なコンセプトになっているのかの説明の一部となるだろうね。
つまり、TCOFR は若いワインのように最初は有望で実り豊かなバンドだったけど、やがて複雑さを増し、私たち集団の心の奥底にある濁った深みで数年間熟成され、エレジオンの森のオーク樽で熟成されたとき、ついにそのポテンシャルを完全に発揮することになったのさ。

Q2: TCOFR is made up of members such as Wobbler, Tusmørke, Samuel Jackson 5, White Willow, Jordsjø, and others who represent the experimental Norwegian music scene, not only in prog but also in post rock and folk. How did they join?

【ANDREAS】: Thomas Kaldhol comes from Samuel Jackson 5 which is a post rock band, but he is first and foremost a long time friend. He’s been a member since 2008, so it’s his 16 years anniversary this year! Thomas came on board just before our second trip to the recording studio in Jæren on the west coast of Norway, where we recorded the trilogy, «The Songs & Tales of Airoea – Book I-III».
Kristoffer Momrak is a founding member of Tusmørke and is another longstanding friend with whom Andreas played with in the «protoprog» band Les Fleurs du Mal. They also went to the same children’s school and did in fact play their first concert ever together at christian youth club in 1987. They played «Paranoid» by Black Sabbath. Kristoffer now also plays a lot with his solo project, Alwanzatar, which is an ambient electronic act with flute, vocals and lots of analog synths.
Aleksandra Morozova joined in 2018 and she is a folk singer from St. Petersburg who now lives in Norway. She is a very active musician playing in lots of different bands across the music spectrum, including the Oslo Philharmonic Choir.
Martin NorDrum Kneppen has played in Wobbler since the bands conception in 1999, and he has also been a member of Tusmørke for many years as well as many other bands on the Oslo scene of alternative music. When Andreas joined Wobbler in 2009 they became good friends and they’ve done a lot together in the last ten years. So it was only natural that Martin took over the drumsticks from original drummer, Henrik Harmer, when he had to step down because of illness.
Håkon Oftung of the brilliant progfolk band Jordsjø became the last piece of the puzzle in 2020. He’s a multiinstrumentalist best known for his guitar work in Jordsjø, but he has also played keyboards in Tusmørke and the occasional flute with Wobbler.
Lars Fredrik Frøislie of Wobbler, White Willow and In Lingua Mortua has also contributed on the studio albums, but has not yet been a part of the live version of the band.

Q2: TCOFR は、Wobbler、Tusmørke、Samuel Jackson 5、White Willow、Jordsjø など、プログだけでなくポストロックやフォークなど、実験的なノルウェーの音楽シーンを代表するメンバーで構成されていますね?

【ANDREAS】: Thomas Kaldhol はポストロック・バンド SAMUEL JACKSON 5 出身だけど、何よりもまず長年の友人だ。彼は2008年からのメンバーだから、今年で16周年になるね!Thomas は、ノルウェー西海岸のイェーレンにあるレコーディング・スタジオで3部作 “The Songs & Tales of Airoea – Book I-III” をレコーディングする中で、2度目の旅の直前に加入したんだ。
Kristoffer Momrak は Tusmørke の創立メンバーであり、Andreas が “プロト・プログ” バンドLes Fleurs du Mal で一緒に演奏していたもう一人の長年の友人でもある。同じ小学校に通い、1987年にクリスチャン・ユース・クラブで初めて一緒にコンサートを開いた仲だよ。BLACK SABBATH の “Paranoid” を演奏したんだ。Kristopher は現在、フルート、ヴォーカル、アナログ・シンセを多用したアンビエント・エレクトロニック・アクトであるソロ・プロジェクト Alwanzatar でも演奏している。
2018年に加入した Aleksandra Morozova は、サンクトペテルブルク出身で現在はノルウェー在住のフォークシンガーだ。彼女はオスロ・フィルハーモニック合唱団をはじめ、音楽全般にわたって様々なバンドで演奏する非常にアクティブなミュージシャンでもある。
Martin NorDrum Kneppen は、1999年のバンド結成以来、WOBBLER で演奏していて、またTusmørke のメンバーとしても長年活動している。2009年に Andreas が WOBBLER に加入したとき、2人は良い友人となり、この10年間で多くのことを一緒にやってきた。だから、オリジナル・ドラマーの Henrik Hammer が病気のため脱退することになったとき、Martin がドラムスティックを引き継いだのは当然のことだった。
そして2020年、素晴らしいプログ・フォーク・バンド、Jordsjø の Håkon Oftung が最後のピースとなった。彼は Jordsjø でのギター・ワークで最もよく知られるマルチ・インストゥルメンタリストだが、Tusmørke ではキーボードを、WOBBLER では時折フルートを演奏している。
WOBBLER, WHITE WILLOW, IN LINGUA MORTUA の Lars Fredrik Frøislie もスタジオ・アルバムに参加しているが、ライブ・バージョンにはまだ参加していないね。

Q3: So the story of Father Robin was almost a blueprint 30 years ago? Does it also reflect your lives over the past 30 years?

【ANDREAS】: – The story of Father Robin is one that has been writing itself for over 30 years. And it still is. From the start where Father Robin is washed upon the shores of the Eleision Forest, to his disillusioned wanderings in the Twilight Fields, his sanctuary in the cloud meadows, the meeting of the Elders in the underwater city of Oriasaleah or the visit to the palace of the Empress of the Sun – he has always been on the move forward further into his life experience.
This concept has really developed itself according to the quote «the path is the goal» or the japanese suffix «dō». Being a part of TCOFR has become a sort of practice, in which every member contributes to the greater whole.
During the last 30 years our lives has changed a lot compared to when we were teenagers. Parents have died, our children born and the everyday life as a grown up is an integrated part of our existence. But even if it is so, our next album will not be about paying bills or keeping up with the «society machine». The issues and thematics that we try to mirror into the concept are more of a psychological character, more about changes within the self and the soul.
Also, we don’t know when it will end, maybe we will do this for the rest of our lives? As long as we have inspiration that guides us and stories that we’d like to tell, we think it will reflect our life experience long into our old age.

Q3: ロビン神父のストーリーは、30年前に青写真が描かれ、この30年間のあなた方の人生も反映されているということですね?

【ANDREAS】: – ロビン神父の物語は、30年以上にわたって書き継がれてきたものだ。そしてそれは今も続いている。ロビン神父がエレジョンの森の岸辺に流れ着いたところから始まり、トワイライト・フィールドでの幻滅した放浪、雲の草原での聖域、海底都市オリアサレアでの長老たちとの出会い、あるいは太陽の女帝の宮殿への訪問まで、彼は常に自分の人生経験を前進させてきた。
このコンセプトは、”道とはゴールである “という言葉や、”道” “ドウ” という日本語の接尾辞に従って発展してきた。TCOFR の一員であることは、メンバー全員がより大きなアートに貢献するための一種の実践となっている。
この30年間で、私たちの生活は10代の頃とは大きく変わったよ。親が亡くなり、子供が生まれ、大人になった私たちの日常は、存在の一部として統合されている。しかし、たとえそうだとしても、私たちの次のアルバムは、請求書の支払いや “社会のネジ” になることをテーマにしたものではないだろう。私たちがコンセプトに反映させようとしている問題やテーマは、より心理学的な性格のものであり、自己や魂の変化に関するものだから。
いつ終わるかわからないし、もしかしたら一生続けることになるかもしれない。私たちを導いてくれるインスピレーションや、語りたい物語がある限り、それは老後までずっと私たちの人生経験を反映するものだと考えているよ 。

Q4: I am so glad that in this day and age there is a band that puts out a trilogy, and a great piece of music at that! Now, can you give us a brief synopsis of this epic story of Airoea?

【ANDREAS】: – We’re so glad and grateful that someone recognizes this, in this day and age! The main outline of the concept was carved out during the first couple of years when we made the songs «Eleision Forest» and «Twilight Fields». They are like twins, but one is light and full of life whilst the other is its dark opposite.
From this base we created our protagonist, Father Robin/Robiin/The Dark Green Elder of the Council of What to Do?, and the story of his travels in the world of Airoea. From a start where he knows almost nothing, like a tabula rasa or a child so to speak, he must discover both himself and the world.
His journey is one filled with challenges, perils, mystery and wonder and takes him through different manifestations of the world – into the deep forests and barren fields of the land continent, down into the deep of the Sea of Ayrouhr and up to the cloud lands. Our aim has been to convey the different elements and geographic places, as well as Robins feelings, in the «vibe» of the music. So Book I is more folky, organic and earthed, Book II flows more like water and is more dreamy while Book III is airy, light and playful.

Q4: 今の時代に壮大な3部作、それも素晴らしい作品を世に送り出しているバンドがあることをとても嬉しく思います!
では、このアイロアの壮大な物語のあらすじを簡単に教えていただけますか?

【ANDREAS】: 私もこの時代に、誰かがこの作品を認めてくれたことをとても嬉しく、感謝しているよ!コンセプトの大枠は、”Eleision Forest” と “Twilight Fields” という曲を作った最初の2、3年の間に描き出されていった。この2曲は双子のようなもので、一方は明るく生命力にあふれ、もう一方はその正反対の暗さを持つね。
このベースから、私たちは主人公であるロビン神父/ロビイン/評議会の深緑の長老と、彼がアイロアの世界を旅する物語を作り上げた。ほとんど何も知らない、いわばタブラ・ラサか子供のようなスタートから、彼は自分自身と世界を発見しなければならないんだ。
彼の旅は、挑戦、危険、謎、驚きに満ちたものであり、陸の大陸の深い森や不毛の野原、アイロアの海の深み、雲の国など、世界のさまざまな姿を渡り歩く。私たちの目標は、さまざまな要素や地理的な場所、そしてロビンズの感情を音楽の “雰囲気” で伝えることだ。そのため、”Book I” はよりフォーキーで、有機的で、土に覆われ、”Book II” はより水のように流れ、よりドリーミーで、”Book III” は風通しがよく、軽快で、遊び心にあふれている。

Q5: The music world has changed dramatically over the past 30 years. With the rise of instant culture like streaming and social networking, prog rock, which takes time, intelligence, and practice to create, has never been more current. Why do you still continue to play this “Prog” music?

【ANDREAS】: – We started this journey as outcasts compared to our peers and were very much «out of fashion» in terms what music other bands played. But this position made it easier to recognize the bands who were a little bit in the same vein as us, so to speak. For instance we played a show with White Willow in 1996 or something, and we cooperated with many others who were a little bit off the beaten track. Also, we’ve never been very focused on being «proggier than your grandmas proggiest wooden mechanical leg», we just created and played the music that made us tick. For sure, we’ve crawled deep down the prog rock rabbit hole, but we never stopped listening to classic rock, folk rock, psych, jazz, classical music, ethnic, bossa nova, ambient electronic music etc.
We would play this music even if we were the last people on earth. We’ve never done it for the money or the recognition of «the masses». Of course we’d like to make enough money to release records and fulfill our dreams, but to manifest our thoughts and feelings through music no matter what genre it fits into, has been paramount and will continue to be so.
And that is quite proggy, in our view.

Q5: 音楽の世界はこの30年で劇的に変化しました。ストリーミングや SNS のようなインスタント・カルチャーの台頭により、創作に時間と知性と練習を要するプログ・ロックは完全に時代の流れと逆行しているようです。
それでも、なぜあなたは今でもこの “プログ” 音楽を演奏し続けているのですか?

【ANDREAS】: – 私たちは同世代のバンドと比べてのけ者としてこの旅を始め、演奏する音楽という点では他と比べてとても “流行遅れ” だった。でも、このポジションのおかげで、いわば僕らと少し同じ系統のバンドを認識しやすくなった。
例えば、1996年くらいに WHITE WILLOW と一緒にライブをやったし、他のちょっと流行から外れたバンドともたくさん共演した。でも、私たちは “おばあちゃんのプログレッシブな木製の機械仕掛けの足よりもプログレッシブであること” にこだわったことはなく、ただ自分たちの心をくすぐる音楽を作り、演奏してきた。確かに、私たちはプログ・ロックの穴を深く這いずり回ってきたけど、クラシック・ロック、フォーク・ロック、サイケ、ジャズ、クラシック音楽、エスニック、ボサノヴァ、アンビエント・エレクトロニック・ミュージックなどを聴くのをやめたことはない。
たとえ自分たちが地球上で最後の人間になったとしても、こうした音楽を演奏するだろう。私たちは、お金や “大衆” からの評価のために音楽をやったことはない。もちろん、レコードをリリースして夢を実現できるだけのお金を稼ぎたいとは思っているけど、どんなジャンルに属するものであれ、音楽を通じて自分たちの考えや感情を顕在化させることが最も重要であり、これからもそうあり続けるだろう。そしてそれこそが、極めてプログレッシブなことだと私たちは考えているんだ。

Q6: More to the point, many of the prog giants have aged and passed away. Some people say that progressive rock has lost the meaning of the term and has become formulaic. In the midst of all this, you guys have shown us what is possible! Do you think there is room left for prog music to evolve?

【ANDREAS】: – Yes. Nothing will ever stop to evolve. Since ancient times art and music has been made formulaic. This is how humans grasp, develop and learn ideas. If you’re skeptic to this method you should rethink a lot of things. Language for instance. How to build houses of clay. How to brew a perfect cup of tea. How to grow food in a field. Life happens and it develops further based on old formulas. We think it’s sad if someone wants to live and express themselves only through «new formulas» and dogmatic only seek to do something that noe one has done before. Then you forget history and the evolution of things, which in our opinion is at the core of human existence.
The development of the arts didn’t start with «In the Court of the Crimson King» in 1969 or Bachs mass in B Minor. Art and human expressiveness through the arts has been going on for a very long time, and it continues to unfold itself through the centuries. The Italian composer Carlos Gesualdo created complex and chromatic challenging choral works in the 16th century, but a much simpler choral works made today can still be beautiful and interesting. They will co-exist and there is never a competition.
If it touches the heart that’s a very good start. If it captures the intellect as well, that’s even better. Music and art is not about systems, it’s about feelings and emotions.
Most importantly, good music knows no boundaries.

Q6: さらに言えば、プログの巨人たちの多くが年を取り、この世を去った人もいます。プログレッシブ・ロックはその言葉の意味を失い、定型化してしまったと言う人もいますね。
そんな中で、あなたたちは可能性を見せてくれました!プログが “進化” する余地は残されていると思いますか?

【ANDREAS】: もちろん。何事も進化を止めることはない。古来より、芸術や音楽は定型化されてきたものだ。そうやって人間はアイデアを把握し、発展させ、学んできたんだよ。もし定型化という方法に懐疑的なら、多くのことを考え直すべきだよ。
例えば言語。粘土で家を建てる方法。完璧な紅茶の淹れ方。畑で食べ物を育てる方法。人生にはいろいろなことが起こり、それは古い公式に基づいてさらに発展していく。もし、”新しい公式” によってのみ生き、表現しようとする人や、独断的に誰もやったことのないことをしようとするだけの人がいるとしたら、それは悲しいことだと思う。それでは、人間存在の核心である歴史や物事の進化を忘れてしまう。
芸術の発展は、決して1969年の “In The Court of the Crimson King” やバッハのミサ曲ロ短調から始まったわけではない。芸術と芸術を通した人間の表現力は非常に長い間続いており、それは何世紀にもわたって展開し続けている。イタリアの作曲家カルロス・ゲスアルドは、16世紀に複雑で半音階的な難解な合唱作品を作ったが、一方で今日作られるもっとシンプルな合唱作品も美しく興味深いものである。両者は共存し、決して競い合うものではない。
心に響くなら、それはとても良いスタートだ。それが知性も捉えるものであれば、なおさらだ。音楽と芸術はシステムの問題ではなく、感情と気持ちの問題なんだよ。
最も重要なことは、良い音楽に限界はないということだ。

Q7: In the twenties, the world was shrouded in a dark cloud of pandemics, wars, divisions, and the rise of fascists. In such times, can prog-music fantasies like yours be an escape for the oppressed and grieving people?

【ANDREAS】: – Music and the arts are endless treasuries in times of trouble and can for sure be a welcoming escape. They’re constants in a shifting situation. To be able to escape into another reality is something that has become more and more common as the world races of the hinges. Also, as «commercial mass culture» becomes more and more frictionless and already «digested» upon consumption, it becomes important to have some safe havens to escape to.
But a good fantasy is best if it has several layers of meaning, much like a good record of progressive music. Some things are revealed at the first experience, but after a while you see the complexity, the metaphors and the layered meanings.

Q7: 20年代に入り、世界はパンデミック、戦争、分断、極右の台頭といった暗雲に包まれています。そうした時代に、あなたのようなプログのファンタジーは、抑圧され喪失や悲嘆に暮れる人々の逃避場所となり得るでしょうか?

【ANDREAS】: 音楽と芸術は、困難の時代における無限の宝であり、確かに歓迎すべき逃避場所となりうる。移り変わる状況の中で不変のものだ。別の現実に逃避できることは、世界が巻き込まれた無駄なレースがますます一般的になっている中で、大切なことだよ。
また、”商業的大衆文化” がますます摩擦のないものになり、消費された時点ですでに “消化” されるようになるにつれて、逃げ込める安全な隠れ家をいくつか持っておくことが重要になってくる。
ただし、優れたファンタジーは、プログレッシブ音楽の優れたレコードのように、何層もの意味を持っているのがベストだ。最初の体験で明らかになることもあるが、しばらくすると、複雑さやメタファー、重層的な意味が見えてくるようなね。

Q8: Speaking of fantasy, Japan is a mecca for fantasy such as games, music and anime. Are you interested in Japanese culture?

【ANDREAS】: – Indeed we are! When we started the band in 1993 we watched Akira and Ghost in the Shell together and we loved it to bits. In later years Akira Kurosawa has become a favourite as well.
After we got kids we’ve been into the Studio Ghibli films with My Neighbour Totoro and Spirited Away as favourites, and the kids also love it.
So many interesting things about Japanese culture – the food, shinto, hōgaku, the aestethics in architecture and art and the Japanese way of life to name a few. Although there are differences, in many ways your culture is also quite similar to many traits of the Scandinavian culture, which is fascinating.
Fun fact, the bass player and the drummer actually sports japanese inspired clothing when we play live!

Q8: ファンタジーといえば、日本はゲーム、音楽、アニメなどファンタジーのメッカです。そうした日本文化に興味はありますか?

【ANDREAS】: もちろん!1993年にバンドを始めたとき、メンバーと一緒に “AKIRA” や “攻殻機動隊” を見て、とても気に入ったんだ。その後、黒澤明も大好きになった。
子供ができてからは、スタジオジブリの “となりのトトロ” や “千と千尋の神隠し” がお気に入りで、子供たちも大好きなんだよね。
食べ物、神道、邦楽、建築や芸術における美学、日本人の生活様式など、日本文化には興味深いものがたくさんある。違いはあるけれど、スカンジナビアの文化と似ているところもたくさんあって、とても魅力的だよ。
面白いことに、ベース奏者とドラマーは、ライブの時に日本をイメージした服を着ているんだ!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED ANDREAS’S LIFE!!

RUSH “Hemispheres”

BO HANSSON “Sagan om Ringen”

YES “Close to the Edge”

JETHRO TULL “Thick As A Brick”

GENTLE GIANT “In a Glasshouse”

MESSAGE FOR JAPAN

– First of all, Arigato Gozaimashita to everybody who has purchased our records or the vinyl box set. We had stars in our eyes when we sent the first boxes to our customers there and
now the records are available through Kakehashi Records in Tokyo. We’re very grateful for this opportunity to see our 30 year old dream travel to the far corners of the world.
The last couple of years we have fulfilled three of the biggest dreams for this band:
1. Release the trilogy as a limited box set including a world map of Airoea
2. Play the concept live, 3 records in close to 3 hours
3. Film it and release it on DVD/Blu-ray (out on Old Oak Records Autumn 2024)
Now only two dreams remain:
4. Play it live in Japan
5. Release an anime inspired cartoon from the Father Robin universe
So our message to Japan would be: Book us! We’d love to come and go on a journey through the lands of Airoea with you!

– まず最初に、私たちのレコードやレコード・ボックス・セットを買ってくれたみんなにアリガトウゴザイマシタ。そして今、レコードは東京のカケハシ・レコードで購入することができるんだ。私たちの30年来の夢が世界の隅々まで届くこの機会にとても感謝しています。
ここ数年、私たちはこのバンドにとって3つの大きな夢を実現しました。
1. アイロアの世界地図を含む限定ボックスセットをリリースする。 2. その3枚のレコードを3時間近くかけて演奏する。それを映画化し、DVD/Blu-rayでリリースする(2024年秋、Old Oak Recordsからリリース):
あとは2つの夢を叶えなければならないね。4. 日本でライブをする 5. アニメにインスパイアされたロビン神父のアニメをリリースする。だから私たちをブッキングしてほしい!みんなと一緒にアイロアの地を旅したいと思っているよ!

ANDREAS

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BEATEN TO DEATH : SUNRISE OVER RIGOR MORTIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIKA MARTINUSSEN OF BEATEN TO DEATH !!

“I Urge You To Look Closer, Because I’m Still Trying To Keep My Precious Hair From Leaving My Balding Head, Haha! For Sure, There’s Not Much Left To Save, And It’s Hard To Imagine I’ll Keep It This Way Until I Die, But I Promise To Do My Best! “

DISC REVIEW “SUNRISE OVER RIGOR MORTIS”

「よく見てよ。僕はまだ、貴重な髪をハゲ頭からなくさないようにしているんだ!(笑) 確かに、残りは少ないし、死ぬまでこのままとは思えないけど、頑張るって約束するよ! !」
絶滅の危機を経て、メタルはいつしか現実世界の抑圧、孤独からの素晴らしき逃避場所として多くの人に救いをもたらすようになりました。戦争や分断、極右の台頭という生きづらい世界を公然と批判して風刺するバンドも増えています。そうした理不尽や権利に対してメタルが持つ反発力は、蹂躙されしものたちのまさに希望。
そして今、この世界で最も蹂躙され抑圧されしものこそ “オッサン”。もちろん、権力を持ち蹂躙するのもオッサンであれば、また社会から最も阻害され孤独を感じているのもオッサンなのです。オッサンというだけで即通報。出会って2秒で豚箱行き。そんな世の中に反旗を翻すべく、ノルウェーの BEATEN TO DEATH は “Sunrise Over Rigor Mortis” でオッサン讃歌のグラインド・コアを叩きつけました。
それを象徴するのが “My Hair Will Be Long Until Death”。死ぬまで髪の毛を離さねえ。ツーブロやセンターパート、毛先カラーで髪の毛を謳歌する若者たちに、オッサンの悲壮な頭志いや闘志を見せつける楽曲は、同時に大切なものや人を喪失した世界中の悲しみに勇気と共感を与えていきます。
そう、バーコードに撫で付けた髪の毛のごとく、失うことや年齢を重ねることはたしかに苦しいけれど、アルバム・タイトル “死後硬直に差す陽光” が示すように、いつだって何かを追い求め、ユーモラスに優しく前を向いていれば、死してなお朝日は昇ってくるのです。
「数ヶ月前にロンドンで NAPALM DEATH を観たんだけど、もちろん Barney は、人類がこれまで  “クソみたいな違いをいかに解決してこなかったか” についてスピーチをしたんだ。違いは悪じゃない。グラインド・コア・バンドがそうやって、僕たちの共有する地球の状態について何か言ってくれるのはありがたいよね」
つまり、年齢、性別、国籍、文化、宗教など人々の持つ “違い” など些細なこと。それをいかに個性として包容し、寛容になりあえるかがきっと人類の未来にとって重要な鍵なのでしょう。NAPALM DEATH の Barney に言われるまでもなく、BEATEN TO DEATH はそうした異端や逸脱、違いという名の個性を独創的なグラインド・コアで表現することで、寛容な心を世界に届けていきます。
「僕らのプレイが “真の” グラインド・コアかどうかということにあまりこだわらないということの自然な結果だと思う。新しい曲を作るときは、ほとんどクリーンなギター・サウンドでハーモニーやダイナミクスを試す方が自然だと感じるんだ。僕自身は、もっとハーモニーが冒険的でキャッチーでありながら、もっと過激でアグレッシブになれると感じている」
実際、彼らのグラインド・コアは暴力一辺倒ではありません。PIG DESTROYER, BRUTAL TRUTH, NASUM を敬愛しつつ、YES, VAI, MESHUGGAH, Zappa, Holdsworth といったプログ・パラダイスで育った Mika。ゆえに、彼らのグラインド・コアには繊細で知的な一面が素晴らしきコントラストとして映し出されています。
さらに、杏里、松原みき、竹内まりや、大貫妙子といった遠き日本のシティ・ポップのハーモニーまで養分として取り込んだ BEATEN TO DEATH のグラインド・コアは、見事に世界中の “違い” を音楽で解決していくのです。
今回弊誌では、4月に来日公演も成功させたベーシスト Mika Martinussen にインタビューを行うことができました。「正直なところ、僕にとっては、ブラック・メタルは全く好きではないんだ!失礼な言い方かもしれないけど、僕には信じられないほど無味乾燥で退屈に思えるし、ユーモアがなくて独りよがりなものなんだよ。シアトリカルな面もあまり好きじゃない。でも、他のメンバーの何人かは、なぜかそういうものに夢中なんだ」 どうぞ!!

BEATEN TO DEATH “SUNRISE OVER RIGOR MORTIS” : 10/10

INTERVIEW WITH MIKA MARTINUSSEN

Q1: First of all, could you tell us about your impressions of the Japan tour?

【MIKA】: It really was a fantastic experience for us. Absolutely everyone we met were super cool; the audience, the other bands, the DJs, venue owners, the crew, the staff… everyone! And of course, the most important person: Esagoya Record’s very own Yosuke Harada! We are forever grateful that our new friend made it possible for us to come to Japan and play for such an appreciative audience. For us, with the music we play, it felt like «coming home». We absolutely want to come back, make even more friends and visit more cities if possible!

Q1: まずは、日本ツアーの感から聞かせていただけますか?

【MIKA】: 本当に素晴らしい経験をさせてもらったよ。観客、他のバンド、DJ、会場のオーナー、クルー、スタッフ…みんなだね!そしてもちろん、最も重要な人…Esagoya Record の Yosuke Harada さんだ!
僕たちの新しい友人のおかげで、日本に来ることができ、素晴らしい観客の前で演奏することができた。心から永遠に感謝しているよ。まるで、音楽を連れて “家に帰った” ような感覚だった。また絶対に日本に行きたいし、もっと友達を作りたいし、できればもっと多くの都市を訪れたいね!

Q2: You also played with various Japanese bands. How do you feel about the Japanese scene and music? Are there any bands that have influenced you?

【MIKA】: Speaking for myself, I must admit I knew almost nothing about the Japanese scene before we arrived. The only Japanese music I had really listened to was City Pop artists such as Anri, Miki Matsubara, Mariya Takeuchi and Taeko Onuki (and of course, Sadistic Mika Band, hehe). So for me, it was great to be able to check out the other bands we played with! I for sure will try to pay more attention to the Japanese extreme metal scene from now! I know a couple of the other guys listen to a lot of underground extreme metal and Grindcore from Japan, so I guess they can help me find some alternatives to my beloved City Pop! .

Q2: 日本の様々なバンドとも共演されましたね。日本のシーンや音楽についてどう感じていますか?影響を受けたバンドはありますか?

【MIKA】: 僕自身のことを言えば、来日するまでこうした日本のシーンについてほとんど何も知らなかったというのが正直なところなんだ。日本の音楽といえば、杏里、松原みき、竹内まりや、大貫妙子といったシティ・ポップ系のアーティストしか聴いたことがなかったからね。もちろん、サディスティック・ミカ・バンドは別として。
だから僕にとっては、一緒に演奏した他のバンドをチェックできたことはとても良かった!これからは日本のエクストリーム・メタル・シーンにもっと注目していこうと思うよ!他のメンバーの何人かは日本のアンダーグラウンドのエクストリーム・メタルやグラインド・コアをよく聴いているから、彼らが僕の大好きなシティポップに代わるものを探してくれるんじゃないかな!

Q3: Are you interested in Japanese culture, anime, games, or history?

【MIKA】: I would say so, yes. I visited Japan as a tourist in 2017, and had the chance to see Hiroshima, Nara, Osaka, Kyoto and Tokyo. It was 100 % positive experience, and really made an impression on me. After that, I have listened to podcasts and read a few books on Japanese culture and history, in addition of course to documentaries, films, tv-shows and anime. I feel I have learned a lot since my visit in 2017, but I understand that I’ve barely managed to scratch the surface. Tommy (guitars) have been to Japan several times, and even made an effort to understand and speak Japanese. I think we all would love to come back and stay for a few months! I guess we have to book a longer tour next time! I mean, the food alone…

Q3: では、日本の文化、アニメ、ゲーム、歴史に興味はありますか?

【MIKA】: そうだね。実は2017年に観光で日本を訪れ、広島、奈良、大阪、京都、東京を見る機会があったんだ。それは100%ポジティブな経験で、本当に印象に残っているんだよ。その後、ドキュメンタリー、映画、テレビ番組、アニメはもちろん、日本の文化や歴史に関するポッドキャストを聞いたり、本を何冊か読んだりもしたんだよ。
2017年の訪問以来、多くのことを学んだと感じているけど、まだ表面をかすめるのがやっとだとも理解している。Tommy(ギター)は何度か日本に来ているし、日本語を理解し話す努力もしている。みんなまた日本に行って、数カ月滞在したいと思っていると思う!次回はもっと長いツアーを予約しなければならないだろうね!せめて食べ物だけでも…

Q4: Speaking of history, Norway is known as a sacred place for black metal. Why did you choose grindcore for such a place?

【MIKA】: The short answer to that, is that most of us enjoy bands like Pig Destroyer, Brutal Truth, Nasum, Discordance Axis, Fuck The Facts and Rotten Sound much more than we enjoy the Norwegian Black Metal scene. Honestly, for me, I don’t like any of that stuff at all, haha! I don’t mean to be rude, but it just seems incredibly tame and boring to me, as well as very humorless and self-important. Not a big fan of the theatrical side either. But a couple of the other guys are into that stuff, for some reason. Beaten To Death begun as a trio, and then me and Anders (vocals) were asked to join. Had they played Black Metal I would told them no, haha! Also, I’m not that much of a bass player, so the relatively simple stuff we do suits me just fine! .

Q4: 歴史といえば、ノルウェーはブラック・メタルの聖地として知られています。そんな場所であなたたちは、なぜグラインド・コアを選んだのですか?

【MIKA】: 簡単に答えると、僕たちの多くはノルウェーのブラック・メタル・シーンを楽しむよりも、Pig Destroyer、Brutal Truth、Nasum、Discordance Axis、Fuck The Facts、Rotten Sound といったバンドを楽しんでいるからなんだ。
正直なところ、僕にとっては、ブラック・メタルは全く好きではないんだ!失礼な言い方かもしれないけど、僕には信じられないほど無味乾燥で退屈に思えるし、ユーモアがなくて独りよがりなものなんだよ。シアトリカルな面もあまり好きじゃない。でも、他のメンバーの何人かは、なぜかそういうものに夢中なんだ。
Beaten To Death はトリオとして始まり、僕と Anders(ボーカル)が加入することになった。もし彼らがブラック・メタルをやっていたら、僕は断っていただろうね!それに、僕はそれほどベースが上手くないから、比較的シンプルな曲が合っているんだ!

Q5: However, your grindcore is not only extreme and violent, but also melodic and sensitive at times. Why do you pursue such diversity and possibilities in grindcore?

【MIKA】: I guess that’s just a natural consequence of us having very different taste in music, and not really being concerned with if what we play is considered «true» Grindcore or not. It also has to do with the guitar tone, which of course is much less fuzzy and overdrive-y than most Grindcorebands. When we write new stuff at the rehearsal space, it just feels more natural to experiment with harmonies and dynamics, with an almost clean guitar sound. Speaking for myself, I feel we could be much more harmonically adventurous and catchy, but also much more extreme and aggressive. It sometimes frustrates me when I feel a song doesn’t reach its full potential in that regard. But then again, I don’t want to discuss a song structure or chord progression to death either, and it feels natural to just release whatever songs we have written once we have enough of them, and then move on.

Q5: たしかに BEATEN TO DEATH のグラインド・コアは過激で暴力的なだけでなく、時にはメロディアスで繊細でもあります。なぜグラインド・コアにそのような多様性と可能性を追求するのでしょう?

【MIKA】: それは、僕らの音楽の趣味が全く違うということと、僕らのプレイが “真の” グラインド・コアかどうかということにあまりこだわらないということの自然な結果だと思う。
もちろん、ギターのトーンも関係していて、他のグラインド・コア・バンドよりもファジーでオーバー・ドライブな感じは少ない。リハーサル・スペースで新しい曲を作るときは、ほとんどクリーンなギター・サウンドでハーモニーやダイナミクスを試す方が自然だと感じるんだ。
僕自身は、もっとハーモニーが冒険的でキャッチーでありながら、もっと過激でアグレッシブになれると感じている。その点で曲のポテンシャルが最大限に発揮されていないと感じると、時々イライラもするんだ。でもまた、曲の構成やコード進行について死ぬほど議論したいとも思わないし、十分な曲数ができたらどんな曲でもリリースして、次に進むのが自然な気もするね。

Q6: The “contrast” in the music is also evident in the wonderful album “Sunrise Over Rigor Mortis,” where the words “Sunrise” and “Rigor Mortis” seem to be opposites, but they really fit this album as well as the beautiful artwork, would you agree?

【MIKA】: Oh, absolutely. When it comes to the artwork, we are so lucky and incredibly grateful to once again have the Norwegian artist William Hay with us (beginning with the «Agronomicon» album). And yes, I guess you could say the contrast in the title somehow matches both the music and the lyrics.

Q6: 音楽における “コントラスト” は、素晴らしいアルバム “Sunrise Over Rigor Mortis” のタイトルにも表れています。
“Sunrise” と “Rigor Mortis” “死後硬直” という言葉は正反対のようですが、美しいアートワーク同様、このアルバムにとても合っていますね?

【MIKA】: そうだね。アートワークに関しては、(アルバム “Agronomicon” から)ノルウェー人アーティストのウィリアム・ヘイを再び起用することができて、とてもラッキーだし、とても感謝している。そして、タイトルのコントラストが音楽と歌詞の両方にマッチしているのもまちがいないね。

Q7: “My Hair Will Be Long Until Death” is a great song title! Although, I don’t see any long-haired members among your band other than you? (LOL)

【MIKA】: Well, then I urge you to look closer, because I’m still trying to keep my precious hair from leaving my balding head, haha! For sure, there’s not much left to save, and it’s hard to imagine I’ll keep it this way until I die, but I promise to do my best!

Q7: “My Hair Will Be Long Until Death (死ぬまで私の髪は長い)” は素晴らしい曲名ですよ!でも、あなた以外皆さんの中に長髪のメンバーはいないですよね?(笑)

【MIKA】: いやいや、よく見てよ。僕はまだ、貴重な髪をハゲ頭からなくさないようにしているんだ!(笑) 確かに、残りは少ないし、死ぬまでこのままとは思えないけど、頑張るって約束するよ! !

Q8: War, division, pandemics, and the world has been shrouded in dark clouds since the beginning of the twenties. What role do you think grindcore should play in such a dark world?

【MIKA】: The insanely dark times we live in now are for sure something we think a lot about in the band, but as you can probably tell from our song titles and lyrics, the “Sunrise”-album is solely focused on rather silly stuff that has to do with us getting older. That said, even if we’re not the most political of Grindcore-bands, we have touched upon more serious subject matters in the past (for example climate change and sustainability) and will do so in the future. By the way, I got to see Napalm Death in London a couple of months ago, and of course Barney made a speech about how humanity “haven’t solved our fucking differences”, as he put it. That resonates with us all, and I appreciate when Grindcore-bands have something to say about the state of our shared planet.

Q8: 戦争、分断、パンデミック…20年代に入ってから世界は暗雲に包まれています。
そんな暗い世界で、グラインド・コアはどんな役割を果たせるのでしょう?

【MIKA】: 今、僕たちが生きている非常識なほど暗い時代について、バンドでいろいろ考えていることは確かだ。だけど曲のタイトルや歌詞を見てもらえばわかるように、この “Sunrise” というアルバムは、僕たちが歳をとることに関係する、どちらかというとくだらないことだけに焦点を当てているんだ。
とはいえ、僕らがグラインド・コア・バンドの中で最も政治的なバンドではないとしても、過去にはもっと深刻なテーマ(例えば気候変動や持続可能性など)に触れたこともあるし、今後もそうするつもりだ。
ところで、数ヶ月前にロンドンで NAPALM DEATH を観たんだけど、もちろん Barney は、人類がこれまで “クソみたいな違いをいかに解決してこなかったか” についてスピーチをしたんだ。違いは悪じゃない。グラインド・コア・バンドがそうやって、僕たちの共有する地球の状態について何か言ってくれるのはありがたいよね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED MIKA’S LIFE!!

Kiss “Unmasked”

ABBA “Arrival”

Metallica “Master of Puppets”

Meshuggah “Chaosphere”

Steve Vai “Flex-Able”

And if I may, some honorable mentions: Joni Mitchell – Hejira, Stravinsky – The Rite of Spring, Frank Zappa – Joe’s Garage, Yes – 90125, Allan Holdsworth – Secrets, Pig Destroyer – Terrifyer, Motorpsycho – Timothy’s Monster, Slayer – Reign in Blood and Robyn – Robyn. And maybe about 114 other albums!

MESSAGE FOR JAPAN

Without a doubt our favorite country we have visited. We can’t wait to come back, hopefully sooner rather than later. Arigato gozaimasu!

日本は間違いなく、今まで訪れた国の中で一番好きな国。また行くのが待ち遠しいよ。できれば早くね。ありがとうございます。

MIKA MARTINUSSEN

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ESAGOYA RECORDS

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MADDER MORTEM : OLD EYES, NEW HEART】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AGNETE M. KIRKEVAAG OF MADDER MORTEM !!

“Globalisation Means a More Diverse Culture Generally, Which Also Goes For Metal. It’s Not Only a White Male 18-25 Scene Anymore, Which Suits Me Fine.”

DISC REVIEW “OLD EYES, NEW HEART”

「私たちはますます個人主義になり、自分の内面や感情に焦点を当てるようになっている。その良い面は、人々が自分の課題や悩みをより自由に共有できるようになったことだと思う。また、世界のグローバル化は多様な文化を促進し、それはメタルにも当てはまる。メタルシーンは18~25歳の白人男性だけのシーンではなくなっているの。私にとっては素敵なことだわ。みんな自分の経験を書く傾向があるからね」
ノルウェーのメタル・バンド、MADDER MORTEM とそのボーカル Agnete M. Kirkevaag のドキュメンタリーが話題を呼んでいます。彼女は、ステレオタイプなイメージに取り憑かれていたメタル世界で過食摂食障害と闘い、内なる悪魔と闘うために手術を受けることを決意します。新曲のレコーディング、ヨーロッパ・ツアー、オスロでの元メンバー全員によるライブなど、バンド結成20周年記念の年に撮影した本作は、そうしたバンドの日常を追いながら内なる悪魔、スカンジナビアの文化的規範、イメージに取り憑かれたメタル世界との齟齬と葛藤を巧みに描いていきます。
「私にとっては、ブラックメタルの音楽的アプローチの一部、特にダーティなサウンドと雰囲気が好きだった。でもね、シーンの半ファシズム的、人種差別的な側面は本当に好きではなかった。社会不安を抱えた18歳の男たちが自分たちのことを “エリート” だと言っていたのよ。バカらしく思えたわ。女性として、そのシーンには私が興味を持てるような部分はなかった。私が感じたところでは、自己主張の強い女性ミュージシャンが活躍できる場はほとんどなかったと思うわ」
“私たちは社会やメタル・エリートの中では負け犬かもしれない。でもね、負け犬は負け犬なりに吠えることができるのよ” はみ出し者にははみ出し者の意地がある。社会とも、メタルの伝統ともうまくやれなかった Agnete が、いかにして世界中のファンに届く感動的な音楽を生み出したのか。それはきっと、21世紀に花開いたメタルの多様性に対する寛容さ、そしてメタルに宿った “回復力” と密接に関係しているはずです。そう、もはやメタルは限られた “メタル・エリート” だけのものではないのですから。ドキュメンタリーのタイトルは “Howl of the Underdogs” “負け犬の遠吠え”。しかし、もはや彼女は負け犬ではありませんし、彼女の声は遠吠えでもありません。
「このアルバムは父に捧げられたものなんだよ。彼の思い出を称えるには、それが一番だと思った。彼はいつも私たちの活動を誇りに思ってくれていたし、このアルバムには彼のアートワークも入っているから、とてもしっくりきたの。でも、同じような喪失感を感じている人たちが、この音楽の中に慰めを見出すことができれば、それが最高の結果だと思う。だれかに理解されたと感じることが最高の慰めになることもある」
回復力といえば、喪失からの回復もメタルに与えられた光。MADDER MORTEM の中心人物 Agnete と BP 兄弟は多才な父を失い悲嘆に暮れましたが、その喪失感を最新作 “Old Eyes, New Heart” で埋めていきました。バンドのゴシック、ドゥーム、プログレッシブ、ポストメタル、アメリカーナとジャンルの垣根を取り払った “アート・メタル” は、あまりにも美しく、哀しく、そして優しい。そうして亡き父の描いた絵をアートワークに仰ぎながら、MADDER MORTEM は、同様に喪失感に溺れる人たちが、この音楽に慰めを、光を見出すことを祈るのです。
今回弊誌では、Agnete M. Kirkevaag にインタビューを行うことができました。「音楽は精神を高揚させ、慰める最も偉大なもののひとつであり、耐え難いことに耐えるための方法だと思う。そして願わくば、私たちの周りにある醜いものすべてに美を見出す方法でもあればいいわね」 どうぞ!!

MADDER MORTEM “OLD EYES, NEW HEART” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FIXATION : MORE SUBTLE THAN DEATH】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JONAS W HANSEN !!

“We Wanted Something To Reflect The Title «More Subtle Than Death» Which Was Derived From The Quote «Society Knows Perfectly Well How To Kill a Person And Has Methods More Subtle Than Death»”

DISC REVIEW “MORE SUBTLE THAN DEATH”

「タイトルの “More Subtle Than Death” “死よりも巧妙な死” は、”社会は人を殺す方法を熟知しており、死よりも巧妙な方法がある” という名言に由来している。
僕にとってこの言葉は、社会が人間らしさを奪い去り、殻に閉じこもらせてしまうということを指しているんだ。それは僕たちがアートワークに込めた思いでもある。この花は人間のメタファーでもあるんだ」
正邪混沌の時代。事実と虚構の境界線は日ごとに曖昧となり、貪欲、腐敗、抑圧が横行した世界で、ノルウェーの FIXATION はデビュー・アルバムからそうした社会の経年劣化をメタル・コアの叫びで再生したいと願います。
アルバム “More Subtle Than Death” “死よりも巧妙な死” において彼らは、社会の無慈悲な盲目さを大胆に取り上げました。肉体的な死よりも残酷なのは精神的な死。誰からも認められない孤独な尊厳の死こそ最も恐ろしいことを、社会が時に途方もなく欲望に忠実で残酷なことを FIXATION は知っています。それは、自分たちもここまで来るのに、認められるのに多くの時間と孤独を費やしたから。だからこそ彼らは世界中に絶望と恐怖をもたらす対立や分断の溝を埋めながら、希望を持ち続け、自分に忠実であり続け、名声よりも自分自身の中に強さを見出そうとメッセージを放っているのです。その言葉はアルバムを通して真実味を帯びています。
「あれでもない、これでもないと言われたこともあるよ。でも正直に言うと、僕たちはただ自分たちが好きな音楽を作っているだけで、人々がそれを何と呼ぼうと勝手なんだ。門番なんて本当にバカバカしいよ。みんなが好きな音楽を楽しめばいいんだ」
自分に忠実であり続けるというメッセージは、その音楽にも貫かれています。通常、メタル・コアといえば、ヘヴィネス、クリーンとグロウルのダイナミズム、モンスターのようなブレイクダウンが重視されるものですが、FIXATION のメタル・コアではそれ以上に質感、ニュアンス、アンビエンスがサウンドの骨格を担います。だからこそ、ヘヴィなギター・リフ、エレクトロニックな装飾、幻想的なイメージ、フックのあるコーラスがシームレスに流動し、感情が生まれ、聴く者を魅了し、活力を与えるのです。加えてここには、ポップな曲もあれば、アグレッシブな曲もあり、さらにオペラも顔負けの壮大なスケールの曲まで降臨して、実にバラエティにも富んでいます。”メタルコア、ポスト・ハードコア、スタジアム・ロックを取り入れたハイテンションでしかしよく練られたモダン・ロック” とはよく言ったもので、BRING ME THE HORIZON からメールを受け取ったという逸話にも納得がいきます。
「世界が暗い方向に向かっていても、トンネルの先に光があることをもちろん願っているよ。もしその希望の光がなかったら、僕たちは何のために戦っているのだろう?」
欲望や名声を追い求めることに警告を発したアルバムにおいて、エンディング・トラックの “Dystopia” は特別オペラティックに明快なメッセージを贈ります。天使のような純粋さで歌い上げる歌詞には、支配と抑圧の色合いが兆し、しばらくの沈黙の後、沸き起こるコーラスにおいて、次世代の未来に対する警告のメッセージが叫ばれます。最後のメッセージ “俺たちは寄生虫” という言葉は、示唆に富み、激しく心を揺さぶります。そう、このアルバムには何か美しく心を揺さぶるものがあるのです。おそらくそれは、欲にまみれた人間の手による世界の終焉を我々みなが予感しているからかもしれませんね。
今回弊誌では、シーンきっての美声の持ち主 Jonas Wesetrud Hansen にインタビューを行うことができました。「日本のゲームとともに育ったことは、僕たちの子供時代を決定づけたし、大人になった今でも僕たちを決定づけ続けている。全員が任天堂、ポケモン、マリオ、ゼルダとともに育ったんだから。もちろんキングダム・ハーツもね!」 どうぞ!!

FIXATION “MORE SUBTLE THAN DEATH” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DØDHEIMSGARD : BLACK MEDIUM CURRENT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YUSAF ‘VICOTNIK’ PARVEZ OF DØDHEIMSGARD !!

“In My Opinion Black Metal Has Not Aged Particularly Gracefully.”

DISC REVIEW “BLACK MEDIUM CURRENT”

「自分の芸術が本当に無限のものであるためには、特定の美学に縛られるわけにはいかないと思った。結局のところ、私は芸術を実践したいのであって、説教をしたいわけではないのだから」
原始的で典型的なブラックメタルは、その最高峰のバンド達にとってもはや十分な “乗り物” とは言えないのかもしれません。この悪名高いサブジャンルの冷血なアナーキズムと凍てつくような反妥協主義は、天才的なクリエイターを惹きつけるに十分な魅力ですが、ULVER から ENSLAVED、SIGH に至るまで、その屍を塗りつぶした暗黒のパレットには、拡大する芸術的ニーズを満たすには単にその色が足りないのでしょう。
ノルウェーの地下宮殿を支配した DODHEIMSGARD は今も依然としてアンダーグラウンドな存在ですが、明らかにその “最高峰” リストの筆頭に挙がるべきバンドでしょう。オスロで結成されたこの集団は、今や真のプログレッシブの体現者となり、地獄の業火と宇宙の瞬きを同時に表現するフロンティアを創造しています。90年代前半から中盤にかけての “セカンドウェーブ” のうねりの中で、生々しく重苦しいブラックメタルで影響力を増した DODHEIMSGARD は、その後、画期的なリリースごとに真に多彩な巨人へと進化してきました。9年ぶりに彼らから届けられた7枚目のアルバム “Black Medium Current” は、そんな壮大な暗黒航海の魅力的な最新地点。
「かつて社会は我々を文化的サブグループに属するミュージシャン/アーティストとしては見ていなかった。そうではなく、社会は我々を、唾を吐きかけられ、殴られ、追放されて当然の、ほとんど人間ではない恐ろしい存在として見ていたんだ」
ノルウェーの混沌としたブラックメタル領域、90年代初頭の灰の中で結成され、”Realm Of Death(死の領域) ” と訳される名を誇る彼らの旅は、実に長く険しいものでした。しかし、DHG の首謀者 Yusaf ‘Vicotnik’ Parvez は、犯罪捜査と裁判から始まった茨の道を乗り越えて、ブラックメタルをアートと哲学の領域まで高めることに誰よりも寄与してきたのです。1999年にリリースされた “666 International” では、ブラックメタルにインダストリアルとアヴァンギャルドの大胆な婚姻を加え、それ以来四半世紀に渡って DHG は長大かつ冒険的な作品でシーンの潮流と拡大に影響を与え続けています。
「私の住む地域のブラックメタルは今日、演劇やショーマンシップに近い。それが良いことだとも悪いことだとも言っていない。芸術表現から社会的葛藤を取り除くと、その表現を実践する理由はより自己中心的になる傾向がある。しかし、ほとんどの “練習生” はそうではない。ほとんどのブラックメタル・マンは、箱の中に存在する既存のチャンスに応えることだけで満足している。つまり、コミュニティに属し、音楽を作り、音楽を出版し、コンサートに出演し、注目を浴び、そしておそらくお金を稼ぐ。私の意見では、ブラックメタルは優雅に年をとっていないよ」
“Black Medium Current” の9曲70分に及ぶ濃密で壮大なアートの海に身を委ねれば、Yusaf が切り拓いたブラックメタルの現在が、彼の理想と距離があることにも頷けるでしょう。カオティックな色彩の積み重なった瞬間も、心を揺さぶる宇宙観も、妖艶かつノン・メタルな実験精神も、すべては心の赴くアートのため。生々しいセカンドウェーブの怒りから、エレクトロニカ、インダストリアル、ジャジー、エクスペリメンタルと、彼らのサウンドの軌跡は目撃者にとってスリリングとしか言いようがありません。
奔放な不協和音、不穏な怪しさ、切ないメロディズムの相互作用によって、作品の魅力は存分に高まります。”Black Medium Current” でバンドはジャズ的な実験から距離を置き、エレクトロニカをブラックメタルのフレームに織り込み強調し、クラシック楽器で包みこんでいきました。アルバムに散りばめられた不穏な切迫感に不気味なオーラ、美しいテーマ、サイケデリックな怒りのため息、緊張を解き放つ力強さに奇妙なテンポは、その多感で多様な設計図にもかかわらず、分裂症のような気まぐれさよりも、全体に映画のように統一されたサウンドスケープをもたらしています。そうしてアルバムは、70分の広大な実存的宇宙を旅する冒険で、現実に縫い込まれた信念と心の脆さを探究していくのです。
今回弊誌では、Yusaf ‘Vicotnik’ Parvez にインタビューを行うことができました。「個人的には、悪魔が生きている存在だとは信じていないが、神に対立する存在として、サタンは強力なシンボルだと思う。聖書のサタンもまた、個人の自由を憂慮するリベラルな生き物として、神をはるかに凌駕していると思うんだ」 どうぞ!!

DØDHEIMSGARD “BLACK MEDIUM CURRENT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【STARGAZER : LIFE WILL NEVER BE THE SAME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STARGAZER !!

“TNT Was The First Norwegian Hard Rock Band With International Success, And We, Coming From The Same City As Them, Were So Proud.”

DISC REVIEW “LIFE WILL NEVER BE THE SAME”

「僕たちは HAREM SCAREM や BAD MOON RISING を知っているし、彼らが僕たちと同じようなバンドから影響を受けていることもわかってもらえると思う。グランジやストーナー・ロックが主流になる中で、自分たちのスタイルを貫いたバンドたちだよ。彼らがいたからこそ、僕らも元々インスパイアされていた音楽にこだわっていると言えるかもしれない」
メロディック・ハードロック北欧5人組 STARGAZER は、2001年に F.R.I.E.N.D. というバンド名で結成され、2005年にEPをリリース。2008年に STARGAZER へと改名し、2009年にセルフ・タイトルを、10年の時を経て2019年に2ndアルバム “The Sky Is the Limit” をリリースし、古き良きメロディ志向のリスナーから高い評価を得続けています。なぜでしょう。それは、このノルウェーの美しき星見櫓にたしかな理由と信念が存在するからです。
「まず第一に、僕らは昔ながらの方法で、マイクを使ってアナログで録音しているんだ。アナログの伝統的なプリアンプを使い、リ・アンプは一切行わず、すべての信号を本物らしく保つ。僕たちは、ティン・パン・アレー (アメリカの大衆音楽業界の象徴。Frontiers のやり方を揶揄していると思われる) のような音楽メーカーから曲を買うのではなく、時間と労力をかけて、自分たちの音楽を根本から作り上げているんだよ。だから、僕たちが作る音楽は、僕たちの心に最も近い音楽なんだ」
ご承知の通り、近年の “メロハー” その大部分はイタリアの Frontiers Music から供給されていて、好きものにとっては最後の砦、生命線ともいえるような存在となっています。ただし、心を打つような素晴らしいリリースと同時に、メンバーをシャッフルした集金プロジェクトも少なくないのが事実。また、Alessandro Del Vecchio を中心とした “ホーム・バンド” に作曲、編曲、演奏を依存することも多く、すべてが “心からの” 音楽とは言い難い状況でしょう。
STARGAZER の素晴らしさは、そうしたしがらみに縛られることなく、自分たちのやり方で、心からの音楽を追求しているところにあります。もちろん、HAREM SCAREM にも、BAD MOON RISING にも常に迷いはありましたが、それでもあの困難な時代においてハードロックを追求し続けたその気概と音楽は今よりももっと賞賛されるべきでしょう。そしてSTARGAZER は、そんな90年代の荒波を乗り越えたメロハーの信念をその身に宿しているのです。
「TNT はノルウェーで初めて国際的な成功を収めたハードロック・バンドで、彼らと同じ都市に住む僕たちはそれをとても誇りに思っているんだ。彼らのアルバム “The Knights of the New Thunder” は、僕たちの心を激しく揺さぶったね!彼らは、ノルウェーのような小さな国からでも、世界のシーンに大きな影響を与えることができることを、他のハードロック・バンドに示したんだから」
そして、何より STARGAZER はあの TNT の血脈を引いています。同じトロンヘイムの出身で、Ronnie のギターを受け継ぎ、Morty の客演を成功させた STARGAZER 以上に TNT イズムを体現するバンドはいないでしょう。オーロラのハーモニーに、ガラス細工の美旋律、そしてギターのマシンガンの三位一体は、John Sykes と WHITESNAKE の骨太を加えて、完璧な1987年を今ここに蘇らせました。”Life Will Never Be The Same”。そう、彼らのメロハーを知った後の人生は、これまでとは決して同じではないはずです。
今回弊誌では、シンガーの Tore Andre Helgemo とギタリストの William Ernstsen にインタビューを行うことができました。「ギタリストとしての William はもちろん John Sykes の影響を受けているし、シンガーとしてのTore André は David Coverdale の素晴らしい軌跡と共に歌ってきた。BLUE MURDER も僕らがよく聴いているバンドなんだ」 どうぞ!!

“Of course we recognize Harem Scarem and Bad Moon Rising, and you might see that they are influenced by a lot of the same bands as we are. These are bands sticking to their guns while grunge and stoner-rock took the mainstream. Therefore, you can say we too hold on to that music we were originally inspired by.”
Melodic hard rock Scandinavian five-piece STARGAZER formed in 2001 under the band name F.R.I.E.N.D., released an EP in 2005, changed their name to STARGAZER in 2008, self-titled in 2009, and after 10 years, released their second in 2019 album “The Sky Is the Limit” and continues to be highly acclaimed by old-school, melody-oriented listeners. Why is that? Because there are certain reasons and beliefs that exist in this beautiful Norwegian stargazing turret.
“First thing is we record the old-fashioned way, analogue with microphones. Using analogue traditional pre-amps and no re-amping, to keep every signal authentic. We don’t go out there and buy songs from Tin-Pan-Alley-like music makers, but we spend time and dedication in creating our own music from the bottom. The music we make is the music closest to our hearts.”
As you know, the majority of “Melo-hard” music in recent years has come from Italy’s Frontiers Music, which has become something of a last resort and lifeline for the likes of you. However, along with the mind-blowingly great releases, the fact is that there have been a few collection projects that have shuffled members around. Also, they often rely on their “home band,” led by Alessandro Del Vecchio, to compose, arrange, and perform, so not all of their music is “from the heart. The beauty of STARGAZER is that it is a band with a lot of heart.
The beauty of STARGAZER is that they are not bound by these ties, but pursue music from the heart in their own way. Of course, Harem Scarem and Bad Moon Rising always had their doubts, but their spirit and music that continued to pursue hard rock in those difficult times should be praised even more than now. And STARGAZER carries in its body the conviction of a melodic musician who overcame the stormy seas of the 90s.
“TNT was the first Norwegian hard rock band with international success, and we, coming from the same city as them, were so proud. Their album “The Knights of the New Thunder” blew our minds! They kind of showed the way for other hard rock bands that it was possible to come from a small country like Norway, and make a big impact on the world scene anyway. ”
Above all, STARGAZER is in that TNT vein. Hailing from Trondheim, no band embodies the TNT-isms more than STARGAZER, which inherited Ronnie’s guitar and successfully guest-starred Morty. The trinity of Aurora’s harmonies, the beautiful melodies of Glasswork, and the machine guns of the guitars, with the added brawn of John Sykes and WHITESNAKE, brings the perfect 1987 back to life here and now.” Life Will Never Be The Same”. Yes, Our life will never be the same after discovering their melodies.
We had the pleasure of interviewing singer Tore Andre Helgemo and guitarist William Ernstsen. Here
we go!

STARGAZER “LIFE WILL NEVER BE THE SAME” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FROSTBITT : MACHINE DESTROY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH IVAN HANSEN OF FROSTBITT !!

“We Have For As Long As We Have Listened To Metal Been Listening To Japanese Rock Bands Like Dir En Grey, Maximum the Hormone, Moi Dix Mois, Babymetal And a Lot Of Anime Openings!”

DISC REVIEW “MACHINE DESTROY”

「Mana 様の作品はどれも好きだけど、特に Moi Dix Mois で作られた音楽は最高だよね!Dir En Grey は、僕たちの大のお気に入り。”Yokan / 予感” や “Cage” のようなファンキーでアーバンなものから、”Obscure” のような Nu-metal、そして後のデスコアやジャンル・ブレンドのヘヴィなものまで、彼らの全てのスタイルが大好きだよ!特に特定の曲のライブ・バージョンが大好きで、より生々しくエモーショナルに聴こえるんだ。”濤声” のライブ・バージョンのようにね。あれは僕にとって完璧だ!NARUTO は特に130話までが僕にとって特別な場所。Asian Kang-Fu Generation の “カナタハルカ” は、生々しい叫びのようなボーカルで、僕に大きなインスピレーションを与えてくれた!」
日本の音楽は世界では通用しない。そんなしたり顔の文言が通用したのも遥か昔。アニメやゲームのヴァイラル化とともに、日本の音楽は今や海外のナードたちにとって探求すべき黄金の迷宮です。とはいえ、ノルウェーのノイズテロリスト FROSTBITT ほど地下深くまで潜り込み、山ほどの財宝を掘り当てたバンドはいないでしょう。
「特にボーカルとベース・サウンドは、KORN から大きなインスピレーションを受けているよ。”Solbrent” “Frostbitt” では、Johnathan Davis とChino Moreno のヴァイブに深く入り込んでいるんだ。ただ、そのせいで少し非難されたし、一時期ちょっとやりすぎたという事実にも同意しているよ。でも、この新しいレコードでは、彼らのインスピレーションはそのままに、他の多くのものも取り入れて、より味わい深いものになったという気がするね。自分たちを取り戻したような感じさ」
未だ Djent が新しく、勢いのあった10年代初頭に頭角を現した FROSTBITT は、近隣の MESHUGGAH や MNEMIC (素晴らしい!) に薫陶を受け、ローチューンのリズミック・マッドネスに心酔しながらも、同時に Nu-metal, 特に KORN や DEFTONES の陰鬱や酩酊をその身に宿す稀有な存在としてシーンに爪痕を残します。ただし、インタビューに答えてくれた Ivan Hansen の歌唱があまりにも Jonathan Davis に似すぎていたため、あらぬ批判を受けることもあったのです。まさに “Life is Djenty”。
しかし、FROSTBITT の時間旅行は “Machine Destroy” で空も海も飛び越える3Dの冒険へと進化しました。”Machine Destroy” というアルバム・タイトルが示すように、FROSTBITT の目的は常識や次元、時間、既存のメカニズムの破壊。CAR BOMB とのツアーは、FROSTBITT にとってノイズと獰猛さを探求するきっかけとなり、あの英国の破壊王 FRONTIERER をも想起させるアクロバティックなエフェクト・ノイズの数々は、”Frost-Riff” というユニーク・スキルとしてリスナーの脳裏に深く刻まれます。これはもう、ギミックの域を超越したテクニックの領域。
さらに、ここには日本からの影響も伝播しました。”Masked Ghost Host” のシアトリカルで狂気じみた呪文のような言霊の連打からの絶叫は、明らかに Dir en Grey の京をイメージさせますし、作品のテーマは攻殻機動隊。何より、”曲をリフ・サラダではなく、構造や繰り返しのある実際の歌らしい歌にしたい” という彼らの理想は非常に日本的な作曲法ではないでしょうか。タイトル・トラック “Machine Destroy” の致死的な電気の渦の中でも埋もれない、メロディの輝きは日本イズムの何よりの証拠。今作ではさらに、時に RADIOHEAD の知性までも感じさせてくれます。
デスメタルの単調とブラックメタルの飽和が囁かれるこの世界では、新しいアイデアを持ったバンドが必要とされているようです。1996年に片足を突っ込み、もう片足をThallの迷宮に突っ込んで、両腕を遠い東の島国に向けて突き上げる FROSTBITT の3Dな音楽センスは、明らかに前代未聞唯一無二で尊ばれるべき才能でしょう。
今回弊誌では、Ivan Hansen にインタビューを行うことができました。「ノルウェーは、暖かい夏と厳しい寒さの冬と雪の両方がある美しい場所。国土が広く、人々は国土全体に散らばっているから、ノルウェーを旅行するときはかなり遠くまで行くことが多いよね。それに、多くの家庭が森の中に山小屋を持っているから、歩く文化や山越えの文化も盛んなんだ。少なくとも、ブラックメタル・バンドからはそんな雰囲気が伝わってくるし、僕自身も同じようなことを実感しているんだよ」 どうぞ!!

FROSTBITT “MACHINE DESTROY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SATIN : APPETITION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOMMY NILSEN OF SATIN !!

“Great Music Will Prevail. A Great Example Is That New Tv-series “Peacemaker” That Used a Song By Wig Wam For It’s Opening Credits. That Resulted In Wig Wam Topping The Rock Charts In America, Despite Having “Outdated” Music. That Happened Because People Got a Chance To Hear The Song.”

DISC REVIEW “APPETITION”

「君のように、僕の曲についてオーセンティックとか、”本物” という言葉を使う人がいるけど、本当に光栄に思うよ。おそらくその理由は、SATIN の曲の多くが僕が12歳から15歳の頃に書いたものだからだと思うんだ。1989年から1993年にかけて、メロディック・ロックとヘア・メタルがピークに達し、チャートと電波を席巻していた頃だ」
かつてメディアやシーン、市場を席巻したメロディック・ハード。その復活は近くて遠い。そんな印象を、長くこの音楽と共に生きてきた私は持たざるを得ません。もちろん、一時の無風状態と比べれば、今は天国と地獄。SMASH INTO PIECES, DYNAZTY, PERFECT PLAN, Chez Kane, THE NIGHT FLIGHT ORCHESTRA, GATHERING OF KINGS など百花繚乱の新鋭が躍動し、ベテランもその存在感を増している現在のシーンは非常に健全にも思えます。
ただし一方で、乱発される音源、同じような顔ぶれの同じような音楽には、80年代90年代の初頭に存在した魔法のようなワクワク感、メンバー間の深いケミストリーやストーリーがそれほど感じられないのも事実でしょう。よく出来た “偽物” とでも言うべきでしょうか。
そんなメロディック・ハードの2022年において、SATIN の “Appetition” は明らかに異質です。このアルバムのソングライティングとアレンジ、温もり、自由、そして特に巧妙なハーモニーは、このジャンルが脚光を浴びた栄光の時代からまるで抜け出して来たような “本物感” に満ちています。
それもそのはず、SATIN のマルチ奏者 Tommy Nilsen が完成させた楽曲は、本人があの時代に創造したタイムカプセルなのですから。ただし、あの時代と比べると、プロダクションと全体的なアプローチは非常に新鮮で、Tommy がこの30年で培った経験値と好奇心が本人曰く過去と現在をつなぐ美しき “フランケンシュタイン” の完成に大きく寄与していることは明らかです。
1980年代のメロディック・ハードの名曲が、よりパンチの効いたプロダクションで、時代遅れの楽器やアレンジもなく聴けることを想像してみてください。つまり、私たちリスナーは、”Appetition” というデロリアンに乗って本物の80年代や90年代初頭を体験できるのです。2022年の知識を持ちながら。SATIN は AOR の全盛期から彼が愛したものすべてを、彼自身の手でアレンジし直し、少なくとも片足はクラシックな時代に突っ込んだままで、現在の作品のように聴こえる特殊なタイムカプセルなのかもしれません。
「素晴らしい音楽は必ず勝ち残るよ。今はこのジャンルにも機会があるんだ。だからアーティストが時間をかけてでも素晴らしい曲を共有すれば、ジャンルやタイムスタンプ、歴史に関係なく、注目されるようになるんだ」
固定化されたファン・ベース、そしてその高齢化もメロディック・ハードというジャンルが憂うべき問題の一つです。しかし、Tommy は非常にポジティブです。同世代で同郷の WIG WAM による “Do Ya Really Wanna Taste It” の爆発的なヒットは Tommy だけでなく、このジャンルで懸命にもがく全てのアーティストに大きな力を与えています。人気ドラマ “Peacemaker” で使用され、
WWEや映画界の大スタージョン・シナとの共闘を経て、今では “スカンジナビアの宝石” とまで称されている WIG WAM はメロディック・ハード全体の希望です。聴いてもらえる “機会” さえあれば、どんなジャンルの誰にでも、音楽さえ “良ければ” 成功するチャンスはある。そして、その “機会” であるストリーミングの普及によって、むしろ Tommy は自身の成功を “It’s About Time” だと確信するに及んだのです。
「僕の音楽や歌詞に力をもらい、中には生きる糧、死なない理由になったというメッセージが世界中から届いているんだ。そのメッセージを読むのは胸が痛いんだけど、君が言うとおり、音楽は必要なものだ」
音楽はただ、”良い” か “悪い” かだけだ。そう語る Tommy の音楽、その評価はリスナーの主観に任せるとして、少なくとも “ポジティブ” が貫かれています。名曲 “Angels Come, Angels Go”。SATIN のトレードマークが詰まった、心の琴線に触れるこの曲で Tommy はこう声を絞り出します。
「天使は来て 天使は去る…人生を通して」
甘くて、ノスタルジックで、少しむず痒くて、それでも愛と勇気と希望を忘れない。これぞメロハーの真骨頂。人生で大切な人を失っても愛をあきらめないで。生きて欲しい。そう歌いかける Tommy の言葉が決して押し付けがましく感じられないのは、彼の元に寄せられた様々なメッセージが痛みと感謝と、ほんの少しの希望に彩られていたからでしょう。
今回弊誌では、Tommy Nilsen にインタビューを行うことができました。「僕にとって、音楽には “良い” と “悪い” の2種類しかなくて、何が良くて何が悪いかは、オペラでもデスメタルでもアイルランドの民族音楽でも、僕自身が決めることなんだ」 どうぞ!!

SATIN “APPETITION” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【YAWN : MATERIALISM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TORFINN LYSNE OF YAWN !!

“We Are Also Obviously Very Into Metal, And We Often See a Lot Of «Standardized» Ways Of Producing And Composing This Kind Of Music Today. We Try To Challenge These Ways By Including More Inspiration From Jazz And Contemporary music.”

DISC REVIEW “MATERIALISM”

「YAWN (あくび) というバンド名は、ある意味、音楽業界の “モダン・スタンダード” に対する反動なんだよ。長年音楽教育を受けてきた僕たちは、音楽的に “こっち” や “あっち” の方向に進みたい場合、ジャンルの慣習に基づいたすべてのルールに従ってきていて、かなり疲れていたんだよね。それで、一般的なレシピに従うことなく、何か新しいものを提供したいと心から思っていたんだ」
あらゆる音楽ジャンルには、すべて “規範” “標準” “ルール” が存在します。当然でしょう。ある種の雛形がなければ、ジャンルという概念それ自体が崩壊してしまうのですから。もちろん、現代のインストゥルメンタル、エクストリーム・ミュージック、プログレッシブというジャンルにもその雛形は存在します。MESHUGGAH はそのすべてに多大な影響を与えた巨人にちがいありません。
「ハイゲインの8弦ギター、ローチューンのドラム、そしてプロダクションの考え方など、MESHUGGAH は僕らのバンドにとって圧倒的に重要な音楽的影響を与えた存在だよ。彼らは間違いなく僕たちのヒーローで、もし彼らと一緒にツアーをする機会があれば、おそらく僕たちは心臓発作を起こすだろうね」
YAWN はしかし、その場所からさらに進んで新しいダイナミックな振動をもたらしてくれます。同じような、すこし奇妙な美的関心を持つ人々ならば、このバンドが現代のプログ・メタル世界にモダンなジャズの即興やノイズを導入し、地獄より重いリフ、複雑怪奇なリズムのパズルに新鮮な息吹を吹き込む開拓者であることを即座に認めるはずです。このポリリズムの両輪は次にいつ出会うのだろう、この不思議な響きはどこの伝統音楽だろう、少しづつ、ほんの少しづつ速度を変える肉感的なリズム、そして半音階さえ超えていく四分音の衝撃。
「Djent における共通のモラルは、とても刺激的で高揚感を与えてくれるものだと思うな。”ロックスターなんて論外、みんなでとにかく残虐で奇妙なリフを作ってインターネットにアップしよう” という考えを共有しているように思えるね。このような考え方が、クールな新しいバンドを生み出しただけでなく、現代の “ジェント・ベッドルーム・ミュージシャン” という文脈が、毎日出てくる素晴らしいソフトウェア、ギター・ギア、ドラム・サンプルなどのきっかけになったのだと思っている」
興味深いことに、多くの “MESHUGGAH 崇拝者” とは異なり、YAWN は Djent というムーブメントを抱擁し、すんなりと肯定しています。もちろん、彼らの目指す即興性、音の肉感と Djent の “定型”、機械化は同じ MESHUGGAH の申し子でありながら180度異なる考え方。それでも、”ロックスター” から遠く離れた場所にいるというある種の疎外感、反逆性、DIY の精神は共通していて、エレクトロニカや新機材という文脈からも多大な恩恵を受けていることに違いはないのです。
「どの曲もエンディングがあり、でもそれが次の曲の始まりになっていて、最初から最後まで通して聴くことができるように構成されているよ。このアルバムを制作しながら、僕たちの音楽世界のすべてがこのアルバムに込められているような気がしたんだよね。自分たちの音楽を表現するときに、物質の4つの状態 “固体、液体、気体、プラズマ” と多くの類似点があることに気づいたんだ」
37分のデビューアルバム “Materialism” は、アンビエントなサウンドスケープ、即興のギターソロとブルータルなブレイクダウン、感染性のグルーヴと心を溶かすリズム、実験的なエレクトロニクスを並列繋ぎで並び立て、これらすべての要素を論理的かつ音楽的な快適さを併せ持つ驚きのルービック・キューブとして組み合わせているのです。凍りついた永久凍土の即興音楽は、北欧で噴火するメタルの火山によって見事に溶解をみました。”唯物論” とはすなわち、スタイルやサブジャンルに巣食う特定のルールを破ることを意味していて、彼らは MESHUGGAH を “マトリックス” の世界へと引き込むのに十分な “仮想現実” とハッキングの技術を備えているのです。
今回弊誌では、ギタリスト Torfinn Lysne にインタビューを行うことができました。「僕たちは明らかにメタルが大好きなんだけど、今日、この種の音楽の制作や作曲はある意味 “標準化” された方法だと感じていたんだよね。僕たちは、ジャズや現代音楽からより多くのインスピレーションを得ることで、こうした方法に挑戦しようとしているんだよ。だから、一般的な “モダン・メタル” サウンドを再現しようとするのではなく、自分たちの方向性に沿って音楽を制作しているんだ」 どうぞ!!

YAWN “MATERIALISM” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TERRA ODIUM : NE PLUS ULTRA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Øyvind Hægeland OF TERRA ODIUM !!

“We Didn’t Want To Sound Like The Newer Progressive Bands, Where The Guitar Is More Percussive, And The Keyboard Is Dominating. Nothing Wrong With That, We Just Wanted To Sound Different Than Those Bands.”

DISC REVIEW “NE PLUS ULTRA”

「SPIRAL ARCHITECT は死んでいないよ。新曲もたくさんあるし、全員が次のアルバムを作りたいと思っているんだ。次のアルバムを作るために必要な時間と作業量は恐ろしいほどに大量だけど、いつか何とかして実現したいと思っているからね。せっかくの音楽的なアイデアが日の目を見ないのはもったいないしね」
螺旋の建築。その名に違わぬ SPIRAL ARCHITECT のメタリックな捻れは、テクニックの狂気とアンバランスな歌唱を伴って、唯一のアルバムが今なお語り継がれる伝説となりました。そんな本来あるべきプログ・メタルの喜悦と陶酔を求めるならば、TERRA ODIUM の血統は完璧です。
「TERRA ODIUM ではメンバー全員がそれぞれの個性を発揮できるようにしたかったから、Steve は完璧にフィットしていたよ。もちろん、私は彼が DEATH でプレイしていた頃からのファンで、DEATH は私たちにとって重要なバンドだからね。昔からフレットレスの音が好きで、彼の音と演奏で TERRA ODIUM を他のバンドともっと差別化できると思ったんだ」
ノルウェーの SPIRAL ARCHITECT の元メンバー、ボーカル/ギターの Øyvind Hægeland とドラマーの Asgeir Mickelson。2人が率いるこの新組織は、名前こそ違えど、彼らがかつて創造した幾何学建築の精神を素晴らしく受け継いでいます。MANITOU の達人、ギタリストの Bollie Fredriksen、AMORPHIS のような英雄にオーケストレーションを施してきた Jens Bogren の申し子 Jon Phipps、そして DEATH や TESTAMENT で知られるメタル・アイコン、フレットレス・モンスター Steve Di Giorgio によって完成された TERRA ODIUM は、プログ・メタル愛好家にとって、音を聞く前から食欲をそそられような逸材に違いありません。
「私たちは、新しいプログレッシブ・バンドのように、ギターがよりパーカッシブで、キーボードが支配的なサウンドにはしたくはなかったんだよ。もちろんそれは悪いことではないんだけど、私たちはそういったバンドとは違ったサウンドにしたかったんだ」
エレクトロニカやシンセサウンドの大胆な導入、0000の麻薬はアトモスフェリックで中毒性の高いモダンなプログ・メタル建築を乱立させました。その方法論はシーンに活況をもたらすとともに、定型化や飽和を要因とする終わりの未来も同時に映し出したのです。ただし、プログメタル世界は、車輪の再発明から動き出す鼓動に再び熱を帯びつつあります。
「私たちが曲を作るときは、いつもギターのリフから始まるんだ」
TERRA ODIUM は、永遠に続く誇示よりもドラマ性を優先し、偏執的にディテールにこだわりながらも簡潔で記憶に残る無数のメロディーに彩られた、うっとりするようなギター・サーガを展開していきます。”これ以上はない” 究極のプログ・メタル “Ne Plus Ultra” は、DEATH, CYNIC, VOIVOD, WATCHTOWER, PSYCHOTIC WALTZ といった天才のエキセントリックで探求心を胸に、さらに数トンの音の筋肉、真実のオーケストレーション、壮大なドゥームの威厳をドーピングした異端のタワーマンションとしてその全貌をあらわしたのです。
7分間のヒプノティックな時間の中で、膨大なリフを惜しげもなくドゥームとスラッシュに捧げる “Crawling”、死を招くグルーヴとオーケストラの装飾がうねりの波にそびえ立つ “The Road Not Taken”。氷のように妖しく黒い “Winter” では、目まぐるしいプログレッシブでテックな迷宮でフレットレスの狂気を見せつけます。
中でも、CANDLEMASS や KING DIAMOND の不気味なシアトリカルに浸りながらも、プログレッシブの名手としてその矜持を見せつける “The Thron” は、驚異的なメタルの嗚咽であると同時に、非常に巧妙で変態的な12分の不均衡として TERRA ODIUM の本懐を遂げた楽曲にも思えます。これ以上のものがあるでしょうか?
今回弊誌では、Øyvind Hægeland にインタビューを行うことができました。「音楽業界には、ビッグなライブや当時のバンドが持っていたクールなイメージ、そしてもちろん女の子やお金など、私を惹きつけるものがたくさんあったからね。プログレッシブ/テクニカル・メタルはほとんど、あるいはまったくお金にならないし、ほとんどの女の子はこういった音楽が好きではないという真理に気づくには遅すぎたね!(笑)」 どうぞ!!

TERRA ODIUM “NE PLUS ULTRA” : 10/10

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