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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BYONOISEGENERATOR : SUBNORMAL DIVES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BYONOISEGENERATOR !!

Nothing is true, everything is permitted.” When we started playing this kind of avant-garde stuff, we made a conscious decision not to limit ourselves with genre boundaries. We began with pure experimentation, and we’re still sticking to that approach.

DISC REVIEW “SUBNORMAL DIVES”

「”正しい音楽などは決してない。すべてが許される”。こういうアヴァンギャルドな音楽を演奏し始めた時、僕たちはジャンルの枠にとらわれないことを意識的に決めたんだ。純粋な実験から始め、今もその姿勢を貫いているよ。初期の作品はデス/グラインドコア寄りだったけど、最新作は新メンバーの Dima と Semyon がもたらしたマス・コアの影響がより強くなっているね。
とはいえ、バンドの方向性は常に、最強に極めて激しい音楽を作ることにある。なぜなら、身体を動かすことは、強くて若々しくいる秘訣だからね」
混沌とした時代には混沌とした音楽がよく映える。実際、ロシアの ByoNoiseGenerator のカオスほど、2020年代のサウンド・トラックといえる音楽は他にないでしょう。
狂気じみたテクニカル・デスメタル、轟音のグラインド・コア、難解な数式のマス・コア、カウボーイ・ビバップのサウンドトラックに煙立ち込めるジャズクラブを、無機質な工業用装置で加工処理したかのような BNG の混沌にルールはありません。そう、ルール無用ですべてが許されるこの時代に、彼らの音楽はあまりにもフィットしているように思えます。
「すべてはデスメタルとその派生ジャンルから始まったんだよね。その後、グラインド・コアやマス・コアの要素をより多く取り入れるようになったんだ。僕たちはそうしたジャンルを音楽的に心から愛しているけど、凶悪な音楽に典型的に見られる歌詞のテーマからは意図的に距離を置いていてね。僕たちの音楽が、デスメタルの誇張された残虐性や、グラインド・コアによく見られる社会政治的なメッセージと結びつくことは望んでいないんだ」
とはいえ、彼らの混沌は決して戦争や抑圧といった暴力の渦に巻かれているわけではありません。むしろ、そうした狂気から距離を置き、音楽的な挑戦や寛容さが極まってたどり着いた場所こそが圧倒的なカオスだっただけ。彼らが生み出す怪物や肉塊、そして官能さえ、実は音楽のみに集約しているのです。
「John Zorn を知ったのは比較的遅い時期だったんだよね。ネット上で僕たちの音楽と彼の音楽を比較する人が出始めたのがきっかけだったんだ。当初は、Chris Potter, Ben Wendel, Michael Brecker といったサックス奏者から影響を受けていたんだよ」
近年、サックスの響きをメタルに持ち込むバンドが増えていますが、BNG に RIVERS OF NIHIL や SLEEP TOKEN のような洗練された音色を期待するのは大間違いです。ByoNoiseGeneratorは、その名の通り、純粋な聴覚的狂気を詰め込んだ混沌を投下するのみ。グルーヴ感のあるスラム・ブレイクダウン、PRIMUS 風のギター・ファンク、頭蓋骨を粉砕するグラインドコアが、フリーフォーム・ジャズの暴力的な流れと混濁し、目まぐるしくその姿を変化させていきます。
3分にも満たないトラックに山ほどの音楽ジャンル詰め込み、インテンスを高めるその姿勢はまさに NAKED CITY の遺伝子そのもの。”ジャズ・グラインド”。複雑極まりないと同時に爆発的なエネルギーを秘めた BNG の楽曲は、狂気じみた拍子と魅惑的な官能のスウィングを見事に結びつけました。この陶酔的でしかしサブリミナルなノイズの荒波で踊ることこそ、2020年代に課せられた私たちの使命なのかもしれませんね。
今回弊誌では、ByoNoiseGenerator にインタビューを行うことができました。「でも真面目な話、この名前もコンセプト全体も、僕らのドラマーがロシアのサウナで亜酸化窒素を吸っていた時に、ちょっと狂った頭で思いついたものなんだよね。だから、その狂ったコンセプトが自然と僕たちの芸術的アイデンティティの一部になったというわけだよ」どうぞ!!

BYONOISEGENERATOR “SUBNORMAL DIVES” : 10/10

INTERVIEW WITH BYONOISEGENERATOR

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【BNG】: We all started from very different places. For about half of the band, childhood happened at a time when the internet wasn’t that widespread yet, so we listened to whatever we could get our hands on.
Anything from heavy/thrash/death metal to punk rock. For example, our guitarist got into heavy music and picked up the guitar after hearing a Static-X track while playing Need for Speed.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【BNG】: メンバーそれぞれ、音楽のルーツは大きく異なるよ。バンド・メンバーの約半数は、インターネットがまだそれほど普及していなかった時代に幼少期を過ごしたので、その時手に入るものは何でも聴いていたよ。
ヘヴィ・メタル、スラッシュ・メタル、デスメタルからパンク・ロックまで、あらゆるジャンルを聴いていたね。例えば、ギタリストは “Need for Speed” をプレイ中に Static-X の曲を聴いてヘヴィ・ミュージックにハマり、ギターを手に取ったんだ。

Q2: Are you connected to the Russian metal scene? Or have you been targeting bands outside the country?

【BNG】: Even though we don’t play shows that often, we stay connected to the Russian metal scene ― we keep in touch with a lot of musicians and bands.
We also try to stay connected with bands outside the country. We’ve got a lot of great memories and friendships from our European tour.

Q2: 地元ロシアのメタル・シーンとの繋がりはあるんですか?それとも、国外により目を向けているんですか?

【BNG】: ライブ活動はそれほど頻繁には行っていないんだけど、ロシアのメタル・シーンとは繋がりを保っているよ。多くのミュージシャンやバンドと連絡を取り合っているんだ。
同時に、国外のバンドとも繋がりを保つようにしているよ。ヨーロッパ・ツアーでは、たくさんの素晴らしい思い出と友情が生まれたんだ。

Q3: ByoNoiseGenerator is exactly the right name for your music, why did you decide on this name?

【BNG】: As you pointed out ― it fits our music, so that’s why we picked it.
But seriously, both the name and the whole concept came from our drummer’s slightly deranged mind while he was inhaling nitrous oxide in a Russian sauna. So yeah, it kind of naturally became part of our artistic identity.

Q3: ByoNoiseGenerator というバンド名は、まさにあなたの音楽にぴったりですね。なぜこの名前を選んだのですか?

【BNG】: 君が言う通り、僕たちの音楽に合っているからこそ、この名前を選んだんだ。
でも真面目な話、この名前もコンセプト全体も、僕らのドラマーがロシアのサウナで亜酸化窒素を吸っていた時に、ちょっと狂った頭で思いついたものなんだよね。だから、その狂ったコンセプトが自然と僕たちの芸術的アイデンティティの一部になったというわけだよ。

Q4: Still, I’ve never heard music as chaotic as yours!Technical grindcore, free jazz, Primus-like grooves with Mr. Bungle-like progressive developments. Why did you decide to make such chaotic, avant-garde music?

【BNG】: “Nothing is true, everything is permitted.”
When we started playing this kind of avant-garde stuff, we made a conscious decision not to limit ourselves with genre boundaries. We began with pure experimentation, and we’re still sticking to that approach.
Our earlier releases leaned more towards death/grind, while the latest one has a stronger mathcore influence, brought in by our newer members Dima and Semyon.
Overall though, the band’s direction has always been about creating максимально intense music ― because physical exercise keeps you strong and young.

Q4: それにしても、あなたたちほどカオスな音楽は聴いたことがありません!
テクニカル・グラインドコア、フリージャズ、PRIMUS のようなグルーヴに Mr. Bungle のようなプログレッシブな展開。なぜこんなにカオスでアヴァンギャルドな音楽を作ろうと思ったのですか?

【BNG】: 「正しい音楽などは決してない。すべてが許される」
こういうアヴァンギャルドな音楽を演奏し始めた時、僕たちはジャンルの枠にとらわれないことを意識的に決めたんだ。純粋な実験から始め、今もその姿勢を貫いているよ。
初期の作品はデス/グラインドコア寄りだったけど、最新作は新メンバーの Dima と Semyon がもたらしたマス・コアの影響がより強くなっているね。
とはいえ、バンドの方向性は常に、最強に極めて激しい音楽を作ることにある。なぜなら、身体を動かすことは、強くて若々しくいる秘訣だからね。

Q5: Many people must feel John Zorn’s genes when they listen to your music.In fact, does his music and use of the saxophone influence you?

【BNG】: We actually discovered Zorn relatively late. It happened after people online started comparing our music to his.
Initially, we were more influenced by sax players like Chris Potter, Ben Wendel, and Michael Brecker.
That said, John Zorn had a huge impact on our sax player Shela in his early years. He learned improvisation and phrasing largely through studying Zorn and Naked City.
So yeah ― the answer isn’t entirely straightforward, as you can see.

Q5: あなたたちの音楽を聴くと、John Zorn の影響を感じる人も多いのではないでしょうか。実際、彼の音楽やサックスの使い方は、あなたたちに影響を与えていますか?

【BNG】: 実は、John Zorn を知ったのは比較的遅い時期だったんだよね。ネット上で僕たちの音楽と彼の音楽を比較する人が出始めたのがきっかけだったんだ。
当初は、Chris Potter, Ben Wendel, Michael Brecker といったサックス奏者から影響を受けていたんだよ。
とはいえ、John Zorn は、サックス奏者の Shela が若い頃に大きな影響を受けている。Shela は Zorn と NAKED CITY を研究することで、即興演奏やフレージングを多く学んだんだ。
だから、メンバーによって異なるんだよね。

Q6: Interestingly, your music reminded me of the soundtrack to the Japanese anime Cowboy Bebap.It’s strange that grindcore reminds me of such music (lol), but do you actually have any Japanese anime, video games, or music influences?

【BNG】: Japanese culture hasn’t directly influenced our music, but it’s worth mentioning that we all grew up watching iconic anime and films like Evangelion, Berserk, Tetsuo: The Iron Man.
All of that stuff feels incredibly weird and mesmerizing ― at least from a European perspective. Maybe our music creates a similar feeling for listeners.

Q6: 面白いことに、あなたの音楽は日本のアニメ “カウボーイ・ビバップ” のサウンドトラックを想起させますよ。グラインドコアがそんな音楽を連想させるなんて不思議ですが(笑)。
そうした、日本のアニメやゲーム、音楽から影響を受けたことはありますか?

【BNG】: 日本の文化が直接僕たちの音楽に影響を与えたわけではないけど、僕たちは皆、”エヴァンゲリオン”, “ベルセルク”, “鉄男” といった名作アニメや映画を見て育ったことは特筆すべきだろうね。そうした作品は、少なくともヨーロッパの視点から見ると、信じられないほど奇妙でだけど魅惑的なんだ。
もしかしたら、僕たちの音楽もリスナーに同じような感覚を与えているのかもしれないね。

Q7: Originally, grindcore and death metal were two separate things, but in recent years the two have come closer together, with a proliferation of bands that are now being referred to as death grind. You also combine the impulse and sociality of hardcore with the complexity and technique of death metal, which do you consider more your roots?

【BNG】: Like we said earlier, it all started with death metal and its variations. Later, we began incorporating more grind and mathcore elements.
We genuinely love all these genres musically, but we deliberately distance ourselves from the typical lyrical themes associated with them.
We don’t want our music to be tied to the exaggerated brutality of death metal or the socio-political messaging often found in grindcore.

Q7: 元々、グラインド・コアとデスメタルは別々のジャンルでしたが、近年は両者が接近して “デス・グラインド” と呼ばれるバンドが増えています。
BNG もまた、ハードコアの衝動と社会性に、デスメタルの複雑さとテクニックを融合させていますが、どちらがよりあなたのルーツだと考えていますか?

【BNG】: 先ほども述べたように、すべてはデスメタルとその派生ジャンルから始まったんだよね。その後、グラインド・コアやマス・コアの要素をより多く取り入れるようになったんだ。
僕たちはそうしたジャンルを音楽的に心から愛しているけど、凶悪な音楽に典型的に見られる歌詞のテーマからは意図的に距離を置いていてね。
僕たちの音楽が、デスメタルの誇張された残虐性や、グラインド・コアによく見られる社会政治的なメッセージと結びつくことは望んでいないんだ。

Q8: Since 2020, pandemic happened, divisions are growing, and your country is at war. What can heavy music do in such a dark world?

【BNG】: We believe heavy music should keep doing what it has always done ― bringing people together, giving them a way to release emotions and energy, and helping them get through all this darkness.

Q8: 2020年以降、パンデミックが発生し、分断が深まり、遂にはあなたの国は戦争状態にあります。このような暗い世界で、ヘヴィ・ミュージックは何ができるでしょうか?

【BNG】: 僕たちは、ヘヴィ・ミュージックはこれまで通り、人々を結びつけ、感情やエネルギーを発散させる手段を提供し、この暗闇を乗り越える手助けをし続けるべきだと信じているよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED BNG’S LIFE!!

The Tony Danza Tapdance Extravaganza “Danza III”

the album that got me into mathcore (Halo)

Metallica “Master of Puppets”

the album that got me into heavy music (Tim)

Pink Floyd “The Wall”

because I like worms (Shela)

Yüth Forever “Freudian Slip”

such an underrated album that takes the best from nu metal, math metal, and metalcore and delivers it in a full-force blast of aggression, anxiety, and depression — just hits you straight in the face (M1t)

Foetopsy “In the Bathroom”

Almighty Jon Engman completely changed my drumming (Nox)

MESSAGE FOR JAPAN

We’re really happy that people in Japan are interested in what we do. Hopefully, one day we’ll get to visit your country, play a couple of shows, and fulfill our vocalist’s childhood dream!

日本のみんなが僕たちの音楽に興味を持ってくれたことを、本当に嬉しく思うよ。いつか日本に行けることを願っている。君たちの国でライブを行い、ボーカリストの幼い頃からの夢を叶えたいね!

BYONOISEGENERATOR

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CRYPTOPSY : AN INSATIABLE VIOLENCE】JAPAN TOUR 25′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATT MCGACHY OF CRYPTOPSY !!

“What AI Can’t Replicate Is “Feel”. Flo Has a Groove, a Pulse, a Sense Of Tension And Release That’s Completely Human. He’s Not Just Playing Fast ― He’s “Telling a story” Through His Drumming.”

DISC REVIEW “AN INSATIABLE VIOLENCE”

「AIが再現できないのは、”フィール” だ。Flo にはグルーヴがあり、パルスがあり、緊張感と解放感があり、それは完全に人間的なもの。彼はただ速く演奏しているのではなく、ドラミングを通してストーリーを語っているんだよ。いつプッシュし、いつ抑えるのか、ライブの瞬間にどう乗って観客のエネルギーを高めるのか。 あとは直感だね。それをプログラムすることはできない。魂を偽ることはできないからね。それこそが Flo を伝説的な存在にしている理由であり、どんなアルゴリズムも彼に取って代わることができない理由なんだ」
SNS に支配された世界。AI が生み出すヒット・ソング。ほんの10年前にはSFでしかなかったテクノロジーのシンギュラリティ、アートにおけるディストピアが目前に迫っています。人が作曲し、演奏する。そんな当たり前だった音楽の根源が揺らぎ始めた世界においても、テクニカル・デスメタルの頭領 CRYPTOPSY が揺らぐことはありません。なぜなら、その心臓である Flo Mounier のドラム、その魂とフィール、そして人間としての “ストーリー” は決してプログラムすることは出来ないから。
「AIは敵ではないよ…しかし、注意と責任を持って扱うべき強力なツールには違いないね。確かに、AIは技術的には CRYPTOPSY の音楽のスピードや複雑さを再現することはできる。だけどね…人間の意図、欠点、魂、音楽の背後にある “ストーリー” を再現することは “決して” できないんだよ。メタルが進むべき道はまさにそこなんだよ。つまり、人間の経験なんだ」
CRYPTOPSY が29年前に “None So Vile” で大ブレイクを果たした時、世界は Flo のドラミングを “人智を超えたスピード、テクニック” と大絶賛しました。しかし今や、AI はスピードやテクニックだけなら悠々とその基準を凌駕することができるでしょう。では、人間はAIに敵わないのでしょうか?否。AIが0.01秒で制作した楽曲には “背景” がありません。Flo Mounier という達人が50年の人生で培ってきた “ストーリー”。癖や失敗、進化の過程、そして何より魂と情熱の炎は、AI がいくら進化しても決して再現することはできません。そして、シンギュラリティを目前に控え、ヘヴィ・メタルが目指すべき場所もまた、その何かを伝える、物語る “ストーリー” と情熱の煌めきに違いありません。
「エクストリーム・メタルは “解放” を提供する。こうした音楽は人々に、彼らの痛み、怒り、混乱を洗い流す場所を与え、それを力強いものに変える手助けをする。そしてこうした音楽はコミュニティを生み出す。メタルは、”暗闇の中にいても君は孤独ではない” と言ってくれるんだ。これほどまでに分断された世界で、メタルはあらゆる文化、あらゆる背景を持つ人々をひとつにする。混沌の中にカタルシスがある。残虐さの中に美がある。 だからこそメタルは重要なんだ。だからこそメタルは、時に文字通り、人々が “生き残る” ことを助けるんだよ」
そう、ヘヴィ・メタルはこの激しく分断された世界においても、孤独と痛みを洗い流し、様々な文化、背景を持つ人たちをひとつにつなげる “ストーリー” を語ることができます。CRYPTOPSY の最新作 “An Insatiable Violence” で彼らが扱ったのは SNS の狂気。私たちは、誰かの悪意あるノイズ、嘘、噂話、そしてネガティブなポストをスクロールして悦に浸る奇妙な SNS 中毒に犯されています。しかし、そうした負のドーパミンから活力を得られるはずもなく、結局私たちは大きな時間を割いて、自らを虐げ続けていると今回のインタビューイ Matt McGacy は語ります。
だからこそ、”痛み” や “怒り”、”孤独” を解放するヘヴィ・メタルは、今の世に必要なのです。教養にあふれ、それが悲劇であれ、美談であれ、正直にストーリーを語り、世界をつなぐヘヴィ・メタルが貴重なのです。
「Flo は技術に敬意を払い、真剣に取り組んでいる。 しかしそれ以上に、彼は自分のやっていることが大好きなんだよ。成長したい、学びたい、挑戦したいというハングリー精神があれば、年齢は関係ない。むしろ、年齢は追い風になる。Flo が今も進化し続けているのは、彼が決して満足しなかったからだ。彼は常に向上心を持ち続け、それこそが彼を止められない、アンストッパブルな存在にしているのだ」
その正直さは結局、メタルが好き、楽器が好きという気持ち、情熱から生まれています。エクストリームなメタル・ドラムの教科書を制定した Flo Mounier でさえ、”A Insatiable Violence” においてその技巧と直感に磨きをかけています。もっといえば、CRYPTOPSY というバンド自体が、その伝説を基盤としつつ、”アクセシブル” という新たな領域へと挑んでいます。
悪辣でありながらフィーリングに満ちたフックと即座に耳に残るメロディが、熟練と技術のフィルターを通過して狂気と残忍のデスメタルに染み渡ります。そう、彼らは王座に胡座をかくことなく、遺産を尊重しつつも超越、濃密で毒霧のようななサウンドスケープを解き放って、メタルにおける情熱の物語を見事に語って見せたのです。血に飢えた、慌ただしい作品で容赦なく、不安を煽りながら。
今回弊誌では、フロントマン Matt McGachy にインタビューを行うことができました。「ポストロック・バンドの MONO が大好きなんだよ。彼らの音楽は信じられないほど感動的で、アトモスフィアがあり、感情的だ。歌詞を書いているときや、ショーの後にリラックスしているときに、よく MONO を聴くんだ。美しく、力強い音楽だ」バンドはニ度目の登場。  Flo には VLTIMAS でもインタビューを行っています。どうぞ!!

CRYPTOPSY “AN INSATIABLE VIOLENCE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【QUADVIUM : TETRADOM】 STEVE DI GIORGIO SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEVE DI GIORGIO OF QUADVIUM & TESTAMENT !!

“You Can Make a Fretless Sound Like Fretted If You Want, But You Can Never Make a Fretted Sound Like a Fretless…The Fretless Bass Is Just So Much More Expressive And Has a Greater Distance From The Guitar.”

DISC REVIEW “Tetradōm”

「異なるサウンドを作るために実験的にエクストリーム・サウンドにフレットレスを持ち込んだんだ。もし望むなら、フレットレスをフレット付きのように鳴らすことはできるけど、フレット付きをフレットレスのように鳴らすことは決してできない……フレットレス・ベースの方が表現力が豊かで、ギターとの距離もとても近いんだ」
メタル世界で “フレットレス”、つまりヴァイオリンのようにフレットのない楽器は今や珍しいものではありません。ベースはもとより、Tom Fountainhead のようにギターにまでその波は広がっています。フレットを取り払った異次元的で滑らかな音色は、どんな楽曲にもえもいわれぬ独特な風味を加え、メタルの幻想と宇宙を深化させてくれるのです。
「DEATH は僕にとってすべてを意味する。Chuckは僕にミュージシャンとして成長するチャンスを与えてくれたし、何より他の人たちが注目できるよう僕をメタルの地図に載せてくれたんだからね。もちろん、”Individuals” の2年前には、僕にとってとても重要なアルバムに参加していたんだけどね… “Human” だよ。CYNIC の才能ある連中と一緒に、あんなに若くしてデスメタルの景色を変えたんだからね。あの作品で新しい方向への扉が開かれ、まったく新しいジャンルが生まれたんだ」
Steve Di Giorgio はそんなフレットレスの魔法をメタルに持ち込んだパイオニアのひとり。今は亡き Chuck Schuldiner が作り上げた DEATH の “Human” は、硬質なメタル世界に “浮遊感” という宇宙を持ち込みました。その新たな景色を描くために Chuck が必要としたのが、ジャズ/フュージョンに精通した CYNIC の面々と Steve のフレットレス・ベースだったのです。
そう、いつだって “壁” を壊すのは “奇抜” にも思える挑戦的なアイデア。以来、エポック・メイキングな “Human” は、テクニカル/プログレッシブ・デスメタルの金字塔となり、フレットレスはメタルの異世界を描く貴重な筆のひとつとなっていったのです。
「僕たちが若く、影響を受けながら成長していた頃、ベースは曲にとって他の何よりも重要だった。だけど、残念ながら90年代にはインスピレーションに溢れたベース演奏が乏しくなり、それは新世紀に入っても続いた。しかし、ここ10~15年の間に、非常に優れた、創造的なスタイルを持つ新しい世代のベーシストが現れ、メタルの中にベースの重要性を取り戻しつつあると思う。ベースが影から出てくると同時に、バンドをサポートし続けることが一般的になってきているんだよ」
始まりの場所 SADUS から、Steve が家と呼ぶ TESTAMENT、ARTENSION や SOEN、果ては MEGADETH まで果てないベースの旅を続ける Steve。そんな彼の挑戦と求道の中でも、QUADVIUM ほど “奇抜な” 試みは初めてでしょう。そう、QUADVIUM にはフレットレス・ベースの達人が Steve 以外にもうひとり、存在するのです。Jeroen Paul Thesseling。OBSCURA や PESTILENCE で名を成したオランダの奇才が加わることで、QUADVIUM はまさに前代未聞の “異質” な物体となりました。
“多弦フレットレス・ベースをさらに進化させたら?” をコンセプトに掲げる QUADVIUM。アルバム “Tetradōm” は、DEATH, CYNIC, ATHEIST, PESTILENCE といった90年代のテクニカル・デスメタルと、現代的なフュージョン・プログ・メタルを基盤とし、楽器の攻撃性と滑らかでジャジーなコード進行、そしてフレットレスの浮遊感、宇宙的景観を巧みに融合させながら、特徴的なダブルベースのサウンドを際立たせていきます。
次から次へとアイデアが飛び交うメタルの迷宮。アストラルな静寂の海、幻想的なハーモニーを切り裂く技巧と激情のインテンション。ふたりのベースの達人は、どちらが主役をはるでもなく、まさに Steve が語る表に出ながらサポートするというこの楽器の理想型を見せつけていきます。
ベースの進化はメタルの進化。「Chuck はよりオープンでメロディアスなギター・リフ・スタイル、”Human” や “Individual” のより創造的なやり方に戻るために僕のベースが必要だと感じていたんだ。でも、僕たちが2作目の CONTROL DENIED の計画を立てている最中に、彼の健康状態が悪化し、完成させることができなくなってしまったんだ。とても、悲しかったよ…それは、その音楽が彼の最も冒険的な楽曲であったからというだけでなく、いや、それ以上に僕たちが出会った1986年、アルバム前のデモの時代からずっと良い友人であったからなんだ。僕はひとりの親友を失い、世界はユニークな先見の明を失った」 TESTAMENT の新作も控えています。Steve Di Giorgio です。どうぞ!!

QUADVIUM “TETRADOM” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HIDEOUS DIVINITY : UNEXTINCT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ENRICO SCHETTINO OF HIDEOUS DIVINITY !!

“Metal Sex Workers Degrading Metal” Makes No Sense At All, Especially Because The Metal Community Always Claims To Be The Most Open-Minded And Inclusive Of All Music Communities.”

DISC REVIEW “UNEXTINCT”

「僕らのマネージャーはずいぶん前から、日本がいかに重要か、そしてSNSやTwitter/X を正しく使って日本のファンと接触する方法を理解していた。時間と労力がかかることだが、最終的には報われる。ファンと個人的な対話をすることができれば(Tito はその達人だ)、アーティストはファンにとってより大きい存在になるだろう。日本で僕たちにアプローチしてくるファンは、言葉の壁があるにもかかわらず、僕たちを “より身近な存在” だと感じていることに気づいた。とても誇らしく、謙虚な気持ちになったよ」
世界は今や、SNSがすべての中心にあります。それは音楽の世界も同じ。知名度を高め、人気を得るために SNS の効果的な運用は不可欠でしょう。HIDEOUS DIVINITY と彼らが所属するイタリアのレーベル Death To All は、そうした状況を深く理解しています。
彼らは特に、日本のマーケット、その重要性を認識していて、SNS を日本語でも運用。こまめにチェックとエゴサを重ねて、言及のあったアカウントにいいねやリプライを送ることも欠かしません。それはたしかに、時間と労力を消費する裏の仕事ですが、資金をかけることなくマーケティングが可能な金の卵でもあるでしょう。遠く離れたファンとつながれる、幸せな時間でもあるはずです。そうして実際、HIDEOUS DIVINITY 初の日本ツアーは大盛況のうちに幕を閉じたのです。
「正直、あの時は彼女の職業については知らなかったんだ!”メタルのセックス・ワーカーがメタルの品位を落とす” というのは、まったくもって筋が通っていない。特にメタルのコミュニティは、あらゆる音楽コミュニティの中で最もオープン・マインドで包容力があると僕は常に主張しているのだから。一部の例外を除いて、メタル世界に差別的なエピソードは見当たらない。 もちろん、世界は愚か者でいっぱいだ。だからメタルを聴くバカもたまにはいるだろうが、それについて我々ができることはほとんどないんだよな」
一方で、SNS には暗い側面も存在します。誹謗中傷や差別の助長。HIDEOUS DIVINITY の日本公演にゲストとして招待されていたあるセックス・ワーカーのポストについて、”セックス・ワーカーがメタルに言及すると、メタルの品位が落ちる” と発言するアカウントが現れました。
さて、モダン・メタルの “品位” “品格” とは何でしょうか?個人的に、それは Enrico のいうように、包容力、寛容さ、そして教養だと感じています。人種や文化、性別や職業に貴賤がないことは、現代を生きる人々にとってまさに不文律といえます。その不文律こそ、人類が、そしてメタル世界が長い年月をかけて培ってきた知性であり、教養であるはずです。そこに、”区別” と称して差別や抑圧を持ち込むことこそ、前時代的であり、”メタルを聴くバカ” に違いありません。
せっかく、我々はどんなジャンルよりも多様で幅広いテーマを扱う、”教養” を養えるヘヴィ・メタルの世界にいるのです。その “教養” を粗末にするような SNS の使い方は避けるべきでしょう。
「僕たちの音楽が歓迎され、高く評価されたのを見ると、日本のファンを増やすことはできると思う。熱狂的で情熱的なデスメタルのファンに沢山会ったけど、彼らの多くは、UNBIRTH や PUTRIDITY といったイタリアの他のバンドのファンだった。僕たちはただブルータルなデスメタル・バンドではなく、他の方向に向かっていると思うから不思議なんだけど、それでもフィードバックはとても良かったんだ」
実際、多くの日本のファンは寛容だったようです。HIDEOUS DIVINITY の音楽は、決して一筋縄ではいきません。実に哲学的でテクニカルでありながら、暴力的で混沌したノスフェラトゥ。相反する要素を併せ持つ、彼らのテクニカルでプログレッシブなデスメタルを追求するリスナーは決して多くはないでしょう。それでも、日本のリスナーは、決して最推しではなくても、彼らの音楽に耳を傾け、理解しようと努力し、愛情を注ぐようになりました。もちろん、音楽の “品位” が高いことは当然ですが、そうして好奇心と寛容さでメタルの世界が広がることこそ、SNS 時代において最も美しい光景ではないでしょうか?
今回弊誌では、ギター・マイスター Enrico Schettino にインタビューを行うことができました。「日本のSNSにおける、トレンディング・トピックの達成は信じられなかったよ!日本に惹かれる理由はメンバーそれぞれだと思う。Enrico・H はアニメの世界に最も造詣が深いかもしれないし、メンバーみんなが80年代や90年代に人生を変えたビデオゲームを知っている。 個人的に、僕にとっての日本とは、黒澤、北野、葉隠、そして相撲だ。 一般的に、僕はいつも西洋の基準とは全く異なる世界に魅力を感じていたんだよ」 どうぞ!!

HIDEOUS DIVINITY “UNEXTINCT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHANGELING : CHANGELING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOM “FOUNTAINHEAD” GELDSCHLÄGER OF CHANGELING !!

“Hans Zimmer Famously Said That His Music Is Not Original, But It Is The Sum-total Of All The Music That He’s Consumed In His Life – And That Is Also True For Me.”

DISC REVIEW “CHANGELING”

「Hans Zimmer の有名な言葉に、”自分の音楽はオリジナルなものではなく、人生で消費してきた音楽の総体である” というものがある。そしてその言葉は、僕にとっても真実なんだ。僕は若い頃からオーケストラ音楽に興味があり、10代で初めてレコーディングしたときから、さまざまな種類の楽器を重ねたりオーケストレーションしたりすることで、ロックバンドのサウンドを超えることを試みていた。まだ10代の頃に書いた曲を収録した僕の最初のソロ・アルバムでさえ、オーケストラ・パートや世界中のパーカッション・サウンドがあり、さまざまなジャンルや音楽の伝統から影響を受けている。それが僕の頭の中の音楽の聴こえ方なんだと思う」
“モダン・メタルの歴史上最高傑作のひとつ”。AMOGH SYMPHONY で共闘した Vishal J Singh は、戦友 Tom “Fountainhead” Geldschläger の新たな旅路をこう称賛しました。その言葉は決して大げさなものではありません。長年、艱難辛苦に耐え抜いたフレットレス・モンスターは、これまでの人生と音楽体験をすべて注ぎ込み、モダン=多様を完璧なまでに体現しためくるめくメタル・アートを遂に完成させたのです。
「メディアだけでなくギター業界も、僕のプロとしての全生涯を通じて僕の作品をほとんど無視してきたからね。そしてもちろん、世界各国のアルバム・チャートにランクインした “Akroasis” を通して、ようやく世界中の聴衆に僕の作品を聴いてもらえたというのに、OBSCURA のバンド・リーダーによって、”Tom のパートを再録音した”、”アルバムにはフレットレス・ギターがない”、”Tom はスタジオでギターのチューニングもできない” と嘘の中傷キャンペーンを展開されたときがその最たるものだったね。それだけでなく、僕のビデオはほとんど削除され、僕のソーシャルメディア・ページは何度もハッキングされ、いじめられたり、せっかく僕の活動に興味を持ってくれていたオーディエンスから切り離されたりするケースもたくさんあった。だから、そうした僕の旅路が “Changeling” でやっとメディアの注目を得ただけでね。このアルバムを聴いて、斬新だと思われるのはよくわかるけど、実は僕はもう20年くらいフレットレスでメタルやそれに関連するスタイルを演奏してきたんだ」
Fountainhead が正当な評価を得るのにここまで時間がかかったのは、あまりに遅すぎたとしか言いようがありません。そして皮肉なことに、その評価の妨げとなっていたのは他でもない、彼を世に送り出した OBSCURA の “Akroasis” だったのです。
実際、Fountainhead は OBSCURA の最も野心的な作品となった “Akroasis” の源泉でした。15分の “Weltseele” では東洋の影響と弦楽五重奏を加え、魅惑の実験的スタイルでアルバムを締めくくるなど Fountainhead の貢献、その大きさは誰の目にも明らかであったにもかかわらず、近年よりその人間性が疑問視される OBSCURA の首領 Steffen Kummerer によって彼の存在は抹殺されてしまったのです。しかし豊かな才能は決していつまでも草庵で燻るべきではありません。遂に臥薪嘗胆が報われる日が訪れたのです。まさにメタルの回復力。
「フレットレス・ギターの長所と短所だけど、普通のギターではできないことを実現してくれる。微分音、グリッサンド、ハーモニクスをスライドさせたり、指板を縦よりも横に動けたり…本当にとても楽しいんだ。ただし、コードとなるとできることには限界があって、高音域でのサスティーン、演奏性にも限界がある。また、僕がよく使うメタル・フィンガーボードとブラス・ピックを使っても、ハイエンドを出すには限界があるんだ。だから、”フレットのない普通のギター” ではなく、”ユニークな目的&シチュエーションのためのユニークな楽器” としてアプローチするのが一番効果的なんだよね」
まずこの作品を特別なものにしているのが、Fountainhead のトレードマークであるフレットレス・ギターでしょう。フレットのない耳が頼りの弦楽器は、当然その習熟により大きな労力と鍛錬を必要としますが、あの Bumblefoot に薫陶を受けた Fountainhead にとってこの楽器はむしろ水を得た魚。輝くメタル・フィンガーボードで、この音楽にとって異質な夢幻の世界をフレットレス・ベースと共に紡ぎ上げていきます。
「アルバムのオーケストラ・パートの99%は本物の楽器なんだ。そう、それはとても大変で長いプロセスだった。既存のオーケストラと協力して、大きな部屋ですべてを生録音する手段がなかったからだ。 その代わり、数年かけていろいろな楽器やラインをいろいろな場所で録音した。そのために、さまざまなプレイヤーを起用する必要があったんだ。このアルバムのコンセプトのひとつは、曲ごとにまったく異なる形のオーケストレーションにすることだったから」
とはいえ、フレットレスの異端でさえこの作品にとっては飾りのひとつに過ぎません。ALKALOID, FEAR FACTORY, VIPASSI, DEATH, CYNIC といった強力なメンバーを礎に、混成合唱から、チェロ、フルート、ホーン、ピアノ、チューバ、ヴァイオリン、ヴィオラなど、あらゆる楽器でデザインされたテクニカル・デスメタルの宮殿は、ジャズ・フュージョン、プログレッシブ・ロック、ワールドミュージックを融合してまだ見ぬメタル景色を映し出していきます。アルバムを通して何度も登場し、クライマックスで花開くモチーフの成長も見事。そして、野心という実験音楽における諸刃の剣をしっかりと制御し、地に足のついたメタル・アルバムとして完成させたバランス感覚もまた見事。
今回弊誌では、Tom “Fountainhead” Geldschläger にインタビューを行うことができました。「”Changeling” には日本文化から直接影響を受けた曲が1曲あってね。”Abdication” なんだけどこの曲は、僕が最も影響を受けた音楽家の一人である久石譲の和声言語とオーケストレーション・スタイルを取り入れたものなんだ」これまで何度も弊誌に登場してくれている Morean の声も素晴らしいですね。どうぞ!!

CHANGELING “CHANGELING” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FROGG : ECLIPSE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SKY MOON CLARK OF FROGG !!

“Obviously I LOVE Tech Death, But Yes, One Has To Admit There’s a Formulaic Approach To Both Production And Songwriting In The Genre.”

DISC REVIEW “ECLIPSE”

「特定のサブジャンルにこだわる必要なんてなくて、どんなアイデアも排除したくなかったんだ。 だから “Eclipse II” にはメタル・コア、Djent、フュージョンの要素があり、Will が演奏した何十種類もの楽器を使ったギター・ソロ・セクション、特にファースト・ソロで目立つタブラの妙技、そして黒く染まったシンフォニック・デスメタルのアウトロまでがある。 まさにそれが僕たちが感じていたものだった」
“Frogging the Horses” という SikTh の狂った名曲がありますが、Frogg の二つ名はプログ世界にとってはどうやら僥倖。”どんなアイデアも排除しない” という意味で、明らかにニューヨークのセンセーション FROGG はあの SikTh の魂を受け継いでいます。いや、SikTh だけではありません。00年代、SikTh と “カオス” の覇権を激しく争った PROTEST THE HERO の高鳴るギター・メロディ。ANIMALS AS LEADERS の超重低音とシステマティックな陶酔。BETWEEN THE BURIED AND ME の驚異的で雑多な構成力。NECROPHAGIST の性格無比な超速暴威。そうした21世紀を代表するプログ・メタルを養分として蓄えた巨大なカエルが今、メタルの境界をすべて飲み込みます。
「間違いなく Alexi Laiho だね。 僕がギターを弾き始めたのは高校1年生のときで、かなり後発組だった。 でも、ギター中毒になってしまって、ギターを弾くのを止められなかったよ。僕はPCゲーマーだったから、ネットで独学する方法を知っていたんだ。 Ultimate Metal Forums と sevenstring.org は、当時ギターを学ぶのに人気のサイトだった。まだYoutubeのコンテンツが豊富ではなかったから、フォーラムとギター・タブが主流だったね。僕は地元でフルタイムのインストラクターを雇う余裕がなかったから、Guitar Proが最初の先生だったよ」
そうした21世紀の多様性に FROGG はギター・ヒーローの魂を持ち込んでいます。奔放でカラフル、まるでメインストリームのポップ・ミュージックのように光り輝く “Wake Up” においても、Alexi Laiho から受け継いだ高速の “ピロピロ” がメタルの証を主張します。
実際、”フロッゲンシュタイン” などと例えられるパッチワークな FROGG の音楽において、Sky Moon Clark と Brett Fairchild のシュレッドがすべてを縫い合わせている、そんなイメージさえリスナーは感じることになるでしょう。Alexi Laiho と Guitar Pro の遺産が実りをもたらす時代になりました。”Double Vision Roll” なんて実に COB ですよね。
そうして紡ぎ出されるのは、テクニカル・デスメタルらしからぬスケール感と意外性、そしてお洒落なムード。空想的なメロディ、短いポップなブレイク、奔放な音楽的ショーマンシップに自由を見出した薔薇色のメタル。今の時代、”テック” だけでメタル世界の水面に波紋を広げることはできません。しかし、FROGG の棲む水面にはステレオタイプに飽きたリスナーが渇望する、ぞわぞわとしたカタルシスとカエルが舌を伸ばすようなお茶目な驚きと遊び心が混じった何かが渦を巻いています。まさに新時代のメタル両生類。
今回弊誌では、ボーカルも務める Sky Moon Clark にインタビューを行うことができました。「Will(ドラマー)はこのアルバムのもう一人の主要なソングライターで、BTBAM や SikTH に影響を受けている。 THE FACELESS, COB, SCAR SYMMETRY にはもっと影響を受けたと思う。 FFO (For Fans Of) にBTBAMに入れたのは、彼らが DIABLO SWING ORCHESTRA や UNEXPECT と並んで Will に大きな影響を与えたからなんだ」 UNEXPECT!!ARSIS の名盤を挙げているのも嬉しい。また Emma のショルキーが最高よね。どうぞ!!

FROGG “ECLOPSE” : 10/10

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MASTERPIECE REVIEW + INTERVIEW 【ATHEIST : PIECE OF TIME, UNQUESTIONABLE PRESENCE】 JAPAN TOUR 25′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KELLY SHAEFER OF ATHEIST !!

“In My Opinion, Death Has Zero To With The Pioneering Aspect Of Tech-metal, That Title Belongs To Atheist.”

DISC REVIEW “PIECE OF TIME” “UNQUESTIONABLE PRESENCE”

「もともとプログレッシブ・バンドや複雑な音楽が好きだったし、エクストリーム・メタルも好きだったから、そのふたつを組み合わせるのは自然なことだった。でも、それは決して意図的なものではなく、他の誰かになりたかった訳でもないんだよ。ただ自分たちがそうでありたかっただけで、でもありがたいことに、人々は私たちのユニークなアプローチを徐々に認めてくれるようになった。そして、私たちは自分たちの道を見つけたんだ。人々が最終的にそれを理解するまでには何年もかかったけどね」
デスメタルはその黎明期においてさえ、骨子である過激さに忠実であると同時に、境界を押し広げ、さまざまなサウンドを探求するジャンルとして進化を模索していました。それは、フロリダを一挙にデスメタルのメッカへと押し上げた MORBID ANGEL, OBITUARY, CANNIBAL CORPSE といった黎明期の偉人からの伝統。彼らにしても十二分に異様な音楽を叩きつけていましたが、それでも殻を破るバンドはいつの時代も出てくるものです。
特に90年代初頭には、デスメタルをそのコンフォート・ゾーンから脱却させ、よりプログレッシヴでテクニカルな道へと押し進めようとするバンドの波が押し寄せました。DEATH, CYNIC, PESTILENCE, NOCTURNUS といったバンドが、この奇抜でしかしあまりにも好奇心を誘う音楽の中心にいました。そして、そうしたバンドの “パイオニア” と自負するバンドこそ、ATHEIST です。
「CYNIC は私が契約するのを手伝ったバンドで、私は彼らのデモを Scott Burns と一緒に作った。Paul Masvidal と私は今でも数十年来の素晴らしい友なんだよ。
私の意見では、DEATH はテック・メタルのパイオニアという側面とは全く関係がない。そのタイトルは ATHEIST にこそ相応しい。DEATH は違う種類のメタルのパイオニアであり、プログレッシブになったのは CYNIC の私の子たちが Chuck Schuldiner と一緒になってからだ。それ以前の Chuck はとてもベーシックなプレイヤーだったからね」
もはや伝説となった CYNIC の Paul Masvidal や DEATH の Chuck Schuldiner をこのジャンルにおいては “ひよっこ” 扱いする ATHEIST の心臓 Kelly Shaefer。しかしその言葉に異論を唱える人は誰もいないでしょう。それだけ、ATHEIST と Kelly の功績はずば抜けていました。
「私にとってのお気に入りは、”Unquestionable Presence” だね。このアルバムでプレーしているすべての音を誇りに思う。でも、そうだね、4枚ともまったく違うアルバムだ。 そうなるべきだったんだ。だって、誰も同じアルバムを何度も聴きたくはないだろう。 でも、ATHEIST の雛形は “Unquestionable Presence” だと思うよ」
今年35周年を迎えた ATHEIST のデビュー・アルバム “Piece Of Time” は驚異的なテクニカル・スラッシュとデスメタルの要素をミックスした、オールドスクールでありながら破天荒、非常に狂暴なアルバムで、テクニカルな華やかさとプログレッシブな屈折がふんだんに盛り込まれた名品でした。
それでも ATHEIST の最高傑作に次の “Unquestionable Presence” を推す声が多いのは、おそらくプログレッシブ・デスメタル、テック・メタルというジャンルそのものの雛形を作り上げたから。この作品で彼らはオールドスクールなスラッシュ、デスメタルから離陸し、ジャズ/フュージョンがメタルといかに親密になれるかをその一音一音で証明していきました。
とはいえ、ソリッドなリフと辛辣なヴォーカルは健在。迷宮の中を浮遊して探索するような音楽の中で、リフはより複雑に、ギター・ソロは巧みさを増し、ベースとドラムは以前より遥かに印象的になりました。まだ Kelly はその巧みなギターを弾くことができましたし、ベーシスト Roger Patterson は悲劇的な死を遂げる寸前、このアルバムのためにベース・パートを書きあげていました。そうして、Roger の後任、CYNIC, PESTILENCE, ATHEIST を渡り歩いた稀代のベースマン Tony Choy の独特の音色はこのアルバムを真に特別なものへと昇華したのです。
今回弊誌では、Kelly Shaefer にインタビューを行うことができました。「テック・メタルは私たちから始まったのだけど、多くの人が私たちのアプローチを取り入れ、複雑な新天地へと進んでいったんだ。残念なことに、ジャズ・フュージョンとメタルを最初に激しく融合させたという点で、私たちが評価されることはほとんどないのだけどね」テック・メタルの起源、奇跡の初来日決定。どうぞ!!

ATHEIST “PIECE OF TIME” “UNQUESTIONABLE PRESENCE” : 10/10

ATHEIST ARE: Kelly Shaefer – lead vocals (1987–1994, 2006–present), guitars (1987–1994)
Dylan Marks – drums (2023-present)
Yoav Ruiz Feingold – bass (2019–present)
Jerry Witunsky – guitars (2023–present)
Alex Haddad – guitars (2023–present)

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【INGURGITATING OBLIVION : ONTOLOGY OF NOUGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FLORIAN ENGELKE & NORBERT MULLER OF INGURGITATING OBLIVION !!

“I Find The Now “Industrially” Standardized Production And Songwriting In Metal Music Boring And Annoying. It’s Become Boring As Hell.”

DISC REVIEW “ONTOLOGY OF NOUGHT”

「メタル・ミュージックは、今や “工業的に” 標準化されたプロダクションとソングライティングが退屈で腹立たしいものになった。地獄のようにつまらなくなった。こういう図式化された大量生産物の一部にはなりたくない。プログ・メタルの50%でさえ、画一化されている。もちろん挑戦すれば、ボツになったり、プロダクションを台無しにするリスクは常にあるけど、それを跳ね返していきたいんだ」
その並外れた生命力と感染力で世界中に種を蒔き、芽吹かせてきたヘヴィ・メタル。しかし、これほど裾野が広がった世界においても、真に挑戦的な音楽を志すアーティストは決して多くはありません。それはある意味当たり前のことでしょう。アーティストも我々と同じ人間です。普通に生活して人気を得、承認欲求を満たすためにはある程度 “アート” を犠牲にしてでも認知され売れることが必要だから。しかし、INGURGITATING OBLIVION にそんな “打算的” 考えは毛頭ありません。
「僕が常に心がけているのは、何よりもまず自分が好きで、個人的に満足できる音楽を作ることだ。それはアーティストの特権だ。僕たちは、ただ共有するのではなく、音楽を録音し、ある時点で発表/共有することを選んだ。これはもちろん、批判や嘲笑を浴びるリスクを伴う。信じてほしいのだけど、僕はメタル・シーンやそれ以外の世界で、僕たちのバンドをうっとうしい、気取っている、つまらない、長い、はっきりしない……何でもありだと心から思う何百人もの人々に会ってきた。幸いなことに、それでも僕はあまり気にしていない。僕たちの蛇行した複雑な音楽表現を楽しんでくれている素敵な人たちの輪があるから」
書籍を出版するほどの本物の哲学者 Florian Engelke 率いる INGURGITATING OBLIVION は、ただ自分たちが満足できる音楽と哲学のみを “Ontology of Nought” に記録しました。だからこそ、パターンも、手がかりも、建築的根拠も、どこにも見つからない。まったく脈絡がないままに、しかし壮大な迷宮が完成していく。デスメタルを名乗るものにこれほど迷わされ、興味をそそられたことは未だかつてありません。
不協和音、途切れ途切れのリズム、漆黒のインテンシティ、テクニカルなアルペジオ、フレットレスの夢幻、スポークンワード、呪術的なアトモスフィア、凶悪なノイズが結びついたアヴァンギャルドな地下大迷宮は1時間15分近くに及ぶ5曲からなり、さまざまな楽章に分かれています。忍耐強く、有機的に、しかし盲人が盲人を導くような意図と方向性をもって彼らの “バベルの図書館” は刻々と変化していきます。
「僕に言わせれば、人は形成期というものを経験する。僕の場合、それは MORBID ANGEL, OBITUARY, DISINCARNATE, MY DYING BRIDE といったバンドだった。彼らの印象は今でも僕の中に残っている。でもDjent全体は、ほんの短い間だけ楽しめたものだった。それがすべて過ぎ去り、印象が残って、次に進んだのかもしれないけどね」
彼らの生み出す音の迷宮は、Djent のように機械仕掛けで精密なものではありません。むしろ、デスメタルがその凶暴を発揮し始めた90年代初頭の、おどろおどろしい混沌を百鬼夜行の壮大さで実現した狂気。そこにバルトークやライヒのような現代音楽の実験や、フランク・ザッパとマイルス・デイヴィスの挑戦を込めた奇々怪界は真に唯一無二。だからこそ、有機的で、実存的で、革命的な音楽が生まれるのです。
今回弊誌では、INGURGITATING OBLIVION にインタビューを行うことができました。「僕らのバンド名が哲学的に聞こえる主な理由のひとつは、僕がある時期哲学を勉強していた(その後、言語学に科目を変更した)という事実そのものにあると思う。だから、自然と哲学的なことや根源的なことに関心を持つようになったんだ。いくつかの古典(孫子、老子、ソクラテス、プラトン、デリダ、ニーチェ、そして宗教的/精神的な経典の数々)を読み、政治的/哲学的な言説に親しみを持っているからね。2024年初頭、僕はRoutledgeから “The Ethical Bottomline(倫理的ボトムライン)” というタイトルの最初の本を出版したんだ」 Tom Fountainhead がフレットレス・ギターを奏でるツールはEBOW ( 弦に近づけるだけでサスティンをコントロールできるアタッチメント。バッテリー駆動でバイオリン、ホーンや木管楽器のようなハーモニーを奏でることができる)。どうぞ!!

INGURGITATING OBLIVION “ONTOLOGY OF NOUGHT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CARNOSUS : WORMTALES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CARNOSUS !!

“If Putting a Label On Ourselves, We Would Probably Say Progressive Semi-Technical Melodic Thrash-Infused Death Metal? Our Sound Really Is a Mixture Of a Lot Of Influences.”

DISC REVIEW “WORMTALES”

「もし自分たちにラベルを付けるとしたら、”プログレッシブ・セミ・テクニカル・メロディック・スラッシュ・インフューズド・デス・メタル” とでも言うのかな?そんな感じかな。僕らのサウンドは実に多くの影響をミックスしたもので、それがテクニカルに聴こえる要因にもなっているかもしれない。でも、僕らがいつも “典型的なスウェーデン人” に聴こえないのは、おそらくアメリカのバンドからのインスピレーションによるものだろう」
テクデスの巨人 NECROPHAGIST が眠りについておよそ15年。数多のバンドが彼らの足跡を追おうとしましたが、その偉業に近づけた者は決して多くはありません。その理由は、おそらく NECROPHAGIST の “本質” を見誤っていたから。
もちろん、NECROPHAGIST はあの時代にしては異次元の複雑さと速度、そしてテクニックを纏っていましたが、そこにだけ囚われていたわけではありません。むしろ、そうした “オリンピック” 的離れ業の裏側に、恐ろしいほどに練り込まれ、書き込まれたリフやソロの類稀なる名脚本が存在していたのです。テクデスの魔法に必要なのは、BPM だけではありません。逆に言えば、そこを理解し、努力を重ねた ARCHSPIRE や FIRST FRAGMENT は自らの個性も際立たせながらテクデスの階段を登っていくことができたのです。
「その瞬間に正しいと思うことをやるだけで、今回はグルーヴとヘヴィネスにより重点を置いた、よりミドルテンポのアルバムに仕上がった。さっきも言ったように、僕らは自分たちを “テクデス”バンドだとは思っていない。そのレッテルを貼っているのは、僕らのファンやメタル・コミュニティなんだ」
スウェーデンから登場した CARNOSUS も、テクデスのステレオ・タイプやオリンピックに囚われない “多肉質な” バンドの一つ。同時に、スウェーデンというオールドスクールやメロデスのサンクチュアリで機械仕掛けのテクデスを体内に宿すステレオ・タイプの破壊者、デスメタルのサイボーグに違いありません。
“Tech 戦争” に身を投じたように見えた前作 “Visions of Infinihility” から1年。最新作 ”Wormtales” で彼らは、そのサウンドをこれまで以上に多様な方向に押し進め、テクデスに根ざしつつも、メロデスからスラッシュ、プログレッシブからブラックまで、様々なサブジャンルからの影響を取り入れることに決めました。次のスピード・スターを目指す以上に、その先の新たな怪異に進化する道を望んだのです。
実際、その選択は大成功でしょう。もちろん、”Wormtales” の心臓は機械仕掛けのテクデスでできていますが、その体はまさにスウェーデン。メロデスの悲哀、オールドスクールの地獄、デスラッシュの業火を身体に刻んだ CARNOSUS の血を吐き地を這うテクデスは、千変万化の咆哮を伴って “テクニカル” の意味をリスナーに問いかけます。フレットを正確に最速で駆け巡る以上のカタルシスがここにはあります。
今回弊誌では、CARNOSUS にインタビューを行うことができました。「僕たちの作品の歌詞は、ほとんどが架空の世界を舞台にしているけれど、現実との類似点があるのは間違いない。すべてのフィクションは現実の断片を取り込んでいるが、僕たちの歌詞も同じだ。全体主義体制、大量絶滅、抑圧といった要素が、錬金術、精神病、宗教的矛盾といったテーマと混ざり合っているのさ」時代は7弦ベース。どうぞ!!

CARNOSUS “WORMTALES” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【EXIST : HIJACKING THE ZEITGEIST】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MAX PHELPS OF EXIST !!

“I’d Say I Acquired Language From Listening To Cynic And Death Which Seeped Its Way Into Many Of My Musical Tendencies, I Listened To That Stuff a Ton Because It Spoke To Me On a Deep Level.”

DISC REVIEW “HIJACKING THE ZEITGEIST”

「Paul Masvidal はまさに師匠のような存在で、僕が初めて行ったツアーは CYNIC と一緒だったし、彼や Sean Reinert と関わるようになって、僕の世界は大きく広がった。そして僕は CYNIC と DEATH を聴くことで、今自分の音楽的傾向の多くに染み込んでいる “言語” を身につけたと言える。本当に何度も何度も聴いたからね。それは、深いレベルで彼らの音楽が僕に語りかけてきたからなんだ」
Max Phelps は今や、プログレッシブ・デスメタルの宇宙にとってなくてはならぬ存在です。それはもちろん、DEATH TO ALL の声として亡き Chuck Schuldiner の影を追い、CYNIC では Paul Masvidal をメンターとしてその師事を受けているからだけではありません。Max はその二大巨頭から受け継いだ哲学やスピリットを、自らのやり方で羽ばたかせようとしています。
「ヘヴィーとキャッチー、テクニカルとシンプル。本当にそれ自体が目的だったのかどうかはわからない。なぜなら、それが僕たちの書き方にとってごく自然なことだと思うからね。でも、そういった要素を、より伝統的な曲構成で、よりタイトで短いアレンジに落とし込むというのは、ひとつの目標だったと言えるかもしれないね」
Max はカルト・ヒーローたちの遺伝子を色濃くその身に宿しながらも、より幅広い層にアピールしたいと願っています。そしてその願いは、EXIST の最新作 “Hijacking the Zeitgeist” で成就するはずです。濃縮還元されよりコンパクトとなった曲構成、耳を惹くメロディとフックの応酬、それでいてジャンルの門番をも唸らせるテクニックと複雑性を兼ね備えたアルバムはまさに、プログレッシブ・デスメタルの前代未聞。
実は、その EXIST の新たな冒険は Max もうひとつのヒーロー RUSH の影響で幕を開けました。プログ・デスと同じくらいに RUSH を愛し、RUSH オタクと公言する Max は、このアルバムは彼らにとっての “Permanent Waves” であり、”Moving Pictures”、さらにいえば “Power Windows” であると明言しています。それらは、RUSH にとっての “プログレッシブ” が変化した瞬間。そして、RUSH により幅広いリスナーへの “窓” が開いた瞬間。
「メリーランド州出身ということで、PERIPHERY や ANIMALS AS LEADERS がスタートするのを見ることができたし(昔、地元で一緒にライヴをやったこともある)、それは本当にクールで刺激的だった。Djent という言葉は、コピー商品ばかりで過飽和になり、軽蔑的な言葉になってしまったと思う。でも、そのムーブメントを牽引していたバンドは本当に素晴らしくて、みんな自分の声を持っていた。好むと好まざるとにかかわらず、現代のギター・プレイにも非常に大きな影響を与えたと思う」
アルバムに収録された “Window to the All” が仄めかす通り、この作品はすべての人への窓となりえます。それは、プログ・デスはもちろん、RUSH のようなキャッチーなプログ・ロック、PINK FLOYD や TOOL のような浮遊するサイケデリア、そして THE CONTORTIONIST や PERIPHERY のようなポリリズミックで現代的な Djent の流れまで組み込んだ膨大なる窓。
そこで歌われるのは、人類の新たな “窓” となったインターネット、SNS への執着とそこにある欺瞞。
「多くの人が、SNS で自分と関係のない物事の状況について非常に落ち込んだり、怒ったりしているのは、それが常に自分の目の前にあるからだと思う。自分の身の回りのことや、自分が実際にコントロールできることにもっと集中した方がいいこともあるし、少なくともそこでバランスを取る方がいいのかもしれないよね」
我々はあまりにも、無関係なものごとに左右されすぎるようになりました。それはきっと、ネットという窓が常に覗きすぎているからでしょう。ヘヴィ・メタルという窓は常に開いていますが、覗こうが覗くまいがそれはリスナーの自由。楽器だって、真摯に深く取り組もうが、ネットに動画をアップするだけだろうがそれはプレイヤーの自由。そんな今の寛容なメタルのあり方を Max Phelps はきっと、世界の理想としているのです。
今回弊誌では、Max Phelps にインタビューを行うことができました。「昨年末、CYNIC で来日したとき、僕は初めて日本に行ったんだ。妻も一緒に来てくれて、東京と京都で過ごしたんだけど、本当に楽しかった。正直、今までで一番好きな旅行体験のひとつで、今はいつも日本に引っ越したいと冗談を言っているくらいだよ。日本文化が本当に好きで、僕たちが慣れ親しんでいるカオスと比べて、みんなが親切で礼儀正しく、すべてがスムーズに進んでいることが信じられなかった。また何度も訪れたいよ!」OBSCURA, EQUIPOISE, そしてエンジニアに Anup Sastry という最強の布陣。どうぞ!!

EXIST “HIJACKING THE ZEITGEIST” : 10/10

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