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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【DREAM UNENDING : SONG OF SALVATION】


COVER STORY : DREAM UNENDING “SONG OF SALVATION”

“There will be bands where you’re like, “I only like the early stuff because the later stuff got different.” That’s fine, but do you really need six records that sound like one specific thing?”

DREAM UNENDING

人生は厳しいもの。人は必ず成長し、生きるために働き、老いて死にます。もし、そんな苦痛のサイクルから解き放たれたとしたら? もし私たちが現代生活の呪縛から解放され、哲学的な反乱を起こし、諦めるのではなく人生を謳歌することができたらどうでしょう。TOMB MOLD の Derrick Vella と INNUMERABLE FORMS, SUMERLANDS の Justin De Tore によるデュオ、DREAM UNENDING は、そうして人生という果てしないファンタジーに慰めを見出しました。
ANATHEMA や Peaceville Three に影響を受けたデスメタル、ドゥーム・メタルを背景に、DREAM UNENDING が描く人生に対する理想を理解することは簡単ではないでしょう。De Tore は、人生の循環的な側面と、逆境に直面した際の魂の回復力をテーマに、音楽とのより深い感情的なつながりを求めているのです。
すべての弦楽器を担当する Vella は、夢のように破砕的な雰囲気を作り出し、バンドが影響を受けてきた素材をさらに高揚させながら、個性と職人的なセンスで巧みにアイデアを育てていきます。デスメタル、ドゥーム・メタル、デス・ドゥームではなく、バンドを “ドリーム・ドゥーム” と呼ぶ Vella のソングライティングは、ヘヴィネスの黒海と天国から射す光のちょうど中間にある絶壁で稀有なるバランスを取っています。
それにしても、デスメタルの救世主として名を売った2人は、なぜゴシックやデス/ドゥームメタルの父である “Peaceville” にオマージュを捧げることになったのでしょう?Derrick Vella が答えます。
「僕が初めて Peaceville に触れたのは PARADISE LOST だった。2000年代に古いゴスのブログを通じて “Shades of God” を聴いたことがあったんだ。正直なところ、あのアルバムは好きではなかったね。そのブログで彼らが “Gothic” というアルバムも出していることを知ったんだけど…なぜあのブログはそっちをアップロードしなかったのか、理解できなかったよ。
“Gothic” は簡単に僕を虜にした。当時聴いていたダーク・ウェイヴ、ポストパンク、エクストリーム・メタルの延長線上にあるような、論理的なものだったからね。まさに世界がぶつかり合う瞬間だった。ちょうどあの頃は、夜、真っ暗なバスで帰宅していたから、このアルバムと THIS MORTAL COIL の “Filigree and Shadow” が混ざっても、それほど飛躍した感じはしなかったね。思い出深いアルバムだよ。
その頃から、友人がドゥーム・メタルにハマり始めたんだけど、彼はカーゴ・パンツのドゥームではなく、もっとベルボトムのようなドゥームが好きでね。だから幸運なことに、THERGOTHON や ESOTERIC みたいなバンドを紹介してもらうことができたんだ。ESOTERIC はこれまで存在した中で最も偉大なメタル・バンドかもしれないね。とても共鳴したよ。UNHOLY のファースト・アルバムもそう。それで結局、Peaceville のものをもっと聴くようになったんだ。
でも、何よりも他のバンドより心に響いたのは、ANATHEMA だった。いつも一番胸が締め付けられる。パワフルで壮大だ。ドゥームというのは面白いジャンルだよね。奇妙にプログレッシブであったり、簡単に雰囲気を作り上げることができたり、空間をシンプルに埋めて濃密なものを作り上げることができたり。デスメタルと同じくらい、いや、それ以上に好きなんだ。
DREAM UNENDING が存在するのは、Justin にバンドを始めようと誘われたからなんだ。それまではドゥーム・メタルを書こうとさえしていなかった。みんなは、僕が高いクオリティでたくさんの曲を書くことができるといつも言ってくれるけど、本当に頼まれたときしかやらないんだ。他人のために書くというプレッシャーの中でこそ、僕は成長できるんだろうな」
ボーカルとドラムを担当する Justin De Tore にとっても、PARADISE LOST と ANATHEMA は重要なバンドでした。
「PARADISE LOST を初めて聴いたのは、”Draconian Times” が発売されたときだった。ここボストンの大学ラジオでレギュラー・ローテーションとして放送されていたんだよね。ただ、EVOKEN / FUNEBRARUM の Nick Orlando が PARADISE LOST の最初の数枚のレコードをチェックするように薦めてくれるまで、彼らの初期の作品を聴くことはなかったんだ。僕は21歳で “Gothic” を聴いて、とても深い経験をした。基本的に Nick は僕をデス/ドゥームに引き込んだ人物で、だから彼には感謝しているよ。
ただ、”Peaceville Three”も好きなんだけど、一番好きなのは ANATHEMA。Darren White のように痛みや悲しみを表現する人は他にいないよ。とても感動的だ。とにかく、このスタイルで演奏するのはずっと夢だったんだけど、それを実現するための適切な仲間がいなかったんだ。だから、Derrick のように、僕と同じような熱意を持ってくれる人に出会えたことは、自分にとって幸運だったと思っている」

ドゥーム・メタルを作る際のアプローチと、デス・メタルの世界との違いは何なのでしょうか?両者を股にかける作曲家 Derrick が答えます。
「デスメタルに対して、ドゥームではあまり安全策を取らずに書ける気がするんだ。Justin は、自分がどう感じるかを自由に書いて、そこにたくさんのレイヤーを追加してくれる。メロディックになりすぎることを心配することもないし、リフに長くこだわりすぎることもない。もしそうなっても Justin が教えてくれるしね。彼には、”このリフを考え直してみて” と言われることもあるけど、ほとんどいつも彼の言うとおりさ。アルバム “Tide Turns Eternal” を書いたときも、特に対立することはなかったね。”Dream Unending” の長い中間部に差し掛かったとき、僕はこのバンドに何を求めているのかを理解したよ。美しい部分と不穏な部分が同居しているのだけど、それぞれの部分に必ず重みがあるんだよね。
新しいバンドをゼロから始めることの良い点は、何も期待されていないこと。自分たちの好きなように演奏できるし、誰にどう思われようが気にならない。プレッシャーから解放されるんだ。Justin と僕はある程度有名人というか、正直に言うと、彼はスターだけど、二人ともこの音楽をどう思われようと気にしていないよ」
DREAM UNENDING は、自分たちが影響を受けたものをある程度身にまとっているにもかかわらず、伝統的な “デス/ドゥーム・メタル” というタグを敬遠し、自分たち独自のジャンルを確立しています。Derrick はどうやって、”ドリーム・ドゥーム” という言葉が生み出したのでしょうか?
「最初はバンド名や、アルバム名が夢の中で浮かんだということから。COCTEAU TWINS, “Disintegration” 時代の THE CURE, THIS MORTAL COIL といったドリーミーなサウンドのバンドのことを考えながら、曲を肉付けしていった感じかな。曲やアートワークのアイデアのインスピレーションも、映画の夢のシーンから得たものがあるしね。それこそ、黒澤明の “影武者” とかね。ただ、そういうものは “ドリーム・ポップ” というブランドで呼ばれているから、僕たちは “ドリーム・ドゥーム にしたんだよ」
メタル・サウンドと先進的な “ドリーム・ドゥーム” サウンド、それぞれのバランスをどうとっているのでしょうか? Justin が説明します。
「最初から何か違うクリエイティブなことをやりたかったんだ。Derrickも言っていたけど、このプロジェクトに参加するにあたっては、二人ともかなりオープンマインドだった。ドゥームのレコードを作るということでは合意していたと思うんだけど、それ以外のことはほとんど決まっていなかった。かなり慎重にやったよ。僕がやっているバンドのほとんどは、特定のスタイルにしっかりと根ざしていて、それはそれでクールなんだけど、時々輪を乱してしまうようなレコードを作るのはとても楽しいことだよ」
Derrick が補足します。
「結局、Justin と僕はただの音楽オタクなんだ。そして、ヘヴィネスにこだわらず、何かを喚起するような印象的な音楽を作ることに重点を置くようになった。最もヘヴィな部分は、クリーンなパッセージの中にある。そのバランスは、”重さとは?” という問いかけのようなものだと思うんだ。どの曲もすべてのパートに説得力を持たせ、手を抜かないようにするのが僕たちの努め。そして、その説得力をさらに高めるために、必要であれば外部の力を借りることもある。Justin が心を開いて僕を信じてくれることは、本当に助けになるよ。それが自信につながり、自分を追い込み続けることができるんだ」

つまり、TOMB MOLD との違いは実はそれほどないのかも知れません。
「TOMB MOLD の曲は僕が作るかもしれないけど、それをバンドに持ち込むと、みんなが自分の DNA を入れてくれる。今年3曲入りのテープを出したんだけど、エンディングの “Prestige of Rebirth” にクリーンセクションが入っていて、それを聴いて DREAM UNENDING みたいだと言う人が多かったんだ。まあ、あの部分の土台は僕が書いているし、そうなるのは当然なんだけど、あのテープでは TOMB MOLD がもっとメロディックな面を開拓しているから面白いんだよね。
メロデス的なものではなくて、CYNIC の “Focus” や “Traced in Air” を彷彿とさせるような感じで、もしくは特に FATES WARNING ようなバンドの延長線上にあるような感じなんだ。みんなプログレッシブ・メタルが好きで、プログレッシブ・デス・メタルも好きで、そこに浮気しがちでね。DREAM UNENDING はほとんどそれをスローダウンさせただけのようなものだと思うんだ。とにかく、デスメタルはとても想像力豊かなジャンルだから、ドゥームがより想像力豊かなジャンルだとは言いたくない。たぶん、どちらのジャンルにもルールはないんだ」
ANATHEMA の中でも、”Pentecost III” と “Serenades” は特別な作品だと Derrick は言います。
「この2枚のレコードで聴けるような、ゆっくりとした陰鬱なパッセージがとても好きなんだ。伝統的でないパワー・コードをうまく使っている。それと、”We, the Gods” のような曲もね。この曲は基本的にタイトル曲の “Tide Turns Eternal “の青写真なんだ。でも、ペースをきっちりコントロールすることで、自分たちのものにした。ANATHEMA の特徴を壊したり、攻撃的で耳障りなものにしたくはなかったんだ。アルバムのテンションが上がっても、ペースを乱すことはない……といえば、わかりやすいだろうか?
ただ、彼らは常に進化しているんだ。それがバンドの素晴らしいところであり、音楽のカッコいいところでもある。若い頃、あるいは今でも、”後期は全然違うから初期のものしか好きじゃない” という人がいるでしょ。それはそれでいいんだけど、1つのサウンドを持つレコードが6枚も必要なんだろうか?リスナーとしては、好きなバンドにはもっと多くのものを求めるものだと思うし、彼らがどこまで到達できるかを常に見たい。ANATHEMA は30年前の ANATHEMA のようには聴こえない。2枚目、3枚目のアルバムでやめてしまう人もいるだろう。だけど、僕は最初の8枚くらいは全部好きなんだ」
もちろん自分たちはコピーバンドではないがと前置きして Justin が続けます。
「僕たちは特定のバンドをコピーしようとは思っていないよ。ボーカルに関しては、Darren White のような激しさを出したいとは思っているけど、それは無理な話。僕たちは異なる人間であり、最終的に僕は僕でなければならないからね。全体として、このアルバムでは歌詞もサウンドも自分自身に忠実であったと思うよ」
ゴシック・ドゥームというジャンルは一般的にヨーロッパのもので、2人でアメリカからその世界に参入するという感覚はあるのでしょうか?
「全然違うよ。僕らには EVOKEN がいるから。いい仲間なんだ」
この “陰鬱” なスタイルは、なぜアメリカよりもヨーロッパのシーンに多く浸透しているのでしょう? 2人にもその理由はわからないようです。
「僕はいつもこのジャンルに惹かれているのだけど、アメリカでは同じ興味を持つ友人が数人しかいない。おそらくこれはアメリカ的なものではないんだ。あと、美学は人々にとってとても重要でイメージが全ての場合もある。スタイリッシュでないサブジャンルは、スタイリッシュなものほど受け入れられてはいない」
「なぜもっと多くの人がこのジャンルを愛さないのか、なぜ皆 AHAB の最初の2枚を崇拝しないのか、わからないんだ。美意識の問題なのだろうか?でも、革ジャンを着た人たちには、海やクジラは十分にカルトではないんだろうな。レーベルの問題かもしれないけどね。ドゥームにはある種の忍耐力が必要だ。ドローンやベルボトム・ドゥームは、僕の知っている北米の人たちにはもっとインパクトがあったように感るな。多分、多くの人はメタルを聴いている時にまで、鬱な気分になりたくないだけなんだろうけど」

バンド名の由来となった “果てしない夢” とは何を意味するのでしょうか?Derrick の言葉です。
「僕にとっては、人生という誰もが共有する旅のこと。ひとりひとりの中にある魂は、僕たちよりも長生きし、もしかしたら永遠に続くかもしれない。それは、自分自身と世界における自分の位置を再調整する方法なんだ。僕は誰の上にも立っていない。みんながそうだよ。僕たちは皆同じ生身の人間で、自分たちが理解するよりも大きなものを運ぶ器なのさ。僕は君が生きているのと同じ夢を生きているんだよ。重要なのは希望を失わないこと、自分は一人ではないこと、忍耐すること、人生は生きる価値があること、人生は動き続けるものだからそれに合わせて動くこと、過去にこだわらないこと、神に不可能でも愛があれば救われること。
“Dream Unending” という曲のクリーンなブレイクは、緩やかで脆いものとの相性が抜群だと思うんだ。このアルバムは確かにダークに聞こえる時もあるし、美しくメランコリックで、ダグラス・サークの映画みたいに葛藤もある。でも、クリーン・ブレイクはとてもきれいだし、ネガティブではなく人生を肯定するような内容で、その後の歌詞の内容もより希望に満ちた方向にシフトしているよ。Justin の歌詞は崇高なもの。とにかくめちゃくちゃいい。リスナーに読んでほしいね。
自分たちだけでなく、心を開いてくれた人たちにもある種のメッセージを届けたかった。だから、意識的にきれいな話し言葉とクリーンなパートを使ったんだと思うんだ。そのパートは僕が書いたんだけど、Justin が僕に貢献させてくれてよかったよ。僕らふたりは、毎日が自分自身を向上させ、前進し続けるためのチャンスだと考えているんだ。”魂は波であり、潮の流れは永遠である” とね。くよくよせず、癒すことを選んでいきたい。少なくとも努力はするよ」
Justin がホラーやカオスなど、ネガティブなテーマを扱った長い時間を経て、人生を肯定するようなポジティブなものにシフトしたのは、なぜだったのでしょうか?
「解放されたんだよ。ニヒルな歌詞を書いたことはないんだけど、今の時点ではネガティブなことに疲れてしまったんだ。それを楽しむのは卑怯だと思うんだ。希望に満ちたものを書くことは、精神的に良いことだと思う。楽観的なものを作るために、怒りや激しさを妥協したわけでもない。ただ、この歌詞は、これまで書いてきたものと同じくらいリアルなんだ」
Derrick もこれまで、容赦のないデスメタルを奏で続けてきました。
「これは、TOMB MOLD が前作を出したあたりから、ずっとやりたかったことなんだ。ただ、それを表現するための適切なプラットフォームがなかったんだよね。Justin のことを知れば知るほど、僕らの波長が似ていることに気づいて、それが理にかなったことだったんだ。他のバンドがやっていることに反発するわけじゃないけど、不気味な陰鬱なデスとか、神の怒りとか、そういう悲観的なことは絶対にやらないようにしていた。これは僕らにとってより良い道であり、僕らにとってより真実だったんだ。一般的なメタル・ファンにはあまり好まれない道かもしれないけど、そんなことはどうでもいいんだ (笑)」

短いインターバルでリリースされた最新作 “Song of Salvation” はよりプログレッシブになったと Derrick は語ります。
「12弦ギターを手に入れて、曲作りのアプローチも少し変わったと思う。曲の真ん中が先にできているようなことが多くなったね。”これからどうするか” という感じでね。曲の最初から最後まで書くのとは違って、いろいろなものを組み合わせていくことができたんだよ。ホワイトボードを買って、長い曲のいろいろな部分をビジュアルマップにしたんだ。新譜の曲のいくつかは、14分から16分で、繰り返しがあまりない。だから、ほとんどプログレッシブなクオリティになっているよ。幸運なことに、このアルバムを完成させるのに十分な時間があったんだ」
“プログレッシブ” には意図的に舵を切ったのでしょうか?ギタリストが答えます。
「20分の曲を書こうと思っても、時間を伸ばすために必死になっているような感じがあるよね。今回の曲は、時間のことはあまり考えず、自然に終わると思うまで書いたんだ。長い曲は山あり谷ありで、それがプログレッシブ・ロックの良さでもあるから。クレイジーな部分やエネルギッシュな部分があって、一旦下がって、緊張が高まって解放されるような感じ。
このアルバムでは、より自信を持ってソロを書けるようになった。”Tides” でも満足していたんだけど、ギターを弾く時間が増えたことと、またギターのレッスンを受け始めたことが大きかったと思う。これが大きな鍵になった。レッスンを受け始めた頃には、アルバムの大部分はできていたんだけど、ソロのいくつかはまだ完成していなかった。レッスンを受けて、いろいろなアイデアを投げかけてもらって、アプローチして、また演奏や何かに取り組むという日常に戻って、それが練習でも課題でも、音楽的に自分を高めるための大きなステップになったんだ。
僕のの先生は Kevin Hufnagelで、彼は GORGUTS で演奏している。毎週レッスンが楽しみだよ。GORGUTS のレコード、DYSRYTHMIA、彼の昔のバンド SABBATH ASSEMBLY など、彼はクオリティの高い人で、音楽は様々。いろいろなことを教えてくれるし、僕が何を見せても、彼はいつもとても楽しそうに聞いてくれる。お互いが充実している、そんな師弟関係だと思うんだ。
でも、めちゃくちゃ長い曲を書くのは、ちょっとリスクがあるよね。ドゥーム・ミュージックはとにかく長いんだけど、”アルバムの半分が15分の曲” っていうのは、多くのリスナーを遠ざけることになる。そんな長い曲を聴いてる暇はないという人もいる。4分の曲でもスキップする人がいるんだから恐ろしいよね。まあ、それはアンダーグラウンドというよりメインストリームの問題だけど。まあ、全部聴いてくれる人、実際に13分間に渡って曲を聴いてくれる人にだけ聴いてほしいというような感じかな」
ゲスト・ボーカリストや多種多様な楽器もアルバムを彩りました。
「”Secret Grief” では、友人のレイラがトランペットを吹いてくれた。元々、この曲のデモを作ったとき、このメロディーの部分はエレキギターで、ほとんどシンプルなソロでやっていたんだ。でも、スコットランドのバンド BLUE NILE が大好きで、彼らの2枚目のアルバムには、とてもブルーで夢のようなクオリティーがあってね。その中に “Let’s Go Out Tonight” という曲があるんだけど、”このエッセンスを瓶詰めにして、なんとか僕らのレコードに入れたい” と思っていたんだ。確か Justin に、トランペット奏者と共演しているデヴィッド・トーンのアルバムかライブ映像を見せたら、それがすごくドリーミーで、この曲に使えるんじゃないかと思ったんだよな。レイラは何でもできるプロだから、それを見事に達成してくれた。アルバムに新しいテイストを加えてくれたよね。
アルバムに収録されているピアノやオルガンは、すべて僕の父の手によるもの。父がアルバムに参加することは、とてもクールなことなんだ。彼がピアノを弾いているのを見て、僕は音楽に目覚めたんだからね。僕がギターを弾きたいと思ったときも、彼は “お前ならできる、レッスンを受けろ” と言ってくれた。両親ともすごく励ましてくれる人なんだよ」

彼らは音そのものではなく、音の生み出す雰囲気を捉えることに長けているようです。
「Justin と僕は音楽全般についてよく話すし、自分たちが好きなものについても話す。LIVE というバンドを覚えているかな?Justin も僕もあのバンドと “Throwing Copper” というレコードが大好きでね。LIVE みたいな曲を作りたいとは思わないけど、”Lightning Crashes’ を聞いたときに感じるような感情を作りたいんだ。それが僕のキーポイントになっているような気がするね。サウンドをそのままコピーするわけではないんだけど、フィーリングやエモーションを掴むというか。
このレコードを制作していたとき、ターンテーブルから外さなかったレコードは、TOTO の “Hydra” だったと思う。TOTO のようなリフを書こうとは思わないけど、スティーブ・ルカサーのギターを聴いて、彼のソロのアプローチについて考えたり、感じたりすることはできるんだ。
JOURNEY の “Who’s Crying Now” いう曲もそう。あの曲のソロは決してトリッキーなものではないけど、そこから引き出される感情が見事なんだ。だから、僕はいつもそういうものを “鍵” にしている。今回のアルバムでは12弦で弾いているせいか、MAHAVISHNU OSCHESTRA のジョン・マクラフリンが弾いていたようなクリーンな瞬間がいくつかある。彼は僕よりずっとギターが上手いから、もっとシンプルだけどね。
僕たちはドゥームのもっとゴシックな側面、例えば THE GATHERING のようなバンドがとても好きなんだ。彼らも ANATHEMA のようにサウンドを進化させ続け、プログや PINK FLOYD のような領域に踏み込んでいったバンドなんだ。だから、このアルバムではクリーン・シンガーが何人か加わって、そういう部分を強調することができた。僕は成長を見るのが好きなんだ。フランク・ザッパが好きなら、その人はいろいろなテイストの音楽をたくさん聴くことができる。でも、フランク・ザッパが半分しか作品を出さなかったら?僕はアーティストの旅路を見るのが好きなんだよ。
メッセージやフィーリングを伝えるには、クリーン・ボーカルの方がずっと簡単なんだよ。スポークンワードのパートを使うのも同じで、より感情的なトーンを設定することができる。その点では、僕たちはより良い作品を作ることができたと思うな。”Tides” の出来が悪かったというわけではなくて、もっとコントロールできた気がしたんだ。
もうひとつ、僕らがよく話すバンドで、DREAM UNENDING の精神的なコンパスが KINGS Xなんだ。僕たちは彼らのようにクリスチャンではないけれど、彼らが話していることの多くは、”ある曲を聴くとその曲を聴く前よりも100倍も気分が良くなる” というもの。音楽にそんな力があるなんて驚きだよね。僕は音楽が高揚感をもたらすという考え方が好きで、それが DREAM UNENDING の方向性を決めるのに役立っていると思うんだ。ドゥームというジャンルは、特に最近は気分を悪くさせるように作られているから不思議なんだけど、僕たちは “それもいいけど、ちょっと違う方向にも行ってみようかな” と思っているんだ。
だからこのアルバムを作っている間は、あまりドゥーム・メタルを聴いていなかったと思う。ドゥーム・メタルの中で唯一聴いたのは ANATHEMA の “Silent Enigma” だと思うけど、それよりも “Alternative 4” と “Judgement” を聴いていたね。ESOTERIC よりも Bruce Hornsby を聴いていたかもしれない」
DREAM UNENDING の “高揚感” はより深く、よりスピリチュアルな側面を見出していきます。

「自分を大いなる力に委ねる必要はなく、もっと自分の中にあるもの、自己発見、自己改善という考え方に基づいたスピリチュアルな側面がこのバンドにはあると思う。人によっては、より良い人間になるための道として、宗教的な経験や啓示を得ることがあるかもしれないし、僕はそういったものをとても興味深く感じている。僕の周りには信仰を持つ人がいて、人生全般について話をするのが好きだし、彼らの視点が好きなんだ。
アルバム “Song of Salvation” は、自分自身を見つめて、”何かを変えなければならないのなら、変えるのは自分でなければならない” “何かを追い求めて自分を向上させなければならないことを受け入れる” 、そんな作品だと思う。それはとても重要なことで、僕たちはなかなか口にできないけど、大切なことなんだ。
だって、惨めな思いはしたくないでしょう?誰がみじめになりたいの?幸せを見つけることだって、一種の精神的な目覚めであり、自分自身と平和になることであり、周囲と平和になることでもある。それが何であれ、僕はそこに本当の力があると思うし、身体にも、精神衛生にも、魂にも良いことだと思うよ。どんなものであれ、そこに何かを見出すことができればね。
だから、”Song of Salvation” は、何よりも自己受容を扱っていると思う。ただ、それと同時に、忘れるために生きている人もいる。僕たちは後悔しながら物事を振り返り、人生において良くも悪くも物事を行い、それが自分自身を形成していく。それを受け入れて、自分の中に居場所を見つけて、ずっと一緒に暮らす必要はないけれど、否定する必要もないんだということを理解したほうがいいと思うんだ。自分自身から逃げているだけでは、ほとんど嘘をついて生きているようなものだから」
もちろん、リスナーは “救済” の先を期待してしまいます。
「そうだね、これまで取り組んできたものに関しては、まだ先があるんだ。曲作りは、”今、何を聴いていて、何が好きか?” ということを考えながら進めていくから楽しいんだよ。OPETH に似ていると言われたこともある。彼らほどヘヴィではない部分もあるけれども、いい意味で彼らも長尺なアプローチをするバンドだね。”Damnation” は、すべてクリーンで歌われたアルバムで、このアルバムを作っているときは、それをとにかく聴き込んだんだ。
どうすれば可能性を押し広げ続けることができる?例えば、中間部全体を使ったソロを書きたいとか、クリーンなソロを書きたいとか、ちょっと変わったソロを書きたいとか、みんなが期待しているような曲とは違う曲を書きたいとか。曲の長さや曲の性質上、DREAM UNENDING ではいろいろなことを試すスペースがあると思うんだ。そのことをずっと考えていて、曲を書き続けているんだ」

参考文献: NEW NOISE:INTERVIEW: DREAM UNENDING ON WEAVING A MUSICAL TAPESTRY

INVISIBLE ORANGE:he Soul is a Wave: A Conversation with Dream Unending (Interview)

TREBLE:The spiritual alignment of Dream Unending

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GREEN LUNG : BLACK HARVEST】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOM TEMPLAR OF GREEN LUNG !!

“We Wanted To Create Something That Harked Back To The Foundations Of The Genre, Something That Tried To Tap Into The Magic Of The Days When You Could Hear a Tony Iommi Riff Or a Halford Scream On Mainstream Radio.”

DISC REVIEW “BLACK HARVEST”

「自分たちですべてを行うことで得られる創造的な独立性と経済的報酬、その観点からすると、これまで受けたオファーは意味をなさないということなんだよね。大手レーベルと契約する理由の多くは、足がかりやオーディエンスを見つける手助けなんだ。僕たちは主に Bandcamp から有機的にファンを増やすことができたから、今僕たちの権利を手放すことは意味がないと思うんだよ」
英国の陰鬱な伝承を描くドゥームの新鋭 GREEN LUNG は、その音楽だけでなく、この時代におけるバンドのあり方についても革命を起こそうとしています。独立志向の強いバンドは、メジャーレーベルとの契約を断り、代わりにフィンランドのカルト・レーベル Svart Records から最新作 “Black Harvest” をリリースすることを選びました。そうして、Bandcamp のアルバム・チャートで首位を獲得したのです。
「Spotify は僕たちのようなアルバム・アーティストにとっては最悪のプラットフォームだよ。アルバムよりもシングル曲が優遇され、プレイリストをコントロールするために多くの資金が投入され、無機質で、そして僕たちはほとんどお金を得ることができないんだ。Bandcamp はその逆で、80年代や90年代の口コミやジン・カルチャーに相当するようなオンラインのプラットホームなんだよ。僕たちの最大の収入源のひとつさ。インディペンデントな音楽文化をたった一つのサイトが救っているのだから、いくら高く評価しても言い足りないくらいだよ」
GREEN LUNG のフロントマン Tom Templar は Bandcamp について “音楽業界における最後の砦” と表現します。唯一の倫理的な音楽配信・販売サービスだと。メジャーから提示される前金よりも Bandcamp の方が利益が出る現実。実際、現代の音楽産業において Bandcamp は、インディペンデントのアーティストにとって文字通り命綱です。特に、”メインストリームの大きなロックバンドになろうとはしていない” GREEN LUNG のようなバンドにとっては。
彼らがメジャーからの支援を必要としないのは、今を生きるバンドらしいその成長過程にも理由があります。2019年のデビュー作 “Woodland Rites” は、70年代後半の NWOBHM 的郷愁のサウンドと BLACK SABBATH のオカルト・ドゥーム、そして1968年の “ウィッチファインダー・ジェネラル” といった心をかき乱す映画の感覚を融合し、アンダーグラウンドのメタル世界を沸かせました。
「パブで5人くらいを相手にライブをしていたんだけど、ネットの世界から熱狂的なファンが現れたんだ。今では、バンドのマスコット、悪魔のようなヤギのタトゥーを入れている人は20人以上いるんだよ」
ただし、バンドが大量の新しいファンを獲得できたのは Instagram の投稿がバズったからで、特に、伝統的な木版画のデザインでレコードを覆う、彼らの不吉でありながらエレガントな美学が音楽的にも視覚的にも “無料で” 潜在的なリスナーたちの元へと届いたから。もはや、20年代のバンドたちにとって、大きな音楽レーベルの養ってきたノウハウや豊富な資金力は必要のないものなのかもしれません。それよりも、真に必要なのはクリエイティブな自由。
「僕たちは一つのジャンルにとどまるようなバントでいたくはないんだ。ドゥームやストーナーの構成要素を取り入れ、それを使ってモダンなものを作りたいと思っているんだよ。例えば、TURNSTILE がハードコアで、POWER TRIP がクロスオーバー・スラッシュ でやったようにね」
GREEN LUNG が “現代的” なのは、その野心です。面白いものならば、創造的になれるのであれば、ドゥームという地底の音楽に STEELY DAN の羽を纏わせることも、MADBALL の跳ねを植え付けることも厭いません。そうして、”Black Harvest” はその哲学と “Woodland Rites” の基盤すべてを、よりビッグで、よりクラシックで、より壮大なものへと増幅させていました。
そうして、プロデューサー Wayne Adams のタッチ、オルガニスト John Wright のハモンドを前面に押し出しアルバムに思慮深くダークな雰囲気を与えつつ、Tom のキャッチーで世界を包むこむようなオジーの歌唱に、 Scott Black のリフが幾重にも活力と華を添えて “Black Harvest” は完璧なバランスを得ることになりました。つまり、”Black Harvest” は、DEEP PURPLE や BLACK SABBATH, QUEEN といったメタルの祖先が誇りに思うような、壮大な70年代のリバイバルでありながら、深い層を持った進化するアルバムであり、クラシックとなり得る強烈なインパクトと現代らしい奔放さを十二分に兼ね備えているのです。荘厳な”カテドラル” に灯る紫の炎、そして宿る女王の気品。
今回弊誌では、Tom Templar にインタビューを行うことができました。「僕たちは皆、若い頃にエクストリーム・メタル・バンドでプレイしていた。それがあったから、GREEN LUNG を始めたとき、逆にこのジャンルの基礎に立ち返るようなものを作りたかったし、Tony Iommi のリフや Rob Halford の叫びをメインストリーム・ラジオで聞くことができた時代のマジックに触れようと思ったんだ」 どうぞ!!

GREEN LUNG “BLACK HARVEST” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KAYO DOT : MOSS GREW ON THE SWORDS AND PLOWSHARES ALIKE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOBY DRIVER OF KAYO DOT !!

“It Was Mindblowing To Me When I Discovered That There Were Bands That Blended Death Metal With Sludge And Atmospheric Keyboards, Such As Tiamat, Disembowelment, My Dying Bride, Anathema, And Many Others. That Became My Favorite Style Of Music.”

KAYO DOT “MOSS GREW ON THE SWORDS AND PLOWSHARES ALIKE”

「パンデミックの影響で、私は街から離れ、友人や他のミュージシャンとも離れて孤立せざるを得なかった。すべての作品を孤独の中で作らなければならなかったんだよ。当時は精神的にかなり参っていたけど、振り返ってみると、あれは私にとってまさに必要な休暇だったと思えるね。都会の喧騒や過酷な生存競争に巻き込まれることなく、自分自身で大きく成長することができたからね」
メタル/プログレッシブの世界で異端の道を歩み続ける修道僧、KAYO DOT の Toby Driver。彼は、パンデミックの影響により都会から離れ、自然豊かな地元コネチカットの田舎の暮らしで自身を見つめ直すことになりました。そこで再訪したのが、高校時代に愛した Toby のルーツとも言えるレコードたちでした。
「TIAMAT, DISEMBOWELMENT, MY DYING BRIDE, ANATHEMA みたいに、デスメタルにスラッジやアトモスフェリックなキーボードを加えた音楽を知ったときは、驚かされたよね。そして、それが私のお気に入りの音楽スタイルになったんだ」
当時、アメリカの田舎町でヨーロッパのゴシック・ドゥームメタルを愛聴していた若者がいったい何人いたでしょう?さらに、それを聴きながら幽体離脱の瞑想をしていたというのですから、Toby Driver という人物の超越性、異端児ぶりには恐れ入ります。
時は90年代初頭。メタルが遂に “多様性” を手に入れ始めたカラフルな時代の息吹は、青年だった Toby の音楽形成、境界を破壊する才能に大きく寄与することとなります。そうして、MAUDLIN OF THE WELL というプログレッシブ・メタルから始まった彼の音旅は、KAYO DOT でのアヴァンギャルド、ポスト・メタル、アトモスフェリック、チェンバー、エレクトロニカの寄港地を経て再びゴシック・ドゥームの地へと舞い戻りました。
「90年代に活躍したバンドを思い浮かべると、たしかにあの頃のミュージシャンたちは皆とても若くて、音楽に成熟したものを期待することはできなかったよね。私は、あのゴシック・ドゥームという音楽が、成熟していて、経験を積んでいて、しかもまったく新しいもののようにエキサイティングだとしたら、どのように聞こえるだろうかと自問したんだ」
しかし、Toby のその長旅は、すべて最新作 “Moss Grew on the Swords and Plowshares Alike” の養分となり、未成熟で不器用だったあのころのゴシック・ドゥームを完成させるパズルのピースとなりました。言ってみればこのアルバムは、過去への感謝の念を抱いた自由意志の結晶。
「今回は、アーティストとして意味のある音楽を演奏するだけでなく、私たちが所属している Prophecy Productions というレーベルにマッチした音楽を演奏して、お互いに成長できるようにしたいと思っているんだ」
レーベルに合わせて音楽を書く。そんな試みもまさしく前代未聞ですが、それを実現できるのが日本ツアーであの平沢進までカバーした音楽の図書館こと Toby Driver。”The Knight Errant” はそんな KAYO DOT の “錬金術” を象徴する絶景。欧州に根差すブラック・メタルの激しい敵意とゴシックの耽美、さらに LYCIA のようなアメリカのシューゲイズ、そして ULVER や THE CURE といった Toby の “お気に入り” が調合された謎めいたアンチマターは、非常に “Prophecy 的” でありながら純粋で、驚きを秘め、感情を雷鳴のように揺さぶります。KAYO DOT の哲学には明らかに、野蛮とエレガントの巧妙な天秤が設置されていて、どちらか一方に傾くことはありません。
“Eternity” 時代の ANATHEMA を想起させる “Void in Virgo (The Nature of Sacrifice)” を聴けば、よりメタルだったころの Toby を喚起した MAUDLIN OF THE WELL のメンバーを招集した意味も伝わるはずです。シンコペーションとギターのアルペジオが彩る “Necklace” はまさにあのころのゴシックの申し子でしょうが、それよりも自由と伝統の共存、まさに90年代のゴシック・ドゥームの美学を KAYO DOT の豊富な “スペクトル” で調理した “Spectrum of One Colour” にこそこの作品の本質があるのかもしれませんね。
北欧神話や一神教を表のテーマとしながら、実際は世界に蔓延するヒーロー気取りの愚か者を断罪する。それもまた自由と伝統の共存なのでしょう。
今回弊誌では、Toby Driver にインタビューを行うことができました。「私は彼の音楽がとても好きで、東京にある “Shop Mecano” (中野ブロードウェイ) というプログレのレコード店にも足を運んだんだよね。ここは都内でも平沢さんの音楽を扱う主要な業者のひとつなんだろうか?沢山あったからDVDを何枚も買ってしまったよ (笑)」4度目の登場。もはやレギュラーですね。どうぞ!!

KAYO DOT “MOSS GREW ON THE SWORDS AND PLOWSHARES ALIKE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VOKONIS : ODYSSEY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SIMON OHLSSON OF VOKONIS !!

“Opeth Is a Great Inspiration To Me, One Of My Favourite Heavy Bands Of All time. It’s Probably The First Time I Got Really Introduced To Prog Rock And Started My Journey There.”

DISC REVIEW “ODYSSEY”

「OPETH と並んで MASTODON も僕が高く評価しているバンドなんだ。THIN LIZZY のようなロック黎明期のバンドを参考にしているところが好きなんだよね。僕は THIN LIZZY の大ファンでもあるから。僕たちが目指していたのは、本当に君の言うようなものだったのかもしれないよね。メタリックな意味でのヘヴィー・ロックの再解釈という場所だよね」
例えば THIN LIZZY、例えば、DEEP PURPLE、例えば URIAH HEEP。先ごろ YOB が DEEP PURPLE のトリビュートへ参加を果たしたように、MASTODON の Troy が THIN LIZZY のライブに参加したように、クラッシック・ロックのメタリックな、もしくはヘヴィーな再解釈はドゥーム/ストーナー界隈にとって重要な通過儀礼の様相を呈しています。そんな割礼の真っ只中で一際存在感を放つヘヴィーアートの創造主こそ VOKONIS です。
「ELDER とは一緒にライブをしたこともあるし、いつも聴いている。ストーナー/ドゥーム・シーンの中で、彼らのような型にはまらないバンドをはじめて目の当たりにして、自分のバンドのクリエイティビティに対する考え方が大きく変わったんだ」
ELDER や KHEMMIS, PALLBEARER といった新世代のドゥーミストがプログレッシブな息遣いで地を這う重音にカラフルな知性を与える中、遅れてきた英雄 VOKONIS はトリオという牙城に RUSH の魂を込めてみせました。ただし、米国の新世代とは決定的に異なる点も存在します。それは、OPETH, SPIRITUAL BEGGARS, GRAND MAGUS といったプログやクラッシック・ロック再解釈の達人が遺した遺産、北欧スウェーデンの血脈です。
「特に長い曲では、彼がアルバムにまとまりをもたらしてくれたと思う。OPETH は僕に大きなインスピレーションを与えてくれるバンドで、今までで最も好きな “ヘヴィーバンド” のひとつだろうな。僕がプログレッシブ・ロックに出会ったのは、おそらく OPETH が最初で、そこから僕の旅が始まったんだよ」
アルバムには、OPETHプログ化の鍵となった鍵盤奏者 Per Wiberg が4曲にゲスト参加しています。同時に SPIRITUAL BEGGARS の顔でもあった渦を巻くハモンドの雄叫びは、長尺化複雑化多様化を志向する拡大する哲学に欠かせない要素となっています。メロトロンとハモンドは作品に荘厳な70年代プログの雰囲気を与え、バンドは瞑想的でゆるやかな時間とリフを中心としたハードなドライビング・パッセージを織り交ぜることが可能となったのですから。
幕切れの “Hollow Waters”と “Through the Depths” では、その効果が顕著に表れています。21分近いヘヴィーなプログ・ドゥームは、それでいて想像以上ににキャッチーかつ耳に残る偉業。古と未来の邂逅は時にメランコリックの極みを醸し出し、アレンジやアイデアの魔法はアートワークの火の鳥のごとく幻想的に楽曲を彩っていきました。ギルモアとジョン・ロードが流動するサイケデリックな探究心こそ至高。
一方で、ベースの Jonte Johansson が使い分けるクリーンとハーシュのボーカルスタイルはその両輪でカリスマ性を放ち、ギタリスト Simon Ohlsson のシャウトを加えたトリプルボーカルの嗎は、タイトルトラック “Odyssey” のキラーなギターリフとえも言われぬ核融合を果たしつつ、古の詩人ホメロスが想像だにしなかったディストピアの放浪記を描いていくのです。
今回弊誌では、Simon Ohlsson にインタビューを行うことができました。「僕は、人間が地球を適切に管理していないために、地球に害を与えていると考えているんだ。だけど、別の意味で、つまり人類が滅亡しても地球はこれからも生き続けると信じているんだよ。人間がいてもいなくてもね」 もしも乾燥した MASTODON の荒野に OPETH が実ったら?どうぞ!!

VOKONIS “ODYSSEY” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE RUINS OF BEVERAST : THE THULE GRIMOIRES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALEXANDER VON MEILENWALD FROM THE RUINS OF BEVERAST !!

“We Were Teenagers And Fairly Easily Manipulable, And an Extreme Movement Coming From Obscure Scandinavia, That Was Surrounded By Kind Of an Occult Aesthetic And an Almost Radical Anonymity And Secretiveness, Seemed Overwhelmingly Fascinating To Us.”

DISC REVIEW “THE THULE GRIMOIRES”

「自分がやっていることがブラック・メタルのルールに則っているかどうかは、あまり意識していない。もちろん、NAGELFAR 時代にもそうしていたんだけど、THE RUINS OF BEVERAST は最初から巨大な音の風景を構築することを目的としていたから、限界を感じるものは直感的に無視しようとしていたのだと思うな。そして、何よりもまず制限となるのは、ジャンルのルールだからね」
ジャーマン・ブラック・メタルの伝説。Alexander von Meilenwald の落とし胤 THE RUINS OF BEVERAST は、長い間メタルの海岸線を侵食しながらアンダーグラウンドの美学を追求してきました。ブラック、デス、ドゥームに、サイケデリックな装飾や多彩なサウンドスケープ、サンプルを宿しながら綴る、音のホラー小説。
デビューアルバム “Unlock the Shrine” の広大なアトモスフィアから、15世紀ドイツの異端審問を描いた “Blood Vault – The Blazing Gospel of Heinrich Kramer” のコンセプチュアルな作品まで、Alex の言葉を借りれば、自然や世界を聴覚的に表現する音楽はアルバムごとにそれぞれの独特な感性を備えています。
「俺はいつもゼロからのスタートなんだ。いつも、新しいアルバムのためのビジョンを描き、それが創造的なプロセス全体の地平線として設定される。そして、先ほど言ったように、それは以前の作品とは全く関係がないんだ。」
Alex の6度目の旅路 “The Thule Grimoires” は、これまでのどの行き先よりも楽曲を重視し、アイデアを洗練させ、多様であると同時に即効性のある目的地へと向かいました。スラッジの破壊と暗く壮大な混沌のドゥームを探求した “Exuvia” とは異なり、”The Thule Grimoires” は初期の生々しいスタイルを再度回収しています。では、Alex は過去の寄港地、ブラックメタルのルーツにそのまま戻るのでしょうか?それともトライバルでサイケデリックな領域をさらに旅し続けるのでしょうか?圧倒的で落胆に満ちたドゥーム・アルバム? メタルではなくアンビエントなテクスチャーに根ざした何か?答えはその全てです。
「ブラック・メタルが重要じゃないわけじゃないんだ。”Ropes Into Eden” の冒頭を聴いてみると、かなり古典的なブラックメタルのパートだけど、同時に見慣れない要素によって拡張されている。これはすべてオートマティックに起こることさ」
アグレッシブなテンポ、ブラスト・ビート、そしてトレモロ・リフに大きな重点を置きながら、美しく録音された作品には、フューネラル・ドゥームの深い感情を呼び起こすような、不安になるほど酔いしれた雰囲気が漂っています。ただし、テンポが速くなったことでこれまで以上に素早くシーケンスからシーケンスへと飛び移ることが可能となり、その結果、楽曲は様々な影響が回転ドアのように目まぐるしく散りばめられているのです。
「俺の音楽人生には何度か、必ずポップ、シンセウェーブ、ポスト・パンクの衝撃が戻ってきているんだ。NAGELFAR の “Srontgorrth” アルバムや、初期の THE RUINS OF BEVERAST のリリースでも、少なくともゆるやかには存在していたからね。ただこのアルバムでみんながこれほど “ノン・メタル” な影響を確認する主な理由は、クリーンなボーカルだと思うんだ」
アルバムは陰鬱なスペース・ロック、”Monotheist” 時代の CELTRC FROST、さらには80年代のゴス・ロック、ポスト・パンク、シンセ・ポップからも影響を受けています。しかし、すべてのスタイルを支えているのは、鼓動するブラックメタルの心臓。
例えば “Polar Hiss Hysteria” ではトレモロの嵐とサイケデリックなリードがバランスよく配置されており、膨らんだ緊張感はそのままドゥーム・メタルに身を委ねていきます。クリーン・ボーカルも、アルバム中盤のハイライト “Anchoress in Furs” の見事なコーラスのようにより強調され、不協和音のコーラス讃歌にサイケデリックなギター、Alex の奇妙に高揚したバリトン・ヴォイスが万華鏡のような泥沼を創造します。
「俺はあのバンドを心から尊敬しているし、Peter Steele は “俺たち” の音楽世界でら最も非凡で傑出した人物の一人だと思っているんだよ。彼の黙示録的な皮肉は独特で、彼の声も同様に独特だった。完全に他にはないものだったね。だからこそ、俺は彼の真似をしようとは思わなかったんだ。”Deserts To Bind And Defeat” の冒頭では、俺の声をできるだけ深いトーンで表現することにしたんだよ」 そしてもちろん、TYPE O NEGATIVE。
今回、弊誌では Alexander von Meilenwald にインタビューを行うことができました。「ブラック・メタルのムーブメントが始まったとき、俺たちはノルウェーについてできるだけ多くのことを知りたいと思った。突然、ほとんどすべての人が、スカンジナビアから生まれた創作物を賞賛することに同意したんだからね。俺たちはティーンエイジャーで、簡単に影響をうける年ごろだった。オカルト的な美学と、匿名性と秘密性に包まれた、無名のスカンジナビアから生まれた過激なムーブメントは、俺たちにとって圧倒的に魅力的なものだったんだ」 ブラックメタルが贈る審美の最高峰。どうぞ!!

THE RUINS OF BEVERAST “THE THULE GRIMOIRES” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HEDVIG MOLLESTAD : EKHIDNA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HEDVIG MOLLESTAD !!

ALL PICS BY Julia Marie Naglestad & Thor EgilLeirtrø

“If My Work Can Be Considered a Bridge In Music, Nothing Is Better! I’d Love To Be a Bridge Between The Good Qualities In Jazz And The Good Qualities Of Metal. Complexity, Simplicity, Embodied. Like Most Humans.”

DISC REVIEW “EKHIDNA”

「私の作品が音楽の架け橋になるとしたら、それに勝るものはないと思うわ!ジャズの良さとメタルの良さの架け橋になりたいわね。複雑さ、シンプルさ、それが具現化されたもの。ほとんどの人間のようにね。」
上半身はジャズ。下半身はメタル。翼を纏うギリシャ神話の怪物エキドナは、現代の音楽世界に Hedvig Mollestad の姿を借りて降臨しました。そうして彼女の10年にも及ぶアヴァンジャズとヘヴィーロック壮大な実験の軌跡は、サイケデリックなグルーヴを伴いながらプログレッシブの頂点を極めます。
「私はメタルとジャズの真のハイブリッド。ただ TOOL や MASTODON、MEGADETH でさえその音楽の生々しさと強烈な表現は、多くのジャズ歌手の帽子と蝶ネクタイよりもずっと親近感があるからね。」
もちろん、ジャズとロックの融合は何も今に始まったことではありません。例えば源流がジャズならば WEATHER REPORT, RETURN TO FOREVER。ロックならば STEELY DAN でしょうか。ただし、Hedvig の起こす化学反応はよりダイナミックで肉感的。BLACK SABBATH の黒を起源とし脈々と連なるメタルの伝統を受け継いだリフの猛攻、獰猛、邪悪を繊細よりも頭脳的に血肉としているのです。
「私は、自由と同時に、いかに演奏されるべきか “正確に” 知っているものを演奏することの組み合わせが大好きなの。このリフはこの場所でこう変拍子になって、こんなダイナミズムをつけるって正確にね。分かっていればすべてのエナジーを注ぎ込めるでしょ?」
ロックやメタルの愛すべき予定調和と、ジャズの持つ自由奔放。この二つが等しく交わる時、そこにはきっとスピリチュアルな何がが生まれます。Miles Davis の “Bitches Brew” 然り、MAHAVISHNU ORCHESTRA の “Birds of Fire” 然り。超越し、ジャズでもロックでもなくなった名状しがたきスピリットが “Ekhidna” にもたしかに存在するのです。
同時に、温故知新の精神も Hedvig の音の葉をより超越的に彩ります。Miles の時代には存在しなかった MARS VOLTA の宇宙、TOOL の数学、MASTODON の浪漫、SLEEP の重厚を内包したモダンな建築手法は、以前のフュージョンとは一線を画する唯一無二。
実際、6曲で構成されるレコードで、幕開けから17分の空を切り裂く雷撃 (変幻自在なモダンメタルの躍動とサンタナの寛容がテレキネスで惹かれあう “Antilone” は珠玉) のあと訪れる3分の平穏、”Slightly Lighter”。興味深いことに、このオスロの丘の穏やかな呼吸は、70年代のプログやフュージョンに宿った伝説とも、スカンジナヴィアが産み落とす広大なフォークジャズとも、OPETH が引き寄せた音響空間の再現ともとれるのですから。
その多様な思慮深さは幕引きの “One Leaf Left” へと引き継がれます。METALLICA の “One” のようにスロウバーンで映画のようなサウンドスケープは、徐々に歪んだギターでサイケデリックな爆発を誘って行くのです。
スカンジナヴィアは2000年代から続くジャズロック黄金時代の真っ只中にあります。ELEPHANT 9や 絶対神 MOTORPSYCHO を生んだのもこのシーン。完璧な世界ならば、 “Ekhidna” はHedvig Mollestad を彼らのすぐ隣に押し上げ、それ以上にシーンの女王へと祀り上げてしかるべきでしょう。それだけのクオリティー、それだけの驚き、それだけの躍動感がこのレコードには宿っているのですから。
今回弊誌では、ノルウェーの至宝 Hedvig Mollestad にインタビューを行うことができました。「音楽は絶えず動いている。それが音楽の本質よ。探求し、進化し、挑戦し続けている。今後数十年の間に、ライターは音楽のジャンルを正しく記述するための新たな方法を見つけなければならないと思うわ。潜在的に、まだ非常に多くの創造的で正確な、未使用の言葉があると思うから!」 トランペットまで含むシクステッドでの新たな冒険。現代のマクラフリン、それともジェフ・ベックか。どうぞ!!

HEDVIG MOLLESTAD “EKHIDNA” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NEPTUNIAN MAXIMALISM : EONS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GUILLAUME CAZALET OF NEPTUNIAN MAXIMALISM !!

“The Idea Comes From The Fact That a Scientific Community Agrees That If Humans Had Not Occupied The Leading Place In The Food Chain, Then Probably It Would Be The Elephants Who Would Occupy Our Place.”

DISC REVIEW “EONS”

「もし人間が食物連鎖の頂点を占めていなかったとしたら、おそらく象が我々の場所に位置するという科学的なコミュニティも同意した事実から来ているんだけどね。」
叡智を育むゾウの生命に支配される地球の風景。避けがたきホモ・サピエンスの破滅を受け継ぐポスト・ヒューマンの存在。それはベルギーの実験音楽集団 NEPTUNIAN MAXIMALISM が思い描くディストピアな未来です。
「マキシマリズムという概念は、芸術の歴史に直結しているよ。それはまず、無駄を省いたミニマリズム(”less is more”)への反発であり、20世紀の現代美術に強い影響を与えた工業生産コードの回復が、アート市場の堕落を許したことに起因しているんだ。つまり、今日のアートが直面しているこの人間原理、アントロピアに対抗するためには、逆の意味を喚起する何かが必要だったんだよ。それは、現在の市場にある多くの芸術作品が示す安易さに反発して、より多くの仕事、より多くの音楽的レイヤー、さらなる寛大さへと向かうことが必要だったのさ。」
ミニマルな機能美が崇拝された20世紀へのアンチテーゼとして最大限の趣向、装飾、音数が注がれた3枚組2時間超のアルバム “Éons” は、儀式的なドローンのファンファーレで壮大な終末を手招きし、他の動物が高度な知性を得る未来への招待状。海王星の最大主義者を名乗る集団は、宇宙線に魂を貫かれ、自らの分子が散乱し、宇宙の広がりに飲みこまれるような体験を当然のように提供します。
「”サピエンス” という地位に到達するための動物の能力に気づいて欲しかったからなんだ。
言い換えれば、動物は潜在的な “人間” であり、そうなるのも時間の問題なんだ。だからこそ、僕たちは動物を対等な存在として考えなければならないよね。人間が進化の過程で非常にユニークな存在であると考えるのは間違いだと判明している。進化の過程が非常に長く(ホモ・サピエンスでは約30万年)、他の種でそれを観察する時間がなかったからわからなかっただけなんだよ。」
人類は特別な存在ではない。ただ他の動物より早く進化を遂げただけ。その主張と同様に、NEPTUNIAN MAXIMALISM の音楽は前人未到です。メタルとドローンの領域に足を踏み入れ、前衛ジャズの混沌とした自由を謳歌し、トライバルで異質な触手を持つこのグループのサウンドは、連続的な渦巻きの宇宙的ハイブリッドというべきものかも知れませんね。
もちろん、メタル世界は過去40年の間にジャズの血脈をしばしば取り入れてきました。CYNIC のコズミックなプログレッシブデス、PANZERBALLETT の迷宮と技巧、SHINING の異端。しかしかし、”Éons” はそんなユニークなアプローチの末裔というよりも、劇的な再解釈であると言えるでしょう。ジャズメタルではなく、ドゥームジャズでもなく、むしろ神秘的でオリンポス火山のようなドローンノワール。
「最初、僕とルチアーノ(I、Voidhanger Records)は金子富之のこの作品にすっかり惚れ込んでしまったんだ。そのサイケデリズム、配色の多さ、複雑さ、空間の彩度などなどにね。僕たちの音楽に響くものがたくさんあったんだよ。特に怒りに満ちた複数の顔と犠牲になる牛の頭は、確かに我々の宇宙論と関係があったんだよ。」
“大威徳明王の大太鼓” でバーストするサックスの嘶きは、しなやかな即効性と強度を持って終末の儀式を開き、脈動するバリトンは渦巻く炎の中心で静かに輪廻からの解放を誘います。それは、128分の広大で予測不可能な宇宙の凛とした箱庭。
「ジャズかメタルかだって?それは君たちが考えることだよ。まあ僕にとっては、ヘヴィートライバル、時々はオペラドローンと言えるかな。」
世間一般の定義では “メタル”ではありませんが、NEPTUNIAN MAXIMALISM は、あらゆるジャンル、あらゆる意味での重力とヘヴィネスを想起させる絶対的に巨大なブラックホールを生み出しています。
“NGANGA – Grand Guérisseur Magique de lre Probocène” のひりつくようなグルーヴ感とリズム感、”PTAH SOKAR OSIRIS – Rituel de l’Ouverture de la Bouche dans l’Éon Archéen”ではミニマルなドゥームメタルの轟音にホーンが虹彩のカウンターポイントを与え、”ENŪMA ELIŠ – La Mondialisation ou la Création du Monde. Éon Protérozoïque” に至ってはカルトなジャズメタルの生け贄をサイケデリックなラーガロックへと再構成しているのですから。
SUN RA, John Coltrane, EARTH, SUNN O)))、クラウトの化身 EMBRYO, それにインドやアラブのフォークミュージック。”Éons” で想像される世界は、たしかに基本的にはどんなメタルバンドにも備わる暗黒のビジョンであり、荒涼としたファンタジーに満ちています。 しかし、NEPTUNIAN MAXIMALISM のアポカリプスはスピリチュアルで感動的、そして美しく混沌としていて、著しく奇妙なのです。
今回弊誌では、 バリトンギターからシタール、フルート、トランペットと音の自由を謳歌する Guillaume Cazalet にインタビューを行うことが出来ました。「進化したゾウは、彼らの黄金時代の間に動物の太陽都市(HELIOZOAPOLIS)を建立しているんだ。クローサーは、完全な静けさの中で僕たちの有限性を喚起するグループ BONG の歌のタイトルから取られているよ。僕たちの後継となる世界は美しいものになるからね。」 どうぞ!!

NEPTUNIAN MAXIMALISM “EONS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PALLBEARER : FORGOTTEN DAYS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOSEPH D. ROWLAND OF PALLBEARER !!

“I Do Have a Great Love For The Bands Who Shifted Into Something Not Quite Prog, Not Quite AOR. Asia, And 80s Rush Are a Great Example Of That.”

DISC REVIEW “FORGOTTEN DAYS”

「KING CRIMSON や URIAH HEEP, MAGMA といったバンドは、たしかに現在のドゥームに通じている部分があると思う。そして重要なのは、個人的に僕は今日のどんなバンドより遥かに大きなインスピレーションを、そういったバンドから継続的に得ていることなんだ。」
多様化、細分化が進行するモダンメタルの時代において、フューネラルドゥーム、エピックドゥーム、ドゥーム/ストーナー、ゴシックドゥームとその陰鬱な墓標を拡散するドゥームメタルの新たな埋葬は大きなトピックの一つです。
中でも、PALLBEARER 以前、PALLBEARER 以降とまで区分けされるモダンドゥームの棺付き添い人は、愛する70~80年代のプログロックから受け継いだ仄暗き哀愁や知性を伴いながら、プログレッシブドゥームの扉を開けました。
「僕たちは常に変化と進化を第一の目標の一つとして進んできたよ。だから、純粋な続編となるような、似たようなレコードは一つもないはずなんだ。」
PALLBEARER が2017年にリリースした “Heartless” はプログレッシブドゥームのまさに金字塔でした。さながら幾重にも織り込まれた闇のタペストリーが寄り集まるように、繊細で複雑で装飾豊かに設計されたドゥームの聖堂では、その荘厳故に幾度も訪れることを義務付けられたプログとドゥーム、オルタナティブ、そしてクラシカルの宗派を超えた礼拝を司っていたようにも思えます。ただし、真のプログレッシブとは一箇所に留まらず、変化と進化を重ねること。
「僕たちは複雑さや装飾性を自分たちが納得するまで追求してきたんだけど、その領域を離れてもっと広い意味でのエモーショナルなもの、自分たちにとっては違うインパクトのあるものを作りたかったんだ。」
バンドの中心 Joseph D. Rowland は、デビュー作 “Sorrow & Extinction” 製作時に愛する母を失いました。その感情の解放は、10年という時を経て家族をテーマとした “Forgotten Days” に降り注ぐこととなりました。
母の死という喪失が自らをどう変化させ、形成したのか。山ほどの後悔と内省、そして人生における選択の重さをドゥームに認めた作品は、明らかに以前よりダイレクトで、生々しく、そして重苦しく、エモーショナルです。
「僕はね、完全にプログレではなく、完全にAORでもないものにシフトしていったバンドをとても愛しているんだよ。ASIA や80年代の RUSH はまさにその良い例だと思う。」
壮大な組曲の後に素知らぬ顔でポップソングを収録する。クラッシックロックにシンセサイザーや電子の実験を持ち込んでみる。Joseph の言葉を借りれば、プログレッシブから芸術的なやり方で王道に回帰する。過渡期のロック世界に花開いた得体の知れない徒花は、エリック・サティーやグレゴリオ・アレグリといったクラッシックの音楽家と同様に Joseph の内側へと浸透しています。典型からの脱出。そもそもロックとは得体の知れない何かを追い求めることなのかもしれませんね。
実際、これまで交錯した音の樹海を旅してきた PALLBEARER にとって、このレコードは “Asia” であり、”Big Generator” であり、”Moving Pictures” なのかも知れません。オープニングを司る “Forgotten Days” は王道のドゥーム世界へと回帰しながら、即効性と中毒性の高いキャッチーな旋律でリスナーを憂鬱のノスタルジアへと誘います。一方で、KING CRIMSON の “Fallen Angel”, “Starless”, そして “Epitaph” の叙情をドゥームへ繋げた “Silver Wings” はバンドのプログレッシブな哲学を伝えますが、それでも以前より実にオーガニックかつ濃密です。
SUNN O))) や EARTH を手がけた Randall Dunn のアナログでライブ感重視のセンスが、PALLBEARER の新たな旅路のコンパスとなったことは確かでしょう。ハイライトは閉幕の2曲。凍てつくような厳寒に美麗を織り交ぜた “Rite of Passage” では、Brett Campbell が Geddy Lee と Alex Lifeson の一人二役をこなしながらエピックドゥームの進化を提示し、DEPECHE MODE のポストパンクを咀嚼した “Caledonia” を自らの進化の証とするのです。
今回弊誌では、Joseph D. Rowland にインタビューを行うことができました。「YES の楽曲 “Big Generator” には信じられないほどヘヴィーなギターリフが入っているんだ!もちろん、プロダクションの選択やサウンドの中には、今では少し時代遅れと思われるものもあるかもしれないけれど、僕は PALLBEARER とこの曲の間にとても親近感を覚えているんだよ。」 どうぞ!!

PALLBEARER “FORGOTTEN DAYS” : 9.9/10

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