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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KAIPA : CHILDREN OF THE SOUNDS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HANS LUNDIN OF KAIPA !!

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Legendary Swedish Progressive Rockers, Kaipa Will Bring Ethereal Melody, Great Interplay, And Beautiful Inspiration With Their New Record “Children Of The Sounds” !!

DISC REVIEW “CHILDREN OF THE SOUNDS”

スウェーデンプログレッシブシーンの開祖にしてイニシエーター、70年代から活躍を続ける芳醇なるメロディーの宝庫 KAIPA が最新作 “Children of the Sounds” を9/22にリリースします!!煌びやかでシンフォニック、その絶佳なる美しきサウンドスケープは、レトロとコンテンポラリーの華麗なる融合を誘ってベテランの底知れぬ創造性を誇示していますね。
トラッドとクラシカルを軸に、情感豊かでキャッチーなプログレッシブロックを聴かせた70年代~80年代前半。Hans Lundin と Roine Stolt、巨匠2人のマジカルなインタープレイとバンドの巧みなアンサンブルは世界中を魅了し、故に82年の活動休止は実に惜しまれた出来事でした。
バンドに新たな生命が灯ったのは休止から20年の月日を経た2002年。Hans と Roine を首謀者として、 Morgan Ågren (MATS/MORGAN BAND), Jonas Reingold (THE FLOWER KINGS), Aleena Gibson, Patrik Lundström (RITUAL)という超一流の実力者を揃えたラインナップで復活を遂げた KAIPA は、2005年の Roine 脱退以降も新たにマエストロ Per Nilsson (SCAR SYMMETRY) を加えてコンスタントに良作を発表し続けているのです。
「僕たちは “サウンドの子供たち” であるという想像に至ったんだ。人生で経験して来た音楽を集めて新たな創造をもたらし、フレッシュな音楽を描くというね。」 と語るように、”Children of the Sounds” は、KAIPA のマスターマインド Hans Lundin の潜在意識へと集積された “音楽の種子” が芽吹き、全5曲58分の壮大なるエピックへと成長を遂げた登熟の一枚だと言えるでしょう。
アルバムオープナー、12分のタイトルトラック “Children of the Sounds” はまさにその Hans の哲学を完璧に反映した楽曲です。「僕はいつも、潜在意識のどこかに隠れている偉大で忘れ難いメロディーを出発点として見つけようとするんだよ。僕はそれを良くボーカルメロディーやメインテーマにしたりするんだ。」 という証言は非常に音楽的でインテリジェンスな彼のやり方を裏付けます。
クラッシックやジャズ、ミュージカルで良く使用されるこの “テーマを膨らませる” 手法は、例えばプログメタルに有りがちな様々な異なるパートを複雑に繋いで行く煩雑な手法よりも、楽曲の主題をリスナーに印象づけるという点において非常に有効です。そして 「僕はメインテーマに様々なバリエーションを持たせる技法を良く使用するよ。時には拍子を変えて、時には同じコードで新たに楽器でメロディーを書いたり、時には主題の断片を含ませたり、時にはコードのベースノートだけを変えて少し変わったフィーリングを出すこともあるね。」 と Hans が語る通り、”Children of the Sounds” におけるテーマの膨らませ方は本当に見事の一言ですね。
“ドーシーラーソラー” というシンプルにして心に染み入るメロディーは、Aleena のエモーショナルな女声を発端に、テンポ、拍子、コード、キー、メジャー/マイナーなどを入れ替えながら、万華鏡のようにその姿を変え躍動し、楽曲に無上の彩と強烈な印象を加えていくのです。
再結成以降、ライブは一切行わず、レコーディングも Hans の制作したデモから全てをファイルシェアで行っている KAIPA。とはいえ、「他のメンバーとはもう長年一緒にやって来ているから、デモを作っている間にも彼らの存在を感じることが出来るし、彼らが実際にプレイした最終形も想像することが出来るんだ。」 と語ってくれた通り、Per のメロディックでしかしコンテンポラリーなスマートかつソニカルなギタープレイ、Aleena と Patrick のジャニスとフレディー・マーキュリーを思わせるエモーショナルでコントラストを育むデュエット、Jonas と Morgan の繊細かつダイナミックなリズムワーク、そして Hans のノスタルジックで温かみのあるシンセサウンドは全てが適材適所。美麗なるヴァイオリンや笛の音色まで全てが Hans のデザインを巧みにグレードアップさせ、アートワークにも反映されたファンタジックで、自然に対するスピリチュアルなインスピレーションを見事具現化しているのです。
17分に及ぶ一大エピック、時にソフトに時にエッジーに、70年代のスピリットとモダンなプロダクションで木々や鳥たち、自然にフォーカスした “On The Edge of New Horizon” は Hans だけでなく、まさにバンド KAIPA としてのゴールが達成された瞬間なのかも知れませんね。
今回弊誌では Hans Lundin にインタビューを行うことが出来ました。音楽は音学でもあります。学問は一時の思いつきでは決してなく、太古から積み重ねられてきた知識の集積です。そういった意味で Hans の言う “音楽のライブラリー” からの創造、そしてトラディショナルで正攻法な作曲の手法は実に理に叶っており、これからコンポーザーを志す人たちにとって最高の指南書になるのではないでしょうか。どうぞ!!

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KAIPA “CHILDREN OF THE SOUNDS” : 9.8/10

INTERVIEW WITH HANS LUNDIN

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Q1: First of all, could you tell us about the meaning behind your band name Kaipa? When you started the band, “Ura Kaipa” was the name, wasn’t it?

【HANS】: The name of the band was originally URA KAIPA. It referred to a Swedish Stone Age chieftain and came from the book “Svenskarna och deras hövdingar” by Werner von Heidenstam. We wanted a true Swedish name and as URA KAIPA was described as the first Swedish chieftain we thought it could be a good decision. In 1974 we decided to shorten the name to KAIPA.

Q1: バンドが始まった時点では、KAIPA は URA KAIPA というバンド名だったんですよね?

【HANS】: 確かにバンドの名前は元々 URA KAIPA だったんだよ。スウェーデンの石器時代の族長を意味し、Werner von Heidenstam の著書 “Svenskarna och deras hövdingar” から取ったんだ。僕たちは、真にスウェーデンらしい名前が欲しかったんだよ。
URA KAIPA は本の中で、最初のスウェーデン族長として描かれているから、良い決断に思えたね。1974年に、名前を短くして KAIPA とすることを決めたのさ。

Q2: From the middle of Kaipa’s career, the band started singing in English instead of Swedish. Off course, you use Swedish in the recent title tracks like “Vittjar”, “Sattyg”. But most of the songs was sung by English. what inspired you to change the direction?

【HANS】: I wanted to reach a wider audience and decided to use English lyrics, only 5-10% of our albums since 2002 are sold in Sweden. On the album “Vittjar” from 2012 the title track is with Swedish lyrics but that is an exception. On the next album I wrote another song with Swedish lyrics. The title was “Sattyg” and I thought it also could be the title of the album. Later I decided to translate it to English using the title “Screwed-upness”. Instead I wrote a new title track, a short instrumental song called “Sattyg”.

Q2: KAIPA はキャリアの途中で、スウェーデン語から英語に歌詞を移行しました。近作でも、アルバムのタイトルトラックこそスウェーデン語を使用していたりしますが、基本的には大部分で英語が使われていますね?

【HANS】: 僕はより幅広いオーディエンスにアピールしたかったんだ。それで歌詞に英語を使用することにしたんだよ。2002年までで、スウェーデンでの売り上げは全体の5~10%しかなかったからね。
2012年のアルバム “Vittjar” は、タイトルトラックにスウェーデン語の歌詞を使用したんだけど、これは例外だったんだ。その後、次のアルバムにも僕はスウェーデン語の歌詞を書いたんだ。”Sattyg” という曲名で、これもアルバムのタイトルに相応しいと思ったよ。
後に、僕はその言葉を英語に訳して “Screwed-upness” というタイトルの楽曲にしたのさ。そしてその代わりに、新たな短いインストゥルメンタルソングを書いてそれを “Sattyg” と名付けることにしたんだ。

Q3: I feel Kaipa becomes definitely “Prog Super-group”, after you reunite the band in 2000. Morgan and Jonas was surprising choice, but especially, Per Nilsson’s joining in 2006 as successor of Roine was big surprise for me. Because, he was known as Metal Shredder. What made you choose him?

【HANS】: I met Per the first time in the late 90’s when we recorded the album “HAGEN: Corridors of time”. I immediately realized that he is an outstanding and versatile musician. So when I needed a new guitar player in KAIPA 2006 I didn’t have to think twice, the choice was obvious.

Q3: KAIPA はあなたが2000年にバンドを再結成してから、間違いなくスーパーグループと言える陣容を誇ります。Morgan Agren, Jonas Reingold も勿論ですが、Roine の後任に Per Nilsson を指名したのは驚きでした。彼はメタルシュレッダーとして知られていましたからね。

【HANS】: 僕が初めて Per と会ったのは90年代後半、僕たちが HAGEN の “Corridors of time” をレコーディングした時だね。その時、すぐに僕は彼が際立った、多才なミュージシャンだと気づいたんだよ。
だから2006年に KAIPA で新たなギタープレイヤーが必要となった時、即座に Per を指名したね。他に選択肢はなかったよ。

Q4: So, I wonder why doesn’t Kaipa start playing live performance again? Definitely, lot’s of fans are looking forward to it!

【HANS】: KAIPA is purely a studio band, that was my idea when “Notes from the past” was recorded and I haven’t change my thoughts concerning that during the years.

Q4: 再結成以降、KAIPA はライブパフォーマンスを行っていませんが、期待しているファンも多いのではないですか?

【HANS】: KAIPA は純粋にスタジオバンドなんだよ。”Notes From The Past” をレコーディングした時から僕はそう思っているんだ。年月を重ねても、その考えは変わっていないんだよ。

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Q5: Anyway, let’s talk about your upcoming new record “Children of the Sounds”. It seems you started writing inspired by the performance of Mats & Morgan Band, and long bicycle ride, doesn’t it?

【HANS】: During the summer I use to take long bicycle rides on small winding roads in the peaceful open landscape around my home-town Uppsala. I often stop and rest near some old church. Sometimes it’s like if I hear music, like anthems from the past seep out through the walls from the church but it’s only a new melody born in my consciousness and the seed of a new song. The lyrics to the song “Like A Serpentine” describe this feeling. The beauty of nature is an important inspiration to me in my song writing.
What really made me push the start button this time was a magic spirit that filled my whole body after visiting a concert with Kaipa drummer “Morgan Ågren” and his band “Mats & Morgan Band” in November 2014. I woke up the morning after the concert and still felt that enormous groove filling every part of my consciousness. I realized that I had to canalize all this energy somewhere so I decided to start to write some new music.

Q5: では最新作 “Children of the Sounds” について話しましょう。あなたはこのアルバムの制作を Mats/Morgan Band のパフォーマンスにインスピレーションを得て始めたそうですね?自転車でのロングライドにも。

【HANS】: 夏の間、僕は普段ホームタウンの小さな景色の良い小道を自転車でロングライドすることにしているんだ。
よく古い教会に自転車を停めて休むことがあるんだよ。そこでは時々、まるで過去の賛美歌が教会の壁を通して聴こえてくるように感じるんだ。そういった意識の中で新たなメロディーが生まれ、それが新曲の”種”になったんだ。
“Like A Serpentine” はその時のフィーリングを表現した楽曲なんだよ。ソングライティングにおいて、自然の美しさは僕にとって重要なインスピレーションの源だからね。
ただ、今回制作へのスタートボタンを本当に押してくれたのは、2016年の11月に KAIPA のドラマー Morgan Ågren が率いる Mats/Morgan Band のコンサートを訪ねた後、全身を満たしたマジカルなスピリットだったんだ。
コンサートの次の日、朝起きると僕の意識の全てパートがまだあのバンドの大きなグルーヴを感じていることに気づいたんだよ。僕はその全てのエナジーをどこかに放出しなければならないと悟ったね。だから新曲を書くことに決めたのさ。

Q6: This time, album title is not English. Also, the artwork with a girl is very fantastic and ethereal that reflects the music. By the way, what made you choose the title? Is there any concept in the record?

【HANS】: No it’s not a concept album, just five separate songs. I’ve often wondered where all those notes are coming from when the inspiration suddenly hits me in one of those magical moments when I just have to start to write a new song. Maybe I have a huge library of notes that I’ve collected during all my life hidden somewhere in my subconsciousness. Maybe these notes have been played before and then just vanished in the air. After slumbering for many years they suddenly wake up eager to start a new life and to form new combinations and so they guide me through the writing process. So I imagined that we are “Children of the sounds” and that we paint the music we create with our own references that we’ve collected through our lifetime and bring it into something new.

Q6: 音楽を反映するような美しいアートワークにも少女、つまり “Children” が描かれていますが、作品のコンセプトはどのようなものなのでしょう?

【HANS】: これはコンセプトアルバムではないよ。ただ5曲別々の楽曲が存在するだけさ。
時々疑問に思うんだけど、僕が新曲を書き始める時、突然マジカルなインスピレーションが降りて来るんだけど、その全ての音はいったいどこからやって来るんだろうって。おそらく僕の中に巨大な音のライブラリーが存在するんだろうね。
それは人生を通して潜在意識に養って来たものなんだろうけど。たぶん、そういった音たちは以前に演奏されて来て、ただどこかに消え去っていたものなのかも知れないね。何年も眠りについた後、突然その音の連なりは新たな生命を全うしたくて目覚め、新たな連結を始めるんだ。ライティングプロセスの間中、そういった音楽がガイドを果たしてくれるんだよ。
そういった考えによって、僕たちは “サウンドの子供たち” であるという想像に至ったんだ。人生で経験して来た音楽を集めて新たな創造をもたらし、フレッシュな音楽を描くというね。

Q7: I feel this record is more epic than your previous works. Off course, recent releases have long songs over ten minutes, but this time, only five songs and most of these are ten minutes around. When I interviewed Per before, he said Kaipa’s record is made by file sharing, such a precise, much layered works by file sharing?? Unbelievable! Anyway, what made you make such a epical record this time?

【HANS】: I never decide in advance what I shall write. I just let the inspiration guide me on an unpredictable and exiting journey. This time the result was five long songs and it feels good.
I always try to find one of those great and unforgettable melodies hiding somewhere in my subconscious as a starting point. I often use that as a vocal melody and the main theme of a composition. Instead of composing a lot of totally different parts and mix them into a long song I use to do several variations of the main theme. Sometimes I change the time signature, sometimes I write a new instrumental melody, using the same chords, with some fragments of the main theme included and sometimes I just change the bass notes in the chords to produce another feeling. I think this gives you a familiar feeling when you listen to the music even if you don’t necessarily realize it’s coming from the same source. I’m working with writing and arranging side by side recording it into a demo where I’m playing and singing everything. That’s my normal way of working so I can get an overview of the songs. I have worked with the other members for so many years now so I can feel their presence and feel the changes in the music they’re going to perform to create the final result.

Q7: 結果として “Children of the Sounds” はいつにも増してエピカルで、長編の楽曲が揃いましたね。

【HANS】: 僕は前もってどんな楽曲を書くか決めたことがないんだよ。ただインスピレーションに従って、予想もつかないエキサイティングな旅に出るだけさ。今回は結果として、5つの長い楽曲が良い感じに仕上がったという訳なんだ。
僕はいつも、潜在意識のどこかに隠れている偉大で忘れ難いメロディーを出発点として見つけようとするんだよ。僕はそれを良くボーカルメロディーやメインテーマにしたりするんだ。
全く異なる多くのパートを作ってそれらを合わせて長い楽曲を作る代わりに、僕はメインテーマに様々なバリエーションを持たせる技法を良く使用するよ。時には拍子を変えて、時には同じコードで新たに楽器でメロディーを書いたり、時には主題の断片を含ませたり、時にはコードのベースノートだけを変えて少し変わったフィーリングを出すこともあるね。こうした手法を取ることで、リスナーは同じメインテーマから来ていると気づくまでもなく、慣れ親しんだ感覚を覚えることが出来るんだ。
僕は作曲とアレンジを、僕が全てを歌ってプレイするデモをレコーディングしながら並行して行っているんだよ。だから楽曲の全体像を把握することが出来るのさ。これが僕のノーマルなやり方だよ。他のメンバーとはもう長年一緒にやって来ているから、デモを作っている間にも彼らの存在を感じることが出来るし、彼らが実際にプレイした最終形も想像することが出来るんだ。

Q8: So, In 2014, original members Roine Stolt, Ingemar Bergman, and Tomas Eriksson re-grouped under the name Kaipa DaCapo to play the old music from the first three albums as well as brand new music. What’s your thought about them?

【HANS】: I think it’s great that my old friends and band mates from the original Kaipa 1974 are playing together again. When they started they only played the old Kaipa songs from the 70’s. But last year they decided to record an album with new material. I advised them to find a new name of the band so they could have their own identity but they refused to listen to me. I don’t like that they are using the name Kaipa just because it leads to so many misunderstandings and confusion.

Q8: 最後に、2014年から KAIPA のオリジナルメンバーである Roine Stolt, Ingemar Bergman, Tomas Eriksson が KAIPA DACAPO の名の元に再集結していますね。彼らの活動についてあなたはどう思っていますか?

【HANS】: 古い友人で、1974年のオリジナル KAIPA のバンドメイトでもある彼らがまた一緒にプレイしているのは素晴らしいことだよ。彼らが KAIPA DACAPO を始めた時は、70年代の古い KAIPA の楽曲だけをプレイしていたね。だけど去年、彼らは新たなマテリアルで新作を作ることに決めたんだ。
彼らには新しいバンド名を見つけるようにアドバイスしたんだよ。その方が自らのアイデンティティーを保てるからね。だけど彼らは耳を貸さなかったんだ。彼らが KAIPA の名前を使っているのは、ただ混乱とミスアンダースタンドを招くという理由で、僕は気に入ってはいないんだ。

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FIVE ALBUMS THAT CHANGED HANS’S LIFE

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【HANS】: No I can not do that. There is too much music that has passed through my long life. I listened to a lot of music already before I started to play in my first band 1964. Going from simple 3 minutes pop-songs to more complex music in the 70’s. But I’ve always appreciated great memorable melodies. It doesn’t matter what genre it is.

【HANS】: 5枚を選ぶなんて出来ないよ。僕の長い人生にはあまりにも多くの音楽が通り過ぎていったからね。僕は1964年に最初のバンドでプレイする前から、すでに多くの音楽を聴いていたんだから。三分間のシンプルなポップソングから始まって、70年代にはより複雑な音楽をね。ただ、僕はいつだって偉大で記憶に残るメロディーを讃えてきたよ。ジャンルが何であれね。

MESSAGE FOR JAPAN

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I want to thank all my friends and supporters in Japan and inform them that I am now going to finish the work of remixing my three solo albums recorded during the years 1984–1989 with mostly instrumental music stylistically close to the music I wrote for Kaipa. In 2018 these three albums and two more with previously unreleased material will be released in a 5-CD Box “Hans Lundin: The solo years 1984-1989”. It’s a real joy to revisit all these songs and all the memories from when I wrote and recorded them. There will be lots of analogue synths and of course my trademark the distorted solo synths that I started to develop in the late 70’s. Also some Kaipa demos and several guest musicians like Roine Stolt, Max Åhman and Ulf Wallander.

日本の全ての友人たちとサポーターたちに感謝を伝えたいね。そして僕が 1984年から1989年の間にレコーディングを行った3枚のソロアルバムのリミックスを終えようとしていることもね。
ほとんどがインストゥルメンタルミュージックだけど、スタイル的には KAIPA に近いかな。2018年に、その3枚のアルバムと2枚の未発表作品集を合わせて5枚組ボックスセット “Hans Lundin: The solo years 1984-1989” としてリリースするんだ。この作品の楽曲を再び訪ねるのは真に喜びだったね。レコーディングしたり作曲した時の想い出が蘇ってきたよ。
作品には沢山のアナログシンセと、勿論僕のトレードマークである、70年代後半に僕が進化させたディストーションのシンセソロも収録されるよ。KAIPA のデモ音源や、Roine Stolt, Max Åhman, Ulf Wallander といったゲスト陣もね。

HANS LUNDIN

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COVER STORY 【STEVEN WILSON : TO THE BONE】INTERVIEW WITH NICK BEGGS & TRACK BY TRACK REVIEW


EXCLUSIVE INTERVIEW WITH NICK BEGGS & TRACK BY TRACK OF STEVEN WILSON’S “TO THE BONE” !!

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Steven Wilson’s New Adventure “To The Bone” Is Inspired By The Hugely Ambitious Progressive Pop Records That He Loved In His Youth !!

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TRACK BY TRACK “TO THE BONE”

「最も大きなチャレンジは、楽曲重視のレコードを作ることだよ。メロディーにフォーカスしたね。」 モダンプログレッシブの唱導者 Steven Wilson はそう語ります。モダン=多様性の申し子である世界最高の音楽マニアが、至大なる野心を秘めて放つ5作目のソロワーク “To The Bone” は、自身が若き日に愛した偉大なるポップロックレコードの瑞々しいメロディー、その恩恵を胸いっぱいに浴びた新たなる傑作に仕上がりました。
Steven は “To The Bone” のインスピレーションを具体的に挙げています。Peter Gabriel “So”, Kate Bush “Hounds of Love”, TALK TALK “Colour of Spring”, TEARS FOR FEARS “Seeds of Love”, そして DEPECHE MODE “Violator”。勿論、全てが TOP40を記録したメインストリーム、知的で洗練されたポップロックの極み。
同時に彼は自身のプログレッシブなルーツも5枚提示しています。TANGERINE DREAM “Zeit”, Kate Bush “Hounds of Love”, THROBBING GRISTLE “The Second Annual Report”, PINK FLOYD “Ummagumma”, ABBA “Complete Studio Albums” (全てのスタジオアルバム)。
非常に多様で様々なジャンルのアーティスト、レコードが彼の血肉となっていることは明らかです。ポップサイドでも、フックに溢れた音楽的な作品を、プログレッシブサイドでも、難解なだけではなくサウンドスケープやメロディーに秀でた作品を撰するセンス。両方に含まれる Kate Bush の “Hounds of Love” はある意味象徴的ですが、すなわち、レコード毎にその作風を変化させるマエストロが今回探求するのは ナチュラルにその二者を融合させた “プログレッシブポップ” の領域だったのです。
実際、2011年からレコーディング、ツアーに参加し続けているロングタイムパートナー、チャップマンスティックの使い手 Nick Beggs はこの稀有なるレコードを “クロスオーバー” でそれこそが SW の探求する領域だと認めています。そしてその “違い” こそが様々な批判、賛美を生んでいることも。
「プログレッシブロックのオーディエンスって、実は最もプログレッシブじゃないように思えるんだ。プログレッシブミュージックは、プログレッシブな考え方であるべきなんだよ。」 盟友の心情を代弁するかのように Nick はシーンのあるべき姿をそう語ります。いとも容易くミッドウイークの UK チャートNo.1を獲得したアルバムは、決して “プログレッシブロックの逆襲” “プログの帰還” などというシンプルな具象ではなく、イノベーターの強い意志、情念なのかもしれませんね。

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TRACK 1 “To The Bone”
タイトルトラックにしてオープナー、”To The Bone” はこの芳醇なるレコードの絶妙にして正確なるステートメント。XTC の Andy Partridge が歌詞を手がけた楽曲は、”骨の髄まで” 現在の状況を突き詰め、核となる真実を探し出すことについて歌っています。
言うまでもなく、これはドナルド・トランプ時代の産物です。先のアメリカ大統領戦で私たちが経験したように、真実は時に異なる物の見方を生み出し、事実をねじ曲げてしまう可能性があるのですから。
コンセプトアルバムの形は取らなかった “To The Bone” ですが、どの楽曲にも共通するテーマは存在します。それは現在の世界を決して素晴らしいものとは思わないという視点。Steven はその要因の一つが基本的なマナーの欠如だと述べています。世界には敬意や思いやりに欠く人間があまりに多すぎると嘆いているのです。
そういった背景を鑑みれば、ダイナミックでパワフルなアルバムオープナーがトラディショナルである意味オーソドックスなブルースロックを基調としたことにも頷けますね。勿論、寛容さに欠く時代の真理を独白するアメリカの教員 Jasmin Walkes のスポークンワードで全ての幕が開けることにも。
確かにパワーコードやハーモニカ、自身のラフなリードギター、Jeremy Stacey のファンクなドラミングと Pete Eckford のハンドパーカッションは Steven のイメージとそぐわないかも知れません。ただし、アウトロのアトモスフェリックでエセリアルな表情はまさに彼の真骨頂。つまり Steven の核となる真実、音楽の探求と融合を実証した楽曲。”プログレ” じゃない? Nick Beggs はこう一言 “So What?”

TRACK 2 “Nowhere Now”
ライティングプロセスで Steven が心掛けたのは、複雑性を捨て去り、よりミュージックオリエンテッドな楽曲を生み出すこと。”Nowhere Now” の気に入っていたパートをマエストロはいとも容易く捨て去りました。楽曲のデモバージョンは現在の彼にとって、複雑で長すぎると感じられたのです。
「僕は楽曲の、感情の、メロディーの “ハート” にフォーカスする必要があるんだ。ただし今でも興味深い楽曲を制作したいという願望はあるよ。」 そう語る Steven の “プログレッシブ” は、幾重にもレイヤーされた美麗なるプロダクションやアレンジメントに主張されています。勿論、以前に比べてエレクトロニカサウンドが増している点もそこに繋がるはずですね。
複雑性やテクニカルを極力廃すというアルバムの方針は、お抱えのギターマイスター Dave Kilminster の出番も無くしました。Steven はより自身の感情を反映するため、自らのプレイをギターの軸に据えたのです。とはいえ、面白いことに Dave のボーカルハーモニーは必要とされ4曲にコーラスを挿入しているのですが。
“地下6フィート(墓穴の深さ)、僕たちは今、後方へと進んでいる” というファーストラインは、人類が退化の真っただ中にあることを諮詢しています。しかし、浮遊感を伴う極限にキャッチーなコーラスでは美しき地球を宇宙から俯瞰で見下ろし、ポジティブで広い視野を得るのです。

TRACK3 “Pariah”
ドリーミーなシンセサイザーのシーケンスに幕を開け、エセリアルなシューゲイザーで幕を閉じるコンテンポラリーなドリームポップチューンは Steven とイスラエルのフィーメイルシンガー Ninet Tayeb の優艶なるデュエット。”Hand. Cannot. Erase.” から続く2人のコラボレーションは円熟の域に達し、あざといほど典型的に、諦めないことを、ポジティブなメッセージを届けるのです。

TRACK4 “The Same Asylum As Before”
Steven は “To The Bone” でテレキャスターと恋に落ちたと語ります。”The Same Asylum As Before” のトレブリーで細く硬質なギターサウンドは、まさにテレキャスターソングの典型だと言えるでしょう。
ドライブやディストーションをあまり加えることなくロック出来るテレキャスター。その真の魅力に気づいたと Steve は語ります。勿論、これが Pete Townshend のサウンドであるとも。
ボーカルの延長としてよりレイドバックし、メロディーやキャッチーさを強調する彼のギターワークは鮮彩に躍動していますね。詩情豊かなファルセットは楽曲に陰影をもたらし、”Kashmir” を想起させるコーラスパートも出色です。

TRACK5 “Refuge”
フランス北部の港町カレー。ヨーロッパ最大規模の難民キャンプは治安も衛生状態も悪化していました。経済的に豊かな英国へ渡ろうと、トラックや列車に飛び移り命を落とす難民も現れたのです。Steven は政治的な楽曲を書くつもりはないと語ります。あくまで人間のストーリーを描きたいとも。Refuge では愛する家族や母国から切り離されることの痛みについて歌っているのです。
ポリフォニックシンセサイザー Prophet-6 のアルペジエーターが、この実験的でアンビエントなエレクトロニカチューンのベースとなっていることは明らかです。ポストプログレッシブなイメージが強調された楽曲には Robert Wyatt が “Rock Bottom” で使用したキーボード、Paul Stacey のギターソロも収録され、独特な世界観の構築に貢献しています。

TRACK6 “Permanating”
「どのレコードでも僕は多様性を創造しようとしているんだ。僕にとってはそれこそが本当に満足出来るアルバムを作る秘訣さ。」 “Diversity”, “Eclectic” というワードがモダンミュージックのベースとなっていることは言うまでもありませんが、Steven Wilson が “Permanating” で提示した眩い音楽はそれにしても驚きだと感じます。
ビッグシングルにしてメインストリームなポップフィールで満たされた楽曲には、彼の70年代ディスコミュージック、ABBA への強い愛情が込められているのです。PINK FLOYD と Donna Summer を等しく愛する Steven は「セルアウトと言われるかも知れないけど、ポップスを愛しているんだから仕方がない。」 と語っています。
人生の大半は喜びでも悲しみでもなく、ただ存在するだけだと話す Steven。故にクリスタルのような輝かしい瞬間を保持して生きるべきだと。”Permanating” はまさにその究極に幸せで楽しい時間を切り取った楽曲なのです。

TRACK7 “Blank Tapes”
“Permanating” での華やかな雰囲気から一変、”Blank Tapes” は悲しみと嘆きのバラードです。男女の別れを描いた楽曲は、Steven が男性の視点で、Ninet が女性の視点でストーリーを紡いでいきます。
Ninet の Rod Stewart を思わせる情感豊かな歌唱は、ギター、ピアノ、メロトロンというシンプルな演奏に良く映えていますね。

TRACK8 “People Who Eat Darkness”
パンキッシュで衝動的な “People Who Eat Darkness” はパリの Bataclan シアターでのテロの後に書かれた楽曲です。テロとその後のメディア報道に Steven は、穏やかな隣人が突然テロリストとなる狂気に戦慄を覚えます。彼はいつも、宗教、政治といったマクロなテーマそれ自体よりも、その中で翻弄される人間に着目するのです。
「階段でよくすれ違っていたんだけど、彼はいつもニコニコと笑顔で挨拶してくれたの。買い物を持ってくれたりしてね。普通の素敵な若い男性だったわ。」 インタビューを受けた隣人の言葉には 、”普通” に見える人間が、怒り、憎しみ、狂気を抱え闇に飲まれている可能性を諮詢しています。分断された現代社会で、果たして誰がそれに気づくことが出来るのでしょうか?

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TRACK9 “Song of I”
スイス人女性シンガー Sophie Hunger とのデュエットは、アルバムで最もエレクトロニカサウンドをセンターに据えた楽曲に仕上がりました。「最近のラップはロックより革新的だよ。」 と嘯いた Steven。”Song of I” には Rihanna をフィーチャーした Kendric Lamar の “Loyality.” を想起させる瞬間が確かに存在します。
ある種淡々とした音像の中で、淡々と伝えられるのは以外にもロマンティックなメッセージ。「タバコも、アルコールも、ギャンブルも、オールだって何だって諦めるけど、あなただけは諦められないよ。」 こういった強迫観念に男女の差異は存在せず、故にデュエットという形がフィットするのかもしれませんね。

TRACK10 “Detonation”
エレクトロビートと Jeremy Stacey のダイナミックなドラムスが目まぐるしく交差するイレギュラーな楽曲は、時にポピュラー音楽史上最も成功した作曲家 Paul McCartney and WINGS の “Live and Let Die” をイメージさせます。”Detonation” には二つの意志が存在するのかも知れません。
楽曲はフロリダの同性愛者クラブで起きたテロリズムに触発されて書かれました。犯人は確かに「アッラーフ・アクバル」 と叫び神に忠誠を誓ったように犯行を行いましたが、実際は自分自身の偏見や憎しみを正当化するためにイスラム教の皮を被っていたようにも思えます。
“Detonation” の最初の一行、「神よ、私はあなたを信じませんが、あなたが望むことはやり遂げます。」 とはすなわち、信じないものの力を借りた自身の正当化です。Steven はこの歪んだ現代社会において、自己に潜む嫌悪感や憎しみを隠すため、宗教へと目を向ける人が存在すると信じているのです。
ともあれ、”Detonation” は Steven の作品でも秀逸なロングピースで、スロバキアのギタリスト David Kollar のマクラフリン風ギターが炸裂するアウトロは実にエキサイティングだと言えますね。

TRACK11 “Song of Unborn”
“Unborn” とはまだ生誕していない命、胎児。Steven はこの感動的なアルバムクローサーで、生まれくる命に子宮の外の危うさを伝えます。ただし、これが彼の典型的なバラード “Routine” や “The Raven that Refused to Sing” と決定的に異なるのは、究極的には希望を宿している点です。”Don’t be afraid to live” 生きることを恐れないでと Steven は歌います。確かに残念な世の中だけど、それでも全ての命はユニークで、時には本当にスペシャルなものへと変わることもあるんだよと。
自分の人生を抱きしめれば、命は深遠に達するという美しいメッセージは、オプティミズムの象徴とも思える美麗なるクワイア、コーラス隊を誘って世界へと降り注ぐのです。

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Steven は、”To The Bone” には以前のレコードにはないエモーション、人々の心を動かす感動が存在すると語ります。ビートルズ、ストーンズ、ゼップ、フロイド、ディラン…彼が崇拝するレコードの大半は、アーティストが20代で制作したもの。しかし、自分は30代から花開き、どんどん良くなっていると Steven は語ります。”To The Bone” が最高傑作だと信じて疑わないことも。「僕は歳を重ねるほど、音楽のコア、真実のエモーションが掴みやすくなるからね。」

参考文献「Steven Wilson :To The Bone: A track-by-track guide 」2017年8月17日

STEVEN WILSON “TO THE BONE” : 10/10

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INTERVIEW WITH NICK BEGGS

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Steven Wilson のロングタイムパートナーにして、チャップマンスティックの使い手 Nick Beggs。KAJAGOOGOO でキャリアをスタートし、Steve Hackett, John Paul Jones など錚々たるアーティストとコラボレートを果たして来た現代プログレッシブシーンの重要人物が、Steven の最新作 “To The Bone”, 二人のパートナーシップ、Marco Minnemann, Roger King とタッグを組んだ”自分のための”バンド THE MUTE GODS” について語ってくれました。どうぞ!!
Q1: The Mute Gods is definitely amazing. The trio’s musicianship and it’s diverse sound are beyond description. I feel Steven Wilson and Steve Hackett seems to be key persons for the band’s birth. How did the partnership between you three start?

【NICK】: It was after working extensively with both Steve Hackett and Wilson that I was offered a number of record deals. But it was Thomas Waber at Inside Out that I decided to sign to. I’m sure it had a lot to do with the profile I had received during my time with these artists.
My choice to work with Marco and Roger was born from the experience of being in different bands with them.
I saw what contribution their work made to the records we had made and felt they would be perfect for the mute gods.

Q1: THE MUTE GODS は実に素晴らしいバンドですね。その高いミュージシャンシップと豊かな音楽性は群を抜いています。Steve Hackett と Steven Willson に関わって来た3人が集まった形になりましたね?

【NICK】: Steve Hackett, Steven Wilson との仕事が終わった後、沢山レコード契約の打診があったんだ。その中から Inside Out の Thomas Waber と契約することに決めたんだよ。彼らの様なアーティストと仕事をしていたから、そういったオファーが来たのは確かだろうね。
Marco、そして Roger と組むことにしたのも、Hackett や Wilson との仕事からなんだ。彼らの貢献こそが THE MUTE GODS のレコードを作り上げているし、だからこそ完璧なる人選だったね。

Q2: What’s the musical goal for The Mute Gods? You have been involved in lot’s of project. I mean, is this the band that reflects what you are now?

【NICK】: For me the musical goal is quite simple and that is a writing vehicle for my own compositions.
I felt that after writing and collaborating with many other people it is time for me to write on my own.
Although there are a couple of other people I wrote with in the first album, the majority of the writing is mine.

Q2: あなたは多くのプロジェクト、バンドに関わって来ましたが、THE MUTE GODS こそが現在のあなたを反映しているようにも思えます。バンドの目指す場所について話していただけますか?

【NICK】: 僕にとって THE MUTE GODS の音楽的なゴールはとてもシンプルで、つまり自分自身の楽曲を発表する乗り物のようなものなんだ。多くの人たちと作曲やコラボレートをして来て、そろそろ自分自身のために書かなければと感じたんだよ。
ファーストアルバムでは何人かと共作しているけど、大半は僕の手によるものさ。

Q3: Since Kajagoogoo era, you started to use Chapman stick. I’ve interviewed with many stick players like Tony Levin, Colin Marston, Jem Godfrey. I feel they each have their own usage about Chapman stick. So, what made you use the instrument? And what’s your distinction?

【NICK】: I was offered the opportunity of playing stick by Kajagoogoo. They suggested that if I became the new lead singer they would have a stick made for me and I could become the new singer and stick player to. So I did.
I agree. I think all stick players have their own unique sound and approach.
But I think it would be for other people to identify what mine maybe.

Q3: あなたは KAJAGOOGOO 時代からチャップマンスティックを使用していますね。Tony Levin, Colin Marston, Jem Godfrey など何人かその楽器を扱うアーティストにインタビューして来ましたが、それぞれが独特のプレイスタイルを持っていました。あなたはこの楽器のどこが気に入っていますか?

【NICK】: KAJAGOOGOO 時代にスティックを弾いてみないかと言われたんだ。新しいリードシンガーになってくれるなら、スティックを作ってあげようってね。だからそうしたんだよ。
確かに君が言う通り、全てのスティックプレイヤーは独自のユニークなサウンドやアプローチを持っているね。ただ、僕の特徴については、他の人から見た方が分かりやすいんじゃないかな。

Q4: From “Grace For Drowning”, you participated in Steven Wilson’s band. What did he like about you? Why is that relationship going on for so long?

【NICK】: Steve Wilson had invited me to contribute to The Grace for Drowning album and shortly after joined the Steve Hackett Band on stage in London. Once the record was released he asked me to tour with him. He told me he liked what I’d done on the record and after seeing me live with Hackett he must have thought I’d be suitable for his project. We had dinner at my house one night and we just talked about music for hours. We have a lot in common actually.
I am local to him. We are both vegetarians and have dogs. We have a similar world view and taste in music. Our sense of humour is similar and also we like a lot of the same films. I also think I am able to interpret what he wants and some times give him some thing surprising for his live shows and recordings. But other than that I don’t know.

Q4: あなたは “Grace For Drowning” から Steven Wilson のバンドに参加し続けています。彼とのパートナーシップがこれ程長く続いているのはなぜでしょう?

【NICK】: Steven Wilson が “Grace For Drowning” のアルバム制作に招待してくれたんだ。それは Steve Hackett のロンドンでのステージに参加したすぐ後だったね。レコードがリリースされると、彼はツアーにも誘って来たんだよ。
彼は “Grace For Drowning” での僕のプレイが気に入ったと話していたね。 Steve Hackett とのライブを見て、僕が彼のプロジェクトに適任だと考えたに違いないんだよ。
ある晩、僕と Steven は僕の家でディナーを取ったんだ。僕たちは音楽についてだけ、何時間も話したね。実際、2人には多くの共通点が存在するんだよ。
僕たちは地元が同じだし、2人共ベジタリアンで犬を飼っているよ。世界の見方や音楽のテイストも似ているし。後はユーモアのセンスも似ているね。大好きな映画もほとんど同じだったな。
一つ言えるのは、僕は彼の望むことを上手く解釈出来るということだね。ライブやレコーディングでは、時に驚きも彼に与えることが出来るんだ。それ以上は分からないけどね 。

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Q5: “To The Bone” seems to more “Nick Beggs” album. Actually, it’s definitely progressive pop album Influenced by like Peter Gabriel, Depeche Mode. So, what do you like the record?

【NICK】: Yes I like the record very much. It is a cross-over album and that’s what SW is after. We talk about pop music a lot but he also likes most music (other than PROG). Some times I worry that the Progressive audience are the most unprogressive audience. Which is ironic. To the bone has caused a lot of mixed responses because it’s sighted as being different. What’s wrong with that?.

Q5: “To The Bone” は、より “Nick Beggs” なアルバムにも思えます。明らかに Peter Gabriel や DEPECHE MODE からの影響を昇華した “プログレッシブポップ” アルバムですよね?

【NICK】: その通りだよ。僕はこのレコードを本当に気に入っているんだ。これは “クロスオーバー” アルバムだし、それこそが Steven Wilson の探求しているものなんだ。
僕たちはポップミュージックについて本当に沢山話したよ。彼はプログ以外の音楽もほとんど好きなんだ。時々心配になるんだけど、プログレッシブロックのオーディエンスって実は最もプログレッシブじゃないように思えるんだ。これって皮肉なことだよね。
確かに “To The Bone” は様々なレスポンスを生んでいるよ。それは “異なる” 作品だからだろうね。でもだから何だって言うんだい?

Q6: How is the recording process with Steven? For example, how does it different from the collaboration with Steve Hackett?

【NICK】: The process is always different. He likes to find a home to record from. So he will pick a studio and encamp there for a set time. He will have pieces written and recorded and then tell us which pieces he wants us to work on. Very often he will have a number of players attempt the same part, then decide which version is best.
Steve Hackett’s albums are delegated by Roger King and that is the reason we decide to continue working together the way we did on the Mute Gods albums.
It’s basically file sharing. Mix then master and submit to the record label. It’s cost affective but a little lacking in physical interaction. But this is the way a lot of modern records are made.

Q6: Steven とのレコーディングはどのように行われるのですか?例えば Steve Hackett と比べてどのような違いがありますか?

【NICK】: レコーディングプロセスは毎回異なっているんだよ。彼はレコーディングのための “家” を見つけるのが好きなんだ。だからまず彼はスタジオを選び、決められた時間だけそこで “キャンプ” をするのさ。
すでに作曲やレコーディングされたマテリアルは持ってきているから、それから僕たちにどのピースでプレイして欲しいか伝えるのさ。とても頻繁に、彼は何人かに同じパートをプレイさせるんだよ。それでベストのバージョンを決めるのさ。
Steve Hackett のアルバムは、Roger King が指揮をとっていて、それこそが僕たちが今 THE MUTE GODS でやっているように、コラボレートを続けることに決めた理由なんだけどね。
とにかく、Steve とのレコーディングは基本的にファイルシェアリングなんだ。それをミックス、マスタリングしてレーベルに送るんだよ。確かにコストの面では優秀だけど、少し直接的なコミュニケーションには欠けるよね。まあだけど、現代のレコードは大半がこの方法で作られているんだよ。

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Q7: I feel Post-punk, New wave conquered early 80’s, and extinguished Prog rock at that time. But strangely, you started your career with Kajagoogoo, but now you are in the center of prog scene. At first, did you expect to come to a prog rock scene?

【NICK】: One never knows what turns life and career will take. In the 80s Prog was so unhip you dare not speak it’s name. But as time has passed it’s come out of the closet. I’m glad about that. But I also believe the Prog Scene needs to remember where it came from and that Progressive Music should be about progressive thinking. Although I am involved in the prog scene, I am also involved in other scenes and have been for thirty five years. “I want to evolve not revolve.” (Thanks Alan Partridge.)
Maybe that’s why Steve Wilson calls me the Leonard Zelig of the music business;-

Q7: それにしても、KAJAGOOGOO でキャリアをスタートし、現在はプログシーンの中心に存在するあなたのキャリアはかなり異色ですよね?

【NICK】: 人生やキャリアに何が起こるかなんて誰にも分からないんだよ。80年代、プログは全然ヒップじゃなかったんだよ。だからその名前を語ることは出来なかったんだ。だけど時間の経過とともに、プログは再びその姿を現すことになったんだ。
それについては嬉しく思っているよ。だけどね、同時に僕はプログシーンはその出自を思い出す必要があると信じているんだ。プログレッシブミュージックは、プログレッシブな考え方であるべきなんだよ。僕は確かにプログシーンにも関わっているけど、同時に35年間も他のシーンにも関わって来ているんだ。僕は循環するより進化したいんだよ。(ありがとう、Alan Partridge。)
だからこそ Steven Wilson は僕をミュージックビジネスにおける Leonard Zelig と呼ぶんだろうね。

Q8: John Paul Jones’s “The Thunderthief” is still one of my favorite record. Actually the power trio was really strong and impressive. Anyway, in your big discography, please tell me about your favorite record.

【NICK】: I don’t have a favourite. I have good memories but it’s had to pick one. But working with John Paul Jones was definitely my most challenging experience. Technically and psychologically.

Q8: 最後に、あなたの膨大なディスコグラフィーの中でフェイバリットの作品を教えていただけますか?

【NICK】: 特別フェイバリットな作品というのはないんだよ。それぞれに良い思い出があって、一つを選ぶのは難しいよね。だけど John Paul Jones との作品は間違いなく僕にとって最もチャレンジングな経験だったよ。 技術的にも精神的にもね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED NICK’S LIFE

DEEP PURPLE “MADE IN JAPAN”

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YES “CLOSE TO THE EDGE”

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PINK FLOYD “DARK SIDE OF THE MOON”

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XTC “BLACK SEA”

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BILL NELSON’S RED NOISE “SOUND ON SOUND”

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MESSAGE FOR JAPAN

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I love Japan.
It is my favourite country to visit.
I love the food, the culture the people and the design.
And also the insanity.
The film Lost in Translation captures so much of Tokyo
and it reminds me of my very first visit in 1984.
Japanese fans have always been very kind to me.
I can’t wait to come back.

僕は日本が大好きなんだ。訪れるのが一番好きな国だよ。食事、文化、人間、デザイン。全てが気に入っているね。
同時に狂気も孕んでいるよね。映画 “Lost in Translation” は見事に東京の大部分を捉えていたよ。あの映画を見ると、初めて日本を訪ねた1984年を思い出すんだ。
日本のファンはいつだって僕に親切にしてくれるね。
戻るのが待ちきれないよ。

NICK BEGGS

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STEVEN WILSON Facebook Page
STEVEN WILSON Official Site
Hostess Entertainment “To The Bone” 日本盤

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LEPROUS : MALINA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BAARD KOLSTAD OF LEPROUS !!

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Norwegian Prog Metal Innovator, Leprous Delivers A Different Organic Flavour With Another Beautiful Album “Malina” !!

DISC REVIEW “MALINA”

“皇帝” の庇護から脱却し、独自のプログレッシブワールドを追及するノルウェーの先覚者 LEPROUS が、ジャンルという鳥籠からブレイクスルーを果たす新作 “Malina” をリリースします!才気煥発なモダンプログレッシブの麒麟児は、シーンのフラッグシップとして地図にはない道をスタイリッシュに切り開いて行きます。
当初は EMPEROR、そしてノルウェーミュージックシーンの首謀者 Ihsahn のバックバンドとして注目を浴びた LEPROUS。しかしバンドの独創的かつ洗練されたクリエイティビティー、天性の審美眼はすでにその肩書きをも遠く置き去りにしています。
LEPROUS のその深遠は、変貌や流動といった言葉に象徴されるのかも知れませんね。まずバンドメンバーが非常に流動的です。世代最高のシンガーにして唯一無二のコンポーザー、キーボードも担当するマスターマインド Einar Solberg、そしてギタープレイヤー Tor Oddmund Suhrke。在籍するオリジナルメンバーは現在彼ら二人のみ。今作では長年バンドに多大な貢献を果たしてきたギタリストの一翼 Øystein Landsverk も脱退し、後任に Robin Ognedal, ベーシストも新たに Simen Børven を迎えて制作されたのです。
変わりゆくのはメンバーだけではありません。バンドはその音の潮流もアルバム毎に脈動させて来たと言えます。実はパンクバンドとしてスタートした LEPROUS。プログメタル、アヴァンギャルド、オルタナティブにポストハードコアと作品ごとにフォーカスするサウンドテーマを変転させつつ、巧みに Djent やポスト系、ブラックメタルの要素も取り入れ、多様なモダンプログレッシブの世界観を構築して来たバンドは、しかし同時に Einar の絶対的な歌唱を軸とした仄暗く美麗なムードをトレードマークとして近年掲げるようになったのです。
2010年代最高のプログメタルオペラとなった “Coal” の後、彼らはより “硬質” でデジタルな作品 “The Congregation” をリリースします。メタリックな音像、正確性と複雑性を極めたバンドが次に見据えた先は、よりオーガニックでナチュラルなサウンドとジャンルの破壊でした。
「アルバムの “全てのインフォメーション” を直ちに伝える」 と Baard が語るように、アルバムオープナー “Bonneville” はまさに変化の象徴です。ジャズのリズムと繊細なギタートーンに導かれ、Einar は朗々と官能のメロディーを歌い紡いで行きます。比較するならば彼が敬愛する RADIOHEAD やMUSE でしょうか。
インテリジェンスとエモーションが有機的に溶け合った切なくも美しいそのサウンドスケープは、メタルやプログレッシブという狭い枷からバンドを緩やかに解き放ち、アーティスティックで “ロック” な新生 LEPROUS を主張します。楽曲序盤と、ポストメタルの激情を伴うコーラスパートとの対比も効果的で、アルバムは確実にそのダイナミズムを増していますね。
さらに、前作から加わったドラマー Baard のアイデア、テクニックはアルバムを通して群を抜いており、当然 “Bonneville” の細やかで斬新なハイハットワーク、ゴーストノートの魔術は明らかに楽曲を強く牽引しています。
“Captive” から “Illuminate” への流れはアルバムのハイライトと言えるかも知れません。複雑なタイムストラクチャーと相反するキャッチーなボーカルラインはまさしく LEPROUS の真骨頂。とは言え確かに譜割には Djenty な要素も色濃いものの、ギターや鍵盤の音色が実に繊細で生々しくヴィンテージとさえ言えるために、異能のドラムワークを含め、結果として極めて興味深い斬新なデザインのサウンドストラクチャーを堪能することが出来るのです。
ソフトで音楽的な “スペース” が広がったシネマティックな “Malina” で、弦楽器チェロの使用は詩情豊かな作品の芸術性を一段と高めていますね。例えば “Stuck” では弾力に満ちたギターリック、温かみのある鍵盤とコントラストを描くシリアスなムードを楽曲へともたらしていますし、ポストロックに接近したタイトルトラック “Malina” ではより実験的でアーティスティックなイメージを生んでいます。
アルバムを締めくくる “The Last Milestone” は Einar の独壇場。パーフェクトなクラッシックオペラ。高齢にもかかわらず、生きるためラズベリーを売り歩かなければならないグルジアの老婆にインスパイアされた心震えるアルバムは、実に切なく、悲しく、幽暗かつシリアスで、しかし崇高なる無上の美を秘めて幕を閉じました。
「僕たちは典型的な所謂 “ビッグメタルサウンド” を求めていなかったんだ。」 様々な要素、テクニックが “オーガニック” というキーワード、そして哀切のストーリーに注がれた純然たる “ロック” の傑作 “Malina”。リリースは 8/25。シーン屈指のレコーディングチーム David Castillo & Jens Bogren のタッグも健在です。
今回弊誌では、シーン屈指のドラマー Baard Kolstad にインタビューを行うことが出来ました!バンドとしては前回の Einar に続き二度目の登場です!どうぞ!!

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LEPROUS “MALINA” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHON : HOMEY】JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERICK HANSEL OF CHON !!

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California Based, Incredible Jazz-Math Rock Trio, Chon Advance Into New Realm With The Masterpiece “Homey” !!

DISC REVIEW “HOMEY”

インストゥルメンタルミュージックの未来を切り開く時代の寵児。サンディエゴのジャズ/マスロックトリオ CHON が、シーンの輿望を担う最新作 “Homey” をリリースしました!!バンドの “ホーミー” である南カリフォルニアの太陽、空気、夏の匂いを一身に浴び、望外なまでにチルアウトしたレコードは、ジャンルに海風という新風を吹き込んでいます。
CHON が2015年にリリースしたファーストフルレングス、 “Grow” はバンドのユニークな才能や感受性を見せつける素晴らしきショーケースとなりました。ソフトでカラフルなコードワーク、デリケートでピクチャレスクなリードプレイ、ダイナミックに研ぎ澄まされたバンドサウンド。高度な知性と屈託のない無邪気さが同居する、オーガニックかつテクニカルなその世界観はまさしく唯一無二で、スメリアンの秘蔵っ子から一躍シーンのサウンドアイコンへと飛躍を果たすことになったのです。
バンドのホームタウン、カリフォルニアにインスパイアされ制作された最新作 “Homey” は、”Grow” で見せた圧倒的な光彩はそのままに、その鋭敏な感性が掴まえたエレクトロニカ、アンビエント、ハウスなど所謂チル系のトレンドを大胆に咀嚼し、トロピカルで新鮮なムードとテクニカルなマスロックを共存させることに成功していますね。
アルバムオープナー、”Sleepy Tea” は、インタビューにもあるように、驚異的なまでに進化した CHON のインストゥルメンタルワークを堪能出来る楽曲です。猫の目のように変化する細やかなリズムアプローチは、Mario と Erick のギターチームがダンスを踊る最高の舞台。時に奔放に、時に精巧に、極上のメロディーとエキサイトメントを運ぶニ人の複雑で甘い関係は、奇跡の距離感で音のユーフォリアを紡いで行きます。
CHON の豊潤なる味わい深さの一端は、モダンの中に見せるオールドスクールな部分かも知れません。特に今作では、フュージョンと言うよりもビバップやモダンジャズのスウィング、ツーファイブ、フォービート、フレージング、シンコペーションが丹念に織り込まれており、得も言われぬコントラストを創出しています。例えば、”Checkpoint” などはマスロックの顔をしたジャズスタンダードのナンバーだと言えるかも知れませんね。
当然、手数とグルーヴを両立させた Nathan Camarena のドラム捌きも卓越しており、突っこみ気味でバンドを牽引するそのエナジーは圧倒的。ゲストに迎えた Brian Evans のパーカッション、有機的でムーヴアラウンドな Anthony Crawford のベースラインとも相俟って、型破りでマスロックの可能性を再定義するようなデザインをアルバムを通して描いていますね。
同じくサンディエゴを拠点に活躍する、ビートメーカー/ジャズギタリスト Go Yama をフィーチャーした “Berry Streets” は CHON の新たな冒険を象徴する楽曲です。現在進行形のトレンドであるトロピカルハウスを主軸としたトラックは、あまりにノスタルジックでアンビエント。カリフォルニアのビーチで沈みゆく夕日を惜しみつつ聴くために作られたかのような至高のチルウェイブに仕上がっています。
同時に CHON のジャジーなインストゥルメンタルワークも効果的に挿入されており、Erick がインタビューで語ってくれた通り、結果として二つのジャンル、二つの才能が見事に融合し開花した独創的で至妙な世界観を構築することに成功しているのです。
新進気鋭の シンガー/サックス奏者 Masego を起用した “Nayhoo” もコラボレートの成果が際立って実を結んだ一曲です。ソウル/エレクトロジャズの領域へと踏み込んだ楽曲は、Masego のエモーショナルなボーカルを芯柱とし、匂い立つような色気、スイートな瞬間をアルバムへもたらしていますね。勿論、Thundercat や、FLYING LOTUS がフェイバリットに挙がっている事実を知るまでもなく、ここで彼らが、Jazz の領域を拡大する Robert Glasper と “Jazz The New Chapter” のフロンティア精神を意識したことは明らかです。
「自分たちが気に入るサウンドの楽曲を書き続けて、叶うならファンも僕たちの音楽を好きになり続けてくれることだね。その過程で、さらに新たなファンも開拓出来たら良いな。」
世界最高峰のエレクトロポップを創造するビートメーカー、Giraffage A.K.A. Charlie Yin との共演にも言えますが、既存のファン層からある程度の反発を見越しても、より幅広いマスリスナーへとアピールし、音楽的なチャレンジを続けることこそがバンドのゴールだと Erick は認めています。そして CHON の掲げる、その本来の意味でのロックスピリットは必ず報われるべきだと感じました。
今回弊誌では、ギタリストの一人 Erick Hansel にインタビューを行うことが出来ました。もし、”Homey” のムードやスピリットが気に入ったなら、Jakub Zytecki の最新ソロEP “Feather Bed” や、先日弊誌でも特集を組んだ ichika の新プロジェクト AMONG THE SLEEP へと歩みを進めてみるのも一興です。どうぞ!!

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CHON “HOMEY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【tfvsjs : 在 zoi】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADONIAN CHAN OF tfvsjs !!

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The Innovative Math/Post Rock Act From Hong Kong, tfvsjs Has Released “Math Rock With A Canton Twist” Record “在 zoi” !!

DISC REVIEW “在 zoi”

頽廃と精神、暗澹と光明のコントラストを司る、香港のマスロック/ポストロックイノベーター tfvsjs が豊かな可能性に満ちた新作 “在 zoi” をリリースしました!!圧倒的なダイナミズムと多様性を備えたアルバムは、White Noise Records というキーワードともリンクしてアジア圏インストゥルメンタルの目を見張る進歩を証明する1枚となるでしょう。
複雑で予想不可能、しかし美しく感情豊かなピースを創造する tfvsjs が素晴らしきデビュー作 “equal unequals to equal” の後提示したのは、よりダークでヘヴィーな世界観でした。Adonian はその理由について 「僕たちがここ何年か香港で経験したことをどうしても反映しているからだと思うんだよ。政治は毎日僕たちの心を混乱させ、日常生活にも強く影響するんだ。そんな重荷を抱えた状況で作られた訳だから、音楽が僕たちの捌け口となった面は否めないと思うんだ。」 と語ります。
TTNG, Mylets のメンバーが香港のライブハウス Hidden Agenda で、不法就労の疑いにより警察に身柄を拘束された5月の事件をご記憶の方も多いでしょう。一見、ビザの申請を行う行わないという単純な話にも見えますが、実はこの事件こそ香港の闇を反映し象徴しているのです。
香港では、音楽の興行は商業地帯でしか認められていません。しかし商業地帯の非常に高価な賃料のせいで、ライブハウスを経営することは現実的ではないのです。Hidden Agenda はしかしながら、インディペンデントなアーティストを応援したいという情熱によって、賃料の安い “グレーゾーン” 工業地帯で幾度も場所や手法を変えながら何とか営業を続けて来たライブハウスでした。グレーなやり方のために当局からは目をつけられ、ビザの申請も難しいという背景が存在したようですね。
勿論、国によって文化や法律は異なるため、正義を単純に定義することは出来ません。ただ、才能溢れるインディペンデントなアーティストが演奏する場所を奪われていることは確かで、日本にとっても単なる対岸の火事とは思えません。何より、「自由と多様性の国際都市である香港は、クリエイティブなパフォーマンスと作品がもっと繁栄していく機会を創るべきだね。」 という TTNG, Mylets のコメントが全てを語っている気がします。
tfvsjs の言う “ここ何年か香港で経験したこと” は実は Hidden Agenda のケースとシンクロしています。彼らもまた工業地帯で、音楽活動を続けるために機材を持ち込んだスタジオ型のレストラン tfvsjs.syut をオープンさせていました。非常に人気のあったその場所は、しかし当局の立ち退き命令により昨年閉店を迎えてしまいます。
確かに違法性を宿すグレーゾーンでの出来事。ただ、アイコニックな表現者を的とした一連の強硬な流れには、一国二制度の下で保たれている香港の政治的、文化的な自治性の揺らぎを感じざるを得ません。「政治的にも文化的にも中国というより香港のバンド」 と語る彼らのアイデンティティーが保たれることを望むばかりです。
そういった経緯を念頭に置けば、tfvsjs の新たなレコードが、ダークでインテンス、そしてノイジーでドゥーミーなムードを加えたことにも納得が行くはずです。無音とノイズのコンビネーションで幕を開けるアルバムオープナー “Burn all flags,” は実際、頽廃と精神性を隠喩しているようにも思えます。
勿論、もとより一つのジャンルに収まるバンドではありません。2005年に結成された tfvsjs は、以前ボーカルやトランペッターまでをも擁していました。インタビューで hip hop をよく聴いていると語ってくれた通り、メンバー各自の多様な音楽的素養は、窮屈な政治の下でも型にハマらない自由な創作活動を可能としているのです。
何よりトレードマークとも言えるツインドラムスが生み出すダイナミズムは圧巻の一言。ツインギターとツインドラムスによるコール&レスポンスは、複雑な展開でも、シンプルなビートにおいてもまるで二つのバンドが共演しているかのようなエキサイトメントをリスナーへと届けます。爽涼なマスロックと轟音のドゥームゲイズを同時に梱包したかのような “and paint our pupils with ashes” はまさにその象徴だと言えますね。
7th や9th のテンションノートをメカニカルな五線譜へ巧みに配置した “Shrine of our despair”、YES の “燃える朝焼け” をイメージさせるスリリングでプログレッシブな “Battle From The Bottom”、ポストロックとアジアの悠久が見事に調和する “無以名状” を経てたどり着く “滅曲” は間違いなくアルバムのハイライト。
フラストレーションの捌け口となった楽曲で、ブラックゲイズのトレモロは慟哭を、マスロックの暖かなメロディーは光明を代弁し、極上のコントラストはまるで闇夜に浮かび上がる月華の如くリスナーの心を動かします。
日本のマスロックレジェンド toe の美濃氏がミキシングとマスタリングを手がけたことで、サウンドも丹念に磨きあげられ間違いなく作品の充実へと繋がっていますね。
今回弊誌では、ギタリストでコンポーザー Adonian Chan にインタビューを行うことが出来ました。昨年は Summer Sonic にも出演を果たした香港の英雄です。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【YVETTE YOUNG : ACOUSTICS EP 2】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YVETTE YOUNG !!

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Having Played Piano Since The Age Of Four And Violin Since Age Seven. Math Rock Queen, Yvette Young Shows Her Classical Influences With Her Beautiful New Record “Acoustics EP 2” !!

DISC REVIEW “ACOUSTICS EP 2”

端麗なる才媛、麗しきマスロッククイーン Yvette Young が、情趣溢れる別世界 “Acoustics EP 2″をリリースしました!!インタビューにもあるように、愛するポストロックの領域へと接近した絶佳なる名編には、多様でフレキシブルな彼女の色彩が存分に織り込まれています。
プログレッシブとマスロックの狭間で存在感を放ち、シーンの揺らぎとなっている COVET をホームグラウンドとするように、Yvette はモダンギタリストの文脈で語られるテクニカルなプレイヤーです。しかし、4歳からピアノを始め、7歳でヴァイオリンを学んだという彼女の深遠なる七色のギフトは、決してただ一所に留まってはいないのです。
実際、”Acoustics EP 2” は実に画期的な作品です。ギターで作曲を開始して6年。波のように揺蕩う異なる拍子の海、アコースティックギターで表現されるモダンで高度なテクニック、そして自らがプレイするヴァイオリン、ピアノ、ハープ、バンジョーなど多種多様な楽器の使用による豊かな表情、アトモスフィア。全てが前作 “Acoustics EP” から格段にスケールアップを遂げ、Yvette は遂に独自の世界観を確立したように思えます。
ボサノバの空気を深く吸い込み、自身のポップサイドを前面に押し出した “Holiday” で幕を開けるアルバムで、しかし特に着目すべきは、彼女の独創的な奏法が可能にするオーケストラのようなサウンドでしょう。勿論ピアノやストリングスを重ねているとはいえ、骨格がギター1本の演奏でこれほどまで音楽に立体感を生み出す作品は実に得がたいと感じます。実はそこには Yvette のクラッシックの素養、ピアノの技術が大きく作用しているのです。
インタビューで語ってくれた通り、Yvette には “ギターのレイアウト、フレットや弦をピアノの鍵盤に見立てて” プレイする場面が存在します。つまり左手で抑え右手で音を出す通常のプレイに加えて、両手ともに指板をタップし直接音を生み出すことで、右手の分、旋律をより重ねることが可能になっているのですね。ギターを横にしてそのままピアノのように “弾く” イメージでしょうか。
当然、高度なテクニックで音量やノイズの調整は簡単ではありません。しかし彼女はメトロノームの如く正確にリズムを保ちながら、優美なサウンドで鮮やかに清音を奏でます。
作品で最もポストロックに接近した “Adventure Spirit” の、文字通り冒険心を胸に抱いたカラフルなメロディーのポリフォニーは、まさにその Yvette オーケストラの象徴です。チェロ、ヴァイオリン、ボーカル、ギター。テーマを奏でる主役の楽器が次々に入れ替わるアンビエントな楽曲で、Yvette の知性的なギターアルペジオ、コードプログレッションはコンダクターのように様々な楽器を操り指揮していきます。
勿論、ギターが旋律を奏でる場面では、鮮やかに両手タップを使用し、躍動するメロディーと共に指揮者不在の状況を回避。エアリーなボーカル、エセリアルなストリングスの響きは、オーガニックな彼女のオーケストラに HAMMOCK や CASPIAN を想起させる美麗なるダイナミズムを創造していますね。
一方で、フォーキーな “Blossom” の数学的で流麗なフレージングはマスロックの女王を強くイメージさせてくれます。師匠 INVALIDS 譲りのサウンドスケープ、風景の中に点在する無上のエキサイトメントはすでに彼女のトレードマークとなった感がありますね。
アルバムは、現在の Yvette Young を全て詰め込んだ悲しみと希望の組曲、”A Map, A String, A Light Pt 2″ で詩情豊かにその幕を閉じました。
今回弊誌では Yvette Young にインタビューを行うことが出来ました!もはや弊誌のかわいい担当準レギュラーだと言えますね!どうぞ!!

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YVETTE YOUNG “ACOUSTICS EP 2” : 9.7/10

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LOUD PARK 17′ SPECIAL INTERVIEW 【PER NILSSON : MESHUGGAH, SCAR SYMMETRY, KAIPA, NOCTURNAL RITES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PER NILSSON OF MESHUGGAH, NOCTURNAL RITES, KAIPA, AND SCAR SYMMETRY !!

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Now, The Most Notable Guitar Virtuoso In The Scene, Per Nilsson Will Come To Japan With Meshuggah At Loud Park 17′ !! The Busiest Man Talks Everything About His New Adventure !

ABOUT PER NILSSON

スウェーデンが誇る異能のギターマイスター Per Nilsson。現在、彼こそがメタル/プログコミュニティーで最も注目を集める怪物であることに異論を唱える向きはないでしょう。
モダンメタルの父、MESHUGGAH のマスターマインド Fredrik Thordendal が突然の “休暇” を申請したのは6月初頭のことでした。インタビューにもあるように、スタジオの建設とソロキャリア追求のためバンドを離れた求道者の代役として指名されたのが今回の主役、Per だったのです。実際、彼ほどの適任者は存在しないように思えます。
10代後半から MESHUGGAH を聴き漁り、リスペクトを捧げて来たという Per のギタープレイには、例えば彼のホームグラウンド SCAR SYMMETRY を聴けば分かるように、複雑でマスマティカルなリフワークや、レガートで滑らかにアウトするリードプレイなど、モダンメタルの巨人を想起させる場面が確かに存在します。
何より、亡き Allan Holdsworth の遺産を相続するのみならず、独自に進化させるプレイヤーはメタルの領域においてあまりに稀有で、オーディションも行わず Per を指名したバンドの英断には頷くばかりですね。
さらに Per が注目を集める理由。それは彼のフレキシブルな才能が可能とした、多方面での雄渾なる活躍です。多様でエクストリーム、実験性を秘めたモダンメタルを中枢としながらも、Per のセンス、スケール、そしてテクニックは様々な分野のアーティストを惹き付けてきました。
特にここ日本で絶大な人気を誇るメロディックメタルアクト NOCTURNAL RITES もその一つ。10年という長い沈黙を破るバンドの復活作 “Phoenix” で、ソロイストとして白羽の矢を立てたのが Per だったのです。インタビューにもあるように、トラディショナルでメロディーによりフォーカスした Per の新たな冒険は、バンドのマスターピースとして結実したようですね。9月のリリースを待ちましょう。
加えて、9月にはもう1枚 Per の参加したレコードがリリースされます。KAIPA の新作 “Children of the Sounds” です。70年代から活動を続ける、北欧シンフォプログの雄 KAIPA に Per が加入した事実はシーンに大きな驚きを与えました。実際、Per 自身が語るように、Roine Stolt の色彩と気品をメタルシュレッダーが引き継げるのだろうかという懐柔的な見方も多かったようですね。
しかし KAIPA の同僚で天賦のスティックマン Morgan Agren が、「Per は非常に滑らかなタッチと完璧なコントロールを持っているね。彼が演奏するときは、すべてが簡単に聞こえるんだ。素晴らしいプレーヤーだよ。」と語るように、Per のモダンなテクニックはバンドに新たな”血”をもたらし、スピードを備えたクラシカル、フォーキーなパッセージが壮麗なる推進力を生んでいるのは間違いないでしょう。
また、Per にはプロデューサーとしての顔も存在します。今ひとつ伸び悩んでいた自身のメインバンド SCAR SYMMETRY が、遂にそのステージを1歩進めた最新作 “The Singularity (Phase I – Neohumanity” では、Per がコンポジション、プロデュース、ミックス、マスタリング全てを手がけているのです。
非常にメロディックかつプログレッシブな方向へとシフトした作品が、脱退したギタリスト Jonas Kjellgren メインのプロダクションに比べよりクリアーで立体感を有していることは明らかですね。インタビューにもあるように、Per のスタジオも完成しトリロジーの第2章が幕を開ける瞬間も間近です。期待しましょう。
最後に Per がソロアルバム、ETERNITY’S END のプロダクションを手がけたテクニカルデスメタルシーンきってのテクニシャン Christian Muenzner は彼について 「Per Nilssonはこれまでの10年間で最もエキサイティングなギタープレイヤーだよ。美しいフレーズとインテリジェントなノートの選択は、素晴らしい音色を運び完璧なまでに楽器のテクニカルな要求を満たすんだ。僕がギタリストのプレイに探しているものすべてを彼は持っているんだよ。」と語っています。インテリジェンスを感じるのは当然かも知れません。Per の IQ は156を超えるとも言われており、あの高IQクラブ “メンサ” のメンバーなのですから。
型破りな知性が導くフレキシビリティ。今回弊誌では、Per Nilsson にインタビューを行うことが出来ました。遂にあの鬼才が MESHUGGAH として Loud Park にやって来ます!どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ARCADEA : ARCADEA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CORE ATOMS OF ARCADEA !!

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Mastodon, Withered, Zruda, Get Together As Synth-laden Progressive, Heavy Psych Band Arcadea !! This Should Be Interesting For Sure !

DISC REVIEW “ARCADEA”

MASTODON, WITHERED, ZRUDA のメンバーが集結した新たなるコスモフロンティア ARCADEA が、遥かなる未来を映し出すデビューフル “Arcadea” をリリースしました!!50億年先の宇宙をテーマとした壮大なるスペースオデッセイは、ロックという銀河の膨張を促すビッグバンとなるはずです。
MASTODON のドラマー/ボーカル Brann Dailor が、WITHERED のギタリスト Raheem Amlani, ZRUDA のギタリスト/キーボーディスト Core Atoms とチームアップしたスーパープロジェクト ARCADEA。
ホームバンドでは基本的にギタリストの Raheem, Core 2人をシンセプレイヤーへとコンバートし、プログレッシブかつサイケなエレクトロニカサウンドのみを Brann のダイナミックで手数に富んだドラムス、キャッチーなボーカルと融合させた ARCADEA の音楽はユニークで先見性に溢れています。何よりロック/メタルの必需品とも思えるギターサウンドがどの楽曲からも聴こえて来ないのですから驚きですね。
Brann のホームバンド、偉大なる MASTODON は “Crack the Skye” で Brann のリードボーカルを初めてレコードに取り入れて以来、彼のメロディックな歌唱と呼応するようによりキャッチーでストレートなコンポジションへと移行して行きました。その変化により Brann はさらにバンドにとって不可欠な存在となりましたが、皮肉なことにその方向転換は彼のトレードマークであるハイパーアクティブでフィルオリエンテッドなドラミングが減退する結果にも繋がっていったのです。
“Arcadea” は Brann Dailor の魅力全てが詰まった作品だと言えるのかも知れませんね。アルバム全体を覆うのは、間違いなくあの “Leviathan”, “Blood Mountain” で聴くことの出来た、リード楽器を主張するエキサイティングで高密度な阿修羅のドラミング。同時に彼のスペーシーでポップな浮遊感溢れる歌心は、確実に作品のコアとして土星の輪のようにレコードを包み込んでいるのです。”Arcadea” には2人の Brann Dailor が互いを損なうことなく生き生きと存在しています。
勿論それは、アルバムオープナー、電子音楽の軍歌 “Army of Electrons” が証明するように、Raheem, Core 2人の綿密かつ繊細なコンポジション、変拍子を活用したプログレッシブなイメージ、ベースからリードまで幾重にもテクスチャーされた魅惑のシンセサウンドが、影となり日向となり素晴らしき脇役として煌めくことで初めて成立する才能のシンフォニーだと言えるでしょう。
一方で、”Gas Giant” はバンドの出自を明確にする楽曲です。インタビューにもあるように、アーケードゲームの “アーケード” をバンド名としたように、ゲームミュージックの影響は彼らが共闘する大きな理由の1つ。
“ロックマン” を想起させる勇壮で8bitライクなイントロダクションは、ビデオゲーム時代の幕開けに育ち、”アーケードゲームはマジカルな場所だった” と語るバンドのロマンが楽曲に溶け合った夢のような瞬間だったのかも知れませんね。
さらに、エアリーな女性ボーカルとボコーダーを起用したスロウでムーディーな “Neptune Moon” では John Carpenter をイメージさせるロマンチックなエレクトロホラーサウンドを再現。
Core が “70年代、シンセサイザーは未来の楽器だった” と語るように、ビデオゲーム、映画音楽といった70’s~80’s の典型的な電子サウンドを Brann のコンテンポラリーでアグレッシブなドラムスと融合させることで、レトロフューチャーな顔貌を形成しているようにも感じました。
エレクトロニカでありながら加工された EDM とは全く異質、ヘヴィーでありながら重厚なメタルとも異なる唯一無二のデザインが冴え渡る革新作。今回弊誌では、Core Atoms にインタビューを行うことが出来ました。MASTODON の近作に何かシックリこないダイハードなファンにもぜひオススメしたい作品です。どうぞ!!

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ARCADEA “ARCADEA” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MUTOID MAN : WAR MOANS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEPHEN BRODSKY OF MUTOID MAN !!

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Converge / Cave In Super Group, Mind-Blowing Behemoth, Mutoid Man Literary Melt Your Mind With Their Newest Record “War Moans” !!

DISC REVIEW “WAR MOANS”

CONVERGE, CAVE IN, ALL PIGS MUST DIE のメンバーが集結した突然変異のスーパーグループ MUTOID MAN が奔放かつ不遜、バッダースな新作 “War Moans” をリリースしました!!キャッチーなロックン・ロールのイメージを獰猛なメタルのアグレッションに投影した、チャーミングかつタイトなレコードはシーンの大いなる期待に応えて余りある一撃となりました。
シリアスで暗色調なアティテュードが枢軸となるコンテンポラリーなメタルシーン。狂気やユーモア、風刺を宿す MUTOID MAN のシアトリカルで本来のメタルらしいコンセプトは、実際異端で新鮮なカウンターとして際立っています。
インタビューにもあるように、”War Moans” は “セクシャリティ”、性行為や性的欲求にフォーカスした作品です。アートワークやタイトルが示すように、性的指向、欲求が日増しに暴走する現代社会を、戦争という極限状態へと投影しある意味戯画化することで、現代の異様さ “倒錯性” “変態性” を浮き彫りにしているのかも知れませんね。実際、バンドは “War Moans” を “Perverted” 変態的なレコードだと断言しています。そしてその柔軟なユーモアはポップセンスに、辛辣な毒気はアグレッションに姿を変えて作品の音楽性に反映されているのです。
文字通りリスナーの心を溶かすアルバムオープナー、”Melt Your Mind” はそういった彼らの意図を十二分に汲み取った楽曲です。キャッチーでスピーディー、ハイパーアクティブなバンドの新たなアンセムは、Brodsky のフックに満ちたギタープレイ、ファジーでラウドな Nick のベース捌き、そして Ben Koller の数学的かつダイナミックなドラミングに牽引されて、空襲にも似た爆発的なエナジーを発します。
加えて、あの VAN HALEN をも想起させるボーカルハーモニー “hoo-ooo” の火力も絶大で、物憂げなメロディーとの相乗効果は無上の中毒性をリスナーへと植え付けて行くのです。
続く”Bone Chain” ではさらにアンニュイなメロディーが中毒性を増し、MOTORHEAD meets QUEENS OF THE STONE AGE とでも形容可能、ドラッグのように危険でオルタナティブなキャッチーネスを創造していますね。
インタビューにもあるように、パンクやハードコアは勿論ですが、特に初期のメタルスピリット、80年代という時代を意識しリスペクトして制作されたアルバムで “Irons in the Fire” からタイトルトラック “War Moans” への流れはまさに作品を象徴しています。
MEGADETH の “Countdown to Extinction” をイメージさせる大仰なイントロ、スラッシュの衝動、テクニカルなシュレッド、インテレクチュアルなリズムワーク、シンガロングを誘うキャッチーなコーラス。”Irons in the Fire” は、かつてメタルが備えていた祝祭的な高揚感を胸いっぱいに浴びつつ、マスマティカルでスペーシーに味付けしたモダンな感覚と共に現代へと叩きつけているのです。
さらに SLAYER の “War Ensemble” に対する極上のオマージュにも思える “War Moans” では、あの時代を象徴するシュレッダー Marty Friedman が、トレードマークのコード感抜群で変拍子を切り裂くリードプレイでバンドの主張を代弁しています。
こういった凶悪な楽曲においても、Brodsky はスクリームや吐き捨てを駆使してあくまでメロディーを追い、勿論あの素晴らしき CAVE IN で確立したスタイルから遠く遊離する訳もありませんが、グロウルは使用していませんね。彼のそのトレードマーク自体も、グロウルが飽和気味な界隈に対する強いアンチテーゼ、風刺となっているように感じました。
とは言え、アルバムは決してオプティミスティックな押しの一辺倒ではありません。ブルージーでスロウ、スラッジーにバンドのシリアスな一面を見せつける “Kiss of Death” はアルバムの裏ハイライトとして作品に妙なる濃淡をもたらし、何よりこのマスターピースを締めくくる衝撃のパワーバラード、ダークな歌姫 Chelsea Wolfe を起用した “Bandages” では、慈愛と憂鬱の相反するエモーションを深々とサウンドに込め、バンドのジャンルスパニングでフレキシブルな才能を絶佳なるコントラストとして見事レコードに落とし込んでいるのです。
作品のプロデューサーでもある CONVERGE の Kurt Ballou が、カオティックに暴走する “Micro Aggression” ではなく、意外にもこの2曲にゲスト参加を果たしていることを付け加えておきましょう。
今回弊誌では、ex-CONVERGE で CAVE IN のマスターマインド Stephen Brodsky にインタビューを行うことが出来ました。マーティーさんによれば、「新しいアルバムはエグい! クッソかっこいい! メタルかロックかパンクか分からないけど、とにかく生々しいヘヴィ・ミュージック! コイツらはホンモノだ、保証付き!!」 だそうですよ。どうぞ!!

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MUTOID MAN “WAR MOANS” : 10/10

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