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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MAGNUM : LOST ON THE ROAD TO ETERNITY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BOB CATLEY OF MAGNUM !!

With “Lost On The Road To Eternity”, Magnum Have Reached The Landmark Of 20 Albums And 40 Years Career, But They Are Still Just Moving On !!

DISC REVIEW “LOST ON THE ROAD TO ETERNITY”

40年のキャリアが純化した彫琢。英国の伝統と幽玄を織り込んだ匠のシグニチャーサウンドは、記念すべき20枚目のアルバム “Lost on the Road to Eternity” でさらなる高みからリスナーの迷霧を晴らす尊き光明となるはずです。
よりワイドな音色を有する鍵盤の名手 Mark Stanway が加入し、初めて Rodney Matthews がアートワークを手がけた叙事詩 “Chase the Dragon” こそが全ての源流でした。生まれながらに感傷と情緒をその喉へと宿す唯一無二の歌聖 Bob Catley。そして Bob の歌唱を完璧なまでに駆使するギタリスト/コンポーザー Tony Clarkin。翼を得た MAGNUM のコア2人は、80年代を自在に羽ばたきました。
プログの知性とハードロックの鼓動を見事に融合し、フォークとファンタジーのエッセンスを織り込んだ浪漫の頂 “On A Storytellers Night”。Polydor へと移籍を果たしメインストリーム AOR への洗練された扉を開いた “Wings of Heaven”。「新しくエキサイティングな音楽を見つけていくことが、僕たちの存在を異なるものにしていたんだろうな。」と Bob が語る通り、難局の90年代に投下したブルージーな実験 “Rock Art” まで、バンドのクリエイティブな冒険は旋律の魔法を誘いながら濃密な景色を残していったのです。
Bob が「当時はメンバーの何人かが難しい時間を過ごしていたんだ。だから正しいムードを得るために常に戦っていなければならなかったんだよ。」と回顧するように、バンドは時代の潮流にも翻弄されながら95年に解散し、Bob, Tony, Al の HARD RAIN、さらに TEN のメンバーを起用した荘厳なる Bob のソロプロジェクトで雌伏の時を過ごします。
そうして2001年に Tony が THUNDER の Harry James をリクルートし MAGNUM をリフォームすると、彼らはその音の歴史を誇り高く掲げながらも、よりセールスやプレッシャーから開放されて、ただ偉大な作品を製作することのみへと没頭することになるのです。
バンド史上最長、62分のランニングタイムを誇る最新作 “Lost On The Road To Eternity” は各時代のアイコニックなマグナムサウンドを巧みに分配しながら、枯れない泉のごときメロディーの清流を至高のデザインへと注入し何度目かの最高到達点へと導かれています。
アルバムオープナー “Peaches and Cream” は、初期のオーガニックなクラッシックロックをハイクオリティーなプロダクションとアップリフティングなコーラスワークで現代に蘇らせたベテランシェフのスペシャリテ。ヒロイックな8分のエピック “Welcome To Cosmic Cabaret” にも言えますが、さらに深みを増したボーカルの陰影とトーンコントロールの妙は彼らが残り少ない名匠の一群であることを確かに証明していますね。
AVANTASIA で Bob と共演している Tobias Sammet がゲスト参加を果たしたタイトルトラック “Lost On The Road To Eternity” は、オーケストレーションやストリングスを大胆に使用して “On A Storytellers Night” からのロドニーマシューズサーガの続編を生き生きと描きます。
一方で、ファンタジーの世界から一転するポップな “Without Love” ももちろん彼らの得がたき魅力の一つでしょう。今年、JUDAS PRIEST が “Firepower” で、SAXON が “Thunderbolt” で初期のハードロックテイストをキャッチーにリヴァイブさせ英国の矜持を雄々しく取り戻していますが、”Without Love” を聴けば彼らもまたロックにフックを回帰させるガーディアンであることが伝わるはずです。続く “Tell Me What You’ve Got To Say” にも言えますが、バンドがかつて天空へと広げた翼はよりしなやかに、よりポップにリスナーの心を包みこむのです。
アルバムは “Chase the Dragon” のプログレッシブな世界観と知性を反映した “King of the World” でその幕を閉じました。Mark, Harry を失おうとも、依然として MAGNUM のロマンティックなファンタジーが悠久であることを示唆するエナジーに満ち溢れながら。
今回、弊誌では巨匠 Bob Catley にインタビューを行うことが出来ました。「バンドがリスナーの興味を惹く楽曲を作り続けられる限り、リスナーが聴きたいと想い続けてくれる限り僕たちは続けて行くんだよ。」どうぞ!!

MAGNUM “LOST ON THE ROAD TO ETERNITY” : 9.8/10

INTERVIEW WITH BOB CATLEY

Q1: Magnum are true legends and survivors. Off course, there were six years disbanded-era, but almost 40 years, you keep running the band and you are still here. What’s your driving force to keep playing your own rock music until now?

【BOB】: We still have something to say on a musical level. We are a set of musicians who still love what we do. Tony writes great songs and it`s a constant evolution for us all to be part of new songs.
As long as the band can continue to write songs that people find of interest and still want to listen to we will continue.

Q1: MAGNUM は真の伝説でサバイバーです。6年間の解散期間があったにせよ、ほぼ40年にも渡り活動を続け今もここに力強く存在しているのですから。あなたたちを今でも “自らのロックミュージック” へと駆り立てているものとは何でしょう?

【BOB】: 僕たちはまだまだ音楽的に表現したいことがあるんだ。そして、僕たちは今でも自分たちの奏でる音楽を愛しているミュージシャン集団でもあるんだよ。Tony は素晴らしい楽曲を書くし、僕たち全員にとっていつも新曲はコンスタントに進化を遂げているんだ。
だから、バンドがリスナーの興味を惹く楽曲を作り続けられる限り、リスナーが聴きたいと想い続けてくれる限り僕たちは続けて行くんだよ。

Q2: I said “Your own rock music”, because you didn’t go to the direction of NWOBHM like Iron Maiden, or Neo Prog like Marillion in early 80’s. I mean, you mixed Hard rock, AOR and Prog elements really well. But, Were not you thinking to move in a direction like them at that time?

【BOB】: There has never been a plan or a choosing of a direction. the songs are just written and performed in what ever style we feel makes a good song. there is never an intention to fit with in a particular genre of music styles. If anything it`s quite the opposite and to find something new and exciting that makes us a little different.

Q2: 先程、”自らのロックミュージック” と言ったのは、80年代初頭 MAGNUM は NWOBHM にも Neo Prog にも完全には舵を切らなかったと感じるからです。実に巧みにハードロックとプログ, AORを融合させていましたね?

【BOB】: 僕たち何か計画を立てたり、方向性を選んだりしてきたことはないんだよ。楽曲がただ書かれて、どんなスタイルでも良い曲になるように演奏してきただけなんだ。意図して特定のスタイルやジャンルへフィットさせたことはないからね。
それどころか、流行りのジャンルに囚われるスタイルとは全く反対だったと言えるだろうね。新しくエキサイティングな音楽を見つけていくことが、僕たちの存在を異なるものにしていたんだろうな。

Q3: So, what was the most impressive thing in your life with 40 years of Magnum?

【BOB】: Right now it`s being able to still get up on stage and have a great set of fans to play infant of. Also to release albums constantly and especially with the latests album doing so well, to have a fan base who still buy the records and still enjoy what we do.

Q3: では、MAGNUM 40年の歴史の中で最も印象的だった出来事を教えていただけますか?

【BOB】: まさに今現在が最も充実しているね。今でもステージに立つことができ、まるで子供のようにファンの前でプレイすることが出来ているんだから。
それに、アルバムもコンスタントにリリースし、特に最新作はとても評判が良いからね。今でも僕たちのレコードを買って楽しんでくれるファンベースがあることは素晴らしいよ。

Q4: To tell the truth, I first knew you was the “disbanded-era”. Bob and Tony played as Hard Rain. Also Bob collaborated with the members of Ten and pursued solo career. I image Magnum was also swallowed up by the waves of grange/alternative movement at that time, but what was the true reason of your disbanded?

【BOB】: It was at a time when some band members were hard to deal with. It was a constant battle to get the mood right. Tony left the band but says it should have been the other way around and other band members should have been sacked and the band could have carried on. But what ever happened for a reason and it`s got to this point today. A better band of guys who all enjoy each others company and play music for the right reasons.

Q4: 実は私が MAGNUM を “発見” したのはバンドが解散していた時代でした。Bob と Tony は HARD RAIN でプレイし、同時に Bob は TEN のメンバーともコラボレートしていましたね。当時は確かにグランジやオルタナティブがシーンを席巻していましたが、解散の理由はどの辺りにあったのでしょう?

【BOB】: 当時は、メンバーの何人かが難しい時間を過ごしていたんだ。だから正しいムードを得るために常に戦っていなければならなかったんだよ。
それで Tony がバンドを離れたんだけど、彼は僕に他の方法 (HARD RAIN) で続けていくべきだと言ったんだ。そうして他のメンバーたちは解雇され、しかしバンドはなんとか存続することが出来たんだよ。何が理由だったにせよ、ああすることで今日まで続けることが出来たわけさ。
そうして、お互いに仲間として楽しめて、正しい理由のために音楽をプレイするより良きバンドとなったんだ。

Q5: Let’s talk about your newest record “Lost on the Road to Eternity”. Definitely, it’s one of your best record with full of melody and British flavor. Long time members, Mark Stanway, Harry James parted ways with band, but we don’t feel that so much. Anyway, first of all, could you tell us about the reasons of their departure?

【BOB】: It was very sad Harry could not join us to record the album and tour as his commitments to Thunder were too much to work out. Mark decided to leave the band.
Harry was replaced by Lee Morris who has been a long time session musician that has fitted in well to the band bringing a new style and lots of energy. Rick Benton was drafted in at short notice as Mark decided to leave the band mid tour so Rick was called and he learnt the set over night and played with us within the next few days of that tour. He has bought so many ideas to the band and has a lot of musical credibility to the band. Both the new guys have fitted in well and the band is a happy and excited band to be on tour right now.

Q5: では、最新作 “Lost on the Road to Eternity” について話しましょう。英国の香りとメロディーに満ちた実に MAGNUM らしい傑作ですね!長年バンドに貢献を続けた Mark Stanway, Harry James が離脱した影響も感じられません。

【BOB】: Harry がこのアルバムのレコーディングとツアーに参加出来なくてとても悲しいよ。彼はもちろん THUNDER のメンバーでもあるから、両方をこなすのは難しくなってしまったんだ。Mark は自らバンドを離れることを決めたんだ。
Harry の代役は Lee Morris。長い間セッションミュージシャンをやっていたから、新たなスタイルや迸るエナジーをバンドにもたらしながら素晴らしくフィットしたね。
Rick はより短期間でバンドのメンバーに選ばれたんだ。というのも、Mark はツアーの途中で脱退を決めたからね。それで Rick が呼ばれて、一晩かかってセットを覚えプレイし、おかげで僕たちは残りのツアーを無事に終えることが出来たんだよ。 彼は実に多くのアイデアと確固たる音楽的な信頼性をバンドにもたらしてくれたね。
新メンバーは二人ともバンドに素晴らしくフィットしているし、今はこのメンバーでツアーを行えて僕たちはとても満足し、エキサイトしているよ。

Q6: So, what was the “Key” to choose new members? Also, amazing Tobias Sammet joined as a guest singer. What did they bring to the new record?

【BOB】: You get to now people if you are in the music business for so long and names get mentioned. So when things like this happen it can be easy to find another member but finding the right member is the hard part. They not only have to be musical adept but also have a good personality to be able to get along on the long weeks on a tour bus. I had worked with Tobias for many years within Avantasia. So it was easy to get Tobi to sing on the title track.

Q6: では、Lee と Rick を選んだ選考基準は何だったのでしょう?併せて EDGUY/AVANTASIA の Tobias がゲスト参加した経緯も教えていただけますか?

【BOB】: もし君が音楽ビジネスに長年か関わってきたとしたら、おのずと新たな候補の名前は挙がってくるものさ。だからこういった脱退劇が起こったとしても、新たな人材を探すのは割と容易なんだ。ただし、適切な人物を見つけるのはなかなか大変なんだけどね。
彼ら二人は音楽的に適応してきただけでなく、長い間ツアーバスの中で上手くやっていけるだけの素晴らしいパーソナリティーを備えていたんだ。
Tobias とは長年 AVANTASIA で共演してきたからね。だからタイトルトラックで歌ってもらうのも難しいことではなかったよ。

Q7: I really love beautiful artwork painted by Rodney Matthews. Magnum started to use his artwork in “Princess Alice and the Broken Arrow” again. With his artwork,I feel your music becomes stronger and more magical. Do you agree that?

【BOB】: I think every album is another journey. We never really know what to expect. We can not say what will happen in the future. But we will continue to make the best music we can possibly make. We hope the fans continue to come on the journey with us.

Q7: Rodney Matthews のアートワークも素晴らしいですね!バンドは “Princess Alice and the Broken Arrow” から再び彼のアートワークを使用していますが、それと同時により強力なマジックが戻ったようにも思えます。

【BOB】: 僕はどのアルバムも別々の旅のようなものだと解釈しているんだよ。つまり製作時に何が起こってどんな魔法が掛かるかは予想もつかないんだ。未来に何が待っているのかもわからないしね。
だけど、一つ言えるのは、僕たちは可能な限り最高の音楽を作り続けていくってことだね。ファンのみんながその僕たちの旅路に同伴してくれることを望みながらね。

Q8: Anyway, you have really huge discography. When our young readers jump into the Magnum’s world, which albums do you recommend?

【BOB】: Obviously I would say the latest album! But I would say just get them all and see what you like. The production gets bigger and better as time goes on. Try them all.

Q8: 最後に、若い読者が膨大なディスコグラフィーを誇る MAGNUM の世界へ足を踏み入れる際に、まず勧めたいアルバムはどの作品でしょう?

【BOB】: 明らかに最新作だね!ただ、全部の作品を聴いてお気に入りを見つけて欲しいというのが本音かな。(スタジオアルバムだけで20枚。)まあ、時を経るにつれて作品のプロダクションはどんどん改善されビッグになっていっているよ。全作聴いてみて!

MESSAGE FOR JAPAN

We very much hope that one day we can get invited over by a promoter to play for you all very soon. Thank you for your support. Cheers.

僕たちはいつの日にかプロモーターに招かれて日本のファンみんなのためにプレイしたいと心から願っているんだ。出来ればすぐにでもね。サポートをありがとう!

BOB CATLEY

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE SEA WITHIN : THE SEA WITHIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JONAS REINGOLD OF THE SEA WITHIN !!

New Art Rock Collective, The Sea Within Goes To Fantastic Maiden Voyage, With Flexible And Diverse Debut Record “The Sea Within” !!

DISC REVIEW “THE SEA WITHIN”

キャプテン Roine Stolt のプログレッシブな航海はスーパーグループ THE SEA WITHIN と共に新たなアドベンチャーを創成します。荒波や暴風にも屈しない最上級の乗組員を揃えたフラッグシップは、フレキシブルな風を受け未踏の音景へと舵を切るのです。
実際、伝説のプログ船長 Roine のもとへと集結したのはマスタークラスの名だたる船乗りばかり。THE FLOWER KINGS で補佐官を務めるシーンきってのベースヒーロー Jonas Reingold。その TFK にもかつて在籍したプログメタルの至宝、PAIN OF SALVATION のマスターマインド Daniel Gildenlöw。RENAISSANCE, YES の寵児、キーボーディスト Tom Brislin。さらに Steven Wilson, THE ARISTOCRATS などで知られるトップドラマー Marco Minnemann を招聘したキャプテンは、盤石の布陣にもかかわらずゲストのスカウトにも余念がありませんでした。
Jonas のインタビューにもある通り、 レコーディングのみの参加となる Daniel の影武者には FLYING COLORS の Casey McPherson を配置。加えて YES の Jon Anderson、DREAM THEATER の Jordan Rudess、Steve Hackett Band の Rob Townsend までをも乗船させた まさに “All-Aboard” なラインナップは、出航と同時に世界中のプログファンからヨーソローな期待と注目を集めたのです。
ボーナストラックまで含めると77分にも及ぶ長駆の処女航海 “The Sea Within” はそしてその遥かなる熱量に充分応えた雄飛なる冒険となりました。一つキーワードとして挙げるべきは “フレキシブル” というアイデアなのかも知れませんね。
事実、この豪華な母船の船員に選ばれたのは全てがユーティリティーなプレイヤーだったのですから。「このバンドのメンバーは全員が歌えるし、複数の楽器をこなすことが出来るんだ。」インタビューで語ってくれた通り、ボーカル、ギター、キーボードをこなす船長 Roine を筆頭にフレキシブルな才能を誇るバンドの航路は、全員がコンポーザーという奇跡まで備えながら鮮やかな多様性に満ちています。中でもドラマー Marco Minnemann のパーカッションはもちろん、ギター、ボーカルまでこなすマルチな才能はこの偉大な航海の大きな推進力となっていますね。
THE FLOWER KINGS とは異なる進路を目指すというキャプテン Stolt の野望は、オープナー “Ashes of Dawn” を聴けば伝わるでしょう。アルバムで最もダーク&ヘヴィー、Roine と Daniel の歌声導く苦悩とアグレッションが印象的な楽曲は、世界経済のカオスをテーマに据えています。
故に、Roine と Jonas が TFK のファンタジックな殻を破り、深海のアビスをリアルに映し出すかのようなサウンドを選択したことも驚きではないでしょう。KING CRIMSON の “Red” にもシンクロするこのインテリジェントな音の幽暗は、Tom のサクスフォンを得てより深部までその混沌を浸透させるのです。
その Tom がイニシアチブを取った物憂げでコーラスも鮮やかなクラッシックアート “They Know My Name”、KARMAKANIC を想起させる Jonas の幻想的でシネマティックな作曲術が Daniel の PAIN OF SALVATION とは一味違うオーガニックな声色を引き出した “The Void”。そして辿り着く “An Eye for an Eye for an Eye” はアルバムのハイライトと言えるかも知れませんね。
ラインナップの中で最もロッカーの佇まいを備えた Marco が作曲を手がけたことにも頷ける、ファストでアグレッシブな楽曲は THIN LIZZY とプログがモダンな風を受けてハイブリッドを果たしたようなユニークでしかしフックに満ちたキラーチューン。潮目の変化はフォービートとジャズロックの海風を運び華麗なソロワークが美しく華を添える中、楽曲は再びメロディックなブリッジへと回帰しロックのエナジーを胸いっぱいに吸い込みながら大円団を迎えるのです。
そうしてその多様性の濁流は、5人の主要メンバーが共作した “Goodbye” へと流れ込んでいきます。そこはポップとエモーションが乱れ咲く桃源郷。アルバムには確かにキャッチーという名の子午線が貫かれていますが、7/8拍子のファンキーなリズムを起点に光の放射を放つ素晴らしくリリカルな楽曲は飛び抜けてプログポップの期待感に満ち溢れているのです。
Jon Anderson も参加してオールスターキャストで贈る14分のプログ劇場 “Broken Cord”。キャプテン Stolt は “Sgt. Pepper” から YES までプログロックのイデアを体現したエピックを THE FLOWER KINGS のファンへとしっかり捧げてその旅路を終えるのです。
今回弊誌では、ベースヒーロー Jonas Reingold にインタビューを行うことが出来ました。プログ、ポップ、ジャズ、アートロック、クラッシックロック、そしてシネマティックな離島を繋ぐフレキシブルで魅惑的な航海。エースを揃えた SONS OF APOLLO が正統的なスーパーグループなら、ユーティリティーの極み THE SEA WITHIN もまた異なるスーパーグループのあり方でしょう。どうぞ!!

THE SEA WITHIN “THE SEA WITHIN” : 9.8/10

INTERVIEW WITH JONAS REINGOLD

Q1: First of all, definitely, The Sea Within is prog super group. How did the band come to be? Off course, you’ve played with Roine and Daniel in The Flower Kings, but have you known each other with other members?

【JONAS】: Roine had a chat with Thomas Waber, the boss at Inside Out Music, about the idea of a new band. He wanted to move in a fresh direction with new collaborations. The prog community is kind of small so I knew several of the guys before we went into the studio. In fact I´ve played with everyone except Marco.

Q1: まず、このスーパーグループ結成の経緯を教えてください。THE FLOWER KINGS で同僚だった Roine, Daniel は別として、以前から他のメンバーと親交はあったのでしょうか?

【JONAS】: Roine が Inside Out のボス Thomas Waber と新バンドの計画を話し合ったことから始まったんだ。彼は新たなコラボレーターたちとフレッシュな方向性を目指したかったんだよ。
そうだね、まあプログコミュニティーは小さな世界だから、スタジオに向かう前から何人かは知っていたんだ。というよりも、僕は Marco 以外の全員と以前プレイしたことがあったんだよ。

Q2: Daniel is studio member, and not playing live performance, right? It seems Casey plays his roll. Also, Roine, Marco, and Tom sang, moreover Marco played even guitar in this record. The Sea Within looks very flexible band, do you agree that?

【JONAS】: Yes thats correct that Daniel will only be a studio musician due to his heave schedule with Pain Of Salvation. And you´re right that everyone in this band can sing and play different instruments. Everybody onboard play a little bit of everything.

Q2: Daniel はスタジオのみの参加で、ライブでは Casey が彼のパートを務めるそうですね?複数人がボーカルを担当し、ドラマーの Marco はギターもプレイしたりと非常にフレキシブルなグループであるようですが?

【JONAS】: うん、その情報は間違いないね。確かに、Daniel は PAIN OF SALVATION でとても忙しいからスタジオのみの参加さ。
そして君は正しいよ。このバンドのメンバーは全員が歌えるし、複数の楽器をこなすことが出来るんだ。だからメンバー全員が全てにおいて何かしら貢献しているわけさ。

Q3: So, how was the writing process? Have you had opportunities to actually meet and co-work with other members? Also, is everything new materials?

【JONAS】: Me and Roine wrote some material before we even contacted the other guys. When it was time to go into the studio we collected all the material from all the guys and through a democratic process we destilated out the songs that was most promising. In the end everyone contributed with creativity so this is a collective effort.

Q3: ライティングプロセスやレコーディングは、実際に顔を付き合わせて行われたのでしょうか?

【JONAS】: 僕と Roine は他のメンバーにコンタクトを取る前からすでにいくつかのマテリアルを書いていたんだ。そうして、いざスタジオに入ることが決まると、僕たち2人はバンド全員から全ての活用出来そうなマテリアルを集めたんだよ。
その後、民主的なプロセスを通して楽曲を最も最良の形に具現化していったのさ。つまり結果的には全員がクリエイティブな貢献を果たしたことになるよね。だからこの作品はバンドとしてコレクティブな努力の結晶なんだよ。

Q4: The Sea Within’s debut record is a highly impressive but really diverse voyage. From Yes, King Crimson to Pain of Salvation, The Flower Kings, it’s definitely eclectic. You know, everyone in the band composed in “The Sea Within”, Do you think it’s the reason of diversity?

【JONAS】: Yes, we tried to have an open mind regarding styles and sound, everything as long it is good is welcome. We are all different and compose in different style but just the fact that we where all of us in the studio together, recording live it felt that we got a red thread running through the album even though the songwriting is a bit different.

Q4: 作品は非常にエクレクティックな仕上がりとなりましたね?様々な出自を持つメンバー全員が作曲にかかわった成果だとも言えそうですが?

【JONAS】: その通りだよ。僕たちはスタイルやサウンドに関してオープンマインドでいようと心掛けていたんだからね。そのマテリアルが良いものである限り全てはウエルカムだったんだよ。
僕たちは全員が異なる出自を持ち、作曲の方法も異なるよ。だけどね、僕たち全員が一緒にスタジオに入りレコーディングを始めると、確かにソングライティングは少しばかり異なっているにしても、筋道というか運命の赤い糸のようなものを作品に感じることが出来たんだ。

Q5: Jon Anderson, Rob Townsend, and Jordan Rudess made an guest appearance on this record. I think it makes “The Sea Within” more flexible, diverse, and special. How did you choose and fit them in the album?

【JONAS】: It´s fun to work with talent. All the guys you mention are really talented. I heard a sax sound when I composed the middle part of Ashes Of Dawn and thought about Rob since we play together with Steve Hackett. Jordan and I recorded together in the past and when we needed some action in the piano part on Hiding of the truth I said, lets call Jordan. It was Roine who got Jon onboard because he wanted a “Yesish” sound on a part of his song Broken Cord.

Q5: Jon Anderson, Rob Townsend, Jordan Rudess という豪華なゲストのアピアランスも作品の多様性、フレキシブルなアイデアを後押ししていますよね?

【JONAS】: 彼らのような才能と仕事をするのは楽しいものだよ。君が挙げたアーティストはみんな本当に才能が際立っているよね。
僕が “Ashes of Dawn” のミドルセクションを書いている時、サックスのサウンドが聴こえたんだ。それで Steve Hackett のところで一緒にプレイしていた Rob のことを考えたわけさ。
Jordan と僕は昔一緒にレコーディングしたことがあってね。だから “Hiding of the Truth” のピアノセクションに何らかのアクションが必要だとなった時に、じゃあ Jordan に電話してみようと言ったんだよ。
Jon を誘ったのは Roine だったね。彼の楽曲 “Broken Cord” に YES のようなサウンドが欲しかったからだろうな。

Q6: So, which song do you like most in the album? Also, which songs represent the most signature sound of the band?

【JONAS】: I´m totally the wrong guy to ask that because I can´t keep an objective eye on it anymore. All songs have something, even the bonus tracks.

Q6: では、このアルバムの中で最も THE SEA WITHIN らしいと思う楽曲を教えていただけますか?

【JONAS】: その質問に答えるのに、僕は全く適任とは言えないだろうな。というのも、作品を客観的に眺めることが出来ないからなんだけど。ボーナストラックを含め、全ての楽曲が何かしら特徴を持っていると思うよ。

Q7: Anyway, we Japanese are also big fan of The Flower Kings and really waiting for new materials. Do you have a plan to make new record near future? And is there any plans to release in your other projects?

【JONAS】: We never know. Right now we´re having a break from TFK but who knows, maybe a 30 years anniversary tour in the future.

Q7: 日本のファンは THE FLOWER KINGS の新作も首を長くして待っていますよ。

【JONAS】: どうなるか僕たちもわからないんだ。現時点では、休息をとって THE FLOWER KINGS からは距離を置いているんだけど、どうなるんだろうねえ。
おそらく、将来的に30周年のアニバーサリーツアーはやるんじゃないかな。(THE FLOWER KINGS は1994年の結成なので再始動が30周年になるとすれば2024年。)

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JONAS’S LIFE

KISS “LOVE GUN”

It was through Kiss I discovered music. I was a big fan as a child.

JONI MITCHELL “SHADOWS AND LIGHT”

Stellar line up with the undisputed king of bass, Jaco Pastorius.

PAT METHENY “BRIGHT SIZE LIFE”

First time I heard Jaco, I was blown away.

MILES DAVIS “KIND OF BLUE”

Open up my door to “less is more”.

WEATHER REPORT “8:30”

First time I heard instrumental fusion.

MESSAGE FOR JAPAN

We would love to come to Japan with the Sea Within, hopefully we can do that 2019 but til then, Domo Arigato and Sayonara.

僕たちは THE SEA WITHIN で日本に行きたいと願っているよ。出来れば2019年にツアーを行えたらと思っているんだ。また会える日まで、どうもありがとう、さようなら!

JONAS REINGOLD

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【GHOST : PREQUELLE】


COVER STORY : GHOST BEHIND “PREQUELLE”

Tobias Forge Returns, Not As New Papa, But As Symbol Of Pop & Proggy Evolved-Occult Metal, Cardinal Copia!

Story Behind Ghost : From Tobias Forge To Papa Emeritus & Cardinal Copia

GHOST のボーカリスト、ソングライター Tobias Forge は Papa Emeritus I, II, III としてこれまで3枚のアルバムを製作しメタル闇教皇としての地位を確固たるものとしています。ステージではスカルのメイクアップを施し、ルシファーにゾンビの女王、処女の血を浴びたハンガリーの伯爵夫人まで奇々怪界な登場人物と共に異能のオカルトメタルを提示する怪人は、今眩くも華々しいスポットライトをその身に浴びているのです。
しかしその功績に反して、Tobias の実態は深い霧の中にありました。GHOST の発足以来、Tobias は Papa の匿名性を保つためインタビューを拒否し、スポットライトを避け、典型的なロックスターの姿とは確実に距離を置いて来たからです。
Tobias の匿名性が脅かされたのは、解雇した元バンドメンバー Nameless Ghoul 達の反乱がきっかけでした。金銭面、クレジット関連の闘争で司法の場に引きずり出された Papa の実名 “Tobias Forge” は、白日の下に晒されスポットライトを浴びることを余儀なくされたのです。
「一度スポットライトに晒されると、ライトが自分を追わないことを願うか、何かを語るしかない。」と嘯く Tobias。Nameless Ghoul の讒言によりファンの一部がその作曲能力を疑う中、新たなキャストと共に Cardinal Copia、”Copia 枢機卿” として GHOST を “リモデル” した Tobias は、こともなげに新経典、傑作 “Prequelle” を突きつけます。「変わったのは Papa Emeritus から Cardinal Copia への名前だけさ。」と皮肉を込めながら。

GHOST は後にデビュー作 “Opus Eponymous” に収録される “Stand by Him” で2006年に産声を上げました。友人 Gustaf Lindström とレコーディングを行った楽曲は、すでに MERCYFUL FATE のメタリックなエッジと BLUE OYSTER CULT のノスタルジックなメロディーを包含したオカルトメタルの雛形だったと言えます。
しかし、そのサタニックなテーマとヴィンテージ映画のムードに対して、Tobias の少年のようなルックスはミスマッチでした。一般的なロックバンドとは異なる、匿名のシアターバンド “GHOST” というアイデアはそこが出発点だったのかも知れませんね。
驚くべきことに、Tobias は元々シンガーを志向していたわけではありません。Keith Richards と Slash に憧れていたコンポーザーは当初、クールに煙草を燻らすギタリストの地位に収まることを想定していたのです。しかし、Messiah Marcolin, Mats Levén, JB 等ことごとく理想のシンガーに断られた Tobias は自らシンガーを務めることを余儀なくされました。もちろん、後にその選択こそが大成功を引き寄せる訳で、数奇なる運命を感じざるを得ませんね。

では、双子の父親で一般的な社会生活を営む29歳の青年が BLUE OYSTER CULT, PENTAGRAM, SAINT VITIUS, CANDLEMASS, DEMON, ANGEL WITCH といったサタニックドゥーム、メロディーを散りばめた仄暗いロックの世界に身を投じるきっかけは何だったのでしょう。
Linköping にある16世紀に建てられた教会がサタンに身を委ねる一つの契機であったと Tobias は振り返っています。奇妙なペイントとステンドグラス、魔法のように美しく恐ろしい場所。
同時に厳格で意地の悪い義母や教師も彼を悪魔の世界へと向かわせました。KISS の “Love Gun” や RAINBOW を教えてくれた兄 Sebastian だけが唯一の救いでしたが、彼が家を離れると少年 Tobias は益々ファンタジーの世界へとのめり込んでいきました。
とはいえ、SF小説や映画、ストーンズのアルバム、Nikki Sixx と “Shout at the Devil” など、81年生まれの Tobias を悪魔の世界へ後押ししたピースの数々は、依然として年齢の離れた兄の影響下にあったのです。故に、GHOST のデモをネット上にポストしたその日に Sebastian が亡くなってしまったことは、人生観の決め手となったに違いありません。エネルギーのトレードオフ。悪魔は何かを得るために必ず何かを犠牲にするのです。

MY SPACE からグラミーまで、GHOST は決して順風満帆に辿り着いたわけではありません。特にメディアや評論家による “誇大広告” に晒されたアーティストは予定より長い道のりを歩まされ、時にドロップアウトしてしまうことさえ少なくないのですから。Rise Above Records からリリースしたデビュー作、70年代とサタニックなテーマが牽引するポップメタル “Opus Eponymous” は確かに大きな話題を呼びましたが、北米ツアーは順調とは言い難く、よりアーティスティックなセカンドアルバム “Infestissumam” は商業的に奮いませんでした。
“Opus Eponymous” の独創性を押し広げた “Meliora” は潮目を完全に変えた作品だと言えるでしょう。重厚で斬新な “Circle”、冒涜的なバラード “He Is” はスペシャルで、そこからウルトラキャッチーなシングル、YouTube 総再生回数2400万超えのモンスター “Square Hammer” を得たバンドは加速してチャートの壁を突破していったのです。

参考文献:REVOLVER MAGAZINE (2018) “GHOST: THE TRUE STORY OF DEATH, RELIGION AND ROCK & ROLL BEHIND METAL’S STRANGEST BAND”

ビルボード Top200初登場3位という爆発的な成果と共に、シーンへ大きなうねりをもたらした最新作 “Prequelle”。暴かれた匿名性を逆手にとってスポットライトの中央へ躍り出る決意を果たした Tobias は、明らかに以前よりもしたたかです。
もちろん、彼は自らが敬愛する KISS がメイクと共にその魔法を落としてしまったことを知っています。故に、シーンの潮流を GHOST の個性へと鮮やかに昇華するその手法は言葉を失うほどに見事でした。
キーワードは、多様性とポップ。作品の “匿名性” を紐解いていきましょう。

DISC REVIEW “PREQUELLE”

昨年 “最も印象的だったアルバム” の記事にも記しましたが、近年、MASTODON, VOLBEAT, Steven Wilson, PALLBEARER, Thundercat など様々なジャンルの旗手とも呼べるアーティストが “ポップ” に魅せられ、レガシーの再構築を試みる動きが音楽シーン全体の大きなうねりとして存在するように思えます。当然、邪悪とポップを融合させた稀有なるバンド GHOST もまさしくその潮流の中にいます。
「JUDAS PRIEST はポップミュージックを書いていると思う。彼らはとてもポップな感覚を音楽に与えるのが得意だよね。PINK FLOYD も同様にキャッチー。ちょっと楽曲が長すぎるにしてもね。」
と語るように、Tobias のポップに対する解釈は非常に寛容かつ挑戦的。そして実際、アルバムオープナー “Rat” はそのスピリットを存分に反映した極上のポップ/オカルトメタルチューンです。
そのデザインは実にコンパクト。Ozzy Osbourne の隠れた名曲 “Secret Loser” を彷彿とさせる叙情のメロディー、Vivian Campbell と Jake E Lee の落胤にも思えるスタッカートのリフワーク、シンガロングの衝動はとめどなくキャッチーな80年代への招待状。一方で幽玄なヴィンテージのシンセサウンドと聖歌隊の重厚なコーラスは、中世に現代を隠喩したある種ホラーなSFテーマを伴いながら荘厳に楽曲のコアへと付与され、一際洗練されたオカルトメタルの最新形を提示します。
事実、OPETH や ROYAL BLOOD を手がけたプロデューサー Tom Dalgety は時に BOSTON をイメージさせるほどクリアーでキャッチーなコーラスワークを実現し、アルバムを別の次元へと押し進めていますね。
イントロダクション “Ashes” は英国の童謡 “Ring a Ring o’ Roses”。一見牧歌的ですが、日本の “かごめかごめ” “とおりゃんせ” のように、ロンドンの人口1/4を奪った疫病の恐怖を込めた不吉な “怖い童謡” です。もちろん、歌詞の一節 “fun” は “Funeral” に文字られています。
Tobias はしかし 「これはペストをポジティブに捉えた初めてのレコードだろう。」と語っています。徹頭徹尾サバイバルに焦点を当て、逃れられない死の運命に思いを巡らせるチャンスだとも。ペストを拡散した黒死の悪魔 “ラット” は下水道や荷物に紛れあらゆる場所から山のように現れました。SNS で狂気や悪意を拡散する21世紀の “ラット” はさながら私たちなのかもしれません。事実、GHOST が誘う “死” とは肉体的なものとは限りません。現代に蔓延する社会的、精神的な死から逃がれられる場所などもうどこにもないのです。
“Faith” が KING DIAMOND の華麗な鋭利を反映するならば、”Witch Image” は BLUE OYSTER CULT の流脈。「君が浮世のベッドで眠るその時も、誰かの肉体は今夜も腐っていっている」タブーにして真理。死はあらゆる場所、時間に存在します。もちろんダンスの最中にも。
リスナーを不気味なダンスフロアへと誘う “Dance Macabre” はポップメタルの極地、象徴的な楽曲かも知れませんね。KISS の “I Was Made For Loving You” はもちろんロックにディスコを持ち込んだ初めての楽曲でしたが、スポットライトを月明かりに移譲した GHOST の “死の舞踏” はよりロマンティックでシアトリカル。そうして ABBA や ROXETTE のイメージさえキャプチャーした中毒性の極めて高い哀愁のダンスナンバーは、バンドの多様性を証明するマイルストーンともなりました。
モダン=多様性とするならば、70年代と80年代にフォーカスした “Prequelle” において、その創造性は皮肉なことに実にモダンだと言えるのかもしれません。実際、アルバムにはメタル、ポップを軸として、ダンスからプログ、ニューウェーブまでオカルトのフィルターを通し醸造されたエクレクティックな音景が広がっています。
プログレッシブの胎動は “Prequelle” 核心の一部。Tobias はプログロックの大ファンで、作曲のほとんどはプログレッシブのインスピレーションが原型となっていることを認めています。彼が特に愛する URIAH HEEP のスピリットを宿したインストゥルメンタル “Miasma” はその典型かもしれませんね。一方で、そこには Alice Cooper を頂点とする80年代のショックロックや ARTHUR BROWN の遺産も引き継がれており、そのクロスオーバーこそが興味深いのですが。
OPETH の Mikael Åkerfeldt が貢献した “Helvetesfonster” は YES や JETHRO TULL の哲学を色濃く宿すよりトラディショナルなプログレッシブチューン。決してハイパーテクニカルなプレイを要求することはありませんが、とはいえ Rick Wakeman や Keith Emerson の鼓動がここに息衝いていることは明らかでしょう。
ニューウェーブ、DEPEHCHE MODE のイメージを重ねた “See the Light” にも言えますが、シンセサイザー、オルガン、キーボードの響きが GHOST を基点としてシーンに復活しつつあることは喜ばしい兆候だと言えますね。もちろん、サックス、フルート、ハグストロムギターが彩る楽器の多様性も。何より、現在の GHOST には2人の女性キーボード Nameless Ghoul がステージに滞在し、うち1名が時にサックスをプレイしているのですから。SHINING, IHSAHN, RIVERS OF NIHIL などが巧みに取り込んでいるサクスフォンの艶やかな響きはメタルシーンに不可欠なものとなりつつありますね。
コンパクトでしかしあまりに印象深い GHOST 劇場は荘厳なる叙事詩 “Life Eternal” で静かにその幕を閉じます。ウルトラキャッチーでフックに満ち溢れたカラフルなレコードは、数多のリスナーに “メタル” の素晴らしさを伝え、さらなる “信者” を獲得するはずです。
ただし、匿名性を暴かれた Tobias の野望はここが終着地ではありません。多くのゲストスターを揃えたサイドプロジェクトもその一つ。すでに、JUDAS PRIEST の Rob Halford がコラボレートの計画を明かしていますし、これからもスウェーデンの影を宿したメタルイノベーターから目を離すことは出来ませんね。何より、全ては彼の壮大な計画の一部に過ぎないのですから。

GHOST “PREQUELLE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SUBSIGNAL : LA MUERTA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARKUS STEFFEN OF SUBSIGNAL !!

German Progressive Innovator, Subsignal Walk Toward More Melodic Path And Open To New Influences With Their New Record “La Muerta” !!

DISC REVIEW “LA MUERTA”

ジャーマンプログメタルの唱道者、SIEGES EVEN の血を受け継ぐ嫋やかなる残映。SUBSIGNAL がリリースした最新作 “La Muerta” は、サンタ・ムエルテの名の下にプログシーンの信仰を集め新たな拠り所、守護者となるはずです。
「当時起こったことはとても単純で、個人的な相違だったんだ。最終的にバンドは、Arno と僕、Oliver と Alex の二つに割れてしまったんだよ。」と Markus がインタビューで語った通り、80年代から活動を続ける巨星 SIEGES EVEN が長年の内なる闘争の末2008年に解散の道を選んだニュースは、プログメタルシーンに衝撃をもたらしました。
名手 Wolfgang Zenk がフュージョンに特化した支流 7for4 へと移行し、オリジナルメンバーの Markus が復帰。Andre Matos や Jens Johansson との実験場 Looking-Glass-Self の果てに邂逅したバンド史上最高のボーカリスト Arno Menses を得た 00年代のSIEGES EVEN。
そうして2005年にリリースした8つの楽章から成る “The Art of Navigating by the Stars” が、SIEGES EVEN 独特の世界観に研ぎ澄まされたメロディーが初めて重なり、FATES WARNING の “A Pleasant Shade of Gray” にも比肩し得る壮大なマイルストーンとなった事を鑑みれば、尚更バンドの消滅がシーンにとってどれ程の損失であったか推し量れるはずです。
しかし、Arno と Markus のメロディーとプログレッシブが奏でるケミストリーの二重奏はしっかりと SUBSIGNAL の音に刻まれています。
アルバムが相応に異なる風合いを醸し出していたように、SIEGES EVEN のスピリットはまさに実験と挑戦の中にありました。故に、二人が描く新たな冒険 SUBSIGNAL のサウンドが、プログレッシブワールドのトラディショナルな壁を突き破ることは自明の理だったのかも知れませんね。
キーワードはアクセシブルとエクレクティックでしょう。実際、「Arno と僕は他の異なるジャンルにも興味を持っていてね。」「僕にとって最も重要なのはメロディーなんだ。」と Markus が語るように、遂に本格化した SUBSIGNAL の最新作 “La Muerta” には近年のモダンプログレッシブが放つ波動とシンクロする瑞々しき血潮が注ぎ込まれているのです。
バンドのデビュー作 “Beautiful & Monstrous” 収録の “The Sea” が指針となったように、SUBSIGNAL は知性の額縁とプログレッシブなキャンパスはそのままに、よりソフィスティケートされた筆を携えドラマとエモーション、時にメランコリーをカラフルな多様性と共に一つの絵画、アートとして纏め上げて来ました。
ダンサブルなイントロダクション “271 Days” に導かれ示現するアルバムオープナー “La Muerta” は、バンドのトレードマークを保ちつつ、よりアクセシブルなメインストリームの領域へと舵を切る野心のステートメントです。
Steven Wilson の “To The Bone” を核として、HAKEN, FROST*, TesseracT, iamthemorning といったコンテンポラリーなプログレッシブロースターは恐れる事なくポップを知性や複雑性、多様性と結びつけモダンプログレッシブの潮流を決定的なものとしています。タイトルトラック “La Muerta” で示されたビジョンはまさにそのうねりの中にありますね。
Markus のシグニチャーサウンドであるコード感を伴うシーケンスフレーズは RUSH や THE POLICE のレガシー。現代的な電子音とマスマティカルなリフワークの中で舞い踊る Arno のメロディーは、眠れる John Wetton の魂を呼び覚ましたかのようにポップで優美。コーラスに華開く幾重にも重なるメランコリーは、暗闇から聖人へと向けられた全ての切実な祈り、請われた赦しなのかも知れませんね。
トライバルでシンフォニックな “Every Able Hand”、Markus の主専攻クラッシックギターから広がる雄大な音景 “The Approaches”、一転ブルースやカントリーの郷愁を帯びた “When All The Trains Are Sleeping” など Markus が語る通り実にエクレクティックなレコードで、全ては “Even Though the Stars Don’t Shine” へと収束していきます。
奇しくも Wilson の最新作とリンクするニューウェーブ、シンセポップの胎動、TEARS FOR FEARS や DEPECHE MODE の息吹を胸いっぱいに吸い込んだ楽曲は、同時にリズムのトリックやシーケンシャルなフレーズが際立つプログポップの極み。アルバムに貫かれるは旋律の躍動。
そうして “La Muerta” は iamthemorning の Marjana を起用し、荘厳なる Arno とのデュエット “Some Kind of Drowning” で平等に赦しを与えその幕を閉じました。
一片の無駄もなく、ただ日によってお気に入りの楽曲が変化する、そんな作品だと思います。ピアノからシンセ、エレクトロニカまで自由自在な Markus Maichel の鍵盤捌き、Dirk Brand の繊細極まるドラムワーク、そして RPWL の手によるクリアーなサウウンドプロダクションが作品をさらに一段上のステージへと引き上げていることも記しておきましょう。
今回弊誌では、ジャーマンプログメタルの開祖 Markus Steffen にインタビューを行うことが出来ました。「80年代に SIEGES EVEN を立ち上げたんだ。おそらくドイツではじめてのプログメタルアクトだったと思うよ。」どうぞ!!

SUBSIGNAL “LA MUERTA” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GLEB KOLYADIN (IAMTHEMORNING) : GLEB KOLYADIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GLEB KOLYADIN OF IAMTHEMORNING !!

Gleb

Not Only A Gifted Pianist And Keyboardist, But A Brilliant Songwriter And Arranger, Iamthemorning’s Keyboard Wizard Gleb Kolyadin Shows His Incredible Talent With His Kaleidoscope-ish Solo Debut “Gleb Kolyadin” !!

DISC REVIEW “GLEB KOLYADIN”

崇高で森厳なる夢幻世界を具現化し、知性とロマンの宝石箱でプログシーンに衝撃をもたらした iamthemorning。幽玄の歌姫 Marjana を存分に駆使するコンダクター、Gleb Kolyadin が自身の “音楽日記” を更新するソロデビュー作 “Gleb Kolyadin” をリリースしました!!
万華鏡の世界観で待望の “キーボードヒーロー” が紡ぐ豊潤で鮮やかなサウンドスケープは、弦数を増やし複雑さと重厚さで近代インストゥルメンタルミュージックの花形となったギターへと突きつけた挑戦状なのかも知れませんね。
「この作品のアイデアは何年も前から積み重ねられて来たものだということなんだ。僕は長年、”Polonuimcubes” という音楽日記のようなものを書き続けているんだよ。」セルフタイトルで自身のポートレートをアートワークに冠した作品は、Gleb の書き連ねた音楽日記と自身のパーソナリティーを投影したまさに自叙伝のようなアルバムです。
“From Stravinsky to Keith Jarrett to ELP”。クラッシック、現代音楽、ジャズ、アンビエント、そしてプログレッシブに敬意を表したマイスターの自叙伝、ワイドで限定されない豊かなイマジネーションは、まさに多様なモダンミュージックの雛形だと言えますね。グランドピアノの凛とした響きは、時に Chick Corea の流麗なエレクトリックキーボードや Brian Eno の空間の美学へと移行し、全てを抱きしめたロシアンマイスターの傑出した才能を伝えています。
つまり、Gavin Harrison, Nick Beggs, Theo Travis といったプログシーンの重鎮がドラムス、ベース、フルート&サックスで牽引し、スーパースター Steve Hogarth, Jordan Rudess がゲスト参加を果たしたこのレコードでは、しかし Gleb こそが凛然と輝く星斗。
アルバムオープナー、”Insight” は Gleb の新たな音旅への “洞察” を高めるリスナーへのインビテーション。Gleb のピアノと Gavin のドラムスは、まさに一枚岩の如く強固に同調しアルバムの骨格を形成し、サックスと弦楽器を巧みに操るシンセサイザーの躍動は印象的なメロディーの潮流と共に作品の自由と鮮度を伝えます。
万華鏡の世界観を象徴する “Kaleidoscope” はモダンとレトロの交差点。プログレッシブの遺産を濃密に宿したピアノが奏でる爽快なテーマは ELP の “Hoedown” にも通じ、Gleb の繊細かつ大胆な鍵盤捌きは言葉を失うほどにスリリングです。
Tatiana Dubovaya のエセリアルなコーラスが切れ込むと雰囲気は一変し、突如として世界は荘厳なる現代的なアトモスフィアに包まれます。そうして楽曲は、フルートの音色を皮切りにエレクトリックカーニバルの大円団へと向かうのです。もちろんここに広がる多彩な”Kscope” はレーベルの美学、ポストプログレッシブの理念とも一致していますね。
そうして “Eidolon”, “Constellation/ The Bell” といった浪漫溢れるピアノの小曲と同様に、ボーカル曲も “Gleb Kolyadin” が誇る “Kscope” の一つとなりました。
“Storyteller” で Jordan Rudess とのヒリヒリするようなインテンスを終えた後辿り着く”The Best of Days” は終幕に相応しき叙情のドラマ。MARILLION の Steve Hogarth と Gleb のコンビネーションは極上のアトモスフィアとセンチメントを創造し、ノスタルジアを深く湛えた楽曲はリスナーの過去へと旅立ち “古き良き日” を克明にイメージさせるのです。
「現在ピアノは、僕にとって自分の思考や感情を表現するためのベストなオプションなんだ。」と語る Gleb。どこまでも謙虚なピアノマンはしかし、間違いなくプログシーンのセンターに立っています。長く待ち望まれた新たな鍵盤の魔術師はロシアからの登場。Gleb Kolyadin です。どうぞ!!

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GLEB KOLYADIN “GLEB KOLYADIN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DUKES OF THE ORIENT : DUKES OF THE ORIENT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERIK NORLANDER FROM DUKES OF THE ORIENT !!

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John Payne & Erik Norlander, A Journey That Started With The Supergroup Asia Gives You The Next Chapter Of Legacy, With Dukes Of The Orient !!

DISC REVIEW “DUKES OF THE ORIENT”

誇り高きプログレッシブの遺産と、陰りを帯びた伝統のメロディーを受け継ぐ稀代のミッシングリンク John Payne & Erik Norlander。両雄の鼓動と哲学が交差する DUKES OF THE ORIENT は、凛とした王の血脈を真率に後の世へと伝えます。
巨星 John Wetton の逝去こそが DUKES OF THE ORIENT 生誕のきっかけでした。長らく Wetton の後任として ASIA を牽引し孤軍奮闘を重ねた勇夫 John Payne は、厳しく比較され続けたマエストロの死を機縁に ASIA の金看板を降ろす決断を下します。それは遂に訪れた、彼に巣食う潜在的重圧からの解放だったのかも知れません。
ご存知の通り、ASIA は Payne がフロントを務めた “Paysia” の不遇もあり2006年にオリジナルメンバーでのリユニオンを果たしています。マザーシップから突如として下船を余儀なくされた Payne は、Geoff Downes を除く後期 “Paysia” のメンバー Guthrie Govan, Jay Schellen を伴い、日本が誇る鍵盤の大家、奥本亮氏をリクルートし新たなプロジェクト GPS を立ち上げ唯一のアルバム “Window to the Soul” をリリースしたのです。
“Paysia” の作品となるはずだった “Architect of Time” から楽曲を流用した “Window to the Soul” はメンバーの卓越した技量を反映した充実作でしたが、結局は Payne が ASIA の呪縛から解き放たれることはなく、GPS はオリジナル ASIA の了承を経て ASIA の楽曲をプレイする ASIA Featuring John Payne へと形を変えて存続することになったのです。
ASIA Featuring John Payne で John と運命の邂逅を果たしたのがキーボードウィザード Erik Norlander でした。妻 Lana Lane の作品をはじめ、自身のバンド ROCKET SCIENTISTS, DIO の落胤 LAST IN LINE 等でスマートかつロマンティックな鍵盤捌きを披露するツボを十二分に心得た名コンポーザーとの出会いは、10年という遥かなる時を超え ASIA の名と別れを告げた素晴らしき DUKES OF THE ORIENT の音楽へと繋がることとなりました。(但し、ASIA Featuring John Payne もライブアクトとしては存続するそう。)
異論は多々あるでしょうが、Payne をフロントに据えた ASIA は、少なくとも音楽的には充実したスティントでした。Downes/Payne のコラボレーションは、90年代から00年代初頭というメロディック/プログロック不毛の時代に、確かに命を繫ぐ質実なる実りをもたらしました。ただ、ASIA らしいロマンチシズムから意図的に距離を置き、Payne の野性味溢れる声質をハード&キャッチーに活かす選択は、忠実なファンやレーベルからのサポートをも遠ざける結果になりました。プログレッシブポップが花開く近年を鑑みれば或いは時期尚早だったのかも知れませんね。
ASIA の名を返還した DUKES OF THE ORIENT で John Payne は自由でした。John Wetton との差異を殊更強調する必要もなく、自らの内なる ASIA 全てを表現することが出来たのかも知れませんね。
実際、”血の絆” を響かせるオープナー “Brother In Arms” はオリジナル ASIA と “Paysia” がナチュラルに融合したバンドのマイルストーンだと言えるでしょう。ハードでダイナミックなアレンジや Payne のトレードマークとも言える重厚なコーラスワークは “Aria” の頃の “Paysia” を、溢れ出る哀愁に叙情、ロマンチシズムはオリジナル ASIA をそれぞれ喚起させ双方の美点を5分間のドラマへと昇華します。
同様に “True Colors” の劇的なメロディーを宿す “Strange Days” では、繊細なアレンジメント、アンセミックなキーボード、Guthrie Govan の傑出したギターワークで “Aura” で示した “Paysia” の可能性をも明確に示唆します。
勿論、オリジナル ASIA のコードセクエンスや “ダウンズサウンド” を惜しみなく披露する “Time Waits For No One” “Fourth of July” 等はやり過ぎの感もありますが、同時に荘厳にして華麗、好き者には堪らない胸踊る完成度であることも事実。
加えて、Erik が 「僕は ELP, YES, KING CRIMSON, JETHRO TULL, PROCOL HARUM といった偉大なバンドたち、70年代のブリティッシュプログと共に育ったんだ。それこそが僕の音楽的なルーツだよ。同じようなルーツを ASIA も持っているんだ。」 と語るように、”Fourth of July” のドラマティックな後半部分では、ASIA よりも “プログレッシブ” な先人達の遺産を巧みに消化し、8分間のエピックに相応しき構成と展開を築き上げているのですから感服の一言です。
“A Sorrow’s Crown”, “Give Another Reason” で魅せるチャーチオルガンやスパニッシュギターの躍動感も DUKES OF THE ORIENT の存在感を一際掻き立て、Jay Schellen のコンテンポラリーかつ安定感のあるドラミング、Rodney Matthews の美しきアートワークと共に UK プログレッシブの伝統と血の繋がりを強く主張しています。
少なくとも、90年代からシーンを見守って来たファンであれば、Payne & Norlander 2人の才能や存在自体があまりにも過小評価されていることは憂慮しているはずです。”Dukes of the Orient” にはその評価を覆すだけの稀有なる魔法が存在するのでしょうか?”Only Time Will Tell”。時が来ればその答えは出るはずです。きっと良い方向に。
今回弊誌では、Erik Norlander にインタビューを行うことが出来ました。奥様からもメッセージをいただけましたので、Lana Lane ファンも必読です。どうぞ!!

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DUKES OF THE ORIENT “DUKES OF THE ORIENT : 9.8/10

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WORLD PREMIERE “WHILE THIS WAY” 【ÁRSTÍÐIR : NIVALIS】


WORLD PREMIERE: ÁRSTÍÐIR “WHILE THIS WAY” FROM “NIVALIS”

ÁRSTÍÐIR redefine their sound and take an evolutionary quantum leap that will catapult the eclectic Icelandic band from a highly praised phenomenon at the fringe straight to the centre of international attention. ÁRSTÍÐIR were never an ugly duckling, but now their musical swan has emerged in its full glorious beauty on ‘Nivalis’.

エクレクティックな音のダンス。アイスランドの美しき白鳥 ÁRSTÍÐIR が飛躍的進化を果たす新作 “NIVALIS” を6/22にりりーすします!インディー、プログ、フォーク、チェンバー、クラシカル、ポストロック。ÁRSTÍÐIR を定義する要素は多々ありますが、彼らはそのどの場所にも止まってはいません。アイスランド語で四季を意味するバンド名。アコースティックの美しき響きはミニマルなエレクトロニカのカウンターパーツとして、儚い壊れ物の感情とメランコリーを喚起します。

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Those inevitable comparisons with fellow countrymen SIGUR RÓS will most likely not go away with ‘Nivalis’, although ÁRSTÍÐIR have clearly developed a style very much their own. Yet other parallels drawn about past references such as SIMON & GARFUNKEL or PENTANGLE are bound to make way to fresher and more recent names pointing way past the also previously mentioned RADIOHEAD.

もちろん、同郷の SIGUR RÓS との比較は避けがたい事象でしたが、それさえも振り払うほどの革新が “Nivalis” には存在します。同様に過去多く比較を繰り返された SIMON & GARFUNKEL, PENTANGLE, そして RADIOHEAD の幻影からも歩みを進めているのです。

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“We are so pleased to finally be able to present to you the first single from our upcoming album ‘Nivalis’, entitled ‘While this Way’. This song was in the works for over a year before it came to be what you’re hearing now. If you managed to catch us on the Sólstafir tour at the end of 2017, it might sound familiar. We kind of ‘tested’ this song out on you, the audience, every night and fine-tuned it to exactly the point where we wanted it to be. We hope that you love it as much as we do!”

遂に新作 “Nivalis”からファーストトラック “While This Way” を公開することが出来て嬉しいよ。この楽曲には今の形になるまでに一年以上の月日を注いだんだ。SOLSTAFIR との昨年のツアーで、毎晩この楽曲をテストしていたくらいでね。おかげで目指す形へと辿り着いたよ。僕らと同じくらい気に入ってくれたらいいな!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KINO : RADIO VOLTAIRE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHN MITCHELL OF KINO !!

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A Sleeping Prog Supergroup, Kino Emerges For The First Time In 13 Years With Incredible Prog Pop Drama “Radio Voltaire” !!

DISC REVIEW “RADIO VOLTAIRE”

至高の幻影 “Picture” を残し忽然と姿を消したプログワールドの蜃気楼、KINO が甦生の返り花 “Radio Voltaire” を海外で3/23に、日本では4/25にリリースします!!奇蹟にも思える陽炎13年振りの再臨は、残像に支配された長年の空寂をいとも簡単に切り裂きます。
MARILLION の Pete Trewavas、IT BITES の John Beck、ARENA の John Mitchell、PORCUPINE TREE の Chris Maitland が集結しリリースした KINO のデビューアルバム “Picture” は、プログレッシブ第二世代以降の才腕を凝縮し遺憾無く発揮したスマートかつメロディアスな洗練の極みだったと言えるでしょう。しかしスーパーバンドは一夜限りの砂上の楼閣。音もなく崩壊し、各自己のキャリアへと踵を返した経緯はごく自然にも思えました。
ただ、プログロックのファンは決して名作を忘れません。燻り続けた新作を望む声はレーベルを、やがては 「KINO を復活させることは考えてもいなかった。」 と語るメンバー本人たちをも動かしました。
復活作のキャストは期待通り、ほぼオリジナルメンバーが揃いました。ただ、ドラマー Chris は不参加で後任を FROST*/Steven Wilson の Craig Blundell が務め、John Beck は Fish との仕事の為にゲスト参加扱いですが。
気鋭のアーティスト Paul Tippet の手による色鮮やかでしかしどこかシニカルなアートワークは、”明白な真実” のみを語るレディオショウへとリスナーを存分に誘い、1920年代ドイツのラジオアナウンスメントで幕開けの準備は整いました。
リスナーの胸の高鳴りに応えるように、冒頭から鳴り響く John Beck の暖かくどこか懐かしいキーボードの音色は John Mitchell のエモーションに満ちたギターメロディーと溶け合い、タイトルトラック “Radio Voltaire” のエセリアルな浮遊感と共にバンドの帰還を鮮烈に告げます。Mitchell の親しみやすいボーカルは成熟と深みを増し、リズムマスター Pete & Craig のドライブに導かれ流動するハーモニーの海を開拓していくのです。
「確かにこのアルバムはポップソングを集めたものだと言えるかもしれないね。ただ、僕たちが充分に手を加えたポップソングだよ。」 と Mitchell が語るように、Steven Wilson が提唱するプログポップの領域へと接近したかにも思える “Radio Voltaire”。
確かにキャッチーなタイトルトラックですが、勿論この知性はラジオで流れる定型的なポップソングとは異なります。つまり、オープンマインドと表現の自由を主張したフランスの哲学者ヴォルテールの名を冠することで、彼らは音楽産業への皮肉と共に自らの率直なクリエイティビティを宣言しているのです。
感傷と希望を等しく宿す “Idlewild” は、2人の John のメロディーセンスが知的で絶妙のアレンジメントと完璧に融合した、アルバムを象徴する楽曲かも知れませんね。実際、John Wetton の魂が降臨し3人の John が奏でたようにも思える旋律と感情の美麗なる邂逅は、英国の “荒野” に雲間から差し込む光の如く神秘なる審美です。
THE WHO の “Won’t Get Fooled Again” をメランコリックに再構築する “I Won’t Break So Easily Any More” でバンドのエナジーを見せつける一方、”Temple Tudor” ではバロックで牧歌的なイメージを提示するなど楽曲のバラエティー、緩急のインパクトも巧妙。
そうして辿り着く、アルバムを締めくくる叙情のロマンティック三連撃は圧倒的です。美しく翳りを宿した切ないメロディーの洪水は、優しくしかし深々とリスナーの胸を抉り感傷の痕跡を残していきます。
実際、”Grey Shapes On Concrete Fields” で見せる Craig の実力を活かしたパーカッシブなアレンジメントやポリリズムなどは非常に複雑かつプログレッシブ。同時に究極にドラマティックで、しかし短編映画を思わせるコンパクトなデザインを実現した濃密なフィナーレはまさにプログポップの理想を体現していると言えるのではないでしょうか。
今回弊誌では John Mitchell にインタビューを行うことが出来ました。ギタープレイヤーとしても音の選択が非常にクレバーだと感じます。「また13年したら新しいアルバムを作るよ!」 本誌2度目の登場です。どうぞ!!

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KINO “RADIO VOLTAIRE” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【People In The Box : Kodomo Rengou】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HIROFUMI HATANO OF People In The Box !!

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Tokyo Based Incredible Progressive-Pop Trio, People In The Box Celebrates Their Tenth Anniversary With Definitely Milestone, “Kodomo Rengou”! Innocence And Technique Melt Together Here!

DISC REVIEW “KODOMO RENGOU”

純粋で綿密な音楽への奉仕者、箱の中の三銃士 People In The Box が、自らの10周年に刻む最高到達点 “Kodomo Rengou” をリリースしました!!”計画的” な長期のインターバルを経て、楽曲のデザイン、個性がより際立った作品は、孤高のバンドに相応しき孤高の完成度を誇ります。
「自分の表現したいデザインと、世間が求める快楽というのは、僕の中で決して対立してはいないんです。」 インタビューで波多野氏はそう語ってくれました。あの先鋭的な残響レコードに置いて、日本が誇るポストロック、マスロック、プログレッシブの理想的なブレンドと目された瑞々しい才能は、近年そういった “形式” とは距離を置き “外の影響を取り入れたりすることもなく、メンバー3人の感性の広がりだけで” 文字通り “箱の中” から作品を届けています。
「TM Networkが好きだった “子供時代” と地続きの感性でやっている」 という言葉は “子供連合” を紐解く上で重要なヒントなのかも知れませんね。実際、このアルバムがある種難解で哲学的なバンドのイメージに反して、シンプルなデザインと無垢なる想望から成る天真爛漫な “報いの一日” で幕を開ける事実は象徴的です。
口ずさむキャッチーなハミングも、イノセントで牧歌的なメロディーも、飛び出す絵本のように立体的なギターサウンドも、晴れた冬の日を想わせる優しいシンセサイザーの波動も、全ては楽曲の求めに応じた確かな必然としてそこに存在しています。
そして、楽曲を通してジグソーパズルが組み上がって行くようなこのナチュラルな感覚は、”追求した結果がシンプルで率直な表現に帰結することがあっても自然なこと” と語る波多野氏の言葉をしっかりと裏付けているように思えます。TM Network の名作 “Carol” が緻密で精巧な建造物でありながら、同時に一切無駄の無い完璧にポップなレコードであったことを思い出すリスナーも多いでしょう。
同時に、「リスナーとしては若い頃から、かなり貪欲に聴いていた方だと思います。メタル、プログレッシヴロック、クラシック、エレクトロニックミュージック、ジャズ、民族音楽、ニューウェーブ・・・。」 と語るように、”Kodomo Rengou” は波多野氏とバンドの子供時代から連なる多様な感性を一つ一つ丁寧に育み、惜しげも無く “今” へと昇華したカラフルなポートレートでもあります。
“無限会社” や “泥棒” といった新機軸にも思えるダークでプログレッシブな楽曲から、マスロックのエナジーをポップの領域に組み込んだ “世界陸上”、近年意欲的に取り入れている鍵盤の響きにただ身を委ねるジャズワルツ “あのひとのいうことには”、ミニマリズムの極地 “デヴィルズ&モンキーズ” まで、綿密に練り上げられた多様な楽曲の数々は、すっかりその姿を異にする形式や構成にも関わらず、音に宿った “気概や純度” 、感覚の温度において奇跡の整合性を見せるのです。
勿論、歌詞の面でも波多野氏のクリエイティビティは冴え渡ります。”町A” や “デヴィルズ&モンキーズ” は象徴的ですが、一見無機質に思える単語の羅列やキャッチーな造語の使用が驚くほどの中毒性を創出し、結果として朧気に楽曲のイメージや意味合いをリスナーに印象づけるのですから、「結果的に他人の人生に踏み込んでしまうというくらいの作品を作る気概と覚悟を持ちたいとは思っています。」 という波多野氏の宮大工や鍛治職人の域にも達した拘りと情念の発言にも深く頷けますね。
とは言え勿論、メンバー各自の卓越した技巧そのものにも言及しない訳には行きません。波多野氏が “泥棒” でメセニーよろしくホーンのサウンドをギターで代弁すれば、”町A”で 福井氏はハイフレットや和音を駆使して極上のベースグルーヴを精製します。そして何より、偽装変拍子の海、ポリリズムのトリックの中をかき分け進み、バンドの推進力となる山口氏のドラム捌きは驚異的です。
そうして作品は、”かみさま” に収束して行きます。空間の魔術、静と動のコントラストを完全に支配したバンドは、Spitz をも脅かす甘く切ないメロディーを伴ってリスナーの心をイノセントに溶かすのです。
“これから起こることぜんぶ 息が止まるくらい美しい ひとはそれを 狂気というけど ねぇ、きみはほんとうに知ってた? ねぇ、きみはほんとうに知ってた? この完璧ではない世界で 人生って一度しかないこと”
狂気を狂気とも思わない純粋さでバンドは、ひとが人生で到達すべき本当の場所、見るべき景色を仄めかして見せました。少なくとも “このバンドのいうことには” もしくは奏でる音には信頼が置けると強く感じたインタビュー。ボーカル、ギタリスト、コンポーザー。波多野裕文です。どうぞ!!

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People In The Box “Kodomo Rengou” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SOUP : REMEDIES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERLEND AASTAD VIKEN OF SOUP !!

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Norway Based Tasteful “Musical Soup”, Soup Gives You Nostalgia And Great Soundscape With Their Newest Record “Remedies” !!

DISC REVIEW “REMEDIES”

メランコリックで詩情豊かなミュージックスープ。クロスオーバーの先を見据えるノルウェーのフォーサム SOUP が、ガラス細工のように繊細かつ美麗な壊れもの “Remedies” をリリースしました!ポストロックとプログ、そしてエレクトロニカの華麗なる融合は、斯くも鮮明に北の大地の優美で凛列なる風景を映し出します。
スカンジナビアの西端に息衝く創造性を体現する4人のシェフが2013年にリリースした “The Beauty Of Our Youth” は、ダイナミックかつメランコリックなポストロック、シューゲイズ、オルタナティブロックを起点にクラシカル、シネマティック、そしてエレクトロニカを股に掛けた味わい深いブレンドのスープとして結実し、舌の肥えた音楽ファンの五感を刺激した作品でした。それから4年。バンドは新たな具材と調味料を調達し、決定的な看板メニューを完成させたのです。
レシピの貴重なラストピースは70年代のノスタルジアを運ぶプログロックでした。そして、バンドのキャラクターであるコンテンポラリーなアトモスフィアと、郷愁を誘う有機的なプログロックの邂逅は究極の美へと昇華し、作品のタイトル “Remedies” を具現化する心の治療薬としてリスナーの元へと届けられることとなったのです。
インディーズの生々しいアコースティックサウンドで孤愁と共に幕を開けるオープナー “Going Somewhere” はアルバムへの招待状。ソリッドなドラムスを軸に、シンセサイザー、ストリングス、ギターエフェクトでデザインされた夢幻に揺らめくメロディーの洪水は、ポストロックのクレッシェンド、アトモスフィアと共に新たな “SOUP サウンド” のドアを押し開けて行くのです。
クライマックスは ‘The Boy and The Snow” で訪れます。実際、この11分間のエピックには進化の全てが注がれています。PORCUPINE TREE, KING CRIMSON, SNOW PATROL, MOGWAI。道を交えることのないプログ、インディー、ポストロックレジェンドたちの音像はここに溶け合い新たなケミストリーを創成します。
メロトロンやヴィンテージのギターサウンドは見事にモダンなアンビエンスと融合し、複雑に交差するリズムはポストロックの文脈へと浸透。さらに津波と化したハーモニーはインディーズのエモーションをも飲み込んで奇跡のサウンドスケープを実現し、胸を締め付ける追憶と共に現代へとリスナーの想い出を映し出しているのです。
アルバムのプロダクションを MOGWAI, FRANZ FERDINAND との仕事で知られる Paul Savage が手がけ、さらに Steven Wilson のビジュアルコラボレーター Lasse Hoile が作品のアートを担当したことはある意味象徴的にも思えます。
それにしてもこの楽曲のノスタルジックでドリーミーな世界に潜む、どこかヒリヒリとした緊張感、時に突き刺すような痛みは異常です。そしてその違和感の正体は、コンポーザー Erlend が幼年期に経験した通過儀礼だったのです。
「実は “The Boy and The Snow” は15歳で凍死してしまった子供の頃の友人へ捧げたトリビュートなんだよ。」 Erlend は躊躇いながらもそう語ってくれました。誰もが登る大人への階段には、必ず漆黒の闇や悲しみが宿ります。このエピソードを聞けば、唐突にも思えたチャーチオルガンの独奏、荘厳美の極み “Audion” が鎮魂の調べであることが伝わるでしょう。そして少年の魂が遂に召されたことも。
そうしてアルバムは現代に降臨した JETHRO TULL、”Sleepers” の躍動を経て “Nothing Like Home” で静かにその幕を閉じるのです。
今回弊誌では、ボーカルにしてキーボーディスト、サンプリングも担当する鬼才 Erlend Aastad Viken にインタビューを行うことが出来ました。勿論、メッセージのは彼らが敬愛する QUEEN の “Teo Torriatte” の一節。どうぞ!!

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SOUP “REMEDIES” : 10/10

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