タグ別アーカイブ: Prog Rock

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MARILLION : F.E.A.R.】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PETE TREWAVAS OF MARILLION!!

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One Of The Greatest Prog Legend From England, Marillion Has Just Released Their Best Album In Two Decades, “F.E.A.R.” !!

DISC REVIEW “F.E.A.R.”

イングランドを代表する Prog アクト、MARILLION が、ここ20年における彼らの最高傑作とも評される新作 “F.E.A.R.” をリリースしました!!
コンセプト、リリック、ミュージック、全てが異次元のクオリティーで深く冷厳に溶け合ったアルバムは、キャリア38年にしてバンドの新たなマイルストーンとなるでしょう。
Prog Rock がコマーシャリズム、POP の波に飲まれた80年代に、GENESIS 譲りのドラマ性とシンフォニーを携えて颯爽とシーンに登場した MARILLION は、ボーカル Fish のカリスマ性、シアトリカルなパフォーマンスとも相俟って Neo-Prog と呼ばれる新たなムーブメントの主役となって行きます。とは言え、彼らの音楽は決して70年代の回顧のみに収まるものではありませんでした。
New Wave, Heavy Metal の風を受けて、巧みにトレンドを反映し、実験性を孕んだそのサウンドは、今となってはやはり Pomp Rock と呼ぶ方が相応しいようにも思えます。初期の作品群からは、U2 や POLICE といった正統派ブリットロックから、IRON MAIDEN のハードなエッジまでを血肉として、Prog Rock を一つ先のステージに進めようと試みていたことが伝わりますね。
ボーカルが Fish から Steve Hogarth にチェンジし、1994年に制作したコンセプトアルバム “Brave” は Pomp Rock バンドとしての MARILLION が結実した瞬間でした。
インタビューにもある通り、Prog Rock 特有のファンタジー性と距離を置き、ダークかつリアリズムに拘ったテーマで勝負した作品は、ダイナミックで強く空間を意識し、アンビエントさえ取り入れながら、際立った音楽的表現力、センスと共に、音楽史に新たな章を書き加えたのです。
そしてその試みは勿論、現在 Modern Prog, Post-Prog シーンの Guru として尊敬を集める Steven Wilson と、彼が率いて来た PORCUPINE TREE とも強く共鳴していたことは明らかでしょう。
それから22年の月日を経て、リスナーの元に届けられた彼らの新しいマスターピースは、”F.E.A.R.” と名付けられました。”F*** Everyone And Run” を略して “F.E.A.R”。この実にセンセーショナルなタイトルは、やはり現実的で、社会問題に目を向けた、現在の MARILLION らしい極めてリアルなコンセプトを表現しているのです。具体的には銀行や政治の汚職、Brexit、欧州議会の腐敗、世界的資本主義の崩壊など、まさに英国が抱える現代社会のダークサイドを投影した濃密な68分に仕上がっています。
アルバムオープナー、”El Dorado” は悲観的な未来を予測した楽曲。PINK FLOYD の “The Division Bell” を想起させる大曲は、インタビューで Pete が “ヨーロッパ周辺には、大きな変化が起こりつつあり、それを通して誰かが僕たちをコントロールする計画を立てているような予感、予兆が存在するんだよ” と語った通り、MARILLION が抱く未来に対する “Fear” の前兆を表現しているようにも感じます。前作のオープナーで、奇しくも同じ17分の大曲 “Gaza” と対となる存在と言えるかも知れませんね。
同時に “El Dorado” は Mike Kelly のエレクトリックピアノからオルガンまで自在に操る見事なキーボードサウンドと、まさにトップフォームな Steve Rothery の物語を紡ぐギターソロがアルバムを通して重要な鍵となることも伝えています。
そしてやはり、特筆すべきは H こと Steve Hogarth のキャラクターになりきった壮絶な歌唱でしょう。作品を象徴するテーマである、持つ者と持たざる者、世界的資本主義の拡大による”エリート”の出現と彼らの保身についての組曲 “The New Kings” において、H は全身の感情を振り絞り、アルバムタイトルともなった “F*** Everyone And Run” と歌い紡ぎます。その瞬間、センセーショナルでともすればチープにさえ思えたその一節は、悲しみの感情を掻き立て、世界の状況を真摯に考えるきっかけを与える魔法の言葉へと変化するのです。RADIOHEAD を想起させるコンテンポラリーなセンチメンタリズムを見事にコンセプトと融合させ、MARILLION が現代にプロテストソングを蘇らせたと捉えることも可能でしょう。
THE BEATLES から脈々と繋がる UK の血を受け継ぎながら、
真の意味での Progressive を体現したアルバム “F.E.A.R.” 。今回弊誌では、1982年からバンドを支え続ける、フレキシブルなベーシスト Pete Trewavas にインタビューを行うことが出来ました。ヨーロッパで絶大な支持を得ている MARILLION ですが、メッセージにもある通り、今度こそは日本のファンにもアピールすると信じます。どうぞ!!

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MARILLION “F.E.A.R.” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SUBROSA : FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH REBECCA VERNON OF SUBROSA !!

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Minnesota Based Dramatic-Doom Quartet, SubRosa Has Just Released Beautiful, Magnificent Masterpiece “For This We Fought the Battle of Ages”!!

DISC REVIEW “FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES”

ソルトレイクシティの Dramatic-Doom マスター、SubRosa が自身の最高到達点 “For This We Fought the Battle of Ages” をリリースしました!!一世紀も前に書かれた SF ディストピア小説にインスピレーションを得て制作されたアルバムは、バンドのアイデンティティーである Dramatic-Doom のスケールを一層高めた、様々な音楽ファンに愛されるマイルストーンとなるでしょう。
SubRosa は Doom Metal バンドには珍しく、女性ボーカル Rebecca Vernon のミスティックな歌唱を中心に据えています。加えて、Sarah Pendleton と Kim Pack のダブルヴァイオリンとアディショナルボーカルが唯一無二の美麗な Doom を創出しているのです。
ALCEST や DEAFHEAVEN を見れば分かる通り、近年、メタルに “Beauty”, “Atmosphere” を持ち込む、才気溢れるバンドが注目を集め、シーンの限界を押し広げていますが、SubRosa のユニークなラインナップが生み出す手法、冒険、マジックは中でも際立っていると言えるでしょう。
インタビューにもある通り、”For This We Fought the Battle of Ages” はロシアの反体制活動家 Yevgeny Zamayatin の著書 “We” に触発された作品です。当時のソヴィエト初期社会主義時代の、閉塞された状況を描き揶揄したディストピア小説は、しかし、政府による管理、監視、支配という、実は現代社会が抱える問題に読み解くことも可能です。SubRosa はその命題を、人生、死、自由、愛といったテーマを与えた楽曲を通して、エピカルに、ドラマティックに、そしてドゥーミーに描いているのです。
アルバムオープナー、15分半のエピック、”Despair Is a Siren” は深化したバンドを象徴するような1曲です。Doom という特性上、勿論、長くなりがちな楽曲ですが、しっかりとストーリーやシーンを描写する彼女たちにとって、この長さは意図してデザインされた SubRosa’s Way。
静寂が支配するイントロとラウドで実験的なパートの対比が生むボリューム、テンポのダイナミクス、見事にレイヤーされたトリプルボーカルの魔術、そしてデュエットの如くメロディーとカウンターメロディーを行き来する、複雑で美麗なボーカルとヴァイオリン。バンドのトレードマークとも言える要素が、寄せてはは引く波のように揺らぎつつ、リスナーへと届きます。同時に、六拍子とリズムにフォーカスしたディストーションギターが交わり流れ出すカオスの潮流は、SubRosa が NEUROSIS 以来脈々と繋がる Experimental Metal の落胤であることを主張していますね。
アルバムの中心に据えられた “Black Majesty” も同様に15分を超える大曲。東洋的とも感じられるエスニックでエモーショナルなヴァイオリンが先導する、プログレッシブで極上の展開美を誇るこのエピックにおいて、Rebecca は “Isn’t it beautiful?” とリスナーに問いかけます。その1節、歌声からは “Doom Metal だけど美しいでしょ?” という自負心、アイデンティティーが強烈に伝わりますね。
後半の BLACK SABBATH meets GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR とでも形容したくなるパートでは、リズム隊を中心に、群を抜いたバンドアンサンブルを聴かせることも記して置くべきでしょう。
また、”Il Cappio” では Rebecca の多彩な一面を覗かせます。バンジョーと共に紡がれるリリックは何とイタリア語。囁くようにスイートなトーンで歌う新しいアプローチにより、陰影を帯びた切なくもフォーキッシュな楽曲は、続く “Killing Rapture” の完璧なプレリュードとして機能していると共に、作品の素晴らしいアクセントとして色を添えています。
ドラマティックでプログレッシブ。”美”にとことんまで拘り、”戦い”抜いた野心的な “For This We Fought the Battle of Ages” は、まさにモダンメタル、Experimental Metal, Post-Doom / Sludge の最新型、金字塔として、凛然と輝く名作に仕上がりました。今回弊誌では、バンドの創立メンバーで、ボーカル/ギター、無数の声を使い分ける才女 Rebecca Vernon にインタビューを行うことが出来ました。日本初取材です!どうぞ!!

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SUBROSA “FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KANSAS : THE PRELUDE IMPLICIT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PHIL EHART OF KANSAS !!

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Legend Is Back!! The Throne Of US Prog Rock, Kansas Has Just Released Their New Masterpiece “The Prelude Implicit” For The First Time In 16 Years !!

DISC REVIEW “THE PRELUDE IMPLICIT”

US Progressive Hard の始祖にして、アメリカにプログロックを根付かせた英傑 KANSAS が何と2000年以来16年振りの新作 “The Prelude Implicit” をリリースしました!!
オリジナルメンバー、シンガー、メインソングライター、つまりはバンドの顔であった Steve Walsh の脱退と、3人の新メンバー加入を経てリリースされた作品は、新たな生命を得たかのような瑞々しさと自信に満ちています。
新しいフロントマン/キーボーディスト、Ronnie Platt の歌唱は、間違いなく作品に強い生命力を与えています。映画 “Rock Star” のように、全く無名だった Lombard のカバーバンドのシンガーは、突如、自身も敬愛するプログレジェンド KANSAS のフロントマンに抜擢されました。そして、JOURNY の Arnel Pineda のように、そのチャンスを見事ものにしたのです。
「僕のゴールは Steve の代わりになることじゃないよ。それは誰にも不可能だからね。だけど、KANSAS の品位を保っていく責任はあるんだよ。」と語る彼のパフォーマンスは、Steve へのリスペクトを提示しながらも、若さと推進力を伴い実に魅力的。
特に、”The Unsung Heroes” での歌唱は傑出しています。インタビューでも語ってくれたように、国のために死んで行った戦士たちへの鎮魂歌は、普遍的なアメリカンシャッフルを、中間部のギター/ヴァイオリンのアンサンブルが素晴らしいとは言え、ほぼ歌唱のみで名曲の域まで高めているという点において、JOURNY の “Lovin’, Touchin’, Squeezin'” と通じるものを感じます。発する極上のエモーションと、凄まじいレンジのハイノートは Walsh の代役以上の個性を間違いなく発揮していますね。
新ギタリスト Zak Rizvi の貢献にも触れておくべきでしょう。共同プロデューサー、共同ライターとしてもクレジットされた彼の才能は、今回インタビューを受けていただいた Phil と2人きりとなったオリジナルメンバーで、長年バンドを支えてきた隻眼のギタリスト Rich Williams をも充分に刺激したようで、”The Prelude Implicit” では、”Masque”, “Leftoverture” 期のようなスリリングなリフを存分に味わうことが出来ますね。
“Visibility Zero” にはまさにその成果が結実しており、こちらも新メンバー、David Manion がもたらすプロギーなハモンドサウンドとギター、そして勿論 KANSAS を象徴する楽器、ヴァイオリンのトリプルデュエルが無上のスリルを生み、70年代中期の KANSAS をイメージさせつつ、よりヘヴィーな現在のサウンドを提示しています。
さらに、プログレッシブという観点から見れば、8分の大曲 “The Voyage of Eight Eighteen” は KANSAS のプログサイドを象徴する楽曲です。多数のマルチプレイヤーが存在することで可能になる濃厚かつ重厚なサウンド、プログロックらしい変拍子やキメの美学、そしてかつてのユーロプログに対するUSからの憧れが、ヴァイオリンを使用したフォーキッシュなメロディーとして表層化した結果、あの “The Pinnacle” を超えるような新たな名曲として仕上がりました。現役プログロックバンドとしての矜持を見事に示したと言えますね。
勿論、KANSAS と言えば、”Carry On Wayward Son” や “Dust In the Wind” のような POP センスも重要な1面ですが、今作はボーカルメロディーがアルバムを通してカラフルかつ非常に充実しており、コンパクトな “Summer” はキャッチー極まりないメロディックハードソングですし、”Crowded Isolation” の哀愁も深く胸に染みます。
傑作 “Leftoverture” 40周年に、堂々たる王者の帰還です。Anderson / Stolt の “Invention of Knowledge” と双璧を成す、今年の Masterpiece of Prog Rock だと信じます。今回弊誌では、ダイナミックなドラミングで作品のエンジンとなった、オリジナルメンバー Phil Ehart にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

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KANSAS “THE PRELUDE IMPLICIT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NICK JOHNSTON : REMARKABLY HUMAN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NICK JOHNSTON !!

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Canadian Guitar Hero, Nick Johnston Has Just Released Minimal, Mystic, And Emotional Masterpiece “Remarkably Human” !!

DISC REVIEW “REMARKABLY HUMAN”

カナダを代表するインストゥルメンタルギタリスト、Nick Johnston が”傑出した”新作 “Remarkably Human” をリリースしました!!ギターを見事に歌わせたメロディーとエモーション、そして高度なインテリジェンスを兼ね備えたこの作品は、彼のマイルストーンとして更なる飛躍のきっかけとなることでしょう。
Paul Gilbert, Plini, Tosin Abasi, PERIPHERY, THE ARISTOCRATS, POLYPHIA, など新旧問わず才能豊かなアーティストとコラボレートしてきたことからも、この Schecter のストラトシェイプを獲物とした29歳のアックスマンが、”傑出している”ことは明らかでしょう。
そして、彼がこれほどまでにミュージシャンから注目を集めているのは、その”マイナスの美学”によるところが大きいのではないでしょうか。
モダンギターシーンは足し算の世界です。音を足し、ギターの弦を足し、リズムを複雑化し、フラッシーなプレイを追求するプレイヤーが多いと感じます。勿論、それらは非常に魅力的で、重要な冒険ですが、同時に Nick を際立たせることにも繋がりました。
“Remarkably Human” は、THE ARISTOCRATS の Bryan Beller, KING CRIMSON の Gavin Harrison, Plini の Luke Martin を起用して制作されました。前作、”Atomic Mind” ではドラマーも THE ARISTOCRATS の手数王 Marco Minnemann が参加していましたが、PORCUPINE TREE でも活躍してきた Gavin を選んだことからも Nick の向かう先が伝わるように思います。
“Ignore Alien Orders” はインストゥルメンタルギタリストのアルバムオープナーとは思えないような楽曲です。作品で最初に飛び込んでくる音もギターではなくピアノなのですから。しかし、Luke のダークでダイナミックなピアノが Nick の繊細なトーンを導くと、Gavin の巧みなシンバルワーク、Bryan のフレキシブルなベースラインが見事に調和し、”Remarkably Human” で目指すところが顕になります。極限まで楽曲にフォーカスした4人のオーケストラ。フラッシーでもプログレッシブでもありませんが、ここには極上の音楽が存在します。
コンポーザーとして、非常にミニマルな境地へとたどり着いた Nick ですが、インタビューで語ってくれた通り、ほとんどがピアノで作られたという楽曲群は、Plini でもお馴染み Luke Martin の神秘的なサウンドスケープが一つの鍵となっています。”Weakend by Winter” はまさに2人の才能が完璧に噛み合った作品のハイライトですし、昨今のインストゥルメンタル音楽で最も美しい瞬間かも知れません。
コンポーザーとしての Nick にばかり注目して来ましたが、勿論プレイヤーとしても驚異的で、テーマ部分で、Larry Carlton を思わせる巧みな音の選択と、David Gilmour のような強烈なエモーションを提示すると、Guthrie Govan や Steve Lukather を想起させるスリリングでクロマティックなリックの数々により、楽曲は無限に拡がりを見せていきます。ストラトの長所である、オーガニックなアーティキュレーションの使用が白眉で、フレーズの一つ一つが感情を持っているかのようにすら感じますね。
今回弊誌では、マイナスの美学により見事な作品を作り上げた Nick Johnston にインタビューを行うことが出来ました。YOUNG GUITAR 誌でもコラムを持っていた彼は非常に強く来日を望んでいます。2度目の登場となりますね。どうぞ!!

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NICK JOHNSTON “REMARKABLY HUMAN” : 10/10

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EXCLUSIVE INTERVIEW 【TONY LEVIN : KING CRIMSON, STICK MEN, LEVIN MINNEMANN RUDESS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TONY LEVIN OF KING CRIMSOM, STICK MEN AND LEVIN MINNEMANN RUDESS !!

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Legendary Bass Player, Tony Levin Talks About King Crimson, Stick Men, Levin Minnemann Rudess And More !!

“A GUIDE TO TONY LEVIN”

世界一多忙なベーシストとも評される Tony Levin。その評価を裏付けるかのように、この半年間だけで、3枚の参加作品をリリースして行きます。5弦ベース、アップライトベース、チャップマンスティックなど、時と場合に応じて楽器と奏法を巧みに使い分ける器用さ、加えて、ファンクフィンガー奏法に代表される独創性をも兼ね備えている点が多忙の理由ではないでしょうか。
勿論、Tony が最も知られているのは KING CRIMSON のメンバーとしてでしょう。1981年からTony が断続的に支え続けてきた、そのプログロックの伝説が最新作、”Radical Action To Unseat The Hold Of Monkey Mind” をリリースしました。
昨年行われた日本ツアーから高松公演の映像 Blu-Ray と、ライブ音源ながらそれぞれがテーマを持ち、オーディエンス音をカットした”ヴァーチャルスタジオアルバム”が3枚。3CD+Blu-Ray という圧倒的なフォーマットのボックスセットはまさに”KING CRIMSON Re-imagined” と言えるでしょう。
過去の名曲の数々が、トリプルドラムスという、時に圧倒的な音の壁を築き上げ、時に3者が全く別のリズムを刻む、現在の編成、ラインナップで再現される様はまさに圧巻です。同時に、新曲をしっかりと披露し、現在進行形の KING CRIMSON を提示、スタジオアルバムとしての役割をも果たす重要な作品に仕上がっています。
Levin Minnemann Rudess は3人のプログヴァーチュオーソが集結したスペシャルなプロジェクト。KING CRIMSON, THE ARISTOCRATS, DREAM THEATER。三者三様の偉大なプログアクトのメンバーから成るメガトリオが最新作 “From The Law Offices Of Levin Minnemann Rudess” をリリースしています。
意外にも、テクニック、実験性一辺倒ではなく、多彩でキャッチー、バラエティーに富んだデビュー作からさらに楽曲、アイデアを練り込む時間が得られたという新作は、3人の個性が見事に融合し、全ての Jazz/Prog ファンにアピールする “Prog Heaven” とでも評したくなるほど充実した内容です。
Marco Minnemann は、強烈なリズムアプローチとクリエイティブなアクセントで作品の要となると同時に、ギタープレイでもアルバムに貢献していますし、Jordan Rudess は当然ながらマジカルで、今回は特に80年代を意識したようなカラフルなプレイが白眉。そして、Tony はチャップマン・スティック・マスターとしての矜持、加えてファンクやパーカッシブな要素をアルバムにもたらし、作品を巧みに彩ります。勿論、シリアスでありながら、どこかユーモアやエンターテインメント性を感じさせる点も、このトリオならではだと感じます。5/4の魔術、アルバムオープナー”Back to the Machine” 、LIQUID TENSION EXPERIMENT を想起させる “Ready Set Sue”、ゲームミュージックへの親和性を感じさせる “What is the Meaning?” など本当に聴き所が満載なアルバムですね。
さらに10月には STICK MEN の新作 “Prog Noir” のリリースも控えています。STICK MEN は KING CRIMSON のリズムを支える Tony, Pat Mastelotto が気鋭のギタリスト/コンポーザー Markus Reuter と組んだ野心的でアーティスティックなグループです。
バンド名にも冠するように、Tony はベースとギターの特性を併せ持つチャップマン・スティックを使用、Markus も同様にギターとベースの音域をカバーする8弦のタッチギターを操り、弦楽器による縦横無尽な演奏を可能にしています。さらに、Pat のアコースティック、エレクトロニック、ループ、サンプルを巧みに使い分けるドラムアプローチにより、グループとしてモダンで先鋭的なプログロックを表現していますね。
新作 “Prog Noir” はボーカル曲の割合が増え、同時にダークでユニークな完成度の高いアルバムに仕上がっています。インタビューで語ってくれたように、来年2月の来日公演も決定しているそう。アルバムと併せて楽しみにしていてくださいね。
今回弊誌では Tony Levin にその KING CRIMSON, Levin Minnemann Rudess, STICK MEN について詳しく語っていただくことが出来ました。レジェンドの登場です。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HIATUS KAIYOTE : CHOOSE YOUR WEAPON】SUMMER SONIC 2016 Special !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NAI PALM OF HIATUS KAIYOTE !!

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Australia Based Super Eclectic Future Soul Outfit, Hiatus Kaiyote Set To Come Back To Japan in August! Don’t Miss Their Splendid Performance At Summer Sonic 2016 !!

DISC REVIEW “CHOOSE YOUR WEAPON”

オーストラリアを代表するアーティストへと躍進を遂げ、Summer Sonic 2016 への出演も決定している “Multi-Dimensional, Polyrhythmic Gangster Shit” こと HIATUS KAIYOTE。2度のグラミー賞へのノミネート、Q-Tip とのコラボレート、Robert Glasper の作品への参加、Chance the Rapper によるサンプルの使用など、何かと話題の多い彼らですが、注目を集めるのも当然。それは、”Neo Soul”, “Future Soul” と評されている事実からも分かるように、非常にエクレクティックで、スリリングで、斬新で、未来への扉を開ける音楽を創出しているからでしょう。
3年というインターバルを要した彼らの最新作 “Choose Your Weapon” は、さらにサウンドの領域を広げバリエーションに富んだ、完成度の高い傑作に仕上がりました。70分18曲に及ぶ大作は、Modern Jazz, 70’s Funk, Samba, Hip Hop, House, African Soul, Fusion, Prog Rock など実に多彩な要素を取り込みつつ、華やかなエレクトロニカサウンドで装飾された、カラフルで万華鏡のような作品です。デビュー作 “Tawk Tomahawk” が随所にその才能のキラメキを感じさせながらも、10曲30分といういかにも食い足りないランニングタイムであったことを考えれば、本格的に勝負に出たレコードとも言えるでしょう。
“Shaolin Monk Mothefunk” は “Choose Your Weapon” への招待状。ボーカル/ギター Nai Palm の Stevie Wonder, Amy Winehouse を想起させるソウルフルな歌唱、しなやかに配置されたメロディーとカウンターハーモニー、断続的に行われるキーチェンジは実に見事で、アルバムを通してバンドの推進力となっていますね。ウォーキングベースと4ビートでスウィングするヴィンテージジャズサウンドから一転、楽曲は目まぐるしくもアフロ・ポップのグルーヴを刻み始めます。シンセサイザー&フレットレスベースの高速アルペジオと Nai の鬼気迫る歌唱が一体となり、畳み掛ける終盤は圧巻の一言。リスナーはこの時点で、アルバムがいかにアイデアに溢れた作品であるか理解することでしょう。
楽器隊の群を抜いたパフォーマンスも勿論聴き所の1つです。特にシンセサイザーを操る Simon Marvin の音色の豊かさ、テクニックは白眉。宮崎アニメ、”天空の城ラピュタ”にインスパイアされたという “Laputa” ではシンセサイザーがパステルカラーの波を生み出し、”Jekyll” ではピアノでバンド全員のエキゾチックなルーツと並外れたテクニックを引き出します。”Breathing Underwater” での、サンバ・エレクトロニカなどと称したくなる試みも画期的ですね。
特筆すべきは、”Atari” で Dubstep 的ビートとチップチューンを大胆に使用し、キャッチーで未来色の音楽を提示しています。このレコードで何度も聴ける、Perrin Moss の異なる拍子を刻む多次元的なドラミングと Paul Bender の印象的なリフを刻むリードベースが、楽曲にロックらしいダイナミズムをもたらしていますね。同時に、彼らのプログ的側面も開花しており、YES のような”キメ”を使用し、70’s Rock のムードを盛り込んでいることは非常に興味深い対比ですね。
加えて、LAジャズシーンとの接近もアルバムの重要な要素です。”Jazz the New Chapter” シリーズで紹介されたように、HIATUS KAIYOTE は間違いなく、新たに拡散する Jazz サウンドの先端にも立っています。”Creations Pt.1″ には明らかに FLYING LOTUS からの影響が感じられますし、Nai が16.7歳の時に書いたという “Fingerprints” のサウンドは Robert Glasper の手法と通じます。
トレンドを意識しつつ、独自の音楽を開拓する HIATUS KAIYOTE。今回弊誌ではバンドの顔とも言える Nai Palm にインタビューを行うことが出来ました。5月の来日から3ヶ月での帰還となります。どうぞ!

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HIATUS KAIYOTE “CHOOSE YOUR WEAPON” 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KAYO DOT : PLASTIC HOUSE ON BASE OF SKY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOBY DRIVER OF KAYO DOT !!

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US Avant-Garde / Experimental Icon, KAYO DOT Has Just Released Neo-Futuristic landscape Record “Plastic House On Base Of Sky” !!

DISC REVIEW “PLASTIC HOUSE ON BASE OF SKY”

Realising Media による招聘で、先日初の日本ツアーを行った、US Avant-Garde / Experimental の旗手 KAYO DOT が新たな傑作 “Plastic House on Base of Sky” をリリースしました!!
バンドの頭脳、Toby Driver の溢れる才能故に、2度と同じ方向性のアルバムを作らないなどと称される KAYO DOT。 “Plastic House on Base of Sky” はしかしながら、前作 “Coffins on Io” の New Wave / Art Pop サウンドをある程度引き継ぎながら、様々な点でより深化を遂げた高いレベルの作品に仕上がりました。
アルバムオープナー、”Amalia’s Theme” は作品を象徴するような楽曲です。冒頭のレトロウェーヴなシンセサイザーサウンドは確かに80年代の New Wave を想起させます。David Bowie の世界観を感じる場面もあるでしょう。とは言え、複雑なリズムを伴って未来を奏でるそのコンポジションは、例えば DEPECHE MODE などと比較するよりも、現代のより先進的な ULVER のようなアーティストと比べる方がしっくり来るように思えます。
インタビューで Toby は、アルバムが日本が誇るテクノポップの巨匠、平沢進さんの強い影響下にあることを公言していますが、同様に日本出身のアーティスト 上田風子さんが手掛けた独創的なアートワークとも相俟って、ネオフューチャーなサイバーパンクワールドを確立しています。
ビートさえ消滅するような実験的混沌 “All The Pain In All The Wide World” を経てアルバムのクライマックスは “Magnetism” で訪れます。型破りで JAZZ の如くスウィングする変拍子の上を、キーボードサウンドとシンセパターンが幾重にもレイヤーされ近未来感を演出します。憂いを帯びた Toby のメロディーライン、歌唱は実に見事で、これはアルバムを通して言えますが、彼の少しひねくれたポップセンスが炸裂しているようにも思えますね。
ドリーミーでシルクのようにレイヤードされたキーボードサウンドは、勿論、アルバムの根幹を成していますが、それはアルバムに Toby 以外にも2人のキーボードプレイヤーが参加していることを考慮しても、現在彼の興味の中心であることは明らかでしょう。Toby はキーボード、ギター以外にもクラリネット、チェロ、ダブルベース など様々な楽器をこなします。そこに、Daniel Means, ギターもプレイする Ron Varod, という2人のキーボードプレイヤー と異次元のドラマー Keith Abrams が加わることで、KAYO DOT は少人数でシンフォニーを奏でる類稀な集団へと変貌しているのです。
勿論、”Hubardo” で見せたような傑出した Doom / Metal 要素と、彼のオリジナリティーの融合を懐かしむファンも多いでしょう。しかし、インタビューで “僕は本当に、メタルシーンだけに限定されたくないんだよ” と断言したように、彼の才能は1つのジャンルに留まることを許しません。そして今回の冒険も、行先は違えど素晴らしい旅となっているように感じましたよ。
今回弊誌では Toby にインタビューを行うことが出来ました。有難いことにこれで3度目の登場です。どうぞ!!

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KAYO DOT “PLASTIC HOUSE ON BASE OF SKY” : 9.5/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ANDERSON / STOLT : INVENTION OF KNOWLEDGE】 JON ANDERSON SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JON ANDERSON OF ANDERSON / STOLT !!

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Legendary ex-YES Vocalist, Jon Anderson Talks About His New Project With Roine Stolt, Anderson Rabin and Wakeman, And His Thought About YES!!

DISC REVIEW “INVENTION OF KNOWLEDGE”

プログロックのドリームチーム、Anderson / Stolt が傑出したデビューアルバム “Invention of Knowledge” をリリースしました!!
長年 YES の”声”としてバンドを牽引した伝説的ボーカリスト Jon Anderson が、THE FLOWER KINGS, TRANSATLANTIC という2つの優れたプログロックバンドで才能を発揮する ギタリスト Roine Stolt とタッグを組んだ作品は、実に深く、カラフルで、メッセージ性に富んでおり、確実に1+1=2以上の化学反応が存在していますね。
2人を支えるバンドメンバーも YES や RENAISSANCE に関わってきた Tom Brislin (piano, organ, synthesizers), KARMAKANIC の Lalle Larsson (piano, synthesizer), 世界有数のベーシストで THE FLOWER KINGS では Roine の同僚でもある Jonas Reingold (bass), 同じく TFK の Felix Lehrmann (drums) という錚々たる顔ぶれ。
さらにアルバムには PAIN OF SALVATION の Daniel Gildenlöw や、Roine の別プロジェクト AGENTS OF MERCY から Nad Sylvan という豪華なゲストも参加しています。
アルバムは、インタビューで Jon が語ってくれたように、プログロックの過去と未来を繋ぐような作品に仕上がりました。具体的には、YES や GENESIS が紡いだシンフォニックなプログロック第一世代の優美さと、 北欧から端を発したプログ第3の波、THE FLOWER KINGS や ANEKDOTEN といったバンドによるスカンジナビアンプログロックの瑞々しさを華麗に融合させていると言えますね。勿論、 “Knowing”, “Everybody Heals”, “Invention of Knowledge”, “Know” という3つの組曲と1つの大曲の4部構成には、YES の大作 “Tales From Topographic Oceans” を想起するファンも多いでしょう。
アルバムオープナー、”Invention” はまさに”失われた”70年代 YES サウンドをイノベートする強いステイトメント。どこか牧歌的で Jon 特有のメロディーラインが登場すると、リスナーは彼こそが YES の声であることを再確認します。実際、アルバムを通して、ファルセットに近いボーイッシュな Jon の声は瑞々しく、微塵も衰えを感じさせません。特に、”Chase And Harmony” でピアノをバックに朗々と歌い上げる場面などは、心を揺さぶられずにはいられませんね。
同時に、Roine の素晴らしくメロディーとエモーションが調和したリードプレイ、プロデュース、彼のセンスや存在感は Anderson / Stolt がただ過去の焼き直しに終わらないことを強く主張しています。
それを象徴するのが、モダンなコンポジションを取り入れた “Everybody Heals” でしょう。THE FLOWER KINGS の方法論に近いこの楽曲は、現代的なストリングスや Jazz / Fusion のアプローチで飾られ磨き上げられており、リスナーに新鮮な感覚を植え付けます。
実際、アルバムのオーケストレーションは見事で、オリエンタルに終る “Invention” のカウンターパートとも言える “Knowledge” では LED ZEPPELIN の “Kashmir” を現代の技術で再現したかのような、壮大でエスニックなサウンドを提示しています。アルバムを締めくくる大曲 “Know…” における異国情緒溢れるギターソロも白眉。Roine が語っているように、「モダンでクラシカル、ロックでエスニック、トライバルでオーケストレートされ、グルーヴィーで浮遊感を持つ」という考え方を体現しているようにも思えますね。
さらに “Invention of Knowledge” は Jon Anderson というカリスマの哲学を色濃く反映した作品でもあります。彼の常に前向きで、楽観的で、自然を愛するピースフルなマインドスケープは、そのままアルバムのサウンドスケープとして表現され、多幸感溢れるスピリチュアルな作品に昇華しているのです。
今回弊誌では、その Jon Anderson 氏にインタビューを行うことが出来ました。ノスタルジーとコンテンポラリーが見事にミックスされた傑作。話題の Anderson, Rabin and Wakeman についても聞くことが出来ました。どうぞ!!

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ANDERSON / STOLT “INVENTION OF KNOWLEDGE” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KNIFEWORLD : BOTTLED OUT OF EDEN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KAVUS TORABI OF KNIFEWORLD !!

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An Experimental Psyche Rock From London, Magical eight piece Knifeworld has just released Kaleidoscopic new record “Bottled Out Of Eden” !!

DISC REVIEW “BOTTLED OUT OF EDEN”

UKが誇る、エクスペリメンタルな 8人組 Psychedelic/Prog Rock バンド、KNIFEWORLD が新作 “Bottled Out Of Eden” をリリースしました!!
あの GONG で Daevid Allen の後任という重責を担う、才能豊かな Kavus Torabi が生み出すクリエイティブな世界観は実にユニークで個性的。”Progressive Ska” などとも形容される独特のホーンセクションがトレードマークです。
勿論、KING CRIMSON から ZAPPA まで、ホーンを使用したプログロックバンドは決して珍しくありませんが、CRIMSON のスタイリッシュと ZAPPA のシアトリカルを併用する彼らのオーケストレーションはやはり魅力的ですね。
“愛する人たちの死”(勿論、Daevid Allen も含む)にインスピレーションを受けて制作された50分のドラマは、喪失と悲しみ、同時に希望と美しさを反映した実にエモーショナルな内容に仕上がっています。その優れたアレンジメント、磨き上げられたサウンドは昨年大きなインパクトを残した TAME IMPALA の “Currents” を想起させる瞬間さえありますね。
実際、”Bottled Out Of Eden” の優れている点は、勿論、GONG, PINK FLOYD, MOODY BLUES, HENRY COW といったプログジャイアンツたちへの憧憬を表現しつつ、モダンなコンポジションや影響をしっかりと取り入れているところにあると感じました。”Art-Rock” を象徴するようなオープニングトラック”High/Aflame”, アルバムのハイライトとも言える “The Deathless” には Sufjan Stevens, APPLESEED CAST といったアートロック/インディーズ、そして THANK YOU SCIENTIST, THE MARS VOLTA といったモダンでプログレッシブなアーティストたちを想起させる瞬間があり、過去と未来のバランスが実に良い塩梅で配置されています。
前作よりもバンドを意識して制作したとインタビューで語ってくれましたが、よりオープンでキャッチーになった彼らの音楽はさらに多くのファンを獲得するでしょう。今回弊誌では Kavus Torabi にインタビューを行うことが出来ました。GONG についても話してくれています。どうぞ!!

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KNIFEWORLD “BOTTLED OUT OF EDEN” 8.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FROST* : FALLING SATELLITES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JEM GODFREY OF FROST*!!

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UK Based Modern Prog Titan, FROST* Set To Release Definitely Game-Changing Record “Falling Satellites” on 5/27!! “Progressive Pop” Movement Will Come !!

DISC REVIEW “FALLING SATELLITES”

モダンプログシーンのマイルストーンとなった重要作 “Milliontown” を生み出した、奇才 Jem Godfrey 率いる UK の4人組 FROST* が8年振りとなる待望の新作 “Falling Satellites” を5/27にリリースします!!
ボーカル/ギターに盟友 John Mitchell (Lonely Robot, It Bites), 新しいリズム隊として Craig Blundell (Steven Wilson), 
Nathan King (Level 42) という最強布陣を据えて制作された最新作が3枚目のスタジオアルバムとなる FROST*。興味深いことに、その3枚の作品は全て大きく異なる性質を持つのです。
勿論、3作とも、洗練されたサウンド、優れたメロディー、エレクトロニカとプログの融合という点では共通していますね。しかし、”Milliontown” がカラフルで爽快感溢れる作品であったのに対して、前作 “Experiments in Mass Apeal” は MUSE や RADIOHEAD をさえ想起させる実に内省的な作品でした。そして今作 “Falling Satellites” は間違いなく FROST* にとって最も “POP” なレコードと言えるでしょう。さらに、この作品で彼らはまたしても、モダンプログの領域を押し広げることになるかも知れませんね。
今回、FROST* がシーンに与える驚きは、モダンなエレクトロニカサウンドの大幅な導入です。具体的には ZEDD, SKRILLEX, さらには Justin Bieber の最新作さえ想起させる Dubstep / House を巧みにプログロックに組み込むことで、”Progressive Pop”, “Electronical Progressive Music” とでも形容出来そうな新しく衝撃的なサウンドを生み出しているのです。個人的には、Jem Godfrey の人気プロデューサーとしての1面が大きく反映されたレコードと言えるような気もしています。
“Towerblock” はまさに “Falling Satellites”, 新生 FROST* を象徴するような楽曲だと思います。中間部のスリリングなパートでは、Dubstep をシームレスにプログロックに取り入れていますね。ダンサブルな Jem のキーボードは本当に魅力的でリスナーの心まで踊らせます。同様の手法は、”Heartstrings” のイントロなどでも聴くことが出来ますし、さらに付け加えれば、モダンプログの旗手 HAKEN が新作の “The Endless Knot” という楽曲において似たようなアプローチをとっている事実は非常に興味深いと感じました(奇しくも両バンドとも 80’s prog を高く評価しています)。
また、Justin Bieber が “What Do You Mean” で Tropical House を取り入れ話題となったことは記憶に新しいですが、FROST* が “Closer To The Sun” において行ったアプローチは実はそれに近いのかも知れません。究極にPOPでダンサブル。同時に、ゲスト参加している Joe Satoriani のギターソロは知的かつメロディアスで、そこからの展開はまさにプログロックのそれです。見事な融合、何と巧みな作曲術でしょう!”Lights Out” も同様のフィーリングを持った楽曲ですが、こちらはよりアトモスフェリックで、女性ボーカル Tori Beaumont とのデュエットが白眉ですね。
さらに、”Closer To The Sun” を含むアルバム最後の6曲は “Sunlight” という32分の組曲にもなっているのですが、その中には “The Raging Against the Dying of the Light Blues in ⅞” のように、Jem がインタビューで言及している ANIMALS AS LEADERS を想起させるような Djenty なパートを持つ楽曲も組み込まれており、彼の音楽的な貪欲さには頭が下がる思いです。
とはいえ、決してトレンドばかりを追求しフィーチャーしている訳ではなく、”Numbers” で聴かれるイントロのシーケンスフレーズ(新楽器 “The Chapman Railbord” で奏でられている)などはまさに FROST* のトレードマークですし、Steve Vai 的なオーケストレーションも見事の一言。”Signs” も典型的な FROST* をイメージさせる佳曲ですね。
何より、アルバムを通して彼らが紡ぐメロディーの数々は、珠玉という言葉が相応しい心から魅力的なものばかり。”EPM(Electronic Progressive Music), “Progressive Pop”, 呼称はなんであれ、彼らが2016年にモダンプログシーンに投下するものの意味は非常に大きいと感じました。今回弊誌では、FROST* の頭脳、Jem Godfrey にインタビューを行うことが出来ました。意味のあるインタビューだと思います。どうぞ!!

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The full track-listing
1. First Day
2. Numbers
3. Towerblock
4. Signs
5. Lights Out
6. Heartstrings
7. Closer To The Sun
8. The Raging Against The Dying Of The Light Blues
9. Nice Day For It…
10. Hypoventilate
11. Last Day
12. Lantern (bonus track)
13. British Wintertime (bonus track)

FROST* “FALLING SATELLITES” : 10/10

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