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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THRESHOLD : LEGENDS OF THE SHIRES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RICHARD WEST OF THRESHOLD !!

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Sprawling 83 Minute Double Album, Perfect Epic “Legends of the Shires” Is An Excellent Introduction To Threshold’s World !!

DISC REVIEW “LEGENDS OF THE SHIRES”

結成は1988年。1993年にデビュー作をリリースした不朽のプログメタルアクト THRESHOLD が、”モンスターレコード”の名に相応しきダブルアルバム “Legends of the Shires” をリリースしました!! デビュー当初、”英国からの DREAM THEATER への回答” と謳われし希少なる生残の先駆者は、四半世紀の時を超え遂に至純なる “アンサー” を提示しています。
海外のプログメタルシーンでは、信頼出来るビッグネームとして揺るぎない地位を築いて来た THRESHOLD。一方で、残念ながら日本ではおそらく、 “スレショルド” “スレッショウルド” “スレッシュホウルド” 等、今一定まらない名前の読みづらさと、サーカスライクの派手なプレイに頼らない楽曲重視の音楽性に起因する無風、凪の状況が長く続いてきました。しかし、”Legends of the Shires” は間違いなく日本のファンにとって THRESHOLD への素晴らしき “Threshold” “入口” となるはずです。
楽器陣は2003年から不変である THRESHOLD の歴史は、天賦の才に恵まれた3人のシンガーが織り成す鮮やかな音楽絵巻だと言えます。今回リードシンガーを務める Glynn Morgan は、バンドのセカンドアルバム “Psychedelicatessen” 以来の復帰。三度目の脱退となった前任者 Damian Wilson の魅力でもある若干クセの強い歌声に比べると、2011年に残念ながら亡くなってしまった Andrew “Mac” McDermott の透明でハーモニーの映える声質に近いように感じますね。IRON MAIDEN の Bruce 後任オーディションで最終選考まで残った実力は本物です。
実際、Richard はインタビューで、”Legends of the Shires” が、”Mac” 時代の名作 “Subsurface” “Dead Reckoning” と似た雰囲気を持つことを認めています。そして、おそらくこの並外れたコロッサルなエピックは、精彩なるメロディーの崇高美、エレガントで壮観な審美的デザインの観点から前述の二枚をも凌駕しているのです。
バンドはリスナーのイマジネーションに配慮し、あまり作品の背景、詳細を明かそうとはしませんが、アルバムが同郷のトールキンの小説にインスパイアされていることは確かでしょう。”The Shire” とはトールキン作品の舞台である “中つ国” に存在するホビットの美しき居住地。そして Richard 語るところの 「変化からより強くなって戻ってくる」 というメッセージには、どうやら現在の英国の状況を隠喩し重ねている部分もあるようです。
アルバムは鐘の音、鳥の囀り、そしてアコースティックサウンドで悠久の大地を眼前に描く “The Shire (Part 1)” で緩やかに幕を開けます。続くダークで小気味よいリフワークが印象的な “Small Dark Lines” でアルバムのストーリーは躍動を始め、THRESHOLD の真骨頂とも言える鮮やかなメロディーでリスナーの心を溶かすのです。
事実、Glynn は、ハイトーンに重きを置く他のプログメタルアクトとは一線を画する、ミッドレンジ中心の爽やかでエモーションにフォーカスした歌唱を披露。頭に残るボーカルとコンパクトなリフワーク、ツインギターのハーモニーは、バンドがキャッチーでコマーシャルな楽曲を恐れない冒頭の強固な意思表示となっていますね。
とは言え、勿論プログレッシブな一面はバンドの象徴です。”The Man Who Saw Through Time”, “Lost In Translation” の10分を超える二つの叙事詩は、THRESHOLD がプログレッシブなスピリットと、豊潤なるサウンドスケープを内包する稀有な集団であることを雄弁に語っていますね。複雑でしかしナチュラルにレイヤーされた広大な音楽のパノラマは、Karl の見事なトーンコントロール、Richard のムーディーで流れるようなキーボード捌き、ドライブするシーン屈指のソリッドなリズム隊を携え、様々な場面を映す奇跡のオデッセイとしてリスナーに “The Shire” の景観や物語を運ぶのです。
アルバムのハイライトは、”Stars and Satellites” で訪れます。DREAM THEATER がハイテクニカルで、圧倒的なある種数学的視点によりプログメタルを捉えたのに対して、FROST*, VANDEN PLAS, そして THRESHOLD 等はプログレッシブロックの精神性やコンセプトによりフォーカスしているのかも知れませんね。
Richard が影響を受けたアルバムに、KING CRIMSON や YES ではなく PINK FLOYD, GENESIS を挙げているのは象徴的かも知れません。このスーパーキャッチーで、聴く度に心が踊るポップな宇宙は、逆に DREAM THEATER が決して到達し得ないプログレッシブポップ領域のはずです。
アルバムは英国からの回答をより鮮明に感じさせる、美しきピアノバラード “Swallowed” で静かに幕を閉じました。
今回弊誌では、1992年からバンドのキーボードプレイヤーを務める Richard West にインタビューを行うことが出来ました。間違いなく日本でこそ評価されるべきバンドです。どうぞ!!

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THRESHOLD “LEGENDS OF THE SHIRES” : 10/10

INTERVIEW WITH RICHARD WEST

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Q1: First of all, you parted ways with long time, three times singer, Damian Wilson. You stated you’ll “start a new chapter without him” and it seemed to be unexpected to Wilson, right? What made you so?

【RICHARD】: He didn’t want anyone to know the reasons so I’d rather not comment on them. There were some things that changed the atmosphere in the band and it was best to move on.

Q1: まず、長年ボーカルを務めてきた Damian Wilson がバンドを離れましたね?

【RICHARD】: 彼は誰にもバンドを離れた理由を知られたくないんだよ。だから僕からはコメントしない方が良いだろうね。
まあ、バンドの雰囲気を変えるような出来事がいくつかあって、彼の脱退がベストな選択となったのさ。

Q2: Considering the tragic loss of another former vocalist, Andrew ‘Mac’ MacDermott, who sadly passed away in 2011, Threshold have not had the greatest of fortune when it comes to retaining your vocalists. Anyway, after the decision, you are welcoming former singer Glynn Morgan back into the fold, for the first time since “Psychedelicatessen” in 1994. What’s the story behind that?

【RICHARD】: Glynn was our vocalist from 1994 to 1996, he actually did our first ever European tour with us. After he left the band he came back in 2008 to record some bonus tracks for our “Paradox” box set, and I also worked with him on League Of Lights and some other projects. So we’ve remained friends over the years and his voice has always sounded so good! So when we were looking for somebody to replace Damian, Glynn was our top choice – in fact, he was our only choice!

Q2: 後任には、1994年の “Psychedelicatessen” 以来バンドを離れていた Glynn Morgan が指名されました。

【RICHARD】: Glynn は1994年から1996年までバンドのシンガーだったんだ。実際、バンド初のヨーロッパツアーは彼と回ったからね。
バンドを離れた後も、2008年には “Paradox” ボックスセットのボーナストラックを何曲かレコーディングするために復帰したしね。僕自身は彼と、League of Lights や他のプロジェクトでも共演して来たんだ。
だから、長い年月を経ても僕たちは友人だったし、彼の声はいつだって素敵なんだよ!
それで僕たちが Damian の後任を探さなければならなくなった時に、Glynn はファーストチョイスだった訳さ。というか、彼以外に選択肢はなかったね!

Q3: So, let’s talk about your newest record “Legends of the Shires”. You state “Legends Of The Shires” is a concept album about a nation trying to find its place in the world. It could also be about a person trying to do much the same thing. Specifically, what kind of story exists in the album?

【RICHARD】: I don’t want to go into too much detail. I would prefer our fans to follow the story with no preconceptions. The story’s written very loosely so people can find their own meaning. However, it’s a story that takes you though the excitement of new beginnings, the frustrations of daily life, losing everything, the struggle of starting again and how you come back from that changed and stronger.

Q3: では、最新作 “Legends of the Shires” について話しましょう。まずは、この素晴らしきコンセプトアルバムのストーリーについて話していただけますか?

【RICHARD】: 詳細については、あまり話したくないんだよ。ファンには先入観なしでストーリーに接して欲しいと思うからね。
今回のストーリーは、みんなが自分なりの意味を見つけられるように、とてもルーズに書いたんだよ。
ただ言えるのは、このストーリーは新たな始まりの興奮、日常生活の不満、すべてを失うこと、再び始めることの苦労、そして君たちがそういった変化からどのようにより強くなって戻ってくるのかを伝える物語なんだ。

Q4: This is 83 minutes long journey, double album. Have you assumed this length from the beginning?

【RICHARD】: Once we started writing, the music just started flowing, we had a really creative period, so we soon knew this would be a long record. So it was a great opportunity to make a “progressive concept double album”.

Q4: バンドの新たな旅は、83分のダブルアルバムという壮大なエピックに仕上がりました。ライティングプロセスの始めから、この長さを予想していたのでしょうか?

【RICHARD】: 一度僕たちが作曲を始めると、ただ音楽は流れるように湧きいでて、本当にクリエイティブな期間を過ごすんだ。だから、作曲を始めてすぐに、これは長いレコードになると分かったよ。
“プログレッシブコンセプトダブルアルバム” を作る良い機会になったね。

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Q5: Definitely, “Legends of the Shires” is the most ambitious, emotive, record that THRESHOLD have made to date. Adding that, I’m really attracted by the beautiful melodies like “Stars and Satellites”. What’s your perspective about the evolution from “For the Journey”?

【RICHARD】: We were really proud of that record, but we knew it was maybe less complex than some of our older work. We seem to go in cycles between less complex and more complex records, so “For The Journey” was probably the trigger to pull out all the stops again.

Q5: “Legends of the Shires” は THRESHOLD がこれまでリリースした作品の中で間違いなく、最も野心的でエモーションに溢れたレコードです。メロディーも本当に美しいですね!
あなたから見て、前作 “For The Journey” から特に進化を遂げたと感じる部分はどの辺りですか?

【RICHARD】: 僕たちは本当にこのレコードを誇りに思っているんだよ。ただ、この作品が過去のアルバムに比べてあまり複雑ではない事も分かっているんだ。
僕たちはあまり複雑ではないレコードと、複雑なレコードを行ったり来たりしているようにも思えるね。だから言ってみれば “For The Journey” が全ての引き金となったのかも知れないね。

Q6: Anyway, prog scene has been moved on more technical, complex direction. For example, djent is one of the symbol of that. I think Threshold is different from the movement. I feel that you first cherish songs, melodies, and emotions. Do you agree that?

【RICHARD】: Yes, those are the things that move and inspire me the most. Technicality is great but I prefer it to be part of the song, not instead of the song.

Q6: 複雑性と言えば、プログシーンは近年、Djent のようにより複雑でハイテクニカルな方向へと進んで来ました。しかし、THRESHOLD は逆にメロディーやエモーションへと重点を置いているようですね?

【RICHARD】: うん、そういった要素こそが最も僕を感動させ、インスパイアするんだよ。勿論、テクニックは重要だけど、僕はそれを楽曲の一部に組み込むのが好きなんだ。テクニックを追求するよりもね。

Q7: I saw Dream Theater “I&W 25th anniversary tour” yesterday, in Japan. Actually, Threshold keeps the band as long as they are. There are not many prog metal bands that have been on since the early 1990s. And I feel you two are definitely legend of prog metal scene. So, do you feel kind of empathy with them?

【RICHARD】: Yes, we toured with Dream Theater back when Glynn was our vocalist the first time around. In our early days we were often called the British answer to Dream Theater. In reality I thin we’re very different bands, but I guess we are inspired by the same sort of things so I understand the comparison. They were awesome to tour with, Mike Portnoy was their drummer at the time and we had a young drummer called Jay Micciche. Mike really took Jay under his wing, let him sit behind him on stage every night. I’d love to tour with them again some day.

Q7: 先日、DREAM THEATER の “Images and Words” 25周年アニバーサリーツアーを見たのですが、実際圧倒されました。THRESHOLD は彼らと同じくらい長いキャリアを誇りますね。DREAM THEATER に共感を覚える部分はありますか?

【RICHARD】: そうだね。僕たちは、Glynn が最初にバンドのシンガーだった頃、彼らと初めてツアーしたんだよ。実際、初期には “英国からの DREAM THEATER への回答” などと呼ばれたりもしたからね。
現実には、僕たちは全然違うタイプのバンドだと思うよ。ただ、僕たちがある面でインスパイアされているのは確かだろうから、その比較は理解出来るんだ。
彼らとツアーを回るのは最高だったな。当時 DREAM THEATER のドラマーは Mike Portnoy だったんだけど、彼は僕たちの若いドラマー Jay Micciche の面倒を本当に良く見てくれていたんだ。毎晩、ステージで彼をセットの後ろに座らせていたよ。またいつか、彼らとツアーが出来たらいいね。

Q8: That is to say, you have huge discography. When our readers jump into Threshold world, which record do you recommend next to “Legends of the Shires”?

【RICHARD】: It’s hard to choose because they all have something different, but I would choose “Subsurface” or “Dead Reckoning”. Those were our last two albums with Mac and we had something special going on. Those albums probably inspired the sound of “Legends Of The Shires” more than our other work.

Q8: バンドは膨大なディスコグラフィーを誇ります。弊誌の読者が “Legends of the Shires” の次に THRESHOLD ワールドへ進むとしたら、どの作品を勧めますか?

【RICHARD】: アルバムはどれも異なる部分を持っているから、選ぶのは難しいね。ただ、”Subsurface” か “Dead Reckoning” を勧めたいと思うよ。Mac と作った最後の2枚だから、特別な想いを持ち続けているのは確かさ。この2枚は、僕たちの他の作品より、おそらく “Legends of the Shires” のサウンドをより想起させるだろうね。

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FIVE ALBUMS THAT CHANGED RICHARD’S LIFE

QUEEN “A NIGHT AT THE OPERA”

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GENESIS “AND THEN THERE WERE THREE”

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PINK FLOYD “WISH YOU WERE HERE”

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DURAN DURAN “RIO”

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THRESHOLD “WOUNDED LAND”

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MESSAGE FOR JAPAN

Threshold

We would LOVE to come to Japan, I really hope we can come and meet our amazing fans someday!

僕たちは、ぜひとも日本に行きたいんだ。本当にいつか、日本に行って、素晴らしいファンと会えることを願うよ!

RICHARD WEST

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THRESHOLD “Legends of the Shires” 日本盤
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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GIZMODROME : GIZMODROME】JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADRIAN BELEW OF GIZMODROME !!

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The Police, PFM, Level 42, And King Crimson Got Together, Making An Strange But Absolutely Fantastic Record As Gizmodrome !!

DISC REVIEW “GIZMODROME”

ロック四半世紀の時を刻む、四人の傑出したミュージシャンが集結したスーパーグループ GIZMODROME が唯一無二の色彩を放つデビュー作 “Gizmodrome” をリリースしました!!マエストロが紡ぐ多彩かつユニークな “パンクプログ” “プログレッシブポップ” の造形は、ある種定型化したシーンに贖いがたい魅力的な誘惑を放ちます。
THE POLICE の大黒柱 Stewart Copeland を中心として、鍵盤の魔術師 PFM の Vittorio Cosma、LEVEL 42 のスラップキング Mark King、そして KING CRIMSON のギターイノベーター Adrian Belew が参集。GIZMODROME はパンク、ポップ、ニューウェーブが花開いた80年代初頭の風をプログレッシブのテクニックに乗せて運ぶ素晴らしき “Gizmo” “仕掛け” の体現者だと言えるでしょう。
「レコーディングの鍵は素早さだったね。長々と時間をかけることなく、ただ楽しんで行ったんだ。」 と Adrian が語る通り、アルバムは音楽本来のワクワク感、楽しさ、多幸感に満ちています。
アルバムオープナー、”Zombies In The Mall” は GIZMODROME の “生態” を目の当たりに出来る楽曲かも知れませんね。THE POLICE が遺したポップパンクの遺産と、LEVEL 42 のジャズファンクが、プログレッシブなポルカの上でダンスを踊る奇跡。Stewart 自らがプレイしたというトロンボーン、Adrian の巧みなアコースティックギターも重要なアクセントになっていますね。
実際、バンドはポップパンク、ロック、ジャズファンク、プログレッシブという異なるジャンルから一名づつ選抜されたハイブリッドな “多音席軍”の 顔を持ちます。そしてその4人の選ばれしヴァーチュオーソは究極に楽しみながら、ユーモラスなまでにエクレクティックな音楽のショーケースを披露しているのです。
“イタリア” というロケーションが、この自由で楽観的なムードに更なる追い風となった可能性もありますね。Stewart もレコーディングにおいて、話題の大半が音楽ではなく、パスタやピザについてだったと認めています。
勿論、GIZMODROME のフレキシビリティーが Frank Zappa に通じると感じるリスナーも多いでしょう。事実、レコードの大部分でリードボーカルを務めた Stewart のモノトーンな声質やイントネーションは、Zappa のそれと近いようにも思えます。
インタビューで Adrian が語る通り、Adrian & King のメロディックなコーラスが Stewart のボーカルを際立たせ、VAN HALEN におけるダイヤモンドデイヴの如く極上のストーリーテラーに仕立てあげている部分も、マルチに歌えるバンドならではの実に興味深いチャレンジですね。”Summer is Coming” の BEACH BOYS もしくは TOTO を想起させるコーラスワークは、まさに GIZMODROME の豊潤な可能性の一つだと言えるでしょう。
もしかしたら GIZMODROME は最も成功した音楽の “Back to the Future” なのかも知れません。「僕は二つの要素をミックスするのが好きだね。テクノロジーとオーガニックをね。」 と Adrian が語るように、確かに “Gizmodrome” には古き良き時代の大らかな空気と、現代的なサウンド、コンテンポラリーで多様な創造性のエッセンスが奇想天外に共存しています。
“American People” を文字ったユーモラスな “Amaka Pipa” はまさにその象徴でしょう。Stewart のトライバルなリズムは、Adrian の異質でしかし温もりのある “Foxtone” と溶け合いラップ調のボーカルを誘います。ジャズのビートやブルースの精神まで内包したユニークかつ多彩な一曲は、ルーズで発想豊かなジャムセッションのムードとモダンなデザインを共有するバンドのランドマークなのかも知れませんね。
それにしても Rolling Stone 誌 “100 Greatest Drummers of All Time” で10位にランクした Stewart のドラミングはやはり伊達ではありませんね。左利きにも関わらず右利きのセットでプレイする彼の稀有なスタイルは、スネア、リムショット、ハイハットのダイナミズムに特別な魔法をかけ、THE POLICE 時代から培ったレゲエを初めとする世界中のリズムを見事にロックと融合させています。”Gizmodrome” の楽曲の大半がワールドミュージックを隠し味としているのは、Stewart がメインコンポーザーであることと密接にリンクしているのです。
今回弊誌では Adrian Belew にインタビューを行うことが出来ました。”Stay Ready” は象徴的ですが、彼の風変わりでイタズラ心満載のリックがなければ作品の魅力は半減していたことでしょう。さらには KING CRIMSON, Robert Fripp に対する愛憎入りまじる複雑な感情を、これほど顕にしたインタビューは世界でも初めてかも知れません。来年4月には来日公演も決定しています。どうぞ!!

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GIZMODROME “GIZMODROME” : 10/10

INTERVIEW WITH ADRIAN BELEW

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Q1: First of all, I heard that you talked to Robert Fripp the other day, are not you? I think that it was a long time no conversation between you and Robert, how did you feel? What specifically did you talk about?

【ADRIAN】: It had been 4 years since we had spoken. That is a long time! In that interim I had many mixed feelings. I was mostly hurt that I was no longer a part of the band. I had considered it a partnership, especially between myself and Robert as guitarists and writers. Therefore I did not accept that it was “one person’s band” and that one person (Robert) could make such changes on his own. I now see I was wrong and I have come to terms with it. Over those 4 years I immersed myself in the “reconstruction” of my solo career, which had often been set aside in order to work with King Crimson. I decided to try new things and become super-active. I did a Pixar film which won an Oscar. I created a new musical format specifically for my ideas called FLUX and recorded hundreds of things for its content. I invented (with a lot of technical help) 2 award-winning apps. I toured the world repeatedly with the Adrian Belew Power Trio, and wrote more songs and music than ever before. In hindsight, I would have been too busy to be in the new line-up of Crimson!
Robert and I mostly spoke of positive things. He kindly congratulated me on my work and the Oscar and talked excitedly about Gizmodrome, which he seems excited about. Then there were some personal moments where I opened up to him and expressed some of my grievances, but that didn’t last very long. I told Robert I loved him and missed him. After that we talked about whether or not I would accept the title “ninth man inactive”. Robert explained that for him this “ninth man inactive” concept connotated a willingness on my part to stay in the “Crimson family” in an inactive role until called upon to perhaps re-join the band. I agreed to accept that role. After that we talked joyfully about our past and left it at that. A very positive conversation. In reality, nothing much has really changed, but it feels better!

Q1: つい先日、Robert Fripp と久々に話したそうですね?

【ADRIAN】: 彼と最後に話してから4年が過ぎていたね。とても長い時間だよ!その4年の間、僕は沢山の複雑な感情を持つこととなったね。その大部分は、僕がもう KING CRIMSON の一部ではなくなったことに対する傷心だったんだ。
僕はあのバンドをパートナーシップだと考えていたんだ。特にギタリスト、ソングライターとしての僕と Robert の関係をね。だから、KING CRIMSON が “ワンマンバンド” で、その “ワンマン” Robert があのような大変革を独断で決めてしまった事実を受け入れることが出来なかったんだ。今では、僕が誤っていたことを認め、折り合いをつけているよ。
この4年間、僕はソロ活動の “再建” に没頭していたんだ。KING CRIMSON の仕事をするためにしばしば脇に置かれて来たからね。新しいものを試して、スーパーアクティブになることを決めたんだよ。
オスカーを獲得したピクサーの映画を手がけたね。僕のアイデアで FLUX という新たな音楽フォーマットを作り、そのコンテンツのために沢山レコーディングもしたよ。技術面の援助を受けて、二つの賞を獲得したアプリも開発したんだ。Adrian Belew Power Trio で何度も世界中をツアーしたし、以前より多くの楽曲や音楽も書いているよ。振り返ってみれば、忙しすぎてクリムゾンの新たなラインナップに加わる暇はなかったかも知れないね!
Robert と僕は主にポジティブな話をしたよ。彼は親切にも、僕の仕事やオスカー獲得を祝ってくれたんだ。GIZMODROME についても話したよ。彼はエキサイトしているようだったね。
それから個人的な話をしたよ。僕は彼に心を開いて重荷の一部を話したんだ。ただ、あまり長くは続かなかったね。僕は Robert に彼を愛しているし、寂しいと伝えたんだ。
その後、僕たちは僕が「9番目の活動していないメンバー」を受け入れるかどうかについて話したね。Robert は彼にとってこの概念は、僕がバンドに再加入するまでの非活動的な役割で、”クリムゾンファミリー” に留まる意思を内包していると説明したね。僕はその役割を受け入れることに同意したよ。
後は、昔のことを楽しく話して切り上げたんだ。とてもポジティブな会話だったね。現実で何かが大きく変わった訳じゃないんだけど、気分は良くなったよ!

Q2: Robert said, “Adrian has rejoined the larger family – hooray! – and doors to the future are open. “. So, now
you are in the position “ninth man inactive”, but do you think that you want to get involved in King Crimson more?

【ADRIAN】: I think it’s possible, but I have no idea when. At this moment the current King Crimson is busy continuing to play live shows. As for myself, I have my plate full with the future of Gizmodrome as well as continuing shows with the Celebrating David Bowie show and touring with the Adrian Belew Power Trio. I’m very actively writing new material either for Gizmodrome or for FLUX, my ever-changing music format, and I’m sure other things will be offered. So, we’re all very busy now. Let’s see what the future holds. I’m sure it will be awesome!

Q2: Robert は 「また Adrian がクリムゾンファミリーに帰ってきたよ!未来へのドアはいつでもオープンだよ。」 と語っていましたが、あなた自身は “活動していない9番目” のメンバーというポジションから、さらによりバンドに関わりたいと思っているのでしょうか?

【ADRIAN】: 起こりうると思うよ。いつになるかは分からないけどね。現時点で、KING CRIMSON はライブでプレイし続けることに忙しいからね。
僕に関しても、GIZMODROME の未来、David Bowie のセレブレーション、Adrian Belew Power Trio のツアーでいっぱいいっぱいだしね。
僕は精力的に GIZMODROME と FLUX の新たなマテリアルを書いているんだ。他のこともやらなければいけないしね。だから全員が今は忙しいんだよ。未来に何が起こるか楽しみにしよう。きっと素晴らしいものになるよ!

Q3: Recently, Trent Reznor started Nine Inch Nails again. You joined NIN in 2013 officially, but left the band in a very short term, six months. What happened at that time? And have you contacted with Trent now?

【ADRIAN】: Actually I rehearsed with the band for just 17 days. By that time it was apparent I was not needed. Trent’s original offer was that he and I would “re-invent” the sound of NIN, but as the actual rehearsals began I think he changed his mind. By the end of 17 days I had learned 21 Nine Inch Nails songs, all of them exactly like the records, none of them “re-invented”. Had NIN stayed with that approach (which they did)I would have been playing songs exactly the same way every night for the next year and a half. That is not what I do best. It wasn’t right for either of us. I’ve had no contact with Trent since, but I bear no ill feelings towards him.

Q3: 近年、Trent Reznor は NINE INCH NAILS の活動を再開しています。あなたは2013年、公式にNINに加入しましたが、6ヵ月という短い期間で脱退しましたね?

【ADRIAN】: 実際は、NIN とリハーサルを行ったのは僅か17日間だけだったんだよ。その期間で、僕が必要ないことは明らかに思えたね。
元々、Trent のオファーは彼と僕で NIN のサウンドを “再考案” することだったんだ。だけど実際にリハーサルが始まると、彼は心変わりしたようだったね。17日間の間に、僕は NIN の楽曲を21曲覚えたんだけど、その全てがレコード通りだったんだよ。どの楽曲も “再考案” なんてされなかったんだ。
もし、NIN がそのアプローチを続けるのであれば、僕は次の1年半を全く同じように楽曲をプレイして行かなければならなかったんだ。それがベストだとは思えなかったね。お互いにとっても正しい選択ではなかったんだよ。
今はもう Trent とコンタクトを取っていないんだけど、彼に対して悪い感情を抱いている訳ではないよ。

Q4: Anyway, let’s talk about your new journey, Gizmodrome! Adrian Belew, Stewart Copeland, Mark King, Vittorio Cosma. OK, definitely it’s amazing supergroup! How did this “Great Four” come to be?

【ADRIAN】: Long story short, Stewart and Vittorio worked together every summer in Italy on different projects, all of which were called Gizmo. During that period they wrote some songs with no particular object in mind. Two summers ago they contacted me to ask me to join them in Italy for their summer project. I couldn’t make it the first summer but I came the second summer. I was expecting just to add some guitar parts to a Stewart Copeland project. But by then they had evolved their hopes into starting a new band to include myself and Mark King. So, they tricked me! After the first two days of recording, I knew in my heart this had to be a band, it was too special not to share it with the world.

Q4: では、あなたの希望に満ちた新たな旅路 GIZMODROME について話しましょう。まずはこのスーパーグループ結成に至る経緯を話していただけますか?

【ADRIAN】: 手短に言うと、Stewart と Vittorio は毎夏イタリアで共に仕事をしているんだ。その異なるプロジェクトを総称して GIZMO と呼んでいるんだけどね。その期間に、彼らは特別な目的を意識することなくいくつか楽曲を書いたんだ。
2年前の夏に、2人は僕にイタリアでその夏のプロジェクトへ加わって欲しいとコンタクトを取って来たんだよ。最初の夏は参加出来なかったんだけど、次の夏は参加出来たね。
最初、僕はただ Stewart Copeland Project にいくつかのギターパートを加えることだけ期待されていたんだよ。だけど、それから彼らの望みは、僕と Mark King を含む新たなバンドを立ちあげる所まで進展したんだよ。つまり彼らは僕を騙したんだ!
レコーディングの最初の2日間を終えて、僕は心の中でこれはバンドにするべきだと知ったんだ。あまりに特別過ぎて、世界にシェアしないなんて勿体ないとね。

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Q5: So, King Crimson you belonged to, and Stewart’s The Police were active at the same time, early 80’s. Are you two conscious of each band’s music and the talent of the members?

【ADRIAN】: Oh, of course. Our paths never crossed back then, we were on different orbits so to speak, but how could you not know The Police if you were a music fan in the 80’s? For me, they were one of the last “hit” bands I paid attention to.
Great musicians playing well-crafted songs. As for Stewart, I have always considered him in the top 5 of rock drummers who changed the world of drumming.

Q5: あなたが所属していた KING CRIMSON と Stewart の THE POLICE は80年代初頭、同時期に活動していましたね。当時、お互いに意識する部分はありましたか?

【ADRIAN】: うん、勿論だとも。当時、僕たちの道が交わることはなかったけれどね。言ってみれば異なる軌道に乗っていた訳だからね。だけど、80年代の音楽ファンで THE POLICE を知らないなんてあり得ないでしょ? 僕にとって彼らは注目を払った最後の “ヒット” バンドなんだ。偉大なミュージシャン達が見事な造形の楽曲をプレイするバンドだったね。
Stewart に関して言えば、僕はいつだって彼をベスト5に入るロックドラマーだと思って来たよ。まさにドラムの世界を変えたようなね。

Q6: I feel your band name “Gizmodrome” is kind of humor about “Gizmodo”. Anyway, Gizmodrome has very unique and eclectic musical styles. It’s sometimes pop, sometimes progressive, and sometimes experimental. So, how was the writing process and jam sessions like? How did you find the identity or goal of the band?

【ADRIAN】: There was no writing to be done. The songs from Vittorio and Stewart were the basis of the material to record. There was no real jamming either. The process was more like this: listen to a basic version of a song, learn it, experiment with the arrangement, then record the basic track. Next came overdubs of guitars (solos and sounds), keyboards, and finally vocals with all of us singing. The key was to be quick, not to belabor anything, and to have fun doing it.

Q6: ライティングプロセスはいかがでしたか?バンドはユーモアと多様性を心情とし、尊重しているようにも感じますが?

【ADRIAN】: 特別、ライティングプロセスといったものは存在しなかったんだよ。Vittorio と Stewart の楽曲がレコードの基本的なマテリアルとなったんだ。だから、真にジャムと言えるものも行わなかったんだ。
プロセスはこんな感じだったよ。まず楽曲の基本となるバージョンを聴いて覚え、アレンジを色々と試すんだ。それがレコードのベーシックトラックとなったね。次にギター、キーボードでソロやサウンドのオーバーダブを行ったんだよ。最後に全員がボーカルをレコーディングしたんだ。
レコーディングの鍵は早さだったね。長々と時間をかけることなく、ただ楽しんで行ったんだ。

Q7: In “Gizmodrome”, Stewart handles a lot of the vocals. Off course, you and Mark also can sing. What made the band appoint Stewart main singer? I think it’s tough for Stewart in the live stage, haha.

【ADRIAN】: They are Stewart’s songs and he embodies the proper spirit for singing them. His larger-than-life approach to singing is a big part of the charm of Gizmodrome, in my opinion. Mark and I sing together perfectly and we mostly sing the choruses, leaving Stewart to be our storyteller. This formula will likely change for our next records which will involve more writing from all of us. But for this batch of songs I’m happy to have Stewart sing the leads and he’s excited about strapping on a guitar being a frontman for part of our shows.

Q7: アルバムでは、基本的に Stewart がリードボーカルを取っていますよね?

【ADRIAN】: それらはスチュワートの楽曲で、彼はその楽曲たちを歌うための適切な精神を体現しているんだよ。僕の考えでは、歌唱に対する彼のより大規模なアプローチは、GIZMODROME の魅力の大きな部分を占めていると思うんだ。
Mark と僕は完全に一緒に歌い、主にコーラスを担当したんだ。スチュワートを僕たちのストーリーテラーにするためにね。次のアルバムでは全員がもっと作曲に関わるだろうから、このやり方は変わるはずだよ。だけど、今回に関しては Stewart がリードを歌い、ショウの一部でギターをかけてフロントマンを務めることにエキサイトしているのを嬉しく思っているんだ。

Q8: Gizmodrome is the gathering of maestros. Recently, modern musician’s techniques and skills are considerably advanced. But also It seems that they rely too much on technology and sometimes lost emotions. What’s your perspective about that?

【ADRIAN】: I prefer a mixture of the two: technology and organic. Music technology has been very inspiring in the way I make records, write songs, perform live, and in the way I create sounds. With technology I am able to make sounds I have never heard before and that’s very exciting to me. But I have always been careful to compliment technology with the analog or organic approach: real acoustic instruments, for example. I do most of my writing on acoustic guitar and piano. On my solo records I play real drums, cello, flute, etc. In the realm of recording, technology is indispensable. I believe it is up to the musician/writer to embody his or her music with emotion regardless of how the music is made.

Q8: 近年、ミュージシャンのテクニックやスキルは進化し非常に高くなっています。一方で、テクニックに頼りすぎたり、エモーションを失ったという批判もありますよね?マエストロの集まりである GIZMODROME はそういった最近のシーンにどういった一石を投じるのでしょう?

【ADRIAN】: 僕はその二つをミックスするのが好きだね。テクノロジーとオーガニックをね。音楽テクノロジーはレコードを作り、作曲し、ライブを行い、サウンドを創造する際、実に僕をインスパイアして来たんだよ。テクノロジーのおかげで、僕は以前に、聴いたことのないサウンドを生み出すことが出来るし、それは非常にエキサイティングなことなんだ。
ただ、僕は手放しにテクノロジーを賞賛することには慎重なんだ。リアルでアコースティックな楽器を使用したアナログかつオーガニックなアプローチも大切にしているよ。例えば、僕は作曲を大体はアコースティックギターとピアノで行うんだ。自分のソロ作品では、僕がリアルなドラム、チェロ、フルートまでプレイしたしね。
ただし、レコーディングの分野において、テクノロジーは不可欠なものだよ。つまり、僕はミュージシャンが音楽にエモーションを注げるかどうかは、音楽がどのように作られるかは関係ないと信じているんだよ。

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FIVE ALBUMS THAT CHANGED ADRIAN’S LIFE

THE BEATLES “MEET THE BEATLES”

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THE BEATLES “REVOLVER”

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JIMI HENDRIX “ARE YOU EXPERIENCED?”

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KING CRIMSON “IN THE COURT OF THE CRIMSON KING”

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MOBY GRAPE “MOBY GRAPE”

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MESSAGE FOR JAPAN

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First I would like to thank my friend Mr. Udo for bringing Gizmodrome to the Japanese fans. Second, I hope to attend an actual Sumo match as I am a big fan! And lastly, I have been to Japan many times now and I dearly love it. I hope to continue to return many more times. Cheers!

まずは友人の Mr.Udo に感謝を伝えたいね。来日を実現してくれてありがとう。次に、僕は大の相撲ファンだから実際に相撲を見てみたいんだ!最後に、僕は何度も日本を訪れていて、本当に日本を愛しているんだ。まだまだ何度も日本に行き続けたいね。ありがとう!

ADRIAN BELEW

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GIZMODROME JAPAN TOUR 2018 ウドー音楽事務所
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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SONS OF APOLLO : PSYCHOTIC SYMPHONY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DEREK SHERINIAN FROM SONS OF APOLLO !!

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Prog-Metal Super Group, Sons Of Apollo Brings A Lethal Combination Between True Rock N’ Roll Swagger And The Virtuosity With Amazing Debut Record “Psychotic Symphony” !!

DISC REVIEW “PSYCHOTIC SYMPHONY”

古今無双の勇士達が肝胆相照らすメタル/ロックシーンのドリームチーム SONS OF APOLLO が、威風堂々たるデビュー作 “Psychotic Symphony” をリリースしました!!夢劇場のロックサイドを司り、そして幽寂に退場した二人のソウルメイトを軸として紡がれる類まれなるシンフォニーは、芸術の神アポロンの遺伝子を稠密なまでに引き継いでいるのです。
“God of The Drums”, Mike Portnoy がプログメタルの天照帝 DREAM THEATER を半ば追われるような形で後にしたのは2010年のことでした。残念ながら自身の核とする大切な場所を離れざるを得なくなった Mike でしたが、しかし以降も前向きに幅広くその唯一無二なるクリエイティビティを発揮して行きます。
SONS OF APOLLO の種が撒かれたのは2012年。Instru-metal を追求するため結成した Portnoy, Sheehan, MacAlpine, Sherinian (PSMS) で、Mike は98年に同じく DREAM THEATER を離れていた Derek “ディストーション・キーボード” Sherinian と再び相見えることとなったのです。
元々、DREAM THEATER においてロックなアティテュードを最も体現していた “The Del Fuvio Brothers”。再度、意気投合した二人は Billy と Mike の THE WINERY DOGS が休止に向かうと新天地創造へと動き出したのです。
「君たちは今夜、歴史を目撃している。」 Yngwie Malmsteen や TALISMAN の活躍で知られる “Voice of Hard Rock”、Jeff Scott Soto は、バンドのファーストギグとなった David Z のトリビュートライブでまずそう高らかに宣言しました。そして確かに “Psychotic Symphony” は、彼らの “過去”を目撃し愛してきたファンにとって、意義深い新たな歴史の1ページに仕上がりました。
アルバムはオリエンタルなイントロが印象的なオープナー “God of The Sun” で早くも一つのクライマックスを迎えます。Jeff の雄々しき歌唱と Mike のシグニチャーフィルが映える11分のエピックにして三部構成の組曲。まさにファンがバンドに待ち望む全てを叶えた濃密なるプログメタル絵巻は、静と動、美麗と衝動、プログレッシブとメタルをすべからく飲み込み卓越した技術と表現力でリスナーの心を酔わせます。
とは言え、アルバムを聴き進めれば、SONS OF APOLLO の本質がプログメタルよりもルーツであるクラッシックなハードロックやプログロックに一層焦点を当てていることに気づくでしょう。
“Coming Home” は彼らのホームグラウンドへと回帰し、同時にフレッシュな息吹を吹き込んだバンドの象徴的楽曲です。RUSH を想起させるシーケンシャルかつメロディックなテーマと、VAN HALEN のエナジーがナチュラルに同居するコンパクトなアンセムは、”プログレッシブハードロック” とでも呼ぶに相応しい煌めきと胎動を誇示します。
「確かにオリジナルコンセプトはプログメタルだったんだ。だけど作曲を始めると、完全に異なる方向へと進んでいったね。僕たちのクラッシックロックやハードロックからの影響が前面に出て来て、それに従うことにしたんだよ。新たなサウンドを創造したと思う。」
そう Derek が語るように、SONS OF APOLLO は “Psychotic Symphony” でプログメタルを切り札、エッセンスの一つとして、よりマスリスナーへとアピールする普遍的でオーガニックな “ロック” を追い求めたと言えるでしょう。硬質と有機性の共存。それは、DREAM THEATER が “Falling Into Infinity” で一度進みかけた”If”の道だったのかも知れませんね。
ただ、”Signs of The Time” はこの5人でなければ生まれなかった奇跡にも思えます。マエストロ Billy Sheehan の踊るように躍動するベースラインを骨子として幕を開けるエネルギッシュでハードな調べは、しかし中盤でガラリとその表情を変化させるのです。
アトモスフェリックな7拍子へと場面が転換し Ron “Bumblefoot” Thal のリードプレイが切れ込むと、多くのリスナーは UK の “In the Dead of Night” を思い浮かべることでしょう。ここには確かにダイナミックな展開美とジャンルの融合が誘う震駭、そして彼らの理想が深々と織り込まれているのです。
実際、元 GN’R は伊達ではありません。Allan Holdsworth さえ凌ぐのではと思わせる圧倒的な7拍子のシュレッドは彼のベストワークと言えるほどに強烈な存在感と個性を放っています。
加えてBumblefoot の千変万化なギターワークは各楽曲のルーツを指し示す大きなヒントともなっており、例えば “Divine Addiction” で Derek と共にまるで DEEP PURPLE の一員が如く振る舞う瞬間などは、実に興味深くエキサイティングだと言えますね。
勿論、アルバムには Derek と Mike が DREAM THEATER で共に残した “A Change of Seasons”, “Falling Into Infinity” の二作が蘇る瞬間も存在します。”Labyrinth” のヴァースや連続音を執拗に鳴らす Derek のリフワーク、”Opus Maximus” でスケールの上下動をフルピッキングで繰り返す場面などではニヤリとほくそ笑むファンも多いでしょう。
Billy の存在意義を改めて確認出来る11分の “Opus Maximus” で、あたかも自らの理想、新たなチャレンジを再びプログレッシブな啓示で包み込むかの如く幕を閉じる “Psychotic Symphony”。今回弊誌では、Derek Sherinian にインタビューを行うことが出来ました。「僕たちは、個々にこれまでやって来たバンドやプロジェクトよりビッグになることを目標にしているんだ。」 つわものどもが”夢”の先。どうぞ!!

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SONS OF APOLLO “PSYCHOTIC SYMPHONY” : 9.6/10

INTERVIEW WITH DEREK SHERINIAN

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Q1: 20 years have passed since your first full-length with Dream Theater, “Falling Into Infinity”. What moments on that record are you most proud of?

【DEREK】: Lines In The Sand and Hells Kitchen. Those were two song ideas that I was the main composer- those songs still stand tall in the DT catalog today. Also my solo in Trial Of Tears.

Q1: あなたが DREAM THEATER でリリースした唯一のフルアルバム “Falling Into Infinity” が今年20周年を迎えました。まずはあの作品で最も誇りに思える瞬間を教えてください。

【DEREK】: “Lines in the Sand” と “Hell’s Kitchen” だね。というのもあの2曲は僕がメインコンポーザーとしてアイデアを出したからね。そして彼らのディスコグラフィーの中で、今日でも気高く存在感を放っているんだ。”Trail of Tears” の僕のソロも気に入っているよ。

Q2: I feel “Falling into Infinity” is the most “Rock” “Organic” record in their discography. And that is your meritorious deed, I think.
After your withdrawal, John got his partner Jordan and Dream Theater went the more systematic, mechanical direction. Off course, you got Mike Portnoy now!
That means Sons of Apollo is more “Rock” group than Dream Theater, and everyone is win-win, right? haha.

【DEREK】: You seem to have it all figured out! Ok, let’s go with that!

Q2: “Falling Into Infinity” は DREAM THEATER のカタログで最もロックかつオーガニックでなアルバムで、それはあなたの功績だったと感じます。John Petrucci は Jordan Rudess を得てよりシステマティックでメカニカルな方向へ進み、あなたは現在 Mike を得ましたね。ある意味、今は全てが Win-Win だと感じますが?

【DEREK】: 君は全てを言い当ててしまった様だね!OK, その通りだよ!それで行こう!

Q3: “Psychotic Symphony” sometimes reminds me “A Change of Seasons” or “Falling into Infinity”. Did you use any leftover ideas from when you and Mike were in Dream Theater?

【DEREK】: No, Everything has been written within the last year.

Q3: バンドのデビュー作となる “Psychotic Symphony” は時に “A Change of Seasons” や “Falling Into Infinity” をフラッシュバックさせる瞬間が確かに存在します。あなたと Mike が DREAM THEATER に所属していた頃残していたアイデアを、このレコードで使用しましたか?

【DEREK】: いや、全ては昨年の間に書かれたものだよ。

Q4: Considering PSMS, Billy’s joining was natural for me. But what made you appoint JSS and Bumblefoot? Did you have an idea of launching ​​”Prog metal” band before you gather members?

【DEREK】: Mike is the one who suggested Bumblefoot and Jeff Scott Soto. When Mike and I first decided to form this band, the original concept was to be prog metal, but it turned into something completely different when we started writing. Our classic rock and hard rock influences came to the forefront and we just went with it. We have created a new sound.

Q4: PSMS や THE WINERY DOGS を考慮すれば、Billy Sheehan の参加は自然に思えますが、Jeff Scott Soto と Bumblefoot にはなぜ声をかけたのですか?

【DEREK】: Mike が Bumblefoot と JSS を提案したんだ。
最初 Mike と僕がこのバンドを結成した時には、確かにオリジナルコンセプトはプログメタルだったんだよ。だけど作曲を始めると、完全に異なる方向へと進んでいったね。僕たちのクラッシックロックやハードロックからの影響が前面に出て来て、それに従うことにしたんだよ。このレコードで僕たちは新たなサウンドを創造したと思うな。

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Q5: Lion and Eagle in the artwork seems to symbolize you and Mike for me. Do you agree that? Who came up with the idea of ​​an album title “Psychotic Symphony” and the artwork?

【DEREK】: It was originally two lions, but I suggested the eagle. Mike was in charge of the cover concept, and the album title is from one of Jeff’s lyrics from “Lost In Oblivion”.

Q5: アートワークのライオンとイーグルは、あなたと Mike を隠喩しているようにも思えます。

【DEREK】: 元々は2頭のライオンだったんだ。だけど僕が片方をイーグルにしようと提案したんだよ。アートワークについては Mike がコンセプトを考えたんだけどね。アルバムのタイトルは、Jeff が書いた “Lost in Oblivion” の歌詞を元にしているんだよ。

Q6: “Psychotic Symphony” reaches one of the climax from the beginning. “God of The Sun” seems to express exactly what Sons of Apollo is, I think. And definitely, your fans love that kind of a suite. Anyway, when you writing the record, what was a goal for you?

【DEREK】: One of the first things that I wrote was God Of The Sun, After Mike heard it, he said that it was perfect as it was and that he heard it being the album opener. I consider God Of The Sun my best work.

Q6: アルバムのクライマックスは冒頭から訪れます。オープナーにして組曲 “God of the Sun” は間違いなくあなたたちのファンが待ち望んだ楽曲ですよね?

【DEREK】: 僕がこのアルバムのために最初に書いたマテリアルの一つが “God of the Sun” なんだ。それを聴いて Mike がこの楽曲はまさにこのままで完璧だ、アルバムオープナーになるよと言ったんだよ。
この楽曲は僕のベストワークだと思っているんだ。

Q7: All members of Sons of Apollo have another bands or projects. It seems hard to collect all the member’s priorities in this band, right? How do you plan to run this band?

【DEREK】: Sons of Apollo has a shot at being bigger than anything we have ever done individually. All members have made this band a priority, and we will go out on a full world tour in 2018.

Q7: SONS OF APOLLO のメンバーは、全員が他のバンドやプロジェクトを抱えていますね。ここに全員のプライオリティーを集中させるのは難しそうですね?

【DEREK】: SONS OF APOLLO で僕たちは、個々にこれまでやって来たバンドやプロジェクトよりビッグになることを目標にしているんだ。メンバー全員がこのバンドにプライオリティーを置いているよ。
2018年にはフルスケールのワールドツアーを行うしね。

Q8: Anyway, also I’m big fan of Planet X. So, It is a pity that you have been hiatus for ten years after “Quantum”. Your way of “Metal fusion” was really challenging and new to us. Is there any plan for restarting activity?

【DEREK】: No plans for live, but Virgil and I are talking about a 20 anniversary box set with rarities.

Q8: 別バンドと言えば、PLANET X のメタルとフュージョンを融合させるチャレンジは素晴らしかったですね。活動再開の予定はありますか?

【DEREK】: ライブに関してはノープランだよ。だけど Virgil と僕は、レアな音源を追加した20周年のボックスセットについて話しているんだよ。

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FIVE ALBUMS THAT CHANGED DEREK’S LIFE

ELTON JOHN “GOODBYE YELLOW BRICK ROAD”

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VAN HALEN “VAN HALEN”

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OZZY OSBOURNE “BLIZZARD OF OZ”

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JEFF BECK “WIRED”

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SONS OF APOLLO “PSYCHOTIC SYMPHONY”

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MESSAGE FOR JAPAN

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I love Japan, my great japanese fans and can’t wait to bring SOA to your country. Also, my daughter Summer is becoming a great Japanese Anime artist! She really wants to come to Japan!

日本と素晴らしい日本のファンが大好きなんだ。SONS OF APOLLO で日本に行くのが待ちきれないよ。そうそう、僕の娘、 Summer は偉大な日本のアニメアーティストになろうとしているんだ!彼女は本当に日本へ行きたがっているよ。

DEREK & SUMMER SHERINIAN

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GENTLE GIANT : THREE PIECE SUITE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DEREK SHULMAN OF GENTLE GIANT !!

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With A Little Help Of Steven Wilson, Sleeping Prog Giant From UK, Gentle Giant Show Their Brilliance And Originality With Newly Remixed Album “Three Piece Suite” !!

DISC REVIEW “THREE PIECE SUITE”

英国にて睡臥する穏やかなる巨人、プログレッシブレジェンド GENTLE GIANT が久々の音信となる作品 “Three Piece Suite” をリリースしました!!バンドの初期三作から楽曲を集積し、名匠 Steven Wilson がリミックスを施したアルバムは、70年代の稀世なる栄光を鮮明に現代へと蘇らせています。
GENTLE GIANT は1970年に Shulman 三兄弟が中心となり結成したプログレッシブクインテット。技巧と叙情、エクレクティックとポップを巧緻に集約し、81年に解散するまで独自の価値観でプログロックの可能性を顕示し続けた偉大なバンドです。
彼らの音楽を語る時、適切な言葉を探すのは容易ではありません。どこか飄々としていて掴み所がなく、時にニヒルに、時にユーモラスに、時にアヴァンギャルドに刻々と表情を移すその音流は、莫大な情報量と独特のタイム感も相俟って、霧闇を掻き分けるが如き浮遊感と心細さをリスナーに与えて来たのです。
勿論、アーカイブには YES や KING CRIMSON 等と共に必ず明記されるバンドですが、彼らほどの人気、知名度を得ていない理由は多分にその五里霧中、即効性の欠如が理由だと言えるでしょう。
しかし、逆に言えば GENTLE GIANT の魅力はその遅効性、抽象性にあるのかも知れませんね。アルバムを聴く度に必ず新たな発見、感動を得ることが出来るアーティストはロックの歴史を眺めても決して多くはないでしょう。R&B をベースにポップス、ジャズ、クラッシック、サウンドトラック、そして現代音楽まで咀嚼しロックのフィールドへと昇華した多彩な楽曲の数々は、あまりに大胆かつ緻密です。
さらに、「間違いなく僕たちは、ムーブメントや思想を追ったり、スターダムを意識したりはしていなかったね。」 と語る通り、バンドの唯我独尊で超俗としたムードも彼らのクリエイティビティーを後押ししました。そして事実、そのとめどない知識の井戸、アイデアの泉から無限に湧き出るユニークなアプローチの数々は、時を経た現代でも様々な後継に影響を与え続けているのです。
「いつも GENTLE GIANT のサウンドとオリジナルのフィーリングを保ちながら、サウンドをより “良く” させてくれないかと頼んで来たんだ。」 と Derek が語るように、稀代のプログレマニア Steven Wilson もその一人。そして Steven はその野望を見事にやり遂げました。
“Three Piece Suite” はバンドの記念すべきデビューアルバム “Gentle Giant” からの3曲で幕を開けます。ジャズのビートやフュージョン的テーマなど様々な仕掛けを配しつつ、R&B をベースとしたドライブする “Giant” は、バンドの楽曲で最も典型的な “プログ” らしい楽曲かもしれませんね。サイケデリックなエナジーと中盤で見せつける叙情性のコントラストは、確かにここが出発点であることを主張します。
同時に、難解とポップを融合させた伏魔殿 “Giant” を聴けば、Derek の人生を変えたアルバムを見るまでもなく、初期の彼らが Frank Zappa から強い影響を受けていたことが伝わりますね。一方で Zappa 自身も GENTLE GIANT を非常に高く評価しており、共鳴し合う素晴らしき孤高の脈流が確かに存在したことを伝えています。
続く “Nothing At All” はバンドの素性をより鮮明にする9分のエピック。LED ZEPPELIN の名曲 “Stairway To Heaven” に影響を与えたと確信させるほどに美しい、(余談ながら Derek が影響を受けたアーティストに挙げてる SPIRIT は “天国への階段” の元ネタと噂される “Taurus” の作者なのですから興味深い)フォーキーでアコースティックな調べはニヒルでサバシーなギターリフを導き、自然にしかし唐突に3分半のアヴァンギャルドなドラムソロへと展開して行くのです。ここにはすでに様式美は存在せず、この頃からバンドはポップとロックのみならず、前衛的で現代音楽的な感覚を等しく身に纏っていたことが分かりますね。
71年にリリースされた “Acquiring The Taste” からは2曲が収録されています。”Pantagruel’s Nativity” はバンドの拡大する野心を反映した、アルバムの実験的作風を象徴する楽曲かもしれませんね。ムーグシンセやメロトロンのレトロな味わい、映画のようなオーケストレーション、トランペットを組み込んだバッキングの妙。楽器の増加により全てが新鮮に噛み合った楽曲は、日本の童謡 “通りゃんせ” を思わせる懐かしき旋律とハーモニーを携えてリスナーに濃厚なるサウンドスケープを届けます。
さらに “The House, The Street, The Room” では、ヴィブラフォンやチェロまでこなすマルチ奏者 Kerry Minnear を中心に32もの楽器を使用しメズマライズな狂気を演出しているのですから恐れ入ります。
72年の “Three Friends” からは4曲。ドラマーを Malcolm Mortimore にスイッチし、T. REX 等の仕事で知られる Tony Visconti のプロダクションからバンドのプロデュースに移行した作品です。
“Schooldays” のセピア色なノスタルジアが証明するように、よりセンチメンタルでストーリーテリングにフォーカスした作品は、三人の同級生を軸として物語を紡ぐ初のコンセプトアルバム。濃密にレイヤーされたオーケストレーションと感傷的なコーラスワークが実に印象的で、P.F.M を頂点とするイタリアのシンフォニックな後続たちに多大な影響を与えた事実も頷けますね。
幻想と技巧、静寂と騒然、耽美と悪夢を等しくコントラストさせた “Peel the Paint” のイデアルは、サックスの魔術と相俟って、KING CRIMSON の理想ともシンクロしながら穏やかな人間の狂気を体現し、名作と名高い “Octopus” へと繋がって行くのです。
Steven Wilson の手によりさらに輝きを増した珠玉の名曲たち。”Peel The Paint” を聴けば、フロントに Kerry のヘヴィーハモンド、リアに Gary の突き刺すようなブルースリックが配されて、5.1chサラウンド特有の分離と広がりが実に効果的に活用されていることが伝わります。それにしても今回初披露となった “Gentle Giant” のアウトテイク “Freedom’s Child” の美しさには言葉を失いますね。
今回弊誌では、リードボーカルにして Kerry と同様マルチ奏者 Derek Shulman にインタビューを行うことが出来ました!実はバンド解散後には A&R としてポリグラムで BON JOVI や CINDERELLA を発掘。さらに Atco, Roadrunner では社長として PANTERA や DREAM THEATER と契約し、2PLUS Music & Entertainment では我らが LOUDNESS とも手を組んだ重要すぎる人物です。とは言え、正統な評価が遅れリユニオンが強く望まれるバンドでもあります。「僕たちは今でも音楽を作っているよ。たとえそれが僕たちの耳にしか届かないとしてもね。」 どうぞ!!

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GENTLE GIANT “THREE PIECE SUITE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KAIPA : CHILDREN OF THE SOUNDS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HANS LUNDIN OF KAIPA !!

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Legendary Swedish Progressive Rockers, Kaipa Will Bring Ethereal Melody, Great Interplay, And Beautiful Inspiration With Their New Record “Children Of The Sounds” !!

DISC REVIEW “CHILDREN OF THE SOUNDS”

スウェーデンプログレッシブシーンの開祖にしてイニシエーター、70年代から活躍を続ける芳醇なるメロディーの宝庫 KAIPA が最新作 “Children of the Sounds” を9/22にリリースします!!煌びやかでシンフォニック、その絶佳なる美しきサウンドスケープは、レトロとコンテンポラリーの華麗なる融合を誘ってベテランの底知れぬ創造性を誇示していますね。
トラッドとクラシカルを軸に、情感豊かでキャッチーなプログレッシブロックを聴かせた70年代~80年代前半。Hans Lundin と Roine Stolt、巨匠2人のマジカルなインタープレイとバンドの巧みなアンサンブルは世界中を魅了し、故に82年の活動休止は実に惜しまれた出来事でした。
バンドに新たな生命が灯ったのは休止から20年の月日を経た2002年。Hans と Roine を首謀者として、 Morgan Ågren (MATS/MORGAN BAND), Jonas Reingold (THE FLOWER KINGS), Aleena Gibson, Patrik Lundström (RITUAL)という超一流の実力者を揃えたラインナップで復活を遂げた KAIPA は、2005年の Roine 脱退以降も新たにマエストロ Per Nilsson (SCAR SYMMETRY) を加えてコンスタントに良作を発表し続けているのです。
「僕たちは “サウンドの子供たち” であるという想像に至ったんだ。人生で経験して来た音楽を集めて新たな創造をもたらし、フレッシュな音楽を描くというね。」 と語るように、”Children of the Sounds” は、KAIPA のマスターマインド Hans Lundin の潜在意識へと集積された “音楽の種子” が芽吹き、全5曲58分の壮大なるエピックへと成長を遂げた登熟の一枚だと言えるでしょう。
アルバムオープナー、12分のタイトルトラック “Children of the Sounds” はまさにその Hans の哲学を完璧に反映した楽曲です。「僕はいつも、潜在意識のどこかに隠れている偉大で忘れ難いメロディーを出発点として見つけようとするんだよ。僕はそれを良くボーカルメロディーやメインテーマにしたりするんだ。」 という証言は非常に音楽的でインテリジェンスな彼のやり方を裏付けます。
クラッシックやジャズ、ミュージカルで良く使用されるこの “テーマを膨らませる” 手法は、例えばプログメタルに有りがちな様々な異なるパートを複雑に繋いで行く煩雑な手法よりも、楽曲の主題をリスナーに印象づけるという点において非常に有効です。そして 「僕はメインテーマに様々なバリエーションを持たせる技法を良く使用するよ。時には拍子を変えて、時には同じコードで新たに楽器でメロディーを書いたり、時には主題の断片を含ませたり、時にはコードのベースノートだけを変えて少し変わったフィーリングを出すこともあるね。」 と Hans が語る通り、”Children of the Sounds” におけるテーマの膨らませ方は本当に見事の一言ですね。
“ドーシーラーソラー” というシンプルにして心に染み入るメロディーは、Aleena のエモーショナルな女声を発端に、テンポ、拍子、コード、キー、メジャー/マイナーなどを入れ替えながら、万華鏡のようにその姿を変え躍動し、楽曲に無上の彩と強烈な印象を加えていくのです。
再結成以降、ライブは一切行わず、レコーディングも Hans の制作したデモから全てをファイルシェアで行っている KAIPA。とはいえ、「他のメンバーとはもう長年一緒にやって来ているから、デモを作っている間にも彼らの存在を感じることが出来るし、彼らが実際にプレイした最終形も想像することが出来るんだ。」 と語ってくれた通り、Per のメロディックでしかしコンテンポラリーなスマートかつソニカルなギタープレイ、Aleena と Patrick のジャニスとフレディー・マーキュリーを思わせるエモーショナルでコントラストを育むデュエット、Jonas と Morgan の繊細かつダイナミックなリズムワーク、そして Hans のノスタルジックで温かみのあるシンセサウンドは全てが適材適所。美麗なるヴァイオリンや笛の音色まで全てが Hans のデザインを巧みにグレードアップさせ、アートワークにも反映されたファンタジックで、自然に対するスピリチュアルなインスピレーションを見事具現化しているのです。
17分に及ぶ一大エピック、時にソフトに時にエッジーに、70年代のスピリットとモダンなプロダクションで木々や鳥たち、自然にフォーカスした “On The Edge of New Horizon” は Hans だけでなく、まさにバンド KAIPA としてのゴールが達成された瞬間なのかも知れませんね。
今回弊誌では Hans Lundin にインタビューを行うことが出来ました。音楽は音学でもあります。学問は一時の思いつきでは決してなく、太古から積み重ねられてきた知識の集積です。そういった意味で Hans の言う “音楽のライブラリー” からの創造、そしてトラディショナルで正攻法な作曲の手法は実に理に叶っており、これからコンポーザーを志す人たちにとって最高の指南書になるのではないでしょうか。どうぞ!!

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KAIPA “CHILDREN OF THE SOUNDS” : 9.8/10

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COVER STORY 【STEVEN WILSON : TO THE BONE】INTERVIEW WITH NICK BEGGS & TRACK BY TRACK REVIEW


EXCLUSIVE INTERVIEW WITH NICK BEGGS & TRACK BY TRACK OF STEVEN WILSON’S “TO THE BONE” !!

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Steven Wilson’s New Adventure “To The Bone” Is Inspired By The Hugely Ambitious Progressive Pop Records That He Loved In His Youth !!

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TRACK BY TRACK “TO THE BONE”

「最も大きなチャレンジは、楽曲重視のレコードを作ることだよ。メロディーにフォーカスしたね。」 モダンプログレッシブの唱導者 Steven Wilson はそう語ります。モダン=多様性の申し子である世界最高の音楽マニアが、至大なる野心を秘めて放つ5作目のソロワーク “To The Bone” は、自身が若き日に愛した偉大なるポップロックレコードの瑞々しいメロディー、その恩恵を胸いっぱいに浴びた新たなる傑作に仕上がりました。
Steven は “To The Bone” のインスピレーションを具体的に挙げています。Peter Gabriel “So”, Kate Bush “Hounds of Love”, TALK TALK “Colour of Spring”, TEARS FOR FEARS “Seeds of Love”, そして DEPECHE MODE “Violator”。勿論、全てが TOP40を記録したメインストリーム、知的で洗練されたポップロックの極み。
同時に彼は自身のプログレッシブなルーツも5枚提示しています。TANGERINE DREAM “Zeit”, Kate Bush “Hounds of Love”, THROBBING GRISTLE “The Second Annual Report”, PINK FLOYD “Ummagumma”, ABBA “Complete Studio Albums” (全てのスタジオアルバム)。
非常に多様で様々なジャンルのアーティスト、レコードが彼の血肉となっていることは明らかです。ポップサイドでも、フックに溢れた音楽的な作品を、プログレッシブサイドでも、難解なだけではなくサウンドスケープやメロディーに秀でた作品を撰するセンス。両方に含まれる Kate Bush の “Hounds of Love” はある意味象徴的ですが、すなわち、レコード毎にその作風を変化させるマエストロが今回探求するのは ナチュラルにその二者を融合させた “プログレッシブポップ” の領域だったのです。
実際、2011年からレコーディング、ツアーに参加し続けているロングタイムパートナー、チャップマンスティックの使い手 Nick Beggs はこの稀有なるレコードを “クロスオーバー” でそれこそが SW の探求する領域だと認めています。そしてその “違い” こそが様々な批判、賛美を生んでいることも。
「プログレッシブロックのオーディエンスって、実は最もプログレッシブじゃないように思えるんだ。プログレッシブミュージックは、プログレッシブな考え方であるべきなんだよ。」 盟友の心情を代弁するかのように Nick はシーンのあるべき姿をそう語ります。いとも容易くミッドウイークの UK チャートNo.1を獲得したアルバムは、決して “プログレッシブロックの逆襲” “プログの帰還” などというシンプルな具象ではなく、イノベーターの強い意志、情念なのかもしれませんね。

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TRACK 1 “To The Bone”
タイトルトラックにしてオープナー、”To The Bone” はこの芳醇なるレコードの絶妙にして正確なるステートメント。XTC の Andy Partridge が歌詞を手がけた楽曲は、”骨の髄まで” 現在の状況を突き詰め、核となる真実を探し出すことについて歌っています。
言うまでもなく、これはドナルド・トランプ時代の産物です。先のアメリカ大統領戦で私たちが経験したように、真実は時に異なる物の見方を生み出し、事実をねじ曲げてしまう可能性があるのですから。
コンセプトアルバムの形は取らなかった “To The Bone” ですが、どの楽曲にも共通するテーマは存在します。それは現在の世界を決して素晴らしいものとは思わないという視点。Steven はその要因の一つが基本的なマナーの欠如だと述べています。世界には敬意や思いやりに欠く人間があまりに多すぎると嘆いているのです。
そういった背景を鑑みれば、ダイナミックでパワフルなアルバムオープナーがトラディショナルである意味オーソドックスなブルースロックを基調としたことにも頷けますね。勿論、寛容さに欠く時代の真理を独白するアメリカの教員 Jasmin Walkes のスポークンワードで全ての幕が開けることにも。
確かにパワーコードやハーモニカ、自身のラフなリードギター、Jeremy Stacey のファンクなドラミングと Pete Eckford のハンドパーカッションは Steven のイメージとそぐわないかも知れません。ただし、アウトロのアトモスフェリックでエセリアルな表情はまさに彼の真骨頂。つまり Steven の核となる真実、音楽の探求と融合を実証した楽曲。”プログレ” じゃない? Nick Beggs はこう一言 “So What?”

TRACK 2 “Nowhere Now”
ライティングプロセスで Steven が心掛けたのは、複雑性を捨て去り、よりミュージックオリエンテッドな楽曲を生み出すこと。”Nowhere Now” の気に入っていたパートをマエストロはいとも容易く捨て去りました。楽曲のデモバージョンは現在の彼にとって、複雑で長すぎると感じられたのです。
「僕は楽曲の、感情の、メロディーの “ハート” にフォーカスする必要があるんだ。ただし今でも興味深い楽曲を制作したいという願望はあるよ。」 そう語る Steven の “プログレッシブ” は、幾重にもレイヤーされた美麗なるプロダクションやアレンジメントに主張されています。勿論、以前に比べてエレクトロニカサウンドが増している点もそこに繋がるはずですね。
複雑性やテクニカルを極力廃すというアルバムの方針は、お抱えのギターマイスター Dave Kilminster の出番も無くしました。Steven はより自身の感情を反映するため、自らのプレイをギターの軸に据えたのです。とはいえ、面白いことに Dave のボーカルハーモニーは必要とされ4曲にコーラスを挿入しているのですが。
“地下6フィート(墓穴の深さ)、僕たちは今、後方へと進んでいる” というファーストラインは、人類が退化の真っただ中にあることを諮詢しています。しかし、浮遊感を伴う極限にキャッチーなコーラスでは美しき地球を宇宙から俯瞰で見下ろし、ポジティブで広い視野を得るのです。

TRACK3 “Pariah”
ドリーミーなシンセサイザーのシーケンスに幕を開け、エセリアルなシューゲイザーで幕を閉じるコンテンポラリーなドリームポップチューンは Steven とイスラエルのフィーメイルシンガー Ninet Tayeb の優艶なるデュエット。”Hand. Cannot. Erase.” から続く2人のコラボレーションは円熟の域に達し、あざといほど典型的に、諦めないことを、ポジティブなメッセージを届けるのです。

TRACK4 “The Same Asylum As Before”
Steven は “To The Bone” でテレキャスターと恋に落ちたと語ります。”The Same Asylum As Before” のトレブリーで細く硬質なギターサウンドは、まさにテレキャスターソングの典型だと言えるでしょう。
ドライブやディストーションをあまり加えることなくロック出来るテレキャスター。その真の魅力に気づいたと Steve は語ります。勿論、これが Pete Townshend のサウンドであるとも。
ボーカルの延長としてよりレイドバックし、メロディーやキャッチーさを強調する彼のギターワークは鮮彩に躍動していますね。詩情豊かなファルセットは楽曲に陰影をもたらし、”Kashmir” を想起させるコーラスパートも出色です。

TRACK5 “Refuge”
フランス北部の港町カレー。ヨーロッパ最大規模の難民キャンプは治安も衛生状態も悪化していました。経済的に豊かな英国へ渡ろうと、トラックや列車に飛び移り命を落とす難民も現れたのです。Steven は政治的な楽曲を書くつもりはないと語ります。あくまで人間のストーリーを描きたいとも。Refuge では愛する家族や母国から切り離されることの痛みについて歌っているのです。
ポリフォニックシンセサイザー Prophet-6 のアルペジエーターが、この実験的でアンビエントなエレクトロニカチューンのベースとなっていることは明らかです。ポストプログレッシブなイメージが強調された楽曲には Robert Wyatt が “Rock Bottom” で使用したキーボード、Paul Stacey のギターソロも収録され、独特な世界観の構築に貢献しています。

TRACK6 “Permanating”
「どのレコードでも僕は多様性を創造しようとしているんだ。僕にとってはそれこそが本当に満足出来るアルバムを作る秘訣さ。」 “Diversity”, “Eclectic” というワードがモダンミュージックのベースとなっていることは言うまでもありませんが、Steven Wilson が “Permanating” で提示した眩い音楽はそれにしても驚きだと感じます。
ビッグシングルにしてメインストリームなポップフィールで満たされた楽曲には、彼の70年代ディスコミュージック、ABBA への強い愛情が込められているのです。PINK FLOYD と Donna Summer を等しく愛する Steven は「セルアウトと言われるかも知れないけど、ポップスを愛しているんだから仕方がない。」 と語っています。
人生の大半は喜びでも悲しみでもなく、ただ存在するだけだと話す Steven。故にクリスタルのような輝かしい瞬間を保持して生きるべきだと。”Permanating” はまさにその究極に幸せで楽しい時間を切り取った楽曲なのです。

TRACK7 “Blank Tapes”
“Permanating” での華やかな雰囲気から一変、”Blank Tapes” は悲しみと嘆きのバラードです。男女の別れを描いた楽曲は、Steven が男性の視点で、Ninet が女性の視点でストーリーを紡いでいきます。
Ninet の Rod Stewart を思わせる情感豊かな歌唱は、ギター、ピアノ、メロトロンというシンプルな演奏に良く映えていますね。

TRACK8 “People Who Eat Darkness”
パンキッシュで衝動的な “People Who Eat Darkness” はパリの Bataclan シアターでのテロの後に書かれた楽曲です。テロとその後のメディア報道に Steven は、穏やかな隣人が突然テロリストとなる狂気に戦慄を覚えます。彼はいつも、宗教、政治といったマクロなテーマそれ自体よりも、その中で翻弄される人間に着目するのです。
「階段でよくすれ違っていたんだけど、彼はいつもニコニコと笑顔で挨拶してくれたの。買い物を持ってくれたりしてね。普通の素敵な若い男性だったわ。」 インタビューを受けた隣人の言葉には 、”普通” に見える人間が、怒り、憎しみ、狂気を抱え闇に飲まれている可能性を諮詢しています。分断された現代社会で、果たして誰がそれに気づくことが出来るのでしょうか?

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TRACK9 “Song of I”
スイス人女性シンガー Sophie Hunger とのデュエットは、アルバムで最もエレクトロニカサウンドをセンターに据えた楽曲に仕上がりました。「最近のラップはロックより革新的だよ。」 と嘯いた Steven。”Song of I” には Rihanna をフィーチャーした Kendric Lamar の “Loyality.” を想起させる瞬間が確かに存在します。
ある種淡々とした音像の中で、淡々と伝えられるのは以外にもロマンティックなメッセージ。「タバコも、アルコールも、ギャンブルも、オールだって何だって諦めるけど、あなただけは諦められないよ。」 こういった強迫観念に男女の差異は存在せず、故にデュエットという形がフィットするのかもしれませんね。

TRACK10 “Detonation”
エレクトロビートと Jeremy Stacey のダイナミックなドラムスが目まぐるしく交差するイレギュラーな楽曲は、時にポピュラー音楽史上最も成功した作曲家 Paul McCartney and WINGS の “Live and Let Die” をイメージさせます。”Detonation” には二つの意志が存在するのかも知れません。
楽曲はフロリダの同性愛者クラブで起きたテロリズムに触発されて書かれました。犯人は確かに「アッラーフ・アクバル」 と叫び神に忠誠を誓ったように犯行を行いましたが、実際は自分自身の偏見や憎しみを正当化するためにイスラム教の皮を被っていたようにも思えます。
“Detonation” の最初の一行、「神よ、私はあなたを信じませんが、あなたが望むことはやり遂げます。」 とはすなわち、信じないものの力を借りた自身の正当化です。Steven はこの歪んだ現代社会において、自己に潜む嫌悪感や憎しみを隠すため、宗教へと目を向ける人が存在すると信じているのです。
ともあれ、”Detonation” は Steven の作品でも秀逸なロングピースで、スロバキアのギタリスト David Kollar のマクラフリン風ギターが炸裂するアウトロは実にエキサイティングだと言えますね。

TRACK11 “Song of Unborn”
“Unborn” とはまだ生誕していない命、胎児。Steven はこの感動的なアルバムクローサーで、生まれくる命に子宮の外の危うさを伝えます。ただし、これが彼の典型的なバラード “Routine” や “The Raven that Refused to Sing” と決定的に異なるのは、究極的には希望を宿している点です。”Don’t be afraid to live” 生きることを恐れないでと Steven は歌います。確かに残念な世の中だけど、それでも全ての命はユニークで、時には本当にスペシャルなものへと変わることもあるんだよと。
自分の人生を抱きしめれば、命は深遠に達するという美しいメッセージは、オプティミズムの象徴とも思える美麗なるクワイア、コーラス隊を誘って世界へと降り注ぐのです。

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Steven は、”To The Bone” には以前のレコードにはないエモーション、人々の心を動かす感動が存在すると語ります。ビートルズ、ストーンズ、ゼップ、フロイド、ディラン…彼が崇拝するレコードの大半は、アーティストが20代で制作したもの。しかし、自分は30代から花開き、どんどん良くなっていると Steven は語ります。”To The Bone” が最高傑作だと信じて疑わないことも。「僕は歳を重ねるほど、音楽のコア、真実のエモーションが掴みやすくなるからね。」

参考文献「Steven Wilson :To The Bone: A track-by-track guide 」2017年8月17日

STEVEN WILSON “TO THE BONE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LEPROUS : MALINA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BAARD KOLSTAD OF LEPROUS !!

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Norwegian Prog Metal Innovator, Leprous Delivers A Different Organic Flavour With Another Beautiful Album “Malina” !!

DISC REVIEW “MALINA”

“皇帝” の庇護から脱却し、独自のプログレッシブワールドを追及するノルウェーの先覚者 LEPROUS が、ジャンルという鳥籠からブレイクスルーを果たす新作 “Malina” をリリースします!才気煥発なモダンプログレッシブの麒麟児は、シーンのフラッグシップとして地図にはない道をスタイリッシュに切り開いて行きます。
当初は EMPEROR、そしてノルウェーミュージックシーンの首謀者 Ihsahn のバックバンドとして注目を浴びた LEPROUS。しかしバンドの独創的かつ洗練されたクリエイティビティー、天性の審美眼はすでにその肩書きをも遠く置き去りにしています。
LEPROUS のその深遠は、変貌や流動といった言葉に象徴されるのかも知れませんね。まずバンドメンバーが非常に流動的です。世代最高のシンガーにして唯一無二のコンポーザー、キーボードも担当するマスターマインド Einar Solberg、そしてギタープレイヤー Tor Oddmund Suhrke。在籍するオリジナルメンバーは現在彼ら二人のみ。今作では長年バンドに多大な貢献を果たしてきたギタリストの一翼 Øystein Landsverk も脱退し、後任に Robin Ognedal, ベーシストも新たに Simen Børven を迎えて制作されたのです。
変わりゆくのはメンバーだけではありません。バンドはその音の潮流もアルバム毎に脈動させて来たと言えます。実はパンクバンドとしてスタートした LEPROUS。プログメタル、アヴァンギャルド、オルタナティブにポストハードコアと作品ごとにフォーカスするサウンドテーマを変転させつつ、巧みに Djent やポスト系、ブラックメタルの要素も取り入れ、多様なモダンプログレッシブの世界観を構築して来たバンドは、しかし同時に Einar の絶対的な歌唱を軸とした仄暗く美麗なムードをトレードマークとして近年掲げるようになったのです。
2010年代最高のプログメタルオペラとなった “Coal” の後、彼らはより “硬質” でデジタルな作品 “The Congregation” をリリースします。メタリックな音像、正確性と複雑性を極めたバンドが次に見据えた先は、よりオーガニックでナチュラルなサウンドとジャンルの破壊でした。
「アルバムの “全てのインフォメーション” を直ちに伝える」 と Baard が語るように、アルバムオープナー “Bonneville” はまさに変化の象徴です。ジャズのリズムと繊細なギタートーンに導かれ、Einar は朗々と官能のメロディーを歌い紡いで行きます。比較するならば彼が敬愛する RADIOHEAD やMUSE でしょうか。
インテリジェンスとエモーションが有機的に溶け合った切なくも美しいそのサウンドスケープは、メタルやプログレッシブという狭い枷からバンドを緩やかに解き放ち、アーティスティックで “ロック” な新生 LEPROUS を主張します。楽曲序盤と、ポストメタルの激情を伴うコーラスパートとの対比も効果的で、アルバムは確実にそのダイナミズムを増していますね。
さらに、前作から加わったドラマー Baard のアイデア、テクニックはアルバムを通して群を抜いており、当然 “Bonneville” の細やかで斬新なハイハットワーク、ゴーストノートの魔術は明らかに楽曲を強く牽引しています。
“Captive” から “Illuminate” への流れはアルバムのハイライトと言えるかも知れません。複雑なタイムストラクチャーと相反するキャッチーなボーカルラインはまさしく LEPROUS の真骨頂。とは言え確かに譜割には Djenty な要素も色濃いものの、ギターや鍵盤の音色が実に繊細で生々しくヴィンテージとさえ言えるために、異能のドラムワークを含め、結果として極めて興味深い斬新なデザインのサウンドストラクチャーを堪能することが出来るのです。
ソフトで音楽的な “スペース” が広がったシネマティックな “Malina” で、弦楽器チェロの使用は詩情豊かな作品の芸術性を一段と高めていますね。例えば “Stuck” では弾力に満ちたギターリック、温かみのある鍵盤とコントラストを描くシリアスなムードを楽曲へともたらしていますし、ポストロックに接近したタイトルトラック “Malina” ではより実験的でアーティスティックなイメージを生んでいます。
アルバムを締めくくる “The Last Milestone” は Einar の独壇場。パーフェクトなクラッシックオペラ。高齢にもかかわらず、生きるためラズベリーを売り歩かなければならないグルジアの老婆にインスパイアされた心震えるアルバムは、実に切なく、悲しく、幽暗かつシリアスで、しかし崇高なる無上の美を秘めて幕を閉じました。
「僕たちは典型的な所謂 “ビッグメタルサウンド” を求めていなかったんだ。」 様々な要素、テクニックが “オーガニック” というキーワード、そして哀切のストーリーに注がれた純然たる “ロック” の傑作 “Malina”。リリースは 8/25。シーン屈指のレコーディングチーム David Castillo & Jens Bogren のタッグも健在です。
今回弊誌では、シーン屈指のドラマー Baard Kolstad にインタビューを行うことが出来ました!バンドとしては前回の Einar に続き二度目の登場です!どうぞ!!

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LEPROUS “MALINA” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHON : HOMEY】JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERICK HANSEL OF CHON !!

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California Based, Incredible Jazz-Math Rock Trio, Chon Advance Into New Realm With The Masterpiece “Homey” !!

DISC REVIEW “HOMEY”

インストゥルメンタルミュージックの未来を切り開く時代の寵児。サンディエゴのジャズ/マスロックトリオ CHON が、シーンの輿望を担う最新作 “Homey” をリリースしました!!バンドの “ホーミー” である南カリフォルニアの太陽、空気、夏の匂いを一身に浴び、望外なまでにチルアウトしたレコードは、ジャンルに海風という新風を吹き込んでいます。
CHON が2015年にリリースしたファーストフルレングス、 “Grow” はバンドのユニークな才能や感受性を見せつける素晴らしきショーケースとなりました。ソフトでカラフルなコードワーク、デリケートでピクチャレスクなリードプレイ、ダイナミックに研ぎ澄まされたバンドサウンド。高度な知性と屈託のない無邪気さが同居する、オーガニックかつテクニカルなその世界観はまさしく唯一無二で、スメリアンの秘蔵っ子から一躍シーンのサウンドアイコンへと飛躍を果たすことになったのです。
バンドのホームタウン、カリフォルニアにインスパイアされ制作された最新作 “Homey” は、”Grow” で見せた圧倒的な光彩はそのままに、その鋭敏な感性が掴まえたエレクトロニカ、アンビエント、ハウスなど所謂チル系のトレンドを大胆に咀嚼し、トロピカルで新鮮なムードとテクニカルなマスロックを共存させることに成功していますね。
アルバムオープナー、”Sleepy Tea” は、インタビューにもあるように、驚異的なまでに進化した CHON のインストゥルメンタルワークを堪能出来る楽曲です。猫の目のように変化する細やかなリズムアプローチは、Mario と Erick のギターチームがダンスを踊る最高の舞台。時に奔放に、時に精巧に、極上のメロディーとエキサイトメントを運ぶニ人の複雑で甘い関係は、奇跡の距離感で音のユーフォリアを紡いで行きます。
CHON の豊潤なる味わい深さの一端は、モダンの中に見せるオールドスクールな部分かも知れません。特に今作では、フュージョンと言うよりもビバップやモダンジャズのスウィング、ツーファイブ、フォービート、フレージング、シンコペーションが丹念に織り込まれており、得も言われぬコントラストを創出しています。例えば、”Checkpoint” などはマスロックの顔をしたジャズスタンダードのナンバーだと言えるかも知れませんね。
当然、手数とグルーヴを両立させた Nathan Camarena のドラム捌きも卓越しており、突っこみ気味でバンドを牽引するそのエナジーは圧倒的。ゲストに迎えた Brian Evans のパーカッション、有機的でムーヴアラウンドな Anthony Crawford のベースラインとも相俟って、型破りでマスロックの可能性を再定義するようなデザインをアルバムを通して描いていますね。
同じくサンディエゴを拠点に活躍する、ビートメーカー/ジャズギタリスト Go Yama をフィーチャーした “Berry Streets” は CHON の新たな冒険を象徴する楽曲です。現在進行形のトレンドであるトロピカルハウスを主軸としたトラックは、あまりにノスタルジックでアンビエント。カリフォルニアのビーチで沈みゆく夕日を惜しみつつ聴くために作られたかのような至高のチルウェイブに仕上がっています。
同時に CHON のジャジーなインストゥルメンタルワークも効果的に挿入されており、Erick がインタビューで語ってくれた通り、結果として二つのジャンル、二つの才能が見事に融合し開花した独創的で至妙な世界観を構築することに成功しているのです。
新進気鋭の シンガー/サックス奏者 Masego を起用した “Nayhoo” もコラボレートの成果が際立って実を結んだ一曲です。ソウル/エレクトロジャズの領域へと踏み込んだ楽曲は、Masego のエモーショナルなボーカルを芯柱とし、匂い立つような色気、スイートな瞬間をアルバムへもたらしていますね。勿論、Thundercat や、FLYING LOTUS がフェイバリットに挙がっている事実を知るまでもなく、ここで彼らが、Jazz の領域を拡大する Robert Glasper と “Jazz The New Chapter” のフロンティア精神を意識したことは明らかです。
「自分たちが気に入るサウンドの楽曲を書き続けて、叶うならファンも僕たちの音楽を好きになり続けてくれることだね。その過程で、さらに新たなファンも開拓出来たら良いな。」
世界最高峰のエレクトロポップを創造するビートメーカー、Giraffage A.K.A. Charlie Yin との共演にも言えますが、既存のファン層からある程度の反発を見越しても、より幅広いマスリスナーへとアピールし、音楽的なチャレンジを続けることこそがバンドのゴールだと Erick は認めています。そして CHON の掲げる、その本来の意味でのロックスピリットは必ず報われるべきだと感じました。
今回弊誌では、ギタリストの一人 Erick Hansel にインタビューを行うことが出来ました。もし、”Homey” のムードやスピリットが気に入ったなら、Jakub Zytecki の最新ソロEP “Feather Bed” や、先日弊誌でも特集を組んだ ichika の新プロジェクト AMONG THE SLEEP へと歩みを進めてみるのも一興です。どうぞ!!

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CHON “HOMEY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【tfvsjs : 在 zoi】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADONIAN CHAN OF tfvsjs !!

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The Innovative Math/Post Rock Act From Hong Kong, tfvsjs Has Released “Math Rock With A Canton Twist” Record “在 zoi” !!

DISC REVIEW “在 zoi”

頽廃と精神、暗澹と光明のコントラストを司る、香港のマスロック/ポストロックイノベーター tfvsjs が豊かな可能性に満ちた新作 “在 zoi” をリリースしました!!圧倒的なダイナミズムと多様性を備えたアルバムは、White Noise Records というキーワードともリンクしてアジア圏インストゥルメンタルの目を見張る進歩を証明する1枚となるでしょう。
複雑で予想不可能、しかし美しく感情豊かなピースを創造する tfvsjs が素晴らしきデビュー作 “equal unequals to equal” の後提示したのは、よりダークでヘヴィーな世界観でした。Adonian はその理由について 「僕たちがここ何年か香港で経験したことをどうしても反映しているからだと思うんだよ。政治は毎日僕たちの心を混乱させ、日常生活にも強く影響するんだ。そんな重荷を抱えた状況で作られた訳だから、音楽が僕たちの捌け口となった面は否めないと思うんだ。」 と語ります。
TTNG, Mylets のメンバーが香港のライブハウス Hidden Agenda で、不法就労の疑いにより警察に身柄を拘束された5月の事件をご記憶の方も多いでしょう。一見、ビザの申請を行う行わないという単純な話にも見えますが、実はこの事件こそ香港の闇を反映し象徴しているのです。
香港では、音楽の興行は商業地帯でしか認められていません。しかし商業地帯の非常に高価な賃料のせいで、ライブハウスを経営することは現実的ではないのです。Hidden Agenda はしかしながら、インディペンデントなアーティストを応援したいという情熱によって、賃料の安い “グレーゾーン” 工業地帯で幾度も場所や手法を変えながら何とか営業を続けて来たライブハウスでした。グレーなやり方のために当局からは目をつけられ、ビザの申請も難しいという背景が存在したようですね。
勿論、国によって文化や法律は異なるため、正義を単純に定義することは出来ません。ただ、才能溢れるインディペンデントなアーティストが演奏する場所を奪われていることは確かで、日本にとっても単なる対岸の火事とは思えません。何より、「自由と多様性の国際都市である香港は、クリエイティブなパフォーマンスと作品がもっと繁栄していく機会を創るべきだね。」 という TTNG, Mylets のコメントが全てを語っている気がします。
tfvsjs の言う “ここ何年か香港で経験したこと” は実は Hidden Agenda のケースとシンクロしています。彼らもまた工業地帯で、音楽活動を続けるために機材を持ち込んだスタジオ型のレストラン tfvsjs.syut をオープンさせていました。非常に人気のあったその場所は、しかし当局の立ち退き命令により昨年閉店を迎えてしまいます。
確かに違法性を宿すグレーゾーンでの出来事。ただ、アイコニックな表現者を的とした一連の強硬な流れには、一国二制度の下で保たれている香港の政治的、文化的な自治性の揺らぎを感じざるを得ません。「政治的にも文化的にも中国というより香港のバンド」 と語る彼らのアイデンティティーが保たれることを望むばかりです。
そういった経緯を念頭に置けば、tfvsjs の新たなレコードが、ダークでインテンス、そしてノイジーでドゥーミーなムードを加えたことにも納得が行くはずです。無音とノイズのコンビネーションで幕を開けるアルバムオープナー “Burn all flags,” は実際、頽廃と精神性を隠喩しているようにも思えます。
勿論、もとより一つのジャンルに収まるバンドではありません。2005年に結成された tfvsjs は、以前ボーカルやトランペッターまでをも擁していました。インタビューで hip hop をよく聴いていると語ってくれた通り、メンバー各自の多様な音楽的素養は、窮屈な政治の下でも型にハマらない自由な創作活動を可能としているのです。
何よりトレードマークとも言えるツインドラムスが生み出すダイナミズムは圧巻の一言。ツインギターとツインドラムスによるコール&レスポンスは、複雑な展開でも、シンプルなビートにおいてもまるで二つのバンドが共演しているかのようなエキサイトメントをリスナーへと届けます。爽涼なマスロックと轟音のドゥームゲイズを同時に梱包したかのような “and paint our pupils with ashes” はまさにその象徴だと言えますね。
7th や9th のテンションノートをメカニカルな五線譜へ巧みに配置した “Shrine of our despair”、YES の “燃える朝焼け” をイメージさせるスリリングでプログレッシブな “Battle From The Bottom”、ポストロックとアジアの悠久が見事に調和する “無以名状” を経てたどり着く “滅曲” は間違いなくアルバムのハイライト。
フラストレーションの捌け口となった楽曲で、ブラックゲイズのトレモロは慟哭を、マスロックの暖かなメロディーは光明を代弁し、極上のコントラストはまるで闇夜に浮かび上がる月華の如くリスナーの心を動かします。
日本のマスロックレジェンド toe の美濃氏がミキシングとマスタリングを手がけたことで、サウンドも丹念に磨きあげられ間違いなく作品の充実へと繋がっていますね。
今回弊誌では、ギタリストでコンポーザー Adonian Chan にインタビューを行うことが出来ました。昨年は Summer Sonic にも出演を果たした香港の英雄です。どうぞ!!

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