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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GLEB KOLYADIN (IAMTHEMORNING) : GLEB KOLYADIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GLEB KOLYADIN OF IAMTHEMORNING !!

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Not Only A Gifted Pianist And Keyboardist, But A Brilliant Songwriter And Arranger, Iamthemorning’s Keyboard Wizard Gleb Kolyadin Shows His Incredible Talent With His Kaleidoscope-ish Solo Debut “Gleb Kolyadin” !!

DISC REVIEW “GLEB KOLYADIN”

崇高で森厳なる夢幻世界を具現化し、知性とロマンの宝石箱でプログシーンに衝撃をもたらした iamthemorning。幽玄の歌姫 Marjana を存分に駆使するコンダクター、Gleb Kolyadin が自身の “音楽日記” を更新するソロデビュー作 “Gleb Kolyadin” をリリースしました!!
万華鏡の世界観で待望の “キーボードヒーロー” が紡ぐ豊潤で鮮やかなサウンドスケープは、弦数を増やし複雑さと重厚さで近代インストゥルメンタルミュージックの花形となったギターへと突きつけた挑戦状なのかも知れませんね。
「この作品のアイデアは何年も前から積み重ねられて来たものだということなんだ。僕は長年、”Polonuimcubes” という音楽日記のようなものを書き続けているんだよ。」セルフタイトルで自身のポートレートをアートワークに冠した作品は、Gleb の書き連ねた音楽日記と自身のパーソナリティーを投影したまさに自叙伝のようなアルバムです。
“From Stravinsky to Keith Jarrett to ELP”。クラッシック、現代音楽、ジャズ、アンビエント、そしてプログレッシブに敬意を表したマイスターの自叙伝、ワイドで限定されない豊かなイマジネーションは、まさに多様なモダンミュージックの雛形だと言えますね。グランドピアノの凛とした響きは、時に Chick Corea の流麗なエレクトリックキーボードや Brian Eno の空間の美学へと移行し、全てを抱きしめたロシアンマイスターの傑出した才能を伝えています。
つまり、Gavin Harrison, Nick Beggs, Theo Travis といったプログシーンの重鎮がドラムス、ベース、フルート&サックスで牽引し、スーパースター Steve Hogarth, Jordan Rudess がゲスト参加を果たしたこのレコードでは、しかし Gleb こそが凛然と輝く星斗。
アルバムオープナー、”Insight” は Gleb の新たな音旅への “洞察” を高めるリスナーへのインビテーション。Gleb のピアノと Gavin のドラムスは、まさに一枚岩の如く強固に同調しアルバムの骨格を形成し、サックスと弦楽器を巧みに操るシンセサイザーの躍動は印象的なメロディーの潮流と共に作品の自由と鮮度を伝えます。
万華鏡の世界観を象徴する “Kaleidoscope” はモダンとレトロの交差点。プログレッシブの遺産を濃密に宿したピアノが奏でる爽快なテーマは ELP の “Hoedown” にも通じ、Gleb の繊細かつ大胆な鍵盤捌きは言葉を失うほどにスリリングです。
Tatiana Dubovaya のエセリアルなコーラスが切れ込むと雰囲気は一変し、突如として世界は荘厳なる現代的なアトモスフィアに包まれます。そうして楽曲は、フルートの音色を皮切りにエレクトリックカーニバルの大円団へと向かうのです。もちろんここに広がる多彩な”Kscope” はレーベルの美学、ポストプログレッシブの理念とも一致していますね。
そうして “Eidolon”, “Constellation/ The Bell” といった浪漫溢れるピアノの小曲と同様に、ボーカル曲も “Gleb Kolyadin” が誇る “Kscope” の一つとなりました。
“Storyteller” で Jordan Rudess とのヒリヒリするようなインテンスを終えた後辿り着く”The Best of Days” は終幕に相応しき叙情のドラマ。MARILLION の Steve Hogarth と Gleb のコンビネーションは極上のアトモスフィアとセンチメントを創造し、ノスタルジアを深く湛えた楽曲はリスナーの過去へと旅立ち “古き良き日” を克明にイメージさせるのです。
「現在ピアノは、僕にとって自分の思考や感情を表現するためのベストなオプションなんだ。」と語る Gleb。どこまでも謙虚なピアノマンはしかし、間違いなくプログシーンのセンターに立っています。長く待ち望まれた新たな鍵盤の魔術師はロシアからの登場。Gleb Kolyadin です。どうぞ!!

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GLEB KOLYADIN “GLEB KOLYADIN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DUKES OF THE ORIENT : DUKES OF THE ORIENT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERIK NORLANDER FROM DUKES OF THE ORIENT !!

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John Payne & Erik Norlander, A Journey That Started With The Supergroup Asia Gives You The Next Chapter Of Legacy, With Dukes Of The Orient !!

DISC REVIEW “DUKES OF THE ORIENT”

誇り高きプログレッシブの遺産と、陰りを帯びた伝統のメロディーを受け継ぐ稀代のミッシングリンク John Payne & Erik Norlander。両雄の鼓動と哲学が交差する DUKES OF THE ORIENT は、凛とした王の血脈を真率に後の世へと伝えます。
巨星 John Wetton の逝去こそが DUKES OF THE ORIENT 生誕のきっかけでした。長らく Wetton の後任として ASIA を牽引し孤軍奮闘を重ねた勇夫 John Payne は、厳しく比較され続けたマエストロの死を機縁に ASIA の金看板を降ろす決断を下します。それは遂に訪れた、彼に巣食う潜在的重圧からの解放だったのかも知れません。
ご存知の通り、ASIA は Payne がフロントを務めた “Paysia” の不遇もあり2006年にオリジナルメンバーでのリユニオンを果たしています。マザーシップから突如として下船を余儀なくされた Payne は、Geoff Downes を除く後期 “Paysia” のメンバー Guthrie Govan, Jay Schellen を伴い、日本が誇る鍵盤の大家、奥本亮氏をリクルートし新たなプロジェクト GPS を立ち上げ唯一のアルバム “Window to the Soul” をリリースしたのです。
“Paysia” の作品となるはずだった “Architect of Time” から楽曲を流用した “Window to the Soul” はメンバーの卓越した技量を反映した充実作でしたが、結局は Payne が ASIA の呪縛から解き放たれることはなく、GPS はオリジナル ASIA の了承を経て ASIA の楽曲をプレイする ASIA Featuring John Payne へと形を変えて存続することになったのです。
ASIA Featuring John Payne で John と運命の邂逅を果たしたのがキーボードウィザード Erik Norlander でした。妻 Lana Lane の作品をはじめ、自身のバンド ROCKET SCIENTISTS, DIO の落胤 LAST IN LINE 等でスマートかつロマンティックな鍵盤捌きを披露するツボを十二分に心得た名コンポーザーとの出会いは、10年という遥かなる時を超え ASIA の名と別れを告げた素晴らしき DUKES OF THE ORIENT の音楽へと繋がることとなりました。(但し、ASIA Featuring John Payne もライブアクトとしては存続するそう。)
異論は多々あるでしょうが、Payne をフロントに据えた ASIA は、少なくとも音楽的には充実したスティントでした。Downes/Payne のコラボレーションは、90年代から00年代初頭というメロディック/プログロック不毛の時代に、確かに命を繫ぐ質実なる実りをもたらしました。ただ、ASIA らしいロマンチシズムから意図的に距離を置き、Payne の野性味溢れる声質をハード&キャッチーに活かす選択は、忠実なファンやレーベルからのサポートをも遠ざける結果になりました。プログレッシブポップが花開く近年を鑑みれば或いは時期尚早だったのかも知れませんね。
ASIA の名を返還した DUKES OF THE ORIENT で John Payne は自由でした。John Wetton との差異を殊更強調する必要もなく、自らの内なる ASIA 全てを表現することが出来たのかも知れませんね。
実際、”血の絆” を響かせるオープナー “Brother In Arms” はオリジナル ASIA と “Paysia” がナチュラルに融合したバンドのマイルストーンだと言えるでしょう。ハードでダイナミックなアレンジや Payne のトレードマークとも言える重厚なコーラスワークは “Aria” の頃の “Paysia” を、溢れ出る哀愁に叙情、ロマンチシズムはオリジナル ASIA をそれぞれ喚起させ双方の美点を5分間のドラマへと昇華します。
同様に “True Colors” の劇的なメロディーを宿す “Strange Days” では、繊細なアレンジメント、アンセミックなキーボード、Guthrie Govan の傑出したギターワークで “Aura” で示した “Paysia” の可能性をも明確に示唆します。
勿論、オリジナル ASIA のコードセクエンスや “ダウンズサウンド” を惜しみなく披露する “Time Waits For No One” “Fourth of July” 等はやり過ぎの感もありますが、同時に荘厳にして華麗、好き者には堪らない胸踊る完成度であることも事実。
加えて、Erik が 「僕は ELP, YES, KING CRIMSON, JETHRO TULL, PROCOL HARUM といった偉大なバンドたち、70年代のブリティッシュプログと共に育ったんだ。それこそが僕の音楽的なルーツだよ。同じようなルーツを ASIA も持っているんだ。」 と語るように、”Fourth of July” のドラマティックな後半部分では、ASIA よりも “プログレッシブ” な先人達の遺産を巧みに消化し、8分間のエピックに相応しき構成と展開を築き上げているのですから感服の一言です。
“A Sorrow’s Crown”, “Give Another Reason” で魅せるチャーチオルガンやスパニッシュギターの躍動感も DUKES OF THE ORIENT の存在感を一際掻き立て、Jay Schellen のコンテンポラリーかつ安定感のあるドラミング、Rodney Matthews の美しきアートワークと共に UK プログレッシブの伝統と血の繋がりを強く主張しています。
少なくとも、90年代からシーンを見守って来たファンであれば、Payne & Norlander 2人の才能や存在自体があまりにも過小評価されていることは憂慮しているはずです。”Dukes of the Orient” にはその評価を覆すだけの稀有なる魔法が存在するのでしょうか?”Only Time Will Tell”。時が来ればその答えは出るはずです。きっと良い方向に。
今回弊誌では、Erik Norlander にインタビューを行うことが出来ました。奥様からもメッセージをいただけましたので、Lana Lane ファンも必読です。どうぞ!!

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DUKES OF THE ORIENT “DUKES OF THE ORIENT : 9.8/10

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WORLD PREMIERE “WHILE THIS WAY” 【ÁRSTÍÐIR : NIVALIS】


WORLD PREMIERE: ÁRSTÍÐIR “WHILE THIS WAY” FROM “NIVALIS”

ÁRSTÍÐIR redefine their sound and take an evolutionary quantum leap that will catapult the eclectic Icelandic band from a highly praised phenomenon at the fringe straight to the centre of international attention. ÁRSTÍÐIR were never an ugly duckling, but now their musical swan has emerged in its full glorious beauty on ‘Nivalis’.

エクレクティックな音のダンス。アイスランドの美しき白鳥 ÁRSTÍÐIR が飛躍的進化を果たす新作 “NIVALIS” を6/22にりりーすします!インディー、プログ、フォーク、チェンバー、クラシカル、ポストロック。ÁRSTÍÐIR を定義する要素は多々ありますが、彼らはそのどの場所にも止まってはいません。アイスランド語で四季を意味するバンド名。アコースティックの美しき響きはミニマルなエレクトロニカのカウンターパーツとして、儚い壊れ物の感情とメランコリーを喚起します。

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Those inevitable comparisons with fellow countrymen SIGUR RÓS will most likely not go away with ‘Nivalis’, although ÁRSTÍÐIR have clearly developed a style very much their own. Yet other parallels drawn about past references such as SIMON & GARFUNKEL or PENTANGLE are bound to make way to fresher and more recent names pointing way past the also previously mentioned RADIOHEAD.

もちろん、同郷の SIGUR RÓS との比較は避けがたい事象でしたが、それさえも振り払うほどの革新が “Nivalis” には存在します。同様に過去多く比較を繰り返された SIMON & GARFUNKEL, PENTANGLE, そして RADIOHEAD の幻影からも歩みを進めているのです。

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“We are so pleased to finally be able to present to you the first single from our upcoming album ‘Nivalis’, entitled ‘While this Way’. This song was in the works for over a year before it came to be what you’re hearing now. If you managed to catch us on the Sólstafir tour at the end of 2017, it might sound familiar. We kind of ‘tested’ this song out on you, the audience, every night and fine-tuned it to exactly the point where we wanted it to be. We hope that you love it as much as we do!”

遂に新作 “Nivalis”からファーストトラック “While This Way” を公開することが出来て嬉しいよ。この楽曲には今の形になるまでに一年以上の月日を注いだんだ。SOLSTAFIR との昨年のツアーで、毎晩この楽曲をテストしていたくらいでね。おかげで目指す形へと辿り着いたよ。僕らと同じくらい気に入ってくれたらいいな!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KINO : RADIO VOLTAIRE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHN MITCHELL OF KINO !!

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A Sleeping Prog Supergroup, Kino Emerges For The First Time In 13 Years With Incredible Prog Pop Drama “Radio Voltaire” !!

DISC REVIEW “RADIO VOLTAIRE”

至高の幻影 “Picture” を残し忽然と姿を消したプログワールドの蜃気楼、KINO が甦生の返り花 “Radio Voltaire” を海外で3/23に、日本では4/25にリリースします!!奇蹟にも思える陽炎13年振りの再臨は、残像に支配された長年の空寂をいとも簡単に切り裂きます。
MARILLION の Pete Trewavas、IT BITES の John Beck、ARENA の John Mitchell、PORCUPINE TREE の Chris Maitland が集結しリリースした KINO のデビューアルバム “Picture” は、プログレッシブ第二世代以降の才腕を凝縮し遺憾無く発揮したスマートかつメロディアスな洗練の極みだったと言えるでしょう。しかしスーパーバンドは一夜限りの砂上の楼閣。音もなく崩壊し、各自己のキャリアへと踵を返した経緯はごく自然にも思えました。
ただ、プログロックのファンは決して名作を忘れません。燻り続けた新作を望む声はレーベルを、やがては 「KINO を復活させることは考えてもいなかった。」 と語るメンバー本人たちをも動かしました。
復活作のキャストは期待通り、ほぼオリジナルメンバーが揃いました。ただ、ドラマー Chris は不参加で後任を FROST*/Steven Wilson の Craig Blundell が務め、John Beck は Fish との仕事の為にゲスト参加扱いですが。
気鋭のアーティスト Paul Tippet の手による色鮮やかでしかしどこかシニカルなアートワークは、”明白な真実” のみを語るレディオショウへとリスナーを存分に誘い、1920年代ドイツのラジオアナウンスメントで幕開けの準備は整いました。
リスナーの胸の高鳴りに応えるように、冒頭から鳴り響く John Beck の暖かくどこか懐かしいキーボードの音色は John Mitchell のエモーションに満ちたギターメロディーと溶け合い、タイトルトラック “Radio Voltaire” のエセリアルな浮遊感と共にバンドの帰還を鮮烈に告げます。Mitchell の親しみやすいボーカルは成熟と深みを増し、リズムマスター Pete & Craig のドライブに導かれ流動するハーモニーの海を開拓していくのです。
「確かにこのアルバムはポップソングを集めたものだと言えるかもしれないね。ただ、僕たちが充分に手を加えたポップソングだよ。」 と Mitchell が語るように、Steven Wilson が提唱するプログポップの領域へと接近したかにも思える “Radio Voltaire”。
確かにキャッチーなタイトルトラックですが、勿論この知性はラジオで流れる定型的なポップソングとは異なります。つまり、オープンマインドと表現の自由を主張したフランスの哲学者ヴォルテールの名を冠することで、彼らは音楽産業への皮肉と共に自らの率直なクリエイティビティを宣言しているのです。
感傷と希望を等しく宿す “Idlewild” は、2人の John のメロディーセンスが知的で絶妙のアレンジメントと完璧に融合した、アルバムを象徴する楽曲かも知れませんね。実際、John Wetton の魂が降臨し3人の John が奏でたようにも思える旋律と感情の美麗なる邂逅は、英国の “荒野” に雲間から差し込む光の如く神秘なる審美です。
THE WHO の “Won’t Get Fooled Again” をメランコリックに再構築する “I Won’t Break So Easily Any More” でバンドのエナジーを見せつける一方、”Temple Tudor” ではバロックで牧歌的なイメージを提示するなど楽曲のバラエティー、緩急のインパクトも巧妙。
そうして辿り着く、アルバムを締めくくる叙情のロマンティック三連撃は圧倒的です。美しく翳りを宿した切ないメロディーの洪水は、優しくしかし深々とリスナーの胸を抉り感傷の痕跡を残していきます。
実際、”Grey Shapes On Concrete Fields” で見せる Craig の実力を活かしたパーカッシブなアレンジメントやポリリズムなどは非常に複雑かつプログレッシブ。同時に究極にドラマティックで、しかし短編映画を思わせるコンパクトなデザインを実現した濃密なフィナーレはまさにプログポップの理想を体現していると言えるのではないでしょうか。
今回弊誌では John Mitchell にインタビューを行うことが出来ました。ギタープレイヤーとしても音の選択が非常にクレバーだと感じます。「また13年したら新しいアルバムを作るよ!」 本誌2度目の登場です。どうぞ!!

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KINO “RADIO VOLTAIRE” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【People In The Box : Kodomo Rengou】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HIROFUMI HATANO OF People In The Box !!

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Tokyo Based Incredible Progressive-Pop Trio, People In The Box Celebrates Their Tenth Anniversary With Definitely Milestone, “Kodomo Rengou”! Innocence And Technique Melt Together Here!

DISC REVIEW “KODOMO RENGOU”

純粋で綿密な音楽への奉仕者、箱の中の三銃士 People In The Box が、自らの10周年に刻む最高到達点 “Kodomo Rengou” をリリースしました!!”計画的” な長期のインターバルを経て、楽曲のデザイン、個性がより際立った作品は、孤高のバンドに相応しき孤高の完成度を誇ります。
「自分の表現したいデザインと、世間が求める快楽というのは、僕の中で決して対立してはいないんです。」 インタビューで波多野氏はそう語ってくれました。あの先鋭的な残響レコードに置いて、日本が誇るポストロック、マスロック、プログレッシブの理想的なブレンドと目された瑞々しい才能は、近年そういった “形式” とは距離を置き “外の影響を取り入れたりすることもなく、メンバー3人の感性の広がりだけで” 文字通り “箱の中” から作品を届けています。
「TM Networkが好きだった “子供時代” と地続きの感性でやっている」 という言葉は “子供連合” を紐解く上で重要なヒントなのかも知れませんね。実際、このアルバムがある種難解で哲学的なバンドのイメージに反して、シンプルなデザインと無垢なる想望から成る天真爛漫な “報いの一日” で幕を開ける事実は象徴的です。
口ずさむキャッチーなハミングも、イノセントで牧歌的なメロディーも、飛び出す絵本のように立体的なギターサウンドも、晴れた冬の日を想わせる優しいシンセサイザーの波動も、全ては楽曲の求めに応じた確かな必然としてそこに存在しています。
そして、楽曲を通してジグソーパズルが組み上がって行くようなこのナチュラルな感覚は、”追求した結果がシンプルで率直な表現に帰結することがあっても自然なこと” と語る波多野氏の言葉をしっかりと裏付けているように思えます。TM Network の名作 “Carol” が緻密で精巧な建造物でありながら、同時に一切無駄の無い完璧にポップなレコードであったことを思い出すリスナーも多いでしょう。
同時に、「リスナーとしては若い頃から、かなり貪欲に聴いていた方だと思います。メタル、プログレッシヴロック、クラシック、エレクトロニックミュージック、ジャズ、民族音楽、ニューウェーブ・・・。」 と語るように、”Kodomo Rengou” は波多野氏とバンドの子供時代から連なる多様な感性を一つ一つ丁寧に育み、惜しげも無く “今” へと昇華したカラフルなポートレートでもあります。
“無限会社” や “泥棒” といった新機軸にも思えるダークでプログレッシブな楽曲から、マスロックのエナジーをポップの領域に組み込んだ “世界陸上”、近年意欲的に取り入れている鍵盤の響きにただ身を委ねるジャズワルツ “あのひとのいうことには”、ミニマリズムの極地 “デヴィルズ&モンキーズ” まで、綿密に練り上げられた多様な楽曲の数々は、すっかりその姿を異にする形式や構成にも関わらず、音に宿った “気概や純度” 、感覚の温度において奇跡の整合性を見せるのです。
勿論、歌詞の面でも波多野氏のクリエイティビティは冴え渡ります。”町A” や “デヴィルズ&モンキーズ” は象徴的ですが、一見無機質に思える単語の羅列やキャッチーな造語の使用が驚くほどの中毒性を創出し、結果として朧気に楽曲のイメージや意味合いをリスナーに印象づけるのですから、「結果的に他人の人生に踏み込んでしまうというくらいの作品を作る気概と覚悟を持ちたいとは思っています。」 という波多野氏の宮大工や鍛治職人の域にも達した拘りと情念の発言にも深く頷けますね。
とは言え勿論、メンバー各自の卓越した技巧そのものにも言及しない訳には行きません。波多野氏が “泥棒” でメセニーよろしくホーンのサウンドをギターで代弁すれば、”町A”で 福井氏はハイフレットや和音を駆使して極上のベースグルーヴを精製します。そして何より、偽装変拍子の海、ポリリズムのトリックの中をかき分け進み、バンドの推進力となる山口氏のドラム捌きは驚異的です。
そうして作品は、”かみさま” に収束して行きます。空間の魔術、静と動のコントラストを完全に支配したバンドは、Spitz をも脅かす甘く切ないメロディーを伴ってリスナーの心をイノセントに溶かすのです。
“これから起こることぜんぶ 息が止まるくらい美しい ひとはそれを 狂気というけど ねぇ、きみはほんとうに知ってた? ねぇ、きみはほんとうに知ってた? この完璧ではない世界で 人生って一度しかないこと”
狂気を狂気とも思わない純粋さでバンドは、ひとが人生で到達すべき本当の場所、見るべき景色を仄めかして見せました。少なくとも “このバンドのいうことには” もしくは奏でる音には信頼が置けると強く感じたインタビュー。ボーカル、ギタリスト、コンポーザー。波多野裕文です。どうぞ!!

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People In The Box “Kodomo Rengou” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SOUP : REMEDIES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERLEND AASTAD VIKEN OF SOUP !!

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Norway Based Tasteful “Musical Soup”, Soup Gives You Nostalgia And Great Soundscape With Their Newest Record “Remedies” !!

DISC REVIEW “REMEDIES”

メランコリックで詩情豊かなミュージックスープ。クロスオーバーの先を見据えるノルウェーのフォーサム SOUP が、ガラス細工のように繊細かつ美麗な壊れもの “Remedies” をリリースしました!ポストロックとプログ、そしてエレクトロニカの華麗なる融合は、斯くも鮮明に北の大地の優美で凛列なる風景を映し出します。
スカンジナビアの西端に息衝く創造性を体現する4人のシェフが2013年にリリースした “The Beauty Of Our Youth” は、ダイナミックかつメランコリックなポストロック、シューゲイズ、オルタナティブロックを起点にクラシカル、シネマティック、そしてエレクトロニカを股に掛けた味わい深いブレンドのスープとして結実し、舌の肥えた音楽ファンの五感を刺激した作品でした。それから4年。バンドは新たな具材と調味料を調達し、決定的な看板メニューを完成させたのです。
レシピの貴重なラストピースは70年代のノスタルジアを運ぶプログロックでした。そして、バンドのキャラクターであるコンテンポラリーなアトモスフィアと、郷愁を誘う有機的なプログロックの邂逅は究極の美へと昇華し、作品のタイトル “Remedies” を具現化する心の治療薬としてリスナーの元へと届けられることとなったのです。
インディーズの生々しいアコースティックサウンドで孤愁と共に幕を開けるオープナー “Going Somewhere” はアルバムへの招待状。ソリッドなドラムスを軸に、シンセサイザー、ストリングス、ギターエフェクトでデザインされた夢幻に揺らめくメロディーの洪水は、ポストロックのクレッシェンド、アトモスフィアと共に新たな “SOUP サウンド” のドアを押し開けて行くのです。
クライマックスは ‘The Boy and The Snow” で訪れます。実際、この11分間のエピックには進化の全てが注がれています。PORCUPINE TREE, KING CRIMSON, SNOW PATROL, MOGWAI。道を交えることのないプログ、インディー、ポストロックレジェンドたちの音像はここに溶け合い新たなケミストリーを創成します。
メロトロンやヴィンテージのギターサウンドは見事にモダンなアンビエンスと融合し、複雑に交差するリズムはポストロックの文脈へと浸透。さらに津波と化したハーモニーはインディーズのエモーションをも飲み込んで奇跡のサウンドスケープを実現し、胸を締め付ける追憶と共に現代へとリスナーの想い出を映し出しているのです。
アルバムのプロダクションを MOGWAI, FRANZ FERDINAND との仕事で知られる Paul Savage が手がけ、さらに Steven Wilson のビジュアルコラボレーター Lasse Hoile が作品のアートを担当したことはある意味象徴的にも思えます。
それにしてもこの楽曲のノスタルジックでドリーミーな世界に潜む、どこかヒリヒリとした緊張感、時に突き刺すような痛みは異常です。そしてその違和感の正体は、コンポーザー Erlend が幼年期に経験した通過儀礼だったのです。
「実は “The Boy and The Snow” は15歳で凍死してしまった子供の頃の友人へ捧げたトリビュートなんだよ。」 Erlend は躊躇いながらもそう語ってくれました。誰もが登る大人への階段には、必ず漆黒の闇や悲しみが宿ります。このエピソードを聞けば、唐突にも思えたチャーチオルガンの独奏、荘厳美の極み “Audion” が鎮魂の調べであることが伝わるでしょう。そして少年の魂が遂に召されたことも。
そうしてアルバムは現代に降臨した JETHRO TULL、”Sleepers” の躍動を経て “Nothing Like Home” で静かにその幕を閉じるのです。
今回弊誌では、ボーカルにしてキーボーディスト、サンプリングも担当する鬼才 Erlend Aastad Viken にインタビューを行うことが出来ました。勿論、メッセージのは彼らが敬愛する QUEEN の “Teo Torriatte” の一節。どうぞ!!

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SOUP “REMEDIES” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MAJOR PARKINSON : BLACKBOX】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JON IVAR KOLLBOTN OF MAJOR PARKINSON !!

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Surreal And Strange, But Also Beautiful and Sensational. Norway Based Theatrical Progressive Septet, Major Parkinson Will Give You Amazing Associative Journey With Their Newest Records “Blackbox” !!

DISC REVIEW “BLACKBOX”

ノルウェープログレッシブシーンを象徴する比類無き独創性、異形のタイムトラベラー MAJOR PARKINSON がシアトリカルな連想の旅路 “Blackbox” をリリースしました!!幕を開ける奇妙でユニークなミクスチャー劇場のインパクトは絶大です。
ヴァイオリンを含むセプテットが奏でる音楽は、多様で豊潤なノルウェーの土壌に芽吹いた怪異なのかも知れませんね。プログ、ロック、ロカビリー、パンク、ハードコア、オルタナティブ、そして映画のサウンドトラックを等しくその骨格とする中で、Hank Marvin を長とするロック黎明期のインストサウンド “Rautalanka” とコンテンポラリーなエレクトロニカが共鳴し溶け合う様はまさに天衣無縫。20世紀と21世紀の衝突が生み出す時間の融解は、時に不気味に、時に華やかに、そして時にはロマンチックに配役を変えながらリスナーの心まで溶かすのです。
さらに最新作、”Blackbox” では、小さなオーケストラとも言える圧巻の陣容もミクスチャー劇場の完成を後押ししました。クラッシックの “Overture” “序曲” とロックのインテンス、そしてシンセサイザーの魔法を共存させるオープナー “Lover, Lower Me Down” を招待状に、サックス、チューバ、トロンボーン、トランペット、ホルンにチェロ、そして壮大なクワイア。数多のゲストプレイヤーを招いて構築されたミニマルシンフォニーは、Jon Ivar Kollbotn のベテラン俳優のように深みを宿す歌唱を伴って “演劇と音楽の距離” を接近させるのです。
加えて、Lars Christian Bjørknes のキーボードとプログラミング、Sondre Sagstad Veland のドラムスとパーカッションは、共に複雑にして繊細、作品の根幹としてエネルギッシュに躍動し、アルバムのダイナミズムを司り続けます。
シンセウェーブと難解極まるリズムを導入しさらにインテンシティーを増した “Night Hitcher”、THE DOORS の意思を受け継ぐ深遠なる “Before the Helmets” を経て辿り着く “Isabel: A Report to an Academy” は間違いなくアルバムのハイライトでしょう。祈りと闇を等しく抱える10分間のアイデア溢れるエピックは、まさにバンドの真骨頂。
“Mission Impossible” を思わせるセンセーショナルなシンセサイザーとウィスパーボイスに導かれ幕を開けるチェンバーミュージカルは、チェロが定めた印象深い楽曲のテーマにギターとヴァイオリンがリズミカルかつリリカルな奥行を加え、混沌と調和の鬩ぎ合いを提示して行きます。
ゲストボーカル Linn Frøkedal のエセリアルな神々しさは、Jon の深く生々しいフィジカルな表現方法と見事に対比の美学を形成し、「静かで無口な本の中から小さなメロディーの断片が、まるで光が差すように注ぎ出て聴こえるようになった。」 と語るメロディーメイカーの発言を裏付けます。
実際、ヨーロピアンフォークに木琴、タイプライター、ラップまで登場する華やかで騒々しい楽曲のクライマックスは、相反する二人の主演に起因する幅広いエモーションを創出し、リスナーに歓喜と悲愴の両極をもたらしダンスを誘うのです。
「ただ過去に浸って、完全にオールドファッションな存在になりたくはなかったんだ。」 と語る Jon の野心を象徴する、Steve Reich のミニマリズムを全身に浴びたインストゥルメンタル “Scenes from Edison’s Black Maria”、ABBAをも想起させる夢見がちなダンスチューン “Madeleine Crumbles”、「1950年代のベースボールゲームのように曖昧なものからもインスピレーションは生まれるんだ。」 の言葉を体現したもう一つのシンセエピック “Baseball”。バンドの創造性は奔放にして無限です。そして恐らくこの稀有なるアートはレコードにして、映画、演劇、そして小説なのかもしれませんね。
不穏でパワフルなブラスセクションと静謐なるメロディーで時をかける作品のリプライズ、クローサーにしてシネマティックポップなタイトルトラック “Blackbox” はまさに完璧なカーテンコールと言えるでしょう。
今回弊誌では、バンドのマスターマインド Jon Ivar Kollbotn にインタビューを行うことが出来ました。「僕たちは日本のバンド PAY MONEY TO MY PAIN とスタジオをシェアしていたんだ。」どうぞ!!

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MAJOR PARKINSON “BLACKBOX” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VON HERTZEN BROTHERS : WAR IS OVER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIKKO OF VON HERTZEN BROTHERS !!

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Finland’s Prog Rocking Brothers, Von Hertzen Brothers Are Firmly Back In Dynamic Prog Territory With Their Masterpiece “War is Over” !!

DISC REVIEW “WAR IS OVER”

フィンランドミュージックシーンにおける至高のファミリービジネス、VON HERTZEN BROTHERS。母国、そして UK では押しも押されぬビッグバンドのロックモンスターがリリースした最新作 “War is Over” は、更なる大望を抱き変化を志した新たなチャプターの幕開けです。
Kie, Mikko, Jonne の三兄弟を中心とする VON HERTZEN BROTHERS の音楽は、多様で豊潤なカレイドスコープです。ピュアなクラッシックロックからプログ、ポップ、オルタナティブにワールドミュージックまでナチュラルに横断する神秘のコンポジションは、パワフルかつイマジネーティブなジャンルの交差点として異彩を放っていますね。
特筆すべきは、そのソフィスティケートされた思慮深い作曲術と同次元で繰り出されるワイルドでエネルギッシュなロックマインドでしょう。
柔と剛を自由自在に操舵する血の伝統と絆は、ウルトラキャッチーなメロディーライン、耳を捉えて離さない艶やかなフック、そして洞察力に富んだ深遠なるリリックを纏ってリスナーにモノリシックの意味を伝えるのです。
とは言え、短いリリースインターバルに反して局所的な成功しか収められない焦りで、バンドは疲れ切っていたと Mikko は語ります。もしかすると、ロックサイドに特化した前作 “New Day Rising” でバンドは自由を失い、少し方向性を限定しすぎたのかも知れません。
つまり、KINGSTON WALL のレジェンドで、VHB の2ndアルバムでもプレイしていたドラマー Sami Kuoppamäki が復帰を果たし、HIM の Janne ‘Burton’ Puurtinen をキーボードに起用して制作された ‘War is Over” は、メンバーのみならずレコード会社やマネージメントをも変更し、”燃料切れ” だったバンドが 「前に進み、上昇するため」 の再生の作品なのです。
勿論、バンドが大きな賞賛を捧げる John Lennon へのリスペクトを表明するタイトルトラック “War is Over” は12分のエピックにしてまさにリヴァイブの象徴。アトモスフェリックな電子音に導かれ躍動を始める楽曲は、瑞々しさとダイナミズムに満ちています。
DIZZY MIZZ LIZZY のバランス感覚と KINGSTON WALL のサイケデリカを内包した素晴らしき平和への祈りは、絶え間なく変動するテンポやメロディーで自由の喜びを表現し、コンテンポラリーな音楽が失いつつあるフレキシブルなエナジーを濃密に宿しているのです。
さらに楽曲終盤のファンファーレでは、100本のギターを重ねフィンランドの自由と独立100周年を祝うセレブレーションの意味まで持たせているのですからその豊富なアイデアとロマンチシズムには驚愕の一言ですね。
実際、この壮大なオープナーを皮切りに、アルバムはよりプログレッシブで多様に深化したバンドの “現在” を克明に投影して行きます。
日本やインドのオリエンタルなスケールを導入した BLACK SABBATH と Chick Corea の神々しき融解 “To The End Of The World”、Burton の荘厳なシンセサイザーが映える新天地 “Jerusalem” を経て辿り着く “Frozen Butterflies” はアルバムのハイライトだと言えるでしょう。
根本的にはポップロックの美しきワルツ。しかし幼生が蛹を経て美麗な蝶になるように、プログとポップ、そしてロックの姿を宿命の如く宿した楽曲はまさにバンドの “現在の” クリエイティビティーを象徴しています。
クリーントーンのミニマルな反復リフ、ファストなリズムとシンコペーションはリスナーへ複雑な変拍子を伴うマスロックのような印象すら与え、同時にヘルシンキの大空に羽搏き舞う情熱と冬の凍てつく生命を見事に描写した絶佳のサウンドスケープを保持する楽曲は、バンドのスケールが一次元や二次元の狭い檻では収まらない確固たる証明なのかも知れませんね。
アルバムは作品で最もクラッシックな VHB ソング “Beyond the Storm” でその幕を閉じます。”War is Over” のタイトルが回帰する完璧なまでにスピリチュアルな楽曲は、バンドの祈りと野心をしたためてアルバムのリピートを誘い “円” “サークル” の形態へと導来ました。それは、西洋と東洋の哲学、音楽を等しく学んだ VHB故の絶妙なるエンディングだと言えるでしょう。
恐らくは、彼らの理想とする “エピックロック” に最も接近した傑作。今回弊誌ではボーカルとギターを担当する Mikko von Hertzen にインタビューを行うことが出来ました!本誌二度目の登場。「混乱し、多くの苦難に直面している世界で、平和と思いやりを見ようとすることがどれほど重要かという考えを人々に思い起こさせたいと思ったんだよ。」 どうぞ!!

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VON HERTZEN BROTHERS “WAR IS OVER” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WOBBLER : FROM SILENCE TO SOMEWHERE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LARS FREDRIK FRØISILIE OF WOBBLER !!

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Norwegian Progressive Master, Wobbler Gives You An Ear Candy Of Classic Prog Vintage Sounds, And Challenging Spirits With Masterpiece “From Silence To Somewhere” !!

DISC REVIEW “FROM SILENCE TO SOMEWHERE”

70年代初頭のプログレッシブワールドを現代に再構築する、ノルウェーのレトロマイスター WOBBLER が素晴らしき追憶のメモリーレーン “From Silence to Somewhere” をリリースしました!!プログレッシブの新聖域から創生する全4曲47分、あの時代の天真爛漫な空気を再現した濃密なエピックは、改めてクリエイティブの意味を伝えます。
90年代後半から活動を続けるプログクインテット WOBBLER は、前作 “Rites at Dawn” で本格化を果たしたと言えるでしょう。新たに加わったボーカル/ギター Andreas Wettergreen Strømman Prestmo が醸し出す Jon Anderson にも似た多幸感は、より緻密で繊細なコンポジション、瑞々しい北欧シンフォニックの息吹、飛躍的にグレードアップしたプロダクションとも相俟って、バンドを一躍シーンのトップコンテンダーへと位置づけることになりました。
インタビューにもあるように、オリジナルメンバーでリードギタリスト Morten Andreas Eriksen の脱退、そして期限、制約を設けないコンポジションにより、6年という長い月日を経てリリースされた最新作 “From Silence to Somewhere” はそして実際、タイムレスなプログロック史に残る傑作に仕上がったのです。
ファンタジーとインテリジェンスの魅力的な交差点は、21分の劇的なタイトルトラックで幕を開けます。メタモルフォシスやアルケミー。バンドが以前から追求する超自然のテーマは、彼らの奥深きヴィンテージサウンドへとより深く融合し、同時にダークでミステリアスな翳りは光と影のコントラストを際立たせる結果となりました。
タイムチェンジを孕んだ愛しくも耳馴染みの良い6拍子のイントロは、いつしか YES の崇高へとシフトし、カンタベリーの精神、イタリアンプログのシンフォニーや多様性をも携えながら激しさを増していきます。
ルネサンスの優美でクラシカルな響きは狂熱のトリガー。パーカッシブな宴の合図を皮切りに、フルートが狂い咲く淫美でエスニックなダンスは遂にその幕を開けます。ANGLAGARD や ANEKDOTEN のダークなインテンスと JETHRO TULL のフォルクローレが同居するエキサイティングなプログレッシブ舞踏会は、新鋭の気概とクリエイティビティの確かな証。そしてたどり着く大円団、KING CRIMSON と YES が鬩ぎ合い迎えるフィナーレはまさに圧巻の一言。
実際、このプログロックの完璧なるジグソーパズルは、カラフルなムーグとハモンド、オーガニックなギターリック、リッケンバッカーの骨太なベースライン、ダイナミズム溢れるドラムスといったヴィンテージのピースを集約し、メロトロンの温かな額縁でつつみこむように構成されているのです。
故に、”Tarkus” と “Sound Chaser”, “Heart of the Sunrise” の暗重でエニグマティックなダークキメラ “Fermented Hours” でさえ、全くオマージュのイメージ、メタリックな領域へは近づかず、WOBBLER の卓越した個性として昇華しているのですから、バンドのコンポジションが如何に精巧で時間をかけた美しきタペストリーであるか伝わるはずです。
アルバムは、ハープシコードが牽引する幻想的な狐火 “Foxlight” で幕を閉じます。幽玄なイントロダクションと相反するエッジーなメインパートは、ハープシコードをリード楽器に据えたダイナミックなロックファンタジー。事実、ヴィンテージキーボードのコレクターでもある鍵聖 Lars Fredrik Frøislie ほどヘヴィーにハープシコードを操るプレイヤーは、ルネサンスの時代から数えても存在しないに違いありません。
天賦の才能は悪魔の楽器を伴って、自らの最高到達点を軽々とと突破して見せたのです。同時にバンドは、この楽曲、そしてレコードでプログレッシブロックに灯る可能性の炎を高々と掲げて見せました。
“Prog is not Dead” と世界に宣言するマスターピース。今回弊誌では、Lars Fredrik Frøislie にインタビューを行うことが出来ました。In Lingua Mortua, Tusmørke, White Willow でも活躍するスペシャリスト。「LEPROUS のボーカル/キーボード Einar は、僕たちが Andreas を得る前にボーカルのオーディションを受けに来たんだ。LEPROUS のみんなは長年僕たちのファンだそうだね。」 どうぞ!!

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WOBBLER “FROM SILENCE TO SOMEWHERE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DAVE KERZNER : STATIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVE KERZNER !!

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One Of The Most Creative Artists In The Progressive Rock World Now, Dave Kerzner Becomes A Bridge From Retro to Modern, With His Most Ambitious Work, “Static” !!

DISC REVIEW “STATIC”

レトロとモダン、そして米国と英国の架け橋を演ずる、マイアミのプログレッシブコンダクター Dave Kerzner が濃密なるロックオペラ “Static” をリリースしました!!”アクセシブル” を座右の銘とする天分豊かなコンポーザー/マルチプレイヤーは、現代社会の混沌と真なる幸福の追求をそのキャッチーなサウンドデザインで雄弁に語り尽くします。
近年のプログシーンで、Dave ほど八面六臂な活躍を見せるタレントはいないでしょう。Steven Wilson のマスターピース “Grace For Drowning” にサウンドデザインで貢献し、Steve Hackett の “Genesis Revisited II” にも参加。その GENESIS、Phil Collins の息子 Simon Collins と結成した SOUND OF CONTACT でベストニューカマーを受賞する一方、MOSTLY AUTUMN の才媛 Heather Findlay と結成した MANTRA VEGA でも高い評価を勝ち取ります。
何より、亡き Keith Emerson もゲスト参加した 2014 年のソロデビュー作品 “New World” で提示した壮大なコンセプトと世界観、美麗なメロディーと緻密なデザインは、多くのプログロックファンを魅了したのです。
二年の月日を経て届けられた新作ソロアルバム “Static” も同様に近未来の重厚なコンセプトを内包しています。ただし、”New World” が砂漠化した世界での冒険譚、躍動する物語であったのに対して “Static” はより人間の内面へと深くフォーカスしているのです。
Dave は短絡的かつ享楽的な SNS や TV、ドラッグやアルコールに捌け口を求める現代社会を嘆き、 「最近は誰もが自分が正しいと思う傾向があって、とにかく自分の意見を主張するね。僕たちすべてが偽善者であることも、不快な真実の一つだよ。僕だって時には偽善者だし。それはほとんど不可避なことに思えるよ。」 とその混沌を自らの罪も交えて語ります。しかし同時に、その事実を認識し、日常生活のバランスを考慮することから幸福の価値を変えていこうとも提案しているのです。
妖しくも印象的なプレリュードで幕を開けるアルバムは、”Hypocrites” で人間のエゴイスティックな内面を露わにします。オルタナティブなエッジとダークなムードはまさにアルバムの皮肉なコンセプトを体現し、同時に甘美で気怠いメロディーがリスナーをディストピア “遊園地の街” へと誘います。
Dave Gilmour が憑依したかのような Kerzner のボーカルに、幾重にもコーラスをレイヤーする巧みな手法は Alan Parsons にも似て、まるで砂糖のコーティングの如くスイートでスーパーキャッチーな瞬間をもたらしていますね。
Dave のピアニストとしての実力が遺憾無く発揮された “Static”, “Trust” では、彼のソフィスティケートされた作曲術、スキルが自身の理想と呼応し見事に開花しています。あくまでプログロックの枠組みの中で “アクセシブル” 受け入れ易い音楽性や歌詞に拘るコンポーザー Dave Kerzner は同時に、アルバムを映画に見立てて全体のムードにプライオリティーを置くある意味ディレクター的なポジションをも兼ねています。
「実際、より明るく高揚した楽曲を何曲か、ただフィットしないからという理由で外さなければならなかったくらいさ。」 と語る通り、音楽監督が望んでメランコリックな一面を強調した美麗なる調べのバラードは、アルバムを一つのアートと捉えた GENESIS や PINK FLOYD の創造性と Steven Wilson や ANATHEMA のアトモスフィア、そしてコンテンポラリーなメインストリームの魅力を同時に従えシーンの過去と現在の架け橋となっているのです。勿論、チェロを効果的に使用したドリーミーな “Trust” では特に John Lennon へのリスペクトが深い愛情と共に表層化していることも記しておくべきですね。
同様に、BIG BIG TRAIN の Nick D’Virgilio と GENESIS の Steve Hackett がゲスト参加した “Dirty Soap Box” は顕著ですが、アルバムを通してエレクトロニカサウンドやノイズを縦横無尽に張り巡らせ、効果的にディストピアを演出するそのアイデアからも彼の豊かなイマジネーションを感じ取ることが出来るのです。
75分の壮大なるプログレッシブオペラは、17分に及ぶラストエピック “The Carnival of Modern Life” でその幕を閉じます。よりカオティックに “Hypocrites” のテーマへと回帰する実にプログロックらしいこのクローザーを聴けば、メロディー、ハーモニー、オーケストレーション、ダイナミズム、そしてエモーションをどれ一つ欠くことなく細部にまで情熱と知性を注ぐ Dave の類稀なる才能が伝わるはずです。「僕は現実を砂糖でコーティングするような真似はあまりしたくないんだ。」と語る Dave の音楽はどこまでも真摯で正直にその進化を続けていくのです。
今回弊誌では Dave Kerzner にインタビューを行うことが出来ました。様々な音楽プロジェクトを抱えながら、二つの会社で CEO を務める多能な才気。どうぞ!!

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DAVE KERZNER “STATIC” : 9.9/10

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