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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE NUMBER TWELVE LOOKS LIKE YOU : WILD GODS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALEXIS PAREJA OF THE NUMBER TWELVE LOOKS LIKE YOU !!

“Our Music Similarly Doesn’t Follow The Traditional Form Or Structure Of Most Music Out There. Overall It’s Fairly Volatile And Can Take Off In Any Direction At Any Given Time. We Have Always Enjoyed Exploring The Vast Possibilities Of Music And Prefer Not Be Cornered Into One Genre.”

DISC REVIEW “WILD GODS”

「僕たちの音楽は全体的にかなり不安定で、いつでもどの方向にでも進路を取れる。常に音楽の広大な可能性を探求して楽しみ、一つのジャンルに追い詰められることを望まないんだから。」
トワイライトゾーンのディストピアな未来において、画一化された “No.12” の外観を頑なに拒む伝統の破壊者 THE NUMBER TWELVE LOOKS LIKE YOU。デスメタル、ハードコア、スクリーモ、プログレッシブ、ワールドミュージック、ミニマル、ジャズといった幾千もの奇妙な混合物に数学的溶媒を注いだマスコアのパイオニアは、類稀なるライブのカタルシスを伴って00年代に君臨した怪物でした。そう2010年に人知れずその姿を消してしまうまでは。
ボーカリスト Jesse の言葉を借りれば失われた10年は “成長のための必要悪”。そして、インタビューに答えてくれたギタリスト Alexis に言わせれば “成長を実証” するためシーンへと帰還したモンスターは復活作 “Wild Gods” で拡散と成熟を同時に見せつけています。
「僕たちの音楽は常に変化を遂げている。僕の目標はつまり自分たちの過去を繰り返さないことなんだ。アルバムをいくつかリリースして、休息し、今はチャレンジ出来る。リスナーがオープンマインドで、ジャンルなど気にせずただ音楽に身を任せてくれたら嬉しいね。」
THE NUMBER TWELVE LOOKS LIKE YOU は確かに変化と共に進んできました。妥協を許さないアグレッシブなメタルコアとグラインドの紅い薔薇 “Put On Your Rosy Red Glasses” を出発点に、ポストハードコアを可能な限り最も苛性で迷路のような反復へ誘う “Grind. Sad. Nuclear”。 さらに “メランコリー” にヘヴィーとキャッチーを両輪に据えた出世作 “Mongrel” に、”ノン・メタル” な冒険を推し進めた “Worse The Alone” まで、ポリリズムと数学者の威厳を宿した “Polymath” の称号を手にしつつも、彼らは画一的な場所からは程遠い多種族のキメラとして常に保守、伝統へと挑んできたのです。
「確かにアルバムにはコンセプトがあるね。僕たち自身、そして自然界に纏わる現在の問題を反映しているんだよ。」
隠遁した10年の間に顕となった世界を覆う黒い雲。歌詞を書き上げた Jesse はこのアルバムがフィクションのように非常識極まる地球を宇宙人へと紹介する広告で、子供を虐待する司祭、司祭を守る教会、女性より優れていると信じる男性、動物を虐殺する人類といった “Wild Gods” をどうぞ見に来て下さいと嘯きます。そうしてバンドはその闇に、鋭き牙はそのままに咲き誇る多様性の嵐で贖うのです。
狂気とスリルに満ちた世の夜会を彩るサルサのダンス “Gallery of Thrills” はエクレクティック極まるアルバムの華麗なる招待状。エレクトロシンセとストリングスのサウンドスケープが過去と未来を行き来する “Ruin the Smile”、ラウンジジャズのアトモスフィアとメタルコアの残虐、プログレッシブの複雑がいとも容易く噛み合った “Raised and Erased”、サンバやボッサのメタリックな嘶き “Tombo’s Wound”。そうした多種多様な景観の中でも、テンポやムードは全て計算の下で刻々と移り変わり、さらに音の表情を増していくのですから驚きです。
“Ease My Siamese” が象徴するように、Jesse の囁き、荘厳に歌い紡ぎ、泣き叫ぶボーカルレンジがもたらすエモーションの振れ幅も絶妙に豊かで、フラメンコを基にした “Of Fear” では妻の Eva Spence (ROLO TOMASSI) と極上のデュエットまで披露しています。そうしてアルバムは、”Interspecies” のシロフォンとストリングスで異種間交流のロマンを運んだ後、ラテンのリズムと言語で究極の破滅をもたらす “Rise Up Mountain” で幕を閉じるのです。
2016 年に THE DILLINGER ESCAPE PLAN が活動を終えてから3年。CAR BOMB の新作と共鳴しながら “Wild Gods” は再びマスコアの時計を動かし始めます。今回弊誌では、Alexis Pareja にインタビューを行うことが出来ました。「MONO, envy, Melt-Banana みたいな日本のバンドはライブや音源を楽しんでいるよ。それにジャズの世界でも、上原ひろみ、福居良みたいな驚異的ミュージシャンがいてインスパイアされるね。」 昨年、来日も果たしています。どうぞ!!

THE NUMBER TWELVE LOOKS LIKE YOU “WILD GODS” : 9.9/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【OPETH : IN CAUDA VENENUM】


COVER STORY: OPETH “IN CAUDA VENENUM”

“The Last Death Metal I Bought Because I Was Interested Was “Domination” by Morbid Angel. That’s 1995, a Long Time Ago Now. I’m Not Saying It’s Just Been Bad Releases Since Then, Of Course Not, But That’s The Last Time I Felt Like I Wanted To Hear What’s New.”

THE STORY BEHIND “IN CAUDA VENENUM”

1995年 “Orchid” で闇の蘭を咲かせた “月の都” は、デス/ブラックメタルを縦糸にプログロックを横糸に織り上げる華麗なタペストリーを創造し続け、尊き北欧の激情とメランコリーをロック史へと刻んでいます。昨今、デス/ブラックメタルへの傾倒は確かに薄れましたが一方でクラッシックロック、フォーク、サイケデリックとそのテリトリーは拡大を遂げ “In Cauda Venenum” は魅力的な音楽の交差点にも思えます。
マスターマインド Mikael Akerfeldt はスウェーデン語と英語の二ヶ国語でこの新たなタペストリーを織り上げる決定を下します。OPETH がスウェーデン語でレコーディングを行ったのは、ROXETTE のシンガー Marie Fredrikkson のカバー “Den Standiga Resan” 以来。
そのアイデアは、Mikael が娘を学校に送った時に降りて来たようです。「別にクールな理由がある訳じゃないんだ。ただやりたいからやっただけさ。いつも俺は、アルバムごとに新たなアイデアを試そうとしているからね。そしてたまたま今回はそれがスウェーデン語だった訳さ。」

ただし音楽を先に生み出し、後に歌詞をつけるのが Mikael のライティングスタイルです。普段は50分ほどのマテリアルで “打ち止め” する Mikael ですが、”In Cauda Venenum” のライティングプロセスでは溢れ出るアイデアは留まるところを知りませんでした。
「この作品ではこれまで以上に書いて書いて書きまくった。それで3曲もボーナストラックがつくことになったんだ。」
スウェーデン語のアイデアは、当初メンバーたちの同意を得られなかったと Mikael は語っています。ただし、何曲かのデモを聴かせるとその考えは180度変わりました。
「奇抜なアイデアと思われたくはなかったんだ。いつも通りやりたかったからね。ただ別の言語を使っているというだけでね。」
スウェーデン語バージョンと英語バージョンの違いは Mikael の歌唱のみ。「言葉がわからないからアルバムをスキップしてしまうのでは」という不安から英語でも吹き込むことを決めた Mikael ですが、彼のクリーンボイスはビロードの揺らぎで溶け出し、スウェーデン語の違和感を感じさせることはありません。むしろ際立つのは言葉に宿るシルクの美しさ。

実際、その不安はすっかり杞憂に終わりました。Billbord のハードロックアルバムチャート3位、ロックアルバム9位の健闘ぶりはそのアイデアの魅力を素直に伝えています。
どちらかと言えば Mikael はスウェーデン語のバージョンを推奨しているようです。
「スウェーデン語がオリジナルで最初に出てきたものだから、やはりイノセントだし少しだけ良いように思えるよ。まあ選ぶのはリスナーだけどね。」
故にアルバムタイトル “In Cauda Venenum” はどちらの言語にもフィットするようラテン語の中から選ばれました。「尾には毒を持つ」ローマ人がサソリの例えで使用したフレーズは、フレンドリーでも最後に棘を放つ人物のメタファー、さらには “想像もつかない驚きを最後に与える” 例えとして用いられるようになりました。
Travis Smith が描いたアートワークもその危機感を反映します。窓辺に映るはメンバーそれぞれのシルエット。ヴィクトリア建築の家屋は悪魔の舌の上に聳えます。「悪魔に飲み込まれるんだ。最後には不快な驚きを与えるためにね。」

ではアルバムに特定のコンセプトは存在するのでしょうか?
「イエスと言うべきなんだろうがノーだ (笑)。コンセプトアルバムとして書いた訳じゃない。ただ、”Dark Side of the Moon” みたいなアルバムだと思うんだ。あの作品を聴いてもコンセプトは分からないけど、循環する密接なテーマは感じられる。KING DIAMOND みたいに明確なコンセプト作じゃないけどね。だから俺は言ってみれば現代の “リアル” をテーマにしたんだと思う。」
2016年にリリースした “Sorceress” との違いについて、Mikael は前作はより “イージー” なアルバムだったと語ります。
「”Sorceress” はストレートなロックのパートがいくつか存在するね。構成もそこまで入念に練った訳じゃないし、ストリングスもあまり入ってはいないからね。」
一方で “In Cauda Venenum” は 「吸収することが難しく、”精神分裂病” のアルバム」 だと表現します。その根幹には、深く感情へと訴えかける遂に花開いた第2期 OPETH のユニークな多様性があるはずです。

さらにギタープレイヤー Fredrik Åkesson もここ10年で最も “練られた” アルバムだと強調します。
「”Watershed” 以来初めてレコーディングに入る前にバンドでリハーサルを行ったんだ。僕はいつもそうしようと主張してきたんだけどね。おかげで、スタジオに入る頃には楽曲が肉体に深く浸透していたんだ。そうして、可能な限りエピックなアルバムを製作するって目標を達成することができたのさ。」
そして Mikael からのプレッシャーに苦笑します。
「僕はギタリストにとって “トーン” が重要だと思っている。理論を知り尽くしたジャズプレイヤーでもない限り、トーンを自分の顔に出来るからね。”Lovelorn Crime” では Mikael から君が死ぬ時みんなが思い出すようなギターソロにしてくれって言われたよ。(苦笑)」
では Fredrik は現在の OPETH の音楽性をどう思っているのでしょうか?
「もし “Blackwater Park” のような作品を別のバージョンで繰り返しリリースすれば停滞するし退屈だろう。ただあの頃の楽曲をライブでプレイするのは間違いなく今でも楽しいよ。Mikael のグロウルは今が最高の状態でとても邪悪だ。だからまたいつかレコードに収録だってするかも知れないよ。」

Mikael が OPETH を政治的な乗り物に利用することはありません。それでも、スウェーデンの “偽善に満ちた” 社会民主労働党と右派政党の連立、現代の “リアル” を黙って見過ごすことは出来ませんでした。
「”Hjartat Vet Vad Handen Gor/Heart in Hand” はそうした矛盾やダブルスタンダードについて書いた。俺の社会民主的な考え方を誰かに押し付ける気はないんだけどね。アイツらと同じになってしまうから。だけど奴らの偽善だけは暴いておきたかった。」
Mikael にとってそれ以上に重要なことは、涙を誘うほどにリスナーの感情を揺さぶる音楽そのものでしょう。
「もっとリスナーの琴線にふれたかったんだ。究極的にはそれこそが俺の愛する音楽だからね。ただ暴れたりビールを飲んだり以外の何かを喚起する音楽さ。つまり、このアルバムをリスナーの人生における重要な出来事のサウンドトラックにしたかったんだ。上手くいったかは分からないけどね。」

もちろん、Mikael は2011年の “ウルトラ-プログレッシブ” な “Heritage” 以降、ファンが “OPETH は今でもメタルか?” 論争を繰り広げていることに気づいています。
「それについて話す前に定義しておくことがある。彼らの言う “メタル” って何なんだい?彼らは俺と同世代?若いの?年上なの?俺の “メタル” って何なんだよ?」
そうして様々なファンと話をするうち、Mikael は一つの結論へと達します。「みんなが考えている”メタル” と俺の “メタル” は決して相容れない。」
“Heritage” の顔面リンゴが象徴するように、マッチョなメタルのイメージに疲れ果てたとも。
「アー写をマッチョでシリアスに撮るのもバカらしくなってね。”Watershed” から自分たちを美化するのはやめたんだ。あのアルバムの裏面には俺たち全員の顔をミックスした醜い男が写っているだろ?彼は “Jorge” って言うんだ。」

では、なぜ Mikael はデスメタルから距離を置いたのでしょう?
「最後に買ったデスメタルのレコードは、1995年 MORBID ANGEL の “Domination” だ。以来良いデスメタルレコードがないとは全然思わないけど、俺が新作を聴きたいと思ったのはあれが最後だったんだ。MORBID ANGEL はデスメタルの先頭を走っていた。David Vincent にあなたがいなければバンドをやってなかったと伝えたくらいにね。だからデスメタルは俺にとって間違いなく重要だ。
ただ、”Watershed” でやり切ってしまったんだ。あれ以上良いものは作れない。スクリームボーカルも古い物以外聴かないしね。」
とはいえ、Mikael も音楽ファンが特定のジャンルに所属することを重要視する習性は理解しています。それは何より、過去の自分が生粋のメタルヘッドだったから。数十年の時を経て、彼のアティテュードを変えた大きな要因の一つは確かに年齢でした。そうして、よりエクレクティックに “ジャンルレス” なバンドへと進化を遂げた OPETH。

「もう俺たちがどこかのジャンルに所属しているとは思っていないよ。俺らのファン、特に若いファンの多くはメタルヘッドでいたいと思っていると感じるね。だから俺は自問自答を始めるんだ。俺にとってメタルでいることは重要か?いやそうじゃないってね。だけどまあ、まだケツの青いキッズから KILLSWITCH ENGAGE の新作は聴いた?あれこそが真のメタルだ。あんたはそうじゃないなんて教えられたくはないんだけどね。」
常にポジティブに思える Mikael ですが、OPETH の成功にあぐらをかいているわけではありません。この10年、彼は全てのアルバムでこれが最後の作品かもしれないと思いながら臨んできました。
「俺にとってこの考え方は良いんだよ。怠惰にならず、過去の焼き直しにも用心するからね。」
Mikael はファンのヤキモキした気持ちさえ楽しんでいるフシがあります。
「リスナーが決して確信できないところが気に入っている。いつも期待するものや望むものを届けようとしていると安心して欲しくないんだよ。彼らが完璧にクソだと思うものをリリースするかもしれないけど、俺らはいつも “これが俺たちのやりたいこと” ってアティテュードでやるからね。君がもしデスメタルのファンで、”Blackwater Park” みたいなアルバムを望んでもそれは叶わないよ。だって俺らはもうあの場所に興味がないし、もっとチャレンジングな地点にいるからね。」

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IAMTHEMORNING : THE BELL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GLEB KOLYADIN OF IAMTHEMORNING !!

“It Is Fascinating To Add Passion And Drive From Rock Music To The Classics. At The Same Time, Playing Rock, I Try To Make It More Sophisticated And Intellectual, Adding Many Layers And Making It More Polyphonic.”

DISC REVIEW “THE BELL”

「コフィンベルはどちらかと言えば憂鬱のシンボルなんだ。同時にとても美しいけどね。人間の残酷さについてのストーリーなんだ。何世紀も前から人間性そのものは何も変わってはいないんだよ。そしてこのベルは、例え生きたまま埋葬されたとしても周囲に生存を知らせるための最後の望みだったんだよ。」
Kscope の至宝、チェンバープログの孤高を極めるロシアのデュオ iamthemorning は、クラシカルなピアノの美麗とエセリアルな詠唱の荘厳で人に宿る残酷の花を自らの音の葉で咲かせます。
“Lighthouse” のアートワークに描かれた心許ない灯台の火は、孤独や痛み、憂鬱に翻弄される大海、人生における微かな希望の光だったのかも知れませんね。そうして今回、長年のコラボレーター Constantine Nagishkin の手によって “The Bell” の顔として描かれたのは、希望と闇、美と憂鬱のコントラストを投影したコフィンベルでした。
セイフティーコフィンベル。英国ヴィクトリア期に広まった、棺に連結されたベルは仮に生きたまま埋葬されたとしても周囲に生存を伝えられる最期の希望。
「どんなに長い間、絶望的な状況に置かれたとしても、助けを呼ぶことは出来るのよ。と言うよりも、助けが必要な時は必ず呼ぶべきなのよ。」ヴィクトリア期に心酔し探求を重ねるスペシャリスト、ボーカル Marjana はいわくのベルをテーマとしたことについてこう語っています。
21世紀において埋葬されるのは、薬物の乱用、差別、ネグレクト、社会からの疎外に苦しむ人たち。つまり、iamthemorning は何世紀も前に存在した残酷と希望を宿す “セイフティーネット” を現代に巣食う闇の部分へと重ね、人間性の高まり、進化についての疑問と真実を世界へと問いかけているのです。
「僕自身は少しずつプログのラベルから離れていると思うんだ。音楽的な境界を広げようとしているし、出来るだけ異なる音楽をプレイしようとしているからね。このアルバムでは特に顕著だと思うよ。」
人間性を率直に問いかけるアルバムにおいて、当然 iamthemorning 自身も装飾を剥ぎ取り、ナチュラルで正直、かつ本来の姿への変貌を厭いませんでした。
「”The Bell” の楽曲の大半は、正確に言えば僕たち2人のデュエットなんだ。2曲を除いて、当初全ての楽曲はデュエットの形をとっていたんだよ。その中のいくつかは、後に他の楽器を加えることになったね。だけど僕たちが持ち込みたかった雰囲気は壊さないようにしたよ。」
天性のピアニスト Gleb が語るように、”The Bell” で iamthemorning は始まりの朝焼け、2人を中心とした地平線へと再び赴くことを決断します。ゲストミュージシャンを制限し、ヘヴィーなアレンジメントを抑制することで、アルバムには以前にも増して映画や演劇のシアトリカルなイメージと衷心が産まれました。
そうして、クラッシックとチェンバーのダークで深みのある色彩を増したアルバムが、あのフランツ・シューベルトが好んだ19世紀に端を発する連作歌曲 (各曲の間の文学的・音楽的な関連性をもって構成された歌曲集) のスタイルへと到達したのはある種の必然だったと言えるでしょう。
ピアノの響きとシンフォニックなオーナメント、時折悪魔が来たりてディストーションをかき鳴らす作品中最もダイナミックかつエニグマティックなオープナー “Freak Show” で、Marjana は脆く悲痛でしかしフェアリーな歌声をもって 「誰も気にしないわ。例え私がバラバラに砕け散ったって。ただ立ったまま見つめているだけよ。だから私はもっとバラバラに砕けるの。」と数百年の時を経ても変わらぬ人の残酷を訴えます。
それでも世界に希望はあるはずです。第2楽章の始まり、エモーションとバンドオーケストラが生み出す絶佳の歌曲 “Ghost of a Story” で Marjana は、「全てに限界はあるの。あなたの悲しみにおいてさえ。少しづつ安心へと近づいていくわ。」とその目に暗闇を宿した亡霊のごとき現代人に一筋の光明を指し示すのです。
しばしば Kate Bush と比較される iamthemorning のポストプログワールド。実際、”Sleeping Beauty” のように彼女の遺伝子は今でも深くデュオの細胞へと根を張りますが、一方で Chelsea Wolfe, さらには Nick Cave の仄暗きアメリカーナにも共鳴する “Black And Blue” の濃密なサウンドスケープは特筆すべきでしょう。
そうして “Lilies” から “The Bell” へと畳み掛けるフィナーレはまさに歌曲の大円団です。Gleb の言葉を借りるなら、感情的で誠実なロックの情熱をクラッシックへと持ち込んだ “シューベルトロック” の真骨頂でしょう。
もちろん、芳醇なアレンジメントやオーケストレーションは楽曲のイヤーキャンディーとして不可欠でしょうが、その実全てを取り払ってデュエットのみでも十二分にロックとして成立するリアルがここにはあります。2人のシンクロニシティーはいったいどこまで高まるのでしょう?あの ELP でさえ、基本的にはドラムスの存在を必要としていたのですから。
今回弊誌では Gleb Kolyadin にインタビューを行うことが出来ました。「おそらく、僕は啓発的であることに固執しているとさえ言えるね。つまり、僕の音楽を聴くことでリスナーが何か新しいことを学べるように、ある意味リスナーを少し “教育” したいと思っているのかもね。」2度目の登場。どうぞ!!

IAMTHEMORNING “THE BELL” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【RICHARD HENSHALL (HAKEN) : THE COCOON】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RICHARD HENSHALL OF HAKEN !!

“With The Digital Revolution And The Advent Of Streaming, The Musical Market Has Become Extremely Oversaturated, Which Can Often Make It a Little Overwhelming When Looking For New Music. However I Do Think There’s Wealth Of Great Music Out There If You Dig Deep Enough. I’m Always Hugely Appreciative That Anyone Gives Their Precious Time To Listen To Our Music, Especially Since There’s Some Much Amazing Stuff Out There.”

DISC REVIEW “THE COCOON”

「作曲に関して僕たちは、これがプログなのかメタルなのか考えすぎて特定の方向性へ舵を切ったりはしないようにしているよ。特定の影響に重きを置かないことが重要なんだ。ただ自分たちが聴きたい音楽を書いて、ただ望むのはファンが楽しんでくれることだけなのさ。」
今年の Progressive Music Awards で “UK Band of the Year” を獲得したもはやプログレッシブ世界を代表するバンド HAKEN。精密と重猛の並行世界を実現するプログ最後の希望を牽引するギターヴァーチュオーゾ Richard Henshall は、ソロプロジェクトの船出に “The Cocoon” 実験の “繭” の名を与えました。
Richard が RADIOHEAD を引き合いに出した様に、プログレッシブの言霊が例えばブラックメタル、スラッジ、オルタナティブ、ジャズといった異世界によりフィットするようにも思える現代において、クラッシックなプログの鼓動を21世紀にアップデートする HAKEN のレトロフューチャーな音楽観は実に貴重で尊い孤高です。プログサウンドの海に漂うアンビエント、djent, ソウル、ジャズ、ミニマリズム、シンセポップの漂流物は、音の航海を退屈から程遠い冒険へと導いています。
「ここ何年か、HAKEN は作曲の面で以前よりもメンバー間のコラボレートが増えているんだ。だから “The Cocoon” をリリースする完璧なタイミングに思えたんだよ。」
2013年のマイルストーン “Mountain” を境に、歌詞、そして音楽の面でもコラボレートを進めてきた HAKEN はバンドとして絶対的な完成の域へと達しています。ただし、故に創立者 Richard でさえ、創造物全てを吐き出すことはもはや許されないほどに高潔な存在へと進化したのかもしれませんね。だからこそこの “繭” の羽化は Richard 自身の解放であり、自由な羽ばたきです。
「ピアノは僕が初めて恋に落ちた楽器だし、創造性の解放を求める時しばしば重点を置く楽器でもあるんだよ。同時に、家にあったアコースティックギターでギターの基礎を学んで行ったんだ。」
不穏なピアノの絶景から荒れ狂ポリリズムギターの雪崩へと繭を開くオープナー “Pupa” はプレイヤー、コンポーザーの両面から Richard のユーティリティー性を描写する絶佳の招待状です。
演奏者としてのハイブリッドな才能は続くタイトルトラック “Cocoon” で一層露わになります。「僕は BON IVER や James Blake の大ファンなんだけど、彼らからボコーダーのインスピレーションを得たんだよ。」Richard を歌の地平へと駆り立てたのは、真のプログレッシブを音楽面、テクノロジーの面でも開拓するコンテンポラリーなアーティストでした。
「作曲やレコーディングにおいて、音楽の境界を少しでも広げるなら、僕はモダンなテクノロジーも楽しんで使用しているんだ。」その言葉は CHON のチルグルーヴを帆に受ける “Silken Chains”、アンビエントやエレクトロニカを存分に抱きしめた風光 “Limbo”、hip-hop を咀嚼する “Lunar Room” が証明しています。
同時に “Cocoon” の繭は彼の中の “ジャズ” を開花させました。敬愛する DREAM THEATER のトリッキーで複雑怪奇な遺伝子を受け継ぎながら、Eric Dolphy のサクスフォンで21世紀のプログメタル異常者を演じる Richard の異能、インテンスのダンスは THANK YOU SCIENTIST と肩を並べます。
「僕は別バンド NOVA COLLECTIVE ではよりジャズの方向を目指していて、HAKEN はもちろんプログメタルの領域にあるね。だからこのソロプロジェクトで両方の影響を等しく祝えるのはクールだよね。」
そうして、彼の中のジャズとプログメタルを並列に並べたパラレルワールド “Twisted Shadows” はまさしく現在の Richard を投影した交差する音影だと言えるでしょう。”Djent Reinhardt” よろしくメタルとジャズを交互に繰り出す Richard の両刃は、鍵盤の魔術師 Jordan Rudess のロックなアグレッションとしなやかに同化し未曾有のカタルシスを創出します。さらに HAKEN の盟友 Ross Jennings の憂いを帯びた “ゴキブリ王” の歌唱と LEPROUS を想起させるシンコペーションのリズムを伴った楽曲は、21世紀プログメタルの理想形とも言える多様性と冒険心を具現化していくのです。
David Maxim Micic, Marco Sfogli といったモダンギターヒーロー、新進気鋭 BENT KNEE のメンバー、さらに CYNIC の新ドラマーに任命された Matt Lynch の参加によって、”The Cocoon” が一際強力な現代プログレッシブの怪気炎、目眩く桃源郷となっていることを付け加えて置きましょう。
今回弊誌では、Richard Henshall にインタビューを行うことができました。「僕はいつだって貴重な時間を割いて僕たちの音楽を聴いてくれる誰にでも大きな感謝を捧げているんだよ。だって世界は素晴らしい音楽に充ちていて、その中から選んでくれているんだからね。」 どうぞ!!

RICHARD HENSHALL “THE COCOON” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DREADNOUGHT : EMERGENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KELLY SCHILLING OF DREADNOUGHT !!

“The Term “Female Fronted” Sensationalizes Women And Turns Us Into a Gimmick. We Are All Human Beings Creating Sound And Gender Shouldn’t Be The Focal Point. “

DISC REVIEW “EMERGENCE”

「近年、音楽はジャンルの表現を超えて日々拡大していっているわ。交配と実験が重ねられているの。だからもしかしたら、ジャンル用語自体、大まかなガイドラインとして受け止められるべきなのかもしれないわね。」
プログメタル、ブラックメタル、フォーク、ドゥーム、ジャズ、チェンバー、クラシカル、ポストメタル。コロラド州デンバーに端を発する男性2人女性2人の前衛的メタルカルテットは、”恐れを抱かず” ジャンルの境界を決壊へと導く気炎にして雄心です。
現在、メタル世界の地図において最も多様で革新的な場所の1つ、ダークなプログレッシブドゥームの領域においても、DREADNOUGHT の描き出す無限の音景は実にユニークかつシームレスだと言えるでしょう。
「メンバーのうち2人が人生の大半を木管楽器をプレイしてきたから、作曲の中に盛り込みたいと考えたのね。私は10代の頃に、フォークメタルムーブメントや民族楽器を使用するメタルバンドからインスピレーションを得ているから、フルートを楽曲に取り入れたいと思うのは自然なことだったわ。」
そのドラマティックでカラフルな音の葉の根源が、演奏者のユーティリティ性にあることは明らかでしょう。インタビューに答えてくれたボーカル/ギター/フルート担当の Kelly を筆頭に、ドラム/サックスの Jordan、キーボード/ボーカルの Lauren、そしてベース/マンドリンの Kevin。典型的なロックの楽器以外をナチュラルに導入することで、バンドは多次元的な深みと自由な翼をその筆へと宿すことになりました。
火、風、水、土。THRICE の “The Alchemy Index” から10年の時を経て、今度は DREADNOUGHT が地球に宿る四元素をそのテーマとして扱います。そうして炎の獰猛と優しさを人生へと投影した最新作 “Emergence” は、バンド史上最も思慮深くアトモスフェリック、一方で最もパワフルかつ記憶に残るアルバムに仕上がったのです。
水をテーマとした前作 “A Wake in Sacred Waves” の冒頭とは対照的に、不穏に荒れ狂う5/4で幕を開けるオープナー”Besieged” は “現在最もプログレッシブなメタルバンド” との評価を確信へと導く野心と野生の炎。デリケートなジャズ/ポストロックの低温と、高温で燃え盛るブラックメタルのインテンスはドゥームの組み木で燃焼しせめぎ合い、ダイナミズムのオーバーフローをもたらします。
兆した悲劇の業火はチェンバードゥームと Kate Bush の嫋やかな融合 “Still” でとめどない哀しみへと飛び火し、その暗澹たる感情の炎は KARNIVOOL のリズムと OPETH の劇場感を追求した “Pestilent” で管楽器の嘶きと共にクライマックスを迎えます。それは過去と現代をシームレスに行き来する、”スペースロック” の時間旅行。
とは言え、”Emergence” は前へと歩き出すレコードです。KRALLICE や SEPTICFLESH の混沌とアナログキーボードの温もり、管楽器とボーカリゼーションの絶妙なハーモニーを抱きしめた “Tempered” で複雑な魂の熱を受け入れた後、アルバムはエセリアルで力強き “The Walking Realm” で文字通り命の先へと歩みを続けるのです。
もはや10分を超えるエピックこそ DREADNOUGHT の自然。それにしてもゴーストノートや奇想天外なフィルインを駆使した Jordan のドラムスは群を抜いていますし、Lauren の鍵盤が映し出すイマジナリーな音像の数々も白眉ですね。
今回弊誌では、美麗極まる歌声に激情のスクリーム、そしてマルチな楽器捌きを聴かせる Kelly Schilling にインタビューを行うことが出来ました。「フィーメールフロンテットって用語は女性を特別で、センセーショナルにする、つまり私たちをギミックに変えるのよ。私たちはみんな音を作り出す人間であって、性別を焦点にすべきではないのよね。」どうぞ!!

DREADNOUGHT “EMERGENCE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MAGMA : ZËSS】JAPAN TOUR 2019 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRISTIAN VANDER OF MAGMA !!

“ZËSS Is The Culmination Of a Great Cycle Including All My Previous Compositions. It Opens To a New Space And Other Perspectives. What I Had Sensed For Many Years: Multidirectional Music. It’s Another Way Of Feeling, Of Living Music.”

DISC REVIEW “ZËSS-Le Jour Du Néant”

「”ZËSS” は過去私の全ての作曲の中でも最高到達点と言えるだろうね。新たな場所や別の価値観へのドアを開いたよ。”ZËSS” によって私は “無限” へと歩み始めたんだ。音楽がそうさせたんだよ。」
結成50年。フランスに兆した異端の音楽組織 MAGMA の主宰にして、偉大なるドラマー/コンポーザー Christian Vander は未完の大曲 “ZËSS” が、自らの理想である複数の音楽性を持つ “マルチディレクショナルミュージック” への素晴らしき入り口であったことを認めました。
ジャズとロックの蜜月に、オペラやクラッシック、アヴァンギャルド、そしてミニマリズムの玄妙を封じた邪教 MAGMA は、Christian が天啓を受けたというコバイアの宇宙奇譚と仮想言語によりその禍々しき中毒性を一際増しています。
もちろん、MAGMA がメインストリームに位置することはありませんでしたが、そのカルトな表現方法はハードコアなマニアを生み続けています。ドキュメンタリー “To Life, Death And Beyond: The Music Of Magma” を見れば分かる通り、Trey Gunn, Jello Biafra, Robert Trujillo といった卓越したミュージシャンも実はバンドの熱烈な信徒なのです。
Christian も認めるように、MAGMA が “ズール” と呼ばれるその音楽スタイルを完成させたのは、3rdアルバム “Mekanik Destruktiw Kommandoh” 通称 “M.D.K.” でした。ベーシスト Jannick Top の加入により世界最高峯のスキルと “圧” を備えたリズムセクションを宿したバンドは、さらにコーラスの “圧”、複雑怪奇の “圧”、コバイアの “圧” で圧倒的なパワーとエナジーを纏う独創性を確立したのです。ズール “Zeuhl” とはすなわち “振動する音楽” の意。
Christian は時代を先取っていたと語ってくれましたが、甲高い狂気の叫びと入り乱れる無慈悲な拍子記号、そしてアヴァンギャルドな音楽性のコンビネーションは、もはやクラッシックロックの枠組みに対する破壊からの再創造であったとも言えるでしょう。
Christian が “ZËSS” の発想を得たのは1977年 “Attahk” のセッションにおいてだと言われています。それはファンク/ソウル色を増し、よりキャッチーなボーカリゼーションへと向かい始めた変革の時期でした。故に、Christian の言葉通り多様で自由な世界へのドアを開ける重要な鍵こそが “ZËSS” であったのは確かでしょう。ただし、楽曲はしばしばライブで披露されライブアルバムにも収録されましたが、スタジオアルバムに収録されることはなく故に未完成の伝説と語られるようになったのです。
「スタジオでレコーディングされていない最重要の音楽が “ZËSS” だったね。そして私たちは過去にリリースした “ZËSS” のライブバージョンとは全く異なるスタジオテイクを成し遂げたかったんだ。」
2019年、遂にベールを脱いだ38分のズールエピックは、シンフォニックでとめどなくスピリチュアルな有機的実験でした。序盤、Christian のナレーションが響き渡る反復の呪術を聴けば、彼の敬愛する John Coltrane が “Love Supreme” で世界に届けた深き瞑想と至上の愛を想起するファンも多いでしょう。
ただし、徐々にインテンスを増して、コーラスハーモニーとピアノのコード、シンコペーションのリズムにオーケストラのスペクタクルが複雑な糸のごとく絡まりあうと、カール・オルフやリチャード・ワグナーの虚影と共に様々な情景やエモーションがマグマのように溢れ出していきます。
光と影、天と地、想像と現実、歓喜と悲哀。それは恍惚を誘う魂の精神世界、形而上の峰。そうして、クラッシック、スピリチュアルジャズ、ゴスペルにソウル、そしてミニマルな舞台背景に踊るズールのダンスは、あまりに壮大なスペースオペラとして伝説の伝説たる所以を威風堂々提示するのです。さてこの作品は彼らのスワンソングとなるのでしょうか?少なくとも、信徒はきっとアンコールを望むはずです。
今回弊誌では、Christian Vander にインタビューを行うことが出来ました。「本当に勧めたいのはバンドのライブを見ることなんだ!!!私たちのパワーやエナジーを理解するためには、MAGMA のライブを見に来る必要があるよ!!もちろん、”Magma Live” アルバムもそうやってこのバンドを理解する良い方法だと思うね!」”50年後” と銘打たれた9月の来日も間近。どうぞ!!

MAGMA “ZËSS-Le Jour Du Néant” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ALARMIST : SEQUESTERER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALARMIST !!

“‘Post-rock’ Used To Be a Useful Catch All Term That Included All Of The Things You Just Listed To Describe Our Sound, Particularly For Bands Like Tortoise, Stereolab, Slint, But Now Seems It’s Gotten Very Specialised To a Certain Type Of Slow-burning Reverby Sound.”

DISC REVIEW “SEQUESTERER”

「アイルランドは小さな国だけど、沢山の有名なインストゥルメンタルバンドを輩出しているよね。その大きな理由は、おそらく00年代初期に THE REDNECK MANIFESTO がこの国でとても人気があったからだと思うんだ。」
THE REDNECK MANIFESTO, GOD IS ASTRONAUTS, ADEBISI SHANK, AND SO I WATHCH YOU FROM AFAR, ENEMIES。00年代初期に勃興したアイルランドのインストゥルメンタル革命は、ポストロックの情景とマスロックの知性を巧みに組み込みながらそのユニークな音脈を紡ぎ続けています。
「”ポストロック”は、僕たちのサウンドを説明するための便利なフレーズだったね。ただ、今となってはリバーブをかけた緩やかに燃えるような特定のサウンドを指すようになっていると思う。」
穏やかに多幸感を運ぶアトモスフェリックなサウンドスケープのみを追求せず、実験性、多様性、複雑性を同時にその理念へと宿す ALARMIST はまさにアイルランドに兆した特異性の申し子だと言えるでしょう。
“ポストマスロック”。モダンなインスト音楽の領域にとって不可欠なポストロック、マスロックのみならず、エレクトロニカ、ジャズ、チェンバー、サウンドトラックにゲーム音楽まで貪欲に飲み込む騒々しき野心家 ALARMIST に付属したタグは、そうして自らが呼称する “インスト過激主義者” のイメージと共に新時代の到来を激しく予感させています。
「僕たちはパートをスワップするのが好きなんだ。パートごとよりもアンサンブル全体を考えて作曲しているからね。」
ALARMIST が過激派たる由縁は、担当楽器のユーティリティー性にもあると言えます。カルテットからトリオへと移行する中でツインドラムの奇抜は失われましたが、それでもメンバー3人は全員が鍵盤を扱えますし、ギタリストとキーボーディストの境界さえ曖昧。さらに管楽器やアナログシンセ、トイピアノにダルシマーまで駆使してその音のキャンパスを豊かに彩っているのです。
「僕たちは1つのジャンルのラベルで完全に満足することは決してないだろうね。だけど “エクスペリメンタルロック” は曖昧だけど使える言葉だと思う。」
実際、バンドのセカンドアルバム “Sequesterer” に封じられた楽曲は、かつてポストロックに備わっていた実験性、真の意味での “ポスト” ロックを体現する魔法です。
例えば Tigran Hamasyan がジャズからの MESHUGGAH への返答だとすれば、オープナー “District of Baddies” はポストロックからの MESHUGGAH への返答なのかも知れません。ANIMALS AS LEADERS を想起させるシーケンシャルなメロディーとポリリズミックなリズムアプローチの現代建築は、アナログシンセサイザーの揺蕩う揺らぎや多様な楽器の音色との交わりで緩やかに溶け出し、風光明媚な情景の中へと見事に同化を果たします。それはメタルの方法論とはまた異なるスリル。時間もジャンルも楽器の垣根までも飛び越えまたにかける音旅行。
同様に、”Boyfriend in the Sky” はトロピカルトライバルに対する、”Lactic Tang” は FLYING LOTUS に対する、そして “Expert Hygience” はゲーム音楽に対するポストロックからの強力な返答だと言えるのかも知れませんね。ポストロックの一語である程度音像が理解できてしまう現在のシーンにおいて、TORTOISE, STEREOLAB, SLINT といったバンドはもっと多様で、挑戦的で、アヴァンギャルドな理想を追っていたよね?という ALARMIST の救いにも似たメッセージは、”ポスト” の停滞と飽和から脱却する万華鏡の音魂として世界を席巻するはずです。
今回弊誌では ALARMIST のメンバーにインタビューを行うことが出来ました。「日本にはクールな音楽が沢山あるよね。Mouse on the Keys, Cornelius, Perfume みたいな J-Pop に武満徹のような現代音楽まで。それに、任天堂、セガ、コナミみたいなゲーム音楽からも大きな影響を受けているんだよ。」リリースはジャンル最重要レーベルの一つ Small Pond から。どうぞ!!

ALARMIST “SEQUESTERER” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JOLLY : FAMILY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOE REILLY OF JOLLY !!

“I Remember When We First Started Making Music And People Comparing Us To Bands Like Porcupine Tree And Riverside. I Had Never Heard Of These Bands Before, So I Was Confused By The Comparison, And Realized There Was a Whole World Of Music To Learn About.”

DISC REVIEW “FAMILY”

「僕は JOLLY が音楽を作り始め、そして人々が僕らを PORCUPINE TREE や RIVERSIDE のようなバンドと比較し出した時のことを覚えているよ。それまで僕はそういったバンドを聞いたことがなかったから、その比較にわりと混乱して、学ぶべき音楽の新たな世界があることに気づいたのさ。」
プログワールドの外界から訪れたポジティブな侵略者 JOLLY は、そのオルタナティブな感性でジャンルの境界を拡大します。
「当初、僕たちにプログのラベルがつけられるのには時間がかかったんだ。それはプログが、ELP みたいにスーパーテクニックとか父の世代のキーボードを使ったバンドであることに関係していたからだと思うんだけど。どちらも JOLLY らしくはないよね。」
JOLLY のカラフルなサウンドスケープと濃密なエモーションを司る、音彩の魔術師 Joe Reilly は、バンドの “プログ” タグがジャンルの象徴だったハイテクニックよりも、現代的な多様性や実験性によるものだと認めています。
実際、Joe は、アトモスフィアの概念に目覚めテクニックの意味を問う “モダンプログ” を定義した PORCUPINE TREE や RIVERSIDE でさえ、認知したのはごく最近のことだったのですから。プログの世界にありながらプログをルーツとしない JOLLY の光芒はジャンルにとってかけがえのない特異点であるはずです。
RADIOHEAD や SMASHING PUMPKINS, そして STONE TEMPLE PILOTS といった90年代の偉大な血脈を出発点としながら、サウンドトラックやシンガーソングライター、R&B、アンビエントにチップチューンまで野心的に咀嚼し、MESHUGGAH 由来の重量感とメインストリームのポップなセンスの両極性を吐き出す JOLLY の多様性、実験精神が、結果として実に “プログレッシブ” なサウンドを紡ぎ出す逆転のパラダイム。その革命的な発想の転換は、バンドのテーマやコンセプトにも如実に現れています。
“The Audio Guide To Happiness”、”幸せになるためのオーディオガイド” から6年のインターバルでリリースされた最新作のタイトルはシンプルに “Family”。ダークでアンハッピーなテーマが踊るロックの世界で彼らのタイトルはポジティブで確かに異端です。
ただし、そこにも JOLLY の持つ二面性、両極性がしっかりと反映されています。「基本的にロックカルチャーのオーラってダークでアンハッピーなものだよね。ただ、そういったダークでアンハッピーなオーラも、君が言及したようなポジティブなムードを存在させるために早くから JOLLY の文化に共存しているんだよ。常に反対側は必要だからね。だから僕たちの歌詞の多くは、美しい瞬間とダークなセンスが共存しているんだよ。」
この6年でバンドはハリケーンに機材を破壊され、愛する友人たちも失いました。同時にメンバーは新たな命も授かっています。JOLLY が提示した “家族” の意味がより深い場所にあることは明らかです。
R&B の息吹を宿す “Lie to Me”、オリエンタル&スペーシーな Devin “Jolly” Townsend “Lazarus (Space Marsala)”, チップチューンと80年代への憧憬を込めた “Ava”、夢幻の天国 “Circuit Heaven”。そうして JOLLY の冒険は、音楽的な “家族” であった RIVERSIDE のギタリスト Pitor に捧げる “Let Go” へと収束します。
ノスタルジックでエモーショナル、COLDPLAY のように繊細かつダイナミックな壊れ物のメロディーを宿す楽曲は、しかし11分の一大プログレッシブ絵巻として傑出した存在感を放っています。その悲壮と叙情、静謐と重厚のハーモニーは必ずや聴くものの心を打つはずです。
「彼との友情は僕たち全員に永久的な影響を与えたんだよ。」プログレッシブとオルタナティブのキメラとして異端の扱いを受けたバンドを “ファミリー” として受け入れてくれた Pitor の優しさは、きっと時を経ても失われることはないでしょう。
今回弊誌では、Joe Reilly にインタビューを行うことが出来ました。「僕たちの音楽スタイルは非常に複雑というわけじゃないと思うけど、少し多様だから、プログレッシブやオルタナティブのみの説明では不十分だと感じる人がいるだろうから両方を言わなければならないんだ。」どうぞ!!

JOLLY “FAMILY” : 10/10

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COVER STORY + FUJI ROCK FESTIVAL 19′ 【KING GIZZARD & THE LIZARD WIZARD】


COVER STORY : KING GIZZARD & THE LIZARD WIZARD

“What Is Psych? Is It Psyche? Is It Psychedelic? If It’s An Exploratory Approach To Music Then Perhaps We Are. If It’s About Creating Huge Walls Of Glistening, Phased-Out Guitars Then We Are Not. I’ve Always Felt More Like a Garage Band Than Anything. We Don’t Write Songs About Space, Either.”

WHAT IS PSYCH? WHAT IS KING GIZZ?

「ロックは死んだ。」もう何十年も議論され続けるクリシェです。インターネットやストリーミングサービスの普及によって、今日ではより容易く多様なジャンルへとアクセス可能で、例えば iTunes を開けばロック/メタルのみならず、クラッシック、ジャズ、ポップ、ワールドミュージック、エレクトロニカ、オルタナティブ、R&B、ヒップホップなど様々な世界への入り口が並んでいます。
もちろん、そのストリーミングサービスにおいてエレクトロニカやヒップホップがロック/メタルを大きく凌駕している事実も今や常識と言えるでしょう。
とはいえ、70年代、80年代には及ばないものの、ロック/メタルはライブの分野では善戦していますし “死んだ” と判断するには早計にも思えます。ただ、ジャンルを定義した巨人たちに代わる新たなビッグアクトが望まれているのもまた事実でしょう。
しかし、新世代にとってロック/メタルという形式を取りながら、新たな領域を開拓し世界に衝撃を与える仕事は決して簡単ではありません。なぜならこのフィールドでは、何十年もかけて数えきれないほど多くのバンドが様々な実験を試みてきたからです。さらにネットの登場で過飽和となったシーンには両方の意味で、新星に残されたスペースはほぼないも同然だと言えるでしょう。
ただし、それでもその難題を解決する救世主、キング、もしくはウィザードがオーストラリアに君臨しています。KING GIZZARD & THE LIZARD WIZARD です。

あの TAME IMPALA との繋がりも深く、風変わりな名 (多大な影響を受けた Jim Morrison の呼称 “The Lizard King” が関係している) を持つメルボルンのバンドは真なるジャムセッションへの愛から誕生しました。ほぼ10年のキャリアですでに14枚のフルアルバムと2枚の EP を制作。ギター、キーボード、サックス、フルート、クラリネット、シタールなどその他様々な楽器を操るフロントマン Stu Mackenzie を中心に、ギター、キーボード、ハーモニカ、ボーカル担当の Ambrose Kenny-Smith、さらにCook Craig & Joey Walker 2人のギタリストを加え、ベーシスト Lucas Skinner、そして Michael Cavanagh と Eric Moore のダブルドラマーという異様な編成も、ジャムセッションへの執心、ライブバンドとしての矜持を考慮すれば実に自然な流れだと言えます。
バンドの音楽性を定義するなら、サイケデリックロック、プログレッシブロックが最も近いラベルなのかも知れません。ただし、むしろそれは建前とでも言うべきで、実際はカラフルな虹色の多様性をキャンパスに描くエクレクティックな音画家です。そしてそのアティテュードは、モダン=多様性の進化した音楽シーンに完璧にフィットしそこからさながら流動体のごとくさらに限界を超えていきます。実際、Stu Mackenzie は根本的な疑問を口にします。「ところで、サイケって何なんだい?もしそれが音楽への探索的なアプローチを意味するならば確かに俺たちはサイケだよ。だけど、歪んだギターの壁を作ったり、宇宙についての歌詞を意味するなら俺たちはサイケとは言えないね。」
事実、サイケ-ソウル-サーフ-ファズ-ガレージ-ジャズ-スペースロックなどと称される彼らの音とスタイルは年月とアルバムによって変化を続けています。2011年にリリースした4曲入りの EP “Anglesea” はかつてのニューウェーブ/ポストパンクのようにも聴こえましたし、典型的なリバイバルのようにも思えましたが、振り返ってみればそれは始まりに過ぎませんでした。

劇的な化学反応は2015年の “Quarters!” で発生しました。タイトル通りアートワークも4区分、楽曲も10分10秒ピッタリの4つで40分40秒のランニングタイムとクオーターに拘った作品はジャズロックの実験室を解放した初のアルバムでした。
Stu は当時、”Quarters!” について、「俺らは叫んじゃいけないレコードを作りたかった。長くてミニマル、反復を多用した構造の中でね。だから普段のようなブルータルなギターペダルも封印したんた。」と語り PINK FLOYD への敬意も覗かせています。
進化は止まりません。”Paper Mâché Dream Balloon” でフォークロックへ接近した後、アルバム最後の音と最初の音が見事に繋がりエンドレスにループする2016年の “Nonagon Infinity” から基盤となるサイケデリックロックに様々な刺激を注入し “King Gizz のサイケ” を創造し始めます。マイクロトーナル (微分音) もその刺激の一つ。


2017年にはそうしてアルバム全編をマイクロトーナルで統一した “Flying Microtonal Banana” を製作します。アルバムタイトルは Stu ご自慢のマイクロトーナルギターの名前。作品に収録された “Sleep Drifter” は今でも最大の人気曲の一つとなっています。
2017年は KING GIZZ にとって実に重要な一年でした。リリックに環境問題を取り上げ始めたのもこの年から。さらに、2月から12月にかけてバンドは5枚のフルアルバムをリリースします。ほぼ2ヶ月に1枚のデスマーチによって、しかし彼らは多くのファンを獲得し自らの価値を証明しました。

前述の異端 “Flying Microtonal Banana”、ナレーションを配した本格コンセプト作 “Murder of the Universe”, 奇妙でしかしキャッチーな “Skunsches of Brunswick East”、サイケデリックでポリリズミック TOOL の遺伝子を配合する “Polygondwanaland”、そして環境問題とプログロックのシリアスな融合 “Gumboot Soup”。
特に “Polygondwanaland” は KING GIZZ の最重要作と言えるのかもしれませんね。オープナー “Crumbling Castle” はまさしくバンド進化の歴史を11分に詰め込んだ濃密な楽曲ですし、何より彼らは作品を自らのウェブサイトで無料公開し、驚くべきことにその著作権さえ主張しなかったのですから。
バンドのメッセージは明瞭でした。「レコードレーベルを始めたいと思ったことはあるかい?さあやってみよう!友人を雇ってフィジカルを制作して出荷するんだ。僕たちはこのレコードの権利を主張しない。楽しんでシェアしてくれよ!」
そうして KING GIZZ は、ファンやインディーレーベルにオーディオファイルやアートワークもフリーで公開してそれぞれにフィジカルのディストリビュートを促したのです。それは衰退したレコード、CD文化を保護し復権を願うバンドが取った驚天動地の奇策でした。彼らほどのビッグネームの、しかも最高傑作のフィジカルをマージンなしで配給出来るチャンスなどなかなか飛び込んでくるはずもありません。作品は世界中88のレーベル、188のフォーマットで販売されることとなりました。

そういった大胆な行動は、彼らが全ての作品を自身のインディペンデントレーベルからリリースしていることにより可能となっています。レーベルはドラマー Eric Moore によってスタートし、彼が全てのマネージメントスタッフを仕切っているのです。もはやレーベルとのビッグディールを目指す時代は終焉を迎えました。若く意欲的なバンドにとって KING GIZZ のやり方は理想的なモデルケースでしょう。なぜなら、彼らはクリエイテビィティー、レコードの権利、リリースの計画、バンドの未来まで全てを完全に掌握しているのですから。

さすがに1年に5枚リリースの反動が訪れたのか、新作 “Fishing for Fishies” のリリースには2019年まで時間がかかりました。アルバムについて Stu は、「俺たちはブルースのレコードを作りたかったんだ。ブルースやブギー、シャッフルとかそんな感じのね。だけど楽曲はそのテーマと戦って、自らのパーソナリティーを獲得している。」と語っています。
実際、荒々しきブルーグラスのタイトルトラックを筆頭に、類稀なるグルーヴと RUSH の影響を宿す “The Cruel Millennial”、さらにエレクトロニカに満たされながらミツバチの重要性を語り継ぐ”Acarine” などアルバムは千変万化で充実を極めています。

驚くべきことに、そうして KING GIZZ は8月にリリースされる新作 “Infest the Rat’s Nest” で次の標的をメタルへと定めました。
公開された “Planet B” は誰も想像だにしなかったスラッシュメタルチューン。さらに “Self-Immolate” は初期の METALLICA, SLAYER と MUSE や ROYAL BLOOD を変拍子の海でミックスした奇々怪界。彼らが新たな領域で披露するエクレクティックな獰猛性が待ちきれませんね。

KING GIZZ の持つ多様性、プログ/メタルの新聖地オーストラリアというグローバルな出自はモダンなロック世界の原則を見事に内包しています。Stu はそのバンドの多様性について、「音楽は探検なんだ。僕がまだ探索していない音楽の作り方、レコードの作り方が何百万も残っている。言うまでもなく、学んでいない楽器、聴いていない音楽、探求していない文化もね。」と語っていますが、それでも父に Neil Young を歌い聞かされ、60年代のガレージコンピレーションから、敬愛する FLOWER TRAVELLIN’ BAND 含む70年代に勃興した東洋のサイケロックまで、Stu の知識と好奇心に際限はありません。驚くべきことに、彼は毎年一つ新たな楽器の習得を自らに課しています。

もちろん、彼らの特異なサウンドや”健全な” 4/4の錯覚を誘うポリリズムの魔法、そしてカメレオンの美学は、古くからのリスナーが慣れ親しんだプログロックやメタルの法則には乗っ取っていないかもしれません。一方で、故に革新的で創造性溢れ、前時代へのカウンターとして新たなビッグアクトの資格を得ているとも言えるはずです。バンドは自由自在に自己表現を繰り出すアートの極意を恐れてはいませんし、それでもなお、ロック/プログ/メタルの領域を住処としているのですから。遂に FUJI ROCK FESTIVAL 19′ で初来日を飾る KING GIZZ のモットーは、”No Slowing Down”。サイケ、プログ、ジャズ、エレクトロ、フォークにスラッシュとその境界を破壊し自由に泳ぐ魔法の王様は、きっとこれから何十年もロックミュージックの進化を担っていくはずです。

参考文献: The Guardian:King Gizzard & The Lizard Wizard: can the psych band release five albums in one year?
The Quietus:No Slowing Down: King Gizzard & The Lizard Wizard Interviewed
Ultimate Guitar :Why King Gizzard & the Lizard Wizard Are the Future of Rock Music We’ve Been Waiting for

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FUJI ROCK FESTIVAL 19′

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE ARISTOCRATS : YOU KNOW WHAT…?】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARCO MINNEMANN OF THE ARISTOCRATS !!

“All I Can Say In Retrospect Is That We Had a Great Chemistry And I Guess It Shows And After All I’m Still In Touch With DT And Collaborate With Jordan On Many Projects And Also Was Planning To Do Something With John Petrucci For a While. I Was Just Personally The Right Fit. I Listened To Completely Different Kind Of Music And Never Heard DT Songs Or Owned Their Albums. That Was The Biggest Deal For Them.”

DISC REVIEW “YOU KNOW WHAT…?”

「”You Know What…?” で僕らはソングライター、ミュージシャンとして互いにインスパイアし、バンドとして未踏の領域を目指したよ。バンドはその親密さを増し、互いを深く知ることが作品の限界を広げる結果に繋がったね。それでもこれは完全に THE ARISTOCRATS のアルバムだよ。だからこそ、これまでの作品で最高にクールなんだ。」
プレスリリースにも示された通り、”You Know What…?” は THE ARISTOCRATS が追求する “ミュージシャンシップの民主主義” が結実したインストライアングルの金字塔です。
Guthrie Govan, Bryan Beller, Marco Minnemann。ギター、ベース、ドラムスの “特権階級” “最高級品” が集結した THE ARISTOCRATS は、その圧倒的な三頭ヒドラの無軌道な外観に反してデモクラシーをバンドの旨としています。実際、これまでのレコードでも彼らは、それぞれが各自の特色を内包した3曲づつを持ち寄り、全9曲の和平的 “カルチャークラッシュ” を巻き起こしてきたのですから。
「僕たちは全員が異なるスタイルを持っているね。だけどその互いの相性が THE ARISTOCRATS を形成しているんだ。」Marco の言葉はその事実を裏付けますが、ただし “You Know What…?” を聴けば、バンドのコンビネーションやシンクロニシティー、共有するビジョンが互いの個性を損なうことなく未知なる宇宙へ到達していることに気づくはずです。
オープナー “D-Grade F**k Movie Jam” は彼らが基盤とするジャズロック/フュージョンの本質であるスポンティニュアスな奇跡、瞬間の創造性を体現した THE ARISTOCRATS ワールドへの招待状。
眼前に広がるは真のジャムセッション。徐々に熱量を増していく新鮮な Guthrie のワウアタック、極上のグルーヴとメロディーを融合させる Bryan のフレットレスベース、そしてソリッドかつアグレッシブな手数の王 Marco。時に絡み合い、時に距離を置き、ブレイクで自在に沸騰する三者の温度は Beck, Bogert & Appice をも想起させ、ただゲームのように正確に譜面をなぞる昨今のミュージシャンシップに疑問を呈します。
トリッキーな6/8の魔法と両手タッピングからマカロニウエスタンの世界へと進出する “Spanish Eddie”、サーフロックとホーダウンをキャッチー&テクニカルにミックスした “When We All Come Together” はまさに THE ARISTOCRATS の真骨頂。ただし、70年代のヴァイブに根ざした刹那のイマジネーション、インプロの美学は以前よりも明らかに楽曲の表層へと浮き出てきているのです。
KING CRIMSON のモンスターを宿す “Terrible Lizard”、オリエンタルな風景を描写する “Spiritus Cactus” と機知とバラエティーに富んだアルバムはそうして美しの “Last Orders” でその幕を閉じます。Steve Vai の “Tender Surrender” はギミックに頼らず、トーンの陰影、楽曲全体のアトモスフィアでインストの世界に新たな風を吹き込んだマイルストーンでしたが、”Last Orders” で彼らが成し得たのは同様の革命でした。
それはインタープレイとサウンドスケープ、そしてエモーションのトライアングル、未知なる邂逅。さて、音楽というアートはそれでも正しいポジション、正しいリズムを追求するゲームの延長線上にあるのでしょうか?
今回弊誌では、Marco Minnemann にインタビューを行うことが出来ました。DREAM THEATER のドラムオーディションには惜しくも落選したものの、マルチプレイヤーとしてソロ作品もコンスタントにリリースし、近年では Jordan Rudess, Steven Wilson, RUSH の Alex Lifeson とのコラボレートも注目されています。
「個人的には完璧に DREAM THEATER にフィットしていたと思うよ。ただ僕は彼らとは完全に違う感じの音楽を好んでいるし、DREAM THEATER の楽曲を聴いたこともなければアルバムも持っていなかったからね。それがオーディションの中で彼らにとって大きな意味を持ったんじゃないかな。」日本のサブカルチャーを反映したTシャツコレクションも必見。二度目の登場です。どうぞ!!

THE ARISTOCRATS “YOU KNOW WHAT…?” : 10/10

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