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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VIVA BELGRADO : ULISES】JAPAN TOUR 2017 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CÁNDIDO GÁLVEZ OF VIVA BELGRADO !!

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One Of Spain’s Most Well Thought Screamo/Post-Rock Act, Viva Belgrado Will Come To Japan With Splendid New Record “Ulises” !!

DISC REVIEW “ULISES”

スペイン、コルドバから世界を見据える激情ハードコア/ポストロックバンド Viva Belgrado 待望の初来日が Tokyo Jupiter Records の招聘により決定しました!! スウェーデンの巨人 Suis La Lune、スペインの熱風 Viva Belgrado、そして日本の新たな才能 Archaique Smile, Of decay and sublime が集結する二夜は、激情と美麗が交差する奇跡の瞬刻となるでしょう。
「鮮明で美しいアトモスフィアと、スクリームのコントラストを創造するのが好きなんだ。」インタビューで語ってくれたように、Viva Belgrado は情熱的な激情サウンドと、ポストロックの壮観なる美装を兼ね備えた南欧の逸材です。すでに欧州ハードコア/ポストロックのメジャーフェス Primavera Sound, Fulff Fest, ArcTanGent に出演を果たし、2年間で5度のユーロツアーを行うなどその勢いはまさにとどまるところを知りません。
バンドがリリースした最新作 “Ulises” は、都市や空港、オフィスといった現代社会の日常を舞台とした21世紀の叙事詩です。インタビューを読めば Cándido が各所で “True” “Honest” “正直” “誠実” というメッセージを発していることに気づくでしょう。
「僕たち自身の叙事詩を伝えたかった。」と語る Viva Belgrado の目的地は決して薄っぺらなプレハブの仮設物語ではなく、正直で誠実なアティテュードを携えたリアルなストーリーだったのです。
成功を収めたファーストフルレングス “Flores, Carne” のフォローアップとなる “Ulises” は、前作のアートワークに描かれた優艶な花々が “Ulises” のアートワークにおいて奔放に成長を果たしたように、自身の鮮麗なスタイルを磨き上げ、伸び伸びとしかし着実にスケールアップを果たした意欲作に仕上がりました。
アルバムオープナー “Calathea” は Viva Belgrado のその芳醇な音楽を象徴する楽曲です。パンクの推進力、ハードコアの衝動、ポストロックの情景、スクリーモの直情は、カラテアの新緑のごとく純粋に溶け合いバンドのリアルを伝えています。楽曲の隅々まで見透せるほどにクリアなプロダクションも白眉ですね。
Cándido の声はまさにこの叙事詩の主人公だと言えるでしょう。スクリームし、ラップし、アジテートし、朗読するそのボーカルはまさしく規格外で、さらにその全てがスペイン語を介することにより唯一無二の魅力を発していますね。
時に幸福を、時に悲哀を、時に情熱を、そして常に真実を運ぶ彼のリズミカルなラテンの響きは、リスナーに想像を超えるインパクトを与えることとなるのです。
実際、”Por la mañana, temprano” や “Apaga la llum” は Cándido の存在が成立させた新たな風です。ローズピアノを使用しポストロックの論理で構築されたソフトで繊細な楽曲は、しかし同時にダンサブル。よりコンパクトでストレートな作品を目指したという “Ulises” において、パンクのエナジーで疾走する “Erida” のような楽曲と見事なコントラストを描き出していますね。
Cándido の囁くようなラップは、スペイン語のセクシーな語感を伴いながらエキゾチックで現代的なムードをもたらし、”Apaga la llum” では “En Tokio no paraba de nevar” / “東京では雪が止まなかったんだ” としっかり愛する日本についても触れています。
アルバムは DEAFHEAVEN の息吹を吸収した光のシューゲイズ “Ravenala” で壮大に幕を閉じました。
今回弊誌では、バンドのボーカリストでギターもプレイするCándido Gálvez にインタビューを行うことが出来ました。envy や La Dispute のファンもぜひチェックしてみて下さいね。どうぞ!!

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VIVA BELGRADO “ULISES” : 9.7/10

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WORLD PREMIERE: “ÍSAFOLD” 【SÓLSTAFIR: BERDREYMINN】


WORLD PREMIERE!! “ÍSAFOLD” FROM SÓLSTAFIR’S UPCOMING RECORD “BERDREYMINN” !!

The Innovative Four Icelanders, SÓLSTAFIR Aboard On A New Adventurous Musical Journey Into Uncharted Territories With Upcoming New Record “Berdreyminn” !!

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Sigur Rós, Björk, Ben Frost。圧倒的で極限の自然環境と神が与えし清明な美しさを併せ持つアイスランドという土壌が育んだアーティストは、神々しいまでのアトモスフィア、アンビエンスを Post-Rock, Electronica のフィールドに注ぎ込み自らのアイデンティティーを主張してきました。Black Metal をそのルーツとする SÓLSTAFIR も、自らの出自であるアイスランドの原風景、光と影のサウンドスケープを、濃密に幽玄にその作品へと落とし込み進化を続けてきたバンドの一つです。2015年には ANATHEMA とのカップリングで奇跡の来日公演も大成功させていますね。
5/26にリリースする新作 “Berdreyminn” は、”来るべき出来事を夢想する者” というアルバムタイトルが物語るように、彼らの印象的なその進化をさらに一歩先の領域へと歩みを進めた野心的かつ充実した作品に仕上がりました。ここでは、キャッチーで忘がたいメロディー、サイケデリックなフレーズ、そしてクラッシックロックの豊かな源流を、元来のメタルの素養、幻想世界と融合させ、所謂 “Post-Black Metal” の可能性をさらに押し広げる試みが行われているのです。
前作 “Ótta” で起用した、Sigur Rós や ALCEST を手掛ける Birgir Jón Birgisson を再度プロデューサーに指名したことからもバンドがメタルの地平のみに留まらないことは明らかですね。
ただ、SÓLSTAFIR が “Berdreyminn” で目指したものはスタイルではなくピュアな感情です。幅広いジャンルから集積した音楽的な影響は、再構築され、アルバムに新たなパターンとして織り込まれていきました。つまり、ジャンルの境界線が遂に壊されたのではなく、単にその存在すら彼らの目に止まらないという訳でしょう。憂鬱、憧れ、怒り、喜び、快感、痛みといった感情がアルバムを深く満たしているのです。
SÓLSTAFIR embody the ever-turning wheel of seasons with their shifting light, darkness, and colours, extreme Northern climate, the stark contrasts, the closeness of beauty and deadly forces of nature, the impressive sceneries that have the bones of ancient gods enshrined in them like hardly any other band in every aspect of their existence.
SÓLSTAFIR are not like any other band. Their latest album, ‘Berdreyminn’ underscores this statement. As its title “a dreamer of forthcoming events” aptly describes, the four Icelanders have taken their already impressive evolution one step further. The band has continued to amalgamate haunting melodies, psychedelic phases, as well as strong undercurrents of classic rock and hard rock with echoes of their metal past. Yet SÓLSTAFIR’s focus is not on style but pure emotion. ‘Berdreyminn’ is eclectic by a conscious choice to make feelings audible and transform taste as well as texture to sound. Genre borders are not broken but simply ignored. Musical influences are gathered from a wide range of sources, re-arranged, and woven into new patterns. Melancholy, longing, anger, joy, pleasure, pain, and other emotions are fulling this album.
Despite leaning clearly towards an expression that can be described as rock today, SÓLSTAFIR have their roots in metal as their debut full-length ‘Í Blóði og Anda’ (2002), which translates as “In Blood and Spirit” still witnesses. Instead of today’s Icelandic gravel throated siren chants, frontman Aðalbjörn Tryggvason spat forth vitriolic crusty vocals and all strings were forged with black metal. Already their next albums ‘Masterpiece of Bitterness’ (2005) and ‘Köld’ (2009) marked stations of a continuous evolution. SÓLSTAFIR went further along their solitary path and obviously left any categorising box with the ground-breaking follow-ups ‘Svartir Sandar’ (2011) and ‘Ótta’ (2014), which received high critical acclaim and attracted new fans in equal measure, while managing the difficult feat of keeping most of their earlier following too.
SÓLSTAFIR have set sails to new horizons with ‘Berdreyminn’. Yet the Icelanders brought their home with them and the silhouette of their vessels remains easily recognisable. Welcome aboard on a new adventurous musical journey into uncharted territories.

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“Berdreyminn” Track-list
1. Silfur-Refur (6:54)
2. Ísafold (4:59)
3. Hula (7:07)
4. Nárós (7:23)
5. Hvít Sæng (7:22)
6. Dýrafjörður (7:32)
7. Ambátt (8:08)
8. Bláfjall (8:00)

【MESSAGE FROM SÓLSTAFIR】

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僕たちが今回公開する “Ísafold” はとても自発的に誕生したと言えるね。その日は THIN LIZZY のスピリットが舞い降りてきたように感じるよ。クラッシックな Phil Rudd (AC/DC) のビートを加えることも正しいように思えたね。
確かに最も典型的な SÓLSTAFIR の楽曲とは言えないだろう。だけどこういった少し変わった感覚こそがこのアルバムを表現しているかも知れないんだよ。短い楽曲だけど、様々な異なる音風景が存在するよ。
別に”車輪の再発明”を行った訳ではないんだけど、それでも”クラッシックロック”へのトリビュート、関連性を多く見出すことが出来ると思うな。以前やったこととは全く異なるアイデアも存在するね。だからこそこの曲が気に入っているし、僕にとって “Ísafold” はすでに僕たちの全ての楽曲の中でもフェイバリットとなっているんだ。
Our first premiere song ‘Ísafold’ came very spontaneously to light. It felt like the spirit of THIN LIZZY paid us a visit that day. Adding a classic Phil Rudd beat to that seemed the only right thing to do. This is not the most typical SÓLSTAFIR track but in some odd way it could be taken to represent this album. For such a short song, it offers many different sonic landscapes. And although we are not re-inventing the wheel and you will find many references to ‘classics’ as tributes, I find it quite different from anything that we have done before. That is the way, I like it and to me ‘Ísafold’ is already an all-time favourite among all our tracks.”

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PRE-ORDER “BERDRYMINN” HERE !!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JYOCHO: 祈りでは届かない距離 (A PRAYER IN VAIN)】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAIJIRO OF JYOCHO !!

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One Of The Most Talented Guitar Player From Japan, Daijiro Nakagawa With JYOCHO Has Just Released Very Impressing Math-Rock Meets J-Pop Record “A Prayer In Vain” !!

DISC REVIEW “祈りでは届かない距離”

Math-Rock という東洋が主たる発信地の魅力的で、しかし曖昧なジャンルにおいて、宇宙コンビニが果たした役割は非常に大きなものでした。短いキャリアで閃光のように強い輝きを放ったバンドは、時に幾何学的、時に有機的な美しきサウンドスケープに、日本らしいポピュラーミュージックの色合いを添え、ジャンルの曖昧さを逆手に取って Math-Rock の可能性を証明し、世界中から大きな賞賛を浴びたのです。
バンドの解散から一年半。リーダーでギタリストのだいじろー氏が JYOCHO というプロジェクト名でリリースしたデビュー作 “祈りでは届かない距離” は、さらに研ぎ澄まされたそのポップセンス、多様でカラフルな音楽性、高いミュージシャンシップを滑らかに溶け合わせ、今度は自身の可能性を証明したレコードとなりました。
JYOCHO とはすなはち”情緒”。インタビューにもあるように、日本らしい四季のような感情の変化を世界に伝えたいという想いで名付けられた JYOCHO はまさにこのカラフルなレコードを体現しています。
アルバムオープナー、”family” は宇宙コンビニと JYOCHO を繋ぐミッシングリンクのような存在です。クリーンでピュア、しかしテクニカル。宇宙コンビニ時代からだいじろー氏のトレードマークとも言えるマスマティカルなギターフレーズに導かれたリスナーは、流れ来るフルートの美しく雅な響きに驚きを覚えるでしょう。アルバムを通してこのフルートの音色は、JYOCHO の唯一無二の世界観”情緒”を醸し出すことに大いに貢献していますね。
確かにジャジーなリズムパターン、複雑なコンポジション、繊細なギターフレーズは Math-Rock のアイデンティティーを主張しますが、楽曲へと自然に溶け込み寄り添い、ただ深化を促すジグソーパズルのピースとして存在しているようにも思えます。
実際、ポップスの領域へと繋がるような、rionos の中性的でイノセントな歌声、メロディーが JYOCHO, そして “祈りでは届かない距離” を特別な存在にしていることは明らかです。
だいじろー氏が原点だと語る出身地、京都を想いながら作られたであろう “故郷” は、その Post-Rock 的なサウンドスケープを背景に歌い紡がれる rionos の優しく、懐かしく、実にエモーショナルなボーカルが、リスナーの心へフワリフワリと侵入し様々な感情を喚起します。勿論、そこに情緒を感じるファンも多いでしょう。
とは言え、アルバムにはロック的なスリルも当然存在します。”太陽と暮らしてきた” の変拍子、ギターとフルートのユニゾン、そして対位法的インプロヴァイズは実にエキサイティングで JYOCHO という集団のミュージシャンシップの高さを見せつけています。だいじろー氏のギターにより深く耳を傾ければ、タッピング以外にも、ベンドやアルペジオ、ハーモニクスの使用法が卓越していることにも気づくはずです。人生を変えたアルバムを見れば分かる通り、驚異的なアコースティックギタリストから影響を受け、右手の五本指をも自在に操る彼の奏法はロックのフィールドにおいては実に異端で革新です。
こうした JYOCHO の楽器とボーカルの素晴らしいバランス、見事な調和は、rionos の歌声にも相まって、偶然にも、”祈り”を捧げるアーティスト Cocco の名作群 “クムイウタ” や “ラプンツェル” を想起させる瞬間が存在します。確かに世界は “祈りでは届かない距離” で隔てられていますが、それでも私たちは”気づく”必要がありますし、”調和”へと向かうべきでしょう。
今回弊誌では、だいじろー氏にインタビューを行うことが出来ました。読者のみなさまにも”気づいて”いただければ幸いです。どうぞ!!

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JYOCHO “祈りでは届かない距離” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【world’s end girlfriend : LAST WALTZ】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH world’s end girlfriend !!

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Japanese Post-rock, Electronica, Classical Music Maestro, world’s end girlfriend Has Just Released Shining New Album “LAST WALTZ”!!

DISC REVIEW “LAST WALTZ”

Post-rock, Electronica, Classical といった要素をミックスし、独自の美しき純粋音楽を作り上げる world’s end girlfriend (以下WEG) がフルアルバムとしては実に6年振りとなる新作 “LAST WALTZ” をリリースしました!!
WEG は音楽家、前田勝彦氏のソロプロジェクト。Virgin Babylon Records の主催として、Vampillia, Have a Nice Day!, Matryoshka といった先鋭的かつ研ぎ澄まされた感性を持つアーティストの作品を発表、サポートしつつ、AKB48 ドキュメンタリー映画の音楽を担当するなど、昨今のミュージックシーンでその存在感は確実に際立っています。
前作 “SEVEN IDIOTS” のリリースが2010年。それから日本は3.11を経験しました。現代日本の価値観を根底から覆した災害を前にして、多くのアーティストが希望の歌を奏でたり、悲しみの歌を紡ぐ中、WEG は自然と音楽を比較します。
命を育む母なる海が多くの命を奪っていく現実。何の感情も伴わず、善悪を超えたただ圧倒的な光景は音楽を超えている…その人間を介さない根源的な世界観は WEG の世界と強く通じるものでした。自然への挑戦。”LAST WALTZ”のテーマを自身の名前 “world’s end girlfriend” とした意味もそこにあります。
インタビューを読めば分かるように、WEG ほど純粋に音楽への奉仕を貫くアーティストはいないでしょう。”LAST WALTZ” に存在するのはただ”美しさ”のみ。そこにメッセージ、感情というフィルター、つまり人間はほぼ介在していません。WEG は媒体としてただ音楽が求める先を具現化する。まさにこの表現方法こそが、今回彼が追求しチャレンジした世界なのです。
ジャケット、MV など今回何度も使用された花はそれを象徴しています。何も語らずとも、花はその美しさだけで世界に影響を与えています。WEG の美しき音楽もただ存在するだけでリスナーへ命のありようを伝えます。
地震の揺れをダンスとして捉えた “LAST WALTZ” というタイトルには、同時に「死の舞踏」という意味も込められています。死を前にしても美しく踊る魂でありたい。粛々と生を全うすることの尊さ、命の持つ根源的な強さを表しているのです。直接的な表現では決して生まれないであろう、誠実さ、純粋さがここにはあります。
ぜひ “Flowers of Romance” を聴いていただきたいと思います。13分の美しさを極めた至上のワルツはまさにメメント・モリ。死を前にして悠然と優雅に舞う魂が、音を通して見えるはずです。
ダークシンセ、ストリングス、ソプラノボイス、エレクトロビート、ノイズ。全てが WEG というマエストロの手に集まり具現化されたあまりにも圧倒的な死のダンスは、アートは自然に勝るのかという問に対する無言の回答として、その存在、楽曲という命に大きな意味を生んでいますね。
今回弊誌では、WEG にインタビューを行うことが出来ました。最もクリスマスらしく、実は最もクリスマスらしくないアルバムかもしれませんね。どうぞ!!

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world’s end girlfriend “LAST WALTZ” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LITE : CUBIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NOBUYUKI TAKEDA OF LITE !!

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Japanese Math / Post Rock Hero Returns! Lite Goes Back To Their Roots And Opens Up A New Chapter With Accessible And Emotive Record “Cubic” !!

DISC REVIEW “CUBIC”

日本が生んだ Math-Rock / Post-Rock ヒーロー LITE が待望の新作 “Cubic” をリリースしました!!バンドの原点である、タイトで躍動感溢れる生の音像へと回帰した作品は、国内外でインストゥルメンタルミュージックを志すアーティストへの新たな道標となるでしょう。
LITE の近作はその理知的な一面が作風を支配していました。ジグソーパズルのピースを一つ一つ組み合わせるように綿密に、デリケートに構成された彼らのストラテジーは “For All the Innocence” で一つの完成形を提示したと言えます。シンセサイザーを多用し、ギターを何本も重ね、精巧でカラフルな絵画のようにレイヤーされた音世界は、極限までこだわり抜いた足し算の美学であったとも言えるでしょう。
“For All the Innocence” の流れを汲みつつ、やや人間味も戻ってきた前作 “Installation” リリース後、LITE は国内、海外でツアーを重ねます。インタビューにもあるように、そこで彼らはオーディエンスとの温度差に直面したのです。もっとダイレクトに伝わる方法を模索し、たどり着いた一つの結論が “原点回帰” でした。
3年半のインターバルを経て、リスナーの元へと届けられた最新作 “Cubic” にはそうした葛藤を乗り越え、さらにステージアップを果たした魅力的な LITE の現在が詰まっています。
アルバムオープナー “Else” を聴けばバンドの進化が伝わるでしょう。アグレッションと躍動感を前面に押し出し、生々しくフィジカルな感覚を宿す楽曲は、ストレートにロックの真価を表現し、引き算の美学を提示しています。有機物のように形を変えていくトラックには、ワウを使用したヘンドリックスを想起させる激しい熱量のギターソロすらハマっていますね。
勿論、リズムやリフにはマスマティカルなイデオロギーが貫かれていますが、オーガニックで力強いギターサウンドと、抜けの良いダイナミックなドラムスによって、リスナーはまるで4人のメンバーのみが目前に現れ生のライブを見ているかのような錯覚に陥ることでしょう。
アーテュキレーション、ゴーストノート、そしてギターのピッキング音までクリアに感じられる立体感。あの BATTLES を手がける Keith Souza をマスタリングで、THE MARS VOLTA との仕事で知られる Heba Kadry をミキシングで起用したことも、新たなサウンドに寄与していることは明らかですね。
ジャケットのルービックキューブとリンクするように、カラフルでチャレンジングな点も “Cubic” の特徴です。SOIL&”PIMP”SESSIONS のタブゾンビがトランペットで参加した “D” はアルバムを象徴する楽曲かも知れません。自由な雰囲気でジャムセッションからそのまま進化した楽曲は、良い意味でのルーズさ、即興の魅力、ロックの原衝動を合わせ持ち、クリエイティブなエナジーが溢れて出ています。後半の転調を繰り返すアイデアも実にスリリングですね。
以前にも挑戦したとは言え、インストゥルメンタルバンドとして知られる LITE が2曲にボーカルを導入したこともサプライズだと言えますね。アヴァンギャルドなアルバムクローサー “Zero” での根本潤氏の歌唱はエキセントリックで実に効果的ですし、何よりギタリスト武田氏自らが日本語で歌う “Warp” からは、海外で認められる LITE がクールな日本語の美しさ、リズムを伝えるという意味からも重要な1曲だと感じます。
実際、フロム JAPAN のアイデンティティーは、LITE を海外のバンドから際立たせている隠し味では無いでしょうか?”Square” が象徴するような、エモとはまた違った日本的な侘び寂び、哀愁はレコードの要所で現れ作品をさらに魅力的に彩っていますね。
今回弊誌では、バンドのギタリストでコンポーザー、武田信幸さんにインタビューを行うことが出来ました。海外では、toe や ENEMIES も所属する要注目の Topshelf Records からのリリース。どうぞ!!


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LITE “CUBIC” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SAOR : GUARDIANS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDY MARSHALL OF SAOR !!

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Scottish Pride Is Here! Pioneer Of Mixing Celtic Folk Music And Post Rock / Metal, SAOR Has Just Released Definitely Epic New Album “Guardians”!! 

DISC REVIEW “GUARDIANS”

ボーカルも担当するマルチプレイヤー Andy Marshall の DIY プロジェクト SAOR がスコットランドのプライドをかけた最新作 “Guardians” をリリースしました!!ケルトの響きと Metal, Post 系の音楽を見事に融合した佳麗で雄大な作品は、シーンに大きな衝撃を与えています!
バンドのマイルストーンとなった前作 “Aura” から磨き上げられ、お馴染みのフィドル、バグパイプ、ストリングスといったケルトの民族楽器がよりクリアーでストレートに使用されたという “Guardians”。確かに、全5曲、全てが10分以上というエピックの極みを体現したかのようなアルバムを聴けば、リスナーはスコットランドへと旅することが可能です。
眼下に広がるのは、雄々しくも鮮やかな彼の地の景色かも知れませんし、独立のために誇り高く戦うハイランドの戦士たちかも知れません。ただ、間違いなく聴く者をスコットランドと結びつけ、その場所、文化、歴史から何かを強く喚起させる作品であることは確かですね。
インタビューで Andy は Black Metal のみにカテゴライズされることに嫌悪感を表していますが、とは言え、”Guardians” の神秘的、瞑想的な至上の美を際立たせているのが、鋭利なトレモロリフと猛々しくもダークな激情のボーカルにあることも事実でしょう。その感情のコントラスト、波打つようなアトモスフィア、音楽的多様性は彼の巧みな演奏とコンポジションの技術によって生み出されているのです。
注意深く “Autum Rain” を聴けば、彼の独特なギターの使用法を感じることが出来るでしょう。冒頭からストリングスの優美な響きが支配する楽曲において、Andy のリードギターは寸分の違和感もなく、まるで第1バイオリンのようにオーケストラに参入します。決して圧倒せず、主役になることもなく、自然にアンサンブルへと調和するこのロックを代表する楽器によって、アルバムにはクラッシックでも既存のロック/メタルでもない前衛的な美しさが生まれているのです。
また、モチーフの展開にも彼独特の方法論が活用されています。10分を超える楽曲群には、当然同じメロディーが何度か現れるのですが、Andy はそのモチーフを決して2度同じアンサンブルで奏でることはありません。楽器の数、種類、そしてダイナミズムを見事に操りながら、交響曲のように楽曲に表情を生んでいきます。
ボーカル、ギター、ドラムス、フルート、バグパイプ、フィドル、バイオリンといったマキシマムな楽器陣で圧倒したかと思えば、一方でピアノやドラムスとリード楽器のみでミニマムな静寂の世界を演出。その対比の妙は、ケルトの魅力的なメロディーと相まってアルバムを実にカラフルに磨き上げています。
そして勿論、インタビューでも語ってくれた通り、使用される民族楽器がデジタルではなく、全てリアルに演奏されている事実がより作品を本物にしていることは明らかですね。
“Hearth” に象徴されるように、今作で実に多彩なバリエーションを見せるようになったドラムスのフィルインやリズムワークを基にしたプログレッシブなアプローチも “Guardians” を際立たせていることを付け加えておきましょう。
今回弊誌では、SAOR の首謀者 Andy Marshall にインタビューを行うことが出来ました。映画 “Braveheart” を想起させるまさにシネマティックな音楽世界。ALCEST のファンは勿論、MOONSORROW や SIGUR ROS のファンにもぜひ聴いていただきたい1枚です。どうぞ!!

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SAOR “GUARDIANS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ALCEST : KODAMA】JAPAN TOUR 2017 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NEIGE OF ALCEST !!

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The Pioneer Of Post-Black Metal From France, ALCEST Returns To Roots And Opens Up The New Chapter With Their Newest Album “Kodama” Influenced By Japanese Folklore !!

DISC REVIEW “KODAMA”

今や世界規模で注目を集める、儚くも美しいフランスの Post-Black Metal デュオ ALCEST が Neige の幼少期、そして宮崎駿さんの名作”もののけ姫”にインスピレーションを得たという新作 “Kodama” をリリースしました!!これまでも、寺院でプレイしたり、”Souvenirs d’un Autre Monde” 収録 “Tir Nan Og” でゲーム”クロノトリガー”に対するオマージュを行うことにより日本に対するリスペクトを表していた ALCEST ですが、彼らのその想いが本格的に詰まった作品は、さらにこの地でのファンを増やすことでしょう。
ALCEST は所謂 “Blackgaze”、Black Metal と Shoegaze を融合させたパイオニア的存在です。幻想的で内省的。メランコリックな繊細さと悲痛な激しさが生み出す圧倒的なダイナミズム、神々しいまでの美しさはシーンに衝撃を与え、DEAFHEAVEN などに続く Post-Black のうねりを創出したのです。
一つの潮流を生み出した ALCEST が発表した前作 “Shelter” は “Sun-Kissed” などとも表現される、言わば”光”のアルバムでした。メタルらしさを極力排し、多幸感溢れる Shoegaze / Indie サウンドを前面に押し出した作品は、確かに彼らの特徴であるダイナミズムが失われたという点では物議を醸しましたが、それ以上に極上の Post-Rock へと進化し、溢れ出る目も眩むような光の渦、SIGUR ROS にも似たアトモスフィアが 「やはり ALCEST は凄い!」 と世の中を納得させたように思います。
“Kodama” は “Shelter” と対になるカウンターパーツ的な作品と言えるかもしれません。インタビューにあるように、もののけ姫と通じる自然を食い物にする現代社会、そしてその闇の部分でもあるテロリズムが ALCEST を動かしました。ある意味メタルのルーツに戻り、よりダークな1面にフォーカスした”最も怒れる”作品は、それでもやはり徹頭徹尾 ALCEST です。そして同時に、彼らの新しいチャレンジである POP センスが花開いたアルバムであるとも言えるでしょう。
アルバムオープナー、タイトルトラックの “Kodama” はレコードを象徴するような楽曲です。確かにここには ALCEST のシグニチャーサウンドである、 Black Metal の冷たいギターや、Shoegaze のドリーミーなメロディーがレイヤーされていますが、同時にアリーナポップに由来する要素も存在します。COCTEAU TWINS や DEAD CAN DANCE に触発されたというボーカルは何と全てがインプロヴァイズされたもの。非常にキャッチーかつ神秘的なそのメロディーラインはリスナーをもののけの森へと誘い、楽曲をよりスピリチュアルな高みへと押し上げています。この手法は、”Je suis d’ailleurs” の冒頭などでも聴くことが出来ますね。
加えて、インタビューで語ってくれた通り、グランジやインディーロックからの影響も新たな可能性を提示します。楽曲後半に見せる Neige のギターワークは群を抜いていて、シンプルかつ少ない音数で空間を意識した印象的なフレーズを奏で、故意にラフなプロダクション、サウンドで NIRVANA のようにコードをのみ激しくストロークすることで、楽曲の幅を広げることに成功していますね。Neige のコンポジションスタイルである、光と影のバランスを完璧なまでに復活させながら、さらに進化を遂げた凄みがここにはあります。
ファーストシングル、”Oiseaux de Proire” は王者がメタルへの帰還を高々と告げるアルバムのハイライトでしょう。TOOL や SMASHING PUNPKINS さえ想起させるオルタナティブな感覚を備えたギターリフと、ノスタルジックで郷愁を誘う珠玉のボーカルメロディーで幕を開ける楽曲は、Neige の咆哮を合図に突如としてその怒りの牙を剥きます。Winterhalter の鬼気迫るブラストビートに乗って疾走する、メランコリックなトレモロリフはまさしく ALCEST のアイデンティティー。挿入されるキャッチーなアコースティックパートは進化の証。溢れるようなそのエナジーは、もののけ姫終盤にししがみが首を落とす場面をイメージさせますね。インタビューで言及している通り、”二面性” “対比” “進化” に拘るアートの開拓者らしい完璧な展開美を持ったシネマティックな楽曲だと思います。
タイトル、山本タカトさんをオマージュしたアートワークからコンセプト、”対比”の妙まで強く日本を意識した “Kodama”。今回弊誌では、Neige にインタビューを行うことが出来ました。音楽、歌詞、コンセプト、演奏、全てを司るまさに ALCEST の心臓が非常に深く丁寧に語ってくれました。日本の雑誌だからこそ行えた価値あるインタビュー。どうぞ!!

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ALCEST “KODAMA” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【downy : 第六作品集『無題』】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROBIN AOKI OF downy!!

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One Of The Greatest Post-Rock, Dark Electronic Outfit From Japan, downy Has Just Released Deep And Cold New Masterpiece “Mudai Ⅵ” !!

DISC REVIEW “第六作品集『無題』”

日本の至宝、5人組ロックバンド downy が新作 “第六作品集『無題』” をリリースしました !!
日本における Post-Rock の先駆けとも評される downy は、映像担当のメンバーが存在する特異な形態のバンドです。当初から、映像と音楽の融合を掲げて来たバンドは、同時に現在フェスやクラブシーンに根付きつつある VJ の先駆者とも言えるでしょう。また、音楽担当以外のメンバーを擁するという点では、勿論初期の KING CRIMSON と通じるフレキシブルな集団でもあるのです。
Post-Rock と一言で語られることも多い downy の音楽ですが、一つのジャンルで括ってしまうには、彼らの才能は多彩で、先鋭的で、オリジナル過ぎると感じます。
静と動を巧みに行き来する独特のダイナミズム、ナチュラルな変拍子の使用が創出する緊張感、儚くも美しいメランコリー、文学的なリリックにレイヤーされた豊かなエモーションが、Hardcore, Post-Hardcore, Psychedelic Rock, Prog Rock, Metal, Jazz, Hip Hop, Electronica, Trip Hop など多様なフィルターを通して downy の世界観、芸術として昇華し、リスナーの元に届けられるのです。
9年の活動休止の後、リリースされた前作 “第五作品集『無題』” は、休止以前と同様、チャレンジングでストイックな作品でしたが、同時に以前、アルバムを覆っていたどこか無機質なムードに仄かな光が射し込んだような、暖かな変化も感じられましたね。
それから3年の間に、downy は休止以前よりも、シーンの軸としてある種の責任感を背負いながら動いてきたようにも思われます。
2014年のフジロック初出演、クラムボントリビュートアルバムへの参加、THE NOVEMBERS への楽曲提供、そして、何と言っても同世代で日本が誇るオルタナティブの雄、envy, Mono と共に Synchronicity” とのコラボレーションから “After Hours” というフェスを立ち上げるなど、実に積極的に活動を続けて来ています。
そういった成果が結実したのが新作 “第六作品集『無題』” であると言えるかも知れませんね。演奏にはさらに人間味を加え、青木ロビン氏のボーカルにはエモーション以上のスピリチュアルな何かが宿っているようにも感じます。
アルバムオープナー、”凍る花” はこの新たな傑作を象徴するような楽曲です。レコードの幕開けを告げるシンセサウンドが鳴り響くと、リスナーは驚きと共に急速に downy ワールドへと誘われます。前作で仄かに射し込んだ暖かな光は、実はこのアルバムでは感じられません。7拍子が導くヒリヒリとした緊張感、さらに説得力を増したメランコリックな歌唱が伝える冷たく蒼い世界観は、まさしく downy 唯一無二のもの。初期の感覚、原点を、現在の成熟した downy が奏でるといったイメージも少なからず存在するようにも思います。
続く”檸檬” はウッドベースとツッコミ気味のハイハットがジリジリとした焦燥感を生み出す壮絶な5拍子。”海の静寂” は R&B 的な黒い歌唱と、静寂を切り裂くギターのうねりが印象的。プレイ自体は人間らしい感情の熱を帯びているにもかかわらず、殺伐とした冷ややかな雰囲気を保ち続けるアルバムは、やはり異形なまでに特殊です。
同時に、”色彩は夜に降る”, “親切な球体” にも言えますが、リズム隊の究極に研ぎ澄まされた、ミニマルかつインプレッシブなリフアプローチが冴え渡った作品とも言えますね。
今回弊誌では、青木ロビン氏にインタビューを行うことが出来ました。内容にもある通り、メタル、プログロックのファンにも強く聴いていただきたいバンドです。どうぞ!!

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downy “第六作品集『無題』” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JAMBINAI : A HERMITAGE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LEE ILWOO OF JAMBINAI !!

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Experimental Modern Rock From South Korea, JAMBINAI Has Just Released Newest Album “A Hermitage” !! Traditional Korean Music “Gugak” Melts Into Post-Rock Here !!

DISC REVIEW “A HERMITAGE”

韓国が誇るモダンロックの新鋭、JAMBINAI が世界へとアピールする、強いエモーションと高い音楽性を兼ね備えた新作 “A Hermitage” をリリースしました!!
JAMBINAI の特徴は、まず何と言っても韓国の伝統音楽”国楽” (Gugak) とモダンミュージックを見事に融合させている点にあります。スリーピース編成のバンドは、ギター、ベースといったオーソドックスな西洋の楽器とともに、ピリ(篳篥に似た木管楽器)、へグム(二胡に似た弓奏楽器)、コムンゴ(琴に似た弦楽器)といった韓国の伝統楽器も見事に使いこなしているのです。
メンバーは3人とも、大学で国楽を専攻していたと言うのですから、当然と言えば当然ですが、これほど自然に巧みに伝統とモダンをミックスしているバンドは世界という視点で見ても多くは存在しないでしょう。伝統楽器独特の優雅で美しい音色が、Post-Rock のエモーション、ジャズのアンビエンス、そしてダークでスラッジーなメタルに溶け込んで生まれるダイナミズムは彼ら特有のアイデンティティと言えますね。
JAMBINAI が度々比較されるのは、GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR, MOGWAI, EXPLOSION IN THE SKY といったアトモスフェリックな Post-Rock のバンドたちで、勿論それは “For Everything That You Lost” が象徴するように彼らの骨格の1つなのですが、同時に、例えばアルバムオープナー “Wardrobe” で聴けるような怒りに満ちたディストーションギター、雷嵐のようなドラミングにはメタルからの影響も強く感じられます。
アルバムを深く覆うのは、TOOL のインテリジェンス、CONVERGE のカオス、NIN のダークネス。そして “Naburaku” のシンプルかつ凄まじい攻撃性を持つリフにはさらに根源的なヘヴィーメタルの雰囲気すら存在します。そうして生まれるアトモスフィアとダークヘヴィーの対比、伝統とモダンの対比が作品に唯一無二の素晴らしいムードを創出していますね。
また、実験性も彼らの音楽を語る時、重要なキーワードとなるでしょう。”Echo of Creation” では Sim が琴のような伝統楽器コムンゴのネック部分をエネルギッシュにかき鳴らしながらハンマリングし、伝統からはかけ離れた楽器の使用法で強力なインテンスを具現化していますし、”Abyss” でのゲストボーカル Ignito をフィーチャーしたアグレッシブな韓国語ラップも鮮烈な印象を残していますね。
圧巻はアルバムクローサーの “They Keep Silence”。2014年に起きた、300人以上の死者を出した悲劇的な韓国の海難事故 “セウォル号沈没事故” について書かれたこの楽曲は、メインソングライター Lee Ilwoo がインタビューで語ってくれた通り、事故の悲しみよりも、怒りや苦しみに焦点が当てられています。Tool のグルーヴに国楽を加えたようなサウンドは、コムンゴが刻むオルタナティブでマスマティカルな深みのあるリフ、静寂から徐々に声をあげるけたたましいヘグムの叫び、そして全ての楽器がラウドに怒りを表現する後半の混沌まで、生々しくも壮絶な感情に満ち溢れています。まさに彼らのイメージする音楽を体現したかのような1曲でしょう。
今回弊誌では、バンドのブレイン Lee Ilwoo にインタビューを行うことが出来ました。ヨーロッパツアーを行うほど欧州では注目を集め出している彼ら。東アジアの伝統音楽を世界に紹介してくれるという点でも意味のあるバンドだと思います。どうぞ!!

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JAMBINAI “A HERMITAGE” : 9.8/10

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