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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JYOCHO: 祈りでは届かない距離 (A PRAYER IN VAIN)】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAIJIRO OF JYOCHO !!

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One Of The Most Talented Guitar Player From Japan, Daijiro Nakagawa With JYOCHO Has Just Released Very Impressing Math-Rock Meets J-Pop Record “A Prayer In Vain” !!

DISC REVIEW “祈りでは届かない距離”

Math-Rock という東洋が主たる発信地の魅力的で、しかし曖昧なジャンルにおいて、宇宙コンビニが果たした役割は非常に大きなものでした。短いキャリアで閃光のように強い輝きを放ったバンドは、時に幾何学的、時に有機的な美しきサウンドスケープに、日本らしいポピュラーミュージックの色合いを添え、ジャンルの曖昧さを逆手に取って Math-Rock の可能性を証明し、世界中から大きな賞賛を浴びたのです。
バンドの解散から一年半。リーダーでギタリストのだいじろー氏が JYOCHO というプロジェクト名でリリースしたデビュー作 “祈りでは届かない距離” は、さらに研ぎ澄まされたそのポップセンス、多様でカラフルな音楽性、高いミュージシャンシップを滑らかに溶け合わせ、今度は自身の可能性を証明したレコードとなりました。
JYOCHO とはすなはち”情緒”。インタビューにもあるように、日本らしい四季のような感情の変化を世界に伝えたいという想いで名付けられた JYOCHO はまさにこのカラフルなレコードを体現しています。
アルバムオープナー、”family” は宇宙コンビニと JYOCHO を繋ぐミッシングリンクのような存在です。クリーンでピュア、しかしテクニカル。宇宙コンビニ時代からだいじろー氏のトレードマークとも言えるマスマティカルなギターフレーズに導かれたリスナーは、流れ来るフルートの美しく雅な響きに驚きを覚えるでしょう。アルバムを通してこのフルートの音色は、JYOCHO の唯一無二の世界観”情緒”を醸し出すことに大いに貢献していますね。
確かにジャジーなリズムパターン、複雑なコンポジション、繊細なギターフレーズは Math-Rock のアイデンティティーを主張しますが、楽曲へと自然に溶け込み寄り添い、ただ深化を促すジグソーパズルのピースとして存在しているようにも思えます。
実際、ポップスの領域へと繋がるような、rionos の中性的でイノセントな歌声、メロディーが JYOCHO, そして “祈りでは届かない距離” を特別な存在にしていることは明らかです。
だいじろー氏が原点だと語る出身地、京都を想いながら作られたであろう “故郷” は、その Post-Rock 的なサウンドスケープを背景に歌い紡がれる rionos の優しく、懐かしく、実にエモーショナルなボーカルが、リスナーの心へフワリフワリと侵入し様々な感情を喚起します。勿論、そこに情緒を感じるファンも多いでしょう。
とは言え、アルバムにはロック的なスリルも当然存在します。”太陽と暮らしてきた” の変拍子、ギターとフルートのユニゾン、そして対位法的インプロヴァイズは実にエキサイティングで JYOCHO という集団のミュージシャンシップの高さを見せつけています。だいじろー氏のギターにより深く耳を傾ければ、タッピング以外にも、ベンドやアルペジオ、ハーモニクスの使用法が卓越していることにも気づくはずです。人生を変えたアルバムを見れば分かる通り、驚異的なアコースティックギタリストから影響を受け、右手の五本指をも自在に操る彼の奏法はロックのフィールドにおいては実に異端で革新です。
こうした JYOCHO の楽器とボーカルの素晴らしいバランス、見事な調和は、rionos の歌声にも相まって、偶然にも、”祈り”を捧げるアーティスト Cocco の名作群 “クムイウタ” や “ラプンツェル” を想起させる瞬間が存在します。確かに世界は “祈りでは届かない距離” で隔てられていますが、それでも私たちは”気づく”必要がありますし、”調和”へと向かうべきでしょう。
今回弊誌では、だいじろー氏にインタビューを行うことが出来ました。読者のみなさまにも”気づいて”いただければ幸いです。どうぞ!!

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JYOCHO “祈りでは届かない距離” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【world’s end girlfriend : LAST WALTZ】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH world’s end girlfriend !!

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Japanese Post-rock, Electronica, Classical Music Maestro, world’s end girlfriend Has Just Released Shining New Album “LAST WALTZ”!!

DISC REVIEW “LAST WALTZ”

Post-rock, Electronica, Classical といった要素をミックスし、独自の美しき純粋音楽を作り上げる world’s end girlfriend (以下WEG) がフルアルバムとしては実に6年振りとなる新作 “LAST WALTZ” をリリースしました!!
WEG は音楽家、前田勝彦氏のソロプロジェクト。Virgin Babylon Records の主催として、Vampillia, Have a Nice Day!, Matryoshka といった先鋭的かつ研ぎ澄まされた感性を持つアーティストの作品を発表、サポートしつつ、AKB48 ドキュメンタリー映画の音楽を担当するなど、昨今のミュージックシーンでその存在感は確実に際立っています。
前作 “SEVEN IDIOTS” のリリースが2010年。それから日本は3.11を経験しました。現代日本の価値観を根底から覆した災害を前にして、多くのアーティストが希望の歌を奏でたり、悲しみの歌を紡ぐ中、WEG は自然と音楽を比較します。
命を育む母なる海が多くの命を奪っていく現実。何の感情も伴わず、善悪を超えたただ圧倒的な光景は音楽を超えている…その人間を介さない根源的な世界観は WEG の世界と強く通じるものでした。自然への挑戦。”LAST WALTZ”のテーマを自身の名前 “world’s end girlfriend” とした意味もそこにあります。
インタビューを読めば分かるように、WEG ほど純粋に音楽への奉仕を貫くアーティストはいないでしょう。”LAST WALTZ” に存在するのはただ”美しさ”のみ。そこにメッセージ、感情というフィルター、つまり人間はほぼ介在していません。WEG は媒体としてただ音楽が求める先を具現化する。まさにこの表現方法こそが、今回彼が追求しチャレンジした世界なのです。
ジャケット、MV など今回何度も使用された花はそれを象徴しています。何も語らずとも、花はその美しさだけで世界に影響を与えています。WEG の美しき音楽もただ存在するだけでリスナーへ命のありようを伝えます。
地震の揺れをダンスとして捉えた “LAST WALTZ” というタイトルには、同時に「死の舞踏」という意味も込められています。死を前にしても美しく踊る魂でありたい。粛々と生を全うすることの尊さ、命の持つ根源的な強さを表しているのです。直接的な表現では決して生まれないであろう、誠実さ、純粋さがここにはあります。
ぜひ “Flowers of Romance” を聴いていただきたいと思います。13分の美しさを極めた至上のワルツはまさにメメント・モリ。死を前にして悠然と優雅に舞う魂が、音を通して見えるはずです。
ダークシンセ、ストリングス、ソプラノボイス、エレクトロビート、ノイズ。全てが WEG というマエストロの手に集まり具現化されたあまりにも圧倒的な死のダンスは、アートは自然に勝るのかという問に対する無言の回答として、その存在、楽曲という命に大きな意味を生んでいますね。
今回弊誌では、WEG にインタビューを行うことが出来ました。最もクリスマスらしく、実は最もクリスマスらしくないアルバムかもしれませんね。どうぞ!!

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world’s end girlfriend “LAST WALTZ” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LITE : CUBIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NOBUYUKI TAKEDA OF LITE !!

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Japanese Math / Post Rock Hero Returns! Lite Goes Back To Their Roots And Opens Up A New Chapter With Accessible And Emotive Record “Cubic” !!

DISC REVIEW “CUBIC”

日本が生んだ Math-Rock / Post-Rock ヒーロー LITE が待望の新作 “Cubic” をリリースしました!!バンドの原点である、タイトで躍動感溢れる生の音像へと回帰した作品は、国内外でインストゥルメンタルミュージックを志すアーティストへの新たな道標となるでしょう。
LITE の近作はその理知的な一面が作風を支配していました。ジグソーパズルのピースを一つ一つ組み合わせるように綿密に、デリケートに構成された彼らのストラテジーは “For All the Innocence” で一つの完成形を提示したと言えます。シンセサイザーを多用し、ギターを何本も重ね、精巧でカラフルな絵画のようにレイヤーされた音世界は、極限までこだわり抜いた足し算の美学であったとも言えるでしょう。
“For All the Innocence” の流れを汲みつつ、やや人間味も戻ってきた前作 “Installation” リリース後、LITE は国内、海外でツアーを重ねます。インタビューにもあるように、そこで彼らはオーディエンスとの温度差に直面したのです。もっとダイレクトに伝わる方法を模索し、たどり着いた一つの結論が “原点回帰” でした。
3年半のインターバルを経て、リスナーの元へと届けられた最新作 “Cubic” にはそうした葛藤を乗り越え、さらにステージアップを果たした魅力的な LITE の現在が詰まっています。
アルバムオープナー “Else” を聴けばバンドの進化が伝わるでしょう。アグレッションと躍動感を前面に押し出し、生々しくフィジカルな感覚を宿す楽曲は、ストレートにロックの真価を表現し、引き算の美学を提示しています。有機物のように形を変えていくトラックには、ワウを使用したヘンドリックスを想起させる激しい熱量のギターソロすらハマっていますね。
勿論、リズムやリフにはマスマティカルなイデオロギーが貫かれていますが、オーガニックで力強いギターサウンドと、抜けの良いダイナミックなドラムスによって、リスナーはまるで4人のメンバーのみが目前に現れ生のライブを見ているかのような錯覚に陥ることでしょう。
アーテュキレーション、ゴーストノート、そしてギターのピッキング音までクリアに感じられる立体感。あの BATTLES を手がける Keith Souza をマスタリングで、THE MARS VOLTA との仕事で知られる Heba Kadry をミキシングで起用したことも、新たなサウンドに寄与していることは明らかですね。
ジャケットのルービックキューブとリンクするように、カラフルでチャレンジングな点も “Cubic” の特徴です。SOIL&”PIMP”SESSIONS のタブゾンビがトランペットで参加した “D” はアルバムを象徴する楽曲かも知れません。自由な雰囲気でジャムセッションからそのまま進化した楽曲は、良い意味でのルーズさ、即興の魅力、ロックの原衝動を合わせ持ち、クリエイティブなエナジーが溢れて出ています。後半の転調を繰り返すアイデアも実にスリリングですね。
以前にも挑戦したとは言え、インストゥルメンタルバンドとして知られる LITE が2曲にボーカルを導入したこともサプライズだと言えますね。アヴァンギャルドなアルバムクローサー “Zero” での根本潤氏の歌唱はエキセントリックで実に効果的ですし、何よりギタリスト武田氏自らが日本語で歌う “Warp” からは、海外で認められる LITE がクールな日本語の美しさ、リズムを伝えるという意味からも重要な1曲だと感じます。
実際、フロム JAPAN のアイデンティティーは、LITE を海外のバンドから際立たせている隠し味では無いでしょうか?”Square” が象徴するような、エモとはまた違った日本的な侘び寂び、哀愁はレコードの要所で現れ作品をさらに魅力的に彩っていますね。
今回弊誌では、バンドのギタリストでコンポーザー、武田信幸さんにインタビューを行うことが出来ました。海外では、toe や ENEMIES も所属する要注目の Topshelf Records からのリリース。どうぞ!!


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LITE “CUBIC” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SAOR : GUARDIANS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDY MARSHALL OF SAOR !!

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Scottish Pride Is Here! Pioneer Of Mixing Celtic Folk Music And Post Rock / Metal, SAOR Has Just Released Definitely Epic New Album “Guardians”!! 

DISC REVIEW “GUARDIANS”

ボーカルも担当するマルチプレイヤー Andy Marshall の DIY プロジェクト SAOR がスコットランドのプライドをかけた最新作 “Guardians” をリリースしました!!ケルトの響きと Metal, Post 系の音楽を見事に融合した佳麗で雄大な作品は、シーンに大きな衝撃を与えています!
バンドのマイルストーンとなった前作 “Aura” から磨き上げられ、お馴染みのフィドル、バグパイプ、ストリングスといったケルトの民族楽器がよりクリアーでストレートに使用されたという “Guardians”。確かに、全5曲、全てが10分以上というエピックの極みを体現したかのようなアルバムを聴けば、リスナーはスコットランドへと旅することが可能です。
眼下に広がるのは、雄々しくも鮮やかな彼の地の景色かも知れませんし、独立のために誇り高く戦うハイランドの戦士たちかも知れません。ただ、間違いなく聴く者をスコットランドと結びつけ、その場所、文化、歴史から何かを強く喚起させる作品であることは確かですね。
インタビューで Andy は Black Metal のみにカテゴライズされることに嫌悪感を表していますが、とは言え、”Guardians” の神秘的、瞑想的な至上の美を際立たせているのが、鋭利なトレモロリフと猛々しくもダークな激情のボーカルにあることも事実でしょう。その感情のコントラスト、波打つようなアトモスフィア、音楽的多様性は彼の巧みな演奏とコンポジションの技術によって生み出されているのです。
注意深く “Autum Rain” を聴けば、彼の独特なギターの使用法を感じることが出来るでしょう。冒頭からストリングスの優美な響きが支配する楽曲において、Andy のリードギターは寸分の違和感もなく、まるで第1バイオリンのようにオーケストラに参入します。決して圧倒せず、主役になることもなく、自然にアンサンブルへと調和するこのロックを代表する楽器によって、アルバムにはクラッシックでも既存のロック/メタルでもない前衛的な美しさが生まれているのです。
また、モチーフの展開にも彼独特の方法論が活用されています。10分を超える楽曲群には、当然同じメロディーが何度か現れるのですが、Andy はそのモチーフを決して2度同じアンサンブルで奏でることはありません。楽器の数、種類、そしてダイナミズムを見事に操りながら、交響曲のように楽曲に表情を生んでいきます。
ボーカル、ギター、ドラムス、フルート、バグパイプ、フィドル、バイオリンといったマキシマムな楽器陣で圧倒したかと思えば、一方でピアノやドラムスとリード楽器のみでミニマムな静寂の世界を演出。その対比の妙は、ケルトの魅力的なメロディーと相まってアルバムを実にカラフルに磨き上げています。
そして勿論、インタビューでも語ってくれた通り、使用される民族楽器がデジタルではなく、全てリアルに演奏されている事実がより作品を本物にしていることは明らかですね。
“Hearth” に象徴されるように、今作で実に多彩なバリエーションを見せるようになったドラムスのフィルインやリズムワークを基にしたプログレッシブなアプローチも “Guardians” を際立たせていることを付け加えておきましょう。
今回弊誌では、SAOR の首謀者 Andy Marshall にインタビューを行うことが出来ました。映画 “Braveheart” を想起させるまさにシネマティックな音楽世界。ALCEST のファンは勿論、MOONSORROW や SIGUR ROS のファンにもぜひ聴いていただきたい1枚です。どうぞ!!

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SAOR “GUARDIANS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ALCEST : KODAMA】JAPAN TOUR 2017 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NEIGE OF ALCEST !!

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The Pioneer Of Post-Black Metal From France, ALCEST Returns To Roots And Opens Up The New Chapter With Their Newest Album “Kodama” Influenced By Japanese Folklore !!

DISC REVIEW “KODAMA”

今や世界規模で注目を集める、儚くも美しいフランスの Post-Black Metal デュオ ALCEST が Neige の幼少期、そして宮崎駿さんの名作”もののけ姫”にインスピレーションを得たという新作 “Kodama” をリリースしました!!これまでも、寺院でプレイしたり、”Souvenirs d’un Autre Monde” 収録 “Tir Nan Og” でゲーム”クロノトリガー”に対するオマージュを行うことにより日本に対するリスペクトを表していた ALCEST ですが、彼らのその想いが本格的に詰まった作品は、さらにこの地でのファンを増やすことでしょう。
ALCEST は所謂 “Blackgaze”、Black Metal と Shoegaze を融合させたパイオニア的存在です。幻想的で内省的。メランコリックな繊細さと悲痛な激しさが生み出す圧倒的なダイナミズム、神々しいまでの美しさはシーンに衝撃を与え、DEAFHEAVEN などに続く Post-Black のうねりを創出したのです。
一つの潮流を生み出した ALCEST が発表した前作 “Shelter” は “Sun-Kissed” などとも表現される、言わば”光”のアルバムでした。メタルらしさを極力排し、多幸感溢れる Shoegaze / Indie サウンドを前面に押し出した作品は、確かに彼らの特徴であるダイナミズムが失われたという点では物議を醸しましたが、それ以上に極上の Post-Rock へと進化し、溢れ出る目も眩むような光の渦、SIGUR ROS にも似たアトモスフィアが 「やはり ALCEST は凄い!」 と世の中を納得させたように思います。
“Kodama” は “Shelter” と対になるカウンターパーツ的な作品と言えるかもしれません。インタビューにあるように、もののけ姫と通じる自然を食い物にする現代社会、そしてその闇の部分でもあるテロリズムが ALCEST を動かしました。ある意味メタルのルーツに戻り、よりダークな1面にフォーカスした”最も怒れる”作品は、それでもやはり徹頭徹尾 ALCEST です。そして同時に、彼らの新しいチャレンジである POP センスが花開いたアルバムであるとも言えるでしょう。
アルバムオープナー、タイトルトラックの “Kodama” はレコードを象徴するような楽曲です。確かにここには ALCEST のシグニチャーサウンドである、 Black Metal の冷たいギターや、Shoegaze のドリーミーなメロディーがレイヤーされていますが、同時にアリーナポップに由来する要素も存在します。COCTEAU TWINS や DEAD CAN DANCE に触発されたというボーカルは何と全てがインプロヴァイズされたもの。非常にキャッチーかつ神秘的なそのメロディーラインはリスナーをもののけの森へと誘い、楽曲をよりスピリチュアルな高みへと押し上げています。この手法は、”Je suis d’ailleurs” の冒頭などでも聴くことが出来ますね。
加えて、インタビューで語ってくれた通り、グランジやインディーロックからの影響も新たな可能性を提示します。楽曲後半に見せる Neige のギターワークは群を抜いていて、シンプルかつ少ない音数で空間を意識した印象的なフレーズを奏で、故意にラフなプロダクション、サウンドで NIRVANA のようにコードをのみ激しくストロークすることで、楽曲の幅を広げることに成功していますね。Neige のコンポジションスタイルである、光と影のバランスを完璧なまでに復活させながら、さらに進化を遂げた凄みがここにはあります。
ファーストシングル、”Oiseaux de Proire” は王者がメタルへの帰還を高々と告げるアルバムのハイライトでしょう。TOOL や SMASHING PUNPKINS さえ想起させるオルタナティブな感覚を備えたギターリフと、ノスタルジックで郷愁を誘う珠玉のボーカルメロディーで幕を開ける楽曲は、Neige の咆哮を合図に突如としてその怒りの牙を剥きます。Winterhalter の鬼気迫るブラストビートに乗って疾走する、メランコリックなトレモロリフはまさしく ALCEST のアイデンティティー。挿入されるキャッチーなアコースティックパートは進化の証。溢れるようなそのエナジーは、もののけ姫終盤にししがみが首を落とす場面をイメージさせますね。インタビューで言及している通り、”二面性” “対比” “進化” に拘るアートの開拓者らしい完璧な展開美を持ったシネマティックな楽曲だと思います。
タイトル、山本タカトさんをオマージュしたアートワークからコンセプト、”対比”の妙まで強く日本を意識した “Kodama”。今回弊誌では、Neige にインタビューを行うことが出来ました。音楽、歌詞、コンセプト、演奏、全てを司るまさに ALCEST の心臓が非常に深く丁寧に語ってくれました。日本の雑誌だからこそ行えた価値あるインタビュー。どうぞ!!

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ALCEST “KODAMA” : 9.7/10

【INTERVIEW WITH NEIGE】

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Q1: Hi, Neige! First of all, how was the experience playing in Japanese traditional temple? Actually, I was there, and it was very special night for me.

【NEIGE】: Hi Sin ! You know, with Alcest we had a lot of wonderful experiences during our tours, in many different countries, but playing in the traditional Japanese temples was probably the best of all of them. I always loved Japan and wanted to go there since I am a kid, so it was a dream come true for me. These two temples were absolutely gorgeous; the atmosphere inside was so serene and surreal. Definitely the most perfect setting for an Alcest show ! It was an incredible experience that we will remember all our life.

Q1: まず、日本の伝統的な寺院でプレイするのはどのような体験でしたか?実際、私もあの場所に居たのですが、本当に特別な夜になりました。

【NEIGE】: ALCEST で様々な国をツアーしていると、たくさんの素晴らしい経験をするんだけど、日本の伝統的な寺院でプレイ出来たのは、その全ての中でもおそらくベストだと思う。僕はいつも日本を愛してきたし、子供の頃から訪れてみたかったんだよ。だから、あの体験は夢が叶った瞬間だったね。
僕たちが演奏した2つの寺院は極めて美しかった。寺院内の雰囲気は、非常に穏やかで非現実的だったよ。間違いなく、ALCEST のショーで最も完璧なステージセットだったね!信じられないような体験だったし、人生を通して忘れることはないだろうな。

Q2: We, Japanese fans, are really excited about your new album “Kodama”. Because, it’s named in Japanese and influenced by Hayao Miyazaki’s “Princess Mononoke”. What made you take up this concept?

【NEIGE】: It has been inspired by this movie yes, along with other things like my own personal stories and feelings. In « Princess Mononoke » the idea of two worlds, the human and nature one, trying to live together and the confrontations/conflicts that arise as a result of that. I also really liked San, the strong female character of the movie. San has a part of these two worlds within her, as she is human, but was raised by the animal gods in the forest. She fights against the human tribes and their damaging technologies and hates them for tearing apart her beloved forest, but yet she is born one of them. I could identify myself a lot with this character, also feeling this duality inside me and the sensation of not belonging to this place, as if living in between two worlds, city/nature, physical world/spiritual world. I also love the message of this movie; the fact that we should take more care of the beautiful nature around us and live in harmony with it. This is an utopia of course, considering how society works in our times, but everyone can feel that people are more and more concerned by these type of subjects. As for the name « Kodama » I chose a Japanese name as an hommage to Japanese culture and also because I think it’s a really beautiful name !

Q2: 待望の新作 “Kodama” は日本語のタイトルですし、内容も宮崎駿の名作”もののけ姫”にインスパイアされているそうですね?日本のファンにとっては、まさにスペシャルなリリースとなりました。

【NEIGE】: うん、”Kodama” は、僕の個人的な体験や感情と同様に、”もののけ姫”にもインスパイアされているんだ。
“もののけ姫”は、人間界と自然界、2つの世界が対立、衝突の結果として共生を試みるというアイデアだよね。僕はストーリーと同時に、強い女性のキャラクター、サンが本当に好きなんだよ。
サンは自身の中にその2つの世界を内包しているんだ。というのも、彼女は人間だけど、森で獣神に育てられたからね。彼女は人間の部族と森にダメージを与えるテクノロジーと戦うよ。彼女の愛する森を引き裂く人間を嫌悪するんだ。だけど皮肉にもサンは人間の子なんだよ。
僕にはサンと共感出来る部分がたくさんあってね。自分の中に存在する2面性、なにか自分の居場所ではないという感覚、まるで都市と自然、物質世界と精神世界の2つに生きているような気がしているんだよ。
同時に僕はこの映画のメッセージも愛しているんだ。事実、人類はもっと周りの自然をケアするべきだし、共生していくべきだよね。現代社会を考えれば、それがユートピア構想なのは間違いないんだけど、同時にみんなの自然に対する関心がどんどん増しているのも確かなんだ。”Kodama” というタイトルに関しては、日本文化に対するオマージュとして、同時にとても美しい名前だから選んだんだよ!

Q3: We know French people are tend to love Japanese culture, food, and Anime. So, are you a fan of that kind of our culture like Hayao Miyazaki’s films?

【NEIGE】: I think French and Japanese people have a lot of things in common actually. For example we both love food, haha ! Just like you said, people in France love Japanese culture, food, animation, video games, etc… After Japan, I think France is the second largest market in the world for manga, anime etc. The reason is that people of my generation (who are born in the 80’) grew up with Japanese animation on T.V. There was this kid show that was playing all kinds of great anime like Saint Seiya (I am a big Saint Seiya fan, the old anime), Dragon Ball, Grendizer, Harroku, Hokuto No Ken, and many many more. There were a lot of Japanese video games imported to France in the 90’ too, Super Famicom was huge here (I have one and still play!). People of my generation discovered the culture of Japan thanks to all of this and got interested in a lot of other things related to this country. Later when I was a teenager, I discovered Hayao Miyazaki and his amazing movies like Mononoke Hime, Sen to Chihiro no kamikakushi, Hauru no ugoku shiro. Miyazaki is adored in France and even the most renowned cinema critics consider his movies to be masterpieces. What is fascinating about Japanese culture is the contrasts; the fact for example that you have a very modern and hyper-technologic society, but at the same time a big respect for traditions, nature, spirituality. Also I find it really fascinating that there so many social rules and codes to respect, especially at work, but on the other hand, Japanese art can be very extravagant and theatrical. Also the difference between the day and the nightlife. When people go out to eat and drink after work at night the social rules tend to change a bit and the atmosphere is more relaxed. .

Q3: 実際、フランスの人たちは、食事、アニメ、映画など日本文化を愛しているように思えます。あなたもそうですよね?

【NEIGE】: そうだね、フランス人と日本人には多くの共通点があると思うんだ。例えば、両者とも食事が大好きじゃないか!(笑)
君が言うように、フランス人は日本の文化、アニメ、食事、ゲームなんかが大好きなんだよ。フランスはアニメやマンガの日本に次ぐ大きなマーケットだと思うよ。その理由は、僕の世代 (80年代生まれ) が日本のアニメを見て育ったからだと思うんだ。
聖闘士星矢 (僕は”昔の”聖闘士星矢の大ファンなんだ)、ドラゴンボール、グレンダイザー、キャプテンハーロック、北斗の拳などたくさんの名作アニメがテレビで放映されていたんだよ。90年代には日本のゲームもたくさんフランスに輸入されていたね。スーパーファミコンはとても人気があったんだ (僕は今でも持っていてプレイしているんだ!)。
そうやって日本文化を発見していった僕たちの世代は、日本に感謝し、日本に関係する他の事柄にも目を向けていったんだ。僕も後にティーンネイジャーになって、宮崎駿さんと、彼の素晴らしい映画、”もののけ姫”、”千と千尋の神隠し”、”ハウルの動く城”なんかを見つけていったんだよ。宮崎さんはフランスで崇拝されていて、最も名高い評論家でさえ彼の映画を傑作と評しているんだからね。
日本文化がここまでフランスを魅力しているのは”対比”が理由だと思う。実際、日本にはとてもモダンで高度なテクノロジーを備えた社会が存在するのに、伝統や自然、スピリチュアルなものに大きな敬意を抱いているよね。
同時に、僕は日本には、特に仕事において、リスペクトすべき社会のルールや常識のようなものが存在すると気づいたんだ。その一方で、日本のアートは非常に贅沢で大掛かりなものも存在するよね。つまり、日常と歓楽の差がある訳さ。仕事の後で夜にご飯や飲みに行く時は、社会のルールも少し変わって、リラックスした雰囲気になるんだよ。

Q4: Your previous release, “Shelter” was kind of optimistic, and “Sun-kissed” softer record, I think. And I felt “Kodama” becomes darker, and more spiritual. What caused this change?

【NEIGE】: « Shelter » was a airy record, very ethereal and luminous, focusing mainly on the guitars and the atmospheric side of Alcest, so we really felt the need to go back to something more punchy and dynamic for « Kodama » ; something a bit darker too. Evolution and change are really important for us to keep being creative, and with every new album we tend to take a different direction than the album that we released before. It goes for the music, but also for the overall mood, the visuals, etc… we needed to explore the wilder side of the project. The world in general isn’t doing very well and there is a kind of ecological theme flowing through the record. Also the recent terrorist attacks in Paris affected me a lot and I think it influenced the sound of the record.

Q4: 前作 “Shelter” は、オプティミスティックで、”光”が強いレコードでしたね。対して “Kodama” はよりダークでスピリチュアルな作品だと感じました。

【NEIGE】: “Shelter” はエアリーなレコードだったよね。とても霊妙で、輝きを放ち、主にギターと ALCEST のアトモスフェリックな1面にフォーカスした作品だったんだ。だから “Kodama” では、よりパンチーでダイナミックな何かを戻す必要があると強く感じていたんだよ。ダークになったのもその一端だろうね。
進化と変化は、クリエイティブであるために、僕たちにとって非常に重要なんだ。だから全てのアルバムで、以前の作品とは異なる方向性を取るようにして来たんだよ。音楽もそうだし、全体のムード、ヴィジュアルなんかもそうだよね。僕たちはこのプロジェクトのワイルドな1面を探求する必要があったのさ。
一般的に言って、世界は上手くいっていないから、アルバムを通してエコロジカルなテーマが存在するよ。同時に、最近パリで起こったテロにも非常に考えさせられたんだ。あの一件がレコードのサウンドに影響しているのは明らかだね。

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Q5: Do you think you returns to your roots somehow in “Kodama”? Or, reached to the new realm of Alcest?

【NEIGE】: It’s a bit of both ! On one hand, « Kodama » comes back to the roots of Alcest, but at the same time it also has new elements and a different energy. It’s probably the most cinematic and angry record that we made. The production is also quite specific compared to what we have done in the past; rougher and more organic. We were inspired by the grungy and unpolished sound of bands like Dinosaur Jr for example.

Q5: では、ある意味、新作ではルーツに戻ったと言えますか?それとも ALCEST の新しい領域に踏み込んだのでしょうか?

【NEIGE】: 両方が少しづつかな!一方で、”Kodama” は ALCEST のルーツに戻っているけど、同時に、新しい要素、異なるエナジーも存在するよ。おそらく、”Kodama” は僕たちの作品の中でも最もシネマティックで怒れるレコードだね。
プロダクションも過去作に比べて実に特殊に仕上がっていて、ラフでオーガニックなんだ。実はグランジや磨かれていないサウンドのバンドにインスパイアされていてね。それこそ、DINOSAUR JR. のようなバンドにね。

Q6: Alcest and Deafheaven are the symbols of “Blackgaze”. What’s Deafheaven to you? And what’s your thought about “Blackgaze” scene these days?

【NEIGE】: Deafheaven are good friends of mine and I really like their music ! The « blackgaze » term was invented by the medias, so I don’t really have an opinion about it. I don’t think Alcest belongs to any genre; we have so many different influences in our music. Most of the blackgaze bands are too metal for my taste, and I don’t think there are a lot of them that can mix metal with some other genres like post-rock, indie rock or shoegaze in a balanced way. Some of the bands in this scene are really good though, just like Sylvaine for example. She’s released her album « Wistful » on Season Of Mist earlier this year and I am quite sure that our fans would like it a lot.

Q6: ALCEST と DEAFHEAVEN は所謂 “Blackgaze” を象徴するバンドですが、DEAFHEAVEN や最近の “Blackgaze” シーンについてはどう思っていますか?

【NEIGE】: DEAFHEAVEN は良い友人なんだ。僕は彼らの音楽も大好きなんだよ!
“Blackgaze” という言葉はメディアによって作られたね。だから僕はそれについては関知していないんだ。ALCEST はどのジャンルにも属さないと思うよ。音楽に様々な影響を含んでいるからね。僕にとって、”Blackgaze”と呼ばれるバンドの大半はちょっとメタル過ぎるんだよ。メタルとポストロックやインディーズ、シューゲイズをバランス良くミックスしているバンドはあまりいないと思う。
ただ、シーンにもいくつかは良いバンドが存在するね。SYLVAINE はその良い例だろう。彼女は今年の初めに Season of Mist から新作 “Wistful” をリリースしたんだけど、僕たちのファンはとても気に入ると思うな。

Q7: So, your tour with Mono will start on October. You’ve played with other Japanese bands like Vampillia, envy. What’s your impression about Japanese bands?

【NEIGE】: I absolutely love Vampillia, both musically and on a human level, and in a way I think their music also had an influence on « Kodama »! They are amazing people and their music and concerts are incredible; they deserve a lot of success. We would like to bring them on tour in Europe with us, people would like them a lot over here. Mono and Envy are really good too. The first Japanese band I discovered was Sigh, the black metal band. They are friends of mine too, really nice people. Otherwise I also know Baby Metal, which became really huge in Europe, but it’s not really my style of music, haha. I would love to discover new Japanese bands, but they are hard to find and most of the time people in Europe are not aware of the Japanese scene unfortunately. Parallel to rock bands, I am a big admirer of composers like Ryuishi Sakamoto (the song « Forbidden Colours » is gorgeous), and also Joe Hisaishi.

Q7: 日本を代表するバンド、MONO とのツアーも始まりますが、ALCEST は彼ら以外にも、VAMPILLIA や envy といった日本のバンドと共演して来ています。彼らに対する印象はどうですか?

【NEIGE】: 僕は本当にめちゃくちゃ VAMPILLIA が大好きなんだよ。音楽的にも人間的にもね。ある意味、彼らの音楽も “Kodama” に影響を与えているんだよ!素晴らしい人たちで、音楽とライブも驚異的。もっと大きな成功に値するよ。
僕たちは彼らに ALCEST のヨーロッパツアーに帯同してもらいたいんだ。ヨーロッパの人たちはきっと気に入ると思うな。
MONO と envy も本当に良いバンドだよね。僕が最初に知った日本のバンドは SIGH なんだ。Black Metal バンドだよ。彼らも友人なんだけど、本当に良い人たちだね。
後は Babymetal も知っていて、彼女たちはヨーロッパで本当にビッグになったんだけど、僕の好きな感じではないね(笑)。
新しい日本のバンドも知りたいんだけど、こちらからはあまり知ることが出来ないんだ。ヨーロッパの人たちは残念ながら、普段あまり日本のシーンを気にかけていないんだよ。
ロックバンド以外では、コンポーザーの坂本龍一さんをとても崇拝しているし (“Forbidden Colours” は実に美しい楽曲だよ)、久石譲さんも大好きだね。

Q8: Japanese fans are still having troubles about pronouncing your band name. Which do you like, “A-ru-se-su-to” or “A-ru-se”?

【NEIGE】: None of them is completely right…Actually it’s « A-ru-se-su-t », without « o » in the end. But you can say “A-ru-se-su-to” if you want !

Q8: 最後に、日本のファンは未だに ALCEST の発音で困っています。正しいのはアルセストですか?アルセですか?

【NEIGE】: どちらも完璧には正しくないね(笑)実は”A-ru-se-su-t”なんだよ。最後のOが要らないんだ。まあでもアルセストでも構わないと思うよ!

【FIVE ALBUMS】

FIVE ALBUMS THAT CHANGED NEIGE’S LIFE!!

SMASHING PUMPKINS “SIAMESE DREAM”

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GRIMES “VISIONS”

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THE CURE “DISTINTEGRATION”

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TYPE O NEGATIVE “OCTOBER RUST”

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SLOWDIVE “SOUVLAKI”

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【MESSAGE FOR JAPAN】

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We love our Japanese fans and Japan is one of our favorite countries in the world ! We will tour in Japan again soon, to promote « Kodama » and we hope to see many people at the shows !

日本のファンが大好きだよ。そして日本は世界でも最も好きな国の1つなんだ!すぐにまた “Kodama” をブロモートする日本ツアーを行うよ。たくさんの人に会えたらいいな!

NEIGE

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ALCEST JAPAN TOUR 2017

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【downy : 第六作品集『無題』】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROBIN AOKI OF downy!!

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One Of The Greatest Post-Rock, Dark Electronic Outfit From Japan, downy Has Just Released Deep And Cold New Masterpiece “Mudai Ⅵ” !!

DISC REVIEW “第六作品集『無題』”

日本の至宝、5人組ロックバンド downy が新作 “第六作品集『無題』” をリリースしました !!
日本における Post-Rock の先駆けとも評される downy は、映像担当のメンバーが存在する特異な形態のバンドです。当初から、映像と音楽の融合を掲げて来たバンドは、同時に現在フェスやクラブシーンに根付きつつある VJ の先駆者とも言えるでしょう。また、音楽担当以外のメンバーを擁するという点では、勿論初期の KING CRIMSON と通じるフレキシブルな集団でもあるのです。
Post-Rock と一言で語られることも多い downy の音楽ですが、一つのジャンルで括ってしまうには、彼らの才能は多彩で、先鋭的で、オリジナル過ぎると感じます。
静と動を巧みに行き来する独特のダイナミズム、ナチュラルな変拍子の使用が創出する緊張感、儚くも美しいメランコリー、文学的なリリックにレイヤーされた豊かなエモーションが、Hardcore, Post-Hardcore, Psychedelic Rock, Prog Rock, Metal, Jazz, Hip Hop, Electronica, Trip Hop など多様なフィルターを通して downy の世界観、芸術として昇華し、リスナーの元に届けられるのです。
9年の活動休止の後、リリースされた前作 “第五作品集『無題』” は、休止以前と同様、チャレンジングでストイックな作品でしたが、同時に以前、アルバムを覆っていたどこか無機質なムードに仄かな光が射し込んだような、暖かな変化も感じられましたね。
それから3年の間に、downy は休止以前よりも、シーンの軸としてある種の責任感を背負いながら動いてきたようにも思われます。
2014年のフジロック初出演、クラムボントリビュートアルバムへの参加、THE NOVEMBERS への楽曲提供、そして、何と言っても同世代で日本が誇るオルタナティブの雄、envy, Mono と共に Synchronicity” とのコラボレーションから “After Hours” というフェスを立ち上げるなど、実に積極的に活動を続けて来ています。
そういった成果が結実したのが新作 “第六作品集『無題』” であると言えるかも知れませんね。演奏にはさらに人間味を加え、青木ロビン氏のボーカルにはエモーション以上のスピリチュアルな何かが宿っているようにも感じます。
アルバムオープナー、”凍る花” はこの新たな傑作を象徴するような楽曲です。レコードの幕開けを告げるシンセサウンドが鳴り響くと、リスナーは驚きと共に急速に downy ワールドへと誘われます。前作で仄かに射し込んだ暖かな光は、実はこのアルバムでは感じられません。7拍子が導くヒリヒリとした緊張感、さらに説得力を増したメランコリックな歌唱が伝える冷たく蒼い世界観は、まさしく downy 唯一無二のもの。初期の感覚、原点を、現在の成熟した downy が奏でるといったイメージも少なからず存在するようにも思います。
続く”檸檬” はウッドベースとツッコミ気味のハイハットがジリジリとした焦燥感を生み出す壮絶な5拍子。”海の静寂” は R&B 的な黒い歌唱と、静寂を切り裂くギターのうねりが印象的。プレイ自体は人間らしい感情の熱を帯びているにもかかわらず、殺伐とした冷ややかな雰囲気を保ち続けるアルバムは、やはり異形なまでに特殊です。
同時に、”色彩は夜に降る”, “親切な球体” にも言えますが、リズム隊の究極に研ぎ澄まされた、ミニマルかつインプレッシブなリフアプローチが冴え渡った作品とも言えますね。
今回弊誌では、青木ロビン氏にインタビューを行うことが出来ました。内容にもある通り、メタル、プログロックのファンにも強く聴いていただきたいバンドです。どうぞ!!

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downy “第六作品集『無題』” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JAMBINAI : A HERMITAGE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LEE ILWOO OF JAMBINAI !!

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Experimental Modern Rock From South Korea, JAMBINAI Has Just Released Newest Album “A Hermitage” !! Traditional Korean Music “Gugak” Melts Into Post-Rock Here !!

DISC REVIEW “A HERMITAGE”

韓国が誇るモダンロックの新鋭、JAMBINAI が世界へとアピールする、強いエモーションと高い音楽性を兼ね備えた新作 “A Hermitage” をリリースしました!!
JAMBINAI の特徴は、まず何と言っても韓国の伝統音楽”国楽” (Gugak) とモダンミュージックを見事に融合させている点にあります。スリーピース編成のバンドは、ギター、ベースといったオーソドックスな西洋の楽器とともに、ピリ(篳篥に似た木管楽器)、へグム(二胡に似た弓奏楽器)、コムンゴ(琴に似た弦楽器)といった韓国の伝統楽器も見事に使いこなしているのです。
メンバーは3人とも、大学で国楽を専攻していたと言うのですから、当然と言えば当然ですが、これほど自然に巧みに伝統とモダンをミックスしているバンドは世界という視点で見ても多くは存在しないでしょう。伝統楽器独特の優雅で美しい音色が、Post-Rock のエモーション、ジャズのアンビエンス、そしてダークでスラッジーなメタルに溶け込んで生まれるダイナミズムは彼ら特有のアイデンティティと言えますね。
JAMBINAI が度々比較されるのは、GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR, MOGWAI, EXPLOSION IN THE SKY といったアトモスフェリックな Post-Rock のバンドたちで、勿論それは “For Everything That You Lost” が象徴するように彼らの骨格の1つなのですが、同時に、例えばアルバムオープナー “Wardrobe” で聴けるような怒りに満ちたディストーションギター、雷嵐のようなドラミングにはメタルからの影響も強く感じられます。
アルバムを深く覆うのは、TOOL のインテリジェンス、CONVERGE のカオス、NIN のダークネス。そして “Naburaku” のシンプルかつ凄まじい攻撃性を持つリフにはさらに根源的なヘヴィーメタルの雰囲気すら存在します。そうして生まれるアトモスフィアとダークヘヴィーの対比、伝統とモダンの対比が作品に唯一無二の素晴らしいムードを創出していますね。
また、実験性も彼らの音楽を語る時、重要なキーワードとなるでしょう。”Echo of Creation” では Sim が琴のような伝統楽器コムンゴのネック部分をエネルギッシュにかき鳴らしながらハンマリングし、伝統からはかけ離れた楽器の使用法で強力なインテンスを具現化していますし、”Abyss” でのゲストボーカル Ignito をフィーチャーしたアグレッシブな韓国語ラップも鮮烈な印象を残していますね。
圧巻はアルバムクローサーの “They Keep Silence”。2014年に起きた、300人以上の死者を出した悲劇的な韓国の海難事故 “セウォル号沈没事故” について書かれたこの楽曲は、メインソングライター Lee Ilwoo がインタビューで語ってくれた通り、事故の悲しみよりも、怒りや苦しみに焦点が当てられています。Tool のグルーヴに国楽を加えたようなサウンドは、コムンゴが刻むオルタナティブでマスマティカルな深みのあるリフ、静寂から徐々に声をあげるけたたましいヘグムの叫び、そして全ての楽器がラウドに怒りを表現する後半の混沌まで、生々しくも壮絶な感情に満ち溢れています。まさに彼らのイメージする音楽を体現したかのような1曲でしょう。
今回弊誌では、バンドのブレイン Lee Ilwoo にインタビューを行うことが出来ました。ヨーロッパツアーを行うほど欧州では注目を集め出している彼ら。東アジアの伝統音楽を世界に紹介してくれるという点でも意味のあるバンドだと思います。どうぞ!!

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JAMBINAI “A HERMITAGE” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TTNG : DISAPPOINTMENT ISLAND】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM COLLIS OF TTNG !!

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UK Based Math-Rock / Emo Trio, TTNG Has Just Released Their 3rd Record “Disappointment Island” !! Full of Emotion & Melancholy, No Disappointment Here!!

DISC REVIEW “DISAPPOINTMENT ISLAND”

UK オックスフォードが生んだ Math-Rock / Emo の奇才、TTNG が3rdアルバム “Disappointment Island” をリリースしました!!
ニュージーランド沿岸、実在する島の名前をタイトルに冠したアルバムは、完全に4ピースからトリオになって初の、バンド名を THIS TOWN NEEDS GUNS から改名して2枚目の作品。
インタビューで語ってくれた通り、”Disappointment Island”、”失望の島”とは彼らの母国UKがEU離脱に向けて進んでいる状況を皮肉ったタイトルでもあるのです。その背景を鑑みれば、アルバムが少し物悲しく、メランコリックなムードを帯びていることにも納得が行きますね。
静と動の対比、遂にダイナミズムを極めたように思える “Disappointment Island”。アルバムクローサー “Empty Palms” は現在の TTNG を象徴するような楽曲です。シルクのように繊細な Henry Termain の美声が紡ぐメロディーは静寂と喧騒を司り、キャッチーかつ非常に雄弁。加えて、見事なサウンドスケープを創出する楽曲のアトモスフィアは、彼らの興味が Post-Rock 方面に振れていることを顕にしています。
RUSSIAN CIRCLES, PELICAN でお馴染みの、Greg Norman によってレコーディングが行われた事実、さらに The World Is A Beautiful Place & I Am No Longer Afraid To Die とツアーを行ったことから鑑みて、TTNG がこういった手法を全面に押し出すことはもはや驚きではないでしょう。実際、バンドにとって最も長い部類に入る5分37秒の “Whatever, Whenever” は PELICAN を想起させるような轟音パートで幕を閉じます。
ギタリスト、Tim Collis のフレーズセンス、才能が爆発した “In Praise of Idleness” も同様に美しい景色が視界に広がるような音楽。Math-Rock バンドとしての矜持を証明するかのような優美なシンコペーションが白眉ですね。
とは言え、勿論、彼らのテクニカルで複雑な1面を強調した楽曲もアルバムの聴き所の1つ。”A Chase of Sort” で聴ける流れるようなタッピングフレーズや Chiris Collis による変拍子を逆手にとった印象的なドラミングはまさに TTNG のトレードマーク。”Destroy The Tabernacle!” のテクニカルでエスニックなムードもアルバムに良いアクセントを加えています。ただし、トリオとなったことが作用したのか、全てのトーンがよりオーガニックに仕上げられていることは記しておくべきでしょう。
今回弊誌では才気溢れるギタリスト Tim Collis にインタビューを行うことが出来ました。ドラムスの Chiris とは兄弟でバンドの核となっていますが、発するエモーションは Kinsella ファミリーにも迫っていますね。どうぞ!!

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TTNG “DISAPPOINTMENT ISLAND ” : 9.3/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HAMMOCK : EVERYTHING AND NOTHING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREW THOMPSON & MARC BYRD OF HAMMOCK !!

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Ambient / Shoegaze Duo From Nashville, Hammock Has Just Released Their Newest Album “Everything And Nothing” !! New Realm of “STARGAZE” !!

DISC REVIEW “EVERYTHING AND NOTHING”

Ambient, Shoegaze, Post-Classical, Post-Rock といったアトモスフェリックなジャンルを股にかける、ナッシュビルのデュオ HAMMOCK が新作 “Everything and Nothing” をリリースしました!!至上の美しさはそのままに、明らかに前作までのアンビエントフィールドから1歩歩みを進めた今作で、遂に HAMMOCK はより多くのリスナーから注目を集めることでしょう。
前作 “Oblivion Hymns” は大きく実験的な方向に振れた作品で、ビートすら存在しない “Post-Classical” な世界観で全編覆われた異色の作品でした。しかしインタビューでも触れられているように、それ以前の作品群と比較しても、今作には “Dissonance” に象徴されるような、英語詞を持ったボーカル曲が多数収録されているという明確な変化が存在します。彼らが作品の”核”と語るその変革は、HAMMOCK のサウンドを一般的なリスナーにもより受け入れられやすい Dream Pop / Shoegaze の方向に強く導く結果となっていますね。
それは結果として、”Clarity”, “Burning Down The Fascination” のように強いビートを持った、バンド史上最もヘヴィーでロック寄りの楽曲も生まれることにも繋がりました。
とはいえ、この76分の映画のような大作には、”We Could Have Been Beautiful Again” や “She Was in the Field Counting Stars” のような、自身悠久の名曲 “Tape Recorder” にも匹敵する、彼らのインストゥルメンタル曲でも最高に美麗な部類の佳曲も収録されており、以前からのファンにも納得のサウンドスケープを堪能することが出来ますね。
彼らの音楽を聴いていると、他のアーティストからは決して感じることの出来ない仏教観、さらには”禅”にも通じる瞑想体験を通過することがあるように思います。”Wasted We Started at the Ceiling” は特に、そのヴァイブと新たな”核”を融合し見事に投影した楽曲です。エコーの向こうで鳴り響くギター、マントラのようなボーカル、酩酊を誘うようなストリングス。全てがスローモーションで、リスナーはただ楽曲の”波動”に身を任せるのみ。”悟り”に到達するという表現は少々大袈裟かも知れませんが、全身で暖かい安心感を享受出来る HAMMOCK の見事なコンポジションはこの楽曲が証明するようにさらに高いレベルに達しており、まさしく唯一無二ですね。
今回弊誌では、HAMMOCK の2人、Andrew Thompson と Marc Byrd にインタビューを行うことが出来ました。日本人写真家、菅武志さんの手によるアートワークも素晴らしいですね。どうぞ!!

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HAMMOCK “EVERYTHING AND NOTHING” : 9.2/10

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