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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHANGELING : CHANGELING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOM “FOUNTAINHEAD” GELDSCHLÄGER OF CHANGELING !!

“Hans Zimmer Famously Said That His Music Is Not Original, But It Is The Sum-total Of All The Music That He’s Consumed In His Life – And That Is Also True For Me.”

DISC REVIEW “CHANGELING”

「Hans Zimmer の有名な言葉に、”自分の音楽はオリジナルなものではなく、人生で消費してきた音楽の総体である” というものがある。そしてその言葉は、僕にとっても真実なんだ。僕は若い頃からオーケストラ音楽に興味があり、10代で初めてレコーディングしたときから、さまざまな種類の楽器を重ねたりオーケストレーションしたりすることで、ロックバンドのサウンドを超えることを試みていた。まだ10代の頃に書いた曲を収録した僕の最初のソロ・アルバムでさえ、オーケストラ・パートや世界中のパーカッション・サウンドがあり、さまざまなジャンルや音楽の伝統から影響を受けている。それが僕の頭の中の音楽の聴こえ方なんだと思う」
“モダン・メタルの歴史上最高傑作のひとつ”。AMOGH SYMPHONY で共闘した Vishal J Singh は、戦友 Tom “Fountainhead” Geldschläger の新たな旅路をこう称賛しました。その言葉は決して大げさなものではありません。長年、艱難辛苦に耐え抜いたフレットレス・モンスターは、これまでの人生と音楽体験をすべて注ぎ込み、モダン=多様を完璧なまでに体現しためくるめくメタル・アートを遂に完成させたのです。
「メディアだけでなくギター業界も、僕のプロとしての全生涯を通じて僕の作品をほとんど無視してきたからね。そしてもちろん、世界各国のアルバム・チャートにランクインした “Akroasis” を通して、ようやく世界中の聴衆に僕の作品を聴いてもらえたというのに、OBSCURA のバンド・リーダーによって、”Tom のパートを再録音した”、”アルバムにはフレットレス・ギターがない”、”Tom はスタジオでギターのチューニングもできない” と嘘の中傷キャンペーンを展開されたときがその最たるものだったね。それだけでなく、僕のビデオはほとんど削除され、僕のソーシャルメディア・ページは何度もハッキングされ、いじめられたり、せっかく僕の活動に興味を持ってくれていたオーディエンスから切り離されたりするケースもたくさんあった。だから、そうした僕の旅路が “Changeling” でやっとメディアの注目を得ただけでね。このアルバムを聴いて、斬新だと思われるのはよくわかるけど、実は僕はもう20年くらいフレットレスでメタルやそれに関連するスタイルを演奏してきたんだ」
Fountainhead が正当な評価を得るのにここまで時間がかかったのは、あまりに遅すぎたとしか言いようがありません。そして皮肉なことに、その評価の妨げとなっていたのは他でもない、彼を世に送り出した OBSCURA の “Akroasis” だったのです。
実際、Fountainhead は OBSCURA の最も野心的な作品となった “Akroasis” の源泉でした。15分の “Weltseele” では東洋の影響と弦楽五重奏を加え、魅惑の実験的スタイルでアルバムを締めくくるなど Fountainhead の貢献、その大きさは誰の目にも明らかであったにもかかわらず、近年よりその人間性が疑問視される OBSCURA の首領 Steffen Kummerer によって彼の存在は抹殺されてしまったのです。しかし豊かな才能は決していつまでも草庵で燻るべきではありません。遂に臥薪嘗胆が報われる日が訪れたのです。まさにメタルの回復力。
「フレットレス・ギターの長所と短所だけど、普通のギターではできないことを実現してくれる。微分音、グリッサンド、ハーモニクスをスライドさせたり、指板を縦よりも横に動けたり…本当にとても楽しいんだ。ただし、コードとなるとできることには限界があって、高音域でのサスティーン、演奏性にも限界がある。また、僕がよく使うメタル・フィンガーボードとブラス・ピックを使っても、ハイエンドを出すには限界があるんだ。だから、”フレットのない普通のギター” ではなく、”ユニークな目的&シチュエーションのためのユニークな楽器” としてアプローチするのが一番効果的なんだよね」
まずこの作品を特別なものにしているのが、Fountainhead のトレードマークであるフレットレス・ギターでしょう。フレットのない耳が頼りの弦楽器は、当然その習熟により大きな労力と鍛錬を必要としますが、あの Bumblefoot に薫陶を受けた Fountainhead にとってこの楽器はむしろ水を得た魚。輝くメタル・フィンガーボードで、この音楽にとって異質な夢幻の世界をフレットレス・ベースと共に紡ぎ上げていきます。
「アルバムのオーケストラ・パートの99%は本物の楽器なんだ。そう、それはとても大変で長いプロセスだった。既存のオーケストラと協力して、大きな部屋ですべてを生録音する手段がなかったからだ。 その代わり、数年かけていろいろな楽器やラインをいろいろな場所で録音した。そのために、さまざまなプレイヤーを起用する必要があったんだ。このアルバムのコンセプトのひとつは、曲ごとにまったく異なる形のオーケストレーションにすることだったから」
とはいえ、フレットレスの異端でさえこの作品にとっては飾りのひとつに過ぎません。ALKALOID, FEAR FACTORY, VIPASSI, DEATH, CYNIC といった強力なメンバーを礎に、混成合唱から、チェロ、フルート、ホーン、ピアノ、チューバ、ヴァイオリン、ヴィオラなど、あらゆる楽器でデザインされたテクニカル・デスメタルの宮殿は、ジャズ・フュージョン、プログレッシブ・ロック、ワールドミュージックを融合してまだ見ぬメタル景色を映し出していきます。アルバムを通して何度も登場し、クライマックスで花開くモチーフの成長も見事。そして、野心という実験音楽における諸刃の剣をしっかりと制御し、地に足のついたメタル・アルバムとして完成させたバランス感覚もまた見事。
今回弊誌では、Tom “Fountainhead” Geldschläger にインタビューを行うことができました。「”Changeling” には日本文化から直接影響を受けた曲が1曲あってね。”Abdication” なんだけどこの曲は、僕が最も影響を受けた音楽家の一人である久石譲の和声言語とオーケストレーション・スタイルを取り入れたものなんだ」これまで何度も弊誌に登場してくれている Morean の声も素晴らしいですね。どうぞ!!

CHANGELING “CHANGELING” : 10/10

INTERVIEW WITH TOM “FOUNTAINHEAD” GELDSCHLÄGER

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【FOUNTAINHEAD】: My dad was in a blues-rock band in the 70s and 80s, so I grew up surrounded by the music he and his friends were listening to: blues, rock, pop and quite a bit of progressive rock. As a teenager, I discovered heavy metal and brought that into the household – so as early as age 13-16, I was listening to Dream Theater & Iron Maiden but also Death & Cynic. But I’ve also always had a knack for anything that was avant-garde and “different” and even in my teens I was interested in the methods of composers like Xenakis, industrial music like Merzbow, or free-jazz like John Zorn.

Q1: 本誌初登場です!ますは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【FOUNTAINHEAD】: 父は70年代から80年代にかけてブルース・ロック・バンドをやっていたので、僕は父とその友人たちが聴いていた音楽に囲まれて育ったんだ。
ブルース、ロック、ポップス、そしてかなりのプログレッシブ・ロックがいつも周りにあったよ。 それからティーンエイジャーの頃、僕はヘヴィ・メタルに出会い、それを家に持ち込んだんだ。
13~16歳の頃には、DREAM THEATER や IRON MAIDEN はもちろん、DEATH や CYNIC も聴いていたね。でも、アヴァンギャルドで “異質 “なものにはいつも敏感で、10代の頃から Xenakis のような作曲家の手法や、Merzbow のようなインダストリアル・ミュージック、John Zorn のようなフリー・ジャズにも興味を持っていたよ。

Q2: What inspired you to start playing guitar? Who were your heroes at the time?

【FOUNTAINHEAD】: When I first started playing music, it was more my parents’ decision than my own and they had me take classical guitar lessons for a few years. But as these things tend to go, I got bored of having to practice every day and only learn music that I had no personal interest in at the time – and so I quit. But when I was around 12, a friend of my dad brought this mysterious looking CD into the house that I found myself magically drawn to – it was Joe Satriani’s “Time Machine” album. And I remember sneaking into the living room to listen to it, not being mindful of what the volume was, and when the first song came on, it literally blew my hair back because it was so loud. And that was the moment, when I suddenly knew: I want to play electric guitar and do THAT! Through Satriani, I then also got into Steve Vai, Eric Johnson (the first “G3 live” album came out around that time), Marty Friedman, Jason Becker & all the shrapnel-era shredders….but also David Gilmour, Jeff Beck, Terje Rypdal & Robert Fripp.

Q2: ギターを始めたきっかけは何だったんですか?当時のヒーローは誰ですか?

【FOUNTAINHEAD】: 僕が最初に音楽を始めたとき、それは自分自身の決断というよりも両親の決断だったね。クラシック・ギターのレッスンを数年間受けさせてくれたから。ただ、こういうことはよくあることだけど、毎日練習することに飽きたし、当時は個人的に興味のない音楽しか習わなかったから、一度辞めてしまったんだ。 でも、12歳くらいのとき、父の友人が家に持ってきた不思議なCDに魔法のように惹かれて、Joe Satriani の “Time Machine” というアルバムを聴いたんだ。 そして、こっそりリビングルームに忍び込んで聴いたことを覚えている。でもボリュームを気にしていなかったから、最初の曲がかかると超ラウドで度肝を抜かれたよ!そしてその瞬間、突然確信したんだ…エレキギターを弾きたい、これがやりたかったことだ!ってね。
Satriani を通して、Steve Vai, Eric Johnson, (その頃、最初の “G3” ライブ・アルバムが出た)、それから Marty Friedman, Jason Becker といったシュラプネルのシュレッダーにもハマっていったね。同時に、David Gilmour, Jeff Beck, Terje Rypdal, Robert Fripp にもね。

Q3: Not a few people in the bass world use fretless, but very few people use fretless on guitar. But, It’s a great way to express your personality! What made you decide to use a fretless? What are the pros and cons of this instrument?

【FOUNTAINHEAD】: It was more or less a “happy accident” that started my fretless journey: I had been playing my a few local shows with my first ever band – I must have been 18 or 19 – and my only (and very cheap) guitar at the time broke during a show. I had been abusing the whammy-bar so much that it ripped right out of the guitar’s body. I couldn’t just buy another guitar right away because my family was pretty poor, but what I could do was to bring it to a guy in my little seaside-town in the north-east of Germany that I knew who fixed and customized instruments. And at the time, I had just discovered a guitar player called Bumblefoot (a.k.a. Ron Thal), who had just made his very first recordings with a fretless guitar, which had left a huge impression on me. So when I brought the guitar to my friend and asked him to fix the bridge, I also asked him to make it fretless. And as they say: the rest is history.
As for pros & cons of the instrument… it does enable me to do things that I can’t do on a regular guitar, of course – the microtonality, the glissandi, sliding harmonics around, moving more horizontally than vertically on the fretboard… all of that is so much fun. However, there’s a limit to what you can do when it comes to chords, a limit to sustain and playability in the upper register, and a limit to the amount of high-end it can produce, even with the metal fingerboards and brass picks that I tend to use. So it reallyworks best if you approach as a unique instrument for unique purposes & situations, rather than “a regular guitar without frets”.

Q3: ベースの世界でフレットレスを使う人は少なくありませんが、ギターでフレットレスを使う人はほとんどいません。しかしあなたのフレットレス・ギターは、あなたの個性を表現する最高の方法ですね! なぜフレットレスを使おうと思ったのですか? この楽器の長所と短所はどこでしょう?

【FOUNTAINHEAD】: 僕のフレットレス・ジャーニーの始まりは、多かれ少なかれ “幸福な事故” だった。18歳か19歳だったはずだけど、初めてのバンドで何度か地元のライヴに出演したことがあってね。そのとき唯一持っていた(しかもとても安物だった)ギターが、ライヴ中に壊れてしまったんだ。ワミー・バーを酷使しすぎて、ギターのボディから裂けてしまったんだ。僕の家はかなり貧しかったから、すぐに別のギターを買うことはできなくて、僕にできることは、ドイツ北東部の小さな海辺の町で楽器の修理やカスタマイズをしている知り合いのところに持っていくことだけだった。
当時、僕は Bumblefoot(Ron Thal)というギタリストを知ったばかりで、彼はフレットレス・ギターで初めてのレコーディングを行ったばかりだった。その音楽が僕に大きなインパクトを与えていた。だから、そのギターを友人のところに持っていってブリッジの修理を頼んだとき、同時にそのギターをフレットレスにしてくれと頼んだんだ。そして、諺にもあるように、後は歴史が語る通りさ。
この楽器の長所と短所だけど、普通のギターではできないことを実現してくれる。微分音、グリッサンド、ハーモニクスをスライドさせたり、指板を縦よりも横に動けたり…本当にとても楽しいんだ。ただし、コードとなるとできることには限界があって、高音域でのサスティーン、演奏性にも限界がある。また、僕がよく使うメタル・フィンガーボードとブラス・ピックを使っても、ハイエンドを出すには限界があるんだ。だから、”フレットのない普通のギター” ではなく、”ユニークな目的&シチュエーションのためのユニークな楽器” としてアプローチするのが一番効果的なんだよね。

Q4: What is great about Changeling is that it is a metal band where not only guitars (Even though you also uses a fretted guitar) but also basses are fretless. This is truly unprecedented. Can you tell us about the possibility of metal without frets on all stringed instruments?

【FOUNTAINHEAD】: Well, actually it’s not unprecedented. I did exactly that on the Obscura “Akroasis” album back in 2016 – and even before that my first solo album “Fear Is The Enemy” in 2012 had both fretless guitars and fretless bass at the same time. It’s just that the media as well as the guitar industry has mostly ignored my work for my entire professional life. And of course, the lowest point of that was when I finally a global audience did hear my work through “Akroasis” – which entered the album charts in many countries around the world – only to having to battle a smear-campaign against me by the bandleader of Obscura, who claimed to have re-recorded my parts, that there was no fretless guitar on the album and that I “couldn’t even tune my guitar in the studio”. Not only that, but most of my videos got deleted, my social media pages got hacked multiple times and many more cases of being bullied and cut off from the audience that was interested in what I do. So you see, it has been quite the journey to now finally get some press attention with “Changeling” – I totally understand that people hear this album and think that this all very novel, but the truth is that I have been playing metal and related styles on fretless instruments for about 2 decades now.
But that being said, what you have to consider about playing metal on fretless instruments is that this is the genre of power-chords and distortion. And to properly intonate a powerchord with heavy distortion on a fretless guitar takes a lot of work and dedication, so I understand why it’s not a common thing. However, I do think that it opens up a ton of interesting possibilities for cool dissonances and new idea & sounds.

Q4: CHANGELING が素晴らしいのは、ギターだけでなく(普通のギターも使用はしますが)ベースもフレットレスというメタル・バンドであるところですよ。これは本当に前例がないですよね。 すべての弦楽器にフレットがないメタルの可能性について教えていただけますか?

【FOUNTAINHEAD】: 前例がないわけではないよ。2016年にリリースした OBSCURA のアルバム “Akroasis” がまさにそうだったし、それ以前にも2012年にリリースした僕のファースト・ソロ・アルバム “Fear Is The Enemy” ではフレットレス・ギターとフレットレス・ベースが同時に演奏されていた。
ただ、メディアだけでなくギター業界も、僕のプロとしての全生涯を通じて僕の作品をほとんど無視してきたからね。そしてもちろん、世界各国のアルバム・チャートにランクインした “Akroasis” を通して、ようやく世界中の聴衆に僕の作品を聴いてもらえたというのに、OBSCURA のバンド・リーダーによって、”Tom のパートを再録音した”、”アルバムにはフレットレス・ギターがない”、”Tom はスタジオでギターのチューニングもできない” と嘘の中傷キャンペーンを展開されたときがその最たるものだったね。それだけでなく、僕のビデオはほとんど削除され、僕のソーシャルメディア・ページは何度もハッキングされ、いじめられたり、せっかく僕の活動に興味を持ってくれていたオーディエンスから切り離されたりするケースもたくさんあった。だから、そうした僕の旅路が “Changeling” でやっとメディアの注目を得ただけでね。このアルバムを聴いて、斬新だと思われるのはよくわかるけど、実は僕はもう20年くらいフレットレスでメタルやそれに関連するスタイルを演奏してきたんだ。
とはいえ、フレットレスの楽器でメタルを演奏する際に考えなければならないのは、このジャンルの基本がパワー・コードとディストーションのジャンルだということだよ。そして、フレットレス・ギターでパワーコードとヘヴィなディストーションを適切にイントネートするには、かなりの労力と献身的な姿勢が必要で、だからこそこの楽器が一般的でない理由も理解できる。しかし、クールな不協和音や新しいアイデア&サウンド、そのための興味深い可能性がたくさん広がるのも確かなんだ。

Q5: What’s even more amazing about Changeling is that the various instruments participate in a realistic way, not programming, as if it were an orchestra! It is truly a piece of metal history! It must have been really hard to complete such a project, why did you gather so many instruments and their players?

【FOUNTAINHEAD】: Aw, thank you so much for saying that! Yes, 99% of the orchestral parts on the album are real instruments. And yes, it was a very hard and lengthy process, as I didn’t have the means to work with an existing orchestra and record it all live in a big room. Instead, I recorded all the different instruments and lines in many different places over the course of several years – which then made it necessary to bring in many different players, as one of the concepts for this album was also to have completely different forms of orchestration on each song.
As for “why”….well, why not? Hans Zimmer famously said that his music is not original, but it is the sum-total of all the music that he’s consumed in his life – and that is also true for me. I’ve been interested in orchestral music since a young age and even on my very first recordings as a teenager I was already experimenting with going beyond the sound of a rock band by layering and orchestrating many different types of instruments. Even my first solo album, which contains music that I wrote when I was still in my teens, has orchestral parts, percussion sounds from around the world and influences from many different genres and musical traditions. That’s really just the way that I hear music in my head, I guess.

Q5: “Changeling” でさらに素晴らしいのは、プログラミングではなく、さまざまな楽器がオーケストラのようにリアルに参加していることですよ! まさにメタルの歴史に残りますね! こうしたプロジェクトを完成させるのは本当に大変だったと思いますが、なぜこれほど多くの楽器とその奏者を集めたのですか?

【FOUNTAINHEAD】: そう言ってくれてありがとう!そう、アルバムのオーケストラ・パートの99%は本物の楽器なんだ。そう、それはとても大変で長いプロセスだった。既存のオーケストラと協力して、大きな部屋ですべてを生録音する手段がなかったからだ。 その代わり、数年かけていろいろな楽器やラインをいろいろな場所で録音した。そのために、さまざまなプレイヤーを起用する必要があったんだ。このアルバムのコンセプトのひとつは、曲ごとにまったく異なる形のオーケストレーションにすることだったから。
“なぜ?” かというと……そう、なぜか? Hans Zimmer の有名な言葉に、”自分の音楽はオリジナルなものではなく、人生で消費してきた音楽の総体である” というものがある。そしてその言葉は、僕にとっても真実なんだ。僕は若い頃からオーケストラ音楽に興味があり、10代で初めてレコーディングしたときから、さまざまな種類の楽器を重ねたりオーケストレーションしたりすることで、ロックバンドのサウンドを超えることを試みていた。まだ10代の頃に書いた曲を収録した僕の最初のソロ・アルバムでさえ、オーケストラ・パートや世界中のパーカッション・サウンドがあり、さまざまなジャンルや音楽の伝統から影響を受けている。それが僕の頭の中の音楽の聴こえ方なんだと思う。

Q6: You also have guest appearances by Jason Gobel and Andy Laroque, big names from Cynic and Death who created the very progressive death metal! Are you inspired by the creativity of that era?

【FOUNTAINHEAD】: Yes, very much so – both of these bands blew my mind as a teenager and have continued to inspire me ever since then. Both bands have released groundbreaking music that changed the course of metal as a whole – and have continued to evolve as time went on. That blueprint is something I’ve tried to honor and live up to since day one.

Q6: Jason Gobel や Andy Laroque といった大物もゲスト参加していますね。彼らは CYNIC と DEATH で、非常にプログレッシブなデスメタルを作り上げました! やはり、あの時代のクリエイティビティにインスパイアされているのですか?

【FOUNTAINHNAD】: この2つのバンドは、10代の僕の度肝を抜き、それ以来ずっと僕にインスピレーションを与え続けている。どちらのバンドも、メタル全体の流れを変えるような画期的な音楽をリリースし、時が経つにつれて進化し続けてきた。その青写真は、僕が最初から尊重し、生かそうとしてきたものだよ。

Q7: Can you tell us about the story, concept, and message being told in this epic album?

【FOUNTAINHEAD】: The main musical concept of “Changeling” was to build a musical journey from the past of the genre to the future. From the 4 chapters of the album, the first one is dedicated to paying tribute to the past – to my own past contributions to the genre in the form of mainly “Akroasis”, but also to the bands that inspired me the most in the context of (progressive) death metal. From chapter 2 onward, we then go more and more into what I can offer as a new vision for the genre, with new sounds, new techniques, new song- structures, new combinations of sounds. Then there’s smaller concepts, like having a rock-solid “core band” for all the main songs, but different kinds of orchestration on every piece of music – until they all come together on the final song “Anathema”.
Lyrically, it details a very intense psychedelic experience from a first-person perspective Over the different songs, the protagonist is going through many different stages of the trip, all the way to ego-death and complete dissolution of physical reality in “Abyss”.
From that point on, the protagonist re-emerges with a fresh new perspective and a broadened sense of what “reality” means.

Q7: この壮大なアルバムで語られるストーリー、コンセプト、メッセージについて教えていただけますか?

【FOUNTAINHEAD】: “Changeling” の主な音楽的コンセプトは、このジャンルの過去から未来への音楽の旅を構築することだった。このアルバムの4つの章から、最初の章は過去へのオマージュに捧げられている。主に “Akroasis” という形でこのジャンルに貢献した僕自身へのオマージュであると同時に、(プログレッシブ)デス・メタルの文脈で僕に最もインスピレーションを与えてくれたバンドへのオマージュでもある。
第2章以降では、新しいサウンド、新しいテクニック、新しい曲の構成、新しいサウンドの組み合わせなど、このジャンルの新しいビジョンとして僕が提供できるものにどんどん踏み込んでいく。例えば、すべての主要な曲で揺るぎない “核となるバンド” を起用し、すべての曲で異なる種類のオーケストレーションを使用する、といったような小さなコンセプトがあり、最終曲の “Anathema” でそのすべてが集約されるんだ。
リリックでは、一人称の視点から非常に強烈なサイケデリック体験を詳述している。さまざまな曲の中で、主人公はトリップのさまざまな段階を経て、”Abyss” では自我の死と物理的現実の完全な溶解に至る。
その時点から、主人公は新鮮な新しい視点と、”現実” が意味するものについての拡大された感覚をもって再登場するんだ。

Q8: You have performed wonderfully in such prestigious bands as Pitts/Minnemann, Obscura, and Amogh Symphony. Which of your works are you especially proud of?

【FOUNTAINHEAD】: Oh, that’s a difficult question to answer, as I always try to give 120% effort with everything that I do. I think I would say that I’m the most proud of doing all of those things in the first place– coming up as a traumatized teenager and young man with with deep anxiety and confidence issues, later as an adult with 2 kids and a PTSD-diagnosis.
All of the works that you mentioned were very important to me, but what’s even more important is that I showed up and gave it my all every time, regardless of any insecurities and anxieties that were telling me “you can’t do this – you’ll never be good enough.”

Q8: あなたは Pitts/Minnemann, OBSCURA, AMOGH SYMPHONY など名だたるバンドでプレイしてきましたが、振り返って最も誇れる作品はどれでしょう?

【FOUNTAINHNAD】: ああ、答えるのが難しい質問だね。僕はいつも、自分のすることすべてに120%の力を尽くそうとしているからね。 まず誇れるのは、そうした作品をやり遂げたことだ。なぜなら、僕はトラウマを抱えたティーンエイジャー、深い不安と自信の問題を抱えた青年として育ち、その後、2人の子供を持つ大人になり、PTSDと診断された人間だから。
君が挙げたすべての作品は、僕にとってとても重要なものだった。しかし、それ以上に重要なのは、”君には無理だ” という不安や心配の心の声に打ち勝って、毎回全力を尽くしたことなんだ。

Q9: Dream Theater and Gojira began to win Grammy awards. In an age when listeners’ attention spans are so short and instant content is so easily consumed, why is music that is complex, long, and requires practice beginning to be reevaluated?

【FOUNTAINHEAD】: Hmm, I wish I had better answer for this, but as I never have had any mainstream success in my 2 decades in the music business, it would be dishonest of me to talk about how complex music like that has been gaining more of a platform – because, honestly, if it has, I’ve never felt part of that movement and never felt like I have personally profited from that so far.

Q9: DREAM THEATER や GOJIRA がグラミー賞を受賞し始めました。リスナーのアテンション・スパンがこれほど短く、インスタントなコンテンツが簡単に消費される時代に、複雑で長く、練習を必要とする音楽が再評価され始めているのはなぜだと思いますか?

【FOUNTAINHEAD】: うーん、これに対してもっといい答えがあればいいのだけど、僕は音楽業界で20年間、メインストリームで成功したことがないから、そのような複雑な音楽がより多くのプラットフォームを獲得していることについて話すのは不誠実だろう…正直なところ、もしそうだとしても、僕はそのような動きの一部を感じたことはないし、これまで個人的にそこから利益を得たと感じたこともないからね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED FOUNTAINHEAD’S LIFE!!

Mike Oldfield “Ommadawn”

King Crimson “Discipline”

Devin Townsend “Ocean Machine”

Death “Symbolic”

Squarepusher “The Ultravisitor”

MESSAGE FOR JAPAN

Oh yes, I’ve been fascinated by and interested in japanese culture since I was a kid. Anime, manga & japanese movies were a big part of my formative years and I always dreamed of going to and performing in japan some day. Actually, there is one song on “Changeling” that takes a very direct influence from japanese culure: “Abdication”, which channels the harmonic language and orchestration style of Joe Hisaishi, who I consider to be one of my greatest musical influences.
Dear music fans of japan – thank you so much for giving “Changeling” a chance! And thank, Sin, for giving me this opportunity to engage with your audience! If anybody in Japan is willing to help bring me over for shows or master-classes in the future, I would be beyond grateful for that – I have been wanting to come to your fascinating country for my entire life and would love so much to finally get an opportunity to do so.

子供の頃から日本文化に魅了され、興味を持っていたんだ。 アニメや漫画、日本映画は僕の形成期の大部分を占めていたし、いつか日本に行って演奏するのが夢だった。 実際、”Changeling” には日本文化から直接影響を受けた曲が1曲あってね。”Abdication” なんだけどこの曲は、僕が最も影響を受けた音楽家の一人である久石譲の和声言語とオーケストレーション・スタイルを取り入れたものなんだ。
日本の音楽ファンのみんな、”Changeling” にチャンスを与えてくれて本当にありがとう! そして
Sin、日本のオーディエンスにリーチする機会を与えてくれてありがとう! もし日本の誰かが、将来僕をショーやマスタークラスで呼んでくれるとしたら、とてもありがたいことだよ。
日本という魅力的な国にずっと行きたいと思っていたので、ついにその機会を得られるとしたらとても嬉しいことだね。

TOM “FOUNTAINHEAD” GELDSCHLÄGER

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Fountainhead Official

CHANGELING Bandcamp

SEASON OF MIST

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ANCIENT DEATH : EGO DISSOLUTION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JERRY WITUNSKY OF ANCIENT DEATH !!

“Pink Floyd’s My Biggest Influence. I Picked Up a Guitar When I Was 4 Years Old Because Of David Gilmour From Watching Pink Floyd Live at Pompeii. So My Natural Style Is Just Things I Picked Up From Listening And Watching Him.”

DISC REVIEW “EGO DISSOLUTION”

「ATHEIST, CYNIC, DEATH…ANCIENT DEATH はこれらのバンドなしでは存在しなかっただろう。僕がそうした “グループ” を知ったのは、10歳か11歳の頃だった。当時クールだった “トレンド” の枠を超えて、より傷つきやすく内省的なところから曲を書くことで、個人として、ミュージシャンとして、自分らしくいられることを教えてくれたんだ。その体験は文字通り、僕の世界を変えた。僕は今年28歳になるけど、彼らは今でも当時と同じくらい僕にとって重要な存在だよ」
真の芸術は時の試練をものともせず、時代を超え、そして受け継がれる。メタルコアや Djent 直撃世代の Jerry Witunsky は、そのトレンド以上に探求すべきプログレッシブなデスメタルの審美と人間味に魅了され、情熱を注ぎ、ついには日本で愛するバンド ATHEIST の一員としてライブを行うという夢を叶えようとしています。その夢の実現のために大きな助けとなったのが、彼の世界観を体現した ANCIENT DEATH だったのです。
「”Ancient Death” という名前は僕らにとって実に意味があるんだ。それは、僕らの曲 “Voice Spores” の歌詞にある。ここで基本的に語っているのは、今は否定が否定を生み、それが僕たちを互いに分断しているということ。僕たちの見解では、否定性こそが人と人とのつながりにおける古き良き “古代の死” なんだよね」
憂鬱、悲しみ、心の平和、自己成長といったテーマを探求することで、ANCIENT DEATH は、人々がやがて自分自身にも他人にももっと優しく、寛容となり、共感できることを願っています。SNS では他者を否定し、断罪し、攻撃して溜飲をさげる行為が当たり前となった現代。彼らはそんな時代を古き良き “古代の死” と命名しました。デスメタル世界の “つながり” によって夢を叶えた Jerry は、心と魂のつながりの強さを信じています。つい最近、地球上で最も影響力のある人物が共感は “西洋文明の根本的な弱点” だと言及したばかりですが、だからこそ彼らのデスメタルはそうした合理主義に反旗を翻していきます。
「PINK FLOYD に一番影響を受けたっていうだけなんだ。彼らの “Live at Pompei” を見て、David Gilmour の影響で4歳のときにギターを手にしたんだからね。だから僕の自然なスタイルは、彼の演奏を聴いたり見たりして得たものなんだ。また、サウンドトラックの大ファンで、特に宮崎駿監督の映画は大好きで、1作を除いてすべて久石譲が手掛けているよね。僕にとって音楽とは、解放の場なんだ。誰かに何かを “感じさせて”、違う場所に連れて行く…それこそが美しいことだよ」
ANCIENT DEATH の音楽は、メタルを別次元に誘った80年代後半から90年代前半の、プログレッシブで実験的なデスメタルの鼓動を宿しています。しかし、オールドスクールなデスメタルに正直で真っ直ぐでありながらも、決して過去の焼き直しだけには終わりません。音楽を先に進めることこそ、彼らが先人から受け継ぐ美学。彼らがほんの数秒前まであった場所とは全く違う方向へと聴く者を連れて行くような、豊かなサウンドの雰囲気を作り出した時の驚きは、決してあの BLOOD INCANTATION に負けるとも劣らず。
90年代、DEATH や CYNIC が開拓したデスメタルの実験は、オフキルターなリズム、脈打つベースライン、幻覚的なギターの響きで、さながら THE DOORS や PINK FLOYD が見せる精神的な深みへと移行していきます。時折歌われるクリーンな祈りは、濃い瘴気の中で聴く者に手を差し伸べる静寂の声。
常に移り変わるムード、複雑なドラム・パターン、不可解な拍子記号がジグソーパズルのように組み合わさったアルバムは、それでも “Ego Dissolution” エゴを捨て去りすべてをアートとデスメタルのためにのみ捧げられています。だからこそ彼らは、ゴア描写や反宗教的な歌詞にこだわるのではなく、デスメタルらしい安っぽさや陳腐さを感じさせることもなく、私たちの感情の内面や魂の本質を探る、より深いトピックに踏み込んでいくことができたのです。
今回弊誌では、Jerry Witunsky にインタビューを行うことができました。「Rand Burkey は、僕にとってメタル界で最も影響を受けたギタリストだろう。彼のソロとメロディーは他のギタリストにはないものだった!14歳の頃、寝室で彼のパートをかき鳴らし、まるで自分が書いた曲のように人前で演奏することを夢見ていた僕が、実際にステージに立って彼らとまさに同じ曲を演奏しているなんて!デスメタル世界の心とつながりは、とてもパワフルなものだよね」 どうぞ!!

ANCIENT DEATH “EGO DISSOLUTION” : 10/10

INTERVIEW WITH JERRY WITUNSKY

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【JERRY】: I grew up in a very musically diverse home. Both of my parents were huge music heads. Some of my earliest memories are being in my parents car listening to Black Sabbath’s Sabotage and Pink Floyd’s Animals. My sister and I absolutely adored those records. They exposed us to everything; The Grateful Dead, Slayer, Rage Against the Machine, A Tribe Called Quest, Pantera, you name it. Because they both listened to metal it was fairly easy to get into even more extreme music at such a young age. I heard Evil Dead by Death when I was 10 and my mind completely shifted. I bought my first death metal cd when I was about 11 years old (Death’s The Sound of Perseverance). And it’s been all downhill from there!

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【JERRY】: 音楽的にとても多様な家庭で育ったよ。両親ともに大の音楽好きだった。一番古い記憶は、両親の車の中で BLACK SABBATH の “Sabotage” とPINK FLOYD の “Animals” を聴いていたことなんだから。
僕と妹は、そうしたレコードが大好きだった。僕はそうした作品を崇拝していたんだ。他には
GRATEFUL DEAD, SLAYER, RAGE AGAINST THE MACHINE, A TRIBE CALLED QUEST, PANTERA とかね。ふたりともメタルを聴いていたから、若くしてさらに過激な音楽にのめり込むのは簡単だった。
そうして10歳のときに DEATH の “Evil Dead” を聴いて、僕の心は完全に変わったんだ。11歳くらいの時に初めてデスメタルのCDを買ったよ。DEATH の “The Sound of Perseverance” だったね。それからはもう転がるようにのめり込んだよ!

Q2: How was Ancient Death formed? What is the meaning behind the band name?

【JERRY】: I formed Ancient Death with our bassist/vocalist Jasmine and guitarist Ray in 2019. Ray and I have been playing music together for almost 16 years now. We jammed with a few drummers until joining up with Derek in 2021 to record the Sacred Vessel EP. He was only initially going to be a session musician for that release but we had a chemistry like no other so he ended up staying permanently. I also want to give a giant shoutout to Jasmine who learned to play bass specifically for this band. To see her growth as a musician and individual in such a short time absolutely amazes me. The name came from a particular night after rehearsing back in 2019, we all were really happy about a tune we had just written and got extremely stoned at the beach. We were trying to describe what we had done and I think I said something along the lines of “It sounds like ancient fucking death metal”. Ancient Death does mean something to us though, which you can find in the lyrics for our song ‘Voice Spores’. Essentially how negativity begets negativity and that’s what divides us from one another. In our view negativity is the ‘Ancient Death’ of human connection.

Q2: ANCIENT DEATH はどのようにして結成されたのですか?このバンド名に込められた意味は何ですか?

【JERRY】: 僕は2019年にベーシスト兼ボーカルの Jasmine とギタリストの Ray と ANCIENT DEATH を結成したんだ。Ray と僕はもう16年近く一緒に音楽をやっているんだよ。2021年に “Sacred Vessel EP” をレコーディングするために Derek と合流するまで、何人かのドラマーとジャムっていたね。彼は当初、EPリリースのためのセッション・ミュージシャンとして参加する予定だったんだけど、僕たちには他にはないケミストリーがあったから、結局、永続的に参加してくれることになったんだ。また、このバンドのために急にベースを学んだ Jasmine にも大きなエールを送りたい。この短期間で彼女がミュージシャンとして、また個人として成長したのを見ると、本当に驚かされるよ。
バンド名の由来は、2019年にリハーサルを終えたある夜、みんなで作ったばかりの曲にすごく満足して、ビーチですごく酔っぱらったんだ。自分たちがやったことを説明しようとして、”古代のクソ・デスメタルのようだ” というようなことを言ったと思う。でも、”Ancient Death” という名前は僕らにとって実に意味があるんだ。それは、僕らの曲 “Voice Spores” の歌詞にある。ここで基本的に語っているのは、今は否定が否定を生み、それが僕たちを互いに分断しているということ。僕たちの見解では、否定性こそが人と人とのつながりにおける古き良き “古代の死” なんだよね。

Q3: Your music is great and very honest to the death metal of the late 80’s and early 90’s! But why were you drawn to old school death metal when modern metal like metalcore and Djent must have been popular in your generation?

【JERRY】: That type of music just never did it for us as kids. Derek is a bit older than the rest of us, he was 14 years old back in the early 90s already playing with death metal bands like Headrot. So I’d say core and all that was past his time. As for the rest of us, it just never had a grasp on us. No offense to bands in that genre, but we liked things more musical and diverse, with lyrics that just brought you to another world. As young kids we thought it was pretty weak compared to bands like Morbid Angel and Death. We wanted to go heavier, more technical, more progressive.

Q3: あなたの音楽は、80年代後半から90年代前半のデスメタルにとても正直です!ただあなたの世代ではメタルコアやジェントのようなモダン・メタルが流行っていたと思うのですが、なぜオールドスクールなデスメタルに惹かれたのですか?

【JERRY】: そういうタイプの音楽は、子供の頃の僕たちには合わなかったんだ。Derek は僕らより少し年上で、90年代初頭には14歳で、すでに HEADROT のようなデスメタル・バンドと一緒にプレイしていたんだ。だから、彼にとってコアな音楽はも世代が違うと思う。それ以外のメンバーに関しては、コア系が理解できなかったというのが本音だね。
そのジャンルのバンドに悪気はないんだけど、僕たちはもっと音楽的で多様性があって、歌詞も別世界に誘ってくれるようなものが好きだった。若い頃の僕たちは、MORBID ANGEL や DEATH のようなバンドと比べると、コア系のバンドはかなり “弱い” と思っていた。もっとヘヴィで、もっとテクニカルで、もっとプログレッシブなものを求めていたんだ。

Q4: Interestingly, your music is not just a rehash of the past, but a masterful fusion of death metal with the contemplative atmospheres of Pink Floyd. How did you come up with that idea?

【JERRY】: Honestly, I just write what I want to hear. Sometimes that’s ripping and brutal, sometimes it’s calm and beautiful. We never write and go “oh it needs to be this style here” or “let’s write this kind of part here”. I think we just jam out things and if it flows and feels natural then that’s the way it’s meant to be. Pink Floyd’s my biggest influence. I picked up a guitar when I was 4 years old because of David Gilmour from watching Pink Floyd Live at Pompeii. So my natural style is just things I picked up from listening and watching him. I’m also a huge fan of soundtrack music, specifically Joe Hisaishi who worked on all of Hayao Miyazaki’s movies with the exception of one. Music for me is a place of relefection. To make someone “feel” something and bring them to a different place, that’s a beautiful thing.

Q4: 興味深いことに、あなたの音楽は単なる過去の焼き直しではなく、デスメタルと PINK FLOYD の瞑想的な雰囲気を見事に融合させています。そうしたアイデアはどうやって思いついたのですか?

【JERRY】: 正直なところ、僕はただ自分が聴きたいものを書いているだけなんだ。それは時には破裂するようなブルータルなものだったり、穏やかで美しいものだったりする。”ああ、ここはこういうスタイルにしよう” とか “ここはこういうパートを書こう” なんて考えながら書くことはない。ただジャム・アウトして、それが自然な流れで感じられるなら、それがあるべき姿なんだと思う。
だから、PINK FLOYD に一番影響を受けたっていうだけなんだ。彼らの “Live at Pompei” を見て、David Gilmour の影響で4歳のときにギターを手にしたんだからね。だから僕の自然なスタイルは、彼の演奏を聴いたり見たりして得たものなんだ。また、サウンドトラックの大ファンで、特に宮崎駿監督の映画は大好きで、1作を除いてすべて久石譲が手掛けているよね。僕にとって音楽とは、解放の場なんだ。誰かに何かを “感じさせて”、違う場所に連れて行く…それこそが美しいことだよ。

Q5: Speaking of death metal that respects Pink Floyd, Blood Incantation has had great success. What do they mean to you?

【JERRY】: Blood Incantation are great friends of ours and they are absolutely killing it right now! Ray and I played a show in our old band during their first East Coast tour in 2016. As much as we love those guys and everyone has been comparing us to them, they haven’t been a direct influence to our music. Bands like diSEMBOWELEMENT, Lush, Atheist, Autopsy, Cynic, Gorguts, Pink Floyd, and Death are more of our influences. Or rather the atmospheres they create.

Q5: PINK FLOYD をリスペクトするデスメタルといえば、BLOOD INCANTATION が大成功を収めていますね。あなたたちにとって彼らはどんな存在ですか?

【JERRY】: BLOOD INCANTATION は僕たちの素晴らしい友人で、今まさに絶好調!Ray と僕は、2016年に彼らが初めて東海岸ツアーを行った時に、僕たちの古いバンドで共にショーを行ったんだ。彼らのことは大好きだし、みんな僕らを彼らと比較しているけど、彼らは僕らの音楽に直接影響を与えたわけじゃない。diSEMBOWELEMENT,
LUSH, ATHEIST, AUTOPSY, CYNIC, GORGUTS, PINK FLOYD, DEATH といったバンドの方が僕らには影響を与えている。もしかしたら、彼らが作り出す雰囲気には影響を受けているかもね。

Q6: Bands such as Death, Atheist, Cynic, and Pestilence took metal into a different realm in the early 90s, one that was more diverse, progressive, and intelligent. You will be playing with Atheist in Japan, what is your legacy from these bands?

【JERRY】: Those are some of my favorite bands and probably my favorite style of music. Ancient Death wouldn’t exist without those bands. I discovered all those groups when I was about 10 and 11 years old. From pushing beyond the boundaries of what ‘trends’ were cool back then and writing from a more vunerable and introspective place, it showed me I could be myself as an individual and musician. It quite literally changed my world. I’m turning 28 this year, and they still mean as much to me now as they did back then. To play in Atheist is a dream come true. They were my absolute favorite band since I was 12 years old. To go from having posters of Kelly Shaefer and the og lineup on my wall, to sharing the stage every night with him is something I can’t really put words to. Rand Burkey was probably the most influential guitarist in the metal world to me. He just ripped his solos and melodies like no other (upside down mind you)! That fact I used to shred his parts as a 14 year old in my bedroom and dream of playing it in front of others as if I’d written that music to actually be on a stage playing those same songs is like, holy shit! The mind and connection to our world is a very powerful thing.

Q6: DEATH, CYNIC, ATHEIST, PESTILENCE のようなバンドは、90年代初期にメタルをより多様でプログレッシブで知的な別の領域へと導きました。あなたは今年、日本で ATHEIST のメンバーとして演奏しますが、そうしたバンドからあなたが受け継いだものは何ですか?

【JERRY】: 君が挙げたバンドはまさに僕の愛するバンドであり、おそらく僕の好きな音楽のスタイルだろう。ANCIENT DEATH はこれらのバンドなしでは存在しなかっただろう。僕がそうした “グループ” を知ったのは、10歳か11歳の頃だった。当時クールだった “トレンド” の枠を超えて、より傷つきやすく内省的なところから曲を書くことで、個人として、ミュージシャンとして、自分らしくいられることを教えてくれたんだ。その体験は文字通り、僕の世界を変えた。僕は今年28歳になるけど、彼らは今でも当時と同じくらい僕にとって重要な存在だよ。
ATHEIST と演奏できるなんて夢のようだ。彼らは僕が12歳の頃から絶対的に大好きなバンドだったからね。 Kelly Shaefer や当時のラインナップのポスターを壁に貼っていたくらいで、毎晩彼とステージを共にすることになるなんて、言葉では言い表せないよ。 Rand Burkey は、僕にとってメタル界で最も影響を受けたギタリストだろう。彼のソロとメロディーは他のギタリストにはないものだった!
14歳の頃、寝室で彼のパートをかき鳴らし、まるで自分が書いた曲のように人前で演奏することを夢見ていた僕が、実際にステージに立って彼らとまさに同じ曲を演奏しているなんて!デスメタル世界の心とつながりは、とてもパワフルなものだよね。

Q7: The artwork for “Ego Dissolution” reminded me of the artwork for Obituary’s “Cause of Death”. In a way, does it show your respect for them?

【JERRY】: Haha, I’m glad you bring this up. That record is without a doubt a classic and one we all love but the art for that had absolutely no connection to ours. I mean that art wasn’t even supposed to be for Obituary initially, it was supposed to be for Sepultura’s Beneath the Remains. And past that it’s actually a cover for an H.P. Lovecraft book. So to those claiming we’re ripping off that art, it’s like whatever. But if people see that similarity, then cool, it’s a badass record. We put so much time and love into Ego Dissolution. The art was made by Maegan LeMay, who absolutely exceeded our expectations. She’s such an incredible artist. She based the art off of our song Breathe – Transcend (Into the Glowing Streams of Forever) which deals with the connection of our hearts and souls to the Earth. In my view, we’re all connected to one another. And I think we should embrace that.

Q7: “Ego Dissolution” のアートワークを見て、OBITUARY の “Cause of Death” のアートワークを思い出しました。ある意味、彼らへの敬意を表しているのでしょうか?

【JERRY】: ははは、そう言ってもらえると嬉しいよ。あのレコードは間違いなく名盤で、僕らみんなが大好きなものだけど、あのアートは僕らとはまったく関係ないものなんだ。もっといえば、あのアートは当初 OBITUARY のためのものですらなく、SEPULTURA の “Beneath the Remains” のためのものだったはずなんだからね。本当の起源は、実はH.P.ラヴクラフトの本の表紙なんだ。だから、僕らがそのアートをパクっていると主張する人たちかについては、どうでもいいって感じだね。
ただ、みんながその類似性に気づいてくれるって、逆にいえばクールで注目されているレコードってことじゃない。僕らは “Ego Dissolution” にたくさんの時間と愛情を注いだ。アートはMaegan LeMay が担当したんだけど、彼女は僕らの期待を遥かに超えてくれた。彼女はとても素晴らしいアーティストだよ。彼女は僕たちの曲、地球における心と魂のつながりを描いた “Breathe – Transcend (Into the Glowing Streams of Forever)” をもとにアートを制作してくれた。僕の考えでは、僕たちは皆、互いにつながっている。それを抱きしめるべきだと思う。

Q8: There were always great guitar shredders in the great death metal of those days. Personally, I think shred is essential to death metal, and your music is great with lots of perfect guitar shred reminiscent of Chuck Schuldiner! Who is your guitar hero for the band?

【JERRY】: I absolutely agree. Solos are an essential part of our music and for me, lyrical. They’re the words I can’t say. It’s hard to pinpoint one hero but some of my biggest influences are David Gilmour, Chuck Schuldiner, Rand Burkey, Kelly Shaefer, Paul Masvidal, Jason Gobel, Jerry Garcia, Slash, Tony Iommi, Jeff Hanneman, Dimebag Darrell, and although not a guitarist, Chi Cheng from Deftones. His bass playing changed my way of writing music. He’s so unique and inspiring and I can’t stress enough his importance as a player has on my writing style. It’s truly a shame he left this Earth. Ray has a gazillion too, but I know for a fact he absolutely loves Jimmy Page, Eddie Van Halen, Uli Jon Roth, Trey Azagthoth, tons of fingerpicking players like Jerry Reed and Chet Atkins, and most of the ones I stated.

Q8: 当時の偉大なデスメタルには、常に素晴らしいギター・シュレッダーがいましたね。個人的には、デスメタルにシュレッドは不可欠だと思っていますが、あなたの音楽にはあの Chuck Schuldiner を彷彿とさせる完璧なギターシュレッドが多く存在していて素晴らしいですね!
バンドにとってのギター・ヒーローは誰なんですか?

【JERRY】: まったく同感だよ。ソロは僕らの音楽に欠かせないものだし、僕にとってはリリカルなものでもある。ヒーローを一人に絞るのは難しいけど、一番影響を受けたのは David Gilmour, Chuck Schuldiner, Rand Burkey, Kelly Shaefer, Paul Masvidal, Jason Gobel, Jerry Garcia, Slash, Tony Iommi, Jeff Hanneman, Dimebag Darrell、そしてギタリストではないけど、DEFTONES の Chi Cheng だね。彼のベース・プレイは、僕の作曲方法を変えたんだ。彼はとてもユニークで刺激的で、彼のプレイヤーとしての重要性が僕の作曲スタイルに与えた影響はいくら強調しても足りないくらいだ。彼がこの世を去ったのは本当に残念だよ。
Ray にもたくさんいるけど、彼が Jimmy Page, Eddie Van Halen, Uli Jon Roth, Trey Azagthoth, それから Jerry Reed や Chet Atkins といったフィンガーピッキング・プレイヤーを愛していることは確かだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JERRY’S LIFE!!

Linkin Park “Meteora”

Pink Floyd “The Dark Side of the Moon”

U2 “The Joshua Tree”

Atheist “Unquestionable Presence”

Deftones “Around the Fur”

MESSAGE FOR JAPAN

Massively! Like I stated earlier, I love Joe Hisashi’s work with Hayao Miyazaki. Those Studio Ghibli films; particularly Laputa: Castle in the Sky, Princess Mononoke, Kiki’s Delivery Service, and Spirited Away are some of the most important pieces of art in my life. I’m a HUGE Legend of Zelda and Final Fasntasy (particularly VII and XII) fan. Lost in Translation (set in Tokyo) is one of my favorite films ever. I’m also big into manga and anime (Sailor Moon, Death Note, Neon Genesis Evangelion, etc.). For music I really love Boris and that first Babymetal record. I’ve wanted to go to Japan since I was 7 years old. I used to watch Guns N’ Roses live in Tokyo ‘92 and have wanted to visit there since. I told myself at that age if I could ever play a show in Tokyo, at whatever capacity, then I made it. Can’t believe I’ll be playing there with Atheist this June.
Thank you so much for the interview. And thank you to everyone who has given Ego Dissolution a chance. We appreciate you more than you know. Ancient Death hopes to come to Japan soon! Worship the true cosmic flow that is…ANCIENT DEATH!

日本の文化はマッシブだよ!先ほども言ったように、僕は宮崎駿監督と久石譲の仕事が大好きなんだ。特に “天空の城ラピュタ”、”もののけ姫”、”魔女の宅急便”、”千と千尋の神隠し” などのスタジオジブリ作品は、僕の人生で最も重要な影響のひとつだよ。それにゼルダの伝説とファイナルファンタジーの大ファンでもある(特にVIIとXII)。”ロスト・イン・トランスレーション”(東京が舞台)は、これまでで最も好きな映画のひとつだよ。漫画やアニメ(”セーラームーン”、”デスノート”、”新世紀エヴァンゲリオン”など)も大好き。音楽は Boris と BABYMETAL の最初のレコードが気に入っているよ。
7歳の頃から日本に行きたいと思っていたんだ。GUNS N’ ROSES の92年の東京のライブ・ビデオを観て以来、ずっと日本に行きたいと思っていたんだよ。もし東京でライヴができるのなら、どんなキャパシティのライヴであれ、その時は必ずやると、その時自分に言い聞かせていたんだ。今年の6月に ATHEIST として東京で演奏できるなんて信じられないよ。
インタビューをありがとう。そして、”Ego Dissolution” にチャンスを与えてくれたすべての人に感謝を。君たちが思っている以上に感謝しているんだ。近いうちに、ANCIENT DEATH も日本に行けたらいいね!ANCIENT DEATH という真の宇宙の流れを崇めよ!

JERRY WITUNSKY

JERRY は ATHEIST のメンバーとして来日!チケットのご購入はこちら!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DROWN IN SULPHUR : VEANGENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DROWN IN SULPHUR!!

“We Would Like To Make Concerns What Happened After Lorna Shore’s Explosion. They Have Created a Trend That Is Followed In a Schematic Way By Many Deathcore Bands And We Find It Quite Monotonous.”

DISC REVIEW “VENGEANCE”

「LORNA SHORE の初期の作品は、少しクラシックなデスコアで、もちろんそれからのシンフォニックな進化も両方高く評価しているんだよ。ただ、彼らの爆発的な人気の後に起こったことに対して唯一コメントしておきたいのは、彼らは、多くのデスコア・バンドが図式的に、システマティックに追随するトレンドを作り出してしまったよね。僕たちはそれが非常に単調だと感じている。それが気がかりなんだ」
シーンに巨大なバンドが出現すると、それに追従する数多のフォロワーが出現する。それは黎明期から続く “ロックの法則” であり、飽和と定型化、そして衰退がひとつのライフ・サイクルとしていくつものジャンルを隆盛させ、また没落させてきました。そして現在、デスコアの巨人といえば LORNA SHORE でしょう。
「僕たちは常にオリジナリティのあるものをファンに提供し、僕らに気づいてくれた人たち、そしてデスコア/メタルコア・シーン全体に対して DROWN IN SULPHUR を認識させ、差別化したいと考えているんだ。そのために、作曲や作曲方法において、より多くのジャンルから影響を受けることを恐れないんだよ」
イタリアの DROWN IN SULPHUR は素直に LORNA SHORE をリスペクトしつつも、決して彼らの足跡を追おうとはしていません。なぜなら、そうした “セルアウトの方程式” がいつしかシーンを衰退に導く諸刃の剣だと知っているから。だからこそ、彼らはオリジナリティあふれる自らのデスコア道を歩んでいきます。
「僕たちは皆、ブラックメタルからクラシック・デスコア、ハードコア、ニュースクール・メタルコア、オールドスクール・デスメタル、そしてプログレまで、全く異なる嗜好を持っているんだ!もちろん、ロックやメタルの偉大な古典を愛する共通項もあるしね」
DROWN IN SULPHUR のデスコアはむしろ WHITECHAPEL の哲学に近い。そんな感想を抱くほど彼らの音楽は多様で、実験的で、それでいて非常に “聴きやすい” キャッチーさを多分に備えています。LORNA SHORE のように荘厳なる痛みをアルバム全体で醸し出すよりも、リッチで目まぐるしい展開を選んだともいえます。
クラシックなデスコアやデスメタルの重量感とテンポ・チェンジ、PANTERA のグルーヴやソロイズム、ハードコアのエナジーや衝動、ブラックメタルの暗がりやスピード、そして時に補充されるシンフォニーや民族音楽の響き、プログレッシブな構成美。特筆すべきは、”Scalet Rain” で見せるような悲痛なクリーン・ボーカルでさえ、”Vengeance” というアルバムにはわずかな違和感さえなく完璧にハマっている点でしょう。
まさにアートとしてのデスコア。憤怒と毒を含んだミケランジェロ。ヘヴィネス、スピード、ブレイクダウン、アトモスフィア、そしてメロディが黄金比で織り込まれたデスコアのダビデ像は、”Vengeance” でジャンルと音楽業界の不条理に中指を立てながら、一方では深い知性と実験性を備えたその美しき構成と展開の妙でジャンルの未来を切り開いていくのです。
今回弊誌では、DROWN IN SULPHUR にインタビューを行うことができました。「シンプルに僕たちは、パワー・メタルのようなジャンルに特に興味を持ったことはないんだ。メタルの真髄は、検閲や圧力なしに多くの創造性を発揮する余地を残したエクストリームなサブジャンルにあると信じているからね」 常軌を逸した演奏の巧さ、ギターソロののドラマ性、そして複雑な構築美。DREAM THEATER を影響元に挙げているのも頷けますね。どうぞ!!

DROWN IN SULPHUR “VEANGENCE” : 10/10

INTERVIEW WITH DROWN IN SULPHUR

Q1: First, what kind of music did you grow up listening to?

【DIS】: We all have quite different tastes that can range from black metal, to classic deathcore/hardcore/new school metalcore, old school death metal and even prog!
Of course we all have a common denominator that refers to the great classics of rock and metal music!

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか??

【DIS】: 僕たちは皆、ブラックメタルからクラシック・デスコア、ハードコア、ニュースクール・メタルコア、オールドスクール・デスメタル、そしてプログレまで、全く異なる嗜好を持っているんだ!
もちろん、ロックやメタルの偉大な古典を愛する共通項もあるしね!

Q2: How was Drown in Sulphur formed? What is the origin of the band’s name?

【DIS】: The band was founded by Domenico, our current drummer, in 2014 with the intent of giving space to heavy black metal influences and the raw and crude deathcore style.
The name esoterically encloses everything that refers to red sulfur, the philosopher’s stone and touching concepts such as V.I.T.R.I.O.L.
Furthermore, the aesthetics of the name wanted to communicate an intrinsic aggressiveness alluding to a horrible way of dying.
There was a lineup change in 2020 due to different artistic and working visions, to then confer in the current lineup that we all know formed by Domenico Francesco Tamilia “Darth” (drums and backing vocals), Christian Lombardo “Christ” (vocals and former lead guitar) Emanuele Corso “Dimitryux” (rhythm guitar) and Daniele Posillipo “Black Light” (lead guitar).

Q2: DROWN IN SULPHUR はどのようにして結成されたのですか? バンド名にはどんな意味が込められていますか?

【DIS】: このバンドは2014年、現ドラマーである Domenico によって、ヘヴィなブラックメタルからの影響と、生々しく粗野なデスコア・スタイルにスペースを与えることを意図して結成されたんだ。
バンド名はラテン語の燃える石、賢者の石、そして V.I.T.R.I.O.L. (辛辣で毒のある言葉) のような感動的な概念に言及するすべてを難解に包含しているよ。さらに、バンド名の美学では、恐ろしい死に方を暗示する本質的な攻撃性を伝えたかった。
2020年、異なる芸術的ヴィジョンと作曲ヴィジョンのためにラインナップが変更され、Domenico Francesco Tamilia “Darth” (drums and backing vocals), Christian Lombardo “Christ” (vocals and former lead guitar) Emanuele Corso “Dimitryux” (rhythm guitar), Daniele Posillipo “Black Light” (lead guitar) による現在のラインナップとなったんだ。

Q3: Italy is famous for power metal like Rhapsody of Fire and progressive rock like PFM, but why did you decide to play deathcore?

【DIS】: We have simply never been particularly interested in genres like power metal and we believe that the true essence of metal lies in extreme subgenres that leave room for a lot of creativity without censorship.

Q3: イタリアは RHAPSODY OF FIRE のようなパワー・メタルやPFMのようなプログレッシブ・ロックで有名ですが、なぜデスコアをやろうと思ったのですか?

【DIS】: シンプルに僕たちは、パワー・メタルのようなジャンルに特に興味を持ったことはないんだ。メタルの真髄は、検閲や圧力なしに多くの創造性を発揮する余地を残したエクストリームなサブジャンルにあると信じているからね。

Q4: When I think of Italian extreme metal, Fleshgod Apocalypse and Destrage come to mind.Do you have any influences from them?

【DIS】: We don’t have any particular influences from these two bands.
If we had to mention an Italian band that we took inspiration from, especially for the atmospheric part of our music, we would mention “Forgotten Tomb”.

Q4: イタリアのエクストリーム・メタルといえば、FLESHGOD APOCALYPSE や DESTRAGE が思い浮かびますが、彼らから影響を受けたものはありますか?

【DIS】: この2つのバンドから特に影響を受けたものはないね。
イタリアのバンドで、特に自分たちの音楽のアトモスフェリックな部分でインスピレーションを受けたバンドを挙げるとしたら、FORGOTTEN TOMB だね。

Q5: In recent years, I had the impression that you guys were playing corpse painting and your musicality itself was approaching black metal, would you agree?

【DIS】: We know very well that we have heavy black metal influences, but Vengeance stands out because it is an album written from the gut, in a very intense and aggressive way. We used corpse paint, but we decided not to use it so as not to conform to a cliché that probably does not belong to us at 100%, even if we really appreciate the dark and gothic aesthetic of black metal.

Q5: 近年は、コープス・ペイントにも手を出したり、音楽性そのものも時折りブラックメタルに近づいているようにも感じました。

【DIS】: 自分たちがヘヴィなブラックメタルに影響を受けていることはよく理解しているけど、”Vengeance” が際立っているのは、このアルバムが非常に激しく攻撃的な方法で、直感的に書かれたアルバムだというところだろう。
たしかに僕たちはコープス・ペイントを使っていたけど、その “クリシェ” はおそらく100%僕たちにはふさわしくないし、ステレオタイプに従いたくはないから今は使わないことにしたんだ。たとえ、ブラックメタルのダークでゴシックな美学を本当に評価しているとしてもね。

Q6: Deathcore and metalcore are often criticized for being formulaic and oversaturated. With this in mind, are you trying to break out of that “narrow cage”?

【DIS】: We always try to give to our fans a sound that is original and we want anyone who approaches “Drown In Sulphur” to be able to recognize us and distinguish us from the entire deathcore/metalcore scene; therefore we are not afraid to be influenced by more genres in our compositions or in our ways of composing.

Q6: デスコアやメタルコアは、しばしば定型的で飽和していると批判されています。そうした評価があるからこそ、あなたたちはその “狭い檻” から抜け出そうとしているのでしょうか?

【DIS】: 僕たちは常にオリジナリティのあるものをファンに提供し、僕らに気づいてくれた人たち、そしてデスコア/メタルコア・シーン全体に対して DROWN IN SULPHUR を認識させ、差別化したいと考えているんだ。
そのために、作曲や作曲方法において、より多くのジャンルから影響を受けることを恐れないんだよ。

Q7: Lorna Shore has gained great popularity as a band that showed the potential of deathcore, what are they to you?

【DIS】: We have been following this band since they were not so popular yet.
We particularly appreciate both their first works a bit more classic deathcore and of course their symphonic evolution.
The only comment we would like to make concerns what happened after their explosion. They have created a trend that is followed in a schematic way by many deathcore bands and we find it quite monotonous.

Q7: LORNA SHORE はデスコアの新たな可能性を示したバンドとして今大きな人気を得ていますが、あなたにとって彼らはどんな存在ですか?

【DIS】: 僕たちは、彼らがまだそれほど人気がなかった頃から追いかけているんだ。
彼らの初期の作品は、少しクラシックなデスコアで、もちろんそれからのシンフォニックな進化も両方高く評価しているんだよ。
ただ、彼らの爆発的な人気の後に起こったことに対して唯一コメントしておきたいのは、彼らは、多くのデスコア・バンドが図式的に、システマティックに追随するトレンドを作り出してしまったよね。僕たちはそれが非常に単調だと感じている。それが気がかりなんだ。

Q8: Your latest album is strongly titled “Vengeance.”Can you tell us about the beautiful and terrifying artwork and the concept of this album?

【DIS】: Vengeance album was created from the feeling of rebellion and revenge towards collaborations with third parties that were not particularly profitable.
It wants to vent all the frustration that lies behind the music industry and everything that an artist must suffer before being able to assert himself.
The cover was chosen for the maximum expressiveness of the feeling of anger and resentment using an aesthetic that is very different from previous albums.

Q8: 最新アルバムは “Vengeance” という強烈なタイトルですが、その美しくも恐ろしいアートワークとアルバムのコンセプトについて教えてください。

【DIS】: アルバム “Vengeance” は、まったく利益を生まなかった第三者とのコラボレーションに対する反抗と復讐の感情から作られたんだ。
音楽業界の背後にあるフラストレーションや、アーティストが自己主張する前に苦しまなければならないことすべてを吐き出したかったんだよね。
ジャケットは、これまでのアルバムとはまったく異なる美学を用い、怒りと憤りの感情を最大限に表現するために選んだんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED DIS’S LIFE!!

MAYHEM “De Mysteriis Dom Sathanas”

BEHEMOTH “The Satanist”

THY ART IS MURDER “Hate”

FEAR FACTORY “Demanufacture”

DREAM THEATER “A Dramatic Turn of Events”

MESSAGE FOR JAPAN

We really appreciate Japanese culture and everything related to anime and manga, from colossal like Dragon Ball and One Piece to newest ones like Attack on Titan and Death Note.
Japanese music is part of a lot of our favourite videogames like DragonBall, kingdom Hearts, Devil May Cry and many more.
We would really love to be able to come and play there and hope to organize a tour very soon!

僕たちは、ドラゴンボールやワンピースのような巨大なものから、進撃の巨人やデス・ノートのような最新のものまで、日本の文化やアニメや漫画に関連するすべてのものを本当に高く評価しているよ。
好きな日本の音楽は、ドラゴンボール、キングダムハーツ、デビル・メイ・クライなど、僕たちの好きなビデオゲームの多くに流れているね。
日本に行って演奏できることをとても楽しみにしているし、近いうちにツアーを企画したいと思っているよ!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SNOOZE : I KNOW HOW YOU WILL DIE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LOGAN VOSS OF SNOOZE !!

“The More People Are Inundated With Instant Gratification, The More It Becomes Impactful When Something Comes Around That Was Worked On Really Hard. I Think The Pendulum Is Beginning To Swing The Other Direction.”

DISC REVIEW “I KNOW HOW YOU WILL DIE”

「アートが消費され、”コンテンツとなった芸術” の時代である今、より多くの人々が、よく練られ、愛のこもった作品で、時代に左右されずに存在する音楽、芸術、アイデアを求めているのだと思う。人々が即座に満足できるインスタントなものが溢れれば溢れるほど、情熱をかけて心から一生懸命取り組んだものが世に出たときの衝撃は大きくなる。より多くの人々が、自分の意思をあまり持たずスマホに釘付けになることに不満を感じ、振り子が反対方向に振れ始めているんだと思うよ」
アートが消費される “コンテンツ” となった現代。人々はさながら SNS を一瞬賑わせ、そしてすぐに忘れ去られていく日々のニュースのようにアートを消費し、放流していきます。しかし本来、芸術には “永続性” が備わっているはず。本来のアートは時代を超えて愛されるべきでしょう。そうした意味で、シカゴの “ハッピー・ヘヴィ・マスロック” SNOOZE の音楽はさながらスマホのアラーム、あの “スヌーズ” 機能のように、時が過ぎても何度も何度もリスナーの心を目覚めさせていくはずです。
「ヘヴィな歌詞の内容とヘヴィ・メタルに影響を受けた音楽的要素が、とても楽観的なコード進行の選択と組み合わさって、楽しい認知的不協和を生み出しているように感じるよ」
複雑怪奇な変拍子を操る SNOOZE の最新作 “I Know How You Will Die” が4/4日にリリースされた事実がすでに、彼らのニヒリズムと知性が生み出す二律背反を見事に表現しています。たしかに SNOOZE はハッピーなマスロック・バンドですが、同時にヘヴィなプログレッシブ・メタルでもあります。その怒りと幸福、ヘヴィとキャッチー、実験と正統をまたにかけるダイナミズムの妙こそ、彼らが情熱を注いだアート。
「若いメタルヘッズだった僕たちは、テクニカルさと名人芸に取り憑かれていたような気がする。それからマスロックに出会ったとき、それと同じ波動を感じたような気がしたんだ。だから、それを掘り下げていくと、より多くの非常識なバンドを見つけることができた。 でも最近の僕たちは、可能な限りテクニカルなこと(考えすぎること)を探すのをやめて、意味のある、感情的な音楽に傾倒していると思う。だからよりメロディックな音楽の中に濃密なリズムのアイディアを取り入れる人がいると、いつも嬉しくなるよ」
またにかけるのは光と闇だけではありません。エモ/ポップ・パンクのヴォーカル・センスをヒントに、マスロック、プログレッシヴ・メタル、ポスト・ハードコアをブレンドした、大胆かつ折衷的な旋風こそ彼らの真骨頂。 最も際立っているのは、それぞれのジャンルをシームレスに行き来しながら、独自の色と説得力をもって主張する彼らのアイデンティティでしょう。BETWEEN THE BURIED AND ME が見せるようなボーカル・ハーモニー、その実験的な使い方も、SNOOZE の複雑な楽曲に驚くほどの色彩と感情をもたらしています。彼らの創意工夫を前にして、スマホに齧り付くことはできません。振り子の針は逆側に触れ始めました。
今回弊誌では、ボーカル/ギターの Logan Voss にインタビューを行うことができました。「当時は VEIL OF MAYA をよく聴いていて、ギターを初めて弾いた曲のひとつでなんと “It’s not Safe to Swim Today” を覚えようとしたんだ。YouTube の黎明期には、バイラルになる動画は限られていたので、初期の ANIMALS AS LEADERS のミュージックビデオを見たとき、みんなが度肝を抜かれたのは間違いないよね!」 どうぞ!!

SNOOZE “I KNOW HOW YOU WILL DIE” : 10/10

INTERVIEW WITH LOGAN VOSS

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【LOGAN】: Honestly I grew up listening to more metal, but a lot of hiphop and emo and house music as well – there’s a broad amount of genres that always play in Chicago, so it’s been so nice growing up getting to see it all. We grew up playing more noodly tappy math rock, but over the years we’ve incorporated more and more of other influences.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【LOGAN】: 正直なところ、僕はメタルよりの音楽を聴いて育ったんだけど、ヒップホップやエモ、ハウス・ミュージックもたくさん聴いていた。シカゴでは常に幅広いジャンルが演奏されているから、そのすべてを見ることができたのは成長する上でとても良かったよ。僕たちはもっとヌードっぽいタッピーなマスロックを演奏して育ったけど、何年もかけて他の影響をどんどん取り入れてきたんだ。

Q2: What inspired you to start playing an instrument? Who were your heroes at the time?

【LOGAN】: So I started playing piano when I was really little, but I didn’t start playing guitar until I was in high school. Back then I was listening to a lot of Veil of Maya and I tried to learn “It’s not Safe to Swim Today” as one of my first songs on guitar, which is kind of psycho, I don’t know what I was thinking.
Tosin Abasi was another early inspiration of mine, in the early days of youtube there was only so many videos that would go viral, so I swear everyone’s jaws collectively dropped when we saw the early Animals as Leaders music videos.

Q2: 楽器を始めたきっかけはなんでしたか?当時のヒーローは誰だったんですか?

【LOGAN】: ピアノは小さい頃に始めたんだけど、ギターを始めたのは高校生になってから。当時は VEIL OF MAYA をよく聴いていて、初めてのギターでなんと “It’s not Safe to Swim Today” を覚えようとしたんだ。
YouTube の黎明期には、バイラルになる動画は限られていたので、初期の ANIMALS AS LEADERS のミュージックビデオを見たとき、みんなが度肝を抜かれたのは間違いないよね!

Q3: How was Snooze formed? What is the meaning behind the band name?

【LOGAN】: So Cameron, Ben (the first Snooze drummer) and I (Logan) were also in another band named Deer Legs before snooze, which was a lot lighter but definitely more towards the noodly math rock side. Still a little bit of vocals, but definitely not as heavy. When that band stopped, there was a period when we didn’t make any music together for about a year or two.
I went with my little sister to this local state park called “Starved Rock” a couple hours away from where we lived at the time. It had been a bit since we’d seen each other, so we decided to bring some mushrooms and go on a little forest excursion. Turns out we get a little lost, I start to panic a bit, and start having a horrible time – but earlier on in the day, we had talked about how “Snooze” is just such a funny word, and during my 2 hour panic attack, it was the only moment where I laughed and felt any sort of relief. So after we got home I started writing and decided on the name!

Q3: SNOOZE というバンド名に込められた意味を教えてください。

【LOGAN】: Cameron, Ben(SNOOZE の初代ドラマー)、僕(Logan)は、SNOOZE の前に DEER LEGS という別のバンドもやっていたんだ。ボーカルは少し入っていたけれど、ヘヴィではなかった。そのバンドが活動を休止した後、1、2年ほど一緒に音楽を作らない時期があった。
そんな時、当時住んでいたところから2時間ほど離れた “Starved Rock” “ロックに飢えている” という地元の州立公園に妹と行ったんだ。そこでまたみんなに会ったんだけど、久しぶりだったから、マジックマッシュをキメて森の探検に出かけることにした。で、僕らはちょっと道に迷って
、少しパニックになって、怖い目にあったんだよな。でも、その日の前半に、”Snooze” って面白い言葉だねって話をしていて、それから2時間のパニックの間、それが唯一笑って安心した瞬間だった。だから、家に帰ってから曲を書き始め、名前を決めたんだ!

Q4: You guys claim to be Happy Heavy Math Rock, It’s really true, you have a bright catchy side and a heavier, darker side, and that gap creates a great dynamism, would you agree?

【LOGAN】: Oh definitely, I feel like the heavy lyrical content as well as the heavier metal-influenced musical elements paired with very optimistic chord progression choices lends itself to a fun cognitive dissonance.

Q4: あなたたちはハッピー・ヘヴィ・マス・ロックだと主張していますが、まさにその通りだと思います。あなたたちは、明るくキャッチーな面と、よりヘヴィでダークな面を持っていて、そのギャップが素晴らしいダイナミズムを生み出していると思います。

【LOGAN】: そうだね。ヘヴィな歌詞の内容とヘヴィ・メタルに影響を受けた音楽的要素が、とても楽観的なコード進行の選択と組み合わさって、楽しい認知的不協和を生み出しているように感じるよ。

Q5: I’m really sorry to hear about Cameron Grom’s death…did his death have an impact on this album or the title?

【LOGAN】: Yeah so the song “Without” is basically about me having a dream where Cameron was alive, and it felt extremely uncanny and real, so even though it was just a dream it had a profound effect on me. The title track “I know how you will die” has a lot of questions for him and my other friend Kyle, things I wish I could ask them.

Q5: Cameron Grom の死は本当に残念です…彼の死はこのアルバムやタイトルに影響を与えましたか?

【LOGAN】: “Without” という曲は、基本的に Cameron が生きている夢を見たことを歌っているんだけど、すごく不気味でリアルに感じたんだ。ただの夢だったとしても、とても深い影響を受けたんだ。タイトル曲の “I Know How You Will Die” は、Cameron ともう一人の友人 Kyle に質問したいことが沢山あって、彼らに尋ねることができたらよかったのにって思っている曲だよ。

Q6: I understand the influence of math rock and mathcore, but is there also a metal influence like Djent, Meshuggah, or Dream Theater?

【LOGAN】: Yes totally! I love Meshuggah, they’re one of my favorite bands of all time. I also love The Contortionist, I love heavier chuggier breakdown sections, but putting them in a major context scratches a particular itch.

Q6: マスロックやマスコアの影響は理解できますが、Djent, MESHUGGAH, DREAM THEATER のようなメタルからの影響もあるんですよね?

【LOGAN】: 間違いなくあるよ!MESHUGGAH は大好きで、最も好きなバンドのひとつなくらい。THE CONTORTIONIST も大好きで、僕はよりヘヴィなブレイクダウン・セクションがたまらなく好きなんだけど、彼らのようにメジャーな文脈の中にそれを置くことで、言ってみれば “痒いところに手が届く” んだ。

Q7: Why are you guys fascinated by complex beats and odd time structures?

【LOGAN】: So I feel like as young metalheads we were sort of obsessed with technicality and virtuosity, and when we discovered math rock it somehow scratched the same itch, so as you delve into that you find more and more insane bands – I think nowadays we have definitely eased off of finding the most technical thing possible (too much thinking) and leaned more into music that is meaningful and emotional. But it always makes me happy when people incorporate dense rhythmic ideas into more melodic music.

Q7: なぜあなたたちは複雑なビートや変拍子に魅了されるのですか?

【LOGAN】: 若いメタルヘッズだった僕たちは、テクニカルさと名人芸に取り憑かれていたような気がする。それからマスロックに出会ったとき、それと同じ波動を感じたような気がしたんだ。だから、それを掘り下げていくと、より多くの非常識なバンドを見つけることができた。
でも最近の僕たちは、可能な限りテクニカルなこと(考えすぎること)を探すのをやめて、意味のある、感情的な音楽に傾倒していると思う。だからよりメロディックな音楽の中に濃密なリズムのアイディアを取り入れる人がいると、いつも嬉しくなるよ。

Q8: Dream Theater and Gojira began to win Grammy awards. In an age when listeners’ attention spans are so short and instant content is so easily consumed, why is music that is complex, long, and requires practice beginning to be reevaluated?

【LOGAN】: I think in the age of “art as content” that we’re in right now, I think more and more people are searching for music, art and ideas that are well thought out and are works of love, and exist despite the time that they are conceived in. The more people are inundated with instant gratification, the more it becomes impactful when something comes around that was worked on really hard. I think the pendulum is beginning to swing the other direction, as more people become frustrated with being glued to their phones without much agency.

Q8: DREAM THEATER と GOJIRA がグラミー賞を受賞しましたね。リスナーのアテンション・スパンが非常に短く、インスタントなコンテンツが簡単に消費されてしまう時代に、複雑で長く、相当な鍛錬を必要とする音楽が再評価され始めているのはなぜでしょうか?

【LOGAN】: アートが消費され、”コンテンツとなった芸術” の時代である今、より多くの人々が、よく練られ、愛のこもった作品で、時代に左右されずに存在する音楽、芸術、アイデアを求めているのだと思う。
人々が即座に満足できるインスタントなものが溢れれば溢れるほど、情熱をかけて心から一生懸命取り組んだものが世に出たときの衝撃は大きくなる。より多くの人々が、自分の意思をあまり持たずスマホに釘付けになることに不満を感じ、振り子が反対方向に振れ始めているんだと思うよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED LOGAN’S LIFE!!

The Contortionist “Exoplanet”

Piglet “Lava land”

After the Burial “Rareform”

Johnny Booth “Connections”

Jacob Mann Big Band “Greatest Hits Vol. 1”

MESSAGE FOR JAPAN

We absolutely love a lot of japanese music – LITE, Toe, Tricot, Masayoshi Takanaka, Kenichiro Nishihara, Casiopea, I also am incredibly envious of the public transit infrastructure in Japan. To be able to get to two major cities by train in an hour or two is something that is near impossible in the USA, as they don’t really prioritize anything good for us haha.
Thank you so much for having us! Thank you for asking such in depth questions, we would love to come to japan someday!! We love you!

LITE, Toe, Tricot, 高中正義, 西原健一郎, Casiopea など、本当にたくさんの日本の音楽が大好きなんだ!1、2時間で2つの主要都市に電車で行けるなんて、アメリカでは不可能に近いことだよ。羨ましいね!
インタビューをありがとう!素晴らしい質問をありがとう! いつか日本に行ってみたいよ! We Love You!

LOGAN VOSS

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SLEEP PARALYSIS : SLEEP PARALYSIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEPHEN KNAPP OF SLEEP PARALYSIS !!

“I Really Like Using The Pianos Percussiveness, It Can Add a Lot To The Rhythm Section In Different Ways While Also Providing Harmony And Accents, Plus Slamming Loud Dissonant Chords Sounds Sick As Fuck Over Blast Beats.”

DISC REVIEW “SLEEP PARALYSIS”

「ピアノのパーカッシブさを使うのがとても好きなんだ。ハーモニーやアクセントを提供しながら、リズム・セクションにさまざまな形で多くのものを加えることができるし、ブラスト・ビートの上で大音量の不協和音を叩きつけると、最高に気持ち悪いサウンドになる。 ピアノは曲の緊張感を高めるのにとても効果的だし、クラスターコードはサウンドに違う色を加えるのに遊んでいていつも楽しい」
メタルにおいてピアノの響きは過去のものになりかけています。キーボードにしても場所をとりますし、ギターの可能性が広がるのと比例して、ピアノの出番はどんどん少なくなっていきました。しかし、本当にメタルからピアノは消え去るのでしょうか?ピアノの打楽器的な力強さ、一方で両の手で組み立てる繊細さと旋律の妙はやはり唯一無二のものでしょう。SLEEP PARALYSIS をひとりでとりしきる Stephen Knapp はそんなピアノの可能性をブラックメタルで再度呼び起こします。
「MIDIですべてを書き込んで、どんな音がするかすぐに調整できる汎用性が気に入っている。それに、自分の思い通りのサウンドにするために、必要に応じてダイナミクスを調整できるのも魅力だ。メタル・コミュニティでは、楽器をプログラミングすること(特にドラム)は簡単な方法だという汚名があるように思う。とはいえ、実際にドラムやピアノを演奏してレコーディングするのと同じくらい難しいとは言わない。最終的には、自分のビジョンを完全に実現し、目指すヴァイブを達成するためのツールでしかないからね」
面白いことに、Stephen はピアノが弾けるにもかかわらず弾いていません。すべてをプログラミングで入力しています。なぜなら、彼には思い描いた音楽の確固たるビジョンが存在するから。NEURAL GLITCH もそうですが、若い世代のアーティストにとってはプログラミングもまた楽器のひとつ。自らの理想を実現するためには、むしろ “入力” という正確な手段の方が彼らにとっては必要だったのです。
「大学時代、睡眠時間がめちゃくちゃで、慢性的な睡眠不足に陥っていたとき、よく金縛りになったんだ。 このアルバムのために最初に書いた “Sleep Paralysis” という曲は、僕が初めて金縛りになったときのことを音楽的に解釈したもので、どこにでもいるような金縛りの影鬼が僕の上に乗っていた」
そんな Stephen がブラック・ピアノ・メタルの実験場に選んだテーマが “金縛り” でした。実際、この悪夢のようなオデッセイの上演にこの主題は完璧でしょう。陰湿に渦巻く不協和音。恐ろしいほどスリリングな混沌。聖歌隊に狂気のラグタイム、ホラー映画、任天堂の怪奇ゲームに重なるドゥビッシーやラベル、ショパンのファンタズマゴリア。不吉で威圧的で猛烈に突き進むこの悪夢の錯乱状態に、ピアノのアタックやサスティナーはあまりにも完璧にフィットしています。
そう、このアルバムはリスナーを恐怖と不安で冷や汗の渦に引き入れ、PTSD ストックホルム症候群の湧き上がる疑念が押し寄せる中、それでももう一度アルバムの再生ボタンを押させる日本の怪談のような不気味な中毒性を宿すのです。
今回弊誌では Stephen Knapp にインタビューを行うことができました。「ピアノは、メロディー、ハーモニー、リズム、テクスチャーなど、通常のメタルでは見られないようなものを加えることができるので、超万能なんだ。WRECHE のファンになってしばらく経つし、DEATHSPELL OMEGA の曲のピアノ・カバーをいくつか見ていたから、ピアノ中心のブラックメタルがうまくいくことはわかっていた」 どうぞ!!

SLEEP PARALYSIS “S.T.” : 10/10

INTERVIEW WITH STEPHEN KNAPP

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【STEPHEN】: I grew up with a lot of classic rock, my parents would have it on the radio as background music for at home and in the car. System of a Down’s Toxicity was the first metal album I listened to as a kid, I would always steal my brother’s burned copy of the first SOAD album and (ironically) Steal This Album. I jammed that first Slipknot album a lot in middle school, it still holds up super well in my opinion. Later on I started getting into some heavier bands, my favorite for a long time was God Dethroned (Bloody Blasphemy is a banger). Back when I was first starting to work on vocals, I based my vocals off of Henri Sattler’s. I liked how the lyrics were really intelligible with his voice.
In high school I got really into Belphegor, Drudkh, Nile, and Dimmu Borgir. I went through phases, I had a long symphonic black metal phase, my first 2 bands were symphonic black metal.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【STEPHEN】: クラシック・ロックをたくさん聴いて育ったよ。両親が家や車のBGMとしてラジオから流していたからね。SYSTEM OF A DOWN の “Toxicity” は、子供の頃に初めて聴いたメタル・アルバムで、兄が焼いた SOAD のファースト・アルバムと(皮肉にも)”Steal This Album” をいつも “盗んで” 聴いていたね。SLIPKNOT のファースト・アルバムは中学生の頃よく聴いたね。その後、ヘヴィなバンドにハマり始めた。長い間好きだったのは GOD DETHRONED(”Bloody Blasphemy” は名作)。ボーカルを始めたばかりの頃は、Henri Sattler の歌を参考にしていたよ。彼の声だと歌詞が実に分かりやすくて好きだった。
高校時代には、BELPHEGOR, DRUDKH, NILE, DIMMU BORGIR に夢中になったね。長くシンフォニック・ブラックメタルにハマっていて、最初の2つのバンドはシンフォニック・ブラックメタルだった。

Q2: You are known as a great multi-instrumentalist. How did you learn the various instruments? Who were your musical heroes at the time?

【STEPHEN】: Oh I hardly think I’m “known” lmao. Every instrument I play and write for is self-taught. I started with bass in high school, my grandma played for the church and had an extra bass that she let me have to learn on. Although if she knew the type of music I’d eventually be playing maybe she would have thought twice about that. I started playing mostly classic rock songs and just jamming to songs by ear. Eventually I picked up guitar as well after watching my best friend Ryan playing through some metal songs and getting excited to try it.
Piano I started on a whim during college. My uncle would play some Scott Joplin songs like The Entertainer and Maple Leaf Rag when I was a kid and i always really liked listening to him play, so I decided I was going to brute force my way through learning The Entertainer which I did after a few months of going hard at it. It was definitely way too hard of a song for the first piano song I ever learned, but I learned a lot doing it. I then learned Maple Leaf Rag and some ragtime versions of Super Mario songs. So that’s where the jazzy ragtime elements come from on the album. Unfortunately I tried playing through some of the songs I used to know recently and I had forgotten most of it, so that’s a bummer.
I feel like most people would have some well known professional musicians as their musical heroes, but I wouldn’t have started doing anything with music without my grandma, my uncle, and Ryan getting me excited and being supportive to try it.

Q2: あなたは優れたマルチ・インストゥルメンタリストとして知られています。どのようにして様々な楽器を習得したのですか?また当時の音楽的ヒーローは誰でしたか?

【STEPHEN】: まあぶっちゃけ、僕は “知られている” とは思っていないけどね。僕が演奏したり作曲したりする楽器はすべて独学なんだ。祖母が教会でベースを弾いていて、余っていたベースを僕に持たせてくれたんだ。もし祖母が、僕が最終的に演奏することになる音楽のタイプを知っていたら、思いとどまったかもしれないけどね。僕は主にクラシック・ロックの曲を弾き始め、ただ耳で聴いて曲をジャムっていた。やがて親友の Ryan がメタルの曲を弾いているのを見て、やってみたくなってギターを手にしたんだ。
ピアノは大学時代に気まぐれで始めた。子供の頃、叔父が “The Entertainer” や “Maple Leaf Rag” といったスコット・ジョプリンの曲を弾いていて、彼の演奏を聴くのが好きだったんだ。初めて習ったピアノの曲としては難しすぎたけど、とても勉強になった。その後、その “Maple Leaf Rag” とスーパーマリオのラグタイム・バージョンを習った。アルバムのジャジーなラグタイムの要素はそこからきているんだ。残念なことに、最近、昔知っていた曲のいくつかを通して演奏してみたんだけど、ほとんど忘れてしまっていたんだ。
だからほとんどの人は、有名なプロのミュージシャンを自分の音楽のヒーローとして持っているような気がするけど、僕は、おばあちゃんや叔父さん、友人が僕を興奮させてくれて、やってみることを応援してくれた。それがなければ、音楽で何かを始めることはなかっただろうね。

Q3: You are a core member of Cerulean, why did you decide to start Sleep Paralysis?

【STEPHEN】: In 2024 I somehow had a hot streak and wrote 3 and a half albums in a year. Originally they were all going to be for Cerulean but they started getting a little too experimental for what i envisioned for Cerulean originally and we wouldn’t have been able to play them live and I want Cerulean to be my live band. So I decided that I’d make the last 2 and a half albums a side project instead. So right now I’m sitting on another finished Sleep Paralysis album that’s ready to go and another one I’m working on finishing up. Being able to write without the guardrails of having to play it live has been liberating for my creativity and being able to throw in any random ass element I can think of.

Q3: あなたは CELUREAN の中心メンバーでもありますが、なぜ SLEEP PARALYSIS を始めようと思ったのですか?

【STEPHEN】: 2024年、僕はなぜか熱くなって、1年間で3枚半のアルバムを書いたんだ。当初はすべて CELUREAN のために作る予定だったんだけど、あのバンドのために作るには実験的すぎるし、ライブでは演奏できないし、CELUREAN は僕のライブ・バンドでありたいんだ。 だから、この2枚半のアルバムはサイド・プロジェクトにしようと決めたんだ。
だから今、SLEEP PARALYSIS のアルバムがもう1枚完成していて、もう1枚を仕上げようとしているところなんだ。 ライヴで演奏しなければならないという制約なしで作曲できることは、僕の創造性を解放してくれるし、思いつくままにどんなクレイジーな要素も盛り込むことができる。

Q4: Why did you choose the name and theme of Sleep Paralysis?

【STEPHEN】: I used to get it all the time in university when my sleep schedule was beyond fucked and I was chronically sleep deprived. The song “Sleep Paralysis”, which was the first song I wrote for this album, was my musical interpretation of the first time i had sleep paralysis and had the ubiquitous sleep paralysis shadow demon on top of me, and this was before I even knew what sleep paralysis was so it was doubly terrifying.
Originally i was going to call the project Amdusias after the demon that controls the cacophonous music in hell, it seemed pretty fitting, but there were already a few bands with that name and metal bands named after demons are cliche. Luciano of I, Voidhanger was the one who suggested using Sleep Paralysis as the name, and somehow there weren’t any metal bands with that name (on Encyclopedia Metallum at least) and it fit the theme and vibe well so it stuck. Plus I think the name really sells the unsettling and anxiety driven vibe that I’m going for and has in a way shaped how I’m approaching writing going forward.

Q4: なぜ “睡眠麻痺” “金縛り” という名前とテーマを選んだのですか?

【STEPHEN】: 大学時代、睡眠時間がめちゃくちゃで、慢性的な睡眠不足に陥っていたとき、よく金縛りになったんだ。 このアルバムのために最初に書いた “Sleep Paralysis” という曲は、僕が初めて金縛りになったときのことを音楽的に解釈したもので、どこにでもいるような金縛りの影鬼が僕の上に乗っていた。
もともとは、地獄の不協和音を司る悪魔にちなんで Amdusias というプロジェクト名にしようと思っていた。 I, Voidhanger Rec のルチアーノが Sleep Paralysis という名前を提案したんだけど、どういうわけか(少なくともEncyclopedia Metallumには)その名前を持つメタル・バンドがいなかったし、テーマと雰囲気によく合っていたから、それが定着したんだ。それに、この名前は僕が目指している不穏で不安に駆られるような雰囲気をうまく表現していると思うし、ある意味、僕が今後どのように作曲に取り組んでいくかを形作っているんだ。

Q5: What makes Sleep Paralysis so great is that it is piano-driven black metal/avant-garde metal. In the age when metal is all about guitars, why did you decide to put the piano at the center of their music?

【STEPHEN】: Piano is super versatile since it can add melody, harmony, rhythm, and texture in ways you don’t normally find in metal. I wrote a piano piece as an interlude for the 2nd album i wrote last year and had a lot of fun with it and then wrote “Last Drop of Sunlight/Sleep Paralysis” and “Helplessness” before I had an idea of the general direction I wanted for the 3rd album and I figured i might as well keep with the piano centric theme and see how much i could experiment with it. I’ve been a fan of Wreche (who is also on I Voidhanger) for awhile and had seen some piano covers of Deathspell Omega songs, so I knew piano centric black metal could work well. The ragtime-adjacent stuff was definitely a gamble though, but “You Can Never Run Fast Enough” ended up being one of my favorites on this album.

Q5: SLEEP PARALYSIS が素晴らしいのは、ピアノが牽引するブラック・メタル/アヴァンギャルド・メタルであることです。 メタルといえばギターという時代に、なぜピアノを中心に据えたのですか?

【STEPHEN】: ピアノは、メロディー、ハーモニー、リズム、テクスチャーなど、通常のメタルでは見られないようなものを加えることができるので、超万能なんだ。 昨年書いた2ndアルバムの間奏曲としてピアノ曲を書いたんだけど、それがすごく楽しくて、3rdアルバムの大まかな方向性が決まる前に “Last Drop of Sunlight/Sleep Paralysis” と “Helplessness” を書いたんだ。 I Voidhangerにも参加している WRECHE のファンになってしばらく経つし、DEATHSPELL OMEGA の曲のピアノ・カバーをいくつか見ていたから、ピアノ中心のブラックメタルがうまくいくことはわかっていた。とはいえラグタイムに近い曲は間違いなくギャンブルだったけど、”You Can Never Run Fast Enough” は結果的にこのアルバムの中で最も気に入った曲のひとつになったね。

Q6: Neural Glitch, whom I interviewed recently, mentioned that programming is another important instrument. The piano on the album seems to be programming, but why not actually play it?

【STEPHEN】: I used to play piano a lot, but I haven’t played in like 8 years and I don’t have room for a full size weighted-key keyboard right now. I’d love to get back into it at some point. As far as programming, I do like the versatility of being able to write everything in midi and make quick adjustments to see how things sound. Plus being able to adjust the dynamics as needed to get it to sound exactly how I want it is a perk.
I think there’s a bit of a stigma in the metal community about programming instruments (especially drums) because it’s the easy way out, but programming drums (and piano for that matter) to sound convincing and organic is difficult. That said, I am definitely not saying it’s anywhere near as hard as actually playing and recording drums or piano for sure. Ultimately, it’s just a tool for me to fully realize my vision and achieve the vibe I’m going for.
In addition to programming instruments, I think mixing and production plays a huge part into the overall vibe and feeling of an album that I think gets overlooked or is an afterthought a lot of the time. These songs wouldn’t have the same surreal quality if the instruments were mixed completely dry without reverb or delay or any effects on them. I tend to mix as I write so the production elements and tone plays a huge role in the direction I take the music. If I can’t make a section sound like how I want it to sound and it doesn’t fit with the other parts then a lot of times it’ll get scrapped.

Q6: 先日インタビューした NEURAL GLITCH は、プログラミングも重要な楽器だと言っていました。アルバムに収録されているピアノはプログラミングのようですが、なぜ実際に弾かなかったのですか?

【STEPHEN】: 昔はよくピアノを弾いていたんだけど、もう8年くらい弾いていないし、今はフルサイズの鍵盤を置く場所もない。いずれまた再開したいね。プログラミングに関しては、MIDIですべてを書き込んで、どんな音がするかすぐに調整できる汎用性が気に入っている。それに、自分の思い通りのサウンドにするために、必要に応じてダイナミクスを調整できるのも魅力だ。
メタル・コミュニティでは、楽器をプログラミングすること(特にドラム)は簡単な方法だという汚名があるように思う。とはいえ、実際にドラムやピアノを演奏してレコーディングするのと同じくらい難しいとは言わない。最終的には、自分のビジョンを完全に実現し、目指すヴァイブを達成するためのツールでしかないからね。
楽器のプログラミングに加えて、ミキシングとプロダクションはアルバム全体の雰囲気やフィーリングに大きな役割を果たすと思う。もし楽器がリバーブやディレイ、エフェクトをかけずに完全にドライな状態でミックスされていたら、これらの曲は同じようなシュールなクオリティを持つことはなかっただろう。僕は作曲しながらミックスすることが多いので、プロダクションの要素や音色が音楽の方向性に大きな役割を果たす。もし、あるセクションを自分の好きな音にできなかったり、他のパートと合わなかったりしたら、多くの場合、そのセクションは破棄されるんだ。

Q7: The album is as wonderful as Chopin, Debussy, and Liszt married to avant-garde metal! The sustainer pedal is also very effective! What do you think of the piano’s potential in metal, something that guitars don’t have but pianos do?

【STEPHEN】: I really like using the pianos percussiveness, it can add a lot to the rhythm section in different ways while also providing harmony and accents, plus slamming loud dissonant chords sounds sick as fuck over blast beats. Piano works really well for building tension in a song, cluster chords are always fun to play around with for adding a different color to the sound. I think it adds a lot of expressiveness and dynamics to a genre where everything is pushed to the max in the mix. I’ve been experimenting with some other key based instruments like Rhodes piano and Hammond organs on some new stuff I’m working on, so stay tuned for that in the future.

Q7: このアルバムは、ショパン、ドビュッシー、リストが前衛的なメタルと結婚したような素晴らしさですね! サスティナー・ペダルも非常に効果的です!
メタルにおけるピアノの可能性についてどう思いますか?ギターでは出来ないことも出来るのでしょうか?

【STEPHEN】: ピアノのパーカッシブさを使うのがとても好きなんだ。ハーモニーやアクセントを提供しながら、リズム・セクションにさまざまな形で多くのものを加えることができるし、ブラスト・ビートの上で大音量の不協和音を叩きつけると、最高に気持ち悪いサウンドになる。
ピアノは曲の緊張感を高めるのにとても効果的だし、クラスターコードはサウンドに違う色を加えるのに遊んでいていつも楽しい。ミックスですべてが最大に押し出されるジャンルに、表現力とダイナミクスを加えることができると思う。今取り組んでいる新作では、ローズ・ピアノやハモンド・オルガンのような他の鍵盤楽器も試しているので、今後に期待してほしい。

Q8: It’s great that you incorporated chiptune and 8-bit into your music! Did you actually aim for an epic video game music-like world?

【STEPHEN】: For the songs on Sleep Paralysis it was more so just fucking around and seeing how well it would work, luckily it seems to have worked pretty well. I’ve had the idea of trying to do a chiptune + black metal thing for awhile because I hadn’t heard it before or at least haven’t heard it done well, in my opinion. Ultimately I like to experiment, it keeps things fresh and it’s good for coming up with new ideas when you’re in a creative slump. For this album I decided to take the genre guard rails off and just do what came naturally. Moving forward, Sleep Paralysis will become my “what if” project where I can try out all the stupid genre blending ideas I get.
As a kid, sometimes I’d just play a game in order to get to a song I really liked so I could vibe out to it. The ones that really stuck with me even until now are the first Warioland game, the first Nemesis, Pokémon R/B/Y, pretty much any Mario game, Batman Returns for the SNES, and this 90s Learning Company game called Ancient Empires which had an OST that was basically DOS soundcard versions of classical songs.

Q8: チップチューンや8bitを音楽に取り入れたのもたまりませんね!実際、壮大なゲーム音楽のような世界を目指したのですか?

【STEPHEN】: “Sleep Paralysis” の曲は、ただ単に、それがどれだけうまくいくかを試してみただけなんだ。チップチューン+ブラックメタルというアイデアはしばらく前からあったんだ。結局のところ、僕は実験するのが好きなんだ。そうすることで物事を新鮮に保つことができるし、クリエイティブなスランプに陥っているときに新しいアイデアを思いつくのにも適している。このアルバムでは、ジャンルのガードレールを外して、ただ自然に出てきたものをやることにした。今後、SLEEP PARALYSIS は僕の “what if” プロジェクトとなり、そこでは僕が思いつくあらゆるジャンルのブレンドのアイデアを試すことができる。
子供の頃、本当に好きな曲にたどり着くために、その曲に合わせてヴァイブアウトするためにゲームをすることもあった。今でも印象に残っているのは、最初の “ワリオランド”、最初の “ネメシス”, ポケモンR/B/Y”, マリオのほとんどのゲーム、スーファミの “バットマンリターンズ” 、90年代のラーニングカンパニーの “Ancient Empires” というゲームで、OSTは基本的にクラシックの曲をDOSサウンドカードで再生したものだった。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED STEPHEN’S LIFE!!

SYSTEM OF A DOWN “First Three Albums”

I’ll cheat and lump the first three System of a Down albums as one, they were some of the first albums I was obsessed with as a kid.

GOD DETHRONED “Bloody Blasphemy”

the first album that got me into black/death metal and every song is a banger.

DEATHSPELL OMEGA “Paracletus” “Drought” “Synarchy of Molten Bones”

I’m going to cheat again and lump together Deathspell Omega’s Paracletus, Drought, and Synarchy of Molten Bones, those albums offer sooooo much musical influence for both Sleep Paralysis and Cerulean, without them I probably wouldn’t have started either band.

DIMMU BORGIR “Puritanical Euphoric Misanthropia”

I was obsessed with this album in high school and college and kicked off my symphonic black metal phase including playing in my first two bands.

Mac Demarco “2/Salad Days”

couldn’t pick between them so might as well mention both. I also listen to a lot of indie music and these two albums got me back into listening and checking out new indie stuff again.

MESSAGE FOR JAPAN

Obviously I’m a big fan of old Nintendo games, I have a lot of nostalgia for them and I’ll still play some on occasion. I had a short phase in college where I watched a few older anime like Pokemon, Cowboy Bebop, Samurai Champloo, Trigun, Blue Gender, Baccano!, and a few others I can’t remember. Mostly basic bitch stuff, I never got too into it. As far as music, I know I’ve listened to a few Japanese black metal bands, the only one I can think of at the moment is Juno Bloodlust (check out the song “Justice is Dead”, it goes hard).
My closing message is to be yourself and find your unique voice from your own unique experience in whatever you do, especially for music. Write music for yourself first and foremost, if you like it then chances are someone else may like it as well, and if not, then at least you have some music you made that you can still enjoy. Sleep Paralysis was written for myself, I’m ecstatic that other people are digging it though! Ultimately, have fun doing whatever you do, even if the output isn’t objectively amazing you’ll still enjoy the process of making it and that’s what matters. If you like what I do, check out my other band Cerulean and keep an eye out for a release late this year and another Sleep Paralysis album sometime next year. Follow me on Instagram for occasional updates @ceruleanguitarist and/or @sleep.paralysis.official.
Thank you for the interview!

もちろん、僕は昔の任天堂のゲームが大好きで、懐かしさもあるし、今でも時々プレイする。大学時代には、ポケモン、カウボーイビバップ、サムライチャンプルー、トライガン、BLUE GENERATION、バッカーノ!みたいなアニメも見ていたけど、ほとんどが基本的なものであまりハマったことはないかな。音楽に関しては、日本のブラックメタル・バンドをいくつか聴いたことがあるけど、今思いつくのは Juno Bloodlust くらいかな(”Justice is Dead “という曲をチェックしてみて!)
最後のメッセージは、自分自身であること、そして何をするにしても自分自身のユニークな経験からユニークな声を見つけること、特に音楽に関してはね。自分が気に入れば、他の人も気に入ってくれるかもしれないし、もし気に入らなくても、少なくとも自分が作った音楽は楽しめるはずだから。”Sleep Paralysis” は自分自身のために書いた作品だけど、他の人たちがこのアルバムを気に入ってくれて、とてもうれしいよ!最終的には、何をするにしても楽しんでやることだ。たとえ客観的に素晴らしいものができなくても、それを作る過程を楽しむことができる。僕がやっていることが好きなら、僕の他のバンド CERULEAN をチェックして、今年後半のリリースと来年の SLEEP PARALYSIS のアルバムに目を光らせていてほしい。時々更新されるInstagramの STEPHEN KNAPP InstagramSLEEP PARALYSIS Officialをフォローしてね。
インタビューをありがとう!

STEPHEN KNAPP

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CKRAFT : UNCOMMON GROUNDS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHARLES KIENY OF CKRAFT !!

“I Might Be Wrong, But I Don’t Think There’s Another Metal Band Fronted By This Accordion And Saxophone Section.”

DISC REVIEW “UNCOMMON GROUNDS”

「バンド名の CKRAFT は、”Craft” と “Kraft” という2つの単語を意図的に組み合わせたもので、僕たちの音楽哲学の核心を表している。英語の “Craft” は、僕たちが深く大切にしている “クラフトマン・シップ”、つまり作曲、レコーディング、演奏、そしてサウンドをゼロから構築していく実践的な作業を意味している。サンプルもプログラミングもなく、すべては楽器の演奏から生まれることをね。一方、ドイツ語で “Kraft” は “強さ” や “力” と訳され、ヘヴィでクラッシングなサウンドを意味するんだ!」
テクノロジーの進歩は、メタル世界にも様々な恩恵をもたらしています。アナログ時代には想像も出来なかったサウンド、正確性、利便性。その一方で、アナログ時代に確かに存在した “クラフトマン・シップ”、職人芸や鍛錬を重ねることでたどり着く創造性が失われたと感じるリスナーも少なくないでしょう。芸術の都パリを拠点とする CKRAFT は、伝統と革新の融合で失われつつある音楽の “クラフトマン・シップ” を再度提示します。
「僕の最大の情熱のひとつは、音楽(そして芸術全般)がいかに永続的で普遍的なものであるかを探求することで、このような古代のサウンドがいかに現代の文脈の中でも共鳴しうるかということが、それをよく表していると思う。それは、一見異質な世界の間に “共通点” を見出すことなのだ」
CKRAFT がすべて人の手から生まれる “クラフトマン・シップ” にこだわるのは、音楽の、芸術の永続性を探求するため。最新のテクノロジーどころか、電気もなかった時代。そんな時代の音楽でも、今の世に響く素晴らしさ。そこに CKRAFT は感動を覚えました。そうして、CKRAFT は、現代で感動を覚える MESHUGGAH や GOJIRA のヘヴィ・グルーヴと古代の音楽が共鳴することを発見します。彼らが特に感化されたのが、グレゴリオ聖歌。その壮大で神聖なクオリティは、まさに CKRAFT が愛するジャズとメタル、そして古代と現代のギャップを埋める重要な “糸” だったのです。
「アコーディオンやサックスはおそらく、僕たちを知ったときに最初に目にするもののひとつで、CKRAFT を際立たせている。間違っているかもしれないけど、このアコーディオンとサックス・セクションを前面に出したメタル・バンドは他にないと思う。僕にとっては、破砕的なリフに対する深い愛と、僕が大切にしているアコースティック楽器を融合させ、それを力強く機能させる方法を見出したかったということに尽きる」
CKRAFT のそんな野望、野心に応える楽器がアコーディオンでした。17世紀に誕生した美しき蛇腹の楽器は現在まで、時の試練に耐えその麗しき音色を奏で続けています。まさに時代をつなぐアーティファクト。だからこそ、聖歌、クラシック、ジャズ、メタルの架け橋として、彼らにとっては完璧な楽器でした。もちろん、そのままの音量ではメタルの喧騒に埋もれてしまいます。アコーディオン奏者で今回のインタビューイ Charles Kieny はそこに現代のテクノロジーを注ぎ込みました。シンセ・アコーディオン。ラウドに生まれ変わった古来の楽器は、そうしてモダン・メタルと多様な融合を果たすことになりました。
そうして “クラフトマン・シップ” の申し子たちは、メタルのヘヴィネス、ジャズの自由、グレゴリオの不滅の旋律を借りた、精巧でパワフルなサウンドの職人として完成しました。テナー・サックスとアコーディオンの熱狂的なブラストは決して声にも劣りません。真に才能のあるインストゥルメンタル・アーティストは、言葉を一切使わずに最も壮大なイメージを呼び起こすことができるのです。
今回弊誌では、Charles Kieny にインタビューを行うことができました。「MESHUGGAH はメタルにおける複雑さと精密さの頂点を表していると思う。彼らには独自のグルーヴがあり、そのリフはこの地球上の誰も生み出したことのないものだ」 どうぞ!!

CKRAFT “UNCOMMON GROUND” : 10/10

INTERVIEW WITH CHARLES KIENY

Q1: First of all, what kind of music did you grow up listening to?

【CHARLES】: Growing up, my first real deep dive into music happened during my teenage years, and at that time, I was a total metalhead. It was my first love, a real obsession. I would listen to metal all day long, whenever I had a spare minute. I got into bands like KoRn, Slipknot, and Gojira, those were on constant repeat for me. Gojira’s album “The Link” from 2005 especially ‘locked’ me into metal; I think it’s the record I listened to the most over my teenage years up till now!
Before that, when I was a child, my initial contact with music was through my grandmother, who listened to a lot of… German folk music! In which the accordion is quite prominent. She had an old dusty accordion and put it on my lap when I was around 6 years old. Later on, in junior high school, I started playing drums, so my musical world expanded to include rock and funk. I also started to listen to groove and avant-garde metal from the 90s and 2000s, including bands like Opeth, Enslaved, Dimmu Borgir, Pantera, Meshuggah, Primus, Mr Bungle, Dub Trio, Faith No More, and so much more…. So metal was definitely the dominant force in my early musical development, but there were some other influences sprinkled in there as well as you can see!.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【CHARLES】: 初めて本格的に音楽にのめり込んだのは10代の頃で、当時は完全にメタル・ヘッドだったね。メタルは僕の初恋であり、本当に取り憑かれていた。暇さえあれば一日中メタルを聴いていたよ。KORN, SLIPKNOT, GOJIRA といったバンドにハマり、常にリピートしていた。特に2005年にリリースされた GOJIRA のアルバム “The Link” は、僕をメタルに “虜に” したね!
それ以前、子供の頃、音楽との最初の出会いは祖母を通してだった。ドイツの民族音楽だね!その中でアコーディオンがとても目立っていた。祖母は埃をかぶった古いアコーディオンを持っていて、僕が6歳くらいのときに膝の上に置いて弾いてくれた。その後、中学生になってドラムを始め、ロックやファンクなど音楽の世界が広がっていった。OPETH, ENSLAVED, DIMMU BORGIR, PANTERA, MESHUGGAH, PRIMUS, MR. BUNGLE, DUB TRIO, FAITH NO MORE などなど……。だから、メタルが僕の初期の音楽的成長において支配的な力を持っていたのは間違いないけど、見ての通り、他の影響もいくつか散りばめられているよ!

Q2: How was CKRAFT formed, and what is the origin of the band name CKRAFT?

【CHARLES】: The band’s inception came about through my imagination, I had harbored the idea of merging my passions for jazz and metal for a very long time. CKRAFT was formed in France in summer 2021, right after a certain pandemic you might have heard about! I met the other members throughout my formative years. I met the drummer, William Bur, at the music conservatory in Metz (eastern France), he’s one of my oldest pals. The remaining members, Marc Karapetian (bass), Antoine Morisot (guitar), and Théo Nguyen Duc Long (saxophone), were all encountered later in the 2020s in Paris, as we were all studying at the CNSMDP (National Conservatory of Music).
As for the band’s name, CKRAFT is a deliberate combination of two words, “Craft” and “Kraft”, that encapsulate the core of our musical philosophy. ‘Craft’ in English signifies the “craftsmanship” that we deeply value – the hands-on work of composing, recording, playing, and constructing our sound from scratch. We need to be creating everything from scratch, playing every part; there are no samples or programming, everything comes from playing our instruments. On the other hand, ‘Kraft’ in German translates to ‘strength’ or ‘power,’ which refers to the heavy crushing sound!

Q2: CKRAFT はどのようにして結成されたのですか?また、CKRAFT というバンド名の由来は何ですか?

【CHARLES】: 僕はジャズとメタルへの情熱を融合させるというアイデアを長い間抱いていたんだ。CKRAFT は2021年の夏、フランスで結成されたんだ!他のメンバーとはバンドの形成期を通じて知り合った。ドラマーの William Bur とはメス(フランス東部)の音楽学校で知り合った。残りのメンバー、Marc Karapetian(ベース)、Antoine Morisot(ギター)、Théo Nguyen Duc Long(サックス)は、2020年代後半、パリでCNSMDP(国立音楽院)で学んでいたときに出会ったよ。
バンド名の CKRAFT は、”Craft” と “Kraft” という2つの単語を意図的に組み合わせたもので、僕たちの音楽哲学の核心を表している。英語の “Craft” は、僕たちが深く大切にしている “クラフトマンシップ”、つまり作曲、レコーディング、演奏、そしてサウンドをゼロから構築していく実践的な作業を意味している。サンプルもプログラミングもなく、すべては楽器の演奏から生まれることをね。一方、ドイツ語で “Kraft” は “強さ” や “力” と訳され、ヘヴィでクラッシングなサウンドを意味するんだ!

Q3: Your music is truly one-of-a-kind, and it’s been a long time since I’ve encountered such unique and amazing music. First of all, what do you think about your music, is it jazz, metal, or classical?

【CHARLES】: Thank you for such kind words! It’s always great to hear that our music resonates with knowledgeable aficionados like you! When it comes to defining our sound, it’s a question we get often, and honestly, I don’t think it neatly fits into just one of those categories (jazz, metal, death, prog…). I would say that, at its core, CKRAFT is a metal band. We love heavy riffage, the strong power trio’s foundation of guitar, bass, and drums aiming for a clear impact in the lower notes, drawing inspiration from bands like Gojira and Meshuggah for those destructive riffs. We also incorporate elements of progressive metal. The jazz culture is also crucial to our identity. We have a saxophone and my synth-accordion taking the lead, exploring higher registers with solos and medieval-inspired melodies, harmonized in a way that leans into jazz colors, and, of course, jazz improvising on nearly every composition.
Then, there’s the element of medieval music, specifically Gregorian chants. We weave these ancient melodies into almost all of our tracks. I use these chants for their strong, epic quality. While it might not be immediately obvious, these melodies act as a unifying thread, a powerful melodic material that bridges the gap between the jazz and metal elements. So, in a way, there’s a classical element there indeed, but it’s repurposed and recontextualized within our modern sound.
Ultimately, I see CKRAFT as a fusion of all these elements. We’re trying to create something new by taking the power and precision of metal, the improvisational spirit and harmonic language of jazz, and the melodic strength of medieval music and blending all these together. It’s definitely ‘uncommon’, and that’s precisely what we’re aiming for: something surprising and refined, with a lot of details.

Q3: これほどユニークで素晴らしい音楽に出会ったのは久しぶりです。CKRAFT の音楽はジャズなのか、メタルなのか、それともクラシックなのでしょうか?

【CHARLES】: 温かいお言葉をありがとう!僕たちの音楽が、君のような知識豊富な愛好家の心に響くというのは、いつも嬉しいことだよ!正直なところ、僕らの音楽がジャズ、メタル、デス、プログ……といったカテゴリーにきちんと当てはまるとは思っていなくてね。でも、CKRAFT の核心は、メタル・バンドであるということ。僕たちはヘヴィなリフが大好きで、ギター、ベース、ドラムの強力なパワー・トリオを基盤に、低音での明確なインパクトを目指し、GOJIRA, MESHUGGAH といったバンドからインスピレーションを得て、破壊的なリフを生み出している。プログレッシブ・メタルの要素も取り入れている。ジャズ文化も僕たちのアイデンティティにとって重要だ。サクソフォンと僕のシンセ・アコーディオンがリードを取り、ソロで高音域を探求し、中世にインスパイアされたメロディーをジャズ色に傾倒した形でハーモナイズし、もちろん、ほぼすべての作曲でジャズの即興演奏をしている。
それから、中世音楽、特にグレゴリオ聖歌の要素もある。これらの古代のメロディーをほとんどすべての曲に織り込んでいる。聖歌を使うのは、その強く壮大なクオリティのためだ。すぐにはわからないかもしれないが、聖歌のメロディーは、ジャズとメタルの要素のギャップを埋める、統一された糸、強力なメロディーの素材として機能している。つまり、ある意味で、ここにはクラシックの要素があるけど、現代のサウンドの中で再利用され、再文脈化されているんだよ。
最終的には、CKRAFT はこれらすべての要素の融合だと考えている。メタルのパワーと正確さ、ジャズの即興精神とハーモニー言語、そして中世音楽のメロディックな力強さを取り入れ、これらすべてを融合させることで新しいものを生み出そうとしているんだ。それは間違いなく “尋常ではない” ものであり、それこそが僕たちが目指しているもの。驚くような、細部まで洗練されたものをね 。

Q4: Assuming that your music is metal, a band fronted by an accordion or tenor saxophone is also unheard of! Why did you decide to bring such a “non metal” instrument to the forefront, especially the accordion, which has never been a part of metal music at all?

【CHARLES】: That’s a great question! Probably one of the first things you see when discovering us, it’s really setting CKRAFT apart: I might be wrong, but I don’t think there’s another metal band fronted by this accordion and saxophone section. For me, it all boils down to wanting to merge my deep love for crushing riffs, with the acoustic instruments that I cherish, and finding a way to make it work powerfully.
The accordion was my first instrument, my first ever contact with music, but its acoustic nature simply isn’t strong enough to compete with the high volumes of amplified guitars, bass, and drums in a Metal setting, which is why I developed my “augmented accordion”. It’s a standard acoustic accordion equipped with electronic sensors that allow me to connect it to synthesizers. This setup is crucial because it allows me to achieve high sound volumes, with loud synth textures blending perfectly with the acoustic sound of the accordion.
This augmentation is key to the accordion’s role in our music. It’s not just about playing melodies; I can use it to:
– Play heavy riffs alongside the bass guitar, serving as a part of the rhythmic section to substitute or reinforce the guitar part.
– Create ambient soundscapes and background textures
– Take the lead for solos, making the sound really “pierce” through
Most importantly, I also use it to incorporate jazz-influenced harmonies and colors. For this purpose, the accordion is just as effective as traditional piano keyboards!
Without this augmented setup, the accordion simply wouldn’t have the sonic presence or versatility to fulfill these various roles effectively in such an amplified and loud context.
As for the tenor saxophone, its inclusion arises from a strong musical connection with our saxophonist, Théo Nguyen Duc Long. We studied jazz together at the Conservatoire, and I was instantly drawn to his powerful sound and incredible phrasing from day one. In CKRAFT, his sound adds a unique voice that can be both melodic and expressive, or pure noise and destruction. In fact, we don’t have a vocalist partly because I wanted to give that ‘vocal space’ entirely to him. Additionally, both the saxophone and the accordion are reed instruments, meaning their sounds blend well together, thus naturally creating a unique ‘reed section’ within our arrangements!

Q4: CKRAFT の音楽がメタルであるとして、アコーディオンやテナーサックスを前面に出したメタル・バンドも前代未聞ですよね!なぜそのような “ノン・メタル” 楽器、特にメタル音楽には全く縁のなかったアコーディオンを前面に出そうと思ったのですか?

【CHARLES】: いい質問だね!アコーディオンやサックスはおそらく、僕たちを知ったときに最初に目にするもののひとつで、CKRAFT を際立たせている。間違っているかもしれないけど、このアコーディオンとサックス・セクションを前面に出したメタル・バンドは他にないと思う。僕にとっては、破砕的なリフに対する深い愛と、僕が大切にしているアコースティック楽器を融合させ、それを力強く機能させる方法を見出したかったということに尽きる。
アコーディオンは僕にとって最初の楽器であり、音楽との最初の接点だった。しかし、そのアコースティックな性質は、メタル・セッティングにおけるアンプリファイド・ギター、ベース、ドラムの大音量に対抗するには単純に力不足だった。だから標準的なアコースティック・アコーディオンに電子センサーを搭載し、シンセサイザーに接続できるようにしたんだ。このセットアップは、大音量のシンセサイザーをアコーディオンのアコースティック・サウンドに完璧に調和させ、ラウドなサウンドを実現するために非常に重要だった。
この補強が、僕たちの音楽におけるアコーディオンの役割の鍵なんだ。そうすると、アコーディオンはメロディーを弾くだけでなく、こんな使い方もできるんだよね。
– ベース・ギターと一緒にヘビーなリフを弾き、リズム・セクションの一部としてギター・パートの代わりや補強をする。
– アンビエントなサウンドスケープや背景のテクスチャーを作る。
– ソロでリードを取り、サウンドを “突き抜ける” ようにする。
最も重要なのは、ジャズの影響を受けたハーモニーや色彩を取り入れるためにも使うことだ。この目的のためには、アコーディオンは従来のピアノ・キーボードと同じくらい効果的だ!
このような補強セットアップがなければ、アコーディオンは、大音量の中でこのようなさまざまな役割を効果的に果たすだけの音の存在感や多様性を持ち得ないだろう。
テナー・サックスについては、僕たちのサックス奏者、Théo Nguyen Duc Long との強い音楽的つながりから生まれたもの。僕たちはコンセルヴァトワールで一緒にジャズを学んだけど、初日から彼のパワフルなサウンドと素晴らしいフレージングにすぐに惹かれたんだよ。CKRAFT では、彼のサウンドが、メロディアスで表現力豊かなものにも、純粋なノイズや破壊にもなりうるユニークな声を加えている。実際、僕たちにヴォーカリストがいないのは、その “ヴォーカル・スペース” を完全に彼に与えたかったからでもある。さらに、サックスもアコーディオンもリード楽器なので、音がよく調和し、アレンジの中に自然とユニークな “リード・セクション” が生まれるんだ!

Q5: When I heard your music, the first thing I remembered was Meshuggah. Many jazz artists have been influenced by them, such as Tigran Hamasyan, but what does Meshuggah mean to you?

【CHARLES】: Aaah, Meshuggah! This is a key influence for us! It’s also interesting that you mention Tigran Hamasyan because our bassist Marc plays in his band. They’re touring the US as we speak, with Matt Garstka from Animals As Leaders on drums. Marc also played on Tigran’s latest album (“The Bird Of A Thousand Voices”). Meshuggah isn’t just a metal band for me; they’re one of the fundamental pillars of the CKRAFT sound, along with Gojira. I think Meshuggah represents the pinnacle of complexity and precision in metal. They have their own groove, and their riffs are unlike anything anyone ever produced on this planet.
Marc feels the same way. He describes them as an “absolute massacre”. We all agree that Meshuggah is a common denominator in our band. Despite our various other influences and individual tastes, Meshuggah is the one band we all connect with.
There are specific aspects of Meshuggah’s music that have directly influenced CKRAFT:
– Their intricate polyrhythmic structures are something we strive for in our own music.
– The groove and the heaviness of their riffs, a constant source of inspiration for us
– Specific elements sometimes, such as the “swung notes” patterns you can find in “Ligature Marks,” from their latest album (“Immutable”, 2022), have also resonated with me (you might find a surprising connection to our piece “Steadfast (in the face of tribulations)”!)
– last but not least, Fredrik Thordendal’s guitar solos are a huge inspiration for me, with their clinical and almost mathematical precision, they’ve been a source of fascination over the years.
I even transcribed his solo from “Born in Dissonance” on the accordion, I think it works perfectly! ( https://youtu.be/mMGCcZ3_IUI– Marc sometimes jokingly calls some of my soloing “Thordendacc”. You can clearly hear this influence in my solo on our track “The Loudest Victim” (around 02:50) from our first album (“Epic Discordant Vision”, 2022)
Another thing that I admire, is the longevity of their career: Meshuggah is a band that has consistently evolved in the same direction for more than thirty years and reached the very top of their art. That kind of dedication and uncompromising vision is something I deeply admire and strive for with CKRAFT. Seeing them live is always an overwhelming experience; I always leave their concerts in awe, feeling blessed to be alive to witness such high artistry. They are, in my opinion, one of the greatest things happening to metal and to modern music in general.

Q5: あなたの音楽を聴いて、最初に思い出したのは MESHUGGAH でした。Tigran Hamasyan など、多くのジャズ・アーティストが彼らから影響を受けていますが、あなたにとって MESHUGGAH とはどんな存在ですか?

【CHARLES】: ああ、MESHUGGAH!僕らにとって重要な影響だよ!君が Tigran Hamasyan に言及したのも面白いね。だって、僕たちのベーシスト、Marc は彼のバンドで演奏しているからね。彼らは、ANIMALS AS LEADERS の Matt Garstka をドラムに迎え、今アメリカをツアーしているところなんだ。Marc は Tigran の最新アルバム “The Bird Of A Thousand Voices” にも参加している。MESHUGGAH は僕にとって単なるメタル・バンドではなく、GOJIRA と並んで CKRAFT サウンドの基本的な柱のひとつ。MESHUGGAH はメタルにおける複雑さと精密さの頂点を表していると思う。彼らには独自のグルーヴがあり、そのリフはこの地球上の誰も生み出したことのないものだ。
Marc も同じように感じている。彼は MESHUGGAH を “絶対的な虐殺” と表現している。MESHUGGAH が僕たちのバンドの共通点であることは、みんな同意している。他にも様々な影響を受けたり、それぞれの好みがあるにもかかわらず、MESHUGGAH は僕たち全員がつながっているバンドなんだ。
MESHUGGAH の音楽には、CKRAFT に直接影響を与えた特定の側面がある:
– 彼らの複雑なポリリズム構造は、僕たちが自分たちの音楽で目指しているものだ。
– 彼らのリフのグルーヴとヘヴィネスは、常に僕たちのインスピレーションの源だ。
– 彼らの最新アルバム(2022年リリースの “Immutable”)に収録されている “Ligature Marks” に見られるような “スウィング・ノート” パターンなど、特定の要素に共鳴することもある(僕たちの作品 “Steadfast(in the face of tribulations)” との意外なつながりが見つかるかもしれないね!)。
– Fredrik Thordendal のギター・ソロは、僕にとって大きなインスピレーションであり、その臨床的で数学的とも言える正確さには、長年にわたって魅了され続けてきた。
“Born in Dissonance” の彼のソロをアコーディオンで採譜してみたんだ!( https://youtu.be/mMGCcZ3_IUI) – Marc は時々冗談で僕のソロの一部を “Thordendacc” と呼ぶ。ファースト・アルバム “Epic Discordant Vision” の “The Loudest Victim”(02:50あたり)のソロで、この影響をはっきりと聴くことができるよ。
もうひとつ感心するのは、彼らのキャリアの長さだ。MESHUGGAH は、30年以上もの間、一貫して同じ方向に向かって進化し続け、その芸術の頂点を極めたバンドだ。そのような献身と妥協のないビジョンは、僕が CKRAFT で深く敬服し、目指しているものだ。彼らのライブを見るのはいつも圧倒的な体験だよ。僕はいつも畏敬の念を抱きながらコンサートを後にし、このような高い芸術性を目の当たりにするために生きていることに幸せを感じる。僕の意見では、彼らはメタルと現代音楽全般に起こっている最も偉大な現象のひとつだよ。

Q6: Other bands such as Gordian Knot, Aghora, and Panzerballett seem to feed you guys. However, there is as much Canterbury jazz and rock influence as there is such progressive metal, isn’t there? How did such an unprecedented fusion come about?

【CHARLES】: That’s a very insightful observation! To be honest I’ve never heard of Gordian Knot and Aghora but I’ll make sure to listen! About the influence of the Canterbury scene, this is a feedback we get sometimes from our most aficionado audience and journalists, but same here, I’ve never really dug into it. As for Panzerballett, I think that – along with Shining (Norway) – they were among the first “real” metal bands that featured a strong and precise saxophone sound along with the amplified guitars, they’ve been ear openers for me even if I always wanted to do something completely different!
That being said, the elements you perceive are indeed present, but I’d say the most “progressive” influence I have when I write all this music, is Opeth, I’ve always been carried away by the journey in which this band takes the listener (especially in “Still Life”, 1999 and “Ghost Reveries”, 2005). These are undoubtedly among the most ‘prog’ records in my collection, with their 10-minute pieces that link meditative and poetic scenes, straight away with mean riffs, hyper-varied, colourful and creative drumming, as well as superb transitions which I think are the key to making a “through-composed” work interesting, both in Metal and in Jazz.

Q6: GORDIAN KNOT, AGHORA, PANZERBALLETT のようなバンドからの影響も感じられますね。同時に、そうしたプログレッシブ・メタルと同じくらい、カンタベリー・ジャズやロックの影響がありますよね?なぜ、このような前例のない融合が生まれたのでしょうか?

【CHARLES】: とても洞察力のある観察だね!正直、GORDIAN KNOT と AGHORA は聴いたことがないのだけど、必ず聴いてみるよ!カンタベリー・シーンの影響についてだけど、これは僕たちの最も熱心な聴衆やジャーナリストから時々寄せられるフィードバックだよね。PANZERBALLETT に関しては、SHINING(ノルウェー)と並んで、アンプリファイド・ギターとともに力強く正確なサックス・サウンドをフィーチャーした最初の “本物の” メタル・バンドのひとつだと思う!
君が感じている要素は確かに存在する。しかし、僕が音楽を書くときに最も “プログレッシブ” な影響を受けているのは、OPETH だと言える。このバンドがリスナーを連れて行く旅に、僕はいつも夢中になっていた。特に1999年の “Still Life” と2005年の “Ghost Reveries” だね。瞑想的で詩的な情景をつなぐ10分ほどの作品と、意表をつくリフ、超変幻自在でカラフルかつ創造的なドラミング、そしてメタルでもジャズでも “通し構成” の作品を面白くする鍵だと僕が思う見事なトランジションが、僕のコレクションの中でも間違いなく最も “プログレ” なレコードのひとつだよ。

Q7: When we listen to CKRAFT’s music, we really enjoy the unique artwork and song titles together. Can you tell us about the concept or message of such an album?

【CHARLES】: The artwork and song titles are definitely integral to the whole experience! It’s about creating a cohesive package in which sonic and visual elements speak to each other and amplify the underlying concepts. When you look at the artwork (by our friend Olivier Laude), you’ll notice a connection to our previous album, “Epic Discordant Vision”. The flood imagery continues, building a sense of continuity between the two records. For “Uncommon Grounds”, Olivier was inspired by a Joseph-Désiré Court classic painting called “Scene from the Great Flood”, which he then recreated using a linocut technique. This handmade, artisanal approach in our visual identity mirrors our musical philosophy – we perform everything live, there’s no samples or programming. It emphasizes the “craft” of CKRAFT.
Now, when you look at the song titles, you’ll often find a direct link to the Gregorian chants (they’re literally the backbone of our lead melodies). For instance, “Pageantrivia” was inspired by the “Salve Regina (tonus solemnis)” chant. The title itself is a wordplay on the “pageantry” (I witnessed Queen Elizabeth II’s funeral in London) and the feeling that our lives can seem “trivial” in comparison to such grand ceremonies. It’s a contemplation of governmental and religious oppression and humanity’s relationship with figures of power.
Similarly, “Misconstruction of the Universe” uses the melody of “Universi Qui Te Expectant”, whose Latin lyrics translate to “Of all those who have their expectation in you, none will be confounded…etc.”. The title and the music meditate on how we try to make sense of the universe, from ancient religious beliefs to modern science. This is also reflected in the music video, with the characters representing medieval and modern beliefs.
“All You Can Kill” draws its main melody from the powerful “Dies Irae”, the famous chant from the Requiem Mass. The title itself is a dark reference to the vast capacity for death that humanity possesses, we’re such a mess; I picture it as an “all you can eat” buffet of destruction. The ominous nature of the “Dies Irae”, linked to divine wrath and the final judgment, fits perfectly with this concept.
Another example is “Nostre”, which is a reinterpretation of the “Kyrie” from the “Messe de Notre Dame” by Guillaume de Machaut, a significant piece of 14th-century medieval polyphony. I took this very ancient polyphony and transposed it into our modern metal sound, with a Gojira-like riff in the middle!
The title “Bring Forth The Imperial Ghost” uses the chant “Salve, Sancta Parens”, referring to the “sacred mother” who “brings forth” a “king”. The “bringing forth” idea inspired me to blend influences from Imperial Triumphant and… Ghost! Hence the title. The track starts with a Ghost-like leitmotiv and then a huge accelerando inspired by Imperial Triumphant’s piece “Tower of Glory City of Shame” which really impressed me when saw them play it live.
“Swallowed By The Storm” is based on the Gregorian chant “Sospitati Dedit Egros”, a tribute to St. Nicholas, who was considered the protector of seafarers in the Middle Ages. I wrote the main riff thinking of waves crashing on a boat’s hull. While the legend traditionally tells of St. Nicholas calming a storm, our version takes a darker turn, with the storm persisting, the destructive riff coming back in an even more crushing and amplified version of itself at the end of the piece, and no deliverance for the sailors.
Finally, the concept of “Uncommon Grounds” really revolves around juxtaposing these ancient, powerful Gregorian melodies with the crushing intensity of metal and the improvisational freedom of jazz. The artwork and the song titles are all part of this exploration, creating a universe that feels both familiar for Westerner ears, thanks to these timeless melodies, and modern and universal globally, through the sound and the interpretation. One of my greatest passions is how enduring and universal music is by nature (and arts in general), and I think it’s well illustrated by how these ancient sounds can still resonate in a contemporary context. It’s all about finding the “(un)common” ground between seemingly disparate worlds.

Q7: CKRAFT の音楽を聴くとき、ユニークなアートワークと曲名も一緒に味わえますね。

【CHARLES】: アートワークと曲名は、間違いなく全体の体験に不可欠なものだよ!サウンドとビジュアルの要素が互いに語り合い、根底にあるコンセプトを増幅させるような、まとまりのあるパッケージを作ることが大切なんだ。今回のアートワーク(友人のオリヴィエ・ロードによる)を見ると、前作 “Epic Discordant Vision” とのつながりに気づくだろう。洪水のイメージが続き、2枚のアルバムの間に連続性が感じられる。”Uncommon Grounds” のために、オリヴィエはジョゼフ=デジレ・コートの “大洪水の情景” という名画からインスピレーションを受け、それをリノカット技法で再現した。僕たちのビジュアル・アイデンティティにおけるこのハンドメイドで職人的なアプローチは、僕たちの音楽哲学を反映している。CKRAFTの “クラフト “を強調しているんだよ。
さて、曲のタイトルを見ると、グレゴリオ聖歌(文字通り、僕たちのリード・メロディーのバックボーン)との直接的なリンクを見つけることができることが多いね。例えば、”Pageantrivia” は “Salve Regina (tonus solemnis) “という聖歌にインスパイアされている。タイトル自体は、”ページェントリー” “歴史や伝説、宗教を舞台にした演劇”(僕はロンドンでエリザベス女王2世の葬儀に立ち会った)と、そのような壮大な儀式に比べれば僕たちの生活は “些細なこと” に思えるという気持ちを言葉にしている。これは、政府や宗教による抑圧、そして権力者と人間の関係についての思索なんだ。
同様に、”Misconstruction of the Universe” は “Universi Qui Te Expectant “のメロディーを使っている。ラテン語の歌詞を訳すと、「あなたに期待するすべての人々のうち、誰ひとりとして惑わされることはない…」となる。このタイトルと音楽は、古代の宗教的信念から現代科学に至るまで、僕たちが宇宙をどのように理解しようとしているかを瞑想している。これはミュージックビデオにも反映されていて、登場人物は中世と現代の信仰を表している。
“All You Can Kill” の主旋律は、レクイエム・ミサの有名な聖歌である力強い “Dies Irae” から取った。タイトルそのものが、人類が持つ死への膨大な能力を暗示している。神の怒りと最後の審判に結びついた “Dies Irae” の不吉な性質は、このコンセプトにぴったりだ。
もうひとつの例は、14世紀の中世ポリフォニーの重要な作品であるギョーム・ド・マショー作 “ノートルダムの夢” の “Kyrie” を再解釈した “Nostre” だ。僕はこの非常に古いポリフォニーを現代のメタル・サウンドに移し替え、GOJIRA のようなリフを真ん中に置いたんだ!
“Bring Forth The Imperial Ghost” は “Salve, Sancta Parens “という聖歌を使ったもので、”王 ” を “生む” 聖なる母を指している。この “産み出す” というアイデアから、僕は IMPERIAL TRIUMPHANT と GHOST からの影響をブレンドすることを思いついたんだ。だからこのタイトルになった。この曲は GHOST のようなライトモチーフで始まり、IMPERIAL TRIUMPHANT の “Tower of Glory City of Shame” にインスパイアされた巨大なアッチェレランドに続く。
“Swallowed By The Storm” はグレゴリオ聖歌の “Sospitati Dedit Egros” に基づいている。メイン・リフは、船体に打ち寄せる波をイメージして書いた。この伝説は伝統的に聖ニコラスが嵐を鎮めるというものだが、僕たちのバージョンは、嵐が続き、破壊的なリフが曲の最後にさらに砕け散り、増幅されたバージョンで戻ってくるという暗い展開になっていて、船員たちに救いはない。
最後に、”Uncommon Grounds” のコンセプトは、古代の力強いグレゴリオの旋律を、メタルの破砕的な激しさとジャズの即興的な自由さと並置することにある。アートワークと曲名はすべてこの探求の一部であり、時代を超えたメロディーのおかげで西洋人の耳にもなじみやすく、サウンドと解釈によって現代的で普遍的な世界観を作り出している。僕の最大の情熱のひとつは、音楽(そして芸術全般)がいかに永続的で普遍的なものであるかを探求することで、このような古代のサウンドがいかに現代の文脈の中でも共鳴しうるかということが、それをよく表していると思う。それは、一見異質な世界の間に “共通点” を見出すことなのだ。

Q8: In the 2020s, the world of music and the real world have changed dramatically. There is even an image of an instant culture of streaming and cut-out videos that is so prevalent that such culture inspires a dark reality of war, discrimination, and division. In such a world, I feel that your music, which is long and complex but fun, and requires thought and discipline, is needed. Would you agree?

【CHARLES】: I’m a bit biased about CKRAFT because I’m only creating the music I’d want to hear as an audience, and I think I’m not the typical audience because I listen to the sound first and check the image later, whereas most people are more visual-based. I understand what you mean, though, and 100% agree that in a world like this, music and art that encourages contemplation, connect us to history, and demand more than a fleeting glance, are necessary to offer a space for reflection and a reminder of the depth and complexity of life itself.

Q8: 2020年代、音楽の世界と現実の世界は劇的に変化しています。ストリーミング動画や切り抜き動画といったインスタントな文化が蔓延し、そうした文化が戦争や差別、分断といった暗い現実を触発するようなイメージすらありますね。そんな世の中だからこそ、長くて複雑だけど楽しくて、思考と鍛錬が必要なあなたの音楽が必要とされている気がします。

【CHARLES】: CKRAFT については、僕が聴衆として聴きたいと思う音楽しか作っていない。そして、多くの人が視覚を重視するのに対して、僕は音を先に聴いて映像を後で確認するので、典型的なリスナーとは違うと思う。しかし、君の言いたいことは理解できるし、このような世界では、熟考を促し、歴史と僕たちを結びつけ、一瞬の視線以上のものを要求する音楽や芸術が、内省の場を提供し、人生そのものの深さと複雑さを思い起こさせるために必要だということには100%同意するよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED CHARLES’S LIFE!!

Gojira “The Link”

This album was absolutely pivotal for me. As I’ve said before, it really “locked” me into metal. The sheer intensity and groove, combined with the more introspective moments, were unlike anything I had heard before. The track “Remembrance” was even a direct inspiration for our song “All You Can Kill”. It showed me the power and depth that metal could achieve.

このアルバムは僕にとって絶対的に重要だった。前にも言ったように、このアルバムは僕をメタルに夢中にさせたんだ。その激しさとグルーヴ、そして内省的な瞬間は、それまで聴いたことのないものだった。”Remembrance” は、僕たちの曲 “All You Can Kill” に直接インスピレーションを与えた曲でもある。メタルが成し遂げられる力と深さを教えてくれた。

Opeth “Still Life”

This album completely captivated me with its atmosphere and songwriting. The way they could seamlessly transition between beautiful, melodic passages and incredibly heavy riffs was mind-blowing. It broadened my understanding of what progressive music could be and definitely infused the more atmospheric side of CKRAFT’s music. We even have a running joke about so-called “Opeth-chords” that I apparently tend to write for our guitarist in calm passages!

このアルバムは、その雰囲気と曲作りに完全に魅了された。美しくメロディアスなパッセージと、とてつもなくヘヴィなリフの間をシームレスに行き来する方法には度肝を抜かれたよ。プログレッシブ・ミュージックとは何かという僕の理解を広げ、CKRAFT の音楽によりアトモスフェリックな側面を吹き込んだ。いわゆる “Opeth-chords” というジョークがあるんだけど、どうやら僕はギタリストのために穏やかなフレーズを書く傾向があるみたいなんだ!

Meshuggah “Immutable”

for all the aforementioned detailed reasons!

前述の細かい理由のため!

KoRn “Korn”

This album was part of my initial deep dive into metal, and its impact was huge. The raw emotion and the unique groove they created were incredibly powerful and resonated deeply with my teenage self. Even now, their heavy, “organic” sound stands in contrast to many modern metal productions. Our song “Restless Paradise” is a direct nod to “Blind”.

このアルバムは、僕がメタルに深入りした最初の一枚で、その衝撃は大きかった。生々しい感情と彼らが生み出す独特のグルーヴは信じられないほどパワフルで、10代の自分に深く響いたんだ。今でも、彼らのヘヴィで “オーガニック “なサウンドは、現代の多くのメタル作品とは対照的だ。僕らの曲 “Restless Paradise” は、”Blind” への直接的なオマージュなんだ。

Tigran Hamasyan “Red Hail”

While not strictly a metal album, this record opened my ears to a whole new world of musical possibilities. The way he blended Armenian folk melodies with complex jazz harmonies and a strong rhythmic foundation was unlike anything I had ever encountered. It directly inspired me to look for a powerful, ancient, and mystical melodic vocabulary, which eventually led me to incorporating Gregorian chants into CKRAFT’s music.
These five albums, among many others, represent key moments in my musical journey and have undoubtedly shaped the sound and the spirit of CKRAFT.

厳密にはメタル・アルバムではないが、このレコードは音楽の可能性の全く新しい世界に僕の耳を開いた。アルメニア民謡のメロディーに複雑なジャズ・ハーモニーと力強いリズムを融合させる彼の手法は、僕がこれまでに出会ったことのないものだった。それは僕に、力強く、古代的で、神秘的なメロディーの語彙を探すよう直接インスピレーションを与え、やがてグレゴリオ聖歌をCKRAFTの音楽に取り入れるようになった。
この5枚のアルバムは、他にもたくさんあるが、僕の音楽の旅における重要な瞬間であり、間違いなくCKRAFTのサウンドと精神を形作ってきた。

MESSAGE FOR JAPAN

Oh yes, a lot! Like many European kids from my generation, I grew up binge-playing Nintendo games (countless hours on Pokemon, Super Smash Bros., Super Bomberman, Street Fighter…) and crying in front of Hayao Miyazaki’s movies. Quite a few people told me that my music sounds a bit influenced by Japanese video games actually!
About music, I listen to a variety of well-known Japanese artists, ranging from Yellow Magic Orchestra to Maximum The Hormone, and I also love more experimental stuff like Tatsuya Yoshida’s drum solo projects, or Nobukazu Takemura’s experimental albums from the 90s (“Scope” for example, incredibly soothing music).
I recently discovered Junko Ueda, she’s a shomyo Buddhist singer and satsuma-biwa player, she collaborated with “PoiL” (a French prog band) in 2023 and they released 2 albums together (“PoiL / Ueda” and “Yoshitsune” – Dur Et Doux Records) inspired by epic tales from the Heike-Monogatari… As a modern prog band leader that uses melodic material from medieval Europe, it’s incredibly interesting for me to hear another modern prog project using material from medieval Japan, and PoiL and Ueda really rock, both in studio album and live settings. I’d be curious to know if the Japanese audience likes this project or not, actually. Please let me know!
And finally the food… My girlfriend introduced me to the best Japanese restaurants in Paris (she’s Taïwanese and a hardcore foodie) and now I feel that I was probably born in the wrong country: I could seriously eat Japanese food every day at every meal (I even like nattō nowadays!)
My message for Japan is “Arigato Gozaimasu!” : we see on our streaming platforms that we have quite a bit of fans based in Japan, so I sincerely hope that we will be able to come and play our music live for you, in the near future!

そうだね!僕の世代の多くのヨーロッパの子供たちと同じように、僕は任天堂のゲーム(ポケモン、大乱闘スマッシュブラザーズ、スーパーボンバーマン、ストリートファイター…)を夢中になって遊び、宮崎駿監督の映画の前で泣いて育った。僕の音楽は日本のビデオゲームに少し影響を受けていると言ってくれる人が結構いるんだ!
音楽については、YMO から MAXIMUM THE HORMONE まで、様々な日本の有名アーティストを聴いているよ。また、吉田達也のドラムソロ・プロジェクトや、竹村延和の90年代の実験的なアルバム(例えば “Scope” 、信じられないほど癒される音楽)など、より実験的なものも大好きだね。
上田純子は声明 (しょうみょう] と薩摩琵琶の奏者で、2023年にフランスのプログレバンド PoiL とコラボし、平家物語の壮大な物語にインスパイアされた2枚のアルバム( “PoiL / Ueda” と “Yoshitsune” – Dur Et Doux Records)を一緒にリリースしたんだ。中世ヨーロッパのメロディックな素材を使うモダン・プログ・バンドのリーダーとして、中世日本の素材を使う別のモダン・プログ・プロジェクトを聴くのは信じられないほど興味深い。PoiLと上田はスタジオ・アルバムでもライブでも本当にロックしている。ぜひ聞いてみて!
そして最後に食べ物。ガールフレンドがパリで一番おいしい日本食レストランを紹介してくれたんだけど(彼女は台湾人で筋金入りのグルメ)、今となっては、僕はたぶん間違った国に生まれてしまったんだと思う。毎日、毎食、日本食が食べたいくらい。(最近は納豆も好き!)。
日本へのメッセージは、”ありがとうございます!” だね。ストリーミング・プラットフォームを見ると、日本を拠点にしているファンがかなりいるようなので、近い将来、僕たちの音楽をライブで演奏できることを心から願っているよ!

CHARLES KIENY

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【DEAFHEAVEN : LONELY PEOPLE WITH POWER】


COVER STORY : DEAFHEAVEN “LONELY PEOPLE WITH POWER”

“If Power Is Influence, We Have a Responsibility To Be As Understanding, Empathetic And Knowledgeable As Possible”

LONELY PEOPLE WITH POWER

第二次世界大戦の冷酷と殺戮の後、アメリカの心理学者グスタフ・ギルバートは悪の本質について何年も考え続けました。そして1947年に出版された “ニュルンベルク日記” の中で、生き残ったナチスの指導者たちとのインタビューについて書いた彼は、悪の本質を見つけたと信じていました。 悪、すなわち戦犯たちを結びつける一つの特徴は、弱者や少数派の苦境に関わることができない、あるいは関わろうとしないことであると。悪とはつまり、共感の欠如であったのです。
「国民が戦争したがるように仕向けるのは簡単。国の危機を宣伝し、平和主義者を非難すればいいだけ。これはどんな体制でも同じ」
80年後、グスタフの教訓は忘れ去られようとしています。世界中のポピュリスト政治家たちが、再び人間の自己中心性を食い物にしているから。 弱者蔑視と外国人憎悪を武器に足場を固め、富裕で影響力のあるオリガルヒに屈服し、自分たちの今でも計り知れない富がさらに膨れ上がるのであれば、喜んで工作に協力する。
「西洋文明の根本的な弱点は共感であり、共感搾取である」と、世界一の大富豪イーロン・マスクは最近CNNで説き、非正規移民に基本的な医療を提供することが、公的資金配分の誤りだと主張しました。 マスクは弱者や少数派への共感を西洋文明の “バグ” だとして、そこから犠牲を強いられる “集団” を救うとさながら英雄のように強弁したのです。非常に怖い話です。
George Clarke は、DEAFHEAVEN の素晴らしき6枚目のアルバム “Lonely People With Power” で、西洋社会の右傾化について特に語っているわけではありません。 実際、常に冷静で知的なこのフロントマンは、アルバムに込められたアイデアを解き明かす際、政治的な対立をむしろ避けようとしています。しかし、マクロ的なレベルでは、個人的な出世や富のために共同体を捨てるというコンセプトは、まさにこの暗い現代に対するアンチテーゼといえるでしょう。
「私は万能で慈悲深い世界の創造主など信じていない。このレコードに関連して “力” について語るとき、私は本当に影響力について話しているんだ。 視点を形作る力、世界観を形作る力、それに伴う責任についてだ。 彼らのような富と影響力を手に入れるためには、周囲のものを手放すことが必要なんだよ。彼らは孤独な目的を追い求めている。それは、隣の人の幸福など気にも留めないほど圧倒的なシニシズムと虚無感がなければ達成できないものだから。”孤独” は時に無知やナルシシズムや精神の空虚さの代用品となる。そうやって、共感を捨てて得た冨や影響力は、逆に精神的な空虚さを表している」

ウィリアム・ランドルフ・ハーストは1951年8月14日に亡くなりました。DEAFHEAVEN の本拠地サンフランシスコで生まれたこの新聞王は、米国のセンセーショナルなタブロイド紙の先頭に立ち、1900年代を通じてニューヨーク州知事選、ニューヨーク市長選、合衆国大統領選に出馬して落選しました。当初は進歩的な政治を支持していたハーストでしたが、20世紀に入ると保守的で孤立主義的な政策を採用。1930年代には、ナチス・ドイツを声高に支持した人物です。
多くの点で、ウィリアム・ランドルフ・ハーストは George の語る典型的な孤独な権力者だといえました。
「ハーストのメディアの巨人としての時代は、今日私たちが目にしている多くのことの先駆けのように感じられる。ああした人たちは常に熾烈で、嘘をつくことも誇張することも厭わず、道徳的な境界線というものをまったく理解していない。ハーストの人間関係は、刹那的で執着的な傾向があったにもかかわらず、決して人間的ではなかった。ハーストは、人間や、世界が動くより大きなメカニズムにまったく関心がなく、非常に利己的だった。それは奇妙な二律背反だった。支配欲を満たすためには、寛大さもヒューマニズムもなく、他人を蹴落とし周囲の世界から皮肉なまでに切り離される必要があるんだよ。
コミュニティーの欠如、自己孤立、自己保存、利己的な動機はすべて、人が支配力を集め、権力を獲得するために必要なもので、単にその権力が他よりも価値があると見なすために必要なものだ。 政治や産業界ではよく見られることだ」
サイコパスと呼ばれようが、ソシオパスと呼ばれようが支配欲が満たされれば関係ないのでしょう。
「最も多くの富を蓄え、最も多くの人々を支配するためには、反コミュニティである必要がある。普通の人なら困惑するだろう。10億ドルを与えられて、それで何をしたいかと聞かれても、僕にはわからない。率直に言って、そのような目標を追い求めるなら、仲間とつながる時間はなくなってしまう。だから莫大な物質的なものを追い求めることに、共感する余地はないんだ」

ソーシャルメディアは、ハーストの新聞全盛期以来、金と影響力の最も明白な混同を生み出しました。DEAFHEAVEN でさえ、その引力から逃れることはできません。彼らは1月27日のアルバム発表から3月28日のリリースまでの間に、ミュート・ウィドウズが監督した各曲の一連のショート・クリップを公開。それは最終的に包括的な物語に結びついていて、アルバムの前後の素晴らしさをより明確に描き出しています。
芸術的な深みを加えながらリスナーに届くという点でその手法は優れていて、フェイスブックやインスタグラム、XやTikTokの否定的な側面とは対極にあるようにも思えます。George は、SNS の隆盛で名声と富を求めるキッズたちのゴールポストが変わったと見ています。
「セレブ文化は常に存在し、華やかさはその性質上魅力的だ。しかし、以前は成功しないかもしれないと思いながら多くの犠牲を払わなければならなかったもの、今はコメントや “いいね!”、そしてマネタイズによって “成功” の度合いが小さくなっている。かつては一部の人にとっての大きな夢であったことが、ビジネスになってしまったんだ」
しかし、陰湿なアルゴリズム、ねじ曲がったデジタル・リアリティ、死んだような目をしたSNSのオーナーたちは、結局はかつての新聞王以上にその支配力を際限なく拡大させています。
「前例のない瞬間を生きていると思うか?と聞かれることがある。私はそうは思わない。メディアが存在する限り、人々はそれを形作ることに憧れてきた。しかし、テクノロジーがそれを変えたのは確かだ。ソーシャルメディアには即効性があり、中毒性がある。即効性があり、すべてを飲み込むように感じられ、負の感情を強調しようとする勢力がある。常に恐怖を煽り、悪いニュースの嵐だ。人々はリラックスすることを許されない」
そうして、テクノロジー業界の億万長者たちが、アメリカ大統領就任式で選挙で選ばれた人たちが座るはずの最前列の席を占拠しているのです。
「私は歴史家ではない。でも、ちょっと馬鹿にされているような気がしないでもない。これって、製薬会社のCEOが薬物中毒のジャンキーたちの部屋に入り込むようなものだと思っている。この時点で、彼らは笑っているだけだ。まあ終わったことは終わったことだ。彼らの影響力はあまりに強く、人々はその中で迷い込んでしまう」

デビューから15年、DEAFHEAVEN は “Sunbather” のように再び自分たちを定義できるようなアルバムを作る必要性を感じていました。そうして伝説的なメタル・レーベル、ロードランナーとのレコード契約を受け、新たなスタートを切ったのです。KNOCKED LOOSE や INTERPOL など様々なアーティストと共演し、自分たちを証明してくれる潜在的な新しいファンの川は深く流れていました。
「”Infinite Granite” が楽しくて必要なアルバムであり、私たちがあのアルバムを誇りに思っているのと同じくらい、私たちのヘヴィ・ミュージックへの愛に再び火をつけたのは、あの作品の曲をツアーする過程だった。 長い間、あのメロウな音楽を演奏していたから、もっとヘヴィな曲を演奏したかったんだ。 それに、”Sunbather” のアニバーサリー・ライヴをやる機会もあったし、KNOCKED LOOSE とのツアーも楽しかった。 速くてハードな演奏をするという精神が復活したんだ。 特に Kerry にとっては、これが自分の好きな音楽なんだという個人的な気づきにつながった。 彼は、このレコードがまだ DEAFHEAVEN らしいものであるという条件付きで、スピードと重厚さを取り戻すという真のビジョンを持っていた。 一つの方向には向かっていないんだ」
“Lonley People With Power” の野心的なアプローチについて、George はこう説明しています。
「DEAFHEAVEN はバンドとして十分な年月が経っているので、自分たちが以前に何をしてきたかを参考にすることができる。今までのアルバムや一緒に経験したことを通して、このバンドが一体何なのかを消化し始めることができる。それを抽出しようと試みることさえできる… このバンドのDNAには、ちょっとした貧乏根性が埋め込まれていると思う。 私たちは2人とも、一生懸命やっても誰も気に留めないようなバンドに何年も在籍していた。 だからこのバンドのDNAに深く刻み込まれているのは、オーバーワークなんだ。すべてが完璧だと感じられない限り、十分な働きはできない。私たちは泡銭、家のお金で遊んでいるようなもので、本当はここにいるべきでないようなもの。だから、それを最大限に活用しないのは、宇宙に対して失礼なことだと思う」

かつてポーザーと呼ばれていたのが馬鹿らしいほど、彼らはもはやメタルを代表する存在となりました。
「何年もの間、みんなが DEAFHEAVEN を “ポーザー “と呼びたがっていたのに、今ではその話題もなくなってしまった。我々のバンドを支持する人も嫌いな人も、それが退屈な会話だということに同意して握手していると思う。 DEAFHEAVEN のことを嫌っている人たちでさえ、”ああ、クールだ、新譜が出たんだ” と思えるくらい、私たちは長く活動してきた。
メタルがここ数年、大きな盛り上がりを見せていることが救いだ。 多くの素晴らしいバンドが誰でも簡単にアクセスでき、ツアーを行い、常に素晴らしいショーを行っている。 私たちは皆、その方がいいと思う」
NINE INCH NAILS, St. Vincent, THE MARS VOLTAといったアーティストを手がけるベテラン・プロデューサー、ジャスティン・メルダル=ジョンセンは、”Infinite Granite” に参加して、そのアルバムのソフトなエッジに驚かされました。そして今回、彼は期待をさらに上回る驚きを “Lonely People With Power” に感じました。
「初めて彼に “Revelator” を聴かせたときのことを覚えているよ。彼は、”ワオ、これは私が期待していたヘヴィネスを満たしているだけでなく、それをはるかに超えている… “という感じだった。
それは、私たちが以前やっていたやり方を引き継いだものだ。 そう、”Magnolia” は音楽的にかなり攻撃的だ。そして、このアルバム全体を通して、似たようなサウンドの部分がある。 確かに “Lonely People With Power” には獰猛さがあるが、DEAFHEAVEN は常にエモーショナルな核を維持し、物事を特異なレンズを通して見ないことを目指してきた。 その意味で、このアルバムの多くは、赦すこと、あるいは自分自身を含む権力の力学を認識することをテーマにしている。 そう、怒りがある。 しかし、決意、許し、認識もある。 そして、それらは均整のとれた音のパレットで表現されている」

激烈な “Magnolia” の後、セカンド・シングル “Heathen” は、彼らのアヴァンギャルドでポスト・メタル的な傾向を再び紹介するための意識的な努力のように感じられます。
同時に、事実上のオープニング曲 “Doberman”, 前述の “Revelator”、そして変幻自在の叙事詩 “Winona” で、George が2013年の名作 “Sunbather” の流れを汲む痛快なブラストビート・ブラックメタルに回帰していることも否定できないでしょう。
実際、”Sunbather” のジャケットであえてピンク色を使い、メタル全体に衝撃を与えたことから、前作 “Infinite Granite” ではメタルをほぼ完全に排除したことまで、あらゆる決断がバンドをこの瞬間へと導いたように感じらます。 ブラックメタルはその本質的な暗さにもかかわらず、多くの新しいリスナーを輝かせるチャンスがあることを証明する大作に仕上がりました。
「今は獰猛さにインスパイアされるんだ。もっと獰猛になりたくなる。自分たちのサウンドを抽出したいという欲求があったのと同じように、歌詞のテーマも抽出したいという衝動に駆られた。家族、アルコールと中毒の個人的な経験、自殺願望、友人との関係、女性との関係は、バンドにとって常に試金石だった。自分たちらしさを最大限に発揮しようとすることが、自分にとって何を意味するのかを考えた。それは、そうした考えやテーマに対してより直接的であることを意味する。これまではかなり抽象的だった。でもこのアルバムでは、私は自分の足で歩いている」
実際、George はこのレコードを作るにあたって、ヘヴィな世界を再発見していました。
「WOE の大きな世界を再発見した瞬間があった。僕らの新曲を聴いて SPEATRAL WOUND のことを言う人もいて、それは間違ってはいないんだけど、彼らが好きなバンドは我々も好きなんだ。DARKTHRONE, EMPEROR の鍵盤とベル、IMMORTAL も少し。
それに影響を受けたバンドが宇宙みたいにたくさんいる。 ウォー・メタルもあった。”Revelator” を聴いてみると、リフの背後にあるのは、DEAD CONGREGATION をもっと PORTISHEAD のコードに置き換えたらどうなるだろう、というような試みだった」

そうやって焦点を絞ることで、”Lonely People With Power” のよりパーソナルな側面が明らかになります。George は常に、両親や教師のような影響力を持つ人々からの影響について考えてきました。 アルバム “Sunbather” は、”私は父の息子/私は誰でもない/愛することはできない/それは私の血の中にある…” という嘆きで幕を閉じました。”Magnolia” にも同じような慰めの感覚が内包されています。タイトルは、 George の父の実家があるミシシッピ州の州花にちなんだもので、そこは叔父の葬儀に参列した場所でもあります。歌詞は、George の父と共通の特徴である、叔父のアルコール中毒とうつ病を問い、共有された遺伝と、新たな発見と温かさと受容とともに受け継がれた教訓を受け止めています。”私の愛は果てしない/あなたのすべてが私/一歩一歩が墓場へ向かう/私たちが与えられたのは肉と血だけだったのだろうか?”
“孤独” は “無知” の代名詞でもあると George は考えています。
「両親のような人々について話すとき、彼らのほとんどは自分が何をすべきかわかっていないように感じる。 このアルバムには、両親や教師が自分の人生において欠点やハンディキャップを抱えているにもかかわらず、それでも最善を尽くしていることが多いということを認識するんだよ。寛容の要素が含まれているんだ」
アートワークは、車の助手席の子供を挟んで話す両親と見ることもできますが、あまり健全でないことで道行く女性に寄っていく父親と見ることもできます。
「それは人々が自分で決めることだ。 運転する大人、窓際の女性、助手席の子供。 それをどう思うかは人それぞれだ。 しかし、人々は常に答えを得るよりも多くの疑問を見出すものだ。 私たちにとって、それは重要なことだよ」
切迫して脈打つような “Body Behaviour” では、年上の男性が、若い男の子にポルノグラフィーを見せて絆を深めるという “伝統” を描いています。そこに悪意はないと George は考えています。不気味でもない。ただ、知識を共有するための奇妙な試みなのだと。ある世代から次の世代へと受け継がれる、歪んだ通過儀礼のひとつなのかもしれません。そう歪んだ…
「正直なところ、私が知っている男たちは皆、父親や叔父、年上のいとこ、あるいは誰であろうと、そのような話を何バージョンか持っている。これは現代社会の “症状” であり、現在の男同士の関係の基準なんだ…」

このような話題は気まずく不快なものですが、それに立ち向かう姿勢は DEAFHEAVEN に信念を貫く勇気があることの証でしょう。ポピュリズムとインフルエンサー・カルチャーが有害な行動を強化し、有意義な人間関係を腐食させている世界において、男らしさ、”男はこうあるべき” という古い固定観念についての力強い議論とオープンな自己検証は、言うべき意味があります。
「どんな理由であれ、メタル・ミュージックでは “男らしさ” をアップデートするようなトピックは今でもタブーとされることが多い。それはとても奇妙なことだと思う。異なる視点を提供し、状況を打破し、”若い頃、こんなことがあったんだ。それは奇妙なことだった。そして、それがその後の人生にどう影響したかを知ることができる…” それが、感情的に健康な人間になるために必要なことなんだ。同時に、私は、周囲の世界からの逃避の方法として、空想的な主題に満ちた音楽を演奏するバンドを批判したくないと思っている。私も含め、多くのリスナーはそのような手の込んだストーリーテリングに惹かれるものだから」
ソーシャル・メディアの一角に身を置くと、多くの若者にとって不穏なロールモデルを見つけることができるでしょう。パトリック・ベイトマン。ブレット・イーストン・エリスが1980年代のヤッピー・アメリカのナルシシズムを風刺するために生み出したキャラクター、このアメリカン・サイコそのものが、一匹狼の “シグマ・メール” (アルファ・メール(勝ち組男性) と同程度の成功を収めているイケメン男性だけど、群れない人。頭もよく、見た目もよく、お金もあるけど、一匹狼) の憧れの的として再利用されています。裕福。怒りっぽい。周囲の人々から完全に切り離されている…2000年に映画化されたメアリー・ハロンの名作からのクリップをシェアしている人たちの中には、このジョークに乗っかっている人もいるでしょう。しかし、パトリック・ベイトマン自身が執着する対象であるドナルド・トランプがホワイトハウスに座っている現実では、出世のために喜んで絆を断ち切ろうとする人が現実に多く出現しているのです。
George は、ステージ上でベイトマンになりきっていたかもしれない初期のツアーを思い起こしながら、あの冷淡な離人感にはいつも魅了されてきたと過去の自分を振り返ります。
「あのキャラクターが好きなのは、自分自身の中にそれを見たからでもある。それは、パフォーマンスを魅力的なものにする大きな要素だ。少し深く掘り下げ、自分の中にあるものを見つけ、それを見世物のために裏返すのだ。
友人に聞けば、僕らの関係はより “リアル “になったと言うだろうね。若いうちは、受け入れられようとするあまり、見栄を張ってしまう。AからBに行くために、きれいごとやパフォーマンス的な習慣を身につける。仮面をはがすこと、本当のつながりに必要な弱さを見せることは、かつての私にとって難しいことだった。年を重ねるにつれて、正直でいることができるようになった。でも、それは目的地ではなく、むしろ旅路なんだ」

同様に、DEAFHEAVEN 自体も、彼の血管の中にある氷の単なるはけ口から、それを処理するための重要なツールへと変貌を遂げました。
「初期のころは、これが他の方法ではできない自己表現の方法だと感じていた。今は、セラピーのようなものだ。ツアーから離れることで、外に出ることがどれだけ自分の幸せにとって重要かがわかる。旅行や演奏だけでなく、新しい人々に会い、新しい文化を体験し、自分のバンドをよりよく知り、自分を違った形で知ることができるんだ!」
DEAFHEAVEN のオーラの中で、ブラック・メタルらしい危険や脅威はいまだに大きな役割を果たしています。それを今も維持し続けるのは難しいことなのでしょうか?
「ステージにいると、大きなパワーを感じる。エゴの塊だよ。ある程度の誇大妄想もある。私は今でもその極悪非道なキャラクターに傾倒するのが好きなんだ。大観衆の前での瞬間が、日常生活といかに違うかを目の当たりにし、私は自分の分身を掘り続けることを選ぶ。今の自分をどう見ているかの違いは、自己認識が深まったことと、そのキャラクターがとても優しく、共同的で人間的な瞬間のために、今の自分を壊すことを許されるようになったことだ。観客の中に入って誰かを抱きしめたり、バリアの上で泣いているファンに寄り添ったり。私の音楽は、私が最も傷つきやすいときのもの。パフォーマンスは、私が最もパワフルな時のものだ。キャラクターが壊れるとき、私は最も自分らしくなる。もし人々が本当に DEAFHEAVEN のシンガーと瞬間を共有し、歌詞を歌い、あるいは歌詞にしがみついているとしたら、それは Georgeと瞬間を共有していることになる…」

創作、パフォーマンス、個人的な経験の相互関係を分析することで、どのアーティストも、少なくともある程度は、力を持つ孤独な人間であるという気づきを George は得ました。
「パワーが影響力であるならば、私たちは皆、ある程度のパワーを持っている。インタビューはその典型的な例だ。誰かが私の発言を読み、それが彼らの意見を形成するかもしれない。だから私たちには、できるだけ理解し、共感し、知識を持つ責任がある。どうすれば誰かの教師になれるのか、と自問自答する。でも、それは常に進化する謎なんだ」
“Lonely People With Power” の最も難しい教訓は、まさにその最後に訪れる。ジャン・ウジェーヌ・ロベール=ウーダンの悪名高い19世紀の複雑な錯視にちなんで名づけられた “The Marvelous Orange Tree” “驚異のオレンジの木” は、自殺について歌った厳しくも美しい曲。”この病気と一緒に生きて/震える肌を見せながら/あなたと一緒に、私の終わりのない病気で/私の終わりのない病気で/暗闇の中を歩いていく” という表向きは絶望的なセリフで締めくくられています。しかしこれは、奈落の底へ転落するのではなく、常に足元に気をつけるようにという戒めなのです。
「物事には終わりがある。自分の中の悪魔を見極めているとき、”もう心配ない!” とか “もう終わったことだ!” と言うのは難しい。ドアは常に開いていると認識することが重要だ。それは、負けるとか屈するという意味ではない。ただ、本は決して閉じられていないということを知ることだ。
人は何かを打ち負かしたと思ったり、無視することを選んだりすると、思いもよらない形で再び忍び寄ることがある。この曲は、そのような負の感情がいつもまだ存在し、これからも存在し続けるということを認めている曲なんだ。死にたくなったことを話したくなったら、話すべきだし、そうしている。それを放棄することで起こりうる驚きに直面したくない。結局のところ、このアルバムは共感と許しが中心となっている。他人の欠点に対しても、自分自身の欠点に対しても。それはすべて、認識と理解に関係している。”Amethyst” の歌詞で歌ったように、ここには非難するようなものは何もない….」


参考文献: KERRAMG! :Deafheaven: “If power is influence, we have a responsibility to be as understanding, empathetic and knowledgeable as possible”

KERRANG! :https://www.kerrang.com/deafheaven-new-album-lonely-people-with-power-george-clarke-interview

LOUDWIRE

NEW NOISE MAG

COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【BLOODYWOOD : NU DELHI】 JAPAN TOUR 25′


COVER STORY : BLOODYWOOD “NU DELHI”

“It’s True For Babymetal As Well. Like Wasabi, It’s an Acquired Taste. Once You Understand It, You Cannot Get Enough!”

NU DELHI

「BLOODYWOOD はメタルなんだけど、たくさんのスパイスが効いていて、五感を圧倒するんだ。 誰もがヘドバンして、最後は僕らと一緒に踊ることになるよ」
これは、メタル界で最も独創的なバンドのひとつである BLOODYWOOD のミッション・ステートメントです。 2016年に結成された BLOODYWOOD は、伝統的なインド楽器を用いてメタルの常識を覆しました。彼らの曲にはクランチング・リフと同じくらいのバーンスリーやドールがフィーチャーされています。 ステージでは6人編成になる彼らは、オリジナル曲を作る前にYouTubeでポップ・ソングやオルタナティブ・ヒットをカバーし、バイラル・センセーションを巻き起こしました。そこから彼らの人気に火がつきました。
最初のギグは、2019年のドイツのメタル・フェスティバル、ヴァッケン・オープン・エア。その4年後、彼らはイギリスのダウンロード・フェスティバルで、日曜日の早い時間にメイン・ステージにおいて大勢の観客を集めました。 フジロックでの好演も記憶に新しいところ。
2022年のデビュー・アルバム “Rakshak” がUKロック&メタル・チャートとUSデジタル・チャートでトップ10入りを果たしたとき、国際的な好意は確信に変わりました。さらに、彼らの楽曲 “Dana Dan” がアクション超大作 “Monkey Man” のワンシーンのサウンドトラックに採用されると、その人気はさらに高まっていきました。BLOODYWOOD はインド史上最大のメタル輸出品となったのです。
「インドのメタル・シーンなんて誰も気にしてなかったんだ。そこで僕らが考えたのは、インターネットで自分たちを全世界に発信することだった。 その土地の言葉でヒップホップやポップスをやっていれば、その土地のアーティストになれる。 でも、メタルでそれをやっても、少なくともインドでは通用しなかった。だから世界を目指したんだ」

ローカルをすっ飛ばして世界へ。BLOODYWOOD は当初インドのシーンではなく、FacebookやYouTubeにカバー曲を投稿してファンを増やしていきました。バイラルを叩き出すために、インドのサウンドスケープが欠かせないもの。彼らの曲は、8弦ギターのリフで鼓膜をへし折るかのような、脈打つような Nu-metal を核にしていますが、ヒンディー語の歌詞を英語に混ぜ、ドールのような民族楽器も使っています。
「ヤギの皮でできていて、どの種類の木かもわからないんだ」
しかし、彼らはただアイデアと遊び心のある奇抜な人気者というわけではありません。ギタリストの Karan Katiyar はソーシャルメディア上で 「ここ2、3年はこれまで以上に多くのいじめや憎悪を目にする。 また、その多くがエスニシティに向けられたものであり、だからこそ自分たちのストーリーを伝えることがより重要になった」と語っています。
ボーカリストの Jayant Bhadula は年上のいとこを通じてヘヴィ・メタルに出会い、ヴァイキング・メタル AMON AMARTH の音楽を教示され、SLIPKNOT から SYSTEM OF A DOWN までモダン・クラシックの詰まったCDを焼いてもらいました。その両者からの影響は、まさに BLOODYWOOD の音楽に滲み出ています。「誰かが僕をモッシュピットに放り込んでくれて、人生で最高の時間を過ごしたよ」
ただ、最初から順風満帆だった訳ではありません。
「最初にレコーディングしたのは、本当のスタジオではなかったんだ。 狭くて、夜はとても寒かった。 毛布がなかったから、カーテンを下ろして代わりに使っていた。 貧乏だったわけじゃない。両親には自分の活動を隠すのが一番だと考えていたからね。
インドでは、親が認める職業は3つしかない。医者、弁護士、役人だ。 当時なら親はきっと賛成してくれなかっただろうけど、今は賛成してくれて嬉しいよ」

Katiyar の最初のギターは “Givson” でした。
「インドの偽ギター業界を紹介するよ!最初のギターは、”Givson” というブランドのエレクトロアコースティックだった。そのアンプのひとつにオーバードライブのセッティングがあって、もちろんノブなんだけど、ノブをゼロから0.01でも何でもいいから少し回した瞬間に、信号が完全に歪んでしまうんだ (笑)」
ラップを担当する Raoul Kerr に出会った時のことを、Katiyar は今でも覚えています。善のための力になろうというバンドの意欲をアピールする Kerr は、強いメッセージで性的暴力を非難しています。 今日、彼はほとんどいつも “No Flag” の文字が入ったマッスルベストを着て、BLOODYWOOD が分断ではなく団結を望んでいることを一貫して証明しているのです。
「彼に会った瞬間から、僕たちが同じビジョンを共有していることは明らかだった。最初はレスラーのようだと思ったけどね! 彼のライムとフロウは、まさに僕たちがまだ探していたピースだった。 僕たちは何を探しているのか正確には知らなかったが、とにかくそれを見つけたんだ」
ラッパー Kerr にとっての神様は、多面的でした。
「Mike Shinoda が僕の最初のインスピレーションで、Nu-metal 的な要素もあった。LINKIN PARK は僕の最初の音楽的な神だ。 昔は他の人と同じように、ラジオから流れている音楽は何でも聴いていた。でも、LINKIN PARK は初めて好きになったバンドで、積極的に追いかけた。その後、ヒップホップの入り口が開かれ、Eminem に入ったんだ。彼は、一世代前のラッパーたちにとって誰もが認めるインスピレーションの源だから、多くの人が彼を1位にする。 彼について好きになれるものはたくさんある。 嫌いなところもたくさんある。でも、ひとつだけ反論できないのは、彼が正直で、自分をさらけ出しているということだ。 彼のテクニックは手がつけられないほどだけど、正直なところ、テクニックとかよりも、彼は正直なんだ。 だから僕はこう言いたい。Mike, Eminem, RAGE AGAINST THE MACHINE は、僕が大人になってからの神だった。 彼らが音楽と政治の融合で社会変革の境界線をどこまで押し広げ、社会的インパクトを与えることができたかという点で、影響は大きいね」

Bhadula によれば、彼らの出身地であるデリーでは音楽教育が盛んで、ギターやドラムのクラスがあるところがたくさんあるといいます。
「学校では音楽を演奏している人の中でも、いつもメタルを演奏している人がみんなの度肝を抜いていた」
と Katiyar は回顧します。 しかし、そうした状況がインドのメタル・シーンに広く浸透しているとはまだいえません。
「インドはとても大きな国だから、メタルのリスナーが少ないという事実をつきつけられるのは不思議なことだよ」
インドのメタルはライブだけでなく、音楽のプロモーションというインフラも欠けていると Bhadula はいいます。
「インドでは、音楽の仕事といえば基本的にボリウッドで働くことであり、メタルは仕事になるわけじゃない」
つまり、BLOODYWOOD は多くのローカルなアンダーグラウンドのバンドを背負って、世界でほぼ一人でインドの旗を振っているのです。
「自分たちの音楽で国や文化を表現するのが大好きなんだ」と Katiyar はいいます。 「プレッシャーは全くないけれど、時々頭を悩ませるのは、インドという国全体を代表することが難しいということだ。 文化も言語もたくさんあるし、楽器の数も数えきれない。それでも、可能な限り、みんなを代表したいんだ」

BLOODYWOOD が2023年のダウンロードのメインステージのオープニングを飾ったとき、6月の日差しを浴びる観客の多さは、このインドのメタル・アクトが本物であることを証明していました。デビュー・アルバム “Rakshak” をリリースしたばかりの彼らは、ドールやタブラといったインドの伝統楽器と怪物的なリフを融合させ、インド・メタルを世界地図にしっかりと刻み込んだのです。
「大盛況だった! 僕たちは決して期待しないで臨む。なぜなら、期待値を低く抑えれば、いつもそれを上回ることができるからね。 でも、あれは子供の頃に夢見た瞬間のひとつだった。ヨーロッパの人々が僕たちのところにやってきて、僕たちの曲が彼らにとってどれほど重要かを話してくれたとき、自分たちが到達したレベルを理解し始めた。 僕たちの曲のいくつかは、世界中で困難な時期を乗り越える人々を助けてきた。 天職を見つけたという意味での “made it “だね」
2019年のドキュメンタリーを “Raj Against the Machine” と命名し、ナン色のレコードを販売するなど自分たちの文化に遊び心を加えて紹介する一方で、彼らはシングル “Gaddaar” で憎悪に満ちたレトリックを使って分断を図ろうとする政治家たちに反撃し、レイプ・カルチャーに反対するために音楽を使ってステイトメント、連帯の意思表示を発してきました。「これは世界的な問題であり、僕たちが強く主張ていることだよ」と Katiyar は言います。 「愛する人のために立ち上がること以上にメタルなことはあまりないと思う」
彼らのニューアルバム “Nu Delhi” は、2022年のデビュー作 “Rakshak” に比べて政治色が抑えられています。Katiyar は、ロシアがウクライナに侵攻したのと同じ週に “Rakshak” がリリースされ、それ以来、世界は絶え間なく毒のような敵意に渦巻いていると指摘します。
「人々はどちらか一方を選び、もう一方と戦うことに熱心だ」

だからこそバンドは、自分たちの祖国と歴史の物語を祝うことで、毒性、ステレオタイプ、いじめに対抗することを選んだのです。 「音楽を通して、世界を生きやすい場所にしようとしているんだ。音楽のポジティブな面をできるだけ多くの人に届けたいんだよ」
BLOODYWOOD のニュー・アルバムのタイトルは “Nu Delhi” ニュー・メタルとインドの影響を融合させたダジャレのようなもの。しかしその歌詞は、音楽と同様に彼らの国の文化への敬意に満ちています。タイトル曲は、人口3,400万人の大都市、インドの首都の過密な通りへとリスナーを引きずり込みます。
「ここでは誰もが試されている。聖人も罪人もいる、街ではなくチェスのゲームだ」
彼らにとっての目標は、より広い世界に、正真正銘のインド観を提供すること。同時に英語とヒンディー語の両方で精神疾患に光を当て、性的虐待を告発し、愛と喪失の両方を探求することが彼らのヘヴィ・メタル。そう Bhadula は主張します。
「僕たちはいつも、自分たちの身近にあるものをテーマにしようとしているんだ。”Nu Delhi” では、インドにはメタルだけでなく、世界に匹敵するような盛んな音楽シーンがあることを知らせたかったんだ。ファースト・シングルの “Nu Delhi” そのものが、僕たちからこの街へのラブレターなんだ」
“Tadka” ではインド料理に対する不滅の愛を表現しました。
「”Tadka” の正確な意味は、”スパイスや調味料のエッセンスを引き出し、料理を爆発的な味に変える技術” なんだ。料理の味を引き立てるために使うんだよ。”Tadka” を使うと赤唐辛子、マスタードオイル、マスタードシードなど、その料理の味がまるで別物のようになる。南インドから北インドまで、東インドから西インドまで、同じ食材でも使い方は人それぞれだ。味の大爆発なんだ!」
料理について熱く語ったメタルはそうそうないでしょう。
「僕たちが書くトピックはすべて、僕たちの心に近いものなんだ。ツアー中、僕らはヨーロッパ料理を食べていて、それは数日間はいいんだけど、最終的にはインド料理が食べたくなった。じゃあインド料理の素晴らしさについて書けばいいじゃないか。インド料理は芸術なんだ。スパイスのバランスを保たなければならないからね。
Karan がインストゥルメンタル・パートを考えてくれたんだけど、サビに入るリフが何か言っているような感じがしたんだ。”Tadka” は素晴らしい言葉だし、それが雪だるま式に広がっていった。料理だけに使われる言葉ではないから、人生に味をつける、人生にスパイスを加えるという比喩として使うことができる。とはいえ、僕たちは皆、本当に食べ物に対する情熱を持っているんだ」

“Bekhauf” では、BABYMETAL とアジアン・メタルの新たな歴史を作りました。
「以前から BABYMETAL のファンだったんだ。彼女たちを知ったのは “ギミチョコ!!” で、”メギツネ” も聴いたんだけど、あれはアレンジの点で、今まで聴いた中で最高のメタル・トラックのひとつだよ。”ド・キ・ド・キ⭐︎モーニング” がとても好きだし、”KARATE” も大好きだ。 実は BABYMETAL の曲も何曲かカバーしてみたんだけど、歌詞がめちゃくちゃでね(笑)。
最初は興味本位でビデオを見ていたんだけど、甲高いボーカルで歌い始めて、その間にバンドが全力疾走しているんだ。 最初は不思議だと思ったんだけど、一緒に聴くとすごくいいんだ。わさびと同じで、後天的な味覚だ。 一度理解したら、それなしでは満足できない。
ある時、BABYMETALのプロデューサーである KOBAMETALがライブに来てくれたんだ。それからずっと後になって、Karan が “Bekhauf” のためにインストゥルメンタルを作っていたんだけど、偶然にも同じ頃にKOBAから “一緒に何かやろう”というメッセージを受け取ったんだ。
僕たちはすでに BABYMETAL のためにパートを書いていて、それを気に入れば先に進めようということになっていた。僕たちは音節をどのようにヒットさせたいかというアイディアを持っていて、3人はそれを実現してくれた。すべてが相乗効果でうまくいったね」
BLOODYWOOD はバンドとして、日本の文化にゾッコンです。
「日本のマーケットはメタルを本当に受け入れているんだ。 僕はずっとアニメを見てきた。 例えば、”Death Note” の主題歌、MAXIMUM THE HORMONE の “What’s Up People?!!!” はとてもヘヴィだ。 こういう曲が日本のテレビで放送されていることにいつも衝撃を受ける。 インドでは、生まれてこのかた、テレビでメタルの曲を見たのは1曲だけだよ。メタルファンは100%素晴らしいコミュニティだ。 世界中のメタルヘッズは、どこの出身であろうと共通の特徴を持っているからね」

アニメとメタルは世界をつなぐ架け橋だと彼らは考えています。
「バンド全員が “ドラゴンボールZ” と “進撃の巨人” のアニメシリーズを見ていて、大好きなんだ。音楽だけでなく、キャラクターやストーリーも楽しめる。”ドラゴンボールZ” の界王拳を引用した “Aaj” という曲は、自分の限界に挑戦し、より良い自分になることを歌った曲なので、ぴったりだったよね。
曲を書いているときに、この言葉を使えると思ったんだ。 簡単なディスカッションをして、たとえみんながその言葉を知らなくても、耳にはとてもいい響きに聞こえると判断したんだ。 驚いたのは、僕たちの支持基盤の多くが即座にその言葉を理解したことだ!
僕たちのファンの多くがアニメも見ていることに気づいたよ。だから今、僕らはソーシャルメディア上でアニメの推薦を受け入れるようになり、最新の情報を得るようになった。 最近、映画 “呪術廻戦0” を観に行ったんだ。友達は誰もアニメを観ないから、ひとりで。 リクライニング・チェアがあり、ポップコーンがあり、幸せだった! 」
そうして世界中とコラボしてツアーすることで、ニューデリーの良さを再認識できたと Bhadula は考えています。
「このアルバムは、ニューデリーが “やあ、僕らもメタル世界にちゃんと入ったよ” と言っているんだ。もちろん、ニューデリーにいるときはもっと好感が持てる。家にいて、周りに友達がいて、ある種の安心感がある。でもツアーに出ているときも、故郷のように感じるよ。だってヒンドゥー語を知らない人たちが、一緒に歌っているのを見ることができるからね。グラスポップ・メタル・ミーティングでは、ヨーロッパに住むパキスタン人(インド国旗を掲げていた)がいて、 “君たちのおかげでメタル世界の一員になれた気がする” と言っていた。この感謝の気持ちが、ホームシックなんて吹き飛ばしてくれるんだ…料理は別としてね!」
最近のドキュメンタリー “Expect A Riot” で彼らは、このアルバムで “インドに対する認識を変えたい” と語っていました。
「どのようなソーシャルメディア上でも、あるレベルのインド嫌いが蔓延している。”BABYMETALよ、なぜこんなP******とコラボしたんだ?” みたいなね。僕たちは常に平和な場所にいるわけではない。それは SNS 上で取り組まなければならないことで、僕たちのためだけでなく、世界中のすべての人のためでもある。僕たちができる最初の一歩は、そうした人たちの偏見、インドに対する認識を変えることだ。
僕たちは、世界で最も古い文明のひとつから生まれた。インドの文化は非常に多様で、一生かけてもインド全土を巡り、そのすべてを理解することはできないだろうね。そして伝統や文化だけでなく、科学にも多くのものを提供してきた国なんだ。他の誰かを攻撃することで、この認識を変えることはできない。このアルバムは、僕たちの一部分と、僕たちの出身地であるこの街への愛を分かち合うものだ。願わくば、人々が理解し、巷にはびこるインド人嫌いのフィルターを越えて見てくれることを願っているよ」

インドに対する偏見は、TikTok の影響だとも。
「インドに対する人々の印象は、実際とはかなり違っていて、その多くはTikTokに関係している。TikTokでは、インドの偏ったバージョンが常に描かれているんだ。汚い食べ物、汚い道路、汚い人々。 でも、実際にはそういうもは、探さなければ見つからない。 もしインドに来て、まずい店を探すなら、まずい街のまずいところに行くしかない。 この国はそういう国じゃないんだ。もしそうだとしたら、美味しい物が好きな僕たちみんな死んでるよ (笑)」
“Bekhauf” でのシンセサイザーの多用は、より純粋なフォーク・メタル・スタイルからの逸脱を予言しているのでしょうか?
「危険な要素もあるんだ。僕らのフィルターを通さない意見からだけでなく、このアルバムで実験した方法からもね。実験のひとつは “Bekhauf” で、次のアルバムで何をすべきかについて、誰もがそれぞれの意見を持っていた。でも、僕たちは最初からそうしてきたように、最も正直な気持ちを吐き出し、それを聴いてもらうことで、好きか嫌いかを決めてもらうことにしたんだ」
歌詞をすべて追えなくても、彼らの曲がいかに心からのものであるか、その情熱が伝わるはずです。そしてこの “Nu Delhi” は政治色よりもアットホームな要素を全面に押し出しました。例えば、”Halla Bol” では歴史的に重要な事件を扱い、”Hutt” では自己承認や否定的な雑音に立ち向かうという考え、あるいは “Tadka” ではインド料理の楽しさなど、ポジティブな意思を発信しています。
「音楽が世界に与える影響の限界を押し広げようとしているんだ。それが内なる戦いであれ、より良い世界のための戦いであれ、僕らのサウンドはみんなをひとつにして勝利に導くためのものなんだ」
常に “謙虚” だからこそ、BLOODYWOOD のメッセージは多くの人の心に届きます。
「実は…この成功は夢のようなものなんだ。インドでは、海外に出て、世界最大の舞台で国際的な観客のためにプレーする人はあまりいないんだ。つまり、50%は夢のようなもので、現実であるには素晴らしすぎる。 でも、あとの50%はとても信じられる。 なぜなら、インドだけでなく、世界中には、24時間365日、音楽が好きで働いているミュージシャンのように、懸命に努力している人たちがたくさんいることを知っているから。どんなに才能があっても、運という要素は必要だ。僕たちはそれを手に入れた。 でも同時に、自分たちの仕事を必死でやっていたから、幸運が訪れた。だから、このバンドはみんな謙虚でいられるんだと思う」


参考文献: JAPAN FORWARD :INTERVIEW | India’s Bloodywood Are Babymetal Fans and Out to Inspire Change in the World

KERRANG! :Bloodywood: “This album is New Delhi saying, ‘Hi, we’ve entered the metal world chat’”

THE GUARDIAN :Indian rock sensations Bloodywood: ‘What’s more metal than standing up for people you love?

GUITAR.COM :https://guitar.com/features/interviews/bloodywood-interview-karan-katiyar-nu-delhi/

来日公演の詳細はこちら。SMASH JAPAN

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DAWN OF OUROBOROS : BIOLUMINESCENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TONY THOMAS OF DAWN OF OUROBOROS !!

“We All Grew Up Near The Coastline Of California So The Pacific Ocean Has Been a Major Theme Across All Of Our Music. In The Case Of Bioluminescence, Chelsea Felt It Was a Theme She Found Beautiful, And Wanted To Express Her Admiration Of It Through The Music.”

DISC REVIEW “BIOLUMINESCENCE”

「僕たちはみんなカリフォルニアの海岸線の近くで育ったから、太平洋は僕たちの音楽すべてに共通する大きなテーマなんだ。”Bioluminescence” の場合は、Chealsea が美しいと感じたテーマで、音楽を通して生物発光の素晴らしさを表現したかった。主にアルバムのタイトル曲でね」
“Bioluminescence”(生物発光)とは、生物の体内で起こる化学反応が光を生み出すことを表します。これは、カリフォルニア州オークランドの DAWN OF OUROBOROS、その自らの尾を飲み込む円環の音蛇を実に的確に比喩した言葉なのかもしれません。様々に異なる曲作りの技法を組み合わせた彼らの虹色の輝き、それはまさにブラックメタルの生物発光。
重要なのは、彼らがそうしたインスピレーションを、自らが生まれ育った太平洋の海岸線、美しき海原と生命の神秘から受けていることでしょう。もちろん、今日ブラックメタルはその出自であるサタニズムの手を離れて、自然崇拝や少数派、弱者の代弁、スピリチュアリズムなど様々な分野に進出していますが、彼らも自らのアイデンティティを余すことなくブラックメタルに注いでいます。メタルにおける自己実現。それはきっと、とても尊いこと。
「作曲を始めるときは、いろいろなドラムのアイデアに合わせてギターを弾き、気に入ったものが出てくるまでその上で即興演奏するんだ。だから、インプロビゼーションを通して自然に生まれるものなんだよ。でも、僕たちのサウンドが人々の心に響くのは、イントロ部分の Chelsea の歌のおかげだよ。彼女もそのボーカルの多くを即興で歌うので、曲に自然なジャズ・フィーリングが生まれたんだ」
そうして唯一無二の方法で育まれた DAWN OF OUROBOROS の音楽は、当然ながら他のブラックメタルとは一線を画しています。現代的なブラックメタルとデスメタルが巧みに混ざり合う “Bioluminescence” の世界には、さながら深海を探索するようなポスト/プログのアトモスフィアが漂います。発光生物の多くが海に生息しているように、DAWN OF OUROBOROS の音色は明らかに水中のイメージを想起させ、ボーカルとギターのメロディーにはオワンクラゲのごとくみずみずしき浮遊感が存在します。
一方で、リズム・セクションが津波のようなシンセ・ラインとともに脈動し、激しいうなり声や叫び声が大空から轟いてくることもあり、この太平洋の神秘と荒波の二律背反こそがウロボロスの夜明けを端的に表しているに違いありません。
「僕たちは自分たちが好きな音楽を作ること以外を目指したことはなかったから、他のバンドがよくやること、当たり前なことなんて考えたことはなかったんだ。それに、Chelsea の声はそれ自身で彼女がいる意味を物語っていると思うし、何より彼女はハーシュ・ヴォーカルもクリーン・ヴォーカルも、他のヴォーカリストよりもうまくこなせるんだ」
そうした DAWN OF OUROBOROS の両極性を増幅させるのが、Chelsea Murphy の多面的なボーカルでしょう。ドリーミーな歌声と生々しい叫び声を瞬時に切り替える彼女の類まれな能力は、ROLO TOMASSI の Eva Korman を想わせるほどに魅力的。
“Slipping Burgundy” ではスムースでジャジーに、”Fragile Tranquility” では荒く、ほとんど懇願するようなトーンでリスナーの感情を刺激します。 先程までラウンジで歌声を響かせた歌姫が、まるで燃え盛るマグネシウムのまばゆい輝きのように耳を惹き、ハリケーンのように畏敬の念を抱かせるスクリームで世界を変える瞬間こそ圧巻。バスキングと威嚇を繰り返すウロボロスの円環はあまりにも斬新です。
今回弊誌では BOTANIST でも活躍する Tony Thomas にインタビューを行うことができました。「最近では、ALCEST や DEAFHEAVEN, 明日の叙景、LANTLOS, HERETOIR のようなポスト・ブラックメタルや、COMA CLUSTER VOID, ROLO TOMASSI, ULCERATE のようなプログレッシブ・メタルを探求しているね」 どうぞ!!

DAWN OF OUROBOROS “BIOLUMINESCENCE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FROGG : ECLIPSE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SKY MOON CLARK OF FROGG !!

“Obviously I LOVE Tech Death, But Yes, One Has To Admit There’s a Formulaic Approach To Both Production And Songwriting In The Genre.”

DISC REVIEW “ECLIPSE”

「特定のサブジャンルにこだわる必要なんてなくて、どんなアイデアも排除したくなかったんだ。 だから “Eclipse II” にはメタル・コア、Djent、フュージョンの要素があり、Will が演奏した何十種類もの楽器を使ったギター・ソロ・セクション、特にファースト・ソロで目立つタブラの妙技、そして黒く染まったシンフォニック・デスメタルのアウトロまでがある。 まさにそれが僕たちが感じていたものだった」
“Frogging the Horses” という SikTh の狂った名曲がありますが、Frogg の二つ名はプログ世界にとってはどうやら僥倖。”どんなアイデアも排除しない” という意味で、明らかにニューヨークのセンセーション FROGG はあの SikTh の魂を受け継いでいます。いや、SikTh だけではありません。00年代、SikTh と “カオス” の覇権を激しく争った PROTEST THE HERO の高鳴るギター・メロディ。ANIMALS AS LEADERS の超重低音とシステマティックな陶酔。BETWEEN THE BURIED AND ME の驚異的で雑多な構成力。NECROPHAGIST の性格無比な超速暴威。そうした21世紀を代表するプログ・メタルを養分として蓄えた巨大なカエルが今、メタルの境界をすべて飲み込みます。
「間違いなく Alexi Laiho だね。 僕がギターを弾き始めたのは高校1年生のときで、かなり後発組だった。 でも、ギター中毒になってしまって、ギターを弾くのを止められなかったよ。僕はPCゲーマーだったから、ネットで独学する方法を知っていたんだ。 Ultimate Metal Forums と sevenstring.org は、当時ギターを学ぶのに人気のサイトだった。まだYoutubeのコンテンツが豊富ではなかったから、フォーラムとギター・タブが主流だったね。僕は地元でフルタイムのインストラクターを雇う余裕がなかったから、Guitar Proが最初の先生だったよ」
そうした21世紀の多様性に FROGG はギター・ヒーローの魂を持ち込んでいます。奔放でカラフル、まるでメインストリームのポップ・ミュージックのように光り輝く “Wake Up” においても、Alexi Laiho から受け継いだ高速の “ピロピロ” がメタルの証を主張します。
実際、”フロッゲンシュタイン” などと例えられるパッチワークな FROGG の音楽において、Sky Moon Clark と Brett Fairchild のシュレッドがすべてを縫い合わせている、そんなイメージさえリスナーは感じることになるでしょう。Alexi Laiho と Guitar Pro の遺産が実りをもたらす時代になりました。”Double Vision Roll” なんて実に COB ですよね。
そうして紡ぎ出されるのは、テクニカル・デスメタルらしからぬスケール感と意外性、そしてお洒落なムード。空想的なメロディ、短いポップなブレイク、奔放な音楽的ショーマンシップに自由を見出した薔薇色のメタル。今の時代、”テック” だけでメタル世界の水面に波紋を広げることはできません。しかし、FROGG の棲む水面にはステレオタイプに飽きたリスナーが渇望する、ぞわぞわとしたカタルシスとカエルが舌を伸ばすようなお茶目な驚きと遊び心が混じった何かが渦を巻いています。まさに新時代のメタル両生類。
今回弊誌では、ボーカルも務める Sky Moon Clark にインタビューを行うことができました。「Will(ドラマー)はこのアルバムのもう一人の主要なソングライターで、BTBAM や SikTH に影響を受けている。 THE FACELESS, COB, SCAR SYMMETRY にはもっと影響を受けたと思う。 FFO (For Fans Of) にBTBAMに入れたのは、彼らが DIABLO SWING ORCHESTRA や UNEXPECT と並んで Will に大きな影響を与えたからなんだ」 UNEXPECT!!ARSIS の名盤を挙げているのも嬉しい。また Emma のショルキーが最高よね。どうぞ!!

FROGG “ECLOPSE” : 10/10

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