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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CULT LEADER : A PATIENT MAN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANTHONY LUCERO OF CULT LEADER !!

“I Do Feel The Weeping Skull Represnts The Concept Of The Album. Musically And Lyrically We Want The Band To Be An Expression Of The Negativity In Our Lives.”

DISC REVIEW “A PATIENT MAN”

ソルトレイクに兆すエクストリームミュージックの胡乱なニューリーダー。異端の唱道者 CULT LEADER が掲げる教義は、陶酔を誘う魔性のカオスとノワールです。
グラインドコアとスラッジの蜜月を象徴したバンド GAZA の解散は、アンダーグラウンドの世界にとって二重の意味でショッキングな出来事でした。鋭利で野放図なその独創性が途切れることはもちろん、当時のボーカリストが起こしたスキャンダルもまた、リスナーの大きな落胆を誘ったことは確かでしょう。
しかし障害の根源を断ち切り、ベーシスト Anthony をボーカルに据えて再始動を果たした CULT LEADER のある種麻薬的で、妖気振りまく夜叉の佇まいは、GAZA の悲劇を振り払って余る程に鮮烈かつ混沌です。
もちろん、2014年のデビュー EP “Nothing for Us Here” 以来、CULT LEADER はメタリックでブルータルなハードコアの鼓動に、プログレッシブやドゥーム/スラッジの息吹と悲哀の情操を投影し、カオティックで多様な宇宙を創造して来ました。
実際、インタビューで Anthony も 「もし僕たちがある特定のジャンルに限定されてしまったら、もはやバンドとして機能しないとさえ思うんだ。それほど僕たちの音楽性は多岐に富んでいるんだよ。」 と語っています。
ただし、それでも黒の指導者が提示する新たなバイブル “A Patient Man” は、敬虔な信者にこれまで以上の圧倒的驚愕とカタルシスをもたらす大いなる預言書、もしくは洗礼だと言えるでしょう。
CONVERGE と Chelsea Wolfe,  Nick Cave の薄幸なる婚姻。涙するスカルをアートワークにあしらったこの作品を、端的に表せばこういった表現になるでしょうか。
言い換えれば、ランニングタイムのおよそ半分はグラインドとハードコアのカオス。一方で残りの半分はバリトンボイスで紡がれるデリケートなノワールへと捧げられているのです。
ブラストビートに導かれ、ポリリズミックなメロディーと無節操なブレイクダウンが花開くオープナー “I Am Healed” や、不協和のシャワーとスラッジのスロウバーンがしのぎを削る “Isolation in the Land of Milk and Honey” が慣れ親しんだ CULT LEADER の経典だとすれば、連続する “To: Achlys”, “World of Joy” の2曲はさながら新経典でしょうか。
Nick Cave, Chelsea Wolfe, DEAD CAN DANCE のプリミティブでノワールな世界観。NEUROSIS の放射線状にも位置する13分間の穏やかなフューネラルは、哀しみと闇、美しき孤独と終焉を反映しながら、ダークアメリカーナにフォークやゴスまで内包し作品に傑出したデュエル、コントラストをもたらしました。
「音楽的にも詩的にも、僕たちはこのバンドを人生におけるネガティブな部分の代弁者としたいんだよ。」と Anthony が語るように、黒雲の途切れないアルバムにおいて、ただ “テンション” という素材を主軸としてこれほどの落差、ダイナミズムを創出するレコードは極めて稀だと言えるでしょう。
「頼むから俺を癒してくれ。」Anthony の咆哮、絶唱はリアルな苦痛、苦悶を掻き立てるマスターの所業。一方で、「愛に満ちた光が世界中の人間に注いでも、俺の下には来ないだろう。」と孤独を綴るその声は、全てを受け入れ語りかけるような慰めと寂寞のトーンでした。
孤高の唱道者は墓標の上で踊る。もしかすると、彼らの新たな教義は、THOU や CONVERGE の最新作とも根底ではシンクロしているのかも知れません。Kurt Ballou のプロダクション、リリースは Deathwish Inc. から。
今回弊誌では、Anthony Lucero にインタビューを行うことが出来ました。「自分たちのコンフォートゾーンの外へと冒険することを、僕たちはいつも心掛けているんだよ。」どうぞ!!

CULT LEADER “A PATIENT MAN” : 10/10

INTERVIEW WITH ANTHONY LUCERO

Q1: First of all, I was really surprised at hearing the news of Gaza’s break up at that time. You know, that “incident” was so shocking…

【ANTHONY】: Well…there was great deal of conflict in that band and things happened that led us to kickicking out the vocalist. We then wanted to start fresh as a completely new band.

Q1: 前身バンド GAZA の解散に驚いたファンも多いと思います。とてもショッキングな出来事でしたね…

【ANTHONY】: そうだな…まあバンド内に大きな亀裂が生じ、争いが起こったんだよ。その結果、結局僕らはボーカリストを追い出すことにしたんだ。
それで僕たちは完全に新しいバンドとして、フレッシュなスタートを切りたかったんだよ。

Q2: But it seems right decision, looking back now. Actually, Cult Leader is incredible! But what made you choose Cult Leader for your band name? Musically, what was the initial blueprint of Cult Leader?

【ANTHONY】: Thank you, choosing a band name is incredibly difficult, Cult Leader was suggested by one of our friends and it captured the tone we were looking for and it’s very evocative artistically for me.

Q2: 実際、その決断は正解でしたね。 CULT LEADER の音楽は驚異的です!それにしても印象的なバンド名ですね?

【ANTHONY】: ありがとう。バンド名を決めるのは本当に難しかったんだ。CULT LEADER という名前は友人の1人に勧められたんだけど、まさに僕たちが探し求めているトーンを上手く捉えていると思ったんだよ。
それに、アートの見地からとても刺激的で、感情に訴える言葉だとも思ったね。

Q3: So, Anthony, you switched your part from bass guitar to vocal. That seems drastic change, but was that natural move for you?

【ANTHONY】: I had done vocals in bands when I was young and I’m really a guitarist so playing bass was fun but it was never a passion. When the opprotunity arose to move to vocals it was a chance to do something new and challenging. It was a difficult adjustment but I was happy to take it on.

Q3: CULT LEADER への移行に伴い、あなたはベースからボーカルへと担当パートをスイッチしましたね?

【ANTHONY】: 若いころ、僕はバンドでボーカルもやっていたし、実のところ本来はギタリストなんだ。だからベースを弾くのは楽しいけど、そこに情熱を感じたことはなかったんだよ。
そういった背景があったから、ボーカルを担当する機会が訪れた時、僕は新たな挑戦へのチャンスが来たと思ったんだ。
もちろん、順応するのは簡単ではなかったけど、それでも引き受けて良かったと思っているよ。

Q4: OK, let’s talk your newest record “A Patient Man”. It seems the skull in the artwork is kind of a symbol of “A Patient Man”. Do you agree that? What’s the concept or lyrical themes of this record?

【ANTHONY】: I do feel the weeping skull represnts the concept of the album. Musically and lyrically we want the band to be an expression of the negativity in our lives. However, I don’t wish to over explain the meanings or symbolism involved in the art or lyrics, I would like people to be able to engage with our band and draw whatever meaning they get from it in a personal way.

Q4: では最新作 “A Patient Man” について話しましょう。アートワークのスカルは、タイトルにもある “辛抱する人” を象徴しているようにも思えます。

【ANTHONY】: そうだね。僕もアートワークの涙するスカルはアルバムのコンセプトを表していると思うよ。音楽的にも詩的にも、僕たちはこのバンドを人生におけるネガティブな部分の代弁者としたいんだよ。
ただし、アートや歌詞について、その意味やシンボルをあまり説明し過ぎるようなことはしたくないんだ。僕はリスナーに歌詞としっかり向き合って欲しいし、そこから個人的な見解や意味を描き出して欲しいからね。

Q5: You know, it’s really eclectic, emotional record like chaotic, metallic, sludgy, hardcore, folk, post-rock and dark Americana. Do you think such a “diversity” is a key of “A Patient Man”?

【ANTHONY】: I do, but I would say that is key to our band in general. Our tastes in music very so much within the band that we couldn’t function if we were resrticted to any specific genre.

Q5: メタルからハードコア、スラッジ、フォーク、ポストロックにダークアメリカーナと作品のカオスは実に多様です。
エクレクティックというワードは一つ作品の鍵だと言えますか?

【ANTHONY】: そう思うよ。ただそれはこのアルバムに限らず、このバンド自体が目指すところだと思うんだ。
だって、もし僕たちがある特定のジャンルに限定されてしまったら、もはやバンドとして機能しないとさえ思うんだ。それほど僕たちの音楽性は多岐に富んでいるんだよ。

Q6: How was the writing process? I feel the mood of “Dark Americana” flows into this record.  How have you evolved from your debut-full “Lightless Walk”?

【ANTHONY】: The writting process for this record took longer than we expected it to because we had to focus on the things in life that exist outside the band. We always push ourselves outside our comfort zone which isn’t easy but it forces new things to happen and that’s how we like it.

Q6: ライティングプロセスはいかがでしたか? “ダークアメリカーナ” のムードが流入した作品にも思えますが、デビューフル “Lightless Walk” と比較して、どういった部分に進化が見られるのでしょうか?

【ANTHONY】: このレコードのライティングプロセスには、思っていたよりも長く時間を掛けたんだ。というのも、僕たちはバンドの外に存在する人生の出来事へとフォーカスする必要があったからなんだ。
つまり、自分たちのコンフォートゾーンの外へと冒険することを、僕たちはいつも心掛けているんだよ。それはもちろん、簡単ではないけどね。
だけどそうすることで新たな展開に出会えるし、僕たちはそのチャレンジが好きなんだよ。

Q7: You show not only converge-esque tension but also dark and gloomy atmosphere. That contrast creates incredible dynamism. It seems Kurt Ballou and God City Studios helped to catch such a dynamic mood. Do you agree that?

【ANTHONY】: I would say that Kurt is a friend and we trust his opinions and skill as an engineer which allows for a lot of freedom to experiment during the recording process.

Q7: “A Patient Man” では、CONVERGE のようなテンションを発する一方、ダークでスロウ、グルーミーなムードも濃厚で、素晴らしいコントラストを生み出しています。
Kurt Ballou と God City Studio がそのダイナミズムを捉える助けとなったようですね?

【ANTHONY】: Kurt は友人で、僕たちはエンジニアとしての彼の意見、スキルを信用しているんだよ。それによって、レコーディングプロセスの間中、僕たちには様々な実験を試みる大きな自由が与えられたんだ。

Q8: I think you are one of the brightest hope in the extreme music scene. So, what kind of bands do you empathize with or put into same category in the scene?

【ANTHONY】: Thank you! Well that’s a hard question to answer so I’ll just name a few bands who are putting out music I really dig and I look forward to hearing much more from. Author & Punisher, Primitive Man, Lingua Ignota and Of Feather And Bone.

Q8: CULT LEADER は明らかに、現在のエクストリームミュージックシーンで異彩を放っていますね。そのあなた達が、このカテゴリーで共感を覚えているアーティストを教えてください。

【ANTHONY】: ありがとう!難しい質問だけど、僕がその音楽を大好きで、もっと新たな音源を聴きたいと思っているバンドをいくつか挙げてみるね。
AUTHOR & PUNISHER, PRIMITIVE MAN, LINGUA IGNOTA, そして FEATHER AND BONE だよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED ANTHONY’S LIFE

NINE INCH NAILS “THE DOWNWARD SPIRAL”

SWANS “FILTH”

MINOR THREAT “COMPLETE DISCOGRAPHY”

THE BODY “ALL THE WATERS OF THE EARTH TURN TO BLOOD”

NEUROSIS “A SUN THAT NEVER SETS”

MESSAGE FOR JAPAN

Japan you are beautiful and we look forward to visiting and playing some music with you.

日本のみんな、君たちは美しいよ。いつか日本を訪れてプレイする日を楽しみにしているよ。

ANTHONY LUCERO

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3LA “A PATIENT MAN”

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CONJURER : MIRE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRADY DEEPROSE OF CONJURER !!

“Dan And I Bonded Over Our Mutual Frustration With How Shit The Local Scene Had Become And How Bored We Were With Metalcore. Conjurer Ended Up Being The Product Of This.”

DISC REVIEW “MIRE”

2015年、英国ミッドランズに突如として現れた魅力的なエクストリームミュージックの醸造所 CONJURER は、刺激に飢えたメタル中毒者を酔わせ、瞬く間に熱狂の渦を巻き起こしています。
スラッジ、ドゥーム、ハードコア、プログ、そしてブラック&デスメタル。香り高き金属片の数々をエクレクティックに調合し精製する芳醇なるアマルガムは、Holy Roar 主導で進められる Neo-New Wave of British Heavy Metal の象徴として踏み出す大胆で鮮烈な一歩です。
「僕にとっては GOJIRA と THE BLACK DAHLIA MURDER こそがスターティングポイントだった訳だからね。そして決定的な瞬間は YOB をライブで見た時だった。」
インタビューで Brady が語ってくれた通り、CONJURER が創成したのは圧倒的に面妖で不穏なスラッジ成分、神秘と思索のプログ成分に、相隔相反するファストで激烈なメタルコアの獰猛を配合した超俗の美酒 “Mire”。その崇高なる多様性の香気は、レーベルの理念とも完璧にシンクロしながら厳かに新時代の幕開けを告げています。
アルバムオープナー “Choke” は、この混沌と斬新を見渡す眺望。濾過以前の純粋な憤激。あまりにハングリーなテンポチェンジの妙。
GOJIRA と NEUROSIS の遺伝子を纏った野太くもエッジーな唸りは、不協和音の沼沢、閉所恐怖症のハーモニーを彷徨いながら瞬時にファストで狂乱のブラックメタルへとその色を変えていきます。さらにその底流は Frederik Thordendal のプライドとも合流し、ただ陰鬱で悲惨な音景を表現するためのみに結束を強くするのです。
実際、泥と霧に覆われた不気味で不透明な原始沼をイメージさせる “Mire” というタイトルは、明らかに限られたリスニングエクスペリエンスでは全貌を掴めない、繰り返しの再生を要求するアルバムの深みと間口、そして芸術性を象徴していますね。
「多くのバンドは一つか二つのメジャーな影響を心に留めながら作曲していると思うんだけど、僕たちはどの瞬間も30ほどの影響を考慮しながらやっているんだ。」との言葉を裏付けるように、バンドは様々な風景をリスナーの脳裏へと刻み続けます。
“Hollow” で示されたドゥーミーなメランコリー、クリーントーンの旋律はポストロックの景観さえ抱きしめた、陰鬱なアルバムに残る微かな希望。しかしその幽寂なるサウンドスケープは、やがて宿命の如く地の底から襲い来るブラッケンドハードコアの波動、濁流に巻き込まれ押し流されてしまうのです。その落差、静と動、速と遅が司るダイナミズムの効果はまさしく無限大。
それにしてもバンドの落差を支えるリズム隊は破格にして至妙。特に様々なリムショットを華麗に使い分け、楽曲のインテンスを高める Jan Krause のドラムワークは新たなヒーローの名に相応しい創造性に満ちていますね。
“Thankless” で敬愛する MASTODON に感謝なき感謝を捧げ、”The Mire” で再びホラー映画のテンポチェンジをショッキングに見せつけた後、アルバムは終盤にハイライトを迎えます。
静謐の谷と激情の山脈を不穏に繰り返し行き来する “Of Flesh Weaker Than Ash” で 「GOJIRA はデス/ブラックメタルの要素を作曲に活用しながら、ヘヴィーな音楽を実にキャッチーに変化させることが出来ると教えてくれた訳さ。」の言葉通りエクストリームメタルのフック、イヤーキャンディーを張り詰めたテンションの中で実現し、SLEEP のファズサウンドをフューネラルドゥームの寂寞とプログスラッジのエピックに封じた “Hadal” でレコードは新世界への扉を開きながらは威風堂々その幕を下ろすのです。
今回弊誌では、ギター/ボーカル Brady Deeprose にインタビューを行うことが出来ました。「ギター/ボーカルの Dan Nightingale と僕は、当時同じようなフラストレーションを抱えて仲良くなったんだ。ローカルシーンがいかにクソになったか、メタルコアがいかに退屈かという鬱憤だよ。」 どうぞ!!

CONJURER “MIRE” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CyHra : LETTERS TO MYSELF】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JESPER STRÖMBLAD & EUGE VALOVIRTA FROM CyHra !!

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The Term “Supergroup” Is Definitely Justified Here. CyHra Has Just Released Fantastic Debut-full, Modern Metal Bible “Letters to Myself” !!

DISC REVIEW “LETTERS TO MYSELF”

IN FLAMES の崇高と誉を築いた二人の英傑、Jesper Strömblad と Peter Iwers が再び鼓動を重ね共闘を決意した新バンド CyHra。さらに ex-AMARANTHE の Jake E、ex-SHINING の Euge Valovirta、LUCA TURILLI’S RHAPSODY の Alex Landenburg で集成したバンドは、メンバーの過去と未来を率直に投影した “Letters to Myself” でその鮮烈なる月明かりを世界へと注ぎます。
Jesper と Peter の再結集に、あの慟哭と扇情の “メロデス” サウンドを期待し望むファンも多いでしょう。しかし、グロウルの存在しない CyHra は当然 “メロデス” ではありません。
勿論、時に Jesper のトレードマークである重厚でメロディックなギターハーモニー、トーン、リフワークは “Colony”/”Clayman” さらにはよりコンテンポラリーな傑作 “Come Clarity” の面影を効果的に感じさせますが、バンドの本質は Jake の伸びやかでエモーショナルな歌声を軸としたウルトラメロディックなモダンメタルに在ります。
実際、近年の IN FLAMES、そして AMARANTHE には不可欠な要素であるエレクトロニカをはじめ、ストリングス、ラップ、バラードなど多様な影響を自然に配したカラフルなアルバムは、メロデスの威風にメインストリームの風格すら携えてフレッシュな未来の息吹を湛えているのです。
オープナー、”Karma” からアルバムはエナジーとインテンスに満ちています。激動のエレクトロビートに Jesper と Euge のハーモニーリフが重なるエキサイティングなキックオフは、”Letter to In Flames” と形容可能なほどに扇情的。同時に、Jake E のキャッチーとエモーションの狭間で揺らぐ伸びやかな歌声は、Iwers/Landenburg の生み出すタイトなリズムとも完璧にシンクロし、Jesper の深いカルマさえも抱きしめて、リスナーの心を揺らしバンドの個性を主張します。
「実際、もうその話はしたくないんだ。だって僕が昔のバンドについて語るたびに、その内容は捻じ曲げられて伝えられるんだからね。」 Jesper が抱える IN FLAMES への想いは複雑でしょう。おそらくは、彼の中のジギルとハイドがせめぎ合っている最中なのかも知れません。故に、”Karma” とはまさに Jesper と Peter 2人が過去のバンドに抱えている”業”であり、この素晴らしきモダンメタルチューンは彼らの業を解き放つ勇壮な決意のステートメントであると信じます。
狂おしいまでにメランコリックな Jake の絶唱が胸を抉る “Heartrage”、Jesper お得意のクリーンギターが冴える “Here to Save You” は、共に静と動の見事なコントラストが北欧らしい澄んだ空気、アトモスフィアに映えるバンドの代名詞的な佳曲。実際、LINKIN PARK のスケール感をも想起させる彼らに、多くのメディアが IN FLAMES と AMARANTHE の “Hybrid Theory” と評する事実にも頷けます。
一方で、バンドは想像以上の驚きをもファンへ届けます。フォルクローレとターンテーブルが出会うパワーバラード “Closure”、ゴシックとエレクトロニカが交差する耽美な双極 “Closure”、オーガニックなストリングスとデジタルサウンドが厳かにに融合する静謐の “Inside a Lullaby”、さらには “Dead to Me” で見せるメインストリーム的なラップ。
「僕たちは、”一次元的” なアルバムは作りたくないんだよ。」 そう Euge は語ります。カラフルに彩られた43分のスペクタクルは、多様=モダンなメタルシーンにおいてバンドの豊潤なる可能性を明瞭に指し示しているのです。
「君は僕たちを葬ろうとしたね。だけど僕たちは最後の一日まで立ち続けるよ。」アルバムを締めくくる日本盤ボーナストラック “Forever” で Jake はそう歌い紡ぎます。ビッグバンドから離れたメンバーが大半を占める CyHra。彼らが過去の自分に送る手紙は、間違いなくその前向きな離脱を後押しするエールでしょう。
今回弊誌では、Jesper & Euge のギターチームにインタビューを行うことが出来ました。「僕たちはただ頭に思い浮かんだ楽曲を書いているだけさ。」 どうぞ!!

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CyHra “LETTER TO MYSELF” : 9.9/10

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