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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WILDERUN : EPIGONE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH EVAN BERRY OF WILDERUN !!

“Ideas Flow Through Us, We Can Only Try Our Best To Make Something New Out Of It, But Whatever It Is We Create Will Inevitably Be Shaped By a Myriad Of Things That Came Before Us.”

DISC REVIEW “EPIGONE”

「”Veil of Imagination” はこれまでの僕らのキャリアの中で最も大きな意味を持つレコードだった。 カラフルでエキセントリックな感じがより多くの人の心を掴んだというか、”もっと変わったことがしたい!” という気持ちが実を結んだのかもしれないね」
2012年の結成以来、ボストンを拠点とするプログレッシブ/フォーク・メタルの新鋭 WILDERUN は、創意工夫とたゆまぬ努力を続けてこのジャンルの “特別” を勝ち取りました。
特に、ファンやメディアから絶賛を受け、Century Media との契約にもつながった2019年の “Veil of Imagination” では文字通りその創造性のベールをすべて取り去り、素晴らしくカラフルでメロディック、ブルータル、グローリアスかつ全方位的なサブジャンルを探検し、彼らが HAKEN や LEPROUS と同じ土俵に登りつめたことを圧倒的に証明しました。まさに、モダン・プログレッシブ・メタルの旗手、プログレッシブの希望。そんな評価を確実のものとしたのです。
「パンデミックでキャリアを中断された苛立ちが、心の挫折感に光を当てたんだと思う。特にロックダウンで孤立しているときは、そういう思いが渦巻いてしまう。だから、自分の自信のなさや至らなさについて考える時間がたくさんあったんだと思うんだよ。つまり、自分が “Epigone” じゃないかって疑念を抱いたわけさ」
そんな WILDERUN の快進撃を阻んだものこそパンデミックでした。Evan が陰陽の関係と語るレコーディングとライブ。どちらかが欠けても立ち行かないバンド運営の根源、その一つが失われた結果、彼らはアルバムの成果をファンと祝い分かち合うこともできず、暗闇に立ち止まることとなります。闇は孤独と挫折感を生みます。一人になった Evan Berry は自信を失い、自らと芸術の関係性を省みて、自分には創造性が欠けているのではないか、自己が生み出す音楽は “Epigone” なのではないか、そんな疑念を抱いたのです。
「芸術や創造性に関して言えば、自由意志はどこにあるのかわかりにくいものだ。だけど自分のものか他人のものかわからないアイデアはどんどん出てくるし、そこから新しいものを生み出そうと頑張るしかないんだよね。だから結局、僕たちが作るものは、必然的に先人の無数のアイデアによって形作られている。そんなことを、僕は自分の至らなさや独創性のなさを感じたときに、思い出すようにしているんだよ」
“Epigone” とは、優れた先人のアートを安易にパクる人たちのこと。たしかに、独創と模倣の境界は曖昧です。芸術にしても学問にしても、ゼロから何かを生み出す超人などは存在するはずもなく、私たちは先人たちの積み木の上に少しづつ積み木を継ぎ足して新たな何かを創造します。目や耳、五感が知らないうちに何かを吸収して、そこから自らの創作物が解き放たれることもあるでしょう。とはいえ、正直に思い悩み、告白した Evan Berry の音楽はあまりに “Epigone” とは程遠い、10年に一度の傑作です。
「僕は多くの点で WILDERUN をメタル・バンドと呼ぶことに抵抗を感じているんだ。確かにメタルは大好きだし、僕ら全員にとって重要な要素だよ。だけど、音楽を創るという意味では、メタルは土台というより道具だといつも思っているんだ」
多くのファンが WILDERUN をプログに残されたほんの僅かな希望だと信じる一方で、Evan は彼らの期待を気にかけないようにしています。気にかけてしまうと、自分らしい音楽が書けなくなってしまうから。そんな繊細さと優しさを併せ持つ人物が “Epigone” であるはずもなく、そうしてこのアルバムはプログやメタルを超越した完璧なる音のドラマ、”メタ” の領域へと到達しました。オーケストレーション/キーボード担当の Wayne Ingram があの Hans Zimmer の弟子であることがインタビューで語られていますが、まさにこのアルバムは音楽が雄弁にストーリーを語る大作映画の趣を誇っているのです。
“Epigone” は優しく、内省的で、哲学的な “Exhaler” で幕を開けます。たしかに、このレコードは、作品のテーマに寄り添うようにバンドのメロウで繊細な一面が強調されています。ドリーミーなシンセとアルペジオの連動、そして祝祭的なリズムが印象的な “Identifier”、精神的な思索が渦巻く瞑想的なフィルムスコア “Distraction III”。
「このアルバムには繊細で美しい部分がたくさんあるにもかかわらず、不穏な雰囲気が漂っているように感じるんだよね」
ただしそれもあくまでこの巨編の一面にしかすぎません。道具として配置されたメタリックな獰猛やアヴァンギャルドな冒険、そしてテクニカルな流麗はアルバムを二次元から三次元に、傍観から体験へと押し上げていきます。14分の “Woolgatherer” は軽快に始まり、すぐにコーラス、パーカッション、不吉な叫び、ねじれたギターワーク、オーケストレーションの泉、そして雷のようなディストーションで狂気のマラソンに突入する奇跡の一曲で、ある意味、プログ・メタルが今できることのすべて以上を詰め込んだ限界突破のアート。 何より圧倒的なのは、テーマやモチーフの膨らませ方。千変万化、壮大苛烈な “Passenger”、不気味なサウンドコラージュとノイズまで抱きしめた “Distraction Null” も含めて WILDERUN の野心はまさに “不穏” でとどまることを知りません。
アルバムにはボーナストラックとして、RADIOHEAD のカバー “Everything In Its Right Place” が収録されています。オーセンティックでありながら、時に彼らのオリジナルのように聴こえる息を呑むような優れたオマージュは、”Epigone” の本質を指しているようにも思えます。アルバム本編にも RADIOHEAD 的なイメージは見え隠れしていますが、当たり前のように両者はまったく異なるアートを創出しています。僕たちが作るものは、必然的に先人の無数のアイデアによって形作られている。だけどそこに留まってはいないんだ。そんな Evan の新たな決意が伝わってくるように感じられました。
今回弊誌では、Evan Berry にインタビューを行うことができました。「僕にとってベストなやり方は、個人的に好きな音楽を作り続け、他の人たちがそれを好きになってくれることを願うという方法。 それが、これまで僕にとって唯一うまくいってきた方法で、創造性が壊されない状態に僕を導くことができ、その瞬間 “ゾーン” に留まることができる唯一のやり方なんだ」 3度目の登場。 どうぞ!!

WILDERUN “EPIGONE” : 10/10

INTERVIEW WITH EVAN BERRY

Q1: I was surprised to find out that your big love about Japanese music and anime. How did you get into it and what artists, anime and games do you love?

【EVAN】: My first exposure to Japanese music was, not surprisingly, through metal. I think I heard both Boris and Sigh back in high school, and I was really intrigued. I saw Boris twice over here in the states and really loved it. My girlfriend is more familiar than I am with the Japanese music scene, but she has turned me on to some great rock bands such as Tricot, Polysics and Mass of the Fermenting Dregs. I’ve come to appreciate some J-pop as well. I may be losing some serious metal cred here, but we saw Kyary Pamyu Pamyu in NYC in 2018, and it was actually amazing. As for anime, I am actually in the middle of watching “Serial Experiments Lain” right now, and it is super intriguing. Some other favorites are Psychopass, Trigun and Full Metal Alchemist Brotherhood. As for games, I am pretty mainstream having grown up on Nintendo and such. I recently played Silent Hill 2, 3 and 4 for the first time, and they were all incredible, especially their soundtracks. I really hope to make it to Japan soon! Also, being a huge roller coaster enthusiast, Fuji-Q Highland and Nagashima Spa Land are two bucket list parks for me.

Q1: あなたが日本の音楽やアニメにとても詳しいと知って驚きましたよ。

【EVAN】: 僕が初めて日本の音楽に触れたのは、メタルを通してだった。驚くべきことじゃないけどね。高校生の頃、BORIS と SIGH の両方を聴いて、とても興味をそそられたんだよね。BORIS はアメリカで2回見て、本当に気に入ったんだ。
僕の彼女は僕よりも日本の音楽シーンに詳しいんだけど、Tricot, Polysics, Mass of the Fermenting Dregs といった素晴らしいロックバンドを紹介してくれたよ。J-POPの良さもわかってきたね。メタルの信用を失うかもしれないほど深刻な事態だけど、2018年にきゃりーぱみゅぱみゅをNYで見て、実際素晴らしかったんだ。
アニメに関しては、実は今 “Serial Experiments Lain” を見ている最中なんだけど、めちゃくちゃ興味津々なんだ。他に好きなのは “サイコパス”, “トライガン”, “鋼の錬金術師” なんかだね。
ゲームに関しては、任天堂などで育ったから、かなりメインストリームが好みかな。最近初めてサイレントヒル2、3、4をプレイしたんだけど、どれも素晴らしくて、特にサウンドトラックが最高だったよ。早く日本に行きたいね。ジェットコースターが大好きだから、富士急ハイランドとナガシマスパーランドは絶対行きたいんだよ!

Q2: “Veil of Imagination” was very well received by fans and many media outlets! It was also voted the third best album of 2019 by our magazine. After the release of “Veil of Imagination”, you signed a contract with Century Media, and it was a life-changing album for you, wasn’t it?

【EVAN】: Wow, thank you! We’re honored to be ranked so highly by your magazine 🙂 Yes indeed, overall “Veil” was the most significant record in our career thus far. I suppose it just had a colorful and eccentric nature that grabbed more people than before, so I think our desire to get a bit weirder paid off! Also, and probably just as importantly, “Veil” was the first album where we invested some money into hiring a PR agency to help promote the album. Adrenaline PR did a great job getting our name out there more than we could do on our own, and I know it got the album in the hands of a few people that have helped our career. In retrospect, I wish we had done this with our first two albums (or at the very least “Sleep at the Edge of the Earth”), but hindsight is always 20/20.

Q2: さて、前作の “Veil of Imagination” はファンやメディアから大絶賛された作品でしたね。実際、弊誌でも2019位のベストリスト3位に選出しました。
リリースの後に Century Media と契約を果たしましたし、まさに人生を変えたアルバムだったんじゃないですか?

【EVAN】: わあ、ありがとう!貴誌で上位にランクされて、光栄だよ!そうだね、全体的に “Veil of Imagination” はこれまでの僕らのキャリアの中で最も大きな意味を持つレコードだった。 カラフルでエキセントリックな感じがより多くの人の心を掴んだというか、「もっと変わったことがしたい!」という気持ちが実を結んだというか。
あと “Veil” は、アルバムのプロモーションのために、PR会社を雇ってお金を投資した最初のアルバムでもあるんだ。アドレナリンPRは、自分たちだけではできないような素晴らしい仕事をしてくれて、僕らのキャリアを支えてくれる新たな人たちの手にこのアルバムを届けてくれたんだ。 振り返ってみると、最初の2枚のアルバム(あるいは少なくとも “Sleep at the Edge of the Earth” だけ)でもこうしていればよかったと思うんだけど、後悔先に立たずということだろうね。

Q3: A lot of people started to treat Wilderun as the flag bearer or hope of progressive metal. How do you feel about those expectations?

【EVAN】: To be honest, I try to not think about those things all too often, haha! As flattered as I am by that sentiment, and as much as I appreciate the love from those fans, I know that if I focused too much on audience expectation, it would create a lot of pressure and would most likely stifle a lot of my creativity. I’ve actually had moments where I’ve been overwhelmed by thoughts like that, and I’ve had to dig myself out of self-critical holes. (Some of the lyrics on “Epigone” actually deal with some of these issues). The best thing for me to do is just continue trying to make music I personally love, and hope other people like it. That’s the only thing that’s worked for me thus far, and it’s the only thing that can get me in a state of uncorrupted creativity, and stay in the zone during those moments, which are actually a lot more fleeting and rare than most people would probably assume.

Q3: 新たな人たちの手にアルバムが届いた結果、あなたたちはプログ・メタルの旗手、希望として扱われるようになりましたね?
そういった大きな期待についてはどう感じていますか?

【EVAN】: 正直、あまりそういうことは考えないようにしているんだよね(笑)。だって、リスナーの期待に応えようとしすぎると、プレッシャーになり、自分のクリエイティビティが損なわれてしまうと思うからね。実際に、そういう思いに押しつぶされそうになって、自己批判の穴から自分を助け出したこともあるんだよ。”Epigone” の歌詞の中には、実際にそういった問題を扱っている曲があるくらいでね。
僕にとってベストなやり方は、個人的に好きな音楽を作り続け、他の人たちがそれを好きになってくれることを願うという方法。 それが、これまで僕にとって唯一うまくいってきた方法で、創造性が壊されない状態に僕を導くことができ、その瞬間 “ゾーン” に留まることができる唯一のやり方なんだ。実際には、それはほとんどの人が思っているよりもずっとはかなくて稀なことなんだけどね 。

Q4: But by the time “Epigone” was completed, there were pandemics, presidential elections, and BLM, and the division of the world became more apparent, right? Did those situations influence the new record?

【EVAN】: I think the biggest effect it had on us was that it robbed us of the opportunity to truly celebrate “Veil of Imagination”. I’ve come to realize over the years that there is a sort of Ying/Yang between recording an album and playing shows. They are very different, but they compliment each other. You put your heart and soul into the music while writing and recording, which is why it is ultimately the most satisfying part of the process, but then you use touring and shows to celebrate the achievement of the final product. Unfortunately, because of the pandemic, we only got a grand total of 8 shows in support of “Veil”. It was difficult to get working on a new record so soon, and there were a few months where I know I hesitated. Even though we ultimately decided making a new album would be the best use of our time, I do think that frustration and sorrow made its way on “Epigone”, even if it’s in a subconscious way.

Q4: 前作から “Epigone” までのインターバルで、世界は大きく変わりました。パンデミック、大統領選、BLM…世界の分断がより露わになったようにも思えます。

【EVAN】: まあ、僕たちにとっては “Veil of Imagination” を心から祝福する機会が奪われてしまったことが、一番大きな影響だったと思うな。アルバムのレコーディングとライヴの間には、ある種陰陽の関係があるのだと、この数年で理解するようになってね。両者はまったく異なるものだけど、互いに補完し合っているんだよ。つまり、曲作りとレコーディングに心血を注ぎ、それが最終的に最も満足のいくプロセスだとしたら、ツアーとライヴは出来上がった作品の完成を祝うために行うものなんだ。
残念ながらパンデミックの影響で、”Veil” を引っ提げたライヴは全部で8回しか行えなかった。あまり早くに新譜の制作に取りかかるのは難しくて、数カ月は躊躇したこともあったと思う。最終的に新しいアルバムを作ることが一番良い時間の使い方だと判断したとはいえ、そのフラストレーションや悲しみは、無意識のうちに “Epigone” に封入されていると思う。

Q5: “Epigone” refers to artists who create unoriginal works by appropriating or imitating the styles of their predecessors, who are considered to be superior, right? Why did you choose this title for your latest work?

【EVAN】: All my lyrics come from a personal place, and I think the frustration of our career being put on hold really shined a light on my feelings of failure. These sorts of thoughts can really spiral, especially when you’re in isolation, so I think I just had a lot of time to muse on my own feelings of self-doubt and inadequacy. It also made me start to rethink a lot of how I defined myself as a human being, and how much I can connect my self-worth with my career and achievements, and what a trap that way of thinking can become. It’s very easy to lose sight of the truly transcendent nature of music and art once you become too directly tied to it, and your identity becomes too wrapped up in it, so a lot of this album seeks to break that connection.

Q5: “Epigone” とは、優れた先人の作品を粗雑に模倣する芸術家、平たく言えば安易にパクるアーティストのことだそうですね?

【EVAN】: 僕の歌詞はすべて個人的なもので、パンデミックでキャリアを中断された苛立ちが、心の挫折感に光を当てたんだと思う。特にロックダウンで孤立しているときは、そういう思いが渦巻いてしまう。だから、自分の自信のなさや至らなさについて考える時間がたくさんあったんだと思うんだよ。つまり、自分が “Epigone” じゃないかって疑念を抱いたわけさ。
自分を人間としてどう定義するかについて再考の時間になったんだよ。自分の価値とキャリアや実績を結びつけて考えること、その考え方がいかに “危険な罠” なのかを考え直すきっかけにもなったね。音楽や芸術と直接的に結びつきすぎて自分のアイデンティティがそれに包まれてしまうと、音楽や芸術の真の超越的な本質を見失いがちになるからね。

Q6: However, I believe that there is no such thing as an artist who creates something from nothing, and that everyone combines several influences and creates something new from them. There will be times when the pain of childbirth makes it easy to imitate. But, whether we add our own personality and identity to it or not, the result will be very different, would you agree?

【EVAN】: Yeah absolutely. We are all the result of a giant mix of things we didn’t decide and could’ve never chosen for ourselves. We don’t even truly choose what we like, we are simply drawn to whatever it is that grabs our attention. Not to get too deep into a discussion about free will, but especially when concerning art and creativity, it is hard to see where the free will is in that. Ideas flow through us, we can only try our best to make something new out of it, but whatever it is we create will inevitably be shaped by a myriad of things that came before us. These are certainly the types of things I try to remind myself of when I’m feeling inadequate or unoriginal.

Q6: ただ、私はゼロから何かを生み出せる芸術家など存在しないと信じていて、全員が何かしらの影響を組み合わせながら新たな光を創造していると思うんですよね。もちろん、そこに産みの苦しみを抱えながら。
結局、創造物に自らの個性やアイデンティティを加えられるかどうかで、結果も大きく変わってきますよね?

【EVAN】: うん、間違いなくそうだよね。もっと言えば、僕たちは皆、自分で決めたわけでもなく、自分で選ぶこともできなかった影響が、巨大に混ざり合った結果なんだよね。僕たちは、自分の好きなものをすべて本当に選んでいるわけではなく、それが何であれ、単に注意を引くものに引き寄せられるだけなのかもしれないよね。
自由意志についての議論に深入りするつもりはないけれど、特に芸術や創造性に関して言えば、自由意志はどこにあるのかわかりにくいものだ。だけど自分のものか他人のものかわからないアイデアはどんどん出てくるし、そこから新しいものを生み出そうと頑張るしかないんだよね。だから結局、僕たちが作るものは、必然的に先人の無数のアイデアによって形作られている。そんなことを、僕は自分の至らなさや独創性のなさを感じたときに、思い出すようにしているんだよ。

Q7: But “Epigone” is still overwhelming! I was impressed by “Veil of imagination”, but this album takes metal to the stage of a classic movie or a Shakespearean opera. The art is the opposite of “Epigone”, isn’t it? Compared to “Veil of Imagination”, it’s more mellow and delicate, with fewer heavy parts, which creates a wonderful contrasting magic, doesn’t it?

【EVAN】: Thank you! Yeah, there are definitely even more quiet parts on this album. I know some of our more ‘metal’ fans may not be as stoked on that aspect, but in a lot of ways I have a hard time even calling Wilderun a metal band. We certainly love metal, and it is an important part of all of us, but in regards to creating music, I’ve always thought of metal more as a tool than as a foundation. It is a wonderful thing to utilize to help create drama and dynamics, and if you want your music to reach some soaring heights and intensity, it doesn’t get much better than metal in terms of sonics and aesthetics. But yeah, the songs on “Epigone” just happen to have fewer of those this time around. It wasn’t really by choice, the songs just naturally seemed to turn out that way. But I like to think the heavy parts still contribute a lot when they do enter.

Q7: ただ、少なくとも “Epigone” というアルバムは、”エピゴーン” とはかけ離れた作品ですよ。前作よりデリケートでメロウで、メタルを名作映画やシェイクスピアの領域にまで押し上げていますね?

【EVAN】: ありがとう!うん、確かに今回のアルバムでは静かなパートがさらに多くなっているね。メタル・ファンの中には、その点をあまり良く思っていない人もいるかもしれないけど、僕は多くの点で WILDERUN をメタル・バンドと呼ぶことに抵抗を感じているんだ。確かにメタルは大好きだし、僕ら全員にとって重要な要素だよ。だけど、音楽を創るという意味では、メタルは土台というより道具だといつも思っていてね。
メタルはドラマやダイナミクスを生み出すために活用できる素晴らしい道具で、もし自分の音楽を高みや激しさに到達させたいのであれば、音響や美学の面でメタルに勝るものはないだろうね。 まあだから、”Epigone” の曲は、たまたまそういうのが少なかっただけなんだ。別に選んでそうなったわけではなくて、自然とそういう曲になったという感じかな。でも、ヘヴィなパートが入ることで、まだアルバムに多くの貢献をしてくれていると思いたいね。

Q8: It seems that Joe Gettler has left the band and Wayne Ingram, who is in charge of keyboards and orchestration, is back on lead guitar as well. But Joe is still playing on this album, isn’t he? But now that I know Wayne worked with Hans Zimmer, I understand why his orchestration is so great, haha!

【EVAN】: Yeah, it’s been a bit confusing for some, especially considering Wayne is playing guitar in the music videos, but Joe did indeed record all the lead guitars on “Epigone”. It was basically the last thing he did with the band before deciding to leave. We were sad to see him go, but he needed to focus on his career as a tattoo artist (he’s an amazing visual artist, by the way), and since we are all good friends, we completely understood and wish him well. Luckily Wayne was in a place in his life where he could take up the mantle of lead guitarist once again, so it worked out nicely. And yes, Wayne certainly worked on his orchestrating chops a lot during his time with Hans Zimmer, which has been very beneficial for us! I think I can easily say his work on “Epigone” is his best so far.

Q8: リード・ギタリスト Joe Gettler はこのアルバムのレコーディングを最後にバンドを脱退し、キーボードとオーケストレーションを担当している Wayne Ingram が再びギターも兼任するようですね?
それにしても、Wayne は Hans Zimmer と仕事をしていたんですね?このアルバムのオーケストレーションが極上な理由が理解できた気がします(笑)

【EVAN】: そうなんだ。Wayne がミュージック・ビデオでリード・ギターを弾いていることを考えるとちょっと分かりにくいんだけど、”Epigone” では確かに Joe がすべてのリード・ギターを録音しているんだ。彼が脱退を決意する前に行った最後の貢献がこのアルバムだったんだ。彼が去るのを見るのは悲しいけれど、彼はタトゥー・アーティストとしてのキャリアに集中する必要があったし(ちなみに彼は素晴らしいビジュアル・アーティストだよ)、僕たちはみんな良い友達だから、彼の幸せを願って脱退も完全に理解していたよ。
幸運なことに、Wayne が再びリード・ギタリストの座につくことができる状況にあったから、うまくいったんだ。 そうそう、Wayne は Hans Zimmeと一緒にいる間にオーケストレーションの腕を磨いたんだ。”Epigone” での彼の仕事は、これまでで最高のものだと断言できるよ。

Q9: And the most wonderful thing is your vocals. You’ve become one of the leading vocalists in the metal world! You are able to manipulate emotions in a transformative way, from ferocious growls to Beatles-like singing. The “Destruction” suite at the end is especially incredible, and the unexpectedness of bringing chaos at the end is really so you, would you agree?

【EVAN】: Thank you so much, that really means a lot! I do feel more confident in my vocals now than I used to, so it is great to hear that it comes across on the album. And yeah, we were really happy with how that ending turned out. The chords and melody I had written for that part were already on the darker/brooding side, but since it’s the end of the album, we wanted to turn up the chaos a notch, so we implemented a lot of noise and synth work into it, to really try to create a hellish maelstrom. We don’t get many opportunities to get That dark, so it was a lot of fun. As I mentioned before, even though there are a lot of delicate, pretty parts on this album, I still feel like there is an undertone that is unsettling. Sort of like a watcher in the dark that doesn’t let itself be known very often, but you can feel its presence. So the ending fully leans into that side of things, for a brief moment.

Q9: いかにオーケストレーションが素晴らしくても、このアルバムで最も輝いているのはあなたの歌ですよ!もはや、メタル世界を牽引するボーカリストですね。獰猛なグロウルから、ビートルズのようなクリーンまで、感情を操る歌唱であなたの右に出るものはそうそういないでしょう。
特にアルバム終盤の “Destruction” 組曲は実にダイナミックで、最終盤に襲い来るカオスには圧倒されましたよ。

【EVAN】: 本当にありがとう。以前より自分のボーカルに自信が持てるようになったから、それがアルバムで伝わったと聞いてとてもうれしいよ。
そうそう、あのエンディングの出来栄えには本当に満足しているんだ。あの部分のために書いたコードとメロディーはすでにダークで陰鬱なものだったけど、アルバムの最後だからカオスをさらに高めたいと思って、ノイズとシンセをたくさん使って、地獄のような大混乱を作り出そうとしたんだよね。そこまでダークになる機会はあまりないから、とても楽しかったよ。
このアルバムには繊細で美しい部分がたくさんあるにもかかわらず、不穏な雰囲気が漂っているように感じるんだよね。暗闇の中の監視者のようなもので、あまり自分の存在を知らせないけれども、その存在を感じることができる。 だから、エンディングで一瞬だけ、そっちの方に傾いたんだと思う。

EVAN’S TOP FIVE 2021’s ALBUMS

MAGDALENA BAY “MERCURIAL WORLD”

KERO KERO BONITO “CIVILISATION Ⅱ”

HIATUS KAIYOTE “MOOD VALIANT”

LIL UGLY MANE “VOLCANIC BIRD ENEMY AND THE VOICED CONCERN”

SQUID “BRIGHT GREEN FIELD”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you to everyone in Japan who has supported us in some way, or just listened, we appreciate you so much! Coming to Japan to play is one of our biggest dreams, so I really hope we can make it happen one day.

僕たちを何らかの形でサポートしてくれた、あるいは聴いてくれた日本の皆さん、本当にありがとう!日本で演奏することは僕らの大きな夢の一つだから、いつか実現できたらいいなと思っているんだ。

EVAN BERRY

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CENTURY MEDIA RECORDS

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SUCCUMB : XXI】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHERI MUSRASRIK & DEREK WEBSTER OF SUCCUMB !!

“Including a Song About The Boxer Rebellion Was a Personal Choice Though It Does Have a Tie To The Album In Its Being Against Westernization And Christianity In Their Rejection Of Ancestor And Nature Deity Worship.”

DISC REVIEW “XXI”

「私には、リアルな部分でとても男性的な面があって、それが演奏するときに姿を現すことは認めるわ。そうやって生の感情や暴力的な態度を表現する自由があることに感謝しているのよ。ただ、ジェンダーを考慮することで私は男性と女性の興味深いダイナミクスを加えることができるわけだけど、だからといってジェンダーを考慮することが常に必要だとは思っていないわ」
人生の選択、クリエイティブな仕事をする上での選択、音に対する選択にかんして、SUCCUMB のボーカリスト Cheri Musrasrik は女性であることに囚われることはありません。それ以上にもはや、エクストリーム・メタル界の女性をめぐる会話は少し陳腐だと言い切る彼女の喉には、性別を超越した凄みが宿り、”The New Heavy” の旗手としてアートワークの中性神のように自信と威厳に満ち溢れています。
「ベイエリアとカナダのシーンから受けた影響を否定することはできない。この2つのシーンに共通しているのは、彼らは常にそれぞれのアートを新しい領域に押し上げる努力をしているということだよ」
超越といえば、SUCCUMB の放出するエクストリームな音像もすべてを超越しています。ベイエリア、カナダというヘヴィな音楽のエルドラドを出自にもつメンバーが集まることで、SUCCUMB は突然変異ともいえる “The New Heavy” を創造しました。洞窟で唸るブラストビートと野蛮なデスメタルから、ハードコアの衝動と五臓六腑を締め付けるノイズまでスラッシーに駆け抜ける SUCCUMB の “エクストリーム” は、最新作 “XXI” においてより混迷の色合いを増し、くぐもっていた Cheri の声を前面に押し出しました。同時に、BRUTAL TRUTH や NAPALM DEATH のようなグラインドコアから、フューネラル・ドゥームの遅重までエクストリームなサブ・ジャンルを網羅することで、遅と速、長と短、獰猛と憂鬱をまたにかける不穏な混沌を生み出すことに成功したのです。
「様々なジャンルのある種のお決まりをコピーペーストするだけでは、あまりにあからさまだし、必ずしも素晴らしい曲作りになるとは限らない。その代わりに、僕たちはそれらの異質なサウンドの間に存在する音の海溝を掘り下げようとしているんだ」
とはいえ、SUCCUMB の “クロスオーバー” は単なる “いいとこ取り” ではありません。だからこそ彼らの発する “無形の恐怖” はあまりに現代的かつ唯我独尊で、基本的はよりアンビエントで実験的なアーティストを扱うレーベル The Flenser にも認められたのでしょう。そう、このアルバムにはリアルタイムの暴力と恐怖が常に流れているのです。その源流には、環境破壊や極右の台頭、世界の分断といった彼らが今、リアルタイムで感じている怒りがありました。
「義和団の乱を選んだのは個人的な選択だけど、祖先や自然の神への崇拝を否定する西洋化やキリスト教に反対しているという点では、このアルバムの趣旨と関係があるのよね。私は太平洋の小さな島の出身なんだけど、その島は恐ろしい宣教師と彼らの間違った道徳によって、固有の文化や習慣の多くが一掃されてしまったの」
アルバムの中心にあるのは、自然や大地を守っていくことの大切さ。アルバム・タイトル “XXI” は21番目のタロットカード “The World” を指し示していますが、正位置では永遠不滅、逆位置では堕落や調和の崩壊を意味するこのカードはまさに SUCCUMB が表現したかったリアルタイム、2021年の “世界” を象徴しているのです。
特に、義和団の乱を扱った “8 Trigrams” には彼らの想いが凝縮しています。中国の文化や貿易だけでなく、自然崇拝や宗教まで制圧し植民地化した列強と、それに激しく対抗した義和団。中でも、道教の自然や四元素へのつながりと敬愛を基にした八掛結社は、先住民の文化や習慣を抑圧し軍事基地や核実験の場として使用された太平洋の島を出自にもつ Cheri にとっては共感をせずにはいられない歴史の一ページに違いありません。そうして、世界がまた抑圧を強いるならば、私たちが音楽で義和団になろう。そんな決意までも読み取れる壮絶な7分間でアルバムは幕を閉じるのです。
今回弊誌では、太平洋の島からベイエリアに移住した Cheri Musrasrik とカナダ出身 Derek Webster にインタビューを行うことができました。「90年代は音楽業界で “成功する” 可能性についての妄想を捨てるというメタル界の考え方の変化により、多くの実験が行われたんだよ。アーティストが自分たちのサウンドを進歩させるために外部のインスピレーションを求めるようになり、その結果、TYPE O NEGATIVE などのバンドが大成功を収めることになったように思えるね」どうぞ!!

SUCCUMB “XXI” : 10/10

INTERVIEW WITH CHERI & DEREK

Q1: The Bay Area is the most important place for thrash and death metal, and of course Canada has produced many unusual metal bands such as Voivod and Martyr. It seems to me that Succumb was born from a mixture of these two roots. Would you agree?

【DEREK】: You could definitely say that! Even though we don’t put any geographic restrictions on where we draw our inspiration, there is no denying the influence that the Bay Area and Canadian scenes have had on our sound. We draw from the both the more technical bands such as Severed Savior and the bestial bands such as Nuclearhammer and everything in between. Obviously, Voivod has a huge influence on me as a guitarist and songwriter. The common thread here between the two scenes is that they always strive to push their respective art into new territory, which is what we aim to do in Succumb.

Q1: ベイエリアはスラッシュやデスメタルにとって最重要地域で、カナダは VOIVOD や MARTYR といった異端のメタルバンドを多く生み出しています。
SUCCUMB はベイエリアとカナダをルーツに持つメンバーの集まりですが、両者の特徴が素晴らしくミックスされていますね?

【DEREK】: 間違いなくそう言えるね! 僕たちはインスピレーションを得る場所に地理的な制約を設けてはいないけれど、ベイエリアとカナダのシーンが僕たちのサウンドに与えた影響は否定できないよ。
SEVERED SAVIOR のようなテクニカルなバンドから NUCLEARHAMMER のような獣のようなバンドまで、その中間にあるもの全てからインスピレーションを受けているんだ。そして VOIVOD はギタリストとして、またソングライターとして、明らかに僕に大きな影響を与えているね。この2つのシーンに共通しているのは、彼らは常にそれぞれのアートを新しい領域に押し上げる努力をしているということだよ。

Q2: Black metal, thrash, death, hardcore and punk, with various sub-genres further subdivided, Succumb’s music is truly genre-less and fascinating. Where do you find your most important roots? Did you have crossover in mind when you started the band?

【DEREK】: When we started as Cloak, our objective was to start a simple project that worships classic black metal like Blasphemy, Darkthrone and Cultes Des Ghoules. Even then, the end result of that initial demo was something that sounded nothing like either of those bands. As we started to write for our first full length album, I started to inject my influences from brutal death metal and grindcore into our sound, which then became more prominent on XXI. So there is a crossover, however the process in which that crossover materializes isn’t entirely premeditated, instead it flows very naturally. If you just copy paste certain tropes from various genres, it’s very obvious and does not always make for great songwriting. Instead, we try to dig into the sonic trenches that exist between those disparate sounds.

Q2: そのスラッシュ、デスメタルに、ハードコア・パンク、ブラックメタル、そしてありとあらゆるメタルのサブジャンルを飲み込んだ SUCCUMB の音楽は真にジャンルレスで魅了に溢れています。では、SUCCUMB にとって最も重要なルーツはどこにあるのでしょう?

【DEREK】: CLOAK としてこのバンドがスタートした時、僕たちの目的は BLASPHEMY, DARKTHRONE, CULTES DES GHOULES のようなクラシックなブラックメタルを崇拝するシンプルなプロジェクトを始めることだった。それでも、最初のデモの最終結果は、それらのバンドのいずれとも似ていないものだったんだよ。
それから最初のフルアルバムに向けて作曲を始めたんだけど、そこでブルータルなデスメタルやグラインドコアからの影響を自分たちのサウンドに注入し始めた。それが “XXI” でより顕著になったんだ。だから、クロスオーバーではあるんだけど、そのクロスオーバーが実現するプロセスは完全に計画されたものではなく、とても自然に流れていくものなんだ。
様々なジャンルのある種のお決まりをコピーペーストするだけでは、あまりにあからさまだし、必ずしも素晴らしい曲作りになるとは限らない。その代わりに、僕たちはそれらの異質なサウンドの間に存在する音の海溝を掘り下げようとしているんだ。

Q3: Cheri Musrasrik’s vocals are very intense and destructive. Not many people would recognize her as a woman just by listening to her voice. This is proof that there is no gender gap in the world of extreme metal, and that women are becoming more and more commonplace, would you agree?

【CHERI】: When I first started doing vocals it was for a noise punk band called PIG DNA and my main inspirations were people like Chitose of The Comes / The Wretched or Sakevi. I will admit that I have a very real male side to me that reveals itself when I perform. I am grateful to have the freedom to display raw emotion and violent attitudes. To consider gender can add some interesting dynamics, but I do not feel it is always necessary to address.

Q3: Cheri のボーカルは破壊衝動とインテンスに満ちていて、声を聴くだけで女性とわかる人は多くはないでしょう。それこそが、エクストリーム・ミュージックの世界で女性が当たり前の存在となった証明にも思えますね。

【CHERI】: ボーカルを始めたのは PIG DNA というノイズパンクバンドで、THE COMES/THE WRECHED の Chitose や Sakevi などに影響を受けているの。
私には、リアルな部分でとても男性的な面があって、それが演奏するときに姿を現すことは認めるわ。そうやって生の感情や暴力的な態度を表現する自由があることに感謝しているのよ。ただ、ジェンダーを考慮することで私は男性と女性の興味深いダイナミクスを加えることができるわけだけど、だからといってジェンダーを考慮することが常に必要だとは思っていないわ。

Q4: 21 is the card number for “The World” in the Tarot, right? Is this album about a divided world that was radically changed by the pandemic and climate change?

【CHERI】: While writing lyrics the state of planet Earth was what concerned me most. The themes of the album are related to the four elements: air, water, fire, earth. The importance of respecting and caring for our land and nature was a recurring thought that I had. The World card defines these ideas well.

Q4: アルバム・タイトルの “XXI”、21とはタロットカードの21番目、”The World” を指していますよね?つまり、パンデミックや気候変動で急速に分断を深めるこの “世界” を表しているのでしょうか?

【CHERI】: 歌詞を書きながら、一番気になったのはこの地球の状態だったわ。アルバムのテーマは、空気、水、火、土の4つのエレメントに関連しているの。大地や自然を敬い、守っていくことの大切さを繰り返し考えていたわ。”ワールド・カード” は、その考え方をよく表しているのよ。

Q5: The title of the song is in English, but it uses mysterious words about primordial gods, mythological spirits, and cosmological symbolism, right? How did you decide on this?

【CHERI】: I was attracted to ancient texts, knowledge, mythologies, and cosmogony for their feeling of greater potency. When speaking about the origin of our world and the worship of elements it made sense to look at these early conceptions of things.

Q5: 楽曲のタイトルは英語表記ですが、根源的な神々や神霊、宇宙的なシンボリズムについての神秘的な言葉を使用していますね?

【CHERI】: 古文書、古の知識、神話に惹かれるのよね。そして、より大きな力を感じることができる宇宙論にもより大きな力を感じるものに惹かれたのよね。
私たちの世界の起源や四元素への崇拝について語るとき、こういった初期の概念に注目することは理にかなっていると思うの。

Q6: The last song has the theme of the boxer Rebellion, right? At that time, Japan was one of the countries that participated in the colonization of China. Currently, the world is witnessing the rise of fascists and right-wingers again, is it meant to rebel against such a situation?

【CHERI】: Including a song about the Boxer Rebellion was a personal choice though it does have a tie to the album in its being against westernization and Christianity in their rejection of ancestor and nature deity worship. I come from a small Pacific island that has had much of its native culture and customs wiped out by hideous missionaries and their false morality. There are times when I consider an alternate reality where the missionaries that landed there were killed.

Q6: 最後の楽曲では、義和団の乱について歌っていますよね?当時は日本も中国の植民地分割に参加した国の一つでした。
近年、再びファシズムや極右勢力の台頭が目立ちますが、そういった情勢に贖う意味があるのでしょうか?

【CHERI】: 義和団の乱を選んだのは個人的な選択だけど、祖先や自然の神への崇拝を否定する西洋化やキリスト教に反対しているという点では、このアルバムの趣旨と関係があるのよね。
私は太平洋の小さな島の出身なんだけど、その島は恐ろしい宣教師と彼らの間違った道徳によって、固有の文化や習慣の多くが一掃されてしまったの。一方で、そこに上陸した宣教師たちが殺されたという別の現実を考えることもあるんだけどね。

Q7: This album has a more effective contrast between long and short songs compared to your previous albums.I also felt a strong influence from Grindcore. Would you agree?

【DEREK】: Absolutely! On this album, I wanted to put a darker shade on some of the grind bands that have influenced me such as The Kill, Parlamentarisk Sodomi, Brutal Truth, Mortalized, Flesh Parade and old Gridlink. I feel like we have only begun to explore that side of our sound.

Q7: それにしてもこの作品は、長い曲と短い曲のバランス、コントラストが絶妙ですね?グラインドコアからの強い影響を感じましたよ。

【DEREK】: もちろんだよ!このアルバムでは、THE KILL, PARLAMENTARISK SODOMI, BRUTAL TRUTH, MORTALIZED, FLESH PARDAE、それに昔の GRIDLINK など、僕が影響を受けたグラインドバンドにさらに暗い色合いをつけたいと思ったんだよね。ただ、自分たちのサウンドのそういう面をまだ探求し始めたばかりだと感じているよ。

Q8: Your music reminds me of the adventurous and ambitious works of the 90s, like “Bloody Kisses” by Type O Negative, “34.788%… Complete” by My Dying Bride, “City” by Strapping Young Lad… Is The 90’s a special time and spirit for you?

【DEREK】: The 90s was undoubtedly a special time in metal. If the 80s were a time of rapid evolution, with all of its various sub genres emerging in a relatively short span of time, then the 90s were a time where those genres defined who they were and were truly able to stretch their legs. This led to a great deal of experimentation due to a changing mindset in the metal community, which cast aside any delusions of the possibilities of “making it” in the music industry. Ironically, it seems like this commitment to the underground also led to artists seeking outside inspiration to progress their sound in a way that was not often seen in the 80s outside of bands like Voivod and Celtic Frost, which in turn led to bands like Type O Negative hitting the big time. History lessons aside, metal in the 90s, in all its various forms have left an impression on us as musicians.

Q8: SUCCUMB の音楽を聴いていると、野心的で冒険的だった90年代の作品を思い出しますよ。
TYPE O NEGATIVE の “Bloody Kisses” や MY DYING BRIDE の “34.788%… Complete”、それに STRAPPING YOUNG LAD の “City” とか…あの時代の空気はあなたにとってやはり特別ですか?

【DEREK】: 90年代は、間違いなくメタル世界にとって特別な時代だった。80年代が比較的短期間に様々なサブジャンルが出現し、急速な進化を遂げた時代だとすれば、90年代はそれらのジャンルが自分たちのあり方を定義し、真に伸び伸びと活動できた時代であったと言えるだろうな。
言ってみれば、90年代は音楽業界で “成功する” 可能性についての妄想を捨てるというメタル界の考え方の変化により、多くの実験が行われたんだよ。皮肉なことに、このアンダーグラウンドへの傾倒は、80年代には VOIVOD や CELTIC FROST のようなバンド以外にはあまり見られなかった方法だったんだ。アーティストが自分たちのサウンドを進歩させるために外部のインスピレーションを求めるようになり、その結果、TYPE O NEGATIVE などのバンドが大成功を収めることになったように思えるね。
歴史の教訓はさておき、90年代のメタルは、その様々な形態で、ミュージシャンとして僕たちに印象を残しているよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED DEREK’S LIFE

MORBID ANGEL “COVENANT”

PORTAL “OUTRE”

DEFEATED SANITY “PSALMS OF THE MORIBUND”

METALLICA “RIDE THE LIGHTNING”

RIPPING CORPSE “DREAMING WITH THE DEAD”

MESSAGE FOR JAPAN

We would love to tour Japan if ever it were possible. Thank you for your support and we hope to play in Japan soon!

可能ならば、ぜひ日本をツアーしてみたいね。サポートをありがとう。日本ですぐ会おう!

CHERI & DEREK

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DESSIDERIUM : ARIA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALEX HADDAD OF DESSIDERIUM !!

“Video Game Soundtracks Have To Be Addictive To Be Good. You Have To Be Able To Listen To Them For Hours On End And Still Enjoy It, And That’s Something I Strive For In My Own Music As Well”

DISC REVIEW “ARIA”

「あの頃の僕は全然正しい道を歩んでいなかったんだよね。自分の好きなことを追求しないことで、鬱屈とした感情を抱え、何かから逃れようと必死になっていた時期だった。それで、自分の夢に深く執着するようになったんだ。日記に記録したり、一日中夢のことを考えたりして夢はどんどん鮮明になり、離れられなくなっていったんだ」
DESSIDERIUM は、ロサンゼルスのサンタモニカの山で生まれ、アリゾナの砂漠と太陽の下で活動を続けている Alex Haddadの音楽夢日記。自らを熱狂的な音楽オタクと称する Alex は、生き甲斐である音楽を追求できずに悩み、そして自身の夢に囚われていきました。それは彼にとってある種の逃避だったのかもしれませんね。
“妄想は自己犠牲を招き、その苦しみは、外側の世界に自分の内なる感情を反映させたいという願いから、慰めを傷つきながら求めるようになる”。壮大なエクストリーム・プログ絵巻”Aria” のテーマは、アルバムの中で最もシネマティックな “Cosmic Limbs” なは反映されています。バンド名 DESSIDERIUM とは、ラテン語で “失われたものへの熱烈な欲望や憧れ” と訳される “Desiderium” が元になっています。そして彼は今、夢の中から自身の夢を取り戻しました。
「JRPG は長い間、僕の生活の一部だった。日本のロールプレイング・ゲームから得られる経験は、他の種類のゲームから得られるものとは全く別のものなんだよ。普段はゲームを楽しむためにプレイしているんだけど、JRPG はストーリー、雰囲気、アート、キャラクターとの関係、そしてもちろん音楽が好きでプレイしている。ビデオゲームという枠を超えているんだ。別世界へのバケーションのようなもので、そこまで没頭していれば、もちろん僕の書く音楽にも影響を与えているに決まっているよね」
日本のロールプレイング・ゲームの熱狂的な信者である Alex にとって、ゲーム音楽には何時間聴いても飽きない中毒性が必須です。彼の愛するゼノギアス、ファイナル・ファンタジー、ドラゴンクエストにクロノ・トリガーはそんな中毒性のある美しくも知的な音楽に満ち溢れていました。
DESSIDERIUM の音楽にも、当然その中毒性は深く刻まれています。そして彼の目指した夢の形は、狭い箱にとらわれず、ビデオゲームの作曲家、映画音楽、プログロックにインスパイアされた幻想と荘厳を、メタルのエナジーと神秘で表現して具現化されたのです。メランコリーと憧憬を伴った、まだ見ぬ時への期待と淡いノスタルジアを感じさせる蒼き夢。
「OPETH は、僕が最も影響を受けたバンドだろうな。OPETH を知ってから2年ほどは、彼らしか聴かない時期があったくらいでね。彼らの初期の作品は非常に悲劇的でロマンチックで、若くて繊細だった僕の心に深く響いたんだよ」
オープニングの “White Morning in a World She Knows” のアコースティックな憂鬱とメランコリックな美声の間には、明らかに OPETH の作品でも最も “孤独” で Alex 最愛の “My Arms, Your Hearse” の影を感じます。しかし、そこから色彩豊かなシンフォニック・プログレへと展開し、後に KRALLICE ライクなリフが黒々とした “複雑な雑音” を奏でると DESSIDERIUM の真の才能が開花していきます。さながら WILDERUN のように、DESSIDERIUM は OPETH との親和性をより高い次元、強烈な野心、多様なメタルの高みに到達するためのプラットフォームとして使用しているのです。
“Aria” が現代の多くの” プログデス” 作品と異なるのは、”The Persection Complex” が象徴するように、そのユニークで楽観的なトーンにあるとも言えます。Alex は、暗さや痛みの即効薬であるマイナースケールをあまり使用せず、より伝統的なメロディーのパレットを多様に選り分けて描いていきます。
パワー・メタル的な “ハッピー” なサウンドとまでは必ずしも言えないでしょうが、醸し出すドラゴンと魔法のファンタジックな冒険譚、その雰囲気は、ほとんどのエクストリーム・メタルバンドが触れることのできない未知の領域なのですから。そうして陰と陽のえも言われぬ対比の美学がリスナーを夢の世界に誘うのです。
今回弊誌では、Alex Haddad にインタビューを行うことができました。「スーパー・ドンキーコングを差したゲームボーイ・カラーを持ち歩き、ヘッドフォンをつないでゲームの一時停止を押すと、ゲームをプレイしなくてもサウンドトラックが流れ続けたのを鮮明に覚えているよ。僕はヒップホップのアルバムを聴いているようなふりをして、実はゲームの音楽に合わせて架空のラッパーが詩を歌うことを想像していた」もし、OPETH と YES と WINTERSUN が日本のロールプレイング・ゲームのサウンドトラックを作ったら。G(ame) 線上のアリア。そんな If の世界を実現するプロジェクト。どうぞ!!

DESSIDERIUM “ARIA” : 9.9/10

INTERVIEW WITH ALEX HADDAD

Q1: This is the first interview with you. So, at first, could you tell us about yourself? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【ALEX】: I’m a passionate music nerd who was born in Alabama, grew up in California, and currently resides in Arizona. The earliest types of music I enjoyed were video game soundtracks, hip hop, and disco. I distinctly remember carrying around my Gameboy Color loaded up with Donkey Kong Country, having headphones inserted, and pressing pause on the game so the soundtrack would keep playing without me having to play the game. I’d pretend I was listening to a hip hop album and would have imaginary rappers doing verses over the game’s music. It was really fun (laughs).
Rap/Hip Hop was mainly what I grew up listening to because it’s what my oldest sister listened to, and she was like a goddess to me when I was little. In all sincerity though, I did love the music. I still regularly visit my favorite hip hop albums from childhood. As for disco, my Mom got me really into it by showing me albums from Earth Wind and Fire, The Bee Gees, and Michael Jackson. I still adore all that stuff as well.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【ALEX】: 僕はアラバマ州生まれ、カリフォルニア州育ち、現在アリゾナ州在住の熱烈な音楽オタク。最初に楽しんだ音楽は、ビデオゲームのサウンドトラック、ヒップホップ、そしてディスコだったね。スーパー・ドンキーコングを差したゲームボーイ・カラーを持ち歩き、ヘッドフォンをつないでゲームの一時停止を押すと、ゲームをプレイしなくてもサウンドトラックが流れ続けたのを鮮明に覚えているよ。僕はヒップホップのアルバムを聴いているようなふりをして、実はゲームの音楽に合わせて架空のラッパーが詩を歌うことを想像していた。本当に楽しかったよ(笑)。
ラップやヒップホップは、一番上の姉が聴いていたものが中心だった。小さい頃は姉が女神のような存在だったからね。でも、本当に大好きな音楽だったよ。今でも、子供の頃に聴いたヒップホップのアルバムを定期的に聴いている。ディスコに関しては、母が EARTH WIND & FIRE, THE BEE GEES, マイケル・ジャクソンのアルバムを教えてくれて、すごくハマったね。今でも、そういうものは全部好きだよ。

Q2: It seems you are a multi-instrumental player, but what inspired you to start playing music? Who was your musical hero at that time?

【ALEX】: I began with bass guitar at age 11. Geddy Lee from Rush is probably the biggest reason I wanted to learn bass over guitar at the time. That and I thought the bass was just downright cooler since not as many people played it. I loved (and still do love) the bass, but I knew I needed to officially pick up the guitar when I found myself muting my bass’s volume and pretending to play along to Slash’s solos while jamming to Guns N Roses. So that’s when I started to play the guitar as well. My musical hero at the time was Dave Mustaine from Megadeth. I wanted to play like him, look like him, be him… I thought he was pretty sick.

Q2: あなたはマルチ奏者のようですが、楽器の演奏はどうやって覚えていったのですか?

【ALEX】: 11歳の時にベースを始めたんだ。当時、ギターよりもベースを学びたいと思った最大の理由は、RUSH の Geddy Lee だろうな。それと、ベースを弾く人が少ないから、ベースの方が断然カッコイイと思ったのもあるね。
ベースは大好きだったけど(今でも大好きだけど)、GUNS’ N’ ROSES をジャムっているときに、ベースのボリュームをミュートして Slash のソロに合わせて弾くフリをしている自分に気づいたとき、正式にギターを手に入れる必要があると思ったんだよね。それで、僕もギターを弾くようになったんだ。当時の僕のヒーローは、MEGADETH の Dave Mustaine 。彼のように弾きたい、彼のようになりたい、彼になりたい……と思っていたよ。彼は最高にイカしていると思っていたね。

Q3: Dessiderium is your solo project, why did you decide to make music by yourself instead of a band? Why did you choose the name Dessiderium for the project?

【ALEX】: When I started writing music, I didn’t know of a single metal musician in town or how I could go about finding any. Because of that, I was basically forced to start a solo project. With that said I quickly fell in love with working on music alone. So much so that when I joined my first few bands I was pretty turned off by the idea of collaborating when writing. I was too stubborn and not used to having critiques of what I wrote, and was also too uncomfortable with giving feedback to others. Over time though I’ve worked with bands that have shown me that collaborations can work beautifully with the right combination of people. I feel that way currently with Arkaik, for example. Anyways, at this point Dessiderium will always be around and will always be something I write for. It’s become very important for me to have an outlet for my ideas to grow without any restriction.

Q3: DESSIDERIUM はあなたのソロ・プロジェクトですが、なぜバンドではなく自分一人で音楽を作ろうと思ったのですか?

【ALEX】: 作曲を始めた頃は、街でメタル系のミュージシャンを一人も知らなかったし、どうやって探せばいいのかもわからなかった。だから、基本的にはソロでプロジェクトを始めざるを得なかったんだよね。とはいえ、僕はすぐに一人で音楽を作ることが好きになったんだ。
だから、最初にいくつかのバンドに参加したとき、作曲の際に共同作業をするということにかなり抵抗があったんだよ。僕はあまりにも頑固で、自分が書いたものを批評されることに慣れていなかったし、他人にフィードバックを与えることにも抵抗があったんだ。だけど、時を経て、僕はバンドと一緒に仕事をするようになり、適切な人の組み合わせでコラボレーションが美しく機能することを学んでいった。例えば、現在 ARKAIK と一緒にいて、そう感じているんだよ。
いずれにせよ、現時点では DESSIDERIUM は常に存在し、僕が書く作品であり続けるだろう。自分のアイデアを制限なく成長させるためのアウトプットを持つことは、僕にとってとても重要なことだから。

Q4: In your bio, you wrote that you were influenced by Japanese role-playing games when creating your music. Are Japanese games and anime culture important to you? What works have influenced you?

【ALEX】: JRPGs have been a part of my life for a long time, and the experience I have with those games is completely separate from the takeaway I get from any other kinds of games. Usually I play video games for fun, but I play JRPGs for the story, atmosphere, art, character relationships, and of course the music. They’re just so much more than “video games.” They’re like a vacation to another world, and if I’m immersed in something that deeply then it’s bound to affect the music I write. The same could be said for anime. I especially love psychological anime, and some of those shows have left permanent impressions in my mind that have also surely inspired me.
As for specific JRPGS, I’d say that Xenogears, Final Fantasy 7 and 8, Chrono Trigger, and Dragon Quest 11 have all influenced my music in one way or another. For anime, it’d be shows like Tatami Galaxy, Welcome to the N.H.K., Elfen Lied, or Neon Genesis Evangelion. I’ve also been deeply inspired by Hayao Miyazaki movies. In fact, before this project was called Dessiderium it was called Laputa (named after the floating castle from Castle in The Sky.).

Q4: あなたのバイオを読んでいたのですが、日本のロールプレイング・ゲームが音楽を書く際の大きなインスピレーションとなっているそうですね?

【ALEX】: JRPG は長い間、僕の生活の一部だった。日本のロールプレイング・ゲームから得られる経験は、他の種類のゲームから得られるものとは全く別のものなんだよ。普段はゲームを楽しむためにプレイしているんだけど、JRPG はストーリー、雰囲気、アート、キャラクターとの関係、そしてもちろん音楽が好きでプレイしている。ビデオゲームという枠を超えているんだ。別世界へのバケーションのようなもので、そこまで没頭していれば、もちろん僕の書く音楽にも影響を与えているに決まっているよね。アニメも同じだよ。特にサイコ・アニメが好きなんだけど、その中でも特に印象に残っているものからは、必ずと言っていいほどインスパイアされているよ。
JRPG では、ゼノギアス、ファイナルファンタジー7・8、クロノ・トリガー、ドラゴンクエスト11などが、何らかの形で僕の音楽に影響を与えていると思うよ。アニメでは、”四畳半神話大系”、”N.H.K.へようこそ”、”エルフェンリート”、”新世紀エヴァンゲリオン” などが挙げられるだろう。
あとは、宮崎駿の映画にも深く影響を受けていてね。実は、このプロジェクトが “Dessiderium” と呼ばれる前は、”Laputa”(”天空の城ラピュタ” の浮遊城から名づけられた)と呼んでいたくらいでね。

Q5: Musically, have you been influenced by Japanese game soundtracks or Japanese artists?

【ALEX】: Absolutely. Koji Kondo, Nobuo Uematsu, Yasunori Mitsuda, Masato Nakamura, Shoji Meguro, all of these composers have influenced me a great deal through the soundtracks from The Legend of Zelda, Mario, Final Fantasy, Xenogears/Xenosaga, Chrono Trigger/Chrono Cross, Sonic The Hedgehog, and Persona games for example. Video game soundtracks have to be addictive to be good. You have to be able to listen to them for hours on end and still enjoy it, and that’s something I strive for in my own music as well.
As for other Japanese artists, I really can’t say I know too much. I do love a band called Toe that I know is from Japan. Incredibly nice instrumental, math rock kind of stuff. I’ve spent a ton of time with all three of their full lengths. I’ve also found myself addicted to almost anything produced by Yasutaka Nakata. Capsule, Perfume, Kyary Pamyu Pamyu. I enjoy the hell out of those projects. That ridiculously infectious, ultra clean, hyper-pop music just hits the spot for me.

Q5: では音楽的にも、日本のバンドやゲームのサウンド・トラックに影響を受けているのですね?

【ALEX】: もちろんだよ。近藤浩治、植松伸夫、光田康典、中村正人、目黒将司。こういった作曲家は、例えばゼルダの伝説、マリオ、ファイナルファンタジー、ゼノギアス/ゼノサーガ、クロノ・トリガー/クロノ・クロス、ソニック・ザ・ヘッジホッグ、ペルソナなどのサウンド・トラックで僕に大きな影響を与えた人ばかりだよ。ビデオ・ゲームのサウンド・トラックは、中毒性がなければ良いとは言えない。何時間聴いても飽きないようなものでなければならないし、それは自分の音楽でも目指しているところだよね。
他の日本のアーティストについては、あまりよく知らないんだよ。でも、Toe という日本のバンドが好きだな。信じられないほど素晴らしいインストゥルメンタル、マス・ロックのようなサウンドでね。彼らのフル・アルバム3枚を全部聴いて、多くの時間を過ごしたよ。
あとは、中田ヤスタカがプロデュースしたものにはほとんどハマっているね。Capsule、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ。こういったプロジェクトを楽しんでいるよ。あのバカバカしいほど感染力のある、超クリーンなハイパー・ポップミュージックは、まさに僕のツボを突いてきているからね。

Q6: “Aria” is an amazing musical journey, and it says on Bandcamp that it was written between 2013-17. What is the theme of this work?

【ALEX】: That’s right. It’s an older album I wrote during my school years at University. Looking back, I was not at all on the right path during that time. Not pursuing what I was passionate about left me with feelings of depression during that time, and I was desperate for any form of escape. I became deeply attached to my dreams. I’d record them in a journal and think about them all day, and through doing that the dreams became more and more vivid and harder to detach from. Romantic dreams were especially potent, and I think those were what really inspired the music and words on Aria.

Q6: “Aria” は素晴らしい音楽の旅ですね。2013年から17年の間に書かれた音楽だそうですが、どういったテーマを扱っているんですか?

【ALEX】: そうなんだ。”Aria” は大学在学中に書いた古いアルバムなんだよ。今思えば、その頃の僕は全然正しい道を歩んでいなかったんだよね。自分の好きなことを追求しないことで、鬱屈とした感情を抱え、何かから逃れようと必死になっていた時期だった。
それで、自分の夢に深く執着するようになったんだ。日記に記録したり、一日中夢のことを考えたりして夢はどんどん鮮明になり、離れられなくなっていった。特にロマンチックな夢は強烈で、それが “Aria” の音楽と歌詞のインスピレーションになったと思うんだよ。

Q7: Dessiderium is, of course, based on black metal and death metal, but your diverse and progressive music doesn’t really fit into that narrow category, right? Your ambition seems to be very close to Opeth, what do they mean to you?

【ALEX】: Opeth is probably my biggest influence in general. There was a period of two or so years after I discovered them where they were the only band I listened to. Their early work is intensely tragic and romantic, which touched me deeply at that young and sensitive age. They just had this magical flow to everything they wrote where every song just felt so grand and cinematic without ever being overbearing. They also opened to the door for me to explore old progressive rock, black metal, and some doom, which are genres that have also shaped my sound greatly.

Q7: DESSIDERIUM の音楽は、もちろんブラック・メタルとデスメタルをベースとしていますが、それだけに収まりきらない多様性やプログレッシブな側面が強いですよね。その野心が OPETH と非常に似ていると感じたのですが。

【ALEX】: OPETH は、僕が最も影響を受けたバンドだろうな。OPETH を知ってから2年ほどは、彼らしか聴かない時期があったくらいでね。彼らの初期の作品は非常に悲劇的でロマンチックで、若くて繊細だった僕の心に深く響いたんだよ。
彼らの書く曲はどれも不思議な流れを持っていて、どの曲も威圧的でないけれど壮大で映画的な感じがしたんだ。彼らはまた、古いプログレッシブ・ロック、ブラック・メタル、そしてドゥームといった、僕のサウンドを大きく形成したジャンルを探求する扉を開いてくれたんだよね。

Q8: The drums are probably programmed, but if Gene Hoglan or Mike Mangini had played, it would have been a more perfect album. If you could use anyone, who would you use for the drummer?

【ALEX】: Honestly, I would probably just choose to have Brody Smith (the one who programmed the drums) record them. He’s a brilliant musician. It’s amazing working with him because the stuff he programs sounds exactly like his actual drumming. He just has a very distinct style that I love and he can play what he programs. It would be a real treat to have him record live drums for a future album, but he’s a busy man so we’ll have to wait and see!

Q8: アルバムのドラムスは打ち込みだと思うのですが、例えば Gene Hoglan や Mike Mangini が叩いていたら、もっと完璧な作品になったようにも感じました。誰でも選べるとしたら、誰をドラマーに起用しますか?

【ALEX】: 正直、Brody Smith(ドラムのプログラミングを担当した人)に録音してもらうことを選ぶかもしれないね。彼は素晴らしいミュージシャンだから。彼がプログラミングしたものは、実際の彼のドラミングとまったく同じに聞こえるから、彼と一緒に仕事をするのは素晴らしいことだよ。
彼は、僕が好きな独特のスタイルを持っていて、プログラムしたものを演奏することができるんだ。今後のアルバムで彼に生ドラムを録音してもらえたら、本当に嬉しいんだけど、彼は忙しい人だからもう少し待ってみることにするね!

TEN ALBUMS THAT CHANGED ALEX’S LIFE

MEGADETH “RUST IN PEACE”

OPETH “MY ARMS, YOUR HEARSE”

WINTERSUN “WINTERSUN”

BAL-SAGOTH “BLACK MOON/STARFIRE BURNING…”

MAUDLIN OF THE WELL “BATH/LEAVING YOUR BODY MAP”

KATATONIA “BRAVE MURDER DAY”

YES “CLOSE TO THE EDGE”

CAMEL “MOONMADNESS”

MESSAGE FOR JAPAN

I have many warm memories of Japan from a trip I took there years ago with my Father. I actually got to see Obscura perform in Tokyo during that trip, and ever since that show it has always been a dream of mine to perform in Japan one day. The first Dessiderium album has a song called Land of the Rising Sun, and it’s about viewing Japan as a sort of symbol for all of the adventures I’d hoped music would take me on. With all that said, hopefully we can all party together one day!

日本には、何年も前に父と行った旅行で、たくさんの温かい思い出があるんだ。その旅行中に東京で OBSCURA のライブを見ることができて、それ以来、いつか日本でライブをすることが僕の夢だった。DESSIDERIUM のファーストアルバムに “Land of the Rising Sun” という曲があるんだけど、この曲は日本を、僕が音楽に連れて行ってほしいと願っていた冒険の象徴のように捉えているんだよ。というわけで、いつかみんなでパーティーができるといいね!

ALEX HADDAD

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【EVERY TIME I DIE : RADICAL】


COVER STORY : EVERY TIME I DIE “RADICAL”

“This Record Is Just Very Pro-good Human Being. Pro Spirituality. Pro progress…”

RADICAL

アルコール依存症、結婚生活の困難、そして悪化する実存的危機と闘いながら、EVERY TIME I DIE のフロントマン Keith Buckley はどん底に落ちていました。バッファローの英傑たちが満を持して発表した9枚目のアルバム “Radical” はそんな地獄からの生還を綴ったロードマップであり、Keith にとって重要な人生の変化を追った作品と言えます。
前作 “Low Teens” からの数年間で、Keith は自分の人生と目標を再評価する時間を得られました。それは Keith にとって大きな転機となり、より健康的で楽観的な生活態度を取り戻すことにつながりました。同時にその変化は新譜にも深く刻まれ、プロジェクトに新鮮な音楽的アプローチをもたらすこととなるのです。”Radical” は、バンドのスタイルにおける限界を押し広げると同時に、彼らの特徴である視点を、より賢明で全体的な世界観へと再構築することになりました。鮮やかなカバーアート、狂気じみた新曲、そして迫真の演奏のすべてが、”ラディカル” な時代の “ラディカル” な心に寄り添う、2021年に相応しい作品でしょう。
あまりにも長い間、Keith Buckley は自分自身よりも、バンドやソング・ライティングに対して正直で居続けてしまいました。2020年3月に9枚目のアルバム “Radical” の制作を終えたとき、EVERY TIME I DIE のフロントマンはまだ酒に飲まれていて、家庭生活の静かな平穏とツアーの喧騒なる混沌を調和させるのに苦労し、何かが正しくないという逃れられない感覚と格闘し苦戦していました。ニューヨーク州バッファローにある GCR Audio の赤レンガの要塞の中で、信頼するプロデューサー、Will Putney と共に彼が絞り出した歌詞は、閉所恐怖症と限界に達した魂の不満が滲んでいましたが、それでも彼はまだなされるべき変化と折り合いをつけたばかりであったのです。
「自分の居場所がないことを知るために、自分の人生の惨めさを書く必要があったんだ」
Keith は率直に語ります。「一度アルバムが出たら、以前の自分には戻れないとわかっていた。だからこそ、”急進的な革命” なんだよ」
2016年にリリースした8枚目のLP “Low Teens” まで時を巻き戻しましょう。当時の妻Lindsay と娘 Zuzana の命を救った緊急帝王切開は成功しましたが、そのストレスと不安によって煽られた節目、その感情と衝動は Keith の曲作りに対する鮮明さと即応性を変化させました。彼は、アイデアをバラバラにするのではなく、生きたシナリオ、あるいは潜在意識の奥底から抜き出したシナリオを描くようになったのです。そうして彼は、これからの作品には引き金となる何か同様のトラウマ的な出来事が必要だろうとつぶやいていました。
2019年後半には EVERY TIME I DIE にとってのルーティンである2~3年のアルバム・サイクルは終了していました。一見、そのようなトラウマや傷は存在しないようにも思えましたが、Keith が自分の皮膚の下を掻きむしると、刺激の欠如がより深く、より深い不満の症状であることを伝え始めたのです。
「自分を見つめ直し、自分がどん底のアルコール依存症であることに気づいた。最悪の夫であり、おそらく最悪の父親だった。間違いなく最悪の自分だったんだ」

19ヵ月後、すべてが変わりました。Keith は1年間断酒を続け、妻とは別居しています。晴れた日の午後、都会から100マイル離れた森の中で娘の Zuzana とキャンプを楽しんでいます。そして、”Radical” がようやく日の目を見ることができたのは、16曲のアルバムに込められた自分の意志による変化を完全に理解し、それを実現する時間があったからだと、彼は強調するのです。「以前の自分に戻るつもりはなかったんだ…」と。
“AWOL”(「私たちの間の空間は、血も指紋もない犯罪現場のようだ」)や “White Void”(「暖かさが消えれば、終わりはただ永遠に続く/ここにいる必要はない、このまま生きる必要はない」)といったトラックには、ほとんど解釈の余地はありません。
「正直なところ、このアルバムには、自分が答えを出さなければならないと思って書いたことがあるんだ。このアルバムには道徳的な宣言が詰まっているよ。曖昧さがないんだ。脇道へそれることもない。花形的な比喩もない。俺は、人々がクソのように扱われ、俺自身もクソのように扱われることにうんざりしていると言っているんだよ」
当初、このパンデミックは立ち止まって考えるきっかけになりました。Keith は何年も前から家族を残してツアーに出ることを心配していました。だからこそ、今5歳になる Zuzana とロックダウンで一緒に過ごす時間は、次にいつ荷物をまとめなければならないかという心配をせずに済むとてもほっとするものだったのです。
「自分の人生を思い切って変えてみたんだよ。パンデミックですべてが頭打ちになったんだ。というのも、このアルバムはその時すでに作曲とレコーディングを終えていたからね。パンデミックは、実際にはレコードにまったく影響を与えなかったけど、レコードの生き方には影響を与えたよ。”Post-Boredom” のような曲は、パンデミックの後、新しい意味を持つようになった。”Dark Distance” のような曲は、パンデミックの前に、疫病が起こるように頼んでいることを今思えば少し奇妙に見えるな。
これらの曲は、俺が抱いていた恐れを顕在化させなければ、充実した人生を送れないと思ったことを歌っている。俺はパンデミックに耐え、その間に自分の人生を本当に変える必要があることに気づいたんだ。何かが間違っていると思った。そして、自分自身の真実を見つけ、それを受け入れ、それに従って生きていこうと決めたんだよな。まさにラディカルな時期だった」
実際、”Post-Boredom” は、バンドがこれまでに作った曲の中で、最も奇妙で最もキャッチーな曲かもしれません。パンク・ロックのエネルギーに満ちたこの曲は、異世界のブリッジセクションを誇り、強烈なクレッシェンドと “私の消滅” というリフレインがリスナーの精神に深く入り込むサビが特徴的で、絶対的に耳に残る曲。Keith はこのフレーズを信頼できる歌詞ノートに書き留め、ずっと曲の中で使いたいと考えていました。
「正直言って、このフレーズを歌うのは楽しいんだ。FALL OUT BOY のJoe Trohman と Andy Hurley と一緒に THE DAMMNED THINGS に参加して学んだことの一つは、彼らは文字通りナンバーワンのヒットシングルを出していて、時に人々は言葉の意味より語感を好むということを理解しなければならないということ。曲の意味という十字架に、いつも釘付けになる必要はないんだ。このフレーズは俺にとってとても中毒性があるように思えたし、それを使うことができてうれしいよ」
Keith はボーカリストですが、ゲストボーカルを招いてアルバムをさらに向上させることに躊躇がありません。
「MANCHESTER ORCHESTRA の Andy Hull は俺の世代におけるアート・ガーファンクルのような存在だから、本当に感謝している。サイモン&ガーファンクルが大好きだから、これは最高の賛辞として言っているんだ。Andy と俺との間には、友達以上の深いつながりがあるように感じるんだ。何に対しても同じような視点を持っているんだ、わかるだろ?それで、”Thing With Features” ができたんだ。Andy はスピリチュアルな人だし、たぶん宗教的でもあると思うんだ。この曲は亡くなった俺の妹のことを歌っているんだ。だから彼が参加することは俺にとって重要だった。なぜなら、彼なら歌詞を理解し、その内容を伝えれば、それを感じてくれると思ったからだ。そう、彼はそれを感じてくれたんだ。スタジオでそれを聴いた人たちはみんなそれを感じて、涙が出ていたよ。だから、本当に素晴らしい経験だったよ」

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SEEYOUSPACECOWBOY : THE ROMANCE OF AFFLICTION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CONNIE SGARBOSSA OF SEEYOUSPACECOWBOY !!

“The Romance of Affliction” Is The Satirical Side As a Call Out To The Romanticization Of Things Like Mentel Health Struggles And Addiction That I Feel Aren’t Things To Be Romanticized Cause I Live With It And Its Not Something Anyone Should Look At Positively.”

DISC REVIEW “THE ROMANCE OF AFFLICTION”

「このアルバムでは、バンドを始めたばかりの頃に持っていたカオスや奇妙さ、それに生意気さや皮肉を取り戻したいと思っていたの。その予測不能な奇妙さにメロディと美しさを融合させられるかどうか、自分たちに挑戦したかったのよね」
混沌と厳しさと審美の中で生きる宇宙のカウボーイが放った最新作 “The Romance of Affliction”。EVERY TIME I DIE の Keith Buckley、UNDEROATH の Aaron Gillespie、If I Die First、そしてラッパー Shaolin G といった幅広いゲストが象徴するように、この苦悩のロマンスではデビューLP “The Correlation Between Entrance and Exit Wounds” で欠落していた初期の混沌と拡散、そして予測不可能性が再燃し、見事に彼らの美意識の中へと収束しています。ドロドロと渦巻くマスコアの衝動と、ポスト・ハードコアの甘くエモーショナルな旋律との間で、両者の軌道交わる最高到達点を目指した野心の塊。
初期のEPと数曲の新曲を集めた “生意気” に躍動するコンプ作品 “Songs for the Firing Squad” と比較して “Correlation” は暗く、悲しく、感情的に重い作品だったと言えるでしょう。それはおそらく、ボーカル Connie Sgarbossa の当時の状況を反映したものでした。重度の薬物依存性、体と心の不調、そしてそこに端を発する人間関係の悪化。大げさではなく、オーバードーズで死にかけたことさえありましたし、友人は亡くなりました。
「多くの依存症者は、社会的な汚名を被ることを恐れてそれを口にすることができず、一人で苦しみ、不幸にも人生を壊してしまうか、ひどい時は死んでしまう。私は、この汚名を少しでも払拭し、人々が一人で負担を背負う必要がないと感じられるように、この問題について話し助けを与えることができるようにしたいのよ。誰かがオーバードーズで亡くなった後にはじめて、その人が薬物の問題を抱えていたと知ることがないようにね」
Connie は今も依存症と戦い続けています。最近では、SNS で自身が重度の依存症であることを明かしました。それは、依存症が一人で抱えるには重すぎる荷物だから。同時に自らが悲劇と地獄を経験したことで、薬物依存が映画の中の、テレビの中の、クールなイメージとはかけ離れていることを改めて認識したからでした。
「メンタルヘルスや依存症といったものがロマンチックに語られることに警鐘を鳴らす意味があるの。私はそれを抱えて生きているからこそ、肯定的に捉えてはならないものだと感じているのよ」
自分のようにならないで欲しい。そんな願いとともに、”The Romance of Affliction” は Connie にとってある種セラピーのような役割も果たしました。音楽に救われるなんて人生はそれほど単純じゃないと嘯きながらも彼女がこれほど前向きになれたのは、弟の Ethan 以外不安定だったバンドの顔ぶれが、オリジナル・メンバー Taylor Allen の復帰と共に固まったことも大きく影響したはずです。そしてそこには、KNOCKED LOOSE の Isaac Aaron のプロデューサーとしての尽力、貢献も含まれています。
依存症者が依存症者に恋をするという、三文オペラのような筋書きの、それでいて興味を示さずにはいられないオープナー “Life as a Soap Opera Plot, 26 Years Running”。Connie はこの曲で、ドラッグやセックスに溺れる依存症の実態を描き、「みんなは結局こういう話が好きなんでしょ?でもそんなに良いものじゃない」 と皮肉を込めてまだまだ緩い、炎の中で燃えたいと叫び倒します。まるでパニックのような激しいギターとスクリームの混沌乱舞は、あの FALL OF TROY でさえ凌いでいるようにも思えますね。
“Misinterpreting Constellations” や “With Arms That Bind and Lips That Lock” では、今回バンドが追い求めた予測不能と予定調和の美しき融合が具現化されています。狂気の暗闇を縦糸に、メロディックな光彩を横糸に織り上げたカオティック・ハードコアのタペストリーはダイナミックを極め、3人のボーカリストがそれぞれ個性を活かしながら自由にダンスを踊ります。もちろん、ジャズ、メタルコアのブレイク・ダウン、唐突のクリーン・トーン、本物のスクリーム、そしてデチューンされたギター・ラインが混在する “Anything To Take Me Anywhere But Here” を聴けば、彼らのアイデアが無尽蔵であることも伝わるでしょう。
重要なのは、宇宙のカウボーイが、往年のポスト・ハードコア、メタルコア、マスコアのサッシーなスリル、不協和音、エモポップのコーラス、メロディックな展開に影響を受けつつ、人間らしさを失わずに洗練されている点でしょう。Connie の想いが注がれたおかげで。
今回弊誌では、Connie Sgarbossa にインタビューを行うことができました。「カウボーイ・ビバップ” のエンドカードとフレーズは私にとって常に印象的で、私はずっとあのアニメのファンでもあったから名前をとったのよ」 どうぞ!!

SEEYOUSPACECOWBOY “THE ROMANCE OF AFFLICTION” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PAPANGU : HOLOCENO】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PAPANGU !!

“Northeastern Brazilian Music Made a Huge Impact On Me Ever Since I Was a Kid. Being Influenced By This Kind of Music Is One Of The Main Aspects Of Our Music, Because I Think There Aren’t That Many Rock Or Metal Bands With That Sort Of Influence.”

DISC REVIEW “HOLOCENO”

「ブラジル北東部の音楽は、子供の頃から僕に大きな影響を与えてきた。そうした音楽に影響を受けたことは、僕たちの音楽の大きな特徴の一つなんだよね。だって、そこから影響を受けたロックやメタルのバンドはそれほど多くはないと思うから。ただ、ブラジルの文化には音楽だけでなく、詩や文学、映画それらすべてから大きな影響を受けているよ」
メタルの生存能力、感染力はコロナウィルスをも上回っているのではないか。そしてこのパンデミックで荒廃した地球に光をもたらすのはメタルなのではないか。そう思わざるを得ないほど、ヘヴィ・メタルは21世紀において世界のあらゆる場所に根付き、人種、宗教、文化を乗り越えあらゆる人たちの希望としてその輝きを増しています。
「ANGRA や SEPULTURA が巨大すぎて、自分たちの違いというか個性を捨ててまでその音を追求しようとするバンドが出てきてしまうんだよね。それ自体は悪いことではないし、結局人は自分がやりたいと思うことをやるべきだと思うんだけど、それでもせっかくの音の多様性が損なわれてしまっているように感じるね」
メタルが世界に拡散したことで受ける恩恵は様々ですが、リスナーにとって未知の文化や言語、個性といった “違い” を楽しめることは大きな喜びの一つでしょう。そして、ブラジルから登場した PAPANGU は、その “違い” を何よりも大切にしています。もちろん、ブラジルは世界でも最もメタルの人気が高い場所の一つで、ANGRA, SEPULTURA といった巨大なバンドをいくつか生み出してはいますが、ペルナンブーコの伝統的モンスターの名を冠した PAPANGU はブラジル北東部のリアルな音や声を如実に反映することで、メタルの感染力をこれまでより格段に高めることに成功しました。
「スラッジ、プログ、ブラジル北東部の音楽をミックスしたものが、今のところ僕たちのサウンドのDNAになっている」
プログ世界の問題児 MAGMA が率いた無骨でメタリックな Zeuhl。そのウルトラ・ジャジーで壮大なリズムは間違いなく “Holoceno” の根幹となっています。もちろん、KING CRIMSON の変幻自在でアグレッシブな音選びの妙、スタッカートと休符の呼吸も。ただし、このアルバムの全体的なサウンドは非常に暗く、怒りに満ちていて、時には嘆きさえ溢れています。悲しみと怒りの音楽を表現するのに、あの分厚くてファジーでスラッジーな MASTODON の実験性以上に適した方法があるでしょうか? 例えば、MASTODON と MAHAVISHNU ORCHESTRA が全力でせめぎ合うジャム・セッションが実現したとすれば PAPANGU のようなサウンドかもしれませんね。そうして彼らは、そこにブラジル北東部、ノルデスチの風を運びます。
アルバムでも最もカオティックでアヴァンギャルドな “São Francisco” は現在の PAPANGU を象徴するような楽曲。ファンキーで強烈なラテンのグルーヴから、身体を噛み砕くようなプログ・メタルの妙技、そしてサウダーヂにも通じるダークで美しいメロディアスなセクションへとシームレスにつながり、”プログレ” らしい構築美とは遠く離れた MARS VOLTA 以降の官能性とリビドーを全面に押し出していきます。それは “恐れのないプログ” の鼓動。
「僕たちがノルウェーのロック/メタル/プログのアーティストをたくさん聴いて楽しんでいるから、このつながりが生まれたんだよね」
PAPANGU の “恐れのなさ” は、現在メタル世界で最も革新的な場所の一つ、ノルウェーとのつながりをも生み出しました。LEPROUS, Ihsahn, ENSLAVED, SHINING, ULVER など挙げればキリがありませんが、”違い” を何より重んじるノルウェーの水は PAPANGU のやり方とあったのでしょう。SHINING の Torstein がドラムを叩き、SEVEN IMPALE の Benjamin がサックスを吹き、実力派エンジニアの Jorgen がミキシングを施した “Holoceno” は最先端のモダン・メタルとして完璧なサウンドと野心までをも宿すことになりました。
「右翼政治の現状を厳しく批判しているんだ。ボルソナロと彼の政府は、憎しみと破壊と無謀な愚かさという、最悪の政治の最も身近な代表者と言えるね。人類はすでに多くの問題を抱えていて、世界は有害な気候変動とその自然や社会への影響で下り坂になっている。ボルソナロやトランプ、トルコのエルドアンのような人物は、終末を必要以上に近づけようとしているように見えるんだ」
ポルトガル語で歌われる歌詞は多くの人が理解できないかもしれませんが、それでも彼らはポルトガル語で歌う必要がどうしてもありました。自分たちの言葉で歌わなければ、”真実” も “ウソ” になってしまう可能性を彼らは知っていたからです。失われるアマゾンの自然、パンデミックの脅威に対して手をこまねくばかりか悪化させ続け、私腹を肥やす大企業や政治家。ブラジル北東部の悲しみや怒りは、ポルトガル語でなければ表現不能なサウダーヂなのですから。
今回弊誌では、PAPANGU にインタビューを行うことができました。「PAPANGU という名前は、最初の曲を作り始めたときに思いついたもので、僕たちの地域、人々、住む人の苦悩、そして僕たちの物語について語りたいと思ったのがきっかけだよ」どうぞ!!

PAPANGU “HOLOCENO” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THY ROW : UNCHAINED】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MIKAEL SALO OF THY ROW !!

“What Always Drew Me Into Japanese Music Was The Melodies – I Feel That Japanese Metal Bands Always Keep The Focus On The Melody, Like a Redline Running Through The Song. This Is Extremely Important To Me Also In My Own Music.”

DISC REVIEW “UNCHAINED”

「僕が日本の音楽に惹かれたのは、メロディーなんだ。日本のメタル・バンドは、曲の中を走る赤い線のように、常にメロディーに焦点を当てていると感じるよ。これは、僕自身の音楽においても非常に重要なことなんだ」
才能溢れる多くのバンドを抱えながら、さながら鎖国のように世界への輸出を拒んできた日本の音楽世界。イメージや言語、そして理解されない珠玉メロディーなどその理由はさまざまでしたが、近年はそんな負の連鎖から解き放たれつつあります。アニメやゲームといった日本のコンテンツが抱擁されるにつれて、永久凍土に見えた音の壁が緩やかに溶け始めたのかもしれません。そして、フィンランドの THY ROW は衝撃のデビュー・アルバム “Unchained” において、日本の音楽が持つクリエイティブな可能性とその影響を惜しみなく解放しています。
「歌を録音することはとても負担が大きく、感情的なプロセスで、歌い終えた後はいつも疲れてしまう。でも、もし誰かの心をどこかに動かし、その曲の意味やストーリーを感じてもらうことができたら、ボーカリストとしての目標は達成できたと思うんだよ」
枚方に一年間留学し、日本語や日本文化、そして感情の機微を胸いっぱいに吸い込んだボーカリスト Mikael Salo は、THY ROW の音楽へと日本の空気を思い切り吐き出しました。
坂本英三、森川之雄。こぶしの効いた浪花節を思わせる、すべてが熱く “Too Much” な二人の歌声は Mikael の心を動かし、憑依し、アルバムに感情の津波を引き起こすことになりました。おそらくは、ANTHEM がこれまで世界にあまり受けいれられなかったのも二人の歌唱が、メロディーが、きっとあまりに “日本的” だったからで、その部分が雪解けとなった20年代では、Mika のようなユーロと日本のハイブリッドの登場もある意味では当然でしょう。ANTHEM は何十年も、ただ最高のメタルを作り続けているのですから。
「”Burn My Heart” や “Destiny” は完璧なパワー・メタルだけど、”Still Loving You” や “Destinations”のような曲は、彼らのスタイルの多様性を示していて、息を呑むような音楽性によってパワー・メタルの曲作りのルールを曲げているよね。驚きだよ!」
THY ROW に影響を与えた日本の音楽は ANTHEM だけではありません。GALNERYUS や X JAPAN の “パワー・メタル” の枠だけには収まらない千変万化の作曲術も、THY ROW にとって不可欠な養音となりました。そうして彼らは、ロックとメタルの境界線の間でバランスを取りながら、メロディーに重点を置き、時折ラジカルなギターソロとマジカルな展開を交え、ビッグなコーラスによって感染力の高い楽曲を完成させてきたのです。
「制作面では、ミキシング・エンジニアの Jussi Kraft(Starkraft Studio)と一緒に、AVENGED SEVENFOLD のアルバム “Hail To The King” を参考にしたんだよね。音楽的には、モダンな影響ならブラジルのバンド ALMAH や、アメリカのバンド ADRENALINE MOB みたいなバンドが思い浮かぶね」
重要なのは、彼らが過去の亡霊に囚われてはいないこと。手数の多いドラムの騒然は MASTODON の嗎に似て、耳を惹くオルタナティブなフレーズは INCUBUS の異端にも似て、クランチーなリフワークとサウンドは QOTSA のエナジーにも似て、THY ROW の音楽を80年代と20年代の狭間に力強く漂わせるのです。冒頭、”Road Goes On” や “The Round” といった真のアンセムを誇示する一方で、アルツハイマーをテーマとしたダークでプログレッシブな “The Downfall” 三部作でアルバムを閉める構成力も素晴らしいですね。
今回弊誌では、Mikael Salo にインタビューを行うことができました。「当時、間抜けなティーン・エイジャーだった僕は、兄にかなり失礼な質問をしてしまったんだよね。”ヘヴィ・メタルって、ドラッグをやったり、タトゥーを入れたりしている人たちのものじゃないの?”って。でも賢明な兄はこう答えたんだ。”そんなことはないよ、美しくて情熱的な音楽だから、ぜひチェックしてみて!”」THY ROW の音楽も十二分に美しく、そして情熱的です。どうぞ!!

THY ROW “UNCHAINED” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KAYO DOT : MOSS GREW ON THE SWORDS AND PLOWSHARES ALIKE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOBY DRIVER OF KAYO DOT !!

“It Was Mindblowing To Me When I Discovered That There Were Bands That Blended Death Metal With Sludge And Atmospheric Keyboards, Such As Tiamat, Disembowelment, My Dying Bride, Anathema, And Many Others. That Became My Favorite Style Of Music.”

KAYO DOT “MOSS GREW ON THE SWORDS AND PLOWSHARES ALIKE”

「パンデミックの影響で、私は街から離れ、友人や他のミュージシャンとも離れて孤立せざるを得なかった。すべての作品を孤独の中で作らなければならなかったんだよ。当時は精神的にかなり参っていたけど、振り返ってみると、あれは私にとってまさに必要な休暇だったと思えるね。都会の喧騒や過酷な生存競争に巻き込まれることなく、自分自身で大きく成長することができたからね」
メタル/プログレッシブの世界で異端の道を歩み続ける修道僧、KAYO DOT の Toby Driver。彼は、パンデミックの影響により都会から離れ、自然豊かな地元コネチカットの田舎の暮らしで自身を見つめ直すことになりました。そこで再訪したのが、高校時代に愛した Toby のルーツとも言えるレコードたちでした。
「TIAMAT, DISEMBOWELMENT, MY DYING BRIDE, ANATHEMA みたいに、デスメタルにスラッジやアトモスフェリックなキーボードを加えた音楽を知ったときは、驚かされたよね。そして、それが私のお気に入りの音楽スタイルになったんだ」
当時、アメリカの田舎町でヨーロッパのゴシック・ドゥームメタルを愛聴していた若者がいったい何人いたでしょう?さらに、それを聴きながら幽体離脱の瞑想をしていたというのですから、Toby Driver という人物の超越性、異端児ぶりには恐れ入ります。
時は90年代初頭。メタルが遂に “多様性” を手に入れ始めたカラフルな時代の息吹は、青年だった Toby の音楽形成、境界を破壊する才能に大きく寄与することとなります。そうして、MAUDLIN OF THE WELL というプログレッシブ・メタルから始まった彼の音旅は、KAYO DOT でのアヴァンギャルド、ポスト・メタル、アトモスフェリック、チェンバー、エレクトロニカの寄港地を経て再びゴシック・ドゥームの地へと舞い戻りました。
「90年代に活躍したバンドを思い浮かべると、たしかにあの頃のミュージシャンたちは皆とても若くて、音楽に成熟したものを期待することはできなかったよね。私は、あのゴシック・ドゥームという音楽が、成熟していて、経験を積んでいて、しかもまったく新しいもののようにエキサイティングだとしたら、どのように聞こえるだろうかと自問したんだ」
しかし、Toby のその長旅は、すべて最新作 “Moss Grew on the Swords and Plowshares Alike” の養分となり、未成熟で不器用だったあのころのゴシック・ドゥームを完成させるパズルのピースとなりました。言ってみればこのアルバムは、過去への感謝の念を抱いた自由意志の結晶。
「今回は、アーティストとして意味のある音楽を演奏するだけでなく、私たちが所属している Prophecy Productions というレーベルにマッチした音楽を演奏して、お互いに成長できるようにしたいと思っているんだ」
レーベルに合わせて音楽を書く。そんな試みもまさしく前代未聞ですが、それを実現できるのが日本ツアーであの平沢進までカバーした音楽の図書館こと Toby Driver。”The Knight Errant” はそんな KAYO DOT の “錬金術” を象徴する絶景。欧州に根差すブラック・メタルの激しい敵意とゴシックの耽美、さらに LYCIA のようなアメリカのシューゲイズ、そして ULVER や THE CURE といった Toby の “お気に入り” が調合された謎めいたアンチマターは、非常に “Prophecy 的” でありながら純粋で、驚きを秘め、感情を雷鳴のように揺さぶります。KAYO DOT の哲学には明らかに、野蛮とエレガントの巧妙な天秤が設置されていて、どちらか一方に傾くことはありません。
“Eternity” 時代の ANATHEMA を想起させる “Void in Virgo (The Nature of Sacrifice)” を聴けば、よりメタルだったころの Toby を喚起した MAUDLIN OF THE WELL のメンバーを招集した意味も伝わるはずです。シンコペーションとギターのアルペジオが彩る “Necklace” はまさにあのころのゴシックの申し子でしょうが、それよりも自由と伝統の共存、まさに90年代のゴシック・ドゥームの美学を KAYO DOT の豊富な “スペクトル” で調理した “Spectrum of One Colour” にこそこの作品の本質があるのかもしれませんね。
北欧神話や一神教を表のテーマとしながら、実際は世界に蔓延するヒーロー気取りの愚か者を断罪する。それもまた自由と伝統の共存なのでしょう。
今回弊誌では、Toby Driver にインタビューを行うことができました。「私は彼の音楽がとても好きで、東京にある “Shop Mecano” (中野ブロードウェイ) というプログレのレコード店にも足を運んだんだよね。ここは都内でも平沢さんの音楽を扱う主要な業者のひとつなんだろうか?沢山あったからDVDを何枚も買ってしまったよ (笑)」4度目の登場。もはやレギュラーですね。どうぞ!!

KAYO DOT “MOSS GREW ON THE SWORDS AND PLOWSHARES ALIKE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【RIVERS OF NIHIL : THE WORK】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRODY UTTLEY OF RIVERS OF NIHIL !!

“It Is Absolutely Possible To Have The Singular Focus Of Your Idealized Art, You Just Have To Be Willing To Put Off All Of The Things That We’ve Been Raised To Believe Are Necessary Components Of What Makes a Life Fulfilling And Meaningful.”

DISC REVIEW “THE WORK”

「ロックダウンは、閉じこもって腰を据え、これまで以上にクリエイティブな作業に没頭する絶好の機会となったんだ。当時、世界で起こっていたすべてのことを考えると、もう二度とバンドとして一緒に音楽を演奏することはないだろうと思えてね。だから、ある意味では最後のアルバムになると思って書いていたのかもしれないよね」
ペンシルバニア RIVERS OF NIHIL は、本質的な意味でのプログレッシブな要素と、付け焼き刃とは正反対のクリーンな歌唱を着実に取り入れ、シーンの中で傑出した存在となったエクストリーム・メタル・アンサンブル。2018年の “Where Owls Know My Name” でプログレッシブ・デスメタルの最先端を書き換えた彼らは、最期を意識し不退転の決意で臨んだ “The Work” においてまさに堅忍不抜、パンデミックという冬の情景を誰よりも克明に、さながら名作映画ように深々と映し出してみせました。
「”The Work” は間違いなく四部作の終わりを告げる作品なんだ。僕たちのこれまでの4枚のレコードは、それぞれ季節を表していてね。”The Conscious Seed of Light” は春、 “Monarchy” は夏、”Owls” は秋、そして “The Work” は冬なんだよ。冬というのは心の状態も表している。長い間、落ち込んだり、絶望したり、不安になったりする心の状態は、アメリカの北東部で経験する冬とよく似ているんだ」
最も困難で予測不能な季節。冬に託されたそんなイメージは、そのまま “The Work” の音楽にも当てはまります。冷たく機械的な極端さと、有機的な暖かさや適切に配置されたメロディが絶妙に混交した “Owls” がある意味万人受けする秋だとすれば、野心的で、瞑想的で、変化に富んだ超越的な “The Work” はすべてを受け入れるために時間を要する冬の難解そのものなのかも知れません。厳しくて冷たい不可解な世界。しかし最後に到達するのは肉体的、精神的、感情的な満足感です。
「自分の理想とする芸術に集中することは絶対に可能だよ。ただ、自分の完璧な芸術的ビジョンにすべてを捧げたいのであれば、人生を充実させ、意味のあるものにするために必要であると信じられてきたすべてのものを喜んで捨てなければならないんだ」
アルバムに込められたメッセージは、リスナーに内省を促し、人生をより本質的な価値のある、意味のあるものにしていくこと。”The Work” “仕事” とはいったいなんのための仕事なのか。自分の人生を生きるという、簡単なようで実に難しい不可能にも思える命題こそ彼らの魂。それがパンデミックであれ、大統領選であれ、アートワークの分断された世界においても、黙々と光の中で音楽を作り続けたのがインタビューの回答者である Brody Uttley であり、RIVERS OF NIHIL でした。つまり、パンデミック、冬という厳しい季節においても、不撓不屈の精神さえあれば心の充足、魂の浄化は必ず得られるのです。
「多くのバンドが、よりプログレッシブなサウンドに向かうにつれて、ヘヴィーな瞬間、その激しさを失っていく傾向があると思うんだ。でもその要素を完全に捨ててしまうのは愚かなことだよ。というのも、僕たちはヘヴィーな要素を “絵画” の “色” として使うことに長けているからね。僕たちは “プログレッシブ” というものを自分たちのやり方で表現したかったんだ」
冒頭の “The Tower (Theme from The Work)” は、そのテーマと音楽の両方で、アルバムの本質を伝えます。荘厳で幽玄なピアノに始まり、悲しくも不吉な歌詞が寒々としたジャズ・メタルの世界を彩ります。アレンジにも工夫が施され、サックスやパーカッションといった “アウトサイド・メタル” な音色が心に残る響きを加えていきます。ボーカリスト Jake Dieffenbach が、最終的にトレードマークであるグロウルへ到達するまでの RIVERSIDE にも似た穏やかな不安感が、何よりもこの冬のアルバムを完璧に表現しているでしょうか。
実際、このアルバムには穏やかに、緩やかに、内省的で多面的なダイナミズムの断片が散りばめられています。ほとんどラジオ・フレンドリーと言えるほどポップで、ストレートなリズムにクラシック・ロックのギターソロまで認めた “Wait”、AYREON や PINK FLOYD のサイケデリックな宇宙に “Tower 2″ のアコースティックな響き。一方で、”Dreaming Black Clockwork” や “Focus” には NINE INCH NAILS を想起させるインダストリアルで凶暴な冷酷と混沌が封じられています。
クライマックスはアルバムの最後を飾るトリロジー。繊細で、ミニマルで、アンビエントで、爆発すれば荘厳壮大、咽び泣く音の壁、ディストピア的邪悪なノイズの連射。Brody が最近の愛聴盤に MOGWAI や DEAFHEAVEN, RADIOHEAD を挙げているのは、アルバムを紐解くためのちょっとしたヒントなのかもしれません。ポスト・ロックやポスト・メタルをデスメタルの側から解釈したようなダイナミズムと激情の26分は、このバンドがどれほどすべてを投げ打ってアートに捧げているのか、変化を恐れない人間たちなのか、それを証明するに十分な音のメッセージだと言えるでしょう。
今回弊誌では、リード・ギタリストでキーボードもこなす Brody Uttley にインタビューを行うことができました。「典型的な人生の青写真に従わない人は真のヒーローで、僕にとって常に刺激的な存在なんだ」 二度目の登場。どうぞ!!

RIVERS OF NIHIL “THE WORK” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【DEAFHEAVEN : INFINITE GRANITE】


COVER STORY: DEAFHEAVEN “INFINITE GRANITE”

“If Sunbather Was Summery High Noon, Then Infinite Granite Is The Early Morning.”

ROADS TO INFINITE

2020年の大半を、George Clarke は夜明けの淡い光を見つめながら過ごしました。本来ならばステージや大自然の中で過ごすはずのエネルギーを蓄えていた DEAFHEAVEN のフロントマンは、ロックダウンでロサンゼルスのアパートの壁に囲まれたまま、不眠症になってしまったのです。しかし、ただ静けさの中で煮詰まるのではなく、その厳しい美しさに魅了され、午前3時から6時の間に執筆活動を行い、夜の深い闇が昼の露に溶けていくのを繰り返し眺めていたのです。
DEAFHEAVEN 5枚目のLP “Infinite Granite” は、そうした深夜のセッションの結果として、地平線上の光の反射のように生まれました。2018年の “Ordinary Corrupt Human Love” ではまだ残していたメタリックな重さの多くを捨てて、シューゲイザーとアヴァンギャルドなポストロック・サウンドへと大胆にコミット。繊細なメロディとアトモスフィアの9トラックを収録しています。では、George にとって “Infinite Granite” とはどういった存在なのでしょう?
「”Sunbather” が夏の正午だったとしたら、”Infinite Granite” は早朝だよ」と彼は、DEAFHEAVEN が2013年に発表した衝撃的なホットピンクの作品と比較します。単純化には注意を払うべきでしょうが、やはり表向きは “黒ずくめ” を何度も塗り替えることには、皮肉や目的が存在しています。今回のTOUCHE AMORE, Nick Steinhardt による抽象的なアートワーク(レコードの最初の60秒をハイテクなグラフィックで視覚化したもの)は、クールなブルーの色調でデザインされています。しかし、そのTシャツのような美的感覚よりもはるかに重要なのは、そこに対応する経験、思考プロセス、深い考察です。
「不眠症だったから、私の宿題の多くは、午前2時から6時の間に行われた。つまり、青い時間帯に多くの曲を書いていたと思う。それもアートワークに影響を与えているよ。全体的に、この落ち着かない時期の影響を受けているようだね」

例えば、タイトルにもなっている “Infinite Granite” “無限の堅牢” は、保留中の人生の静けさや停滞によって “化石化” した気分を表すメタファーです。George が当時を思い返します。
「固い空間に閉じ込められているような感覚があったね。繰り返しや日常の重みを感じていたんだ。”Infinite Granite” という曲は、抽象的な過去が現在の自分にどう影響を与えるかについて歌っている。自分が、部分的には家族の歴史の産物であることを知る。家族の問題はしばしば自分の問題でもあるんだよ。家族の苦難は、必然的に自分の人生でナビゲートしなければならないことにもつながる。それは過去を振り返ることであり、その過去が自分にどのような影響を与えるかを見ることなんだ」
印象主義的な歌詞の表面をなぞると、そこには幸運や運命、家族についての力強い問いかけがありました。
「この作品は、過去を振り返り、その過去が自分にどのような影響を与えるかを理解することが大部分だと感じているよ」
昨年12月に発売されたライヴ・アルバム “10 Years Gone” で節目を迎えた DEAFHEAVEN 10年目の旅。そこで彼らは空虚な時間の中、創造力としての彼らの過去、現在、未来を見つめ直し、それが “Infinite Granite” の印象的なスタイルの変化へとつながっていきました。”Daedalus” や “Language Games” のような初期のカットから、”Ordinary Corrupt Human Love” に収録された11分の “Glint” のようなより実験的な最近の曲まで、8つの傑出した曲を収録。ブラックメタルをベースに、シューゲイザーやポストロック、アンビエント・ミュージック、さらにはオルタナティブ・ロックまでをも取り込んで、DEAFHEAVEN が常にサウンドを前進させてきた10年の終わりに、このアルバムは驚くほど自然な響きを誇っていました。いいかえれば、DEAFHEAVENの物語を自らの言語で語った作品であり、それは彼らが時間をかけて洗練させ、故意に変化させたものなのです。George が振り返ります。
「最も注目したのは、10年間で私たちがどのように変化したかだった。より速く、よりアグレッシブに、よりスマートなダイナミクス、よりスマートなトーンになっていたよ。そして、これらの曲をレコーディングした後、すべての曲に歯ごたえと緊迫感が増していることに気がついたんだ。私たちがどのように成長したのかを見るのはとても興味深いことだったな。ある意味では、新しい DEAFHEAVEN が古い DEAFHEAVEN をカバーしていたというか。若い曲に今の自分たちの姿を重ね合わせていたんだ。例えば、 “Glint” のライブ・バージョンはレコードに収録されているものよりもかなり強化されているよね」
DEAFHEAVEN はブラックメタル純粋主義者の間では常に物議を醸していましたが、2013年の画期的な作品 “Sunbather” 以降、彼らはアンチの数を補うだけの賛同者が広い世界にいることを証明してきました。次に彼らが進む道は?

5枚目のアルバム “Infinite Granite” は、その問いかけに力強く答えます。今回の最も大きな変化は、リードシンガー George Clarke の声でしょう。過去のアルバムでリバーブの中に滲み出た扇情的で血も凍るようなエイリアンの叫び声はほとんどなくなり、代わりに TEARS FOR FEARS にも似たクリーンでメランコリックなボーカルが登場します。あるリスナーにはアリーナ・ロックが聞こえ、あるリスナーにはインディー・ロックが、あるリスナーにはアート・ロックが聞こえるでしょう。 しかし、このような急激な変化にもかかわらず、”Infinite Granite” は紛れもなく DEAFHEAVEN のアルバムです。つまり、広がりがあり、妥協がなく、極端。ギタリストの Kerry McCoy は彼らの過去と現在を対比させます。
「2011年のデビュー作 “Rods To Judah” を書いていた時の子供の俺を思い出すよ。Deathwish のようなレーベルと契約し、本物のブッキングエージェントを持ち、ドアが開くのを見たんだ。それは宝くじに当たったようなものだった。俺は文字通り、マイニングで得た金で暮らしていると思っていたし、今でもそう思っているくらいでね。だけど、俺はあの子供にとても共感しているんだ。あの子に、『大丈夫だよ、全部うまくいくよ。自分でコントロールできないことは心配するな』と言ってあげたいね」
Kerry は、”Ordinary Corrupt Human Love” を制作したあのころのバンドにも共感を示しています。たしかに3年前から変化は起きていましたが、薬物やアルコールへの依存を克服したこと、自分たちのバンドを囲い込むことに夢中になっていた同業者や有識者への “恨み” を晴らしたことは、より広い創造的解放への第一歩に過ぎませんでした。
「あのレコードは、禁酒する前に半分書いて、禁酒した後に半分書いたんだ。あの時期は、俺の脳内化学反応、感情、個人的な人間関係が非常に混乱していてね。個人的にも集団的にも、自分たちのことを理解し、成長し、いくつかの悪魔を正していくうちに、クリエイティブな人間につきものの恐怖心がなくなってきたんだよな。これが今の俺たちの状況で、言い訳をしたり、誰かに何かを証明したりする必要はないと思っている」
昔はもっと波乱万丈だったと George は言います。「私たちはエゴやネガティブな気持ち、自分が一番になりたいという気持ちに駆られていたからね。今では、そんな恐れを知らないことが私たちの原動力になっているんだよ」

“Infinite Granite” の作曲とレコーディングに向けて、バンドの5人のメンバーとコラボレーション・チームは、グループ・チャットの名前をそのまま “Infinite Granite” に変更しました。
Kerry が言うように “完全にロックなレコード” になるという明確なコンセンサスはありませんでしたが、状況はそのように傾いているように見えました。最終的にアルバム中盤のハイライトとなった “Lament For Wasps” の波打つシューゲイザーはテンプレートとなっているでしょうか。”Villain” で実験した “空気のようなファルセット” は、さらに彼らの方向性を強調します。
「いろいろな歌手の歌を聴いていた。力強く歌える方法を探していたんだ。シューゲイザーのライブで問題になるのは、轟音のギターに対抗して、ソフトな声を出すこと。私が好きバンドでも多くは、ライブでそのダイナミックさが必ずしもうまく伝わっていない。ミックスでそのバランスを取るのはとても難しいんだよね。
そこで最初に考えたのは、ギターに対抗できるような強い声が必要だということ。そこで、クラシックの名曲に立ち返り、ニーナ・シモンやチェット・ベイカーなど、個性的で力強い声の持ち主の声を聴くことにしたんだ。それに、TEARS FOR FEARS, DEPECHE MODE といったより力強いシンガーも。最終的にライブで演奏することになったとき、大音量のライブ音楽の中で繊細なボーカルに磨きをかけなければならないような、大きなハードルにはしたくないと思っていたからね。それがモチベーションになったんだ。
ある意味では、”Ordinary Corrupt Human Love ” の “Near” や “Night People” のように、自分ですでにやっていたことでもある。それでも、私のアイデンティティではないような、体外離脱の感覚はあるんだよね。全く新しい筋肉を使い、全く違う脳の部分を使っているような感覚だった。
あまりにも新しいことだから、途中で不安になることもあったよ。ボーカルだけでなく音楽的な面でも、作曲の過程で、ダブル・キックなどを簡単に入れることができたはずなのにとかね。それでも、いつも私の意見は、昔の習慣にとらわれず、進むべき道を進むだった。そして、それは何よりも私のためになったんだ。悲鳴を上げないで、自分のやりたいことをやるんだ。そして、やっているからには、続けること。続けること、そしてその正直さを発揮することがとても重要だった」
この楽曲は、George が禁酒について直接言及している唯一の曲でもあります。 “New Bermuda” の重苦しいトーンが、彼らがロサンゼルスに移った後、バンドを取り巻く幻滅とドラッグの雲を象徴していたことは明らかでした。”Infinite Granite” の角質除去されたサウンドには、感情の浄化が暗示されていますが、それは “Villain” で明確になりました。”Inform my mother’s people / 30 months is war / Dealing with the blood of 30 years well wear “とクラークは歌っています。 行間を読むのは簡単です。George は、30歳になって2年半の禁酒期間を経て、この曲を書いたことを認めています。”Infinite Granite” は、あからさまな断酒の記録ではありませんが、人間関係へのアプローチ、野心の概念、30歳を過ぎてからの個人的な進化についてのバンドの大きなテーマ、その中に断酒も確実に含まれていました。
「私の家系では、アルコール依存症と薬物依存症が何世代にもわたって大きな問題となっていた。ここ数年はそのことをよく調べていたんだよね」

事態が進むにつれ、George は自分のヴォーカルを “音楽的な弱点” と称して、より計算されたものにしたい、より行き当たりばったりではないものにしたいという願望を表明しました。
「私はアグレッシブなボーカルが好きだよ。何年もあのやり方を、楽しみながら進化させてきた。だけど、挑戦したいという気持ちが強かったんだ。これまでの DEAFHEAVEN のような伝統的なボーカル・アプローチでは、今回の曲を向上させることはできないだろうと思った。この方向性を考えると、全体を覆うような激しいボーカルでは限界があるのではないかと言ったんだ。より冒険的なボーカルと音楽をマッチさせる方が野心的だと感じたんだよね」
2018年末にプロデューサー Justin Meldal-Johnsenとの “セレンディピティ” な出会いがあったことで、この方向性はさらに加速しました。Kerry は Justin のカリフォルニア州グレンデールのスタジオで、匿名の他のアーティストにギター・パートを提供するように頼まれていました。そして George は、その年の12月にロサンゼルス・パラディアムで行われた NINE INCH NAILS のライブで Justin とばったり出会いました。DEAFHEAVEN はこれまで Jack Shirley(”Infinite Granite” のエンジニア)としか仕事をしたことがありませんでしたが、Justin のバンドに対する新鮮な熱意を受け、彼らの視野を広げる機会を見逃すことはできなかったのです。Kerry が説明します。
「Jackは、非常に自由な人なんだ。俺たちは彼の意見を聞きたければ聞くけど、俺たちの邪魔をするようなことはしない。彼は、その日のそのバンドの、その曲のタイムカプセルを作ることに重きを置いているからね。Justin は、俺をプロデュースすることに専念していたよ。俺はこれまで、そんなにインプットを受けたことがなかったからね。それがとても役に立ったんだ。とてもクールで満足のいく経験だったな」
実際、DEAFHEAVEN の煌びやかでエモーショナルなテイストは、その領域を誰よりも知っている男によって完全に引き出されています。Justin Meldal-Johnsen は、現在 St.Vincent のベーシスト兼音楽監督を務めており、Beck のツアーバンドにも数十年にわたって参加していました。さらに彼は M83の巨大なエレクトロポップ作品 “Hurry Up, We’re Dreaming” のようなサウンドを求める際に雇われる人物で、そのリストにはエモポップの代表格である TEGAN AND SARA, PARAMORE, JIMMY EAT WORLD までもが含まれているのです。
Justin は当初、DEAFHEAVEN が2019年の7分半の激しいシングル “Black Brick” の延長にあると考えていましたが、実際目の当たりにしたより広い方向性に目を見張りました。
「彼は最初、”Black Brick” みたいにやろう!という感じだったけど結局その後、全く別の感じに仕上がってしまったよね (笑) 。だから彼は必ずしもこの方向性に対して準備ができていなかったにもかかわらず、自分ができる最善の方法でこの音楽を促進してくれたんだ。このレコードを聴いた人たちが、新しいプロデューサーとして入ってきた彼を見て、『ああ、彼が DEAFHEAVEN をこの方向に押しやったんだな』と思うのは間違いないけどね。でも、変な言い方をすれば、それはほとんど逆だったんだよ」

実際、Justin の助けは必要でした。COVID がバンドとプロデューサーのカレンダーを空白にし、数ヶ月に及ぶアルバム制作に入ると、”従来型” の曲作りの難しさが痛感されたのです。Kerry が回顧します。
「俺たちは、これまでのキャリアにおいて、動きのある曲を書いてきたんだ。バース、プレコーラス、コーラスを試すというアイデアは、後ろ向きに見えて奇妙にも俺たちにとってはとても進歩的なものだった。また、ダブルキック、ブラストビート、そして大きなクレッシェンドというような手法に戻ることなく、普段やっていることの重厚さと強さを維持しながら、自分たちらしいサウンドにするという課題もあった。これまでのやり方の代わりに、DINOSAUR Jr. や SONIC YOUTH が楽曲にどうアプローチするかを考えてみたんだよね。今は鍛えるべき筋肉が違うんだ。同じトリックに戻ることなく、普段やっていることの強度を維持するという挑戦だよ」
George にもこだわりがありました。
「今回の作品は、以前の作品に比べて、よりディテールにこだわった、よりテクニカルなものになっているんだよ。いろんな意味で非常に赤裸々なんだ。これまでは、より強力な要素が混ざり合って、ある種の洗礼となっていた。だけどここでは、すべてが表現されているんだ。以前のサウンドに頼らずに、曲の流れやダイナミックさ、ドラマチックさを出すために、どれだけ細かく配慮しなければならなかったか。非常に難しかったよ」
リード・シングル “Great Mass Of Colour” は、そういったディテールの追求を象徴していると George は証言します。重なり合うボーカル・パターンと鏡のようなハーモニーはさながら渦を巻く万華鏡。「I feel them all / Great mass of color / Flooding in my bed / Dissolving into red…」高揚感を増した詩が、明快なコーラスへと展開しそして、堤防が決壊。ブラックメタルのまばらな水しぶきがようやくこぼれ落ちていきます。
「ただ単にメロディックなものを作るだけではないんだよ。大事なのは、記憶に残るものを作ることなんだ」
結果として “Infinite Granite” の楽曲コレクションは、ある部分では研磨され、ある部分では高光沢に溢れ、DEAFHEAVEN の新たな歩みへの第一歩となりました。
アルバムのオープニングを飾る “Shellstar” の鳴り響く馴染みのないアンビエンスは、熱気と怒りに飛び込むのではなく、雲の中を滑るように進んでいきます。George が語る「夏の火の中を崇高に彷徨う/炭、灰、咳、轟音…」というストーリーには、奇妙なメランコリーが漂っています。シングル “In Blur” は、RIDE 1990年の名曲 “Vapour Trail” を下敷きとしたもので、古典的なシューゲイザーの夢見がちな幸福感に翻弄され、「この混沌とした寒さの中で、昼の光はどのように見えるのだろうか」と問いかける、力強く痛烈なレイヤーボーカルをフィーチャーしています。
シンセを駆使したインストゥルメンタル “Neptune Raining Diamonds” は、ブレードランナーのスコアからそのまま切り取ったような186秒。アルバムの中で最も短い曲ですが、レトロフューチャーな眩しさがキラキラと渦巻いています。さらに大作 “Mombasa” (Shiv の母国であるケニア最古の都市にちなんで命名)の8分間は、平穏な美しさから猛烈なカタルシスへと宇宙を駆け抜けるような非日常を投影します。一方で、パンデミックという非日常が及ぼした影響も捨てきれません。George が証言します。
「頭の中にある恐怖や起こっている混乱が、曲作りにもよく影響していたよ。いくつかの曲で聞くことができると思う。特に “The Gnashing” には、ちょっとした奇妙な緊張感があるよね。あの曲のを作っているときに、LAで夜間外出禁止令が出たんだ。フリーウェイがすべてストップしていたのを覚えているよ。LAPD が至る所にいた。ヘリコプターのようなものも。そしてもちろん、BLM と、当時州内で起こっていた火事との間で、LAは日々赤茶色に染まっていて、現在進行中の COVID の状況もあった。これらのことがすべて、この曲に反映されているんだ。仮のタイトルは “End of the World” で、本当に終末論的な感じがしたよね。この曲には、終末論を感じさせる大きなエンディングがあり、全体的にダークでドライな雰囲気がある。あの雰囲気の中で作っていなかったら、必ずしも同じようにはならなかったと思うな」

では、これらの率直に言って、これまでと全く異なるサウンドは、メタルの世界、そしてその場所の牽引者としての立場から身を引く覚悟の意志表示なのでしょうか?George は決して反動ではないと断言しました。
「このアルバムは、非常にドライで、繊細で、エモーショナルな作品で、強さと開放性に焦点を当てている。実にテーマ性の高い作品で、解き明かすべきことがたくさんあるんだよ。私たちのすべてのレコードと同様に、この作品は今の私たちを映し出す鏡であり、人間としての私たちを自然に映し出している。もし何かへの反応だとするならば、それは自分たちの前作への反応だと思うんだ」
たしかに、このアルバムには古の影響が新しいスタイルのフィルターを通して吹き込んでいます。もちろん、ブラックメタルやブラックゲイズの影響はそれほど顕著ではありませんが、ノルウェーの伝説 ULVER の “Kveldssanger” 時代の冷ややかな閃光や、フランスの鬼才 ALCEST が2014年に放った “Shelter” の眩い光も差し込んでいるはずです。それに繊細で豊かなテクスチャーは、MY BLOODY VALENTINE, SWERVEDRIVER, SLOWDIVE といった英国のシューゲイザー・ムーブメントの要素がふんだんに盛り込まれているでしょう。
Kerry は、これらの参照点をさらに拡大して、PINK FLOYD, APHEX TWIN, Brian Eno, THE SMITHS, そして尊敬するスウェーデンのプログレッシブ・バンド、DUNGEN の名を挙げます。一方、 George は RADIOHEAD の重要性を強調し、高い評価を得た2016年のLP “A Moon Shaped Pool” とその3枚目のシングル “Identikit” が特にインスピレーションを与えてくれたと語っています。
実際、DEAFHEAVEN は、”Infinite Granite” を RADIOHEAD が2000年に発表した “Kid A” の自分たちのバージョンだと一貫して発言しています。大胆な音の再出発でありながら、作者のアイデンティティを維持し、拡大しているという共通項をあげながら。George は、「自分たちのやりたいことを堂々と、そして自由にやるという姿勢が大切だ。ヘヴィー・コミュニティでは、BORIS や OPETH のように、自分たちが制限されることはないという理解に基づいて活動しなければならない」と胸を張ります。
では、メタルのエッジを放棄した新たな領域で、DEAFHEAVEN らしさを保つための要素とは何でしょうか?Kerry は熟孝します。
「同じバンドの異なるフレーバーに過ぎないんだ。俺たちの音楽がいつも喚起する核心的な感情のすべてが、新しいフィルターを通して表現されているだけなんだよ。2015年の3枚目のLP “New Bermuda” で、自分たちの音楽にスラッシュやデスメタルの要素を入れることができると気づいたように、今回はこれもできると言っているんだ。それはそれでいいんだよね。これは、俺たちがクリエイティブな筋肉を伸ばせるように壊した、もうひとつの壁なんだよね。人は好きなことを言うものだよ。それは俺たちの仕事ではないんだ。俺たちの仕事は、欲しいものを作ることだけだから…」

George にとって、”Infinite Granite” は、かつてのトレードマークであった爆音のブラックメタルと落ち着いたアンビエンスの摩擦がなくても、気が遠くなるようなエッジを保つことができるという点が重要でした。
「このアルバムは、究極的には私たちを裏返したもの。まだまだ緊張感があるよね。メロディックであっても、かなりの不快感がある。私たちは、その緊張感のある微細な部分に焦点を当てるように努めたんだ。少し地味になったかもしれないけど、面白さが減ったとは思わないよ…」
パンデミックの影響を受けて、George はアメリカを離れ、ニュージーランドで数カ月間の旅行を楽しみました。地球上で最も息を呑むような景色に囲まれ、この島国のCOVID対応のおかげですべてが正常に機能していましたが、それでも彼はツアーに戻ることを夢見ていました。
「Kerry と私は、ライブがなくなったことで、ツアーや世界旅行、人々との出会いなど、このライフスタイルへの愛が深まったと話していたんだ。それは、私たちが失ってしまった、非常にユニークで素晴らしいものなんだ。だから、このアルバムのことを考えるときには、ツアーのことを考えているよ。つまり、可能な限り外に出て演奏し、最も愛している人たちと一緒に、最も愛していることをしながら世界を見て回りたいんだ」
“Infinite Granite” のクリエイティブな “賭け” が功を奏するのか、ファンの中でより凝り固まったメタルヘッズが離れていくならば、DEAFHEAVEN はそれを受け入れることができるでしょうか?George は答えます。
「ファンを失うこと、つまり、得することと失うことの二律背反は、実に面白いものだ。このバンドを愛してやまない私たちのファンが、このアルバムに共感できないのなら、私は理解するよ。彼らに恨みはないし、願わくば我々にも恨みをもたないでもらえれば。私たちには、他にもたくさんの作品がある。ある時期にお互いを見つけることができたのは、幸運で今でも本当に信じられないことなんだよ。そしてすべては進化していく。DEAFHEAVEN では、どの場所からでも乗ったり降りたりすることがでるんだ。この変化は必要だった。もし私たちが、ブラストビート、メジャーキーのコード進行、ディレイのかかったギターでいっぱいのレコードをもう1枚出していたら、人々は私たちに “壊れていないなら、直さないで!”というようなおきまりのレガシーバンドになるよう求めただろうから」
Kerryは誰かのための創作がいかに無意味かを知っています。
「誰かを喜ばせようと考え始めた瞬間に、自分の足を撃つことになる。まあでも、レコードが完成してから6ヶ月間じっくりと考えてみると、どうしてもそういった疑問が出てくるよね。俺たちが出すすべてのレコードは、どこかで怖い思いというかリスクを冒している。だけど、俺たちが音楽制作をしているときは、自分自身にも他の誰にも、「人々がこれをどう思うだろうか」というような疑問を持つことを許さないというルールがあるんだ。”New Bermuda” では、よりヘヴィーな要素を加えていったし、”Ordinary” では、ピアノから始まる曲でアルバムを始めた。毎回、同じルールで制作しているだけなんだ。まあ今回は “掛け金” が多少高かっただけでね。あとはツアーに出て、俺たちを好きな世界中の人たちと話すだけさ。彼らのTシャツを見て、このバンドが好きなキッズたちは、これから飛躍していくだろうと思うんだ」
George はレビューを読むことをやめました。
「”Sunbather” が爆発したとき、あるいはその前に “Roads to Judah” をリリースしたときには、私たちの存在を世界全体が認識していることを初めて垣間見ることができた。それはエキサイティングなことで、特に私たちが22歳、23歳のときには、私たちが作ったものをみんなが気に入ってくれている、クールだな。読んでみようかな?ワオ!ってね。そして、レビュー夢中になったよ。だけど、”Sunbather” が定着した頃には、レビューなんてどちらでも構わないということに気がついたんだよね。というのも、批評家の愛に感謝しているけど、それがずっと続くとは限らないから。あるいは、人間は人間であるとか、彼らは物事に対して様々な意見を持っていて、それが彼らの仕事であるとか、そういったことにね。
特に昔、”‘Sunbather” の時代には、私たちは音楽全体への神からの贈り物だという意見と、何でもありの真新しいものだという意見、その2つの陣営があるように思えた。私たちについて、卑劣で邪悪なことを言っている人もいたよ。私はこの2つの陣営が間違っていることに気づいたんだ。私たちは、音楽界に起こった最悪の出来事ではないけれど、もちろんビートルズでもなんでもない。私たちはただ音楽を作っている人間の集まりで、人々はそれに共感しているんだよね」

岐路において、安全性よりも自己満足を選択することは、いずれにせよ大きな賭けです。DEAFHEAVEN は、黄昏時のシューゲイザーがチャートを独占するはずもないことを十分に理解しており、より激しいメタル・サウンドにしがみついていた方がはるかに安全であることも知っています。ゆえに彼らは、自分たちに忠実でいるために常にリスクを取る価値があると繰り返しています。
いいかえれば彼らは、SLIPKNOT のような “当たり前” の存在となることを危惧していたのです。DEAFHEAVEN 自身は、2019年に BARONESS と共演した際にその危険性を認識していました。サイケ・スラッジの強豪で、確立されたフォーマットに忠実でありながら、常に興味深い方法で進化することに成功している BARONESS。彼らの最新LP “Gold & Grey” は、色分けされたアルバムタイトルを尊重しつつ、新しいギタリストと、TAME IMPALA のミキシングやMGMTのプロデュースを担当した人物を抱え込んでいます。DEAFHEAVEN は、自分たちも同様に長期的に活動する方法を考え始めていたようです。George は、ツアーを通して「やりきった感があった。ツアー中にもう限界だという感覚があったんだ。私は壁にぶつかってしまったようで、この先に私ができることはこのやり方にはもうあまりない」と認めていました。そうして彼らは未開の荒野に再度その身を解き放っていったのです。
「もし俺たちが “エクストリーム・メタル” のバンドであり続けたいと思っていたら、それは難しいことじゃなかった。今後10年間、”Deafheaveny” のレコードを出し続けることで、保証はどんどん増え、フェスのオファーも大きくなっていくだろうから。そうすれば、素敵で小さな “何か” にはなれただろう」
「私たちは、クリエイティブな面に少し興味を持ちすぎているんだ。つまり、他の何よりも自分たちが充実していないと、このプロジェクトは長続きしないんだよね。だから、私たちはまた未開の荒野に身を投じてしまうのさ」
DEAFHEAVEN にはまだまだ可能性が秘められています。
「アルバムには収録されていないけど、ある時期、初期のDJ Shadow や Unkle の最初のレコード、BOARDS OF CANADA のような雰囲気のものを入れようと考えていたことがある。これは、俺がよく聴いていたものでね。バンドの中に PORTISHEAD や MASSIVE ATTACK の影響があるのは確かだと思うけど、俺が興味を持っているもの、Shiv が興味を持っているもの、George が興味を持っているものなど、たくさんあるんだよね。例えば、このアルバムにも初期のWarp レコードや、”OK Computer” の “Airbag”、DJ Shadow のようなものを入れようとしていたんだ。だけど、それは全くフィットしなかったね。結果的にはそれがベストだったと思うけど。とにかく、俺たちにはまだいくつかのレーンが残されていると思うし、そうあってほしいと思う。それこそがクリエイティブな人間の醍醐味だと思うからね」
そう Kerry が目を輝かせれば、George も同意します。
「そうだね、確かにレイドバックしたトリップホップの影響は、私たちもかなり試したけど、今回のアルバムには必ずしも反映されなかった。オーケストラ的な要素を取り入れたり、補助的な楽器を追加したりすることも、まだやったことがないよね。ストリングスにしても、特に理由はないけど入れたことがない。Kerry が言ったように、私たちは常に何かを取り入れたり、試したりすることができる。そして願わくば、私たちが実験を続け、成長し続ければと思うよ」
日本盤は DAYMARE RECORDINGS から発売中!

参考文献: KERRANG!: When The Sun Hits: How Deafheaven stepped out of the shadows to embrace a brave new dawn

THE RINGER:The Sunbathers Turn to the Light: Deafheaven Is Back, and Clearer Than Ever

FADER:Deafheaven on evolution, reinvention, and Infinite Granite