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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HEADLESS : TRANSITIONAL OBJECTS】GÖRAN EDMAN IS COMING BACK TO JAPAN 26′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GÖRAN EDMAN OF HEADLESS !!

“It’s difficult to highlight anything in particular but Kharma “Wonderland “ is definitely a pearl worth mentioning.”

DISC REVIEW “TRANSITIONAL OBJECTS”

「北欧の声なんて思ってはいなかったよ。スカンジナビア・メタルが特に日本で人気があることは知っていたけどね。実際は、当時影響を受けていたイギリスやアメリカのバンドのサウンドを真似て、それを模倣しようとした結果、僕らの色が加わって副産物としてスカンジナビア・メタルのサウンドが生まれたんだよね」
北欧の声。本人がどう思おうとも、私たちにとってそれは、Joey Tempest であり、Tony Harnell (アメリカ人ですが) であり、そして Göran Edman でした。北欧の厳粛で荘厳で美麗な雰囲気をそのまま声に宿らせたかのような彼らの歌唱は、そして陰りのあるクラシカルな響きをギターに込めたシュレッダーの音の葉は、特に当時の日本人の心を打ち、北欧メタルというひとつの素晴らしきジャンルを作り上げました。
中でも、様々なバンドを渡り歩き、幾多の名作を生み出してきた Göran は、北欧メタルと同義であり、その創設者ともいえる存在でしょう。MADISON に始まった Göran の旅路は、John Norum, TALISMAN という偉大な場所に立ち寄りました。特に、John Norum の “Total Controll”、あのメランコリックな恍惚が北欧メタルの原点のひとつとなったことはたしかでしょう。
「Yngwie と共演したあの数年間は、色々な意味で波乱万丈だったけど、そこから多くのチャンスが生まれたことに感謝しているんだ。一番良い思い出は、おそらく “Eclipse” のプリ・プロダクション、レコーディング、そして最終プロモーションに関することだろうな。”Fire & Ice” の時代は、首に縄をかけられているような気分で、衝突も多かったからね。でも、どちらのアルバムにも、僕なりのハイライトがあるんだよ」
Göran のキャリア、そのハイライトはあの Yngwie Malmsteen との共闘でしょう。共闘と書きましたが、実際のところ、なぜかリード・シンガーを毛嫌いし敵視するマエストロとの仕事は簡単ではなく、むしろバンドにいること自体が恐闘と呼べるような状況だったようです。
ただし、Göran の声と Yngwie の音楽、その相性は素晴らしく、オール・スウェーデンで臨んだ “Eclipse”, “Fire & Ice” は北欧メタルの教科書として今や多くの人に溺愛されています。実際、”Eclipse” のダークでしかし煌めきに満ちた皆既日食の景色や、”Fire & Ice” のバラエティに富んだ一級品の旋律たちも、Göran の狂おしいまでの情歌によって北欧メタルのマイルストーンとなりました。
「これまで様々なプロジェクトやバンドに参加し、ゲスト出演なども行ってきたよね。そうしたボーカルのほとんどは、自宅スタジオで録音したものなんだ。ジャンルも多岐にわたるね。特に何かひとつを挙げるのは難しいけれど、KHARMA の “Wonderland” は間違いなく特筆すべき作品だと思うよ」
Yngwie と別れて以降、Göran はその才能をより幅広く開花させていきました。理想的な北欧メタルから GLORY が辿った変遷はそのまま、Göran の行く道を暗示していたのかもしれません(“Positive Bouyant” とか “Wintergreen” とか今聞くと素晴らしいですよ)。Göran の優しくソフトな歌声で人気を博した STREET TALK, プログレッシブ・サイドを探求した KARMAKANICK, そして何より Göran 自身が特別だと語る KHARMA の “Wonderland”。まるで QUEEN と STYX が北欧で出会ったかのような珠玉の一品は、アルバム1枚で終わってしまったのがあまりにも惜しいまごうことなき傑作。
そうして自然に歳を重ね、69歳となった今、Göran は HEADLESS というスーパー・バンドで本当に久々の来日を果たします。ELEGY や Neil Zaza のメンバー擁するバンドは、丁寧にプログレッシブなハード・ロックを作り上げ、Göran の今をしっかりと伝えてくれます。誰も年齢に逆らうことはできません。しかし、年齢に逆らわず、人生を抱きしめ、今の自分を抱きしめながら愛する音楽を続ける Göran の声に、私たちはロックの真髄を見るはずです。
今回弊誌では、Göran Edman にインタビューを行うことができました。「69歳という年齢になると、当然だけど音域も以前とは違ってくる。原曲からあまり大きく音程を変えてしまうと、僕の声の特徴が変わってしまい、ファンの人たちにも受け入れられないかもしれないし。以前、カバーのオファーをもらったこともあったけど、丁重に断ったんだよね。HEADLESS のセットリストに Yngwie のカバー曲が含まれている可能性はあるけど、それは例外的なケースなんだ」 どうぞ!!

HEADLESS “TRANSITIONAL OBJECTS” : 9.9/10

INTERVIEW WITH GÖRAN EDMAN

Q1: It has been a really long time since you last performed in Japan! Your fans in Japan have been waiting for your return for a long time! How do you feel now?

【GÖRAN】: I’m looking forward to be back . My first time was with Madison which seems like ages ago.
I can’t really relate to that person today. A lot of water has flown under the bridges. 40 years is a long time and of course …All we can be certain about is that with time comes change.
To the better or/ and to the worse depending on what you take into consideration. I might not be as cute 😅 or mobile but I’m certainly wiser if I may say it myself.

Q1: 日本での最後のライブから、本当に長い時間が経ちましたね! 日本のファンはあなたの帰還をずっと待っていましたよ! 今のお気持ちはいかがですか?

【GÖRAN】: 日本に戻るのが楽しみだよ。初めて日本に行ったのは MADISON で、本当にもうずいぶん昔のことのように感じるね…。
今の僕は、当時の自分にあまり共感できないんだよね。ずいぶん時間が経って、たくさんのことが通り過ぎていったからね。40年というのは実に長い年月だし、もちろん…人生で確かなのは、時が経てば変化が訪れるということだからね。
良い方向にも悪い方向にも、変化は訪れる。何を良しとするかによるんだろうけど。だから、以前ほど可愛く 😅 もなければ、機敏にも動けないかもしれないけど、自分で言うのもなんだけど、間違いなく賢くはなったよね。

Q2: I think your most famous work is still the Yngwie era, but did you know that “Eclipse” and “Fire & Ice” are now being greatly reevaluated in Japan, and many people are calling them Yngwie’s masterpieces? Which of the two albums do you like better?

【GÖRAN】: I didnt know that and of course I’m honoured but in the end of the day it’s all a matter of taste when it comes around. I’m grateful for the opportunities that came out of those years performing with Yngwie even though they were turbulent in many ways. My most positive memories are probably related to the pre-production, recordings and the final promo for Eclipse. During “ The fire and ice” era I felt more like I had a rope around my neck and there were more conflicts. Both albums have highlights in my opinion.

Q2: あなたの最も有名な作品はやはり Yngwie 時代のものだと思いますが、”Eclipse” と “Fire & Ice” が近年日本で再評価され、多くの人が Yngwie の最高傑作と呼んでいることをご存知ですか? あなたはどちらのアルバムが気に入っていますか?

【GÖRAN】: 知らなかったし、もちろん光栄だけど、結局のところ、そういう時は好みの問題だよね。Yngwie と共演したあの数年間は、色々な意味で波乱万丈だったけど、そこから多くのチャンスが生まれたことに感謝しているんだ。
一番良い思い出は、おそらく “Eclipse” のプリ・プロダクション、レコーディング、そして最終プロモーションに関することだろうな。”Fire & Ice” の時代は、首に縄をかけられているような気分で、衝突も多かったからね。でも、どちらのアルバムにも、僕なりのハイライトがあるんだよ。

Q3: Back then, when people thought of “Scandinavian voices”, they thought of you and Joey Tempest. Were you conscious of the clear transparency and Scandinavian-ness that resided in your voice?

【GÖRAN】: No, I can’t say I was aware of that . I knew or was aware of that Scandinavian metal was very popular in Japan especially.
Actually we all wanted to sound like and copy the English and American bands that we were influenced by at the time and the result became the Scandinavian metal sound as a side effect.

Q3: 当時、”北欧の声” といえば、あなたと Joey Tempest が思い浮かんだものです。あなた自身は声に宿る、澄み切った透明感と北欧らしさを意識されていたんですか?

【GÖRAN】: いや、意識していなかったよ。スカンジナビア・メタルが特に日本で人気があることは知っていたけどね。
実際は、当時影響を受けていたイギリスやアメリカのバンドのサウンドを真似て、それを模倣しようとした結果、僕らの色が加わって副産物としてスカンジナビア・メタルのサウンドが生まれたんだよね。

Q4: Incidentally, Yngwie has been singing by himself recently because he is fed up with the “lead singer disease”. What do you think about the “Yng-way? Do you listen to his music these days?

【GÖRAN】: No I haven’t followed his recent career that much … more than accidentally stumbling over some posts on social media platforms and fan club sights etc . I don’t know what he means with the lead singer disease but I can guess. He has always had a narrow perspective on reality centered around himself. I can only speak for myself . I have never claimed any publishing rights or credits for something I didn’t contribute with personally . Just the fact that he is the artist doesn’t mean that he’s above the law and owns others artistic creativity whenever it’s requested as long as it’s not specified in the employment contract . Besides I wrote a publishing agreement with Yngwie that we both signed and agreed upon regarding titles and percentual split. It’s all there in black and white.

Q4: ちなみに、Yngwie は最近 “リードシンガー病” にうんざりして、自ら歌っているそうです。この “イング-ウェイ” についてはどう思いますか? 彼の最近の音楽を聴いていますか?

【GÖRAN】: いや、彼の最近のキャリアをそれほど追ってはいないよ…SNS やファンクラブ・サイトなどで偶然いくつかの投稿を見かけたくらいでね。
リードシンガー病という言葉で彼が何を言いたいのかはわからないけど、まあ推測はできるよ。彼は常に自分を中心とした狭い価値観、現実観を持っていたからね。まあ僕は自分のことについてしか話せないけど。ただ、僕は個人的に貢献していないものについて出版権やクレジットを主張したことは一度もないんだよ。彼が “アーティスト” であるという事実だけでは、彼が法律を超越することはできないんだ。
雇用契約に明記されていない限り、いくらボスだからっていつでも他人の芸術的クリエイティビティを所有できるわけではないんだよね。それに、僕は Yngwie と出版契約書を作成し、タイトルとパーセンテージの分配について両者が署名して合意していたんだ。すべて白黒はっきりしているんだよ。

Q5: On the other hand, Yngwie has in recent years shown his dislike for lead singers whodo performances using Yngwie songs of the time. You don’t seem to have any live shows where you do Yngwie songs, why is that?

【GÖRAN】: It’s outdated and besides, I’m not very nostalgic about the past. I don’t think I could give them any justice today. The Malmsteen songs.
My range is naturally not the same at the age of 69 . Transposing them too much would change the characteristic of my voice and perhaps not be appreciated by the fans. I had offers to do it that I politely turned down .
Could be that there’s been some Malmsteen covers included in a set list with Headless but that’s an exception from the rule.

Q5: 一方で、Yngwie は近年、自分が歌っていた当時の彼の曲を使ってパフォーマンスをするリードシンガーを嫌っていることを明らかにしています。
あなたは Yngwie の曲を演奏するライブを全く行っていないようですが、それはなぜなんですか?

【GÖRAN】: 正直時代遅れだし、それに僕は過去にあまりノスタルジーを感じるタイプじゃないんだよね。まあ今の僕には、Yngwie の曲を正しく歌いこなす自信もないしね。
69歳という年齢になると、当然だけど音域も以前とは違ってくる。原曲からあまり大きく音程を変えてしまうと、僕の声の特徴が変わってしまい、ファンの人たちにも受け入れられないかもしれないし。以前、カバーのオファーをもらったこともあったけど、丁重に断ったんだよね。
HEADLESS のセットリストに Yngwie のカバー曲が含まれている可能性はあるけど、それは例外的なケースなんだ。

Q6: Besides Yngwie, your career began with Madison and you continue to produce great work with great bands such as John Norum, Talisman, Glory, Brazen Abott, Karmakanic, Crossfade, and many others. Can you talk about a few of those albums that you particularly like?

【GÖRAN】: Yes there have been various projects and bands , guest performances etc past the years mostly recorded in my homestudio. Various genres .
It’s difficult to highlight anything in particular but Kharma “Wonderland “ is definitely a pearl worth mentioning.

Q6: Yngwie 以外にも、あなたのキャリアは MADISON から始まり、John Norum, TALISMAN, GLORY, BRAZEN ABOTT, KARMAKANIC, CROSSFADE など、数々の素晴らしいバンドと素晴らしい作品を生み出し続けています。
特に気に入っているアルバムをいくつか教えていただけますか?

【GÖRAN】: そうだね、これまで様々なプロジェクトやバンドに参加し、ゲスト出演なども行ってきたよね。そうしたボーカルのほとんどは、自宅スタジオで録音したものなんだ。ジャンルも多岐にわたるね。
特に何かひとつを挙げるのは難しいけれど、KHARMA の “Wonderland” は間違いなく特筆すべき作品だと思うよ。

Q7: One of the things I particularly like about your career is Street Talk. AOR, such as the catchy and beautiful Journey, is actually more your natural field than metal?

【GÖRAN】: Yes I agree. My voice has a more gentle melodic timber than the raw energy requested in Hard Rock and Metal . More space for choir arrangements. More production 😅

Q7: あなたのキャリアの中で私が特に気に入っているバンドの一つは、STREET TALK です。あのキャッチーで美しい JOURNEY のようなAORは、実はメタルよりもあなたの得意分野なのでしょうか?

【GÖRAN】: うん、そう思うよ。僕の声は、ハード・ロックやメタルで求められるような荒々しいエネルギーよりも、もっと穏やかでメロディアスな音色を持っているからね。AOR ならコーラスのアレンジにも余裕があるし、プロダクションも良いからね。😅

Q8: You are coming to Japan with Headless, a super band consisting of members of Elegy and Neil Zaza, Can you introduce Headless to your Japanese fans?

【GÖRAN】: Walter Cianciusi (now playing guitar with David Ellefson, co-founder of Megadeth) put the band together in 1996 and has been the driving force keeping it alive all these years.
But according to his words in a recent interview, the pro era of the band started with my entering the picture. We recorded the first songs together in 2011.
Headless is basically our way of bringing together all the elements of music we’ve always loved. We come from a progressive metal background, but we’ve never really wanted to limit ourselves to just one style. Our sound mixes progressive metal with hard rock and classic heavy metal, trying to keep things both technical and melodic at the same time.
We really enjoy working on complex guitar parts, dynamic rhythms, and strong vocal melodies. A lot of our songs have shifting structures, different time signatures, and plenty of room for expressive solos, but we always try to make sure the songs still have hooks and memorable moments.
Our influences come from both classic progressive bands and more modern metal artists, and over time we’ve tried to shape those influences into something that feels like our own identity. With every release we’re always trying to evolve a bit more, push our sound further, and keep the music exciting both for us and for the people listening.

Q8: 今回あなたは、ELEGY やNeil Zaza のメンバーで構成されるスーパーバンド、HEADLESS と共に来日しますが、日本のファンにこのバンドを紹介していただけますか?

【GÖRAN】: Walter Cianciusi(現在は MEGADETH の共同創設者 David Ellefson のギタリスト)は1996年に HEADLESS を結成し、長年にわたり原動力としてバンドを支え続けてきた。
最近のインタビューで彼が語ったところによると、プロとしてのバンドは僕が加入したことから始まったそうだよ。僕たちは2011年に最初の楽曲をレコーディングしたんだ。
HEADLESS は基本的に、僕たちが常に愛してきた音楽のあらゆる要素を融合させたバンドなんだ。僕らはプログレッシブ・メタルをルーツとしているけど、決して一つのスタイルに限定したくはなくてね。そのサウンドはプログレッシブ・メタル、ハード・ロック、そしてクラシック・ヘヴィメタルを融合させ、テクニカルさとメロディックさを両立させようとしているんだ。
僕たちは複雑なギターパート、ダイナミックなリズム、そして力強いボーカルメロディーを追求することを心から楽しんでいるよ。楽曲の多くは、変化に富んだ構成、様々な拍子、そして表現力豊かなソロのための十分な余地を備えているけど、同時に、キャッチーなフックと印象的な瞬間を必ず盛り込むように心がけているんだ。
僕たちの音楽は、クラシックなプログレッシブ・メタル・バンドと、より現代的なメタル・アーティストの両方から影響を受けていて、時間をかけてそうした影響を独自のスタイルへと昇華させてきた。リリースごとに、僕たちは常に進化を続け、サウンドをさらに高め、自分たち自身にとっても、そしてリスナーにとっても刺激的な音楽を作り続けようと努力しているよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED GORAN’S LIFE!!

I don’t know if any album ever changed my life but certainly made a deep impact on me as a listener and opened up my senses and interest . Hard to pick 5 albums only but well examples .
As a boy on my first stereo Beatles first album -64 “ A hard day’s night “ started my Beatles fever Later on in the 70’s I discovered progressive rock and started to follow bands in that genre.
Yes “ Close to the Edge “ was my introduction to that band . That led further to more albums and other bands in the same genre such as Genesis where…
“Selling England by the pound” got me hooked immediately after some listening . For me Peter Gabriel has always been an icon from a singers point of view as well as Jon Andersson . And from these bands to a more psychedelic form as I became more “ experimental “.
Pink Floyd And “ Dark side of the moon “ opened new senses for me . I can not separate it from “ wish you was here “
And then finally I discovered the world of Frank Zappa “ when I heard “ Over night sensation “ followed up by many more albums out of his rich discography .

人生を変えたアルバムがあるかどうかは分からないけど、リスナーとして僕に深い影響を与え、感覚と興味を広げてくれたアルバムは間違いなくあるね。5枚だけを選ぶのは難しいけど、いくつか例を挙げるよ。
少年時代、初めてステレオで聴いた THE BEATLES のファーストアルバム “A Hard Day’s Night”(1964年)がきっかけで、ビートルズ熱に火がついた。その後、70年代に入り、プログレッシブ・ロックに出会い、そのジャンルのバンドを聴くようになっていったんだ。
そう、YES の “Close to the Edge” が、僕にとってのプログレッシブ・ロックとの出会いだった。それがきっかけで、GENESIS など、同じジャンルの他のバンドのアルバムも聴くようになり、特に “Selling England by the Pound” は、聴いた瞬間に虜になったよね。僕にとって、ピーター・ガブリエルとジョン・アンダーソンは、シンガーとして常に憧れの存在だった。そして、こうしたバンドから、よりサイケデリックな音楽へと傾倒し、実験的な音楽を求めるようになっていったね。
PINK FLOYD の “狂気” は、新たな感覚をもたらしてくれた。これを “Wish You Were Here” と切り離して考えることはできないよね。そしてついに、Frank Zappa の世界に足を踏み入れたのは、”Over Night Sensation” を聴いた時だったね。その後、彼の豊富なディスコグラフィーの中から、さらに多くのアルバムを聴いていったんだ。

MESSAGE FOR JAPAN

I hope to see you there on Evoken festival . If the conflict in Iran will end soon that is… with escalating prizes on oil and gas as a consequence.

Evoken Fet で会えるのを楽しみにしているよ。イラン紛争がすぐに終結してくれたらいいんだけど…石油とガスの価格が高騰しているからツアーも大変だよ…。

GÖRAN EDMAN

来日公演の詳細はこちら。Evoken de Valhall Production

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HEADLESS Official

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CRISTIANO FILIPPINI’S FLAMES OF HEAVEN : SYMPHONY OF THE UNIVERSE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CRISTIANO FILIPPINI OF FLAMES OF HEAVEN !!

“Power Metal and AOR must be about love, positivity, inner strength, battles that take place inside and outside of us, and a sense of justice. So I think Knights of the Zodiac represent not only my favorites, but also perfect examples of how to convey this message.”

DISC REVIEW “SYMPHONY OF THE UNIVERSE”

「パワー・メタルやAORは、愛、ポジティブさ、内なる強さ、自分の内外で起こる戦い、そして正義感について語らなければならないと思う。同時に、”聖闘士星矢”、”北斗の拳”、”ドラゴンボール”、”ベルセルク” といった日本のアニメも、僕のお気に入りであるだけでなく、そうしたメッセージを伝える完璧な作品でもあると思う。だからこそ、このアルバムが日本の漫画やアニメのファンに届くことを心から願っているんだよ」
仲間を信じ合う “友情”、目標達成のため苦難に耐え励む “努力”、そして最後まで諦めず勝利を目指す “勝利”。80年代から90年代にかけて、日本のアニメや漫画はそうしたポジティブでストイックなムードにあふれていました。まだまだ暴力や抑圧、不条理が蔓延していた当時の学校や子供の社会で、私たちはそうした “エンターテイメント” から、前向きな生き方や優しさ、倫理観を学んでいたのかもしれませんね。
それからおよそ30年。当時のアニメや漫画で育った子供たちは成熟し、さまざまな分野でその影響を発揮するようになりました。その波は日本国内に止まりません。イタリアの Cristiano Filippini 率いる FLAMES OF HEAVEN もそうしたアーティストのひとつ。彼らはアートも生き方も複雑を極める現代で、愛や友情、正義といったいつの世も変わらぬ不変の真理にコスモを燃やしています。そのための乗り物として、パワー・メタルや AOR は完璧な “ペガサス”。なぜなら、パワー・メタルのファンタジーはいつの時代もそうしたポジティブな心に寄り添ってきたのですから。
「”聖闘士星矢” にインスパイアされたアルバムの全曲は、最初のシリーズ “サンクチュアリ編” のいくつかのシチュエーションを描写していると言える。曲のタイトルにも登場するフェニックスの一輝やジェミニは間違いなく、漫画の中で最も魅力的で重要で複雑なキャラクターの2人だからね。 しかし、僕のお気に入りのキャラクターは、星矢、紫龍、シャカ、そして童虎だ。 強さ、前向きさ、そして星矢は別としてバランスと知恵の良い例だからね」
“ペガサス幻想 そうさ夢だけは 誰も奪えない心の翼だから”。この数小節、数文字に私たちは何度助けられたことでしょう。イタリアに生まれた Cristiano もこの聖闘士星矢の美しき理想、夢、ストーリーに魅了され、大人になった今、その世界をパワー・メタルで描くことを決意します。
「もちろん “ペガサス幻想” は知っているし、素晴らしい曲で、まさにアンセムだよね。”聖闘士星矢” の公式サウンドトラックには美しい曲がたくさん収録されている。 それに、オーケストラのインストゥルメンタルにも信じられないほどインスパイアされている。傑作だよ」
普段はクラシック・アンサンブルのための作曲に注力している Cristiano。だからこそ、”Symphony of the Universe” は、サンクチュアリのサーガを描くに十分な壮大さと情熱を兼ね備えています。もちろん、イタリアの偉大な先人 RHAPSODY の血をひくクラシカルなパワー・メタルの一撃は強烈ですが、同時にイタリアが誇る Frontiers Music の流れを汲むメロディック・ハードな旋律美も内包し、ワグナーのオペラをメタルに仕立てたような長尺曲も見事。Cristiano はクラシックの作曲プロセスをそのままメタルに持ち込むのではなく、クラシックの世界からメタルを俯瞰し手を加えることで、他のアーティストとは一線を画す存在となり得ています。
同郷 TEMPERANCE の Marco Pastorino が張り上げる歌声はペガサスに乗って駆け上がり、達人 Michele Vioni のギターは廬山昇龍覇の滝の流れの如く流麗。そして Cristiano が指揮を取る鍵盤とオーケストレーションのネビラチェーンはあまりにも純美。ここには、ファンタジックでポジティブなメタルに求められる要素すべてが詰まっているのです。
今回弊誌では、Cristiano Filippini にインタビューを行うことができました。「音楽、特にこのジャンルは、人々の生活を向上させるために大いに役立つと思う。僕の音楽がどれだけ人々が困難な時期を乗り越えるのを助け、今日まったく狂っているように見えるこの世界の灰色を取り除くことができたかについて、多くのメッセージをもらうからね。僕たちは善の戦士なのだから戦わなければならないし、あきらめてはならない。人生は時に厳しいものだけど、戦うための武器はある。そのひとつが、こうしたアートなんだよ」 どうぞ!!

CRISTIANO FILIPPINI’S FLAMES OF HEAVEN “SYMPHONY OF THE UNIVERSE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【HIDEOUS DIVINITY : UNEXTINCT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ENRICO SCHETTINO OF HIDEOUS DIVINITY !!

“Metal Sex Workers Degrading Metal” Makes No Sense At All, Especially Because The Metal Community Always Claims To Be The Most Open-Minded And Inclusive Of All Music Communities.”

DISC REVIEW “UNEXTINCT”

「僕らのマネージャーはずいぶん前から、日本がいかに重要か、そしてSNSやTwitter/X を正しく使って日本のファンと接触する方法を理解していた。時間と労力がかかることだが、最終的には報われる。ファンと個人的な対話をすることができれば(Tito はその達人だ)、アーティストはファンにとってより大きい存在になるだろう。日本で僕たちにアプローチしてくるファンは、言葉の壁があるにもかかわらず、僕たちを “より身近な存在” だと感じていることに気づいた。とても誇らしく、謙虚な気持ちになったよ」
世界は今や、SNSがすべての中心にあります。それは音楽の世界も同じ。知名度を高め、人気を得るために SNS の効果的な運用は不可欠でしょう。HIDEOUS DIVINITY と彼らが所属するイタリアのレーベル Death To All は、そうした状況を深く理解しています。
彼らは特に、日本のマーケット、その重要性を認識していて、SNS を日本語でも運用。こまめにチェックとエゴサを重ねて、言及のあったアカウントにいいねやリプライを送ることも欠かしません。それはたしかに、時間と労力を消費する裏の仕事ですが、資金をかけることなくマーケティングが可能な金の卵でもあるでしょう。遠く離れたファンとつながれる、幸せな時間でもあるはずです。そうして実際、HIDEOUS DIVINITY 初の日本ツアーは大盛況のうちに幕を閉じたのです。
「正直、あの時は彼女の職業については知らなかったんだ!”メタルのセックス・ワーカーがメタルの品位を落とす” というのは、まったくもって筋が通っていない。特にメタルのコミュニティは、あらゆる音楽コミュニティの中で最もオープン・マインドで包容力があると僕は常に主張しているのだから。一部の例外を除いて、メタル世界に差別的なエピソードは見当たらない。 もちろん、世界は愚か者でいっぱいだ。だからメタルを聴くバカもたまにはいるだろうが、それについて我々ができることはほとんどないんだよな」
一方で、SNS には暗い側面も存在します。誹謗中傷や差別の助長。HIDEOUS DIVINITY の日本公演にゲストとして招待されていたあるセックス・ワーカーのポストについて、”セックス・ワーカーがメタルに言及すると、メタルの品位が落ちる” と発言するアカウントが現れました。
さて、モダン・メタルの “品位” “品格” とは何でしょうか?個人的に、それは Enrico のいうように、包容力、寛容さ、そして教養だと感じています。人種や文化、性別や職業に貴賤がないことは、現代を生きる人々にとってまさに不文律といえます。その不文律こそ、人類が、そしてメタル世界が長い年月をかけて培ってきた知性であり、教養であるはずです。そこに、”区別” と称して差別や抑圧を持ち込むことこそ、前時代的であり、”メタルを聴くバカ” に違いありません。
せっかく、我々はどんなジャンルよりも多様で幅広いテーマを扱う、”教養” を養えるヘヴィ・メタルの世界にいるのです。その “教養” を粗末にするような SNS の使い方は避けるべきでしょう。
「僕たちの音楽が歓迎され、高く評価されたのを見ると、日本のファンを増やすことはできると思う。熱狂的で情熱的なデスメタルのファンに沢山会ったけど、彼らの多くは、UNBIRTH や PUTRIDITY といったイタリアの他のバンドのファンだった。僕たちはただブルータルなデスメタル・バンドではなく、他の方向に向かっていると思うから不思議なんだけど、それでもフィードバックはとても良かったんだ」
実際、多くの日本のファンは寛容だったようです。HIDEOUS DIVINITY の音楽は、決して一筋縄ではいきません。実に哲学的でテクニカルでありながら、暴力的で混沌したノスフェラトゥ。相反する要素を併せ持つ、彼らのテクニカルでプログレッシブなデスメタルを追求するリスナーは決して多くはないでしょう。それでも、日本のリスナーは、決して最推しではなくても、彼らの音楽に耳を傾け、理解しようと努力し、愛情を注ぐようになりました。もちろん、音楽の “品位” が高いことは当然ですが、そうして好奇心と寛容さでメタルの世界が広がることこそ、SNS 時代において最も美しい光景ではないでしょうか?
今回弊誌では、ギター・マイスター Enrico Schettino にインタビューを行うことができました。「日本のSNSにおける、トレンディング・トピックの達成は信じられなかったよ!日本に惹かれる理由はメンバーそれぞれだと思う。Enrico・H はアニメの世界に最も造詣が深いかもしれないし、メンバーみんなが80年代や90年代に人生を変えたビデオゲームを知っている。 個人的に、僕にとっての日本とは、黒澤、北野、葉隠、そして相撲だ。 一般的に、僕はいつも西洋の基準とは全く異なる世界に魅力を感じていたんだよ」 どうぞ!!

HIDEOUS DIVINITY “UNEXTINCT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MESSA : THE SPIN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MESSA !!

“Scarlet Doom…This Specific Shade Of Red Was Chromaticall Helping Us Define Our Aim – And We Think It Still Fits Us, Even If The Years Passed By.”

DISC REVIEW “THE SPIN”

「ドゥームとは逃れられない虚無。私たちは、バンドの始まりからずっと “Scarlet Doom” という名前で自分たちの音楽を呼んできたんだ。この特別なの赤の色調は、私たちの目標を定義する上で、音の色彩を感じさせるために役立ってきたんだ。そして、年月が経っても、この名前が私たちにまだフィットしていると考えているよ」
音楽に “色” があると感じる人は多いのではないでしょうか。それは例えば、アートワークの色彩と関連づけられたり、楽曲のタイトル、もしくは楽曲や演奏そのものから滲み出る色合いだったりするでしょう。イタリアの MESSA は自らの音楽を “スカーレット・ドゥーム” と称しています。スカーレットとは、黄味がかった赤色のこと。ドゥームを逃れられない虚無と定義しながらも、彼らはその “ミサ” に様々な色彩を加えていきます。
「私たちは特に初期のゴシック・ロック/ダーク・ウェーブの大ファンでね。ただ、1980年代をテーマにした “The Spin” を制作する際、各メンバーがその時代に対する異なるアイデアを持っていたことが興味深い点だったね。例えば、Sara が直感的に参照としたのは KILLING JOKE と Siouxsie and the Banshees、Alberto にとっては JOURNEY だった。1980年代の音楽には、ムード、言葉、美学の広範なスペクトラムがある。ドゥームに何を落とし込むのか…私たち一人一人にとって、それは異なる選択だったね」
興味深いことに MESSA のアーティスト写真やアートワークはモノクロームやダークな雰囲気のものが多く、バンドの外観はあくまでドゥーミーでありながらその音楽は実にカラフル。いや、虚無の中に巣食う千変万化の色彩。その多様な色合いは、この4人組が2014年にバンドが結成されるまで、誰ひとりとしてドゥーム・バンドで演奏したことがなかったことに端を発しています。
彼らは、プログからブラックメタル、ゴスやポスト・パンクにアリーナ・ロックまで、様々な “重さ” を個別に経験していたのです。だからこそ、デビュー作のアンビエントなインターミッションやジャジーなクラリネット・パートから始まり、それ以来 MESSA は常に “ドゥーム” の色彩、サウンドの拡張を意識してきました。
7曲42分の “The Spin” は MESSA にとって最も短いアルバムですが、MESSA の持つドゥームの色彩が最も花開いた作品だと言えます。そのカラフルな色合いは、彼らが愛するイタリアのモータリゼーションが最も眩しかった80年代に帰依しています。”The Spin” とは、タイヤであり、道であり、永遠に繰り返す人の業とポスト・アポカリプスの虚無。
まるで80年代の映画、ブレイドランナーから飛び出してきたようなシンセ・ラインで幕を開けるアルバムは、ムーディーでありながらレトロ・フューチャーで、存分に不気味。ドゥームやゴスにとってはスピード違反な展開も、感情と技巧のギターソロも、結果としてドゥームの壮大とドラマを引き立てる武器のひとつにすぎません。
アンセミックなハードロック、アリーナ仕様のギタリズム、ジャズ・プログの間奏、ストーナー・リフとブラストビートにダークなシンセサイザー…ドゥームの暗がりや虚無を重さだけでなく、80年代の野心的な実験と曲作りの妙で表現する MESSA の哲学は実に魅力的かつ唯一無二。もちろん、その裏には Sara の奇跡的な歌唱や卓越したギターヒーロー Alberto の存在があることは言うまでもないでしょう。豊かな色彩を憂鬱へと導くそのハンドル捌きは、まさにプログレッシブ・ドゥームの寵児。
今回弊誌では、MESSA にインタビューを行うことができました。「楽器を演奏することは、アーティストであることよりも、職人であることと共通点が多いと思うんだ。それは技術を学び、信頼できるものを築くことに関わっているからね。私の見方では、この “技巧” は常に目的を持っているべきでね。私たちにとって重要なのは感情とメッセージであり、それらを伝えることが必要なんだ」 二度目の登場。どうぞ!!

MESSA “THE SPIN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BENTHOS : FROM NOTHING】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BENTHOS !!

“I always loved the japanese math scene: downy, toe, tricot, paranoid void, LITE… Outside the math world, I enjoy MILLENIUM PARADE, MASS OF THE FERMENTING DREGS, ermhoi, Black Boboi, BAUKHA (ex HOPI), Sheena Ringo, Friday Night Plans, Ichiko Aoba, Kaho Nakamura, betcover!!, Sarah Bonito (from Kero Kero Bonito).”

DISC REVIEW “FROM NOTHING”

「2000年代以降、メインストリームは非常にドライで予測可能なものになり始めた。今起きていること、プログレッシブ・ミュージックの再評価は、消費主義やコンテンツ不足の問題とリンクしているのではなく、メインストリームの外側にある何かを探したいという欲求だと思う。もしかしたら、いつものように、狂った “飽き” からくるものなのかもしれないけど!また、”脳内腐敗” や短いコンテンツに対する自意識のようなものもZ世代から見受けられるので、僕たちの一部が “治療法” のようなものを求めている可能性もある」
DREAM THEATER や GOJIRA のグラミー受賞は、プログレッシブ世界にとってとても大きな出来事でした。いや、プログレッシブ世界のみならず、インスタントな文化に支配された音楽世界全般にとっても、かなりの衝撃だったに違いありません。なぜなら、複雑で、長く、相当な鍛錬を要するプログレッシブ・ミュージックはコンテンツを “消費” するという時流の真逆にあると目されていたからです。
イタリアのエクスペリメンタル・メタル BENTHOS は、プログの復興と再評価について、”メインストリーム” の外側にある音楽への探求が始まったと表現しました。その言葉は、現行のポップやロックに、短いコンテンツの消費に “飽きた” リスナーにとって、プログが新たなエルドラドとなり得る可能性を自ら証明するという自信の現れでもあるはずです。
「基本的に何でも聴くようになり、あらゆるジャンルへと興味の幅を広げていった。今好きなアーティストは、Radiohead, Bjork, downy, Kendrick Lamar, JPEGMAFIA, Kero Kero Bonito, Magdalena Bay, 青葉市子だね」
なぜ BENTHOS が今、プログレッシブ・ミュージックの希望と呼ばれているのでしょうか?それは、彼らがあの SLEEP TOKEN と同様、メインストリームに住むメインストリームに飽きたリスナーを、メタルやプログレッシブ世界へと惹き込む魅力を備えているから。BENTHOS は例えば、THE CONTORTIONIST や THE DILLINGER ESCAPE PLAN, DREAM THEATER に HAKEN, OPETH, THE SAFETY FIRE (!) といったメタリックで複雑なプログやマスの “基本” を当然抑えながらも、決してそれだけでは終わりません。
Kendrick Lamar, Magdalena Bay, JPEGAMFIA, Kero Kero Bonito といったカラフルなヒップホップやポップ、エレクトロはもちろん、特に日本の音楽に薫陶を受け、toe, tricot, LITE といったマス・ロック、downy や 椎名林檎のようなレジェンド、そして青葉市子や中村佳穂のような新鋭まで、BENTHOS の好奇心は尽きることがありません。さらに、THE MARS VOLTA や A LOT LIKE BIRDS のようなポスト・ハードコア、そしてロックの酩酊までもがここには詰め込まれています。だからこそ、メインストリームのリスナーを惹き込め、プログの “充足感” を伝えていくことができるのでしょう。
型破りなアレンジ、破壊と野蛮、残忍と美麗、混沌と叙情、静寂と喧騒、そして悲痛な感情。複雑なリズム、パワフルでダイナミックなギターワークが、静謐でメロディアスな間奏とシームレスにブレンドされた、プログの再構築 “From Nothing”。その音楽的想像力のスケールの大きさ比肩できる作品はそうありません。決してつぎはぎのパッチワークではなく、洗練された創造性が幾重にも織り込まれたタペストリーはきっと “プログレッシブ” の楽しさを売り込む絶好のアンバサダーとなるはずです。
今回弊誌では、BENTHOS にインタビューを行うことができました。「BENTHOS という名前は、海底に密着して生活する生物のコミュニティを意味する。比喩的には、僕たちの内なるエッセンス、地下深くに埋もれている僕たちの感情を表し、それを表面化させようと努力しているんだ。僕たちの初期の楽曲のひとつ、”Debris // Essence” の原題は “Awake the Benthos” だった。やがて、その “Benthos” が僕たちにとって完璧な名前だと感じるようになったんだ」 どうぞ!!

BENTHOS “FROM NOTHING” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DROWN IN SULPHUR : VEANGENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DROWN IN SULPHUR!!

“We Would Like To Make Concerns What Happened After Lorna Shore’s Explosion. They Have Created a Trend That Is Followed In a Schematic Way By Many Deathcore Bands And We Find It Quite Monotonous.”

DISC REVIEW “VENGEANCE”

「LORNA SHORE の初期の作品は、少しクラシックなデスコアで、もちろんそれからのシンフォニックな進化も両方高く評価しているんだよ。ただ、彼らの爆発的な人気の後に起こったことに対して唯一コメントしておきたいのは、彼らは、多くのデスコア・バンドが図式的に、システマティックに追随するトレンドを作り出してしまったよね。僕たちはそれが非常に単調だと感じている。それが気がかりなんだ」
シーンに巨大なバンドが出現すると、それに追従する数多のフォロワーが出現する。それは黎明期から続く “ロックの法則” であり、飽和と定型化、そして衰退がひとつのライフ・サイクルとしていくつものジャンルを隆盛させ、また没落させてきました。そして現在、デスコアの巨人といえば LORNA SHORE でしょう。
「僕たちは常にオリジナリティのあるものをファンに提供し、僕らに気づいてくれた人たち、そしてデスコア/メタルコア・シーン全体に対して DROWN IN SULPHUR を認識させ、差別化したいと考えているんだ。そのために、作曲や作曲方法において、より多くのジャンルから影響を受けることを恐れないんだよ」
イタリアの DROWN IN SULPHUR は素直に LORNA SHORE をリスペクトしつつも、決して彼らの足跡を追おうとはしていません。なぜなら、そうした “セルアウトの方程式” がいつしかシーンを衰退に導く諸刃の剣だと知っているから。だからこそ、彼らはオリジナリティあふれる自らのデスコア道を歩んでいきます。
「僕たちは皆、ブラックメタルからクラシック・デスコア、ハードコア、ニュースクール・メタルコア、オールドスクール・デスメタル、そしてプログレまで、全く異なる嗜好を持っているんだ!もちろん、ロックやメタルの偉大な古典を愛する共通項もあるしね」
DROWN IN SULPHUR のデスコアはむしろ WHITECHAPEL の哲学に近い。そんな感想を抱くほど彼らの音楽は多様で、実験的で、それでいて非常に “聴きやすい” キャッチーさを多分に備えています。LORNA SHORE のように荘厳なる痛みをアルバム全体で醸し出すよりも、リッチで目まぐるしい展開を選んだともいえます。
クラシックなデスコアやデスメタルの重量感とテンポ・チェンジ、PANTERA のグルーヴやソロイズム、ハードコアのエナジーや衝動、ブラックメタルの暗がりやスピード、そして時に補充されるシンフォニーや民族音楽の響き、プログレッシブな構成美。特筆すべきは、”Scalet Rain” で見せるような悲痛なクリーン・ボーカルでさえ、”Vengeance” というアルバムにはわずかな違和感さえなく完璧にハマっている点でしょう。
まさにアートとしてのデスコア。憤怒と毒を含んだミケランジェロ。ヘヴィネス、スピード、ブレイクダウン、アトモスフィア、そしてメロディが黄金比で織り込まれたデスコアのダビデ像は、”Vengeance” でジャンルと音楽業界の不条理に中指を立てながら、一方では深い知性と実験性を備えたその美しき構成と展開の妙でジャンルの未来を切り開いていくのです。
今回弊誌では、DROWN IN SULPHUR にインタビューを行うことができました。「シンプルに僕たちは、パワー・メタルのようなジャンルに特に興味を持ったことはないんだ。メタルの真髄は、検閲や圧力なしに多くの創造性を発揮する余地を残したエクストリームなサブジャンルにあると信じているからね」 常軌を逸した演奏の巧さ、ギターソロののドラマ性、そして複雑な構築美。DREAM THEATER を影響元に挙げているのも頷けますね。どうぞ!!

DROWN IN SULPHUR “VEANGENCE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BEDSORE : DREAMING THE STRIFE OF LOVE】 CHRISTMAS SPECIAL 24′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BEDSORE !!

“There’s So Much Metal In Emerson Lake, & Palmer―What Could Be More Metal Than Karn Evil 9? “

DISC REVIEW “DREAMING THE STRIFE OF LOVE”

「”Karn Evil 9″ 以上にメタルなものがあるだろうか?そして H.R. ギーガーによるジャケット・アートも!組曲タルカスはなぜ、実際にはメタルでないのに、どうしてあんなにヘヴィで重厚に聴こえるのだろう?通常のメタルの定型に従った要素でなくても、何かが迫ってくるような雰囲気感を出すことができるんだ!」
YES, PINK FLOYD, KING CRIMSON, それに RUSH といったプログレッシブ・ロックから影響を受けたメタル・バンドは少なくありません。プログ・メタルという “プログレ” の系譜を受け継ぐジャンル以外でも、メタルはプログの恩恵を常に受けてきました。ただし、メタル世界で EMERSON LAKE & PALMER の名前が挙がることは、他の偉人と比べれば明らかに少なく思えます。それは当然、メタルの花形であるギターがそこにほとんどなかったから。
しかし、音楽そのものを考えれば、ELPこそメタルに最も親和性があるのではないでしょうか? “Karn Evil 9” や “Tarkus” の暗がり、重厚さ、そして圧倒的な迫力はまさにヘヴィ・メタルが目指す場所。一方で、”The Endless Enigma” や “Pirates” で見せた壮大なキャッチーさもまた、メタルが育んできたジャンルの魂。BEDSORE は、ELP と70年代のプログ、ダーク・メタル、そして母国イタリアへ “心からの愛を込めたファンファーレ” を贈るメタルの新鋭です。
「1970年代にはジャズ、フォーク・ロック、クラシック音楽が融合していたプログレッシブという考え方が、20世紀後半におけるこのジャンルの進化を通じて、半世紀後にエクストリーム・メタルと自然に融合するようになるとは誰が想像できただろうか。しかも、それは可能な限り有機的な方法で起こった。それこそが、僕らがプログが死なないと言った素晴らしい証明なんだよ」
OPETH が、BLOOD INCANTATION が、そして BEDSORE がメタルとプログを自然に融合させた事実こそ、”プログレ” が死なない理由。プログレが今も “プログレッシブ” である証明。そう彼らは信じています。彼らが願うのは、伝統と未来の有機的な融合。実際、その機運は BLOOD INCANTATION の大成功により、完璧に満ちました。
ただし、BEDSORE が OPETH や BLOOD INCANTATION と異なるのは彼らがイタリアの血を継いているところ。”プログレ大国” で彼らが養ったのは、LE ORME や PFM, BANCO に宿った音楽的な複雑さと感情表現を融合させる能力。創造的な自由、意志と思考の深さ。DEATH SS や DEVIL DOLL, GOBLIN のホラー。そして、イタリア語を駆使したルネサンスの精神とテーマ。
「僕たちは、テクニックのためのテクニカルな名人芸はあまり好きではない。僕たちはテクニックを “使って” 音楽を考え、構成し、アレンジする人を好むんだ。なぜなら、それが唯一才能を磨く手段だから。そもそも、テクニックは筋肉で鍛えるものだと考えられていたけど、Keith Emerson と Rick Wakeman は、この考えを完全に覆した。彼らはヴィルトゥオーゾ的な楽器奏者であったけど、何よりも思慮深い作曲家であり、そのヴィルトゥオーゾ性を適度に使うことに長けていた」
BEDSORE が過去から持ち帰ったのは70年代の音楽や精神だけではありません。廃れてしまった、メタルにおけるキーボード、鍵盤の美学を彼らは今に蘇らせます。Emerson や Wakeman があの楽器に託したもの。それは決して、筋トレやオリンピック的な哲学ではなく、思慮深さと色彩、クオリティ。そのスキルは、音楽の流れ、構造、感情を導く光。そうして、メロトロンのハミングとムーグの煙はプログの “イメージ” を完璧にかき立てます。イメージの詩。プログの色彩は、想像力に無限の広がりを与え、名状しがたい情感をもたらします。それはきっと、ファシズムに屈した世界にもたらす、一筋の光。
今回弊誌では、BEDSORE にインタビューを行うことができました。「僕たちは日本文化の大ファンだ。新世紀エヴァンゲリオンや AKIRA のようなアニメ、伊藤潤二や宮崎駿の作品、北野武や三池崇史の映画は、何度も僕たちに視覚的なインスピレーションを与えてくれた。Boris、Church of Misery、Flower Travellin’ Band、Mono、Boredoms、そして最近の Funeral Moth、Minami Deutsch、”2021 Split” でコラボレーションした Mortal Incarnation などのバンドは言うまでもないよ」 YSE の “Relayer” みたいな雰囲気もありますね。かっこいい!どうぞ!!

BEDSORE “DREAMING THE STRIFE OF LOVE” : 10/10

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COVER STORY + INTERVIEW 【PRIMAL FEAR : THALIA BELLAZECCA】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH THALIA BELLAZECCA OF PRIMAL FEAR !!

“Power Metal Is Like You Go Back To Childhood And Imagine Yourself Riding Eagles And Killing Enemies, Being a Hero Or Becoming The Dark Evil Guy That Wants To Conquer The World.”

PRIMAL FEAR

「PRIMAL FEAR だと、”Rulebreaker” は特に気に入っているアルバムだし、その中の “Bullets & Tears” という曲が特に好きな曲ね。バンドの中で私は本当に若いけれど、子供の頃にメタルが好きになった80年代、90年代のシュレッディなソロをもっと出したい。彼らの全アルバムに収録されているパワフルでヘヴィなパワー・リフはそのままにね」
Kiko Loureiro, Joe Satriani, Steve Vai, Guthrie Govan, Paul Gilbert, Andy Timmons, Marty Friedman, Jason Becker, Yngwie Malmsteen など、数え切れないほどのギター・ヒーローたちから多大な影響を受けた左利きのニュー・ヒロインは、イタリアの FROZEN CROWN で名を上げ、Angus McSix との共闘で刃を研ぎ澄まし、そうして遂に独パワー・メタルのベテラン PRIMAL FEAR へとたどり着きました。
Tom Naumann と Alex Beyrodt。Matt Sinner の心臓 SINNER を原点とするふたりのギタリストは、PRIMAL FEAR でもその実力を余すところなく発揮して、バンドの強靭なリフワークと華々しいシュレッドを鋭利な刃物のように研ぎ澄ませてきました。彼らの脱退は PRIMAL FEAR にとって当然大きな損失でしたが、バンドはロックとサルサで育った異色のメタル・ウーマン Thalìa Bellazecca と、達人として名高い Magnus Karlsson を引き入れることでさらなる高みを目指すことになりました。
「Angus McSix でこの役を “コスプレ” できて、とても嬉しいし光栄よ。リーグ・オブ・レジェンド(大好きで今でもプレイしているゲーム)やアニメのおかげで、いつもコスプレをもっと掘り下げてみたいと思っていたんだけど、残念ながら時間がなかったんだ。コスプレって自分を象徴する分身を持つようなもので、より自分に自信を持ち、自分の行動やあり方に誇りを持つことにも役立っていると思うの」
ファンタジーをテーマとするパワー・メタルの世界において、役を演じる “ロール・プレイ”、そして役になりきる “コスプレ” は、暗く煩わしい日常から離れ異世界へと旅立つためにとても重要な “ツール” なのかもしれませんね。Thalìa はそのコスプレというツールを、パワー・メタルの世界で誰よりも巧みに使いこなします。GLORYHAMMER を追われた Angus McSix との共闘では、カレドニアのレイザー・アマゾンの女王を演じて喝采を浴びました。
しかし、実際のコスプレだけではなく、彼女はさまざまな “ペルソナ” を現実世界でも演じています。自身の人気 YouTube チャンネルを運営し、ヘヴィ・ミュージックとロック全般に対する彼女のスキルと情熱を紹介したと思えば、なんとモデルの領域にも進出。彼女のゴージャスな写真は、ミラノのPERSONAの公式インスタグラムで確認できますが、とにかく自身の “分身”、自身の才能をいくつも揃えることで、彼女は自信を携え、パワー・メタルの栄光に向かって邁進することができるようになったのです。
「パワー・メタルは、誰にでもある現実や嫌なことから逃避するのに役立っているの。それに、パワー・メタルは本当に楽しいジャンルだし、すべてのバンドが何かのキャラクターのコスプレをすることで、さらにエンターテイメント性が増す。まるで子供の頃に戻って、自分がワシに乗って敵を殺したり、ヒーローになったり、世界を征服しようとする暗い悪者になったりするのを再び想像することができるのよ」
大人になって、子供のころのように異世界への想像を膨らませたり、空想のキャラクターになりきることはそうそう許されることではないでしょう。しかし、Thalìa のような自信と才能に満ちたアーティストが先陣を切って、パワー・メタルの楽しさ、エンターテイメント、そして逃避場所としての優秀さを広めてくれたとしたら…私たちはためらいなく、エルフやドワーフ、もしくは侍になりきって、子供のころのように煩わしい日常を忘れられる “エンパワーメント・メタル” に浸ることができるのかもしれませんね。
今回弊誌では、Thalìa Bellazecca にインタビューを行うことができました。「デスノート、エヴァンゲリオン、デス・パレード、デッドマン・ワンダーランド、それにスタジオジブリの全作品が大好きよ。音楽なら、BAND-MAID, ALDIOUS, NEMOPHILA, LOVEBITES, MAXIMUM THE HORMONE, NIGHTMARE, それに TK from 凛として時雨。ゲームなら、ベヨネッタ、どうぶつの森、スーパーマリオ(特にギャラクシー)全部、Bloodborne、Ghost of Tsushima、大神。もともとファンタジーやSFのゲーム、映画が好きだったので、日本に行って、それがストリートでも受け入れられているのを見て、日本がもっと好きになったのよね」 どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KINGCROW : HOPIUM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DIEGO CAFOLLA OF KINGCROW !!

“I Think Kintsugi Is Really a Great Metaphor About Dealing With Traumas And Overcoming Them And Even Celebrate Them Since They Are Part Of Our Growth Process.”

DISC REVIEW “HOPIUM”

「金継ぎは素晴らしいアイデアだと思ったんだ。自身のトラウマ、傷と向き合い、それを克服し、さらには成長過程の一部でもあるその傷を祝福できるようになる。金継ぎは、その歌詞の実に素晴らしい比喩だと思ったね。また、金継ぎのコンセプトはアートワークにも使用し、アルバムのビジュアル表現にも全面的に取り入れているよ。なぜなら、その魅力的な哲学をおいても、素晴らしく美しい芸術形態だから」
欠けたり割れたりした器を、漆を使って修復する日本の伝統的な技法、金継ぎ。もう二度と戻らない致命的な “傷” を優しくつなぎ合わせ、美しい金でコーティングすることでその傷を唯一無二の前向きな個性とする金継ぎはもはや、修理を超えてアートの域に達しています。
イタリアの伊達プログ KINGCROW は、その技法と哲学、アイデアに魅せられ、”Kintsugi” を自らの血肉へと昇華させました。ネットの普及により致命的な心の “傷”を負いやすい時代に、彼らは金継ぎを人間そのものに例えます。 つなげない傷なんてない。トラウマを克服し、いつかはその傷を個性とし、その傷ごと優しく抱きしめられる日がやってくる。彼らの “Kintsugi” はそんな美しい希望の歌になったのです。
「答えを提示するのではなく、自分の考えや視点を説くのでもなく、さまざまなトピックについてリスナーに考えさせ、自分なりの答えを見つけさせようとしている。だから、君が指摘したように、”Hopium” のアイデアのひとつも、盲目的に従うのではなく、疑問を持つことなんだ。そう、フェイクニュースや誤った情報が氾濫する時代には、物事に対して疑問を持つことがこれまで以上に重要なんだよ」
“Kintsugi” を収録した KINGCROW の最新作、そのタイトルは “Hopium”。”Hope” “希望” と “Opium” “麻薬” を掛け合わせたアメリカの新たなスラングには、幻想的な甘い希望の意味が込められています。ネットのエコーチェンバー、バブルの中に閉ざされて自身を絶対的な正義だと思い込み、異なる意見、異なる存在を悪と断じる狂気の世界で、彼らはただ、”疑問” を持って欲しいと願います。差別や分断を煽るフェイクニュースやプロパガンダをまずは、少しでも疑うこと。KINGCROW は、そう投げかけることで、一度傷つき “割れて” しまった人類の絆を取り戻し、より美しく、再びつなぎあわせたいのです。
「PAIN OF SALVATION の “マジック” の中核には、とても感情的な創造性があると思うし、それは僕たちも同じだと思いたい。クールなものを作るために、曲のエモーショナルなメッセージを犠牲にすることは絶対にないからね。僕たちはただ、感情を揺さぶる音楽を、興味深い美学とさまざまなレイヤーで表現しようとするだけだ」
KINGCROW がつなぎ合わせるのは、人だけではありません。プログ以外にも、メタル、オルタナティヴ、エレクトロニカといった珠玉のジャンルを黄金の光沢でつなぎあわせ、唯一無二の美しき個性とする彼らの音楽こそ、まさに金継ぎ。感情を決して置き忘れず、極限まで洗練された楽曲には必ず、ハッと息を呑むような、魂を揺さぶられる瞬間が用意されていて、リスナーは大鴉のマジックにただ酔しれます。アルバムには、奇しくも現在 PAIN OF SALVATION で鍵盤をつとめる Vikram Shankar がゲスト参加していますが、もしかすると彼らこそが “魂の救済” を謳った最も “エモーショナル” なプログ・メタルバンドの後継者なのかもしれませんね。
今回弊誌ではギタリスト、キーボーディストでメイン・コンポーザーの Diego Cafolla にインタビューを行うことができました。「バンド名を探していたとき、実はちょうどエドガー・アラン・ポーの詩集を読んでいて、”大鴉” にはいつも心を奪われるものがあったんだ。会話のすべてが主人公の心の中で起こっているという事実は、本当に魅力的なアイデアだ。
僕にとっては、外界といかにかかわるかで、自分の現実だけがそこにあると思い込んでしまうことを象徴していた。だから結局、KINGCROW という名前になったんだ」 もはや、LEPROUS, HAKEN, CALIGULA’S HORSE と並んでモダン・プログ・メタル四天王の風格。どうぞ!!

KINGCROW “HOPIUM” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VALENTINO FRANCAVILLA : MIDNIGHT DREAMS】 RIOT 祭り 24!!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH VALENTINO FRANCAVILLA!!

“I Learned The Constancy From Riot, Do What You Love With The Heart And If You Persevere With Such Thing Someone Will Be Happy Listening Your Music Or Recognize You As Something Like Fresh Air In His Life Thanks To The Art.”

DISC REVIEW “MIDNIGHT DREAMS”

「RIOT から “不変であること” を学んだんだ。自分の好きなことを心をこめてやれば、誰かが自分の音楽を聴いて幸せな気持ちになったり、自分のアートで人生に新鮮な風が吹いたと認めてくれるだろう。そう、自分の好きなことを変わらずやり続ければね」
かつて、パワー・メタルはヘヴィ・メタルが揶揄されるマンネリの象徴でした。”すべてが予定調和で、同じに聴こえる”。そんな中でも、RIOT は己が愛するパワー・メタルをやり続けました。好きをやり続けることで RIOT のパワー・メタルは豊かに熟成されて、フォーキーだったり、メタリックだったり、エモーショナルだったり、テクニカルだったり、Valentino Francavilla が語るように時季折々の個性を醸し出すようになりました。多くの人の人生に救いや癒しをもたらしました。そして、パワー・メタルの復権と拡散、新たな才能の礎になったのです。
「RIOT は僕のヒーローであり、インスピレーションなんだ!16歳の頃、クラシックなオールドスクール・ヘヴィメタルのコンピレーションを聴いていて、”Thundersteel” が流れてきたんだ。最初のコーラスの後、”これが真のヘヴィ・メタルというものなんだ” と雷に打たれ、この素晴らしいバンドに恋をしたのさ!」
イタリアでメタルに目覚めた Valentino Francavilla は、RIOT の “Thundersteel” を聴いて文字通り雷に打たれたような衝撃を受けました。これこそが個性的で真なるヘヴィ・メタル。いや、真なるヘヴィ・メタルは個性的だと確信した Valentino は、そうしてギター、さらには歌の研鑽に励みました。WHITE SKULL で名を上げ、胸筋と SNS で火がつき、ついにはソロ・デビュー。そして7月にはここ日本で、RIOT V との共演が決定。彼もまた、好きをやり続けた結果、まさに “Midnight Dreams” が実現するのです。
「僕は何か新しいものを発明しているわけじゃない。僕が作曲したものは、人生の季節季節で耳にしたものから影響を受けた音楽だから。でも、僕は人の個性を本当に信じているんだ。人はひとりひとりがそれぞれ個性的だ。だから僕は、良いインスピレーションと影響、愛と独自性を持って、最高の音楽を作ろうとしたんだ!」
Valentino の言葉どおり、彼の音楽は決して真新しい革命的な何かではありません。とはいえ、彼の人生の四季折々を反映した、実に個性的で芳醇なパワー・メタル。たしかに、パワー・メタルには一定のフォーミュラ、型が存在しますが、そこに注がれるのはアーティスト個性であり、”好き” の源。つまり、個性を知り、音楽の色を積み重ねたアーティストにとって、そうしたフォーミュラは創造性の妨げにはならないのです。
「僕がステージで演奏するときに最初に考えるのは、目の前にいる人たちは新鮮な空気を吸って、人生を楽しむためにここにいるんだということ。こんな困難な時代だからこそね。ヘヴィ・メタルや音楽全般は、心理的な問題に対しても、本当に多くの方法で人々を助けることができると思う」
そうして Valentino のパワー・メタルは暗い世界の灯火となります。モダンで高度なテクニックと、クラシックなメタルのメロディ、そして積み重ねてきた音楽の色は雄弁に交合わさり、憂鬱や痛みをかかえる人々にひとときの癒しを提供し、新鮮な一陣の風を心に吹き込むのです。
今回弊誌では、Valentino Francavilla にインタビューを行うことができました。「LOUDNESS や X Japan のような日本のヘヴィ・メタル・バンドも大好きで、彼らからたくさん影響を受けたよ!Xの “Sadistic Desire” や LOUDNESS の “Crazy Doctor”, “Like Hell”, “In The Mirror”, “Heavy Chains” のようなリフが本当に大好きでね。彼らはいつも僕に夢を与えてくれたし、高崎晃の演奏も大好きだよ」 祭りには胸筋。どうぞ!!

VALENTINO FRANCAVILLA “MIDNIGHT DREAMS” : 10/10

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