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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IMMORTAL GUARDIAN : PSYCHOSOMATIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH IMMORTAL GUARDIAN !!

“Now It’s The Only Way I Play Music. I Feel Naked When I Only Have Just One Of The Guitar Or The Keyboard On Me. It’s How I Think And How I Express Myself The Best Musically.”

DISC REVIEW “PSYCHOSOMATIC”

「ギターとキーボード、どちらか片方だけを持っていると半裸になったような気分になるんだ。それが僕の考え方で、音楽的に最高の自分を表現する方法なんだよね。」
ダブルネックの16弦ギター、モンゴルのホーミーと伝統楽器、アステカの笛に骨のマイク。弊誌ではこれまで、奇想天外なアイデアとメタルの融合をいくつも報じてきました。
どんな突飛な発想とも真摯に向き合うメタルの包容力は、そこから驚くほどドラマティックで獰猛なキメラを多数輩出してきたのです。馬鹿らしさを馬鹿らしさだけで終わらせないメタルの神秘。それでも、ギターとキーボードを同時に演奏という曲芸じみた異能に挑戦する戦士は Gabriel Guardian がはじめてでしょう。
「この2つの楽器を組み合わせることで多くのことが実現できる。音楽的に多くの表現ができるし、そこに無限の可能性を秘めていることも気に入っているよ。」
実際、Gabriel は例えば Alexi Laiho と Janne Wirman の役割を一人で同時にこなすことを究極の目標としている節があります。そのためには、もちろん、基本的にはギターをピッキングなし左手のタップだけでプレイする必要がありますし、鍵盤は右手だけ。ただし、その欠点を補ってあまりある視覚的なインパクト、そしてユニゾンやコード、リズミックなアイデアの広がりがあることは明らかでしょう。他人と意思疎通することなく、自由自在に掛け合いができるのですから。
「僕は昔からメタルにおけるクラシック音楽が好きだったんだ。若い頃はクラシックを聴いていたけど、それからは正直あまり聴いていなかった。だからクラシックの影響というよりも、自分の曲にクラシックの影響を取り入れているメタルバンドから多くの影響を受けたんだ。」
“Read Between The Line” を聴けば、Gabriel の “ギターボード” という発想がメタルとクラッシックのさらなる融合に一役買っていることに気づくはずです。彼はクラシカルなメロディーをその異能で立体的に配置し、構成する技能に優れていますがクラッシックの教育は受けていません。しかしだからこそ、難解複雑な理論よりも、メタル者が欲する “クラシカル” の海へと音楽を没入させることが可能なのでしょう。
「僕たちの曲はパワーメタルで、クラシカルなシュレッドギター/キーを使っているけど、ドラマーとベーシストのリズムセクションはモダンでテクニカルなメタルに傾倒している。この融合が素晴らしくて、このジャンルの名前を思いついた人をまだ見たことがない。」
シンガロングの麻薬 “Phobia” は象徴的ですが、リズムセクションが牽引する djenty なリフワークとパワーメタルの婚姻も想像以上に鮮烈な化学反応をもたらします。フラスコには、メキシコ、ブラジル、カナダ、テキサスの多様な背景、文化がしたたり、メタル革命を指標する “スーパーメタル” が誕生しました。間違いなく、OUTWORLD や HEAVEN’S GUARDIAN で知られる Carlos Zema の強靭な歌声は革命のハイパーウェポンでしょう。
「今回のパンデミックで世界中の人々が受けた心身への影響を目の当たりにして、このアルバムのテーマが思い浮かんだ。その結果、ソリッドでヘヴィで革新的なアルバムになった。今、世界で起きていることと密接に関連している。」
“Psychosomatic”、心身症と名付けられたアルバムは、その名の通りパンデミックが引き起こしたロックダウンや自己隔離といったストレスにより、心や身体に異常をきたす非日常の2020年代をビッグテーマとしています。一時は “Candlelight” 蝋燭の灯で悲しみに沈んだアルバムは、それでも “New Day Rising” の希望に満ちたプログレッシブなパワーメタルで新たな日々の到来を焦がれるのです。
今回弊誌では、Gabriel Guardian, Carlos Zema にインタビューを行うことが出来ました。「欠点は、2つの楽器を常に練習しなければならないこと。2つの楽器を使いこなすために、他のミュージシャンの2倍の練習をしなければならないんだ。2つの楽器をセットアップして、ケアをしなければならないのもめんどうだよね。」 不死の守護者によるメタル革命のはじまり。どうぞ!!

IMMORTAL GUARDIAN “PSYCHOSOMATIC” : 9.9/10

INTERVIEW WITH GABRIEL & ZEMA

Q1: First of all, this is the first interview with you. So, could you tell us about yourself? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【GABRIEL】: I listened to a lot of classic rock growing up. Big fan of the Beatles, Zeppelin, Sabbath, CCR. Around age 11 I was introduced to Santana, Yngwie, Eric Johnson, Stevie Ray Vaughn, etc and those very guitar heavy bands, that changed my life! I didnt know you could “speak” so much with your guitar and instrumental music…. But when I found bands like Symphony X, Iron Maiden, Dream theater, Children of Bodom, etc, they really inspired me to make the music I make today. Those epic symphonic arrangements, with killer guitar riffs and the catchiest vocals… when i first heard it. I knew that’s the music I wanted to make for the rest of my life.

Q1: 本誌初登場です。まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【GABRIEL】: 子供の頃からクラシックロックをたくさん聴いていたんだ。ビートルズ、ツェッペリン、サバス、CCRの大ファンだったよ。そして11歳の頃、サンタナ、イングウェイ、エリック・ジョンソン、スティービー・レイ・ヴォーンといったギター中心の音楽を紹介され、人生が変わったんだ。ギターとインストゥルメンタル・ミュージックでこれほどまでに “話す” ことができるとは知らなかったよ….。
それから、SYMPHONY X, IRON MAIDEN, DREAM THEATER, CHILDREN OF BODOM といったバンドを発見し、彼らに刺激を受けて今の音楽を作るようになったんだ。
壮大なシンフォニック・アレンジ、キラー・ギターリフとキャッチーなヴォーカル…最初にああいった音楽を聴いた時、これが自分の作る音楽だと思ったんだよ。これが僕の人生の残りの時間をかけて作りたい音楽だとね。

Q2: You are an expert on both guitar and keyboards, which instrument did you start with? Who were your musical heroes at the time?

【GABRIEL】: I started first on drums surprisingly lol. My father and brother are both amazing drummers. When my brother and I started playing together, he was much better than me so it was an easy choice to go to the guitar. A lil like the Van Halen bros haha.
I’m a HUGE fan of Alexi Laiho and Santana. The mix of those guitarists is my vibe!! I love the classical heavy riffs and shred from Alexi. The way he brought classical to metal and kept it heavy and dark is just amazing. COB really changed the game for us metal guitarists. And I love the way Santana makes his guitar sing, expresses so much soul and feeling out of such simple yet genius phrases. Doesn’t matter which song you ever hear with him in it, pop, rock, latin, etc. Within the first lick, you already know it’s him. He has this signature sound that’s so recognizable and it’s always been my goal to strive for that.
Of course lots of power metal and also bands with keyboard/guitar shreds influenced me a lot. Stratovarius, Dream Theater, Dragonforce, Children of Bodom, Rush, Rhapsody, etc. Keyboards are something I always found cool in metal. Whether it was shredding lead synths like power metal, or dark symphonic keys like Dimmu Borgir, I’ve always been obsessed with adding keyboards to everything I’m working on. Believe it or not, but almost all my ideas/riffs come from the keyboard first then go to the guitar. I’m a better guitarist than I am a keyboardist, but I love the keyboard probably more.

Q2: あなたはギターの達人でもあり、キーボードの達人でもありますが、どちらの楽器から始めたんですか?
当時の音楽的なヒーローは誰でしたか?

【GABRIEL】: 意外にも、最初はドラムから始めたんだ (笑)。父も兄もすごいドラマーなんだよね。僕と兄が一緒にプレイし始めた時は兄貴の方がドラムがずっと上手かったから、僕がギターに行くのは簡単な選択だったんだ。VAN HALEN の兄弟みたいだよね。
僕は Alexi Laiho とサンタナの大ファンなんだ。2人をミックスしたものが僕のヴァイブだよ! Alexi のクラシカルでヘヴィなリフとシュレッドが大好きだ。彼がクラシックをメタルに持ち込んで、それをヘヴィでダークなものにする手法は本当に素晴らしい。COB は本当に俺達メタルギタリストの世界を変えてくれたんだ。
サンタナについては、彼ののギターを歌わせるやり方が大好きだし、シンプルだけど天才的なフレーズの中に魂と感情を表現しているよね。ポップスでもロックでもラテンでも、どんなジャンルの曲でも関係ない。最初の一音で、それが彼だとわかるんだ。彼には彼のシグネチャー・サウンドがあり、それはとてもわかりやすく、常にその領域を目指して努力することがぼの目標だったんだよ。
もちろん、パワーメタルバンドや、キーボードやギターのシュレッドを使ったバンドからも大きな影響を受けている。STRATOVARIUS, DREAM THEATER, DRAGONFORCE, COB, RUSH, RHAPSODY みたいなバンドさ。
キーボードはメタルにおいて常にクールなものだと思っていたよ。パワーメタルのようなシュレッダー・リード・シンセであれ、DIMMU BORGIR のようなダークなシンフォニックなキーボードであれ、僕は自分がやっていることすべてにキーボードを加えることに夢中になっていたんだ。
信じられないかもしれないけど、僕のアイデアやリフのほとんどは、まずキーボードから出てきて、それからギターに向かうんだよ。キーボードよりもギターの方が上手いんだけど、もしかするとキーボードの方が好きなのかも知れないね。

Q3: It was amazing to play guitar and keyboards at the same time. Why did you start doing it this way?

【GABRIEL】: I always loved the keyboard a lot but I lived in this small Texas town on the Mexican border, and finding a power metal keyboard player, yet alone just a keyboardist in general was almost impossible. I guess it was one of those, “I’ll just do it myself!” kinda things.
After trying it at a few shows and then posting some videos that went viral. I found my musical outlet! Now it’s the only way I play music. I feel naked when I only have just one of the guitar or the keyboard on me. It’s how I think and how I express myself the best musically.

Q3: それにしても、ギターとキーボードを同時にプレイするあなたのやり方は、ありそうでなかったですし、これぞメタルといった趣で素晴らしいですね!どうやって思いついたんですか?

【GABRIEL】: 昔からキーボードが大好きだったんだけど、メキシコとの国境にあるテキサスの小さな町に住んでいたから、パワーメタルのキーボード奏者を見つけるのは不可能だったんだ。ただのキーボーディストを見つけるのでさえ不可能だった。だから自分でやってみよう!という感じだったんだと思う。
数回ライヴでやってみて、それからいくつかビデオを投稿して、ギターとキーボード同時演奏がバズったんだ。遂に自分の音楽的な捌け口を見つけたんだ!今ではそれが僕の唯一の演奏方法だよ。
ギターとキーボード、どちらか片方だけを持っていると半裸になったような気分になるんだ。それが僕の考え方で、音楽的に最高の自分を表現する方法なんだよね。

Q4: What are the pros and cons of playing guitar and keyboards at the same time?

【GABRIEL】: The pro is I have full control over ideas of guitar and keys and nothing gets lost in translation between members like it did in the past.
I love that there is one less person on tour, one less person to pay, feed, air travel etc.
I also love that I can have SO much expression and infinite possibilities musically because you can do a lot with these two instruments.
The cons is practicing TWO instruments all the time. Constantly having to practice twice as much as most musicians because you want to keep the chops up on both instruments. Having to setup and take care of two instruments also sucks haha. Double the recording, double be time, the editing, the time it takes to do pretty much anything. Traveling with two instruments. Don’t get me started… ha. But I wouldn’t change it any other way. I absolutely love to play guitar AND keys and I don’t mind the endless cons that come.

Q4: ギターとキーボードを同時にプレイする際の、長所と短所を教えていただけますか?

【GABRIEL】: 長所は、ギターとキーボードのアイデア両方を完全にコントロールできることかな。以前のようにメンバー間でのやりとりで迷うことは何もないからね。ツアーに参加する人が一人減って、支払いや食事、飛行機代などが一人分減るのも嬉しい。
また、この2つの楽器を組み合わせることで多くのことが実現できる。音楽的に多くの表現ができるし、そこに無限の可能性を秘めていることも気に入っているよ。
欠点は、2つの楽器を常に練習しなければならないこと。2つの楽器を使いこなすために、他のミュージシャンの2倍の練習をしなければならないんだ。2つの楽器をセットアップして、ケアをしなければならないのもめんどうだよね。レコーディングも2倍、ビータイムも2倍、編集も2倍、何をするにも時間がかかる。
2つの楽器を持って旅をする。俺には無理だよ…はぁ。でも、他の方法には変えられないしね。僕はギターと鍵盤を弾くのが大好きだし、まあ無限の欠点があっても気にしないよ。

Q5: You refer to your music as “super metal”. What exactly do you mean by “super metal”? Are you trying to start a metal revolution?

【GABRIEL】: Super metal is the mix of all the metals we play in Immortal Guardian. Because everybody in the band is from different backgrounds, cultures, countries etc, so is our metal musical tastes. We all love metal but grew up playing different kinds. It’s the best part about immortal Guardian if you ask me. We got power metal singing, with classical shred guitars/keys but our drums and bassist rhythm section is super into modern and technical metal.
The mix is wonderful and we have yet to see someone do this and also come up with a name for the genre. Our fans just started calling us that so over the years we ran with it and even named our first ep that. Lol
And yes…we are starting a metal Revolution, and it has already begun!

Q5: あなたは IMMORTAL GUARDIAN の音楽を “スーパーメタル” と称していますね?

【GABRIEL】: “スーパーメタル” とは、IMMORTAL GUARDIAN で演奏する全てのメタルをミックスしたものだよ。バンドのメンバー全員が異なるバックグラウンド、文化、国の出自を持っているから、メタルの好みも同じく幅広い。僕達は皆メタルが大好きだけど、育った環境が違うんだ。それが IMMORTAL GUARDIAN の醍醐味なんだ。僕たちの曲はパワーメタルで、クラシカルなシュレッドギター/キーを使っているけど、ドラマーとベーシストのリズムセクションはモダンでテクニカルなメタルに傾倒している。
この融合が素晴らしくて、このジャンルの名前を思いついた人をまだ見たことがない。だから僕たちのファンがそう呼ぶようになったんだ、何年もかけてそれを実行してきたし、俺たちの最初の EP もそう名付けたんだよ。(笑)
そして、そう…僕たちはメタル革命を始めようとしている。革命はすでに始まっているんだよ!

Q6: Gabriel is of Mexican descent, Carlos is Brazilian, Justin is Canadian and Josh is Texas. It’s a very multinational band. Of course, you must have had a hard time with the pandemic, but it’s interesting to see the cultural diversity that exists, right?

【ZEMA】: yes, so many brilliant ideas come with this diversity and different influences on our background, musically you couldn’t get a better range of ideas. Being located far away from each other just made us more eager to accomplish our goals as a band as well. That’s what makes this band so unique as well. The passion, the dedication, the fight is real when putting this music together.

Q6: Gabriel が言うように、Gabriel はメキシコの血を引き、Carlos はブラジル、Justin はカナダ、Josh はテキサスと非常にインターナショナルなバンドになっていますね。
ゆえに、パンデミックでのレコーディングは大変だったでしょうが、実に多彩な音楽が生まれています。

【ZEMA】: そうだね、その出自の多様性と、僕らの背景にある様々な影響によって、多くの素晴らしいアイデアが生まれたんだ。それに、お互いに離れた場所にいることで、バンドとしての目標を達成したいという気持ちが強くなったんだよ。それがこのバンドをとてもユニークな存在としているんだ。情熱、献身、闘争心を持って音楽を作っているんだ。

Q7: Why did you choose the title “Psychosomatic” this time? Some titles are related to the pandemic, such as Lockdown and Self-Isolation, do you have a concept for the album?

【ZEMA】: the theme of the album came to kind after watching all the psychosomatic effects that ever person in the world suffered throughout this pandemic. And the result, came as a solid, heavy and innovative album. Super relative to what’s going on right now in the world. In my opinion this is the most expressive album that Immortal Guardian has ever recorded, the heaviest and the most creative. We have written very modern ideas with what we have as influence throughout our careers.

Q7: “Psychosomatic” というアルバムタイトルを選んだのはなぜですか?作品には、”Lockdown”, “Self-Isolation” といったパンデミックに関連するタイトルも収められていますが。

【ZEMA】: 今回のパンデミックで世界中の人々が受けた心身への影響を目の当たりにして、このアルバムのテーマが思い浮かんだ。その結果、ソリッドでヘヴィで革新的なアルバムになった。今、世界で起きていることと密接に関連している。
僕の考えでは、このアルバムは IMMORTAL GUARDIAN がこれまで制作した中で最も表現力に富んだアルバムで、最もヘヴィで最も創造的なアルバムだと思う。自分たちのキャリアを通して影響を受けてきたものを使って、非常に現代的なアイデアを描いているんだ。

Q8: “Read Between The Line” is one of my favourite songs. You’re very good at bringing classical melodies to metal, would you agree? Who is your favorite classical composer?

【GABRIEL】: I have always loved classical music in metal. I did listen to some classical music growing up but honestly not too too much. I got a lot of my classical influence from metal bands who put classical influences in their songs haha. Do you know what I mean? I had the blessing of listening to bands like Children of Bodom and Symphony X growing up. I learned a lot of those kinda of phrases and melodies from learning tons of metal songs growing up. I only know a very small handful of classical songs. A lot of people think I’m classically trained or something but I’m the furthest from that haha. I’ve never taken a lesson before and I still can’t really read music. One day I plan to eventually learn how to read and play classical music, but right now i mainly focus on how to write better songs and keep up with my techniques.

Q8: “Read Between The Line” はフェイバリットの一つですよ。今、クラッシックをメタルに持ち込むギタリストであなたは5本の指に入るでしょうね。構成力が素晴らしいですよ。

【GABRIEL】: 僕は昔からメタルにおけるクラシック音楽が好きだったんだ。若い頃はクラシックを聴いていたけど、それからは正直あまり聴いていなかった。だからクラシックの影響というよりも、自分の曲にクラシックの影響を取り入れているメタルバンドから多くの影響を受けたんだ。わかるかな?
CHILDREN OF BODOM や SYMPHONY X のようなバンドを聴いて育ったんだ。沢山のメタルソングを聴いて育ったから、そういうフレーズやメロディーをたくさん学んだわけさ。クラシックの曲はほんの一握りしか知らないよ。
多くの人は僕がクラシックの訓練を受けているか何かだと思っているけど、そうじゃないんだ。レッスンを受けたこともないし、楽譜を読むこともできない。いつかはクラシック音楽を読んで弾けるようになりたいと思っているけど、今はより良い曲を書くこととテクニックを身につけることに主眼を置いているんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED ZEMA’S LIFE

HELLOWEEN “KEEPER OF THE SEVENTH KEYS PART1”

JUDAS PRIEST “PAINKILLER”

IRON MAIDEN “SEVENTH SON OF A SEVENTH SON”

METALLICA “…AND JUSTICE FOR ALL”

ANGRA “ANGELS CRY”

MESSAGE FOR JAPAN

I would like to thank you for all the support in Japan, the most amazing fans in the world! For all these years all of you have given me support in all 27 albums I’ve ever released and now with the best band I’ve ever had, I see a big chance of us touring in Japan! You guys are the best and I can’t wait to perform for you guys, and see you all singing together with this music we have poured out hearts into! Keep on rocking

世界で一番素晴らしいファンのみんな、日本のサポートに感謝しているよ!何年も、僕がこれまでにリリースした27枚のアルバム全てで皆に支えられてきたし、今までで最高のバンドと一緒に、日本でのツアーの大きなチャンスが見えてきたよ!
みんなは最高だよ!君たちのためにライブをするのが待ちきれないし、僕らが心を込めて作った音楽でみんなが一緒に歌う姿を見るのが待ちきれない。Keep on Rockin’!!

CARLOS ZEMA

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LITURGY : ORIGIN OF THE ALIMONIES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HUNTER HUNT-HENDRIX OF LITURGY !!

“I Hope That The Metal Scene Learns To Have Less Of The ‘Boys Club’ Aspect And Hold Space For More Alterity. Personally I See That As The Leading Edge Of Originality For Metal”

DISC REVIEW “ORIGIN OF THE ALIMONIES”

「私は、人類の歴史が展開し始める要因となった神の中にはメタフィジカル (人間の理解や物理を超えた) な不均衡があり、その不均衡を回復するためには、解放的な政治や実験的な芸術が重要な役割を果たすと考えているのよ。」
昨年、”H.A.Q.Q.” でブラックメタルの地図に新大陸を記載した LITURGY。日本の雅楽までを飲み込み、実験と理想を両立させた音楽、芸術、哲学が三位一体のレコードは明らかにメタルの境界線を大きく押し広げました。そうして自らを “解放” しさらなる自由を得た首謀者 Hunter Hunt-Hendrix にとって、次なる超越的ブラックメタルのテーマはクラシックとグリッチを織り交ぜたメタルオペラでした。
「メタルシーンには、”ボーイズクラブ” 的な側面を減らして、もっと変幻自在になってほしいと思っているの。個人的には、それがメタルにとってのオリジナリティの最先端だと思っているから。」
LITURGY は、シンガー、ソングライター、作曲家、哲学者、そして先駆者 Hunter Hunt-Hendrixのプロジェクト。”H.A.Q.Q.” の成功の後、Hunter は様々な葛藤を乗り越え自らがトランスジェンダーであることを公表します。
体は男性、心は女性。彼女の作品の哲学的な性質を考えれば、この勇気ある公表がボーカルとアレンジメントの両方を通して、より深く、より生々しい感情的サウンドを喚起することは明らかでした。
「LITURGY の音楽には、いつもたくさんの愛、寛容さ、誠実さがある。だからといって、それがそのまま “女性的” ってことなのかしら? そう定義するのは、あまりにも堅苦しいような気がするわね。でも、私が個人的にそういった感情にアクセスして表現するときは、それは私にとって女性的なものだと感じているんだけどね。」
性別の移行と同時に、インストゥルメンタルだった万物の起源へと誘うオペラはその神話を語る声を得ました。それはすべて、この物語の主人公が SIHEYMN という女性だったから。言葉だけでも、音楽だけでも伝えられない彼女のメタフィジカルな理想は、そうして女性性を色濃くしながら “Origin of the Alimonies” へと昇華されることとなったのです。描かれるはトラウマティックな愛によって引き裂かれた2つの神の原理 OIOION と SIHEYMN の尊き神話。
「私が Messiaen について愛していることの一つは、彼が前衛的な作曲家であると同時に、私と同じようにキリスト教徒であるということなの。この二つの側面は、私が自分の作品の中で定義し、継続しようとしている “The Ark Work” の繋がりにとって重要なものだから。」
グリッチなシンセで幕を開けた “H.A.Q.Q.” とは対照的に、”Origin of the Alimonies” はフルートの孤高が導きの灯火。フランスの現代音楽作曲家でオルガニスト Olivier Messiaen に薫陶を受けたアルバムは、ヴァイオリン、トランペット、ハープを不穏に誘い、バーストビートのラウドな宇宙と結合することで、2020年代のチェンバーメタルオペラを提示することに成功したのです。
もちろん、”Lonely OIOION” を聴けば、圧倒的なバンドパフォーマンスの不変に今も身を委ねることが可能です。それでも、グリッチやオーケストレーションとのセンセーショナルな婚約に始まり、千変万化なトラップやフリージャズのビート、”The Fall of SIHEYMN” に降臨するマイクロトーナルの絶景、Messiaen 由来の現代音楽のリズムと不協和を設計図とする “Apparition of the Eternal Church” の叙事詩まで、37分すべてが明らかにブラックメタルを超えた芸術作品の域までこのオペラを高めています。
Hunter はかつて、このアルバムで自身のリスナーは大きく減るだろうと予言しました。しかし、作品を締めくくる “The Armistice” の美しき混沌に身を委ねれば、彼女の予言がいかに的外れであったか伝わるはずです。
複雑なリズムのクラスター、ポリフォニー、そして不協和音。常識を覆す斬新なアイデアと、原始的な人間の起源を描いたことによる初演の混乱。そうこれは21世紀のストラヴィンスキー、春の祭典なのかもしれませんね。もちろん、バレーのダンサーは半狂乱でしかし軽やかにモッシュピットで踊ります。ゆえに現在制作中という、アルバムを投影した映像作品も楽しみですね。
今回弊誌では、Hunter Hunt-Hendrix にインタビューを行うことができました。「もちろん、男らしさが悪いわけではないし、私はこれからも男らしさが常にメタルを支配していくと確信しているの。それは私にとって別に構わないのよ。」2度目の登場。どうぞ!!

LITURGY “ORIGIN OF THE ALIMONIES” : 10/10

INTERVIEW WITH HUNTER HUNT-HENDRIX

Q1: After our previous interview, you came out publicly as transgender. As you say, there was fear of rejection -social rejection, romantic rejection, career rejection, rejection by your family. I admire your courage. How were you still able to come out?

【HHH】: It was a long process. I was finally able to once I found a community that would accept me, which was only very recently. It’s more complicated than at obviously. I’m sad that I wasn’t able to face this sooner but there has been a lot of support and I’ve really appreciated it.

Q1: 前回のインタビューのあと、あなたはトランスジェンダーであることを公表しましたね。あなたの勇気を心から賞賛しますよ。
社会的にも、キャリア的にも、さらには家族からも拒絶される恐怖があったとあの時あなたは語っていましたが、それでも公表を後押ししたのは何だったんですか?

【HHH】: 長いプロセスだったわ。私を受け入れてくれるコミュニティを見つけてようやく公表できたんだけど、それはごく最近のことだったのよ。明らかに以前の方が複雑だったわね。
もっと早く向き合えなかったのは残念だけど、多くのサポートを受けることができて本当に感謝しているの。

Q2: You said “The music and ideas I compose come from a female heart”. That was very interesting to me. I’d like to ask you about femininity in art and music?

【HHH】: It’s somewhat hard to explain. I’ve always considered the burst beat technique to be feminine in some kind of cosmic sense, like fluid, cyclical and anexact unlike ordinary metal drumming, though it gets very difficult to describe what one means by ‘feminine’. Like there’s always been a lot of love, openness and sincerity in Liturgy’s music. Is that ‘feminine’ exactly? Seems like it would be too rigid to define it that way. But when I personally access and express those feelings, it feels feminine to me.

Q2: 公表時のメッセージであなたは、「私の音楽やアイデアは女性の心からきているの」 と仰っていましたね。とても興味深い表現だと思いました。
具体的に、アートや音楽に潜む女性性についてお話ししていただけますか?

【HHH】: 説明するのはなかなか難しいわね。バーストビート (注: 彼女にとってのブラストビート) のテクニックは、普通のメタルドラミングとは違って、流動的で周期的で正確な、ある種宇宙的な意味での女性的なものだと思っていたんだけど、それでも “女性的”とは何を意味するのかを説明するのはとても難しいわね。
LITURGY の音楽には、いつもたくさんの愛、寛容さ、誠実さがある。だからといって、それがそのまま “女性的” ってことなのかしら? そう定義するのは、あまりにも堅苦しいような気がするわね。でも、私が個人的にそういった感情にアクセスして表現するときは、それは私にとって女性的なものだと感じているんだけどね。

Q3: The metal world still emphasizes masculinity, and the boys’ club aspect remains strong. That’s why I’m glad you’re in the metal world. Do you think those false traditions will change?

【HHH】: I think they will, or at least I hope so. There’s nothing wrong with masculinity of course, and I’m sure masculinity will always dominate metal, which is fine by me. But I hope that the metal scene learns to have less of the ‘boys club’ aspect you mention and hold space for more alterity. Personally I see that as the leading edge of originality for metal, like fulfilling its potential, making it more complete and well-rounded, fulfilling its destiny anyway. But that’s just my philosophy – I’m sure other people want different things out of metal from me and that’s fine too.

Q3: メタル世界は今でも男性性を強調したり、ボーイズクラブ的な側面が色濃く残っていますよね。だからこそ、あなたの存在が重要だと感じています。伝統を変えていけると思いますか?

【HHH】: そうなると思うし、少なくとも私はそう願っているわ。もちろん、男らしさが悪いわけではないし、私はこれからも男らしさが常にメタルを支配していくと確信しているの。それは私にとって別に構わないのよ。
でも、メタルシーンには、あなたが言うような “ボーイズクラブ” 的な側面を減らして、もっと変幻自在になってほしいと思っているの。個人的には、それがメタルにとってのオリジナリティの最先端だと思っているから。つまり、メタルの潜在能力を満たして、より完成度の高いものにして、とにかくその運命を成就させるようなものね。
でも、それは私の哲学に過ぎないから。他の人も私とは違うものをメタルに求めていると思うし、それはそれでいいと思うのよ。

Q4: In our previous interview, you said “I worked way, way, harder composing the music to Origin than the music for H.A.Q.Q.”. Isn’t it just the right piece for the right time you were finally broken free from some kind of compromise?

【HHH】: Yes, it really is. I made a point of not using any pronouns at all for the press stuff around H.A.Q.Q. because I had the sense that I would come out soon but wasn’t ready yet. But Origin of the Alimonies is really a culmination of who I am in a way, and the process of making it – especially the video aspect that most people havent seen yet – was a big part of what gradually put me in contact with my womanhood. For a long time I thought that the album had to be instrumental. We recorded the music before I came out (during the same session as H.A.Q.Q.), but once I began my transition I felt able to put vocals on it after all, which I did only a month before it was released, in September of 2020. That felt very meaningful to me.

Q4: 前回のインタビューであなたは、「”Origin of the Alimonies” は “H.A.Q.Q.” の何倍もハードに作曲に取り組んだ」と語っていましたね。自らを解放したあと、最初のアルバムとしてこれほど完璧な作品もないですよね?

【HHH】: そうね、本当にそう思うわ。”H.A.Q.Q.” を予告をせずサプライズリリースにしたのは、もうすぐ出るけどまだ準備ができていないという感覚があったからなの。でも、”Origin of the Alimonies” は、ある意味で自分自身の集大成で、その制作過程、特にまだほとんどの人が見ていない映像の部分は、自分の女らしさに少しずつ触れさせてくれた大きな作品だったの。
長い間、このアルバムはインストゥルメンタルでなければならないと思っていたの。私がカミングアウトする前に(”H.A.Q.Q.” と同じセッション中に)レコーディングしたんだけど、性を変え始めると、結局ヴォーカルを入れることができると感じるようになった。主人公が女性だったから。リリースのわずか1ヶ月前、2020年の9月にボーカルを入れたのよ。それは私にとってとても意味のあることだったの。

Q5: Also, you said “I’m sure the audience will be much, much smaller, because it is a lot less accessible.”. Indeed, it is their most overly lofty challenge to yourself and listeners yet. As well as the new elements of classical instrumentation that most closely correlate your sound to 19th Century Romanticism, you also reunite the sounds of black metal, trap music, gabber, electronica, noise, glitch, hip-hop production effects and much, much more. Definitely, this is the 21st century’s opera, would you agree?

【HHH】: Yeah I see it as an opera, even to the point of primarily belonging in the context of contemporary opera even more so than the context of metal, or at least equally. Like, it isn’t an ordinary opera obviously, but I really do engage deeply with that tradition here, ‘opera’ isn’t just a word pasted onto the album in order to make clear that the music is telling a story.

Q5: この作品についてあなたはこうも言っていましたね。「あまりにキャッチーさに欠けるから、リスナーは大きく減るだろう」 と。
ただ、19世紀のロマン主義が現代のブラックメタル、トラップ、ノイズ、グリッチ、ヒップホップと融合するあなたのやり方は、まさに当時のオペラの精神を投影していると感じましたよ。

【HHH】: そうね、私はこの作品をオペラだと思っていて、メタルというよりも現代オペラの文脈に属していると思っているの。少なくともメタルと同じくらいオペラよ。明らかに普通のオペラではないんだけど、その伝統に深く関わっていると感じているわ。
オペラとはアルバムに貼り付けられた言葉というだけじゃなく、音楽が物語を語っていることを明確にするためのものだったの。

Q6: How did Olivier Messiaen’s music influence this work?

【HHH】: One thing I love about Messiaen is that he is both an avant-garde composer and a Christian, just like me. Those two aspects are important to the tradition of The Ark Work that I seek to define and continue in my work (though other forms of spirituality besides Christianity are ok too). One of the tracks here is literally an arrangement of a piece of his. I see it as sort of an invocation or re-incarnation of his spirit, so as to carry the torch he was carrying. To me the way he combines different rhythms in simulaneity also influences the whole album.

Q6: Olivier Messiaen の音楽はこの作品にどう影響を及ぼしましたか?

【HHH】: 私が Messiaen について愛していることの一つは、彼が前衛的な作曲家であると同時に、私と同じようにキリスト教徒であるということなの。この二つの側面は、私が自分の作品の中で定義し、継続しようとしている “The Ark Work” の繋がりにとって重要なものだから(キリスト教以外の精神性の形でも良いけれど)。
このアルバムに収録されている曲の一つは、文字通り彼の曲をアレンジしたものよ。私はそれを、彼が背負っていた聖火を受け継ぐための、彼の精神を呼び出す生まれ変わりのようなものだと思っているの。
もっとミクロな視点で言うと、彼が様々なリズムを同時に組み合わせる方法は、このアルバム全体に影響を与えていると思うわ。

Q7: Did Pandemic affect this work in any way? You mentioned last time that this was the soundtrack to the film – it must have been difficult to make a film in Lockdown, right?

【HHH】: Well, the new version of the film I’m working I’m actually making in my living room, which I suppose is an effect of the pandemic yes.

Q7: 先程映像作品の話が出ましたが、このパンデミックで撮影もなかなか難しかったのではないですか?

【HHH】: 今取り組んでいる映画の新バージョンは、実は私のリビングルームで作っているのよ。だからそれもパンデミックの影響だと思うわ…そうね。

Q8: It seems this opera tells the story of why the world was born, and its story is meant to be the aesthetic core of Liturgy. Could you please explain this in a way that is easy for our listeners to understand when they first get to know you here?

【HHH】: I believe that there is a metaphysical imbalance within God that caused human history to begin to unfold, and that emancipatory politics and experimental art have an important role to play in restoring the balance, but that each new generation has to define what that means.

Q8: このオペラを私は世界の始まりの物語と捉えているのですが。

【HHH】: 私は、人類の歴史が展開し始める要因となった神の中にはメタフィジカル (人間の理解や物理を超えた) な不均衡があり、その不均衡を回復するためには、解放的な政治や実験的な芸術が重要な役割を果たすと考えているのよ。それが何を意味するのかは、それぞれの新しい世代が定義しなければならないと思けどね。

HUNTER’S FAVORITE ALBUMS OF 2020

VICTORY OVER THE SUN “A TESSITURA OF TRANSFIGURATION”

UBOA “THE FLESH OF THE WORLD”

MESSAGE FOR JAPAN

I hope we tour in Japan soon! We were supposed to be there in November of 2020 but had to postpone due to the pandemic, but hopefully 2021 or 2022!

日本をすぐにツアーできたらいいのに!もともとは2020年の11月に来日する予定だったんだけど、パンデミックのおかげで延期を余儀なくされたの。でもきっと今年か来年にはね!

HUNTER HUNT-HENDRIX

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MELTED BODIES : ENJOY YOURSELF】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MELTED BODIES !!

“I Have Used Raw Meat In a Lot Of Pieces For a Number Of Years. It Seems To Evoke Both a Beautiful Yet Uncomfortable Reaction Which I Am Attracted To. I Think Its a Wonderful Medium To Work With.”

DISC REVIEW “ENJOY YOURSELF”

「俺は何年もの間、多くの作品に生肉を使用してきた。美しいけれど不快な反応も、両方を呼び起こすようだ。だからこそ魅了されているんだが。この作品はその2つが共に喚起される、素晴らしい触媒だと思う」
かつては固体だった肉の塊が、次にドロドロの液体になり、それから再びほとんど固体になったものが合体して、床の上で蠢き、目が皮膚の表面に浮かんで動き回る、そんなジョン・カーペンター 「遊星からの物体X」 のように気が遠くなるようなイメージを喚起させる「溶けた死体」のインパクト。
そのバンド名を体現するように、彼らは自らを「多様なアートを徐々にブレンドしたり、一つの塊にまとめたりすること。」と定義しました。
「David Lynch を挙げてくれて嬉しいね。意図的ではないにせよ、リンチの視覚的なテーマをいくつか活用していると思いたいね。無意識のうちに忍び込んでいるように思えるね。」
ただ、ミュージシャンと記すだけでは、MELTED BODIES のすべてを表すことは不可能です。生肉の造形でアートワークを描きグロテスクの中に美しさを挿入しながら、当たり前のように資本主義の文化に染み付いた大量消費の意味を問い、”Ad People” の MV では、インターネットの力を蒸留し、毎日提供されるSNSの自我と自己嫌悪をスクリーンでリスナーに反射させてみせるのですから。猟奇集団の目的は “魅せること” と “混乱させること”。
「思うに俺たちがいかに一般的で表面的なプラスチックになりつつあるかということだよね。特にソーシャルメディアを介して、同僚や知人、さらには家族に自分自身を提示するときはね。」
あるべき姿を失ったドロドロの死体にとって、世界に根付く陳腐で愚かなな常識を疑うことなど造作もありません。女性が警官たちを次々と家に招き入れ食べてしまう “Eat Cops” で、マイノリティの人々に対する国家による絶え間ない暴力をジョークに隠喩し、”Funny Commercials (And the Five Week Migraine) ではポップなパーティーキャノンで医療保険の欺瞞を叫び、さらに “The Abbot Kinney Pedophiles” では笑い話の中で 「金持ちや甘やかされた奴らの喉を切り裂け!」と目まぐるしい歌唱でアジテート。
すべての営利目的で表面的で偽善的な地獄絵図を、皮肉りながら笑い飛ばすのが彼らのやり方。そうしてキャッチーな罠でリスナーの心に疑念を抱かせるのです。
「1つ言えるのは、消費主義、後期資本主義といった表面的なものをテーマにした作品の多くは、カリフォルニアを中心とした、少なくともアメリカを中心としたものであることは間違いないと思う。」
その噛みつくようなしかし明るさを内包した音楽の塊には、世界で最も多様でエリートとサブカルチャーが蔓延るカリフォルニアという出自が少なからず影響しています。音楽的に、同郷の SYSTEM OF A DOWN や FAITH NO MORE の Mike Patton と比較されることの多い彼らですが、皮肉の中にパーティーを織り込む “Enjoy Yourself” の精神は特別LAの風景を投影しているようにも思えます。
“The Rat” が象徴するように、シンセサイザーのカラフルを武器にカリフォルニアの先達を咀嚼したオルタナティブとノイズの化け物は、そうして偽の幸福や不条理をパーティーで一つ一つ破壊していくのです。時に、シンセウェーブにポストパンク、LAメタルまで想起させるレトロフューチャーな世界観が映像を脳内まで誘う不思議。
結局、”Enjoy Yourself” とは、様々な困難を乗り越えながら、それでも自分自身を楽しむこと。ユニークな個性を曝け出し、本音を臆さず語ること。そうして彼らはその哲学を、視覚的、聴覚的な真の芸術家としてリスナーに訴えかけるのです。その姿はもはやミュージシャンというよりも、メディアでありインフルエンサーなのかもしれませんね。
今回弊誌では、MELTED BODIES にインタビューを行うことができました。「俺たちの曲の中にあるシニカルなテーマを少しでも楽しく感じさせるために、カオスなパーティーのエネルギーを好む傾向があるんだろうな。パーティーも大好きだし、いろんなところから影響を受けているから、楽しい音楽を作ろうとしているんだと思う。」 どうぞ!!

MELTED BODIES “ENJOY YOURSELF” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE RETICENT : THE OUBLIETTE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRIS HATHCOCK OF THE RETICENT !!

“I Wanted To Make An Album That Confronted The Horror Of The Alzheimer Illness But Also The Cruel Way We Often Treat Those That Suffer With It.”

DISC REVIEW “THE OUBLIETTE”

「アルツハイマーが生み出す地獄。僕は家族と一緒にその光景を目の当たりにしたんだ。アルツハイマーは高齢者が大半を占めているから、病気を主張できないことが多く、社会的には見捨てられ、忘れ去られてしまうことだってよくあるんだ。僕はこの病気の恐ろしさと同時に、この病気で苦しむ人たちへの残酷な接し方にも向き合うアルバムを作りたいと思ったんだよ。」
65歳以上の6%が何らかの影響を受けるアルツハイマー病。ゆっくりと、しかし確実に重症度が増していく慢性的な神経変性疾患です。ゆるやかに自分自身を失っていく恐ろしい病。
プログメタルプロジェクト THE RETICENT の首謀者 Chris Hathcock は実際にその恐怖を目の当たりにし、その視点と経験を音の書へと綴ることを決意したのです。
「絶望と鬱を永続的に克服する道を知っていればいいのにと心から思うよ。僕たちの多くにとって、それはある意味生涯をかけた戦いになるからね。」
THE RETICENT は音楽に仄暗い感情を織り込む天才です。2016年の “On The Eve of a Goodbye” では、幼馴染だったイヴが自ら死を選ぶまでの悲愴を、すべてを曝け出しながら綴りました。徐々に近づいていく決断の刻。湧き出るような感情と共に迎えるクライマックス “Funeral for a Firefly” の圧倒的な光景は、聴くものの心激しくを揺さぶったのです。
「こんな悲しいテーマのアルバムを書いたのは、アルツハイマー病や認知症についての音楽がほとんどないからだよ。一般的に、多くの人は特に後期の段階でアルツハイマー病がいかに衰弱を強いる残酷な病気であるか、完全に認識していないよね。患者は記憶を失うだけでなく、さらに話すことも、移動することも、食べることも、飲み込むことさえ出来なくなるんだよ。」
そして THE RETICENT は再度真っ暗な感情の海へと旅立ちました。”The Oubliette” はアルツハイマーの7つの進行状況を7つの楽曲へと反映したコンセプトアルバムです。オープニングで、病院で自分の病状にさえ気付かず至福の時を過ごす主人公ヘンリーを紹介されたリスナーは、彼の静かな戦い、容赦のない悪夢を追体験していきます。
「僕はいつも、伝えたいことの感情に合ったサウンドを見つけようとしているんだ。それは伝統的なバンド(ギター、ベース、ドラム)のセットアップであることもあれば、ジャズのコンボやダルシマー、あるいはブラックメタルのようなワイルドな異なるジャンルへの挑戦の時もあるね。」
実際、ほぼすべての楽器を1人でこなす Chris のコンポジションとリリックは完璧に噛み合っています。OPETH のアグレッション、PORCUPINE TREE のアトモスフィア、RIVERSIDE のメランコリーに NEUROSIS の哲学と実験を認めた多様な音劇場は、エセリアルなメロディーやオーセンティックなジャズの響きに希望を、激烈なグロウルとメタルの方法論に喪失を見定めて進行していきます。亡き妻の生存を信じながら、時に彼女の死を思い出す動揺は、天秤のようなコントラストの上で悲しくも描かれているのです。挿入されるスポークンワードやトライバルなパーカッションも、ストーリーの追体験に絶妙な効果をもたらしていますね。
クライマックスにしてタイトルトラック、Oubliette とはヨーロッパ中世に聳え立つ城郭の秘密の地下牢。高い天井に一つの窓。ヘンリーはその唯一の出口、すなわち死を絶望的な懇願と共に迎えるのです。ただし今際の際に垣間見るは遂に訪れた平穏。
「それは複雑で “勝ち目のない” 状況と言えるだろうな。だからこそ、このアルバムが病気の現実に対する認識を高め、病気を経験している人やこれから経験するかもしれない人たちに小さな慰めを提供できたらと願っているんだよ。」
THE RETICENT はアルツハイマー病の認知度を高めるために、そして病と戦う患者や家族のために、またしても悲哀を呼び起こす感情的な傑作を創造しました。Chris Hathcock は音楽でただ寄り添い、世界へ訴えかけるのです。
今回弊誌では、その Chris にインタビューを行うことができました。「この病気で苦しんでいる人たちの世話をする人たちは、真のヒーローだよ。実に困難な仕事だからね。時にはほとんど不可能なくらいに。心が痛むし、イライラするし、意気消沈するし、とにかく絶え間ない葛藤が続くんだ。このアルバムで僕は、そんなヒーローたちにそれでも誰かが理解してくれるとメッセージを直接伝えたかったんだ。」 Jamie King のプロデュースはやはりプログメタルに映えますね。どうぞ!!

THE RETICENT “THE OUBLIETTE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WAYFARER : A ROMANCE WITH VIOLENCE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SHANE MCCARTHY OF WAYFARER !!

“Thematically We Wanted To Make Something That Ties Into Where We Are From. We Are From Colorado, Which Was At One Point a Frontier Territory On The Expanding American West. That History, And The Legends That Come With It Are Sort Of Ingrained Here And We Have Grown Up With Them.”

DISC REVIEW “A ROMANCE WITH VIOLENCE”

「自分たちがどこから来たのかということを意識したものを作りたかったんだ。俺たちはコロラド出身で、ここはアメリカ西部の開拓地だった。その歴史と、それに伴う伝説がこの地に根付いていて、俺たちはそれを背負って育ってきたんだから。」
アメリカ西部の土には血が染み込んでいます。何世代にも渡り、赤土や山や平原の埃にも。植民地支配者の手によって原住民から流れ落ちた血潮は、そのままアメリカ西部を赤く染め上げたのです。それは発展でも運命でもなく、古代の文化や土地を冷酷に搾取した虐殺でした。
「西部のイメージに浸透している貪欲さや暴力の誘惑を描くことが目的だったと思う。それはすべてが魅力的に見えて、ある種の優雅さを持っているんだけど、俺たちはこのアルバムでその絵を描きつつ、それを取り巻く闇を掘り下げたいと思ったわけさ。」
アメリカ創世の神話には二つの大きな傷があります。奴隷制とそして西部開拓の名の下にネイティブアメリカンの土地と生命を奪ったこと。残念ながら、アメリカの西部進出から1世紀半が経過しその比較的短い時間の中で、闇を闇へと隠蔽する機運はますます強まっています。
コロラド州デンバーの WAYFARER にとって、アメリカーナとウェスタンフォークを散りばめた彼らのエクストリームメタルは、自らの場所に宿る歴史の捻じ曲げ、溶解に抵抗する手段とも言えるのです。
「俺は北欧の音楽や文化を楽しんでいるけど、アメリカ人としては北欧神話をテーマにしたアルバムを書いたり、それを自分たちのイメージとして取り入れたりすることはできないような気がするんだ。だから、彼らとアプローチは似ているんだけど、俺らの祖国の歴史や伝説、そしてこの場所の代名詞とも言える音楽からメタルを創造しているんだ。」
“フォークメタル” という言葉は、例えば、アンティークの木製楽器をメタルに持ち込み、ヴァイキングの夜会を再現する音景をイメージさせます。ただしこのジャンルの起源と本質は、その国の民族史をメタルサウンドで探求することにあるはずです。アメリカにも、血と煙と混乱に満ちた豊かなフォークの歴史があり、そして2020年にそれを最も深く探求しているバンドは間違いなく WAYFARER でしょう。
「映画のようなクオリティーを目指していた。バンドが様々な要素を混ぜ合わせて、キッチュなギミックのようなものを生み出すのは簡単なことだからね。もっと純粋な方法でアプローチすることが重要だったんだ。」
実際、彼らの最新作 “A Romance With Violence” は、アメリカ西部の血なまぐさい歴史を映画のように描き出し、勧善懲悪の善と悪を入れ替えながら、その真実を葬り去ろうとする企みに贖い痛烈に暴露しています。
カウボーイのラグタイムで幕を開ける “The Curtain Pulls Back” でサルーンの情景を映し出した彼らは見事にレコードの映画的なトーンを設定します。
“The Crimson Rider”、”The Iron Horse” で、ガンマンや無法者、大陸横断鉄道の出現について真実を伝え、10分間のフィナーレ “Vaudeville”では、暴力と偽りの希望を煽った貪欲と野心、つまりマニフェストデスティニー時代の現実を鮮明に映し出すのです。DREADNOUGHT の Kelly Schilling、KRALLICE の Colin Marston のゲスト参加もアルバムのストーリーを完璧に補完していますね。
「この時代は君を引き込む世界だけど、同じように簡単に君を堕落させ、内面まで曝け出させる。」
世界中に知られるアメリカの象徴となったカウボーイの原型が、この巨大な国の過去の非常に辛辣で、悲惨で、恐ろしい出来事とどのように関連しているのか。WAYFARER はさながらエンニオ・モリコーネとメタルのいいとこ取り、文字通り暴力とロマンスの対比によって、その難題を如実に描き切ってみせました。
西部開拓はもちろん、ヴァイキングや世界大戦の血生臭い暴力をロマンに変えた、人工の汚れたカーテンを一枚一枚剥ぎ取っていくように。美しい歴史の絵画には必ず血の匂いが添えられているのですから。
今回弊誌では、ギター/ボーカル Shane McCarthy にインタビューを行うことが出来ました。「Red Dead Redemption との比較は公平に思えるね。西部劇のサブジャンルに取り組んだ、近年ではよりメジャーなメディアリリースの一つだからね。」 どうぞ!!

WAYFARER “A ROMANCE WITH VIOLENCE” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【GHOSTEMANE : ANTI-ICON】


COVER STORY : GHOSTEMANE “ANTI-ICON”

“Is There a Lack Of Danger In Modern Rock, Compared To Rap? Sometimes. But The Feeling Of Inauthenticity Is More About The Lack of Intent.”

ANTI-ICON

GHOSTEMANE の這い出る混沌、”Anti-Icon” は彼の人生において最も激動の時の産物です。それは歪んだビジョンによる究極のカタルシス。
“トラップメタル” の先駆者、多作の Eric Whitney は8枚のスタジオアルバム、10枚の EP、さらに4つの異なるペルソナのもと無数のコラボレーションまでを踏破し、ヒップホップ、ブラックメタル、ハードコア、ノイズに跨り新種のエクストリームミュージック傾倒者の想像力をかき立ててきました。古代から伝わる神秘主義、オカルトのイメージを織り込みながら。
遺体安置所での乱行パーティー、砂漠で燃やす霊柩車のプロローグを経て、”Anti-Icon” は10/21にリリースされました。淡い肌、黒い口紅に乳白色のコンタクトレンズ。さながら吸血鬼か死体のような彼の写真は、GHOSTEMANE のサウンドと美学の進化を象徴していました。
「Soundcloud にいたラッパーたちはストリートウェアに夢中だった。Supreme のような憧れのブランドは、信頼性の証でもあったんだ。だけど僕にとってそれは、皮肉で偽善的なものだったんだよ。だってそれを持っていないとからかわれるんだからね。僕にロゴはつけないよ。他の誰にも似せたくないから。」
それがアルバムタイトル “Anti-Icon” の源流なのでしょうか?
「アイコンというのは、インターネット時代を象徴する言葉の一つだと感じている。僕にとってアイコンとは、アリス・クーパーやマリリン・マンソンのような人のことだよ。10マイル離れていても誰だかわかる。外見も、声も、アクションフィギュアだって作ることができるほどに特徴的なんだ。でも最近じゃ、YouTuber や TikToker、ネット上のパーソナリティーにレッテルを貼るため。それがアイコンだとしたら、少なくとも僕がなりたいものじゃないね。」

ゴーストの物語は、フロリダ州レイクワースから始まりました。パームビーチから南に8マイル、サンシャインステートの郊外に広がる小さな町。ただし、Eric の記憶は父親の影によって暗く沈んでいます。
Eric が生まれる直前、ニューヨークからこの地に転勤した血液技師の父親は、Eric が4歳の時に交通事故で負傷し、それ以来ソファーと杖に拘束されていました。そうしておそらくはその苦境、その結果としてのオピオイド依存症が父親による Eric への支配を引き起こしたのです。Eric はその “暴君のような、ヘリコプターのような親” の複雑な記憶を歌詞の中で 「巨大な手を持った大きな怖い男たちが、僕の胸に指を突っ込み、何をすべきか命令した」と鮮明に振り返ります。
町の下層中流階級で育った Eric の青春は目立たないものでした。アメフトの男らしさも、オシャレへの努力も、行動的になることも、喉の奥で抑圧されていたからです。
「僕はとても内向的だった。友達も全然いなかったしね。学校じゃ、クールなブランドなんて身につけない子供さ。自分以外の何かになりたい、学校以外の何かをやりたい、ここ以外のどこかに行きたい、彼ら以外の誰かといたい、そんな圧倒的な衝動に駆られた10代だったな。いつも本当の自分との折り合いをつけようとしてるんだ。」

17歳の時に父親を亡くしたことが、Eric の感情的地滑りの引き金となりました。「ソーダのボトルを振ってキャップを開けたようなものさ。」
高校卒業後についた営業職で高額な年俸を得ていた Eric ですが、結局、閉所恐怖症のオフィスは彼が夢見ていた人生ではありませんでした。最初の逃避先はハードコアパンクでした。
「NEMESIS でギターを弾き、スラッジメタル SEVEN SERPENT ではドラムを叩いた。それで楽器のマルチな技術と友情が培われたんだ。今でも僕のキャリアには欠かせないものだ。家のようなものだったんだ。」
スピリチュアリティと仏教も Eric の閉ざした心を開かせました。ハーメティシズムと20世紀初頭の書物キバリオンの発見が彼を突き動かしたのです。
「それは宗教だけど、本当に科学に基づいている。僕にとって宇宙物理学は究極のスピリチュアリティなんだ。何より、僕たちが宇宙の中心じゃなく、もっと大きな存在の証を証明してくれるからね。僕にとって、別の領域への逃避でもあったんだよ。間違いなく今、世界は燃えている。ただ、世界には3つのタイプの人がいてね。僕は世界を売った人でも、世界を燃やした人でもない、ただそれを報告するためにここにいるだけなんだ。」
父親からもらった Dr.Dre の傑作 “The Chronic” を除いて、Eric のヒップホップな要素はこの時点まで皆無でした。しかし、NEMESIS のフロントマン Sam のレコードコレクションがその領域への道を開いたのです。DE LA SOUL, OUTKAST, HIEROGLYPHICS のようなアーティストの軽妙な創造性はまず Eric を魅了しました。それからメンフィスの大御所 THREE 6 MAFIA, マイアミの RAIDER KLAN のダークなライムを発見し、遂に Eric はヒップホップと真に心を通わせます。
「夢中になったよ。理解するべきは、僕が感じる闇や重苦しさは必ずしもヘヴィネスやラウドネスと同義ではないってことだった。それはね、ムードなんだよ。」

たしかに、メタルやハードコアは Eric の渇望するエネルギーとカタルシスを提供していましたが、無限の創造的可能性をもたらしていたのはラップだったのです。
「バンドだと他のメンバーと衝突しながら、自分のアイデアを伝えなきゃならない。ラップだとすべてが自分のアイデアなんだ。自分のやることは自分のやりたいこと。僕は完全にコントロールできるようになった。ただ、ラップ、メタル、インダストリアル、テクノ、アンビエント、アコースティック。それが今までに僕が持っていた全ての音とアイデアだ。胸の奥底にあるオカルト的なディストピアの悪夢を、血まみれになって届けるためのね。僕は何もためらっていない。ジャンルは絵の具のようなものだと思っていて、異なる考えや感情を表現するために異なる色相を使っている。だから、何かを感じたら、それに従う。その感情に合った音を見つけて、たとえそれが不完全なものであっても、たとえそれが “悪い” 音であったとしても、たとえそれに耐えられなくても、自分の外に押し出していくんだ。それが自分の真実に響くものであれば-自分の気持ちに響くものであれば-それはレコードに収録される。それだけさ。」
2014年に GHOSTEMANE が誕生し、カリフォルニアのより寛容なシーンを求めて移住したことが真のターニングポイントとなりました。
「”Ghostmane” ってトラックは音楽的な化学実験だった。これが本当の自分の姿だと気づいたんだ。」

インダストリアルな暗闇とメタリックなエッジ、それに NINE INCH NAILS の不気味さはもちろん当初から明らかに存在していました。ただし、”Anti-Icon” には新たな地平へ向かいつつ自らの精神を掘り下げる、縦と横同時進行のベクトルにおける深遠な変貌が見て取れます。2年というこれまでにない長い制作期間はその証明でもありました。
「多くのことを経験してきたよ。人生で最も変革的な時期だった。僕は自分の中にあるクソを全部取り出して作品に投影したんだ。みんな僕を羨んでいるけど、正直正気を保って自分が何者か忘れないようにすることに苦労してるから。」
“Anti-Icon” へのヒントは Eric の多種多様なサイドプロジェクトにありました。
“アンチ・ミュージック” と呼ばれるノイズプロジェクト GASM は、拷問のような不安感に苛まれていましたし、SWEARR の叩きつけるようなエレクトロは束縛なき陶酔感の中で脈動していました。BAADER-MEINHOF の生々しいブラックメタルは刃をつきつけ、GHOSTEMANE ブランドでリリースした 2019年ハードコアEP “Fear Network” は闘争、そのダークなアコースティックカウンターパート “Opium” は絶対的な虚無感を捉えており、そのすべては “Anti-Icon” への布石とも取れるのですから。
もちろん、2020年において “Anti-Icon” というタイトルはそのまま、”AI” というワードに直結します。人工知能。近未来のディストピア的イメージは、心を開いた Eric と親の威圧感からくる強迫観念、妄想被害の狭間で揺れ動いているのです。
「オピオイドなんて自分には関係ないと思ってた。中毒者のものだってね。だけど困難な時を経験した人なら誰だってそうなり得るんだ。僕はハイになったとさえ感じなくなった。気分が悪くならないように、ただそのために必要だったんだ。」

偽りの愛を繰り返し嘆く “Fed Up”, 「I DON’T LOVE YOU ANYMORE!」のマントラを打ち鳴らす “Hydrochloride”。疑心暗鬼は怒りに変わり、中毒で盲目となった Eric にとってこれはオピオイドへの別れの手紙でもあるのです。どん底へと落ちた Eric を引き止めたのは、まず父親と同様の行動を取った自身への嫌悪感だったのです。つまり、Eric は大の NIN ファンでありながら、ダウンワードのスパイラルではなく、ダウンワードからの帰還を作品へと刻んだと言えるでしょう。古い自分を終わらせ、新たな自分を生み出す。MVで示した燃える霊柩車は過去の灰。”N/O/I/S/E” からの解放。
「不死鳥は灰の中から蘇るだろ?古い自分を壊し、殺し、そこから新たな人間になるんだよ。」
前作はただ痛みと苦悩を記し続けた作品だったのかも知れません。
「”N/O/I/S/E”をレコーディングした時、僕は自由で真実味のある音楽を作りたかった。言葉は不器用で解釈を誤ることがあって、芸術の無形の資質を損なうものだと思っているからね。僕は自分の脳と骨の中を深く掘り下げて、これまで感じてきたあらゆる苦悩や、自分を含め多くの人に襲いかかるあらゆる惨劇を扱ったアルバムを作ったんだ。”N/O/I/S/E” は独自の言語であり、痛みと哀れみの出血する舌であり、恐怖の遠吠えであり、光や地上の音をすべて見失うほど深いところにある。世界が内側から自分自身を引き裂く音だった。」

毒を持って毒を制す。Eric の闇に光をもたらしたのは、奇しくも彼と同様ジャンルを渡り歩く賛否両論の “アイコン” Poppy でした。レディング&リーズのフェスで出会った二人は、7月に婚約を発表し、お揃いの漆黒に髪を染めた Poppy は “Lazaretto” の MV まで監修しています。
「彼女は素晴らしいよ。ビジュアルアーティストとして、彼女は他の追従を許さない。それは僕のキャリアの中で、自分自身を十分発揮できていなかった分野の一つだからね。だから彼女に自分の一部を託すのは、奇妙だけど楽しみなアイデアだよね。」
エクストリームミュージックの未来を担う新種として、そのパワー、可能性、そして自らの責任についてはどう考えているのでしょうか?
「ラップにくらべてロックが危険じゃない?時にはね。けど本物じゃない感じはたしかにあるよね。意図が失われたよ。メインストリームでモダンロックは大きく後退している。本当に悲しい曲や怒っている曲はもうラジオじゃ流れていないんだ。壊れた、失われた、悲しい、怒っている、病んでいる、実在の人々と実際につながるための意図がもっとあるべきだと思うんだ。僕にとっては、それが昔との最大の違いなんだ。」
とはいえ、ラップが GHOSTEMANE にとって根幹であることに変わりはありません。高音の叫び声から喉を掻き毟る嗚咽に密やかな囁きのが交互に繰り返されるさまは、さながら体に複数の悪魔が閉じ込められているよう。その悪魔はそうしてリアルを失ったロック世界を侵食していきます。
“Lazaretto” のクイックなリズムとダウンチューンギターの組み合わせには Nu-metal の亡霊が宿り、一方で”Sacrilege” ではハードコア、圧迫的なエレクトロニクス、そして幽玄なムードがダイナミックにブレンドされていて、現代のメタルアイコン CODE ORANGE とのシンクロニシティーを窺わせます。そして、”ASMR (Anti-Social Masochistic Rage) “の突き刺すようなビートは、Eric のアイコン、マリリン・マンソンと同様のダーティーな秘め事を思い起こさせるのです。


Eric にとってこうした多様で変幻自在な音の葉は、やはり暗闇への下降より自らの成長を象徴しています。”Anti-Icon” で最も荒涼とした瞬間 “Melanchoholic” でさえ希望のノートで締めくくられるように。
「僕の中にあったクソみたいなものを全部取り込んで、それを外に投影しているような感じ。今はとても気分がいい。自分の中に溜め込まずにね。」
エリックはどんな種類の伝道活動も嫌いで、「キリスト教と同じくらいラヴェイ派サタニズムを嫌っている」と宣言していますが、それは TikTok などで何が一番ポップになるかを気にするのではなく、他のアーティストが限界に挑戦するように願う気持ちにも通じます。
AUTHOR & PUNISHER, FULL OF HELL, 3TEETH。彼が真の同種と考えるアーティストは、箱の外に踏み出したパフォーマーなのですから。ボストンの VEIN もそのうちの一つ。
「彼らは実験を始めて、自分たちのシーンの人々がどう背を向けるかを経験しているんだ。僕もそれがどんなものか知っている。だから彼らが実験やり続けていること、常に努力していることは、僕にとっては驚くべきことなんだ。」
GHOSTEMANE の目的もより鮮明となりました。
「君が本当に自由であれば、作りたいものを作り、やりたいことをやり、自分の心を語り、制限なく生きることができる。だけど自分自身を傷つけてはならないよ。それがこのプロジェクトの目的だ。GHOSTEMANE は自由な精神を投影したものだから。
僕は自分とそして君たちのために音楽を作り続けるつもりだよ。別の生き方を探している人たちのために、道を切り開いていくんだ。僕は好きな時に好きなように動き、好きなものを作る。選択と独立性は僕たちが受け取った最もユニークな贈り物でだから。それは君だけがコントロールできるもの。痛みや苦悩を通してさえもね。君に治療法を与えることはできないし、どう生きるべきかを伝えることもできないけど、アイデアを与えることはできるから。僕見たこの世界を反映して、君が自由で真の人生への道を辿ることを願っているよ。僕は自分の音楽に種を蒔いてきたからね。解読するのには何年もかかるかもしれない。だけどそれが自由の仕事であり、独立の重荷だ。」

望むのは永遠不滅の音の遺産。
「自分を超えて生きているものを作りたい。この世で何が起こるかは、僕にとってそれほど重要なことじゃない。その先の世代に何が起こるのか、僕が死んだ後に何が起こるのか。全てが塵となり、荒廃した地球上に轟く風が、堕落した都市の記憶を蹴散らした時、僕は自分の音楽のかすかな叫び声を無限に響かせたい。」
最終的には、彼の最優先事項は常にファンでした。「批評家のことなど気にするな、彼らは本当に理解していないんだ。批評家のことなど気にするな、彼らは本当に理解していないんだ」と、熱を帯びて繰り返すリードシングル “AI” が宣言しているように。
「孤独や喪失感を感じたことのある人、この世界には何も残っていないと感じている人、何も持っていないと感じている人のための音楽さ。ただ音だけが聞こえるようになるまで、レコードを大音量で聴いて、落ち込んだことを忘れてほしい。ショーに来て、自分のことを知ってほしいんだ。」
300ドルの Supreme のパーカーを欲しがった15歳の若者は、結局自分で作った服が “ハイアートでプライスレス” あることに気づきました。鬱、中毒、自滅のサイクルから逃れるための教訓は結局のところ希望なのです。
「”Anti-Icon” は暗くて憂鬱で虚無的に聞こえるけど、実はとても希望的なものなんだ。人は常に変化し拡大し続けるものだから。かつての自分がが死ぬわけじゃない。君を押しつぶしているように感じるような人生だって、君がより良い何かとして自分自身を再創造するための新しい材料を作り出しているんだよ。超新星が爆発すると、新しい星が生まれる。エネルギーは永遠に続くんだ。」

参考文献:KERRANG! :How Ghostemane is changing the fabric of heavy music

REVOLVER:GHOSTEMANE: THROUGH THE FRAME

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【OK GOODNIGHT : LIMBO】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH OK GOODNIGHT !!

“We Agree That There Are Not Many Women Seen In This Particular Genre Of Music, But There Is, Without a Doubt, a Vastly Overlooked List Of Women Pioneering The Genre With Amazing Talent, And Doing a Lot For Metal And Rock Music As a Whole.”

DISC REVIEW “LIMBO”

「このメタルという特定の音楽ジャンルに女性があまりいないことには同意するけど、このジャンルを開拓し、素晴らしい才能を持ち、メタルやロック音楽全体のために多くのことを成してきた女性は、間違いなく大きく見落とされているわね。Hayley Williams (PARAMORE) みたいなボーカリストや、素晴らしい友人 Adrienne Cowan (SEVEN SPIRES) , Elizabeth Hull がいなければ、今のような自信を得ることはできなかったと思う。そしてもちろん、母である Sandy Casey の指導と助言がなければ、私はどこにも居場所がなかったでしょうね。彼女は私の人生に影響を与えてくれた、最も刺激的なシンガーよ。」
ロックやメタルの世界における女性の躍動は、間違いなく21世紀におけるメジャーなトピックの一つです。ただし、その開拓には古くはジャニスにスージー・クワトロ、アニー・ハズラムから、アンネケ、ターヤ、エイミー・リーまで、ゼロから土壌を培った幾人もの献身が捧げられています。Casey Lee Williams の母 Sandy Casey もその一人。そうして今、引き継がれた遺産はプログメタルの世界を変革へと導きます。
実は、Casey はすでに有名人です。あの全世界で1億再生以上を記録し第8シーズンまで継続されているモンスターコンテンツ、大ヒット3DCGアニメ “RWBY” のサウンドトラックでメインシンガーを務めているのですから。それだけではありません。彼女の父は Jeff Williams。”RWBY” シリーズのコンポーザーで音楽監督。母との共演もそのサウンドトラックで実現。サラブレッドの血と才能は、そうしてさらなるアーティスティックな飛躍を求めました。
「最初のリハーサルの時から、彼女はこのプロジェクトに参加したいと思っていたし、非常に複雑だけど美しい音楽の上に歌を乗せるという挑戦を受け入れたいと思っていたんだ。」
バークリーの知的な複雑怪奇と、アニメの甘やかな表現力。昼と夜、二つの異世界が出会う逢魔時にはきっとこの魔法の言葉が似合います。OK, GOODNIGHT。
「アルバムのコンセプトは、奇妙な扉が開かれ、地球を荒廃させ、誰でも何でも破壊する異世界の巨人がやってきたような巨大な黙示録の中で生き残ろうとしている若い女の子を中心に展開しているよ。」
デビューフル “Limbo” でバンドが語るのは異世界からもたらされた辺獄のストーリー。幼い頃から日本の文化やアートを愛しアニメを見続けた異能のギタリスト Martin と、映画のサウンドトラックを養分とする鍵盤奏者 De Lima、そして “RWBY” で近未来の理不尽な御伽草子を紡ぐ Casey が交わるにはあまりに完璧な舞台です。
「アトモスフェリックなサウンドとピアノを、大きな作品の一部として使用することで、リスナーの心を掴み、より集中して聴くことができるようになると思う。ヘヴィーなギターリフと優雅なテクスチャーの並置は、このバンドのサウンドの大きな部分を占めているよ。」
ストーリーへの没入感を加速する対比のダイナミズムと、メタルとサントラのマリアージュが投影を加速する音映像。もちろん、その難題はバークリーのカラフルなテクニックと、Casey の伸びやかでムード満載な歌声によって実現されていくのです。
クラッシックやジャズ、ポストロックのキメラさえ基本。ここには PROTEST THE HERO も、DREAM THEATER も、PLINI も、RADIOHEAD も、ほんの少しの Djent も、CASIOPEA のようなジャパニーズフュージョンだって、それにアニメのイントロやアウトロのドラマティシズムまでもが繊細に大胆に織り込まれているのですから。最新 EP “Under the Veil” の幕引きに流れる Casey の気高きソプラノは、20年代プログメタルの辿る道をほんのりと照らしているのかも知れませんね。
今回弊誌では、OK GOODNIGHT にインタビューを行うことが出来ました。「僕たちは皆、好きな音楽や音楽を演奏するようになった経緯が全く違っていて、それがアーティスティックな選択にも表れていると思うよ。それに、長所と短所もそれぞれ違っているよね。」どうぞ!!

OK GOODNIGHT “LIMBO” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【OCEANS OF SLUMBER : OCEANS OF SLUMBER】


COVER STORY : OCEANS OF SLUMBER

“I FEEL LIKE MY HISTORY IS BROKEN, I FEEL LIKE AMERICA IS BROKEN”

OCEANS OF SLUMBER

女性であること。黒人であること。ヘヴィーメタルには直結しない2つの特徴を持つ Cammie Gilbert は、OCEANS OF SLUMBER へと加入した2015年、自らに一握りの不安を抱えていました。
「メタルの世界に入った時、黒人女性であることや、必ずしもメタルのバックグラウンドばかりを抱えているわけではないことにかなり負い目を感じていたのはたしかね。」
バプテスト派の家庭で育ち、IRON MAIDEN や METALLICA より R&B やヒップホップが鳴り響く街並み。両親は教会の聖歌隊で出会い、プロのミュージシャンである父親が聖歌隊のリーダーを務めていました。”南部出身の黒人女性” としての経験をいかにメタルへと反映させるのか。しかし Cammie は自身のバックグラウンドが、思っていた以上にメタルと調和していることに気づきました。
「私はメタルから歌を教わったわけじゃない。だけど、私が歌を教わったゴスペル、ジャズ、ブルースのヴァイブやエッセンスはプログメタルが存在し成立するまさにその理由の一つなのよ。だから私はメタルが大好きなの。美学やアトモスフィアもそうだけど、エモーションや細部への拘りもね。」

興味深いことに、Cammie の人生に最も早く寄り添ったメタルは、Layne 逝去のあと、黒人ボーカリスト William DuVall と共に前へと進む ALICE IN CHAINS でした。
「初めてロックやオルタナティブを聴き始めた時、ALICE IN CHAINS の “Dirt” が私を揺さぶったの。KORN や SLIPKNOT は激しすぎて家では聴かせてもらえなかったんだけどね。感情が込められているのよ。悲しみや痛み、ヘヴィーな感情を理解するのはあの頃の私にとって未知のことだったのよ。」
Layne Staley や Chris Cornell のソウルフルが彼女のルーツと共鳴したのです。
「当時、私の周りにはロックやメタルにハマっている黒人の子供はあまりいなかった。だから少し孤立していたの。でも、それが私が感じていた音楽だったから。大学まではちょっとした一匹狼だったわ。大人になってライブに行けるようになるまでは、メタルやロックシーンのコミュニティの感覚を得られなかったわね。」

数年後、Cammie は自らロックバンドで歌っていました。彼女が所属していたバンドは、ある日ヒューストンで開催された OCEANS OF SLUMBER のショーのオープニングを務めました。
「私はルーサー・ヴァンドロスを聴いて育ったから、ウォームアップとしてメロディックでビッグな曲を演奏していたの。駐車場で叫んでいたら、Dobber の友達が私を見ていたわ。私はこのショーで唯一の黒人の女の子で、鮮やかなエレクトリックブルーのドレスを着ていたから、かなり目立っていたのよ。私たちがパフォーマンスをしたとき、Dobber たちが真顔で私たちの前に立っていたのを覚えているわ。私は『彼らは私たちを嫌っている』と思ったわ。(笑) でも、そんなことはなかったわね。後日、彼らは私に連絡してきたの。」
バンドは Cammie に何曲か歌ってほしいと頼み、2014年にオリジナル・シンガーの Ronnie が脱退した際、彼女が後任となりました。今では CammieとDobber が OCEANS の舵取りを行い、Dobber が楽曲の「85~90パーセント」を書き、Cammie が作詞を担当しています。そして彼女が加入した後、二人の関係は音楽を超えてロマンチックなものへと発展していきました。


2人を繋ぎ合わせた TYPE O NEGATIVE の “October Rust” も彼女、そしてバンド全体にとって重要なレコードです。
「Peter Steele が大好きなの。私たちは TYPE O NEGATIVE が大好きで、彼らのアルバムは何枚も持っているけど、私にとってはこの作品がメインよ。”Cinnamon Girl”、”Be My Druidess”、そして “Wolf Moon”。Dobber は一度彼らのライブを見たことがあるのよ。うらやましいわ。私は Peter の自伝を読むことで埋め合わせなければならなかったの。バンドに関するメディアならは何でも買っているわ。彼らの曲を聴くのは経験になるのよ。Peter はとても賢い作詞家だから。聴いている音楽の中で一番面白い音楽だと思う。エネルギーを高めてくれるし、幸せな気分にさせてくれるわ。」
ANATHEMA, KATATONIA, SWALLOW THE SUN といった Peaceville 由来のゴシックドゥームな音モスフィアも当然 Cammie の養分です。
「ラブシックな音楽よね。クルーナー的な意味ではなく、切ない憧れとストーリー性を持った、かなりロマンティック。甘くて切なくて、夜にピッタリな音楽だわ。」
EVERGREY のプログレッシブな音の葉は OCEANS OF SLUMBER のスピリットと切っても切り離すことはできません。
「全員 EVERGREY の大ファンなの。”The Storm Within” は私の心を掻き毟り、彼らのエネルギーとボーカル Tom S. Englund が語る経験に引き込まれるわ。彼は信じられないほどソウルフルなのよ。OCEANS は彼らに比較的似ていると感じているの。素晴らしくとてもヘヴィなアルバムよ。」

つまり、メタルは他の何ものにも出来ない方法で人と人を絡み合わせると彼女は信じているのです。
「目を閉じていると、彼らの現実が、経験が伝わるのよ。私はいつも身体の外に出るような体験を探しているから。一瞬、私たちは完全に歌と一体となり、楽曲の書き手と一体となる。」
音楽的にも、プログ、ジャズ、R&B、ドゥームにゴシック、デス、ブラックといくつもの垣根を取り払ったセルフタイトル “Oceans Of Slumber” において、Cammie はそうやって文化や人種の壁も取り払いたいと切に願っています。Dan Swano のミキシングとテキサスヒューストンの組み合わせもその主張を実践していますね。
「ドラマーで私のパートナーでもある Dobber がこのレコードで君のことを語ろうと言ってくれたの。南部に住む黒人女性としての私の気持ちをもっと大きなスケールで OCEANS の音楽に反映させようってね。それってメタルコミュニティにはまだあまり浸透していない視点なの。だから、彼の言葉は、自分の人生の中で感じている怒りやズレ、混乱、葛藤などを、本当に深く掘り下げていくための青信号になったわね。私たちは、明らかにいつも存在し、常に問題となっているものを探求し始めたの。長い間、ある種のカーペットの下に押し込められていた問題をね。」
ジョージフロイド氏が殺害され、Black Lives Matter が世界を揺るがした時、Cammie の発したステイトメントは胸を打ちました。

「私はアメリカの黒人女性で、奴隷の曾孫娘。それは写真の中だけの記憶。幼い頃、私は奴隷の生活を想像しようとしたわ。だけど今起こっている現実は、私の子供じみた想像力の裏にある謎を解き明かしてくれたの。南北戦争ドキュメンタリーの古い写真を見ると、彼らの顔が見えるわ。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアに触発された行進の映像を見ると、彼らの顔が見える。そして今、ソーシャルメディアにサインインして、催涙ガスをかけられているデモ参加者を見ると、彼らの顔を見ることができる。そして今は私の顔も見えるのよ。
黒人の上院議員、市長、有名人、勇敢な人々がネット上でこの国の欠点に対する不満を共有しているとき、私はもう怒りの涙を抑えられないの。全国放送のテレビで、これまで以上に多くの黒人が泣いているのを見てきたわ。自分の歴史が壊れたような気がするし、この国が壊れたような気がする。ジョージ・フロイドは転機となった。新世代が「もういい加減にしろ」と言うきっかけになった。彼の人生を奪った紛れもない冷酷さを無視することはできなかったの。彼の死がビデオに撮られたことは、感情的にはぐちゃぐちゃになっていて居心地が悪いけれど、それでも幸運だと思っているわ。それはついに世界に、何十年もの間、ネイティブアフリカンのアメリカ人が注意を喚起しようとしてきたことを、自らの目で見る機会を与えてくれたから。物事はまだ壊れている。とても、とても、壊れている。
アメリカの歴史を考えてみると、白人でない者に良いことはほとんどないの。それが真実よ。色々な情報を鵜呑みにすると胸に空洞感が残るのよ。この国は何かを直しているのではなく、何かを手放しているのだと気づくわ。壊れ始めたのは、間違った方法で、間違った土台と間違った考え方で始まったから。始める前に対処することを選んだ。他者への抑圧を維持することで強さを維持することを選んだ。楽な道を選んだその同じ道が常に足かせになることに気づかずに。もはや息を止めたり、憎しみや抑圧のためのスペースを確保したり、安易な道を選んだりすることはできないわ。国家として、私たちは最も脆弱で最も問題を抱えた人々や地域社会に思いやりとケアを示さなければならないの。彼らを奮い立たせれば、私たち全員が奮い立つでしょう。彼らを貶めるものが我々を貶めるのと同じように。コミュニティに属することは意味があることに気づくのが早ければ早いほど、私たちは前に進み、すべての人のために真の変化を起こすための連帯感を見つけることができるのだから。
抗議活動の勢いを持続させ、前進させるためにはどうすればいいのだろうか。これは、すべての人が反省するための時間。自分の信念が自分の人生をより良いものにしてきたのだろうか?私の信念は、私の周りの人々の生活をより良いものにしただろうか?正直に答えて、よく考えて欲しい。私たちの未来は、それにかかっているから。」

音楽的に、アルバムは以前よりもその壮大さを増しています。Cammie の言葉を借りれば「Dobber は存在しない映画のサウンドトラックのように作曲している」。そうしてこれまで OCEANS の旅は、より内省的なものでしたが今回のセルフタイトルでは、より広い社会的なトピックや過去からインスピレーションを受けていることに気がついたのです。さながら、壊れた世界のサウンドトラックの如く。
「1年ほど前に第二次世界大戦の映像をカラー化した『第二次世界大戦 HDカラー』が公開されたんだけど、Dobber は大の歴史好きだから見に行ったんの。カラーで見ると物凄いわ。とても現代的に見えるから、頭の中では違った感覚になるのよね。戦争の原因となったもの、文化の分派、社会学、心理学を学んだわ。ヒトラーの台頭や、彼がいかに上手くやったのかを。パターンが見えてきて、それが今の時事問題とどのように関係しているのかが分かるようになる。新しいことは何もないことに気づくの。私たちは第一次世界大戦からベトナムまで、戦争と国際関係の深い穴に入っていったのよ。
そのあと『どうやってみんなに歴史を伝えればいいのだろう?みんなこの歴史を知っているのだろうか?!』と思ったわ。人々は歴史を知らないし、それが今の状況にどれだけ影響を与えているかも知らないような気がしたのよ。もしあなたが精神疾患を持っていたら、心理学者はあなたがどのように育ったのか、どこから来たのかを尋ねるでしょう?社会として、文化として、自分の歴史を見なければならないのよ。」

例えばブラックメタルがナチスの問題を抱えるように、メタル世界にも取り払うべき差別の壁は存在します。
「メタルコミュニティの中から、私の視点にこんなにも多くの支持が寄せられていることに驚いたわ。身近な友人の輪の中から、波紋が広がって、まさか共有するとは思ってもいなかった人たち(メタル界の白人男性)が、『俺たちはこれを乗り越えたいんだ。俺たちは解決すべき問題を抱えているし、変化が起こるべき正しい側にいたいんだ。』なんて言葉が寄せられるなんてね。明らかに、ここには多様性があるべきなの。すべてのミュージシャンはその生い立ちや文化ではなく、音楽性に基づいてチャンスが与えられるべきなのよ。その外見ではなく、音楽性でチャンスを与えるべき。そうすれば、音楽だけでなく、バンドのメンバーも多様化して、様々な人たちが集まることになるはずなのよ。」
パンデミックからBLM運動まで、これまでの2020年の出来事を考えると、Cammie の歌詞は今の時代にあまりに符合しています。
「今振り返ってみて、何が私たちをこれほどまで時代と関連性のあるアルバムを作らせたのか、その軌跡を見ようとしているの。私は偶然を信じない。実際、他の人たちも同じような軌跡をたどっていたと思う。人々は今、その歴史や、認識や制度がどのように彼らの周りの世界を形成してきたかに注目しているわ。一度真実とすべての情報を知ると、それを見逃すことはできないの。」

Cammie の作詞へのアプローチは思慮深く、創造的です。”Pray For Fire” では、再生と破壊両方のための火の対照的な機能を探求しています。つまり人々と土地を守るため、国有林での制御された燃焼と、戦闘での火炎放射器の使用。
ファーストシングル “A Return To The Earth Below” では、自身の鬱病との闘いを、より幅広い社会のパターンとともに考察しています。「私は自分自身を助けるために、集中して前を向いて努力し続けなければならないと感じているの。誰にでも対処することや克服しなければならないことがあるわ。それをもう一度紐解いてみると、社会がいかに悪いパターンに陥っているかがわかるのよ。物事がうまくいっているように見えても、ヒトラー・ユーゲントのように、ゆっくりと、誰も気づかないうちに追い越されてしまうこともあるんだから。」
Cammie の文章には遊び心もあります。クローザー “The Red Flower” は女性としての葛藤と矛盾についての曲で、TYPE O NEGATIVE の “Wolf Moon” カヴァーが続きます。
「”The Red Flower” は女性らしさを歌った曲で、Peter Steele の超ロマンティックなラブソングが続くのよ。(笑) 彼は愛に溢れた男で、彼女のストレスを少しでも和らげたいと思っているのよ!あの曲を女性としてカバーするのはちょっと生意気だと思ったけどね。」

Cammie は将来、特に次世代に希望を持っています。
「子供たちは私たちが生きてきた頃よりも多くの情報を目にするようになってきていて、それが良い意味で彼らを形作っていくのは間違いないと思う。これからの世代は、情報に精通し、賢く、感情的に賢い世代。私は彼らが行動を起こして、過ちのいくつかを元に戻すと信じているわ。私は長い目で見て希望を持っているの。」
アメリカの会場が安全に再オープンし、OCEANS OF SLUMBER のツアーが許可されれば、Cammie は、旅を通して経験するすべての景色、匂い、味の感覚をまた満喫したいと語ります。
「会場に到着して、荷物を降ろして、街に繰り出す瞬間が恋しいわ。まだ開場していないし、皆が荷物を積み込んで、サウンドチェックをして、そして会場のドアから飛び出して外に出て、日の光に目を慣らしながら外に立ち、どこの街でも、どこの国でも、賑やかな通りを見て、すべてを受け入れるの。そして、オープン前の小さな探検の時間を過ごすのよ。地元のおやつ屋さんを見つけたり、コーヒーや食べ物を買いに行ったり。それが一番懐かしいわ。戻ってくるかどうかもわからない何かを待っている気分よ。例えば、飼い猫が逃げてしまった時のように。内向的な自分が思っていた以上にステージが必要なの。人が必要なの …ほとんど誰にも会わなかったこの期間で、思っていた以上に人や観客、ビジネスを失ったことは間違いない。ステージに立って、自分の歌を熱心に聴いてくれている人たちが受け止めてくれていることほど素晴らしいことはないの。それこそが繋がりよ。もう二度とそれを経験できないという考えは、心の中の何かを破壊してしまうのよ。」

参考文献: KERRANG!:OCEANS OF SLUMBER’S CAMMIE GILBERT: “I FEEL LIKE MY HISTORY IS BROKEN, I FEEL LIKE AMERICA IS BROKEN”

KERRANG!: OCEANS OF SLUMBER ARE THE SOUNDTRACK TO A BROKEN WORLD

HOLLYWOOD LIFE: OCEANS OF SLUMBER’S CAMMIE GILBERT

LOUDERSOUND : 10 ALBUMS THAT CHANGED CAMMIE’S LIFE

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