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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【RIVERS OF NIHIL : WHERE OWLS KNOW MY NAME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADAM BIGGS FROM RIVERS OF NIHIL !!

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Pennsylvania Based Progressive Death Metal Quinted, Rivers Of Nihil Contribute To Re-branding Death Metal Into A Eclectic, Expressive Art-form With Incredible New Record “Where Owls Know My Name” !!

DISC REVIEW “WHERE OWLS KNOW MY NAME”

遂に食物連鎖の頂点へと躍り出たペンシルベニアの梟神 RIVERS OF NIHIL が、深遠かつエクレクティックなプログレッシブデスメタルへとドラスティックな変貌を果たす傑作 “Where Owls Know My Name” をリリースしました!!生と死、そして知性を司る伝承の神明は、猛禽の鋭さと神々しきアトモスフィアでシーンの潮流を支配します。
テクニカル、メロディック、デスコア、ブルータル。雨後の筍のごとく現れるデスメタルアクトの大半は、エモーションのスペクトルを怒りに起因する狭い領域へとフォーカスし、ある意味では檻の中で固定観念と共に囚われているようにも思えます。
「この作品では、僕たちが期待されているようなサウンドを放棄した。」と Adam が語るように、RIVERS OF NIHIL が “Where Owls Know My Name” で達成した偉業は、真にユニークな感性で鋼鉄の慣習から羽ばたいたその勇気にあると言えるでしょう。
多様で創造性に満ち、複雑でしかし凄艶な星の一生を目撃するサイエンスフィクションは、数年前に FALLUJAH がアトモスフィアと共に導入したジャンルのパラダイムシフトをも超越し、さらに時空を行き来するタイムマシンなのかも知れませんね。
アルバムオープナー “Cancer / Moonspeak” は来たるべき運命、旅路のムードを決定づけます。まるで CYNIC のような浮遊するアンビエントは、アコースティックの響き、レトロなシンセ、ムードに満ちたクリーンボイスを伴ってリスナーを深遠なるストーリーへと誘います。
刹那、雷鳴のように鋭利なギターリフが轟くと雰囲気は一変。革命的な “The Silent Life” がスタートします。揺るぎのない無慈悲なアグレッションとインテンスは、徐々に理知的なギターと官能のサクスフォンが支配するスロウなジャズブレイクへと転換していきます。その変化は驚くほどにナチュラルでオーガニック。そうして静と動、混沌と平穏のコントラストは終盤に向けて奇跡の融解を遂げるのです。まるで人生本来の姿を描くかのように。
CANNIBAL CORPSE と KING CRIMSON が果たした未知との遭遇。例えることは容易いですが、実際、獰猛な猟奇性と神々しき英知を寸分も失うことなく一つのサウンドクラフトに収めることがどれほど困難かは想像に難くありません。何より彼らのデザインはあまりに自然で、神々の創造物のように生き生きとした姿を晒しているのですから。
厳かなクリーンボーカルを導入し、モダンなメロディックデスメタルにサイケデリックな夢幻のアトモスフィアを付与した “A Home”、激烈なアサルトに一片の叙情を込めて老衰の無常を伝える “Old Nothing” を経て辿り着く “Subtle Change (Including the Forest of Transition and Dissatisfaction Dance)” はアルバムのハイライトだと言えるでしょう。
“Epitaph” を思わせる悲壮なアコースティックをイントロダクションに据えた8分30秒のエピックは 「KING CRIMSON は僕のオールタイムフェイバリットバンドなんだよ。」と Adam が語る通りクラッシックなプログロックの息吹を全身に宿した濃密な叙情のスロウダンス。ソフトでエレガントな繊麗と、野蛮で蒼然としたアグレッションは、ギターやサクスフォン、オルガンのトラディショナルで大胆ななソロワーク、プログロックのダイナミックな変拍子やシーケンスを抱きしめながら、詩情と偉観そして奇妙なカタルシスを伴って文明の移り変わりを描く壮大なマグナムオパスを形成するのです。
一方でこの大曲には、djenty なリフワークやシンフォブラックの狂騒などコンテンポラリーな一面も散りばめられており、幽玄なクリーンボイスが創出する崇高美とも相俟って、もしかすると NE OBLIVISCARIS が纏う神秘ともシンクロしているのかも知れませんね。
続くインストゥルメンタル “Terrestria III: Wither” では、情景を切り取るポストロックのデザインを導入し、コンテンポラリーなエレクトロニカやアンビエント、インダストリアルノイズのキャンパスに冷徹かつ耽美な絵巻物を描いてみせるのですから、バンドのエクレクティックな感性、タイムラインの混沌には驚かされるばかりです。
アルバムは、バンドの審美を全て詰め込んだタイトルトラックで再度サクスフォン、ヴィンテージシンセ、クリーンボイスの温もりを呼び起こし作品のコアを認識させた後、ダークなギターがメロトロンの海を切り裂く “Capricorn / Agoratopia” で荘厳にリリカルに、一握りの寂寞を胸に秘め星の死を見届けながらその幕を閉じました。
今回弊誌では、ベース/クリーンボーカルを担当する Adam Biggs にインタビューを行うことが出来ました。まさにメタルとプログのタイムラインに交差する異形のランドマーク。モダン=多様性とするならばこの作品ほど “モダン” なスピリットを抱いた奇跡は存在しないでしょう。ex-THE FACELESS の Justin McKinney、BLACK CROWN INITIATE の Andy Thomas もゲストとして素晴らしい仕事を果たしています。どうぞ!!

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RIVERS OF NIHIL “WHERE OWLS KNOW MY NAME” : 10/10

INTERVIEW WITH ADAM BIGGS

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Q1: This is our first interview with you. So, at first, could you tell us about you and band itself? What kind of music did you listen to, when you were growing up?

【ADAM】: I’m Adam Biggs, I play bass, write lyrics and do vocals for Rivers of Nihil. The band got started in Reading, Pennsylvania in 2009, we got signed to Metal Blade records in 2012 and we’ve been touring and putting out records ever since.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたのバックグラウンドからお話していただけますか?

【ADAM】: 僕は Adam Biggs。RIVERS OF NIHIL でベースをプレイし、歌詞を書いてボーカルも担当しているんだ。バンドは2009年に、ペンシルベニアのレディングで産声をあげたんだ。2012年に Metal Blade Records の契約を得て、以来ツアーとリリースを続けているよ。

Q2: What inspired you to start bass guitar or vocal? Who was your musical hero at that time?

【ADAM】: It’s hard to say really, I only barely knew what a bass was when I started playing. I got my first bass as a Christmas gift so I started looking more into the instrument then.
I think the first bassists I was really aware of were Feildy from Korn and Les Claypool, so I really wanted to emulate those styles. A little later on I discovered Cannibal Corpse and Alex Webster and that really set things off for me in a positive way.

Q2: では、ベースやボーカルを始めたきっかけや当時のヒーローについて教えていただけますか?

【ADAM】: その質問に答えるのはなかなか難しいね。というのも、僕はベースを始めた時、ベースという楽器についてほとんど何も知らなかったんだから。実は最初のベースはクリスマスプレゼントだったんだ。そして、そこからこの楽器について学んでいったんだよ。
最初に気になったベーシストは、おそらく KORN の Feildy と、PRIMUS の Les Claypool だったと思うんだ。だから、彼らのスタイルに匹敵するようなプレイをしたいと思っていたね。そらから少しして、CANNIBAL CORPSE の Alex Webster を発見したんだ。そしてその発見がポジティブな意味で、僕に火をつけたと言えるね。

Q3: How did the band come to be? What’s the meaning behind your band name “Rivers of Nihil”?

【ADAM】: The band, originally, was sort of a combination of members of a few bands from our area. We decided we wanted to take Music more seriously than a lot of our local peers at the time, so we put together a sort of “best of the best” of local metal talent, and thus Rivers of Nihil was born. The name was created by our vocalist and it sort of represents a “flow into nothingness”.

Q3: RIVERS OF NIHIL というバンド名にはどのような意味が込められているのでしょう?

【ADAM】: このバンドはもともと、僕たちの住むエリアでいくつかのバンドのメンバーが集まってプレイしていたところから始まったんだ。そこから、僕たちはその当時のローカルな雰囲気から脱して、より音楽をシリアスな段階へ進めようと決めたんだよ。だから、ペンシルベニアのメタルシーンで最強メンバー、メタルタレントを選りすぐって、RIVERS OF NIHIL が生まれたんだよ。
RIVERS OF NIHIL “虚無の川” というバンド名は、ボーカリスト Jake Dieffenbach が生み出したんだけど、”空虚へと流れ注ぐ” といった状態を表現しているんだよ。

Q4: So, let’s talk about your newest record “Where Owls Know My Name”. Actually, I really love your two previous albums, but I feel this one is your next stage. Definitely, it’s your milestone, I think. In the writing, recording process, how have you evolved or changed from your previous release?

【ADAM】: I think the major thing we accomplished with this record is we just sort of abandoned our expectations of what we’re supposed to sound like. We definitely didn’t want to feel pigeonholed into being a “technical death metal” band anymore, or at least not strictly that. We have a wide variety of music we enjoy as people, more things influence us than metal and we wanted to make “Where Owls Know My Name” really represent us in that way.

Q4: では最新作、”Where Owls Know My Name” について話しましょう。過去のレコードも良い作品でしたが、このアルバムは完全にネクストステージへと到達していますね?

【ADAM】: 僕たちがこのレコードで主に達成したのは、僕たちが期待されているようなサウンドを放棄したことだけだと思うんだ。間違いなく僕たちは、”テクニカルデスメタル” バンドみたいに狭い領域のレッテルを貼られたくはなかった訳だよ。少なくとも厳密にそう区別されたくはなかったんだ。
リスナーとしての僕たちは、幅広い音楽的な背景を持っていて、メタルよりも多くの影響を咀嚼して来ている訳さ。だから、”Where Owls Know My Name” ではそういった自分たちのありのままの姿を表現したかったんだ。

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Q5: It’s not big secret, Rivers of Nihil have a main theme about life and death. In the Ancient Greece, Owl is a symbol of Wisdom, and in Japan, Owl is a symbol of Death. Anyway, could you tell us about the concept or lyrical themes of this record?

【ADAM】: The story of the album follows the last intelligent being on Earth, who has walked for a millennia watching the world die around him. And, to be the sole intelligent witness of the death of the planet. This story, however, is sort of just an emotional framework for what’s going on in these songs. Really, there are a lot of very personal feelings being expressed in the album. It has a lot to do with getting older and feeling the world around you become unrecognizable, and maybe even becoming unrecognizable yourself.

Q5: 日本でフクロウは “死” の象徴で、古代ギリシャでは “知性” の象徴でした。RIVERS OF NIHIL の扱うビッグテーマが “生と死” についてであることは明らかですが、今回特にフォーカスしたコンセプトについてお話していただけますか?

【ADAM】: アルバムの物語は、地球上に残る最後の知性を持つ生物を主人公として追っているんだ。彼は何千年もの間、世界が彼の周りで滅ぶのを見ながら歩み続けて来たんだよ。そうして星の死を見届ける運命を背負っているんだよ。
だけどね、この話は、アルバムの楽曲で何が起こっているのかを写す感情的な枠組みのようなものなんだ。 アルバムには、本当に、非常に個人的な感情がたくさん存在しているんだからね。
そういった感情は、年を重ねる事ととても関係していてね。歳を取ると、周りの世界が認識できなくなり、遂にはきっと自分自身も認識できなくなってしまうんだよ。

Q6: I really surprised about songs like “The Silent Life” “Subtle Change (Including the Forest of Transition and Dissatisfaction Dance)”. Actually, there is no band who mixed death metal and prog such a natural way! OK, maybe most of music fans remind King Crimson from the songs and saxophone sound. Have you influenced by such a prog giants?

【ADAM】: Absolutely, King Crimson is my favorite band of all time. We (particularly Brody and myself) are huge classic prog fans. Influence from Crimson, Floyd, Genesis, and Yes really seeped into our minds while writing this one. But yes, it was always very important to us to include these influences naturally and not make them feel shoehorned into our sound. The emphasis is still heavily on the songcraft.

Q6: “The Silent Life” “Subtle Change (Including the Forest of Transition and Dissatisfaction Dance)” といった楽曲には本当に驚かされましたよ。デスメタルとプログロックをこれほどナチュラルに融合させたアーティストは、あなたたちが初めてでしょうね。今回、KING CRIMSON をはじめとするプログロックの巨人は大きなインスピレーションの源だったと言えますか?

【ADAM】: 間違いないね!KING CRIMSON は僕のオールタイムフェイバリットバンドなんだよ。僕たちは、まあ特に Brody と僕なんだけど、クラッシックなプログロックの大ファンなんだ。KING CRIMSON, PINK FLOYD, GENESIS, そして YES からの影響はこの作品を書いている間中、僕たちの精神に浸透していたんだよ。
それに、うん、君が言うようにそういったプログロックの影響を自然に取り入れることは、僕たちにとってとても重要だったんだ。無理矢理サウンドに組み込むのではなくね。それでもソングクラフトの中でしっかりと強調されているんだよ。

Q7: Speaking of Saxophone, the instrument and clean vocal is kind of “Key” elements of the album. Do you agree that? What’s these elements to you?

【ADAM】: To me, honestly, they just feel like added pieces of the production. Metal is the only genre I can think of where the “traditional” instrumentation is such an integral piece of what the genre even is. If you listen to music from almost any “non-metal” genre you’re going to hear all sorts of elements pop up all over the place, not just in an album to album basis but a song to song basis too. So we figured we could just treat our record like anything else we would hear outside of the greater metal purview.

Q7: KING CRIMSON ともシンクロするサクスフォン、そしてクリーンボーカルは今作における肝だと感じました。

【ADAM】: 正直、そういった要素はプロダクションの中で僕たちが意図的に “付け加えた” ピースだと考えているんだ。つまりそれは、メタルはどんなジャンルであれ、”伝統的な” 楽器がとても不可欠なものと思える唯一の音楽だからなんだけど。
対して、ほとんどの “メタル以外”の音楽を聴いてみれば、アルバムとアルバムの違いだけじゃなくて、一つのアルバムでも曲と曲の間に様々な要素が飛び出してしてくることに気づくはずさ。 だから僕たちは、偉大なるメタルの範囲外で聞く何かのように、僕たちのレコードを扱うことができればと考えたわけさ。

Q8: Also, “Terrestria Ⅲ: Wither” and title track “Where Owls Know My Name” have definitely post rock, electrical elements. Off Course, Fallujah has mixed such an “Atmosphere” and death metal, but I think Rivers of Nihil did it in more drastic, experimental way, right?

【ADAM】: It’s true that Fallujah and us use a lot of similar elements, but I think we’ve each made distinctly different uses of our available tools. The attitudes present in the music of each band are, in my opinion, drastically different. I think there’s plenty to enjoy in both bands that are totally unrelated.

Q8: 一方で、”Terrestria Ⅲ: Wither” やタイトルトラック “Where Owls Know My Name” にはポストロックのアトモスフィアも根付いていますよね? FALLUJAH にもアトモスフェリックな要素は存在しますが、あなた達の方がより大胆に導入しているようにも感じます。

【ADAM】: そうだね、確かに FALLUJAH と僕たちの間にはたくさん似た部分が存在するよね。ただし、利用可能なツールの使い方ははっきりと違ったものにしてきたと思っているんだ。僕の意見では、互いのバンドの音楽に存在するアティテュードは大きく異なると思うんだよ。それ故に、両方のバンドを完全に無関係なものとして楽しむことのできる部分がたくさんあると思うな。

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FIVE ALBUMS THAT CHANGED ADAM’S LIFE

KING CRIMSON “IN THE COURT OF THE CRIMSON KING”

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NECROPHAGIST “EPITAPH”

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MARILYN MANSON “MECHANICAL ANIMALS”

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THE FACELESS “PLANETARY DUALITY”

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BETWEEN THE BURIED AND ME “COLORS”

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MESSAGE FOR JAPAN

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Hopefully we see you soon!

出来れば、みんなとすぐに会えるといいな!

ADAM BIGGS

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ichika : she waits patiently, he never fades】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ichika !!

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Japan’s Up And Coming Guitar Artist ichika Has Been Making Waves With His Trilogy EPs “forn”, “she waits patiently” and “he never fades”. Definitely, We Should Keep An Eye On This Young Virtuoso!!

DISC REVIEW “she waits patiently”, “he never fades”

光耀を増した夢幻のクリスタル。琴線の造形師 ichika がギターとベースで奏でるダブルファンタジー “she waits patiently” “he never fades” は、音聖のプロローグを透徹した美意識で彩ります。
マエストロの周辺はデビュー EP “forn” のリリース以降俄に騒がしくなりました。コンテンポラリーでメロディアスなテクニックのイヤーキャンディー AMONG THE SLEEP で gen との麗しき邂逅を果たした後、ichika がスポットライトを浴びたのは東京コレクションのランウェイでした。モデルとしても需要はありそうですがもちろんモデルとしてではなく、スーパーグループ ichikoro のメンバーとしてサプライズで演奏を行ったのです。
Think (川谷絵音), Holy (休日課長), M (ちゃんMari), Vista (奏), Sugar (佐藤栄太郎) から成る異能の音楽集団を率いるリーダーは ichika。そして ichikoro のサウンドはその奔放なラインナップとシンクロするかのように自由を謳歌しています。
「正直音楽の作られていくスピードが異常です。」実際、ゲスの極み乙女や indigo La End の頭領、百戦錬磨の川谷絵音を筆頭とするトリプルギター軍団のクリエイティビティーは斬新かつ鮮烈です。ファンクにポルカ、サンバ、ジャズ、そしてオルタナティブなロックの衝動まで内包する “Wager” はまさにグループの象徴。倍速で演じる紙芝居の如く、コロコロと表情を移す猫の目のイマジネーションはリスナーの大脳皮質を休むことなく刺激し続けます。
課長の派手なスラップを出囃子に、各メンバーの個性も際立つエキサイティングなインストゥルメンタルチューンにおいても、ichika の清澄なるクリーントーンは際立ちます。一聴してそれとわかる眩耀のトーンと水晶のフレットワークは、キラキラと瞬きながら若きヴァーチュオーゾの確かな才気を主張していますね。
無論、ichika のそのトレードマークを最も堪能出来るのがソロ作品であることは言うまでもないでしょう。「”forn” を作るときに話の全体の大きな流れを作り、それを “forn” と “she waits patiently”、”he never fades” の3つに分けました。」と語るように、冒険の序章はトリロジーとして制作されています。”forn” と “she waits patiently” は女性視点で、”he never fades” は男性視点で描かれたストーリー。そして ichika はギターを女声に、ベースを男声に見立てその物語を紡いでいるのです。
「僕は普段曲を作る前にまず物語を作り、それを音楽で書き換えようとしています。聴き手に音楽をストーリーとして追体験させることで、より複雑な感情に誘導することが出来るのではないかなと思っているからです。」という ichika の言葉は彼の作品やセンスを理解する上で重要なヒントとなっています。
彼の楽曲に同じパートが繰り返して現れることはほとんどありません。もちろん、テーマを拡げる手法は時折みられるものの、単純に同じパッセージを再現する場面は皆無です。つまり、映画や小説が基本的には同じ場面を描かず展開を積み重ねてイマジネーションを掻き立てるのと同様に、ichika の楽曲も次々と新たな展開を繰り広げるストーリーテリングの要素を多分に備えているのです。小説のページを捲るのにも似て、リスナーは当然その目眩く世界へと惹き込まれて行くはずです。
加えて、”forn” から ichika がさらに一歩踏み出した場所こそが “感情” であったのは明らかです。「この音を聴けばこういう感情が生まれる」エモーションの引出しを増やすに連れて、彼が直面したのは “ソロギター” という手法そのものだったのかも知れませんね。
ソロギター作品と言えばそのほとんどがアコースティックで奏でられていますが、ichika はエレクトリックギター/ベースを使用しプラグインエフェクトで極限まで拘り抜いた天上のトーンを創出しています。ピアノやアコースティックギターで表現するインストゥルメンタルの楽曲は、確かに美しい反面、平面的な情景描写に終わってしまうことも少なくないでしょう。
しかし、儚さや美しさと同等の激しさや苦しさを宿す “he never fades” や “illusory sense” は明らかにその殻を破った楽曲です。プレイリストを見れば分かるように、そこには、ジャズやアンビエント、ミニマルや電子音楽の領域と並行してデスコアや djent、フュージョンといったロックの衝動を通過した ichika の独創性、強みが存在するのです。
エレクトリックギター/ベースを選択することで、彼は唯一無二の自身のトーンと共に、ハイノートの自由を手に入れています。時に煌き躍動する、アコースティックギターでは再現不可能なハイフレットでのフレキシブルでファストなプレイ、右手を使用したタッピングの絵巻物はモダンなイメージを伴ってロックのエモーションをガラス細工のように繊細な音流へと吹き込みます。
そしてより “ギター” “ベース” という弦楽器の特徴を活かしたスライドやヴィブラート、トレモロ、ガットストローク、さらには休符、弦の擦れる音やミュートノイズまでをも突き詰めて、ichika は感情という総花を物語へと落とし込んでいるのです。揺らぐ感情の波間に注がれる荘厳なる崇高美。
“彼女” は辛抱強く待ちました。”彼” も辛抱強く待ちました。きっと世界には、絶望の後には救いが、別れの後にはユーフォリアが等しく用意されているのです。ichika の素晴らしき序章、未曾有のトリロジーは静かにその幕を閉じました。ISSUES の Tyler Carter と作曲を行っているという情報もあります。次の冒険もきっと目が離せないものになるでしょう。Have a nice dream, ichika です。どうぞ!!

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Artwork by Karamushi

ichika “she waits patiently”, “he never fades” : 10/10

INTERVIEW WITH ichika

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Q1: First of all, how did super-group ichikoro come to be? It’s very unique triple guitar team with Enon Kawatani of Gesu No Kiwami Otome, right?

【ichika】: Originally, I was talking about making some music together with Enon Kawatani. Then, I was invited by him to do a session at one time and I entered the studio for the first time with my current ichikoro member.
At that time, we did songwriting, but it was a feeling that it would be nice to release the songs instead of becoming a band. But, it turned into a band named ichikoro before I know it.

Q1: ichikoro の結成には本当に驚きました。所謂 “川谷ファミリー” を中心とした非常に豪華なメンバーで、さらにトリプルギターのインストという斬新な形態をとっています。東京コレクションのランウェイでのお披露目もド派手でしたね。(笑)
まずは ichikoro 結成の経緯からお話していただけますか?

【ichika】: もともと川谷絵音さんといずれ何か一緒に音楽をしたいねという話をしていました。そしてあるときセッションをしようと誘っていただき、今のichikoroメンバーで初めてスタジオに入りました。
そのときに曲作りが行われたのですが、当時はバンドという形になるわけでもなく音源出せればいいね、ぐらいの感じでした。それが気付けば ichikoro という名前のバンドになっていたんです。

Q2: How was the experience making music with such a very popular musicians?

【ichika】: Many things go into the studio and Enon gradually builds expansion, chord progression after that another members arrange them. To be honest, the speed of composing is abnormal. Extremely fast.
Effective sounds and distorted sounds are Enon, acoustic clean parts and backing are Kanade, clean high tone parts are me.
It is fresh to form music together with people who have different backgrounds and consciousness, as it has been almost done by myself so far. New musics which I could not produce by myself is shaped and I am very excited about that!

Q2: デビュー音源 “ichigeki” は、ロックやジャズ、プログレッシブ、ファンクなど様々な要素がスリリングに、コンテンポラリーに融合した非常にダイナミックな作品に仕上がりましたね?
作品のライティングプロセスやギターパートの振り分けはどのように行われたのでしょう? メジャーアーティストとの共演は ichika さんにとってどのような経験でしたか?

【ichika】: スタジオに入り絵音さんが展開とコード進行をどんどん作っていき、それをメンバーたちでアレンジしていくというものが多いです。正直音楽の作られていくスピードが異常です。
エフェクティブな音や歪んだ音のパート絵音さん、主にアコギやバッキングのクリーンのパートが奏さん、上物のクリーンのパートが僕となっています。
今までほとんどひとりでやってきたというのもあって、自分とは違う、それぞれ異なった背景や意識を抱えて音楽を作り演奏する方たちと音楽を一緒に形にしていくのが新鮮です。どんどん今までの自分にはなかった、自分だけでは生み出せなかった新しい音楽が形作られていき、そのことにとてもワクワクしています。

Q3: OK, so could you tell us about your musical backgrounds?

【ichika】: My father used to play music, so there were guitar and bass at home. Also there were CDs of music of various genres in the house. While listening to them, I was attracted by the songs like IRON MAIDEN and Greg Howe. So, I was practicing them by guitar and bass in the junior high school students I had been around.
By doing so, as I touch various kinds of music other than piano songs, I also encounter several guitar and bass solo songs, but at that time I embraced the impression that it was hard to get stuck and that I refrained from listening. After a while, it seems that instrumental music may stick to people who are familiar with guitar and bass, And I noticed that it is music for professionals that means high threshold for people who only listen to music, not to play musical instruments.
At the same time I felt strongly that I would like to express or making music with just one instrument, then I first wondered if the instrument would be the most long-played piano, or guitar or bass … but, Piano solo songs are already overflowing with too good songs and there are too many rivals, but guitar and bass solo songs have not been established so far. Then I decided to abandon the easy choice of the piano I could play the best at the time, and decided to use strings instruments, make solo guitar, solo bass songs.
Among them, I thought that the range of guitar is wider, I will dig deeply that instrument because I could try variously. So, I decided to make music with a single guitar. I talked that guitar, bass solo songs are harder to approach than piano solo songs earlier, so I thought about what the difference is. That made me analyze the piano solo song and fit the formation of the chord, melody, rhythm etc to the guitar It went by.
Since I had a long relationship with the piano, I went smoothly to that point. But I faced the problem of being unable to play the guitar like piano by the structure of the instrument. For example, it was a problem such as suppressing closed code, sometimes it was hard to play root note with melody, etc.
So, that impossibility made me use right hand as well as the piano and began to overwork the right hands naturally. However, as it is, it is kind of mimicking the piano songs, and if the goodness of the guitar is not fully utilized, I thought. Meanwhle, I took in the features of string instruments such as the vibrato, slides, and strokes.
With such a intention, I tried to give the music meaning of what kind of emotion to bring in, and finally it began to be the song I wanted to make.
Anyway, with such a reason, there was no hero who was involved in my current play style directly at the time, but when I was in the junior high school, I was worshiping Steve Harris and with my 2 fingers I was continuing to play IRON MAIDEN madly.

Q3: 川谷氏が ichikoro で5つ目のプロジェクトだと仰っていましたが、ichika さんもソロ、Among The Sleep, そして ichikoro で3つ目のプロジェクトですよね? それぞれが異なる音楽性で、しかも ichika さんは作品に応じてギターとベースを使い分けています。
前回の取材でピアノが音楽を始めたきっかけだと仰いましたが、そこからギターやベースを手にして技術やアイデアを深めていった経緯、当時のヒーローについて教えていただけますか?

【ichika】: 父が昔に音楽をしていたので家にはギターとベースがありました。またそのため家には様々なジャンルの音楽のCDがあり、それらを漁って聴いているうちに、カッコいいなと思った IRON MAIDEN や Greg Howe の曲をギターやベースで弾いて練習しながら中学生の頃を過ごしていました。
そうやってピアノ曲以外の色んな音楽に触れていくにつれていくつかのギターやベースソロ曲にも出会っていくのですが、そのときはどうにもとっつきにくい音楽だなぁという感想を抱き、聴くことを敬遠していたんです。少し経ってからこれはギターやベースに親しんでいる人には刺さるんだろうけど、楽器をしない、音楽を聴くだけの人には敷居の高い玄人向けの音楽だなと気付きました。
ちょうどその時期に楽器ひとつで音楽を作りたい表現したいという気持ちが強くなり、じゃあまずその楽器は一番歴の長いピアノにするか、それともギターかベースか…と悩んでいたのですが、ピアノのソロ曲は既にあまりに良い曲で溢れかえっているしライバルが多すぎる、でもギターやベースのソロ曲はそこまで確立されていない。それならもっととっつきやすいギターソロ、ベースソロ曲を自分で作ってしまおう、ということで当時最も技術が備わっていたピアノという手堅い選択肢を早々に放棄して撥弦楽器でソロ曲を作って演奏しようと決めました。
その中でも音域がより広く、色々試し甲斐のあるギターから深く掘り下げていこうと思い、ギター一本で音楽を作るぞと奮起しました。先ほどギター、ベースソロ曲はピアノソロ曲に比べとっつきにくいと話しましたが、ではその違いは何なのだろうかと考えていき、ピアノソロ曲を分析してそのコード、メロディー、リズムなどの成り立ちをギターに当てはめていきました。
ピアノとは長く付き合いがあったのでそこまでは順調に進んだのですが、その先、普通に弾いていると楽器の構造上どうしても再現できないことがあるという問題に直面しました。例えばクローズドなコードを抑えたり、ルート音とメロディーを両立できなくなるときがある、等の問題です。そこで普通に弾いてムリならピアノと同じ様に右手で音も出すしかなくなり、自然と右手を酷使するようになりました。しかしこのままではピアノ曲の模倣にすぎず、ギターの良さがあまり活かされてはいないのでは、と思い弦の揺れやスライド、ストロークなどの撥弦楽器ならではの特徴を取り入れていきました。
そしてそれらをしっかりと意図を持って、どういう感情をもたらすのかはっきりと意味を与えて組み込んでいき、ようやく聴ける曲になり始めました。
そういうわけもあって、今のプレイスタイルに関わってくる直接的な当時のヒーローはいなかったのですが、ベースを始めたての中学のころは Steve Harris を崇拝していて狂ったように2フィンガーで IRON MAIDEN の曲を弾き続けていました 。

Q4: Let’s talk about your newest EPs “she waits patiently” & “he never fades”. You recorded five solo guitar songs and five solo bass songs for these EPs and packed them separately. How did you come up such a unique idea?

【ichika】: Including “forn” of my previous work, it was planned to make a trilogy together with this two EPs. And one of them was originally thinking to play on the bass.
I usually try to make stories and rewrite them with music before I compose. Because I thought that I could induce my listeners more complicated emotions by letting them experience my music as a story.
So when making “forn” I made a big flow of the whole story and divided it into “forn”, “she waits patiently”, “he never fades”. In this case, “forn” and “she waits patiently” were female perspectives and “he never fades” needed to make a story from a male perspective. So I decided to make songs with a female voice as a guitar, then a male voice as a bass.

Q4: では、遂にリリースされた新作 EP “she waits patiently” と “he never fades” について話しましょう。先ほど作品に応じてギターとベースを使い分けると言いましたが、それにしても2枚の EP にソロギター、ソロベース5曲づつを収録する試みは前代未聞ですね。なぜこういったアイデアを思いついたのでしょうか?

【ichika】: 前作の “forn” も含めて、今回も2枚の EP と合わせて3部作にする予定でした。そしてそのうちの1つははもともとベースで弾こうと考えていたんです。
というのも、僕は普段曲を作る前にまず物語を作り、それを音楽で書き換えようとしています。聴き手に音楽をストーリーとして追体験させることでより複雑な感情に誘導することが出来るのではないかなと思っているからです。
なので “forn” を作るときに話の全体の大きな流れを作り、それを “forn” と “she waits patiently”、”he never fades” の3つに分けました。このとき “forn” と “she waits patiently” は女性視点で、”he never fades” は男性視点で物語を作る必要があったのでそれなら女性の声をギターで、男性の声をベースで表しそれに付随するような曲を作ろうと決めました。

Q5: What’s the difference between guitar and bass, when you play them?

【ichika】: Even if I play the same phrase on the guitar and bass as wanting to plant feelings of “sad”, I think that the feeling of “sad” remaining after listening is completely different.
So when I think about what the song wants to say and what motivation you want to move in the last, I decided to use a musical instrument that is convincing, appropriate.

Q5: 往々にしてソロギター作品は存在するものですが、ソロベース作品は実に珍しいと思います。しかも ichika さんのベースサウンドは非常にクリアーで、和音や強弱まで鮮明に聴きとることが出来るんですよね。ただし、ギターのクリスタルで繊細な音色に比べると力強さ、雄々しさも確かに存在しています。
ギターとベース、二つの弦楽器を使い分ける際に特に気にかけていることは何でしょう?

【ichika】: 「悲しい」という気持ちを植え付けたいとして、たとえギターとベースで同じフレーズを弾いても聴いた後に残るその「悲しい」という感情は全く異なるものだと思っています。
ですので最後にその曲は何を言いたいのか、どう心を動かしたいのか、を考えたときにより適切である、説得力が生まれる方の楽器を使用しています。

Q6: Especially, the title track “he never fades” seems to be a piece of music by the process from lone, jealousy, anger and until the kindness is born. So, could you tell us about the story of the song?

【ichika】: I thought about making a song that creates a saved mind after listening, then I tried to express a story that hits rock bottom and finally reach out hand.
When I was trying to make this song, I thought I made a story specifically to make it a piece of music, but then it would be a scene depiction and it would just end with a only beautiful thing. I was in conflict with.
So, this time it was made to be more emotional music, with a simple flow that the story is solitar borns jealous, anger is born from jealousy, and when anger becomes resignation, kindnesses saves.

Q6: タイトルトラック “he never fades” は、孤独や嫉妬、怒りから優しさが生まれるまでの過程をベース1本で楽曲にしたそうですね?”forn” を経由して ichika さんのサウンドとストーリーに、ドラマやエモーションが増したようにも思えます。

【ichika】: 聴き終わった後に救われる心を生み出す曲を作ろうと思い、それならどん底まで突き落として最後に手を差し伸べられる物語を作って表現してみよう試みました。
この曲を作ろうとしていたとき、今まで具体的に物語を作ってそれを音楽にしていたけどそれだと情景描写になって綺麗なだけで終わってしまうんだよなぁと葛藤していたんですね。それで、今回はより感情的な音楽にしようと思いました。ストーリーは孤独から嫉妬が、嫉妬から怒りが生まれ、怒りが諦めになったときに優しさに救われるというシンプルな流れで作りました。

Q7: Have you influenced by “Piano theory” still now?

【ichika】: Even now it may be because I was inspired by the piano when I was exploring how to make solo songs on guitar and bass. Actually I sometimes make songs by the piano at first and so are “town” and “he waits patiently”. In fact, it may be piano is the most smooth instrument.

Q7: どうやら “感情的な音楽にしよう” という言葉はキーワードかも知れませんね。ピアノに比べてギターやベースの特色が感情と共に在ることは明らかです。先程、ピアノを弦楽器に置き換えていったとお話されましたが、一方で現在でもichika さんの中にピアノから恩恵を受けている部分はありますか?

【ichika】: ギターやベースでのソロ曲の作り方を模索しているときに、ピアノから着想を得たので今でも恩恵は受けていると思います。実際たまにピアノから先行して曲を作ることもありますし “town” や “he waits patiently” なんかもそうです。
なんだかんだピアノが一番指の動きが良かったりもします。

Q8: What’s the musical goal for you?

【ichika】: Although I said that I wants to create a song that moves listener’s mind with one instrument and play, and that is still in the process of trial and error. As I listen to lots of music, the number of drawers that “This kind of feeling will be born if we listen to this sound” will increase more and more withdrawals, but that is exactly the kind of thing that you can only apply to what you’ve ever experienced, like a dream I think that it is. So I will touch on something I have never experienced while living in the future, I will get a new aid and I will accumulate stock of sympathy.
Also, there is nothing special about soloing to play with one musical instrument, as there was a feeling that I wanted to complete the music with my own responsibility first. Because I wondered if I could make music satisfactorily with other people and play it, although I could not even express music by myself. Even now it is still in the middle, but finally I gained an understanding of music about a bit of musical instruments. So, I wish I could be involved with other artists little by little, in the form of an ensemble which I can not do it by myself.

Q8: ichika さんの音楽を聴いていると、どんどんとその世界へ惹き込まれ、想像力が刺激され感情も激しく揺さぶられます。数学的な感覚と文学的な感覚が素晴らしくクロスする音楽は本当に唯一無二だと感じます。
そんな ichika さんがこれから目指す場所について話していただけますか?

【ichika】: 楽器ひとつで心を動かす曲を作り、演奏をしたいと述べましたが、今なおその試行錯誤の途中です。音楽をたくさん聴くに従い、「この音を聴けばこういう感情が生まれる」という引き出しはどんどん増えてくるのですが、それはあくまでも今まで自分が経験したものの中でしか当てはまらないある種、夢に近いようなものだと思っています。
ですのでこれから生きていく中でより多くの経験したことのないものに触れていき、新しい気付きを得、共感のストックを蓄えていこうと思っています。
それと、楽器ひとつで演奏していくというのは何もソロにこだわりがあるというわけではなく、まず初めに、自分ひとりで責任をもって音楽を完結させたい、という気持ちがあったからです。というのも自分ひとりで音楽を表現することも出来ないのに他の人と満足に音楽を作り、演奏することが出来るのだろうかと思ったからです。
今もまだその途中ではあるのですが、ようやく少し楽器について、音楽について理解を得てきたのでいこれから少しずつ、他のアーティストとアンサンブルという形で自分ひとりでは出来ない、良く、複雑な、音楽というものに関われていけたらなと思います。

ichika’s MUSIC PLAYLIST

BRANFORD MARSALIS “ETERNAL”

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PHILIP GLASS “GLASSWORKS”

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TIM HECKER “VIRGINS”

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NICOLAS THYS “VIRGO”

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KADINJA “ASCENDANCY”

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MESSAGE FOR READERS

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I really appreciate those who listen to my music, those who are interested in, those who came to the live, and those who always support. Thank you very much. I think that I will continue to make music that is closer to emotions with making more and more experiences. Thanks again for your big support! Thank you so much!

僕の音楽を聴いていただいたり、興味を持っていただいた方やライブに来ていただいた方、そしていつも支えてくださっている方たちに本当に感謝しています。ありがとうございます。
これからどんどん経験を重ねていくことでより人の心に真に迫った音楽を作っていこう演奏していこうと思います。これからも応援よろしくお願いします。

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VEIL OF MAYA : FALSE IDOL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MARC OKUBO OF VEIL OF MAYA !!

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Sumerian Giant, Chicago Based Tech-Metal Quartet, Veil Of Maya Opens New Chapter Of Metal With Their Game-Changing New Record “False Idol” !!

DISC REVIEW “FALSE IDOL”

スメリアンの巨人、プログレッシブデスコアの先導者 VEIL OF MAYA が、メタルの領域を拡大しエクレクティックに羽ばたく新作 “False Idol” をリリースしました!!オーガニックかつ複雑な、アートロックやアヴァンギャルドの世界へとより接近した真なるメタルアイドルは、その偉大なる変革を推し進めて行きます。
00年代の中盤から、モダンプログメタル革命の中核に Sumerian Records が存在し続けることは明らかです。BORN OF OSIRIS, ANIMALS AS LEADERS, PERIPHERY, そして VEIL OF MAYA。”スメリアンロースター” は常にシーンの最前線に立ち、多様でコンテンポラリーなメタルの革新を色鮮やかに後押しし続けて来たのです。
中でもこのシカゴのカルテットが2008年に残した “The Common Man’s Collapse” の印象は鮮烈です。重圧のブレイクにビートダウン。デスコアサウンドを要としつつ、変幻自在なテンポと拍子、カオティックなデザインとトリッキーなアイデア全てを共存させて、コンテンポラリーかつ不可思議な独自のプログレッシブワールドでリスナーを魅了したのです。
シュメール帝国の拡大と歩調を合わせるかの如く、アステカの名を冠したバンドはそのサウンドを磨き上げ、ワイドに進化を続けています。グロウルとクリーンを併用する新ボーカル Lukas Magyar が加入し、ポップでキャッチーなイメージを開拓した前作 “Matriarch” は確かに驚きでしたが、決してその大変革は彼らの創造性を損なうものではありませんでした。
Marc が “Survive” と語るように、”Mikasa” という名曲とともに、バンドは自由な翼を手にしたようにも思えます。そしてよりダークでミステリアス、複雑性とダイナミズムを増した “False Idol” はポップとアートの枠を超えダイハードなファンをも唸らせるはずです。
「力に目覚めた男がダークサイドへと落ちていくフィクションなんだ。」 Marc は “False Idol” のテーマについてそう語ります。このアイデアが Lukas のものであることも、バンドの現在の一体感を物語りますが、”False Idol” が大統領ドナルド・トランプを隠喩していることは想像に難くありませんね。そしておそらくは、アルバムを支配する緊張の陰はそこに起因しているのでしょう。
電子の海で揺蕩うコズミックなイントロ “Lull” に導かれ幕を開けるオープナー “Fructure” はバンドのクリエイティブな進化の象徴です。”Unbreakable” を再訪するかのようなクリケットを活かしたマスマティカルでグリッチーなギターリフと、アトモスフェリックなシンセサウンドの奇想天外な融合は、メタルからの Kendrick Lamar や Flying Lotus への回答とも言えるほどに瑞々しく創造的です。
「実際、僕は最近はあまりメタルを聴いていないんだよ。だから君がコンテンポラリーなジャズや、Hip Hop、エレクトロニカなんかの影響を発見して言及してくれたことは嬉しいね。」 Marc はそう語ります。「少なくとも僕は、新たな要素を加えることは、メタルの進化を促す良い方法だと感じているよ。」 とも。
確かにアルバムには、現代的なジャンルのクロスオーバー、音楽のモダニズムを感じる場面が多く存在します。アグレッシブで複雑怪奇な Marc のリフワークと、光のシンセに映えるLukas のソフトでメランコリックなウィスパーは、”Doublespeak”, “Overthrow” と聴き進めるに従って、より絶妙なコントラストとインテンスを描き始めるのです。
そしてアルバムのハイライト、ダイナミズムの洪水は “Whistleblower” で訪れます。近年、Tigran Hamasyan へのリスペクトを公言してはばからない Marc のコンポジションは、遂にデスコアの猛進とジャズの優美な響きを同時に抱き締めました。Lukas の激情とメランコリーを行き来するボーカリゼーションも相俟って、イマジネーションを激しく刺激するアヴァンギャルドな楽曲はメタルの新たな可能性を指し示す期待感に満ち溢れてています。
また、インタビューにもある通り、Marc のゲームミュージックへの傾倒ぶりを見れば、初期の VEIL OF MAYA が究極にメカニカルでチップチューンライクな構成やリフを有していたことにも納得がいきます。つまり “False Idol” はバンドのオーガニックな変化の証。
伸びやかでキャッチーなクリーンボーカルのみで設計したポジティブな “Manichee”、Jacob Collier を思わせるコーラスのタペストリーが印象的な “Citadel”、そしてアルバムを締めくくるアンセミックな “Livestream”。全てはアンビエントなストリングスがバンドのデザイン、エモーションへナチュラルに溶け込んだ新機軸。同時にそれは、すでに “Djentrain” を降りたバンドの新たなる目的地なのかも知れませんね。
今回弊誌では、バンドのマスターマインド Marc Okubo にインタビューを行うことが出来ました。今年の2月には、Realising Media の劇的な招聘で来日公演を成功させています。「いつか Djent が死ぬその時も、きっと僕たちは VEIL OF MAYA らしいサウンドの音楽を作っているだろうね。」 どうぞ!!

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VEIL OF MAYA “FALSE IDOL” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VUUR : IN THIS MOMENT WE ARE FREE – CITIES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANNEKE VAN GIERSBERGEN OF VUUR !!

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An Anthemic Opening Statement From Dutch Progressive Metallers VUUR Is Anneke Van Giersbergen’s Heaviest, Most Ambitious Work To Date !!

DISC REVIEW “IN THIS MOMENT WE ARE FREE – CITIES”

THE GATHERING, THE GENTLE STORM, DEVIN TOWNSEND PROJECT 等で妖艶かつ伸びやかな歌声を披露。欧州で確かな地位を確立するオランダのメタルプリマドンナ Anneke van Giersbergen が鮮烈なるニューバンド VUUR でその瑞々しい創造性の “浄火” を灯します。プログレッシブでヘヴィーな彼女の新たな航海は、コンテンポラリーな風を味方にシーンの先へと舵を取ります。
AYREON のマスターマインド Arjen Anthony Lucassen とタッグを組み、中世のフォルクローレで大航海時代のオランダを壮麗に描いた THE GENTLE STORM は VUUR の壮大な序曲でした。
インタビューにもあるように、GOJIRA, MASTODON, OPETH といったモダンなプログメタルを愛聴する Anneke は、プロジェクトの終焉と同時に THE GENTLE STORM の強靭なライブバンドをスカウトし、オランダ語で”火” “推進力” の名も映える、先鋭の狂熱 VUUR を生み出す決断を下したのです。
“In This Moment We Are Free – Cities” と名付けられたバンドのデビューフルレングスは、文字通り Anneke がこれまでツアーで訪れた世界中の都市をインスピレーションに制作されました。「どの街や都市にも異なるヴァイブやエナジーが存在するの。」 と語る通り、アルバムは実に多様でカラフルなサウンドスケープを誇っているのです。
Anneke と巡る世界旅行は、ベルリンに漂う悲哀と享楽の文化的カオスを反映するかのような “My Champion – Berlin” で幕を開けます。GOJIRA を想起させる有機的で巨大なグルーヴと、Anneke のオペラティックなメランコリーが溶け合うアンセムは、実に壮観であまりに独創的な化学反応だと言えますね。
事実、これまでカルトでディープなプログメタルは大抵男性がボーカルを務めて来ましたし、逆に言えば NIGHTWISH のような女声を前面に配するシンフォニックなアプローチではシンプルなリフワークを貫きバランスを取るケースが殆どでした。つまり、カルトとゴージャスが交差する VUUR のエピックは、前代未聞の野心的な物語だと言えるのです。
“Time – Rotterdam” はまさに “In This Moment We Are Free” のスピリットを体現するトラックでしょう。入り組んだタイムストラクチャーの中、時にハーモニーを創造し、時にポリフォニックなチャレンジを聴かせ、アコースティックの味わいまで司るギターチームのクリエイティビティは群を抜いていますね。経過音を多用する Jord の滑らかなリードプレイも印象的で見事なアクセントになっています。
さらに Anneke の揺らぎと艶は、厳かに巧みにレイヤーを重ねる中でその表情、深みを増して、プログメタルの巧妙なるストラクチャーの中へ驚くほどに溶け入っていますね。
MASTODON の砂漠を内包する “The Martyr and The Saint – Beirut”、Kate Bush のスピリットを受け継ぐ “The Fire – San Francisco” でオプティミスティックな熱気を伝えると、VUUR の旅路はリオの港へと辿り着きます。
PERIPHERY の Mark Holcomb との共作により生まれた “Rio – Freedom” は、繊細なクリーントーンがマスロック、ポストロックのイメージさえ植え付けるコンテンポラリーな楽曲。作中でも最もエモーションを発する Anneke のボーカリゼーションと相まって、極上のモダンプログレッシブワールドを形成しています。
実際、Mark 以外にも ANATHEMA の Daniel Cardoso が “Valley of Diamonds – Mexico City” に、AMORPHIS の Esa Holopainen が “Sail Away – Santiago”, “Save Me – Istanbul” のコンポジションに参加し、”耽美” や “勇壮”、”哀愁” といったそれぞれの “色” を加えたことでアルバムはより豊潤で多様なモダニズムを備えることとなりました。
同時に、AYREON, EPICA との仕事で知られるチャートヒッター Joost van den Broek のセンスも忘れる訳には行きませんね。そして Djent やポストブラックまで経由した VUUR とリスナーの旅路は、Mark Holcomb が手がけたエセリアルで多幸感溢れる “Reunite! – Paris” で鮮やかな余韻を残しつつ幕を閉じるのです。
今回弊誌では、Anneke van Giersbergen にインタビューを行うことが出来ました。「私はいつだって今を生きようとしているのよ。」 アルバムに収録した楽曲すべてに Anneke は “In This Moment We Are Free” の一節を忍ばせています。どうぞ!!

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VUUR “IN THIS MOMENT WE ARE FREE – CITIES” 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【XANTHOCHROID : OF ERTHE AND AXEN ACT I & Ⅱ】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SAM MEADOR OF XANTHOCHROID !!

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More Extreme, Yet More Delicate. More Vast, Yet More Intimate. Xanthochroid’s “Of Erthe and Axen” Attempts To Further Broaden The “Cinematic Black Metal” Horizons !!

DISC REVIEW “OF ERTHE AND AXEN”

プログレッシブエクストリームのイノベーションを志望する、南カリフォルニアの野心的なカルテット XANTHOCHROID が至高なる2枚組の新作 “Of Erthe and Axen” をリリースしました!! “ロードオブザリング” や “ゼルダの伝説 時のオカリナ” にインスピレーションを得たというその壮麗かつ耽美なファンタジックワールドは、”シネマティックブラックメタル” の呼称に相応しいロマンとイマジネーションを運びます。
ブラックメタル、プログメタル、プログロック、シンフォニック、フォーク、クラシカル。XANTHOCHROID のカラフルで奥深いタペストリーは、OPETH, EMPEROR, ENSLAVED, JETHRO TULL, RENAISSANCE の豊潤なるミックスなどとも評されます。ただし、デビュー作から続く壮観なコンセプトストーリーをベースとした、大作映画や RPG のサウンドトラック的なアプローチは確かにバンドの確固たるアイデンティティーとなっているのです。
XANTHOCHROID が紡ぐ “Etymos” の物語は、王の血を引く Thanos と Sindir (後に Ereptor) 兄弟による闘争憚。”Of Erthe and Axen” では、”Incultus”, “Blessed He With Boils” 以前、二人の子供時代の出来事を、愛、嫉妬、魔法、戦争、そして欺瞞のエッセンスを交えつつ克明に描いているのです。
“Etymos” のエピック第一幕は、壮大なオーケストレーションと繊細でフォーキッシュな二つの小曲で幕を開けます。作品の全体像を暗示するような意を異にする二つのイントロダクションは、多彩な楽器の導入と新加入の女性シンガー Ali Meador の美麗なる歌声を披露し、共にバンドの拡がる可能性を伝えていますね。
不穏で不気味なディストーションサウンドが静寂を切り裂く “To Higher Climes Where Few Might Stand” はまさに XANTHOCHROID の真骨頂。EMPEROR や OPETH の面影を、クワイアやシンセサイザーで大仰にドラマティックに味付けしたシアトリカルな8分間は、Sam の邪悪なグロウルと伸びやかなクリーンを羅針盤に、ジギルとハイドの如く静と動を行き来します。6拍子のフォルクローレが、ホーンとストリングスを伴って鮮やかにメタリックな華を満開とする中盤の超展開は筆舌に尽くし難いほど見事です。
“To Souls Distant and Dreaming” で DREAM THEATER の遺伝子を垣間見せた後、Sam のパーカッシブギターは進化の証である “In Deep and Wooded Forests of My Youth” を導きます。マンドリンやアコーディオン、フルートを取り入れた JETHRO TULL をも想起させるフォーキーでロマンチックなデュエットは、朗々とした Ali と Sam の歌声でリスナーを月明かりが差し込む深き森、木々の騒めきへと誘うのです。
「”Act Ⅱ” は “Act I” に比べてメタルの要素が強調され、より長いアルバムになっているね。」 とSam が語るように、アルバムの第二幕はアートワークの変化も伴って、大円団に向けてその硬質と絢爛を増して行きます。
男声と女声のクワイアとピアノの流麗な響をイントロとしたあまりに豪壮でドラマティックな “Through Chains That Drag Us Downward” はその象徴でしょう。Sam の背徳的アジテイトや時折挿入されるブラストビートは、確かにバンドのルーツを示しますが、とは言えあまりに拡大された楽曲全体のデザインを鑑みれば、Sam が 「自分たちをブラックメタルと呼んでいるのはジョークのようなもの」 と語ることにも頷けます。
実際、Sam の歌唱が Hansi Kursch を思わせる “Of Aching Empty Pain” などではシンフォニック/シネマティックメタルのパイオニア BLIND GUARDIAN の領域、絢爛さにまで接近しているようにも思えます。
アルバムは、クラッシックなオペラの如く華麗で重厚な11分の大曲 “Toward Truth and Reconciliation” で濃密でダイナミックな作品をリトレイスするかのように幕を閉じました。
今回弊誌では、ボーカル、ギター、キーボードを担当する Sam Meador にインタビューを行うことが出来ました。今回も Jens Bogren がマスタリングを担当しています。全てを DIY で賄っているため知名度こそ低いものの、そのクオリティーは最上級。どうぞ!!

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XANTHOCHROID “OF ERTHE AND AXEN ACT I & Ⅱ” : 9.8/10

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MASTERPIECE REVIEW + INTERVIEW 【BETWEEN THE BURIED AND ME : COLORS】10 YEARS ANNIVERSARY !!


METAL SUCKS PRESENTS: INTERVIEW WITH DAN BRIGGS OF BETWEEN THE BURIED AND ME !!

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Between The Buried And Me Are Currently Out On Tour Celebrating The Tenth Anniversary Of Their Landmark Album “Colors” By Playing It From Start To Finish Every Night. Bassist Dan Briggs Talks About A Retrospective Essay About How The Band Wrote Was Has Come To Be Considered As A Landmark Modern Progressive Metal Record !!

DISC REVIEW “COLORS”

“We are Between The Buried And Me, and this is Colors.”
“Colors Live” のオープナー “Foam Born (A) The Backtrack” が厳かに幕を開け、ピアノのイントロが一旦静まると Tommy Rogers はそう呟きます。
不朽の名作 “Colors” から10年。Tommy, Paul, Dustie, Dan, Blake の5人で紡ぐ BETWEEN THE BURIED AND ME は確かにこの場所から始まり、その豊かな色彩のスペクトルは現在でも決して色褪せることを知りません。
振り返ってみれば、2003年にリリースした “The Silent Circus” における “Mordecai” はバンドのターニングポイントだったのかも知れませんね。トレードマークであった直感的な衝動のカウンターとして崇高なメロディーを発見した彼らは、”Alaska” でエクスペリメンタルなエクストリーム領域の下地を示した後、現在の5人 “ファンタスティック・ファイブ” を揃えて素晴らしき “Colors” へとたどり着くことになります。そして、この64分の万華鏡が放つプリズムは、バンド自身のみならず、現在のモダンメタル/プログレッシブシーンにとってあまりに鮮烈かつ至高のマイルストーンとなりました。
“モダン=多様性” と定義するならば、”Colors” ほど “モダン” なレコードは未だかつて存在しないでしょう。TOOL の “Lateralus”、THE MARS VOLTA の “Frances the Mute”、PROTEST THE HERO の “Kezia”、SikTh の “Death of a Dead Day”、COHEED AND CAMBRIA の “Good Apollo, I’m Burning Star IV, Volume One: From Fear Through the Eyes of Madness”、MESHUGGAH の “Catch Thirtythree”, ISIS の “Panopticon”、THE DILLINGER ESCAPE PLAN の “Miss Machine”、GOJIRA の “From Mars to Sirius”。ミレニアムを迎え、モダンメタル/プログレッシブに多大な影響を与えたエクレクティックな作品が続々と登場する中で、変革の決定打となったアルバムこそ “Colors” だったのかも知れませんね。
実際、メタル、ハードコア、メタルコアをルーツとしながらも、”Colors” には数え切れないほど豊かな色彩が織り込まれています。ジャズ、クラッシック、プログレッシブ、ワールドミュージック、ブルース、ポルカ、ブルーグラス、デスメタル、ブラックメタル…精密かつ大胆に配置されたインフルエンスの数々は、彼らのルーツとナチュラルに混ざり合い、時にエクストリームに、時にテクニカルに、時にアトモスフェリックに、時にメロディックにリスナーの元へとこの偉大なるエピックを届けるのです。
この作品が後続にとってインフルエンタルであることは、何よりあの DREAM THEATER のマスターマインド John Petrucci でさえ、彼らのセルフタイトルのアルバムが PERIPHERY, ANIMALS AS LEADERS と並んで BTBAM から「影響を受け、インスピレーションとアルバムを形作る助けになった。」 と語っていることからも明らかです。
ギタリスト Paul Waggoner は、「重要なのは、”Colors” の究極なまでにエクレクティックな音楽の数々は、誰か1人のメンバーが思いついた訳ではなく、全員が貢献して達成された点だよ。」 と語っています。確かに Dan もインタビューで、「僕は彼らに OINGO BOINGO とか GENTLE GIANT のようなバンドを紹介したし、彼らは EMPEROR や ULVER を教えてくれたんだ。」 と語ってくれました。ファンタスティック・ファイブがジグソーパズルのピースのごとく完璧に、奇跡的にフィットし補完し合い起こった化学反応。それが “Colors” の本質だと言えるのかも知れませんね。
よりミクロな観点で見れば、ギターリフのフレキシビリティを飛躍的に高めたこともこのレコードの功績だと言えるでしょう。メタルコアの興隆により、リードプレイのようにテクニカルなリフワークは徐々に浸透して行きましたが、それでもやはり “リフ” と “リード” の境界線は確実に存在したはずです。
あくまでも “リフ” はボーカルの伴奏として繰り返されるもの。”リード” は自由な自己表現の舞台。そんなトラディショナルな考え方を根底から覆したのが “Colors” であり、PROTEST THE HERO の “Kezia” であり、SikTh の “Death of a Dead Day” だったのではないでしょうか?
“Colors” のリフワークを聴けば、低音弦ではパターンやリズムを細かく変えながら、高音弦では自由自在にフレットを駆け巡る、フレキシブルかつ創造性豊かな “バッキング” が伴奏として見事に成立していることが分かります。そして、AAL 革命、Djent 前夜に繰り広げられたあまりに重要なこのコペルニクス的転回は、言うまでもなく様々なメタルジャンルにおいて今では定石として根付いているのです。
Dan は “Colors” を収録曲 “White Walls” になぞらえ “空間や考え方に限定されず、僕らの周りにある壁を全て壊してしまうように色彩たちがが鮮やかさを増していく” アルバムだと語ります。バンドは当時プログやメタルの既成概念を破壊した後、夜空に美しき虹をかけました。そして10年を経た今、”Colors” 10周年を祝う完全再現ツアーを終えた後、バンドは再び “未来” へと向かい新たな色彩のマジックを掲げてくれるでしょう。
今回弊誌では、US Metal Sucks, Gear Gods 誌と連携してベーシスト Dan Briggs の “Colors” 製作秘話を完全掲載することが出来ました。NOVA COLLECTIVE に続き今年2度目の登場です。「僕たちはいかにして “Colors” を制作したのか」どうぞ!!

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BETWEEN THE BURIED AND ME “COLORS” : ∞/10

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COVER STORY 【STEVEN WILSON : TO THE BONE】INTERVIEW WITH NICK BEGGS & TRACK BY TRACK REVIEW


EXCLUSIVE INTERVIEW WITH NICK BEGGS & TRACK BY TRACK OF STEVEN WILSON’S “TO THE BONE” !!

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Steven Wilson’s New Adventure “To The Bone” Is Inspired By The Hugely Ambitious Progressive Pop Records That He Loved In His Youth !!

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TRACK BY TRACK “TO THE BONE”

「最も大きなチャレンジは、楽曲重視のレコードを作ることだよ。メロディーにフォーカスしたね。」 モダンプログレッシブの唱導者 Steven Wilson はそう語ります。モダン=多様性の申し子である世界最高の音楽マニアが、至大なる野心を秘めて放つ5作目のソロワーク “To The Bone” は、自身が若き日に愛した偉大なるポップロックレコードの瑞々しいメロディー、その恩恵を胸いっぱいに浴びた新たなる傑作に仕上がりました。
Steven は “To The Bone” のインスピレーションを具体的に挙げています。Peter Gabriel “So”, Kate Bush “Hounds of Love”, TALK TALK “Colour of Spring”, TEARS FOR FEARS “Seeds of Love”, そして DEPECHE MODE “Violator”。勿論、全てが TOP40を記録したメインストリーム、知的で洗練されたポップロックの極み。
同時に彼は自身のプログレッシブなルーツも5枚提示しています。TANGERINE DREAM “Zeit”, Kate Bush “Hounds of Love”, THROBBING GRISTLE “The Second Annual Report”, PINK FLOYD “Ummagumma”, ABBA “Complete Studio Albums” (全てのスタジオアルバム)。
非常に多様で様々なジャンルのアーティスト、レコードが彼の血肉となっていることは明らかです。ポップサイドでも、フックに溢れた音楽的な作品を、プログレッシブサイドでも、難解なだけではなくサウンドスケープやメロディーに秀でた作品を撰するセンス。両方に含まれる Kate Bush の “Hounds of Love” はある意味象徴的ですが、すなわち、レコード毎にその作風を変化させるマエストロが今回探求するのは ナチュラルにその二者を融合させた “プログレッシブポップ” の領域だったのです。
実際、2011年からレコーディング、ツアーに参加し続けているロングタイムパートナー、チャップマンスティックの使い手 Nick Beggs はこの稀有なるレコードを “クロスオーバー” でそれこそが SW の探求する領域だと認めています。そしてその “違い” こそが様々な批判、賛美を生んでいることも。
「プログレッシブロックのオーディエンスって、実は最もプログレッシブじゃないように思えるんだ。プログレッシブミュージックは、プログレッシブな考え方であるべきなんだよ。」 盟友の心情を代弁するかのように Nick はシーンのあるべき姿をそう語ります。いとも容易くミッドウイークの UK チャートNo.1を獲得したアルバムは、決して “プログレッシブロックの逆襲” “プログの帰還” などというシンプルな具象ではなく、イノベーターの強い意志、情念なのかもしれませんね。

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TRACK 1 “To The Bone”
タイトルトラックにしてオープナー、”To The Bone” はこの芳醇なるレコードの絶妙にして正確なるステートメント。XTC の Andy Partridge が歌詞を手がけた楽曲は、”骨の髄まで” 現在の状況を突き詰め、核となる真実を探し出すことについて歌っています。
言うまでもなく、これはドナルド・トランプ時代の産物です。先のアメリカ大統領戦で私たちが経験したように、真実は時に異なる物の見方を生み出し、事実をねじ曲げてしまう可能性があるのですから。
コンセプトアルバムの形は取らなかった “To The Bone” ですが、どの楽曲にも共通するテーマは存在します。それは現在の世界を決して素晴らしいものとは思わないという視点。Steven はその要因の一つが基本的なマナーの欠如だと述べています。世界には敬意や思いやりに欠く人間があまりに多すぎると嘆いているのです。
そういった背景を鑑みれば、ダイナミックでパワフルなアルバムオープナーがトラディショナルである意味オーソドックスなブルースロックを基調としたことにも頷けますね。勿論、寛容さに欠く時代の真理を独白するアメリカの教員 Jasmin Walkes のスポークンワードで全ての幕が開けることにも。
確かにパワーコードやハーモニカ、自身のラフなリードギター、Jeremy Stacey のファンクなドラミングと Pete Eckford のハンドパーカッションは Steven のイメージとそぐわないかも知れません。ただし、アウトロのアトモスフェリックでエセリアルな表情はまさに彼の真骨頂。つまり Steven の核となる真実、音楽の探求と融合を実証した楽曲。”プログレ” じゃない? Nick Beggs はこう一言 “So What?”

TRACK 2 “Nowhere Now”
ライティングプロセスで Steven が心掛けたのは、複雑性を捨て去り、よりミュージックオリエンテッドな楽曲を生み出すこと。”Nowhere Now” の気に入っていたパートをマエストロはいとも容易く捨て去りました。楽曲のデモバージョンは現在の彼にとって、複雑で長すぎると感じられたのです。
「僕は楽曲の、感情の、メロディーの “ハート” にフォーカスする必要があるんだ。ただし今でも興味深い楽曲を制作したいという願望はあるよ。」 そう語る Steven の “プログレッシブ” は、幾重にもレイヤーされた美麗なるプロダクションやアレンジメントに主張されています。勿論、以前に比べてエレクトロニカサウンドが増している点もそこに繋がるはずですね。
複雑性やテクニカルを極力廃すというアルバムの方針は、お抱えのギターマイスター Dave Kilminster の出番も無くしました。Steven はより自身の感情を反映するため、自らのプレイをギターの軸に据えたのです。とはいえ、面白いことに Dave のボーカルハーモニーは必要とされ4曲にコーラスを挿入しているのですが。
“地下6フィート(墓穴の深さ)、僕たちは今、後方へと進んでいる” というファーストラインは、人類が退化の真っただ中にあることを諮詢しています。しかし、浮遊感を伴う極限にキャッチーなコーラスでは美しき地球を宇宙から俯瞰で見下ろし、ポジティブで広い視野を得るのです。

TRACK3 “Pariah”
ドリーミーなシンセサイザーのシーケンスに幕を開け、エセリアルなシューゲイザーで幕を閉じるコンテンポラリーなドリームポップチューンは Steven とイスラエルのフィーメイルシンガー Ninet Tayeb の優艶なるデュエット。”Hand. Cannot. Erase.” から続く2人のコラボレーションは円熟の域に達し、あざといほど典型的に、諦めないことを、ポジティブなメッセージを届けるのです。

TRACK4 “The Same Asylum As Before”
Steven は “To The Bone” でテレキャスターと恋に落ちたと語ります。”The Same Asylum As Before” のトレブリーで細く硬質なギターサウンドは、まさにテレキャスターソングの典型だと言えるでしょう。
ドライブやディストーションをあまり加えることなくロック出来るテレキャスター。その真の魅力に気づいたと Steve は語ります。勿論、これが Pete Townshend のサウンドであるとも。
ボーカルの延長としてよりレイドバックし、メロディーやキャッチーさを強調する彼のギターワークは鮮彩に躍動していますね。詩情豊かなファルセットは楽曲に陰影をもたらし、”Kashmir” を想起させるコーラスパートも出色です。

TRACK5 “Refuge”
フランス北部の港町カレー。ヨーロッパ最大規模の難民キャンプは治安も衛生状態も悪化していました。経済的に豊かな英国へ渡ろうと、トラックや列車に飛び移り命を落とす難民も現れたのです。Steven は政治的な楽曲を書くつもりはないと語ります。あくまで人間のストーリーを描きたいとも。Refuge では愛する家族や母国から切り離されることの痛みについて歌っているのです。
ポリフォニックシンセサイザー Prophet-6 のアルペジエーターが、この実験的でアンビエントなエレクトロニカチューンのベースとなっていることは明らかです。ポストプログレッシブなイメージが強調された楽曲には Robert Wyatt が “Rock Bottom” で使用したキーボード、Paul Stacey のギターソロも収録され、独特な世界観の構築に貢献しています。

TRACK6 “Permanating”
「どのレコードでも僕は多様性を創造しようとしているんだ。僕にとってはそれこそが本当に満足出来るアルバムを作る秘訣さ。」 “Diversity”, “Eclectic” というワードがモダンミュージックのベースとなっていることは言うまでもありませんが、Steven Wilson が “Permanating” で提示した眩い音楽はそれにしても驚きだと感じます。
ビッグシングルにしてメインストリームなポップフィールで満たされた楽曲には、彼の70年代ディスコミュージック、ABBA への強い愛情が込められているのです。PINK FLOYD と Donna Summer を等しく愛する Steven は「セルアウトと言われるかも知れないけど、ポップスを愛しているんだから仕方がない。」 と語っています。
人生の大半は喜びでも悲しみでもなく、ただ存在するだけだと話す Steven。故にクリスタルのような輝かしい瞬間を保持して生きるべきだと。”Permanating” はまさにその究極に幸せで楽しい時間を切り取った楽曲なのです。

TRACK7 “Blank Tapes”
“Permanating” での華やかな雰囲気から一変、”Blank Tapes” は悲しみと嘆きのバラードです。男女の別れを描いた楽曲は、Steven が男性の視点で、Ninet が女性の視点でストーリーを紡いでいきます。
Ninet の Rod Stewart を思わせる情感豊かな歌唱は、ギター、ピアノ、メロトロンというシンプルな演奏に良く映えていますね。

TRACK8 “People Who Eat Darkness”
パンキッシュで衝動的な “People Who Eat Darkness” はパリの Bataclan シアターでのテロの後に書かれた楽曲です。テロとその後のメディア報道に Steven は、穏やかな隣人が突然テロリストとなる狂気に戦慄を覚えます。彼はいつも、宗教、政治といったマクロなテーマそれ自体よりも、その中で翻弄される人間に着目するのです。
「階段でよくすれ違っていたんだけど、彼はいつもニコニコと笑顔で挨拶してくれたの。買い物を持ってくれたりしてね。普通の素敵な若い男性だったわ。」 インタビューを受けた隣人の言葉には 、”普通” に見える人間が、怒り、憎しみ、狂気を抱え闇に飲まれている可能性を諮詢しています。分断された現代社会で、果たして誰がそれに気づくことが出来るのでしょうか?

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TRACK9 “Song of I”
スイス人女性シンガー Sophie Hunger とのデュエットは、アルバムで最もエレクトロニカサウンドをセンターに据えた楽曲に仕上がりました。「最近のラップはロックより革新的だよ。」 と嘯いた Steven。”Song of I” には Rihanna をフィーチャーした Kendric Lamar の “Loyality.” を想起させる瞬間が確かに存在します。
ある種淡々とした音像の中で、淡々と伝えられるのは以外にもロマンティックなメッセージ。「タバコも、アルコールも、ギャンブルも、オールだって何だって諦めるけど、あなただけは諦められないよ。」 こういった強迫観念に男女の差異は存在せず、故にデュエットという形がフィットするのかもしれませんね。

TRACK10 “Detonation”
エレクトロビートと Jeremy Stacey のダイナミックなドラムスが目まぐるしく交差するイレギュラーな楽曲は、時にポピュラー音楽史上最も成功した作曲家 Paul McCartney and WINGS の “Live and Let Die” をイメージさせます。”Detonation” には二つの意志が存在するのかも知れません。
楽曲はフロリダの同性愛者クラブで起きたテロリズムに触発されて書かれました。犯人は確かに「アッラーフ・アクバル」 と叫び神に忠誠を誓ったように犯行を行いましたが、実際は自分自身の偏見や憎しみを正当化するためにイスラム教の皮を被っていたようにも思えます。
“Detonation” の最初の一行、「神よ、私はあなたを信じませんが、あなたが望むことはやり遂げます。」 とはすなわち、信じないものの力を借りた自身の正当化です。Steven はこの歪んだ現代社会において、自己に潜む嫌悪感や憎しみを隠すため、宗教へと目を向ける人が存在すると信じているのです。
ともあれ、”Detonation” は Steven の作品でも秀逸なロングピースで、スロバキアのギタリスト David Kollar のマクラフリン風ギターが炸裂するアウトロは実にエキサイティングだと言えますね。

TRACK11 “Song of Unborn”
“Unborn” とはまだ生誕していない命、胎児。Steven はこの感動的なアルバムクローサーで、生まれくる命に子宮の外の危うさを伝えます。ただし、これが彼の典型的なバラード “Routine” や “The Raven that Refused to Sing” と決定的に異なるのは、究極的には希望を宿している点です。”Don’t be afraid to live” 生きることを恐れないでと Steven は歌います。確かに残念な世の中だけど、それでも全ての命はユニークで、時には本当にスペシャルなものへと変わることもあるんだよと。
自分の人生を抱きしめれば、命は深遠に達するという美しいメッセージは、オプティミズムの象徴とも思える美麗なるクワイア、コーラス隊を誘って世界へと降り注ぐのです。

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Steven は、”To The Bone” には以前のレコードにはないエモーション、人々の心を動かす感動が存在すると語ります。ビートルズ、ストーンズ、ゼップ、フロイド、ディラン…彼が崇拝するレコードの大半は、アーティストが20代で制作したもの。しかし、自分は30代から花開き、どんどん良くなっていると Steven は語ります。”To The Bone” が最高傑作だと信じて疑わないことも。「僕は歳を重ねるほど、音楽のコア、真実のエモーションが掴みやすくなるからね。」

参考文献「Steven Wilson :To The Bone: A track-by-track guide 」2017年8月17日

STEVEN WILSON “TO THE BONE” : 10/10

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LOUD PARK 17′ SPECIAL INTERVIEW 【PER NILSSON : MESHUGGAH, SCAR SYMMETRY, KAIPA, NOCTURNAL RITES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PER NILSSON OF MESHUGGAH, NOCTURNAL RITES, KAIPA, AND SCAR SYMMETRY !!

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Now, The Most Notable Guitar Virtuoso In The Scene, Per Nilsson Will Come To Japan With Meshuggah At Loud Park 17′ !! The Busiest Man Talks Everything About His New Adventure !

ABOUT PER NILSSON

スウェーデンが誇る異能のギターマイスター Per Nilsson。現在、彼こそがメタル/プログコミュニティーで最も注目を集める怪物であることに異論を唱える向きはないでしょう。
モダンメタルの父、MESHUGGAH のマスターマインド Fredrik Thordendal が突然の “休暇” を申請したのは6月初頭のことでした。インタビューにもあるように、スタジオの建設とソロキャリア追求のためバンドを離れた求道者の代役として指名されたのが今回の主役、Per だったのです。実際、彼ほどの適任者は存在しないように思えます。
10代後半から MESHUGGAH を聴き漁り、リスペクトを捧げて来たという Per のギタープレイには、例えば彼のホームグラウンド SCAR SYMMETRY を聴けば分かるように、複雑でマスマティカルなリフワークや、レガートで滑らかにアウトするリードプレイなど、モダンメタルの巨人を想起させる場面が確かに存在します。
何より、亡き Allan Holdsworth の遺産を相続するのみならず、独自に進化させるプレイヤーはメタルの領域においてあまりに稀有で、オーディションも行わず Per を指名したバンドの英断には頷くばかりですね。
さらに Per が注目を集める理由。それは彼のフレキシブルな才能が可能とした、多方面での雄渾なる活躍です。多様でエクストリーム、実験性を秘めたモダンメタルを中枢としながらも、Per のセンス、スケール、そしてテクニックは様々な分野のアーティストを惹き付けてきました。
特にここ日本で絶大な人気を誇るメロディックメタルアクト NOCTURNAL RITES もその一つ。10年という長い沈黙を破るバンドの復活作 “Phoenix” で、ソロイストとして白羽の矢を立てたのが Per だったのです。インタビューにもあるように、トラディショナルでメロディーによりフォーカスした Per の新たな冒険は、バンドのマスターピースとして結実したようですね。9月のリリースを待ちましょう。
加えて、9月にはもう1枚 Per の参加したレコードがリリースされます。KAIPA の新作 “Children of the Sounds” です。70年代から活動を続ける、北欧シンフォプログの雄 KAIPA に Per が加入した事実はシーンに大きな驚きを与えました。実際、Per 自身が語るように、Roine Stolt の色彩と気品をメタルシュレッダーが引き継げるのだろうかという懐柔的な見方も多かったようですね。
しかし KAIPA の同僚で天賦のスティックマン Morgan Agren が、「Per は非常に滑らかなタッチと完璧なコントロールを持っているね。彼が演奏するときは、すべてが簡単に聞こえるんだ。素晴らしいプレーヤーだよ。」と語るように、Per のモダンなテクニックはバンドに新たな”血”をもたらし、スピードを備えたクラシカル、フォーキーなパッセージが壮麗なる推進力を生んでいるのは間違いないでしょう。
また、Per にはプロデューサーとしての顔も存在します。今ひとつ伸び悩んでいた自身のメインバンド SCAR SYMMETRY が、遂にそのステージを1歩進めた最新作 “The Singularity (Phase I – Neohumanity” では、Per がコンポジション、プロデュース、ミックス、マスタリング全てを手がけているのです。
非常にメロディックかつプログレッシブな方向へとシフトした作品が、脱退したギタリスト Jonas Kjellgren メインのプロダクションに比べよりクリアーで立体感を有していることは明らかですね。インタビューにもあるように、Per のスタジオも完成しトリロジーの第2章が幕を開ける瞬間も間近です。期待しましょう。
最後に Per がソロアルバム、ETERNITY’S END のプロダクションを手がけたテクニカルデスメタルシーンきってのテクニシャン Christian Muenzner は彼について 「Per Nilssonはこれまでの10年間で最もエキサイティングなギタープレイヤーだよ。美しいフレーズとインテリジェントなノートの選択は、素晴らしい音色を運び完璧なまでに楽器のテクニカルな要求を満たすんだ。僕がギタリストのプレイに探しているものすべてを彼は持っているんだよ。」と語っています。インテリジェンスを感じるのは当然かも知れません。Per の IQ は156を超えるとも言われており、あの高IQクラブ “メンサ” のメンバーなのですから。
型破りな知性が導くフレキシビリティ。今回弊誌では、Per Nilsson にインタビューを行うことが出来ました。遂にあの鬼才が MESHUGGAH として Loud Park にやって来ます!どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IGORRR : SAVAGE SINUSOID】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GAUTIER SERRE A.K.A. Igorrr !!

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Mastermind Of Modern Metal Revolution, Igorrr Sets A New Standard Across Styles Of Music, With His New Masterpiece “Savage Sinusoid” !!

DISC REVIEW “SAVAGE SINUSOID”

多様性をランドマークとするモダンメタルシーンの最前線に立ち続ける、フランスの鬼才 Igorrr が待望の最新作 “Savage Sinusoid” をリリースします!!メガレーベル Metal Blade Records と契約を果たし、自身の最高峰を更新する傑作を完成させた Igorrr の世界制覇は目前です。
Igorrr とは誇り高きフランスのコンポーザー/マルチプレイヤー Gautier Serre のソロプロジェクト。ブレイクコア、グリッチホップ、トリップホップ、バロック、クラシカル、ワールドミュージック、サイバーグラインド、デスメタル、ブラックメタルなど百花斉放、極彩色のインスピレーションを濃縮し、時代もジャンルも超越したそのサウンドスケープは即ち規格外のモンスターだと言えるかもしれませんね。そして、インタビューにもあるように Gautier は、その至高の怪物を各ジャンルのスペシャリストを招集することで制御し、自らの意のままに操っているのです。”Savage Sinusoid” のアートワークに描かれた結合のスフィアは、まさにそのシンボルだった訳ですね。
アルバムオープナー、”Viande” は Igorrr の野蛮な “Savage” サイドを象徴する楽曲です。エクストリームメタルの新たなエイリアン、奇妙な咆哮を宿した2分弱のエレクトロブラッケンドデスメタルは、息を呑むほどに野蛮で斬新。邪悪で過重な質量を纏うギターリフと、鋭利なグリッチサウンドが交差し、リズムの主導権を奪い合う様はまさしく圧巻の一言で、同時に呪詛のごときシアトリカルなスクリームは地球上で最も多様な Igorrr 劇場の開幕を告げています。
Igorrr の多様性、 “Sinusoid” サイドを体現する “ieuD”, “Houmous” の流れがシーンに与えるインパクトは絶大でしょう。ハープシコードとエレクトロビート、バロック音楽とエレクトロニカ。400年の時を超えて邂逅した、17世紀と21世紀を象徴するサウンドとジャンルは、4世紀のギャップなど存在しないかのように “ieuD” で魅惑の融合を果たしています。
中盤、荘厳なる美の結晶、狂気すら入り交じる Laure Le Prunenec のオペラティックな歌唱をコアとして、ブラストビートとブレイクビーツが入り乱れる魔展開は確かにカオティックですが、テクニカルで深層まで注意深くデザインされたそのコントラスト、タペストリーサウンドは、奔放、野性味というよりはコントロールされたカオスといった印象を与えていますね。つまり、彼のエクレクティックなチャレンジは、決して客寄せのサーカスではなく、自身の創造性、シネマティックな絵画を完成させるための絵の具や技法であるとも言えるでしょう。
“Houmous” で Igorrr のサウンドはさらにその世界を広げて行きます。”ieuD” で時空を超えた彼の音楽は軽々と地平をも飛び越えて進化を続けます。バルカン半島へとたどり着いた彼のイマジネーションは、バルカン音楽とエレクトロニカ、そしてブラストビートを結びつけ異形のエモーションを創出します。
音楽も多様なら舞台に上がる楽器の種類も実に多様。アコーディオンにサックス、フルート、そして楽曲の後半にはニンテンドーの実機を使用したチップチューン8bitサウンドまで登場するのですから、インタビューで “No Limits, No Boundaries” と断言するのも頷けますね。何より、今回の作品では全ての楽器が、サンプルではなく実際にプレイされており、その繊細かつオーガニックなサウンドはアルバムのリアリティーを飛躍的に高めていると同時に、作品のディレクションさえ以前よりソリッドにフォーカス成し得ていると感じました。アコースティック楽器とエレクトロニカサウンドのシュールなコントラストはアルバムの特筆すべき場面の一つでしょうね。
ムーブメントとしての djent が終焉を迎えシーンに定着した中で、Igorrr の”Savage” と “Sinusoid” を融合させる時代も空間も超越したユーフォリアは EDM や hip-hop が席巻する現在の音楽シーンだからこそ、新たなトレンドとしてモダンメタルをさらに前進させる可能性を多分に孕んでいます。インタビューでも語ってくれた通り、少なくともこのジャンルは未だに進化を続けているのですから。最後に、CATTLE DECAPITATION の Travis Ryan が3曲で無慈悲なグロウルを披露し、作品の “Savage” をより際立たせていることを付け加えておきましょう。
今回弊誌では、Gautier Serre にインタビューを行うことが出来ました。ほとんど多様性とコントラストについてしか言及しない Marunouchi Muzik Magazine ですから当然この作品こそ2017年上半期の最重要アルバムだと断言いたします。どうぞ!!

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Igorrr “SAVAGE SINUSOID” : 10/10

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NEW DISC REVIEW【JASON RICHARDSON : I】INTERVIEW WITH LUKE HOLLAND, JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LUKE HOLLAND !!

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Jason Richardson & Luke Holland, One Of The Most Talented Young Guns Will Come To Japan With Game Changing Debut Record “I” !!

DISC REVIEW “I”

24歳と23歳。瑞々しくハイセンスなモダンメタルフロンティアが輩出した俊英2人、Jason Richardson と Luke Holland がタッグを組んだ宿命の別世界 “I” のリリースは、至大のインパクトと共にユニットを遥かなる日いづる国、日本へと導くことになりました。
若干20代前半にして、2人の履歴書はすでに驚くほど充実しています。バークリー入学を蹴って ALL SHALL PERISH でツアーを経験し、BORN OF OSIRIS, CHELSEA GRIN では名作のキーパーソンとなったギタープレイヤー Jason Richardson。最先端の10指が紡ぐ印象的でコズミックなフレーズの数々は、まさに Djent/デスコアミュニティーの発展に欠かすことの出来ないフラッグシップであると言えますね。
一方のドラマー Luke Holland は、インタビューにもあるように、16歳で YouTube チャンネルを開設しセルフプロモートを開始します。今日までに総計で5500万ビューという驚くべき数字を叩き出した彼のプレイスルーカバー集は、Djent, メタルからプログ、エモ、パンク、ポップに EDM までまさに百花繚乱な世界観を独自のアレンジメントと精緻なテクニックで華麗に彩り、今では自らの価値を証明する Luke の貴重な名刺がわりとなっているのです。
実際、動画を見た TEXAS IN JULY から代役を頼まれ、ついには2013年に THE WORD ALIVE の正式メンバーに任命されたのですから、例えば日本の川口千里さんにも言えますが、プレイスルー動画の持つ力、インパクトは音楽シーンのあり方を変えて来ているのかも知れませんね。
“究極的には毎晩ソールドアウトのスタジアムでプレイしたい” と語る Luke が次なるチャレンジとして選んだ “I” は、同時に Jason Richardson がただギターマイスターであるだけでなく、コンポーザーとしても多様かつ至妙であることを証明した一級品に仕上がりました。Luke の言葉からは寧ろ、コンポーザーとしても優れていることが、参加を決意させたようにも読み取れますね。
ダークでシンフォニックな世界観を携え、難解なリズムアプローチと美麗なリードプレイがアトモスフィアの波を掻き分ける “Omni” でアルバムは幕を開けます。不安を煽るようなオーケストレーション、ギターとシンセサイザーの一糸乱れぬ華麗なダンス、そして見事にコントロールされたチャグワークは確かに BORN OF OSIRIS の設計図をイメージさせ、まさに楽曲が Jason Richardson を象徴する”I”であることを宣言していますね。
勿論、現在2人だけでツアーを行っていることからも分かるように Jason と Luke のコンビネーションも抜群。ギターの細かなフレーズまでユニゾンしてしまう Luke の繊細でアイデア豊富なドラムワークはアルバムを確実に一段上の領域へと誘っています。Luke の THE 1975 や THE CHAINSMOKERS をメタルと同列で愛してしまう軽快さこそ彼を際立たせているのです。
粒立ち群を抜いているピッキングの驚異的な正確性、選択する音や音符の意外性、タッピングとオルタネイト、スイープを巧みに使い分けるアルペジオの豊かなバリエーション、そしてストーリーを持った構成美。ソロワークに目を移せば、すでに Jason が世界のトップであると誰もが確信するはずです。メカニカルなシュレッダーのイメージが強いかも知れませんが、”Omni” 中間部の静謐なパートで炸裂するベンド、ビブラートのエモーションは実に扇情的で崇高とさえ表現したくなりますね。全く非の打ち所がありません。
PERIPHERY の Spencer Sotelo がゲストボーカルで参加した “Retrograde” からさらに “I” の世界は広がっていきます。これまでスクリームとのコンビネーションがほとんどだった Jason のギターですが、クリーンボーカルとの相性も決して悪くはありません。Spencer の突き抜けるように爽快でキャッチーなトレードマークは Jason のポップセンスをも見事に開花させ、VEIL OF MAYA の Lukas Magyar, PERIPHERY の Mark Halcomb というオールスターキャストで贈る名曲 “Fragments” にその成果を結実させています。
ポストロックやクラシカル、ブルースにサーフロックの感覚すら包み込んだ “Hos Down” の多様性から生じる魔法はまさに別格です。現代の Guthrie Govan と形容したくなるほどマジカルでエクレクティックな奇跡のコンポジションは、Jason の未来、 “Next Stage” にも多大な期待をいだかせてくれますね。
Nick Johnston, Rick Graham など様々なゲストを迎え、才能が時に融合し、時に火花を散らしたアルバムは、巨匠 Jeff Loomis とのクラシカルな乱舞 “Chapter Ⅱ” でまさに “Ⅱ” の存在を予感させつつ幕を閉じました。
今回弊誌では、7月に来日が決定した Luke Holland にインタビューを行うことが出来ました。POLYPHIA, さらには先日インタビューを掲載した12歳の天才美少女ギタリスト Li-sa-X も出演しますよ。どうぞ!!

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JASON RICHARDSON “I” : 10/10

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