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COVER STORY + FUJI ROCK FESTIVAL 19′ 【KING GIZZARD & THE LIZARD WIZARD】


COVER STORY : KING GIZZARD & THE LIZARD WIZARD

“What Is Psych? Is It Psyche? Is It Psychedelic? If It’s An Exploratory Approach To Music Then Perhaps We Are. If It’s About Creating Huge Walls Of Glistening, Phased-Out Guitars Then We Are Not. I’ve Always Felt More Like a Garage Band Than Anything. We Don’t Write Songs About Space, Either.”

WHAT IS PSYCH? WHAT IS KING GIZZ?

「ロックは死んだ。」もう何十年も議論され続けるクリシェです。インターネットやストリーミングサービスの普及によって、今日ではより容易く多様なジャンルへとアクセス可能で、例えば iTunes を開けばロック/メタルのみならず、クラッシック、ジャズ、ポップ、ワールドミュージック、エレクトロニカ、オルタナティブ、R&B、ヒップホップなど様々な世界への入り口が並んでいます。
もちろん、そのストリーミングサービスにおいてエレクトロニカやヒップホップがロック/メタルを大きく凌駕している事実も今や常識と言えるでしょう。
とはいえ、70年代、80年代には及ばないものの、ロック/メタルはライブの分野では善戦していますし “死んだ” と判断するには早計にも思えます。ただ、ジャンルを定義した巨人たちに代わる新たなビッグアクトが望まれているのもまた事実でしょう。
しかし、新世代にとってロック/メタルという形式を取りながら、新たな領域を開拓し世界に衝撃を与える仕事は決して簡単ではありません。なぜならこのフィールドでは、何十年もかけて数えきれないほど多くのバンドが様々な実験を試みてきたからです。さらにネットの登場で過飽和となったシーンには両方の意味で、新星に残されたスペースはほぼないも同然だと言えるでしょう。
ただし、それでもその難題を解決する救世主、キング、もしくはウィザードがオーストラリアに君臨しています。KING GIZZARD & THE LIZARD WIZARD です。

あの TAME IMPALA との繋がりも深く、風変わりな名 (多大な影響を受けた Jim Morrison の呼称 “The Lizard King” が関係している) を持つメルボルンのバンドは真なるジャムセッションへの愛から誕生しました。ほぼ10年のキャリアですでに14枚のフルアルバムと2枚の EP を制作。ギター、キーボード、サックス、フルート、クラリネット、シタールなどその他様々な楽器を操るフロントマン Stu Mackenzie を中心に、ギター、キーボード、ハーモニカ、ボーカル担当の Ambrose Kenny-Smith、さらにCook Craig & Joey Walker 2人のギタリストを加え、ベーシスト Lucas Skinner、そして Michael Cavanagh と Eric Moore のダブルドラマーという異様な編成も、ジャムセッションへの執心、ライブバンドとしての矜持を考慮すれば実に自然な流れだと言えます。
バンドの音楽性を定義するなら、サイケデリックロック、プログレッシブロックが最も近いラベルなのかも知れません。ただし、むしろそれは建前とでも言うべきで、実際はカラフルな虹色の多様性をキャンパスに描くエクレクティックな音画家です。そしてそのアティテュードは、モダン=多様性の進化した音楽シーンに完璧にフィットしそこからさながら流動体のごとくさらに限界を超えていきます。実際、Stu Mackenzie は根本的な疑問を口にします。「ところで、サイケって何なんだい?もしそれが音楽への探索的なアプローチを意味するならば確かに俺たちはサイケだよ。だけど、歪んだギターの壁を作ったり、宇宙についての歌詞を意味するなら俺たちはサイケとは言えないね。」
事実、サイケ-ソウル-サーフ-ファズ-ガレージ-ジャズ-スペースロックなどと称される彼らの音とスタイルは年月とアルバムによって変化を続けています。2011年にリリースした4曲入りの EP “Anglesea” はかつてのニューウェーブ/ポストパンクのようにも聴こえましたし、典型的なリバイバルのようにも思えましたが、振り返ってみればそれは始まりに過ぎませんでした。

劇的な化学反応は2015年の “Quarters!” で発生しました。タイトル通りアートワークも4区分、楽曲も10分10秒ピッタリの4つで40分40秒のランニングタイムとクオーターに拘った作品はジャズロックの実験室を解放した初のアルバムでした。
Stu は当時、”Quarters!” について、「俺らは叫んじゃいけないレコードを作りたかった。長くてミニマル、反復を多用した構造の中でね。だから普段のようなブルータルなギターペダルも封印したんた。」と語り PINK FLOYD への敬意も覗かせています。
進化は止まりません。”Paper Mâché Dream Balloon” でフォークロックへ接近した後、アルバム最後の音と最初の音が見事に繋がりエンドレスにループする2016年の “Nonagon Infinity” から基盤となるサイケデリックロックに様々な刺激を注入し “King Gizz のサイケ” を創造し始めます。マイクロトーナル (微分音) もその刺激の一つ。


2017年にはそうしてアルバム全編をマイクロトーナルで統一した “Flying Microtonal Banana” を製作します。アルバムタイトルは Stu ご自慢のマイクロトーナルギターの名前。作品に収録された “Sleep Drifter” は今でも最大の人気曲の一つとなっています。
2017年は KING GIZZ にとって実に重要な一年でした。リリックに環境問題を取り上げ始めたのもこの年から。さらに、2月から12月にかけてバンドは5枚のフルアルバムをリリースします。ほぼ2ヶ月に1枚のデスマーチによって、しかし彼らは多くのファンを獲得し自らの価値を証明しました。

前述の異端 “Flying Microtonal Banana”、ナレーションを配した本格コンセプト作 “Murder of the Universe”, 奇妙でしかしキャッチーな “Skunsches of Brunswick East”、サイケデリックでポリリズミック TOOL の遺伝子を配合する “Polygondwanaland”、そして環境問題とプログロックのシリアスな融合 “Gumboot Soup”。
特に “Polygondwanaland” は KING GIZZ の最重要作と言えるのかもしれませんね。オープナー “Crumbling Castle” はまさしくバンド進化の歴史を11分に詰め込んだ濃密な楽曲ですし、何より彼らは作品を自らのウェブサイトで無料公開し、驚くべきことにその著作権さえ主張しなかったのですから。
バンドのメッセージは明瞭でした。「レコードレーベルを始めたいと思ったことはあるかい?さあやってみよう!友人を雇ってフィジカルを制作して出荷するんだ。僕たちはこのレコードの権利を主張しない。楽しんでシェアしてくれよ!」
そうして KING GIZZ は、ファンやインディーレーベルにオーディオファイルやアートワークもフリーで公開してそれぞれにフィジカルのディストリビュートを促したのです。それは衰退したレコード、CD文化を保護し復権を願うバンドが取った驚天動地の奇策でした。彼らほどのビッグネームの、しかも最高傑作のフィジカルをマージンなしで配給出来るチャンスなどなかなか飛び込んでくるはずもありません。作品は世界中88のレーベル、188のフォーマットで販売されることとなりました。

そういった大胆な行動は、彼らが全ての作品を自身のインディペンデントレーベルからリリースしていることにより可能となっています。レーベルはドラマー Eric Moore によってスタートし、彼が全てのマネージメントスタッフを仕切っているのです。もはやレーベルとのビッグディールを目指す時代は終焉を迎えました。若く意欲的なバンドにとって KING GIZZ のやり方は理想的なモデルケースでしょう。なぜなら、彼らはクリエイテビィティー、レコードの権利、リリースの計画、バンドの未来まで全てを完全に掌握しているのですから。

さすがに1年に5枚リリースの反動が訪れたのか、新作 “Fishing for Fishies” のリリースには2019年まで時間がかかりました。アルバムについて Stu は、「俺たちはブルースのレコードを作りたかったんだ。ブルースやブギー、シャッフルとかそんな感じのね。だけど楽曲はそのテーマと戦って、自らのパーソナリティーを獲得している。」と語っています。
実際、荒々しきブルーグラスのタイトルトラックを筆頭に、類稀なるグルーヴと RUSH の影響を宿す “The Cruel Millennial”、さらにエレクトロニカに満たされながらミツバチの重要性を語り継ぐ”Acarine” などアルバムは千変万化で充実を極めています。

驚くべきことに、そうして KING GIZZ は8月にリリースされる新作 “Infest the Rat’s Nest” で次の標的をメタルへと定めました。
公開された “Planet B” は誰も想像だにしなかったスラッシュメタルチューン。さらに “Self-Immolate” は初期の METALLICA, SLAYER と MUSE や ROYAL BLOOD を変拍子の海でミックスした奇々怪界。彼らが新たな領域で披露するエクレクティックな獰猛性が待ちきれませんね。

KING GIZZ の持つ多様性、プログ/メタルの新聖地オーストラリアというグローバルな出自はモダンなロック世界の原則を見事に内包しています。Stu はそのバンドの多様性について、「音楽は探検なんだ。僕がまだ探索していない音楽の作り方、レコードの作り方が何百万も残っている。言うまでもなく、学んでいない楽器、聴いていない音楽、探求していない文化もね。」と語っていますが、それでも父に Neil Young を歌い聞かされ、60年代のガレージコンピレーションから、敬愛する FLOWER TRAVELLIN’ BAND 含む70年代に勃興した東洋のサイケロックまで、Stu の知識と好奇心に際限はありません。驚くべきことに、彼は毎年一つ新たな楽器の習得を自らに課しています。

もちろん、彼らの特異なサウンドや”健全な” 4/4の錯覚を誘うポリリズムの魔法、そしてカメレオンの美学は、古くからのリスナーが慣れ親しんだプログロックやメタルの法則には乗っ取っていないかもしれません。一方で、故に革新的で創造性溢れ、前時代へのカウンターとして新たなビッグアクトの資格を得ているとも言えるはずです。バンドは自由自在に自己表現を繰り出すアートの極意を恐れてはいませんし、それでもなお、ロック/プログ/メタルの領域を住処としているのですから。遂に FUJI ROCK FESTIVAL 19′ で初来日を飾る KING GIZZ のモットーは、”No Slowing Down”。サイケ、プログ、ジャズ、エレクトロ、フォークにスラッシュとその境界を破壊し自由に泳ぐ魔法の王様は、きっとこれから何十年もロックミュージックの進化を担っていくはずです。

参考文献: The Guardian:King Gizzard & The Lizard Wizard: can the psych band release five albums in one year?
The Quietus:No Slowing Down: King Gizzard & The Lizard Wizard Interviewed
Ultimate Guitar :Why King Gizzard & the Lizard Wizard Are the Future of Rock Music We’ve Been Waiting for

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FUJI ROCK FESTIVAL 19′

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NEW DISC REVIEW + COVER STORY 【BARONESS : GOLD & GREY】


COVER STORY: BARONESS “GOLD & GREY” !!

“John Baizley And Baroness have battled through Life-Threaten Bus Accident to make a life-affirming record “Gold & Grey”. Baroness’s Color Cycle Has Come To An End, But Their Art Journey Will Not Stop!”

ABOUT COLOR WHEEL AND “GOLD & GREY”

「全ては色相環、カラーホイールから始まったんだ。」
アートメタルを切り開く BARONESS のフロントマン John Baizley は、色彩をテーマとしたアルバムタイトル、アートワークの起源をそう明かします。赤、青、黄緑、紫と色を紡ぎ続ける音画家がそうして次に選んだ輝きは黄金の灰でした。
「俺はアートスクールでアートの歴史や理論を学んだんだ。」驚くことに、John Baizley は全てのアートワークを自らで描いてもいます。
「普通のアーティストなら、カラーホイールは赤、紫、青、緑、黄、オレンジとなっているだろう。だけどオレンジがこのアルバムに相応しい色だとは思えなかった。それに “Gold & Grey” の方がソフィスティケートされているだろ?」
その音楽と同様に、”Gold & Grey” のアートワークは John の最高傑作と言えるでしょう。何百時間を費やし、ダリの万華鏡を封じたそのアートは、2007年 “Red” に端を発する色物語を終わらせる完璧なピースでした。
もちろん、WEEZER をはじめ色をテーマとしたアルバムの作り手は決して少なくありません。ただし、BARONESS はそのコンセプトをネクストレベルへと進めています。
「アートワークはリスニング体験と切っても切り離せないものだ。PINK FLOYD の “The Dark Side of the Moon” を聴けばリスナーは必ずすぐにあのプリズムとレインボーを思い出すだろう。音楽以外でリスナーを惹き付けるアートワークは、ただ聴くだけの体験とは別次元の体験を生み出すんだよ。」
アートワークに注がれる全ては、個人的な、特別な理由であると John は語っています。
「俺はいつだって人生からアートを描いている。モデルを使って、俺が描きたいものを探していくのさ。そのプロセスがまるで火花が散るように俺の興味を刺激するのさ。」
人生の変化、バンドの進化を象徴するものこそがアートワーク。
“Gold & Grey” は長年ギタリストを務めた Peter Adams 脱退後初のアルバムとなりました。2015年、”Purple” で大成功を収めたバンドは、新たに Gina Gleason を起用することに決めたのです。
「Gina とはフィラデルフィアで出会ったんだ。俺たち両方が住んでいる場所だ。Peter とは実に良い別れ方だったから、後任を探す時間も充分で、結果として最高にオーガニックな移行となったね。」
元 Cirque du Soleil のギタリストで、Santana にも起用されていたジャムのスペシャリスト Gina の加入は “Gold & Grey” をアートワークのように多様で入り組んだ螺旋の作品へと昇華させました。
温かみや憂いを湛えるシンセサイザーが重要な役割を果たす一方で、オールドスクールなインプロジャムも作品の肝となりました。何より、Gina のドリーミーなコーラスワークはバンドの新たなウェポンです。
モダン=多様性のポストミレニアムメタルにおいて、プログ、スラッジ、サイケデリック、エレクトロニカ、マスロック、インディーロック、デリケートなピアノの響きにスペイシーなサウンドエフェクト、そしてノイズの洪水までエクレクティックを極めたアルバムは “複雑なパズル” だと John は語ります。
「注意深く聴けば、全ての楽曲が何かで繋がっていることが分かるはずさ。メロディーであったり、リズムであったり、1箇所以上繋がっている楽曲だってあるよ。まるでオーディオのイースターエッグが隠されているようなものだよ。」
John はジャンルの話を好みませんが、1つのジャンルに固定されることほど彼を苛立たせるものはありません。実際、アンセミックでエナジーに満ち溢れ、静謐から轟音まで支配するこの作品はストーナーはもちろん、もはやメタルの狭い枠にすら収まることはないでしょう。
「ストーナーメタルの一言だけで全てをカバーできるアルバムではないよ。ロックバンドと名乗るかメタルバンドと名乗るかだけでも、リスナーに相当異なる印象を与える。だけどストーナーメタル?そんなの分かる人いるのかな?」
BARONESS の色円は終わりを迎えますが、彼らの旅が終わる訳ではありません。
「色をテーマとしたアルバムが6枚も続くなんてね。だけど、俺はこれからも描き続けるよ。アートに終わりはないんだから。」

BARONESS “GOLD & GREY” : 10/10

HISTORY OF BARONESS

BARONESS のマイルストーン “Blue” アルバムのリリースから10年。ポストミレニアムメタルの最高到達点と評されたレコードは、老舗メタル雑誌 Decibel Mag の巻頭を飾り10/10のフルマークを獲得しました。
MASTODON, KYLESA からは少し遅れ、BLACK TUSK には少し先立ってジョージアのストーナー/スラッジシーンへ登場した BARONESS。ただし、まだ若く、”hipster metal” “通好みのメタル” などと懐柔的にもとられていた BARONESS が、10年間、4枚のアルバムを経てメタルワールドの盟主にまで登り詰めたことには理由がありました。
SLEEP や KYUSS、そしてもちろん BLACK SABBATH の血を引きながら、彼らは決して最高にヘヴィーでも、最高にスロウなバンドでもありません。当然、最高にファストでも、最高にキャッチーでも、もしかしたら最高にクールなバンドでもないのかも知れませんね。
ただし、彼らは時にヘヴィーに、時にスロウに、時にファストに、時にキャッチーに、時にクールに変化する最高にビッグな変幻自在の化け物だったのです。

“Blue” アルバムをリリースした後、BARONESS の運命は一変します。マネージメントを持たなかった彼らに飛び込んだのは、RUSH, SCORPIONS, DEF LEPPARD を成功へと導いた大手 Q Prime からの契約を求める電話でした。その直後、彼らは Q Prime のロースターである METALLICA の前座を務めることになります。
ただし、全てが順風満帆だったわけではありません。バンド史上最も平凡なアルバムとも評される “Yellow & Green” のリリース後、2012年にイングランドで起きたツアーバスの事故はバンド存続の危機でした。死亡者こそ出なかったものの重傷者を多く出した悲劇的な事故により、リズムセクションの脱退に加え、John 自身もリハビリを経て一から奏法を学びなおす悪夢の事態に陥ったのです。
最高のリズム隊を加え、グラミーにもノミネートされた創造性の塊、2015年の “Purple” はバンドの完全な復活を告げるレコードでした。ドラマー Sebastian Thomson とベーシスト Nick Jost そしてサイケロックの大物プロデューサー Dave Fridmann。バンド史上最もストレートで短い “Chlorine + Wine” 、バンド史上最も軽快な “Shock Me” は確実に “メジャー感” という新たな領域へのドアを開く鍵となりました。

“Gold & Grey” はそうしたバンドの歴史全てが詰まった冒険とトリップと、そしてヒーリングも兼ねた”二枚組”の最高傑作です。
もちろん、肉体的にも精神的にも、事故の影響は今でも John から離れることはありません。ステージで、作曲中、アートワークの制作中にフラッシュバックすることは少なくはないと語ります。「それでも時には事故の影響をブロックすることが出来る。生来備わった人間の本能でね。苦痛に満ちた現実に対処するエレガントな方法だと思うよ。」
バンドの解散も考えたという John は前向きに戦い続けます。
「バンドがない、アートがない、創造性が活気づく場所もない人生はどのようなものになるのか考えてみたんだ。良い場所じゃなかったね。それははるかに暗く、はるかに憂鬱な場所だった。それでやめることは決して選択肢じゃないって気づいたんだ。困難な打撃を受ければ受けるほど、俺はもっと続ける義務があると感じたんだ。ただ事故の前の場所に戻るだけでなく、より強く、より大きく、より良く戻るためにね。」

“GOLD & GREY” TRACK BY TRACK GUIDE BY JOHN BAIZLEY

FRONT TOWARDS ENEMY

アルバムの最初のこの楽曲は、実のところライティングセッションの最後に書かれたんだ。俺らは実に長い間、特別ヘヴィーな楽曲を書くことを先延ばしにしていたんだ。だけど “Front Toward Enemy” はチューニングを下げて、まさにヘヴィーな楽曲を狙って作ったんだよ。
音楽的に異なる様々な要素をミキサーに入れて、それから歌詞とボーカルを結びつける試みだった。楽曲の大半は風変わりな変拍子に支配されているね。その中に、THIN LIZZY スタイルのギターソロがあって、続いて聴いたことがないような奇妙すぎるスラッシーなブリッジパートが現れる。最後のセクションは、ソウルや R&B とは言わないまでも、おそらくこれまでにないほどそれに近い感覚だね。6弦を可能な限り下げることで、深い重音を得ることができた。だけど同時にポップなコーラスも存在するね。なぜそんなことになったのかって?俺だって知らないよ!あたかも俺たちが意図してやったみたいにうまくいったからショックを受けたくらいさ。
確かに、インストゥルメンタルの楽曲でも充分通用すると感じたけど、結局真の “歌” だとわかったね。理由は謎なんだけど!

I’M ALREADY GONE

アルバムの2曲目は、MASSIVE ATTACK と TLC の “Waterfalls” をJohn Lennon がプレイしたような楽曲だ。かなり暗い歌詞だね。ほとんど一発録りだったと思う。
本質的にはループのドラムビートが最後のコーラスまで続くんだ。ちょうどヴァース、コーラス、ヴァース、コーラスって構成だね。全体がほとんど即興だったから、オーバーダブもほとんどされていないんだよ。というかあの演奏が何だったのか実際俺にもわかっていないから、あのギター・ラインを再現出来るかどうかも怪しいね。俺らにとって新しいタイプの曲で、サウンドチェックではたくさん演奏してきたね。とても誇りに思うよ。

SEASONS

アルバムからのセカンドシングルで、みんなの反応を聞いて一番興奮した楽曲だね。本当にめちゃくちゃ変わったギターソロを含んだ素晴らしい楽曲だよ。ライブで絶不調な POLICE かイカれた DURAN DURAN って感じに始まって、セカンドコーラスまでにブラストビートも存在する。そして楽曲の最後にはノイズだけになるんだ。あれがシンセだったのかギターだったのか、それとも他の何かだったのかはわからない。ただ、騒音を生み出して心の底から歌っただけさ。

SEVENS

レコードのインタルードの一つ。俺には Steve Reich みたいに思えるね。Nick が書いたピアノ曲を重ね合わせて、ピアノのように聴こえないようミックスしたんだ。

TOURNIQUET

このレコードのために最初に書いた楽曲。ギターの Gina がバンドに加わる前にほとんど書き上げていたね。俺にはちょっと FUGAZI みたいに思えるよ。このイントロはアルバムの中でも大好きなパートの一つだ。
俺は Gillian Welch の大ファンなんだけど、彼女とパートナー Dave Rollins がレコーディングしている写真が気に入っていてね。座ってお互いを見つめながら歌うんだ。だからこそ、彼女たちのハーモニーはとてもシンクロしているんだよ。Gina と俺もそういった絆を構築したかったんだ。ただ俺たち二人とアコースティックギターだけで、互いを見つめながらね。
そこから楽曲はラウドに奇妙な場所へと向かう。楽曲の最後には、”アンプヘンジ” (ストーンヘンジの言葉遊び) をやってみた。中央の一点に向けて、20の異なるラウドなアンプを集め円状に並べたんだ。さらに俺は全員の服装と動物のマスクまで用意してね。俺はパンダだった。あとは鮫、馬、恐竜だったな。そうして全員で中央に立ち、ミラーボールのスイッチを入れて、一つのコードを10分くらい鳴らし続けたんだ。その全てを使用することはなかったけど、楽曲のラストはこのサウンドなんだ。
この楽曲には一つ究極に変わった要素を入れていてね。それを伝えるつもりはないんだけど、リズミックで常に鳴っている何かさ。当ててみてよ。

ANCHOR’S LAMENT

“Anchor’s Lament” は “Tourniquet” のある種続編なんだ。Nick が書いたピアノピースをブレンドしている。素晴らしいヴァイオリン/ヴィオラ奏者で普段は別のジャンルでプレイしている、友人の Katie Jones が “Tourniquet” に入れるはずだったストリングスセクションを書いたんだけど、楽曲全体としてしっくりこなかったんだ。サウンドは良いんだけど、楽曲にとって必要ではなかったんだね。
それでそのストリングスをここに入れてみたら完璧に機能したんだよ。それで俺がコーラスを歌い、思い切って次の曲としたんだ。レコードで言えば、これで A 面が終わるんだよ。

THROW ME AN ANCHOR

この楽曲は、ドラムスの Sebastien Thomson が BARONESS 加入以降、メリーランドのポストロックレジェンドTRANS AM のメンバーとしてのアイデンティティーに再度アクセスする初めての機会だったんだ。これはまさしくTRANS AM のビートだよ。とにかく忙しないね。Nick も激しいベースラインをプレイしている。そういった変態リズムをバックに楽曲全てを書いたんだ。ブリッジなんて19, 20のビートを鳴らしているよ。
この楽曲ではメロディックな要素を気にかけなかったね。ただリズムの上でランダムにコードを鳴らして、極上のサウンドになるまで重ねていったんだ。
楽曲のラストに向かうところで、俺はこんな完全サイコな楽曲で出来得る限り最高にビックでエピック、センシブルなコーラスを思いついたんだ。

I’D DO ANYTHING

プロデューサー Dave Friedman とのレコーディングセッションで、Gina と書いた楽曲。彼女と俺しかいなかったんだ。Sebastien と Nick はその後彼らの全てのパートを完成させたんだ。
この曲には別のバージョンもあるんだけど、Gina はそのバージョンにはとても慎重だった。
当初は彼女がリードを歌っていたんだけど、何かがシンクロしていなかったんだ。それで俺がメインのメロディーを歌い、彼女がハーモニーをつける形にパートを交換することを決めたのさ。すると突然サウンドはビッグでラウドになり深みも増したんだ。俺がその上にピアノを弾き、ただ非常に単純なベースラインを作ろうとしたんだよ。Gina と俺は “ストリングスパート” “ホーンパート” と呼んでいた全てをプレイした。もちろんボーカルでだ。全てを素早くね。
翌日、Dave がスタジオに来た。そして俺らは彼に、ボーカルが密で露出されていることが重要だといったよ。もちろんやりたいようにやって欲しいとは言ったんだけど。それで彼はギターを取り出し、素晴らしい演奏を封じたんだ。おかげでボーカルがより前に出ることが出来た。
この楽曲を収録するのはリスクのようにも感じたね。俺らのバックカタログには存在しないから。けどこの音には心から感銘を受けたんだよ!

BLANKETS OF ASH

このアルバムのレコーディング中、俺はミネソタのインディーロッカー LOW の最新作をよく聴いていたんだ。このレコードに取り入れた唯一といっていい程の外部からのインスピレーションだったのかもしれないな。
それはとても奇妙だったね。この曲をレコーディング中のある時点で、Dave は俺を見上げて、この楽曲がちょうどその LOW のレコードのロック版のように感じたと言ったんだ。まるで似たような考え方で作られたようだとね。俺はそこで話された全てを録音していたんだ。そしてその会話を楽曲に混ぜ合わせるため不明瞭にミキシングしたんだよ。
Gina は、雷雨の間に俺の浴室でこの曲の中で数秒間演奏するアコースティックギターのパートを書いていたんだ。クールだよね。それからレコーディング前のユーロツアーで購入したこの30ドルのナイロン弦アコースティックギターをバスドラにしたんだ。あの巨大なベースドロップのサウンドは、ジーナがTシャツを巻いたドラムスティックでギターを叩いているだけなんだよ。ベースの音以外すべてを除外し、それがクレイジーな音にするためにギターのペダルの束を介した。だから3つの要素を合わせたと言えるんだけど、唯一無二の楽曲にしか聴こえないよね。

EMMETT – RADIATING LIGHT

この楽曲もバンドにとってまた別の到達点だと感じている。俺らはいつも”Purple” アルバムにアコースティックギターがほとんど収録されていなかったことを話題にしていたんだ。
Nick が俺には弾けないようなギターパートを書いたから Gina と演奏し、その間俺はただピアノとベルをプレイして歌っていたよ。
俺が書いたピアノ曲は別の曲のようなものだったけど、私は一方から他方へフェードインし、その後再び元に戻るという方法でアコースティックギターとピアノパートを一緒にすることを考え出したのさ。本当に美しいよね。繰り返すけど、これがどんな種類の曲であるか話すことも出来ないんだ。ただ、俺の声のレンジが思ったよりはるかに低くなることができると知ることはとても楽しく、興味深かったね。
そしてバックグラウンドノイズだね。Gina と俺は、レコーディングで長い一日を過ごした後、夜中の2時と3時の間ちょっと気味が悪い気分で Dave の森の小屋にいたんだ。俺らはポーチの外に出て美しいコオロギの鳴き声を聞いたんだ。そうして、その俺らのまわりに住んでいるノイズをワンテイクで録音することにしたんだ。彼女はそれを初めて打ちました。クールなレコーディングの経験だったね!

COLD-BLOODED ANGELS

この曲でやったようなレベルで、ソングライティングに本物のプライド感を感じたことはなかったね。この楽曲がどうなるのか、俺らは本当に分からなかったんだよ。最初にすべての音楽を書き、歌詞が音楽をうまく機能させる方法を考え出す必要があった。適切なパフォーマンスを得るにはしばらく時間がかかったね。出だしから、とても美しく、ハーモニーに満ちていてそれが続いていく。
娘がゲストとしてボーカルを追加したんだ。セカンドラインから入ってくるよ。コード進行はそうして少しだけねじれていく。それから歌が止まるんだ。後半はとても単純だよ。演奏はとても大変だったけど、レコーディングは楽しかった。この曲を誇りに思うよ。この曲でB面が終わるんだ!

CROOKED MILE

C面はまた別のインタルードで始まるよ。実際にはレコード上の別の曲が再想像されたものなんだけど。Gina はジャズマスターをプレイしていて、このギターには奇妙なワーミーバーがついている。俺はそのワーミーバーを動かしていて、彼女がずっと演奏していたものをねじ込み、バーをベンドさせて調子をずらして鳴らしたんだ。

BROKEN HALO

“Crooked Mile” は歌詞を伴って次の楽曲へ続く。B面には長い曲が多かったけど、これはレコードで最もノーマルな楽曲かもしれないね。それでも風変わりなところはあるけど。
ギターを捨てベースの音だけで即興した巨大なブリッジセクションだよ。Dave は Seb にただ楽曲の構造にあわせてドラムフィルを演奏するように言ったからとてもワイルドだね。ギターソロを聴くときは、俺がちょうど2、3のベースノートのみのセクションにレトロにフィットしなければならなかったことを忘れないで欲しい。本当に難しかったよ。
普通のコード進行からこんなビッグで悲しい叙事詩的なラブソングに成長したんだから楽しかったよ。心から直接何かを書きたかったんだ。この楽曲はまさにそうだね。

CAN OBSCURA

Gina と俺はギターをどこか別の場所でギターを録音していた。Nick とSebastian はおそらくこの退屈してしまったんだろう、大音量のベースとドラムのこの楽曲を書くためいなくなったんだ。そして俺と Gina はこの楽曲に夢中になったよ。カルトみたいだろ?奇妙な歌を歌い、E-Bowでスライドギターを弾いたり、巨大な鐘やゴングを叩いたり。ただトリップしたよ。
俺らは前回のツアーでこの曲をたくさんプレイしたよ。グルーヴするには楽しい曲だ。それに構造上、これは”Borderlines” へのすばらしい導入であるとも思ったね。なぜならこの曲でリスナーは、しばらくの間レコードから地球に戻ることが出来るからね。

BORDERLINES

俺たちがこのレコードのために書いた2番目の曲。3つのギターソロを入れてもやり過ぎじゃないと思ったね。ビッグなコーラス、クールなヴァース。俺が見た中で最も独創的な Seb のドラミング、それに、ベースフック。Nick とSebastien がインストゥルメンタリストとして何ができるのかを見せたかったから、Gina と俺は本当にただ彼らに合わせて演奏しただけだ。100%即興で行われたジャムの最後は、意図的じゃないけど、最高のものを残せたね!

ASSAULT ON EAST FALLS

シリアスなレコードだから、どこかで楽しむ必要がある。長年リハーサルでは、シンセサイザーをセットアップしてエフェクトで馬鹿らしくジャムっていたんだ。レコードの最後にリスナーの忍耐を確かめる2分間なんて楽しいだろうと考えたんだ。だからこそ最後の楽曲が完璧なインパクトを与える。

PALE SUN

最後の楽曲はジャムから始まる。100%即興だよ。Gina と俺はそれをどう楽曲へ落とし込むか考える必要があった。
おそらく “Cold-Blooded Angel” の次に書くのが難しかった楽曲だ。ベースラインもドラムグルーヴも反復を基盤としている。それに加えて、俺らは最も過酷な方法でレコードを終わらせる方法を選んだんだ。最高に気に入っているよ!

参考文献一覧
Kerrang! :BARONESS’ TRACK BY TRACK GUIDE TO GOLD & GREY
Revolver :BARONESS’ “ELEGANT SOLUTION” TO A “PAINFUL REALITY”: INSIDE ‘GOLD & GREY’
Stereogum : A Legacy-Defyning Masterpiece
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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ARCH ECHO: YOU WON’T BELIEVE WHAT HAPPENS NEXT!】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADAM BENTLEY OF ARCH ECHO !!

“We Felt It Would Be Fun To Go Against The Typical Trends And Have Something More Comical. We Have Fun And Don’t Take Things Too Seriously, And The Artwork Reflects That.”

DISC REVIEW “YOU WON’T BELIEVE WHAT HAPPENS NEXT!”

2010年代の幕開けを前に ANIMALS AS LEADERS が放ったセルフタイトルの煌きは、”Instru-metal” シーンに劇的な転調をもたらしました。
ネクストレベルのテクニック、グルーヴ、創造性、そして多弦の魔法は、Djent ムーブメントの追い風も受けて同世代を激しく刺激し、さらに綺羅星のごとき後続を生み出すこととなったのです。
鬼才のマイルストーンを道しるべに、自らのインスト道を極める俊英たち。彼らはあたかも大樹から自在に伸長する枝葉のように、モダンプログレッシブの世界を細分化し多様に彩りました。
日本が誇る ichika や THE SURREALIST のアンビエントな冒険は出色ですし、同じく日本人 Yas Nomura が所属する THRAILKILL や THE RESONANCE PROJECT の知性と際立った完成度、さらに王道をひた走る主役 POLYPHIA, CHON のチルアウトしたマスライド、Felix Martin の踊る蜘蛛指、Sarah Longfield の眩いエレクトリックパレード、そしてもちろん素晴らしきマスコット、ヒキニート先輩とまさに多士済済、群雄割拠のインストシーン。
ただし、楽器のディズニーランドへと舞い降りた万華鏡の新世代は、トレンドを恐れず喰らい、ジャンルに巣食うマニアの呪縛をも意に介さない点で共闘し、よりマスリスナーへとワイドなアピールを続けているのです。
中でも、あの Steve Vai をして最も先進的なギタープレイヤーの一人と言わしめた Plini の出現を境として、”Fu-djent” の華麗な波が存在感を増しています。Djent のグルーヴを受け継ぎながら、より明確なメロディーとハーモニーを軸に据え、フュージョンの複雑性とキラキラ感をコーティングしたカラフルなイヤーキャンディーとでも言語化すべきでしょうか。隠し味は、音の隅から隅へと込められた類まれなるメジャー感なのかも知れませんね。
INTERVALS, OWANE, Jakub Zytecki, Sithu Aye, Stephen Taranto といったアーティストが “Fu-djent” の魅力を追求する中でも、あのバークリー音楽院から登場した ARCH ECHO の風格とオーラはデビュー作から群を抜いていたようにも思えます。
違いを生んだのは、彼らがより “バンド” だった点でしょうか。名だたるプレイヤーを起用しながら確固とした主役が存在する他のアーティストと比較して、ARCH ECHO はダブルギター、キーボード、ベース、ドラムス全員が主役でした。故に、プログからの DIRTY LOOPS への返答とも称されたコレクティブでファンキー、ウルトラキャッチーな “Hip Dipper” が誕生し得たのでしょう。
最新作 “You Won’t Believe What Happens Next!” は、さらにバンドとしてのシンクロ率を高め熟成を深めた作品です。
「僕たちはバンドを楽しんでやっているし、シリアスに物事を捉え過ぎてはいないんだよ。アートワークはそのアティテュードを反映しているんだ。」
プロデューサーとしてもシーンに一石を投じる Adam Bentley は、”次に何が起こるかきっと君は信じられないだろう!” というタイトル、プログらしさの真逆を行くコミカルなアートワーク、そしてもちろんその音楽も、全てが “楽しさ” に由来する創造性や意外性であると語ってくれました。そして確かに、彼らの新たな旅は意外性に満ちています。
「このアルバムではよりフュージョンを目指した方向性をとったんだ。それに、よりテクニカルにもなっているね。」
一見 “Hip Dipper” 同様メジャー感を前面に押し出した “Immediate Results!” でさえ、その実予測不能のポリリズム、緩急のダイナミズム、スピードの暴力、デュエルの激しさなど総合的な複雑性、テクニカルメーターは前作を大きく凌いでいます。
加えて、”Stella” が象徴するように Djeny な重量感は一層深くバンドの音の葉へと馴染み、一方で “Bocksuvfun” や “Iris” に浸透した RETURN TO FOREVER 譲りのトラディショナルなフュージョンサウンドもそのリアルを増しているのです。
すなわち、バンド全員のインストゥルメタルスーパーパワーを集結し、リラックスしたフュージョンマインドとテンション極まるチャグアタックを渾然一体に導く蜃気楼のパラドックスこそ ARCH ECHO の天性。
今回弊誌では、Adam Bentley にインタビューを行うことが出来ました。「ジャクソンのギターを使っているのは、僕のメタルとプログメタルに対する愛が故なんだよ。」名曲 “Color Wheel” を追加収録した日本盤は、7/17に P-VINE からリリース。どうやら待望の初来日も期待できそうですね。どうぞ!!

ARCH ECHO “YOU WON’T BELIEVE WHAT HAPPENS NEXT!” : 9.9/10

INTERVIEW WITH ADAM BENTLEY

Q1: This is the first interview with you. So, at first, could you tell us about yourself and your band? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【ADAM】: Hey my name is Adam Bentley, and I’m the guitarist for Arch Echo, and a music producer / mixing engineer. Growing up I listened to a lot of classic rock like the Beatles, Led Zeppelin, Hendrix, but my ears quickly turned to metal. Slipknot, Linkin Park, and Killswitch Engage were important guitar influences when I was a kid.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【ADAM】: やあ、僕は Adam Bentley。ARCH ECHO のギタリストで、音楽プロデューサー/ミキシングエンジニアもやっているんだ。
子供のころ聴いていたのは、THE BEATLES, LED ZEPPELIN, Jimi Hendrix といったクラッシックロックだったね。だけどすぐメタルにのめり込んでいった。SLIPKNOT, LINKIN PARK, KILLSWITCH ENGAGE はキッズ時代の僕のギターに重要な影響を与えたよ。

Q2: Arch Echo features four Berklee graduates, right? How did the band come to be?

【ADAM】: Yes that’s correct! Everyone except Richie Martinez (drums) met at Berklee. I collaborated with Joey Izzo (keys) quite a bit at school and after graduation he mentioned starting a band and asked me to be a part of it, and here we are!

Q2: ARCH ECHO はかのバークリー出身者が4人を占めていますよね?

【ADAM】: うん、その通りだよ!ドラムスの Richie Martinez を除いて全員がバークリーで会ったんだ。
キーボードの Joey Izzo とは学生時代によくコラボレートしていたんだけど、卒業してから彼がバンドを始めたいと言い出してね。それで僕にメンバー入りを打診してきたんだ。そうやって ARCH ECHO が結成されたのさ!

Q3: What inspired you to start playing guitar? You are touring with Tony MacAlplne now. Is he one of your guitar hero?

【ADAM】: My dad taught me how to play guitar and showed me his favorite rock records so that was my jumpstart into the guitar world.
When I got into prog guitar Tony was one of the names I heard about through word of mouth, and of course his skills are unreal. Getting to tour with him inspires me to practice more.

Q3: ギターを始めたきっかけは何だったのでしょうか? 現在、Tony MacAlpine とツアー中ですが、あなたにとって彼はギターヒーローの一人でしたか?

【ADAM】: 父がギターの弾き方を教えてくれたんだ。それに彼の大好きなロックのレコードたちも聴かせてくれたね。だから僕はギターの世界に飛び込むこととなったんだ。
プログギターにのめり込むようになると、Tony が凄いって評判も伝わってきたんだ。そして、もちろん彼のスキルは絶品だったよ。実際、彼とツアーをはじめてから、より練習を積むようになったね。

Q4: OK, let’s talk about your newest record “You Won’t Believe What Happens Next!”. You know, it’s really impactful album title. Also, compared with debut-full, the mood of artwork have changed significantly, right?

【ADAM】: Thank you! It feels like a good next step for the band and I still enjoy the final product. With the album artwork, we felt it would be fun to go against the typical trends and have something more comical. We have fun and don’t take things too seriously, and the artwork reflects that.

Q4: では最新作 “You Won’t Believe What Happens Next!” について話しましょう。
非常にインパクトのあるタイトルですね。アートワークの雰囲気も、デビュー作に比べると随分と変わりましたが。

【ADAM】: ありがとう!”次に何が起こるかきっと君は信じられないだろう!” ってタイトルは、文字通りバンドにとって良い次のステップだと感じたんだ。今でも完成品には満足して楽しんでいるよ。
アートワークについてだけど、僕たちは典型的なトレンドと真逆を行き、コミカルなムードを取り入れた方が楽しいと思ったんだ。僕たちはバンドを楽しんでやっているし、シリアスに物事を捉え過ぎてはいないんだよ。アートワークはそのアティテュードを反映しているんだ。

Q5: Your debut-full “Arch Echo” was very well accepted to the scene. Actually, in Japan, lot’s of instrumental music fans were really excited, and thought you were “gamechanger” like Animals as Leaders. So, it seems there was kind of “pressure”, when you started making next record. How did you make your band evolve from “Arch Echo”?

【ADAM】: That’s great to hear! We didn’t want to think about pressure and we simply wrote what we thought sounded fun to play. We want it to feel like a journey, but this album felt much more collaborative then the first one.

Q5: デビュー作 “Arch Echo” はシーンに大きな衝撃を与えました。日本のファンも大注目で、ANIMALS AS LEADERS のような “ゲームチェンジャー” の登場だと興奮していましたよ。
一方で、次の作品の制作には大きなプレッシャーもあったと思いますが?

【ADAM】: そんな評判があったんだね、耳にできて嬉しいよ!プレッシャーについては考えないようにしていたし、単純にプレイして楽しめる音楽を書こうと考えたんだ。
このアルバムを旅のように感じて欲しかったね。ただ違いがあるとすれば、前作にくらべてこの作品はよりコラボレーションの成果だと感じているんだ。

Q6: You are often called as “Metal meets Jazz/Fusion” or “Fu-djent”, haha. But compared with AAL, Polyphia, David Maxim Micic, I think you are more Jazz/Fusion artist, and that character of Arch Echo have become stronger in “You Won’t Believe What Happens Next!”. Do you agree that?

【ADAM】: I definitely agree that this 2nd album took more of a fusion direction and is a bit more technical. Who knows how the 3rd will sound!

Q6: ARCH ECHO はしばしば “Metal meets Jazz/Fusion” とか、”Fu-djent” などと称されていますね。
ただ、特に今回のアルバムは同系統のインストゥルメタルバンドと比較して、よりフュージョン色が濃いようにも感じます。

【ADAM】: 間違いなく同意するよ。この “You Won’t Believe What Happens Next!” ではよりフュージョンを目指した方向性をとったんだ。
それに、よりテクニカルにもなっているね。次のアルバムではどうなるだろうね!

Q7: Adam Rafowitz uses Strandberg, and that seems natural to me. Because AAL, Plini, lot’s of up and coming guitar players have used Strandberg. But Adam Bentley’s main guitar is Jackson, right? Jackson is more “Metal”, I feel. But what made you choose the brand?

【ADAM】: Yes I am a Jackson artist. It does tie into my love for metal and progressive metal – the way they craft guitars attracts metal guitarists and I feel very comfortable playing them. I’m also fortunate enough to know some very kind people on the Jackson team and I’m excited to keep that relationship going.

Q7: パートナー Adam Rafowitz は Strandberg のギターを使用していて、音楽性を鑑みればそのチョイスは自然に感じます。
ただ、あなたはもっとメタルらしい Jackson をメインギターに使用していますね?

【ADAM】: うん、僕は Jackson のロースターなんだ。このギターを使っているのは、僕のメタルとプログメタルに対する愛が故なんだよ。彼らのギターの製作法はメタルギタリストを惹きつけるんだ。それに僕はこのギターがとても快適なんだよ。
それに、Jackson社のとても親切な人たちと知り合えたのも実に幸運だったね。この関係を続けることに興奮しているんだ。

Q8: Also, Adam (Bentley) have been working as sound engineer, producer. Recently, Adam have managed lot’s of great records, like Anup Sastry, Felix Martin, Thrailkill, Pineapple Express. Actually, Adam has become “Key person” of modern prog scene, right?

【ADAM】: I’ve never really stopped to reflect on it that way, but that’s very flattering. I’m fortunate to have the chance to work with these talented musicians. It’s taken many years of hard work, and I’m always pushing to do better.

Q8: 冒頭でも仰いましたが、あなたは腕利きのサウンドマンとして、Anup Sastry, Felix Martin, THRAILKILL, PINEAPPLE EXPRESS などを手がけ素晴らしいアルバムを世に送り出しています。
モダンプログシーンにとってキーパーソンにも思えますが。

【ADAM】: そんな風になりたいと思ったことはないけど、嬉しい賛辞だね。幸運なことに、君が挙げたような才気溢れるミュージシャンたちと仕事をすることが出来ている。何年ものハードワークの賜物だろうな。
いつももっと良くなりたいと思って自分をプッシュしているんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED ADAM B’S LIFE

DREAM THEATER “IMAGES AND WORDS”

TesseracT “CONCEALING FATE EP”

SLIPKNOT “VOL.3 (THE SUBLIMINAL VERSES)

KILLSWITCH ENGAGE “AS DAYLIGHT DIES”

RUSH “THE SPIRIT OF RADIO (GREATEST HITS 1974-1987)

MESSAGE FOR JAPAN

We’re so excited to perform for you all, and it has always been a dream of mine to visit! Can’t wait and recommend me some places to see while I’m there!

君たちみんなのためにプレイするのが楽しみだよ。とてもエキサイトしているね!ずっと日本を訪れるのが夢だったんだ!待ちきれないね!
僕が日本にいる間、オススメの場所をぜひ教えて欲しいな!

ADAM BENTLEY

ARCH ECHO Facebook Page
ARCH ECHO Official Site
ARCH ECHO Bandcamp
日本盤のリリース情報はこちら。P-VINE

1.Daybreak
2.Immediate Results!
3.Stella
4.Aurora
5.Mukduk
6.Tempest
7.Bocksuvfun
8.Iris
9.Color Wheel *日本盤限定ボーナストラック
ARCH ECHO「You Won’t Believe What Happens Next!」国内盤
日本盤限定ボーナストラック / 日本語解説付き
2019.7.17 In Stores
¥2,400(w/o tax) / PCD-24858
P-VINE

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AVANDRA : DESCENDER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRISTIAN AYALA OF AVANDRA !!

“The Kevin Moore-era Dream Theater Has Had The Biggest Impact On Me, Since It’s When They Really Elevated My Soul To a Whole Different Level Of Emotion And Taught Me What Music Can Do To Really Transform You As a Person. “

DISC REVIEW “DESCENDER”

喪失、戦争、そして天災。時に芸術は悲劇の灰から降誕します。2017年に襲来した髑髏のハリケーン、マリアはプエルトリコに壊滅的な被害をもたらしました。しかしその神の所業は、皮肉にも AVANDRA のボーカリスト/ギタリスト Christian Ayala に至芸 “Descender” の偶成をも促すこととなったのです。
ハリケーンの爪痕、長期停電の困難はしかし Christian に音楽と詩歌へ没頭する常闇と情念をあてがうことにもなりました。そうして、銀灰色の憂鬱とアンビエンスに彩られた “Descender” の凛々しき純潔は、その荘厳を極めることとなったのです。
「DREAM THEATER と CYNIC の理想的な婚姻」 “Descender” を評する際、プログメタルの二傑について触れない訳にはいかないでしょう。
「Kevin Moore 時代の DREAM THEATER は僕に最も大きなインパクトを与えたんだ。僕の魂を完全に異なる感情域まで高め、人として真に変革するため音楽に出来ることを教えてくれたんだよ。だから Kevin とは何とかして音楽人生の中で共演したかったんだ。まさに彼にしか作り得ない満載の感情とアンビエンスを持ち込んでくれたね。」
Christian が語るように、Kevin Moore こそが初期の DREAM THEATER に類稀なる陰影と叙情、そして唯一無二のアトモスフィアとアンビエンスをもたらしていたことは明らかです。Kevin の脱退以降 “Lifting Shadows Off a Dream” のような冷厳でしかしどこか温もりのある暗紫色の景色を垣間見ることは叶いませんし、”Space-Dye Vest” の幽玄については語るまでもないでしょう。
AVANDRA の音楽には Kevin の天性が確かに存在しています。そしてそれ故に半ば隠棲状態の Kevin も “Derelict Minds” へのゲスト参加を決めたのでしょう。
興味深いことに、多くのリスナーが “Cynic-y” だと感じた “Derelict Minds” の印象的なリフワークは、実際は DREAM THEATER のデビュー作 “When Dream and Day Unite” がインスピレーションの源でした。CYNIC のトレードマークとなっている連続した2音、3音を繋げていくシンメトリーな音数学は、実は DREAM THEATER のデビュー作にも多数使用されています。
音質や Charlie Dominici の繊細すぎるボーカルパフォーマンスには評価が分かれるところでしょうが、”When Dream and Day Unite” に漂う蒼の叙情は比類なきロマンでもありました。そしてもちろん、CYNIC の SF を由来とするエアリーなアトモスフィア、アンビエンス。
二大巨頭の共通点と天稟をレガシーして受け継いだ AVANDRA の方程式は、プログメタルの軌跡においてむしろ遅すぎたと言えるほどに必然だったのかも知れませんね。
「DREAM THEATER, OPETH, PORCUPINE TREE を僕の “ホーリートリニティー” (聖三者) と呼ぶことにしたんだよ。」
加えて、AVANDRA の運命的な旅路は、モダンプログレッシブの領域に不可欠なコントラスト、ダイナミズムをしっかりと伴っています。DREAM THEATER の “Breaking All Illusions” を思わせるイントロが耳を惹く2部構成のエピック “Beyond the Threshold” を聴けば、温和で情感豊かな鍵盤の響きに Kevin Moore を夢想し、その起伏を帯びたシネマティックな世界線に圧倒されるでしょう。
“The Narrowing of Meaning” に漂うメランコリーとアグレッションの鍔迫り合い、ポストロックの洗礼を浴びた “Even You”、さらに “Adder’s Bite” に流れるダーククリーンとプログヘヴィーの対峙はまさに OPETH の錬金術で、現代を闊歩する女神の矜持を見せつけていますね。CULT OF LUNA の Magnus がマスタリングを担当した事実にも頷けます。
きっと、10年、20年の後、DALI’S DILEMMA の “Manifesto for Futurism” のような評価を得るアルバムなのかも知れませんね。
今回弊誌では、Christian Ayala にインタビューを行うことが出来ました。「もし僕が死んでしまっても何かを残しておきたいという気持ちからだったね。作品を作っておけば、世界に僕の “創造性” を残しておくことが出来る。バカげているかもしれないけどね。(笑) だけどそれがレコーディングやヴァーチャルスタジオテクノロジーを学ぶモチベーションになったんだ。」 どうぞ!!

AVANDRA “DESCENDER” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + MORGAN AGREN INTERVIEW 【DEVIN TOWNSEND : EMPATH】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MORGAN ÅGREN FROM DEVIN TOWNSEND !!

“It’s Funny Cause I Got An Email From Devin When He Asked Me ”Can You Play Quietly?” ”I Want Spooky Country Drums With Low Volume”

DISC REVIEW “EMPATH”

「”Empath” とはまさに Devin そのものだから、彼の心に従い、彼が本心から望むようにプレイしたんだ。彼はこのアルバムで遂に完全なる自由を手に入れたね。」
カナダのサウンドウィザード Devin Townsend が最も信頼を置くアーティストの一人、Morgan Ågren は確信を持ってそう答えました。
DEVIN TOWNSEND PROJECT の最終作となった “Transcendence” は、以前より大幅にメンバーのインプットを盛り込み、バーサタイルに探究を重ねたグループの長き旅路を集約する名品でした。
ただし、”集大成” とはすなわち “繰り返し” へと、”メンバーの固定化” とはすなわち “マンネリズム” へと繋がる危険をも孕みます。Devin Townsend の溢れる∞の創造性は、予測可能な全てを一度リセットし、演奏者も音像も自在に選択する絶対的に自由な翼を欲したのです。
「現在の Devin Townsend が持つ音楽的な興味全てが、一つの場所へ収まったとしたらどうなるだろうか?」
フォーク、シンフォニック、ポップ、プログ、ファンク、ブラックメタル、ジャズ、ニューウェーブ、アメリカーナ、ワールドミュージック、そして EDM。Devin の中に巣食うマルチディメンショナルな音楽世界を一切の制限なく投影したレコードこそ “Empath” です。そして “エンパス” “感情を読み取る者” のタイトルが意味する通り、Devin がアルバムに封じた万華鏡のエモーションを紐解くべきはリスナーでしょう。
オーディエンスがエンパスなら、もちろん、アルバムに集結したアーティストも Devin の百花繚乱な感情を読み取るエンパスです。
Mike Keneally をミュージックディレクターに、Morgan Ågren, Samus Paulicelli (DECREPIT BIRTH), Anup Sastry (ex-MONUMENTS) と三者三様の技巧派ドラマーを揃え、さらに Steve Vai, Anneke van Giersbergen (VUUR), Ché Aimee Dorval, Chad Kroeger (NICKELBACK) など錚々たる顔ぶれが翼となり、Devin が今回提唱する “ヘヴィーな音楽でも多様になり得る” の精神を実現していきます。
“Castaway” に広がる海の景色、ジャジーなギター、そして荘厳な女声コーラスは歴史的プログエピックへの完璧なエントランス。そうして幕を開ける “Genesis” はアルバムの全貌を伝える “Empath” の小宇宙でしょう。
神々しいほどにエセリアルで、毒々しいほどにアグレッシブ。シンフォニーとエレクトロ、オペラとスクリーム、ディスコビートとブラストビート、アンビエントとエクストリーム。一見相反するようにも思える何色もの絵の具は、幾重にも重なり奇跡のダイナミズムを描きながらプログメタルのキャンバスを彩り、時には逸脱していきます。その瑞々しきカオスは “創世記” の名に相応しい “Hevy Devy” 新時代の到来を確かに告げています。
レコードが進むに連れて、リスナーは「最初はどこに向かうのか、この作品が何なのかさえ分からなかった。」と語る Devin が見出した “意図” を感じるはずです。
“Spirits Will Collide” を聴けば “Z²-Sky Blue” よりもポップなアルバムを、”Sprite” を聴けば “Infinity” よりもスピリチュアルなアルバムを、”Hear Me” を聴けば SYL の “Alien” よりもヘヴィーなアルバムを、そして “Why?” を聴けば “Ghost” よりも優美なアルバムを巨匠が目指していたことを。DEVIN TOWNSEND PROJECT という枠組みから解放された鬼才は、そうして様々な領域で “限界突破” を実現して “プログレッシブ” の定義すら軽々と破壊していくのです。
「確かに Zappa コネクションがこの作品には生きているね。Keneally, Steve, Devin。ただし、Devin はそこまで Zappa の音楽に入れ込んだことはないんだけどね。」
11分の “Borderlands”、そして23分の “Singularity” で Devin は “現代の Frank Zappa” の地位を揺るぎのないものにしたのかも知れませんね。穏やかに、残酷に、しなやかに、カラフルに、哲学的に、何より冒険的に。ほとんど忘れ去られて苦境の最中にある “芸術” を救い、リスナーに “エンパシー” を喚起する Devin のやり方は、無限の想像力と比類無き多様性でした。
今回弊誌では、Frank Zappa、そして盲目の天才ピアニスト Mats Öberg とのデュオ Mats/Morgan でもお馴染み Morgan Ågren にインタビューを行うことが出来ました。「Fredrik は遂に新作へと着手しているよ。実は、僕は彼のその作品のためにすでに沢山のマテリアルをレコーディングしているんだ。」MESHUGGAH の心臓も遂に動き出したようです。どうぞ!!

DEVIN TOWNSEND “EMPATH” : ∞/10

THE STORY BEHIND “EMPATH”

ヘヴィーミュージックの世界では、アーティストが非常に狭い、限定された箱の中へと押し込められる傾向にあるね。音楽業界だって、カテゴライズや販売戦略のためにアーティストに特定のジャンルへ留まることを要求する。つまり、メタルの背景を持っているミュージシャンがジャンルの外に出て注目を集めるのは不可能に近いんだ。
じゃあ、広いパレットの中で”色”としてジャンルを使用しているアーティストはどうするの?ジャンルを遥かに超えた知識と経験を持つアーティストは?
それにメタルが恥ずべき音楽じゃなく、尊敬に値すると考えているアーティストは?
見世物ではなく、多様性によってあらゆる音楽的感情を表現したいなら、追求するべきでしょう。
“Empath” の真の意味はリスナーに様々な音楽的感情、体験を感じさせることにあるね。そうして、彼らに人生を美しく、挑戦的にする全てに恐れず参加して欲しいと伝えたいんだよ。
どのセクションもリスナーに”歓迎”されるよう心がけ、感情のジェットコースターとしてサウンドスケープをより効果的に繋げていったね。そうして、願わくば他のミュージシャンがこの方法にインスパイアされればと思うようになったんだ。
アルバムは、喜びと人々の助けになりたいという思いに根ざしている。楽曲に多様性を持たせたのは、”Empath” “共感”が弱さと捉えられてきた歴史の中で、人生を様々な観点から見る必要性を表現したかったから。僕にとっても長い間狭い場所に閉じ込められていた創造性を解き放ち、恐怖から脱却するためのやり方だったね。多様性が増す時代において、他人の気持ちになって物事を見ることは他者を理解する上で欠かせないプロセスさ。
そうして “Empath” という不可能を可能にしたんだよ。

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【O.R.k. : RAMAGEHEAD】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LEF OF O.R.k. !!

“Bill Laswell Passed a Copy Of The Record On To Tankian Who Was So Impressed, He Then Checked Out All My Stuff, Website And Other Material. This Led Directly To Serj.”

DISC REVIEW “RAMAGEHEAD”

オルタナティブとプログレッシブの稜線に位置するスーパーバンド O.R.k. は、さらに音楽と映画の境界すら霧の中へ誘いユニークな “O.R.k.estration” サウンドで魅了します。
イタリア生まれの声楽家で、映画音楽のコンポーザーとして受賞歴も有する LEF こと Lorenzo Esposito Fornasari。彼が過去に OBAKE でバンドメイトだった ex-PORCUPINE TREE のベースマン Colin Edwin、BERSERK! で共演した KING CRIMSON のスティックマン Pat Mastelotto、さらにイタリアンフォークのビッグネーム MARTA SUI TUBI から Carmelo Pipitone を召喚し結成したプログコレクティブこそ O.R.k. でした。
「ビジュアルアートと音楽がお互いに補い合うやり方がとても好きなんだ。だからね、O.R.k のディスコグラフィーはまだ撮影されていない映画音楽と解釈することも可能だと思うんだよ。」
2015年の結成以来、O.R.k. はプログとオルタナティブを主役として起用しながら、同時にエレクトロ、ジャズ、アンビエントにオペラといった名脇役を見事に配置し、その絶妙な脚本、演出、カメラワークで造形豊かなシネマティックワールドを音楽の中へと投影して来ました。
「アルバムは、様々な側面からもたらされる情報の波に呑まれる潜在的な感情について描いているんだ。僕たち人間の関係性、感じ方、考え方、それに生活全てが、今日では実に深くインターネットとテクノロジーに影響されているのは明らかだよ。」
新世代プログレッシブの旗手 Kscope と手を結びリリースした勝負の最新作 “Ramagehead” で、O.R.k. がフィルムの舞台に選んだのはインターネット/テクノロジーに支配される現代とその社会でした。
深刻なテーマとシンクロするように、彼らの新たなサウンドトラックはダークな畝りが跋扈する重々しい世界。作品を象徴するオープナー “Kneel to Nothing” には、明らかに ALICE IN CHAINS や SOUNDGARDEN が90年代にもたらした悲憤の刻印が印され、一方で極上のリズムチームが創生するパーカッシブな数学の躍動感には TOOL の遺伝子が宿っているのです。
実際、スポンティニュアスで魂宿る Lef の歌唱には Chris Cornell が降臨し、アートワークのデジタルが支配する深淵は TOOL の Adam Jones がデザインを行っています。
暗澹と叡智のフレームはそうして様々なカオスを切り取っていきます。RADIOHEAD を想起させる幽玄とメタルの狂気が同居する “Signals Erased”、クリムゾンの叙情と不穏が類稀なるコントラストを生み出す “Time Corroded”、豊潤なオーケストレーションで完璧なシネマを具現化する組曲 “Some Other Rainbow”。
場面転換の妙は、ネオレアリズモの生々しくも痛烈な説得力を纏ってリスナーをビジュアルとサウンドの水平線へと誘うのです。
「Serj は僕の全ての作品をチェックしてくれたそうだよ。ウェブサイトや他のマテリアルまでね。」
Bill Laswell が聴かせた音源を出発点に、そうして O.R.k. の透徹した美意識は遂に SYSTEM OF A DOWN のマエストロ Serj Tankian のキャスティングへと繋がりました。”Black Blooms” に描かれた地続きの善と悪、国もジャンルも超越して咲き誇る黒の才華は完璧なまでにプログの新たな地平、情景を示唆しているのでしょう。
今回弊誌では、Lef にインタビューを行うことが出来ました。彼の鍵盤捌き、Carmelo のシーケンシャルなフレージングも聴きどころの一つ。「映画のためにスコアを書くことで、僕の音楽に対するアプローチは大きく変化したんだ。」どうぞ!!

O.R.k. “RAMAGEHEAD” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DILEMMA : RANDOM ACTS OF LIBERATION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH COLLIN LEIJENAAR OF DILEMMA !!

“I Believe That Prog Music Should Not Only Be Clever And Virtuoso, But Also Moves Your Emotions And Your Heart. And It Should Surprise You, Taking You On a Musical Journey.”

DISC REVIEW “RANDOM ACTS OF LIBERATION”

「オランダ人はいつも交易と開拓を掲げてきたよ。この精神は、音楽にも反映されているんだ。なにせオランダのプログシーンは小さいから、成功を収めたいなら手を広げなければならないんだ。だからこそ、オランダのプログロックバンドはよく世界的な注目を集めるんだろうね。」
オランダに根づく交易と開拓の精神は、文化、芸術の歩みをも伴うこととなりました。そしてそのスピリットは、”交易” と “開拓” を音で体現するプログレッシブロックの海原と無謬にシンクロしているのです。
FOCUS, EARTH & FIRE, TRACE, KAYAK, AYREON, TEXTURES, VUUR。潮風の交差点で脈々と重なるダッチプログの渦潮は、DILEMMA を呑み込み、23年の長い間仄暗き水の底へと沈めました。しかし、90年代に素晴らしき “Imbroccata” でプログシーンに深々と爪痕を残した船乗りたちは甦り、遅れて来た大航海時代 “Random Acts Of Liberation” で文字通り自由を謳歌するのです。
ただし、乗組員は船長の鍵盤奏者 Robin Z を除いて大きく変化を遂げています。特筆すべきは、Neal Morse, KAYAK との仕事でも知られる百戦錬磨のドラマー Collin Leijenaar と、ex-FROST*, DARWIN’S RADIO の Dec Bruke を加えたことでしょう。オランダでプログ雑誌のライターも務める Collin の理想と、FROST* の血脈に繋がる Dec の個性は、バンドを一際カラフルでアクセシブルなプログレッシブポップの海域へと誘うこととなりました。
「プログロックはただクレバーでバーチュオーソ的だけであるべきではないと信じているんだ。同時に感情や心を動かすべきだってね。そうしてそこには驚きや音楽的な旅への誘いがあるべきだってね。人は心の底から音楽と繋がる必要があるんだよ。」
実際、Collin のこの言葉は、”Random Acts Of Liberation” が強固に裏付けています。
DREAM THEATER の “Pull Me Under” を彷彿とさせる緊張感とキャッチーなメロディーラインのコントラストが鮮やかなオープナー “The Space Between The Waves” が、より”自由”なプログロックの風波としてアルバムの趨勢を占えば、14曲72分の DILEMMA シアターの幕開けです。
“Amsterdam (This City)” を聴けば、一番の理解者 Mike Portnoy が 「SPOCK’S BEARED, FROST*, FLYING COLORS, HAKEN, Steven Wilson と並ぶとても味わい深いモダンプログ」 と DILEMMA を評した理由が伝わるはずです。デジタルサウンドとストリングスを効果的に抱擁する多様で甘やかなホームタウンのサウンドスケープは、Steven Wilson や FROST* が提示するプログレッシブポップのイメージと確かにシンクロしているのです。
“Aether” では PINK FLOYD と、”All That Matters” では ELO とのチャネリングでさらにプログポップの海域を探求したバンドは、しかし12分のエピック “The Inner Darkness” でスリリング&メタリックなルーツを再び提示し対比の魔術で魅了します。
“Spiral Ⅱ” からのシアトリカルに、コンセプチュアルに畳み掛ける大円団は、まさに Neal Morse と Mike Portnoy の申し子を証明する津波。中でも、”Intervals”, “Play With Sand” の激しく胸を打つ叙情、音景、エモーションはあまりに尊く、リスナーの心を “音楽” へと繋げるはずです。
今回弊誌では、Collin Leijenaar にインタビューを行うことが出来ました。時にトライバル、時にジャズ、時に Portnoy の影響を組み込んだドラミングの妙は、アルバムのデザインを華麗に彩ります。「このアルバムでは、プログロックをよりオープンで直接的な表現とすることに成功したと思うよ。プログをプログたらしめている興味深い要素を失うことなく、ポップな感覚を加えているね。」 どうぞ!!

DILEMMA “RANDOM ACTS OF LIBERATION” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SHOKRAN : ETHEREAL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREW IVASHCHENKO OF SHOKRAN !!

“Oriental Elements Decreased In This Album. But The Compositions Matured, We’ve Gone More Progressive, Less Djent!”

DISC REVIEW “ETHEREAL”

プログレッシブメタルコアのモーゼ、SHOKRAN はジャンルを約束の土地へと導く預言者なのかも知れません。ロシアから世界を窺う指導者は、文字通り天上の美を体現する最新作 “Ethereal” で海を割ります。
ギタリスト Dmitry Demyanenko のソロプロジェクトとして始まった SHOKRAN は、デビューフル “Supreme Truth” で BORN OF OSIRIS の革新にオリエンタルで壮大なサウンドスケープをもたらし、遅れて来た “Djent スター” として一躍脚光を浴びました。
リリース後にはボーカル、リズムギター、ベーシストの脱退という非常事態に見舞われますが、グレードアップしたメンバー、さらにキーボーディストを加え盤石の体制でセカンドアルバム “Exodus” をドロップします。
そうしてバンドは旧約聖書に記された “出エジプト記” をテーマとしたコンセプト作品で、シンセサイザーの煌びやかな響きと、一際エクレクティックなビジョンを携え自らのオリエンタルドラマティックなサウンドを確立することとなったのです。
最新作 “Ethereal” は、メロディーと多様でプログレッシブな方向性をさらに追求し、バンドのドラマ性を飛躍的に高めたマイルストーンです。
「確かにこのアルバムでオリエンタルな要素は減ったと思うよ。だけどコンポジションはより成熟を遂げているね。つまり、僕たちはよりプログレッシブに、Djent の要素を減らして進化を果たしたんだ!」レジェンド THE HAARP MACHINE にも請われて参加することとなったシーンきってのシンガー Andrew Ivashchenko が語るように、典型的な Djent サウンドやあからさまなオリエンタルフレーズを減退させ、”エセリアル” なムードを研ぎ澄ますことで、アルバムは結果として唯一無二のダイナミズム、エピック世界を得ることとなりました。
実際、冷ややかで透明なリードギターとシンセサイザーの景色、ミステリアスなオリエンタルフレーズ、複雑でメカニカルなグルーヴ、スポークンワード、クリーン、グロウルを自在に行き来する声の表現力、全てで荘厳を体現したオープナー “Unbodied” がバンドの DNA をしっかりと受け継ぐ一方で、”Ascension” のサウンドスケープは完璧なコントラストを創出します。
「”Ascension” はアルバムで最も多様な楽曲さ。まさにドラマさ。緩やかに実にメロディックに始まり、メロディーが躍動し始め、アグレッションが加わり、ハッピーなコーラスが流れ出し、突如ヘヴィネスで期待を激しく裏切るんだ。まさに楽曲で最もドラマティックな瞬間だね。そうしてドラマを繰り返し、感情をもたらす訳さ!」Andrew の言葉通り、多幸感や神秘性を抱きしめた夢見心地の崇高美は、メジャー感を伴って SHOKRAN 劇場の素晴らしきアクセントとなっていますね。
そうして SHOKRAN が描く多次元の自己探求は、DREAM THEATER からハチャトリアンまで Tech-metal の粋を尽くした “Superior”、PERIPHERY や MONUMENTS の最新作にも通じるキャッチーさとヘヴィーグルーヴの対比を封じた “Golden Pendant” と、まさにマルチディメンショナルな世界観を提示していくのです。
幕引きは “Destiny Crucified”。ロシアの血が育んだ絶対零度のメランコリーは、ストリングスやアコースティックの蜃気楼を写しながら夢幻泡影のワルツを踊るのです。
今回弊誌では、Andrew Ivashchenko にインタビューを行うことが出来ました。THE HAARP MACHINE の新作についても語る Tech-metal ファン必読の内容だと思います。「今では大きな感情の変化を音楽で表現出来るんだ。僕たちは成熟を遂げ、集団として働けるようになったのさ。」 どうぞ!!

SHOKRAN “ETHEREAL” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PINEAPPLE EXPRESS : ANTHEM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PINEAPPLE EXPRESS !!

“Bollywood” Just Translates To “Mainstream” For Me. Prog Is a Genre That Is Overlooked By The Mainstream Audience. But We Are Trying To Make It Accessible And Enjoyable For The Regular Listener. “

DISC REVIEW “ANTHEM”

“バーフバリ” やボリウッドの成功が象徴するように、桃源郷のようなインドのエンターテイメントは世界中を席巻しています。そして、モダンプログ/メタルの世界においても、インドはもはや目が離せないニューフロンティアとなっています。
PERIPHERY のキャッチーと TesseracT のアトモスフィアを抱きしめる SKYHARBOR、インドの伝統音楽を複雑怪奇に探求する AMOGH SYMPHONY, Bruce Soord, Steve Kitch の知を導入した PARADIGM SHIFT, ダークでオルタナティヴなピンクフロイド COMA ROSSI, そしてもはやベースワールドのトッププレイヤーとなった Mohini Dei。すでに、インドの活況はプログレッシブユートピアの相を呈していますね。
中でも、PINEAPPLE EXPRESS はそのインドのカラフルで煌びやかな悦楽の園を、見事にモダンメタル/プログの世界へと投影したエルドラドです。
「僕たちの音楽が持つポテンシャルを最大限発揮するためには、より多くの要素が必要だと悟ったんだよ。」バンドの創設者でキーボードプレイヤー YOGEENDRA が語るように、インド音楽シーンのハブ都市バンガロールに端を発する PINEAPPLE EXPRESS は、その壮大かつ多様な音楽性を具現化するために、8人のメンバーを揃えることとなりました。
フルートにヴァイオリン、そしてダブル、時にトリプルボーカルとなる豊かな旋律のアンサンブルは、最新シングル “Anthem” のまさにアンセムたる由縁です。そして、インドの伝統音楽から DREAM THEATER、SKRILLEX まで、通過した全ての音楽を等しく愛すると語る YOGEENDRA の言葉通り、モダンプログ/メタルはもちろん、Nu-metal, EDM, マスロック、ジャズ、エレクトロニカ、ヒップホップと涌き出でるその多様性の泉は、言語的ビッグバンをも伴って、圧倒的なフックと高揚感を孕みながらリスナーのエナジーへと変換されていくのです。
さらに、PVの熱狂的なオーディエンスが物語るように、その音楽とライブパフォーマンスが放つ圧倒的なスペクタクル性は、PINEAPPLE EXPRESS こそプログワールドにおける次世代の旗手である証なのかもしれません。
「僕にとって “ボリウッド” という言葉は “メインストリーム” と同義なんだ。そしてプログというジャンルはメインストリームのリスナーから見落とされていると思うんだ。だからこそ、僕たちはプログをよりアクセシブルに、一般的なリスナーが楽しめるように味付けしようとしているんだよ。」彼らはボリウッド成功の秘訣を理解しています。そしてあのゴージャスな浮世絵巻きを愛するプログの世界へと持ち込み、停滞するシーンに活路を見出そうとしているのかも知れませんね。
ただし、EP “Uplift” の複雑極まるオープナー “Cloud 8.9” を聴けば伝わるように、バンドの創造性、ハイテクニック、コンポジションはすでに名だたるプログロースターにも一切引けを取りません。むしろ従来のプログメソッドでも十分勝負可能なアビリティーを備えながら、メインストリーム、一般リスナーを意識した彼らの舵取りは、それこそが真の意味での “プログレッシブ” を体現しているのかもしれませんね。
今回弊誌では、4人のメンバーにインタビューを行うことが出来ました。公開数日での15万再生突破は伊達ではありません。さらに、旬のサウンドマン ARCH ECHO の Adam Bentley がミキシングを手がけたアンセムをぜひ。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THRAILKILL : EVERYTHING THAT IS YOU】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH WES THRAILKILL FROM THRAILKILL !!

“Labeling Can Only Get Us In Trouble. Every Band Or Album We Come In Contact With Should Be Viewed As It’s Own Entity, To Be Digested As Art.”

DISC REVIEW “EVERYTHING THAT IS YOU”

ハリウッドに居を構える楽器演奏者の登竜門 Music Institute。その過酷な虎の穴とも言える通称 MI で結成され、Instru-metal 道を追求していた MAMMOTH が THRAILKILL と名を改めリリースした “Everything That Is You” は、バンドの過去と現在、そして未来全ての作品を繋ぎ、与えられたギフトへと感謝を捧げる人間讃歌です。
自らが考案した “Cream Theater” の異名を追い求めた黎明期から、ストイックなトリオは音楽の旅を続けています。実際、MAMMOTH として最後にリリースした “Deviations” は、ANIMALS AS LEADERS を思わせるコンテンポラリーなヴァイブと、LIQUID TENSION EXPERIMENT にも通じる Tech-metal の王道、そして THE ARISTOCRATS のジャズ精神を巧みにミックスし、プログメタルシーンのリスナーを思考させ唸らせた快作でした。
ただ、HAKEN との有意義なツアーの後、同名バンドの乱立により改名を余儀なくされた彼らは、ギタリストで中心人物 Wes Thrailkill のラストネーム THRAILKILL を看板として掲げることに決めたのです。
「同じようなアルバムは2枚と作りたくない」と語る Wes の言葉を裏付けるかのように、”Everything That Is You” は MAMMOTH からのさらなる深化を封じる作品です。
「最新作はよりプログメタルにフォーカスした作品だよ。過去には各ソロイストを強調したジャズ/フュージョン寄りのアルバムも作ってきたけどね。」 と Wes は語りますが、彼の言うジャズ/フュージョンとはより個としてのソロイストを強調した作風、そしてプログメタルとはより全体のビジョンを統一した絵画のような作風と理解するべきでしょう。
そのコンセプトを考慮に入れて作品と向き合えば、THRAILKILL の目指す場所がより鮮やかに伝わって来るはずです。
Djent の季節を過ぎ、近年インストゥルメタル界隈では、ロックとジャズを融合させた難解とも言えるフュージョンというジャンルをより多様に、ポップに、現代的なサウンドでハイクオリティーにディフォルメする動きが高まりを見せています。
出自は Djent である INTERVALS や PLINI, さらに OWANE や ARCH ECHO といった超新星までそのカラフルなサウンドに込められた共通項は、知的でありながらキャッチーの粋を集めたその煌びやかなデザインでしょう。
実際、彼らは全て超一流のソロイストを揃えていますが、決して複雑怪奇なリードプレイ、それに “0000” を延々と奏でることはありません。ミニマルとさえ言える印象的なメロディーやリフを膨らませながら、R&B、ポストロックやエレクトロニカ、時にヒップホップまで飲み込んでリスナーにフックの洪水を投げかけるのです。
彼らと比較すれば存分にメタリックですが、THRAILKILL も確かにその大渦の中にいます。実際、”Consciously” でゲストプレイヤー Ryan Cho が奏でるヴィオラの響きがシネマティックなアルバムの幕開けを告げると、そこには Instru-metal のディズニーランドが広がって行くのです。
Final Fantasy のスリルをイメージさせる “Aware”、ポストロックの多幸感がヘヴィーフュージョンと溶け合った “Before”、デジタルの響きがエモーションを加速させる “Everything’s”、TRIBAL TECH のファンクを受け継ぐ “Gone”、そしてマスロックの洗礼を大いに浴びたタイトルトラックまで、躍動感を持った楽曲群はシームレスに繋がりそのエンターテインメント性を解き放っていきます。
一方で、もはや “Dream Rush” のニックネームこそ適切に思える奇想天外なオッドタイムの荒波で、しっかりと舵を取るリズム隊の貢献に触れない訳にはいかないでしょう。特に日本人である Yas Nomura の溢れるフレーズアイデアと巧妙な指捌き、ジャズの鼓動は、和製 Jaco Pastorius の形容もきっと過称ではないはずです。(余談ですが彼はギタリストとしても素晴らしい腕前で、Allan Holdsworth を彷彿させるプレイを聴かせます)
もちろん、ARCH ECHO の Adam Bentley がミキシングを手がけたことも偶然ではないでしょう。今回弊誌では Wes Thrailkill にインタビューを行うことが出来ました。「Yas は日本から来たんだよ。最初僕たちが会った時、彼が話すことの出来た英語は “Dream Theater….” だけだったくらいさ。」 どうぞ!!

THRAILKILL “EVERYTHING THAT IS YOU” : 10/10

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