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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THY CATAFALQUE : VADAK】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TAMAS KATAI OF THY CATAFALQUE !!

“The Underground Metal Scene Of The 90s Is My Main Source Of Inspiration Until This Time. I’m Not The Type Of Person That Locks Himself In The Past But That Era Is Very Important To Me And I Personally Think It Was The Golden Age Of Creative And Inventive Metal”

DISC REVIEW “VADAK”

「僕は過去に閉じこもるタイプではないけれど、90年代は僕にとって非常に重要なんだよね。個人的には、ユニークなサウンドとアティテュードを持つ多くのバンドが存在した、創造的で独創的なメタルの黄金時代だったと思っているんだよ」
メタル世界の番外地ハンガリーから現れた THY CATAFALQUE の謙虚な天才 Tamás Kátai は、やはり異端者です。ジャズ、ポップス、フォーク、エレクトロニカなど、様々なジャンルのしたたかなアマルガムでメタルのマニュアルを再創造していくのですから。そんな東欧に根ざす舞曲のような野心は、90年代に跋扈した魑魅魍魎の独創をドナウの流れに受け止めています。
「野生とか、野生動物を指す言葉さ。アートワークの写真を見れば意味がわかると思うよ。作品のゆるやかなコンセプトは、僕たちは、すべての生き物のように、時間の森の中で死に追われているということなんだ。僕たちは結局野生動物であって、ハンターではないんだよ」
“Vadak”。ハンガリー語で “野生” を意味するアルバムタイトルは、この新たな天啓のエキゾチックで野放図なエッセンスを指し示す重要なヒントとなっています。”Vadak” とは教訓としての死の予感。人にも獣にも同じように宿る儚さにフォーカスしたこのレコードは、人間も動物と等しく本質的に究極の終焉である “死” を恐れ逃げ出すという、フロイト的な生命の本能について深く探求しています。
「”Vadak” も例外ではなかったよ。ただ作曲と録音を始め、その過程でアルバムが勝手に出来上がっていったんだ。もっと有機的で自然なプロダクションにしたいと思い、楽器の世界に飛び込んだんだけど、このアイデアは作曲中にも出てきていたね」
THY CATAFALQUE を “バンド” と呼ぶのは少し不適当かもしれませんね。なぜなら、Tamás Kátai はこのプロジェクトの首謀者で、ソングライターで、マルチ・インストゥルメンタリストで、ボーカリストでもあるからです。つまり THY CATAFALQUE は基本的に Tamás が一人でギター、ベース、シンセ、プログラミング、ヴォーカルを担当している彼の子供のようなもの。
一方で Tamás は自分の音絵巻を完全なものとするために、多くの才能の助力を仰ぎます。”Vadak” では、ボーカル、バイオリン、サックス、レッドパイプ、トランペット、ギターなど、16人ものゲスト・ミュージシャンをアメリカ、ロシア、エジンバラ、ブラジルなど世界各地から招き入れているのです。
このような多国籍なアプローチには大抵大きな困難が伴いますが、”Vadak” は誇りと信頼性に加えて、まとまりを伴いこの難題を成功へと導きました。近年の DORDEDUH や WOODEN VEINS にも言えますが、アヴァンギャルド・メタルが混乱を意味していた時代は終わり、一つのベクトルを見据えた美しき旅路こそがこのジャンルの新たな看板として掲げられているのは明らかでしょう。
「僕は今でもこのジャンルが大好きで、音楽の中には常にブラックメタルの要素があると思っているよ。この数年で僕の目は大きく開き、最近はパレットがよりカラフルになったけど、やっぱり “黒色” はまだ存在していて、僕はそれでいいと思っているんだよね」
エレクトロニカ、ポップス、フォーク、インダストリアル、メロディック・デスメタル、ジャズ、ゴシックロック。色とりどりのパレットとなった THY CATAFALQUE の音楽ですが、今でもその中心にあるのは漆黒、つまりブラックメタルです。言い換えれば、それは90年代の型にはまらない独創性なのでしょう。EMPEROR, DISSECTION, NOCTURNUS, EDGE OF SANITY, TIAMAT といった境界があるようでなかった、限界があるようでなかった曖昧なバンドたちの DNA は間違いなくこの作品へと浸透しています。
シンセとブラックメタルの神々しい融合 “Szarvas”、レッドパイプと天使の女声が響き渡るフォーキーな “Köszöntsd a hajnalt”、金管楽器に東欧の幸福と孤独を投影する “Kiscsikó (Irénke dala)”、ギターとヴァイオリン、そしてブラストビートの音壁で背筋も凍るダークファンタジーを描いた “Vadak (Az átváltozás rítusai)”、そして熱病のようなすべての錯乱を冷ます幽玄なピアノのクローサー “Zúzmara”。そう、”Vadak” のすべてはあの時代に証明されたメタルの可能性を呼び覚まし、さらに前へと進める本能の祝祭。
今回弊誌では、Tamás Kátai にインタビューを行うことができました。「このバンドにとって、自然は初期の頃から非常に重要な要素で、それはブラックメタルの伝統にも由来しているんだ。このアルバムは、環境保護を意識したものではないと思うけど。自然は常に僕たちの創造性にとって豊かな土壌で、今回のアルバムもその例に習っただけなんだよね」 二度目の登場。どうぞ!!

THY CATAFALQUE “VADAK” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【ESOCTRILIHUM :DY’TH REQUIEM FOR THE SERPENT TELEPATH】


COVER STORY : ESOCTRILIHUM “DY’TH REQUIEM FOR THE SERPENT TELEPATH”

“It’s a Kantele, a Finnish Instrument. This Stringed Instrument Is Really Incredible, Because There Is Clearly a Mystical Character In The Frequencies Emitted By This Instrument! Actually, I Discovered The Kantele In a Very Surprising Way.”

DEMONS, DESPAIR, AND MADNESS

ESOCTRILIHUM は、今日活動しているブラックメタル・プロジェクトの中でも最も特異で、クリエイティブで、多作なプロジェクトのひとつへと急速に成長を遂げました。6枚のフルアルバムと1枚のEP を4年の間にリリースし、このフランスのワンマン・ユニットは、冷酷でありながらエモーショナルで奇々怪界なメタルの百鬼夜行を続けています。
ESOCTRILIHUM は、Asthâghul の不気味で無限とも思える野心と創造性でメタル・アンダーグラウンド内部で一手に賞賛を集めています。例えば、DIMMU BORGIR や BAL-SAGOTH のような90年代のシンフォニック・ブラックメタルの華やかなゴージャスを、生々しいローファイの攻撃で表現するような、例えば、OPETH に端を発するプログレッシブな知性を多種多様なジャンルとアーティストで細切れにして煮込んだような。そんな唯一無二の音の審美は、奇妙に魅力的なアートワークたちに吸い込まれ、リスナーの後退を許さなくします。
根底にキャッチーさとフックを常に配する Asthâghul の魅力的なリフ・スタイルは、1970年代と1980年代のクラシック・メタルから明らかにヒントを得ています。そんな謎めいたイヤーキャンディーに恐ろしく巨大なドラムとベースのインタープレイが加わり、彼のプロジェクトは堂々たるオーラと強烈な印象を纏うのです。そんな混沌とダイナミズム、 サウンドテクスチャーの申し子 Asthâghul が、はじめて買ったレコードは奇しくも OPETH の “Blackwater Park” でした。
「とても特別なアルバムで、忘れられない思い出があるよ。ある種の苦悩があり、明らかに本物の何かを反映している。子供の頃に最もよく聞いたアルバムは他には、PARADISE LOST の “One Second”, Björkの “Debut”, CATAMENIA の “Halls Of Frozen North” だろうな。この3枚は最高の思い出だよ」
一人ですべてを手がける Asthâghul。音楽制作(ミキシング、プロダクション、パフォーマンス)について最も勉強になったアルバムは何だったのでしょう?
「長年の間に直観的に学んだ技術もある。例えば、私は常に自分の無意識から何かを回収することで、自分自身の宇宙を作り出そうとしてきたからね。ただ、もし、2枚のアルバムを選ぶとしたら、GOJIRA の “The Link” と、SHAPE OF DESPAIR の”Illusion’s Play” だろうな。この2枚のアルバムは、私にとって特別なものだよ。”Illusion’s Play” にはたくさんのメランコリーと悲しみが詰まっている。このアルバムをどれだけ愛しているかを語る言葉はないけれど、全体のアトモスフィアが多くの感情を呼び起こし、その感情は永遠に私の中に刻まれることだろうね。私たちを心の奥底に連れて行き、失われた感情を呼び覚ましてくれる音楽だ。”The Link” については、この明らかに非典型的な側面が私は好きなんだ。GOJIRA は、壮大なアバンギャルド・メタル作品の中に、多くの影響をミックスしている。 非常に実験的であり、テクニカルでもあるよね。メロディーは、時に拷問のようで、時に非常に柔軟だ。 彼らは常に、パワーを失わないギターテクニックを重要視しているからね」
最近最も衝撃を受けたのは T.O.M.B. の “Fury Nocturnus” です。
「非常にパワフルな暗黒の流れを生み出しているアルバムだね。音楽を聴くという単純な事実が、非常に暗い存在を引き寄せ、呼び起こすと言ってもいい。すべての曲は、非常に謎めいていて、しかし非常に明白な何かへの頌歌となっている。私はこういった二面性がとても好きなんだ。こういった音楽が私たちの精神に与える影響を過小評価してはいけないよ。この作品はダーク・ミュージックの傑作だね。この種の傑作は、別の次元への扉を開く。マスターの波動は、複雑でユニークな魔法の音システムを作ることができる」
レビューを気にすることはあるのでしょうか?
「好きなアーティストのレビューを気にしたことはない。アルバムをとても気に入ったときは、インターネット上のネガティブなレビューを気にすることはないし、他人が私の意見を壊すこともない。LEVIATHAN の “Massive Conspiracy Against All Life” のようなアルバムだよ。私にとって、このアルバムは真の宝石で、贈り物。とにかく素晴らしいねこれほどまでに聴き込んだアルバムは他にないよ。プロダクションはこのプロジェクトのメンタリティを反映していて、すべてが本物。憎しみ、痛み、絶望があり、それらがとてもうまく混ざり合っている。このアルバムは過小評価されているね。ある曲が文脈から外れていると言う人もいるけど、私にとっては全くの誤りだね。全ての曲がまとまっていて、非常に特殊な世界に対応しているよ」

メタルを奏でる必然性についてはどう考えているのでしょうか?
「ブラックメタルとの相性については、説明するのが少し難しいんだけど、私が悪魔や密教に惹かれていたことがすべての始まりだったね。私は常に邪悪なものを好んでいたから、ブラックメタルとの出会いで、私の音楽的指向が明らかになったんだ。だけど、今日の私には異なるビジョンがあって、私の人生もこのプロジェクトを始めた頃とは異なっている。ただし、私の嗜好は常に不明瞭なものに向けられているがね。私がこの種の音楽に惹かれたのは、ごく自然なことだよ。というのも、暗闇というのは常に私が経験したい側面だったから。実際、ESOCTRILIHUM の前には、バンドで演奏したことはなかったんだけど、ファーストアルバム “Mystic Echo From A Funeral Dimension”を発表する前には、すでに多くの音楽を作っていたんだ」
様々な楽器をこなす才能は、今や現代的で DIY なブラックメタル・プロジェクトには欠かせない要素にも思えます。それでも、Asthâghul が織り込むする楽器の量は異常です。
「ESOCTRILIHUM のすべての楽器は私が担当している。最初に手にした楽器はギターだったよ。最初はギターで練習していたんだが、すぐにこの楽器との相性の良さに気づいたよ。最初の頃は、自分のアイデアすべてをタブ譜に書き込んでいたんだ。それは、いつか他の楽器をマスターして、組み合わせることができると確信していたからなんだけどね。私はいつも一人で学んでいる。誰も隣にいない方が効率的だからね。
実際、ギターを習ってすぐに、個人の音楽室でドラムを演奏する機会があり、何時間もかけてこの楽器をマスターするためのトレーニングをしたんだ。一つ一つのテクニックを学ぶことは快感で、まだ私には動揺の魔物は現れていなかったからね。ただ、当時の私は録音ソフトを持っていなかった。でも、私は心の底から “いつかプロジェクトを作る” と思っていたんだ。ヴァイオリンとカンテレに興味を持ったのは、数年後のことだよ。この2つの楽器は、音楽の別の次元を探求するために非常に特殊な周波数を探求することができる素晴らしい楽器だ。ギターを弾けるようになると、バイオリンも簡単に弾けるようになるよ。ピアノ、トランペット、オーボエ、オーケストレーションなどの残りの楽器は、MIDIキーボードで作業している。いずれにしても、それぞれの楽器の演奏方法を習得するには時間がかかったけど、新しいサウンドを追加することができて良かったよ」
世界には膨大な数のバンドが存在しています。ストリーミングの普及により山ほどの作品を聴いていると自負していても、それでも世の中にあるメタルの10%さえ私たちは耳にしていません。つまり、アーティストは熾烈な競争を勝ち抜かなければまず一聴を促すことさえままならないのです。その中で、傑出した自分のスタイルを確立することが聴いてもらうことへの近道かもしれません。今では、リスナーが夢中になり、次のリリースにも足を運んでくれる作品を提示するためには、巨大な存在感とユニークな音は必須。

ESOCTRILIHUM にとつて、”Inhüma” から “Eternity of Shaog” への道のりはまさにその巨大な存在感を身につける糸口になったはずです。よりメロディックで、ムーディーで、アトモスフェリックで、エモーショナル。”Eternity of Shaog” には嫌になるほど長いタイトルに加えて、ラヴクラフト的な宇宙、さらにメロディやリフの構造の多くに東洋的、あるいはメソポタミア的な色合いが見られます。 LEVIATHAN メンバーの手によるジンのような怪物がそびえ立つアートワークが示すように。
「古代文明では、例えばファラオの墓のように、世界に偶然開かれた扉を媒介にして、目に見えないものとコンタクトをとっていたという話をよく読むよね。クラーク・アシュトン・スミスも参考にしているんだ。彼はラヴクラフトと同様に、ある種族の秘密を知っていて、その知識を伝えるためにさまざまな形や名前を取ることにした作家さ。あとは、H.P.ブラヴァツキーの著作も参考にしているね。彼女が下層と上層の地球を理解していることは驚くべきことだよ。
意図的に東洋的なものを作ろうと思ったわけではないんだよ。”Telluric Ashes” のように、ベースにカンテレを入れたかっただけなんだけど、よくよく考えてみると、確かに東洋的な方向性を感じさせる音になっているよね。望んでいたものではないんだけど。
テーマとしては、悪魔、絶望、地球の理論、狂気、地獄の盟約など、秘密にしておくべきものから影響を受けている。これは私の考えを反映したものさ」
“Eternity of Shaog” の構成は以前と比べ、もう少し鮮明ですっきりしていて、全体的に明るく広々としているようにも見えます。冒頭の “Exh-Enî Söph” ですぐに確立されたこの雰囲気は、アルバム全体で維持され、壮大を増していきます。研磨された硬質なサウンド、以前のクランチーな雰囲気から一歩引いて、歪みのないメロディーを自由に飛び回らせて、音楽にダイナミズムとインパクトを与えているのです。
“Eternity of Shaog” にはシンフォニックな傾向が顕著に現れていて、シンフォニック・ブラックメタルというレッテルを貼るのもあながち間違いではなさそうにも思えます。 しかし、大げさでドラマチックな、ややサーカスに近いタイプではなく、むしろ1990年代後半のシンフォニック・ブラックメタルに親和性を感じます。 暖かみがあり、広がりがあり、曲の構成にはオーケストラのような雰囲気が存在。
「メロディックな部分は、私のオーケストレーションへの情熱と、ファンタジー文学作品の中のパラレルワールドへの情熱から生まれたものなんだ。昔はシンフォニックなサウンドを作ることができるいくつかのソフトウェアを使って遊んでいたんだけど、プロジェクトが進むにつれて、こういったシンフォニックな要素を自分の音楽に取り入れるようになった。謎めいているように見えるかもしれないけど、カンテレの練習はシンフォニックなサウンドを生み出すためのアプローチにおいて、私を後押ししてくれたんだ。そして、いくつかの楽器やメロディーの層を同時に組み合わせることが、シンフォニックな側面を作り出すことになった。ESOCTRILIHUME は、最初はシンフォニックなものを目指していなかったけど、時間の経過とともに状況が変わっていったんだよね」
実際、カンテレは “Eternity of Shaog” にとって不可欠な楽器となっています。
「カンテレはフィンランドの楽器なんだ。この弦楽器は本当にすごいよ。この楽器が発する周波数は、明らかに神秘的だ。実は、私がカンテレに出会ったのは、とても意外な場所だった。だからある存在に導かれて、必要に迫られて手に入れたのだと思う。ある意味、自分の考えと現実をつなぐ架け橋のようなもの。新しい楽器を手に入れなければならないことはわかっていたんだけど、どれが最初に心に届くのかはまだわかっていなかったからね。今では頻繁に使っているよ。すべての場面で使えるわけではないけど、なるべく直感的に使えるようにしているのさ」

そうしてたどり着いた約80分に及ぶ “Dy’th Requiem for the Serpent Telepath”。ESOCTRILIHUM は長いアルバムを出すことで知られていますが、最新作はこれまでの最長のレコードです。”Xuiotg” のように凶暴なブラックメタルで猛威を振るう瞬間もあれば、”Craanag” のようなアンビエントな曲も存在します。深みを増したシンセの魔法とアヴァンギャルドな哲学に窺えるのは、相互作用と実験への意欲。
“Dy’th Requiem for the Serpent Telepath” は、3曲ずつの4つのセクションで構成され、Serpent Telepath の死、変容、再生という壮大なストーリーを描いています。Serpent Telepath とは ESOCTRILIHUM が描いた恐ろしい世界に生息する強力な存在の1つ。物語は、拷問のようなイメージと精神的な闘争の間で引き裂かれる叙事詩のように展開します。幽体離脱と精神的な不安というテーマは深淵で、レコードに込められた邪悪な呪文にさらなる次元を加えています。エクストリーム・メタルと言うよりも、より正確にはエクストリーム・ミュージックでしょう。ブラック・メタルやデス・メタルのレコードであると同時に、Asthâghul は自信を持ってノイズ、アンビエント、プログレッシブ、ポスト・パンク、ゴシック・ロック、クラシカルの領域へと大胆に踏み込んでおり、曲の中で彼が選択したどの道においても、その道のプロにも匹敵する卓越した能力を発揮しているのです。この美しき混沌は一人のクリエイターが閉所で孤独に作ったものですが、その地平線は遥か彼方まで広がっています。
Asthâghul がその音の葉以上に公表していることはあまりなく、彼の音楽は彼の喚起的で異世界的なサウンド同様謎に包まれています。ブラックメタルの歴史の中には、BLUT AUS NORD のように顔を出さずに挑戦的な作品を作る特異なアーティストは少なくありません。しかし、ESOCTRILIHUM は何か異質で、まるで人間の目には見えない冥界からの超自然的な周波を発しているようにも感じられることがあるのです。そんな密教的創造に反して作品もプロジェクトもその規模を拡大していく中、ESOCTRILIHUM が他の音楽家を加えることはあるのでしょうか?
「私は最後まで一人でいるつもりだよ。正直なところ、誰も私と一緒に演奏することはできないんだ。というのも、私と他の人との間の伝達の流れを何かがブロックしていて、コラボレーションとなると全く上手くいかないんだ。私は一人でいる方が好きだよ。自分の作品をよりコントロールできるからね。それに、人脈を作ることも私にはできないんだ」

ブラックメタルは一人ですべてをこなすアーティストが多い印象です。
「ブラックメタルは、孤独や孤立と完全に調和しているスタイルだからね。なぜなら、孤立しているからこそ、自分の精神状態を完璧に反映したものを作ることができるから。それに孤立することは、目に見えないものと触れ合うための最良の方法でもある。一人で作業をしていると、アイデアが早く浮かび、必要に応じて無意識の力を借りることができるんだ。誰かのために何かをすることを強制されないという事実は、仕事をより興味深いものにしてくれるよ」
フランスは古くから、非常に革新的で先鋭的なブラックメタルを生むことで知られています。
「確かにフランスには様々なグループがあって、オカルト的なテーマを有しているよね。でも ESOCTRILIHUM は誰とも関係していまないんだ。なぜなら、私はコラボレーションを完全に拒否してこのプロジェクトを作ったから。この音楽を作るには一人でなければならないし、正直なところ一緒に音楽を作れる人を知らないんだ。つまり、すべては私の “創造したい” という一心から始まったと考えていいだろうね」
それにしても短期間であまりに膨大なリリースです。創造性は尽きないのでしょうか?
「自分の音楽的な衝動を信じ、その衝動が現れたときに仕事をしているだけなんだ。すべてを同時にリリースすることだって可能だけど、それは賢明ではないよね。私の中にはまだ充分情熱があるので、活動的であり続けていられる。精神が求めるときに、すぐに選ばれた楽器を演奏して自分自身の内面を映し出さなければならない。音楽的な衝動が頻繁に現れることもあれば、何も起こらずに長く待たされることもある。これは非常に暗いテーマだよ。なぜなら、私は物事の進展を説明できないことがあるから。ESOCTRILIHUM を管理することは苦しみであり、苦悩でもあるから、いつかは終止符を打たなければならないと思っている。私はすでにすべてをプログラムしているんだよ」

参考文献: METAL STORM: ESOCTRILIHUM INTERVIEW

THE WAR INSIDE MY HEAD: INTERVIEW ESOCTRILIHUM

ESOCTRILIHUM BANDCAMP

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SUBTERRANEAN MASQUERADE : MOUNTAIN FEVER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOMER PINK OF SUBTERRANEAN MASQUERADE !!

“We Are Rooting For Peace. That’s All We Care And Dream About. Our Music Is Made With Love For Everyone. All We Want Is Peace.”

DISC REVIEW “MOUNTAIN FEVER”

「僕たちはただ平和に根ざしている。それが僕たち全員の関心事であり、夢でもあるんだ。僕たちの音楽は、全員への愛で作られている。僕たちが望むのは平和だけなんだ」
テロと報復の連鎖。中東の火薬庫の中で苦悩するイスラエルは、進化する音楽世界のリーディング・ヒッターであり、その緊張感ゆえに平和を祈る音のピース・メイカーが現れる聖地ともなりました。ORPHANED LAND の功績を語るまでもないでしょう。そうして、地底の多様な仮面舞踏会で舞い踊る SUBTERRANEAN MASQUERADE も彼らの軌跡を追っていきます。
「特にイスラエルのシーンがあまり知られていないからこそ、比較されるのは当然のことだよね。だから僕たちは、世界中で話題になり、より多くの人が話題にしたり聴いたりするような、次のイスラエルのバンドになることを誇りと共に誓っているんだ」
ただし、エルサレムまでの道のりがすべて同じわけではありません。ORPHANED LAND がよりメタリックエスニックな世界を探求し融和を前面に押し出すなら、SUBTERRANEAN MASQUERADE はさながらアンダーグラウンドの雑多から這い出る混沌のエスニックプログレッシブ。
“Mountain Fever” では、エキゾチックなブズーキとフレームドラムの組み合わせで始まり、すぐにメタルの重量感とダブルキックの興奮を共有します。しかし、メタリックな要素は数ある色彩のひとつに過ぎず、SUBTERRANEAN MASQUERADE は混沌の中にプログレッシブな輝きを見出します。管楽器、ストリングス、トライバルドラムを使ったトレードマークとも言えるサウンドに、耳に残るメロディ、グロウル、トリプルギター、女性ゲストシンガー、そしてジャンクなインストルメンタルセクションまで地底の仮面舞踏会は千客万来。
さらに “Inwards” では、レナード・コーエンのメロディで始まり、インドの民族音楽へ危険なまでに接近し、デスメタルのカオスに陥りながら、最後は神々しいホーンセクションとサックスのソロで幕を閉じます。そのすべてを7分に収める芸当こそ、彼らの真骨頂。
「イスラエルにはヘブライ語と英語で歌うロックアーティストがたくさんいるけど、ほとんどのアーティストはガラスの天井 (目に見えない制約) を破ってはいないんだ」
と嘆くバンドのヤハウェ Tomer Pink ですが、常にイスラエルと中東の音楽の伝統に深く根ざしながら、ブラックメタルからゴスペルまでこれまで以上にバラエティに富んだ作品は、ソフトなロックから深みのあるグロウル、ささやきに叫びと刻々と変化を続ける新加入の歌い手 Vidi の歌唱も相まって、完膚なきまでに聖地の天井を突き破っているのです。
「最も重要なのは、それぞれの楽器を最高の音でレコーディングすることだった。10のスタジオを10の楽器で使うようなね」
そして “Mountain Fever” は、楽器や音楽の色彩と同様に感情までも豊富です。ゴラン高原の山中で書かれ部分的には彼の地で録音された作品は、世界を放浪するような前作 “Vagabond” と比較して、むしろ内省的で旅路への憧憬を醸し出しているようにも思えます。
そんな夢幻の祈りは、きっとコロナと隔離に苦しんだイスラエルの抑圧と解放を反映しているのでしょう。世界中すべて難民に捧げられたハモンドとゴスペルの美しき混乱 “Somewhere I Sadly Belong” は、まさに “Mountain Fever” に秘められた悲しみと抑圧を素晴らしく反映しています。
今回弊誌では、Tomer Pink にインタビューを行うことができました。「この国には幅広いスタイルがあり、多様なシーンがあり、ハングリーで努力している多くのバンドがいる。僕たちの観客のほとんどはイスラエルにはいないけど、イスラエル国外で成功すると、母国のみんなが喜んでくれて、僕たちの心も温かくなるのさ」Jens Bogren のプロダクションも見事。PAIN OF SALVATION や DIABLO SWING ORCHESTRA のファンもぜひ。どうぞ!!

SUBTERRANEAN MASQUERADE “MOUNTAIN FEVER” : 10/10

INTERVIEW WITH TOMER PINK

Q1: First of all, you were born in Israel. From jazz, classical music, to metal, recently Israeli artists are leading the music scene. How does your being born and raised in Israel affect your music?

【TOMER】: I’m not sure it affected me very much aside from those middle eastern influences which for me it’s just the soundtrack of everyday life. We are still getting all the worldwide music like everybody else does but I guess that you could say that there are more traditional elements in our music thanks to the place we live.

Q1: ジャズやクラッシック、そしてメタルまで、イスラエルは先進的な音楽世界をリードする国の一つです。
まずは、イスラエルという出自があなたに与えた影響からお話ししていただけますか?

【TOMER】: 僕にとってはただ日常生活のサウンドトラックである中近東の音楽を除けば、イスラエルという出自からあまり影響を受けたとは思えないな。僕も他の人たちと同じように世界中の音楽を聴いているだけなんだ。
ただ、僕たちが住んでいる場所のおかげで、自分たちの音楽にはより伝統的な要素が宿っているとは言えるかもしれないね。

Q2: What is the metal/rock scene like in Israel? Is it hard to keep playing rock music in Israel?

【TOMER】: I think it’s all a matter of how strong your willpower is. There are many rock artists in Israel singing in Hebrew and english but most are not breaking the glass ceiling. We have indie rock festivals mixed with other popular music,Metal is definitely less popular but there has been a solid scene for decades and it is expanding mostly towards Extreme metal. In terms of Audience traction, it can be sometimes difficult but if you really believe in yourself and persevere you can get far. This is the advantage of a small country, when you succeed, everyone hears about you immediately. We have a wide range of styles here and a varied scene, a lot of hungry hard working bands. We are very lucky to be able to play overseas, as it’s difficult in our region to tour. Most of our audience is not in Israel, but when we succeed outside of Israel, everyone back home is happy for us and it warms our hearts.

Q2: イスラエルのメタルやロックシーンはどのような状況ですか?
あなたの国で音楽を続けることは簡単ではないのでしょうか?

【TOMER】: それは、その人の意志の強さの問題だと思うな。イスラエルにはヘブライ語と英語で歌うロックアーティストがたくさんいるけど、ほとんどのアーティストはガラスの天井 (目に見えない制約) を破ってはいないんだ。
メタルは確かに人気がないけれど、何十年も前からしっかりとしたシーンがあり、主にエクストリーム・メタルの方向へと拡大している。オーディエンスの支持という点では、時には困難なこともあるけど、自分を信じて粘り強く頑張れば、海外で成功することも不可能じゃない。
これは小さな国の利点で、成功すると誰もがすぐにそのことを耳にするだろ。この国には幅広いスタイルがあり、多様なシーンがあり、ハングリーで努力している多くのバンドがいる。この地域ではツアーをするのが難しいから、僕たちが海外で演奏できるのはとても幸運なことだよ。
僕たちの観客のほとんどはイスラエルにはいないけど、イスラエル国外で成功すると、母国のみんなが喜んでくれて、僕たちの心も温かくなるのさ。

Q3: Israel is famous for Orphaned Land and Salem, but they are more metal than you are, right? How do you feel about being compared to them?

【TOMER】: First of all, we love these guys to pieces. We have a long relationship with Orphaned Land, from their early days (me and Kobi have been working together in an EDM and Trance music label when we were young) and up until today. Matan Shmuely Played Drums on all of our Albums and Idan Amsalem contributed buzuki and a guitar solo on our track “Mangata”. We have been on the road with them for around 43 shows, we see them as brothers and we are proud of their achievements. Also Salem’s, we appreciate the musical history of our scene. Comparisons are a natural thing, especially when the rest of the Israeli scene is not very much known, so we are actually proud to be that next Israeli band that makes waves around the world and that more and more people start talking about and listening to. There were not a lot of Israeli metal/rock Bands since the 90s that got far and we are determined on being the spearhead of the next rock and metal wave from this country.

Q3: イスラエルといえば、あなたたちの他に ORPHANED LAND と SALEM が有名ですよね。
ただ、彼らはあなたたちよりももっとメタル寄りでしょう。比較されることにはどう感じていますか?

【TOMER】: まず第一に、僕たちは彼らのことを心から愛している。ORPHANED LAND とは、彼らの初期の頃(僕とギタリストの Kobi は若い頃、EDM やトランスの音楽レーベルで一緒に仕事をしていた)から今日まで、長い付き合いがあるんだよね。
Matan Shmuely は僕たちのすべてのアルバムでドラムを演奏してくれたし、Idan Amsalem は僕たちの曲 “Mangata” でブズーキとギターソロを担当してくれた。彼らとは43回の公演を共にしてきた。僕たちは彼らを兄弟のように思っており、その功績を誇りに思っているんだよ。
同じく SALEM も、僕たちのシーンの歴史にとって非常に重要なバンドだ。特にイスラエルのシーンがあまり知られていないからこそ、比較されるのは当然のことだよね。だから僕たちは、世界中で話題になり、より多くの人が話題にしたり聴いたりするような、次のイスラエルのバンドになることを誇りと共に誓っているんだ。
90年代以降、イスラエルのメタル/ロック・バンドはあまり活躍していなかったけど、僕たちはこの国の次のロック/メタル・ウェーブの先鋒になることを決意しているからね。

Q4: I really like the band name Subterranean Masquerade, why did you choose it? It seems to be the opposite of the album title “Mountain Fever”, would you agree? haha.

【TOMER】: Truth be told, I wasn’t thinking about that but you are totally right, haha. I came up with the band name around 25 years ago.. Such a long time, i can’t even remember how I came to this. I did think about changing the name into something more accessible a few times but somehow we decided to stick with this one.

Q4: SUBTERRANEAN MASQUERADE (地下の仮面舞踏会) というバンド名も大好きなんですよ。”Mountain Fever” という今回のアルバムタイトルとは真逆にも思えますが (笑)

【TOMER】: 実を言うと、全然気づいてなかったんだけど、まったくその通りだよね (笑)
このバンド名を思いついたのは、今から25年ほど前のことだよ。どうやってこの名前にしたのか覚えていないほどの大昔のことだね。もっと親しみやすい名前にしようと何度か考えたこともあったけど、まあなんだかんだこの名前でいくことにしたんだよな。

Q5: Green Carnation’s Kjetle Nordhus and Novembers Doom’s Paul Khur were out and Vidi Dolev who handles both the clean vocals, and the growls was in. Why was this change made, and what is good about Vidi?

【TOMER】: Long distance relationships are not easy, especially when everybody got few bands. Kjetle was just recording the new Green Carnation album and Paul is living in the USA, very far away from where we are. We also always knew we are a touring band and that requires dedication and time.. It’s not always working for everybody. Vidi is an old friend and a very respected musician in the Israeli music scene.. He entered those big shoes of Paul and Kjetle and worked his way into our hearts and family.

Q5: 今回は GREEN CARNATION の Kjetle Nordhus, NOVEMBERS DOOM の Paul Khur の参加はなく、Vidi Dolev がクリーンとグロウルの両者を兼任して歌っていますね?

【TOMER】: 遠距離でうまくやるのは簡単じゃないからね。特に、みんながいくつかのバンドを持っているときは。Kjetle はちょうど GREEN CARNATION のニューアルバムをレコーディングしていたし、Paul はアメリカに住んでいて、僕たちがいる場所からとても離れているんだよ。
それに、僕たちは常にツアーバンドで、そのための献身と時間が必要であることを知っていたからね…。誰もがうまくいくわけじゃないんだよ。
Vidi は古い友人で、イスラエルの音楽シーンでとても尊敬されているミュージシャンなんだ。彼は Paul と Kjetle の後任として存分な実力を発揮し、僕たちの心に家族のように入り込んでくれたんだ。

Q6: “Suspended Animation Dreams” was crazy experimental metal. “Vagabond” was more traditionally proggy than earlier albums. I think “Mountain Fever” is a mix of those two, along with your usual dose of jazz, and middle-eastern melodies, Would you agree?

【TOMER】: Yes, I totally agree. I think that Mountain Fever got something more to do with S.A.D then with Vagabond though it’s a lot more focused and mature. It is as risky and varied as that album but so much more focused and well executed.

Q6: “Suspended Animation Dreams” はクレイジーで実験的な作品で、”Vagabond” はよりトラディショナルなプログ的作品でした。
“Mountain Fever” はトレードマークのジャズや中東のメロディーを保ちながら、その両者を巧みにミックスしたようなアルバムですよね?

【TOMER】: 全く同感だよ。”Mountain Fever” は、 “Vagabond” よりも “Suspended Animation Dreams” に通じるものがあると思うんだけど、もっと集中していて成熟しているよね。このアルバムは、”S.A.D.” と同じようにリスキーで多様性に富んでいるけど、よりフォーカスされていて内容も良いよね。

Q7: Percussion and other ethnic instruments are an important part of the album. What are some of the difficulties in combining metal and traditional music?

【TOMER】: It’s all about colors and about how to glue it all together. We have been working very hard on the arrangements for this album, really knit picking every moment of it. Tha main challenge was recording each instrument the best way , meaning, we had to use about 10 different studios to make it the best sounding arrangement possible, for example, the room we recorded the violins at, was not necessarily the best room for percussions, so we went to a different studio to record the percussions and so on. Everything had to be very accurate in the way of recording, otherwise we would be having a lot of trouble mixing into one texture which makes sense. On the other hand, we didn’t want the mix to sound like 10 different rooms, so after recording all the ethnic instruments we actually reamped the guitars to glue it all better. Everything had to work as a macro, but in order to do it, the pre production was full of ants work.

Q7: パーカッションやブズーキなど、エスニックな伝統楽器もアルバムでは重要な役割を果たしていますね。メタルと伝統音楽をミックスする際、気をつけていることはありますか?

【TOMER】: すべては色彩と、それをどうやって接着するかということなんだ。今回のアルバムでは、アレンジに非常に力を入れており、一瞬一瞬を大切にしているんだよ。
最も重要なのは、それぞれの楽器を最高の音でレコーディングすることだった。10のスタジオを10の楽器で使うようなね。例えば、バイオリンを録音した部屋が必ずしもパーカッションに最適な部屋ではなかったら、パーカッションを録音するために別のスタジオに行くというように、すべての録音方法を正確に行う必要があったからね。
その一方で、ミックスが10の異なる部屋のように聞こえるのは避けたかったから、民族楽器をすべて録音した後、ギターを実際にリアンプして、すべてを糊付けしたんだよ。すべてがマクロとして機能しなければならないのだけど、だからこそプリプロダクションは蟻地獄のような作業だったよね。

Q8: Israel and Palestine are on the verge of war. What is the band’s stance on religious and racial tensions?

【TOMER】: We are rooting for peace. That’s all we care and dream about. Our music is made with love for everyone. All we want is peace.

Q8: 最後に、イスラエルとパレスチナは今にも戦端を開きそうな緊迫した状況にあります。あの難しい問題について、バンドのスタンスを教えていただけますか?

【TOMER】: 僕たちはただ平和に根ざしている。それが僕たち全員の関心事であり、夢でもあるんだ。僕たちの音楽は、全員への愛で作られている。僕たちが望むのは平和だけなんだ。

THREE ALBUMS THAT CHANGED TOMER’S LIFE 

JETHRO TULL “AQUALUNG”

PINK FLOYD “DARK SIDE OF THE MOON”

DAVID BOWIE “ZIGGY STARDUST”

MESSAGE FOR JAPAN

We are very grateful to anyone who takes the time to listen to our music. Life is short and it’s not obvious at all you chose to press play. We hope to come to Japan as soon as possible. Until then – we wish you health and happiness Arigatō gozaimashita!

時間をとって僕たちの音楽を聴いてくれるすべての人に感謝を。人生は短く、プレイボタンを押して僕たちの音楽選んだのは全く当たり前のことではないからね。一日も早く日本に行きたいと思っているよ。それまで、みんなの健康と幸せを祈っているよ。ありがとうございます。

TOMER PINK

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【BLACK MIDI : CAVALCADE】


COVER STORY : BLACK MIDI “CAVALCADE”

“The Whole Album Sounds Like Drama, The Music Is Designed Around Being As Exciting As Possible By Having Constant Tension And Release, And The Same With The Stories, They Are Funny But There’s Also a Dramatic Core To Them”

CAVALCADE

BLACK MIDI は、人々がバンドに抱く期待のすべてではないにしろ、そのほとんどを覆す第二の波と共に戻ってきました。大きな変貌はジャムを捨てること、メロディを受け入れること。シンガーでギタリストの Geordie Greepは、「デビューアルバムはみんな気に入っていたようだけど、しばらくするとその全員が飽きてしまった。だから、今度は本当にいいものを作ろうと思ったんだ」と語ります。
高く評価されているデビューアルバムを、まるで彼らの周囲を飛び回る厄介なハエのようにすでに一部放棄したその胆力こそ、この若いバンドの勢いを物語ります。そして耳をつんざくノイズ、マスマティカルな知性、ジャジーなプログ、広大なポストロックが融合したデビュー作 “Schlagenheim” の混沌とした旋風に巻き込まれた人にとっては、BLACK MIDI がダイナミックな軌跡を描きながら探求を続ける音世界こそが欲する刺激なのです。
2枚目のアルバム “Cavalcade” は、その勢いに磨きをかけ、時に前作のトーンから別の惑星へとシフトしたような作品に仕上がっています。「全く違うことをやってみたかったんだ」と Greep は続けます。「1stアルバムの後、僕たちは新しい方向性を定めようと曲を書いていたんだけど、コロナ禍の発生で、個人的にさらに詳細を煮詰める機会が訪れた。変化はすでにあったんだけど、別々にやる必要性が出てきたことで、その変化が加速したんだよね」
かつては即興演奏の無限の力とその可能性を説いていたバンドが、今では構造化された曲作りのために即興演奏を捨て去りました。パンデミックによる強制的なダウンタイムは、彼らにとって必要な休憩と反省のための休止期間となったのです。「慌ただしい日々が続いていたから、歓迎すべき変化だったとドラマーの Morgan Simpson は語ります。「ここ数年は、新しいものを作るため数週間一緒に過ごす時間さえなかったからね。だから、ジャムやリハーサルを行うパターンに陥っていたんだけど、朝5時のフライトに間に合わせなきゃって焦るから生産性はそれほど高くなかったんだよね」
Greep も同意します。「演奏やツアーをずっと続けていると、物事をある程度コントロールしたい、間違ったことをしたくないという感覚に陥るものだ。だけど、時間が無限にある状況になると、自分が音楽で何をしたいのか、どんな音楽を作りたいのかを真剣に考えるようになる。実際に何度もそのことを考えて正直に話しあったよ。だから、僕たちは意識的に音楽を変えようとしていたんだと思う」

では、皮肉なことに、バンドは即興演奏の限界につまずいたのでしょうか?Picton が説明します。「即興演奏の良いところは、くだらない音になってしまうリスクと、本当に良い音になったときの見返り、その両方があることだよね。でも、お客さんに良いショーを見せようと思ったら、たいていの場合、何が良い音になるかはわかっているものなんだ。一方でリスクとリターンを両立させたければ、ときには失敗することも必要だ。僕たちはリスクを犯すことをやめて、同じ6つか7つのリフに落ち着いて、クソみたいな音になるストレスを感じることなく、違う順番で演奏することを繰り返していたんだと思うね」
瞬発力のあるライブで口コミで話題になっていたバンドが、短期間でバズバンドの帝王のような存在になったことを考えると、人気と観客の期待が高まる中、定型的な演奏をしなければならないというプレッシャーが生じたのでしょうか。「いや、そうじゃない」と Greep は言います。「それよりも、自分たちの中で、自分たちのやっていることに自信が持てなかったんだ。バンドがどうありたいのか、皆がそれぞれの考えを持っていた。何でもありの姿勢でやり始めたけど、アルバムを出したら、即興的なノイズロックバンドだということになって、それが神話化されてしまったんだから。時には、そんな罠に陥り、基本的には同じようなやり方でプレイしてしまうこともある。だからある時点で、”それは忘れよう “と言わなければならないんだよね」
ある意味でははじめて曲を作ったといえるかもしれないと、Greep は続けます。「ファースト・アルバムでは、ほとんどの曲が、伝統的なものというよりも、もっと質感のあるものだった。誰かがリフを弾いて、それをみんなで重ね合わせてクールなサウンドを作るという感じ。”Cavalcade” では、ジャムセッションも行ったけど、より伝統的な意味での曲のアイデアを各自が持ち寄って作曲したんだよね。今回のアルバムでは、よりメロディックに、そしてよりクレイジーに仕上げることを目指したわけさ。より親しみやすく、より具体的でありながら、より狂気に満ちた、より面白いものにしたかったんだ」
リスナーが彼らなりのジョークを理解し得ないこともストレスとなりました。
「大きな意味を持つのはユーモアであるはずなのに、多くの人がそれを理解できなかったり、深刻すぎると思ったりしたんだよね。だから今回の作品では、もう少しわかりやすく、これは絶対にジョークであるとか、おかしなことをしているということがわかるようにしたんだよ」


アルバムのオープナーでリードシングルの “John L” を聴くと、バンドの革命的なステップというよりは、プログレッシブなステップを踏んでいる思うかもしれません。しかし、津波のような不協和音の海辺にあるプログ・オペラの風が去った後、次の7曲にはかなり驚くべき変化が見られます。
“Marlene Dietrich” では、Greep が「パフォーマンスの喜びを体現している」と語るキャバレー・シンガーをイメージさせる、牧歌的なムードが漂い、彼の声はこれまでになく純粋にゴージャスなトーンを帯びています。
「この曲では、Scott Walker と WILD BEAST の Hyden Thorpeの中間のような歌い方で、”メタモルフォーゼは存在する” と優しく歌いかけている」
このレコードの中で、バンドには以前の彼らとは見分けがつかないほどの、まさに “メタモルフォーゼ” な音を出す瞬間が存在します。
「曲にはきちんとしたコード・シーケンスがあり、実際にメロディが存在する」と Greep は語ります。「前作でも少しはあったんだけど、多くの場合、エフェクトをかけてただ燃えているだけのモノリシックな曲では、メロディックに歌うことができないからね。このスタイルで、僕の声はこういった曲に適しているよ」
Picton は、2曲で作曲と歌唱を担当しています。ヒプノティックで深いテクスチャーを持つ “Diamond Stuff” は、その荒々しさからスローコアのようにも聞こえます。これに対するアンチテーゼが “Slow” で、怒れるジャズコアを体現しています。
アルバムを通して、バンドのトレードマークである張りつめた強烈なギターワークはふんだんに盛り込まれていて、獰猛さとプログの巧みが融合していますが、両者の境界線が驚きを運んでくるのです。そして真の優美が存在し、初期の作品を嫌っていた人は一体何が起こっているのかと疑問に思うかもしれません。しかし、より穏やかで美しい世界に吸い込まれる直前に、物事は再び爆発して混乱します。”Chondromalacia Patela” で聴けるように、ジャズ的ポストロックの穏やかなグルーヴから、SWANS と MAGMA が合体したような爆発的な力へと変化していく様は圧巻です。

同時にこのレコードでは、より多くの楽器が使用されています。「最初のアルバムは、音色的にかなり狭い感じがしました」と Simpson は告白します。「だから僕たちは、さまざまにサウンドやカラーを広げたいと思っていたんだよ」
Pal Jerskin Fendrix がバイオリンで登場したかと思えば、チェロ、サックス、ピアノ、ブズーキ、マルクソフォンと呼ばれる19世紀末のチター、フルート、ラップスチール、シンセ、さらにはバンドがバイオリンの弓を使って奏でる中華鍋まで登場します。
「1stアルバムは、ライブよりも広がりのあるサウンドのレコードを作るというミッションだった」と Greep は証言します。「スタジオを可能な限り活用すること。でも、あまりにも混沌としているので、多くの楽器に気づかなかったり、気づいてもそれが何なのかわからなかったりしたよね。今回のアルバムでは、ピアノやストリングスのパートがより明確になっている。しかし、”真に劇場的で、映画的な、広がりのあるアルバムを作る “という使命は同じだったんだよ」
たしかに、このアルバムはたくさんの劇場を備えています。Greep がその要素を表現するため使った言葉は、”ドラマ” でした。「アルバム全体が、まるでドラマのようだ。その音楽は常に緊張と解放を繰り返すことで、可能な限り刺激的なものになるようにデザインされている。ストーリーも同様で、面白いけれど、ドラマチックな核心が存在する。主に三人称で語られるアルバム全体のストーリーが、このアルバムのタイトルになっているんだ。キャバレーの歌手、カルト教団の指導者、ダイヤモンド鉱山で発見された古い死体など、物語をまとめてみると、ある種の “パレード” のようになるということに、後々気づいたんだよね」
アルバム制作の背景は、デビュー時とは正反対でした。プロデューサーのダン・キャリーとロンドンの地下スタジオにこもるのではなく、ダブリンの南、ウィックロー山脈にあるアイルランドの施設、ヘルファイア・スタジオでジョン・’スパッド’・マーフィーと作業を行いました。Greepが以前から “hell fire “という言葉にこだわっていたことを知っている人にとっては(デビューアルバムのタイトルにもこの言葉が使われていた)、偶然にしては出来過ぎでしょう。

ほとんど予期せずにフルアルバムを作ることになったのは、実り多いセッションのおかげでした。「計画では、5日間で数曲を録音することになっていた」と Greep は振り返ります。「どんなサウンドになるのかを確かめるためにね。そして、それをどんどん積み上げていったら、とてもいいサウンドになったんだ」
プロデューサーの交代は、新しい領域を開拓したいというバンドの願いの延長線上にありました。「1stアルバムでは Dan が完璧だった。しかし、今回の新作では、すべての作業を新しい感覚で行いたいと思ったんだ。そのため、これまでに書いた曲は、別の耳で聴いたほうがいいかもしれないと思ってね。デビュー・アルバムの前から、僕たちは常に異なるプロデューサーのアイデアを受け入れていたし、物事を新鮮に保ち続けていたからね」
スタジオでは、バンドの自主性と信念がより強くなりました。「Dan と一緒に仕事をする前は、あまりスタジオに入ったことがなかったんだ」と Simpson は言い、Picton は「ファーストアルバムでは、ダンがセッションをリードしたり、彼がアイデアを出したりすることが多かったと思うけど、今回はみんなで協力することが多かったね」と付け加えます。さらに Greep はこう続けます。「スタジオではより自信が持てたんだ。このアルバムの音楽は全体的に、バンドとしての自信を表していると思う。明日死ぬかもしれないんだから、今日はこの音楽を作ろう。失うものは何もないという気持ちなんだ」
では、セカンドアルバムがどのように評価されるかという不安はないのでしょうか? Greep は、「アルバムに対する現代の反応はあまり意味を持たない」と言います。「レビューの良いものが常に良いというわけでも、レビューの悪いものが悪いというわけでもなく、相関関係はないと思っているから、あまり考えないようにしているんだ。アルバムを聴いてくれる人がいるのはとてもラッキーだけどね。何を出しても誰かが聴いてくれるのだから、文句は言えないよね。ファンがいるということは素晴らしいことだ」
BLACK MIDI が作る音楽の種類を考えると、彼らがこれほどの評価を得て、熱狂的なファンを獲得し、プライムタイムのラジオのプレイリストに滑り込み、マーキュリーミュージックプライズにノミネートされたことに戸惑いを覚える人もいるだでしょう。他の多くのオルタナティブ・バンドが直面しているような障壁を、なぜ自分たちが突破できたのか考えたことがあるかという質問に対して、Picton は「適切な場所、適切な時期だったから。加えて舞台裏での適切な判断と良いチームがあったからだろうな」と反応しています。

有名なBRITスクールに一緒に通っていたという恵まれた環境も彼らを後押ししました。BRITスクールとは、アデルやジェシー・Jなどのポップスターを輩出したことで知られる政府系の音楽学校で、訓練されたミュージシャンが英国のレコード業界全体に多大な影響を与えていることでも知られています。Picton が説明します「2年間、大学で好きなときに自由にリハーサルができたからね。その2年間で、くだらないことやしょうもないことをすべてやって、それを解消することができたんだ」
学校の中でも特に奇抜な趣味を持つ子供たちの一部だったと Simpson は付け加えます。「僕たちの学年は、特に、さまざまなタイプのプレーヤーがさまざまなタイプの音楽を演奏していて、非常に多様性に富んでいたんだ。あの学年じゃなきゃ、このバンドが存在していたかどうかもわからないくらいだよ」
ビデオゲームにインスパイアされたバンド名のわりに、彼らはインターネットから音的にインスパイアされた音楽を作っているわけではありませんが、ジャンルミックスやインスピレーションの採掘については非常に現代的なアプローチをとっています。ジップアップのフリースを着て、ドレッドヘアにビーニーを被った Simpson は、ロンドンで生活している間に経験した、万華鏡のように多様な文化が彼らの音楽習慣に影響を与えていると言います。
「この2、3年の間にロンドンに住んでいる若者は、様々な影響を受けることができた。ウィンドミルでのライブに行けば、ダブをたくさん聴くことができるし、別のライブに行けば、ファンクやジャズをたくさん聴くことができる。僕たちの周りにはたくさんの音楽があり、そこから影響を受けないということは不可能なんだよ」

では、BLACK MIDI を形成したのはどういった音楽だったのでしょうか?Greep は真っ先に、ストラヴィンスキーの “Cantata” を挙げています。
「幼い頃、両親がストラヴィンスキーの曲をよくかけていたんだ。12歳か13歳のとき、学校にとても好きな音楽の先生がいてね。とても仲が良くて、クールな音楽をいろいろと教えてくれたんだよ。僕は “この人はすごい人だ” と思ったね。ところが、その先生が辞めてしまって、代わりに年配の気難しい先生が来た。あまり尊敬できない人だったよ。僕は、”この年寄りは、ダメだ “と思った。元々の音楽の先生とは、昼休みに音楽談義をすることが多かった。そこから多くのことを学んだんだよ。新しい先生は、それができなかった。でもね、ゆっくりと、しかし確実に、僕は新しい先生がそれほど悪くないことに気づいていったんだ。彼はいろいろなことを知っていたんだ。
ある日、彼は「春の祭典をかけてみよう」と言った。彼が勧めたから、僕はこの曲を嫌いになりたかったし、まったくの駄作だと思いたかった。だけど聴いてみると衝撃的だったよ。クレイジーな音楽だからね。僕は「ああ、アイツはおかしい」と思ったけど、本当は、”これはとてもいい” って感じたんだ。何かがあったから。
1年後くらいにまた「春の祭典」を見つけて、何度も何度も聴いて、10代の頃は本当に夢中になっていたね。その後、ストラヴィンスキーの音楽はすべて好きになったよ。最近では、数年前に、この “Cantata”という作品にたどりついた。音楽の素晴らしいところは、聴いていて、それが始まりでもあり、終わりでもあり、永遠に続くようにも感じられるところだよね」
春の祭典はオリヴィエ・メシアンのオペラ “Saint François d’Assise Opera” とあわせて “Ascending Force” のインスピレーションとなりました。
「このメシアンの作品は、最近ハマっているオペラのひとつ。4時間のオペラだよ。すべてフランス語で書かれているので、ストーリーを追うことはできないし、ストーリー自体難解だと思う。それよりも、ただ聴いているだけでいいんだよね。音楽的には非常に高度なものだよ。メシアンの音楽には親しみやすいものもあるけど、これはそうじゃない。一度ハマると、とても催眠的で中毒性があるんだよね。
この2つの作品をよく聴いたことが、アルバムの最後の曲 “Ascending Forth” のインスピレーションになっている。この曲のメロディのほとんどは、この2つの音楽がベースになっているからね。直接的ではないけれど、コードを確認しながら、この2つの曲から得られる催眠的、循環的、かつロマンチックで魅力的な感覚を模倣しようとしたんだよ。
これまでより野心的な試みだった。だけど「クラッシックが知的な音楽だから、あれをインスピレーションにしようとは思わないし、あんなレベルになろうとは思わない」とは考えなかったね。もし自分の好きな音楽であれば、そこから学んだり、自分の音楽に取り入れたりしてみるべきだろ?なぜ、気取っていると思うの?誰も気にしないよ。失敗したら失敗したでいいじゃない」

Picton は El Lebrijano の “Saeta al Cantar” を挙げました。
「彼はもっと成功した別のアルバムを出していて、それはより北アフリカ的な側面を持っていたんだ。でもこのアルバムは、フラメンコと北アフリカの音楽を融合させたもので、かなり実験的な演出がなされている。僕は、この演出がとても気に入っているんだ。狂ったようなボーカルサウンド。本当によくできていると思うな。
このアルバムは、フラメンコの枠を超えた、完全に別世界のものだと思ったよ。フラメンコ・ヌエボは、ロックとフラメンコを融合させようとする試み。だけど、これは完全に別のもので、独自のレーンを持っているね。この世のものとは思えないほど、刺激的なプロダクションと巧みなアレンジが施されている。”Dethoned” のイントロなど、”Cavalcade” に影響を与えた部分があるんだよね」
Miles Davis は Simpson のみならず、バンド全員にとって重要な存在です。
「”In a Silent Way” を聴くと、午後8時、ニューヨーク、繁栄している、周りにはたくさんの人がいる、というような感覚を覚える。”What’s Going On” と同じように、特定の空間や環境に身を置くことができるアルバムだと思う。最初の5秒を聞いただけで、すぐにその世界に入っていけるんだよね。マイルスの旅という意味では、”Miles In The Sky” や “Filles de Kilimanjaro” の直後にこのアルバムがリリースされているのは非常に興味深いよね。そして、彼は「ああ、いや、あんなものはどうでもいい、元に戻そう」と言ったわけさ。それを同じミュージシャンと一緒にやるなんて、最高にクールだと思うよ。それは、彼らがいかに素晴らしい存在であるかを証明している。ハービー・ハンコック、トニー・ウィリアムス、デイヴ・ホランド、マイルスといったミュージシャンたちが、これほどまでに抑制された演奏をするのを聞いて、とても謙虚な気持ちになったよ。このアルバムは、音楽的成熟がいかに強力であるかを気づかせてくれた最初のアルバムのひとつさ。
彼らは好きな時に好きなものを演奏できるのに、そうしないことを選んだのだということがよくわかるよね。もちろん、このアルバムは最初のエレクトリック・アルバムであると言われているけど、僕はそうは思わない。 抑制と規律といえば、このアルバムが真っ先に思い浮かぶよ。特にトニー・ウィリアムスは、最も無茶苦茶なドラマーで、ほとんどのアルバムでハイハットだけを演奏しているんだ。他の誰もそんなことはしないだろう。僕にとっては気が遠くなるような話さ。彼は、ポピュラー音楽の中で最もクリエイティブなドラマーだと思うよ。でも、そう言えるのは、彼が両極端なことができるから。彼は、とんでもなくテクニカルなこともできるし、40分間ハイハットを演奏するだけでも、音楽に貢献し、必要なことをすることができるんだから」

音楽だけがインスピレーションとなるわけではありません。Greep は、”タンタンの冒険” について熱く語ります。
「僕が最初に夢中になったもののひとつだよ。子供の頃、本を読むことは、はじめての趣味だった。10代の頃はあまり興味がなかったけど、子供の頃は大好きだった。文字が読めるようになると、それはまるで魔法の呪文を知っているような感じでね。最初は、ロアルド・ダールの本やその類のものだった。タンタンを見つけたときは驚いたよ。本当に素晴らしい物語なんだ。タンタンは世界中を旅している。テンポが速くて、それが今振り返ってみると好きなところなのかや。海の真ん中で遭難して、海賊に助けられて、無人島に連れて行かれて、鎖につながれて捕虜になって、飛行機が来て空を飛んで、ジャングルに落とされて……それが10ページで終わるんだ。そんな感じで、彼はいつも狂ったような冒険をしているんだ。今となってはかなり時代遅れだし、今の基準では悪い態度もある。だけど、若いときには、歴史や世界のさまざまな地域についての基本的な感覚を得ることができたんだ。
今回のアルバムに関して言えば、これまで行ってきたプレスショットは、「タンタンの冒険」から直接インスピレーションを受けたものだよ。描き方だけでなく、できるだけテンポの良いコミックパネルを使って、1ページの中でさまざまなシナリオを描いてね」
バンドは、ブリクストンにあるThe Windmill を支援するための資金集めに参加してきました。The Windmill は、かつて彼らがレジデントとして活動し、評判を高めたライブハウスです。これらは、仲間であるBlack Country、New Roadとのライブでのコラボレーションもそのひとつ。この先、彼らとコラボレーション・アルバムを作ることはできるのでしょうか? 「おそらくいつかは」と Greep は語ります。「もし、同じ街にとてもいいバンドがいて、そのバンドと意気投合したら、一緒になって何かをやらない理由はないからね。ただ、目的のためにやるのではなく、しっかりとした理由があるかどうかを確認する必要があるはずだよ」
ただし、BLACK MIDI を BC, NR や SQUID といった他のバンドと一緒にするのは意味がありません。彼らは完全に独自の存在だからです。そして完全に新しいことをやっているというプロパガンダを行うこともありません。だからこそ、我々はロックの未来について楽観的にならならざるを得ないのです。「何事も新しいことはないと思うよ。影響を受けたものが違う形で組み合わされているだけなんだから。チャートに載るような音楽でも何でもないんだ。でも、ライブ音楽、楽器を使って演奏される音楽、そういったニッチなものは常に存在していくと思う。なぜなら、結局みんな、そういうものが好きだから」

今のところ、バンドは自分たちの作品に集中していますが、すでにセカンドアルバムを超えた段階に差し掛かっているのかもしれません。「願わくば、ライヴを再開する頃には、さらに多くの新曲を演奏して次のアルバムに臨みたいね」とGreep は言い、Picton はアルバム3がすでに40%ほど完成していると示唆しています。
「ライブでどのように演奏するかを考える必要がないから、このアルバムを作ることに喜びを感じたんだ。ライブを、バンドとして事前に完全にイメージできるような製品にはしたくないからね。ライヴに行って、始まる前から何が見られるかわかってしまうほど最悪なことはない」
話を次のアルバムに戻すと、Greep はネット上で、21世紀最大のアルバムは今年中に発売されるという不可解な発言をしています。それは、”Cavalcade”のことだと考えていいのでしょうか? 「僕の計算によると、このアルバムは、TBE – The Best Everに到達するための出発点なんだ」この3文字は、Greep がしばらくの間かぶっていた帽子に飾られていたもので、大胆な宣言でもあり、皮肉でもあります。BLACK MIDI の大部分がそうであるように、ユーモアとクリエイティブな野心はしばしば重なり合っています。「いずれにしても、僕たちはこの作品に満足しているよ。野心的で挑戦的なことができたと思うのはいいことだ。僕らはまだ20歳かそこらなんだから」

参考文献: THE QUIETUS: The Road To The Best Ever: Black Midi Interviewed

VANITY FAIR:Black Midi Isn’t Losing Its Edge Just Yet

STEREOGUM:Black Midi On Miles Davis, The Adventures Of Tintin, And Other Inspirations For Their Wild New Album

日本盤のご購入はこちら。BEATNIK

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AD NAUSEAM : IMPERATIVE IMPERCEPTIBLE IMPULSE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH AD NAUSEAM !!

“We Would Like To Contribute Bringing Metal Music Sound Approach To a Different Level In The Future. There Are Many Listeners That, Like Us, Are Deeply Tired By The Fake Plastic Sounding Records That Are Trending Since The Last 20 Years.”

DISC REVIEW “IMPERATIVE IMPERCEPTIBLE IMPULSE”

「将来的には、メタルのサウンド・アプローチを別のレベルに引き上げることに貢献したいと考えているよ。僕たちと同じように、過去20年間のトレンドである偽のプラスチック・サウンドのレコードに深く疲れている多くのリスナーがいるからね」
機械化されたダンス・ミュージックも、そのバカげた単調さも、そんな音楽を使うクラブも、すべてが100% 大嫌いなんだ。アナログの録音を極めたエンジニア、かの Steve Albini はかつてそう言い放ちました。デジタルに支配された我々は、たしかに繊細で温もりのある生のレコード、その音響を忘れつつあるのかもしれません。それは、耳に鮮やかな添加物にまみれた、メタル世界も同様でしょう。
「ここ数年、メタルの中で音質の平均値が大きく下がっているから、僕たちのようなアルバムは目立ちやすいんだろうな。例えば、ダイナミクスを重要視している作品はほとんどないよね」
近年、その実験精神とこだわり抜いたコンセプトで注目を集めるイタリアのメタルシーン。中でも、”吐き気がするまで追求する” をバンド名に掲げる AD NAUSEAM の献身はもはや狂気の域でしょう。現状に不満があるなら、自ら創造する。ここには、大げさで滑稽な偽物のプロダクションは存在しません。アーティスト本人がエンジニアリングを学び、専用のスタジオ・マシン、キャビネット、アンプ、ドラムキット、さらにはマイクの設計にまで趣向を凝らしたスタジオを建設。すべてはただ、自らが心地良いと感じるサウンドを構築するためだけに、AD NAUSEAM は途方もない労力を注ぎ込んだのです。チューニングも既存のものとはかけ離れています。
「いくつかのオーケストラ・パート( “Sub Specie Aeternitatis” の最後と “Inexorably Ousted Sente” の最初)は、60以上のヴァイオリンを重ねて、彼自身が1つずつ録音したものなんだよ」
6年の歳月をかけて制作された最新作 “Imperative Imperceptible Impulse”。Bandcamp で販売されている “フル・ダイナミック・レンジ” のアルバムを聴けば、この作品が現代のメタル・サウンドとは全く趣を異にする音の葉を響かせることに気づくはずです。
全体の音量は隅々まで見渡せるようにコントロールされ、さながら精巧なタペストリーのごとくすべての楽器が入念に折り重ねられています。ドラムの幽霊音、ギターの息遣い、そしてベースの呪詛まで、生々しく肉感的な三次元の重苦しいオーケストラは、そうしてリスナーの部屋までライブの興奮を運んで来るのです。実際、その録音手法はクラッシックの原理。
「メタルに様々なジャンルのダークな不純物を加えて溶かしたいという本質的な衝動は、最初は不十分な試みだったけど、たしかにそこにあったんだ。新しいものを作るには、自分の限界から一歩踏み出さなければならないことを理解するべきさ」
アルバムは、例えば LITURGY, 例えば KRALLICE, 例えば IMPERIAL TRUMPHANT といった今メタルシーンを牽引する複雑怪奇な NYC の魑魅魍魎とシンクロし、奇しくも同じ方向を向いています。デスメタルやブラックメタルと、ジャズや現代音楽の不協和な錬金術。ただし、NYC の新鋭たちが意図的にラフでアンダーグラウンドなイメージをそのサウンドに残しているのに対し、AD NAUSEAM の合成法は実に緻密で繊細。
テクニックの粋を尽くしながらギターソロさえ存在しないダークな音の不純物は、奇抜に躍動しながらもすべてが正確無比な譜面の中へパズルのように収まります。それは、NEUROSIS とGORGUTS の踊る地獄のの祭典でしょうか。ストラヴィンスキーはひとつのキーワードでしょう。マスコアやテクデスの洗礼も浴びながら、ヌルヌルと蠢く百鬼夜行が奏でる呪詛は、そうしてリスナーを吐き気がするまで何度もリピートへと誘うのです。
彼らにいわせれば、単なるリフの連続ではなく、音が過去を参照したり、未来を予測したりする秩序。不調和によって和声が得られ、不協和音によって旋律が得られるような音楽。真のアヴァンギャルド。
今回弊誌では、AD NAUSEAM にインタビューを行うことができました。「このアルバムは、18年間の研究と実験の結果なんだ。Steve Albini のサウンド哲学は、僕たちの哲学ととても近いものがある。自分よりも優れた人から学ぼうとするのは自然なことだよ。そして、彼はおそらくこの業界で最高の人だ」 どうぞ!!

AD NAUSEAM “IMPERATIVE IMPERCEPTIBLE IMPULSE” : 10/10

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A LISTENER’S GUIDE TO KRALLICE’S COLIN MARSTON & NYC AVANT-METAL SCENE


A LISTENER’S GUIDE TO KRALLICE’S COLIN MARSTON & NYC AVANT-METAL SCENE

“Undoubtedly NYC Avant-metal Scene Is One Of The Best, But That’s Almost a Technicality Because New York City Is The Densest, Most Diverse Blob Of Humans Probably On The Planet. So Everything That Benefits From a Lot Of People And a Lot Of Variety Is Going To Benefit.”

WARR GUITAR, MENEGROTH, AND NYC

ニューヨークの怪人という呼称は、Colin Marston にこそ相応しいでしょう。14弦まで豊富なバリエーションを持ち、ベースとギターの両義性を有する愛機 “Warr Guitar” は、Colin が語る NYC の個性と多様性を体現した楽器にも思えます。さらに、鍵盤からドラムス、ノーマルなギター、ベースを操るマルチな才能にまで恵まれた Colin の活躍はまさに八面六臂。
「僕が Warr Guitar を手に取ろうと思ったのは、1996年に Trey Gunn と Tony Levin が KING CRIMSON でプレイするのを見たからなんだ。」
前回のインタビュー で Colin はそう語ってくれました。高校のころ、バンドメイトの父親から KING CRIMSON を教わった Colin は、再結成した彼らのライブに赴き衝撃を受けました。当然、Colin は Trey と Tony がチャップマンスティックという10, 12弦の異質をタッチしベースとギターの狭間を演出することは知っていましたが、Trey はすでに Warr Guitar という怪物に乗り換えていたからです。
「この楽器の両義性も重要なポイントだよ。ベースであり、ギターであり、その両方かもしれないんだから。いつだってこのギターのような、しかし幅広いレンジを持つ楽器を楽しんでいるよ。ギターの領域では低音弦だけチューンダウンしているんだ。そしてベースは究極に低音とハイストリングスをプレイしているよ。Warr Guitar の魅力は何と言ってもこのレンジの広さなんだ。同じ音域だけで楽曲やアルバムを構成するのは本当に退屈だからね。」
チャップマンスティックが文字通りスティックであるのに対して、Warr Guitar はギターとベースをその体躯に宿すキメラ。幅広いオクターブレンジでギターとベース、リズムとリードを同時にフォロー可能、特徴的なボイシング。新進気鋭の若き Colin Marston にとって、この楽器は壮大な音楽的空想を実現する鍵でした。
実は、メタル、プログはもちろん、フォーク、スムースジャズ、アヴァンギャルドと Warr Guitar が織りなす世界は驚くほど広く多様です。ただし、完全にカスタマイズ可能な新品は50万円以上、さらに製作者は癌を患い現在新規のオーダーを受け付けていません。門戸は狭いながら、こういった奇妙な楽器によって既存の音楽が再構築されることは必要不可欠な新陳代謝でしょう。
カナダが産んだプログレッシブデスメタルの魔境 GORGUTS に所属しながら、盟友 Mick Barr と立ち上げた超個性的ブラックメタル集団 KRALLICE をはじめ、GORGUTS の Kevin Hufnagel と探索するリフ迷宮 DYSRHYTHMIA、インストカルト BEHOLD…THE ARCTOPUS, 実験的ソロプロジェクト INDRICOTHERE と数多の奇々怪界でニューヨークのアヴァンメタルを牽引する主役の顔もまた一つ。
「NEUROSIS のアルバムを1枚選ぶのはとても難しかったね。所謂プログレバンドではなく、真の意味でのプログレッシブなロックバンドだよ。重要な違いだね。僕の中で、”The Word as Law” は最も成功したハードコアとメタルの融合だと言えるね。ただ何よりも最高にユニークな音楽だよ。ベースはA+の仕事をしているし、シンプルなパンクと複雑でエピカルなメタルがこのレコードで最高の”和解”をしたと言えるかもしれないね。」
特に、前回のインタビューでこう言って崇拝を露わにしていた NEUROSIS の Dave Ed をアルバムに招待し、ブラックメタルだろうがなかろうが全員のクリエイティブな精神を集結しながらメタルを未知の領域へと導く KRALLICE の重要性はこれまで以上に語られるべきでしょう。
一方で、ARTIFICIAL BRAIN, LITRUGY, KAYO DOT, EAST OF THE WALL, WOE, DEFEATIST, CASTEVET, PYRRHON, IMPERIAL TRIUMPHANT といったメタルの先鋭を象徴する NYC の百鬼夜行も、Colin が所有する Menegroth スタジオから彼の手によって発進しているのです。
「疑いようもなく最高のシーンの一つ。それは当然なんだ。なぜならニューヨーク市はおそらく地球上で最も高密度で最も多様な人間の塊だから。だから、誰もが多くの人々と多くの多様性から受けるべくして恩恵を受けていると言えるね。大都市なら同じ状況になるだろうけど、NYC は特別多様で国際的だからね。」
様々な文化や発言に触れることこそ人類の強み。それは世界に蔓延る分断の嵐とはすっかり真逆の考え方で、音楽やストーリーに多様性を認めるモダンメタルのスピリットそのもの。だからこそ、Colin の元には仕事のオファーが舞い込み続けるのでしょう。
このコロナ禍の中でも Colin は粛々とリリース&プロデュースを続けています。その膨大なアーカイブから、近年の重要作10枚について自身の言葉で語ってくれました。
「ワーカホリックという言葉は完全に間違いというわけではないんだけど、僕は作曲やレコーディングを本当に楽しんでいるからね。ワーカホリックってネガティブな響きがあるんだけど、僕は音楽制作に全くそういった感情は抱いていないんだ。
時々はもっと音楽以外にも興味の対象が広がればいいのにとも思うんだけどね…だけど僕にとって音楽は未だに広大で無限の奥行を備えているんだ。だから今でも惹き込まれ続けているのさ。」

COLIN TALKS ABOUT HIS RECENT WORKS

1. KRALLICE “MASS CATHEXIS”

this is the album we worked on mostly between 2018 and spring 2020. it was originally supposed to include 4 other songs, but in the interest of the album not taking forever to finish and then being too long to digest, we cut 2 songs, and then 2 more (although those 4 songs will now just form the core of our next album). i think this album features the most variety of any Krallice release, and although it features only one song “written” by me (the title track), i had more of a hand in the arrangement and drum writing than ever before. McMaster also contributed the most material to this out of any Krallice record. it was awesome to have Dave Ed back (since he wasn’t on GBF or Wolf).

このアルバムは俺たちがほぼ、2018年から2020年の春までに製作した作品だ。もともとは、別の4曲を収録するはずだったんだけど、アルバムの完成に時間がかかりすぎたり、収録時間が長くなりすぎるといった理由で2曲をまずカットし、それからさらに2曲を削ったんだ。だけどその4曲は次のアルバムの核となるものだよ。
俺は “Mass Cathexis” は KRALLICE のアルバムでも最もバラエティーに富んでいると思っている。ただ、俺はこの作品ではタイトルトラック一曲しか書いていないんだけどね。今回はそれよりも、アレンジメントやドラムのパートを書くことに注力したんだよ。Nicholas McMaster がどの作品よりも多くのマテリアルで貢献してくれたね。”Go Be Forgotten”, “Wolf” にはいなかった Dave Edwardson (NEUROSIS) が帰ってきたのも良かったよね。

2. KRALLICE WITH DAVE EDWARDSON “LOUM”

Dave Ed is one of my favorite musicians, both as a bassist, and vocalist. i became obsessed with Neurosis in high school and they informed me as a creative person in so many ways over the years. a truly progressive band that does what they want in the way they want and fuck everyone else. so this record was really a dream come true for me (and mick who also has a long history with Neurosis) to work with Dave and to get him to be the lead singer on a full album! pretty sure it’s the only album where that’s the case in existence–so i also feel like we did the world a public service here, haha!
this is also the Krallice album that i contributed the most writing (20 minutes out of 32 i spearheaded), so it has more of that knotty, dissonant, fractured and uncomfortable feeling than our other work, which i thought would be a perfect bedrock for dave’s vocals.

Dave Ed はベーシストとしてもヴォーカリストとしても、俺の大好きなミュージシャンの一人だ。高校生の時に NEUROSIS に夢中になったんだけど、彼らは何年にもわたってクリエイティブな人間として多くのことを教えてくれたんだ。だから、このアルバムは俺にとって(そしてNeurosisとの長い付き合いがある Mick Barr にとっても)本当に夢のようなことだったんだ!Dave と仕事をして、フルアルバムのリードシンガーになってもらえたんだからね。
これは、アルバム全編で Dave が歌う唯一の作品だと思うんだ。だから俺たちは世界に公共のサービスをもたらしてあげたような気さえするんだ。(笑)
俺が最も多くの曲を書いた KRALLICE のレコードでもあるから(32分のうち20分は俺が率先して作った)、他の作品よりも複雑で、不協和音があって、分断されていて、居心地が悪い感じがして、Dave Edのヴォーカルに対する完璧な基盤になると思ったんだ。

3. BEHOLD…THE ARCTOPUS “HAPELEPTIC OVERTROVE”

so proud of this album! i had been wanting to have a record with a very different approach to the drumming for a long time, and i finally did it! having jason bauers join the band was a perfect fit since he had experience playing 20th century chamber music, and i wanted that to basically be the vibe of the new behold album. also as a recording engineer working on a lot of extreme metal, i was so tired of the “cshhhhhhhhhhhhhhh cshhhhhh shshhshhhhshsh” of washy crashy cymbals smashing around constantly. tech metal benefits from a more articulated sound, so why not built that into the instrumentation itself, rather than writing yourself into a corner with blast beats and double kick that aren;t even audible without triggering or extreme processing in the mix? i also gravitated to a more brutal death metal style of writing for the normal guitar on this album. i like the combination of bdm guitar and 20th century classical percussion! for me it’s a perfect match. for most people, i’m sure it’s going to sound like a big pile of shit! it would be Arctopus without that tension though!

このアルバムをとても誇りに思っているよ!俺は長い間、ドラミングに対して非常に異なるアプローチのレコードを作りたいと思っていたんだけど、ついにそれを実現したんだ!Jason Bauers をバンドに参加させたのは、彼が20世紀のチェンバーミュージックを演奏した経験があったからで、完璧にフィットしていたね。俺は基本的にそれを新しい Behold の作品の雰囲気にしたかったんだ。
また、多くのエクストリームメタルに携わっているレコーディングエンジニアとして、俺はクシャーーーーーンクシャーーーーーンシャシャシャシャシヮみたいな、薄っぺらでガチャガチャしたシンバルがずっと鳴っているサウンドに飽き飽きしていたんだ。Tech-metal は、より明瞭なサウンドから恩恵を受けている。では、トリガーや極端な処理をしないと聴こえないようなブラストビートやダブルキックで自分を追い込むのではなく、インストゥルメント自体に明瞭さを組み込んでみたらどうだろう?このアルバムでは通常のギターにかんして、より残忍なデスメタルのスタイルに惹かれたんだ。 BDM (ブルータルデスメタル) ギターと20世紀のクラシックパーカッションの組み合わせが好きなんだよ!僕にとっては完璧にマッチしている。たしかに多くの人にとってはクソの塊でしかないだろうけど、こんなテンションじゃなきゃ ARCTOPUS はやってられないよ。

4. DYSRHYTHMIA “TERMINAL THRESHOLD”

our “thrash” album! it was really fun to change the dys lineup to 2-guitars and drums for 3 of the songs. having no bass at all on 3 songs, but lots of dual guitar seemed to fit the thrash vibe. i even got to do 2 guitar solos! the one in “Power Symmetry” is a written solo, and the one in “Twin Stalkers” is purely improvised. i’m also very proud of the song “Progressive Entrapment,” which i wrote on bass. i have a feeling that song is not going to resonate with many people, but it’s my favorite for many reasons which i think are impossible to explain. kevin and jeff’s playing and writing on this album are world-class. what a pleasure it is to record those guys!

俺たちの “スラッシュ” アルバムだ!DYSRHYTHMIA のラインナップを3曲でツインギターとツインドラムスに変えるのはとても楽しかったね。その3曲には全くベースが入っていないんだけど、沢山のツインギターがむしろこのスラッシュのヴァイブにフィットしたんだ。俺はギターソロまで弾いたんだよ!一つは構築されたソロの “Power Symmetry” で、もう一つは純粋なインプロヴァイズの “Twin Stalkers” だよ。
それに、”Progressive Entrapment” はとても誇りに思っているんだ。この曲で俺はベースを書いたんだけどね。多くの人にアピールする楽曲じゃないと感じていたんだけど、多くの理由から俺のフェイバリットなんだ。説明するのは難しいんだけど。アルバムにおける Kevin と Jeff の演奏はまさにワールドクラスだ。彼らとレコーディングが出来るのは本当に喜びだね。

5. PHONON “ALLOY”

so excited with how this album came out! it’s just one long improvisation which we cut into chunks and re-ordered. it came out so great! i really like listening to this. i have had other bands with Weasel, but never had improvised with him where i was playing bass. i found it really comfortable and exciting at the same time. i love weasel’s style and i found it easy to work with in this context. elliott and álvaro’s guitar work is the perfect textural companion to the rhythm section weasel and i created. elliott is a total legend and it was an absolute honor to make an album with him. Álvaro and i are newer friends, but just in the last couple years we’ve already collaborated on 5 releases! i like how heavy and metered this album came out even though it’s completely free improv.

このアルバムがこうやってリリースされてとてもエキサイトしているよ!一つの長いインプロビゼーションを、切り貼りして再レコーディングしたものなんだ。素晴らしい結果になったよね!このアルバムを聴くのが本当に好きだよ。Weasel とは他のバンドもやってたんだけど、俺がベースを弾いてインプロヴァイズしたことはなかったからね。非常に快適だけど同時にエキサイトしていることに気づいたよ。Weasel のスタイルが大好きだし、このコンテクストは俺にとってやりやすかったんだ。
Eliott と Alvaro のギターワークも俺と Weasel のリズムセクションとピッタリ符号していたね。Eliott は完全にレジェンドで、彼とアルバムを作れてとても誇らしいよ。Alvaro は比較的新しい友達なんだけど、ここ2年で5枚も一緒にアルバムを出してるんだ!完全にフリーなインプロヴァイズだけど、ヘヴィーでコントロールされたこの作品が気に入っている。

6. INDRICOTHERE “ALTRRN”

i was hired to write all the guitar for an album of Pyramids. i was sent drum machine from Vindsval of Blut Aus Nord, who i’m a massive fan of. i wrote songs to the drum machine on guitar, added a bunch of keyboards, and then sent it to the Pyramids guys to add vocals and additional keys. so this is the version before i sent it to Pyramids, which just Vindsval’s drums and my guitar and keys. i got to really like the instrumental version, and it also included kind of a “lost ambient album” since i extended the end of every song into an ambient exploration. i never planned to release this, but when the pandemic hit, and i lost thousands and thousands of dollars in income from cancelled recording sessions, i released it as a small fundraiser for the studio.
it’s worth noting that i did actually make 2 new proper Indricothere albums during the lockdown: a 3.5-hour ambient record and a crushing sluggish brutal death metal record:
https://indricothere.bandcamp.com/album/xi-5
https://indricothere.bandcamp.com/album/tedium-torpor-stasis

俺は PYRAMIDS のアルバムのためにギターパートすべての作曲を依頼されたんだ。大ファンの BLUT AUS NORD の Vindsval からドラムマシンを送ってもらったんだ。そのドラムマシンに合わせてギターを書いて、たくさんキーボードを加えて彼らに送ったんだ。彼らはそれにボーカルやキーボードをさらに加えたんだよ。
これは PYRAMIDS に送る前のバージョンで、Vindsvalのドラムと僕のギターと鍵盤だけで作ったんだ。このインストバージョンが本当に気に入っていたし、全曲の終わりをアンビエントな探究に拡張した “失われたアンビエントアルバム” のようなものも含まれているんだ。
これをリリースするつもりはなかったんだけど、パンデミックが起きて、レコーディングのキャンセルで何千ドルもの収入を失った時に、スタジオのためささやかな資金集めのためにリリースしたんだ。特筆すべきは、ロックダウンの間に INDRICOTHERE で適切な2枚の新作を作ったことだよ。3.5時間のアンビエント・レコードと、破砕的で緩慢なブルータル・デスメタルのレコードだ。

7. COLIN MARSTON “SUBLIVE”

i was approached by Arun from Subcontinental Records to release a live album of my experimental/classical music.
tracks 1 and 2 are from a show at EMPAC in Troy NY from 2015. the first is in my Indricothere keyboard style. the 2nd is feedback controlled player piano. i later went back to EMPAC and recorded a full-album version of these type of pieces, with Eliane Gazzard collaborating on sustain pedal and piano called, “Parallels of Infinite Perspect” on Álvaro’s Illuso label.
the 3rd track is an improvised duet with Mario Diaz de Leon from Issue Project room in 2019. i hope to do a full album with him soon!

Subcontinental Records の Arun から、俺の実験的/クラシカル音楽のライブアルバムを出さないかってアプローチされてね。1曲目と2曲目は、2015年ニューヨーク EMPAC でのライブなんだ。1曲目はオレが INDRICOTHERE でやってるキーボードのスタイルだ。2曲目はフィードバックをコントロールしたピアノ。後から EMPAC に戻って、Eliane Gazzard とフルアルバムバージョンを録音したんだ。
3曲目は、Issue Project の Mario Diaz de Leon とインプロヴァイズのデュエット。彼とはすぐにフルアルバムを作りたいな!

PRODUCTION WORKS

8. IMPERIAL TRIUMPHANT “ALPHAVILLE”

i love working with Imperial. zach has taken the band on an awesome trajectory over the years and it’s a honor to be along for the ride and to get to collaborate and help him realize his vision. the band is so awesome now with kenny and steve–feels like a real BAND now, with everyone contributing. i love that they leave some looseness in the music and are much more interested in a compelling performance rather than things being 100% accurate. they recognize the value of leaving some dirt and some mystery in a mix too, rather than going for a squeaky clean procut with no rough edges. they are open to lots of experimentation but also value a more jazz-oriented mentality where the instruments sound like people playing together and kicking ass.

IMPERIAL TRIUMPHANT と仕事をするのは大好きだよ。Zack は何年にもわたってバンドを素晴らしい軌道に乗せてきたし、その道を一緒に歩むことができて、コラボレートして彼のビジョンを実現する手助けをすることができて光栄だよ。Kenny と Steve がいる今のバンドはとても素晴らしいよ。全員が貢献して、真の “バンド” になっているね。
彼らは音楽に多少の緩みを残していて、100%正確なものを作ることよりも、説得力のあるパフォーマンスに興味を持っているから好きなんだ。エッジのない、ラフさのないキレイなカットを目指すのではなく、多少の汚れやミステリーをミックスに残すことの価値を認識しているからね。彼らは多くの実験にオープンであると同時に、楽器が一緒に演奏しているように聞こえるようなジャズ指向のメンタリティも大切にしているんだ。

9. AFTERBIRTH “FOUR DIMENSIONAL FLESH”

yes! love this record and this band. i’m so happy they came to me for this recording. an honor. each musician has a totally unique voice on their instrument. i love the prog flair, but the tasteful tempering through quality songcraft. these guys really balance the traditional well with the experimental. it’s very accessible somehow, without being annoying in the way that “accessible” can be, at least for me. it’s also very exciting to me that these guys all value a good-quality more “straightforward” recording/mixing style, rather than wanting that sound-replaced/quantized/amp-simulated vibe that is so omnipresent in modern “professional” recordings.

きたね!このレコードとバンドが大好きなんだよ。彼らがこの作品のために、俺のところに来てくれたことをとても嬉しく思っているよ。 各ミュージシャンはそれぞれの楽器に全くユニークな “声” を持っている。 俺はこのプログな雰囲気が好きなんだけど、質の高い曲作りによる味のあるソフトな性質も気に入っているんだ。
彼らは伝統的なものと実験的なもののバランスをうまくとっている。それはとても親しみやすいもので、”親しみやすい” というのは、少なくとも俺にとってはイライラさせることがないってこと。
また、最近の “プロ” のレコーディングにありがちな、音の置き換え、量子化、アンプシミュレートされたような雰囲気を求めるのではなく、彼ら全員が質の高い、より “素直な” レコーディング/ミキシング・スタイルを大切にしていることも、俺にとってはとても刺激的なことだったな。

10. PYRRHON “ABSCESS TIME”

pyrrhon are the best bros. i love hanging out and joking around with these guys. they are hilarious. also so honored and happy to have gotten to finally record/mix them for this and the previous album. alex cohen is undoubtedly a technical master, but i think the band started to become truly amazing when steve schweggler stepped in behind the drum kit. his style and aggressive playing fit with Dylan, Erik and Doug just perfectly. it’s great how masterful pyrrhons “tech metal” writing is, but even greater how they also have a purely improvised free-form side to their spirit that’s just as effective. these guys are unstoppable musicians and i love that they also have Seputus, which feature all 4 of them AGAIN! as well as many other bands. these guys get it: make a ton of shit and have it all be awesome. haha

PYRRHON は最高のブラザーだよ。彼らとハングアウトしたり、冗談を言ったりするのが大好きなんだ。そして、このアルバムと前作で彼らをレコーディング/ミックスすることができたことをとても光栄に思っているし、幸せに思っているよ。Alex Cohen は間違いなくテクニカルなマスターだけど、Steve Schweggler がドラムキットに座ってから、このバンドは本当に素晴らしいものになっていったと思う。
彼のスタイルとアグレッシブなプレイは、Dylan, Erik, Doug に完璧にフィットしていた。PYRRHON の “テック・メタル” のライティングが群を抜いているのも素晴らしいけど、それ以上に、彼らの精神には純粋に即興的なフリーフォームの側面があり、それが効果的に作用しているんだよね。
彼らはアンストッパブルなミュージシャンだし、彼ら4人全員をフィーチャーした SEPUTUS も大好きだ。大量のゴミを生み出せば、全てが素晴らしい音楽になることを理解しているね。(笑)

ABOUT NYC AVANT-METAL SCENE

undoubtedly one of the best, but that’s almost a technicality because New York city is the densest, most diverse blob of humans probably on the planet. so everything that benefits from a lot of people and a lot of variety is going to benefit. so many big cities can make similar claims, but NYC is exceptionally diverse and international. being shoved together with a ton of other people, some with similar goals, but a range of approaches and influences is only going to create a richer scene with maximum life and vibrance: what a strength there is in being exposed to a wide variety of approaches and statements!
i’m sorry, but people who believe in the value of segregation based on background are the reason humanity will most likely destroy itself. if having a diverse community isn’t totally obvious as a strength, then we have no hope and deserve to die.

疑いようもなく最高のシーンの一つ。それは当然なんだ。なぜならニューヨーク市はおそらく地球上で最も高密度で最も多様な人間の塊だから。だから、誰もが多くの人々と多くの多様性から受けるべくして恩恵を受けていると言えるね。大都市なら同じ状況になるだろうけど、NYC は特別多様で国際的だからね。
多くの人たちと一緒にいれば、中には同じ目的を持った人もいて、様々なアプローチや影響を受けながらも、最大限の生命力とバイブレーションを持ったより豊かなシーンを創り出すことになるはずだから。様々なアプローチや発言に触れることができるのは、なんという強みだろう!
申し訳ないけど、人種や文化といったバックグラウンドに基づく隔離の価値を信じている人たちこそが、人類が自滅してしまう原因なんだよ。仮に多様なコミュニティを持つことが強みにならないならば、人類に希望はなく、滅びるに値するよ。

ABOUT CORONA CRISIS AND MUSIC INDUSTRY NOW

i have been very lucky to still have some remote studio work, but i haven’t had an attended recording session since march! my friends who rely on the live music world for their income are totally fucked. what’s really sad isn’t that Corona happened. that’s actually just normal and natural. what’s so disappointing is how selfishly many are treating an issue (including the American government!!!!) that’s solely and directly about our collective survival as a species. people can’t get it through their heads that all the activities that they want to return to will be MADE POSSIBLE BY quarantine/distancing/masks/closing non-essential things, rather than seeing those things as an impediment to freedom. once again, if you see this as an issue of personal freedom, rather than ENSURING YOUR OWN HEALTH AND FUTURE, then humanity is fucked and we’re all going to die a horrible slow death together as the modern world crumbles. if your goal is to destroy all humans including yourself and your loved ones and me, then you’re doing great! keep going! thanks!

俺は幸いまだリモートでのスタジオの仕事はあるんだけど、レコーディングセッションには3月から参加していないんだよ!ライブハウスに頼って収入を得ている友人たちは完全にダメになってしまった。
本当に悲しいのはコロナが発生した事じゃないんだ。それは普通で当たり前に起こり得ることなんだから。何がとても残念なのかというと、この問題をどれだけ利己的に扱っているかということなんだ。アメリカ政府も含めてね!!!!
これって、種としての我々が生存できるかに直接関係しているよね。コロナ対策を自由への障害として見るべきじゃないよ。かつての生活に戻るには、自己隔離/ソーシャルディスタンス/マスク/が唯一の道なんだから。
もう一度言うけど、もし君が自分の健康と未来を保証することよりも、コロナ対策を個人の自由として捉えているならば、人類は滅び、現代世界が崩壊していく中で、俺たちは皆一緒に恐ろしくゆるやかな死を迎えることになるだろう。もし君の目標が、自身と愛する人と私を含む全ての人間を破壊することならば、そうすればいい! 頑張れよ、ありがとう!

Here’s a list of my other releases since the lockdown started:
https://xazraug.bandcamp.com/album/unsympathetic-empyrean
https://groeth.bandcamp.com/album/unfathomable-existence
https://indricothere.bandcamp.com/album/tedium-torpor-stasis
https://indricothere.bandcamp.com/album/xi-5
https://hathenter.bandcamp.com/album/wr-w-r-wwr0wr-g-0w-er0gw-0wr-w
https://glyptoglossio.bandcamp.com/album/0-1
https://encenathrakh.bandcamp.com/album/live-album
https://encenathrakh.bandcamp.com/album/thraakethraaeate-thraithraake
https://arelseum.bandcamp.com/
https://edenicpast.bandcamp.com/
https://slam420.bandcamp.com/album/bloated-exploded-og-gluttony
https://youtu.be/2C7SrMS1rGI

Other things panned include:
– the debut full length from Edenic Past
– Arelseum II
– a collaborative album with Mike Pride, Jamie Saft, and Mick Barr
– a collobarion with Andrew Hawkins from Bearing Teeth
– a full classical symphony, presented as a solo album
– 2 new krallice albums
and there will be a lot more i’m sure.

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IMPERIAL TRIUMPHANT : ALPHAVILLE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH STEVE BLANCO OF IMPERIAL TRIUMPHANT !!

©Alex Krauss Photography | http://alexkrauss.com

“The Masks Are Very Connected To The Art Deco Movement That Grew Up In NYC In The First Part Of The Twentieth Century. That Movement Also Has Many Esoteric Connections That Harken Back Thousands Of Years And Goes Beyond Our Wildest Dreams Of How We May Imagine The Thing We’re Part Of Is Here.”

DISC REVIEW “ALPHAVILLE”

「あのマスクは20世紀前半のニューヨークで育まれたアールデコ運動と密接に関係しているんだ。そのムーブメントは数千年前にさかのぼり、過去と深遠で神秘的な多くのつながりを持っている。そしてそれは、かつて僕たちの一部であったものがここにあると悠久に想いを馳せる、時を超えた夢の形でもあるんだよ。つまり歴史的意義のある魅力的な美学なんだ。」
政治的な対立、忌まわしい暴力、世界恐慌と終末のムードが世界を覆った1920年代。アールヌーボーの華美な装飾は機能的なアールデコへと移り変わり、混沌に触発された前衛的なジャズや実験音楽の先駆けは遂に芽吹きました。
100年の後、現代ニューヨークの多様な喧騒をノイジーなジャズや20世紀の前衛クラシックで再構築したエクストリームメタルで体現する仮面の三銃士 IMPERIAL TRIUMPHANT は、奇しくも1世紀前と等しい創造的な大胆不敵を宿す空想都市 “Alphaville” を世に放ちます。
「”Alphaville” は現在のような状況になる前から構想・制作されていたんだ。だけど社会的な枠組みの中における文明文化や個人の葛藤といった大きなテーマや題材は、今も昔も、そして人類が存在する限り未来においても存在しているのではないだろうか?そうは思わないかい?僕たちはいつも NYC のサウンドを演奏しているんだ。文化的にも僕たちの音楽世界には現在のアメリカの状況が反映されていると思う。」
コロナ禍や気候変動、反知性主義と分断が渦巻く2020年に、IMPERIAL TRIUMPHANT が複雑怪奇なブラック/デスメタルの迷宮で1920年代の復活と再構築を告げたのは決して偶然ではないはずです。そんな非業の “再構築” を象徴するのが、VOIVOD と THE RESIDENTS のカバーでしょう。彼らの手にかかれば、80年代後半のプログスラッシュも、奇妙極まるシンセティックなループも、暴走するブラストビートと混沌としたリズムブレイク、そしてバンド生来の不協和音で現代の闇を生きる不可解な狂気へと引きずりこまれてしまうのです。
もちろん、そんな彼らの歴史を咀嚼した慣習の破壊とも言えるエクレクティックな機能美は、”制限のない作曲プロセス” としてアルバム全編を貫いています。例えば、ドローンから聖歌隊、オルガンまで入り乱れるオープナー “Rotted Futures” はカオスの花園ですし、”Excelcior” では黒の暴走やインダストリアルの嘆きを内包しながら、螺旋を描くベーススケール、エイリアンのコードボイシング、進化したリズムのタペストリーでその本質をジャズ/フュージョンへと設定しています。
「まあ確実に僕たちは、メタル、ロック、ヘヴィーミュージックの複数のカテゴリーに当てはまる多様な音楽的影響を持っているよね。いつかは他のカテゴリーに入るかもしれないね。それが何になるかは分からないけどね!」
つまり、Steve が “グローバルなインテグレーション (分け隔てのない) の時代には、多様な視点がより実りある言説やコミュニケーションを生み出す” と語ったように、IMPERIAL TRIUMPHANT が破壊するのは過去の慣習だけではなく、ジャンルの壁や偏見、凝り固まった思想そのものだったのです。
即興のジャミングと緻密なオーケストレーションを並置した “City Swine” は、そんな彼らのクリエイティブな自由が完全に謳歌された楽曲です。MESHUGGAH の Tomas Haake を従えて、和太鼓とピアノがスラッジの枠組みでジャムセッションを開始する無法の街並は、アヴァンギャルドを熟知する MR. BUNGLE の Trey Spruance, KRALLICE の Colin Marston という共同プロデューサーの手を借りてすべての柵を取り払っていくのです。
そうしてアルバムの後半には、Duke Ellington から Miles Davis のクロスオーバーまでジャズの歴史を横断します。
さて、それではなぜ IMPERIAL TRIUMPHANT はゴダールの SF ノワールをそのタイトルへと選んだのでしょうか。きっとそれは、ニューヨークの文化と歴史を映画のフィルターを通して伝え、”昔ながらの魅力” を容赦のない過激さで歪めるためなのかもしれません。このフランケンシュタインのようなダークジャズと狂気のメタルの下には、階級主義、ファシズム、工業化を中心とした批判的な物語が横たわり、タイトルの由来となった60年代の映画を再現しているのですから。
今回弊誌では、ベース/ピアノ/ボーカルを担当する Steve Blanco にインタビューを行うことができました。「ブルックリンにある道場を見つけて、和太鼓奏者でありオーナーでもある倉島ヒロ先生がレコーディングを許可してくれたんだよ。あの美しい音色は、このアルバムの目的にぴったりと合致していたね。」 どうぞ!!

IMPERIAL TRIUMPHANT “ALPHAVILLE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KEKAL : QUANTUM RESOLUTION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JEFF ARWADI OF KEKAL !!

“We Don’t Consider Record Labels To Be “Above The Band” Who Can Micro-Manage The Band Down To Artistic Choices, But Also On The Other Hand We Don’t Want To Put The Band’s Needs “Above The Record Labels” And Dictate Them How To Operate, Because They Already Operate The Way They Are.”

DISC REVIEW “QUANTUM RESOLUTION”

「インドネシアにはメタルやエクストリームな音楽に特化した多くのファンがいて、特に最近はメタルをやっているバンドが非常に多いんだよ。中には地元ではとても人気があるバンドもいて、メタル系の音楽を演奏するだけで “セレブ” の域に達しているバンドさえあるんだから。」
インドネシアの音楽に対する探究心はアジアでもトップクラスでしょう。MoonJune レーベルが提供するジャズやプログレッシブのレコードは須らく知性と冒険心に富んでいますし、ヘヴィーメタル大統領 Joko Widodo が象徴するメタルワールドも当然多彩で実力派を揃えています。デスメタルはもちろん、ブラックメタルに着目しても PURE WRATH のような奇跡を生み出す場所ですから、もはやメタルの第三世界と呼ぶには些か無理があるはずです。
KEKAL はインドネシアにおけるブラックメタルの先駆者ですが、もはやブラックメタルの一言でかたずけることは完全に不可能な、多様なモダンメタルの怪物へと進化しています。
エレクトロニカ、ポップス、ジャズ、トリップホップ、インダストリアル、アンビエント、サイケデリック。仮にエクストリームメタルをジャワ島だとすれば、APHEX TWIN, Miles Davis, PORTISHEAD, THE PRODIGY, MASSIVE ATTACK, ULVER といった島々で多文化多島美を形成するインドネシアのミニチュアこそ KEKAL の真の姿ではないでしょうか。特に、フィールドレコーディングまで敢行する電子音とノイズの実験は、フランスの IGORRR と並んでメタル世界の最先端に位置するはずです。
「2009年に全員がバンドを脱退しKEKAL は正式にインドネシアのバンドとして残ることになったんだ。つまり、僕たちは “メンバーレスバンド “という道を選ぶことにしたんだよ。その後、僕たちは “KEKAL として “ではなく、”KEKAL のために” 活動している。コントリビューターとして完全にボランティアベースで、スケジュールも締め切りもなく、いくつかのアルバムでは他のミュージシャンが参加するようなやり方でね。自由なアソシエーションを採用して、完全にアナーキストになったんだ。」
驚くべきことに、KEKAL にはオフィシャルメンバーが存在しません。レコーディングにおいても、より良い音楽のため楽器も歌も最も適した人物がこなすという徹底ぶり。バンドではなく自由結社と呼ぶべきでしょうか。その特殊極まる背景は、彼らの土台であり源泉であるアナキズムに起因しています。
「僕たちはレコード会社を “バンドの上に立つもの” だとは思っていないし、バンドの芸術的な選択まで細かく管理できるとは思っていないけど、一方でバンドのニーズも “レコード会社の上に立つもの” だとは思っていないし、バンドの運営方法をレコード会社に指示もしたくない。」
KEKAL の指標するアナキズムとは決して無責任であることではありません。非階層、反権威こそ彼らの魂。支配者のいない世界を実現するため、すべてにおいて責任を束ねる自己管理、自己統治のアプローチを研ぎ澄まし、突き詰めていくのです。
「それは2015年に僕が “スピリチュアルな目覚め “と呼ばれるものを体験し始めた時から始まったんだ。詳しく説明するのは難しんだけど、食生活、睡眠パターン、感情、他人に対する見方や感じ方、世界観などの劇的な変化があったんだ。何らかの形で僕自身、僕たちが住んでいる世界、宇宙に関する新しい知識を受信することで “導き” の奇妙な啓示を受けてきたんだ。 これは、人々が一般的にグノーシスや “明かされた知識” と呼ぶものだね。」
さらに、結社の首謀者 Jeff Arwadi は自らが受けた掲示、スピリチュアルな目覚めをレコードのコンセプトやリリックに反映することを新たな生き甲斐として見出しました。つまり、最新作 “Quantum Resolution” は Jeff の伝道師としての役割が花開いた作品でもあるのです。
ハモンドのプログメタルと軽快なダブステップ、そしてブラックメタルのメイルストロームが入り乱れる “Quite Eye” は “Schizo-metal” への入り口として完璧でしょう。インダストリアルな瞑想と JOY DIVISION の複合体 “Inward Journey” では、天使の声が鳴り響き内なる旅路を導きます。
アナーキーの申し子たる自由結社は、両極に振れることさえも絶対的に自由。”The Sleep System” で RUSH や KING CRIMSON への敬意をメロディーの彼方に見出せば、ダブとヒップホップで踊り狂うブラックメタルの THE PRODIGY “Testimony” ですぐさま混沌を呼び寄せます。
極め付けはタイトルトラック “Quantum Resolution” でしょう。グノーシス主義に傾倒した Jeff から生まれくるに相応しい量子の黙示録。DURAN DURAN とブラックメタルの許されざる婚姻を祝福する厳かな教会の聖歌。これはきっと伝道師が奏でる異端者の讃美歌です。
今回弊誌では、Jeff Arwadi にインタビューを行うことができました。「KEKAL はインドネシア出身のバンドとしてヨーロッパと北米で同時にアルバムを出した最初のバンドで、ヨーロッパツアーを行った最初のバンドでもある。そういう意味では、地元や母国だけでアピールしようとしない若いバンドのお手本にはなるかもしれないね。」 どうぞ!!

KEKAL “QUANTUM RESOLUTION” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PYRRHON : ABSCESS TIME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DOUG MOORE OF PYRRHON !!

“A Good First Step In Driving Bad Actors Out Of Metal Would Be To Foster a Stronger Appreciation Of Lyrics. It’s Still Very Common To See Metal Fans With Broadly Progressive Values Accepting Truly Vile Ideologies From Bands They Like Because “You Can’t Understand The Lyrics Anyway” And “The Riffs Are Sick, So Who Cares,” And So Forth. Perhaps It’s Worth Paying More Attention To What Your Favorite Band Is Screaming At You.”

PYRRHON “ABSCESS TIME”

「NYC のバンドに透徹する哲学は、ジャンルをミックスしたり、音楽的な分野を融合させたりすることに意欲的であること。 この特徴は、ニューヨークが “メルティングポット” “坩堝” としての地位を築いてきたことの賜物で、様々なバックグラウンドを持つ人々やアイデアが混ざり合っているからね。」
分裂と流動の時代極まるエクストリームメタル。革命的なアイデア、脳髄を溶かすサウンド、野生的な実験の黄金三角形は、ニューヨークが震源地です。IMPERIAL TRIUMPHANT, LITURGY, ANCION, DYSRHYTHMIA。ジャンルを開拓再定義するような異能が蠢く中で、ブラックメタルの冒険を牽引する KRALLICE の平行線に位置する、大胆不敵なデスメタルの探窟家こそ PYRRHON でしょう。
「古いバンドのサウンドを真似するだけでは時間の無駄だと思えるね。デスメタルをプレイするのは難しいんだ。そんな難しい音楽をプレイするのに、なぜ自己表現をしないんだい? 」
OSDM リバイバルで活況を見せている昨今のデスメタルシーン。しかし、PYRRHON はその動きから一定の距離を置いています。もちろん、MORBID ANGEL や GORGUTS, CYNIC といった巨人の実験精神、創造性とたしかにチャネリングしながら、エクストリームミュージックの自己実現にむけてただ真摯に邪悪と哲学を磨きあげていくのです。
「デスメタルは、限界まで自分を追い込みたい、今までにないことに挑戦したいと思っているミュージシャンを惹きつける特別な音楽の形だと思うからね。」
TODAY IS THE DAY のアヴァンギャルドノイズ、CAR BOMB のマスコアミューテーション、GORGUTS のプログレッシブアグレッシブ。たしかに、PYRRHON の音風景をジクソーパズルのように分解して掘り下げることも可能でしょう。ただし、彼らの真髄は決してモザイクタイルを貼り合わせて創り上げる、高尚で機械的な壁画のアートにはありません。
なぜなら、時に不自然で突拍子もないように思える異端のピースが、PYRRHON の音楽をむしろ自然で有機的な太古の海へと誘っているからです。ゆえに、人工的で機械化されたテックメタルの不協和も、彼らの手にかかれば狂骨から溶け出す原始のスープへとその姿を変えていきます。
ある意味、PYRRHON が醸し出す奇妙の原点はジャズのインプロビゼーションなのかもしれませんね。言ってみれば、物理学の実験のために複雑な数学の方程式を解くことが一般的なプログレッシブデスメタルの常識だとすれば、彼らはそれをアシッドトリップの最中にやり遂げることを本懐としているのです。
「現在アメリカを飲み込んでいるこの複雑な危機は、約10年前から避けられないように僕には見えていたんだよ。それは単純に、皮膚の下で化膿している病気がいつ表に出てくるかという問題だったのさ。それがアルバムタイトルの由来だよ。」
最新作 “Abscess Time” “化膿の時” に反映されたのは、システムが朽ち果て国の程さえなさなくなった今のアメリカひいては世界です。インタビューに答えてくれたボーカリスト Doug Moore は、そんな潜伏していた膿を反映した偏見渦巻くメタル世界だからこそ、歌詞を深く理解して自分の頭で考えてほしいと訴えます。
もはや、リフがよければ別にとか、どうせ何叫んでるかわかんねーしで許される時代は過ぎ去ったとも言えるでしょう。それはある意味、誰がなっても同じと選挙権を放棄する行動に似ているのかもしれません。結局は因果応報、すべては自身に返ってくるのですから。
そうして完成した最高傑作は、Doug の言葉を借りれば “忍耐と反復” のカオス。スピーカーから不気味な膿が溢れ出すようなミニマルな混乱の中で、獰猛さと重圧を保ちながらしかし構成の妙を一層極めたアルバムは、過去の3作と比較してより直線的なリスニング体験を可能としています。
我々はただ、作曲と即興、残虐と窒息、可解と不可解、混沌と解放、血液と膿の境もわからず立ち尽くすのみ。KRALLICE の鬼才 Colin Marston がプロデュースを行ったことも、決して偶然ではないでしょう。
ピュロンとは古代ギリシャ初の懐疑論者。すべてを吟味しあらゆる独断を排除する者。今回弊誌では、エクストリームシーンきっての語り部 Doug Moore にインタビューを行うことができました。「僕の考えだけど、”悪い役者” をメタルから追い出すためのより良い第一歩は、歌詞への理解を深めることだと思うんだ。幅広く進歩的な価値観を持つメタルファンでも、好きなバンドの本当に下劣なイデオロギーを “どうせ歌詞なんて何叫んでるかわかんねーから” とか “リフが最高なら気にしない” などと受け入れてしまうのは、今でもよく見かける光景だよね。自分の好きなバンドが何を叫んでいるのか、もっと注意を払う必要や価値があるのかもしれないよ。」 どうぞ!!

PYRRHON “ABSCESS TIME” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GREEN CARNATION : LEAVES OF YESTERYEAR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KJETIL NORDHUS OF GREEN CARNATION !!

“In Some Ways We Are a “Child” Of that Norwegian Black Metal Era. Through The Years, Many Of Those Early Black Metal Bands Have Changed Quite a Lot, Developing Their Music And Bringing In Other Influences.”

DISC REVIEW “LEAVES OF YESTERYEAR”

「”Light of Day, Day of Darkness” は多くの点で “すべてを備えて” いるよね。まさに過剰な創造性だったよ。そして幸運にも僕たちはすべてをまとめて、音楽の長いリストとしてだけじゃなく1つの曲として見られるように仕上げることができたんだ。」
ノルウェーの闇皇帝 EMPEROR にも血を分けた Tchort 率いる翠色のカーネーションは、00年代に咲いたプログメタルの徒花にも思えました。しかし、音花のラボラトリーで生育された越境の種子は後続の遺伝子へと刻まれ、14年の時を経て遂に GREEN CARNATION 本体の再生をも誘ったのです。
インタビューに答えてくれた GREEN CARNATION の声、Kjetil が初めてバンドに加わった “Light of Day, Day of Darkness” は当時の常識をすべて覆すような異端の書でした。娘の逝去と息子の誕生を同時に体験した Tchort の感情もとにした闇と光の生命譚は、60分で一曲を成す異形の姿を誇っていました。
「最も重要なのはムードとアトモスフィアだからね。実際、”Light of Day, Day of Darkness” の大半かプログレッシブに属するなんて誰もが言えないだろう。僕たちの音楽には酩酊するような要素、ヘヴィーな要素、ドゥーミーな要素など、他にもたくさん存在するからね。」
サックスやシタール、クワイア、それに600を超えるサンプルまで使用して、ブラック、デス、プログはもちろんフォークからゴス、ドゥームまで縦横無尽に敷き詰めた音の絨毯は、ある意味ステレオタイプが定着してきた当時のプログメタル世界を震撼させたのです。
「このアルバムで僕たちにとって最も重要なことの1つは、GREEN CARNATION 最高の面をすべて1つのアルバムに取り込むことだったね。解散以前は5枚のアルバムで何度も実験を繰り返したんだけど、すべてのアルバムに “典型的なグリーンカーネーションの瞬間” があったわけさ。」
目眩く音旅を経て、経済的な不遇とモチベーションの喪失により2007年に活動を休止した GREEN CARNATION。しかし、マイルストーン “Light of Day, Day of Darkness” のワンオフショウを契機として再び翡翠の撫子に血が通い始めます。
5曲45分。最新作 “Leaves of Yesteryear” に純粋な新曲は3曲しか収録されていません。残りの2曲は “My Dark Reflections of Life and Death” の再録と BLACK SABBATH “Solitude” のカバー。しかし、過去曲の再訪を含め、この内容に不満を感じるファンはいないでしょう。
プログメタルでストーリーテリングを行う翡翠の煌めきは、14年の時を超えて成熟を導き一際その輝きを増していました。エピックという過去の忘れ物を取り戻すタイトルトラック、”Leaves of Yesteryear” には、たしかに ULVER, ENSLAVED, ANATHEMA, CANDLEMASS, KATATONIA といった異端メタルの巨人に宿る耽美や重厚、荘厳を想起させながら、より純粋化したプログメタルを紡ぐバンドの知性と哲学が込められています。
クラッシックロックへの憧憬を湛えた “Sentinels” のアラベスクな旋律、記憶に残るリフワーク、70年代に根ざす鍵盤の香りはまさにロックの黄金律。そうして輪廻の導きのもと、作品はよりドラマティックによりプログレッシブに生まれ変わった16分のセンターピース “My Dark Reflections of Life and Death” で “GREEN CARNATION 2020” の壮大を存分に見せつけるのです。
今回弊誌では、不世出のシンガー Kjetil Nordhus にインタビューを行うことができました。「ある意味僕たちはあのノルウェーブラックメタルシーンの “子供” なんだよ。あれから何年にもわたり、初期のブラックメタルバンドの多くは大きな変化を遂げ、音楽を発展させ、他からの影響をもたらしたね。
たとえば、最近 ULVER のファンになった人は、最初のアルバムを聴くとかなりショックを受けるはずだよ。もちろん、僕たちだってジャンルや影響に関して実験的なバンドだしね。 」 どうぞ!!

GREEN CARNATION “LEAVES OF YESTERYEAR” : 9.9/10

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