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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【URIAH HEEP : LIVING THE DREAM】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MICK BOX OF URIAH HEEP !!

“We Are a Family Away From Our Family So To Speak. I Have Always Said a Working Band Is a Happy Band And That Is Why We Smile a Lot. “

DISC REVIEW “LIVING THE DREAM”

凛々しきハードロックとプログの幻想が交差する、プロト-メタルの “桃源郷” URIAH HEEP。
波瀾万丈、紆余曲折を潜り抜け、半世紀の年輪を刻んだ今も未来への雄渾なる熱情を宿し続ける不死鳥は、ただ純粋にロックへの殉教に焦がれます。
悪魔の叫び David Byron、ハモンドの魔術師 Ken Hensley、そして Mr. ブルーノート Mick Box。三者三様の個性で織り上げるエピカルでシアトリカルなバンド初期のレガシーは、ヒストリーオブロックの一ページ、秘伝の黄金律として今も色褪せることはありません。
実際、Mick の野性味溢れるハードドライブと、Ken の翳りを帯びたプログレッシブなミステリーは David の艶やかな表現芸術を携えてこの上ないカタルシスを創出し、至高の “夢幻劇” は静の “July Morning” から動の “Easy Livin'” まで “対自核” のダイナミズムを深くその舞台に刻んだのです。
そしてもちろん、彼らの分厚くゴージャスなボーカルハーモニーは、しばしば比較を受ける DEEP PURPLE には存在しないものでしたね。
ただし、バンドのマスターマインド Mick Box は、その両翼を徐々に欠いた後も偉大なスピリットを穢すことは決してありませんでした。
アメリカの空を仰ぎ始めた John Lawton との冒険においても “Sympathy” では “哀れみの涙” をしめやかに流し、Peter Goalby を迎えたNWOBHM とのシンクロ二ティーでもそのキャッチーな魅力は些かも陰ることなく、そして何より Bernie Shaw との現行ラインナップが “Sea of Light” で見せたロマンチシズムは、バンド本来の魅力を存分に主張する新たなる決意の欠片だったのですから。
そして Mick は 長年バンドに貢献を続けた Lee Kerslake を健康問題で、Trevor Bolder に至っては逝去という悲しい理由で欠きながらも遂に更なるマイルストーンを築き上げました。
「まさに僕たちはロックに宿る夢を実現しているよね。そしてそれ故にアルバムタイトルになったんだ。」と語るように最新作 “Living the Dream” は、自らが辿った栄光と自由の軌跡。
オープナー “Grazed by Heaven” を聴けばリスナーは、来年結成50周年を迎えるバンドがこれほどまでにフレッシュでエネルギッシュな音楽を奏でることに驚愕を憶えるはずです。
Phil Lanzon が過去のレガシーを礼賛するハモンドの魔法を奏でれば、浮かび上がるはバンドの心臓、Mick の荒々しくも硬質なリフアタック。そうしてダイナモ Russell Gilbrook の卓越したパワーとテクニックは、Bernie を中心とする壮麗なる5ウェイハーモニーをも誘ってロックとプログの濃密なる交差点を作り上げていくのです。
一方で、クリアー&パーフェクトなプロダクションの妙は、今を生きるバンドの挑戦的でコンテンポラリーな姿をも浮き彫りにしていますね。
言ってみれば “Living the Dream” こそがブリティッシュハードの桃源郷なのかも知れません。タイトルトラックの QUEENにも匹敵する重層のコーラス、ZEP のフォークが花開く “Waters Flowin'”、 GENESIS への敬意を表明した “It’s All Been Said”、想像力を掻き立てる8分のプログエピック “Rocks in the Road” にメランコリックで壮大な “Dreams of Yesteryear”。枚挙に暇がありません。
そうして、キャッチーでフックに満ちた英国のバスストップにおいて、”Falling Under Your Spell” は特別な一曲となりました。
70年代から数えても、バンドにとって屈指のキラーチューン。もちろん、”Easy Livin'” を想起させるビッグなコーラス、ターボを積みこんだシャッフルビートに荒れ狂うオルガンサウンドはある意味ヴィンテージな “幻想への回帰” にも思えます。
しかし、「バンドのキャラクターを保つことはもちろん、同時に新鮮味を持ち込むことも重要だったんだ。」と語るように、サウンドのトータルバランスは群を抜いてモダンでダイナミック、不思議な程にフレッシュで現在を写す煌きのポートレートに思えるのです。テンポチェンジ、転調に静と動のコントラスト。アルバムを通してそうしたフックと緩急は常に新たな驚きと喜びをリスナーへと届けます。
きっとそれは巧みの熟練、そして “情熱” の成せる技なのかもしれませんね。常に音楽シーンの変化に目を光らせているという Mick の言葉は真実です。そして “悪魔と魔法使い” が出会う25回目の “魔の饗宴” は、新たなファンという更なる “罪なきいけにえ” を一層増やすに違いありません。
今回弊誌では、レジェンド Mick Box にインタビューを行うことが出来ました。「いつも言っているんだけど、よく働くバンドはハッピーなバンドだと思うんだ。僕たちもそうだし、だからこそたくさん笑えるんだよ。」どうぞ!!

URIAH HEEP “LIVING THE DREAM” : 10/10

INTERVIEW WITH MICK BOX

Q1: First of all, how was the live in Japan 2016? Actually, you played with focusing on “Look at Yourself” album at that time. Almost 50 years have passed since it’s release, but it has been very special record for you and fans, right?

【MICK】: It was great experience. We actually played ‘Demons & Wizards” in its entirety before and it was a lot of fun. And off course, ‘Look At Yourself’ is a very special album and it did have great impact in Japan when it was released.

Q1: まずは、アルバム “Look at Yourself” にフォーカスした2016年の来日公演について、感想を聞かせていただけますか?
作品のリリースからおよそ50年が経ちましたが、ファンやバンドにとって今でも特別なレコードのようですね?

【MICK】: 素晴らしい体験だったよ。実際、あのコンサートの前の来日では “Demons & Wizards” の完全再現を行って、とても楽しめたんだ。
もちろん、”Look at Yourself” はとても特別なアルバムで、特に日本ではリリース当時大きなインパクトを残したよね。

Q2: Also, Lucifer’s Friend was a special guest of the show. And John Lawton appeared to the anchor. Lot’s of fans were really excited about that! Anyway, have you or band keep contact with ex-members like John, Ken Hensley, Lee Kerslake?

【MICK】: I talk with Lee a lot on the phone and we occasionally go out to dinner. John and Ken, it is usually emails when there is something to discuss about our historical business.

Q2: LUCIFER’S FRIEND との共演、そして John Lawton を招き入れてのアンコールも大好評でしたね?
John や Ken Hensley, Lee Kerslake など過去のメンバーとはしばしばコンタクトを取っているのでしょうか?

【MICK】: Lee とは電話で良く話しているよ。時には夕食も共にする程の仲なんだ。John と Ken に関しては、大抵 E-mail で連絡を取っているね。バンドの歴史、権利関係のビジネスについて話し合う時にね。

Q3: Regarding ex-member, we lost John Wetton last year. Only two albums with Uriah Heep, but I think he is also important part of band’s history. Do you agree that?

【MICK】: Yes, most definitely! John had a powerful presence within the band and he contributed well.

Q3: 歴史、元メンバーと言えば、昨年 John Wetton が亡くなりましたね…バンドとは2枚のアルバムを残したのみですが、彼も重要な歴史の一部でしたね?

【MICK】: うん、間違いなくね!バンドの中でパワフルな存在感を放っていたし、とても良く貢献してくれたからね。

Q4: Now, let’s talk your newest record “Living the Dream”. Actually, succeeded in music industry, gained lot’s of fans, and keep continue the great band almost 50 years, I feel that is exactly “Living the Dream”, isn’t it?

【MICK】: Absolutely, it really is living the dream, hence the album title. We have a lot of new fans as well as those that have been with us from the beginning on this wonderful journey. We do have the greatest fans in the world.

Q4: では最新作 “Living the Dream” について話しましょう。実際、音楽で成功し、多くのファンに愛され、50年もバンドを続けるあなたの生き様こそ “Living the Dream” “夢を実現” しているのではないでしょうか?

【MICK】: 本当にそうだよね。まさに僕たちはロックに宿る夢を実現しているよね。そしてそれ故にアルバムタイトルになったんだ。実際、最初から僕たちを応援してくれているダイハードなファンに加えて、新たなファンも沢山開拓しているんだからね。素晴らしい旅だよ。世界で最も偉大なファンベースさ。

Q5: Actually, this is my favorite heep’s record as well as “Sea of Light” since 1986. I can’t believe you can still rock hard and make such an amazing, flesh record in 2018. What’s your driving force, or inspirations?

【MICK】: I guess the word would be Passion! We still have the same passion for our music as we have always had and this gives us the energy to keep on doing what we love.

Q5: それにしても “Living the Dream” は、1986年以降の作品では “Sea of Light” と並んで私の大のお気に入りとなりましたよ。
バンドは今でもハードにロックしていて、作品にフレッシュなエナジーを注いでいます。その原動力や、インスピレーションの源はどこにあるのでしょう?

【MICK】: 一言で言えば情熱だね!僕たちは今でも、これまで持ち続けてきたのと同じ情熱を音楽に注いでいるんだよ。そうすることで、僕たちが愛する音楽を続けるためのエナジーを得ることが出来るんだよ。

Q6: It seems Canadian engineer, Jay Ruston played important role in the record, right? I think Uriah Heep has always spirits of Rock and intelligent of Prog. When you making music, do you intend the balance between the two?

【MICK】: When Phil Lanzon our keyboard player and I got together to start writing songs for the album we decided that if we were writing something that needed to grow we would let it develop, rather than go to the normal formula of verse, bridge, middle, chorus. This happened on ‘Rocks in the Road,’ and ‘It’s All Been Said’ and it worked perfectly, bringing those songs into the prog genre. With Jay at the helm as the producer it was important for him to keep the character of the band but bring a freshness to it, which he did very well. He was a pleasure to work with and he has a good pair of ears for separation on instruments and yet keeping it sounding very powerful.

Q6: “Living the Dream” にも、URIAH HEEP のトレードマークであるロックスピリットとプログレッシブな知性はしっかり息づいていますね?

【MICK】: キーボードプレイヤーの Phil Lanzon と僕で集まって、新作のための曲作りを始めた時に決めたことがあってね。マテリアルを膨らましていくならば、それをどんどん進化させていこうとね。ヴァース、ブリッジ、ミドル、コーラスといったノーマルな形式に落ち着けるよりもね。
この方法論は “Rocks in the Road”, “It’s All Been Said” で使用され完璧に機能したね。ある意味楽曲をプログの領域へ導くことが出来たと思うな。
プロデューサーとして舵を取った Jay についてだけど、彼にとってバンドのキャラクターを保つことはもちろん、同時に新鮮味を持ち込むことも重要だったんだ。それに関して彼は本当に良くやってくれたね。一緒に働いていて楽しめたし、楽器ごとの音の分離にも良い耳を持っていて、とてもパワフルなサウンドを構築してくれたね。

Q7: Lee was health issue, and Trevor passed away… But basically, band’s lineup haven’t changed since 1986. You know, considering lot’s of member changes in 70’s~80’s, that’s really drastic change. What’s the reason of the stability of line-up?

【MICK】: We are in a situation that we all enjoy. We are the best of friends that like writing and playing music together. We play concerts in 61 countries around the world and so we are a family away from our family so to speak. I have always said a working band is a happy band and that is why we smile a lot.

Q7: Lee は健康面の問題から、Trevor は亡くなってしまいましたが、基本的にバンドのラインナップは 1986年から変わっていませんよね。
70年代から80年代初頭にかけての多数のメンバーチェンジを考えれば、このラインナップの安定は驚きかも知れませんね?

【MICK】: 僕たちは今、メンバー全員が楽しめる状況にいるんだよ。お互いに親友と言える間柄だし、それは作曲や音楽を共にプレイしている時も同様だよ。僕たちは世界中61ヶ国でコンサートを行ってきたし、だからこそ言ってみれば家族から離れていても、バンドのメンバーが家族のようなものなんだよ。
いつも言っているんだけど、よく働くバンドはハッピーなバンドだと思うんだ。僕たちもそうだし、だからこそたくさん笑えるんだよ。

Q8: So, Internet, SNS, digital recording, streaming service… the surroundings of Rock music have been changed drastically. What’s your perspective about the “change”?

【MICK】: To be honest we just have to embrace it and find our niche and make it work for us. There is good and bad about it all, but there is no use moaning about it because that is the way of the world. The way we buy and listen to music has changed drastically and very little is tactile now, as it is all on one button on your computer. Out of choice, I personally still listen to my music on Vinyl on my record player, but I also have to use what is out there too to keep a handle on everything and understand how our audience is listening to their music, so I keep in touch. Our new album ‘Living The Dream’ is on Vinyl which I am delighted with.

Q8: インターネットや SNS、ストリーミングサービスの普及により、音楽産業やロックシーンはドラスティックな変化を遂げました。
長年シーンを見守り続けるあなたの目には、その変化はどの様に映っていますか?

【MICK】: 正直に言って、僕たちはそういった変化に対して前向きに適応して行かなければならないと思う。僕たちにとって適した部分を見つけて、上手く機能させていけばいいんだよ。
当然だけど、全てのことには良い面も悪い面もある。だけど不平を口にしても仕方がないからね。だってそれが世界の進んでいる道だから。
確かに僕たちが音楽を買ったり聴いたりする方法はドラスティックな変化を遂げて来たね。現在では、ほとんど CD のようなフィジカルそのものに触れることはなくなったし、ただコンピューターのボタンを一押しすれば音楽を聴くことが出来るようになっているからね。
個人的な好みで言えば、僕は未だにレコードプレイヤーでヴァイナルを聴いているよ。だけど同時に、僕はそういった変化の中から生まれたものを使用して全てを把握しておくべきなんだ。オーディエンスがどの様に僕たちの音楽を聴いているのか理解するためにね。だから僕は常に変化を追い続けているんだよ。
ただ、新作 “Living the Dream” がヴァイナルでもリリースされたのは嬉しいよね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED MICK’S LIFE

THE JEFF BECK GROUP “TRUTH” or “BECK-OLA”

VANILLA FUDGE “VANILLA FUDGE” or ROCK & ROLL”

NEIL YOUNG “AFTER THE GOLDRUSH” or “HARVEST”

  

THE WHO “LIVE AT LEEDS”

GRAHAM NASH “SONGS FOR BEGINNERS”

I am a Gemini so what I choose today I will change tomorrow but for today here is my list.

MESSAGE FOR JAPAN

We love playing concerts in Japan and we cannot wait to come to Tokyo and Osaka on March 2019 in support of our new album ‘Living the Dream.’ It is always a great pleasure to play for our Japanese fans and we will bring 100% of our passion and energy to play the best live concerts ever. We hope to see you all there for a magical evening of music. Thank you so much for your support over the years as it means the world to us. ‘Appy days! Mick Box URIAH HEEP

僕たちは日本でコンサートを行うのが大好きなんだ。来年の3月に、東京と大阪で最新作 “Living the Dream” をサポートするツアーを行うのが待ちきれないよ。
日本のファンのためにプレイするのはいつだって大きな喜びだし、僕たちは情熱とエナジーを100%持ち込んで、今までで最高のコンサートにするよ。そんなマジカルな音楽の夜に、みんなに会いたいね。本当に長年に渡るサポートをありがとう。僕たちにとって掛け替えのないものだよ。”Appy Life!” 幸せな日々を! (Happy の H が落ちているのは、バンド名 URIAH HEEP の出自であるディケンズの小説 “David Copperfield” の描写に由来し、しばしば使用している)

MICK BOX

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CONJURER : MIRE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRADY DEEPROSE OF CONJURER !!

“Dan And I Bonded Over Our Mutual Frustration With How Shit The Local Scene Had Become And How Bored We Were With Metalcore. Conjurer Ended Up Being The Product Of This.”

DISC REVIEW “MIRE”

2015年、英国ミッドランズに突如として現れた魅力的なエクストリームミュージックの醸造所 CONJURER は、刺激に飢えたメタル中毒者を酔わせ、瞬く間に熱狂の渦を巻き起こしています。
スラッジ、ドゥーム、ハードコア、プログ、そしてブラック&デスメタル。香り高き金属片の数々をエクレクティックに調合し精製する芳醇なるアマルガムは、Holy Roar 主導で進められる Neo-New Wave of British Heavy Metal の象徴として踏み出す大胆で鮮烈な一歩です。
「僕にとっては GOJIRA と THE BLACK DAHLIA MURDER こそがスターティングポイントだった訳だからね。そして決定的な瞬間は YOB をライブで見た時だった。」
インタビューで Brady が語ってくれた通り、CONJURER が創成したのは圧倒的に面妖で不穏なスラッジ成分、神秘と思索のプログ成分に、相隔相反するファストで激烈なメタルコアの獰猛を配合した超俗の美酒 “Mire”。その崇高なる多様性の香気は、レーベルの理念とも完璧にシンクロしながら厳かに新時代の幕開けを告げています。
アルバムオープナー “Choke” は、この混沌と斬新を見渡す眺望。濾過以前の純粋な憤激。あまりにハングリーなテンポチェンジの妙。
GOJIRA と NEUROSIS の遺伝子を纏った野太くもエッジーな唸りは、不協和音の沼沢、閉所恐怖症のハーモニーを彷徨いながら瞬時にファストで狂乱のブラックメタルへとその色を変えていきます。さらにその底流は Frederik Thordendal のプライドとも合流し、ただ陰鬱で悲惨な音景を表現するためのみに結束を強くするのです。
実際、泥と霧に覆われた不気味で不透明な原始沼をイメージさせる “Mire” というタイトルは、明らかに限られたリスニングエクスペリエンスでは全貌を掴めない、繰り返しの再生を要求するアルバムの深みと間口、そして芸術性を象徴していますね。
「多くのバンドは一つか二つのメジャーな影響を心に留めながら作曲していると思うんだけど、僕たちはどの瞬間も30ほどの影響を考慮しながらやっているんだ。」との言葉を裏付けるように、バンドは様々な風景をリスナーの脳裏へと刻み続けます。
“Hollow” で示されたドゥーミーなメランコリー、クリーントーンの旋律はポストロックの景観さえ抱きしめた、陰鬱なアルバムに残る微かな希望。しかしその幽寂なるサウンドスケープは、やがて宿命の如く地の底から襲い来るブラッケンドハードコアの波動、濁流に巻き込まれ押し流されてしまうのです。その落差、静と動、速と遅が司るダイナミズムの効果はまさしく無限大。
それにしてもバンドの落差を支えるリズム隊は破格にして至妙。特に様々なリムショットを華麗に使い分け、楽曲のインテンスを高める Jan Krause のドラムワークは新たなヒーローの名に相応しい創造性に満ちていますね。
“Thankless” で敬愛する MASTODON に感謝なき感謝を捧げ、”The Mire” で再びホラー映画のテンポチェンジをショッキングに見せつけた後、アルバムは終盤にハイライトを迎えます。
静謐の谷と激情の山脈を不穏に繰り返し行き来する “Of Flesh Weaker Than Ash” で 「GOJIRA はデス/ブラックメタルの要素を作曲に活用しながら、ヘヴィーな音楽を実にキャッチーに変化させることが出来ると教えてくれた訳さ。」の言葉通りエクストリームメタルのフック、イヤーキャンディーを張り詰めたテンションの中で実現し、SLEEP のファズサウンドをフューネラルドゥームの寂寞とプログスラッジのエピックに封じた “Hadal” でレコードは新世界への扉を開きながらは威風堂々その幕を下ろすのです。
今回弊誌では、ギター/ボーカル Brady Deeprose にインタビューを行うことが出来ました。「ギター/ボーカルの Dan Nightingale と僕は、当時同じようなフラストレーションを抱えて仲良くなったんだ。ローカルシーンがいかにクソになったか、メタルコアがいかに退屈かという鬱憤だよ。」 どうぞ!!

CONJURER “MIRE” : 9.9/10

INTERVIEW WITH BRADY DEEPROSE

Q1: This is the first interview with you. So, at first, could you tell us about yourself and your band? What kind of music did you listen to when you were growing up?

【BRADY】: We’re 4 guys based in and around Rugby which is in The Midlands, England, UK. We all have vastly different tastes, backgrounds, and personalities and it’s kind of a miracle that this band is as functional as it is. We make heavy music and try to be as uncompromising as possible in our collective vision of what this band should be.
I first got into music when my Dad used to play me his Adam And The Ants & Oasis cassettes but it wasn’t until he got Permission To Land by The Darkness that my eyes were really opened to rock music. From then on, especially going into secondary school, I got into heavier and heavier music starting with bands like Bullet For My Valentine, Trivium, and Enter Shikari and progressing through to Gojira and The Black Dahlia Murder, the acts that kind of kicked of my love of more extreme music.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドから聞かせていただけますか?

【BRADY】: 僕たちはイングランドのウエストミッドランド、ラグビー周辺をベースとした4人組さ。全員が非常に異なるテイストやバックグラウンド、そして個性を持っているよ。
だから、このバンドがありのままの4人を抱えてそれでも機能しているのは奇跡のようなものだね。ヘヴィーな音楽を創造しているんだけど、とにかくバンドが何をすべきかという集団的ビジョンにおいて、出来るだけ妥協を許さないようにしているよ。
僕の最初の音楽との出会いは、父が良く聴かせてくれていた ADAM AND THE ANTS と OASIS のカセットテープだったね。だけど僕が本当にロックに開眼したのは、彼が THE DARKNESS の “Permission to Land” を聴かせてくれてからなんだ。それ以来、特に中学生の間はどんどんヘヴィーなバンドにのめり込み、バンドを始めるようになったのさ。
BULLET FOR MY VALENTAIN, TRIVIUM, ENTER SHIKARI, さらにそこから GOJIRA, THE BLACK DAHLIA MURDER といったバンドにね。そういったバンドたちが僕のエクストリームミュージックへの愛を深めてくれたのさ。

Q2: It all started with Facebook. Brady asked if anyone would like to form a death metal band in the vein of Gojira and The Black Dahlia Murder. Off course, later your music became more diverse, but why did you choose these two at first?

【BRADY】: Like I said, these two band were the starting point for me when it came to more extreme music – I’d always been fascinated by death metal but found blastbeats and that kind of intense, claustrophobic songwriting too difficult to get into. Gojira showed me that you can use those elements with a focus on songwriting and make heavy music really catchy. Dan (Nightingale, Guitar/Vocals) and I bonded over our mutual frustration with how shit the local scene had become and how bored we were with metalcore, which is what we’d mainly been doing beforehand – Conjurer ended up being the product of this. The defining moment, certainly for me, was when we saw Yob play at The Underworld – that performance was so powerful and life-affirming, we just had to make this band a reality. Also, Bast opened that show, who are a great UK doom band if you don’t know them.

Q2: 仰るように、GOJIRA と THE BLACK DAHLIA MURDER はバンドの始まりに大きな影響を与えたようですね?

【BRADY】: そうなんだ。さっきも言ったけどその2つのバンドこそ、エクストリームな音楽に関しては、僕にとってはスターティングポイントだった訳だからね。
というのも、それまで僕は確かにデスメタルに魅了されていたんだけど、ブラストビートやああいった強烈で閉ざされたソングライティングはなかなか理解出来ずにいたんだよ。
GOJIRA はそんな僕に、そういった要素を作曲に活用しながら、ヘヴィーな音楽を実にキャッチーに変化させることが出来ると教えてくれた訳さ。
ギター/ボーカルの Dan Nightingale と僕は、当時同じようなフラストレーションを抱えて仲良くなったんだ。ローカルシーンがいかにクソになったか、メタルコアがいかに退屈かという鬱憤だよ。その2つこそ、それまで僕たちが関わっていたものなんだけどね。そして CONJURER こそがそのフラストレーションの産物なんだよ。
僕にとって、後の CONJURER を決定づけた瞬間は YOB が The Underworld でプレイするのを見た時だろうな。とてもパワフルで、人生を肯定するようなパフォーマンスだったね。それでこのバンドを実現しなくてはと思ったのさ。
それに BAST がそのライブのオープニングを務めたんだ。偉大な UK のドゥームバンドなんだよ。(2014年、他に PALLBEARER も出演。)

Q3: OK, let’s talk about amazing debut full-length, “Mire”. At the top of the list is 5-K in the Kerrang!, lot’s of fans and critics praised your record so much. Even some says you are a savior of Metal, haha. Did you expected such a great reactions?

【BRADY】: Honestly not at all. I think a lot of bands start out with some sort of game-plan or aspirations for the project – we honestly just wanted to make cool music and as long as we’re doing that, we’re happy. Obviously, it’s been really cool to get the reception we’ve had to the record and the live shows, but it’s not why we do this. I’ve always said we’d be giving the same performance to 5 people in the back room of a local pub if that was all on offer to us, we fucking love these songs.

Q3: では素晴らしきデビューフル “Mire” について話しましょう。Kerrang! での “5K” を皮切りに、多くのファン、評論家から絶賛される作品となりましたね?

【BRADY】: 正直、こんな反響は予想もしていなかったよ。多くのバンドがゲームプランやある種の願望を持って活動を始めると思うんだけど、僕たちは正直ただクールな音楽を作りたかっただけで、そうある限り満足なんだよ。
明らかに、僕たちのレコードやライブがそういった歓迎を受けて来たのはクールだよ。でもだからって、そのためにこのバンドをやっている訳じゃないからね。
いつも言っているんだけど、僕たちは例えローカルパブの後方に陣取る5人のためにだって、同じパフォーマンスを披露するよ。ただ僕たちはこの楽曲たちをとても愛しているんだよ。

Q4: It seems there is kind of “Dark” “Gloomy” synchronicity between artwork, album title, and lyrics. Could you tell us about the theme of “Mire”?

【BRADY】: This is quite a weird one as there was no intentional or specific theme. We started writing and just didn’t stop, pretty much from day 1. When we decided to do the EP, we had several tracks that ended up on Mire finished and ready to record – it’s just that the 4 on the EP were the only ones that really worked together. So when it came to doing a full record, we only had a few songs left to finish off. This was great as we could get everything moving quickly, but did mean that nothing was particularly cohesive, which makes it really cool when people tell us how much the record sounds ‘like an album’ – it’s literally just a collection of songs. What I will say, however, is that we spent a fucking long time on the track listing, trying to make the songs flow together in a logical way as well as ensuring they fit on an LP.
The artwork is a concept based on the lyrics to ‘The Mire’, which is Dan’s interpretation of the Lyke-Wake Dirge – an old English folk song that depicts the soul’s journey from Earth to Purgatory. Rodrigo Almanegra did the artwork and we’re extremely pleased with it, he also did a sketch for each track which sit opposite their respective lyrics in the booklet. Speaking of lyrics, there’s no set concept for the record and really nothing that would be off-limits for us to talk about going forward. The record deals with folklore, nature, the idea of existence under a creator, fame & The Media, and loads more – I guess the thing tying everything together is, as you said, that it’s rooted in misery.

Q4: アートワーク、タイトル、リリックに音楽。”Mire” はダークでグルーミーなムードがある種シンクロしているようなレコードですね?

【BRADY】: 不思議なことに、この作品には特定の意図やテーマといったものは設けられていないんだ。僕たちは作曲を始めたその日からその勢いはとどまる事がなかったね。
EP “I” をリリースすると決めた時、すでに “Mire” を完成させるための楽曲がいくつかあったんだ。というのも EP に収録したのは4曲のみだったからね。だからフルアルバムを作るとなった時に、完成させなければならないのは本当に何曲かのみだったのさ。
もちろん、迅速に全てを進めることが出来たのは良かったんだけど、逆に言えばこの作品は特別な ‘纏まり” を意図して作られた訳ではないんだよ。だからみんなが、このアルバムがいかにアルバムらしい作品か話してくれるのは本当にクールなんだ。文字通り、楽曲をただ集めただけなんだけどね。
ただし、僕たちは本当に長い時間をかけて楽曲を聴き、論理的かつ LP に確かにフィットするよう楽曲の流れを考慮したんだよ。
アートワークは “Mire” の歌詞をベースのコンセプトとして描かれたんだ。そのコンセプトとは、Dan が地球から煉獄への魂の旅を描いた古いイギリスの民謡 “Lyke-Wake Dirge” を解釈したものなんだけどね。Rodrigo Almanegra がアートワークを手がけたんだけど、本当に満足しているよ。彼は各楽曲をイメージしたスケッチも残してくれてね。それはブックレットの歌詞の反対側に載せているよ。
歌詞について言えば、このレコードにコンセプトはないんだ。そして、今後も僕たちがテーマを限定されることはないよ。アルバムは、フォークロア、自然、クリエイターとして生きること、名声とメディア、そしてさらに多くのものを扱っているんだ。そして、君の言った通り、確かに全てが “悲惨” に根ざしているという意味では纏まっているんだよ。

Q5: Generally, Metalcore, Death metal is fast, aggressive and Doom, Sludge is slow, depressive. That’s why no one haven’t mixed these two elements. But you did it very organic way. What inspired you to mix such a contrasting aspects?

【BRADY】: The inspiration comes, quite simply, from the fact that we all have such varying tastes in music. I think a lot of bands come together with one or two major influences in mind – we’re attacking writing with 30 in mind at any given moment, and they’re always involving or being added to. This means we’re always open to new ideas and have no trouble trying lots of different stuff to try and find something exciting or new.

Q5: ファストでアグレッシブなメタルコアと、スロウでディプレッシブなドゥームはある意味正反対で、故にこれまで誰もミックスして来なかった訳ですが、CONJURER は実に自然にその融合を果たしていますね?

【BRADY】: 実にシンプルな話だよ。その試みのインスピレーションは、僕たち全員がバラエティー豊かに音楽を聴いているからこそ降りて来たんだよ。
恐らく、多くのバンドは一つか二つのメジャーな影響を心に留めながら作曲していると思うんだけど、僕たちはどの瞬間も30ほどの影響を考慮しながらやっているんだ。そしてそれらはいつも関係し、付加されながら完成に近づいて行くんだよ。
つまり、僕たちはいつも新たなアイデアにオープンだし、多くの異なる要素を試したり、エキサイティングで新たな何かを発見することを全く恐れないんだよ。

Q6: Also, from sludge, doom, to prog, black, death, hardcore, metalcore, your music has wider variety, more diverse world. Actually, I think such eclectic sound, diversity is cutting edge of metal scene, and definitely you are in the front line of it. Do you agree that?

【BRADY】: That’s very kind of you to say. While we’re certainly not the first band to cut down on traditional musical barriers we do it with a lot of care and attention to detail. Every single bar is argued over and practised and streamlined and perfected over many many months. We don’t like to waste time and would rather re-write a song that isn’t totally perfect that just live with it – this is essential when you don’t fit squarely into one genre as you can end up sounding like you’ve just tacked loads of different ‘bits’ together.
The real thing to mention here is that we don’t actually see any of what we do in terms of ‘genre’ – everything is just different techniques or ways of achieving a certain feel/mood. It’s only after a song is complete that we can sit back and say, ‘Okay, this is the Thrash bit and this is the Black metal bit…’ etc.

Q6: 仰る通り、スラッジ、ドゥームからプログ、デス、ブラック、ハードコーアにメタルコアと幅広いエクレクティックなサウンドはまさにメタルシーンの最前線に位置していますよね?

【BRADY】: そう言ってもらえるのは本当に嬉しいよね。ただし、トラディショナルな音楽のバリアを取り放ったのは僕たちが初めてではないんだよ。ただし、僕たちは非常に注意深く、細部までケアしながらその試みに挑戦しているんだけどね。
どのパートも何ヶ月に渡って議論、精査され尽くされているんだよ。もちろん時間を無駄にするのは嫌いだけど、完璧ではない楽曲をそのままにしておくよりは、書き直すことを選ぶね。あるジャンルが完璧にハマらない時、別の異なる要素を試してみるのは必然だからね。
ただし、ここで必ず言及すべきことは、制作中、僕たちが実際には “ジャンル” の面で何をしているのかわかっていないということだね。すべては異なるテクニック、もしくはその時々のある気分やムードを達成する方法でしかないんだよ。
「OK、ここはスラッシュメタルで、これはブラックメタル…」などと理解するのは、曲が完成した後なんだよ。

Q7: Is there anything you’re particularly proud of on the record? In your writing process, does everyone contribute to composition?

【BRADY】: The majority of the writing is Dan and Jan (Krause, Drums), but I put in a few bits on the record, specifically the majority of ‘Of Flesh Weaker Than Ash’ which I’m incredibly proud of. We do all add in ideas and structural bits as the rehearsing process goes on but yeah, Dan and Jan are the creative driving forces behind Mire. I think the fact that we’ve actually made a record we can all agree on is a fucking miracle so I’m sure all the guys would agree that we’re proud of that.

Q7: ライティングプロセスには全員が貢献したのでしょうか?

【BRADY】: 作曲の大半は Dan と ドラマーの Jan Krause が行ったんだけど、僕もこのレコードにはいくつかインプットを行ったよ。特に “Of Flesh Weaker Than Ash” は大半が僕の作曲だから、とても誇りに思っているんだ。
それにもちろん、バンド全員がリハーサルのプロセスからアイデアや構成の部分で貢献しているよ。ただ、Dan と Jan が “Mire” のクリエイティブなエンジンであったことは間違いないね。
僕は全員が納得のいくレコードを生み出せた事実は、ある意味奇跡だと思うんだ。だから全員が当然この作品を誇りに思っていると信じているんだ。

Q8: So, Holy Roar Records definitely catches a great deal of attention from metal scene. And you are one of the headliner of the label. What’s your perspective about the label’s view and rooster?

【BRADY】: It’s such an amazing place to be as a new band – Holy Roar only want to push and nurture creativity which is exactly what we’re about. Their attitude is completely aligned with ours too: no bullshit, absolute quality, fuck the norm. The roster is of an unbelievably and consistently high quality, I’m certain that this era will be looked back on as a really important time for UK heavy music in years to come.
With regards to hilights on the roster, I’ve been listening to both the upcoming OHHMS & Pijn records while writing this interview – these are two utterly phenomenal bands in the uk post-music scene that we’ve been lucky enough to tour with and their new albums both push their sounds into exciting new territories. I wholeheartedly recommend you check them out.
If Holy Roar is a label that excites you, you can subscribe via their bandcamp and get a new release each month mailed direct to you before they’re available to the public. You also get cool behind-the-scenes shit and a discount on merch. Through this service, I’ve discovered Apologies I Have None and Haast’s Eagled, both bands which I’m now a huge fan of and possibly wouldn’t have listened to otherwise.

Q8: 所属する Holy Roar Records もあなた達と同様、メタルシーンから大きな注目を集めていますよね?

【BRADY】: 新しいバンドにとってこんなに素晴らしいレーベルはないよ。Holy Roar はただクリエイティビティーをプッシュし、育みたいだけなんだ。まさに今の僕たちみたいなバンドのね。彼らのアティテュードは、僕たちのそれと完全に一致しているんだ。クオリティーが全て、規範なんてクソ喰らえってね。
実際、ロースターは最高だし、常に高いクオリティーを誇っているね。僕は何年かして振り返った時に、今この時代が UK のヘヴィーミュージックにとって本当に重要な時期だったとなるに違いないと思うね。
ロースターのハイライトについてだけど、ちょうど僕は OHHMS と PIJN の新作を聴いていたところなんだ。本当に彼らは UK のポストミュージックシーンにおいて絶対的に偉大なバンドだよ。彼らとツアー出来て実にラッキーだったね。彼らの新作は両方とも、さらにそのサウンドをエキサイティングで新たな領域へとプッシュしているね。心からチェックすることを勧めるよ。
もし Holy Roar のアーティストが気に入ったなら、リリースより早く毎月音源が送られてくるようなサブスクリプションも Bandcamp に用意されているからね。マーチも安くなるし。僕もそのサービスで、今では大ファンの APOLOGIES I HAVE NONE と HAAST’S EAGLED を見つけたからね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED BRADY’S LIFE

KENDRICK LAMAR “TO PIMP A BUTTERFLY”

THE DARKNESS “PERMISSION TO LAND”

GOJIRA “THE WAY OF ALL FLESH”

THE BLACK DAHLIA MURDER “RITUAL”

THE DECEMBERISTS “THE HAZRDS OF LOVE”

MESSAGE FOR JAPAN

Hello! Thank you for taking the time to read this – we would fucking love to get out and tour in Japan in the next couple of years. I hope you enjoy our record, the next one will be much better.

やあ!時間を割いて僕たちのインタビューを読んでくれてありがとう!これから何年かのうちに、日本ツアーを実現させたいと本当に願っているよ!レコードを楽しんで。次のアルバムはもっと良くなるよ。

BRADY DEEPROSE

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ROLO TOMASSI : TIME WILL DIE AND LOVE WILL BURY IT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAMES SPENCE OF ROLO TOMASSI !!

“There Has Always Been a Fit Balance The Dark And The Light In Both Our Music And Lyrical Themes. I Still Think There Is Darkness Within “Time Will Die and Love Will Bury It” But The Light Is Definitely Winning.”

DISC REVIEW “TIME WILL DIE AND LOVE WILL BURY IT”

シェフィールドのジキルとハイド。光彩と陰影を司る、世界で最も拡張的で多様なエクストリームイノベーター ROLO TOMASSI が遂に到達するダイナミズムの極地。
最新作 “Time Will Die and Love Will Bury It” はさながらピンボールのように、崇高と混沌の狭間を行き来しながらプログレッシブマスコアのフロントローを奪取します。
デビュー作 “Hysterics” から10年。バンドは常に再創造、再発明によるコアサウンドの “羽化” を続けながら、気高き深化を遂げて来ました。シンセ-レイドゥンのデジタルなマスコアサウンドから旅立つ分岐点、ターニングポイントとなったのは前作 “Grievances” だったのかもしれませんね。
アグレッションやマスマティカルな理念はそのままに、より有機的でアトモスフェリックな方法論、パッセージを導入したアルバムは、仄暗い暗澹たる深海に息継ぎや空間の美学を投影したユニークかつ思慮深き名品に仕上がったのです。
事実、バンドのトレードマークであったビビッドに拡がるシンセの響きでさえ、大部分が物憂げなピアノとストリングスの音景へそのポジションを譲渡していたのですから、実にドラスティックな革新だったと言えるでしょう。
“Time Will Die and Love Will Bury It” はその新風を追い風に、常にバンドに息衝く変化への渇望をより鮮明に表層化した作品です。
そして同時に、「確かに “Grievances” は罪と後悔にフォーカスしたとてもダークでモノクロームなレコードだったよね。そして僕はあのレコードで書いた全てのものを克服したかったんだよ。」と James が語る通り、不満と後悔に決別を告げるリスタートの表明でもあるのです。
“Grievances” の宵闇を洗い流す、セレスティアルでアンビエントなイントロダクション “Towards Dawn” でレコードの風向きを仄めかした後、バンドは “Aftermath” で耀きポストロックのドリームスケープを暁に捧げて作品の針路を決定づけます。
時に悪魔にも豹変する Eva Spence のスイートサイド、エセリアルに漂う歌声は実際、奔放かつ痛烈なマスコアにシューゲイズやエモ、インディーロックを渾融する彼らの新たなレジスタンスを想像以上に後押ししていますね。神々しきシンセサウンドが重厚に押し寄せる光のイルミネーション “A Flood of Light” はポストブラックとバンドの実験性が波打つ新機軸のシンボルと言えるかも知れませんね。
一方で、光は闇により際立ちます。ブラッケンドなビートにハードコアの激情、さらにドゥーミーな不穏を宿す “Ritual”、エレガントな幻想と無慈悲な悪夢が抱擁する “The Hollow Hour” などエクストリームミュージックの暗い場所から抽出したテクスチャーはより鮮明に、ダイナミックにレコードの光輝を映し出すこととなったのです。
アルバム各所に散りばめられたメランコリックなピアノとコーラスも、コントラストの魔法を際立たせ、ダイナミズムの終着点 “Balancing the Dark” では複雑な時間操作とジャズの魅力で、文字通り危うく絶妙なバランスポイントを提示するのです。
アルバムは “Risen” で Eva の嫋やかな歌声により、優しき静謐を抱きしめながら緩やかに埋葬されます。エンジェリックなソプラノボイスは “時のレクイエム” の中で、再度 UK で最もエクレクティックなバンドの遥かなる円熟を見せつけながら虚空へと消え去って行きました。
今回弊誌では、コンポーザーでキーボードプレイヤー、時に妹 Eva とパワフルなデュエットを聴かせる James Spence にインタビューを行うことが出来ました。「MOL や CONJURER といったバンドはモダンメタルの最前線にいるよ。」確かに今年はエクレクティックを掲げる Holy Roar Records の年と言えるかも知れませんね。二度目の登場です。とうぞ!!

ROLO TOMASSI “TIME WILL DIE AND LOVE WILL BURY IT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FRONTIERER : UNLOVED】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PEDRAM VALIANI OF FRONTIERER !!

“I Find Reviewers, Fans And Critics Are Often Guilty Of Wanting To Consume a Record On a Commute. That Attitude Of Convenience Doesn’t Resonate With Me And I Listen To My Records The Way I’d Like To Listen To a Record As a Fan.”

DISC REVIEW “UNLOVED”

2015年、”世界で最も醜悪なマス-プロブレム” の異名と共にデビューフル  “Orange Mathematics” で来臨したスコットランドとセントルイスの混成軍 FRONTIERER は、即座にシーンのセンセーションとなりました。
「愚かなほどにヘヴィーな音楽を創造する。」ただそれだけの目的と欲望のために生を受けた騒音の開拓者が切り開くフロンティアは、まごう事なきネクストレベルの Tech-metal です。
難解な数式を深々と組み込んだ変拍子の渦、ブレイクビーツとジャングルテクノの鋭き破片、ブラッケンドの無慈悲なアグレッション。Pedram 言うところの “コントロールされたランダム”、予測不能の方程式は THE DILLINGER ESCAPE PLAN 亡き後のマスコアワールドを支配する威厳と光輝に満ちています。
SECTIONED のギタリスト Pedram Valiani と A DARK ORBIT のスクリーマー Chad Kapper がサイドプロジェクトとして開始した FRONTIERER は、そうして活性化する活動を背景にフルバンドとなった今、最新作 “Unloved” で不穏で剣呑な進軍を再開するのです。
橙から赤へと危険指数を増したアートワークそのままに、オープナー “Tumoric” からバンドは一気呵成にカオスの洪水を叩きつけます。Chad の切迫したスクリームを狼煙に、狂気を宿したエレクトリックギターのワーミーなサイレンは、不規則な規則性を持つアグレッションの海で一触即発、物騒なダンスを踊ります。
実際、途切れる事なく襲いかかるアルバムの序盤は脅威でしかありません。パンチドランカーの如くその痛みに酔いしれたリスナーは、電子ノイズを塗した”Flourescent Nights”, “Designer Chemtrails” と聴き進めるうちに、Pedram のペダル、EarthQuaker Devices のハーモナイザーこそ怪物で、暴力と知性、エナジーとデジタルの狭間で快楽の拷問を享受しているようにも感じるかも知れませんね。
一方で、Pedram が 「僕は最後にピークを迎えるレコードを書くのではなく、実験の大半が中央に配されたレコードを書きたいと思っているんだ。」と語るように、 “Heartless 101” を分岐とした中盤の鮮烈な実験性は FRONTIERER のパレットに挿された色彩の拡がりを証明します。
実際、ノイズマスター CAR BOMB の Michael Daffener, Greg Kubacki とのコラボレートから誕生した “Heartless 101” はあまりに異彩を放つマスコアの新天地です。近年の CONVERGEをも想起させるメロウで憂鬱、ドゥーミーなムードから一変、Chad の咆哮 “Die Slowly” で世界はノイズの混沌、黙示録へとその色を変えます。
その名状しがたき不確かなデジタルハードコアの萌芽は、”Unloved & Oxidized” で光のアトモスフィアさえ放出しながらグロテスクに前時代の腐敗を促し、”Electric Gag” に投影されたバンド史上最もスロウなグルーヴとグリッチーなエレクトロニカの霞は、遂に使い古されたマスコアのクリシェへ望み通りの緩やかな死を与えるのです。事実、普遍的なブレイクダウンさえ、彼らの手にかかれば瑞々しき未踏のスロウバーンへとその姿を変えています。
マスコア、ノイズ、スラッジにグリッチなエレクトロニカを調合し、飲み干せばスリルが口一杯に広がる予測不能の危険なカクテル。「大きな変化への一歩が作品をほとんど消化不能にすることだと思うんだ。」と語るように、少なくとも “コンビニエンス” に作品を消費するリスナーがこのグラスで酩酊することはないでしょう。
今回弊誌では、ギタリストで首謀者 Pedram Valiani にインタビューを行うことが出来ました。
「僕は、レビュワー、ファン、評論家が時に通勤、通学でレコードを消費する罪を犯していることに気づいたんだ。そういった “コンビニエンス” なアティテュードは少なくとも僕には響かないよ。」どうぞ!!

FRONTIERER “UNLOVED” : 9.9/10

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SPECIAL INTERVIEW 【RENAISSANCE : A SYMPHONIC JOURNEY】JAPAN TOUR 2018 !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANNIE HASLAM OF RENAISSANCE !!

PHOTO BY BRIAN TIRPAK

“I Have Been Blessed That My Voice Has Stayed Strong… I Really Love To Sing The Songs Of Renaissance.”

A SYMPHONIC JOURNEY

60年代後半、ブリティッシュロック第2の波はメインストリームに清新な音風を吹き込みました。質量を纏ったロックンロールは、ジャズ、フォーク、クラシカル、そしてポップミュージックと融合し華麗なオーケストラを奏で始めたのです。そして、至高のコンダクターが集うそのムーブメントは、”プログレッシブロック” “進化するロック” と称されるようになりました。
残念なことに、ムーブメントの中で RENAISSANCE は、YES, KING CRIMSON, そして GENESIS ほどの盛名を馳せた訳ではありません。”Northern Lights” のヒットが生まれた70年代後半まで、バンドがチャートを賑わせたりスタジアムをフルハウスにすることはありませんでしたし、何より彼らは前述のコンダクターたちほどテクニカルでも、フラッシーでも、実験的でもなかったからです。
しかし、RENAISSANCE にはクラシック音楽、フォーク音楽をオーケストラルに、シンフォニックにロックへと昇華する唯一無二の独自性が確かに存在していました。
「私たちの音楽は魂の深い部分に触れるものなの。」 Annie Haslam のオペラティックに舞い上がる5オクターブの声翼、Jon Camp のメロディックに推進力を秘めたベースライン、そして Michael Dunford のデリケートで味わい深いギターアレンジメント。彼らのプログルネサンスはただ一貫して魂に触れる音楽の追求だったのです。
世界初のシンフォニックロック女性シンガー Annie が RENAISSANCE に加入したのは “移行” の時期でした。YARDBIRDS のレジェンド Keith Relf が着手した「ロックにクラシックやフォークをブレンドして進化を遂げる」構想はそのままに、メンバー全てが交代しリリースした”Prologue” からバンドは躍動を開始します。Annie のそびえ立つ美声、John Tout のジャジーでラテンな鍵盤捌き、Jon Camp の華麗なベースライン。エレガントなタイトルトラックはまさしくルネサンスイズムの芽生えでした。
バンドのクリエイティブフォースである Michael Dunford が正式に復帰し、オーケストラを導入した “Ashes Are Burning” は ELP や YES のファンの目を惹くに充分なクオリティーを誇るブレイクスルーアルバムとなりました。Dunford の緻密で淡く、マジェスティックなアレンジメント、アコースティックの響きは完璧なまでにバンドにフィットし、オープナー “Can You Understand?” で魅せるロックとクラシカル、そしてフォークの目眩くコントラスト、ダイナミズムは作品をプログレッシブの名作として長らく語り継がれるマイルストーンへと押し上げたのです。
作品を重ねるごとに RENAISSANCE はそのプログレッシブのイヤーキャンディー、シンフォニックでエセリアルな天にも昇る聴き心地を高めていきました。中でも、75年にリリースした “Scheherazade and Other Stories” は最もシネマティックで、深層までレイヤーされた極上のデザインを誇るマスターピースです。
25分のエピック “Song of Scheherazade” はライブアルバム “Live at Carnegie Hall” でさらにそのスリル、ダイナミズムを増して、圧倒的なまでにリスナーを恍惚へと誘います。一方で、後に BLACKMORE’S NIGHT もカバーした “Ocean Gypsy”、前作の “I Think of You” で提示した幽玄に煌めく叙情のスロウダンスも実に白眉なのですが。
しかし、米国で成功のピークに達したバンドは “Northern Lights” のヒットを境にダークピリオドへと陥ってしまいます。「正直に言って大きな過ちだったと思うわ。当時私たちは自らの大事な大事な財産を置き忘れてしまったのね…」インタビューで Annie も認めているように、ヒットを求めるプレッシャー、ニューウェーブやディスコミュージックの台頭により、80年代に入りバンドはその魂を置き忘れ迷走し、遂には分裂に至ってしましました。
ソロ活動を経て Annie, Michael の両者が合流。2000年に “Tuscany”をリリースし、バンドの40周年を契機にリユニオンが本格化するとシーンはレジェンドの復帰を諸手を挙げて歓迎しました。しかし、新作 “Grandine il Vento” が予定され RENAISSANCE にとって何者にも代えがたい1年となるはずだった2013年を前に、Michael Dunford が逝去してしまったのです。
“Grandine il Vento”, 後にリイシューを経て “Symphony of Light” と銘打たれた作品は、Annie が “導きの光” と慕っていた Michael への素晴らしいトリビュート、墓碑となりました。
今では5人のアメリカ人と、米国在住の英国人というラインナップになった RENAISSANCE ですが、Annie の情熱、そして天賦の歌声は衰えることを知りません。そうして、オーケストラとの共演を封じたライブDVD “A SYMPHONIC JOURNEY” は新たな旅立ちの象徴としてリリースされます。8年ぶりに決定した来日公演はまさにその伝説と飛翔を目にするこの上ないチャンスとなるはずです。
今回弊誌では、歴史の証人 Annie にインタビューを行うことが出来ました。「そして何より、私は心から RENAISSANCE の楽曲を歌うことを愛しているの。」アートワークに使用するほど絵画や写真にも秀でた芸術の人。どうぞ!!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SVALBARD : IT’S HARD TO HAVE HOPE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SERENA CHERRY OF SVALBARD !!

Definitely, It’s Hard To Have Hope Now, But Svalbard’s Protest Music Represents a Turning Point In This Dark World !!

DISC REVIEW “IT’S HARD TO HAVE HOPE”

越流するエモーションをプロテストミュージックへと昇華し、英国ブリストルから咆哮を貫く至宝 SVALBARD。熾烈なメタル/ハードコアにポストロックの叙情と風光、ポストメタルの思索と旅路を織り込みさらなる多様化の波動を導いた新作 “It’s Hard to Have Hope” はシーンの革新であり、同時に閉塞した世界が渇望する変化への希望です。
2015年にリリースしたデビューフル “One Day All This Will End” でアグレッション極まるメタル/ハードコアに仄かなアトモスフィアを帯同したバンドは、新作までの道程で困難な時を経験します。Serena がインタビューで語ってくれた通り、メンバー間の恋愛が終焉を迎え、それに伴う心身の病、さらにはベーシストの離脱と、一時は同じ部屋で過ごすことですら苦痛を伴うほどにバンドの状況は崩壊していたのです。
しかし、メンバーのバンドに対する強い愛情は見事に SVALBARD を死の淵から救いました。見方を変えればバンドには、希望を持つことすら困難な世界に対して果たすべき重要な仕事が残っていたとも言えるでしょう。
確かに “It’s Hard to Have Hope” は怒れるアルバムで、中絶、性的暴力、リベンジポルノ、インターンシップの無賃雇用など不条理でダークな社会問題をテーマとして扱っています。
さらには、「このアルバムは、ステージに女の子が立つことにネガティブなコメントを寄せる人たちに対する私からの返答よ。”女性をメタルから追い出せ!” と言うような人たち、コンサートで女性にハラスメント行為を行う人たち。これは彼らに対する私からの恐れなき怒りの返答なの。」と語るように、女性フロントマンとして Serena が長年メタルシーンで苦しんできたハラスメント行為の数々も、作品の持つ怒りの温度を “フェミニストのメタルアルバム” の名の下に上昇させていることは明らかです。
とはいえ、この類稀なる感情と表情の結晶が、唯一怒りにのみ根ざすわけではないこともまた事実でしょう。実際、Serena はこの作品の目的が “人々にこういった社会的不公平を伝えるだけではなく、なぜそういった問題が起き続けるのか疑問を投げかけることだった” と語っています。「誰が正しいのか互いに主張し合うのを止めてこう尋ねるの。一緒に前進するために何ができるだろう?より良き変化のためお互い助け合えないだろうか?とね。」とも。
そうして世界のターニングポイントとなるべくして示現した “It’s Hard to Have Hope” に、一筋の光明にも思える尊きアトモスフィア、荘厳なる音の風景がより深く織り込まれていることはむしろ当然の進化だと言えるでしょう。
勇敢にリベンジポルノの卑劣に怒り、勇敢にハードコア、ブラックメタル、そしてポストロックをブレンドした “Revenge Porn” はまさにその光と陰を見事に体現した楽曲です。バンドが近年注目されるネオクラストの領域を通過していることは明らかです。
静謐なイントロダクションから一転、バンドは正々堂々とハードコアの強さで怒りの鉄槌を下していきます。突如降臨する Serena の慈愛に満ちた歌声はさながら蜘蛛の糸でしょうか。CULT OF LUNA や MY BLOODY VALENTINE のイメージこそ深化の証。そうしてポストブラックの激しさと光明を背負った彼女は悲痛な叫びを投げかけます。「いったい誰が女性を守ってくれるの?」
一方で、もちろんよりストレートな激情も彼らの魅力。何より、無給で酷使されるインターンの憤怒を代弁するオープナー “Unpaid Intern” では、Serena と Liam のボーカルデュエルが牙の鋭さで迫り、沸騰する千変万化なギターリフ、ブラッケンドのリズムセクションを従えてポストハードコアとブラックゲイズの境界を恍惚と共に熔化させていくのですから。
とはいえ、やはりアルバムの肝は Serena が創出する神々しきアトモスフィアと激情の稀有なるコントラストです。アルバムを締めくくるエピック “Try Not To Die Until You’re Dead” でバンドは再びその陰影を鮮明に浮き上がらせた後、美しきインストゥルメンタルのブックエンド “Lorek” で負の感情のみを綺麗に洗い流し、リスナーに思考の為の優しき残余を与えました。
今回弊誌では、ボーカル/ギターのフロントウーマン Serena Cherry にインタビューを行うことが出来ました。メッセージとエモーション、そして音楽がこれほどまでに融解しシンクロする作品はまさしく珠玉。そしてぜひ真摯な彼女の言葉に耳を傾けてください。「感情こそが私たちにとって最も重要なものだから。」リリースは MØL と同じく Holy Roar Records から。どうぞ!!

SVALBARD “IT’S HARD TO HAVE HOPE” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MAGNUM : LOST ON THE ROAD TO ETERNITY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BOB CATLEY OF MAGNUM !!

With “Lost On The Road To Eternity”, Magnum Have Reached The Landmark Of 20 Albums And 40 Years Career, But They Are Still Just Moving On !!

DISC REVIEW “LOST ON THE ROAD TO ETERNITY”

40年のキャリアが純化した彫琢。英国の伝統と幽玄を織り込んだ匠のシグニチャーサウンドは、記念すべき20枚目のアルバム “Lost on the Road to Eternity” でさらなる高みからリスナーの迷霧を晴らす尊き光明となるはずです。
よりワイドな音色を有する鍵盤の名手 Mark Stanway が加入し、初めて Rodney Matthews がアートワークを手がけた叙事詩 “Chase the Dragon” こそが全ての源流でした。生まれながらに感傷と情緒をその喉へと宿す唯一無二の歌聖 Bob Catley。そして Bob の歌唱を完璧なまでに駆使するギタリスト/コンポーザー Tony Clarkin。翼を得た MAGNUM のコア2人は、80年代を自在に羽ばたきました。
プログの知性とハードロックの鼓動を見事に融合し、フォークとファンタジーのエッセンスを織り込んだ浪漫の頂 “On A Storytellers Night”。Polydor へと移籍を果たしメインストリーム AOR への洗練された扉を開いた “Wings of Heaven”。「新しくエキサイティングな音楽を見つけていくことが、僕たちの存在を異なるものにしていたんだろうな。」と Bob が語る通り、難局の90年代に投下したブルージーな実験 “Rock Art” まで、バンドのクリエイティブな冒険は旋律の魔法を誘いながら濃密な景色を残していったのです。
Bob が「当時はメンバーの何人かが難しい時間を過ごしていたんだ。だから正しいムードを得るために常に戦っていなければならなかったんだよ。」と回顧するように、バンドは時代の潮流にも翻弄されながら95年に解散し、Bob, Tony, Al の HARD RAIN、さらに TEN のメンバーを起用した荘厳なる Bob のソロプロジェクトで雌伏の時を過ごします。
そうして2001年に Tony が THUNDER の Harry James をリクルートし MAGNUM をリフォームすると、彼らはその音の歴史を誇り高く掲げながらも、よりセールスやプレッシャーから開放されて、ただ偉大な作品を製作することのみへと没頭することになるのです。
バンド史上最長、62分のランニングタイムを誇る最新作 “Lost On The Road To Eternity” は各時代のアイコニックなマグナムサウンドを巧みに分配しながら、枯れない泉のごときメロディーの清流を至高のデザインへと注入し何度目かの最高到達点へと導かれています。
アルバムオープナー “Peaches and Cream” は、初期のオーガニックなクラッシックロックをハイクオリティーなプロダクションとアップリフティングなコーラスワークで現代に蘇らせたベテランシェフのスペシャリテ。ヒロイックな8分のエピック “Welcome To Cosmic Cabaret” にも言えますが、さらに深みを増したボーカルの陰影とトーンコントロールの妙は彼らが残り少ない名匠の一群であることを確かに証明していますね。
AVANTASIA で Bob と共演している Tobias Sammet がゲスト参加を果たしたタイトルトラック “Lost On The Road To Eternity” は、オーケストレーションやストリングスを大胆に使用して “On A Storytellers Night” からのロドニーマシューズサーガの続編を生き生きと描きます。
一方で、ファンタジーの世界から一転するポップな “Without Love” ももちろん彼らの得がたき魅力の一つでしょう。今年、JUDAS PRIEST が “Firepower” で、SAXON が “Thunderbolt” で初期のハードロックテイストをキャッチーにリヴァイブさせ英国の矜持を雄々しく取り戻していますが、”Without Love” を聴けば彼らもまたロックにフックを回帰させるガーディアンであることが伝わるはずです。続く “Tell Me What You’ve Got To Say” にも言えますが、バンドがかつて天空へと広げた翼はよりしなやかに、よりポップにリスナーの心を包みこむのです。
アルバムは “Chase the Dragon” のプログレッシブな世界観と知性を反映した “King of the World” でその幕を閉じました。Mark, Harry を失おうとも、依然として MAGNUM のロマンティックなファンタジーが悠久であることを示唆するエナジーに満ち溢れながら。
今回、弊誌では巨匠 Bob Catley にインタビューを行うことが出来ました。「バンドがリスナーの興味を惹く楽曲を作り続けられる限り、リスナーが聴きたいと想い続けてくれる限り僕たちは続けて行くんだよ。」どうぞ!!

MAGNUM “LOST ON THE ROAD TO ETERNITY” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【PORTICO QUARTET : ART IN THE AGE OF AUTOMATION, UNTITLED (AITAOA #2)】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JACK WYLLIE OF PORTICO QUARTET !!

PORTICO-QUARTET-2

With The Dreamy, Hypnotic Sound Of The Hang, Portico Quartet Creates Incredible Art In The Age Of UK New Jazz !!

DISC REVIEW “ART IN THE AGE OF AUTOMATION” “UNTITLED (AITAOA #2)”

エレクトロニカとバンドサウンドをシームレスに連結する UK ジャズ新世代 PORTICO QUARTET が、オートメーションの時代に贈る流麗なる記念碑 “Art in the Age of Automation” “Untitled (AITAOA #2)” をリリースしました!!2018年、人と機械の創造性が織り成す距離感は想像以上に接近しています。
エレクトロニカをベースとしつつ、全てにおいて細部までオーガニックであることに拘った GOGO PENGUIN の最新作 “A Humdrum Star” はリスナーの記憶に新しいところでしょう。
”Outer” をデジタルな世界、“Inner” をエモーショナルなヒューマンの領域に位置づけた作品は、例えるならば PC で精密にデザインされた建築物を、匠の手作業で一つ一つ忠実に再現して行くようなプロセスでした。
そして興味深いことに、同じ UK ジャズの新たな潮流から台頭した PORTICO QUARTET の最新作も相似的アイデアを提示して、人と機械が潮解した最先端のサウンドを立証しているのです。
「このアルバムはある種の解決策を提示しているんだよ。オートメーションと人間らしさという2つの異なる物事についてのね。」Jack がインタビューで語った通り、”Art in the Age of Automation” そして “AITAOA #2” がモダンミュージックが宿す苦悩にある種の解決策をもたらすことは明らかです。
“エモーション= 人間” “精密 = デジタル” という刷り込み。言い換えればその苦悩は固定観念という人の持つカルマ。そしてそのカルマに真っ向から挑んだ作品こそ “Art in the Age of Automation” だと言えるでしょう。
Jack は PORTICO QUARTET の音楽性をこう表現しています。「僕たちのサウンドには様々な音楽の側面が落とし込まれているよ。ジャズ、エレクトロニカ、アンビエント。時にはミニマリズムだって垣間見える。」Ninja Tune へ移籍しジャズとの距離を取り PORTICO の名の下でリリースしたポップな異色作 “Living Fields” を経ることで、ある種 “回帰” にも思える “Art in the Age of Automation” はデビュー以来最も深みを増しています。
アルバムオープナー “Endless” はその回帰と深みの象徴かも知れませんね。残響を帯びた電子音、嫋やかなブレイクビート、エセリアルなエレクトロニカの流れは、バンドのトレードマークであるハングドラムの風雅な響きを呼び込みます。”Portico” (前廊)を経由して辿り着くは神聖なるサクスフォンの嘶き。
ヒューマンとデジタルの境目が不可解な、カルマを凌駕した UK らしいダークな情緒はポストロックの雄大さを伴ってリスナーにエンドレスなサウンドスケープを届けるのです。
一方で、タイトルトラック “Art in the Age of Automation” を聴けば、独特の倍音を備えた音階をもつ打楽器ハングドラムが、ジャズとミニマリズムの蜜月を育み幻想的な電子の世界を映し出していることに気づくはずです。20世紀最後にして最大のアコースティック楽器発明、スティールパンのアップデートバージョンは、コンテンポラリーなデジタルの海にも良く映えます。
実際、アルバムを聴き進めるにしたがって、オーガニックな演奏とデジタルなマニュピレーションの境界は、英国の霧で覆われたかのように混迷を深めていきます。”A Luminas Beam” や “KGB” で見せる、生々しい楽器の音色と電子音の融合が育む浮遊感やダイナミズムは、変則拍子を身に纏いジャズとロックの境界さえ霞ませるその深き “霧” のたまものだといえるでしょう。
“Current History” でクラシカルとミニマルテクノの真髄を披露した後、辿り着く “Lines Glow” はまさに音のユーフォリア。神々しきハングの音色はトライバルな感覚をも伴って、カラフルなシンセサイザーの海へと溶け込みます。そうして育まれたサウンドスケープの種は “Undercurrent” で静謐と叙情の波を全身に浴びて終幕に相応しくヒプノティックに開花するのです。
壮麗なストリングスを含むアコースティックな楽器、オーガニックな演奏がモダンなプロダクション、テクニック、テクノロジーと融和した時、そこには鮮やかな PORTICO QUARTET の色彩が生まれます。PORTICO QUARTET の固定観念を解放するチャレンジは、”デジタルなエモーション”、”精密な演奏技術” を幾重にもレイヤーして最新作 “Untitled (AITAOA #2)” へと引き継がれているのです。
今回弊誌では、サクスフォン /キーボードプレイヤーの Jack Wyllie にインタビューを行うことが出来ました。PORTICO QUARTET、GOGO PENGUIN 両者共に、UK ジャズの特異性、革新性についても非常に近い切り口で回答していますね。注目です。どうぞ!!

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PORTICO QUARTET “ART IN THE AGE OF AUTOMATION” “UNTITLED (AITAOA #2) : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SLUGDGE : ESOTERIC MALACOLOGY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATT MOSS OF SLUGDGE !!

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Mollusk-themed Tech Death King, Slugdge Has Just Released Their Most Adventurous, Complex And Progressive Album Yet, “Esoteric Malacology”!!

DISC REVIEW “ESOTERIC MALACOLOGY”

イングランドとスコットランドの稜線より這い出し軟体動物王 SLUGDGE が、カウンターカルチャーとしてのメタルを存分に追求した “深遠なる軟体動物学” “Esoteric Malacology” をリリースしました!!
メタルの狂騒と尊厳を等しく抱きしめ、ドラマ性と知性を高次元で融合させた独創的なレコードは “メタルの進化” を雄弁に物語ります。
「ヘヴィーメタルはアウトサイダーのための音楽さ。君たちが愛していようが嫌悪していようが、カウンターカルチャーとして永遠に存在し続けるんだ。」と Matt が語るように、SLUGDGE のはヘヴィーメタルのジョークにも思える過度なファンタジーや想像力を敢えて前面に押し出しながら、シリアスかつハイクオリティーなサウンドをデザインすることでアウトサイダーとしての矜持を保つ以上の存在感を発揮していると言えるでしょう。
“Esoteric Malacology” も、当然その彼らの流儀に乗っ取って制作されたレコードです。楽曲はバンドのビッグテーマである “カタツムリ” “ナメクジ” その他軟体動物に捧げられ、歌唱やリフの持つ莫大なエネルギーで軟体動物の神々を祝福しています。
そして、ギミックにも思えるその大袈裟で奇想天外な劇画的手法は、例えば CANNIBAL CORPSE がそうであるように、キラーでシリアスな楽曲を伴うことで異端の享楽を宿す巨大なカタルシスを誘うこととなるのです。
GOJIRA の楽曲 “Esoteric Surgery” へのオマージュにも思えるアルバムタイトルは、確かにフランスが生んだ不世出のプログレッシブメタラーへの接近を示唆しています。そして、”The Spectral Burrows” が “The Way Of All Flesh” の息吹を胸いっぱいに吸い込んだ傑出したプログメタルチューンであることは明らかでしょう。
EDGE OF SANITY の “The Spectral Sorrows” を文字ったに違いないドラマティックなエピックは、複雑かつ重厚なテクスチャーがテクニックの荒波に跋扈する濃密な5分50秒。荘厳でしかし闇深きそのアトモスフィアは、聴く者の脳波を直接揺さぶり音の酩酊へと誘います。
比率の増した神秘のクリーンボーカルは絶妙のアクセント。ENSLAVED に備わった全てを洗い流すかのような神々しさとは異なり、混沌も崇高も全てを包括したダークロード “Mollusa” への捧物、破滅的にキャッチーなその調べは、異世界への扉を厳かに開く確かな “鍵” として機能しているようにも思えます。
軟体動物の柔軟性を活かした “Putrid Fairlytale” は SLUGDGE を象徴するプログレッシブデスメタル。NAPALM DEATH の “Lucid Fairytale” をオマージュしたタイトルからは想像もつかない劇的なドラマが繰り広げられています。
ここまで記して来た通り、”Esoteric Malacology” の楽曲タイトルは偉大な先人たちの足跡に対するオマージュとなっています。 “War Squids” は BLACK SABBATH の “War Pigs”、”Slave Goo World” は SEPULTURA の “Slave New World”、”Transilvanian Fungus” は DARKTHRONE の “Transylvanian Hunger” 等。そして “Putrid Fairlytale” にはそういった彼らが愛する様々なジャンルのメタルが触手で繋がり凝縮されているのです。
プログの色合いを帯びた鋭利なリフワークと相対するブラストビート。一方で、粘度の高いミッドテンポのグルーヴと荘厳なるボーカルメロディー。繊細かつ印象的な電光石火のギターシュレッドを極上の味付けに展開する魅惑のテクデスオデッセイは、Matt が語る “ヘヴィネスの秘密” を見事に体現しながらまさにバンドが理想とするメタルを描き出していますね。
スロウでドゥーミー、ロマンチックとさえ言える “Salt Thrower” で塩に溶けゆくナメクジの悲哀を全身で表現した後、アルバムは “Limo Vincit Omnia” でその幕を閉じます。ラテン語で “スライムは全てを征服する” の意を持つエネルギッシュなナンバーは、「メタルが進化し続けるためには影響の外側から新たなアイデアを取得する必要があるように感じるね。」と語る通りエレクトリックなサウンドまで包括し、意義深き実験と学問の成果を誇らしく報告しています。
今回弊誌では、バンドのギター/ボーカル Matt Moss にインタビューを行うことが出来ました。ギタリスト Kev Pearson とのデュオでしたが、インタビュー後に THE BLACK DAHLIA MURDER のドラマー Alan Cassidy と NOVENA の ベースマン Moat Lowe が加わり完璧すぎるラインナップを完成させています。どうぞ!!

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SLUGDGE “ESOTERIC MALACOLOGY” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DUKES OF THE ORIENT : DUKES OF THE ORIENT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERIK NORLANDER FROM DUKES OF THE ORIENT !!

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John Payne & Erik Norlander, A Journey That Started With The Supergroup Asia Gives You The Next Chapter Of Legacy, With Dukes Of The Orient !!

DISC REVIEW “DUKES OF THE ORIENT”

誇り高きプログレッシブの遺産と、陰りを帯びた伝統のメロディーを受け継ぐ稀代のミッシングリンク John Payne & Erik Norlander。両雄の鼓動と哲学が交差する DUKES OF THE ORIENT は、凛とした王の血脈を真率に後の世へと伝えます。
巨星 John Wetton の逝去こそが DUKES OF THE ORIENT 生誕のきっかけでした。長らく Wetton の後任として ASIA を牽引し孤軍奮闘を重ねた勇夫 John Payne は、厳しく比較され続けたマエストロの死を機縁に ASIA の金看板を降ろす決断を下します。それは遂に訪れた、彼に巣食う潜在的重圧からの解放だったのかも知れません。
ご存知の通り、ASIA は Payne がフロントを務めた “Paysia” の不遇もあり2006年にオリジナルメンバーでのリユニオンを果たしています。マザーシップから突如として下船を余儀なくされた Payne は、Geoff Downes を除く後期 “Paysia” のメンバー Guthrie Govan, Jay Schellen を伴い、日本が誇る鍵盤の大家、奥本亮氏をリクルートし新たなプロジェクト GPS を立ち上げ唯一のアルバム “Window to the Soul” をリリースしたのです。
“Paysia” の作品となるはずだった “Architect of Time” から楽曲を流用した “Window to the Soul” はメンバーの卓越した技量を反映した充実作でしたが、結局は Payne が ASIA の呪縛から解き放たれることはなく、GPS はオリジナル ASIA の了承を経て ASIA の楽曲をプレイする ASIA Featuring John Payne へと形を変えて存続することになったのです。
ASIA Featuring John Payne で John と運命の邂逅を果たしたのがキーボードウィザード Erik Norlander でした。妻 Lana Lane の作品をはじめ、自身のバンド ROCKET SCIENTISTS, DIO の落胤 LAST IN LINE 等でスマートかつロマンティックな鍵盤捌きを披露するツボを十二分に心得た名コンポーザーとの出会いは、10年という遥かなる時を超え ASIA の名と別れを告げた素晴らしき DUKES OF THE ORIENT の音楽へと繋がることとなりました。(但し、ASIA Featuring John Payne もライブアクトとしては存続するそう。)
異論は多々あるでしょうが、Payne をフロントに据えた ASIA は、少なくとも音楽的には充実したスティントでした。Downes/Payne のコラボレーションは、90年代から00年代初頭というメロディック/プログロック不毛の時代に、確かに命を繫ぐ質実なる実りをもたらしました。ただ、ASIA らしいロマンチシズムから意図的に距離を置き、Payne の野性味溢れる声質をハード&キャッチーに活かす選択は、忠実なファンやレーベルからのサポートをも遠ざける結果になりました。プログレッシブポップが花開く近年を鑑みれば或いは時期尚早だったのかも知れませんね。
ASIA の名を返還した DUKES OF THE ORIENT で John Payne は自由でした。John Wetton との差異を殊更強調する必要もなく、自らの内なる ASIA 全てを表現することが出来たのかも知れませんね。
実際、”血の絆” を響かせるオープナー “Brother In Arms” はオリジナル ASIA と “Paysia” がナチュラルに融合したバンドのマイルストーンだと言えるでしょう。ハードでダイナミックなアレンジや Payne のトレードマークとも言える重厚なコーラスワークは “Aria” の頃の “Paysia” を、溢れ出る哀愁に叙情、ロマンチシズムはオリジナル ASIA をそれぞれ喚起させ双方の美点を5分間のドラマへと昇華します。
同様に “True Colors” の劇的なメロディーを宿す “Strange Days” では、繊細なアレンジメント、アンセミックなキーボード、Guthrie Govan の傑出したギターワークで “Aura” で示した “Paysia” の可能性をも明確に示唆します。
勿論、オリジナル ASIA のコードセクエンスや “ダウンズサウンド” を惜しみなく披露する “Time Waits For No One” “Fourth of July” 等はやり過ぎの感もありますが、同時に荘厳にして華麗、好き者には堪らない胸踊る完成度であることも事実。
加えて、Erik が 「僕は ELP, YES, KING CRIMSON, JETHRO TULL, PROCOL HARUM といった偉大なバンドたち、70年代のブリティッシュプログと共に育ったんだ。それこそが僕の音楽的なルーツだよ。同じようなルーツを ASIA も持っているんだ。」 と語るように、”Fourth of July” のドラマティックな後半部分では、ASIA よりも “プログレッシブ” な先人達の遺産を巧みに消化し、8分間のエピックに相応しき構成と展開を築き上げているのですから感服の一言です。
“A Sorrow’s Crown”, “Give Another Reason” で魅せるチャーチオルガンやスパニッシュギターの躍動感も DUKES OF THE ORIENT の存在感を一際掻き立て、Jay Schellen のコンテンポラリーかつ安定感のあるドラミング、Rodney Matthews の美しきアートワークと共に UK プログレッシブの伝統と血の繋がりを強く主張しています。
少なくとも、90年代からシーンを見守って来たファンであれば、Payne & Norlander 2人の才能や存在自体があまりにも過小評価されていることは憂慮しているはずです。”Dukes of the Orient” にはその評価を覆すだけの稀有なる魔法が存在するのでしょうか?”Only Time Will Tell”。時が来ればその答えは出るはずです。きっと良い方向に。
今回弊誌では、Erik Norlander にインタビューを行うことが出来ました。奥様からもメッセージをいただけましたので、Lana Lane ファンも必読です。どうぞ!!

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DUKES OF THE ORIENT “DUKES OF THE ORIENT : 9.8/10

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