タグ別アーカイブ: Math-Rock

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHON : HOMEY】JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ERICK HANSEL OF CHON !!

18341830_1709318155759985_2866650410712777792_n

California Based, Incredible Jazz-Math Rock Trio, Chon Advance Into New Realm With The Masterpiece “Homey” !!

DISC REVIEW “HOMEY”

インストゥルメンタルミュージックの未来を切り開く時代の寵児。サンディエゴのジャズ/マスロックトリオ CHON が、シーンの輿望を担う最新作 “Homey” をリリースしました!!バンドの “ホーミー” である南カリフォルニアの太陽、空気、夏の匂いを一身に浴び、望外なまでにチルアウトしたレコードは、ジャンルに海風という新風を吹き込んでいます。
CHON が2015年にリリースしたファーストフルレングス、 “Grow” はバンドのユニークな才能や感受性を見せつける素晴らしきショーケースとなりました。ソフトでカラフルなコードワーク、デリケートでピクチャレスクなリードプレイ、ダイナミックに研ぎ澄まされたバンドサウンド。高度な知性と屈託のない無邪気さが同居する、オーガニックかつテクニカルなその世界観はまさしく唯一無二で、スメリアンの秘蔵っ子から一躍シーンのサウンドアイコンへと飛躍を果たすことになったのです。
バンドのホームタウン、カリフォルニアにインスパイアされ制作された最新作 “Homey” は、”Grow” で見せた圧倒的な光彩はそのままに、その鋭敏な感性が掴まえたエレクトロニカ、アンビエント、ハウスなど所謂チル系のトレンドを大胆に咀嚼し、トロピカルで新鮮なムードとテクニカルなマスロックを共存させることに成功していますね。
アルバムオープナー、”Sleepy Tea” は、インタビューにもあるように、驚異的なまでに進化した CHON のインストゥルメンタルワークを堪能出来る楽曲です。猫の目のように変化する細やかなリズムアプローチは、Mario と Erick のギターチームがダンスを踊る最高の舞台。時に奔放に、時に精巧に、極上のメロディーとエキサイトメントを運ぶニ人の複雑で甘い関係は、奇跡の距離感で音のユーフォリアを紡いで行きます。
CHON の豊潤なる味わい深さの一端は、モダンの中に見せるオールドスクールな部分かも知れません。特に今作では、フュージョンと言うよりもビバップやモダンジャズのスウィング、ツーファイブ、フォービート、フレージング、シンコペーションが丹念に織り込まれており、得も言われぬコントラストを創出しています。例えば、”Checkpoint” などはマスロックの顔をしたジャズスタンダードのナンバーだと言えるかも知れませんね。
当然、手数とグルーヴを両立させた Nathan Camarena のドラム捌きも卓越しており、突っこみ気味でバンドを牽引するそのエナジーは圧倒的。ゲストに迎えた Brian Evans のパーカッション、有機的でムーヴアラウンドな Anthony Crawford のベースラインとも相俟って、型破りでマスロックの可能性を再定義するようなデザインをアルバムを通して描いていますね。
同じくサンディエゴを拠点に活躍する、ビートメーカー/ジャズギタリスト Go Yama をフィーチャーした “Berry Streets” は CHON の新たな冒険を象徴する楽曲です。現在進行形のトレンドであるトロピカルハウスを主軸としたトラックは、あまりにノスタルジックでアンビエント。カリフォルニアのビーチで沈みゆく夕日を惜しみつつ聴くために作られたかのような至高のチルウェイブに仕上がっています。
同時に CHON のジャジーなインストゥルメンタルワークも効果的に挿入されており、Erick がインタビューで語ってくれた通り、結果として二つのジャンル、二つの才能が見事に融合し開花した独創的で至妙な世界観を構築することに成功しているのです。
新進気鋭の シンガー/サックス奏者 Masego を起用した “Nayhoo” もコラボレートの成果が際立って実を結んだ一曲です。ソウル/エレクトロジャズの領域へと踏み込んだ楽曲は、Masego のエモーショナルなボーカルを芯柱とし、匂い立つような色気、スイートな瞬間をアルバムへもたらしていますね。勿論、Thundercat や、FLYING LOTUS がフェイバリットに挙がっている事実を知るまでもなく、ここで彼らが、Jazz の領域を拡大する Robert Glasper と “Jazz The New Chapter” のフロンティア精神を意識したことは明らかです。
「自分たちが気に入るサウンドの楽曲を書き続けて、叶うならファンも僕たちの音楽を好きになり続けてくれることだね。その過程で、さらに新たなファンも開拓出来たら良いな。」
世界最高峰のエレクトロポップを創造するビートメーカー、Giraffage A.K.A. Charlie Yin との共演にも言えますが、既存のファン層からある程度の反発を見越しても、より幅広いマスリスナーへとアピールし、音楽的なチャレンジを続けることこそがバンドのゴールだと Erick は認めています。そして CHON の掲げる、その本来の意味でのロックスピリットは必ず報われるべきだと感じました。
今回弊誌では、ギタリストの一人 Erick Hansel にインタビューを行うことが出来ました。もし、”Homey” のムードやスピリットが気に入ったなら、Jakub Zytecki の最新ソロEP “Feather Bed” や、先日弊誌でも特集を組んだ ichika の新プロジェクト AMONG THE SLEEP へと歩みを進めてみるのも一興です。どうぞ!!

Homey-2

CHON “HOMEY” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHON : HOMEY】JAPAN TOUR SPECIAL !!

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【tfvsjs : 在 zoi】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADONIAN CHAN OF tfvsjs !!

13490588_1144084932297548_5626402429045633772_o

The Innovative Math/Post Rock Act From Hong Kong, tfvsjs Has Released “Math Rock With A Canton Twist” Record “在 zoi” !!

DISC REVIEW “在 zoi”

頽廃と精神、暗澹と光明のコントラストを司る、香港のマスロック/ポストロックイノベーター tfvsjs が豊かな可能性に満ちた新作 “在 zoi” をリリースしました!!圧倒的なダイナミズムと多様性を備えたアルバムは、White Noise Records というキーワードともリンクしてアジア圏インストゥルメンタルの目を見張る進歩を証明する1枚となるでしょう。
複雑で予想不可能、しかし美しく感情豊かなピースを創造する tfvsjs が素晴らしきデビュー作 “equal unequals to equal” の後提示したのは、よりダークでヘヴィーな世界観でした。Adonian はその理由について 「僕たちがここ何年か香港で経験したことをどうしても反映しているからだと思うんだよ。政治は毎日僕たちの心を混乱させ、日常生活にも強く影響するんだ。そんな重荷を抱えた状況で作られた訳だから、音楽が僕たちの捌け口となった面は否めないと思うんだ。」 と語ります。
TTNG, Mylets のメンバーが香港のライブハウス Hidden Agenda で、不法就労の疑いにより警察に身柄を拘束された5月の事件をご記憶の方も多いでしょう。一見、ビザの申請を行う行わないという単純な話にも見えますが、実はこの事件こそ香港の闇を反映し象徴しているのです。
香港では、音楽の興行は商業地帯でしか認められていません。しかし商業地帯の非常に高価な賃料のせいで、ライブハウスを経営することは現実的ではないのです。Hidden Agenda はしかしながら、インディペンデントなアーティストを応援したいという情熱によって、賃料の安い “グレーゾーン” 工業地帯で幾度も場所や手法を変えながら何とか営業を続けて来たライブハウスでした。グレーなやり方のために当局からは目をつけられ、ビザの申請も難しいという背景が存在したようですね。
勿論、国によって文化や法律は異なるため、正義を単純に定義することは出来ません。ただ、才能溢れるインディペンデントなアーティストが演奏する場所を奪われていることは確かで、日本にとっても単なる対岸の火事とは思えません。何より、「自由と多様性の国際都市である香港は、クリエイティブなパフォーマンスと作品がもっと繁栄していく機会を創るべきだね。」 という TTNG, Mylets のコメントが全てを語っている気がします。
tfvsjs の言う “ここ何年か香港で経験したこと” は実は Hidden Agenda のケースとシンクロしています。彼らもまた工業地帯で、音楽活動を続けるために機材を持ち込んだスタジオ型のレストラン tfvsjs.syut をオープンさせていました。非常に人気のあったその場所は、しかし当局の立ち退き命令により昨年閉店を迎えてしまいます。
確かに違法性を宿すグレーゾーンでの出来事。ただ、アイコニックな表現者を的とした一連の強硬な流れには、一国二制度の下で保たれている香港の政治的、文化的な自治性の揺らぎを感じざるを得ません。「政治的にも文化的にも中国というより香港のバンド」 と語る彼らのアイデンティティーが保たれることを望むばかりです。
そういった経緯を念頭に置けば、tfvsjs の新たなレコードが、ダークでインテンス、そしてノイジーでドゥーミーなムードを加えたことにも納得が行くはずです。無音とノイズのコンビネーションで幕を開けるアルバムオープナー “Burn all flags,” は実際、頽廃と精神性を隠喩しているようにも思えます。
勿論、もとより一つのジャンルに収まるバンドではありません。2005年に結成された tfvsjs は、以前ボーカルやトランペッターまでをも擁していました。インタビューで hip hop をよく聴いていると語ってくれた通り、メンバー各自の多様な音楽的素養は、窮屈な政治の下でも型にハマらない自由な創作活動を可能としているのです。
何よりトレードマークとも言えるツインドラムスが生み出すダイナミズムは圧巻の一言。ツインギターとツインドラムスによるコール&レスポンスは、複雑な展開でも、シンプルなビートにおいてもまるで二つのバンドが共演しているかのようなエキサイトメントをリスナーへと届けます。爽涼なマスロックと轟音のドゥームゲイズを同時に梱包したかのような “and paint our pupils with ashes” はまさにその象徴だと言えますね。
7th や9th のテンションノートをメカニカルな五線譜へ巧みに配置した “Shrine of our despair”、YES の “燃える朝焼け” をイメージさせるスリリングでプログレッシブな “Battle From The Bottom”、ポストロックとアジアの悠久が見事に調和する “無以名状” を経てたどり着く “滅曲” は間違いなくアルバムのハイライト。
フラストレーションの捌け口となった楽曲で、ブラックゲイズのトレモロは慟哭を、マスロックの暖かなメロディーは光明を代弁し、極上のコントラストはまるで闇夜に浮かび上がる月華の如くリスナーの心を動かします。
日本のマスロックレジェンド toe の美濃氏がミキシングとマスタリングを手がけたことで、サウンドも丹念に磨きあげられ間違いなく作品の充実へと繋がっていますね。
今回弊誌では、ギタリストでコンポーザー Adonian Chan にインタビューを行うことが出来ました。昨年は Summer Sonic にも出演を果たした香港の英雄です。どうぞ!!

a1848231187_10-2

tfvsjs “在 zoi” : 9.8/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【tfvsjs : 在 zoi】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【YVETTE YOUNG : ACOUSTICS EP 2】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH YVETTE YOUNG !!

Yvette-Young-interview-Acoustics-EP-II-Covet-guitar-1

Having Played Piano Since The Age Of Four And Violin Since Age Seven. Math Rock Queen, Yvette Young Shows Her Classical Influences With Her Beautiful New Record “Acoustics EP 2” !!

DISC REVIEW “ACOUSTICS EP 2”

端麗なる才媛、麗しきマスロッククイーン Yvette Young が、情趣溢れる別世界 “Acoustics EP 2″をリリースしました!!インタビューにもあるように、愛するポストロックの領域へと接近した絶佳なる名編には、多様でフレキシブルな彼女の色彩が存分に織り込まれています。
プログレッシブとマスロックの狭間で存在感を放ち、シーンの揺らぎとなっている COVET をホームグラウンドとするように、Yvette はモダンギタリストの文脈で語られるテクニカルなプレイヤーです。しかし、4歳からピアノを始め、7歳でヴァイオリンを学んだという彼女の深遠なる七色のギフトは、決してただ一所に留まってはいないのです。
実際、”Acoustics EP 2” は実に画期的な作品です。ギターで作曲を開始して6年。波のように揺蕩う異なる拍子の海、アコースティックギターで表現されるモダンで高度なテクニック、そして自らがプレイするヴァイオリン、ピアノ、ハープ、バンジョーなど多種多様な楽器の使用による豊かな表情、アトモスフィア。全てが前作 “Acoustics EP” から格段にスケールアップを遂げ、Yvette は遂に独自の世界観を確立したように思えます。
ボサノバの空気を深く吸い込み、自身のポップサイドを前面に押し出した “Holiday” で幕を開けるアルバムで、しかし特に着目すべきは、彼女の独創的な奏法が可能にするオーケストラのようなサウンドでしょう。勿論ピアノやストリングスを重ねているとはいえ、骨格がギター1本の演奏でこれほどまで音楽に立体感を生み出す作品は実に得がたいと感じます。実はそこには Yvette のクラッシックの素養、ピアノの技術が大きく作用しているのです。
インタビューで語ってくれた通り、Yvette には “ギターのレイアウト、フレットや弦をピアノの鍵盤に見立てて” プレイする場面が存在します。つまり左手で抑え右手で音を出す通常のプレイに加えて、両手ともに指板をタップし直接音を生み出すことで、右手の分、旋律をより重ねることが可能になっているのですね。ギターを横にしてそのままピアノのように “弾く” イメージでしょうか。
当然、高度なテクニックで音量やノイズの調整は簡単ではありません。しかし彼女はメトロノームの如く正確にリズムを保ちながら、優美なサウンドで鮮やかに清音を奏でます。
作品で最もポストロックに接近した “Adventure Spirit” の、文字通り冒険心を胸に抱いたカラフルなメロディーのポリフォニーは、まさにその Yvette オーケストラの象徴です。チェロ、ヴァイオリン、ボーカル、ギター。テーマを奏でる主役の楽器が次々に入れ替わるアンビエントな楽曲で、Yvette の知性的なギターアルペジオ、コードプログレッションはコンダクターのように様々な楽器を操り指揮していきます。
勿論、ギターが旋律を奏でる場面では、鮮やかに両手タップを使用し、躍動するメロディーと共に指揮者不在の状況を回避。エアリーなボーカル、エセリアルなストリングスの響きは、オーガニックな彼女のオーケストラに HAMMOCK や CASPIAN を想起させる美麗なるダイナミズムを創造していますね。
一方で、フォーキーな “Blossom” の数学的で流麗なフレージングはマスロックの女王を強くイメージさせてくれます。師匠 INVALIDS 譲りのサウンドスケープ、風景の中に点在する無上のエキサイトメントはすでに彼女のトレードマークとなった感がありますね。
アルバムは、現在の Yvette Young を全て詰め込んだ悲しみと希望の組曲、”A Map, A String, A Light Pt 2″ で詩情豊かにその幕を閉じました。
今回弊誌では Yvette Young にインタビューを行うことが出来ました!もはや弊誌のかわいい担当準レギュラーだと言えますね!どうぞ!!

a4027265917_10-2

YVETTE YOUNG “ACOUSTICS EP 2” : 9.7/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【YVETTE YOUNG : ACOUSTICS EP 2】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【tricot : 3】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH tricot !!

unnamed-28

The Best Girls Trio On Earth, tricot Makes Math-Rock Great Again With Their New Milestone “3” !!

DISC REVIEW “3”

日本のマスロック/ポストロックのランドマークとなった歴史文化都市、京都から世界へと進出し快進撃を続けるガールズトリオ tricot が時代を切り拓く一撃 “3” をリリースしました!!ポップ、パンク、そしてプログまで取り込んだ前人未到の方程式は世界を驚かせるに充分なインパクトを纏っています。
日英米同時リリースとなった最新作 “3” は、インタビューにもあるようにバンドが最も自由を謳歌した「何でもアリ」な作品に仕上がりました。ドラムス komaki♂ 脱退後リリースされた “A N D”, “KABUKU EP” は共に数名のサポートドラマーたちと共に制作されましたが、今作ではライブのサポートも務める吉田雄介氏がほぼ全ての楽曲でプレイ。フレキシブルにトリオの意思に反響するセンシブルなドラムスを得て、バンドはその野性味と知性を最高の形で開花させたと言えるかも知れませんね。
勿論、変幻自在なリズム、マスマティカル(数学的)な変拍子の洪水がシンボルとなり、特に海外では “マスロック” “Math-rock” と称される tricot の音楽ですが、多彩を極めるのはリズムだけではありません。”3″ で確かに実現したカラフルで鮮やかな楽曲群、世界観はしなやかにバンドの成熟、進化を伝えています。
また、tricot のその自由な実験精神は CD のパッケージングにも表層化しています。ブックレットもアートワークもなく、透明のケースにただ “3” と書かれただけのミニマルパッケージ盤(1500円)と同時に、クリエイター・チョーヒカルとのコラボレーションによるアートボックス、999枚限定デラックス盤(4500円)を用意。「今通常盤として世に出されている形が果たして今もみんなにとって通常であるのか」。拡散するリスナーの要望と改革の進まぬ音楽産業の落差に疑念を抱き、一石を投じるバンドのチャレンジは実に潔く、大いに賞賛されるべきでしょう。
アルバムオープナー、園子温監督のオリジナルドラマに使用された “TOKYO VAMPIRE HOTEL” を聴けば、tricot がロックの持つ原衝動とインテリジェンス、そしてポピュラリティーをナチュラルに凝縮させていることに気づくはずです。楽曲の持つインテンシティー、パンキッシュな衝動、コンテンポラリーな展開は AT THE DRIVE-IN をも想起させ、その凄みはポストハードコアの領域へと達していますね。
進化の証である、ファストでアグレッシブな2分30秒が過ぎ去ると、バンドは別の顔を見せ始めます。メロディックでキュートな “WABI-SABI” はバンドの真骨頂であり、”TOKYO VAMPIRE HOTEL” の素晴らしきカウンターとして存在しています。tricot らしいポップなヴァースに色を添える楽器隊のコーラス、ハーモニーは楽曲に極上のアトモスフィアをもたらし、同時に生々しいサウンドプロダクションとリズムアプローチの妙は “マスポップ” のパイオニアであることを高らかに宣言しているのです。
実際、椎名林檎のリリカルなムードを内包する “節約家” にも言えますが、2人のギタープレイヤーが創造するインテンスは峻烈で、その意外性に満ちた休符の配置、スタッカートの切れ味、テンションノートの煌めきは作品のコアとして揺るがぬ存在感を放っています。
ダンサブルな “よそいき”、ジャズの息吹を吸い込んだ “DeDeDe”、ボーカルエフェクトや中国語まで活用した “ポークジンジャー” と実にバラエティーに富み色とりどりの作品において、トリッキーなバンドの魅力は “18, 19″ で最高潮に達します。
インタビューで語ってくれた通り、「やりたいこと詰め込んで全部やってやろう」という意気込みで制作されたチャレンジングな楽曲は、実に複雑怪奇。異なるイントロとコーラスのリズムに加え、突然のストップ&ゴーが多発する変則リズムの氾濫は、tricot のクリエイティビティとテクニックを完膚無きまでに見せつけています。特にアクティブでダイナミックなベースラインは群を抜いていますね。
さらにイントロのリズムを注意深く数えれば、”9・9・10・9″ と進行していることに気づくはずです。つまり、”18, 19” とは楽曲の拍子を表しており、タイトルや歌詞、そしてその淡いメロディーから不安定な青春時代の恋愛を想像するリスナーを見事煙にまいているのです。平然と宿された衝撃の”ダブルミーニング”。tricot の虜となる音楽ファンが後を絶たないのも納得ですね。
アルバムは、シンプルにスタートし徐々にコーラスやセブンスコードが重ねられて行く不思議で魅力的なポップチューン “メロンソーダ” でその幕を閉じます。人生を変えたアルバムを見れば分かる通り、貫かれるポップセンスは3人にとって不可欠で、そしてあまりに当然のものとして常に存在しているのでしょう。
今回弊誌では tricot の3人にインタビューを行うことが出来ました。4月には日本が誇るポストロック/ハードコアの祝祭 “After Hours” でプレイし、さらに8月には UK ポストロック/ハードコアの祭典 ArcTanGent への出演も決定しています。
余談ですが、「世に出回ってる tricot の楽譜はだいたい間違っている」そうなので、こちらも画期的な試み “目コピ動画” を公式ショップから購入してみるのも一興です。どうぞ!!

unnamed-29

tricot “3” : 9.9/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【tricot : 3】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ETERNITY FOREVER : FANTASY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BEN ROSETT OF ETERNITY FOREVER !!

15356590_220423855070735_1151837294685536294_n

Dance Gavin Dance, Chon And Strawberry Girls Get Together !! The Super Group, Eternity Forever Mixed Prog Rock And R&B With Their Amazing Debut EP “Fantasy” !!

DISC REVIEW “FANTASY”

ex-DANCE GAVIN DANCE, A LOT LIKE BIRDS の Kurt Travis、ex-CHON の Brandon Ewing、そして STRAWBERRY GIRLS で活躍する Ben Rosett という類い稀なる駿才が集結した新たなファンタジー、ETERNITY FOREVER が鮮烈なデビューEP “Fantasy” をリリースしました!!メンバーが誇る芳醇なキャリアを引き継ぎながらも、新たな冒険へと誘う作品は、近年稀に見る衝撃を伴って永遠に愛される不朽のエバーグリーンとなるはずです。
インタビューにもあるように、ETERNITY FOREVER の物語は昨年行われた CHON と STRAWBERRY GIRLS、そして POLYPHIA が一堂に会した “Super Chon Bros” ツアーから始まりました。
全世界で30万枚のセールスを上げる US インディーの雄 LOCAL NATIVES のベースプレイヤー Nick Ewing を兄に持つ Brandon は当時、CHON の一員としてツアーに帯同していました。Sumerian と契約し今や飛ぶ鳥を落とす勢いで邁進する、カリフォルニアの日差しを全身に浴びたマスマティカルでポジティブなプログレッシブ集団は、Camarena 3兄弟の次男が脱退したためベーシストを必要としていたのです。
一方、Ben Rosett が所属する STRAWBERRY GIRLS は、日本ではまだあまり馴染みのないバンドかも知れませんね。彼らもインストゥルメンタルを主戦場とする実験的なトリオ。ex-DANCE GAVIN DANCE のギタリスト Zachary Garren 率いる異能の集団は、可能性を発掘することにかけては定評のある Tragic Hero Records からダーク&セクシーな名作群をリリースしています。
ポストハードコア、マスロック、プログレッシブが魅力的に交差したツアーで Brandon と Ben は意気投合。Blue Swan, Equal Vision をセンターとしたシーンの中でもずば抜けた歌唱力を有する Kurt Travis との邂逅により、バンドはまさにスーパータレントブラザーズとしての生を受けたのです。
デビューEP “Fantasy” は4曲という僅かなボリュームにもかかわらず、圧倒的な躍動感と無限の可能性を感じさせる作品に仕上がりました。
アルバムオープナーでタイトルトラック、”Fantasy” の幕が上がるとリスナーは、Brandon が奏でる透明で繊細なギターの音色に酔いしれるでしょう。
ビビッドでリリシズムを湛えたその思索的な響きは、アイデアの潮流に乗り、宵闇の風に帆をはらませ無上のサウンドスケープを運びます。確かにここには CHON や DANCE GAVIN DANCE が持つ複雑にして軽快、難解にして耳馴染みの良い、モダンでイマジネーティブなセンスが開花しています。Brandon がベースのみならず、ギターのマイスターでもあることがここに証明されたと言えますね。
Kurt Travis の鮮烈で “黒い” ファルセットが切り込むと、楽曲は新たな顔を啓示しバンドの個性を主張し始めます。Prince を想わせるシルクのように滑らかで心地よいそのファルセットは、彼らの “Fantasy” に濃厚なブラックミュージックの風を誘います。Kurt が過去にどのバンドでも見せることのなかったその切り札は、プログレッシブでマスマティカルなロックとエモーショナルでトライバルな R&B やソウルが遂に溶け合うための重要な魔法の触媒となっているのです。
“Movies” の郷愁と慕情が入り混じった美しきポストロックのキャンパスが、Kurt のソウルフルな黒い歌唱で染めあげられ、未だ見ぬ奇跡の景色を宿す様はまさに ETERNITY FOREVER の真骨頂だと言えるでしょう。
4曲15分のEPを通して流れるのは、作品のプロデュース、ミキシング、マスタリング全てを手がけた Ben Rosett のイデオロギーかも知れませんね。STRAWBERRY GIRLS ではあの Kendrick Lamar のカバーも披露しているように、オープンで瑞々しい感性を持つ彼のアンテナは “Jazz The New Chapter” のマインドと通じます。
Hip Hop やネオソウルに接近し、ジャズの領域をブラックミュージックへと浸透、拡大。インプロビゼーションよりも、明確でソフィスティケートされたプロデュースを主張する Robert Glasper や HIATUS KAIYOTE の方法論を、Ben はプログレッシブロックの分野でチャレンジしたように感じられます。そして彼らの “New Chaper”は、コンパクトでキャッチー、エキサイティングで新鮮な、プログレッシブワールドの稀有なる地殻変動として”永遠永久に”歴史に刻まれることでしょう。
今回弊誌では Ben Rosett にインタビューを行うことが出来ました。今年一番のサプライズ。どうぞ!!

17799446_280607719052348_7126269121912767328_n

ETERNITY FOREVER “FANTASY” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ETERNITY FOREVER : FANTASY】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JYOCHO: 祈りでは届かない距離 (A PRAYER IN VAIN)】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAIJIRO OF JYOCHO !!

115820161015204435

One Of The Most Talented Guitar Player From Japan, Daijiro Nakagawa With JYOCHO Has Just Released Very Impressing Math-Rock Meets J-Pop Record “A Prayer In Vain” !!

DISC REVIEW “祈りでは届かない距離”

Math-Rock という東洋が主たる発信地の魅力的で、しかし曖昧なジャンルにおいて、宇宙コンビニが果たした役割は非常に大きなものでした。短いキャリアで閃光のように強い輝きを放ったバンドは、時に幾何学的、時に有機的な美しきサウンドスケープに、日本らしいポピュラーミュージックの色合いを添え、ジャンルの曖昧さを逆手に取って Math-Rock の可能性を証明し、世界中から大きな賞賛を浴びたのです。
バンドの解散から一年半。リーダーでギタリストのだいじろー氏が JYOCHO というプロジェクト名でリリースしたデビュー作 “祈りでは届かない距離” は、さらに研ぎ澄まされたそのポップセンス、多様でカラフルな音楽性、高いミュージシャンシップを滑らかに溶け合わせ、今度は自身の可能性を証明したレコードとなりました。
JYOCHO とはすなはち”情緒”。インタビューにもあるように、日本らしい四季のような感情の変化を世界に伝えたいという想いで名付けられた JYOCHO はまさにこのカラフルなレコードを体現しています。
アルバムオープナー、”family” は宇宙コンビニと JYOCHO を繋ぐミッシングリンクのような存在です。クリーンでピュア、しかしテクニカル。宇宙コンビニ時代からだいじろー氏のトレードマークとも言えるマスマティカルなギターフレーズに導かれたリスナーは、流れ来るフルートの美しく雅な響きに驚きを覚えるでしょう。アルバムを通してこのフルートの音色は、JYOCHO の唯一無二の世界観”情緒”を醸し出すことに大いに貢献していますね。
確かにジャジーなリズムパターン、複雑なコンポジション、繊細なギターフレーズは Math-Rock のアイデンティティーを主張しますが、楽曲へと自然に溶け込み寄り添い、ただ深化を促すジグソーパズルのピースとして存在しているようにも思えます。
実際、ポップスの領域へと繋がるような、rionos の中性的でイノセントな歌声、メロディーが JYOCHO, そして “祈りでは届かない距離” を特別な存在にしていることは明らかです。
だいじろー氏が原点だと語る出身地、京都を想いながら作られたであろう “故郷” は、その Post-Rock 的なサウンドスケープを背景に歌い紡がれる rionos の優しく、懐かしく、実にエモーショナルなボーカルが、リスナーの心へフワリフワリと侵入し様々な感情を喚起します。勿論、そこに情緒を感じるファンも多いでしょう。
とは言え、アルバムにはロック的なスリルも当然存在します。”太陽と暮らしてきた” の変拍子、ギターとフルートのユニゾン、そして対位法的インプロヴァイズは実にエキサイティングで JYOCHO という集団のミュージシャンシップの高さを見せつけています。だいじろー氏のギターにより深く耳を傾ければ、タッピング以外にも、ベンドやアルペジオ、ハーモニクスの使用法が卓越していることにも気づくはずです。人生を変えたアルバムを見れば分かる通り、驚異的なアコースティックギタリストから影響を受け、右手の五本指をも自在に操る彼の奏法はロックのフィールドにおいては実に異端で革新です。
こうした JYOCHO の楽器とボーカルの素晴らしいバランス、見事な調和は、rionos の歌声にも相まって、偶然にも、”祈り”を捧げるアーティスト Cocco の名作群 “クムイウタ” や “ラプンツェル” を想起させる瞬間が存在します。確かに世界は “祈りでは届かない距離” で隔てられていますが、それでも私たちは”気づく”必要がありますし、”調和”へと向かうべきでしょう。
今回弊誌では、だいじろー氏にインタビューを行うことが出来ました。読者のみなさまにも”気づいて”いただければ幸いです。どうぞ!!

115820161024002001

JYOCHO “祈りでは届かない距離” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JYOCHO: 祈りでは届かない距離 (A PRAYER IN VAIN)】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LITE : CUBIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NOBUYUKI TAKEDA OF LITE !!

lite_a2016web-650x273

Japanese Math / Post Rock Hero Returns! Lite Goes Back To Their Roots And Opens Up A New Chapter With Accessible And Emotive Record “Cubic” !!

DISC REVIEW “CUBIC”

日本が生んだ Math-Rock / Post-Rock ヒーロー LITE が待望の新作 “Cubic” をリリースしました!!バンドの原点である、タイトで躍動感溢れる生の音像へと回帰した作品は、国内外でインストゥルメンタルミュージックを志すアーティストへの新たな道標となるでしょう。
LITE の近作はその理知的な一面が作風を支配していました。ジグソーパズルのピースを一つ一つ組み合わせるように綿密に、デリケートに構成された彼らのストラテジーは “For All the Innocence” で一つの完成形を提示したと言えます。シンセサイザーを多用し、ギターを何本も重ね、精巧でカラフルな絵画のようにレイヤーされた音世界は、極限までこだわり抜いた足し算の美学であったとも言えるでしょう。
“For All the Innocence” の流れを汲みつつ、やや人間味も戻ってきた前作 “Installation” リリース後、LITE は国内、海外でツアーを重ねます。インタビューにもあるように、そこで彼らはオーディエンスとの温度差に直面したのです。もっとダイレクトに伝わる方法を模索し、たどり着いた一つの結論が “原点回帰” でした。
3年半のインターバルを経て、リスナーの元へと届けられた最新作 “Cubic” にはそうした葛藤を乗り越え、さらにステージアップを果たした魅力的な LITE の現在が詰まっています。
アルバムオープナー “Else” を聴けばバンドの進化が伝わるでしょう。アグレッションと躍動感を前面に押し出し、生々しくフィジカルな感覚を宿す楽曲は、ストレートにロックの真価を表現し、引き算の美学を提示しています。有機物のように形を変えていくトラックには、ワウを使用したヘンドリックスを想起させる激しい熱量のギターソロすらハマっていますね。
勿論、リズムやリフにはマスマティカルなイデオロギーが貫かれていますが、オーガニックで力強いギターサウンドと、抜けの良いダイナミックなドラムスによって、リスナーはまるで4人のメンバーのみが目前に現れ生のライブを見ているかのような錯覚に陥ることでしょう。
アーテュキレーション、ゴーストノート、そしてギターのピッキング音までクリアに感じられる立体感。あの BATTLES を手がける Keith Souza をマスタリングで、THE MARS VOLTA との仕事で知られる Heba Kadry をミキシングで起用したことも、新たなサウンドに寄与していることは明らかですね。
ジャケットのルービックキューブとリンクするように、カラフルでチャレンジングな点も “Cubic” の特徴です。SOIL&”PIMP”SESSIONS のタブゾンビがトランペットで参加した “D” はアルバムを象徴する楽曲かも知れません。自由な雰囲気でジャムセッションからそのまま進化した楽曲は、良い意味でのルーズさ、即興の魅力、ロックの原衝動を合わせ持ち、クリエイティブなエナジーが溢れて出ています。後半の転調を繰り返すアイデアも実にスリリングですね。
以前にも挑戦したとは言え、インストゥルメンタルバンドとして知られる LITE が2曲にボーカルを導入したこともサプライズだと言えますね。アヴァンギャルドなアルバムクローサー “Zero” での根本潤氏の歌唱はエキセントリックで実に効果的ですし、何よりギタリスト武田氏自らが日本語で歌う “Warp” からは、海外で認められる LITE がクールな日本語の美しさ、リズムを伝えるという意味からも重要な1曲だと感じます。
実際、フロム JAPAN のアイデンティティーは、LITE を海外のバンドから際立たせている隠し味では無いでしょうか?”Square” が象徴するような、エモとはまた違った日本的な侘び寂び、哀愁はレコードの要所で現れ作品をさらに魅力的に彩っていますね。
今回弊誌では、バンドのギタリストでコンポーザー、武田信幸さんにインタビューを行うことが出来ました。海外では、toe や ENEMIES も所属する要注目の Topshelf Records からのリリース。どうぞ!!


Print

LITE “CUBIC” : 9.8/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LITE : CUBIC】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NAPOLEON : NEWBORN MIND】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SAM OSBORN OF NAPOLEON !!

13592721_1248721418472212_4394339070005372845_n

UK Based Melodic Hardcore Four Piece, NAPOLEON Has Just Released The Genre-Breaking Debut Full-length, “Newborn Mind” !! “Melodiposipassiongroove” Is Here !!

DISC REVIEW “NEWBORN MIND”

ユーロモダンメタルコアシーンの皇帝 NAPOLEON が満を持して待望のデビューフルレングス “Newborn Mind” をリリースしました!!ハイセンスなシングルや EP で注目を集め、将来を期待されながらデビューフルレングスまで長い時間をかけたのは、NOVELISTS と同様の手法。そして36分のレコードは、長く待ち続けた Melodilc Hardcore ファンの期待に十分に応える内容となっています。
Tech-Metal シーンにおいて有数の実力を持つギタリスト、 Sam Osborn 擁する NAPOLEON は自らのサウンドを”melodiposipassiongroove” と称しています。実際、INTERVALS meets KILLSWITCH ENGAGE, POLYPHIA meets ARCHITECTS などと例えられる彼らの音楽性は見事にメロディー、ポジティブ、パッション、グルーヴを共存させていますね。
他の Tech-Metal バンドと比較して、NAPOLEON のサウンドを強く特徴付ているのはその大胆なクリーンギターの使用法でしょう。”Stargazer”,”Utopia” のイントロが効果的なのは勿論、”Maps” を聴けば、彼らがまさに “Newborn” な音楽を創造していることが分かります。メジャーキーで、クリーンギター&クリーンボーカルにより紡がれる2分間の小曲は、Math-Rock, Instru-Metal の影響下にありながら、同時にしっかりと Metalcore の土台も感じさせるのです。非常にカラフル、エモーショナルでフレッシュな “Maps” は NAPOLEON のバンドとしての可能性、多様性を証明していますね。
さらに、”Of Jams, Smokes & Promises” のイントロなどは、And So I Watch You From Afar を彷彿とさせるアイリッシュなメロディーが白眉。ユニークなタイムストラクチャーと相俟って Math-Rock からの影響を強く誇示しています。人生を変えたアルバムに、TTNG の作品をチョイスしているように、ここまで Math-Rock とメタル要素の融合を推し進めたアーティストは前代未聞なのではないでしょうか?
新ボーカル、ex-CLIMATES 、Wes Thompson の荒々しいスクリームからエモーショナルなクリーンまで見事にこなす幅広いレンジも実に魅力的です。時に流暢に、時にカオティックに駆け巡る Sam の多彩なフレットワークとの相性も抜群。タイトルトラック “Newborn Mind” では、スーパータイトなリズム隊、特に James Mendoza のスピーディーでメカニカルなドラミングはアルバムを通して素晴らしいですが、の協力もあり、メロディックでありながらテクニカルでヘヴィーという命題をいとも簡単に達成していますね。
“Dystopia” で歌われる “get awake and defeat this” というフレーズは “Utopia” でも再度現れます。「目を覚ませ、挫けるな」、NAPOLEON の音楽は、インタビューでも語ってくれた通り、リスナーに常にポジティブなグルーヴを届けてくれるのです。
今回弊誌では、Sam Osborn にインタビューを行うことが出来ました。日本ツアーも視野に入っていそうですね、どうぞ!!

12717997_1185592421451779_7179919454834328641_n

NAPOLEON “NEWBORN MIND” : 9.2/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NAPOLEON : NEWBORN MIND】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TTNG : DISAPPOINTMENT ISLAND】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TIM COLLIS OF TTNG !!

tumblr_inline_o96qj52Bys1qbzv4w_540

UK Based Math-Rock / Emo Trio, TTNG Has Just Released Their 3rd Record “Disappointment Island” !! Full of Emotion & Melancholy, No Disappointment Here!!

DISC REVIEW “DISAPPOINTMENT ISLAND”

UK オックスフォードが生んだ Math-Rock / Emo の奇才、TTNG が3rdアルバム “Disappointment Island” をリリースしました!!
ニュージーランド沿岸、実在する島の名前をタイトルに冠したアルバムは、完全に4ピースからトリオになって初の、バンド名を THIS TOWN NEEDS GUNS から改名して2枚目の作品。
インタビューで語ってくれた通り、”Disappointment Island”、”失望の島”とは彼らの母国UKがEU離脱に向けて進んでいる状況を皮肉ったタイトルでもあるのです。その背景を鑑みれば、アルバムが少し物悲しく、メランコリックなムードを帯びていることにも納得が行きますね。
静と動の対比、遂にダイナミズムを極めたように思える “Disappointment Island”。アルバムクローサー “Empty Palms” は現在の TTNG を象徴するような楽曲です。シルクのように繊細な Henry Termain の美声が紡ぐメロディーは静寂と喧騒を司り、キャッチーかつ非常に雄弁。加えて、見事なサウンドスケープを創出する楽曲のアトモスフィアは、彼らの興味が Post-Rock 方面に振れていることを顕にしています。
RUSSIAN CIRCLES, PELICAN でお馴染みの、Greg Norman によってレコーディングが行われた事実、さらに The World Is A Beautiful Place & I Am No Longer Afraid To Die とツアーを行ったことから鑑みて、TTNG がこういった手法を全面に押し出すことはもはや驚きではないでしょう。実際、バンドにとって最も長い部類に入る5分37秒の “Whatever, Whenever” は PELICAN を想起させるような轟音パートで幕を閉じます。
ギタリスト、Tim Collis のフレーズセンス、才能が爆発した “In Praise of Idleness” も同様に美しい景色が視界に広がるような音楽。Math-Rock バンドとしての矜持を証明するかのような優美なシンコペーションが白眉ですね。
とは言え、勿論、彼らのテクニカルで複雑な1面を強調した楽曲もアルバムの聴き所の1つ。”A Chase of Sort” で聴ける流れるようなタッピングフレーズや Chiris Collis による変拍子を逆手にとった印象的なドラミングはまさに TTNG のトレードマーク。”Destroy The Tabernacle!” のテクニカルでエスニックなムードもアルバムに良いアクセントを加えています。ただし、トリオとなったことが作用したのか、全てのトーンがよりオーガニックに仕上げられていることは記しておくべきでしょう。
今回弊誌では才気溢れるギタリスト Tim Collis にインタビューを行うことが出来ました。ドラムスの Chiris とは兄弟でバンドの核となっていますが、発するエモーションは Kinsella ファミリーにも迫っていますね。どうぞ!!

13244787_10154443647464505_6860785806939483673_n

TTNG “DISAPPOINTMENT ISLAND ” : 9.3/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TTNG : DISAPPOINTMENT ISLAND】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【INTERVALS : THE SHAPE OF COLOUR”】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Aaron Marshall of INTERVALS !!

12341279_914196928617219_357898958177694935_n

INTERVALS returns to instrumental world with fantstic new album “The Shape of Colour” !!

Modern Prog の旗手、トロントの新鋭 INTERVALS が新作 “The Shape of Colour” をリリースしました!!
INTERVALS はギタリスト Aaron Marshall の DIYプロジェクトとしてスタートし、”The Space Between Us”, “In Time” という2枚のハイクオリティーなインストゥルメンタルEPを Djent / Modern Prog シーンに投下します。変顔とドラムの名手 Anup Sastry を擁し、 PERIPHERY, MONUMENTS, DESTINY POTATO といった豪華な人脈を有していたこともあり、バンドは瞬く間に注目を集め一躍シーンの中心に躍り出たのです。
満を持してフルアルバムの制作を開始した INTERVALS はボーカルの導入を決意。THE HAARP MACHINE で名を馳せた Mike Semesky をバンドに加入させます。完成した”A Voice Within” は INTERVALS の長所を微塵も壊すことなく、キャッチーなボーカルを導入したモンスターアルバムで、弊誌の2014ベストアルバム読者投票でも見事3位を獲得しました。
ところが今年に入って “A Voice Within” のメンバー全員が Aaron を残し脱退してしまいました。メンバー脱退の理由、経緯はインタビューを読んでいただくとして、再びインストゥルメンタルの世界に戻ってきた Aaron Marshall。”The Shape of Colour” は彼の野心と才能が溢れ出るかのような傑作に仕上がりました。
同じインストアルバムとはいえ、一聴して以前リリースした2枚のEPよりも音楽の幅が広がっていることに気づくでしょう。Djent の要素は薄れ、Mathy&Catchy なリフがアルバムを支配しています。比較するなら CHON, POLYPHIA, PLINI といったバンドに近づいたと言えるかも知れませんね。実際にその PLINI がゲスト参加している “Libra” ではギターが歌っているかのようなキャッチーなプレイを聴くことが出来ますし、”Sweet Tooth” などは”ゲスの極み乙女”を想起させるほど。
同時に、セッション参加している PROTEST THE HERO の Cam McLellan, Travis Orbin のリズム隊も見事な演奏でアルバムを彩ります。グルーヴィーでマスマティカルな “Sure Shot” のタイトな演奏にはこのメンバーでライブが見たいと思わせる魅力が存在します。そして、サックスを起用した “Fable” は勿論ですが、アルバムを通して Aaron のジャジーでスムーズなリードプレイはまさに次世代のギターヒーロー。カラフルで聴き所満載な本作は、間違いなく2015重要作品のうちの1つだと思います。
今回弊誌では Aaron にインタビューを行うことが出来ました。どうぞ!!

12219372_903867082983537_4126977258504628705_n

MMM RATING IS…

INTERVALS “THE SHAPE OF COLOUR” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【INTERVALS : THE SHAPE OF COLOUR”】