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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LITURGY : ORIGIN OF THE ALIMONIES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HUNTER HUNT-HENDRIX OF LITURGY !!

“I Hope That The Metal Scene Learns To Have Less Of The ‘Boys Club’ Aspect And Hold Space For More Alterity. Personally I See That As The Leading Edge Of Originality For Metal”

DISC REVIEW “ORIGIN OF THE ALIMONIES”

「私は、人類の歴史が展開し始める要因となった神の中にはメタフィジカル (人間の理解や物理を超えた) な不均衡があり、その不均衡を回復するためには、解放的な政治や実験的な芸術が重要な役割を果たすと考えているのよ。」
昨年、”H.A.Q.Q.” でブラックメタルの地図に新大陸を記載した LITURGY。日本の雅楽までを飲み込み、実験と理想を両立させた音楽、芸術、哲学が三位一体のレコードは明らかにメタルの境界線を大きく押し広げました。そうして自らを “解放” しさらなる自由を得た首謀者 Hunter Hunt-Hendrix にとって、次なる超越的ブラックメタルのテーマはクラシックとグリッチを織り交ぜたメタルオペラでした。
「メタルシーンには、”ボーイズクラブ” 的な側面を減らして、もっと変幻自在になってほしいと思っているの。個人的には、それがメタルにとってのオリジナリティの最先端だと思っているから。」
LITURGY は、シンガー、ソングライター、作曲家、哲学者、そして先駆者 Hunter Hunt-Hendrixのプロジェクト。”H.A.Q.Q.” の成功の後、Hunter は様々な葛藤を乗り越え自らがトランスジェンダーであることを公表します。
体は男性、心は女性。彼女の作品の哲学的な性質を考えれば、この勇気ある公表がボーカルとアレンジメントの両方を通して、より深く、より生々しい感情的サウンドを喚起することは明らかでした。
「LITURGY の音楽には、いつもたくさんの愛、寛容さ、誠実さがある。だからといって、それがそのまま “女性的” ってことなのかしら? そう定義するのは、あまりにも堅苦しいような気がするわね。でも、私が個人的にそういった感情にアクセスして表現するときは、それは私にとって女性的なものだと感じているんだけどね。」
性別の移行と同時に、インストゥルメンタルだった万物の起源へと誘うオペラはその神話を語る声を得ました。それはすべて、この物語の主人公が SIHEYMN という女性だったから。言葉だけでも、音楽だけでも伝えられない彼女のメタフィジカルな理想は、そうして女性性を色濃くしながら “Origin of the Alimonies” へと昇華されることとなったのです。描かれるはトラウマティックな愛によって引き裂かれた2つの神の原理 OIOION と SIHEYMN の尊き神話。
「私が Messiaen について愛していることの一つは、彼が前衛的な作曲家であると同時に、私と同じようにキリスト教徒であるということなの。この二つの側面は、私が自分の作品の中で定義し、継続しようとしている “The Ark Work” の繋がりにとって重要なものだから。」
グリッチなシンセで幕を開けた “H.A.Q.Q.” とは対照的に、”Origin of the Alimonies” はフルートの孤高が導きの灯火。フランスの現代音楽作曲家でオルガニスト Olivier Messiaen に薫陶を受けたアルバムは、ヴァイオリン、トランペット、ハープを不穏に誘い、バーストビートのラウドな宇宙と結合することで、2020年代のチェンバーメタルオペラを提示することに成功したのです。
もちろん、”Lonely OIOION” を聴けば、圧倒的なバンドパフォーマンスの不変に今も身を委ねることが可能です。それでも、グリッチやオーケストレーションとのセンセーショナルな婚約に始まり、千変万化なトラップやフリージャズのビート、”The Fall of SIHEYMN” に降臨するマイクロトーナルの絶景、Messiaen 由来の現代音楽のリズムと不協和を設計図とする “Apparition of the Eternal Church” の叙事詩まで、37分すべてが明らかにブラックメタルを超えた芸術作品の域までこのオペラを高めています。
Hunter はかつて、このアルバムで自身のリスナーは大きく減るだろうと予言しました。しかし、作品を締めくくる “The Armistice” の美しき混沌に身を委ねれば、彼女の予言がいかに的外れであったか伝わるはずです。
複雑なリズムのクラスター、ポリフォニー、そして不協和音。常識を覆す斬新なアイデアと、原始的な人間の起源を描いたことによる初演の混乱。そうこれは21世紀のストラヴィンスキー、春の祭典なのかもしれませんね。もちろん、バレーのダンサーは半狂乱でしかし軽やかにモッシュピットで踊ります。ゆえに現在制作中という、アルバムを投影した映像作品も楽しみですね。
今回弊誌では、Hunter Hunt-Hendrix にインタビューを行うことができました。「もちろん、男らしさが悪いわけではないし、私はこれからも男らしさが常にメタルを支配していくと確信しているの。それは私にとって別に構わないのよ。」2度目の登場。どうぞ!!

LITURGY “ORIGIN OF THE ALIMONIES” : 10/10

INTERVIEW WITH HUNTER HUNT-HENDRIX

Q1: After our previous interview, you came out publicly as transgender. As you say, there was fear of rejection -social rejection, romantic rejection, career rejection, rejection by your family. I admire your courage. How were you still able to come out?

【HHH】: It was a long process. I was finally able to once I found a community that would accept me, which was only very recently. It’s more complicated than at obviously. I’m sad that I wasn’t able to face this sooner but there has been a lot of support and I’ve really appreciated it.

Q1: 前回のインタビューのあと、あなたはトランスジェンダーであることを公表しましたね。あなたの勇気を心から賞賛しますよ。
社会的にも、キャリア的にも、さらには家族からも拒絶される恐怖があったとあの時あなたは語っていましたが、それでも公表を後押ししたのは何だったんですか?

【HHH】: 長いプロセスだったわ。私を受け入れてくれるコミュニティを見つけてようやく公表できたんだけど、それはごく最近のことだったのよ。明らかに以前の方が複雑だったわね。
もっと早く向き合えなかったのは残念だけど、多くのサポートを受けることができて本当に感謝しているの。

Q2: You said “The music and ideas I compose come from a female heart”. That was very interesting to me. I’d like to ask you about femininity in art and music?

【HHH】: It’s somewhat hard to explain. I’ve always considered the burst beat technique to be feminine in some kind of cosmic sense, like fluid, cyclical and anexact unlike ordinary metal drumming, though it gets very difficult to describe what one means by ‘feminine’. Like there’s always been a lot of love, openness and sincerity in Liturgy’s music. Is that ‘feminine’ exactly? Seems like it would be too rigid to define it that way. But when I personally access and express those feelings, it feels feminine to me.

Q2: 公表時のメッセージであなたは、「私の音楽やアイデアは女性の心からきているの」 と仰っていましたね。とても興味深い表現だと思いました。
具体的に、アートや音楽に潜む女性性についてお話ししていただけますか?

【HHH】: 説明するのはなかなか難しいわね。バーストビート (注: 彼女にとってのブラストビート) のテクニックは、普通のメタルドラミングとは違って、流動的で周期的で正確な、ある種宇宙的な意味での女性的なものだと思っていたんだけど、それでも “女性的”とは何を意味するのかを説明するのはとても難しいわね。
LITURGY の音楽には、いつもたくさんの愛、寛容さ、誠実さがある。だからといって、それがそのまま “女性的” ってことなのかしら? そう定義するのは、あまりにも堅苦しいような気がするわね。でも、私が個人的にそういった感情にアクセスして表現するときは、それは私にとって女性的なものだと感じているんだけどね。

Q3: The metal world still emphasizes masculinity, and the boys’ club aspect remains strong. That’s why I’m glad you’re in the metal world. Do you think those false traditions will change?

【HHH】: I think they will, or at least I hope so. There’s nothing wrong with masculinity of course, and I’m sure masculinity will always dominate metal, which is fine by me. But I hope that the metal scene learns to have less of the ‘boys club’ aspect you mention and hold space for more alterity. Personally I see that as the leading edge of originality for metal, like fulfilling its potential, making it more complete and well-rounded, fulfilling its destiny anyway. But that’s just my philosophy – I’m sure other people want different things out of metal from me and that’s fine too.

Q3: メタル世界は今でも男性性を強調したり、ボーイズクラブ的な側面が色濃く残っていますよね。だからこそ、あなたの存在が重要だと感じています。伝統を変えていけると思いますか?

【HHH】: そうなると思うし、少なくとも私はそう願っているわ。もちろん、男らしさが悪いわけではないし、私はこれからも男らしさが常にメタルを支配していくと確信しているの。それは私にとって別に構わないのよ。
でも、メタルシーンには、あなたが言うような “ボーイズクラブ” 的な側面を減らして、もっと変幻自在になってほしいと思っているの。個人的には、それがメタルにとってのオリジナリティの最先端だと思っているから。つまり、メタルの潜在能力を満たして、より完成度の高いものにして、とにかくその運命を成就させるようなものね。
でも、それは私の哲学に過ぎないから。他の人も私とは違うものをメタルに求めていると思うし、それはそれでいいと思うのよ。

Q4: In our previous interview, you said “I worked way, way, harder composing the music to Origin than the music for H.A.Q.Q.”. Isn’t it just the right piece for the right time you were finally broken free from some kind of compromise?

【HHH】: Yes, it really is. I made a point of not using any pronouns at all for the press stuff around H.A.Q.Q. because I had the sense that I would come out soon but wasn’t ready yet. But Origin of the Alimonies is really a culmination of who I am in a way, and the process of making it – especially the video aspect that most people havent seen yet – was a big part of what gradually put me in contact with my womanhood. For a long time I thought that the album had to be instrumental. We recorded the music before I came out (during the same session as H.A.Q.Q.), but once I began my transition I felt able to put vocals on it after all, which I did only a month before it was released, in September of 2020. That felt very meaningful to me.

Q4: 前回のインタビューであなたは、「”Origin of the Alimonies” は “H.A.Q.Q.” の何倍もハードに作曲に取り組んだ」と語っていましたね。自らを解放したあと、最初のアルバムとしてこれほど完璧な作品もないですよね?

【HHH】: そうね、本当にそう思うわ。”H.A.Q.Q.” を予告をせずサプライズリリースにしたのは、もうすぐ出るけどまだ準備ができていないという感覚があったからなの。でも、”Origin of the Alimonies” は、ある意味で自分自身の集大成で、その制作過程、特にまだほとんどの人が見ていない映像の部分は、自分の女らしさに少しずつ触れさせてくれた大きな作品だったの。
長い間、このアルバムはインストゥルメンタルでなければならないと思っていたの。私がカミングアウトする前に(”H.A.Q.Q.” と同じセッション中に)レコーディングしたんだけど、性を変え始めると、結局ヴォーカルを入れることができると感じるようになった。主人公が女性だったから。リリースのわずか1ヶ月前、2020年の9月にボーカルを入れたのよ。それは私にとってとても意味のあることだったの。

Q5: Also, you said “I’m sure the audience will be much, much smaller, because it is a lot less accessible.”. Indeed, it is their most overly lofty challenge to yourself and listeners yet. As well as the new elements of classical instrumentation that most closely correlate your sound to 19th Century Romanticism, you also reunite the sounds of black metal, trap music, gabber, electronica, noise, glitch, hip-hop production effects and much, much more. Definitely, this is the 21st century’s opera, would you agree?

【HHH】: Yeah I see it as an opera, even to the point of primarily belonging in the context of contemporary opera even more so than the context of metal, or at least equally. Like, it isn’t an ordinary opera obviously, but I really do engage deeply with that tradition here, ‘opera’ isn’t just a word pasted onto the album in order to make clear that the music is telling a story.

Q5: この作品についてあなたはこうも言っていましたね。「あまりにキャッチーさに欠けるから、リスナーは大きく減るだろう」 と。
ただ、19世紀のロマン主義が現代のブラックメタル、トラップ、ノイズ、グリッチ、ヒップホップと融合するあなたのやり方は、まさに当時のオペラの精神を投影していると感じましたよ。

【HHH】: そうね、私はこの作品をオペラだと思っていて、メタルというよりも現代オペラの文脈に属していると思っているの。少なくともメタルと同じくらいオペラよ。明らかに普通のオペラではないんだけど、その伝統に深く関わっていると感じているわ。
オペラとはアルバムに貼り付けられた言葉というだけじゃなく、音楽が物語を語っていることを明確にするためのものだったの。

Q6: How did Olivier Messiaen’s music influence this work?

【HHH】: One thing I love about Messiaen is that he is both an avant-garde composer and a Christian, just like me. Those two aspects are important to the tradition of The Ark Work that I seek to define and continue in my work (though other forms of spirituality besides Christianity are ok too). One of the tracks here is literally an arrangement of a piece of his. I see it as sort of an invocation or re-incarnation of his spirit, so as to carry the torch he was carrying. To me the way he combines different rhythms in simulaneity also influences the whole album.

Q6: Olivier Messiaen の音楽はこの作品にどう影響を及ぼしましたか?

【HHH】: 私が Messiaen について愛していることの一つは、彼が前衛的な作曲家であると同時に、私と同じようにキリスト教徒であるということなの。この二つの側面は、私が自分の作品の中で定義し、継続しようとしている “The Ark Work” の繋がりにとって重要なものだから(キリスト教以外の精神性の形でも良いけれど)。
このアルバムに収録されている曲の一つは、文字通り彼の曲をアレンジしたものよ。私はそれを、彼が背負っていた聖火を受け継ぐための、彼の精神を呼び出す生まれ変わりのようなものだと思っているの。
もっとミクロな視点で言うと、彼が様々なリズムを同時に組み合わせる方法は、このアルバム全体に影響を与えていると思うわ。

Q7: Did Pandemic affect this work in any way? You mentioned last time that this was the soundtrack to the film – it must have been difficult to make a film in Lockdown, right?

【HHH】: Well, the new version of the film I’m working I’m actually making in my living room, which I suppose is an effect of the pandemic yes.

Q7: 先程映像作品の話が出ましたが、このパンデミックで撮影もなかなか難しかったのではないですか?

【HHH】: 今取り組んでいる映画の新バージョンは、実は私のリビングルームで作っているのよ。だからそれもパンデミックの影響だと思うわ…そうね。

Q8: It seems this opera tells the story of why the world was born, and its story is meant to be the aesthetic core of Liturgy. Could you please explain this in a way that is easy for our listeners to understand when they first get to know you here?

【HHH】: I believe that there is a metaphysical imbalance within God that caused human history to begin to unfold, and that emancipatory politics and experimental art have an important role to play in restoring the balance, but that each new generation has to define what that means.

Q8: このオペラを私は世界の始まりの物語と捉えているのですが。

【HHH】: 私は、人類の歴史が展開し始める要因となった神の中にはメタフィジカル (人間の理解や物理を超えた) な不均衡があり、その不均衡を回復するためには、解放的な政治や実験的な芸術が重要な役割を果たすと考えているのよ。それが何を意味するのかは、それぞれの新しい世代が定義しなければならないと思けどね。

HUNTER’S FAVORITE ALBUMS OF 2020

VICTORY OVER THE SUN “A TESSITURA OF TRANSFIGURATION”

UBOA “THE FLESH OF THE WORLD”

MESSAGE FOR JAPAN

I hope we tour in Japan soon! We were supposed to be there in November of 2020 but had to postpone due to the pandemic, but hopefully 2021 or 2022!

日本をすぐにツアーできたらいいのに!もともとは2020年の11月に来日する予定だったんだけど、パンデミックのおかげで延期を余儀なくされたの。でもきっと今年か来年にはね!

HUNTER HUNT-HENDRIX

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MELTED BODIES : ENJOY YOURSELF】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MELTED BODIES !!

“I Have Used Raw Meat In a Lot Of Pieces For a Number Of Years. It Seems To Evoke Both a Beautiful Yet Uncomfortable Reaction Which I Am Attracted To. I Think Its a Wonderful Medium To Work With.”

DISC REVIEW “ENJOY YOURSELF”

「俺は何年もの間、多くの作品に生肉を使用してきた。美しいけれど不快な反応も、両方を呼び起こすようだ。だからこそ魅了されているんだが。この作品はその2つが共に喚起される、素晴らしい触媒だと思う」
かつては固体だった肉の塊が、次にドロドロの液体になり、それから再びほとんど固体になったものが合体して、床の上で蠢き、目が皮膚の表面に浮かんで動き回る、そんなジョン・カーペンター 「遊星からの物体X」 のように気が遠くなるようなイメージを喚起させる「溶けた死体」のインパクト。
そのバンド名を体現するように、彼らは自らを「多様なアートを徐々にブレンドしたり、一つの塊にまとめたりすること。」と定義しました。
「David Lynch を挙げてくれて嬉しいね。意図的ではないにせよ、リンチの視覚的なテーマをいくつか活用していると思いたいね。無意識のうちに忍び込んでいるように思えるね。」
ただ、ミュージシャンと記すだけでは、MELTED BODIES のすべてを表すことは不可能です。生肉の造形でアートワークを描きグロテスクの中に美しさを挿入しながら、当たり前のように資本主義の文化に染み付いた大量消費の意味を問い、”Ad People” の MV では、インターネットの力を蒸留し、毎日提供されるSNSの自我と自己嫌悪をスクリーンでリスナーに反射させてみせるのですから。猟奇集団の目的は “魅せること” と “混乱させること”。
「思うに俺たちがいかに一般的で表面的なプラスチックになりつつあるかということだよね。特にソーシャルメディアを介して、同僚や知人、さらには家族に自分自身を提示するときはね。」
あるべき姿を失ったドロドロの死体にとって、世界に根付く陳腐で愚かなな常識を疑うことなど造作もありません。女性が警官たちを次々と家に招き入れ食べてしまう “Eat Cops” で、マイノリティの人々に対する国家による絶え間ない暴力をジョークに隠喩し、”Funny Commercials (And the Five Week Migraine) ではポップなパーティーキャノンで医療保険の欺瞞を叫び、さらに “The Abbot Kinney Pedophiles” では笑い話の中で 「金持ちや甘やかされた奴らの喉を切り裂け!」と目まぐるしい歌唱でアジテート。
すべての営利目的で表面的で偽善的な地獄絵図を、皮肉りながら笑い飛ばすのが彼らのやり方。そうしてキャッチーな罠でリスナーの心に疑念を抱かせるのです。
「1つ言えるのは、消費主義、後期資本主義といった表面的なものをテーマにした作品の多くは、カリフォルニアを中心とした、少なくともアメリカを中心としたものであることは間違いないと思う。」
その噛みつくようなしかし明るさを内包した音楽の塊には、世界で最も多様でエリートとサブカルチャーが蔓延るカリフォルニアという出自が少なからず影響しています。音楽的に、同郷の SYSTEM OF A DOWN や FAITH NO MORE の Mike Patton と比較されることの多い彼らですが、皮肉の中にパーティーを織り込む “Enjoy Yourself” の精神は特別LAの風景を投影しているようにも思えます。
“The Rat” が象徴するように、シンセサイザーのカラフルを武器にカリフォルニアの先達を咀嚼したオルタナティブとノイズの化け物は、そうして偽の幸福や不条理をパーティーで一つ一つ破壊していくのです。時に、シンセウェーブにポストパンク、LAメタルまで想起させるレトロフューチャーな世界観が映像を脳内まで誘う不思議。
結局、”Enjoy Yourself” とは、様々な困難を乗り越えながら、それでも自分自身を楽しむこと。ユニークな個性を曝け出し、本音を臆さず語ること。そうして彼らはその哲学を、視覚的、聴覚的な真の芸術家としてリスナーに訴えかけるのです。その姿はもはやミュージシャンというよりも、メディアでありインフルエンサーなのかもしれませんね。
今回弊誌では、MELTED BODIES にインタビューを行うことができました。「俺たちの曲の中にあるシニカルなテーマを少しでも楽しく感じさせるために、カオスなパーティーのエネルギーを好む傾向があるんだろうな。パーティーも大好きだし、いろんなところから影響を受けているから、楽しい音楽を作ろうとしているんだと思う。」 どうぞ!!

MELTED BODIES “ENJOY YOURSELF” : 10/10

INTERVIEW WITH MELTED BODIES

Q1: First of all, I was surprised by the name of your band, Melted Bodies. What is the meaning behind this name?

【MELTED BODIES】: Melted Bodies [melt – ed bod – eez]
entity
Name, domain and home to various works, music, and affections created by Melted Bodies
verb
The gradual blending or combining of divergent bodies of work into one mass: or collection
adjective
1. Distinct activity existing or occurring in an intense, sometimes sensual and generally animalistic degree. Often associated with the exchange and mixing of extreme perspiration, fluids, saliva, blood and heightened emotion between two or more human beings amidst the act of creation.

Q1: MELTED BODIES というバンド名がまず、実に強烈ですね?

【MELTED BODIES】: Melted Bodies [melt – ed bod – eez]
名詞
MELTED BODIES が制作した様々な作品、音楽、愛情の名前、ドメイン、ホーム
動詞
多様なアートを徐々にブレンドしたり、一つの塊にまとめたりすること。
形容詞
感情的な、時に官能的な、一般的には動物に存在する、または発生している活動。多くの場合、創造の行為の中で、二人以上の人間の間での極度の汗、液体、唾液、血液、感情の高まりの交換と混合に関連する。

Q2: “Enjoy Yourself” artwork is also very intense. I’m sure it’s a fake, but why did you choose to use this kind of “Melted Body” artwork?

【ANDY】: I made the piece with four cuts of meat(all beef) & shot both covers in my apartment using natural lighting, some red/blue led lights and some post work in photoshop.
I have used raw meat in a lot of pieces for a number of years. It seems to evoke both a beautiful yet uncomfortable reaction which I am attracted to. I think its a wonderful medium to work with. Here we have this abundant and readily available form of dead flesh for sale at almost any grocery store which most humans without thinking twice will happily consume & yet presenting it just slightly out of the context of “mass consumption“ & suddenly it makes a lot of us uneasy which I find fascinating.

Q2: 名前だけではなく、アートワークも強烈ですね。まさか本物ではないでしょうが…

【ANDY】: 俺が4つの肉のカット(すべての牛肉)で作品を作ったんだ。俺のアパートで自然光、あとは赤/青のLEDライトとフォトショップでいくつかポストワークを使用し両方のカバーを撮影したんだ。
俺は何年もの間、多くの作品に生肉を使用してきた。美しいけれど不快な反応も、両方を呼び起こすようだ。だからこそ魅了されているんだが。この作品はその2つが共に喚起される、素晴らしい触媒だと思う。
これは、ほとんどの食料品店で売られている、豊富で容易に入手可能な死肉の別の形なんだ。ほとんどの人間は何も考えずに喜んで消費するけどね。それを「大量消費」という文脈からは、少し外れた形で提示しているのさ。だから突然、多くの人を不安にさせてしまうんだけど、それこそ俺が魅力的に感じることなんだよ。

Q3: In your bio, you said “We are here to target influencer content and engage media partners through collective storytelling and game-changing ideas.”. What did you want to convey about the Internet and social networking through “Ad People”?

【ANDY】: Lots of layers within both our “Brand Message” and the song Ad People but I think one through line is how generic and surface level plastic we are becoming especially when presenting ourselves via Social Media, to co-workers, to acquaintances and even to family to some degree.

Q3: あなたたちのバイオには、”インフルエンサーコンテンツをターゲットにし、集団的なストーリーテリングと画期的アイデアで、メディアパートナーを巻き込むことを目指す” と記されていますね。
“Ad People” を通じて、インターネットやSNSについて何を伝えたかったのでしょうか?

【ANDY】: 俺たちの “ブランドメッセージ” と “アドピープル” の中にはたくさんの意味があるんだけど、思うに俺たちがいかに一般的で表面的なプラスチックになりつつあるかということだよね。特にソーシャルメディアを介して、同僚や知人、さらには家族に自分自身を提示するときはね。

Q4: “Eat Cops” seems to be a reflection of this year’s BLM, doesn’t it?

【ANDY】: I actually wrote Eat Cops a couple years before BLM finally came under the media spotlight. It’s a reflection on American law enforcement/Police in general.

Q4: “Eat Cops” は BLM 運動を反映した楽曲に思えます。

【ANDY】: 実は、”Eat Cops” は俺が何年も前に書いたんだけど、そのあと BLM が遂にメディアの注目を浴びたんだよ。まあアメリカの法執行機関、警察のだらしなさを反映した曲さ。

Q5: What is the concept behind the album title “Enjoy Yourself”?

【ANDY】: It’s a bit of a double meaning which we do a lot of. Mainly, it’s a reminder which I personally needed the entire time while writing the album. I often have a difficult time loving myself or finding ways to actually enjoy what’s in front of or inside of me. I’m quite talented at being incredibly insulting to myself at times, so it’s like a post it note stuck onto the cover art. I told myself that no matter how serious, fucked up or dark some of these songs are, if I didn’t smile at least once while listening back then it wouldn’t move forward.
The other meaning is more of a cynical light shone on our increasing selfishness. Don’t think too hard, don’t challenge yourself, don’t get uncomfortable, stop thinking critically, stop contributing and just enjoy yourself.

Q5: “Enjoy Yourself” とはまた大きな括りのタイトルですね?

【ANDY】: これはちょっとしたダブルミーニングさ。俺らはよくやるんだけど。このアルバムを書いている間、主に俺が個人的に必要としていたことを思い出させてくれるタイトルなんだ。自分自身を愛したり、目の前のものや自分の中にあるものを楽しむ方法を見つけるのに苦労することが多いから。
時々俺は、自分を侮辱しがちだからな。カバーアートに貼り付けられたポストイットのようなものさ。どんなにシリアスな曲でも、めちゃくちゃな曲でも、暗い曲でも、聴き返している時に一度は笑わないと前に進まない、そう自分に言い聞かせていたからね。
もう一つの意味は、俺たちの身勝手さをシニカルに表現したんだ。難しく考えず、挑戦せず、不快にならず、批判的に考えるのをやめ、貢献するのをやめ、ただ自分自身を楽しむってね。

Q6: Musically, many listeners may be reminded of System of a Down, Faith No More, Mr. Bungle, Japan’s Sigh and Tomahawk. However, you guys are more like a “Synth-party”. Does that have something to do with your California origins?

【BEN】: That’s a pretty interesting question! I’m not sure if California has much to do with it, given that two of our members are native to California and the other two from Colorado and West Virginia. Plus, System of a Down and Mike Patton are from California as well I believe. I will say however that a lot of our themes around consumerism, late-stage capitalism, and superficiality definitely feel uniquely centered around California though, or at least America. I think we just tend to like the chaotic party energy as a way to make some of the more cynical themes in our songs feel fun. We also love to party, and pull influence from a lot of places, so I think we just try to make fun music. If we lived in Bergen or Berlin or something, maybe it wouldn’t feel so fun, but hopefully it’d feel just as wild.

Q6: 音楽的には、SYSTEM OF A DOWN, FAITH NO MORE, MR. BUNGLE, SIGH, TOMAHAWK といったバンドを想起させますね。
ただ、”Enjoy Yourself” のタイトルが示す通り、シンセ-パーティー的なムードが音楽に織り込まれています。カリフォルニアという出自も関係していますか?

【BEN】: 興味深い質問だね!カリフォルニアが関係しているかどうかはわからないな。メンバーのうち2人がカリフォルニア出身で、他の2人はコロラド州とウェストバージニア州出身だから。ただ、SYSTEM OF A DOWN と Mike Patton もカリフォルニア出身だったよね。
1つ言えるのは、消費主義、後期資本主義といった表面的なものをテーマにした作品の多くは、カリフォルニアを中心とした、少なくともアメリカを中心としたものであることは間違いないと思う。
俺たちの曲の中にあるシニカルなテーマを少しでも楽しく感じさせるために、カオスなパーティーのエネルギーを好む傾向があるんだろうな。パーティーも大好きだし、いろんなところから影響を受けているから、楽しい音楽を作ろうとしているんだと思う。ベルゲンとかベルリンとかに住んでいたら、そんなに楽しくはないかもしれないけど、もっとワイルドな感じになるかもね。

Q7: For example, the essence of Mike Patton’s music is his live performance, but from the music video, it seems that you are also an artist who values live performance, right? The pandemic has had a big impact on you, would you agree?

【MELTED BODIES】: Yes, we definitely value our live performance. In fact, much of our music videos is actually taken from the videos we usually play during our live show. Before the pandemic, we were playing around LA quite a bit, usually a few times a month, which is also partly why it’s taken so long for us to release Enjoy Yourself. However, as much as we absolutely miss playing live, and are eager to start touring more, particularly internationally (I’m looking at you JAPAN), our band has definitely done the most we could with a mid-pandemic album release with some of our videos. We’re lucky because we all have backgrounds in other mediums of creativity as well. Scott usually does the videos. Andy does a lot of the illustrations and merch. Ben has another project called Diamondstein, so he’s always busy with new ideas for the band. And Houda is really good at a lot of punk DIY things, since she’s been doing rad music projects in LA for a long time. So even though we miss playing live, i think it’s been really funny coming up with new and weird ways to engage with people that are either just finding out about us, or who have been friends and fans for a while. Hopefully this means that when we can play live again, we’ll be better than ever, but we’ve been lucky to have other ways to create until then. Let’s all just take this damn vaccine so we can all sweat on each other again, cool?

Q7: 例えば Mike Patton の本質はライブパフォーマンスにあると思います。MV を見れば、あなたたちも同種のアーティストだとわかります。
ゆえに、このパンデミックとロックダウンは大きな障害となったのではないですか?

【MELTED BODIES】: そうだね、俺たちは間違いなくライブパフォーマンスを大切にしているよ。実際、俺たちのミュージックビデオの多くは、ライブを撮影したビデオから取ったものなんだ。パンデミックになる前は、月に数回はLAでライブをしていたんだけど、それも “Enjoy Yourself” のリリースに時間がかかってしまった理由の一つなんだ。
とはいえ、当然だけどライブが恋しくて、もっとツアーをしたいと思っているよ。特に国際的なツアーをね(日本に期待しているよ)。だけどパンデミックの最中にアルバムをリリースしたにもかかわらず、MVを使ってできる限りのことをしてきたと思う。
幸運なことに、俺ら全員が他のクリエイティヴな媒体での経歴を持っているからね。Scott は通常、ビデオを担当している。Andy はイラストやグッズの大半を担当している。Ben は DIAMONDSTEIN という別のプロジェクトをやっていて、新しいアイデアでいつも忙しくしている。Houda はパンクのDIYが得意なんだ。LAでずっとやってたからね。
だから、ライブは恋しいけど、俺らのことを知ったばかりの人や、昔からの友達やファンの人たちと交流するための、新しくて奇妙な方法を考え出すのはとても楽しいことだと思うよ。これでまたライブができるようになるといいけど。
それまでは他の方法で創造することができてラッキーだったよ。まあまたお互いに汗をかけるように、みんなでこのワクチンを接種しようぜ、クールにな?

Q8: It seems to me that you guys have brought the horror and cult of David Lynch into the metal pit. What are the future goals of Melted Bodies?

【SCOTT】: I love that you specified Lynch. I’d like to think that we’ve utilized a few of Lynch’s visual themes, though not deliberately. It has seemingly crept its way in subconsciously. Our videos leverage a lot of found footage and stock video. Stock video is interesting because it’s an entire marketplace of content doing its best to reflect the common world, but geared towards a level of marketability. With that in mind, it becomes this aesthetic of grotesque mundanity, depending on how you wield it or how long you look at it. I think this is very common in Lynch’s work. Where the benign appears malignant. It’s fun to ground our big sound with this visual motif, but also incorporating levels of body horror and gore to punctuate the narrative.

Q8: 映像という文脈では、David Lynch のホラーをメタルのピットに持ち込んだという言い方もできるのかもしれませんね?

【SCOTT】: David Lynch を挙げてくれて嬉しいね。意図的ではないにせよ、リンチの視覚的なテーマをいくつか活用していると思いたいね。無意識のうちに忍び込んでいるように思えるね。
俺たちのビデオには、発見された映像やストックビデオが多く使われているんだ。ストックビデオは面白いよ。なぜなら、一般的な世界を反映するために最善を尽くしているけど、市場性のレベルに合わせたコンテンツが市場全体だからね。そう考えると、ストックビデオは見方や時間によって、グロテスクな俗物の美学になるわけさ。
これは Lynch の作品によくあることだと思う。良性のものが悪性に見えるところがね。この視覚的なモチーフでビッグなサウンドを表現しつつ、ボディホラーやゴアのレベルを取り入れてストーリーを盛り上げるのも楽しいよね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED MELTED BODIES

Refused: The Shape of Punk to Come – This is one of the first records where I heard so many influences and styles thrown together into “punk”. Truly changed the way I thought of the genre.
最初に聞いたレコードの一つ。多くの影響やスタイルを “パンク “にまとめていた。このジャンルの考え方を変えてしまった。
Meshuggah: Obzen – I just get so much satisfaction from the weird polyrhythms in this album, and this is the first time I think I really heard this kind of hyper aggressive “math” driven music. I still listen to it, and a lot of Meshuggah, as a sort of contemplative stimulation.
このアルバムの奇妙なポリリズムにとても満足しているし、この種の攻撃的な “数学”のような音楽を聴いたのは初めてだと思う。今でも聴いているよ。一種の瞑想的な刺激として。
The Faint: Wet From Birth – This album feels like my first real exposure to synths as a leading role in a more punk-oriented band. Then, I became synth obsessed.
パンク志向のバンドで、主役としてのシンセに初めて触れたような気がしする。その後、俺はシンセに夢中になった。
The Chariot: Everything Is Alive, Everything Is Breathing, Nothing Is Dead, and Nothing is Bleeding – At the time, this was the most extreme music I’d ever heard, and so I started going to every Chariot show I could. It was positive chaos, but absolutely violent chaos nonetheless. I still have never been in a more painful crowd.
当時、これは今まで聴いた中で最も過激な音楽だった。それはポジティブなカオスだったけど、にもかかわらず絶対的に暴力的なカオスだった。今でもこれほど痛々しい音の中にいたことはない。
Stereolab: Dots and Loops – This was a time when I just started exploring music outside of traditional punk and metal, and Stereolab represented a sophistication that set a mood and a tone that dominated my early 20s. I still regularly listen to this record.
伝統的なパンクやメタル以外の音楽を探求し始めたばかりの頃で、Stereolabは俺の20代前半を支配していた。洗練さを代表していたよね。今でも定期的に聴いているよ。

(BEN)

Fever Ray: Plunge – The promotional tour for this record sort of flipped a switch in my mind that no matter what the tones and content of the music, it should be presented in a visceral, but fun manner. Never miss an opportunity to make a performance a celebration.
このレコードのプロモーションツアーで、心のスイッチが入ったような気がする。お祭り騒ぎを逃さないようにしよう。
Nine Inch Nails: The Downward Spiral – I would say this is hands down the most influential record on my list and one that consistently remains listed when asked this question. It taught me music can be scary, it can be uncomfortable, it can be erotic. Masochistic, music can be masochistic through its journey.
リストの中で最も影響を受けたレコードであり、この質問をされたときに一貫してリストに残っているレコードだと言えるだろう。音楽は怖いものであり、不快なものであり、エロティックなものであることを教えてくれた。音楽はその旅を通してマゾヒスティックになり得る。
Caribou: Swim – I had grown up loving techno, trance, and house music, but also the guilty pleasure of saccharine indie bands as well. The latter fell off as I grew older, but then this album came out and I found this beautiful balance of those influences. It felt like a sound I wanted to hear was plucked from my mind and pressed for my listening pleasure.
テクノ、トランス、ハウスミュージックを聴いてで育ったが、甘いインディーズバンドも好きだった。自分が聴きたいと思っていた音が、頭の中から抜き取られて、プレスされているような感じがしたよ。
Death Grips: No Love Deep Web – I had all but stopped listening to heavier music at this point in my life, but when this album dropped, it was so raw, it was vicious, it was so… COOL. It was punk in the 21st century.
当時ヘヴィな音楽を聴くのを完全に止めていたんだけど、このアルバムが出てきたときは、とても生々しくて、悪質で、とてもクールだった。21世紀のパンクだよ。
Arca: Mutant – Film was my original love. I only got “into music” because of film scores. A large part of that love is sound design – textures, tones, feelings. To me, this album broke down a lot of structural norms and showed me that there are no “rules” and I can choose to incorporate anything I want sonically in music I’m creating.
映画は俺の源流。「音楽にハマった」のは映画のスコアのおかげだ。その愛の大部分はサウンドデザインにある。俺にとって、このアルバムは多くの構造的な規範を打ち破り、”ルール”も存在せず、自分が作っている音楽の中に自分の好きなものを取り入れることができると教えてくれたんだ。

(SCOTT)

Dead Kennedys: Give Me Convenience or Give Me Death – I finally felt like I wasn’t alone, like I wasn’t the crazy one for thinking there is something wrong and I wasn’t the only one angry about it.
最終的に一人じゃなかったような気がした、私は何かが間違っていると考えているけど、それについて怒っている唯一の人間じゃなかったの。
The Hives: Vini Vidi Vicious – Dirty tones + basement-show vibes + matching outfits = everything Houda loves
ダーティなトーン+ベースメントショーの雰囲気+お揃いの衣装=ホウダの好きなものすべて
The (International) Noise Conspiracy: A New Morning, Changing Weather – just because you get older and embrace jazz groves doesn’t make you any less of a punk.
新しい朝、変化する天気–年を取ってジャズ・グローブを抱きしめたからといって、パンクになるわけではない。
Yeah Yeah Yeahs: Fever To Tell – Messy can be beautiful; art and punk can live simultaneously; three people can make bigger and fuller sounds than any wall of Marshalls
雑然としたものは美しいものであり、アートとパンクは同時に生きることができ、3人の人間はマーシャルのどんな壁よりも大きくて充実したサウンドを作ることができる。
Robyn: Body Talk What can I say, I have a thing for Swedes.The lyrical vulnerability throughout the album elevated what dance/pop music could be.
何と言っていいか、ダンス/ポップの最高到達点だろうね。

(HOUDA)

MESSAGE FOR JAPAN

We are beyond humbled by the support we’ve received from Japan, and can’t wait to come and get sweaty with all of you. We all love so much of what has come out of Japan, and are just thankful what we’re making is getting to you. Domo Mother Fucking Arigato.

日本からのサポートに感謝しているよ。みんなと一緒に汗をかくのが待ちきれないね。俺たちは皆、日本から出てきたものをとても愛しているし、俺たちの作品がみんなに届くことに感謝しているんだ。ドーモ・マザー・ファッキング・アリガトウ!

MELTED BODIES

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE RETICENT : THE OUBLIETTE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHRIS HATHCOCK OF THE RETICENT !!

“I Wanted To Make An Album That Confronted The Horror Of The Alzheimer Illness But Also The Cruel Way We Often Treat Those That Suffer With It.”

DISC REVIEW “THE OUBLIETTE”

「アルツハイマーが生み出す地獄。僕は家族と一緒にその光景を目の当たりにしたんだ。アルツハイマーは高齢者が大半を占めているから、病気を主張できないことが多く、社会的には見捨てられ、忘れ去られてしまうことだってよくあるんだ。僕はこの病気の恐ろしさと同時に、この病気で苦しむ人たちへの残酷な接し方にも向き合うアルバムを作りたいと思ったんだよ。」
65歳以上の6%が何らかの影響を受けるアルツハイマー病。ゆっくりと、しかし確実に重症度が増していく慢性的な神経変性疾患です。ゆるやかに自分自身を失っていく恐ろしい病。
プログメタルプロジェクト THE RETICENT の首謀者 Chris Hathcock は実際にその恐怖を目の当たりにし、その視点と経験を音の書へと綴ることを決意したのです。
「絶望と鬱を永続的に克服する道を知っていればいいのにと心から思うよ。僕たちの多くにとって、それはある意味生涯をかけた戦いになるからね。」
THE RETICENT は音楽に仄暗い感情を織り込む天才です。2016年の “On The Eve of a Goodbye” では、幼馴染だったイヴが自ら死を選ぶまでの悲愴を、すべてを曝け出しながら綴りました。徐々に近づいていく決断の刻。湧き出るような感情と共に迎えるクライマックス “Funeral for a Firefly” の圧倒的な光景は、聴くものの心激しくを揺さぶったのです。
「こんな悲しいテーマのアルバムを書いたのは、アルツハイマー病や認知症についての音楽がほとんどないからだよ。一般的に、多くの人は特に後期の段階でアルツハイマー病がいかに衰弱を強いる残酷な病気であるか、完全に認識していないよね。患者は記憶を失うだけでなく、さらに話すことも、移動することも、食べることも、飲み込むことさえ出来なくなるんだよ。」
そして THE RETICENT は再度真っ暗な感情の海へと旅立ちました。”The Oubliette” はアルツハイマーの7つの進行状況を7つの楽曲へと反映したコンセプトアルバムです。オープニングで、病院で自分の病状にさえ気付かず至福の時を過ごす主人公ヘンリーを紹介されたリスナーは、彼の静かな戦い、容赦のない悪夢を追体験していきます。
「僕はいつも、伝えたいことの感情に合ったサウンドを見つけようとしているんだ。それは伝統的なバンド(ギター、ベース、ドラム)のセットアップであることもあれば、ジャズのコンボやダルシマー、あるいはブラックメタルのようなワイルドな異なるジャンルへの挑戦の時もあるね。」
実際、ほぼすべての楽器を1人でこなす Chris のコンポジションとリリックは完璧に噛み合っています。OPETH のアグレッション、PORCUPINE TREE のアトモスフィア、RIVERSIDE のメランコリーに NEUROSIS の哲学と実験を認めた多様な音劇場は、エセリアルなメロディーやオーセンティックなジャズの響きに希望を、激烈なグロウルとメタルの方法論に喪失を見定めて進行していきます。亡き妻の生存を信じながら、時に彼女の死を思い出す動揺は、天秤のようなコントラストの上で悲しくも描かれているのです。挿入されるスポークンワードやトライバルなパーカッションも、ストーリーの追体験に絶妙な効果をもたらしていますね。
クライマックスにしてタイトルトラック、Oubliette とはヨーロッパ中世に聳え立つ城郭の秘密の地下牢。高い天井に一つの窓。ヘンリーはその唯一の出口、すなわち死を絶望的な懇願と共に迎えるのです。ただし今際の際に垣間見るは遂に訪れた平穏。
「それは複雑で “勝ち目のない” 状況と言えるだろうな。だからこそ、このアルバムが病気の現実に対する認識を高め、病気を経験している人やこれから経験するかもしれない人たちに小さな慰めを提供できたらと願っているんだよ。」
THE RETICENT はアルツハイマー病の認知度を高めるために、そして病と戦う患者や家族のために、またしても悲哀を呼び起こす感情的な傑作を創造しました。Chris Hathcock は音楽でただ寄り添い、世界へ訴えかけるのです。
今回弊誌では、その Chris にインタビューを行うことができました。「この病気で苦しんでいる人たちの世話をする人たちは、真のヒーローだよ。実に困難な仕事だからね。時にはほとんど不可能なくらいに。心が痛むし、イライラするし、意気消沈するし、とにかく絶え間ない葛藤が続くんだ。このアルバムで僕は、そんなヒーローたちにそれでも誰かが理解してくれるとメッセージを直接伝えたかったんだ。」 Jamie King のプロデュースはやはりプログメタルに映えますね。どうぞ!!

THE RETICENT “THE OUBLIETTE” : 10/10

INTERVIEW WITH CHRIS HATHCOCK

Q1: First of all, what kind of music were you listening to, when you were growing up?

【CHRIS】: I grew up listening to a lot of Metallica, Megadeth, and Slayer as a young child. When I was a teenager, i discovered metal bands like Emperor, Cannibal Corpse, and my favorite band Neurosis as well as greats of jazz like Miles Davis and Duke Ellington and classical like Beethoven and Stravinsky. The genres of music I consumed continuously expanded each year as I got older. There is hardly a genre of music I don’t enjoy to some degree at this point.

Q1: まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【CHRIS】: 幼い頃は、METALLICA, MEGADETH, SLAYER を聴きまくって育ったんだ。ティーンエイジャーになると、EMPEROR, CANNIBAL CORPSE, NEUROSIS といったメタルバンドや、Miles Davis, Duke Ellington などのジャズ、それにベートーベンやストラヴィンスキーみたいなクラシックの名曲を聴くようになったね。
僕が楽しむ音楽のジャンルは、年を重ねるごとにどんどん広がっていったんだ。そうして、楽しめない音楽のジャンルはほとんどなくなったのさ。

Q2: I was really blown away by your newest record “The Oubliette”. The album is divided into seven chapters, and it’s illustrated with the progression of Alzheimer’s disease, right? Why did you choose to deal with this subject?

【CHRIS】: Correct. The seven tracks are meant to represent the seven stages of Alzheimer’s disease – though the narrative and lyrics are meant to follow a more personal journey of the main character, Henry. I chose to write an album about such a sorrowful subject because there is very little music out there about Alzheimer’s or dementia. In general, many people are not entirely aware of how debilitating and cruel the disease can be particularly in the later stages. Patients not only lose their memories but further lose their ability to communicate, to move, to eat, or even to swallow. Consider that we are our memories and our experiences. Imagine losing those memories. In the midst of your body shutting down, you don’t even have your memories to console you – that is the hell that Alzheimer’s patients may be condemned to. I watched this firsthand with a family member. Because the majority of those afflicted with this malady are the elderly, they often cannot advocate for themselves and, as a society, we tend to shove them aside and forget about them. I wanted to make an album that confronted the horror of the illness but also the cruel way we often treat those that suffer with it.

Q2: “The Oubliette” には本当に驚き、心を揺さぶられましたよ。7つの章がアルツハイマーの進行に合わせて展開するのですから。なぜこのテーマを選んだのですか?

【CHRIS】: そうなんだ。たしかに7つの楽曲はアルツハイマー病の7つのステージを表しているけど、ただストーリーと歌詞は主人公のヘンリーの個人的な旅に沿ったものなんだ。
こんな悲しいテーマのアルバムを書いたのは、アルツハイマー病や認知症についての音楽がほとんどないからだよ。一般的に、多くの人は特に後期の段階でアルツハイマー病がいかに衰弱を強いる残酷な病気であるか、完全に認識していないよね。患者は記憶を失うだけでなく、さらに話すことも、移動することも、食べることも、飲み込むことさえ出来なくなるんだよ。
僕たちは記憶と経験で形成されている。それを失うことを想像してみて欲しい。体が動かなくなる中で、それを慰める記憶をさえ持っていないんだから。それこそ、アルツハイマー病の患者が味わうかもしれない地獄なんだよ。
僕は家族と一緒にその光景を目の当たりにしたんだ。アルツハイマーは高齢者が大半を占めているから、病気を主張できないことが多く、社会的には見捨てられ、忘れ去られてしまうことだってよくあるんだ。僕は、この病気の恐ろしさと同時に、この病気で苦しむ人たちへの残酷な接し方にも向き合うアルバムを作りたいと思ったんだよ。

Q3: Japan’s population is aging at an accelerated rate with a declining birthrate, and the elderly make up the majority of the population. Many young people are tired of taking care of the elderly. Alzheimer’s disease is not only difficult for them, but also for their families. In this context, what was the message you wanted to get across from this story?

【CHRIS】: The caretakers of those suffering from the disease are true heroes. It is a difficult job – sometimes almost impossible. It is heartbreaking, frustrating, disheartening, and it is a constant struggle. I want this album to convey a message directly to those people that someone out there understands. That the experience of watching a loved one suffer from this disease is harrowing. The torment that those with the disease must endure can only be speculated by those of us on the outside – but even the thought is terrifying – yet the heartbreak of watching a loved one go through those stages is devastating and if often feels like no one understands. It’s a complex “no-win” situation. Hopefully, in some small way this album can help increase awareness of the reality of the illness and provide some small comfort to those that have been through or are going through this.

Q3: ご存知かもしれませんが、日本は少子高齢化が進んでいて、高齢者の介護に疲れ果てた若者も決して少なくありません。
仰るように、アルツハイマーや痴呆症は、本人のみならず家族や向かい合う人たちにとっても難しい病気ですよね?

【CHRIS】: この病気で苦しんでいる人たちの世話をする人たちは、真のヒーローだよ。実に困難な仕事だからね。時にはほとんど不可能なくらいに。心が痛むし、イライラするし、意気消沈するし、とにかく絶え間ない葛藤が続くんだ。
このアルバムで僕は、そんなヒーローたちにそれでも誰かが理解してくれるとメッセージを直接伝えたかったんだ。愛する人がこの病気で苦しむのを見るのが、いかに悲惨なことかをね。この病気にかかった人が耐えなければならない苦悩は、外から見ている僕たちには想像することしかできないけど、考えるだけで恐ろしいことだよね。そしてその進行をただ見守るしかない家族も、心を引き裂かれるような思いをするんだ。この辛さを誰も理解してくれないってね。
それは複雑で “勝ち目のない” 状況と言えるだろうな。だからこそ、このアルバムが病気の現実に対する認識を高め、病気を経験している人やこれから経験するかもしれない人たちに小さな慰めを提供できたらと願っているんだよ。

Q4: In your last album, you dealt with the suicide of your close friend. I think you’re a genius at putting deep emotions to music. In fact, Japan has a very high suicide rate. Many artists and actors have committed suicide. Are there any useful ways to overcome such despair and depression?

【CHRIS】: I truly wish I knew the path to permanently overcome despair and depression. For many of us, it will be a lifelong battle of sorts. The good news is that there are things that can be done to lessen its impact and to break the cycle. Small accomplishments are important – like getting up, getting dressed, brushing your teeth, etc. – these tiny victories help prevent one from getting completely immobile. Attempting to see things from a different perspective is another beneficial practice – because we often get somewhat trapped in our cyclical depressive perspectives. Revisiting positive memories is another good thing because it reminds that not every moment of our lives has been suffering therefore it stands to reason that not every moment ahead of us will be suffering – this is where small joys in hobbies, friends, nostalgia, etc. can be very helpful. Finally, I think talking/expressing the feelings is essential but we also must be willing to not cling to those negative thoughts. Pour them into poetry, music, prose, videos, etc. and allow yourself to let go.

Q4: 前作であなたは親友の自殺を扱っていましたね。深い感情を音楽に織り込む天才だと思います。
日本は自殺率も高く、有名な俳優やアーティストが自殺をとげるケースも後を絶ちません。絶望や鬱を乗り越えることは簡単ではないですよね?

【CHRIS】: 絶望と鬱を永続的に克服する道を知っていればいいのにと心から思うよ。僕たちの多くにとって、それはある意味生涯をかけた戦いになるからね。
良い知らせとしては、鬱の影響を軽減し、悪いサイクルを断ち切るため必ずできることがあるということ。起きる、服を着る、歯を磨くといった、小さな達成感が大切なんだ。こういった小さな勝利の積み重ねは、完全に動けなくなることを防ぐんだよ。
別の視点から物事を見ることも、良い方法だろうな。僕たちはしばしば、自身の周期的な抑うつ的な視点に閉じ込められるからね。良い記憶を再訪することも、君が生活のすべての瞬間で苦しみを感じているとしたら、効果的だよね。苦しくない時だってあると思えるから。 趣味、友人、郷愁などの小さな喜びが非常に役立つんだよ。
最後に、僕は話す/感情を表現することが不可欠だと思う。それだけじゃなく、否定的な考えにしがみつかないようにしなきゃいけないね。詩、音楽、散文、ビデオなどに没入して、自分自身を忘れる時間も必要なんだろうな。

Q5: Aggression by Opeth, Atmosphere by Porcupine Tree and Melancholy by Riverside. The Oubliette” is undoubtedly a 21st century prog-metal masterpiece. Are these three important music teachers for you?

【CHRIS】: Each of those bands are certainly bands I admire and have enjoyed. The most significant influence on me – especially from a philosophical perspective – has undoubtedly been Neurosis.

Q5: 音楽的には、OPETH のアグレッション、PORCUPINE TREE のアトモスフィア、RIVERSIDE のメランコリーを極上のブレンドで届ける、プログメタル21世紀の決定版にも思えます。

【CHRIS】: うん、君が挙げたバンドは間違いなく僕が崇拝し、大好きな人たちだね。ただ、僕にとって最も意義のある影響元は、特にフィロソフィーの面で、疑いようもなく NEUROSIS なんだ。

Q6: On the other hand, your own uniqueness is amazing, like tribal percussion and authentic jazz, female voice, spoken words. It’s definitely a new era of prog metal. That kind of non-metal element is essential for a truly progressive band, isn’t it?

【CHRIS】: The wonderful thing about progressive music as a genre is that there is so much room to explore, combine, and reimagine. I think that the inclusion and subversive use of “non-metal” elements can be an essential part of continuing to explore the genre. For me, I always just try to find the sound that fits the emotion of what I want to get across; sometimes that is a traditional band set up (guitars, bass, drums) and other times it’s a jazz combo or a dulcimer or going into a wildly different genre like black metal.

Q6: 一方で、トライバルなパーカッション、女性ボーカル、スポークンワード、オーセンティックなジャズの導入など THE RETICENT 特有のユニークさはプログメタル新時代の到来を告げています。
こうしたノンメタルな要素は、これからのプログメタルにとって不可欠にも思えますが?

【CHRIS】: プログレッシブ・ミュージックというジャンルの素晴らしいところは、探求したり、組み合わせたり、再構築したりする余地が非常に多い点なんだ。
ノンメタルの要素を取り入れたり、ある種破壊的な使い方をすることは、このジャンルを探求し続ける上で必要不可欠なことだと思うよ。
僕はいつも、伝えたいことの感情に合ったサウンドを見つけようとしているんだ。それは伝統的なバンド(ギター、ベース、ドラム)のセットアップであることもあれば、ジャズのコンボやダルシマー、あるいはブラックメタルのようなワイルドな異なるジャンルへの挑戦の時もあるね。

Q7: When I had an interview with Countless Skies recently, they said “Maybe, Some Of The People Who Miss The Death Metal Elements Will Enjoy Us. I Think If Nothing Else, It Has The Diversity That Was Found In Early Opeth.”. You guys use elements of growl and death metal to great effect, so I’m sure the same can be said for you. What do you think of Opeth’s decision to stop the growl?

【CHRIS】: I believe Opeth did what was best for them – and I respect them for that. The Reticent started out as an acoustic side project so I went from only clean, soft music to incorporating more and more heavy/aggressive elements. Just like them, I made the decision that was best for me. It would appear that some folks who miss the old days of Opeth’s heavier output seem to like what we do now. But I have never begrudged Opeth for their change – we only have so long to write and play so write and play what makes you happy.

Q7: 最近、COUNTLESS SKIES にインタビューを行ったのですが、彼らは 「OPETH のデスメタル要素を懐かしく思うなら僕たちを楽しめるはず。初期の彼らにあった多様性が宿ってるから」 と語っていました。
グロウルを効果的に使用するあなたたちにも、同じことが言えそうですね?

【CHRIS】: OPETH は彼らにとってベストな選択をしたと信じているし、それを尊重しているよ。
THE RETICENT はアコースティックなサイドプロジェクトとしてスタートしたから、もともとはクリーンでソフトな音楽だけだったのが、どんどんヘヴィーでアグレッシブな要素を取り入れるようになったんだ。つまり、方法は違うけど彼らと同じように、自分にとってベストな決断をしたんだ。
かつての OPETH のヘヴィーな創造性を懐かしんでいる人たちの中には、今の僕らの活動を気に入っている人もいるようだけどね。でも、僕は OPETH の変化を決して恨んだことはないよ。人生はそんなに長くない。何を書いて演奏するかは自分が幸せになるように決めるべきさ。

Q8: In the last song, the heart stops beating after the peace that has come at last. What about the speech at the end?

【CHRIS】: That small snippet at the end is from a talk given by biochemist Dr. Gregory Petsko who has been trying to warn people for years of the rising epidemic of Alzheimer’s.

Q8: アルバムの最後では、遂に訪れた平穏のあと、心臓の鼓動が止まり、スピーチが流れますね?

【CHRIS】: あの最後の小さなスピーチの断片は、生化学者のGregory Petsko 博士の話しから引用したんだ。アルツハイマーの拡大に長年警鐘を鳴らし続けた人物さ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED CHRIS’S LIFE

NEUROSIS “THROUGH SILVER IN BLOOD”

METALLICA “MASTER OF PUPPETS”

MILES DAVIS “KIND OF BLUE”

BORKNAGAR “THE ARCHAIC COURSE”

OPETH “BLACKWATER PARK”

MESSAGE FOR JAPAN

Take care of yourselves and take care of one another. Please do not forget the elderly, particularly those that suffer – we will be those very people one day. Thank you so much for allowing me to talk with you and thanks to any and all that choose to listen to The Reticent!

自分を大切にし、そしてお互いを大切にしよう。お年寄り、特に苦しんでいる人たちのことを忘れないで欲しい。いつか僕たちも同じ道を歩むんだから。 話をさせてくれてありがとう。THE RETICENT を聴いてくれるすべての人に感謝を!

CHRIS HATHCOCK

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DARK QUARTERER : POMPEI】THE ROMAN EMPIRE METAL


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DARK QUARTERER !!

“It Was Thus Natural For Us To Try To Describe a Unique Event In Our History That Has Returned, After Almost Two Thousand Years, The Photograph Of a City That Has Remained Crystallized Over Time, To Reach Us Telling Us Stories Of Our Distant Ancestors”

DISC REVIEW “POMPEI”

「イタリアに住むということは、歴史との共存を意味するんだ。私たちが住んでいる街の起源は非常に古く、私たちが歩いている道は古代ローマ人によって作られ、私たちの周りには数千年前に建てられた建物の痕跡が残っていることがよくあるからね。」
歴史とヘヴィーメタルのマリアージュはいつだって極上の音景色を運びます。ヴァイキングに中世ヨーロッパ、侍から世界大戦まで、メタルは場所や時間を超えて古のロマンを伝え続けています。そんな歴史とメタルの蜜月の中で、ローマ帝国の絵巻物を紡ぐべきは、70年代中盤から続くイタリアの語り部 DARK QUARTERER こそが相応しいと言えるでしょう。
「イタリアのジャーナリスト Claudio Cubito が1987年に私たちを、”プログレッシブエピック” の創始者と呼んだんだ。私はその言葉がこのバンドを定義する一つの鍵だと思う。」
今では巨大で確立されたジャンルとなったエピックメタル。MANILLA ROAD, CIRITH UNGOL と並んで、DARK QUARTERER はその領域の先駆者です。ただし、彼らの異端はそこに多様な音の葉、プログレッシブなスピリットを落とし込んでいる点にあります。
「融合を達成するための最も親和性の高い方法は、すべての音楽的な道を通ることだよ。様々なスタイルの知識があったからこそ、私たちはエピックとプログレッシブを統合することができたんだよね。」
一つの要因は、イタリアというプログレッシブな風土でしょう。クラッシックやオペラの盛んな雅で歴史的街並みには、すでに PFM, BANCO, ARTI, NEW TROLLS, I POOH といったロマンを組曲へと封じる繊細知的な先人が多数存在したのですから。
加えて、メンバー間の歳の差もバンドの異質な存在感に拍車をかけました。ベース/ボーカルの Gianni & ドラムスの Paolo と、ギター、キーボードを操る2人の Francesco の間には20歳もの年齢差が存在します。DEEP PURPLE や GENTLE GIANT を起点に、CANDLEMASS のドゥーム、DIO SABBATH のダーク、FATES WARNING の深層、KING DIAMOND の猟奇, Yngwie の技巧が共存する音故知新な世界地図。世代と世代を掛け合わせることで、DARK QUARTERER はさながらローマ帝国のごとく音楽的な版図を拡大していったのです。
「所謂 “エピック” なサウンドを選択したのは意識的ではなく、むしろエトルリア、そしてローマの領土の起源に関連した自然なインスピレーションによるものだったんだ。」
全ての音はローマに通ず。そうしてあまりにも膨大な音の領土を獲得した皇帝が世界進出に選んだテーマは、ポンペイでした。イタリア南部で繁栄し、ヴェスヴィオ火山噴火の火砕流により一夜にして埋もれ消え去った悲劇の街。
ヴェスヴィオの噴火、そして死の到来を告げるメタルオペラの幕開けから、Gianni の絶唱は埋まり遺跡となった都市の結晶を溶かしていきます。
メタリックなイアン・ギラン、強靭なキング・ダイアモンドとでも形容可能な狂人の喉は、マーティー・フリードマンを想わせる Francesco Sozzi の流麗情緒なソロワーク、Francesco Longhi の古き良きハモンドの魔法と遭遇してプログレッシブエピックの本懐を遂げます。たしかに彼は語り部で、バンドは劇場に巣食っています。
運命の日に抗う個人の物語も出色。ローマの司令官、科学者、作家であった “Plinius the Elder”は、噴火の最中に愛する人を救おうと奮闘し、命を落とします。その8分弱のドラマは、爆発的なプログメタルから、温もりのある繊細なチェンバーピアノのパッセージへと繋がり、愛の強さと自然の無慈悲を殊更に強調するのです。
牧歌的な人生と平和を夢見ていた “Gladiator” もまた、生き残りたいという本質的な衝動に駆られます。噴火で闘いからの甘い解放を享受した闘士は、瞬時に自らの命を守る原始的な戦いへと移行します。その衝動の並置はメタルの叙事詩として完璧なまでのダイナミズムを生み出しました。
終幕は “Forever”。ドラマティシズムが乱れ咲くプログレッシブエピックのコロッセオで、結晶の街は永遠にもにた静かな眠りに落ちるのです。
今回弊誌では、DARK QUARTERER にインタビューを行うことが出来ました。「私たちの歴史のユニークな出来事を作品として表現するのは自然なことだったんだよ。約二千年の時を経て、結晶化したままの都市の姿が、遠い祖先の物語を伝えてくれるようになったんだからね。」 クラッシックメタル再構築の波にも共鳴した傑作。どうぞ!!

DARK QUARTERER “POMPEI” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【NEPTUNIAN MAXIMALISM : EONS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GUILLAUME CAZALET OF NEPTUNIAN MAXIMALISM !!

“The Idea Comes From The Fact That a Scientific Community Agrees That If Humans Had Not Occupied The Leading Place In The Food Chain, Then Probably It Would Be The Elephants Who Would Occupy Our Place.”

DISC REVIEW “EONS”

「もし人間が食物連鎖の頂点を占めていなかったとしたら、おそらく象が我々の場所に位置するという科学的なコミュニティも同意した事実から来ているんだけどね。」
叡智を育むゾウの生命に支配される地球の風景。避けがたきホモ・サピエンスの破滅を受け継ぐポスト・ヒューマンの存在。それはベルギーの実験音楽集団 NEPTUNIAN MAXIMALISM が思い描くディストピアな未来です。
「マキシマリズムという概念は、芸術の歴史に直結しているよ。それはまず、無駄を省いたミニマリズム(”less is more”)への反発であり、20世紀の現代美術に強い影響を与えた工業生産コードの回復が、アート市場の堕落を許したことに起因しているんだ。つまり、今日のアートが直面しているこの人間原理、アントロピアに対抗するためには、逆の意味を喚起する何かが必要だったんだよ。それは、現在の市場にある多くの芸術作品が示す安易さに反発して、より多くの仕事、より多くの音楽的レイヤー、さらなる寛大さへと向かうことが必要だったのさ。」
ミニマルな機能美が崇拝された20世紀へのアンチテーゼとして最大限の趣向、装飾、音数が注がれた3枚組2時間超のアルバム “Éons” は、儀式的なドローンのファンファーレで壮大な終末を手招きし、他の動物が高度な知性を得る未来への招待状。海王星の最大主義者を名乗る集団は、宇宙線に魂を貫かれ、自らの分子が散乱し、宇宙の広がりに飲みこまれるような体験を当然のように提供します。
「”サピエンス” という地位に到達するための動物の能力に気づいて欲しかったからなんだ。
言い換えれば、動物は潜在的な “人間” であり、そうなるのも時間の問題なんだ。だからこそ、僕たちは動物を対等な存在として考えなければならないよね。人間が進化の過程で非常にユニークな存在であると考えるのは間違いだと判明している。進化の過程が非常に長く(ホモ・サピエンスでは約30万年)、他の種でそれを観察する時間がなかったからわからなかっただけなんだよ。」
人類は特別な存在ではない。ただ他の動物より早く進化を遂げただけ。その主張と同様に、NEPTUNIAN MAXIMALISM の音楽は前人未到です。メタルとドローンの領域に足を踏み入れ、前衛ジャズの混沌とした自由を謳歌し、トライバルで異質な触手を持つこのグループのサウンドは、連続的な渦巻きの宇宙的ハイブリッドというべきものかも知れませんね。
もちろん、メタル世界は過去40年の間にジャズの血脈をしばしば取り入れてきました。CYNIC のコズミックなプログレッシブデス、PANZERBALLETT の迷宮と技巧、SHINING の異端。しかしかし、”Éons” はそんなユニークなアプローチの末裔というよりも、劇的な再解釈であると言えるでしょう。ジャズメタルではなく、ドゥームジャズでもなく、むしろ神秘的でオリンポス火山のようなドローンノワール。
「最初、僕とルチアーノ(I、Voidhanger Records)は金子富之のこの作品にすっかり惚れ込んでしまったんだ。そのサイケデリズム、配色の多さ、複雑さ、空間の彩度などなどにね。僕たちの音楽に響くものがたくさんあったんだよ。特に怒りに満ちた複数の顔と犠牲になる牛の頭は、確かに我々の宇宙論と関係があったんだよ。」
“大威徳明王の大太鼓” でバーストするサックスの嘶きは、しなやかな即効性と強度を持って終末の儀式を開き、脈動するバリトンは渦巻く炎の中心で静かに輪廻からの解放を誘います。それは、128分の広大で予測不可能な宇宙の凛とした箱庭。
「ジャズかメタルかだって?それは君たちが考えることだよ。まあ僕にとっては、ヘヴィートライバル、時々はオペラドローンと言えるかな。」
世間一般の定義では “メタル”ではありませんが、NEPTUNIAN MAXIMALISM は、あらゆるジャンル、あらゆる意味での重力とヘヴィネスを想起させる絶対的に巨大なブラックホールを生み出しています。
“NGANGA – Grand Guérisseur Magique de lre Probocène” のひりつくようなグルーヴ感とリズム感、”PTAH SOKAR OSIRIS – Rituel de l’Ouverture de la Bouche dans l’Éon Archéen”ではミニマルなドゥームメタルの轟音にホーンが虹彩のカウンターポイントを与え、”ENŪMA ELIŠ – La Mondialisation ou la Création du Monde. Éon Protérozoïque” に至ってはカルトなジャズメタルの生け贄をサイケデリックなラーガロックへと再構成しているのですから。
SUN RA, John Coltrane, EARTH, SUNN O)))、クラウトの化身 EMBRYO, それにインドやアラブのフォークミュージック。”Éons” で想像される世界は、たしかに基本的にはどんなメタルバンドにも備わる暗黒のビジョンであり、荒涼としたファンタジーに満ちています。 しかし、NEPTUNIAN MAXIMALISM のアポカリプスはスピリチュアルで感動的、そして美しく混沌としていて、著しく奇妙なのです。
今回弊誌では、 バリトンギターからシタール、フルート、トランペットと音の自由を謳歌する Guillaume Cazalet にインタビューを行うことが出来ました。「進化したゾウは、彼らの黄金時代の間に動物の太陽都市(HELIOZOAPOLIS)を建立しているんだ。クローサーは、完全な静けさの中で僕たちの有限性を喚起するグループ BONG の歌のタイトルから取られているよ。僕たちの後継となる世界は美しいものになるからね。」 どうぞ!!

NEPTUNIAN MAXIMALISM “EONS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【OK GOODNIGHT : LIMBO】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH OK GOODNIGHT !!

“We Agree That There Are Not Many Women Seen In This Particular Genre Of Music, But There Is, Without a Doubt, a Vastly Overlooked List Of Women Pioneering The Genre With Amazing Talent, And Doing a Lot For Metal And Rock Music As a Whole.”

DISC REVIEW “LIMBO”

「このメタルという特定の音楽ジャンルに女性があまりいないことには同意するけど、このジャンルを開拓し、素晴らしい才能を持ち、メタルやロック音楽全体のために多くのことを成してきた女性は、間違いなく大きく見落とされているわね。Hayley Williams (PARAMORE) みたいなボーカリストや、素晴らしい友人 Adrienne Cowan (SEVEN SPIRES) , Elizabeth Hull がいなければ、今のような自信を得ることはできなかったと思う。そしてもちろん、母である Sandy Casey の指導と助言がなければ、私はどこにも居場所がなかったでしょうね。彼女は私の人生に影響を与えてくれた、最も刺激的なシンガーよ。」
ロックやメタルの世界における女性の躍動は、間違いなく21世紀におけるメジャーなトピックの一つです。ただし、その開拓には古くはジャニスにスージー・クワトロ、アニー・ハズラムから、アンネケ、ターヤ、エイミー・リーまで、ゼロから土壌を培った幾人もの献身が捧げられています。Casey Lee Williams の母 Sandy Casey もその一人。そうして今、引き継がれた遺産はプログメタルの世界を変革へと導きます。
実は、Casey はすでに有名人です。あの全世界で1億再生以上を記録し第8シーズンまで継続されているモンスターコンテンツ、大ヒット3DCGアニメ “RWBY” のサウンドトラックでメインシンガーを務めているのですから。それだけではありません。彼女の父は Jeff Williams。”RWBY” シリーズのコンポーザーで音楽監督。母との共演もそのサウンドトラックで実現。サラブレッドの血と才能は、そうしてさらなるアーティスティックな飛躍を求めました。
「最初のリハーサルの時から、彼女はこのプロジェクトに参加したいと思っていたし、非常に複雑だけど美しい音楽の上に歌を乗せるという挑戦を受け入れたいと思っていたんだ。」
バークリーの知的な複雑怪奇と、アニメの甘やかな表現力。昼と夜、二つの異世界が出会う逢魔時にはきっとこの魔法の言葉が似合います。OK, GOODNIGHT。
「アルバムのコンセプトは、奇妙な扉が開かれ、地球を荒廃させ、誰でも何でも破壊する異世界の巨人がやってきたような巨大な黙示録の中で生き残ろうとしている若い女の子を中心に展開しているよ。」
デビューフル “Limbo” でバンドが語るのは異世界からもたらされた辺獄のストーリー。幼い頃から日本の文化やアートを愛しアニメを見続けた異能のギタリスト Martin と、映画のサウンドトラックを養分とする鍵盤奏者 De Lima、そして “RWBY” で近未来の理不尽な御伽草子を紡ぐ Casey が交わるにはあまりに完璧な舞台です。
「アトモスフェリックなサウンドとピアノを、大きな作品の一部として使用することで、リスナーの心を掴み、より集中して聴くことができるようになると思う。ヘヴィーなギターリフと優雅なテクスチャーの並置は、このバンドのサウンドの大きな部分を占めているよ。」
ストーリーへの没入感を加速する対比のダイナミズムと、メタルとサントラのマリアージュが投影を加速する音映像。もちろん、その難題はバークリーのカラフルなテクニックと、Casey の伸びやかでムード満載な歌声によって実現されていくのです。
クラッシックやジャズ、ポストロックのキメラさえ基本。ここには PROTEST THE HERO も、DREAM THEATER も、PLINI も、RADIOHEAD も、ほんの少しの Djent も、CASIOPEA のようなジャパニーズフュージョンだって、それにアニメのイントロやアウトロのドラマティシズムまでもが繊細に大胆に織り込まれているのですから。最新 EP “Under the Veil” の幕引きに流れる Casey の気高きソプラノは、20年代プログメタルの辿る道をほんのりと照らしているのかも知れませんね。
今回弊誌では、OK GOODNIGHT にインタビューを行うことが出来ました。「僕たちは皆、好きな音楽や音楽を演奏するようになった経緯が全く違っていて、それがアーティスティックな選択にも表れていると思うよ。それに、長所と短所もそれぞれ違っているよね。」どうぞ!!

OK GOODNIGHT “LIMBO” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TERAMAZE : I WONDER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DEAN WELLS OF TERAMAZE !!

ALL PHOTO BY KARINA WELLS

“I Like To Push My Self As a Musician So That Style Lets Me Do All The Styles That I Like To Write, We Fall In And Out Of Progressive Metal Its Anything Goes Really In Teramaze, Thats What Makes It Fun.”

DISC REVIEW “I WONDER”

「僕はミュージシャンとして自分をプッシュするのが好きだから、好きなスタイル全部を込めて作曲が出来るんだよ。プログレッシブメタルの中に出たり入ったり……TERAMAZE では何でもありで、それが楽しいんだ。」
PLINI, HIATUS KAIYOTE, KARNIVOOL, KING GIZZ, CALIGULA’S HORSE, VOYAGER, NE OBLIVISCARIS。オーストラリアが今、多様で真にプログレッシブなアーティストの桃源郷であることは疑う余地もありません。TERAMAZE の Dean Wells はインタビューてその理由を意味不明だと笑いましたが、実は彼自身が意識する “プログメタルに出たり入ったり”、自由自在何でもありのスピリットが彼の地には浸透しているのかも知れませんね。
「Tera とは何兆億もの道を指し、Maze は迷宮。だから、基本的に TERAMAZE とは平和への一つの道を通って自分の進む場所を見つけることなんだ。」
実際、 プログメタルというエニグマティックな迷宮においても、TERAMAZE が辿り到達した道の先は稀有なる特異点だと言えるでしょう。結成は1993年、デビュー作のリリースが95年ですから実はかなりのベテラン。当初はスラッシュメタルや PANTERA の影響色濃いアグレッシブなメタルをプレイしていましたが、2002年の解散、そしてリユニオンを経て、旋律の色彩を解き放つプログレッシブの昴として瞬き躍動しているのですから。
Dean が人生を変えたアルバムの一枚に SAVAGE GARDEN の “Affirmation” を挙げていることは、彼らを紐解く重要なヒントなのかも知れません。90年代を席巻した同郷オーストラリアのポップレジェンドは、たしかに TERAMAZE の遺伝子を改変しました。
メランコリーを帯びた官能的な歌声と旋律。洗練と無機の狭間で揺らぐ未来型シンセとドラムパターン。そんな二極を混淆して新世界への扉を開けた SAVAGE GARDEN の哲学は、そのまま TERAMAZE のエモーション極まるポップログメタルへと通じています。
「”Lake 401″ はたしかにサクスフォンととてもよく似ているよね。面白い話だけど、サックスは僕が初めて習った楽器で、正直嫌いだったんだ。(笑) でも今はそのサウンドが大好きだよ。実に歌っているようだからね。」
Dean の別プロジェクト、エクストリームな MESHIAAK のアルバムを聴けば、彼のテクニックが今まさに臨界へと達していることは明らかです。それでも、Dean が TERAMAZE でギターを捌くのではなく語らせるのは、ポリリズムやプログレッシブに潜む歌心を何よりも重視しているからでしょう。
そうして遂に Dean は最新作 “I Wonder” で自らが歌うことを選びました。バンドにとっては3作連続で異なるシンガーがフロントを務めることになりましたが、どうやら Dean の感傷的なソフトボイスは TERAMAZE の進化へと完璧に寄り添っているようですね。
アルバムには10分に迫る大曲が多数配置され、構成の妙やリズムの魔法で目眩く闇と祈りの絵巻物を象っていきます。それでも作品で最も印象に残るのは、”Lake 401″, “A Deep State of Awake”, “I Wonder” のような甘く切ないメロディーの輝き。逆に言えば、きっとポップソングは5分以内という常識を打ち破るのが何でもありの TERAMAZE なポップログ。
今回弊誌では、Dean Wells にインタビューを行うことができました。「僕たちは自分たちを、信念に従い音楽を書こうとしている人間以外の何者でもないと思っているんだ…僕は自分の信念を持っているし、それが音楽に浸透していくこともあるんだけど…でも、俺たちはただの TERAMAZE なんだよ。どんなラベルも関係なくね。」 どうぞ!!

TERAMAZE “I WONDER” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【COUNTLESS SKIES : GLOW】2020’s OPETH FROM UK


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAMES PRATT OF COUNTLESS SKIES !!

“Maybe, Some Of The People Who Miss The Death Metal Elements Will Enjoy Glow. I Think If Nothing Else, It Has The Diversity That Was Found In Early Opeth.”

DISC REVIEW “GLOW”

「”Glow” では、プログの要素をより多く取り入れて、他の音楽からの影響も取り入れた。僕は今も自分たちのサウンドを保ちたいと願っているんだ。ただし、新たなダイナミックな方法でね。今は自分たちのサウンドを見つけ始めていると思う。」
メロディックデスメタルは多くのファンに愛されるジャンルですが、あまりにそのサウンドが明確なため、90年代初頭の予定調和が繰り返されるだけという側面も否めません。実際、21世紀以降、この場所に新鮮な空気を持ち込んだ異能は数少なく、DARK TRANQUILLITY, INSOMNIUM, OMNIUM GATHERUM といった創始者に近い英傑たちに進化を委ねるしかありませんでした。
「僕たちは BE’LAKOR の大ファンなんだ。彼らは、自分たちの良さの基本を守りながら、常に変化し、新しいサウンドを探求しているバンドだからね。彼らの最新アルバム “Vessels” は、音楽的にも非常に異なるものになっている。」
僅かな例外の一つが BE’LAKOR で、彼らのプログレッシブな旅路が多くの後続を勇気づけたことは間違いありません。北欧のメランコリーからかけ離れた高級住宅街、イングランドのハートフォードシャーに現れた COUNTLESS SKIES もそんなバンド一つです。BE’LAKOR の名作 “Stone’s Reach” のファイナルトラックをバンド名に戴き、彼らの最新作 “Vessels” と自らのデビューフル “New Dawn” のリリースデートを合わせこむ COUNTLESS SKIES の BE’LAKOR 愛は本物。ただし、受け継いだのは音楽性そのものではなく、挑戦者の哲学とスピリットでした。
「有能なバンドを際立たせているのは、メタルをはるかに超えたところから影響を受け取り入れる能力だと思うからね。プログメタルは、他のジャンルのように特定のサウンドに限定されていないから好きなんだ。僕たちはメロディックデスメタルの観点からプログレッシブメタルに取り組んでいるんだ。」
BE’LAKOR や INSOMNIUM に薫陶を受けたデビュー作はあくまでプロローグに過ぎませんでした。オペラティックな歌声、プログレッシブな楽曲構成、メタリックな感性を刺激するテクニカルな嘶き、そしてストリングスやクワイア、メロトロンの優雅で重厚なノンメタルな響き。その全てがタペストリーの如く、メロディックデスメタルの下地へと幾重にも重ねられていきます。
「今回はオーケストラの要素がとても楽しかったね。使用した楽器は、それぞれの曲のアイデンティティーの大きな部分を占めていると思う。」
英語には Glow と Grow Up を掛け合わせて「大きく変貌を遂げる」という意のスラング Glow Up が存在しますが、COUNTLESS SKIES の最新作 “Glow” はまさに Glow Up な傑作です。
ブラストビートに重なる ANATHEMA、メロデスの DEAFHEAVEN とでも形容したくなる鮮烈なオープナー “Tempest” は、”We’re Here Because We’re Here” と同種の希望やエナジーをもたらすオレンジの嵐。BLIND GUARDIAN のゴージャスさえ纏った “Summit” の一方で、INSOMNIUM 直系の獰猛とメランコリーを伝える “Moon” はエセリアルなピアノの響きと共にバンドの出自を示し、夕映えに佇む月の哀愁を物語るのです。
「デスメタルの要素を恋しく思っている人たちの中には、”Glow” が楽しめる人もいるかもしれないね。何より、初期の OPETH に存在した多様性を持っていると思うから。」
極め付けは、3楽章20分から成るタイトルトラックでしょう。メロトロンにストリングス、フォーキーなダンスに現代的アトモスフィア、エアリーなハーモニー、そのすべてを抱きしめ OPETH の哲学で裁縫した空の織物は間違いなく20年代を代表するプログエピックでしょう。プログメタルとメロデスが鬩ぎ合いながら幕を引くエンディングは鳥肌もの。もちろん現存するバンドですが、それでも2020年の OPETH と信じたいほどに遺産を気高くアップデートしているのです。
今回弊誌では、リードギタリストにしてコンポーザー James Pratt にインタビューを行うことができました。「BLMを公に支持している人々に対する反発が大きかったことを覚えているよ。ああいった混乱の時には、人々と関わることが大切だと思うね。偏屈な人は常に存在するけれど、中には誤った情報を持っている人もいて、なぜそれが重要なことなのか、きちんとした説明を必要としている人もいるんだから。」FORWARD. THINKING. METAL.は空に映える。どうぞ!!

COUNTLESS SKIES “GLOW” : 10/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【OCEANS OF SLUMBER : OCEANS OF SLUMBER】


COVER STORY : OCEANS OF SLUMBER

“I FEEL LIKE MY HISTORY IS BROKEN, I FEEL LIKE AMERICA IS BROKEN”

OCEANS OF SLUMBER

女性であること。黒人であること。ヘヴィーメタルには直結しない2つの特徴を持つ Cammie Gilbert は、OCEANS OF SLUMBER へと加入した2015年、自らに一握りの不安を抱えていました。
「メタルの世界に入った時、黒人女性であることや、必ずしもメタルのバックグラウンドばかりを抱えているわけではないことにかなり負い目を感じていたのはたしかね。」
バプテスト派の家庭で育ち、IRON MAIDEN や METALLICA より R&B やヒップホップが鳴り響く街並み。両親は教会の聖歌隊で出会い、プロのミュージシャンである父親が聖歌隊のリーダーを務めていました。”南部出身の黒人女性” としての経験をいかにメタルへと反映させるのか。しかし Cammie は自身のバックグラウンドが、思っていた以上にメタルと調和していることに気づきました。
「私はメタルから歌を教わったわけじゃない。だけど、私が歌を教わったゴスペル、ジャズ、ブルースのヴァイブやエッセンスはプログメタルが存在し成立するまさにその理由の一つなのよ。だから私はメタルが大好きなの。美学やアトモスフィアもそうだけど、エモーションや細部への拘りもね。」

興味深いことに、Cammie の人生に最も早く寄り添ったメタルは、Layne 逝去のあと、黒人ボーカリスト William DuVall と共に前へと進む ALICE IN CHAINS でした。
「初めてロックやオルタナティブを聴き始めた時、ALICE IN CHAINS の “Dirt” が私を揺さぶったの。KORN や SLIPKNOT は激しすぎて家では聴かせてもらえなかったんだけどね。感情が込められているのよ。悲しみや痛み、ヘヴィーな感情を理解するのはあの頃の私にとって未知のことだったのよ。」
Layne Staley や Chris Cornell のソウルフルが彼女のルーツと共鳴したのです。
「当時、私の周りにはロックやメタルにハマっている黒人の子供はあまりいなかった。だから少し孤立していたの。でも、それが私が感じていた音楽だったから。大学まではちょっとした一匹狼だったわ。大人になってライブに行けるようになるまでは、メタルやロックシーンのコミュニティの感覚を得られなかったわね。」

数年後、Cammie は自らロックバンドで歌っていました。彼女が所属していたバンドは、ある日ヒューストンで開催された OCEANS OF SLUMBER のショーのオープニングを務めました。
「私はルーサー・ヴァンドロスを聴いて育ったから、ウォームアップとしてメロディックでビッグな曲を演奏していたの。駐車場で叫んでいたら、Dobber の友達が私を見ていたわ。私はこのショーで唯一の黒人の女の子で、鮮やかなエレクトリックブルーのドレスを着ていたから、かなり目立っていたのよ。私たちがパフォーマンスをしたとき、Dobber たちが真顔で私たちの前に立っていたのを覚えているわ。私は『彼らは私たちを嫌っている』と思ったわ。(笑) でも、そんなことはなかったわね。後日、彼らは私に連絡してきたの。」
バンドは Cammie に何曲か歌ってほしいと頼み、2014年にオリジナル・シンガーの Ronnie が脱退した際、彼女が後任となりました。今では CammieとDobber が OCEANS の舵取りを行い、Dobber が楽曲の「85~90パーセント」を書き、Cammie が作詞を担当しています。そして彼女が加入した後、二人の関係は音楽を超えてロマンチックなものへと発展していきました。


2人を繋ぎ合わせた TYPE O NEGATIVE の “October Rust” も彼女、そしてバンド全体にとって重要なレコードです。
「Peter Steele が大好きなの。私たちは TYPE O NEGATIVE が大好きで、彼らのアルバムは何枚も持っているけど、私にとってはこの作品がメインよ。”Cinnamon Girl”、”Be My Druidess”、そして “Wolf Moon”。Dobber は一度彼らのライブを見たことがあるのよ。うらやましいわ。私は Peter の自伝を読むことで埋め合わせなければならなかったの。バンドに関するメディアならは何でも買っているわ。彼らの曲を聴くのは経験になるのよ。Peter はとても賢い作詞家だから。聴いている音楽の中で一番面白い音楽だと思う。エネルギーを高めてくれるし、幸せな気分にさせてくれるわ。」
ANATHEMA, KATATONIA, SWALLOW THE SUN といった Peaceville 由来のゴシックドゥームな音モスフィアも当然 Cammie の養分です。
「ラブシックな音楽よね。クルーナー的な意味ではなく、切ない憧れとストーリー性を持った、かなりロマンティック。甘くて切なくて、夜にピッタリな音楽だわ。」
EVERGREY のプログレッシブな音の葉は OCEANS OF SLUMBER のスピリットと切っても切り離すことはできません。
「全員 EVERGREY の大ファンなの。”The Storm Within” は私の心を掻き毟り、彼らのエネルギーとボーカル Tom S. Englund が語る経験に引き込まれるわ。彼は信じられないほどソウルフルなのよ。OCEANS は彼らに比較的似ていると感じているの。素晴らしくとてもヘヴィなアルバムよ。」

つまり、メタルは他の何ものにも出来ない方法で人と人を絡み合わせると彼女は信じているのです。
「目を閉じていると、彼らの現実が、経験が伝わるのよ。私はいつも身体の外に出るような体験を探しているから。一瞬、私たちは完全に歌と一体となり、楽曲の書き手と一体となる。」
音楽的にも、プログ、ジャズ、R&B、ドゥームにゴシック、デス、ブラックといくつもの垣根を取り払ったセルフタイトル “Oceans Of Slumber” において、Cammie はそうやって文化や人種の壁も取り払いたいと切に願っています。Dan Swano のミキシングとテキサスヒューストンの組み合わせもその主張を実践していますね。
「ドラマーで私のパートナーでもある Dobber がこのレコードで君のことを語ろうと言ってくれたの。南部に住む黒人女性としての私の気持ちをもっと大きなスケールで OCEANS の音楽に反映させようってね。それってメタルコミュニティにはまだあまり浸透していない視点なの。だから、彼の言葉は、自分の人生の中で感じている怒りやズレ、混乱、葛藤などを、本当に深く掘り下げていくための青信号になったわね。私たちは、明らかにいつも存在し、常に問題となっているものを探求し始めたの。長い間、ある種のカーペットの下に押し込められていた問題をね。」
ジョージフロイド氏が殺害され、Black Lives Matter が世界を揺るがした時、Cammie の発したステイトメントは胸を打ちました。

「私はアメリカの黒人女性で、奴隷の曾孫娘。それは写真の中だけの記憶。幼い頃、私は奴隷の生活を想像しようとしたわ。だけど今起こっている現実は、私の子供じみた想像力の裏にある謎を解き明かしてくれたの。南北戦争ドキュメンタリーの古い写真を見ると、彼らの顔が見えるわ。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアに触発された行進の映像を見ると、彼らの顔が見える。そして今、ソーシャルメディアにサインインして、催涙ガスをかけられているデモ参加者を見ると、彼らの顔を見ることができる。そして今は私の顔も見えるのよ。
黒人の上院議員、市長、有名人、勇敢な人々がネット上でこの国の欠点に対する不満を共有しているとき、私はもう怒りの涙を抑えられないの。全国放送のテレビで、これまで以上に多くの黒人が泣いているのを見てきたわ。自分の歴史が壊れたような気がするし、この国が壊れたような気がする。ジョージ・フロイドは転機となった。新世代が「もういい加減にしろ」と言うきっかけになった。彼の人生を奪った紛れもない冷酷さを無視することはできなかったの。彼の死がビデオに撮られたことは、感情的にはぐちゃぐちゃになっていて居心地が悪いけれど、それでも幸運だと思っているわ。それはついに世界に、何十年もの間、ネイティブアフリカンのアメリカ人が注意を喚起しようとしてきたことを、自らの目で見る機会を与えてくれたから。物事はまだ壊れている。とても、とても、壊れている。
アメリカの歴史を考えてみると、白人でない者に良いことはほとんどないの。それが真実よ。色々な情報を鵜呑みにすると胸に空洞感が残るのよ。この国は何かを直しているのではなく、何かを手放しているのだと気づくわ。壊れ始めたのは、間違った方法で、間違った土台と間違った考え方で始まったから。始める前に対処することを選んだ。他者への抑圧を維持することで強さを維持することを選んだ。楽な道を選んだその同じ道が常に足かせになることに気づかずに。もはや息を止めたり、憎しみや抑圧のためのスペースを確保したり、安易な道を選んだりすることはできないわ。国家として、私たちは最も脆弱で最も問題を抱えた人々や地域社会に思いやりとケアを示さなければならないの。彼らを奮い立たせれば、私たち全員が奮い立つでしょう。彼らを貶めるものが我々を貶めるのと同じように。コミュニティに属することは意味があることに気づくのが早ければ早いほど、私たちは前に進み、すべての人のために真の変化を起こすための連帯感を見つけることができるのだから。
抗議活動の勢いを持続させ、前進させるためにはどうすればいいのだろうか。これは、すべての人が反省するための時間。自分の信念が自分の人生をより良いものにしてきたのだろうか?私の信念は、私の周りの人々の生活をより良いものにしただろうか?正直に答えて、よく考えて欲しい。私たちの未来は、それにかかっているから。」

音楽的に、アルバムは以前よりもその壮大さを増しています。Cammie の言葉を借りれば「Dobber は存在しない映画のサウンドトラックのように作曲している」。そうしてこれまで OCEANS の旅は、より内省的なものでしたが今回のセルフタイトルでは、より広い社会的なトピックや過去からインスピレーションを受けていることに気がついたのです。さながら、壊れた世界のサウンドトラックの如く。
「1年ほど前に第二次世界大戦の映像をカラー化した『第二次世界大戦 HDカラー』が公開されたんだけど、Dobber は大の歴史好きだから見に行ったんの。カラーで見ると物凄いわ。とても現代的に見えるから、頭の中では違った感覚になるのよね。戦争の原因となったもの、文化の分派、社会学、心理学を学んだわ。ヒトラーの台頭や、彼がいかに上手くやったのかを。パターンが見えてきて、それが今の時事問題とどのように関係しているのかが分かるようになる。新しいことは何もないことに気づくの。私たちは第一次世界大戦からベトナムまで、戦争と国際関係の深い穴に入っていったのよ。
そのあと『どうやってみんなに歴史を伝えればいいのだろう?みんなこの歴史を知っているのだろうか?!』と思ったわ。人々は歴史を知らないし、それが今の状況にどれだけ影響を与えているかも知らないような気がしたのよ。もしあなたが精神疾患を持っていたら、心理学者はあなたがどのように育ったのか、どこから来たのかを尋ねるでしょう?社会として、文化として、自分の歴史を見なければならないのよ。」

例えばブラックメタルがナチスの問題を抱えるように、メタル世界にも取り払うべき差別の壁は存在します。
「メタルコミュニティの中から、私の視点にこんなにも多くの支持が寄せられていることに驚いたわ。身近な友人の輪の中から、波紋が広がって、まさか共有するとは思ってもいなかった人たち(メタル界の白人男性)が、『俺たちはこれを乗り越えたいんだ。俺たちは解決すべき問題を抱えているし、変化が起こるべき正しい側にいたいんだ。』なんて言葉が寄せられるなんてね。明らかに、ここには多様性があるべきなの。すべてのミュージシャンはその生い立ちや文化ではなく、音楽性に基づいてチャンスが与えられるべきなのよ。その外見ではなく、音楽性でチャンスを与えるべき。そうすれば、音楽だけでなく、バンドのメンバーも多様化して、様々な人たちが集まることになるはずなのよ。」
パンデミックからBLM運動まで、これまでの2020年の出来事を考えると、Cammie の歌詞は今の時代にあまりに符合しています。
「今振り返ってみて、何が私たちをこれほどまで時代と関連性のあるアルバムを作らせたのか、その軌跡を見ようとしているの。私は偶然を信じない。実際、他の人たちも同じような軌跡をたどっていたと思う。人々は今、その歴史や、認識や制度がどのように彼らの周りの世界を形成してきたかに注目しているわ。一度真実とすべての情報を知ると、それを見逃すことはできないの。」

Cammie の作詞へのアプローチは思慮深く、創造的です。”Pray For Fire” では、再生と破壊両方のための火の対照的な機能を探求しています。つまり人々と土地を守るため、国有林での制御された燃焼と、戦闘での火炎放射器の使用。
ファーストシングル “A Return To The Earth Below” では、自身の鬱病との闘いを、より幅広い社会のパターンとともに考察しています。「私は自分自身を助けるために、集中して前を向いて努力し続けなければならないと感じているの。誰にでも対処することや克服しなければならないことがあるわ。それをもう一度紐解いてみると、社会がいかに悪いパターンに陥っているかがわかるのよ。物事がうまくいっているように見えても、ヒトラー・ユーゲントのように、ゆっくりと、誰も気づかないうちに追い越されてしまうこともあるんだから。」
Cammie の文章には遊び心もあります。クローザー “The Red Flower” は女性としての葛藤と矛盾についての曲で、TYPE O NEGATIVE の “Wolf Moon” カヴァーが続きます。
「”The Red Flower” は女性らしさを歌った曲で、Peter Steele の超ロマンティックなラブソングが続くのよ。(笑) 彼は愛に溢れた男で、彼女のストレスを少しでも和らげたいと思っているのよ!あの曲を女性としてカバーするのはちょっと生意気だと思ったけどね。」

Cammie は将来、特に次世代に希望を持っています。
「子供たちは私たちが生きてきた頃よりも多くの情報を目にするようになってきていて、それが良い意味で彼らを形作っていくのは間違いないと思う。これからの世代は、情報に精通し、賢く、感情的に賢い世代。私は彼らが行動を起こして、過ちのいくつかを元に戻すと信じているわ。私は長い目で見て希望を持っているの。」
アメリカの会場が安全に再オープンし、OCEANS OF SLUMBER のツアーが許可されれば、Cammie は、旅を通して経験するすべての景色、匂い、味の感覚をまた満喫したいと語ります。
「会場に到着して、荷物を降ろして、街に繰り出す瞬間が恋しいわ。まだ開場していないし、皆が荷物を積み込んで、サウンドチェックをして、そして会場のドアから飛び出して外に出て、日の光に目を慣らしながら外に立ち、どこの街でも、どこの国でも、賑やかな通りを見て、すべてを受け入れるの。そして、オープン前の小さな探検の時間を過ごすのよ。地元のおやつ屋さんを見つけたり、コーヒーや食べ物を買いに行ったり。それが一番懐かしいわ。戻ってくるかどうかもわからない何かを待っている気分よ。例えば、飼い猫が逃げてしまった時のように。内向的な自分が思っていた以上にステージが必要なの。人が必要なの …ほとんど誰にも会わなかったこの期間で、思っていた以上に人や観客、ビジネスを失ったことは間違いない。ステージに立って、自分の歌を熱心に聴いてくれている人たちが受け止めてくれていることほど素晴らしいことはないの。それこそが繋がりよ。もう二度とそれを経験できないという考えは、心の中の何かを破壊してしまうのよ。」

参考文献: KERRANG!:OCEANS OF SLUMBER’S CAMMIE GILBERT: “I FEEL LIKE MY HISTORY IS BROKEN, I FEEL LIKE AMERICA IS BROKEN”

KERRANG!: OCEANS OF SLUMBER ARE THE SOUNDTRACK TO A BROKEN WORLD

HOLLYWOOD LIFE: OCEANS OF SLUMBER’S CAMMIE GILBERT

LOUDERSOUND : 10 ALBUMS THAT CHANGED CAMMIE’S LIFE

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