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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MOHINI DEY : MOHINI DEY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MOHINI DEY !!

“People Can Steal Everything But Not Your Art”

DISC REVIEW “MOHINI DEY”

「私はインド人で、カルナティック・ミュージックで多くのコナッコルを学んだわ。それをスラップ・ベースに取り入れ始めたら、みんなとても楽しんでくれたし、それがみんなにとってとても新鮮で新しかったのだと思うわ。私は様々に異なるスタイルやヴァイブをベースで表現するのが好きだから」
ムンバイ出身のかわいいとおいしいを愛する26歳のベーシスト、Mohini Dey は、Forbes Indiaによって “30歳未満で最も成功したミュージシャン” と評されています。9歳で世界への扉をこじ開けた Mohini は、それから18年間、類稀なる才能と努力で Steve Vai, Simon Phillips, Stanley Clarke, Jordan Rudess、Quincy Jones, Mike Stern, Marco Minneman, Gary Willis, Dave Weckl, Tony Macalpine, Stu Hamm, Plini, Guthrie Govan, Chad Wackerman, Chad Smith, Gergo Borlai, Victor Wooten など、本当にそうそうたるアーティストと共演を果たしてきました。日本のファンには、B’z との共演が記憶に新しいところでしょう。
インドは今や、ロックやメタル、プログレッシブにフュージョンの新たな聖地となりつつありますが、確実にその波を牽引したのは Mohini でした。そして音楽の第三世界がまだ眠りについていた当時、彼女がムンバイから世界への特急券を手に入れられたのには確固たる理由があったのです。
「並外れた存在になりたければ、並外れた時間を費やし、才能を磨く必要がある。才能は報酬ではない。報酬とは、才能を磨くために懸命に努力した結果、実りを得ることだから。人は何でも盗めるけど、あなたの芸術までは盗めないの」
アルバムには “Introverted Soul” “内向的な魂” という、Mohini が10年間にわたって温め続けた楽曲が収録されています。友達と遊ぶことも許されず、父の夢を背負いひたすらベースだけに打ち込んだ学生時代。そもそもがとても恥ずかしがり屋で、内向的だった彼女はしかし、音楽で抜きん出ることによってその世界を広げ、今では率直で社交的で経験が大好きな人として成長を遂げました。
才能は誰にでも与えられているが、磨かなければ意味がない。そんな父の教えと、彼女自身の弛まぬ努力が、いつしか彼女の世界を広げるだけでなく、インドの音楽シーン全体をも拡大する大きなうねりとなっていったのです。
「私のライブが終わると、たくさんの子供たちや若い女性ミュージシャンが私のところにやってきて、”Mohini は私のアイドルよ。あなたは私のインスピレーションの源で、私がベースを弾けるようになったのもあなたのおかげ” って伝えてくれるのよ。世界は変わりつつある。今の私の目標は、インドからもっと多くの女性奏者を輩出することなの」
同時に、性別や宗教、人種の壁に対する “反抗心” も Mohini の原動力となりました。インドを含む世界の多くの地域では、白い肌は依然として最も望ましいまたは美しいものとして祝われています。特にインドでは、女性は今でも肌の色について多くの差別を受けているのです。だからこそ、音楽を通して世界を旅した彼女は、あらゆる人種、宗教、文化の人々に会い、すべての文化の美しさを目にし、さまざなま壁を取り払いたいと願うようになりました。”Coloured Goddess” はそうした差別に苦しむ美の女神たちすべてに捧げた楽曲。
一方で、”Emotion” は Mohini 自身が受けてきた、女性であることに対する過小評価への反発です。”女性である私がどんな男性よりも上手にベースを弾くことが可能であることを世界に示したかった” と語る彼女は、幼い頃から、女性はベースを極めるのに力が足りない、強さがないという批判を浴び続けていたのです。
世界で羽ばたいた彼女は今や、そうした姿の見えない “批判者” たちに感謝の “感情“ さえ持っています。そうした批判がなければ、これほど練習することはなかっただろうと。怒りと感謝の入り混じった感情の噴火はすさまじく、ベースを弾き狂う中で彼女は後進たちに、語るよりも行動で示せとメッセージを放ちました。
「18年半の仕事を通じて、私は信じられないほど才能のある伝説的なミュージシャンに会ってきた。彼らと仕事をするとき、実は私は彼らに自分のアルバムに参加してもらうことを念頭に置いていたのよ。それぞれが自分の経験、声、旅を私の曲にもたらしてくれたの。だから、そうね!私は自分の多様な選択を非常に意識していて、各曲ごとに慎重に各ミュージシャンを選んでいったの」
そうした背景を湛え、彼女自身の名を冠したデビュー・フル “Mohini Dey”。この作品で Mohini は、まるで人種や性別、文化や宗教の壁を壊すかのごとく、世界のあらゆる場所に散らばるトップ・アーティストを集めて、前代未聞のカラフルな音の融合を生み出しました。Simon Phillips、Guthrie Govan、Marco Minneman、Steve Vai, Jordan Rudess, Gergo Borlai、Bumblefoot、Scott Kinsey、Narada Michael Walden、Gino Banks、Mark Hartsuch、Mike Gotthard…すべての名手たちは団結し、Mohini の音楽を通して愛と物語を表現していきました。
ここには、かつて WEATHER REPORT や MAHAVISHNU, Chick Corea が培った名人芸とエモーションの超一流二刀流がたしかに存在しています。ただし、彼女の夢は一番になることではなく、自分自身であり続けること。新たな世代を育てること。寛容と反発、そしてムンバイの匂いをあまりに濃くまとった “Mohini Dey” は彼女の決意を体現する完璧な意思表明でしょう。
今回弊誌では、Mohini Dey にインタビューを行うことができました。「B’z と活動した後、私は日本で多くの名声を得て、日本のファンから私の音楽性、ミュージシャン・シップをたくさん愛してもらえるようになった。それに、B’z のおかげでヘヴィなロック・ミュージックも大好きになったのよ」肉への愛を綴った “Meat Eater” や、カリフォルニアのダブルチーズバーガーと恋に落ちる “In-N-Out” など彼女の真摯な食欲もパワーの源だそう。どうぞ!!

MOHINI DEY “MOHINI DEY” : 10/10

INTERVIEW WITH MOHINI DEY

Q1: I understand that your father is a bassist and your mother is a singer. Was your father’s influence still a major factor in your choice of bass, an instrument that gets less sunlight than guitar or vocals?

【MOHINI】: My father was the entire reason why Music ever existed in my life. My father gave me the biggest gift of my life which music and lessons in life as well as bass.
I recently lost my dad suddenly and that taught me that life is too short snd uncertain. My father always told me that if you want to be extraordinary then you need to put in extraordinary hours and hone your talent. A gift is not a reward, reward is when you finess and achieve the fruits of your gift after you work really hard. Bass was not a conscious decision, it was something that was dad’s dream to make me a bassist which later on in my life became my dream too. My dad taught me everything and he was a very proud father and I know he will watch me from above at my every success. My mother also plays a huge role in my upbringing as a Woman. She taught me a lot of life values and about dignity, compassion & respect. She was the biggest support system for my dad, me and my sister. She doesnt work anymore but music is a big part of our lives and will always be.

Q1: あなたのお父様はベーシストで、お母様はシンガーだそうですね。ギターやボーカルに比べてあまり日の当たらないベースを選んだのは、やはりお父様の影響が大きかったのでしょうか?

【MOHINI】: 私の人生に音楽が存在したのは父のおかげ。父は私に音楽と人生における教訓、そしてベースという人生最大の贈り物をくれたの。
最近 (11月の初頭)、突然父を亡くして、人生はあまりにも短く、不確かなものだと教えられたわ。父からいつも言われていたのは、並外れた存在になりたければ、並外れた時間を費やし、才能を磨く必要があるということだった。才能は報酬ではない。報酬とは、才能を磨くために懸命に努力した結果、実りを得ることだから。
ベースを選んだのは私の意思じゃなかった。私をベーシストにすることが父の夢だったから。その代わりに、父は私にすべてを教えてくれた。とても誇り高い父親で、私の成功を天から見守ってくれるだろうね。
母もまた、私が女性として育つ上で大きな役割を果たしてくれたわ。母は私に、人生の価値観や、尊厳、思いやり、尊敬についてたくさん教えてくれた。母は父、私、そして妹にとって最大のサポーターだったの。母はもう働いていないけれど、今も音楽は私たちの生活の大きな一部であり、これからもずっとそうあり続けるでしょうね。

Q2: In India, as in Japan, there are still many bad traditions in which women, children and the weak are oppressed. Do you have a desire to remove such barriers of birth or gender by your activities?

【MOHINI】: Absolutely! I think the world is changing slowly. A lot of things have changed with times moving fast. We can see more and more women very successful in various fields and that makes me very happy. I do think that India still doesnt have enough female instrumentalists. We have a huge number of female singers but not many instrumentalists. After my live performances, lots of little kids and young female musicians come up to me being emotional saying- ‘Mohini you are my idol. You are my inspiration and you are the reason why I am learning to play the bass’.
That makes me very emotional and my dad also had a very strong goal of making me into a powerful bass player and now my goal is to bring out more female instrumentalists out from India by breaking the barriers because normal is boring to me.

Q2: インドでも日本と同じように、女性や子供、弱者が抑圧される悪しき伝統がまだ多く残っていると聞いています。あなた自身も、女性であることでキャリアの最初は苦労したそうですが、そうした生まれや性別の壁を、自分の活動で壊していきたいという思いはあるのでしょうか?

【MOHINI】: もちろん!!世界はゆっくりと変化していると思う。時代の流れが速くなったことで、いろいろなことが変わってきた。さまざまな分野で大活躍している女性を目にすることが多くなり、とてもうれしく思っているわ。ただ、インドにはまだ女性の器楽奏者が少ないと思うの。女性歌手はたくさんいるけど、楽器奏者はあまりいないのよね。
だから、私のライブが終わると、たくさんの子供たちや若い女性ミュージシャンが私のところにやってきて、”Mohini は私のアイドルよ。あなたは私のインスピレーションの源で、私がベースを弾けるようになったのもあなたのおかげ” って伝えてくれるのよ。
私の父も、私をパワフルなベーシストに育てたいという強い目標を持っていたわ。そして、それが実現した今の私の目標は、インドからもっと多くの女性奏者を輩出することなの。

Q3: What is great about your solo album “Mohini Dey” is that it blends western music with indian carnatic rhythms and konnakol vocals! What did you pay special attention to when blending the two?

【MOHINI】: I was writing music for a long time. I wrote my first song when I was 13 and never released it. Then I wrote another song when I was 14 and then I kept writing. In my initial years of my career I prioritised other people’s work over mine and there was a point in my life where I realised that I have a personal following and there was an audience who wanted to hear my music and so, I finished my album and released without any more delay. I always wanted to tour the world with my own music and there was a feeling inside that felt right.
I would say that my album is an eclectic album that has elements of rock, jazz, RnB, funk, alongside Indian carnatic rhythms and konnakol vocals.This album was made to be listened to from start to finish. The order of the songs was intentionally designed to give listeners at home the sensation of attending my live show. I have played with some of the greatest musicians from many different genres so it was important to me to feature them on my album doing what they do best. This music is a representation of my life’s journey and I hope that all of you will enjoy this musical adventure that I’ve curated. I am really proud of this album and feel inspired to share more of my original music with the world.
I believe in leaving trails and it’s something I have done all my life’
‘Always remember where you came from and what you came for’
‘You have to completely dedicate yourself to your craft to master it’
‘There are no shortcuts in life to achieve success’
‘Don’t try to be someone. Be You and finesse parts of you that need work’
‘Life is too short to think about what people think so, do what you feel is right’
‘Judgements & criticism will always be there regardless of good and bad so, just do what makes you happy’
‘People can steal everything but not your art’
I am Indian and I am trained in Carnatic Music where I learnt a lot of Konakol and I started incorporating that with Slap Bass and People really enjoyed it and I think that was very fresh and new for people so, I needed to put the at on the album too because I enjoy representing different styles and vibes of my playing.

Q3: あなたのソロ・アルバム ”Mohini Dey” の素晴らしいところは、西洋音楽とインドのカルナティックのリズムとコナッコル・ボーカルを融合させているところです!そうした異種の音楽をブレンドする際に、特に気をつけたことは何ですか?

【MOHINI】: 私は長い間作曲をしていた。最初の曲は13歳のときに書いたんだけど、リリースはしなかったわ。それから14歳のときに別の曲を書いて、ずっと書き続けた。でもキャリアの最初の頃は、自分の作品よりも他の人の作品を優先していたんだけど、ある時、自分には個人的なファンがいて、自分の音楽を聴きたいと思っている聴衆がいることに気づいたの。私はいつも自分の音楽で世界中をツアーしたいと思っていたし、自分の中に自分の音楽を作ることが正しいと感じる感覚があった。
私のアルバムは、ロック、ジャズ、RnB、ファンクの要素に加え、インドのカルナティックなリズムとコナッコル・ボーカルを取り入れた折衷的なアルバムだと言える。このアルバムは、最初から最後まで聴いてもらえるように作っているわ。曲順は、自宅で聴いているリスナーが、私のライブに参加しているような感覚を味わえるように意図的にデザインされているの。
私は様々なジャンルの偉大なミュージシャンたちと共演してきたから、彼らがベストを尽くす姿をアルバムにフィーチャーすることは私にとって重要だった。 この音楽は私の人生の旅を表現したもので、私が企画したこの音楽の冒険をみんなに楽しんで欲しいのよ。このアルバムを本当に誇りに思うし、今は自分のオリジナル曲をもっと世界中と分かち合いたいと感じているわ。
“私は足跡を残せることを信じているし、それは私がこれまでの人生でずっとやってきたことだ
自分がどこから来たのか、何のために来たのかを常に忘れないこと
自分の技を極めるためには、完全に身を捧げなければならない
成功するための近道は人生にはない
誰かになろうとするな。自分自身であること、そして自分の中で鍛えるべき部分を磨くこと
人の目を気にするには人生は短すぎる
判断や批判は、良い悪いに関係なく常にあるものだから、自分が幸せになれることをすればいい
人は何でも盗めるが、あなたの芸術までは盗めない”
私はインド人で、カルナティック・ミュージックで多くのコナッコルを学んだわ。それをスラップ・ベースに取り入れ始めたら、みんなとても楽しんでくれたし、それがみんなにとってとても新鮮で新しかったのだと思うわ。私は様々に異なるスタイルやヴァイブをベースで表現するのが好きだから。

Q4: In recent years, India has seen the rapid development of metal and technical music such as Bloodywood. You were born in India but have been active in the world since you were young. What do you think about incorporating traditional Indian music into your own music, and what do you think of the current Indian music scene?

【MOHINI】: I think the current Music Scene is in India is very big because there are a lot of bands and incredible musicians but not everyone is making original music.
There are only a few bands that are making great independant music like Bloodywood, Korembi and maybe 2-3 other bands. I will say that its definitely growing rapidly and now there are more platforms for musicians to show their music and talent. Everyone’s journey is different and I respect everyone. Not everyone can be the best and thats also okay. Its not important to be the best because thats not everyone’s goal. Some people dream big, some big dream small and some people are just happy with where they are.
Personally, I love growth and when I see potential, I nurture.

Q4: 近年、インドでは BLOODYWOOD などのメタルやテクニカルな音楽が急速に発展しています。
あなたはインド生まれですが、若い頃から世界で活躍されていますが、インドの伝統音楽が様々な形で世界に出ていくことについてはどう感じていますか?

【MOHINI】: インドの現在の音楽シーンは非常に大きいと思うけど、たくさんのバンドや素晴らしいミュージシャンがいる中で、誰もがオリジナルの音楽を作っているわけではないのよね。
BLOODYWOOD, KOREMBI, そしておそらく他にいくつか、素晴らしいインディペンデント音楽を作っているバンドは数えるほどしかないのよね。とはいえ、シーン自体は確実に急速に成長していて、ミュージシャンが自分の音楽や才能を披露できるプラットフォームは増えていると言えるだろうね。
人それぞれ、音楽の旅は異なるけれど、私は誰もを尊重している。誰もが最高になれるわけではないけれど、それも問題ではないでしょう。一番になることは重要ではないの。それが全員の目標ではないからね。大きな夢を持つ人もいれば、小さな夢を持つ人もいるし、今の状況に満足している人もいる。ただ個人的に、私は成長することが大好きで、可能性を見つけたら育てたいのよ。

Q5: The musicians on the album are great, and many of their heroes are from legendary bands like Toto, Weather Report, The Aristcratos, Tribal Tech, and many more. But what’s even more amazing is that people from all over the world, from all walks of life, from all different places, are coming together for the music! Did you think about that kind of “diversity” when you were choosing your members?

【MOHINI】: Throughout my 18 and a half years of working I met some incredibly talented and legendary musicians and when I worked with them, I had it in my mind to get them on my album. I always knew that I wanted to feature different musicians on different songs on my first album and if you noticed all the songs have different drummers for each song. They are some of my favourite drummers and even for the next album I want to feature another set of great players. Every artist on my album is very unique and very original.
All the artists are very different from each other. Each one brings their experience, voice and journey to my songs. So, yes! I was very aware of my choices and I picked each musician very carefully for each song.

Q5: アルバムに参加したミュージシャンは素晴らしく、多くは TOTO、Weather Report、The Aristcratos、Tribal Tech といった伝説的なバンドのメンバーです。
しかし、さらに驚くべきことは、世界中から、あらゆる立場から、あらゆる場所から、あなたの音楽のために集まっているということですよ。メンバーを選ぶときに、そういった“多様性”は意識しましたか?

【MOHINI】: 18年半の仕事を通じて、私は信じられないほど才能のある伝説的なミュージシャンに会ってきた。彼らと仕事をするとき、実は私は彼らに自分のアルバムに参加してもらうことを念頭に置いていたのよ。私の最初のアルバムでは、さまざまな曲でさまざまなミュージシャンをフィーチャーしたいと常に思っていたんだけど、気づけばすべての曲でそれぞれの曲に異なるドラマーがプレイしていたわ。
彼らは私のお気に入りのドラマーの何人かで、次のアルバムでも素晴らしいプレイヤーをフィーチャーしたいと思っている。私のアルバムのアーティストは皆、とてもユニークで、とても独創的。 どのアーティストもお互いに大きく異なるわ。それぞれが自分の経験、声、旅を私の曲にもたらしてくれたの。だから、そうね!私は自分の多様な選択を非常に意識していて、各曲ごとに慎重に各ミュージシャンを選んでいったの。

Q6: I think your bass playing combines the greats of bass history, Jaco Pastorius, Victor Wooten, Billy Sheehan, i.e., fast playing, slapping, tapping, and other previous bass techniques, and then creates something new. How do you use influences from them?

【MOHINI】: I think it naturally happened. It was not a conscious decision. I grew up listening to different kinds of drummers, bassists, guitarists and bands and so, I think when you are exposed to things at a young age, you tend to adapt to your environment and I think thats what happened to me. I started picking up things that I was hearing such as Victor slapping, Mark King from Level 42 slapping, Billy Sheehan Tapping, Stu Hamm, etc many more. The more I picked up, the more I started developing my own voice which as a result was unique to the listeners.

Q6: あなたのベース演奏は、Jaco Pastorius, Victor Wooten, Billy Sheehan といったベース史の偉人たちが生み出した、つまり速弾き、スラップ、タッピング、その他のこれまでのあらゆるベース・テクニックを組み合わせて、新しいものを生み出していると思います。

【MOHINI】: 自然にそうなったのよね。意識的にそうしたわけじゃないの。私はさまざまなドラマー、ベーシスト、ギタリスト、バンドを聴いて育ってきたんだけど、若い頃にそうしてさまざまな音楽に触れると、自在に環境に適応するようになるもので、それが私に起こったのだと思うわ。
それで、Victor のスラップ、Level 42の Mark King のスラップ、Billy Sheehan のタッピング、Stu Hamm など、私が聞いていたものをピックアップし始めたのよ。彼らから拾えば拾うほど、私は自分自身の声は開発されていき、その結果、リスナーにとってユニークなものが生まれていったのよ。

Q7: Some people often say that the bass guitar is the backbone of the band to get the groove going and should not be played too flamboyantly. What do you think of such opinions?

【MOHINI】: Bass is absolutely the backbone of the band. Having said that, there are times when bass should play the role of grooving and then there are times when bass can be the lead instrument. It also depends on the music and the artist. If the artist is capable of playing challenging material and is a really good player then I think the artist should be featured properly if there is an opportunity. If the show is very fixed and there is no opportunity to feature and the show is not focused on musicians then just play the music thats required. Every show is different and so I think one should play whats required. But I dont believe that bass ‘should’ only groove. I think music is communication and when you are playing music with your fellow musicians, you need to have fun. Every instrument has unlimited possibilities and it should be explored. Music has no boundaries. Everyone should be allowed to solo but one to learn to understand when to play and when to not play.

Q7: ベースはバンドの屋台骨で、派手なプレイよりグルーヴを追求すべきという人もいますね?

【MOHINI】: ベースはまさにバンドの屋台骨よ。とはいえ、ベースがグルーヴの役割を担うべき場合もあれば、ベースがリード楽器になる場合もある。音楽やアーティストによっても異なるだろうね。
アーティストが挑戦的な曲を演奏する能力があり、本当に優れたプレイヤーである場合、機会があればそのアーティストは派手なプレイでフィーチャーされても良いと思う。ショーが非常に “固定” されていて、ミュージシャンに焦点を当てていない場合は、必要な音楽を演奏するだけのこと。ショーごとに異なるから、それにあわせて必要なものをプレイする必要があると思うわ。
だけど、ベースはグルーヴだけを追求 “すべき” だとは思わない。音楽はコミュニケーションだと思うから、仲間のミュージシャンと一緒に音楽を演奏するときは、楽しむ必要があるの。すべての楽器には無限の可能性があり、それを探求する必要がある。音楽に境界はないの。だから、誰もがソロを弾く自由があるべきだけど、それをいつ演奏すべきか、いつ演奏すべきでないのかを理解することは学ぶ必要があるわね。

Q8: You are very familiar to Japanese fans because of your work with B’z. What did you gain from working with B’z? Also, what is your interest in Japanese culture, anime, games, and music?

【MOHINI】: I gained a lot of fame in Japan after working with B’z and I got a lot of love for my musicianship from japanese fans. I also grew to love Heavy Rock Music.
I love Japanese food. I love Japanese culture. I would move to Japan if I could. I love how kind the people are in Japan. I love how everyone is so hardworking and on time and how everyone respects and values each other. I wish other countries can also follow this punctuality. I love all the cute things that one can buy in local markets and the fashion there. Basically I absolutely love Japan.

Q8: あなたは、B’z との共演で日本のファンにもよく知られていますね。 B’z と活動して得たものは何ですか?また、日本の文化、アニメ、ゲーム、音楽に興味はありますか?

【MOHINI】: B’z と活動した後、私は日本で多くの名声を得て、日本のファンから私の音楽性、ミュージシャン・シップをたくさん愛してもらえるようになった。それに、B’z のおかげでヘヴィなロック・ミュージックも大好きになったのよ。
私は日本食が大好きで、日本文化も大好き。できることなら日本に引っ越したいくらい。人々の親切さが大好きなのよ。日本ではみんながとても勤勉で時間厳守で、お互いを尊重し、大切にしているのも素晴らしいわ。他の国もこの几帳面さを見習ってほしいと思うわ。いろんな街のお店で買えるかわいいものや、ファッションも大好き。とにかく、日本が大好きなの!!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED MOHINI’S LIFE!!

WEATHER REPORT “Weather Report”

VICTOR BAILEY “Bottoms Up”

LEVEL 42 “Level 42” (Love Games)

TRIBAL TECH “Illicit”

STEVE KHAN “Evidence”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you for so much love that you have shown me over the years.
I am really excited to come to Japan next year with my band for you. See you soon.

何年も私を愛し、応援してくれて、本当にありがとう!来年、日本に私のバンドと行けることを本当に楽しみにしているわ!すぐに会いましょう!

MOHINI DEY

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FIXATION : MORE SUBTLE THAN DEATH】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JONAS W HANSEN !!

“We Wanted Something To Reflect The Title «More Subtle Than Death» Which Was Derived From The Quote «Society Knows Perfectly Well How To Kill a Person And Has Methods More Subtle Than Death»”

DISC REVIEW “MORE SUBTLE THAN DEATH”

「タイトルの “More Subtle Than Death” “死よりも巧妙な死” は、”社会は人を殺す方法を熟知しており、死よりも巧妙な方法がある” という名言に由来している。
僕にとってこの言葉は、社会が人間らしさを奪い去り、殻に閉じこもらせてしまうということを指しているんだ。それは僕たちがアートワークに込めた思いでもある。この花は人間のメタファーでもあるんだ」
正邪混沌の時代。事実と虚構の境界線は日ごとに曖昧となり、貪欲、腐敗、抑圧が横行した世界で、ノルウェーの FIXATION はデビュー・アルバムからそうした社会の経年劣化をメタル・コアの叫びで再生したいと願います。
アルバム “More Subtle Than Death” “死よりも巧妙な死” において彼らは、社会の無慈悲な盲目さを大胆に取り上げました。肉体的な死よりも残酷なのは精神的な死。誰からも認められない孤独な尊厳の死こそ最も恐ろしいことを、社会が時に途方もなく欲望に忠実で残酷なことを FIXATION は知っています。それは、自分たちもここまで来るのに、認められるのに多くの時間と孤独を費やしたから。だからこそ彼らは世界中に絶望と恐怖をもたらす対立や分断の溝を埋めながら、希望を持ち続け、自分に忠実であり続け、名声よりも自分自身の中に強さを見出そうとメッセージを放っているのです。その言葉はアルバムを通して真実味を帯びています。
「あれでもない、これでもないと言われたこともあるよ。でも正直に言うと、僕たちはただ自分たちが好きな音楽を作っているだけで、人々がそれを何と呼ぼうと勝手なんだ。門番なんて本当にバカバカしいよ。みんなが好きな音楽を楽しめばいいんだ」
自分に忠実であり続けるというメッセージは、その音楽にも貫かれています。通常、メタル・コアといえば、ヘヴィネス、クリーンとグロウルのダイナミズム、モンスターのようなブレイクダウンが重視されるものですが、FIXATION のメタル・コアではそれ以上に質感、ニュアンス、アンビエンスがサウンドの骨格を担います。だからこそ、ヘヴィなギター・リフ、エレクトロニックな装飾、幻想的なイメージ、フックのあるコーラスがシームレスに流動し、感情が生まれ、聴く者を魅了し、活力を与えるのです。加えてここには、ポップな曲もあれば、アグレッシブな曲もあり、さらにオペラも顔負けの壮大なスケールの曲まで降臨して、実にバラエティにも富んでいます。”メタルコア、ポスト・ハードコア、スタジアム・ロックを取り入れたハイテンションでしかしよく練られたモダン・ロック” とはよく言ったもので、BRING ME THE HORIZON からメールを受け取ったという逸話にも納得がいきます。
「世界が暗い方向に向かっていても、トンネルの先に光があることをもちろん願っているよ。もしその希望の光がなかったら、僕たちは何のために戦っているのだろう?」
欲望や名声を追い求めることに警告を発したアルバムにおいて、エンディング・トラックの “Dystopia” は特別オペラティックに明快なメッセージを贈ります。天使のような純粋さで歌い上げる歌詞には、支配と抑圧の色合いが兆し、しばらくの沈黙の後、沸き起こるコーラスにおいて、次世代の未来に対する警告のメッセージが叫ばれます。最後のメッセージ “俺たちは寄生虫” という言葉は、示唆に富み、激しく心を揺さぶります。そう、このアルバムには何か美しく心を揺さぶるものがあるのです。おそらくそれは、欲にまみれた人間の手による世界の終焉を我々みなが予感しているからかもしれませんね。
今回弊誌では、シーンきっての美声の持ち主 Jonas Wesetrud Hansen にインタビューを行うことができました。「日本のゲームとともに育ったことは、僕たちの子供時代を決定づけたし、大人になった今でも僕たちを決定づけ続けている。全員が任天堂、ポケモン、マリオ、ゼルダとともに育ったんだから。もちろんキングダム・ハーツもね!」 どうぞ!!

FIXATION “MORE SUBTLE THAN DEATH” : 9.9/10

INTERVIEW WITH JONAS W HANSEN

Q1:First of all, what kind of music were you listening to, when you were growing up?

【JONAS】: I think we all grew up listening to different things, that’s what makes Fixation’s sound so varied. We all grew up listening to rock/metal, but also other genres. And we still do!

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【JONAS】: みんな違うものを聴いて育ったから、FIXATION のサウンドはバラエティに富んでいるんだと思う。
もちろん、みんなロックやメタルを聴いて育ったけど、他のジャンルも聴いていた。今でもそうだよ!

Q2: Why did you choose the band name FIXATION?

【JONAS】: At first we were actually called Fading Colours, which was not the coolest name and we also found out that there was another band with the same name, so we had to change.
The name was actually inspired by a story I heard about how Muse chose their bandname.
They wanted it to be one word, so it would look bigger on festival-posters.
So what I did was search through lyrics by bands I listened to, and funnily enough in the Muse-song «Time Is Running Out», they say Fixation.
I thought it sounded cool, so that’s what it ended up being!

Q2: なぜ FIXATION というバンド名に決めたのですか?

【JONAS】: 最初は “Fading Colours” というバンド名だったんだけど、あまりカッコいい名前じゃなかったし、同じ名前のバンドが他にもいることがわかったから、変えなきゃいけなかったんだ。
このバンド名は、MUSE がどうやってバンド名を決めたかという話を聞いて思いついたんだ。
彼らは、フェスティバルのポスターで大きく見えるように、1つの単語にしたかったんだそうだよ。
それで、自分が聴いていたバンドの歌詞を調べていったんだけど、面白いことに、また MUSE の “Time Is Running Out” という曲の中で “Fixation” “固定” と言っていたんだ。
かっこいい響きだと思ったから、結局そう “固定” することになったんだ!

Q3: What is great about you is that you have broken the rules of metalcore and created very diverse and emotional music. Did you not worry about the manners of metalcore or the gatekeepers of the genre?

【JONAS】: We’ve never been that interested in the rules of genres. Never even thought that much about what genre Fixation is, we always just go for whatever people call it.
We’ve had some instances where people have said that it’s not this and it’s not that. But to be honest, we just make the music we love to make and people get to call it whatever they want.
The gatekeeping is so silly, let everyone enjoy whatever music they want.

Q3: FIXATION が素晴らしいのは、メタル・コアのルールを破り、非常に多様でエモーショナルな音楽を作り上げているところです。メタル・コアの “マナー” やジャンルの門番は気にならなかったのですか?

【JONAS】: ジャンルのルールにそれほど興味を持ったことはないよ。FIXATION がどんなジャンルなのか、深く考えたこともないくらいでね。みんなが呼びたいように呼べばいいと思う。
あれでもない、これでもないと言われたこともあるよ。でも正直に言うと、僕たちはただ自分たちが好きな音楽を作っているだけで、人々がそれを何と呼ぼうと勝手なんだ。
門番なんて本当にバカバカしいよ。みんなが好きな音楽を楽しめばいいんだ。

Q4: Speaking of breaking the rules of metalcore, Bring me the Horizon’s alternative changes were also shocking. Has their approach been one guiding light for you guys? 

【JONAS】: Bring Me The Horizon has definitely been a huge inspiration for us. The way they pave the way for experimenting in metal has been very inspiring.

Q4: メタル・コアのルールを破るといえば、BRING ME THE HORIZON のオルタナティブな変化も衝撃的でした。彼らのアプローチは、あなたたちにとってひとつの指針になりましたか? 

【JONAS】: BRING ME THE HORIZON は、間違いなく僕らに大きなインスピレーションを与えてくれたよ。メタルにおける実験の道を切り開く彼らのやり方は、とても刺激的だったね。

Q5: It is interesting to note that you toured with Devin Towesend. His unconventionality, creativity, and beautiful contrast of atmospheric and heavy sounds certainly have something in common with your musicality, would you agree?

【JONAS】: We were very lucky to get the chance to tour with Devin. We felt like we may have been the odd one out on that tour, but the crowd were very welcoming and open. It was also very inspiring to get to know the whole Devin-team and see how they worked every night.

Q5: Devin Townsend と一緒にツアーをしたことも興味深いですね。彼の型破りさ、創造性、アトモスフェリックな部分とヘヴィーなサウンドの美しいコントラストは、たしかにあなたたちの音楽性と共通するものがあると思います。

【JONAS】: Devin と一緒にツアーをする機会を得られて、とてもラッキーだった。あのツアーでは自分たちがアウトローで変わり者かもしれないと感じたけど、観客はとても歓迎してくれてオープンだった。それに、デヴィン・チーム全員を知り、彼らが毎晩どのように働いているのか見ることができたのはとても刺激になったね。

Q6: As we enter the 2020s, the world seems to be rapidly darkening. Pandemics, wars, divisions. Yet this album is still trying to keep hope lit somewhere, isn’t it?

【JONAS】: Even though the world is heading in a darker direction, we of course hope there is light at the end of the tunnel. If we didn’t have that glimmer of hope, what would we be fighting for?

Q6: 2020年代に入り、世界は急速に暗くなっているように見えます。パンデミック、戦争、分断。それでもこのアルバムは、どこかで希望を灯し続けようとしているように見えます。

【JONAS】: 世界が暗い方向に向かっていても、トンネルの先に光があることをもちろん願っているよ。もしその希望の光がなかったら、僕たちは何のために戦っているのだろう?

Q7: Can you talk about the theme of the album, “More Subtle Than Death,” and the beautiful artwork?

【JONAS】: The overall theme of the album is what scares, angers and saddens us about the state of the world today. It is us crying out for change, a change for a better future.
The artwork was created by our good friend Ulvar Gansum, who also did most of our music videos.
We wanted something to reflect the title «More Subtle Than Death» which was derived from the quote «Society knows perfectly well how to kill a person and has methods more subtle than death».
For me the quote is saying that society takes away what is human and leaves you a shell, something I felt we were able to capture in the artwork as well, the flower being a metaphor for humanity.

Q7: アルバムのテーマ “More Subtle Than Death” というタイトル、そして美しいアートワークについて教えてください。

【JONAS】: このアルバムの全体的なテーマは、今日の世界の状況について僕たちを怖がらせ、怒らせ、悲しませるものについて。それは、より良い未来への変化、変革を求める僕たちの叫びなんだ。
アートワークは、僕たちのミュージック・ビデオのほとんどを手掛けている親友のウルヴァル・ガンサムが制作してくれた。
タイトルの “More Subtle Than Death” “死よりも巧妙な死” は、”社会は人を殺す方法を熟知しており、死よりも巧妙な方法がある” という名言に由来している。
僕にとってこの言葉は、社会が人間らしさを奪い去り、殻に閉じこもらせてしまうということを指しているんだ。それは僕たちがアートワークに込めた思いでもある。この花は人間のメタファーでもあるんだ。

Q8: Japan also has Hanabie, a diverse girls-only band with metalcore undertones. Are you interested in Japanese music, games, or anime?

【JONAS】: That is awesome! Japan has always had a very interesting culture and is deifinitely one of the countries that we really want to visit one day.
Out of the three, I think Japanese games probably has been the most influential for us.
Growing up with japanese games has really defined our childhood and still continues to define us in our grown up years. We all grew up with Nintendo, so Pokemon, Mario and Zelda have been a big influence. Kindom Hearts as well.

Q8: 日本には、メタル・コアを基調とした多様なガールズ・オンリー・バンドの Hanabie もいます。日本の音楽、ゲーム、アニメに興味はありますか?

【JONAS】: Hanabie はすごいよね!日本は常にとても興味深い文化を持っていて、いつか本当に行ってみたい国のひとつであることは間違いないよ。
その3つの中では、日本のゲームから一番影響を受けていると思う。
日本のゲームとともに育ったことは、僕たちの子供時代を決定づけたし、大人になった今でも僕たちを決定づけ続けている。全員が任天堂、ポケモン、マリオ、ゼルダとともに育ったんだから。もちろんキングダム・ハーツもね!

FIVE ALBUMS THAT CHANGED S LIFE!!

THE KILLERS “Battle Born” (the soundtrack to my young adult years)

MY CHEMICAL ROMANCE “Danger Days” (the soundtrack to my teenage years)

BRING ME THE HORIZON “Sempiternal” (my introduction to heavier music, screaming especially)

LINKIN PARK “Hybrid Theory” (probably the first band I ever listened to)

MUSE “Absolution” (one of the first bands I was obsessed with, and taught me so much about what kind of artist I wanted to be)

MESSAGE FOR JAPAN

Japan! We would love to visit your beautiful country one day, if only just as tourists, but would love to play a concert there as well.
Please check out our debut album «More Subtle Than Death» wherever you listen to music!

日本のみんな!いつか君たちの美しい国を訪れたいと思っているよ。観光客としてだけでなく、コンサートもしたいと思っているんだ!
僕たちのデビューアルバム “More Subtle Than Death” を、ぜひチェックしてほしいな!

JONAS W HANSEN

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FIFTH NOTE : HERE WE ARE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH FIFTH NOTE !!

“We Don’t Know If We Can, But We Try To At Least Make Rock Scene Enjoyable Without The Use Of Alcohol Or Drugs, Or Even Sex.”

DISC REVIEW “HERE WE ARE”

「僕たちは、州内だけでなく、世界的に知られるバンドになりたいんだ。僕たちは西洋のスタイルにとても影響を受けているけれど、自分たち独自のプレイも創り出そうとしている。アルバム・タイトルの “Here We Are” “僕らはここにいる” は、そうした僕たちのモチベーションを端的に表しているんだよ。僕たちは、魂に平和や癒しをもたらすような良い音楽を作りたいと思っているんだ。そして、僕たちの音楽で世界にインパクトを与えたいと願っているんだよ」
インターネットや SNS の登場、進化によって、音楽は世界中のものとなりました。これまで、決してスポットライトが当たらなかったような僻地からも発信が可能となり、人種、文化、宗教の壁を超えて多くの人の耳に届けることが叶う世の中になったのです。特に、メタルの生命力、感染力、包容力は桁外れで、思わぬ場所から思わぬ傑作が登場するようになりました。
「FIFTH NOTE と ABOUT US は、お互い西洋音楽の影響を多く受けているのは同じだね。その上で、僕たちナガ族は美しいメロディーを作るのが好きなんだ。また、トニック・ソルファ (相対音感) のような独自の音楽アレンジもあるからね。そうした美しいメロディやアレンジは、きっと深く僕らのルーツに刻まれているんだろうな」
近年、そうしたメタルの “第三世界” で特に注目を浴びているのがインドです。いや、もはや国力的にも、人口的にも、文化的にも第三世界と呼ぶのも憚られる国ですが、ここ最近、メタルの伸張は並々ならぬものがあります。ボリウッドを抱きしめた BLOODYWOOD の大成功は記憶に新しいところですが、それ以外にも様々なジャンル、様々な地域でまさに百花繚乱の輝きを放っているのです。中でも注目したいのが、インド北東部のナガランド。かつては首狩りの慣習もあったというナガ族が住むこの地域は、文化的にも民族的にも音楽的にも、インドのメジャーな地域とは異なっていて、だからこそ、この場所のメタルは独自の進化を遂げることができたのかもしれませんね。
昨年紹介した ABOUT US にも言えますが、ナガ族のメタルはメロディが飛び抜けて強力。さらに、かつて天空の村に住む天空族と謳われたその二つ名を字でいくように、彼らは舞い降りたメロディをその際限なきハイトーンの翼で天へと送り返していきます。
「一般的にロックというと、ハードコアでワイルドで暴力的な人たちや、道に迷っているような人たちが、エクストリームな音を通して怒りを表現し、怒りで痛みを解消しようとするものだ。そのような中で、僕たちは、道に迷ったり、君が挙げたような問題を抱えた人々に、自分たちは孤独ではないということを伝えたいんだよ。僕たちの前向きな音楽が彼らの痛みや問題を和らげてくれることを願っているんだ」
そこには、ナガ族の90%が敬虔なクリスチャンであるという事実も関係しているのかもしれませんね。インドの多くの新鋭がエクストリームなサウンドで人気を博す中で、FIFTH NOTE はプログレッシブ・ハードという半ば死に絶えたジャンルで世界に挑んでいます。ただし、このジャンルでは、暴力も、ドラッグも、セックスも、決して幅を利かせてはいません。必要なのは、ポジティブな光と知性、そして複数のジャンルを抱きしめる寛容さ。つまり、洗礼を浴びた FIFTH NOTE にとっては追求すべくして追求したジャンルでした。
「僕らがクリスチャンであるという事実、クリスチャンとしての倫理観は、僕らにもっと良いことをしようというモチベーションを与えてくれるんだ。できるかどうかはわからないけど、少なくともロックシーンをアルコールやドラッグ、あるいはセックスを使わずに楽しめるものにしようと努力しているよ」
理想は追求しなければ実現しない。インドに、そして世界に不公平や抑圧、犯罪に暴力が蔓延っていることは、当然彼らも知っています。しかし、暴力は暴力では解決せず、怒りに怒りをぶつけることがいかに愚かであるかも彼らは知っています。だからこそ、FIFTH NOTE はセックス、ドラッグ、ロックンロールという乱暴なステレオ・タイプを破壊して、メタルは “ストレート・エッジ” でも存分に楽しいことを伝えようとしています。それが世界を前向きに変える第一歩だと信じながら。
そしてその野心は、TNT, CIRCUS MAXIMUS, STRYPER, TOTO といった一癖も二癖もあるような英雄を、旋律や知性、そして耳を惹くキャッチーなサウンドで今にも凌駕しそうな彼らの音楽なら、 実現可能なのかもしれませんね。
今回弊誌では、FIFTH NOTE にインタビューを行うことができました。「ナガランドは丘陵地帯が多く、部族が多く住んでいる。そのため、音楽はほとんどが民族音楽なんだ。しかし、西洋の侵略が進むにつれて、そうした音楽はかなりポピュラーになっていった。だから伝統音楽と同様に、ロックやメタルも僕たちに大きな影響を与えることになったんだ」 どうぞ!!

FIFTH NOTE “HERE WE ARE” : 10/10

INTERVIEW WITH FIFTH NOTE

Q1: I heard that you are a band from Nagaland. Nagaland and the Naga people sometimes clash with Indian government, what is your stance? Do you guys feel more like Nagas than
Indians?

【FIFTH NOTE】: To understand the relationship between the two entities i.e., Indians and Nagas, one must first understand the history and how the present Nagaland state came into existence.
The question of clash between the two does not arise. Naga issue is a political problem and need more than just mere debates and opinions to solve it which is not possible in our level.

Q1: あなたたちはナガランドのバンドだと聞きました。ナガランドやナガ族はインド政府と衝突することもありますが
あなたははどのようなスタンスですか?インド人というよりもナガ人のように感じているのですか?

【FIFTH NOTE】: インド人とナガ族という2つの主体の関係を理解するためには、まず歴史を理解し、現在のナガランド州がどのようにして誕生したかを理解しなければならないんだ。
そうすれば、両者の衝突という問題は生じない。ナガ問題は政治問題であり、その解決には単なる議論や意見の交換以上のものが必要だ。僕たち一般人のレベルでは不可能なんだ。

Q2: What can you tell us about the metal scene, region and landscape of Nagaland? Is there such a thing as metal that incorporate traditional Nagaland music?

【FIFTH NOTE】: Nagaland is mostly hilly and most predominantly inhabited by tribals. Therefore the music is mostly folkloric. But with the advancement of western invasion, music became quite popular. Likewise rock and metal too played a part on us.

Q2: ナガランドのメタルシーン、地域、景観について教えていただけますか?

【FIFTH NOTE】: ナガランドは丘陵地帯が多く、部族が多く住んでいる。そのため、音楽はほとんどが民族音楽なんだ。しかし、西洋の侵略が進むにつれて、そうした音楽はかなりポピュラーになっていった。だから伝統音楽と同様に、ロックやメタルも僕たちに大きな影響を与えることになったんだ。

Q3: Last year, a great band from the same Nagaland called About Us debuted on Frontiers Music and became very popular in Japan. Do you have any interaction with them? Is there something about Nagaland that creates beautiful melodies?

【FIFTH NOTE】: Yes, we do have a good relationship with the band. Most probably people would think we are similar as in our genres. They are more into melodic rock but for our band “Fifth Note” we are more of an experimental progressive rock which allows us to experience different genres of rock. They have their own set or style of play and we with our taste of music.
But yes we are also very much influenced by the western music. I guess we Naga’s are
fond of making beautiful melodies. We also have our own set of music arrangement, like the tonic solfa which I suppose is deeply carved into our roots of music making.

Q3: 昨年、同じナガランド出身の ABOUT US という素晴らしいバンドがこちらも Frontiers Music からデビューし、日本でも大人気になりました。彼らとの交流はありますか?ナガランドには美しいメロディーを生み出す土壌か何かがあるのでしょうか?

【FIFTH NOTE】: そうだね、ABOUT US とはいい関係だよ。おそらくほとんどの人は、僕たちのジャンルが似ていると思うだろう。でも実際は、彼らはメロディック・ロックに傾倒しているけど、僕らのバンド FIFTH NOTE は実験的なプログレッシブ・ロックに傾倒している。彼らには彼らのセットやプレイスタイルがあり、僕らには僕らの音楽のテイストがあるんだよ。だから住み分けはできているんだ。
でも、お互い西洋音楽の影響を多く受けているのは同じだね。その上で、僕たちナガ族は美しいメロディーを作るのが好きなんだ。また、トニック・ソルファ (相対音感) のような独自の音楽アレンジもあるからね。そうした美しいメロディやアレンジは、きっと深く僕らのルーツに刻まれているんだろうな。

Q4: By the way, your music is very wonderful, Progressive, challenging and diverse, yet melodic and catchy enough to appeal to everyone.” Is the album title “Here We Are” a defiance on your part that you can make such great music so far away from the rock centers of Europe and America?

【FIFTH NOTE】: Yes, we also have our aims and goals/visions. We don’t just want to be a band known only in our state but also worldwide. We are very much influenced with the western style but we also try to create our own set of plays. Our album title “Here We Are” simply defines our motives. We want to make good music which brings peace or healing to the soul. We hope to make an impact with our music.

Q4: それにしても、あなたの音楽はとても素晴らしく、プログレッシブで、挑戦的で、多様で、それでいて誰にでもアピールできるメロディックがあってとてもキャッチーですね! “Here We Are” “僕らはここにいる!” というアルバム・タイトルは、ヨーロッパやアメリカといったロックの中心地から遠く離れていても、これほど素晴らしい音楽を作ることができるという、あなた方にとっての “反抗” なのでしょうか?

【FIFTH NOTE】: そう、僕たちにも目標やヴィジョンがあるからね。僕たちは、州内だけでなく、世界的に知られるバンドになりたいんだ。僕たちは西洋のスタイルにとても影響を受けているけれど、自分たち独自のプレイも創り出そうとしている。
アルバム・タイトルの “Here We Are” は、そうした僕たちのモチベーションを端的に表しているんだよ。僕たちは、魂に平和や癒しをもたらすような良い音楽を作りたいと思っているんだ。そして、僕たちの音楽で世界にインパクトを与えたいと願っているんだよ。

Q5: It is said that India is predominantly Hindu, but I understand you guys are Christians? Is that teaching and spirit reflected in your music and lyrics?

【FIFTH NOTE】: In terms of religion, we go with the flow of lifestyle here. Our lyrics would simply imply with all forms of religions. We don’t or won’t be procrastinating or defame any entity or simply for humanity, we are all humans after all. But also the fact that, we are devoted Christians, we also want to worship or glorify our God, the Father with our music.

Q5: インドはヒンドゥー教徒が多い国として知られていますが、あなたたちは敬虔なクリスチャンだそうですね?

【FIFTH NOTE】: 宗教に関しては、ナガランドでのライフスタイルの流れに従っている。僕たちの歌詞は、単純にあらゆる宗教の形を暗示しているだけなんだ。僕たちはぐずぐずしたり、いかなる領域をも中傷したりはしない。単純に誰かのこともね。結局、僕たちは全員が等しく同じ人類なのだから。ただ、僕らが熱心なクリスチャンであることも事実で、僕たちの音楽で僕たちの神、父を礼拝し、賛美したいんだ。

Q6: Often, rock and metal is associated with sex, drugs, and violence, but you guys aim for clean and correct music, right? You want to prove that Rock is fun and attractive enough without the Sex in alcohol, drugs and violence?

【FIFTH NOTE】: Yes Ofcourse, not that we are good Christians, but the fact that we are Christian, our Christian ethics motivates us to do better. We don’t know if we can, but we try to atleast make rock scene enjoyable without the use of alcohol or drugs, or even sex.

Q6: ロックやメタルはよく、セックスやドラッグ、暴力と関連付けて語られますが、あなたたちはクリーンで “正しい” ロックを目指しているようですね?そうした “悪い魅力” がなくてもロックは楽しいと証明したいようにも思えます。

【FIFTH NOTE】: そうだね!もちろん、僕らが完全に善良なクリスチャンだというわけではないけれど、僕らがクリスチャンであるという事実、クリスチャンとしての倫理観は、僕らにもっと良いことをしようというモチベーションを与えてくれるんだ。できるかどうかはわからないけど、少なくともロックシーンをアルコールやドラッグ、あるいはセックスを使わずに楽しめるものにしようと努力しているよ。

Q7: Speaking of Indian metal, Bloodywood had recently had a big internationally breakthrough and performed live in Japan. They had succeeded by skilfully blending Bollywood and metal, what do you think of their approach?

【FIFTH NOTE】: I think it’s a brilliant idea to mix what is your root in terms of music, with the western culture of music. It’s a good approach and makes the songs quite appealing.

Q7: インドのメタルといえば、BLOODYWOOD が最近国際的に大ブレイクし、日本でライブを行うまでになりました。彼らはボリウッドとメタルを巧みに融合させることで成功を収めましたが、彼らのアプローチについてどう思いますか?

【FIFTH NOTE】: 自分のルーツである伝統音楽と西洋の音楽文化をミックスするというのは、素晴らしいアイデアだと思う。いいアプローチだし、曲をとても魅力的なものにしているよね。

Q8: I recently approached an Indian band called Dymbur, and they addressed the world with lyrics about child labor and rape in India. You guys seem to be dealing with the subject of following oneʼs dreams and positive themes, would you agree? Is it because, in a way, you see rock and metal as a beacon of hope, an escape from the painful real world?

【FIFTH NOTE】: Yes, as of now, our lyrics and music seems to deal with positivism or encouraging listeners to be positive that they can achieve what they aspire. We want to generate messages through our songs. And simply hope it does impact even a single soul.
Rock seems to be the right platform to bring out these messages through our music.
Because when we say rock music, it is generally people who are hardcore, wild, violent, or people who seems lost and try to express their anger through these hard rocks. In all those midst, that is when we want to influence people with such problems that they are not alone. That we are in these together, that we hope our Music eases their pain or problems.

Q8: 最近、DYMBUR というインドのバンドにインタビューを行ったのですが、彼らはインドの児童労働やレイプについての歌詞で世界に訴えていました。あなたたちは、夢を追うようなよりポジティブなテーマを扱っているように見えますが、それはある意味、ロックやメタルが希望の光であり、辛い現実世界からの逃避先だと考えているからですか?

【FIFTH NOTE】: そうだね、今のところ、僕たちの歌詞や音楽はポジティヴィズムを扱っているというか、リスナーが自分の願望を達成できるように前向きになることを促しているように思うね。僕たちは歌を通してメッセージを伝えたい。そして単純に、それが一人でも多くの魂に影響を与えることを願っているんだ。何よりも、ロックは、僕たちの音楽を通してこうしたポジティブなメッセージを発信するのに適したプラットフォームだと思うから。
というのも、一般的にロックというと、ハードコアでワイルドで暴力的な人たちや、道に迷っているような人たちが、エクストリームな音を通して怒りを表現し、怒りで痛みを解消しようとするものだ。そのような中で、僕たちは、道に迷ったり、君が挙げたような問題を抱えた人々に、自分たちは孤独ではないということを伝えたいんだよ。僕たちの前向きな音楽が彼らの痛みや問題を和らげてくれることを願っているんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED FIFTH NOTE’S LIFE!!

Pantera “Far Beyond the Driven”

Dream Theater “Images and Words”

Helloween “Keeper of the Seven Keys”

Circus Maximus “Nine”

Symphony X “Odyssey”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you Japan for recognising our Music and allowing us to be a part of this interview. We hope and pray that someday in the near future we will come and play for you all. Keep supporting our music, Arigato!

日本のみんな、僕たちの音楽を認めてくれて、このインタビューに参加させてくれてありがとう。いつか近い将来、みんなの前で演奏できることを祈っているよ。これからも僕たちの音楽を応援してほしい!

FIFTH NOTE

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FIFTH NOTE: FRONTIERS MUSIC

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ROBBY VALENTINE : EMBRACE THE UNKNOWN】 “MAGIC INFINITY” 30TH ANNIVERSARY


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ROBBY VALENTINE !!

“What Will It Take To Make The Younger Generation Understand That Life Is Not About Views And Likes. That The Only Way For Fulfilment, Love And Reality Is That You Follow Your Own Path, And Do The Things Your Deepest-self Wants You To Do And Go For.”

DISC REVIEW “EMBRACE THE UNKNOWN”

「僕にとっての成功とは、商業的な成功や売り上げで測られるものではなく、もっと芸術的なもの。若い世代に、人生は再生回数や “いいね!” の数ではないことを理解させるには何が必要だろうか。充実感、愛、そして現実を手に入れる唯一の方法は、自分自身の道を歩み、心の奥底にある自分の望みを実現することなんだ。つまり、自己実現だね。だけど今は、携帯電話やソーシャルメディア、スマートデバイスが普及し、自分の内なる声を聞くことはほとんど不可能になってしまっているんだ」
Robby Valentine。オランダの貴公子、旋律の魔術師の二つ名を持つ眉目秀麗の美男子は、しかしその端麗なルックスからは想像もつかないほどの芯の強さと回復力を兼ね備えています。思えば、今年30周年を迎えたプログ・ハードの傑作 “The Magic Infinity” は、あと数年早ければ彼をロックスターの座に押し上げたはずですし、そのゴージャスな出立ちも時代が時代ならば世界中に信者を増やしたに違いありません。しかし、世はスマホもネットもないグランジが席巻した90年代初頭。Robby の音楽や容姿、言葉は、世界中からダサい、クサい、時代遅れだと切って捨てられてしまったのです。真の音楽とは、タイムレスで、内なる自己実現の賜物であるにもかかわらず。
「日本は僕にとってオアシスだった。長髪、化粧、その他もろもろのせいで、オランダでは信じられないほど苦労した。でも、日本のバンドと比べると、まったく着飾っていないほうだったよ。X Japan のようなバンドのルックスは大好きだった」
そんな苦境にあって、日本だけは Robby Valentine を抱きしめました。”No Turning Back” のドラマに熱狂し、”The Magic Infinity” の幻想美に唸り、”Over and Over Again” の旋律に涙する。ただ、天才的なメロディ・メイカーであるだけでなく、彼は卓越したマルチ・プレイヤーで、挑戦的な作曲者で、日本が発掘した QUEEN の崇拝者でもありました。そして幸運なことに、世界のトレンドや他人の趣向にそれほど左右されなかった当時の日本には、Robby を受け止める土壌がありました。
まだ、日本が “いいね!” に支配されていなかった時代。そうして、もしかすると消えていたかもしれない才能は、遠く離れた島国との蜜月によって力強く生き残りました。Robby は持ち前の諦めない芯の強さと、メタルの回復力、反発力によって自らの “成功” を勝ち取ったのです。
「僕の視覚は今はもう2%くらいしかないんだ。片目でぼんやりと見える程度だね。この視覚的なハンディキャップによって、僕はより内面的な世界に入ることを余儀なくされている。技術的には多くのものを失ったよ。でもね、そのおかげで演奏に深みが出てきたんだ」
数奇な運命によって多くの苦境や壁にぶち当たる天才が、近年襲われたのが目の病です。コロナ禍で診察ができず、ほとんど失明に近い状態に陥ったプリンスは、しかし今回も諦めてはいません。神がかったテクニックを失い、レコーディングに以前の5倍の時間を要するようになった今でも、Robby は音楽を愛していて、ライブにワクワクして、演奏に深みが出たとまで言い切ります。”Embrace The Unknown” “未知を抱きしめよう”。新作のタイトルは、Robby とメタルのそうしたレジリエンスを如実に反映しています。そして、苦境を力に変える Robby の “魔法” は、かつて日本が彼を “抱きしめた” のと同じように、未知の “暗闇” をも抱きしめ、光と色彩に変えたのです。
「音楽と芸術一般は常に逃避場所で救いであるべきだよ。ただ、僕がやっているのは、音楽において自分の最も内側にある感情に従うことだけだ。聴く価値のある音楽は、精神ではなく心から来るものだけだと、僕は感じているからね」
そうして Robby は、この寛容で、優しく、多彩で、色彩豊かなアルバムにおいて、未知なる他者、未知なる文化をも抱きしめようと呼びかけます。もちろんここには、QUEEN, BEATLES, ELO, THE BABYS, スウィング、クラシックにブロードウェイ、そして渦を巻く鍵盤と壮大なコーラスが認められています。ただし、それはあくまで旅の道標。貴公子が触れればそれらはすべて、Robby の色に染まります。私たちは、このシアトリカルでドラマティックなヴァレンタイン劇場を待っていました。同時に、視力を失ってもよい夫でいられるだろうか、よい父でいられるだろうか、よい音楽家でいられるだろうか…そうした不安をすべて曝け出した “伝記的” アルバムで、彼は真の感情を見つけ、苦悩し、表現し、それでも寛容な未来に光を見出すのです。
今回弊誌では、Robby Valentine にインタビューを行うことができました。「この25年間、ラジオから流れてくるレコードの中で、音声補正やオートチューンによって台無しにされていないものはほとんどない。僕らはみんな、クソロボットたちの音楽を聴いているだけなんだよ。だから、僕はそこから手を引いて、自分のやるべきことをやっているんだ」 ヘヴィ・ロックとプログ、そしてポップスの境界線を破壊した天才の新たなる傑作。どうぞ!!

ROBBY VALENTINE “EMBRACE THE UNKNOWN” : 10/10

INTERVIEW WITH ROBBY VALENTINE

Q1: First of all, this year is the 30th anniversary of the release of “The Magic Infinity” in Japan! In Japan, it was released at the same time as “Robby Valentine” and became a big topic and movement. Actually, those two albums were my “gateway” to rock music! Looking back, what do those two albums mean to you? 

【ROBBY】: Wow, my music your gateway to rock. That’s an honour. Thank you.
I look back on it with mixed feelings. Signing to a major record company at the age of 21 was a dream come true. But for various reasons I never liked the sound and the performance on most of the songs of the first album.
I was very inexperienced and I didn’t capture the feel, the magic, that my 8 track home demo had.
For the second album I made a promise to myself I would get it right this time. And I fought for it. The record company hired an extra producer who was making life difficult for me. And I wasn’t having it. Eventually I got everything I wanted on tape, but it was a fight sometimes. The engineer did a great job.
Yet due to the drastic change in fashion and music it never got the success I was hoping and was aiming for. The Magic Infinity got an album sleeve and appeanece I didn’t approve of at all. I had nothing to do with that.
My music and my looks were so much more glamorous than that, it didn’t match the music and my personality at all.
So for different reasons I don’t consider both albums as a success. Success to me isn’t measured in commercial success or sales, but more in an artistic way.
However, the fact that I was with a major label made it possible for my music to be heard in many parts of the world, even when those times weren’t in my favour. And it brought me to Japan, which was amazing.

Q1: まず、今年は “The Magic Infinity” の日本発売から30周年ですね!日本ではファースト・アルバムの “Robby Valentine” と同時に発売され、大きな話題とムーブメントになりました。実は、この2枚が私のハード・ロックへの “入り口” にもなりました。今振り返ってみて、あの2枚のアルバムはあなたにとってどんな意味を持っていますか? 

【ROBBY】: ワォ!僕の音楽が君のロックへの入り口になったなんて光栄だよ。ありがとう。
実は、良いことと悪いことが合わさった複雑な気持ちで振り返っているんだ。21歳でメジャーのレコード会社と契約するなんて夢のようだった。だけど僕は、さまざまな理由から、ファースト・アルバムのほとんどの曲のサウンドとパフォーマンスが好きになれなかったんだ。僕はとても経験が浅くて、当時持っていた8トラックのホームデモでは、フィーリングやマジックを捉えることができなかったからね。
セカンド・アルバムでは、今度こそちゃんと作ろうと自分に誓ったよ。そして、そのために戦った。レコード会社は余計なプロデューサーを雇い、僕を苦しめた。そして、僕は彼らの決定を受け入れなかったんだ。最終的には、僕が望んでいたものをすべてテープに収めることができたけど、そ時々は戦いだった。エンジニアはいい仕事をしてくれたよ。
だけど、時代がね…ファッションと音楽の劇的な変化により、僕が期待し、目指していたような成功は得られなかった。さらに、”The Magic Infinity” では、レーベルが僕がまったく認めなかったアルバム・スリーブやアートワークを採用した。僕はあのパッケージとは何の関係もない。僕の音楽とルックスは、あれよりもずっと華やかなのにね。音楽と僕の個性にまったくマッチしていなかったよ。
だからそれぞれ異なる理由で、僕は2枚のアルバムを成功だとは思っていない。僕にとっての成功とは、商業的な成功や売り上げで測られるものではなく、もっと芸術的なものなんだ。
とはいえ、メジャー・レーベルに所属していたおかげで、たとえ不遇の時代であったとしても、世界の多くの地域で僕の音楽を聴いてもらうことができた。そして、そのおかげで日本にも来ることもできたんだ。それは素晴らしいことだったね。

Q2: Which songs from those two albums do you particularly like and are still proud of?

【ROBBY】: Over and over again from the first album was recorded a year later than the other stuff, but with a world-class producer: Humberto Gattica from Los Angeles. I still love it, the sound and the performance of it. Two of my other favourites: The magic breeze and I believe in you didn’t have the right sound and performance, but I did them justice on my 2008 compilation album Androgenius. By the way, I re-recorded all the other songs as well recently. They’ll be released next year if it’s up to me.
On the magic Infinity my very favorite song is No turning back. The engineer did a perfect job. Megaman is my other favorite of that album.

Q2: その2枚のアルバムの中で、特に気に入っていて、今でも誇りに思っている曲はどれですか?

【ROBBY】: ファースト・アルバムの “Over and Over Again” は、他の曲より1年遅れてレコーディングされたんだけど、ロサンゼルスのウンベルト・ガッティカという世界的なプロデューサーと一緒に作ったんだ。サウンドも演奏も、今でも大好きだよ。他にも好きな曲が2つある。”The Magic Breeze” と “I Believe in You” は、サウンドもパフォーマンスも適切ではなかったけど、2008年のコンピレーション・アルバム “Androgenius” に正しい音で収録した。ちなみに、他の曲もすべて最近レコーディングし直したんだ。来年リリースする予定だよ。
“The Magic Infinity” で、僕の一番好きな曲は “No turning back” だ。エンジニアが完璧な仕事をしてくれた。”Megaman” はこのアルバムの中でもう一つ好きな曲だな。

Q3: With those two albums, your connection with Japan has become very strong. You even lived in Japan for a while. What do you think about the country, its culture, and its music?

【ROBBY】: Nowadays I haven’t got a clue about what’s going on in Japan nor everywhere in the world. Popular music culture is heading rapidly towards the era of A.I. . I don’t mean electronic music,synth pop, whatever. But I mean, for 25 years there’s hardly any record you hear on the radio that is not fixed with voice correction and ruined by auto-tune. We’re all listening to fucking robots. So I tapped out and am just doing my own thing.
But back in the day, Japan was an oasis to me. Because of my long hair, make up and all the rest I was having an incredibly hard time in the Netherlands. Though in comparison to Japanese bands I totally looked underdressed. I loved the look of those bands like X-Japan.
The acceptance I felt in Japan was heartwarming.The months in which I lived in Osaka were the best months of my life. I love the culture, the mentality, everything. There I felt more at home than in my own country. I feel grateful to have had that wonderful experience in my life.

Q3: この2枚のアルバムで、あなたと日本とのつながりはとても強くなりましたね。実際あなたは、日本に住んでいたことさえありますよね。日本という国、文化、音楽についてどう思っていますか?

【ROBBY】: 今、日本で何が起こっているのか、もっといえば、世界中で何が起こっているのか、僕はまったく知らないんだ。ポピュラー音楽の文化は急速にA.I.の時代に向かっている。エレクトロニック・ミュージックとかシンセ・ポップとか、そういう意味ではなくてね。この25年間、ラジオから流れてくるレコードの中で、音声補正やオートチューンによって台無しにされていないものはほとんどない。僕らはみんな、クソロボットたちの音楽を聴いているだけなんだよ。だから、僕はそこから手を引いて、自分のやるべきことをやっているんだ。
でも昔は、日本は僕にとってオアシスだった。長髪、化粧、その他もろもろのせいで、オランダでは信じられないほど苦労した。でも、日本のバンドと比べると、まったく着飾っていないほうだったよ。X Japan のようなバンドのルックスは大好きだった。
それに、日本で感じた受け入れられているという感覚は心温まるものだった。大阪に住んでいた数ヶ月は、人生で最高の数ヶ月だった。文化、メンタリティ、すべてが好きだよ。自分の国よりもくつろげたね。人生であのような素晴らしい経験ができたことに感謝しているよ。

Q4: At that time, you were described as Journey meets Queen in Japan. Was that an appropriate assessment? Also, you are a well-known admirer of Queen, what do you especially love about them?

【ROBBY】: It’s a huge compliment to be described as such. But I was never into Journey. My favorites were Queen and The Babys. But then again, The Babys are very much connected to Journey.
I love so many things about Queen. Where it all starts is the voice. Freddie Mercury has the best voice in history. Their music from the 70’s is my thing. Mustapha, Bicycle, Death on two legs, Killer Queen, Bohemian…the list is endless. It’s not difficult to be diverse when it comes to musical styles, but to be able to write so many amazing songs, so many classics in all those various types of music, is just amazing. And together with that they had all the ingredients right . May’s guitar sound that blended so well with Mercury’s piano, the way those three voices made this magic choir sound together. Oh, I can go on and on…

Q4: 当時、あなたは JOURNEY meets QUEEN などと日本で評されていましたね。それは適切なラベルでしたか?また、あなたは QUEEN の崇拝者として有名ですが、彼らのどんなところが特に好きなのですか?

【ROBBY】: そう評されるのは大きな賛辞だよ。でも、僕は JOURNEY にはハマらなかったな。好きだったのは QUEEN と THE BABYS。でも、THE BABYS は JOURNEY ととてもつながりがあるからね。
僕は QUEEN の様々な部分が大好きなんだ。でも、すべての始まりは声だったね。フレディ・マーキュリーは史上最高の声の持ち主だ。70年代の彼らの音楽は本当に僕のお気に入りだよ。”Mustapha”, “Bicycle”, Death on two legs”, “Killer Queen”, “Bohemian”…数え上げたらきりがない。音楽スタイルが多様であることはそう難しいことではないけれど、そのような様々なタイプの音楽すべてにおいて、これほど多くの素晴らしい曲、これほど多くの名曲を作ることができるのは、ただただ素晴らしいことだよ。
それに加えて、彼らにはすべての要素が揃っていた。マーキュリーのピアノと見事に調和したメイのギター・サウンド、そして3人の声が一緒になって魔法の合唱団を作り上げたやり方。ああ、まだまだ続くよ…。

Q5: The music industry has changed dramatically over the past 30 years. Nowadays, streaming and TikTok are the most popular ways to listen to music, rather than physical CDs. And on social networking sites, instant musicians who cut out a 30-second performance are popular. How do you perceive this “instant” change in music culture?

【ROBBY】: Maybe I should be more active at all those platforms you mention. but it all depresses me. In my opinion it’s pure emotional poverty. So many great and beautiful things get lost and overlooked. There’s no depth. Is there any teenager left who puts on an album in its entirety, on Vinyl, CD, Spotify or whatever? Giving the songs a chance to grow on you? And if there’s no physical product anymore, what do you have left, something in the cloud, something virtual? What will it take to make the younger generation understand that life is not about views and likes. That the only way for fulfilment, love and reality is that you follow your own path, and do the things your deepest-self wants you to do and go for. But with all the phones, social media and smart devices it’s almost impossible to hear your inner voice anymore.

Q5: 音楽業界はこの30年で劇的に変化しました。今や音楽を聴くには、物理的なCDよりもストリーミングや TikTok が主流となっています。さらに、SNS では、30秒のパフォーマンスを切り取ったインスタント・ミュージシャンが人気を博していますね。この “インスタント” な音楽文化の潮流をどう捉えていますか?

【ROBBY】: 僕は、君が言うようなプラットフォームにもっと積極的に参加すべきなのかもしれないね。でも、そうしたすべてが僕を憂鬱な気持ちにさせるんだ。
僕の考えでは、結局は純粋な感情の貧困が原因だ。多くの偉大で美しいものが失われ、見過ごされている。深みがない。Vinyl でも CD でも Spotify でも何でもいいから、アルバムを全曲通して聴く10代の若者が何人残っているだろうか? リスナーに、曲をじっくり聴いて自分の中で熟成させるチャンスを与えているのだろうか? もし物理的な製品がなくなったら、何が残るだろう?クラウド上の何か、バーチャルな何かかい? そして、若い世代に、人生は再生回数や “いいね!” の数ではないことを理解させるには何が必要だろうか。
充実感、愛、そして現実を手に入れる唯一の方法は、自分自身の道を歩み、心の奥底にある自分の望みを実現することなんだ。つまり、自己実現だね。だけど今は、携帯電話やソーシャルメディア、スマートデバイスが普及し、自分の内なる声を聞くことはほとんど不可能になってしまっているんだ。

Q6: Moreover, the world was shrouded in a dark shadow, especially in the 2020s. Wars, pandemics, and divisions. I feel that you have dealt with these topics in your recent albums “The Alliance’, “Separate Worlds”, and “Embrace The Unknown”. In times like these, your tolerant, gentle, and beautiful albums are needed and redeeming! In fact, do you think rock and metal can be a place of escape and salvation for those who are oppressed right now?

【ROBBY】: Music and art in general will always do that.
The only thing I do is follow my most inner feelings in music. Nothing is ever intentional. I don’t sit down and think:” Now I’m going to write an anthem against the stupid Corona measures and rules.” It just comes from within. I’m merely a tool or a vessel of what happens within.

Q6: さらに、特に2020年代に入って、世界は暗い影に覆われています。戦争、パンデミック、分断。あなたは最近のアルバム “The Alliance”, “Separate Worlds”, “Embrace The Unknown” で、こうしたテーマを扱ってきたように感じます。このような時代だからこそ、あなたの寛容で、優しく、美しいアルバムが必要とされ、救いとなるのではないでしょうか? 実際、ロックやメタルは今抑圧されている人たちの逃避場所や救いになると思いますか?

【ROBBY】: 音楽と芸術一般は常にそうであるべきだよ。ただ、僕がやっているのは、音楽において自分の最も内側にある感情に従うことだけだよ。意図的なものは何もない。座って、”さあ、コロナの愚かな施策やルールに反対する賛歌を書こう” なんて考えたりはしないんだ。それはただ内側から湧いてくるものなんだ。僕は、内なるものの道具や器にすぎないんだよ。

Q7: Still, “Embrace The Unknown” is a great album! It embraces your journey so far, Queen, Beatles, Classical and everything else, and it also seems to bring you back to your roots of hard rock. In fact, is this album a culmination of your career?

【ROBBY】: I never thought about it that way. To me an album is always the collection of songs I have made and am satisfied with in that particular period of my life.
Choosing a musical direction and limiting myself to one style has never worked for me.
In fact, I wanted this album to become the most heavy and guitar oriented and angry album I ever made. But then most of the ideas I came up with that made my heart tick were far from heavy. I feel the only music that’s worth listening to is coming from the heart, not the mind.

Q7: それにしても、 ”Embrace The Unknown” は素晴らしいアルバムですね!QUEEN, THE BEATLES, クラシックなど、あなたのこれまでの歩みを包括し、さらに原点であるハード・ロックのルーツに立ち返えったような感覚があります。実際、このアルバムはあなたのキャリアの集大成だといえますか?

【ROBBY】: そんな風に考えたことはないよ。僕にとってアルバムとは常に、人生の特定の時期に作って満足した曲のコレクションなんだ。音楽の方向性を決めたり、ひとつのスタイルに自分を限定したりして、うまくいった試しがないからね。
実際、僕はこのアルバムを、これまで作った中で最もヘヴィでギター・オリエンテッドで怒りに満ちたアルバムにしたかった。でも、生まれてくる、僕の心をくすぐるようなアイデアのほとんどは、ヘヴィとはほど遠いものだった。聴く価値のある音楽は、精神ではなく心から来るものだけだと、僕は感じているよ。

Q8: By the way, I love Valentine/Valencia’s second album, but is there any more collaboration with Valencia?

【ROBBY】: Thank you, I really do like that album as well. But it’s actually 2 solo albums combined, where we play and sing on each other’s tracks, doing exactly what the other wants. That’s the way we could work best I thought.
We’re friends, having good contact. We don’t want to ruin that with working together again, hahaha.

Q8: ところで、私は Valentine/Valencia のセカンドアルバムも大好きなのですが、彼とのコラボレーションはもうやらないのでしょうか?

【ROBBY】: ありがとう、あのアルバムも本当に好きだよ。でも、実際あの作品は2枚のソロアルバムを合体させたもので、あとはお互いのトラックで演奏したり歌ったりして、相手が望むことをそのままやっているんだよね。それが一番うまくいく方法だと思ったんだ。
僕たちは友人であり、今も良好な関係を築いているよ。 だからこそ、また一緒に仕事をすることで、それを台無しにしたくないんだ。ははは!

Q9: Finally, I am surprised and very concerned to hear that you have an eye disease. What is your situation now? Is it interfering with your musical activities?

【ROBBY】: My vision is about 2 % now. I only can see vaguely through one eye. I lost the sight of my right eye due to an infection in 2016, but I still had vision with my left eye. I suffer from glaucoma and during the first lockdown it worsened. The hospital wouldn’t see me due to the lockdown: eye-problems aren’t life threatening. Since it was untreated I lost my sight.
I found a new strength and enjoyment in playing live concerts. But that took a while. I have to learn so many new things. I have a special kind of iphone so I can still email and write messages or notes, but playing the piano and other instruments is a big challenge now. With this visual handicap I’m forced to go inside more, to my inner world. That has given me more depth in playing. But technically I have lost so many things.
My eye-hand coördination was so fast and useful with playing the piano, I just can’t play lots of difficult things anymore. I have to practise so much more. But there’s only so much you can do. Recording takes me 5 times longer than it used to do. But on the other hand I was lucky my recording equipment was hopelessly outdated. I always felt too dumb not to get into the computer world of recording, where the possibilities are endless. But the advantage is that I can now still feel the knobs on my mixing desk. There’s no voice over on Pro Tools or other virtual studio systems like the iphone has. And even if it did, that would be too much. Imagine every move you make, every button or knob you turn or touch will be ‘voiced overed’.
No way to get in touch with your deepest emotion then. That PC won’t make it to the next day, I can tell you that.

Q9: 最後に、あなたが目の病気を患っていると聞いて驚き、とても心配しています。今はどのような状況なんでしょうか?

【ROBBY】: 僕の視覚は今はもう2%くらいしかないんだ。片目でぼんやりと見える程度だね。2016年に感染症で右目を失明してしまったんだけど、あのころはまだ左目は見えていたんだ。でも僕は緑内障を患っていて、最初のロックダウン中に悪化してしまった。病院はロックダウンのために僕を診察してくれなかったんだよ。目の病気は命にかかわるものではないからってね!それで未治療だったから、僕は視力を失ってしまった。
それから僕はライブ・コンサートに新たな力と楽しみを見出した。でも、それには時間がかかったよ。新しいことをたくさん学ばなければならないからね。特殊な iphone を持っているから、メールやメッセージ、メモを書くことはできるけれど、ピアノや他の楽器を演奏することは、今となっては大きな挑戦なんだ。この視覚的なハンディキャップによって、僕はより内面的な世界に入ることを余儀なくされている。技術的には多くのものを失ったよ。でもね、そのおかげで演奏に深みが出てきたんだ。
ピアノを弾くときの目と手の共同作業はとても速くて便利だったよ。今はもう、あまりに難しいものは演奏できないね。もっと練習しなければならないよ。でも、できることは限られている。レコーディングには以前の5倍の時間がかかるしね。でも一方で、レコーディング機材が絶望的に時代遅れだったのはラッキーだった。これまでは、無限の可能性を秘めたコンピューターによるレコーディングの世界に手を出さないのは、あまりにも間抜けだといつも思っていた。
しかし、ミキシング・デスクのノブの感触を今なお感じられるという利点もある。Pro-Tools や他のバーチャル・スタジオ・システムには、iphone のようなボイス・オーバー (文字を読み上げてくれる機能) はない。仮にあったとしても、それはやりすぎだ。君のすべての動き、回したり触ったりするすべてのボタンやノブが “ボイスオーバー” されることを想像してみればいい。それでは、君の深い感情に触れることはできないよ。そのPCは次の日には使えないだろう。まちがいないね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED ROBBY’S LIFE!!

For my 7th birthday my obaa-san gave me ‘A night at the opera’ from Queen. From that moment on I knew what I wanted to do with my life: be a musician.

QUEEN ” A Night At The Opera”

QUEEN “Jazz”

ELO “Out of the blue”

THE BABYS “On the edge”

THE BABYS “Union Jacks”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you for all you have given me.
For welcoming me with love and open arms almost 30 years ago. I don’t know if there will ever be a chance for me to play in Japan again, but I’m grateful to you and to all of you who have listened to my music and came to the shows. I love you forever.

君たちが僕に与えてくれたものすべてに感謝しているよ。約30年前、愛と両手を広げて僕を迎えてくれた。また日本で演奏する機会があるかどうかわからないけど、君たちだけじゃなく、これまで僕の音楽を聴いてくれてライヴに来てくれたすべての人に感謝しているんだ。永遠に愛しているよ。

ROBBY VALENTINE

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【SOPHIE LLOYD : IMPOSTER SYNDROME】


COVER STORY : SOPHIE LLOYD “IMPOSTER SYNDROME”

“It Was The Classic Sob Story In School – I Was a Bit Of An Outcast And Didn’t Make Friends. The Guitar Was My Release And My Escape.”

IMPOSTER SYNDROME

Sophie Lloyd のギター人生は、すべてがうまくいっていました。27歳のイギリス人ギタリストは、Machine Gun Kelly のバンドの一員として、アメリカとヨーロッパでのビッグ・ツアーを終えたばかり。2022年春にケリーのメインストリーム・セルアウト・ツアーに参加するまでは、YouTube や Instagram で多くのフォロワーを獲得していたにもかかわらず、イギリス国内ではクラブやパブでのギグにしか出演していなかった Lloyd にとって、そこはまさに夢の舞台。
今では、マディソン・スクエア・ガーデン、ウェンブリー・アリーナ、スタジアムなど大舞台で演奏し、”大成功” を収めています。まさに、ギターを抱えたシンデレラ。
すべてが少しおかしくなったのは今年の2月でした。Lloyd の名前は突如としてメディアの見出しを飾りましたが、その理由は彼女の天才的なシュレッド・スキルとはまったくの無関係。事の発端は、Kelly の婚約者で女優のミーガン・フォックスがネット上で破局の噂を流したことで、あるファンがフォックスのポストに “彼はおそらくソフィーと一緒になった” と書き込んだこと。それがすべてのはじまりでした。
瞬く間に、Lloyd はクリックバイトの餌食となり、タブロイド・サイトは彼女に “Kelly のもう一人の女” の烙印を押しました。この憶測は Lloyd のマネージメントによってすぐに打ち消され、フォックスもギタリストを擁護し、浮気スキャンダルを否定。インスタグラムに “Sophie、あなたはとても才能がある。ハリウッドへようこそ” と投稿したのです。
その後、騒動は沈静化し、今では彼女もその事件を笑い話にしています。
「あの騒動の渦中にいたことは、私にとってクレイジーな時間だった。明らかに、私たちは真実を知っていて、それは全くのでたらめだったけど、それでも嘘が急速に広まり、皆がその流れに飛び乗るのを見るのは、ワイルドなことだったわ」

それは、たまたま女性であったミュージシャンが直面する、厳しくも予測可能な汚名でした。
「私が特に腹が立ったのは、何かドラマがあるとすぐに指が私に向けられたこと。”ああ、あの女性ミュージシャンね。そうなると思ってたよ” ってね。もし私が男でバンドの新人だったら、誰も何も言わなかったでしょう。メディアの毒性にさらされたのはちょっと不運だったわ」
このエピソードに明るい兆しがあるとすれば、自身の SNS アカウントが劇的にフォロワー数を増やしたことでしょう。
「Instagram のフォロワーが2万人増えたの。みんなが私のプレーを褒めてくれたわ。だからまあ、それはプラスに働いたわね」
Lloyd の YouTube チャンネル登録者数は100万を超え、Instagram のフォロワー数もそれに肉薄しています。その場所に、お気に入りの曲(GREEN DAY から IRON MAIDEN まで)のギター・カバーを投稿し始めて以来、彼女は数千万回もの再生回数を叩き出し、メロディックなレガート・ソロからターボ・チャージされたタッピングまで、その息をのむようなシュレッドでアックス・ファンを魅了してきました。
その成功を受けて、Lloyd は最近、クラシック・ロックの楽曲を “シュレッド” ビデオ・シリーズに再構築し始めました。PINK FLOYD の “Comfortably Numb” のオペラティックな演奏は、思慮深いブルージーなリックと超音速のシュレッド・ロケットの対比が素晴らしく、すでに500万回近く再生されています。そこで彼女はパートナーの Christopher Painter と共にビデオを制作しています。
「私がギターとベースを担当し、それからすべてのレイヤーを聴くの。作曲の勉強になるわ。演奏に関しては、ギタリストを研究して、彼らがやっていることの内側に入り込もうとする。例えば “Comfortably Numb” の時は、David Gilmour のスケールとトーンを理解しようとした。あれはクールだったね。シュレッドしなくても、いかにパワフルなサウンドを出せるかを学んだよ。”天国への階段” のビデオも同じ。ビブラートとフレージングがすべてなんだ」

“オンライン・クリエイター” として成功した Lloyd が、アリーナ・ロックの第一人者へと転身するまでの見事な軌跡は、すべて周到に練られた計画の結果だと思われるかもしれませんが、彼女はすぐにその考えを否定します。
「なんの計画もなかったわ!(笑) 本当のところ、私はオンライン・コンテンツ・クリエーターになろうと思ったことはないの。昔、YouTubeに参加したのは、私が育ったところには本物の音楽シーンがなかったから。だからもっと型破りな道を歩まなければならなかった。ツアー・ミュージシャンになるつもりもなかったし、実際、家にいて家族と一緒にいるのが好きなのよね。でも、MGK に誘われて、結局やってみたら、ツアーも本当に楽しいことがわかった。私は音楽を作ることが大好きだし、どんなエキサイティングなことがやってきても受け入れるよ」
これまで Lloyd がリリースしたオリジナル曲はインストゥルメンタルばかりで、特に2018年に発表したデビューEP “Delusions” が有名でしたが、最近では、ゲスト・ヴォーカリストが多数参加するフル・アルバム “Imposter Syndrome” を完成させ、よりメジャーな世界に挑戦するつもりです。
「このアルバムは、15歳の自分にオマージュを捧げるものだといつも言っていたわ。このアルバムは、あの子 (15歳の Sophie) のために書いたアルバムなの。このアルバムに参加している素晴らしいシンガーたちと一緒に仕事ができて本当に幸運だわ。
私が曲を書いて、それを送って、シンガーたちから返事が来る。彼らはみんな、”ああ、これは本当に気に入った!” いう感じだった。私が想像していたよりも、すべてがうまくいったよ」

Lloyd がギターを始めたのは、しかし以外な理由でした。
「恥ずかしい話なんだけど。実は “スポンジ・ボブ” を観てギターを始めたの。いい番組だよね。映画を観たんだけど、TWISTED SISTER の “I Wanna Rock” をボブがやるんだけど、ビッグバンドを従えていて、とてもすごいと思った。”うわーこれやりたい!”って思ったんだ」
実際、スポンジ・ボブは時にかなりロックしています。あるエピソードでは、彼がシンガーで、パトリックがギターを弾いて、彼らはスタジアムをロックして、ライトとレーザーを使って……
「(笑)!それが始まりだった。そして、LED ZEPPELIN、Joe Bonamassa, Rory Gallagher のような素晴らしいブルース・ギタリストたち。父はギターを弾かなかったけど、父のおかげで私は音楽に囲まれていた。10歳くらいのときにクラシック・ギターのレッスンを少し受けたけど、”いやだ、コレはちがう!” って感じだった。
それから、ヤマハのパシフィカというエレキギターを手に入れた。本当に夢中になったね。よくある話だけど、学校では典型的な陰キャで友達も作れなかったから、ギターは私の解放であり、逃避だった。ロックを演奏することで、とても安らぎを得たんだよ。学校から帰ってきて、5時間も6時間も弾いていたね」
まさに、メタルのレジリエンス、反発力と回復力。そして Lloyd もまた、グリップマスター教の信者でした。
「子供の頃、グリップマスターのハンドエクササイザーを買って、スクールバスの中でニギニギしている自分がカッコイイと思っていたの!でも、演奏には何の変化もなかったと思う!ギターを手に取り、指の下で弦を感じ、タコを作ることに代わるものはないわ。
また、各指の強度を高めることも本当に重要ね。多くのプレーヤーは、第1指と中指の間でハンマーを打ち込んだり引き抜いたりすることには自信があっても、中指と小指で同じことをすることには自信がないから。
中指や薬指から小指に向かう速いトリルを練習するのはとてもいいことだよ。レガート・ランではいつも小指を使うから、私にとってはとても貴重なんだ。3本の指しか使わない奏者もいるけど、小指を軽視することで、可能性の大きな部分を逃しているように感じるね」

Lloyd には、ギターの先生から学んだ練習の極意があります。
「私の昔の先生は、練習は三角形のようなものだと言っていたわ。そして、学ぶときはいつでも、そのうちの2つに集中し、もう1つは無視する必要があるとね。例えば、メトロノームを使って練習している場合、おそらく最初はゆっくり始めることになるだろう。そういう状況では、きれいさと正確さのためにスピードを犠牲にすることになる。
この段階でミュート・テクニックを身につけることは常に重要で、フレットを弾く手の指で使っていない弦をカバーするのか、ピッキング・ハンドを使うのか、あるいはその両方なのか!一度に数本の弦だけをカバーするために手のひらの一部を持ち上げたり、ピッキング・ハンドの手のひらの側面を使って他の弦をミュートしたりすることをいつも気にするべきよ。
それができたら、スピードを上げて正確さを保つ練習を始めることができる。最後に、三角形を完成させるために、すべてを足し合わせる!」
とはいえ、学び方は人それぞれだと Lloyd は言います。
「学び方は人それぞれだと思うから、自分ならどう学ぶのがよいかを知ることが大切。誰かとジャムることで自信がつくから、ギターの先生との実践的な経験は本当に貴重だと思う。私はYouTube でたくさんのことをやっていたから、演奏に対する不安が少しあったんだ。すべてが孤立していたからね。でも、YouTube は便利でいいよね。ベッドで、パジャマで、無心になって練習できる。だから、正直なところ、一番いいのは両方の組み合わせだと思うわ。
ただ、私は、耳で学ぶことが常に最良の方法であるとアドバイスしたいね。というのも、相手のやっていることをそれでより理解できるようになるから。その方が耳も鍛えられるし、物事を素早く習得するコツもつかめる。
時間はかかるけど、使えるアプリはたくさんある。私は大学時代、毎日30分電車に乗っていたから、そういう時間を使っていたのよ」

当時はどんな曲がお気に入りだったのでしょうか?
「最初の曲は “Wild Thing” だった。Mike Hurst よ。彼は Dusty Springfield のギタリストだった。私にとって第二のおじいちゃんみたいなものなのよ。彼から多くのことを学んだ。そうしてギターのフィーリングは自然に身についたけど、曲作りも大好きだったわ。
コードにハマると、私の中の作曲が解き放たれた。IRON MAIDEN, METALLICA, AVENGED SEVENFOLD と一緒に演奏したわ。すぐに全部できるようになったよ。最初に覚えたフル・ソロは “天国への階段” だった。
父が、もし私がそれを弾けるようになったら、 PRS の Mark Tremonti のシグネチャー・ギターを買ってくれるって言ったんだ。私は必死に練習して、父はその約束を果たしたわ。それがFacebookにアップした最初の動画のひとつだよ。14歳かそこらだったかな。ソロに挑戦するのが楽しかった。パターンやシェイプにこだわることはなかった。ただ、耳が良かっただけなんだ」
そのころから、ギターを職業にしようと考えていたんでしょうか?
「いや。遠い夢のように感じていたよ。周りにギターを弾く人はいなかったし、音楽業界の知り合いもいなかった。現実の世界では、孤立感を感じていたね。学校で “大学で音楽を学びたい” と言ったら、”ダメだ” と言われた。私は奨学金をもらって、大学で法医学を学ぶことになっていたの。少しオタクだったから。でも、大学進学の1週間前に、”どうしても音楽をやってみたい” と言ったんだ。幸運なことに両親も応援してくれて、ロンドンの音楽大学に合格したのよ」

この時点で、どんなギタリストに夢中になっていたのでしょう?
「Joe Satriani ね。”Surfing With The Alien” は、最初から最後まで学ぶべきレコードだった。Angel Vivaldi も好きだったわね。それから、Andy James, Sinister Gates, そしてもちろん Slash も大好きだった。彼らのことを深く掘り下げたよ。大学では、Eddie Van Halen に出会って、彼に夢中になったのよ!」
そうして Lloyd は英国およびアイルランド現代音楽研究所を卒業しました。
「音楽大学については賛否両論あるわね。最終的には、出会った人たちのおかげで、行って正解だったと思うけど、全体的には、彼らは私にセッション・ギタリストになることを強要し、他の人たちのカーボン・コピーにしようとした。1年後、私は自分が本当に好きな曲を弾いていないことに気づいたの。
あそこでジプシー・ジャズなども学んだけど、私の心はそこになかった。大学から帰ってきて、好きだったエモの曲を覚えたんだけど、そのとき、”自分の創造性を、自分が楽しめるものに成形する必要がある” と思ったんだ。それで、最初のEP “Delusions” を書き始めたんだ」
YouTube の撮影に慣れるのも簡単ではありません。
「だいぶかかったわ。カメラを向けられることに100パーセント慣れたと感じることなんてないでしょ? (笑) でも、ビデオを振り返って進歩を見るのはいいことだよ。あのころは、YouTube でお金を稼げるなんて知らなかった。最初に作った動画のひとつは、AVENGED SEVENFOLD の “Nightmare” だったね。
去年、バンドのベーシスト、ジョニー・クライストと一緒に見たんだけど、本当にナイトメアよ。大笑いしたよ (笑)。そうやって、ビデオの中にはちょっとぞっとするようなものもあるけど、それでもいいんだ。古いものを削除するつもりはない。参考になるものがあるのは大事なことだと思うし」

自分のプレイを撮影してネットにアップすることは、敷居が高いと思う人も多いでしょう。
「一番難しいのは、最初のビデオを投稿することだと思う。自分をさらけ出すんだから、怖いしとても難しい。でもね、そんなことは忘れて、とにかくやってみること!
また、機材を揃えることを心配する必要もないわ。多くの人は機材を理由に後回しにして、”新しいカメラを手に入れたら撮影しよう” とか思ってしまう。永遠に待つことになるから待ってはいけない!私の最初のビデオはジャガイモで撮ったみたいだし、音質も最悪だった。だから、できる限りやって、楽しんで。
とにかく、自分独自のものを開発するの。市場の空白を探して、それを埋めようとするんだ。Tim Henson は、両手を使うという新しいプレー方法を開発した。あるいは、ミセス・スミスのように、おばあさんの格好をしたギタリストのようなバカげたものもある。でも、とにかく何かをやればバイラルな瞬間が生まれるかもしれないし、他の誰よりも目立つかもしれない」
オンラインで成功するためには、プレイヤーとしてだけでなく、ブランドとして考えることが重要だと Lloyd は言います。
「それはとても重要なこと。プレーだけでなく、提供するもの全体が重要なんだ。だからこそ、私はシュレッド・バージョンを開発したの。市場に隙間があると思ったから、そこに飛び込んで埋めたんだ。くだらないことだけど、インスタグラムで色を揃えることは、アルゴリズムが君を押し上げることになる。
YouTubeのタグを間違えないようにしたり、タイトルの書き方を間違えないようにしたり。バンド名は常に最初に書くべきよ。それが一番検索されやすいから。
ある意味、自分自身をブランドや商品として考えることで、オーディエンスが何を見たいのか、何に興味があるのかを知ることができる。観客が好むようなことをするために、観客のことを知らなければならない。うまくいくこともあれば、失敗することもあるわ」

少し前に、Lloyd はアウトテイクのビデオを投稿しました。何度も何度も演奏して、なかなかうまくいかず、気が狂いそうになっている人のに、Lloyd がどれだけの努力を積んでいたのか伝わったかもしれません。
「とても多いよ!SNS では、最終的なテイク、つまり完璧なテイク、私がいいところで笑っているテイクしか見られない。でも、何度も失敗している部分がたくさんある。4分の作品を撮るために3時間くらい撮影しているんだから。だから、あのビデオを作ったんだ。インスタでプレイヤーたちを見ると、”あぁ、この人たちはすごいな。ああ、彼らは私よりずっとうまいんだ” と思って、自責の念に駆られてしまう。だから、そういう面も見せることが大事だと思うんだ。
今は、ライブ・ストリーミングで、私がシュレッドを習得して練習していく過程をみんなに見てもらえる。失敗したときとか、そういうのも全部見られるよ。ソーシャル・メディアは本当にすべてが “フォトショップ加工” されていると思うから。ぜんぶ完璧だから、失敗も見てもらえるのはいいことだと思うんだ」
ギターや機材についても、Lloyd は YouTube で学びました。
「YouTubeでたくさんのビデオを見たよ。長い間 PRS が好きだったんだけど、VOLBEAT の Rob Caggiano が Kisel を紹介してくれたんだ。とてもカスタマイズしやすくて、気に入っているよ。ペダルやアンプも同じような感じだった。
スタジオで仕事をすることで、自分の好きなサウンドが見えてきたんだ。自分のビデオを見ているうちに、ギター・ソフトウェアにのめり込んでいったわ。今は、Nolly を使っている。ネットでいろいろ調べたり、人と話したりしたのがきっかけなんだ」

MGK との共演も、そもそもはネットが始まりでした。
「実はドラマーの父親が YouTube で私を見つけてくれたんだ。それから Kelly が連絡をくれて、FaceTime で話したの。すべてがうまくいった。ライブのビデオを送ったんだよ。ツアーに出る数週間前のことで、彼らはすぐに決断しなければならなかった。オーディションを受けたりする必要はなかったんだ。
最初の数日は Kelly がいなかったから、少しプレッシャーがあった。とはいえ、初日はかなりストレスがたまった。偽者症候群から抜け出さなければならなかったからね。偽者症候群というのは…今はそこから抜け出せた気がする。私はここにいる理由がある。私には十分な力があるって信じられるから」
この “偽者症候群 “という言葉は、Lloyd のアルバム・タイトルにもなりました。
「”偽者症候群” は音楽に限らず、どんな分野でも多くの人が経験する現象だけど、基本的に自分が偽者だと感じるんだ。自分が今いる場所にふさわしくないし、いつ何時、人に正体を暴かれるかわからないってね」
つまり、Lloydはこれまで、スクリーンの向こうで生きざるを得なかったとも言えます。
「ずっとそれで苦労してきた。パフォーマンス不安や偽者症候群がひどくてね。だから Twitch を始めたんだ。私の人生はずっと YouTube の中で、スクリーンの向こうで、編集できる場所で生きてきたからね。編集できないライブ・ストリーミングに挑戦しておきたかった。
ライブで演奏するとなると、テイクが1回しかないから全然違うし、それが怖いんだ。いつもは40テイクもある。だから、ライブではもっといろいろなことをやって、不完全な面を見せるようにしているんだ」

MGK は Lloyd に音楽的な自由を与えています。
「彼は最初から超オープンだった。彼はライブでの経験や、何かを変えるというアイディアが大好きだから。自分のバンドの才能を披露するのもね。もう一人のギタリスト、Justin Lyons は、私が今まで見た中で最も素晴らしいギタリストの一人だよ!」
小さな観衆の前で演奏していたのが、突然スタジアムやアリーナで演奏するようになるのも恐ろしいことでしょう。
「それは究極の挑戦だったし、自分の悪魔と戦いながら、それに取り組まなければならなかったわ。最初のギグの前に、すごく練習したよ。ナーバスになることを想定していたんだ。でも、ステージに立った瞬間、すべてが溶けて、そこにいることが運命だったように感じたわ。
すべての人の顔やサインを見た。自分でも驚いたよ。みんながクレイジーになるのを見るのが好きなんだ。楽しかった!」
夢を叶えるといえば、大ファンだった TRIVIUM の Matt Heafy も Lloyd のアルバムに参加しました。
「彼はとてもいい人よ!正直、信じられない!このアルバムに参加している人たちも、みんなとてもいい人たちばかり。ああ、Matt はクレイジーだったよ。アルバム “Delusions” のレコーディング初日に撮った、自作のトリヴィアムTシャツを着た写真があるんだ。彼と一緒に仕事ができるなんて、なんだか怖いような感じだよ。フロリダに行って、彼と一緒にビデオを撮影したのも楽しかった。彼はすぐにビジョンを理解してくれたわ。
それに、この曲は Twitch でレコーディングしたんだ。何が好きか、何が嫌いか、歌詞が良いか悪いか、ファンからのフィードバックがすぐに得られたから。”あの叫び声はやり直したほうがいい?” というようなライブのフィードバックがあったのはクールだった。そうそう、あれは本当に楽しいやり方だったよ」
Chris Robertson との “Let It Hurt” はリフが実に強力です。
「リフを書くのは大好きなんだ。たくさんの音楽を聴いて、いろいろといじったり、コードを逆にしたり、コードを変えてみたり。曲を最初から最後まで作り上げるのが本当に楽しいんだ」

一人の専属シンガーとバンドを作ることも選択肢の一つです。
「それを考えているんだけどね。どうやってツアーをするか。いくつかアイデアがあるんだ。専属のボーカリストを雇うかどうかはわからないけど、自分に合っていて、インスピレーションを与えてくれるボーカリストを見つけることが大切だと思う。大きなスクリーンを用意して、ボーカリストに演奏を録音してもらって投影するようなこともやってみるかもしれない。バイオリニストのリンゼイ・スターリングがそうしている。視覚的にもかなり素晴らしいよ」
Kisel のシグネチャー・モデルも重要な彼女の相棒です。
「シュレッド・ギターにしたかったんだ。このギターで、すべてが思い通りになったよ。Kisel の “Aries” というギター・シェイプが大好きで、それに似たものが欲しいと思っていたんだ。
このギターは超軽量で、ステージでスイングすることもできる。カラーはパープルだけど、自分で好きな色を選べるよ。
それに女の子だから、おっぱいの位置もちょっと考えないとね。おっぱいの下にうまく収まらないギターもあるからね (笑)」
Lloyd はネット上の存在からメジャー・バンドの一員になることで、革命の一端を担っているように感じているのでしょうか?
「そうだと思うけど、わからない。数歩飛ばしちゃった感じかな。私にとっては、それは祝福でもあり呪いでもある。もし私が音楽シーンやバンドがたくさんある地域で育っていたら、それを利用していただろうけどね。こんなに高いレベルでツアーに参加できるようになったのは興味深いわ。いつもみんなは “君は苦労してない” って言うけれど、私は違う形で苦労もしてきたのよ。
でも、私の旅がすべて記録されていることはクールだと思う。特に TikTok とかで。以前はいつも心配していたんだ。音楽業界に知り合いはいなかったし。自分の居場所もなかった。インターネットがなかったら、どうなっていたかわからないよね。
ソーシャルメディアは、すべての扉を開き、誰にでも閲覧できることは驚くべきことだと思う。同時に、物事は飽和状態になり、明らかにその弊害もある。しかし、全体的に見れば、SNS は音楽にとって新しい方向性であり、私たちは皆、それに適応する必要があると思う。素晴らしい音楽がたくさんあるし、みんな信じられないようなことをやっている。本当にエキサイティングだと思うわ!」


参考文献: GUITAR WORLD:Sophie Lloyd went from filming YouTube covers to touring arenas with Machine Gun Kelly – she recounts her meteoric rise

MUSIC RADER:Sophie Lloyd shares her advice for future guitar YouTubers:

SPIN:Artist to Watch: Guitarist Sophie Lloyd

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CROW BLACK SKY : SIDEREAL LIGHT VOL.2】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CROW BLACK SKY !!

“We Sadly Still Have a Very Divided Country, And a Lot Of Problems That We Live With, But We Have Just Proven During The Rugby World Cup How The Whole Country Can Pull Together In Unity. Music Can Have The Same Effect.”

DISC REVIEW “SIDEREAL LIGHT VOL.2”

「悲しいことに、僕たちの国はいまだに非常に分断されていて、多くの問題を抱えながら生きているんだ。だけどね、ラグビーのワールドカップで、僕らは国全体が団結して力を合わせることができることを証明したばかり。音楽も同じような効果をもたらすことができるよ。南アフリカではスポーツのような規模にはまだなっていないかもしれないけど、いつかそうなることを願っているよ」
南アフリカの立法府がおかれるケープタウン。テーブル・マウンテンや希望峰、テーブル湾が望める風光明媚なこの街にも、やはりアパルトヘイトの暗い影は残っています。白人が多く住む高級住宅街シーポイントの一方で、誇りと砂のケープ・フラッツには低所得者層が溢れています。そこは、かつてアパルトヘイトで強制移住させられたカラード (有色人種) たちの居住区。南アフリカで白人の入植が始まった “マザー・シティ” は、すべての人種にとって母なる街ではありません。暴動、窃盗、レイプ…それでもこの街とアフリカの壮大を愛するブラックメタル・バンド CROW BLACK SKY は音楽で憎しみや差別の壁を壊したいと焦がれます。
「僕たちは将来、間違いなくまた “黒い” ブラックメタルを作るだろう。でも今はもっと明るく、宇宙の威厳をたたえたサウンドを作りたかったんだ」
ゆえに CROW BLACK SKY は、絶望と狂気のブラックメタルにおける希望峰になりたいと望みます。テーブル・マウンテンから臨める漆黒の夜と降り注ぐ星々。それは、彼らに混沌とした宇宙の起源、星々のサガ、そして文明の不吉な未来を感じさせるに十分な壮観でした。歪んだ憎しみと差別がたどり着く世界は破滅。だからこそ、彼らはかつてアパルトヘイトを終わらせた音楽プロジェクト “サンシティ” のように、音楽で世界を変えたいのです。
「僕が聴く日本の音楽では、SIGH が最高の前衛ブラックメタルのアルバムをいくつか作っているし、素晴らしい日本のメタルバンドはたくさんある。去年の、IMPERIAL CIRCUS DEAD DECADENCE はぶっ飛んでいたよね!メタル以外では、MONO、特に “Hymn to the Immortal Wind” は僕にとって特別な存在だ」
そうして、CROW BLACK SKY が到達した場所こそ、コズミック・ブラックメタルでした。あまりに荘厳でメロディック。”Sidereal Light Vol.2″ はブラックメタルのルーツと豊かなアンビエンスが超次元で共存し、多層的な楽器編成、オーケストレーション、そしてプログレッシブなアイデアが両者の婚姻を祝福しています。伝統と革新、ルーツと先鋭、轟音と繊細、黒と白、絶望と希望。彼らの音楽は、そんな二律背反と混沌の中からワームホールを示現させ、光を見出します。MONO へのリスペクトも納得。
また、すべてが長尺の全4曲は非常に複雑でプログレッシブ。ブラックメタルでこれほど卓越したリード・ギターを聴くことはあまりありません。技術的にも可動域が広がった彼らの音楽は、そうしてスペイシーなシンフォニーから、超越的なトランスまで、文字通りブラックメタルの宇宙を拡大していくのです。
今回弊誌では、CROW BLACK SKY のコアメンバー2人、ギターの Gideon Lamprecht とボーカルの Ryan Higgo にインタビューを行うことができました。「BURZUM の “Filosofem” と DARKTHRONE の “A Blaze in the Northern Sky” を初めて聴いたときの感動は、今でも忘れられないよ。この感覚は僕の中にずっと残っていて、今でもいつも追いかけているものなんだ」 Devin Townsend のファンにもアピールしそうですね。どうぞ!!

CROW BLACK SKY “SIDEREAL LIGHT VOL.2” : 10/10

INTERVIEW WITH CROW BLACK SKY

Q1: First of all, what kind of music were you listening to, when you were growing up?

【GIDEON】: My first favourite band was Dire Straits, which I discovered through my dad. As a teenager I went to sleep with Metallica playing on the radio. I discovered countless great metal bands in the years that followed, but I always returned to Opeth and Emperor the most.

【RYAN】: Growing up before I got into metal I first listened to stuff from my parents, a lot of classic rock and classical music, then bands like Sum 41, Linkin Park, Korn, then in 2005 Metallica had a big impact on me, along with Iron Maiden, and then came power metal, particularly Sonata Arctica’s first four albums, Stratovarius, and Blind Guardian. When I was 16 I discovered black metal, and that set me on a long journey. I traded music with friends at school, but there were only three other guys who were into it at my school. I still to this day remember the feeling the first time I heard Filosofem and A Blaze in the Northern Sky. It’s a feeling that will stay with me forever and I’m still always chasing it.

Q1: 本誌初登場です!まずは、あなたたちの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【GIDEON】: 最初に好きだったバンドは DIER STRAITS で、父の影響で知ったんだ。10代の頃は、ラジオから流れる METALLICA を聴きながら眠りについたものだよ。その後、数え切れないほどの素晴らしいメタル・バンドを知っていったけど、結局はいつも OPETH と EMPEROR に戻ってくるんだよね。

【RYAN】: メタルにハマる前は、まず両親からクラシック・ロックやクラシック音楽を聴かされて育った。16歳の時にブラックメタルに出会い、それが僕を長い旅へと導いてくれたんだ。
学校の友人たちと音楽を交換し合ったけど、僕の学校には他に3人しかブラックメタルにのめり込んでいるヤツがいなかったんだよね。そんな中でも、BURZUM の “Filosofem” と DARKTHRONE の “A Blaze in the Northern Sky” を初めて聴いたときの感動は、今でも忘れられないよ。この感覚は僕の中にずっと残っていて、今でもいつも追いかけているものなんだ。

Q2: What is the state of the metal scene in South Africa? Is it different from other countries on the African continent?

【GIDEON】: The South African metal community is very passionate! Unfortunately many music venues closed down during the pandemic, but the scene is growing again quickly. There is a younger crowd of metalheads emerging, and there are a lot of promising new bands forming.

【RYAN】: Our scene in Cape Town is alive with a lot of great bands and fans. We do struggle being so far geographically from the rest of the world, so touring is not easy. But I regularly go out to watch local bands because we’ve got some real quality live acts across the metal spectrum. If you’re interested in hearing more you can search South African Metal playlists on Spotify. For metal across the African continent I recommend a great page simply called African Metal.

Q2: 南アフリカのメタル・シーンはどのような状況ですか?アフリカ大陸の他の国とは違いがあるのでしょうか?

【GIDEON】: 南アフリカのメタル・コミュニティはとても情熱的だよ!残念ながら、パンデミックの間に多くの音楽施設が閉鎖されてしまったけど、シーンは再び急速に成長しているよ。若いメタルヘッズが台頭してきているし、有望な新人バンドもたくさん結成されているね。

【RYAN】: ケープタウンのシーンは、たくさんの素晴らしいバンドとファンで活気に満ちている。他の地域から地理的に離れているから、ツアーは簡単ではないけどね。
でも、定期的に地元のバンドを観に出かけているよ。メタル全般にわたって、本当に質の高いライヴアクトが揃っているからね。もっと聴きたいなら、Spotify で南アフリカのメタル・プレイリストを検索してみるといい。アフリカ大陸のメタルについては、African Metal という素晴らしいページがお勧めだよ。

Q3: Crow Black Sky is a really great name for a band! Why did you choose this name?

【GIDEON】: When we were starting out, there were a few band name ideas floating around. Crow Black Sky was inspired by a line in Cradle of Filth’s “Better To Reign in Hell”, from their iconic Damnation and a Day album which turned 20 this year!

【RYAN】: Yeah, and that song in turn is inspired by a quote from John Milton’s epic poem Paradise Lost. Here’s the verse that inspired our band name:
Burning, like penal fires roused to strain
The jagged-toothed skyline braced with crosses
The golden dawn
Lay lost to mist where
Emboldened thorns
Made their bed with toppled stones
He closed His eyes
Sunken to dream there
Of crow-black skies
And a great white empty throne.

Q3: “Crow Black Sky” というバンド名も本当に素晴らしいですね!なぜこの名前を選んだのですか?

【GIDEON】: バンドを始めた頃、バンド名のアイデアがいくつか浮かんでいたんだ。”Crow Black Sky” は CRADLE OF FILTH の “Better To Reign in Hell” の一節にインスパイアされたものだよ。彼らの象徴的なアルバム “Damnation and a Day” に収録されている!

【RYAN】: そう、そしてこの曲はジョン・ミルトンの叙事詩 “失楽園” からの引用にインスパイアされているんだ。僕らのバンド名にインスピレーションを与えた一節はこうだ:
「燃えさかる、奮い立つ流刑の火のように
十字架で固められたギザギザの歯のスカイライン
黄金の夜明け
霧に消えた
逞しくなった茨が
倒れた石で寝床を作り
彼は目を閉じた
そこで夢を見るために
カラスのような黒い空と
白き大いなる玉座」

Q4: “Sidereal Light: Volume 2” is a really great piece of work! I think this is a sequel to Vol. 1. What is the story behind this series of albums?

【RYAN】: Thanks, we’re really happy to hear the appreciation for it. We were actually going to release what ended up becoming Volume One as a side project originally, and then decided that we’d create this avenue for cosmic stuff within CBS, that we can return to over time. So Sidereal Light is our series of albums that focuses on the cosmos and our place in it, and with overall a more spacey ethereal sound than our other material. Our next album will be different thematically, and we’ll come back to Sidereal Light for a third volume sometime in the future.

Q4: “Sidereal Light: Volume 2” は本当に素晴らしい作品ですね!Vol.1の続編だと思いますが、この一連のアルバムにはどんなストーリーがあるのですか?

【RYAN】: ありがとう、評価してもらえて本当にうれしいよ。もともとはサイド・プロジェクトとして “Vol.1” をリリースする予定だったんだけど、CROW BLACK SKY の中に宇宙的なテーマへの道を作ろうと決めたんだ。
“Sidereal Light” とは、宇宙とその中での僕たちの位置に焦点を当てた一連のアルバムで、他の作品よりも全体的に宇宙的でエセリアルなサウンドになっている。次のアルバムはテーマ的に違うものになるだろうが、いつか第3弾として “Sidereal Light” に戻ることにもなるだろう。

Q5: Interestingly, your music is black metal, but very uplifting and fantastic! It reminds me of a sci-fi blockbuster or a classic fantasy game. Japan is a mecca for fantasy, including anime and video games. Is there any Japanese content that has influenced you?

【GIDEON】: Thank you! Sure, I spent a lot of time playing games like Golden Sun and FF7. Some of my other favourite game soundtracks are in old classics like Diablo 2 and Starcraft.

【RYAN】: I’ve watched so much great Japanese media and cinema that’s definitely been a part of inspiring me over the course of my life, even if not actively on this album. In terms of Japanese music I listen to, Sigh has made some of the best avant-garde black metal albums, and there are many fantastic Japanese metal bands; last year’s album by Imperial Circus Dead Decadence is crazy. Outside of metal, Mono is very special to me, particularly Hymn to the Immortal Wind. But currently the biggest Japanese influence in my life is Ghost of Tsushima which I’m in the middle of playing. Really nice game. I hope to come visit Japan soon!

Q5: 興味深いことに、あなたたちの音楽はブラックメタルですが、とても高揚感があり幻想的ですね!SF超大作や古典的なファンタジー・ゲームを思い出させます。日本はアニメやゲームなどファンタジーのメッカですが、影響を受けた日本のコンテンツはありますか? 

【GIDEON】: ありがとう!確かに、”黄金の太陽” や “FF7” のような日本ゲームはよくプレイしたものだよ。他に好きなゲームのサウンドトラックは、 “ディアブロ2” や “スタークラフト” のような古い名作のものだね。

【RYAN】: このアルバムに積極的に影響しているわけではないにしろ、僕は日本の素晴らしいメディアや映画をたくさん見てきた。僕が聴く日本の音楽では、SIGH が最高の前衛ブラックメタルのアルバムをいくつか作っているし、素晴らしい日本のメタルバンドはたくさんある。去年の、IMPERIAL CIRCUS DEAD DECADENCE はぶっ飛んでいたよね!
メタル以外では、MONO、特に “Hymn to the Immortal Wind” は僕にとって特別な存在だ。でも今、僕の人生で一番日本の影響を受けているのは間違いなく “Ghost of Tsushima” だね。本当に素晴らしいゲームだ!だから、近いうちに日本を訪れたいと思っているよ!

Q6: Musically, your sound blends styles that incorporate progressive movements along with classical, atmospheric, and acoustic elements. It’s great that it’s sometimes brutal, yet melodically accessible, but is the black metal genre still important to you guys?

【RYAN】: We will definitely create more “black” black metal again in the future, but for now we wanted to create a sound that is brighter and celebrates the majesty of the cosmos. In Sidereal Light the spectrum of black to bright is exemplified at the extremes with ‘Lightless, Lightless’ from Volume One on the dark end, and ‘The Blinding Might of Creation’ from Volume Two on the bright end. But I am always looking for new black metal, there’s a lot of good stuff coming out in the past few years. Recently I’ve been listening to Sinmara, Akhlys, The Ruins of Beverast, Spectral Wound, Thantifaxath, and Woe.

Q6: 音楽的に、あなたのサウンドはプログレッシブ・ムーブメントを取り入れたスタイルと、クラシック、アトモスフェリック、アコースティックな要素が融合しています。時にブルータルでありながら、メロディアスで親しみやすく実に印象的です。ただ、ブラックメタルというジャンルは今でもあなたたちにとって重要なのでしょうか?

【RYAN】: 僕たちは将来、間違いなくまた “黒い” ブラックメタルを作るだろう。でも今はもっと明るく、宇宙の威厳をたたえたサウンドを作りたかったんだ。
“Sidereal Light” では、”Vol.1″ の “Lightless, Lightless” がダーク・サイド、”Vol.2″ の “The Blinding Might of Creation” がブライト・サイドで、ブラックからブライトへのスペクトラム、その両極端を提示している。だけど僕は、常に新しいブラックメタルを探しているよ。ここ数年は、良いものがたくさん出てきているね。最近はSinmara, Akhlys, The Ruins of Beverast, Spectral Wound, Thantifaxath, Woe なんかを聴いているよ。

Q7: In the 2020s, the world was overshadowed by a darker shadow of pandemics, wars, and divisions. I feel that your black metal has become a place of hope and escape from reality in such a world. Did these changes in the world influence your album?

【GIDEON】: To some extent, yes. That along with our life experiences and musical influences all find its way into the music. The creative process is cathartic, and can be a place of hope and escape for us too.

Q7: 2020年代に入って特に、世界はパンデミック、戦争、分断という暗い影に覆われました。あなた方のブラックメタルは、そのような世界において希望と現実逃避の場となったように感じます。こうした世界の変化は、作風の変化と関連しているのでしょうか?

【GIDEON】: ある程度はそうだね。僕たちの人生経験や音楽的な影響とともに、そのすべてが音楽に反映されている。創造的なプロセスはカタルシスであり、僕たちにとっても希望と逃避の場所になり得るんだ。

Q8: Speaking of division, South Africa once had an apartheid policy. Do you think music can eliminate such division and discrimination and change the world?

【RYAN】: We sadly still have a very divided country, and a lot of problems that we live with, but we have just proven during the rugby world cup how the whole country can pull together in unity. Music can have the same effect, maybe not yet on the same scale as sport in South Africa, but hopefully someday.

Q8: 分断といえば、かつて南アフリカにはアパルトヘイト政策が存在しました。音楽はそうした分断や差別をなくし、世界を変えることができると思いますか?

【RYAN】: 悲しいことに、僕たちの国はいまだに非常に分断されていて、多くの問題を抱えながら生きているんだ。だけどね、ラグビーのワールドカップで、僕らは国全体が団結して力を合わせることができることを証明したばかり。音楽も同じような効果をもたらすことができるよ。南アフリカではスポーツのような規模にはまだなっていないかもしれないけど、いつかそうなることを願っているよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED CBS’S LIFE!!

Emperor “In the Nightside Eclipse”

Dire Straits “On Every Street”

The Offspring “Americana”

Opeth “Blackwater Park”

Metallica “Master of Puppets”

(GIDEON)

Moonsorrow “Verisäkeet”

Altar of Plagues “White Tomb”

Wolves in the Throne Room “Two Hunters”

Agalloch “The Mantle”

Woods of Ypres “Grey Skies and Electric Light”

(RYAN)

MESSAGE FOR JAPAN

We are delighted to hear that we have fans in Japan, and we would love to visit and see you from the stage soon!

日本にもファンがいると知って、本当にうれしいよ!いつか日本に行って、ステージで会えたらいいな!

CROW BLACK SKY

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COVER STORY + INTERVIEW 【KHALAS : ARABIC ROCK ORCHESTRA】 HARMONY IN THE PALESTINE


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ABED HATHOUT OF KHALAS !!

“Our Music Is About Celebrating Life Despite The Horrors Of Our Region, There Is No Difference Between a Girl That Go To Shout In a Demonstration And a Girl That Choose To Dance And Laugh Despite Of The Occupation, We All Resist In Our Own Way.”

DISC REVIEW “ARABIC ROCK ORHESTRA”

「僕たちがパレスチナですることは、すべて政治的なことになっちゃうけどね。ビールを買うことでさえも政治的になるんだから (笑)。 そう、僕たちの音楽は、この地域の惨状にもかかわらず、人生を謳歌するためのもの。例えば、現状を憂いデモで叫びに行く女の子と、占領されているにもかかわらず踊って笑うことを選ぶ女の子に違いはないと思うからね。だからといって、どちらか一方が他方よりパレスチナを気にかけているということではなく、僕たちは皆、それぞれのやり方で抵抗しているということなんだ」
正邪混沌。私たちは今、正義と邪悪が混沌とした世界を生きています。もちろん、善と悪は、白と黒のようにスッキリとした二元論で割り切れるものではありません。多くの場合、両者の間には曖昧な “グレー・ゾーン” が存在し、その灰色の場所で人類は互いにうまくやる術を学んできました。
とはいえ、私たちは本能的に、もしくはそうして生きる中で、暴力や抑圧の愚かさを知り、ゆるやかに、なんとなくではありながら、寛容の尊さを理解してより良い世界に近づいているはずでした。しかし、気がつくと、世界は正義が邪悪、邪悪が正義の残酷で複雑怪奇な、見通しの悪い場所になっていたのです。パレスチナの砂地にメタルの種を撒いた KHALAS は、そんな歪んだ世界を音楽で変えれられると心から信じています。音楽で人生を謳歌することこそが、世界を黒雲で覆う二極化政治に対する抵抗。
「最近はプロパガンダ・マシンと偽メディアのせいで、ORPHANED LAND ともすべてにおいて意見が一致するわけではないけれど、それでも僕たちは友人で、互いの痛みや苦しみを尊重し、理解しているんだよ」
ロシアとウクライナ。イスラエルとハマス (パレスチナ)。もはやその戦いは、SNS とメディアの戦争です。誰もが正義を叫び、誰もが邪悪を叫び、誰でも自分の “側” に引き入れようと死力を尽くしています。その裏で傷つき、無惨に死んでいく無垢の魂には一瞥もくれずに。さて、私たちは何を信じ、誰の側に立ち、誰を救えばいいのでしょうか?
「僕がパレスチナの皆を代表して発言することはできないけど、民間人に対するテロ行為や大量虐殺は、誰が行おうとも非難されるべきものだ。それが組織的な軍隊であれ、過激派グループであれ、罪のない人々、特に子どもたちが政治的な欲や腐敗の代償を払うことは決してあってはならない」
そもそも私たちは、必ずどちらかの “側” に立たなければならないのでしょうか?いえ、もし誰かの “側” に立つとすれば、それは決して正邪混沌の元凶である権力者やテロリストたちではなく、平和を願う無垢なる人たちの “側” でしょう。あまりにも暴力的で極端な “暴君” たちの裏側には、顔の見えないその何万倍もの共存を望む優しい人たちがいます。イスラエル。パレスチナ。大きな主語で、そのすべてを一括りにすることこそ愚か。そもそもが灰色である正義を、邪悪を声高に叫ぶ人々、その声の大きさに取り込まれてはいけません。
事実、パレスチナが産んだオリエンタル・メタルの雄 KHALAS の音楽は、見事に中東と西欧が融合していますし、彼ら自身、イスラエルの ORPHANED LAND とのツアーを融和と共に完遂した経歴を持ちます。つまり、溜め込んだ憎しみも武器も捨て去り溶け合うことは、決して荒唐無稽で夢見がちなお伽話というわけではないのです。ただ願うのは、共存共栄と普通の人々の平和で普通の日常のみ。
今回弊誌では、KHALAS の Abed Hathout にインタビューを行うことができました。「この状況は今に始まったことではない。過去75年間の占領下で続いてきた、終わりのない血の連鎖の新たな章なんだよ。今起きていることはすべてこの75年の結果なんだけど、政府や選挙で選ばれた人たちは、すべての人に平等な人権を与え、占領を終わらせるための非暴力的な解決、その道を歩むことを拒んでいるんだ」 どうぞ!!

KHALAS “ARABIC ROCK ORCHESTRA” : 10/10

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COVER STORY 【ANGRA : ANGELS CRY】 30TH ANNIVERSARY !! TRIBUTE TO ANDRE MATOS…


COVER STORY : ANGRA “ANGELS CRY” 30TH ANNIVERSARY !!

“We Just Chose The Name Because It Was a Brazilian Name And There’s a Town Here Called Angra, Which Is a Beautiful Town. It Was a Name That We Thought Would Sound Good In Every Language, But, On The Other Hand, Would Also Mean Nothing. We Tried To Run Away From a Meaningful Name. We Discovered The Meaning Of The Word Later On, “Goddes Of Fire”, But I Think It Fits The Band’s Sound Well.”

ANGELS CRY

「ブラジルにアングラという美しい町がある。アングラ。どんな言語でも良い響きを持つ名前だと思ったが、一方で何の意味も持たない名前でもあった。私たちは意味のある名前から逃げようとした。言葉の意味は後でわかったんだ。火の女神。バンドのサウンドにはよく合っていると思う」
ANGRA。それはまさに、ブラジルから現れた情熱の炎のようなメタル・バンドにぴったりな名前でした。
もちろん、情熱的で画期的なヘヴィ・メタルを作る人は今もたくさんいますが、ネットやSNSの普及による情報過多で、特定のイメージを描写することばかりに気を取られているミュージシャンも少なくはありません。もしかしたら、そうした新たな” 文明の利器”は、いつしか大きな失敗や批判を恐れた野心、そして勇気の欠如を育み、純粋で、有機的で、正直で、”突飛” な音楽を生み出す土壌を汚染しているのかもしれませんね。
だからこそ、Andre Matos の逝去は、メタル世界にとって実に大きな喪失でした。偉大なシンガー/ソングライターを失っただけでなく、メタルを本当に愛し、心からのアイデアを具現化し、音楽的に常に挑戦しようとしていた人物を失ったのですから。

Matos は長年にわたり、彼が根っからのミュージシャンであり、イノベーターであることを証明し続けてきました。VIPER, ANGRA, SHAMAN, SYMFONIA, そしてソロ・プロジェクト。何かをするたびに、実験を試みながら、時の試練を乗り越える正直な音を届けてきたのですから。
Matos のキャリアと音楽的ヴィジョンを最もよく表しているアルバムは当然人それぞれでしょうが、今年30周年を迎えた”Angels Cry” は誰もが立ち返るアルバムでしょう。それは、このアルバムが多くの人にとって彼の音楽と ANGRA への入り口であっただけでなく、情熱的で、美しく、しかし突飛で、だからこそ正直だと感じられるからでしょう。
当時 Matos はクラシック音楽の勉強を終え、最初のバンド VIPER で2枚のアルバムを作った後に脱退。1991年に ANGRA を結成しました。彼はそもそもヴォーカリストになるつもりはありませんでしたが、状況が彼をそう導き、より熟達するために歌のレッスンを受け始めていました。
「ドラマーの交代は基本的にプロデューサーの決断だった。プロデューサーが僕らのところに来て、こう言ったんだ。”いいか、このアルバムで僕が望んでいることを、君のドラマーは残念ながら実現できそうにない。電子ドラムを使うか、私の知り合いで1週間でできる人を雇うかだ” とね。ドラマーは私たちの親友で、バンドの共同設立者の一人だったから、この決断はとてもとても難しかった。私たち全員がその場にいて、引き返すことはできなかったから、いずれかの選択肢を選ぶしかなかった」
“Angels Cry” のレコーディングはドイツ、特に Kai Hansen のスタジオで行われました。ボーカルとキーボードが Matos、ギターが Kiko Loureiro と Rafael Bittencourt、ベースが Luís Mariutti 。バンドの共同創設者で当時ドラマーだった Marco Antunes は、プロデューサーの Charlie Bauerfeind がパフォーマンスに満足しなかったため解雇され、後に RHAPSODY での活動で知られる Alex Holzworth がドラムスのレコーディングを行いました。

「このアルバムは簡単には生まれなかった。私たちは経験が浅く、とても若かったから。そして突然、当時パワー・メタルの中心地であり、あらゆることが起こっていたドイツに飛ぶことになった。そこで突然、最高のプロデューサーたちと仕事をすることになった。おかしなことに、私たちは、彼らにもあまり馴染みのない種類の音楽を持ってきた。私たちはヨーロッパのパワー・メタル・バンドではなかったから、クラシックの影響もあった。ブラジルの影響もあったし、カリブのリズムもあった。
“Angels Cry” のレコーディングは、亡命のようなものだとよく言っていたんだ。アルバムが最終的な形になるまで、私たちは何カ月もそこにいた。そして、ちょっと不気味でもあった。私にとっては初めてのドイツだった。その後、何度も何度もドイツに戻り、しばらく住んでいたこともあるし、素晴らしい国、完璧な国だと思うけど。
ハンブルグにある Kai Hansen のスタジオ、ガンマ・レイ・スタジオでこのアルバムをレコーディングしていたんだ。そのスタジオは第二次世界大戦時の地下壕の中にあったんだ。窓もなく、空気もなく、光もなかった。だから、ドイツで作った最初のアルバムは奇妙な雰囲気だった。また、レコーディング中に急遽別のドラマーを立てなければならなくなった。だから、私たちにとってはヘヴィな時期だった。そこから学んだことがあるとすれば、プロフェッショナルであること、忍耐強くあること、そして私たちを試練に陥れたすべてのことに耐えることだった」

実際、ANGRA はこのドイツでの滞在で、かけがえのない人たちと出会いました。
「Sascha Paeth と出会った日のことは、はっきりと覚えている。当時、私たちにはリム・シュノールというドイツ人のマネージャーがいて、彼がレコーディングの予算や全体を取りまとめていた。で、彼のつてでレコーディングのために突然ドイツに移されたけど、あまり快適な生活ではなかったんだ。家具はすべて60年代か70年代のもので、ペンションのオーナーは第二次世界大戦を生き延びた老婦人。彼女の夫も戦争で負傷したためそこに住んでいた。部屋の窓を開けると家の裏庭が見えたんだ。小さな裏庭だったんだけど、いくつか檻があって、鳩を飼っていたんだよ。
Sascha と Charlie Bauerfeind は当時のメインプロデューサーだった。Sascha は Charlie のアシスタントだったけど、彼はいつものようにアルバムの多くを手がけていて忙しくてね。そしてとても不思議なことに、Sascha とはお互いに会ったとき、もうずっと友達のような気がしたんだ。
それから私たちのキャリアと人生はいつもどこか一致していたし、一緒に多くのことをやってきた。”Angels Cry” のレコーディングやその全過程で、彼は私の最大の友人だった。彼は、私が自由な時間を過ごすときによく音楽の話をしていたし、当時からすでに、いつか一緒に何かプロジェクトをやろうというアイデアを持っていた。だから、彼は音楽における大親友の一人だよ」
GAMMA RAY の Kai Hansen と Dirk Schlächter もアルバムに参加しました。
「いつも通りかかって、スタジオで何かしているのをよく見かけたよ。もちろん、彼らは私にとってのアイドルだった。私は恥ずかしがり屋だった。彼らに敬意を表して、”おはよう” とか言う勇気もなかった。でもそのうちに、彼らは本当にコミュニケーション能力の高い、いい人だということが分かってきて、突然アルバムにも参加してくれるようになったんだ」

資金に余裕がなかったため、彼らはドイツのスタジオで大半の時間を費やしました。4人のブラジル人が、慣れないとても寒い気候の中、理解できない言語を話す国で。それは彼らの多くにとって初めての海外経験で、そうした逆境に対する反発力、野心、闘争心、そしてエネルギーがすべてアルバムに伝わったようにも思えます。
「SEPULTURA は、国際的にブレイクした最初のブラジルのメタル・バンドだ。ブラジルのバンドに何ができるかを世界に示した。私は彼らをとても尊敬している。彼らがやったことはとても重要だ。時々、ANGRA は SEPULTURA の真似をしたと言われる。だけど、音楽的にもコンセプト的にも、僕たちはほとんど関係ないと思う。同時期にトラディショナルな音楽の流行があり、多くの人が同じことをやっていた。でも、彼らの姿勢や音楽は好きだ。ブラジルから SEPULTURA のようなバンドが出てきたことを誇りに思う」
パワー・メタルは間もなくヨーロッパで大流行することになりますが、1993年のその時点ではまだ爆発的な人気はなく、ANGRAはHELLOWEEN、GAMMA RAY、BLIND GUARDIAN, HAMMERFALL, RHAPSODY らとともに、メタルの停滞を変える代表的なグループのひとつとなるはずでした。同時に、彼らの同胞であるスラッシュ・メタル・バンド、SEPULTURA が世界中で大ブレイクを果たした時期でもありましたが、ANGRA は特定のトレンドに追随することなく、自分たちらしくありたいと決意していたのです。
「アメリカではアルバムをリリースするのも、演奏するのも難しいんだ。ヨーロッパや日本では何の問題もない。彼らにはヘヴィ・メタルの伝統と文化がある。アメリカはとてもトレンドに敏感で、MTVが流しているようなものを好む。そこで活動する機会がないのは残念だ。メタルが好きな人たちが好きなバンドを見る機会がないのは残念だ」

自分らしさを貫くという部分は特に重要で、それがパワー・メタルの中でさえ、ANGRA に非常に際立った個性を与えていました。シューベルトの “未完成” に着想を得たイントロの “Unfinished Allegro” を聴くだけで、Matos がクラシックに深く影響を受けていることが伝わりますし、こうした幕開けはバンドにある種の洗練と風趣を与えています。そうしてこのイントロは、ANGRAの最高傑作であり最も人気のある曲のひとつである “Carry On” ではじけるまで、上昇気流を高めながら、ひたすら期待を煽ります。
そう、”Carry On”。Matos のクリスタルのような歌声と不自然なファルセット。ギターのファストで入り組んだ力強いリフと鳴り響く流麗なるストリングス。巧妙なベースソロと突拍子もない時代錯誤なシンセサイザー。そうした未曾有のコントラストこそが、ANGRAの証。高揚感のある力強いメタルと突拍子もないアイデアを、これほど見事にマリアージュさせた楽曲が他にあるでしょうか。そして訪れるクライマックス、ダイナミックな転調からの Matos の絶唱。
目眩く ANGRA 劇場の後、まるでブラジル人たちは一息ついているかのように、”Time” をゆるやかに始めます。冒頭のアコースティック・ギターのクラシカルでメロディアスなスタイル、Matos の外連見なく純粋な歌声、そして中盤に訪れるアルバム中最もエピカルなリフ・ワーク。彼らは20代にして、全盛期の GENESIS をメタルで再現する術を知っていました。続く “Stand Away” の早すぎたメタル・オペラも絶品。
クラシックからの巧みな引用もまた、”Angels Cry” を独特な作品に昇華していました。パガニーニによるカプリース24番を織り込んだタイトル曲は、絶え間ないリズム・チェンジと、あらゆるひねりに場面と発想の転換が見事に機能しています。一方で、ヴィヴァルディの冬を引用した “Evil Warning” では、よりドラマティックに、ロマンティックにスピードでリスナーの胸をしめつけることに成功しています。

また、”Never Understand” は、ブラジル音楽やカリビアンの影響を受けたアコースティックとベースの見事なコンビネーションから始まり、徐々に激しさを増していきます。この実験的な試みは、バンドが後に続く “Holy Land” で展開し結実することになりますが、圧巻なのはジャーマン・メタルが総力を上げて送るラストのギター・ソロ駅伝。
「”Holy Land” は一種のコンセプト・アルバムだから “Angels Cry” とはまったく違う。”Holy Land” が全体として良いのに対して、”Angels Cry” は個々の曲のレベルで良いんだよな。
もともとのコンセプトは “Holy Land” という曲から生まれたんだ。この曲は私がひとりで書いて、バンドに提示したんだよ。すると、バンド全体が同じような雰囲気になり、ブラジルのことや文化、人種、宗教の混ざり合いなどについて話すようになった。この曲から全体のコンセプトが生まれたんだ。”Holy Land” は、国そのものについてではなく、文化について、文化における人種の混ざり合いについて歌っているんだ」
そして何より、”Wuthering Heights” です。ケイト・ブッシュのカヴァーを男性の、しかもメタル・シンガーが歌うという、どう考えても突拍子もないアイデアをやり抜き名曲に仕立て上げる ANGRA の反骨心は、ここに極まります。ANGRA の楽曲と言われても違和感のないほどに、ここにある創造力は豊かです。
“Angels Cry” は、パワー・メタル、いや、RAGE や BLIND GUARDIAN のようなあの時代に “挑戦” を恐れなかったジャーマン・メタルの傑作として評価されてしかるべき作品で、同時に自分を心から信じ、やり抜くことの重要さを今でも伝えてくれます。
「できる限り成長し、ミュージシャンとしてもっともっと向上し、より高いプロフェッショナルなレベルに到達したい。ブラジルでプロのバンドになるのは難しい。ブラジルという国には、あまり可能性がないんだ。その一方で、私たちは多くの時間を外、特にヨーロッパで過ごした。このような外部市場を持つことはバンドにとって重要だ。さまざまな市場、さまざまな国で活動し、自分たちの好きな音楽をやっていきたい。それが私たちの最大の夢だ。レコード会社の意向を無視して、自分たちのやりたいことだけをやる必要はないよ。でもね、より多くのお金を稼ぐためだけに、反復的で退屈なものになりたくない」


“自分のやり方をつらぬけば 見つけられるだろう
未知なる才能が輝く道を
必要なのは君のプライド、それだけだ”
人生には意味がある…Andre Matos 死すとも、彼の美しき情熱の炎は消えず、こうして受け継がれていくのです。


参考文献: INTERVIEW WITH ANGRE MATOS

METAL MELT DOWN: INTERVIEW WITH ANDRE MATOS

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【KATATONIA : SKY VOID OF STARS】 JAPAN TOUR 24′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JONAS RENKSE OF KATATONIA !!

“I Don’t Really Mind The Different Tags People Put On Our Music. We Can Only Do The Music That Keeps Us Inspired And It Doesn’t Matter What Genre It’s Supposed To Be.”

DISC REVIEW “SKY VOID OF STARS”

「すべてのアルバムは新しい章であり、作曲やレコーディングをしている間は、そのアルバムが将来的にどんな意味を持つかなんて考えていない。僕らははただ “今” にいて、自分自身を凌駕しようとしている。作ったアルバムがディスコグラフィーの名作になるかどうかは、歴史が示してくれるだろうね」
KATATONIA、そして Jonas Renkse は、”時代” という言説をあまり信用していません。正直なところ、多くのバンドはそうではありません。そして、KATATONIA というアーティストは、自身をリスナーとは全く違った “今” というレンズで作品を見ています。
「僕らの音楽に付けられる様々なタグはあまり気にしていないんだ。僕らが生み出せるのはインスピレーションを維持できる音楽だけで、それがどんなジャンルであろうと関係ないんだからね」
ゴシック・ドゥームやデスメタルに生を受け、アトモスフェリックなダーク・メタル、ポスト系の音作り、アンビエント、フォーク、プログレッシブと、時に鋭く、時に溶け合いながら、万華鏡のごとくそのサウンドを変化させてきた KATATONIA。リスナーからすれば、アルバム間の区別、つまり “Brave Murder Day” と “Discouraged Ones”、”Last Fair Deal Gone Down” と “Viva Emptiness” 、”The Great Cold Distance” と “Night Is the New Day” 、さらにそこから “Dead End Kings” とのリリースを隔てる、ほとんど断崖絶壁のような決定的 “違い” は、何らかの意識的な決断が働いていると思わざるを得ません。しかし、Jonas はインタビューの中で、そうではなく、KATATONIA の各アルバムは明らかに、一つの芯となる同じ DNA を共有していることを明かしています。それは、彼らの象徴である鴉に宿る暗がりで、メランコリーで、憂鬱。ただし、そんな KATATONIA にも、皮肉なことに “時代” の風を受けた変化の兆しが現れています。
「音楽は常に苦しい現実からの慰めと逃避を提供してきた。そして今もそうだ。音楽という、苦難から乖離した聖域を作り出すことのできる力。その一部になれたことを、僕はうれしく思うよ」
パンデミックや大きな戦争、分断という未曾有の苦難は、KATATONIA の活動、そして Jonas の心にこれまで以上の暗い影を落としました。自分にできることは何なのか。Jonas がたどり着いた結論は、音楽で逃避場所という “サンクチュアリ” を作ること。
“Sky Void of Stars” で私たちは、間違いなくそれを聴くことができます。分厚いベース、轟くメランコリー、そして寂しげなギターはたしかに、今でも彼らのサウンドの大部分を占めています。しかし、”Opaline” が示唆するノスタルジックで、きらびやかで、重厚なシンセの虹空は、エモーショナルなコーラスと相まって、明らかに、苦境に立つリスナーへと寄り添う KATATONIA の新たなサンクチュアリでしょう。
もちろん、プログレッシブな “Austerity”、アンセミックな “Birds”、アトモスフェリックな “Sclera” は過去の残響。しかし、その残響にはすべて、”優しさ” という新たな魅力が加味されています。星のない空などを望む人はいないでしょう。エネルギッシュでありながら瞑想的な優しき名作。そう、KATATONIA は常に挑戦し、今を生きるメタル世界では稀有なるバンドなのです。また、アルバムを締めくくる、6/8の変幻自在なバラードが素晴らしい…
「Mikael Akerfeldt との “聴き合い” の儀式は今でもやっているよ。楽しい儀式だし、最近は集まってつるむための理由という意味の方が大きいかもしれないね。OPETH と KATATONIA は今でも多くの影響を共有しているけれど、ささやかで恵まれない始まりから間違いなく違う道を歩んできているよ」
そんな KATATONIA の初来日が遂に決定しました。”Better Late Than Never”。ボーカリスト Jonas Renkse の、OPETH の Mikael Akerfeldt との親交の深さ (“Brave Murder Day” のボーカルはほとんどが Mikael のもの) 、音楽性の近しさは有名な話ですが、それ以外にも、AYREON や Bruce Soord との WISDOM OF CROWD への参加など、彼の歌声に対するミュージシャンからの信頼は絶大なものがあります。Mr. エモーショナル。Jonas Renkse です。どうぞ!!

KATATONIA “SKY VOID OF STARS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BLIND EQUATION : DEATH AWAITS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BLIND EQUATION OF JAMES MCHENRY !!

“The Largest Influence On Our Music However Is The Touhou Soundtrack By ZUN. Especially Touhou 8 – Imperishable Night. Yume Nikki And It’s Fangames Have Also Been Largely Influential To Me For The Last Two Albums.”

DISC REVIEW “DEATH AWAITS”

「メタルのルールや境界線を破るためだけに音楽を書いているとは言わないけど、その境界線が自分の制作や作曲のプロセスに影響を与えることはないね。破壊が理にかなっていて、人々の期待を打ち砕くようなものであれば、僕はそれをとても楽しいことだと思うからね」
イリノイの BLIND EQUATION が牽引する “サイバー・グラインド” が一体何なのかよく分からなくても、”Death Awaits” を聴けばその狂気に衝撃を受けることは間違いありません。8bitのチップチューン、ユーロ・トランス、ブラックメタル、そしてグラインドが融合したこの混沌は純粋に、これまで世の中に存在しなかったもの。その音楽はまるでアートワークの彼岸花のように、甘く、切なく、美しく、そして危険です。
「僕らの音楽に最も大きな影響を与えているのは、ZUN による東方サウンド・トラックなんだ。特に東方8、”東方永夜抄 ~ Imperishable Night” だね。夢日記とそのファンゲームも、過去2枚のアルバムに大きな影響を与えているんだよ。ライティング・プロセスでよくプレイしていたからね」
8bit・エレクトロニクスとブラスト・ビートが時にアンセミックに、時にカタストロフィックに共鳴し爆発する彼らの音楽は当然、日本のゲーム・ミュージックに感化されています。ただしそれは、悪魔城ドラキュラや F-Zero、そしてファイナル・ファンタジーといった、海外のアーティストにとってある意味 “おなじみ” となったメジャー作品ではなく、よりアンダーグラウンドな、ZUN 氏が主催する同人サークル “上海アリス幻樂団” による東方Project でした。
「僕たちはみんな一緒に闘っているのだから、お互いに支え合うことが大切なんだよ。音楽や芸術は、ネガティブな感情から逃避するための素晴らしい方法だよね。それはたしかだよ。でも、それ以上に、そうした感情に対処し、癒すためにも使うことができる。音楽コミュニティで素晴らしい人々に出会えたことは、僕を人間として向上させ、単なる逃避以上のものになっているんだから!」
前作 “Life is Pain” “人生とは苦痛” と違って、”Death Awaits” は、現実世界の不安やネガティブな人生経験、対人関係の痛み、失われた信頼について吐き出しながらも、そこに一筋の希望を込めています。
サイバー・グラインドも東方Project も、言ってみれば日陰の中の日陰。メタルやゲームといった現実世界からの逃避場所の中でも、非常に深くて遠い逃避場所でしょう。しかし、だからこそ、BLIND EQUATION の首領 James McHenry は、その深く暗い場所へと逃げるだけではなく、負の感情に対処し、癒やされ、深淵から這い出ることも必要だと語ります。
“孤独なのは君だけじゃない”。そう、あのぼやけた彼岸花のごとく、”Death Awaits” に流れる黒とピンクの曖昧なコントラスト。それは、痛みと希望であり、破壊と協調であり、重さと美しさであり、危険と優しさの象徴です。
アップリフティングとダウナーで極端に二極化されたように思える BLIND EQUATION の音楽でさえ、その”叙事詩” はメタルのルールを破りながら一つとなり、無限の可能性を示してみせました。だからこそ、彼らのこの混沌とした音楽はこの混沌の時代に、孤独なリスナーの心に寄り添い、そっと手を差し伸べる権利があるのでしょう。
今回弊誌では、James McHenry にインタビューを行うことができました。「特に Camellia & Nanahira のアルバム “GO-IN!” は、クリエイティヴな面で僕に大きな影響を与え、BLIND EQUATION の曲作りにおけるジャンルの切り替えやより混沌とした部分の多くにインスピレーションを与えてくれたんだ」 ドラム、ボーカル、ショルキーのトリオ編成も最高!どうぞ!!

BLIND EQUATION “DEATH AWAITS” : 10/10

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