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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【QUEENSRŸCHE : THE VERDICT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MICHAEL “WHIP” WILTON OF QUEENSRŸCHE !!

“If We Were To Write Another Conceptual Album It Would Always Be Judged And Compared To The Original “Operation:Mindcrime” Album. Sequels Rarely Outshine The Original !!”

DISC REVIEW “THE VERDICT”

「QUEENSRŸCHE には37年の歴史があるんだ。だからね、どの時代にも大きなインパクトを与えられた、人生を変えてくれたっていう情熱溢れるファンがいる訳だよ。」
Chris DeGarmo も Geoff Tate もいない QUEENSRŸCHE に何を期待し求めるのか。
デジタルな叫びにプログレッシブの本能を込めた “Rage for Order”、メタル史に残るコンセプトアルバムの金字塔 “Operation: Mindcrime”、ラジオのエアプレイを支配した洗練の帝国 “Empire”、哲学と内省の楽園 “Promised Land”、そして時代の影を生き生きと描写した開拓地 “Hear In the Now Frontier” まで、2人の主役が牽引したレコードは全てが知性と冒険心でメタルの可能性を培養する妙想のシャーレだったのですから、その疑問はある種当然です。
DeGarmo が去り、齟齬を孕んだ Tate とバンドのアンバランスな営みが終焉を迎えた後、しかし QUEENSRŸCHE は Todd La Torre の輝かしき才能と原点回帰で長きアイデンティティークライシスを解消へと導きました。
「僕たちはどんなトレンドも追いかけたりはしないし、自分たちにとって正しいと感じる音楽だけを追求しようとしているんだ。」
おそらく、”女王の王国” を設立した Michiel Wilton の中には中途半端なトレンドの追求が不遇の時代招いたという想いがあるのでしょう。とは言え、過去にはトレンドを巧みに司って音の稜線を拡大していた時期もある訳で、この発言には近年の Tate の半端なセンスに対する鬱憤と後悔が透けて見えるようにも思えますね。
ただし、Geoff Tate がその歌唱力において唯一無二であったのは確かです。故に、バンドが完璧に QUEENSRŸCHE の声を代弁し余りある Todd を見出すことが出来たのはただただ行幸でした。
最新作のタイトル “The Verdict” とはすなわち “評決”。或いは、Todd 加入後の2作は “審議” 期間だったのかも知れませんね。つまり、この作品で現在の QUEENSRŸCHE に対する是非の判断が下されるのです。そしてきっと間違いなく、正義はここにありました。
もちろん、QUEENSRŸCHE という名前の裏に、張り巡らされた迷宮のような知性や背景を期待するならば現在の彼らには物足りない部分もあるでしょう。ただし、”The Verdict” にはそれを補って余りある瑞々しくも圧倒的エナジーと、研ぎ澄まされた充実の旋律美が存在するのです。
オープナー “Blood of the Levant” の重量感は、HATEBREED や BORN OF OSIRIS との仕事で名を上げた売れっ子プロデューサー ZEUSS との相乗効果でグルーヴの新風を吹き込みます。一方で、シンコペーションやハーモニーの美学はまさしく QUEENSRŸCHE の流儀で、結果として Michiel 言う所の 「バンド史上最もメタルかつプログレッシブな作品」を具現化しているようにも思えます。
あのビッグバンとも言える成功を経験した Michael と Eddie にとって、原点、QUEENSRŸCHE サウンドとは “Operation: Mindcrime” と “Empire” を指すはずです。実際、コンパクトに設計された作品には、当時の躍動感やロマンチシズムが明らかに戻って来ています。
ただ面白いことに、例えばエニグマティックな “Light-Years” を聴けば “Rage For Order” を、サイケデリックでシュールな “Inside Out” を聴けば “Promised Land” を、ボーカルエフェクトもグランジーな “Propaganda Fashion” を聴けば “Hear In the Now Frontier” を想起する “ライチアーミー” は多いはずで、つまり “The Verdict” には QUEENSRŸCHE が刻んだ長い旅路の集大成といった側面も確かに存在するのです。
アルバムは、「永遠に続くものは無い。ただ回転ドアのように入れ替わっていくんだ。」 とメンバーチェンジの悲喜交々を隠喩する “Dark Reverie” を境に Michael 語るところの “進化” の結晶を畳み掛けていきます。
それは、Todd の絶唱ハイトーンとシンセサウンドを活用したダークでドラマティックな世界。息つく暇もなく押し寄せる、劇的で静動、陰影濃くするダイナミズムの波は完璧なチームワークの賜物。名曲の目白押し。
そうして、評決の行方を見るまでもなくリスナーは、エレガントでアトモスフェリックな感情のポートレート “Portrait” に大きな喝采を送るのです。
オリジナルメンバーの一人であるドラマー Scott Rockenfield の不参加によりボーカルの Todd がドラムスも兼任していることは記して置くべきでしょう。ただし心配は無用。トレードマークのダブルチャイナ、ライドとハイハットの華麗な使い分けはまさしく Scott のそれですから。
今回弊誌では印象的なフックを刻み続ける Michael “Whip” Wilton にインタビューを行うことが出来ました。「もし今の QUEENSRŸCHE が気に入らないなら立ち去れば良いだけさ。」 どうぞ!!

QUEENSRŸCHE “THE VERDICT” : 10/10

INTERVIEW WITH MICHAEL “WHIP” WILTON

Q1: In Japan, Queensrÿche and Dream Theatre are the big two of Prog metal. So, we are really excited you two release fantastic new records at around same time! Of course, Queensrÿche have longer career than Dream Theater, but what mean they and their music to you?

【MICHAEL】: Queensryche and Dream Theater have toured together In the past. Their styles compliment each other with musical proficiency. We are fans of them and they are fans of us. Both bands have stood the test of time.

Q1: 日本では、QUEENSRŸCHE と DREAM THEATER がプログメタルの二神として崇められて来ました。その二大巨頭がほぼ時期を同じくして、どちらも素晴らしい作品をリリースしたのですからプログメタルファンも活気づいていますよ。
もちろん、QUEENSRŸCHE は DREAM THEATER より長いキャリアを誇りますが、彼らについてはどう思っていますか?

【MICHAEL】: QUEENSRŸCHE と DREAM THEATER は過去に共にツアーを行ったこともあるね。彼らは、音楽的な熟練度でお互いを補完し合うといったスタイルだね。
僕たちは彼らのファンで、彼らもまた僕たちのファンなんだ。そして何より、QUEENSRŸCHE も DREAM THEATER も長い時の試練に打ち勝って今もここに立っているんだからね。

Q2: Maybe, Prog metal has more than 35 years history, and you are definitely originator of the genre along with Fates Warning. Like Periphery, Animals As Leaders, so many “modern” Progmetal bands come into the scene. As an originator, what’s your perspective about the evolution of genre?

【MICHAEL】: Queensryche has a unique musical style that lends itself to many different genres. The progressive part of Queensryche comes from musical influences such as Yes, King Crimson and Pink Floyd. Though some of our music stretches the boundaries due to its melodic nature we find acceptance in styles of Metal and Hard Rock as well. That is why Queensryche has stayed true to its own style and still has fans from the early eighties as well as new to this day.

Q2: QUEENSRŸCHE は FATES WARNING と並んでプログメタルのオリジネーターだと思います。現在では例えば、PERIPHERY や ANIMALS AS LEADERS のように、モダンで細分化されたシーンには魅力的な新鋭も登場していますよね?
ジャンルの進化についてはパイオニアとしてどのような思いをお持ちですか?

【MICHAEL】: QUEENSRŸCHE は様々に異なるジャンルを由来とするユニークな音楽スタイルを持っているんだ。QUEENSRŸCHE のプログレッシブな部分は、例えば YES だったり、KING CRIMSON, PINK FLOYD といった影響に根差しているんだよ。
だけど、同時にメタルやハードロックを由来としたメロディックなスタイルも受け入れることにより、音楽的な境界線をより伸長させることになったんだ。
だからこそ、QUEENSRŸCHE は自らのスタイルに忠実で、今日でも80年代からのファン、そして新たなファンを保持していられるんだと思うな。

Q3: “The Verdict” is definitely your new masterpiece! This record has perfect balance between Metal and Prog, I think. How did you think about the balance when you were making “The Verdict”?

【MICHAEL】: This is a natural evolution for the band in its writing style. We don’t try to follow any trend we just right what we feel is right for us. I think there is definitely an excitement in the band and that reflects in its writing. We have always tried to make our songs interesting to play live and have depth for many a journey of pleasant listening.

Q3: 最新作 “The Verdict” は、仰るように QUEENSRŸCHE のスタイル、すなわちメタルとプログの素晴らしき婚姻をより完璧なバランスで祝う傑作となりました。

【MICHAEL】: この進化はバンドにとって実に自然なものだったね。僕たちはどんなトレンドも追いかけたりはしないし、自分たちにとって正しいと感じる音楽だけを追求しようとしているんだ。
バンドは今こそエキサイトしているし、その衝動が作曲にも投影されているね。QUEENSRŸCHE は楽曲を作るときにいつも心掛けていることがあってね。それは、ライブでプレイするときに面白いと感じて、多くのリスナーが旅のような楽しく深みのあるリスニング体験が出来るコンポジションなんだ。

Q4: Also, this record is diverse, full of energy and catchy melodies. So, compared with your past works, “Empire” is the closest record, I feel. Do you agree that?

【MICHAEL】: I would hope one would find links in the Queensryche discography as to a new edge that the band has now. With the DNA of Eddie and myself naturally it’s going to sound like old Queensryche. As with the others they have embraced the Queensryche way and style.

Q4: ハイエナジーとキャッチーなメロディーに満ちたカラフルなレコードは、過去の作品と比較するならば “Empire” に近いように感じました。

【MICHAEL】: バンドに現在備わっているエッジと同様に、過去の作品との繋がりを見つけてくれるのは嬉しいよ。だって、Eddie と僕の DNA は自然と過去の QUEENSRŸCHE サウンドへと向かうんだからね。
他のメンバーにしたって、QUEENSRŸCHE のやり方やスタイルをしっかり抱擁してくれているからね。

Q5: I was really surprised at Todd’s talent. His voice is of course, but also he played drums in this record! But, what made him play Scott’s part? And will he come back to the band someday soon?

【MICHAEL】: When we booked pre-production we were notified that Scott could not be a part of the recording and he gave his blessing to who ever was hired to record the drums. Todd was a natural stepping-stone to fulfill the part. The drums were written parts that reflect the past drumming of Queensryche style. As to the return of Scott your guess is as good as mine. His hiatus from the band is his decision and we value his privacy.

Q5: ボーカルの素晴らしさはもちろん、ドラムまでプレイしている Todd の才能は素晴らしいですね!もちろん、Scott の不参加は寂しいですが…近々復帰出来そうですか?

【MICHAEL】: プリプロダクションの予約をした時に、Scott はレコーディングに参加出来ないとわかったんだ。そして、彼も誰か他のドラマーを雇ってレコーディングを進めることに賛成していたんだよ。そして Todd は Scott の穴を埋める自然な選択肢だったんだ。このアルバムのドラムパートは、過去の QUEENSRŸCHE のドラミングスタイルを反映して書かれたんだよ。
Scott の復帰に関してだけど、君が近々と言ったけど僕もそうなれば良いと思っているよ。彼のバンド活動休止は彼の決断で、僕たちは彼のプライバシーを尊重しているんだ。

Q6: Producer, ZEUSS seems to become indispensable for Queensrÿche now, right? I think most of his works are Metalcore, Hardcore, and Modern metal. Do you think he brings modern blood, flesh sound to the band?

【MICHAEL】: Zeus is the conduit that puts it all together who organizes everything and makes the final call on scheduling, recording, mixing and mastering. He works great with us and knows how to pull the best performances from us. He has sharp ears and knows the Queensryche back catalog so he knows how the band should sound. The song writing feels fresh because of the combination of creativity that is present in this version of Queensryche.

Q6: プロデューサー ZEUSS はもはやバンドにとって不可欠な存在と言えそうですね?
どちらかと言えば、彼はメタルコアやモダンなメタルを多く手掛けて来たイメージがありますが、彼が QUEENSRŸCHE のサウンドをアップデートしている側面はあるのでしょうか?

【MICHAEL】: ZEUSS は全てをオーガナイズし取りまとめる導管のような役割なんだよ。スケジュール、レコーディング、ミキシング、マスタリングの最終的な決断を握りながらね。
彼は僕たちととても上手くやっていて、僕たちからベストなパフォーマンスを引き出す術を知っているんだよ。彼の耳はとても研ぎ澄まされていて、QUEENSRŸCHE の過去の作品も網羅している。だからバンドがあるべきサウンドも理解しているんだ。
ソングライティングが新鮮に感じられるのは、QUEENSRŸCHE の今のラインナップにおける創造性のコンビネーションによるものだろうね。

Q7: “Conceptual album” is kind of a synonym for Queensrÿche. After Todd came in, you took your signature sound back, but maybe there is no huge, conceptual epic, right? Do you want to make “Operation: Mindcrime” style record someday again?

【MICHAEL】: I cannot predict the future of songwriting but that trend has had its day with Queensryche. If we were to write another conceptual album it would always be judged and compared to the original Operation:Mindcrime album. Sequels rarely outshine the original!!!

Q7: コンセプトアルバムと言えば、過去には QUEENSRŸCHE の代名詞的な時期もありました。
Todd の加入以来、バンドのシグネチャーサウンドは復活しましたが、”Operation: Mindcrime” スタイルのエピックは制作されていませんよね?

【MICHAEL】: 僕たちのソングライティングについて将来の予想をすることは出来ないね。だけど、コンセプトアルバムのスタイルは当時の QUEENSRŸCHE にとってトレンドだった訳だよ。
もし僕たちが将来的にまたコンセプトアルバムを作るとしたら、必ずあのオリジナルの “Operation: Mindcrime” と比較され判断されるはずだよ。まあ続編がオリジナルより輝くことも稀にはあるんだけどね!!!(けどめったにないんだよ!!!)

Q8: You have very long history. That’s why, some old fans keep saying like “There is no Geoff Tate, where is Chris DeGarmo”. But most of fans bring in a “verdict” of not guilty, current line-up of Queensrÿche is justice in this record, haha. What do you think of the fans who still miss the past?

【MICHAEL】: Well Queensryche has had 37 years of recordings so you will always have passionate fans that like a certain decade that made a big impact on there lives. If you don’t like this version of Queensryche then just move on. We are doing just fine and have an army of loyal fans old and new that we have the privilege to tour the world for. We also are playing new places around the world and are signed to a major record label that puts out relevant recordings. In fact we just debuted in the German charts #6, which is the highest debut in Queensryche history. I say life is short celebrate the music and check out a Queensryche show.

Q8: QUEENSRŸCHE は非常に長い歴史を持つバンドです。故に、「Geoff Tate はもういないじゃないか、Chris DeGarmo はどこ?」などと発言するオールドファンも存在します。
“The Verdict” の素晴らしさはそういったファンに現在の QUEENSRŸCHE の正当性を提示する “評決” にも思えます。

【MICHAEL】: そうだね。QUEENSRŸCHE には37年の歴史があるんだ。だからね、どの時代にも大きなインパクトを与えられた、人生を変えてくれたっていう情熱溢れるファンがいる訳だよ。
もし今の QUEENSRŸCHE が気に入らないなら立ち去れば良いだけさ。僕たちは快調だし、忠実なオールドファンから新たなファンを抱えて世界中をツアー出来る。さらに言えば、新たな場所でもどんどんプレイしているし、メジャーレーベルと契約してレコーディング環境にも恵まれているんだ。
実際、”The Verdict” はドイツのチャートで初登場6位だった。これは QUEENSRŸCHE の歴史においても最高のものだよ。つまり何が言いたいかって、人生は短いんだ、素敵な音楽を享受して、QUEENSRŸCHE のショウに来て欲しいね。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED MICHAEL’S LIFE

JIMI HENDRIX “ELECTRIC LADYLAND”

THE BEATLES “MAGICAL MYSTERY TOUR”

LED ZEPPELIN “HOUSES OF THE HOLY”

AL DI MEOLA “ELEGANT GYPSY”

VAN HALEN “VAN HALEN”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you for supporting and believing in Queensryche. We hope to see you soon!!!

QUEENSRŸCHE を信じ、サポートし続けてくれてありがとう。すぐに会えると良いね!!!

MICHAEL “WHIP” WILTON

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NEW DISC REVIEW + MORGAN AGREN INTERVIEW 【DEVIN TOWNSEND : EMPATH】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MORGAN ÅGREN FROM DEVIN TOWNSEND !!

“It’s Funny Cause I Got An Email From Devin When He Asked Me ”Can You Play Quietly?” ”I Want Spooky Country Drums With Low Volume”

DISC REVIEW “EMPATH”

「”Empath” とはまさに Devin そのものだから、彼の心に従い、彼が本心から望むようにプレイしたんだ。彼はこのアルバムで遂に完全なる自由を手に入れたね。」
カナダのサウンドウィザード Devin Townsend が最も信頼を置くアーティストの一人、Morgan Ågren は確信を持ってそう答えました。
DEVIN TOWNSEND PROJECT の最終作となった “Transcendence” は、以前より大幅にメンバーのインプットを盛り込み、バーサタイルに探究を重ねたグループの長き旅路を集約する名品でした。
ただし、”集大成” とはすなわち “繰り返し” へと、”メンバーの固定化” とはすなわち “マンネリズム” へと繋がる危険をも孕みます。Devin Townsend の溢れる∞の創造性は、予測可能な全てを一度リセットし、演奏者も音像も自在に選択する絶対的に自由な翼を欲したのです。
「現在の Devin Townsend が持つ音楽的な興味全てが、一つの場所へ収まったとしたらどうなるだろうか?」
フォーク、シンフォニック、ポップ、プログ、ファンク、ブラックメタル、ジャズ、ニューウェーブ、アメリカーナ、ワールドミュージック、そして EDM。Devin の中に巣食うマルチディメンショナルな音楽世界を一切の制限なく投影したレコードこそ “Empath” です。そして “エンパス” “感情を読み取る者” のタイトルが意味する通り、Devin がアルバムに封じた万華鏡のエモーションを紐解くべきはリスナーでしょう。
オーディエンスがエンパスなら、もちろん、アルバムに集結したアーティストも Devin の百花繚乱な感情を読み取るエンパスです。
Mike Keneally をミュージックディレクターに、Morgan Ågren, Samus Paulicelli (DECREPIT BIRTH), Anup Sastry (ex-MONUMENTS) と三者三様の技巧派ドラマーを揃え、さらに Steve Vai, Anneke van Giersbergen (VUUR), Ché Aimee Dorval, Chad Kroeger (NICKELBACK) など錚々たる顔ぶれが翼となり、Devin が今回提唱する “ヘヴィーな音楽でも多様になり得る” の精神を実現していきます。
“Castaway” に広がる海の景色、ジャジーなギター、そして荘厳な女声コーラスは歴史的プログエピックへの完璧なエントランス。そうして幕を開ける “Genesis” はアルバムの全貌を伝える “Empath” の小宇宙でしょう。
神々しいほどにエセリアルで、毒々しいほどにアグレッシブ。シンフォニーとエレクトロ、オペラとスクリーム、ディスコビートとブラストビート、アンビエントとエクストリーム。一見相反するようにも思える何色もの絵の具は、幾重にも重なり奇跡のダイナミズムを描きながらプログメタルのキャンバスを彩り、時には逸脱していきます。その瑞々しきカオスは “創世記” の名に相応しい “Hevy Devy” 新時代の到来を確かに告げています。
レコードが進むに連れて、リスナーは「最初はどこに向かうのか、この作品が何なのかさえ分からなかった。」と語る Devin が見出した “意図” を感じるはずです。
“Spirits Will Collide” を聴けば “Z²-Sky Blue” よりもポップなアルバムを、”Sprite” を聴けば “Infinity” よりもスピリチュアルなアルバムを、”Hear Me” を聴けば SYL の “Alien” よりもヘヴィーなアルバムを、そして “Why?” を聴けば “Ghost” よりも優美なアルバムを巨匠が目指していたことを。DEVIN TOWNSEND PROJECT という枠組みから解放された鬼才は、そうして様々な領域で “限界突破” を実現して “プログレッシブ” の定義すら軽々と破壊していくのです。
「確かに Zappa コネクションがこの作品には生きているね。Keneally, Steve, Devin。ただし、Devin はそこまで Zappa の音楽に入れ込んだことはないんだけどね。」
11分の “Borderlands”、そして23分の “Singularity” で Devin は “現代の Frank Zappa” の地位を揺るぎのないものにしたのかも知れませんね。穏やかに、残酷に、しなやかに、カラフルに、哲学的に、何より冒険的に。ほとんど忘れ去られて苦境の最中にある “芸術” を救い、リスナーに “エンパシー” を喚起する Devin のやり方は、無限の想像力と比類無き多様性でした。
今回弊誌では、Frank Zappa、そして盲目の天才ピアニスト Mats Öberg とのデュオ Mats/Morgan でもお馴染み Morgan Ågren にインタビューを行うことが出来ました。「Fredrik は遂に新作へと着手しているよ。実は、僕は彼のその作品のためにすでに沢山のマテリアルをレコーディングしているんだ。」MESHUGGAH の心臓も遂に動き出したようです。どうぞ!!

DEVIN TOWNSEND “EMPATH” : ∞/10

THE STORY BEHIND “EMPATH”

ヘヴィーミュージックの世界では、アーティストが非常に狭い、限定された箱の中へと押し込められる傾向にあるね。音楽業界だって、カテゴライズや販売戦略のためにアーティストに特定のジャンルへ留まることを要求する。つまり、メタルの背景を持っているミュージシャンがジャンルの外に出て注目を集めるのは不可能に近いんだ。
じゃあ、広いパレットの中で”色”としてジャンルを使用しているアーティストはどうするの?ジャンルを遥かに超えた知識と経験を持つアーティストは?
それにメタルが恥ずべき音楽じゃなく、尊敬に値すると考えているアーティストは?
見世物ではなく、多様性によってあらゆる音楽的感情を表現したいなら、追求するべきでしょう。
“Empath” の真の意味はリスナーに様々な音楽的感情、体験を感じさせることにあるね。そうして、彼らに人生を美しく、挑戦的にする全てに恐れず参加して欲しいと伝えたいんだよ。
どのセクションもリスナーに”歓迎”されるよう心がけ、感情のジェットコースターとしてサウンドスケープをより効果的に繋げていったね。そうして、願わくば他のミュージシャンがこの方法にインスパイアされればと思うようになったんだ。
アルバムは、喜びと人々の助けになりたいという思いに根ざしている。楽曲に多様性を持たせたのは、”Empath” “共感”が弱さと捉えられてきた歴史の中で、人生を様々な観点から見る必要性を表現したかったから。僕にとっても長い間狭い場所に閉じ込められていた創造性を解き放ち、恐怖から脱却するためのやり方だったね。多様性が増す時代において、他人の気持ちになって物事を見ることは他者を理解する上で欠かせないプロセスさ。
そうして “Empath” という不可能を可能にしたんだよ。

INTERVIEW WITH MORGAN ÅGREN

Q1: Hi, Morgan! First of all, how is Mats’s ear-fix. Actually, I was really shocked when I heard his bad health condition…

【MORGAN】: Thanks for asking. Ears are so complex. It seems like it is easier to do a heart transplantation than fixing someones ears obviously. Our trip to the USA was very good though. We met some of the worlds most skilled ear experts and we are still waiting for some hearing aids that they will custom make for Mats.
He will get these in a few weeks. One in ear device to use when playing live, and then another one for daily use. We spend a couple of days in Florida in September 2018 with them where they tried to help Mats by doing lots of tests etc. Mats situation is little little bit better now. It was really a nightmare early 2017…

Q1: Mats が聴力を失いそうだというニュースには、日本のファンも心を痛めています。聴力を回復させるプログラムは上手くいっていますか?

【MORGAN】: 気にかけてくれてありがとう。聴力とはとても複雑なものなんだ。おそらく、心臓移植よりも聴力を完全に回復させるほうが難しいだろうね。だけど僕と Mats のアメリカへの治療旅行はとても良いものとなったね。僕たちは世界でも名だたる聴力の専門医たちに会って、今は Mats のために制作されているカスタムメイドのイヤーエイドが完成するのを待っているところなんだ。
あと数週間で届くだろうね。イヤーディバイスの一つはライブで使用するため、もう一つは日常で使用するためのものなんだ。昨年の9月に数日フロリダで過ごして、Mats のためにいろいろと耳のテストをしたんだよ。そうして徐々にではあるけれど、Mats の状態は改善していっているね。2017年の始め頃は本当に悪夢のようだったからね…。

Q2: So, Mats/Morgan’s latest record is “Schack Tati” in 2014. Is there any plan of making new record? If there was a plan, what kind of record it would be?

【MORGAN】: There is no plans for a new Mats/Morgan CD at the very moment. But we did a lot of things at end of 2016 which was also the year when we celebrated our 35th anniversary. We did a project with a symphony orchestra, which was released as a DVD+CD+CD titled Mats/Morgan Live with Norrlandsoperan Symphony Orchestra. We also did some 35th anniversary concert in 2016, some of those was recorded, even video filmed, so these needs to be released sometime! And we released a double best of CD that we called 35t Anniversary Collection.
But we have been taking a break since these projects that we did end of 2016 cause of Mats ear problems.
We WILL for sure come back with new music at some point. I have been doing a lot of other projects lately as well..

Q2: 現時点で Mats/Morgan の最新作は、2014年の “Schack Tati” です。新たな作品を期待しても良いのでしょうか?

【MORGAN】: 現時点では、Mats/Morgan の新作の予定はないんだ。だけど、結成35年を祝う年となった2016年の終わりにいろいろとやっていたんだよ。
シンフォーニーオーケストラとのプロジェクトは、”Mats/Morgan Live with Norrlandsoperan Symphony Orchestra” としてリリースされたね。それに35周年アニバーサリーライブもいくつか行ったんだ。その様子は録音、録画されているから、いつかリリースする必要があるね!後は、2枚組のベストアルバム “35th Anniversary Collection” もリリースしたよ。
だけど、2016年の終わりから Mats の耳の問題が深刻化したから、Mats/Morgan は休止を余儀なくされているんだ。ただ、絶対に新たな音楽を携えてカムバックするよ!最近、僕個人は沢山の別プロジェクトを抱えているんだ。

Q3: Last year, you were invited to play with Magma for their new record, right? What was the experience for you?

【MORGAN】: Yes, it was quite unreal. Nobody really gets a invitation to play with Magma, especially not a drummer.
But I got this invite yes, and it is a big honor off course. I have a lot of respect for Christian and Magma, a very unique band for sure.
I have spent time with Magma when we played the same festivals and such during the past. And in 2015 we opened up for Magma in Sweden and Norway, me and Mats just as a duo. And I got asked to record ZESS because Christian is singing on this piece called ZESS, and they wanted to record this live, all together, thats why I got the request. And in June I will in fact perform ZESS w. Magma live in Paris, in this Pierre Boulez concert hall. Looking forward to that.They are also very nice people.

Q3: 別プロジェクトと言えば、昨年あなたは MAGMA に招かれてプレイしましたよね?

【MORGAN】: うん。本当に非現実的だったよ。特に、ドラマーが MAGMA に招待されてプレイするなんてことは前代未聞だからね。
もちろん、謹んでお受けしたしとても光栄だったよ。Christian と Magma には大きな敬意を持っているからね。間違いなく実にユニークなバンドさ。
MAGMA とは過去に同じフェスティバルで過ごしたことがあったんだ。それに2015年にはスウェーデンとノルウェーで彼らのオープニングを務めたんだ。僕と Mats だけのデュオでね。
未完の大曲 “Zess” をレコーディングして欲しいと頼まれたんだ。6月には “Zess” を MAGMA とパリのコンサートホールで録音するよ。とても楽しみだね。ステキな人たちだから。

Q4: So, Devin Townsend’s new record “Empath” is really well accepted! I know you two have collaborated in “Morgan Ågren’s Conundrum” and “Causalities of Cool”. But what was the starting point of you two’s collaboration?

【MORGAN】: It’s funny cause I got an email from Devin when he asked me ”can you play quietly?” ”I want spooky country drums with low volume” – end quote.
So I said ”I can try” so I started to record songs for Casualties of Cool, and we did some live gigs with that project too. And we kept contact after that, did jams in my studio and such. Devin also plays on a track on my solo album Batterie Deluxe. And when it was time for Empath, same thing there, recorded a lot for him in my studio, but I also traveled to Wales outside London to record more tracks there for Empath. And maybe I will end up doing the Empath tour in November/December 2019, we will see! Devin is a great guy!!

Q4: あなたが参加している、Devin Townsend の新作 “Empath” は大好評ですね!
彼とは過去に CASUALITIES OF COOL などで共演を果たして来ましたが、コラボレーションの出発点についてお話ししていただけますか?

【MORGAN】: 面白い話があるんだ。僕は Devin から、「君は静かにドラムをプレイ出来る?」ってメールを受け取ったんだよ。彼は幽玄でボリュームを抑えたカントリードラムを求めていたんだ。
だからやってみるよと答えて、CASUALITIES OF COOL のレコーディングが始まったんだ。あのプロジェクトでは何度かライブもやったね。それからずっと、Devin とはコンタクトを取り続けていて、僕のスタジオでジャムったりもしていたんだ。それに Devin は僕のソロアルバム “Batterie Deluxe” でもプレイしてくれたね。
それで、”Empath” を作る段階になって、また同じように僕のスタジオで彼のために沢山プレイした訳さ。同時に英国のウェールズにも出向いて何曲か録音したね。そうして、おそらく今年の11/12月には “Empath” のツアーに帯同することになるだろうね!まあ、とにかく Devin Townsend は偉大な男だよ!

Q5: How did you grasp the world view of “Empath” and how did you draw it with your drum playing?

【MORGAN】: To me it is just Devin following his heart, doing something he really wants. He had total freedom doing this album.
And for me, I just played drums in a way that I thought were right for this music. It was a really nice experience.
Lot’s of nice and skilled people have been involved. I got to meet Mike Keneally again too on this session.
I haven’t seen him in 15 years. We did a lot of Zappa projects together in the US.

Q5: あなたは “Empath” というアルバムのムードをどの様に捉え、解釈しましたか?

【MORGAN】: 僕にとって、”Empath” とはまさに Devin そのものだから、彼の心に従い、彼が本心から望むようにプレイしたんだ。彼はこのアルバムで遂に完全なる自由を手に入れたね。
だから、僕はこの音楽にとって正しいと思えるようにドラムを叩いただけなんだ。素晴らしい経験だったね。それにこの作品には、素敵で技術を持った多くの人が関わっている。
このセッションで再び Mike Keneally に会うことが出来たのも収穫さ。彼とは実に15年も会っていなかった。昔彼とは Zappa Project をアメリカでよく一緒にやったからね。

Q6: Devin appeared as Steve Vai’s voice. And of course, Steve and you played with Frank Zappa. Also, I remember “Zappa’s Universe”. I mean, definitely there is a legacy or bloodline in “Empath”, do you agree that?

【MORGAN】: Yes, the Zappa connection is there through Keneally, and with Devin through Vai, although Devin was never into Zappa very much.
He has the respect off course, be he never entered the world of Zappa’s music very much.

Q6: Zappa と言えば、Devin を見出したのは Zappa が見出した Steve Vai でしたし、そしてあなたと Mike Keneally。”Empath” には Zeppa の系譜が紡がれているようにも思えます。

【MORGAN】: うん、確かに Zappa コネクションがこの作品には生きているね。Keneally, Steve, Devin。ただし、Devin はそこまで Zappa の音楽に入れ込んだことはないんだけどね。
もちろん、彼も敬意は持っているんだけど、ただ Zappa の音楽世界に入り込んだことはないみたいなんだ。

Q7: In “Empath”, Samus Paulicelli and Anup Sastry also played drums. It seems sometimes you three played in the same songs, but how did you share drum parts and songs?

【MORGAN】: Devin gave us the sections that he thought would be best for all of us, since we play different styles. Sometime those sections were inside one song, so you would hear me for 90 seconds, Samus for 80 seconds, and Anup for 75 seconds or something like that.

Q7: “Empath” では、あなたの他にも Samus Paulicelli と Anup Sastry がドラムをプレイしています。時には同じ楽曲の中で、3人が起用されていたりしますよね?

【MORGAN】: Devin は彼が僕たち全員にとってベストだと思ったパートを割り振ったんだ。というのも、3人はかなり異なるスタイルを持っているからね。
だから時には同じ楽曲の中でもセクション毎に違うドラマーがプレイしていたりするんだ。例えば、僕が90秒、Samus が80秒、Anup が75秒といった感じにね。

Q8: “Sol Niger Within”of Fredrik Thordendal’s Special Defects was released in 1997, but still has lot’s of frenetic fans. Looking back now, what’s the record to you? And Fredrik seems to making new solo record. Are you involved in his new journey?

【MORGAN】: Yes, this album reach crazy many people. Tosin Abasi of Animals As Leaders told me that this record almost started a musical genre..
This thing called ”Djent”. I wasn’t even aware of that. I knew that many people loved the CD but I didn’t know it started something. I know that people in TOOL, Metallica, Rush etc have mentioned this album as a favorite underground album of some kind. It’s great!
Fredrik is working on a new album finally, and I have recorded tons of stuff for him there too, mainly improvised parts.

Q8: あなたも参加し1997年にリリースされた Fredrik Thordendal’s Special Defects の “Sol Niger Within” は今でも熱心なファンを生んでいます。Fredrik は現在ソロアルバムを制作中の様ですが…?

【MORGAN】: うん、あのアルバムは驚くほど多くの人にリーチしているよね。Tosin Abasi は僕に、このレコードこそほとんどジャンルの始まりだったと言えるなんて話していたけどね。
そのジャンルは “Djent”。僕は Djent に気づいてすらいなかったんだ。多くの人があの CD を愛していることは知っていたんだけど、何かの出発点となっていたなんて知らなかったんだよ。それに、TOOL, METALLICA, RUSH といったビッグバンドのメンバーさえ、大好きなアンダーグラウンドアルバムだと言っているんだからね。素晴らしいよ!
そして、うん、Fredrik は遂に新作へと着手しているよ。実は、僕は彼のその作品のためにすでに沢山のマテリアルをレコーディングしているんだ。主にインプロビゼーションのパートだよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED MORGAN’S LIFE

ALLAN HOLDSWORTH “ROAD GAMES”

Heard this album when I was around 15 years old, and this music changed my life. I just loved all of it, the chords, the melodies, the playing all of it.

RETURN TO FOREVER “ROMANTIC WARRIOR”

U.K. “U.K.”

BRUFORD “ONE OF A KIND”

FRANK ZAPPA “IN NEW YORK”

All these albums talked to me so hard. It was like a place where I wanted to be, spiritually speaking in a way. I am very grateful that I found all this music so early too..

MESSAGE FOR JAPAN

Well, I hope to be back. I am always in contact with Akiko at Disk Union (who released my solo album Batterie Deluxe).
I have some plans for Japan, new releases, gigs etc. I love to play there. First time I played in Japan was with Glenn Hughes (of Deep Purple).Toured Japan with him in 1996.

日本に戻りたいよ。ソロアルバムをリリースしてくれた Disk Union の Akiko とはずっとコンタクトを取っているんだ。
だから、日本に向けたプランはいくつか存在するよ。新作やライブなんかのね。日本でプレイするのは大好きなんだ。最初に行ったのは、1996年、Glenn Hughes とだったね。

MORGAN ÅGREN

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INSIDE OUT MUSIC

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【POLARIS : THE MORTAL COIL】JAPAN TOUR 2019 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH RICK SCHNEIDER OF POLARIS !!

“I Feel Like Contrast Is Very Understated In Heavy Music, But I Consider It One Of The Most Important Things When Approaching Songwriting. “

DISC REVIEW “THE MORTAL COIL”

北天に広がるこぐま座の中でも一際輝く綺羅星一つ。旅人を導く北極星の名は、図らずも南半球オーストラリアのブライテストホープ POLARIS に冠せられ、メタルコアの船影を照らしながら地平の彼方へ誘います。
満点の星空のごとく新鋭がひしめくメタルコアシーンにおいて、リスナーに発見、観測されることは決して容易ではありません。EMMURE が Nu-Metal を組み込み、ISSUES が R&B を配合しジャンルの実験を加速させるのも、そうした背景が一因としてあるのかも知れませんね。
故に メロディックメタルコアとプログレッシブメタルコアをハイブリッドさせた、ある種王道のサウンドでしかし世界中から注目を浴びる子の星の瞬きは、南半球から鮮やかな光芒を放っているのです。
「PARKWAY DRIVE は僕たち全員にとって最も重要なバンドだったと思うんだ。」同郷オーストラリア出身の先駆者は確かな指針となりました。
同時に、POLARIS の羅針盤は ARCHITECTS, UNDEROATH, AUGUST BURNS RED, BRING ME THE HORIZON といった巨人たちの方角をも指し示し、王者の遺伝子をしっかりとその身に受け継いでいるのです。
「ヘヴィーな音楽において、コントラストは非常に軽視されていると思うんだ。だけど僕はソングライティングのアプローチにおいて、最も重要な要素の1つだと考えているよ。」
音楽面における POLARIS の頭脳 Rick Schneider は北極星の輝きが仄暗く重厚な宇宙空間の存在によることを心得ています。そして斬新さを無闇に追い求めるのではなく、ソングライティングのビジョンとクオリティーで麻薬のような中毒性を注入するバンドの方針は、ブレイクダウンに頼ることなく、ビッグでソフィスティケートされたデュアルギターとフック満載のボーカルラインを陰影にキッズの感受性へと直接訴えかけるのです。
“The Remedy” で見せるアグレッションとメインストリームのせめぎ合い、”Relapse” で誇示する AUGUST BURNS RED 譲りの爽快なハイテクニック、”Consume” に宿る LAMB OF GOD や MESHUGGAH といった骨太な先達への敬意、ポストロックのイメージさえ内包する叙情の極み “In Somnus Veritas”~”Dusk to Day”、そして TesseracT の哲学に接近した “Sonder”。
しっかりとメタルコアのカタルシスを宿しながら、起伏と工夫を施しバラエティーに富んだ星座の煌きは、眺めるものを決して飽きさせることはありません。
沸騰するオーストラリアのメタル/プログシーン。中でも活性化の一途を辿るメタルコア/デスコアコミュニティーにおいて、”The Mortal Coil” のデビュー作としての光度は、例えば PARKWAY DRIVE の “Killing With a Smile”, THE AMITY AFFLICTION の “Severed Ties” もしくは NORTHLANE の “Discoveries” にも比肩するはずです。
そうして恒星 POLARISは、きっとその光彩を増しながらモダンメタルコアの未来を照らすクリエイティブな軌道を進んでいくでしょう。
今回弊誌では Rick Schneider にインタビューを行うことが出来ました。初の来日公演も決定!「メタルコアというジャンルは常に進化し続けていると思うし、どんどん異なるスタイルやジャンルを組み合わせていっているよ。」どうぞ!!

POLARIS “THE MORTAL COIL” : 9.9/10

INTERVIEW WITH RICK SCHNEIDER

Q1: This is the first interview with you. So, at first, could you tell us about yourself and your band? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【RICK】: I grew up listening to a few different genres, but in my early teen years I began getting into metal/metalcore by hearing bands like Bullet for my Valentine and Avenged Sevenfold. I slowly moved to listening to heavier bands like August Burns Red and our hometown heroes Parkway Drive. I guess it was this transition into heavier listening that made me want to start playing in a metalcore band. Attending a show became one of the things I looked forward to most, and I actually met Daniel and Jake at a local show only about 10 minutes from my house.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【RICK】: 僕はいくつかの異なるジャンルを聴いて育ったんだ。ただ、BULLET FOR MY VALENTINE, AVENGED SEVENFOLD といったバンドを聴いて、10代の初め頃からメタル/メタルコアにのめり込むようになったんだよ。
それから徐々に、AUGUST BURNS RED や僕らのホームタウンヒーロー PARKWAY DRIVE といったもっとヘヴィーなバンドへと移っていったね。そういったヘヴィーなバンドを聴いているうちに、自分もメタルコアバンドでプレイしたいと思うようになったんだ。
当時は、ライブに行くことが最も楽しみになっていたね。実際、Daniel と Jake と会ったのは僕の家から歩いて10分のライブハウスだったんだ。

Q2: It seems the history of Polaris started from high school, right? How did the band come to be?

【RICK】: That’s right! As I said above I met Daniel and Jake at a local show, though they had conceptually started the band years before that. Both of them had gone through high school and had many different members trying to form a full lineup, but nobody stuck around in the long term. We met each other in 2011 and by mid 2012 we had a full lineup with Jamie, Jake’s brother Matt on bass (Jake was playing guitar at the time) and at the time a synth player named James. Over the next 12 months we released a single and the members shuffled around a lot, ending up with no synth player and Ryan on guitar with Jake moving to bass. Since then we’ve remained the exact same!

Q2: POLARIS の始まりは高校時代に遡るようですね?

【RICK】: その通り!さっきも言ったように、Daniel と Jake とはローカルショウで出会ったんだけど、彼らはその一年前からバンドのコンセプトを固め始めていたんだ。2人は高校生活を通して沢山のメンバーを試したんだけど、結局長期的には誰もハマらなかったんだよ。
僕たちは2011年に出会ったんだけど、2012年の中頃までには Jamie と Jake の兄弟 Matt をベーシストに (当時 Jake はギターを弾いていたからね)、さらにシンセプレイヤーに James を加えてフルラインナップを完成させていたんだ。
それから12ヶ月でシングルをリリースし、メンバーを何度もシャッフルして、最終的にシンセプレイヤーなしで、僕と Ryan がギター、Jake がベースに落ち着いたのさ。それからは全く同じラインナップだよ!

Q3: Basically, Polaris isn’t able to be seen in Australia. But what made you choose the star for your band name?

【RICK】: Getting a band name was a very difficult process, and we went through hundreds of potential names before finally landing on the name Polaris. It was Daniel that suggested it, and it was the first name that everyone didn’t immediately shut down. After a few days we decided to stick with it, knowing it would be near impossible to find something else that we could all agree on.

Q3: バンド名となった “Polaris” 北極星は基本的にあなたの故郷オーストラリアで見ることは出来ないですよね?

【RICK】: バンド名の決定は非常に難しいプロセスだったね。最終的に POLARIS に決まるまで、僕たちは何百も候補を出したんだ。Daniel が POLARIS を提案したんだけど、この名前はメンバーの誰も即座に否定しなかったんだ。
何日かして僕たちはこの名前を選んだんだ。他に全員が納得する名前を挙げるのは不可能に近いと分かったからね。

Q4: You are Australian, so touring with Parkway Drive seemed to be big event for you, right? Also, touring with Architects brought you next stage, Do you agree that?

【RICK】: I think Parkway Drive was one of the most important bands to all of us growing up, as I said they’re one of the bands that personally contributed to me wanting to be in a metalcore band. To be able to tour with them let alone on their Horizons anniversary tour was something that made us all feel very grateful and fortunate for the opportunities we’ve been given. It was our best support tour that we have done in Australia without a doubt, and when we went to America with them it was arguably even more amazing. Architects in Europe/UK was another thing entirely – the venues and arenas we played were gigantic, and we’ll be lucky if we can every play in them again. It’s a dream to be playing your music in front of thousands of people, and while we’re at the stage where we can headline shows in Australia and play to many, Architects gave us a much bigger taste when they brought us over to Europe.

Q4: オーストラリア出身の POLARIS にとって PARKWAY DRIVE とのツアーはビッグイベントでしたよね?
さらに ARCHITECTS とのツアーで完全にビッグバンドの仲間入りを果たした印象です。

【RICK】: PARKWAY DRIVE は僕たち全員にとって最も重要なバンドだったと思うんだ。さっきも言ったように、僕にとってはメタルコアバンドを始めるきっかけにもなった訳だからね。だから彼らのツアー、ましてや “Horizons” 10周年のアニバーサリーに帯同出来たのは、本当に感謝しているし幸運だと思っているんだ。
疑いようもなく、あれが僕たち最高のオーストラリアにおけるサポートツアーだったよ。彼らとの US ツアーは間違いなくさらに素晴らしかったね。
ARCHITECTS とのユーロツアーはまた完全に別の体験だったな。僕たちがプレイしたライブハウスやアリーナはとても巨大で、またプレイ出来たらラッキーだと思うような代物だったからね。
何千もの観客を前に自分の音楽をプレイするなんて本当に夢のようだし、もちろん僕らもオーストラリアでは沢山の人を前にプレイしているけど、ARCHITECTS はヨーロッパに連れ出してくれてさらに大きな世界を見せてくれたのさ。

Q5: Your first full-length “The Mortal Coil” was incredible! Actually, I really love your melodic clean part, and the contrast between beauty and heaviness is outstanding. What’s your vision about creative process, and contrast?

【RICK】: I feel like contrast is very understated in heavy music, but I consider it one of the most important things when approaching songwriting. Something I like to say is that a heavy part is only heavy if the rest of the song is contrasting it, and different. Obviously there are examples of songs that are heavy the whole way through and they’re still great for it, but I feel like we work best when our songs contrast the light and the heavy. I think our overall creative process is making sure that each song has enough “moments” to sustain pace or interest through to the end. Beyond that, we don’t like to set too many limitations, and instead just see where the ideas take us.

Q5: デビューフル “The Mortal Coil” のメロディックなクリーンパートは傑出していて、ヘヴィネスとのコントラストも絶妙ですね!

【RICK】: ヘヴィーな音楽において、そういったコントラストは非常に軽視されていると思うんだ。だけど僕はソングライティングのアプローチにおいて、最も重要な要素の1つだと考えているよ。
ただ言っておきたいのは、楽曲の他の部分が対照的で異なっていても、ヘヴィーなパートはあくまでただヘヴィーだと言うことだね。明らかに全体を通してヘヴィーな楽曲も存在し、それはまたそれで素晴らしいんだよ。だけど、僕たちの楽曲は “光” とヘヴィネスを対比する時こそ、最高にハマっていると感じるんだ。
僕たちは全体的なクリエイティブプロセスで、各曲がリスナーの興味やペースを最後まで持続させために十分な “瞬間” を必ず持つように取り組んでいるんだ。僕たちはあまり多くの制限を設けるのが好きじゃないし、それよりもアイデアが僕たちを運ぶ場所をただ探していくんだよ。

Q6: Actually, there was horrible terrorism in New Zealand yesterday. So, I listened to “The Mortal Coil” and became really emotional. Actually, it’s definitely emotional record. What’s your inspiration about the music and lyrics?

【RICK】: Daniel writes most of the lyrics and the rest of us help to put little finishing touches, but almost all of the concepts and ideas start with him. I think he prefers to write from an emotional and personal point of view compared to telling a story or something like that. Most of the inspiration comes from personal struggles or experiences that he has faced, or things that he has observed others go through, and I feel like that approach is something that brings people together in music, and is one of the things that our fans attach to.

Q6: “The Mortal Coil” は非常にエモーショナルなレコードですよね。インスピレーションの源を教えていただけますか?

【RICK】: Daniel が歌詞の大半を書いていて、残りのメンバーは最後の仕上げを少し手伝うだけなんだ。だからほとんど全てのコンセプトとアイデアは彼から始まるんだよ。僕が思うに、彼は何かストーリーを伝えるよりも、感情や個人的な感じ方から歌詞を書くのを好んでいると思う。
故にインスピレーションの大半は、彼が直面する個人的な苦悩や体験、もしくは観察して感じた他人の経験から得ていると思うよ。そして僕はそういった彼のアプローチこそ、音楽で人々を一体にし、僕たちのファンも気に入っている部分だと感じているよ。

Q7: I think there is a kind of “Rule” like riffage, growl, and breakdown in the Metalcore scene. And bands like Bring Me The Horizon breaks that rule and becomes eclectic. Of course, there are pros and cons to their way. What’s your perspective about the Metalcore manner? Do you want break the rule more?

【RICK】: I think metalcore is a genre that is always evolving, and always being spliced with different styles and genres as well. August Burns Red are an example of a band that have only ever released metalcore albums, but each one has twists and turns that you wouldn’t expect to hear on the album prior. Bring Me The Horizon are similar, but I think it’s fair to say that they have all but left the metalcore tag behind and are now much more in the “Rock” field, but that’s not to say that they don’t have heavy moments. I’m all for genres changing and for bands to do more within a genre, I feel like that is what makes bands stand out and what makes newer releases more memorable in the end.

Q7: メタルコアシーンには、リフワークやブレイクダウンといったある種の “ルール” が存在するようにも感じます。
例えば BRING ME THE HORIZON は昨今、そういったルールを破ってよりエクレクティックな方向性を選んでいますが、あなたは “メタルコアマナー” についてどう思っていますか?

【RICK】: 僕はメタルコアというジャンルは常に進化し続けていると思うし、どんどん異なるスタイルやジャンルを組み合わせていっているよ。
例えば AUGUST BURNS RED はメタルコアアルバムだけをリリースして来たけど、どの作品も起伏があって、前のアルバムからは予想もつかない工夫が施されているんだ。
BRING ME THE HORIZON も似ているけど、彼らの場合はメタルコアの “タグ” を残していることを除けば、今ではよりロックのフィールドにいると言うべきだろうね。だからと言って、ヘヴィーな瞬間がない訳じゃないんだけど。
つまり、僕はジャンルが変わっても、バンドが様々な変化を遂げても、結局はその変化がバンドを際立たせ、新たな作品をより記憶に残るものにすると感じているんだよ。

Q8: Recently, Like Plini, Karnivool, Ne Obliviscaris, lot’s of great bands are emerged from Australia in Metal and Prog territory. Are you acquainted with them? Why do you think lot’s of modern Australian bands including you gather attention from the world?

【RICK】: The only band (person) I’ve been able to get to know in that list is Plini, but he is an absolute legend. We did a tour with him and Intervals back in 2016, and while it was a very short tour, it was incredibly nice to get to know both of those bands. I’ve always respected and loved many instrumental/prog artists and even though I’ve grown out of listening to many of them, I still listen to Plini quite regularly and look back on our shows together very fondly.

Q8: 近年、オーストラリアからは、あなた達も含め KARNIVOOL, PLINI, NE OBLIVISCARIS といった世界的に注目を集めるメタル/プログアクトが多く現れていますよね?

【RICK】: 君が挙げたリストで繋がることが出来ているのは PLINI だけなんだけど、彼は完全にレジェンドだよね。2016年に彼と INTERVALS とツアーを行ったんだけど、期間がとても短かったんだ。だけど彼らと知り合いになれて、とても素晴らしかったね。
僕はずっと彼らみたいなインストゥルメンタル/プログアーティストを多くリスペクトして来たんだ。だからそういった音楽を山ほど聴いて成長したにもかかわらず、PLINI は今でもよく聴いていて、共に行ったショウを思い返しているくらいなんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED RICK’S LIFE

YELLOWCARD “OCEAN AVENUE”

AVENGED SEVENFOLD “CITY OF EVIL”

ARCHITECTS “LOST FOREVER // LOST TOGETHER”

PARKWAY DRIVE “HORIZONS”

AUGUST BURNS RED “MESSENGERS”

MESSAGE FOR JAPAN

We cannot wait to go, and I have been looking forward to this for sooo long! Any friends that have travelled to Japan in the past have had amazing stories and things to tell me, so I’ve always wanted to go there myself. I can’t wait to experience the culture, the food, and maybe go to a karaoke bar or 2 – but most of all I can’t wait for the shows! We hope that people over there are just as excited to see us, because we would all love to come back to Japan as much as possible in the future. It might be a shorter trip compared to the USA or Europe, but I’m just as excited to get over there, if not more! Thank you!

日本に行くのが待ちきれないよ。ずーーっと楽しみにしていたんだからね!日本に旅行した友達の誰もが素晴らしい話をしてくれたよ。だから1人でも行きたかったくらいなんだ。日本の文化、食事、それにカラオケバーを体験するのが待ちきれないんだ。もちろん1番楽しみにしているのはライブだけどね!
みんなが来てくれてただエキサイトしてくれれば嬉しいよ。だって僕たち全員が、将来的に何度も日本に行ければいいと願っているからね。アメリカやユーロツアーに比べれば短い滞在になるけど、行けるだけでも本当に興奮しているよ。ありがとう!

RICK SCHNEIDER

POLARIS “SPRING JAPAN TOUR 2019”

4月12日(金)仙台 MACANA
4月13日(土)渋谷CYCLONE
4月14日(日)大阪CLAPPER
4月15日(月)新宿Zirco Tokyo
チケットのご購入はこちら。MHz FEST
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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【O.R.k. : RAMAGEHEAD】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LEF OF O.R.k. !!

“Bill Laswell Passed a Copy Of The Record On To Tankian Who Was So Impressed, He Then Checked Out All My Stuff, Website And Other Material. This Led Directly To Serj.”

DISC REVIEW “RAMAGEHEAD”

オルタナティブとプログレッシブの稜線に位置するスーパーバンド O.R.k. は、さらに音楽と映画の境界すら霧の中へ誘いユニークな “O.R.k.estration” サウンドで魅了します。
イタリア生まれの声楽家で、映画音楽のコンポーザーとして受賞歴も有する LEF こと Lorenzo Esposito Fornasari。彼が過去に OBAKE でバンドメイトだった ex-PORCUPINE TREE のベースマン Colin Edwin、BERSERK! で共演した KING CRIMSON のスティックマン Pat Mastelotto、さらにイタリアンフォークのビッグネーム MARTA SUI TUBI から Carmelo Pipitone を召喚し結成したプログコレクティブこそ O.R.k. でした。
「ビジュアルアートと音楽がお互いに補い合うやり方がとても好きなんだ。だからね、O.R.k のディスコグラフィーはまだ撮影されていない映画音楽と解釈することも可能だと思うんだよ。」
2015年の結成以来、O.R.k. はプログとオルタナティブを主役として起用しながら、同時にエレクトロ、ジャズ、アンビエントにオペラといった名脇役を見事に配置し、その絶妙な脚本、演出、カメラワークで造形豊かなシネマティックワールドを音楽の中へと投影して来ました。
「アルバムは、様々な側面からもたらされる情報の波に呑まれる潜在的な感情について描いているんだ。僕たち人間の関係性、感じ方、考え方、それに生活全てが、今日では実に深くインターネットとテクノロジーに影響されているのは明らかだよ。」
新世代プログレッシブの旗手 Kscope と手を結びリリースした勝負の最新作 “Ramagehead” で、O.R.k. がフィルムの舞台に選んだのはインターネット/テクノロジーに支配される現代とその社会でした。
深刻なテーマとシンクロするように、彼らの新たなサウンドトラックはダークな畝りが跋扈する重々しい世界。作品を象徴するオープナー “Kneel to Nothing” には、明らかに ALICE IN CHAINS や SOUNDGARDEN が90年代にもたらした悲憤の刻印が印され、一方で極上のリズムチームが創生するパーカッシブな数学の躍動感には TOOL の遺伝子が宿っているのです。
実際、スポンティニュアスで魂宿る Lef の歌唱には Chris Cornell が降臨し、アートワークのデジタルが支配する深淵は TOOL の Adam Jones がデザインを行っています。
暗澹と叡智のフレームはそうして様々なカオスを切り取っていきます。RADIOHEAD を想起させる幽玄とメタルの狂気が同居する “Signals Erased”、クリムゾンの叙情と不穏が類稀なるコントラストを生み出す “Time Corroded”、豊潤なオーケストレーションで完璧なシネマを具現化する組曲 “Some Other Rainbow”。
場面転換の妙は、ネオレアリズモの生々しくも痛烈な説得力を纏ってリスナーをビジュアルとサウンドの水平線へと誘うのです。
「Serj は僕の全ての作品をチェックしてくれたそうだよ。ウェブサイトや他のマテリアルまでね。」
Bill Laswell が聴かせた音源を出発点に、そうして O.R.k. の透徹した美意識は遂に SYSTEM OF A DOWN のマエストロ Serj Tankian のキャスティングへと繋がりました。”Black Blooms” に描かれた地続きの善と悪、国もジャンルも超越して咲き誇る黒の才華は完璧なまでにプログの新たな地平、情景を示唆しているのでしょう。
今回弊誌では、Lef にインタビューを行うことが出来ました。彼の鍵盤捌き、Carmelo のシーケンシャルなフレージングも聴きどころの一つ。「映画のためにスコアを書くことで、僕の音楽に対するアプローチは大きく変化したんだ。」どうぞ!!

O.R.k. “RAMAGEHEAD” : 9.8/10

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MASTERPIECE REVIEW + INTERVIEW 【BOTANIST : Ⅵ: FLORA】JAPAN TOUR 2019 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH OTREBOR OF BOTANIST !!

“I Wanted To Push The Genre Further While Also Honoring Its Tradition. Making Botanist a Concept Project About Plants Felt Like The Way To Do That: 100s Of Bands Were Talking About Forests, But None Mere Taking It To a Specific, Scientific Level. “

DISC REVIEW “Ⅵ: FLORA”

邪悪や猟奇、そしてファンタジーがテーマとして掲げられるメタルワールドにとって、BLACK SABBATH, EMPEROR, DRAGONFORCE といったバンドの名こそ至当で理想的にも思えます。そんな倒錯した世界において、”植物学者” を名乗る BOTANIST はその原郷からすでに異端です。
「僕はブラックメタルというジャンルをその伝統に敬意を払いつつ、さらに先へと進めたいんだ。植物をコンセプトとした BOTANIST を立ち上げたのもまさにその想いから。これまで幾つものバンドが森については語ってきたけど、誰ももっと専門的なレベルで個別の植物については語ってこなかったよね。」2011年にサンフランシスコで Otrebor が創世したワンマンプロジェクトは、植物を科学し環境問題を追求する唯一無二の “グリーンメタル” へと開花して行きました。
これまでにも、WOLVES IN THE THRONE ROOM, AGALLOCH, ALCEST など自然崇拝をテーマとして、仄暗き森や鬱蒼と生い茂る木々を礼賛するブラックメタルの一派は確かに存在していました。しかし彼らはそのアトモスフィアに惹かれ、自然のよりスピリチュアルな領域へとフォーカスしていたはずです。
一方で、BOTANIST はよりミクロで科学的に植物への愛を貫きます。「多くのデスメタルバンドが死について書いていたけど、CARCASS は臨床的見地から死について最初に歌い、デスメタルをネクストレベルへ進めたんだ。」 CARCASS の死に対するある種ドライな向き合い方は、Otrebor が BOTANIST でより学術的に植物の姿を描き出す核心的なインスピレーションとなりました。ハナスイ、シーソラス、ヤエヤマヒルギといった耳馴染みのない植物を楽曲名に列挙する方法論はまさに CARCASS 譲り。
さらに BOTANIST はその “グリーンメタル” のコンセプトだけでなく、ハンマードダルシマーという特殊な楽器をメインに使用することでブラックメタルを未踏の領域へと導きます。
ドラマーを本職とする Otrebor にとって、スティックで弦を叩いて音を出すダルシマーは完璧なメロディー楽器でした。かつて住んでいたこの日本で運命的な出会いを果たした古のピアノは、風と共にロマンチックでエレガントな響きを運び、ギターレスのブラックメタルという倒錯と神秘的のアートを創造して行くのです。
貪欲な研究者 Otrebor は、緑の音楽を絶え間なく精製し続けます。リスナーの思考を絶え間なく促しながら、夢見心地に浮遊する陶酔と恍惚の極致 “Ⅵ: Flora” は、ソロプロジェクトとしての BOTANIST にとって一つの完成形だったのかも知れません。
一筋の新緑だったグリーンメタルの種子はそうして徐々に森を形成していきます。ローマ数字のナンバリングから “Collective” 表記へと移行し、初めてバンド形態で制作された “The Shape Of He To Come” のダイナミズム、グルーヴ、躍動感はまさしく “集団” としての生命力に満ちています。メンバーという養分を得て緑を増した聖森のざわめきは、より荘厳に、より実験的にリスナーの五感へと訴えかけるのです。
深刻な環境破壊により未曾有の危機に直面する人類と地球において、Otrebor は BOTANIST の発芽は必然だと語ります。「BOTANIST のようなプロジェクトは、地球の自己防衛メカニズムの結果であると心底信じているんだ。自然の重要性とその保存について情熱的な方法で人々に発言することを要求するようなね。」もしかすると彼らはは自然が意思を持って遣わした有機的なメッセンジャーなのかも知れませんね。
今回弊誌では、Otrebor にインタビューを行うことが出来ました。奇跡の来日が決定!「僕たちは、日本のファンがお気に入りの植物を携えて現れ、ライブで掲げてくれるのを熱望するよ!」どうぞ!!

BOTANIST “Ⅵ: FLORA” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SWALLOW THE SUN : WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATTI HONKONEN OF SWALLOW THE SUN !!

“The Whole Album Is Personal And Very Special For Juha Raivio And For Us Also As a Band. All I Want To Say Is That I Believe There Is Hope Also Involved On The Album. A Light At The End Of The Tunnel. “

DISC REVIEW “WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT”

2016年、ギタリストでメインコンポーザー Juha Raivio が長年のパートナーでコラボレーターでもあった Aleah Stanbridge を癌で失って以来、フィンランドの哀哭 SWALLOW THE SUN はまさに涙淵へと深く沈んでいました。
ツアースケジュールの延期に隠遁生活。そうして2年の服喪の後、最終的に Juha が自らの沈鬱と寂寞を吐き出し、Aleah との想い出を追憶する手段に選んだのはやはり音楽でした。
Aleah の闘病中に制作された前作、”Songs From the North I, II and III” はメタル史においても前代未聞、3枚組2時間半の大エピックとしてリリースされました。「僕たちのスローガンを明瞭に示したんだ。憂鬱、美麗、そして絶望。僕たちが音楽に封じている三原則だよ。同時に、Juha Raivio にとってはとてもパーソナルなアルバムにもなったんだ。彼が当時、人生で経験したことを封じているからね。」Matt Honkonen が語るように、Juha の尽き果てる希望を憂鬱、美麗、絶望というバンドの三原則で封じたレコードは、同時にアルバム単位から楽曲単位へと評価の基準が移り行くインスタントミュージックの機運に一石を投じる壮大なアンチテーゼでもあったのです。
「ああいったエピック、トリプルアルバムをリリースした後だったから、僕たちは何か別のとても特別なものを創出したかったんだと思うんだ。」Matt の言葉通り、喪が開けて Aleah への追悼と Juha の深痛を宿す最新作は、”Lumina Aurea” と “When a Shadow is Forced Into the Light”、EP & フルアルバムというイレギュラーなリリースとなったのです。
13分半のタイトルトラックとそのインストバージョンで構成された EP “Lumina Aurea” の音楽は、これまでの SWALLOW THE SUN スタイルとは大きく異なっていました。
ネオフォークの大家 WARDRUNA の Einar Selvik と、イタリアンドゥームの傑物 THE FORESHADOWING の Marcus I の助力を得て完成させた楽曲は、完全にジャンルレス。ネオフォーク、ドゥーム、スポークンワードにオーケストレーションとグレゴリアンスタイルを加味した “Lumina Aurea” は、ただ純粋に Juha の慟哭と闇を音楽の姿に写した鬼哭啾々の異形でした。
一方で、「僕はこのアルバムに関しても希望は存在すると信じているし、トンネルの出口には光が待っているんだ。」 と Matt が語る通り、フルアルバム “When a Shadow is Forced Into the Light” はタイトルにもある “影”、そしてその影を照らす “光” をも垣間見られる感情豊かな作品に仕上がったのです。
デスメタルとドゥーム、そしてゴシックが出会うメランコリーとアトモスフィアに満ちたレコードは、まさにバンドが掲げる三原則、”憂鬱、美麗、絶望” の交差点です。
恍惚のオーケストレーション、アコースティック、ダイナミックなドゥームグルーヴ、胸を抉るボーカルハーモニーにグロウル。リッチなテクスチャーで深々と折り重なる重層のエモーションを創出するタイトルトラックは、SWALLOW THE SUN のレガシーを素晴らしく投影する至高。
“Lumina Aurea” の深海から浮上し、暗闇に光を掲げる “Firelight” のメランコリーはバンドの長い歴史に置いても最もエモーショナルな瞬間でしょう。死は人生よりも強靭ですが、きっと愛はその死をも凌駕するのです。
もちろん、”Clouds On Your Side” を聴けば、ストリングスがバンドのメロウなアンビエンスと痛切なヘヴィネスを繋ぐ触媒であることに気づくでしょう。そうしてアルバムは、ダークでしかし不思議と暖かな “Never Left” でその幕を閉じます。
“When a Shadow is Forced Into the Light” を聴き終え、Juha と Aleah の落胤 TREES OF ETERNITY の作品を想起するファンも多いでしょう。リリースにあたって、全てのインタビューを拒絶した Juha ですが、1つのステートメントを残しています。
「このアルバムは Aleah を失ってからの僕の戦いの記録だ。”影が光に押しやられる時” このタイトルは Aleah の言葉で、まさに僕たちが今必要としていること。2年半森で隠棲して人生全てをこの作品へと注ぎ、影を払おうと努力したんだ。言葉で語るのは難しいよ。全てはアルバムの音楽と歌詞が語ってくれるはずさ。」 バンドに18年在籍する代弁者、ベーシスト Matti Honkonen のインタビューです。どうぞ!!

SWALLOW THE SUN “WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【DILEMMA : RANDOM ACTS OF LIBERATION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH COLLIN LEIJENAAR OF DILEMMA !!

“I Believe That Prog Music Should Not Only Be Clever And Virtuoso, But Also Moves Your Emotions And Your Heart. And It Should Surprise You, Taking You On a Musical Journey.”

DISC REVIEW “RANDOM ACTS OF LIBERATION”

「オランダ人はいつも交易と開拓を掲げてきたよ。この精神は、音楽にも反映されているんだ。なにせオランダのプログシーンは小さいから、成功を収めたいなら手を広げなければならないんだ。だからこそ、オランダのプログロックバンドはよく世界的な注目を集めるんだろうね。」
オランダに根づく交易と開拓の精神は、文化、芸術の歩みをも伴うこととなりました。そしてそのスピリットは、”交易” と “開拓” を音で体現するプログレッシブロックの海原と無謬にシンクロしているのです。
FOCUS, EARTH & FIRE, TRACE, KAYAK, AYREON, TEXTURES, VUUR。潮風の交差点で脈々と重なるダッチプログの渦潮は、DILEMMA を呑み込み、23年の長い間仄暗き水の底へと沈めました。しかし、90年代に素晴らしき “Imbroccata” でプログシーンに深々と爪痕を残した船乗りたちは甦り、遅れて来た大航海時代 “Random Acts Of Liberation” で文字通り自由を謳歌するのです。
ただし、乗組員は船長の鍵盤奏者 Robin Z を除いて大きく変化を遂げています。特筆すべきは、Neal Morse, KAYAK との仕事でも知られる百戦錬磨のドラマー Collin Leijenaar と、ex-FROST*, DARWIN’S RADIO の Dec Bruke を加えたことでしょう。オランダでプログ雑誌のライターも務める Collin の理想と、FROST* の血脈に繋がる Dec の個性は、バンドを一際カラフルでアクセシブルなプログレッシブポップの海域へと誘うこととなりました。
「プログロックはただクレバーでバーチュオーソ的だけであるべきではないと信じているんだ。同時に感情や心を動かすべきだってね。そうしてそこには驚きや音楽的な旅への誘いがあるべきだってね。人は心の底から音楽と繋がる必要があるんだよ。」
実際、Collin のこの言葉は、”Random Acts Of Liberation” が強固に裏付けています。
DREAM THEATER の “Pull Me Under” を彷彿とさせる緊張感とキャッチーなメロディーラインのコントラストが鮮やかなオープナー “The Space Between The Waves” が、より”自由”なプログロックの風波としてアルバムの趨勢を占えば、14曲72分の DILEMMA シアターの幕開けです。
“Amsterdam (This City)” を聴けば、一番の理解者 Mike Portnoy が 「SPOCK’S BEARED, FROST*, FLYING COLORS, HAKEN, Steven Wilson と並ぶとても味わい深いモダンプログ」 と DILEMMA を評した理由が伝わるはずです。デジタルサウンドとストリングスを効果的に抱擁する多様で甘やかなホームタウンのサウンドスケープは、Steven Wilson や FROST* が提示するプログレッシブポップのイメージと確かにシンクロしているのです。
“Aether” では PINK FLOYD と、”All That Matters” では ELO とのチャネリングでさらにプログポップの海域を探求したバンドは、しかし12分のエピック “The Inner Darkness” でスリリング&メタリックなルーツを再び提示し対比の魔術で魅了します。
“Spiral Ⅱ” からのシアトリカルに、コンセプチュアルに畳み掛ける大円団は、まさに Neal Morse と Mike Portnoy の申し子を証明する津波。中でも、”Intervals”, “Play With Sand” の激しく胸を打つ叙情、音景、エモーションはあまりに尊く、リスナーの心を “音楽” へと繋げるはずです。
今回弊誌では、Collin Leijenaar にインタビューを行うことが出来ました。時にトライバル、時にジャズ、時に Portnoy の影響を組み込んだドラミングの妙は、アルバムのデザインを華麗に彩ります。「このアルバムでは、プログロックをよりオープンで直接的な表現とすることに成功したと思うよ。プログをプログたらしめている興味深い要素を失うことなく、ポップな感覚を加えているね。」 どうぞ!!

DILEMMA “RANDOM ACTS OF LIBERATION” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SHOKRAN : ETHEREAL】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANDREW IVASHCHENKO OF SHOKRAN !!

“Oriental Elements Decreased In This Album. But The Compositions Matured, We’ve Gone More Progressive, Less Djent!”

DISC REVIEW “ETHEREAL”

プログレッシブメタルコアのモーゼ、SHOKRAN はジャンルを約束の土地へと導く預言者なのかも知れません。ロシアから世界を窺う指導者は、文字通り天上の美を体現する最新作 “Ethereal” で海を割ります。
ギタリスト Dmitry Demyanenko のソロプロジェクトとして始まった SHOKRAN は、デビューフル “Supreme Truth” で BORN OF OSIRIS の革新にオリエンタルで壮大なサウンドスケープをもたらし、遅れて来た “Djent スター” として一躍脚光を浴びました。
リリース後にはボーカル、リズムギター、ベーシストの脱退という非常事態に見舞われますが、グレードアップしたメンバー、さらにキーボーディストを加え盤石の体制でセカンドアルバム “Exodus” をドロップします。
そうしてバンドは旧約聖書に記された “出エジプト記” をテーマとしたコンセプト作品で、シンセサイザーの煌びやかな響きと、一際エクレクティックなビジョンを携え自らのオリエンタルドラマティックなサウンドを確立することとなったのです。
最新作 “Ethereal” は、メロディーと多様でプログレッシブな方向性をさらに追求し、バンドのドラマ性を飛躍的に高めたマイルストーンです。
「確かにこのアルバムでオリエンタルな要素は減ったと思うよ。だけどコンポジションはより成熟を遂げているね。つまり、僕たちはよりプログレッシブに、Djent の要素を減らして進化を果たしたんだ!」レジェンド THE HAARP MACHINE にも請われて参加することとなったシーンきってのシンガー Andrew Ivashchenko が語るように、典型的な Djent サウンドやあからさまなオリエンタルフレーズを減退させ、”エセリアル” なムードを研ぎ澄ますことで、アルバムは結果として唯一無二のダイナミズム、エピック世界を得ることとなりました。
実際、冷ややかで透明なリードギターとシンセサイザーの景色、ミステリアスなオリエンタルフレーズ、複雑でメカニカルなグルーヴ、スポークンワード、クリーン、グロウルを自在に行き来する声の表現力、全てで荘厳を体現したオープナー “Unbodied” がバンドの DNA をしっかりと受け継ぐ一方で、”Ascension” のサウンドスケープは完璧なコントラストを創出します。
「”Ascension” はアルバムで最も多様な楽曲さ。まさにドラマさ。緩やかに実にメロディックに始まり、メロディーが躍動し始め、アグレッションが加わり、ハッピーなコーラスが流れ出し、突如ヘヴィネスで期待を激しく裏切るんだ。まさに楽曲で最もドラマティックな瞬間だね。そうしてドラマを繰り返し、感情をもたらす訳さ!」Andrew の言葉通り、多幸感や神秘性を抱きしめた夢見心地の崇高美は、メジャー感を伴って SHOKRAN 劇場の素晴らしきアクセントとなっていますね。
そうして SHOKRAN が描く多次元の自己探求は、DREAM THEATER からハチャトリアンまで Tech-metal の粋を尽くした “Superior”、PERIPHERY や MONUMENTS の最新作にも通じるキャッチーさとヘヴィーグルーヴの対比を封じた “Golden Pendant” と、まさにマルチディメンショナルな世界観を提示していくのです。
幕引きは “Destiny Crucified”。ロシアの血が育んだ絶対零度のメランコリーは、ストリングスやアコースティックの蜃気楼を写しながら夢幻泡影のワルツを踊るのです。
今回弊誌では、Andrew Ivashchenko にインタビューを行うことが出来ました。THE HAARP MACHINE の新作についても語る Tech-metal ファン必読の内容だと思います。「今では大きな感情の変化を音楽で表現出来るんだ。僕たちは成熟を遂げ、集団として働けるようになったのさ。」 どうぞ!!

SHOKRAN “ETHEREAL” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BLACK PEAKS : ALL THAT DIVIDES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH WILL GARDNER OF BLACK PEAKS !!

“We All Started Collectively Listening To Lots Of Mastodon and Tool . Bands Like That . I Think Thats Where The Shift Started To Happen , Into The More Black Peaks Style Heavy Sound.”

DISC REVIEW “ALL THAT DIVIDES”

英国が今、沸騰しています。ARCHITECTS, TesseracT、そして SVALBARD や ROLO TOMASSI といった Holy Roar のロースター。真の意味での “プログレッシブ” を追求するエクレクティックでスリリングな冒険的アーティストが、かつて様々なムーブメントを創造した獅子とユニコーンの紋章の下へと集結しているのです。
ブライトンから顕現した BLACK PEAKS も、その大波を牽引する風雲の一つ。「様々な音楽ジャンルをミックスしているんだけど、主にロック、ハードコア、そしてプログが中心だね。」 と Will が語るように、荘厳と野蛮、洗練と無骨を併せ持つそのコントラストの烈風は、英国ニューウェーブの中でも一際カラフルなインパクトを与えているのです。
注目すべきは BLACK PEAKS が、一歩間違えれば “無節操” とも捉えられかねない “美味しいとこどり” の方法論を、臆せず真摯に追求している点でしょう。SHRINE 時代は自らが認めるように “マーズヴォルティー” すなはち THE MARS VOLTA のポストハードコアを追い求め、さらに改名後は 「僕たちは集まって、MASTODON や TOOL といったバンドを何度も聴いて研究し始めたのさ。そこから音楽性の変化が始まったと思うね。」 と語る通り、モダンプログレッシブの数学的アプローチや重量感を深く “研究” し、理想的な BLACK PEAKS のスタイルへと邁進し構築する。その研究者としての姿勢が、これまでありそうでなかったモダンでコンパクトな凛々しきプログの坩堝を精製することへと繋がりました。
例えばファーストシングル “Can’t Sleep” は、MASTODON のスラッジアタックと SYSTEM OF A DOWN の異国感がシームレスに融合したキメラでしょうし、”Electric Fires” には TOOL のマスマティカルな野心と BIFFY CLYRO のポップな精神が宿っているはずです。加えて湧き出でる OPETH や ELDER のエピカルな世界観。
ただし、その魅力的なフラスコに Will のボーカルが注がれると、BLACK PEAKS は触媒を得て劇的な化学反応を起こします。実際、スクリームからクリーンボイス、囁きからファルセットまで、英国らしい叙情、憂鬱、愁苦、そして悲憤を宿す Will の歌唱とメロディーは、異次元のエモーションを楽曲へと織り込んでいくのです。
フルスロットルの咆哮を縦糸に、ガラスのファルセットを横糸に織り上げたその退廃感は、母国の選択、ブレグジットに起因するものでした。「ここ数年イギリス人としてヨーロッパを旅する事で、実際に興味深い体験をして来たからなんだけどね。つまり、そうやって僕たちに降りかかる出来事に対して情動、怒り、フラストレーションなんかを感じたわけさ。」 そのダイナミズムの源は、例えば SVALBARD にも通じるやはり政治的なものでした。
そうしてアルバムは、THE DILLINGER ESCAPE PLAN のカオスや OCEANSIZE の耽美まで吸収した強欲な運命 “Fate Ⅰ&Ⅱ” でその幕を閉じます。ハードコアのアグレッションとプログレッシブのエレガンスが、自然と同じキャンパスに描かれるダイナミズムの DNA はきっと選ばれたものにしか与えられていないはずです。
今回弊誌では、新たなボーカルスター Will Gardner にインタビューを行うことが出来ました。「僕たちはアルバムをレコーディングしている最中に ELDER “Reflections of a floating world” を頻繁に聴いていたんだ。」 どうぞ!!

BLACK PEAKS “ALL THAT DIVIDES” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ALIEN WEAPONRY : Tū】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALIEN WEAPONRY !!

“I Think Our Views On Colonization Are Pretty Clear. For Example, Raupatu Is About Massive Land Confiscations. The Colonial Government In New Zealand (And In Many Other Countries) Did a Lot Of Unjust Things, And The Result Still Affects Our Society Today.”

DISC REVIEW “Tū”

「僕たちは、メタルの聖火を未来に向けてずっと掲げ続けることが出来ればと願っているんだ。そして、その炎はオリジナルのメタルバンドたちと、世界中のファンに向けたリスペクトから生まれているんだよ。」脈々と継承されるメタルのスピリット。ニュージーランドのヤングガンズ ALIEN WEAPONRY は、受け継ぐ燈火を一際高々と世界へ向けて掲げます。
Lewis de Jong (ギター/ボーカル), Henry de Jong (ドラムス) の De Jong 兄弟が8歳と10歳の若さで結成した ALIEN WEAPONRY。Ethan Trembath (ベース) を加えて16歳が2人と18歳の高校世代トリオとなった彼らは、Napalm Records からリリースした超高校級のデビューフル “Tū” で文字通り世界を震撼させました。
実際、古のスラッシュの波動から、Nu-metal のグルーヴ、洗練されたモダンメタルの息吹き、理知的でプログレッシブなデザインにピュアなメタルのメロディーまで、ワイドな視点で綴られたアルバムの中でも、自らの背景であるマオリの文化を投影する試みはあまりにユニークで独創的です。
誇り高きマオリ、Ngati Pikiāo と Ngati Raukawa 族の血を引く De Jong 兄弟は、1864年に1.700人の英国兵に230人で対抗しその命を投げ打った伝説の戦士 Te Ahoaho の子孫にあたります。そしてその勇敢なる遺伝子は克明に若きメタルウォーリアーズの中にも刻まれているのです。
「植民地化についての僕たちの見解は実に明快だよ。ニュージーランドの植民地政府は (他の植民地政府も同様だけど) 多くの不当な行為を行ったね。そしてそのツケは、今の僕たちの社会にまで及んでいるんだ。」と語る De Jong 兄弟。マオリ語で “神々の闘い” をタイトルに冠したアルバムで、彼らは当時の列強諸国が行った不当な搾取を告発し、メタルのジャスティスで断罪していきます。
何より誇りを重んじるマオリの民は、現在でもイギリス、西欧に踏み躙られた一族の尊厳を、”Whakamā” “深い恥” の言葉とともにトラウマとして引きずっています。故に、例えメタルに惹かれたとしても、その気持ちを一族の中で明かすことは今でも簡単ではありません。だからこそ、ALIEN WEAPONRY はマオリとメタルを繋ぐ架け橋を目指しているのです。
事実、マオリの言葉 “Te Reo Māori” をフィーチャーしたトライバルなイントロダクション “Waikōrero”、そしてアイコニックなワーダンス “Haka” を前面に押し出した “Rū Ana Te Whenua” はアルバムのスピリットを決定づけています。
もちろん、ALIEN WEAPONRY の方がより多様でコンテンポラリー、時に LAMB OF GOD, GOJIRA をも想起させるほど理知的ですが、メタルのヘヴィーグルーヴに民族の血やリズムを沈めるという意味では SEPULTURA や SOULFLY との比較が多数を占めるのも頷けますね。
「マオリの言葉はニュージーランドでも日常生活で幅広く使われている訳じゃないからね。だから習得の努力を続けるのは簡単ではないよ。逆に言えば、”Te Reo Maori” で歌うこともあの言葉と繋がる一つの方法なんだ。」世界では今も二週間に一つの言語が “消失” しています。そして、”Te Reo Maori” も実は国連から絶滅が危惧されている言語の一つです。ニュージーランドのヒーローは、”Te Reo Maori” で歌うことで言語の存続にまで大きな力を貸しているのです。
アートワークに描かれたマオリの戦士が全てを象徴するレコード。今回弊誌では、メンバー全員にインタビューを行うことが出来ました。「僕たち兄弟は Kura Kaupapa Maori に通っていたんだ。没入法を取り入れたマオリの学校だよ。毎朝のルーティンとして、学校で歌ってハカを踊っていたね。だからメタルとハカをミックスするのはいたって自然なことだったんだ。」 どうぞ!!

ALIEN WEAPONRY “Tū” : 9.9/10

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