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THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2018 : MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE


THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2018 : MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE

1: GHOST “PREQUELLE”

昨年 “最も印象的だったアルバム” の記事にも記しましたが、近年、MASTODON, VOLBEAT, Steven Wilson, PALLBEARER, Thundercat、さらに今年も GODSMACK, ALICE IN CHAINS, DISTURBED, SHINEDOWN など様々なジャンルの旗手とも呼べるアーティストが “ポップ” に魅せられ、レガシーの再構築を試みる動きが音楽シーン全体の大きなうねりとして存在するように思えます。当然、邪悪とポップを融合させた稀有なるバンド GHOST もまさしくその潮流の中にいます。
「JUDAS PRIEST はポップミュージックを書いていると思う。彼らはとてもポップな感覚を音楽に与えるのが得意だよね。PINK FLOYD も同様にキャッチー。ちょっと楽曲が長すぎるにしてもね。」
と語るように、Tobias のポップに対する解釈は非常に寛容かつ挑戦的。さらにモダン=多様性とするならば、70年代と80年代にフォーカスした “Prequelle” において、その創造性は皮肉なことに実にモダンだと言えるのかもしれません。実際、アルバムにはメタル、ポップを軸として、ダンスからプログ、ニューウェーブまでオカルトのフィルターを通し醸造されたエクレクティックな音景が広がっています。
もちろん、シンセサイザー、オルガン、キーボードの響きが GHOST を基点としてシーンに復活しつつあることは喜ばしい兆候だと言えますね。同時に、サックス、フルート、ハグストロムギターまで取り入れたプログレッシブの胎動は “Prequelle” 核心の一部。Tobias はプログロックの大ファンで、作曲のほとんどはプログレッシブのインスピレーションが原型となっていることを認めています。伝統的なプログロック、プログメタルの世界が停滞を余儀なくされている世界で、しかしプログレッシブなマインドは地平の外側で確かに引き継がれているのです。
ウルトラキャッチーでフックに満ち溢れたカラフルなレコードは、数多のリスナーに “メタル” の素晴らしさを伝え、さらなる “信者” を獲得するはずです。
ただし、匿名性を暴かれた Tobias の野望はここが終着地ではありません。多くのゲストスターを揃えたサイドプロジェクトもその一つ。すでに、JUDAS PRIEST の Rob Halford がコラボレートの計画を明かしていますし、これからもスウェーデンの影を宿したメタルイノベーターから目を離すことは出来ませんね。何より、全ては彼の壮大な計画の一部に過ぎないのですから。

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2: YOB “OUR RAW HEART”

スラッジ、ドゥーム、ストーナーのプログレッシブで多様な進化はもはや無視できないほどにメタルの世界を侵食しています。中でも、オレゴンの悠久からコズミックなヘヴィネスと瞑想を標榜し、ドゥームメタルを革新へと導くイノベーターこそ YOB。バンドのマスターマインド Mike Scheidt は2017年、自らの終焉 “死” と三度対峙し、克服し、人生観や死生観を根底から覆した勝利の凱歌 “Our Raw Heart” と共に誇り高き帰還を遂げました。
「死に近づいたことで僕の人生はとても深みを帯びたと感じるよ。」と Mike は語ります。実際、”楽しむこと”、創作の喜びを改めて悟り享受する Mike と YOB が遂に辿り着いた真言 “Our Raw Heart” で描写したのは、決して仄暗い苦痛の病床ではなく、生残の希望と喜びを携えた無心の賛歌だったのですから。
事実、ミニマルで獰猛な2014年の前作 “Clearing the Path to Ascend” を鑑みれば、全7曲73分の巡礼 “Our Raw Heart” のクリエイティビティー、アトモスフィアに生々流転のメタモルフォーゼが訪れたことは明らかでしょう。
作品のセンターに位置する16分の過重と慈愛の融合 “Beauty in Falling Leaves” はまさに YOB が曝け出す “Raw Heart” の象徴でした。甘くメランコリックなイントロダクションは、仏教のミステリアスな響きを伴って Mike の迫真に満ちた歌声を導きます。それは嵐の前の静けさ。ディストーションの解放はすなわち感情の解放。ベースとドラムスの躍動が重なると、バンドの心臓ギターリフはオーバートーンのワルツを踊り、濃密なビートは重く揺らぐリバーブの海で脈動していくのです。バンド史上最もエモーショナルでドラマティックなエピックは、死生の悲哀と感傷から不変の光明を見出し、蘇った YOB の作品を横断するスロウバーン、全てを薙ぎ倒す重戦車の嗎は決して怒りに根ざしたものではありませんでした。
結果として YOB は THOU や KHEMMIS と共にドゥームに再度新風を吹き込むこととなりました。例えば CATHEDRAL の闇深き森をイメージさせるオープナー “Ablaze” ではジャンルのトレードマークにアップリフティングでドリーミーなテクスチャーを注入しドゥームの持つ感情の幅を拡大しています。
そうしてアルバムは僅かな寂寞とそして希望に満ちた光のドゥーム “Our Raw Heart” でその幕を閉じます。人生と新たな始まりに当てた14分のラブレターは、バンドに降臨した奇跡のマントラにしてサイケデリックジャーニー。開かれたカーテンから差し込むピュアな太陽。ポストメタルの領域にも接近したシネマティックでトランセンドな燦然のドゥームチューンは、彼らとそしてジャンルの息災、進化を祝う饗宴なのかも知れませんね。

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3: SVALBARD “IT’S HARD TO HAVE HOPE”

女性の躍動と、多様性、両極性を旨とする HOLY ROAR RECORDS の台頭は2018年のトピックでした。越流するエモーションをプロテストミュージックへと昇華し、英国ブリストルから咆哮を貫く至宝 SVALBARD はまさにその両者を象徴する存在です。熾烈なメタル/ハードコアにポストロックの叙情と風光、ポストメタルの思索と旅路を織り込みさらなる多様化の波動を導いた新作 “It’s Hard to Have Hope” はシーンの革新であり、同時に閉塞した世界が渇望する変化への希望となりました。
確かに “It’s Hard to Have Hope” は怒れるアルバムで、中絶、性的暴力、リベンジポルノ、インターンシップの無賃雇用など不条理でダークな社会問題をテーマとして扱っています。
さらには、「このアルバムは、ステージに女の子が立つことにネガティブなコメントを寄せる人たちに対する私からの返答よ。”女性をメタルから追い出せ!” と言うような人たち、コンサートで女性にハラスメント行為を行う人たち。これは彼らに対する私からの恐れなき怒りの返答なの。」と語るように、女性フロントマンとして Serena が長年メタルシーンで苦しんできたハラスメント行為の数々も、作品の持つ怒りの温度を “フェミニストのメタルアルバム” の名の下に上昇させていることは明らかです。
とはいえ、この類稀なる感情と表情の結晶が、唯一怒りにのみ根ざすわけではないこともまた事実でしょう。実際、Serena はこの作品の目的が “人々にこういった社会的不公平を伝えるだけではなく、なぜそういった問題が起き続けるのか疑問を投げかけることだった” と語っています。「誰が正しいのか互いに主張し合うのを止めてこう尋ねるの。一緒に前進するために何ができるだろう?より良き変化のためお互い助け合えないだろうか?とね。」とも。
そうして世界のターニングポイントとなるべくして示現した “It’s Hard to Have Hope” に、一筋の光明にも思える尊きアトモスフィア、荘厳なる音の風景がより深く織り込まれていることはむしろ当然の進化だと言えるでしょう。
CULT OF LUNA や MY BLOODY VALENTINE のイメージこそ深化の証。そうしてポストブラックの激しさと光明を背負った彼女は悲痛な叫びを投げかけます。「いったい誰が女性を守ってくれるの?」

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4: ROLO TOMASSI “TIME WILL DIE AND LOVE WILL BURY IT”

シェフィールドのジキルとハイド、光彩と陰影を司る世界で最も拡張的で多様なエクストリームイノベーター ROLO TOMASSI も同様に、女性と Holy Roar の躍進に大きく寄与しています。
ダイナミズムの極地。最新作 “Time Will Die and Love Will Bury It” はさながらピンボールのように、崇高と混沌の狭間を行き来しながらプログレッシブマスコアのフロントローを奪取しました。
デビュー作 “Hysterics” から10年。バンドは常に再創造、再発明によるコアサウンドの “羽化” を続けながら、気高き深化を遂げて来ました。シンセ-レイドゥンのデジタルなマスコアサウンドから旅立つ分岐点、ターニングポイントとなったのは前作 “Grievances” だったのかもしれませんね。
アグレッションやマスマティカルな理念はそのままに、より有機的でアトモスフェリックな方法論、パッセージを導入したアルバムは、仄暗い暗澹たる深海に息継ぎや空間の美学を投影したユニークかつ思慮深き名品に仕上がったのです。
事実、バンドのトレードマークであったビビッドに拡がるシンセの響きでさえ、大部分が物憂げなピアノとストリングスの音景へそのポジションを譲渡していたのですから、実にドラスティックな革新だったと言えるでしょう。
“Time Will Die and Love Will Bury It” はその新風を追い風に、常にバンドに息衝く変化への渇望をより鮮明に表層化した作品です。
そして同時に、「確かに “Grievances” は罪と後悔にフォーカスしたとてもダークでモノクロームなレコードだったよね。そして僕はあのレコードで書いた全てのものを克服したかったんだよ。」と James が語る通り、不満と後悔に決別を告げるリスタートの表明でもあるのです。
中でも、時に悪魔にも豹変する Eva Spence のスイートサイド、エセリアルに漂う歌声は実際、奔放かつ痛烈なマスコアにシューゲイズやエモ、インディーロックを渾融する彼らの新たなレジスタンスを想像以上に後押ししていますね。

5: JUDAS PRIEST “FIREPOWER”

ROB HALFORD は「君たちがどんな人種、宗教、パーソナリティー、ジェンダーであろうと構わない。ただ一緒に歌って欲しいんだ。それこそがメタルにとって最高の瞬間なんだから。」と語ります。
ロックの世界でメタルは長い間虐げられて来ました。リスペクトも得られず、後方に追いやられていた中で Rob は常に偉大なジャンルだと言い続けて来たのです。だからこそメタルファンは最もオープンマインドで、我慢強く、優しさに満ちていると彼は信じています。
Rob がゲイであることを告白してから20年の月日が経ちました。世界がその “違い” を受け入れるまでにはまだまだ長い道のりが待っていると彼は感じています。ただし、メタルを正当にリスペクトを得られるジャンルへと導いた様に、一方で、メタルも遂に女性の躍動を受け入れ出したように、Rob は様々な “違い” がもたらす不平等がなくなるまで戦い続けるはずです。
“Firepower” はそしてその熱く輝く正義のステイトメントです。JUDAS PRIEST は例えギターの両翼を失おうともとどまることはありません。キャッチーでシンガロングを誘うメロディーライン、緻密に張り巡らされたリピートを誘うフックの数々。何より、来日公演で証明した様に、エモーションとテクニックを完璧にミックスする Richie Faulkner という稀代のプレイヤーを得たバンドは瑞々しさに満ち溢れています。
「クレイジーな世界だとは思わないかい?これからは、ただお互いを愛し、受け入れていくことを考えるべきなんだ。人生は短いんだから。」

6: RIVERS OF NIHIL “WHERE OWLS KNOW MY NAME”

テクニカルデスメタルのプログレッシブな胎動も今年のトピックの一つでしょう。
テクニカル、メロディック、デスコア、ブルータル。雨後の筍のごとく現れるデスメタルアクトの大半は、エモーションのスペクトルを怒りに起因する狭い領域へとフォーカスし、ある意味では檻の中で固定観念と共に囚われているようにも思えます。
「この作品では、僕たちが期待されているようなサウンドを放棄した。」と Adam が語るように、RIVERS OF NIHIL が “Where Owls Know My Name” で達成した偉業は、真にユニークな感性で鋼鉄の慣習から羽ばたいたその勇気にあると言えるでしょう。
The Silent Life” はまさに革命。CANNIBAL CORPSE と KING CRIMSON が果たした未知との遭遇。例えることは容易いですが、実際、獰猛な猟奇性と神々しき英知を寸分も失うことなく一つのサウンドクラフトに収めることがどれほど困難かは想像に難くありません。何より彼らのデザインはあまりに自然で、神々の創造物のように生き生きとした姿を晒しているのですから。
さらに “Subtle Change (Including the Forest of Transition and Dissatisfaction Dance)” はアルバムのハイライトだと言えるでしょう。
“Epitaph” を思わせる悲壮なアコースティックをイントロダクションに据えた8分30秒のエピックは 「KING CRIMSON は僕のオールタイムフェイバリットバンドなんだよ。」と Adam が語る通りクラッシックなプログロックの息吹を全身に宿した濃密な叙情のスロウダンス。ソフトでエレガントな繊麗と、野蛮で蒼然としたアグレッションは、ギターやサクスフォン、オルガンのトラディショナルで大胆ななソロワーク、プログロックのダイナミックな変拍子やシーケンスを抱きしめながら、詩情と偉観そして奇妙なカタルシスを伴って文明の移り変わりを描く壮大なマグナムオパスを形成するのです。
まさにメタルとプログのタイムラインに交差する異形のランドマーク。モダン=多様性とするならばこの作品ほど “モダン” なスピリットを抱いた奇跡は存在しないでしょう。多様で創造性に満ち、複雑でしかし凄艶な星の一生を目撃するサイエンスフィクションは、数年前に FALLUJAH がアトモスフィアと共に導入したジャンルのパラダイムシフトをも超越し、さらに時空を行き来するタイムマシンなのかも知れませんね。

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7: ZEAL & ARDOR “STRANGER FRUIT”

過酷な奴隷制、差別の中から産声を上げた嘆きと抵抗、そして救いを包含するゴスペル、ブルース、ソウル。スピリチュアルで魂宿る黒人音楽をエクストリームメタルへと織り込み、刻下の不条理を射影する ZEAL & ARDOR はヘヴィーミュージック未踏の扉を開く真なる救世主なのかもしれません。
全ての始まりはインターネットの功罪を象徴する匿名掲示板でした。スイス人の父とアフロ-アメリカンの母を持つ Manuel Gagneux は 4chan のメッセージボードである募集を行いました。2つの異なるジャンルをミックスして音楽を作るのでその候補を挙げて欲しいと。
彼の目にとまったのは、ネット上に一定数存在する所謂 “ヘイター” からの投稿でした。「 “ブラック” メタルと “黒人” 音楽をミックスしてみろよ。」その人種差別主義者からの言葉は、アフロ-アメリカンの血を引くアーティスト Manuel を掻き立てるに十分の悪意を纏っていたのです。
そうして Manuel は、”もし黒人奴隷がイエスではなくサタンを信仰していたら?” をコンセプトにブラックメタルとスピリチュアルを融合し、ZEAL & ARDOR のデビュー作 “Devil is Fine” を完成させました。つまり、エクストリームミュージックにとって肝要な未踏の領域への鍵は、皮肉にも人種差別主義者に対する究極の “Fxxk You” だったと言えますね。
Manuel のソロプロジェクトだった ZEAL & ARDOR をフルバンドへと拡大し、リスナーのみならず PROPHETS OF RAGE や CONVERGE といったメガアクトからの注目までをも一身に集めた最新作 “Stranger Fruit” は、作品のテーマ、音楽共に更なる進化を果たしたマイルストーンに仕上がりました。
「今日でも、アメリカの黒人はハラスメント行為を受け、街角でも撃たれて死んでいっているのが現状だよ。そうしてそういった差別や事件は、未だに当たり前で普通の出来事として受け入れられてしまっているんだ。僕は差別を当然に思うそっちの感覚の方が “Stranger” おかしいと思うんだよ。」とインタビューで Manuel は語ります。Bille Holiday が “Strange Frute” でおよそ80年前に告発した人種差別の陰惨は、現代でも決して消え去ることはなく、むしろ完全な日常として定着してしまっている。
Manuel のそうした想いは墓掘り人、奴隷、隠者といった歴史のトラウマ、過去の遺物にも思える存在を墓場から掘り起こし、現代社会が抱える闇と巧みに対比しオーバーラップさせながら人に備わる罪と不条理を浮き彫りにしています。「このアルバムの歌詞が過去について歌っているのか、現在について歌っているのか不確かな事実はとても興味深く、そしてまた非常に悲しいことだと思う。」

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8: SLEEP “THE SCIENCES”

2018年初頭に実現した SLEEP の初来日は、日本のメタルシーンにとってまさにビッグイベントでした。その圧と威厳は、例え香ばしい煙を欠いていたとしても、あまりに強烈で未体験の幻覚をもたらしてくれたのですから。
その幻覚は15年振りのカムバックアルバムへと続いていました。ただし、彼らの興味は未だマリファナへとフォーカスしているにしても、リフワーク、リズムのフック、マントラの歌唱には確かな成熟が刻まれていたのです。Matt Pike は HIGH ON FIRE で、Al と Chris は OM でそれぞれ培ったものが投影されたのかもしれませんね。つまり、モダンストーナーの父は未だにその挑戦の手を緩めはしていません。
アンビエントでモノトーンなムードを創出する “Marijuanaut’s Theme”、Al に多大な影響を与えたエジプト神話のギザと Geezer Butler を同居させる “Giza Butler”、Matt の多様なギターワークが光るダークブルース “The Botanist”。ヒプノティックでプログレッシブな世界観はよりフックを帯びて先駆者の矜持を示すのです。
「バンドを始めた頃はいつもキマッていたからサバスばかり聴いてたんだ。全世界がサバスだった。他のバンドは速すぎたんだ。」

9: HALESTORM “VICIOUS”

「今では女性の方が男性よりチケットを買ってくれることだってあるんだ。こんなことはハードロックの歴史でかつてなかったよ。伝統的に、ヘヴィーな音楽は男性のものだと思われてきたからね。」
王道をコンテンポラリーへと導く HALESTORM の Joe Hottinger はその驚きを隠そうとはしません。
もちろん、その成果をもたらしたのが、メタル史上最も影響力の強いフロントウーマン Lzzy Hale であることは明らかでしょう。
「実際、これほどヘヴィーな音楽がジェンダーレスになったのは初めてだと思うわ。観客は本当に多様で、女性だけじゃなく男性もプライドをもってショウに足を運んでくれるの。」それは Lzzy の正直で真摯な姿勢の賜物です。事実、彼女は自身がバイセクシャルであることも公表しています。
そうして、バンドの歴史で最もパーソナルでヘヴィーなレコードとなった “Vicious” は、よりダイレクトに彼女のアメリカに対する思いやセックスについての考えを反映することとなりました。GHOST, KORN, ALICE IN CHAINS, MASTODON を手がけたプロデューサー Nick Raskulinecz のフレキシブルなヴィジョンも、アンセムからバラードまでロックの骨子をアップデートした作品の肝となっているのでしょう。
「私は何も制限されることがない家庭で育ったの。女の子なんだからそんなことはしちゃダメなんて一度も言われたことがなかったわ。」

10: ICHIKA “SHE WAITS PATIENTLY”, “HE NEVER FADES”

光耀を増した夢幻のクリスタル。琴線の造形師 ichika がギターとベースで奏でるダブルファンタジー “she waits patiently” “he never fades” は、音聖のプロローグを透徹した美意識で彩ります。
「”forn” を作るときに話の全体の大きな流れを作り、それを “forn” と “she waits patiently”、”he never fades” の3つに分けました。」と語るように、冒険の序章はトリロジーとして制作されています。”forn” と “she waits patiently” は女性視点で、”he never fades” は男性視点で描かれたストーリー。そして ichika はギターを女声に、ベースを男声に見立てその物語を紡いでいるのです。
「僕は普段曲を作る前にまず物語を作り、それを音楽で書き換えようとしています。聴き手に音楽をストーリーとして追体験させることで、より複雑な感情に誘導することが出来るのではないかなと思っているからです。」という ichika の言葉は彼の作品やセンスを理解する上で重要なヒントとなっています。
彼の楽曲に同じパートが繰り返して現れることはほとんどありません。もちろん、テーマを拡げる手法は時折みられるものの、単純に同じパッセージを再現する場面は皆無です。つまり、映画や小説が基本的には同じ場面を描かず展開を積み重ねてイマジネーションを掻き立てるのと同様に、ichika の楽曲も次々と新たな展開を繰り広げるストーリーテリングの要素を多分に備えているのです。小説のページを捲るのにも似て、リスナーは当然その目眩く世界へと惹き込まれて行くはずです。

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11: DAUGHTERS “YOU WON’T GET WHAT YOU WANT”

“欲しいものは手に入らないよ”。音楽に限って言えば “叶わぬ望み”、それは決して悲観すべき状況とのみは言い切れないのかも知れませんね。
ロードアイランドの州都プロビデンスで、最も不遜にして刺激的な音圧を刻み続ける実験のエクストリームアクト DAUGHTERS は、リスナーの期待に易々と添うことを良しとせず、臆す事なくジャンルの壁を粉砕し、サディスティックにそのクリエイティブなビジョンと牙を研ぎ澄ましています。
実際、8年振りのご褒美 “You Won’t Get What You Want” のタイトルは、かつての姿を望む全てのファンに向けた警告であり、放棄の証とも言えるのです。「このタイトルはディスクレーマーさ。期待は時に助けよりも妨げになるという事実を、みんなに思い起こしてもらうためのね。僕たち自身も含めてね。」 Alexis Marshall がそう語る通り、バンドは常に変化の中から内なるモンスターを覚醒させていくのです。
Hydra Head から Ipecac への移籍、産みの苦しみを経て、”You Won’t Get What You Want” は遂に陽の目を見ることとなりました。リスナーが手に入れたのはもちろん、初期の凶暴な源衝動でもなければ前作の受け入れ易い躍動するアグレッションでもありません。
オリエンタルに、トライバルに、ゴシカルに、耳を惹くフックを盛り込みながら、不協和音のエッジ、無慈悲なマスビート、ハーモニーの崩壊を究極まで突き詰め全てを漆黒に塗り潰すバンドの方法論、アートロックのセレモニーはあまりに異形。ロウテンポからミッドテンポの真中を蠢くノイズの海に、グラインドとミニマル成分を注入したムーディーな戦慄。この切迫した焦燥感、アトモスフィアはさながら Stephen King の映画のように、リスナーの神経をジリジリと蝕んでいきます。

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12: VOIVOD “THE WAKE”

プログレッシブとスラッシュの狭間でSFのスリルを享受するケベックの神怪 VOIVOD。5年ぶりとなるフルアルバム “The Wake” の異形と暴威は、バンドの結成35周年を祝賀する来日公演で Voivodian を狂気の渦へと導誘します。
バンドにとって何より僥倖だったのは、テクニカルデスのカルトヒーロー MARTYR で雄名を馳せた Chewy こと Daniel Mongrain を迎えたことでしょう。
インタビューで、「僕は11歳の時から VOIVOD のファンで、それこそ狂ったように聴いて来たんだから、もう僕の音楽的な DNA の一部、最も大きな影響の一つだと言えるだろうね。」と語るように、”Target Earth” でバンドに加わって以降、Chewy はあの不協和音とテンションの魔術師 Piggy の遺伝子をしっかりと受け継ぎながら、さらに VOIVOD の意外性、多様性を逞しく拡大しているのです。
バンド史上最も “シネマティック” で “キャッチー” なコンセプトアルバム “The Wake” はその進化を如実に証明するマイルストーン。象徴するは12分のエピック “Sonic Mycelium”。
「”The Wake” では全てが “チームスピリット” の下に制作されたんだ。」 その言葉は真実です。張り巡らされたディソナンスとテンションの菌糸をぬって、重層のコーラスさえ従えた煌めきのメロディーは新生 VOIVOD の野心を再び主張し、ポストロックの多幸感さえ仄めかせながらストリングスの絨毯へとあまりにコレクティブなプログレッシブの息吹を着地させるのです。

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13: ALKALOID “LIQUID ANATOMY”

テクニカルデスメタルの牙城、ドイツに惹起する維新の兆し。千軍万馬の猛者が締盟したプログレッシブの絆 ALKALOID は、最新作 “Liquid Anatomy” で天壌の宇宙から中毒性のマイクロウエーブを発します。
ALKALOID ほどスーパーバンドの表現が相応しい音楽集団はそう多くはないでしょう。これまでメンバー5人がかかわってきたバンドは、DARK FORTRESS, NONEUCLID, SPAWN OF POSSESSION, OBSCURA, NECROPHAGIST, ABORTED, GOD DETHRONED, BLOTTED SCIENCE と文武両道の精鋭ばかり。
中でも、「僕たちが NECROPHAGIST と OBSCURA で始めたことを今では無数のバンドがやっているんだ。」と語る通り、局所性ジストニアによる中指の不遇をも覆す不屈のギターマエストロ Christian Muenzner、新たに HATE ETERNAL にも加入したギターとピアノを操るドラムユーティリティ Hannes Grossmann のかつての音楽的なアイデアが、現在の包括的な Tech-metal への崇高なるインスピレーションとなっていることは明らかですね。
とはいえ、「僕たちは新たなバンド、プロジェクト、アルバムの度に自分たちを”再発明”するようにしているんだよ。特定のスタイルに執着してしまわないようにね。」と Christian が語るように、 ALKALOID は定型化したテクデスの様式、さらには傑出したデビュー作さえ過去の時空へと置き去りにしながら、RIVERS OF NIHIL, IHSAHN, HAKEN, GHOST ともシンクロするクラッシックなプログのスピリットを昇華した新たなメタルの潮流に身を委ねているのです。

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14: THE OCEAN “PHANEROZOIC Ⅰ: PALAEOZOIC”

「MASTODON が “白鯨” の作者 Melville についての文学の教室なら THE OCEAN は地球科学の教室だろう。」”地球の地質に対するドイツからの賛歌” と讃えられるポストメタルの研究者 THE OCEAN は、全てのアートの母である自然とその摂理を音のビジュアルプレゼンテーションとして誰よりも濃密に響かせます。
アルバムや楽曲タイトル、リリックにサウンドスケープ。時にマジカル、時に険しい自然のイメージを知性的なメタルのフレームへと織り込み、エモーショナルで革新的なポストメタルの森羅万象を司るドイツの賢人は、そのディスコグラフィーさえも変化を繰り返す地球環境のクロニクルとしてメタルの図書館へと寄贈します。
2007年にリリースした二枚組 “Precambrian” は、地球が誕生し生命を育むまでの先カンブリア時代を縦横無尽に描き、シーンが求めるエピックの使者としてバンドをポストメタルの旗手へと導きました。そして11年の後にリリースする最新作 “Phanerozoic” は先カンブリアが終焉を迎え、肉眼で見える生物が跋扈する顕生代を綴った太古の続編となりました。
アルバムの全体的な審美性はまさしくポストメタルのアート、ダイナミズムへと傾倒しながら、ミニマルで装飾を削ぎ落としたスタイリングという意味ではよりソリッドな構築術への移行も伺えます。一方で意思を持たないしかし残酷な自然の暴走さえ巧みに操るコンポージングの妙、斬新的なモチーフは “Thinking Man’s Metal” を受け継ぐ思慮深きバンドのプログレッシブな精神を見事に体現していますね。

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15: OBSCURA “DILUVIUM”

哲学するプログレッシブデスメタルの巨塔 OBSCURA は、アルバム4枚にも及んだ悠遠かつ考究のコンセプトサイクルを最新作 “Diluvium” で遂に完結へと導きます。Schopenhauer, Goethe, Schelling といった母国ドイツの哲学者にインスピレーションを得た、実存の真理を巡るコスモジャーニーは “Cosmogenesis” のビッグバンから “Diluvium” で迎える終焉まで生命の存在意義を思慮深く追求し描くのです。
或いは、もはや OBSCURA を “Tech-death” という小惑星へと留めることは烏滸の沙汰だと言えるのかも知れませんね。「僕は Tech-death シーンにはイノベーションがとても欠けていると感じていたんだ。実際、僕は Tech-death というタームより “プログレッシブデスメタル” の方を気に入っているからね。」と Linus が語るように、赤と黒が司る終末の物語は皮肉にもバンドに進化を促す未曾有の翼を与えることとなりました。
「今回、僕は本当にバンド全員が同じだけ “Diluvium” の作曲に貢献したと思っているんだよ。だから当然その事実は多様性へと繋がるわけさ。」と Linus が語るように、ある意味バンドのマスターマインド Steffen が一歩引いて民主化を進めることで “Diluvium” の充実度、多様性は飛躍的に上昇したと言えるのかもしれませんね。

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16: VEIN “ERRORZONE”

CODE ORANGE, HARM’S WAY, JESUS PIECE, そして VEIN。ハードコア新世代の台頭、クリエイティビティはエクストリームミュージックの世界に旋風を巻き起こしています。
中でも、ボストンが輩出した VEIN のキャッチーでレガシーを再構築する多様性は、実に分かりやすく刺激的です。
CONVERGE, BOTCH, THE DILLINGER ESCAPE PLAN といったメタリックなハードコアの鼓動を基盤に、KORN, SLIPKNOT, DEFTONES 所謂 Nu-Metal のデザインやピースを大胆に盛り込んだ彼らの手法は、強引でしかし実に魅力的な実験となりました。
まさに “ポストミレニアムフュージョン” とでも呼ぶべき “Errorzone” を前にして、Anthony DiDio は語ります。「何かを創作している時だけが自分を誇れる瞬間だ。そうじゃない時は価値が無いように感じてしまうんだ。メタリックハードコアとニューメタルはこれまで交わることがなかったけど、両者をリスペクトする俺らなら自然に意識せずミックス出来るんだ。」

17: ALICE IN CHAINS “RAINIER FOG”

「友が亡くなってから15年が経った。そろそろ前に進まなきゃと思ったんだ。」ALICE IN CHAINS はシアトルの象徴 Mount Rainier をタイトルに冠し、シアトルに戻ってレコーディングを行った “Rainier Fog” で遂にその霧を晴らします。
「音楽を聴いて、ダンスしたい、ヘッドバンキングしたい、エアギターしたいと思ったら、そこにはエモーションが存在するってことなんだ。音楽はそれが全てだよ。」Jerry Cantrell がそう語るように、Layne Staley がもたらした陰鬱と迫真を再現することはもはやバンドにとって重要ではありません。過去の様々な亡霊へと捧げるトリビュートは、確かに悲しくダークな思い出を歌詞へと封じながらも、グランジの枷を振りほどきより自然体なロックバンドへと変貌を遂げた極上のマイルストーンです。
アルバムを通じて貫かれる William DuVall と Jerry Cantrell のボーカルデュエルは在りし日の彼らを想起させますが、よりメロディックに、よりビッグに、よりフックに富み、より多様に展開されるダークブルース、サイケデリックな世界はキャッチーと言えるほどに耳を潤します。
「人生は永続的なものじゃない。それがバンドならなおさらだよ。」

18: GOGO PENGUIN “A HUMDRUM STAR”

「GoGo Penguin はメンバー3人ともジャズをプレイして来た歴史があるけど、同時に他のタイプの音楽も聴いてプレイして来たんだよ。だから、そういった好きな要素をバンドに持ち込むのは当然だよね?」 大胆さと繊細さを兼ね備えた ベーシスト Nick が語るように、GoGo Penguin の音楽は2010年代の拡大拡散するジャズを象徴する多様性に満ちています。
三者が学問として学んだクラッシック、ジャズを基盤として、エレクトロニカ、インディーロック、ポストロックへの愛が溢れるそのエクレクティックで斬新なデザインは、英国の音楽賞マーキュリープライズへのノミネートやニューヨーク・タイムズ紙による ”SXSW 2017”のベスト・アクト12への選出が実証するように高い注目、評価を集め続けているのです。
さらに踏み込んで思考を進めれば 「UK、特にマンチェスターでは、何がジャズで何がジャズじゃないかなんて気にしていないんだよ。」 という一言が目に止まるはずです。
世界を驚かせた拡大するコンテンポラリージャズのプロパガンダ “Jazz The New Chapter” ですが、実際は Nick も語るように、ある種未だ伝統的な中心地アメリカから遠く離れた UK でこそ衝撃的なブレンドのカルチャーが勃興しているのです。先日インタビューを行った MAMMAL HANDS にも言えますが、結合物がブラックミュージックであれ、エレクトロニカであれ、ポストロックであれ、最早彼らの創造する “ジャズ” は “ジャズ” ではない何かへと移行しつつあるようにも感じますね。

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19: CULT LEADER “A PATIENT MAN”

ソルトレイクに兆すエクストリームミュージックの胡乱なニューリーダー。異端の唱道者 CULT LEADER が掲げる教義は、陶酔を誘う魔性のカオスとノワールです。
2014年のデビュー EP “Nothing for Us Here” 以来、CULT LEADER はメタリックでブルータルなハードコアの鼓動に、プログレッシブやドゥーム/スラッジの息吹と悲哀の情操を投影し、カオティックで多様な宇宙を創造して来ました。
実際、インタビューで Anthony も 「もし僕たちがある特定のジャンルに限定されてしまったら、もはやバンドとして機能しないとさえ思うんだ。それほど僕たちの音楽性は多岐に富んでいるんだよ。」 と語っています。
ただし、それでも黒の指導者が提示する新たなバイブル “A Patient Man” は、敬虔な信者にこれまで以上の圧倒的驚愕とカタルシスをもたらす大いなる預言書、もしくは洗礼だと言えるでしょう。
CONVERGE と Chelsea Wolfe, Nick Cave の薄幸なる婚姻。涙するスカルをアートワークにあしらったこの作品を、端的に表せばこういった表現になるでしょうか。
言い換えれば、ランニングタイムのおよそ半分はグラインドとハードコアのカオス。一方で残りの半分はバリトンボイスで紡がれるデリケートなノワールへと捧げられているのです。

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20: JYOCHO “美しい終末サイクル”

「サイクルという、法則という、我々では感知できない様なものに普段生きていると左右されています。個人は勿論、社会や国もそうだし、この地球も、この宇宙も、一つの法則やサイクルによって左右されています。この時代になり、それをわたしたちで哲学し検証する必要性が更に増して来たと感じました。 “美しい終末サイクル” は、わたしの哲学となり得るものです。」
生と死、光と陰、始まりと終わり、複雑とポップ、オーガニックとメカニカル。情緒という “いのち” を紡ぎ続けるギタリスト、だいじろーと JYOCHO の導く螺旋のサイクルは、森羅万象の両極を紐解く美しのメッセージです。
“祈りでは届かない距離”、”碧い家で僕ら暮らす”、そして “互いの宇宙”。これまで2枚のミニアルバムと1枚の EP をリリースして来た現代社会の語り部 JYOCHO。
渾淆するプログレッシブ、マスロック、ポストロック、ポップの仮初めの営みを、まるで心理学と幾何学の両極から検証し哲学するような絶佳のサウンドスケープには深い説得力とエモーションの煌めきが備わっています。
そして、様々なコントラストが彩った彼らのファーストサークルは、初のフルアルバム “美しい終末サイクル” で完結と共に新たな螺旋を描き始めるのです。

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21: SARAH LONGFIELD “DISPARITY”

Fender が行った調査によると、近年新たにギターを始める人の半数が女性であるそうです。その傾向を裏付けるように、Yvette Young, Nita Strauss, Orianthi Panagaris などテクニカルなロックやメタルの世界においてもギターヒロインの存在感、輝きは増す一方だと言えるでしょう。
Sarah Longfield。仄暗く凍える湖と森を抱くアメリカ中西部の最北、ウィスコンシンから登場した25歳の美姫は、さながらギターシーンのジャンヌダルクなのかも知れませんね。
魔女か英雄か。さらにはチェロ、パーカッションまで嗜む才女のエクレクティックな素養とオープンマインドは、メタルの様式、伝統、アグレッションを地図にない未踏の領域へと導いていきます。
「最新作は実際、前作とは全く異なるアルバムになったわね。焦点がよりオーガニックなマテリアルにシフトされ、私の持つ様々な影響を探求することが出来るようになったのよ。」 と語る Sarah。つまり、不均衡や差異を意味するタイトルを冠した最新作 “Disparity” は、遂に彼女本来の魅力を余す事なく伝えるマイルストーンに仕上がったと言えるはずです。
「私は女の子がギターをプレイすることがいたって普通な世の中になってただ本当に嬉しいのよ。」ウィスコンシンの乙女は果たして高潔か異端か。それは歴史が語るでしょう。

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22: SKELETONWITCH “DEVOURING RADIANT LIGHT”

ブラックメタル、メロディックデスメタルを獰猛な原衝動、スラッシュメタルに奉呈し、”ブラッケンド-スラッシュ” の峻路を切り拓くオハイオの妖魔 SKELETONWITCH。
元 VEIL OF MAYA、現 WOLVHAMMER のフロントマン Adam Clemans を迎え入れた彼らは、アトモスフェリックなブラックメタル、アンビエント、プログレッシブなどその多様性を一際研ぎ澄まし、地殻変動に端を発するネクストレベルのクリエイティビティーへと到達することになったのです。
バンドのロゴやアートワークの方向性まで変更しリリースした “Devouring Radiant Light” は、実際 “再発明” のレコードです。
「アルバムには大きく分けて二つのスタイルが存在していると思う。」と Scott は語ります。そして Nate は直線的でスラッシー、Scott は重厚でプログレッシブ。コンポジションの棲み分けを念頭に置けば、”Devouring Radiant Light” は Scott の遺伝子をより多く受け継いだ麒麟児の光明だと言えるでしょう。

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23: MICHAEL ROMEO “WAR OF THE WORLDS / PT.1”

Michael Romeo は自己超克を命題に刻む、ストイックなギターウィザードです。一定のスタイルを確立した後、そのクオリティーを安住の地とするプレイヤーが多い中、SYMPHONY X のマスターマインドはイノベーションを続けます。
「僕にとっては、異なることに挑戦したり、新しく興味深い何かを創造したりといったことの方が大きな意味があるんだよ。」と語る通り、Michael は SYMPHONY X を通してその豊潤なビジョンと、アップデートを重ねた先鋭なる時代性を表現して来たのです。
“War of the Worlds/Pt.1” は、まさにそのビビッドな開拓的スピリットを体現した作品だと言えるでしょう。
インタビューで、「僕はこのアルバムでメタルに映画音楽の要素をミックスしたかったんだ。」 と語ったように、実際 “War of the Worlds/Pt.1” こそが、チャレンジングかつ前人未到のオーケストラルなシネマティックメタルであることは明らかです。
もちろん、RHAPSODY のようにクラッシックや民族音楽を、オーケストラルにメタルファンタジーへと落とし込む手法はこれまでもありました。しかし、Bernard Hermann や John Williams, Hans Zimmer といった、コンテンポラリーなシネマミュージックの息吹を濃厚に抱きしめる Michael の手法と慧眼は、近年の多様でカラフルなモダンメタルレボリューションの中でも際立っていますね。

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24: MØL “JORD”

興隆するデンマーク黄金世代の鋭鋒。常闇で光芒に焦がれしブラックゲイズの申し蛾 MØL がリリースした透徹のデビュー作 “Jord” は、ジャンルの虫籠を稀有なる羽音で切り裂きます。
セレスティアルな空気をエクストリームの白刃で裁断し巻き起こすバンドの “嵐” は、DEAFHEAVEN, GHOST BATH, OATHBREAKER, heaven in her arms 等と共にブラックゲイズの地図に新風を吹き込んでいます。
MØL がこの新興サブジャンルで傑出している点はコンパクトなバランス感覚から際立つコントラストかもしれませんね。エセリアルなシューゲイズサウンドとブラッケンドのアグレッションが双璧を成すジャンルにおいて、MØL ほどその両翼を巧みに美しく羽ばたかせるバンドはいないでしょう。
どちらか一方にに重心を振り、ともすれば片翼をほとんど犠牲にするバンドも多い中、8曲42分というコンパクトなデザインの中で光と闇を鮮明に浮き上がらせる彼らの手法は際立っています。
リリースはこちらも Holy Roar から。「現在デンマークシーンは才能と共に爆発的な進化を遂げているよ。まさにメタルの黄金世代が勃興しているのさ。」

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25: REVOCATION “THE OUTER ONES”

エクストリームメタルシーンの “名状しがたきもの”。刻々とその姿を変える轟音の支配者 REVOCATION は、神秘探求者たるリスナーの脳を時に捕捉し、時に喰らうのです。
「彼らは時代によって音楽性を少しづつ変化させていたでしょ?」David は信奉する DEATH の魅力についてそう語りましたが、自らのバンド REVOCATION にも同様の試みを投影しています。
ハイテクニカルなデスメタルの知性とスラッシュメタルの衝動の中に、オーセンティックなメタルの様式美を組み込んだ初期の煌きは眩しく、一方で鬼才 ARTIFICIAL BRAIN にも所属する Dan Gargiulo 加入以降の、前衛的で中毒性を宿した VOIVOD にも通じる不協和のカオスもまた魅力の一つだったと言えるでしょう。
そうして最新作 “The Outer Ones” でバンドが辿り着いた魔境こそ、トレードマークである演奏能力とアグレッションを拠り所とする”完璧なデスメタル”、すなわち “The Inner Ones” に、荘厳でリリカルなメロディーのイヤーキャンディーやジャズの複雑怪奇、すなわち “The Outer Ones” を織り込んだコズミックな宇宙でした。

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26: FRONTIERER “UNLOVED”

2015年、”世界で最も醜悪なマス-プロブレム” の異名と共にデビューフル “Orange Mathematics” で来臨したスコットランドとセントルイスの混成軍 FRONTIERER は、即座にシーンのセンセーションとなりました。
「愚かなほどにヘヴィーな音楽を創造する。」ただそれだけの目的と欲望のために生を受けた騒音の開拓者が切り開くフロンティアは、まごう事なきネクストレベルの Tech-metal です。
難解な数式を深々と組み込んだ変拍子の渦、ブレイクビーツとジャングルテクノの鋭き破片、ブラッケンドの無慈悲なアグレッション。Pedram 言うところの “コントロールされたランダム”、予測不能の方程式は THE DILLINGER ESCAPE PLAN 亡き後のマスコアワールドを支配する威厳と光輝に満ちています。
SECTIONED のギタリスト Pedram Valiani と A DARK ORBIT のスクリーマー Chad Kapper がサイドプロジェクトとして開始した FRONTIERER は、そうして活性化する活動を背景にフルバンドとなった今、最新作 “Unloved” で不穏で剣呑な進軍を再開するのです。

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27: GLEB KOLYADIN “GLEB KOLYADIN”

崇高で森厳なる夢幻世界を具現化し、知性とロマンの宝石箱でプログシーンに衝撃をもたらした iamthemorning。幽玄の歌姫 Marjana を存分に駆使するコンダクター、Gleb Kolyadin が自身の “音楽日記” を更新するソロデビュー作こそ “Gleb Kolyadin”。
万華鏡の世界観で待望の “キーボードヒーロー” が紡ぐ豊潤で鮮やかなサウンドスケープは、弦数を増やし複雑さと重厚さで近代インストゥルメンタルミュージックの花形となったギターへと突きつけた挑戦状なのかも知れませんね。
「この作品のアイデアは何年も前から積み重ねられて来たものだということなんだ。僕は長年、”Polonuimcubes” という音楽日記のようなものを書き続けているんだよ。」セルフタイトルで自身のポートレートをアートワークに冠した作品は、Gleb の書き連ねた音楽日記と自身のパーソナリティーを投影したまさに自叙伝のようなアルバムです。
“From Stravinsky to Keith Jarrett to ELP”。クラッシック、現代音楽、ジャズ、アンビエント、そしてプログレッシブに敬意を表したマイスターの自叙伝、ワイドで限定されない豊かなイマジネーションは、まさに多様なモダンミュージックの雛形だと言えますね。グランドピアノの凛とした響きは、時に Chick Corea の流麗なエレクトリックキーボードや Brian Eno の空間の美学へと移行し、全てを抱きしめたロシアンマイスターの傑出した才能を伝えています。

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28: BETWEEN THE BURIED AND ME “AUTOMATA”

モダンプログメタルの巨人、コンセプトアルバムの大家がリリースした2パートのアルバムは、鬱と Chris Cornell の自殺にインスピレーションを受けたレコードです。
「僕が若いころ欲しかったものを Chris は全て持っていたよ。有名なミュージシャンで、家族もあり、お金だっていくらでもあったはずさ。つまり外観だけ見れば完璧な人生だったんだよ。だけどね、実際は、悲しい人だったんだ。そんな人は実はいくらでもいるんだよ。
Robin Williams だってそうだった。絶対にそうは見えなかったけどね。だから僕はその不安感について深く考えたんだ。そして作品にポジティブな意味を持たせることにしたんだ。もっと良くしていこう。互いにサポートをしていこう。ミュージシャンや俳優に限らず、ただの人間としてね。確かにヘヴィーだけど、コンセプトに感情を持ち込むのはクールだったな。」
Tommy Rogers はそう語ります。実際、特にミュージシャンの心の問題は様々な悲劇から近年クローズアップされています。彼らほどのストーリーテラーがこの問題を扱い描ききったことには実に意義があったはずです。

29: SLUGDGE “ESOTERIC MALACOLOGY”

イングランドとスコットランドの稜線より這い出し軟体動物王 SLUGDGE が、カウンターカルチャーとしてのメタルを存分に追求した “深遠なる軟体動物学” “Esoteric Malacology”。
メタルの狂騒と尊厳を等しく抱きしめ、ドラマ性と知性を高次元で融合させた独創的なレコードは “メタルの進化” を雄弁に物語ります。
「ヘヴィーメタルはアウトサイダーのための音楽さ。君たちが愛していようが嫌悪していようが、カウンターカルチャーとして永遠に存在し続けるんだ。」と Matt が語るように、SLUGDGE のはヘヴィーメタルのジョークにも思える過度なファンタジーや想像力を敢えて前面に押し出しながら、シリアスかつハイクオリティーなサウンドをデザインすることでアウトサイダーとしての矜持を保つ以上の存在感を発揮していると言えるでしょう。
“Esoteric Malacology” も、当然その彼らの流儀に乗っ取って制作されたレコードです。楽曲はバンドのビッグテーマである “カタツムリ” “ナメクジ” その他軟体動物に捧げられ、歌唱やリフの持つ莫大なエネルギーで軟体動物の神々を祝福しています。

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30: PEOPLE IN THE BOX “KODOMO RENGOU”

純粋で綿密な音楽への奉仕者、箱の中の三銃士 People In The Box が、自らの10周年に刻む最高到達点 “Kodomo Rengou”。”計画的” な長期のインターバルを経て、楽曲のデザイン、個性がより際立った作品は、孤高のバンドに相応しき孤高の完成度を誇ります。
「自分の表現したいデザインと、世間が求める快楽というのは、僕の中で決して対立してはいないんです。」 インタビューで波多野氏はそう語ってくれました。あの先鋭的な残響レコードに置いて、日本が誇るポストロック、マスロック、プログレッシブの理想的なブレンドと目された瑞々しい才能は、近年そういった “形式” とは距離を置き “外の影響を取り入れたりすることもなく、メンバー3人の感性の広がりだけで” 文字通り “箱の中” から作品を届けています。
「TM Networkが好きだった “子供時代” と地続きの感性でやっている」 という言葉は “子供連合” を紐解く上で重要なヒントなのかも知れませんね。実際、このアルバムがある種難解で哲学的なバンドのイメージに反して、シンプルなデザインと無垢なる想望から成る天真爛漫な “報いの一日” で幕を開ける事実は象徴的です。
口ずさむキャッチーなハミングも、イノセントで牧歌的なメロディーも、飛び出す絵本のように立体的なギターサウンドも、晴れた冬の日を想わせる優しいシンセサイザーの波動も、全ては楽曲の求めに応じた確かな必然としてそこに存在しています。
同時に、「リスナーとしては若い頃から、かなり貪欲に聴いていた方だと思います。メタル、プログレッシヴロック、クラシック、エレクトロニックミュージック、ジャズ、民族音楽、ニューウェーブ・・・。」 と語るように、”Kodomo Rengou” は波多野氏とバンドの子供時代から連なる多様な感性を一つ一つ丁寧に育み、惜しげも無く “今” へと昇華したカラフルなポートレートでもあるのです。

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31: TESSERACT “SONDER”

Djent の季節を過ぎ、プログレッシブを掲げるバンドの絶対数は確かに減少しています。一方で、プログレッシブ界隈以外のバンドが多くそのスピリットを引き継いでいる事実は少々皮肉にも思えますね。だからこそ、シーンはこの Kscope の秘蔵っ子を大切に扱うべきではないでしょうか?
巷に溢れたチャグリズムの代わりに、彼らの楽曲はメロディー、トーン、メランコリー、ダイナミズム、アトモスフィア、そしてリズムのバラエティーに満ちています。”Sonder” とは世界に住む人々一人一人に鮮やかな人生があり、それを思い浮かべた時心に流入する筆舌に尽くしがたい感情のこと。作品には確かにそれだけのスケール感が存在しますし、モダンプログらしい多様性と対比の法則がそのプロットを後押ししているのです。

32: THOUSAND EYES “DAY OF SALVATION”

LIGHTNING, UNDEAD CORPORATION, YOUTHQUAKE, TEARS OF TRAGEDY, GALNERYUS。ジャパニーズエクストリームの粋を集めた哀士 THOUSAND EYES が救済の慈光に慟哭を刻む雄編 “Day of Salvation”。狭義のメロディックデスメタルから飛翔し変貌を遂げた破竹の一撃は、”荒れ狂う暴君” の名に相応しき真なるメタルの王道です。
ARCH ENEMY, IN FLAMES, AT THE GATES といったゴーセンバーグ鋼鉄騎士団の大いなる遺産を受け継いだジャパニーズヒーローは、90年代に受けた薫陶を紋章にその領地を華麗に拡大しています。
「ピュアなメタルサウンドを追求する一方で、ブルージーなもの、グルーヴのあるもの、ジャズ的なアプローチなど、 非メタル的要素も散りばめられています。」 と Kouta 氏が語るように、”Day of Salvation” で示された拡大するバンドの可能性は無限大です。
SikTh や THE DILLINGER ESCAPE PLAN のカオスを感じさせる “Dead Again” の難解なメインリフは実にコンテンポラリーですし、”Dread My Brain” では LAMB OF GOD をイメージさせる重く鋭いモダンメタルの牙でリスナーを威嚇します。特筆すべきは、アルバムに息づく伝統とモダンは極めてナチュラルに溶け合い THOUSAND EYES の色へと染まり “正統派メタルでありながら先鋭的な雰囲気を持つメタルアルバム” を実現している点でしょう。
事実、ある特定の色 、侘び寂びと哀愁を湛えた繊細なる “千眼色” が存在することはバンドにとってこの上ない強みに思えます。そしてその “色” の一端は日本の異端とも言えるメタル文化が育んだようにも感じますね。同時に、彼らの千眼色は細部まで吟味を重ねこだわり抜いた職人のコンポジションに支えられています。欲しい場所に欲しいメロディーを、フックにフックを重ねた日本画のように綿密な音の色彩は “インテレクチュアル・メロディックデスメタル” とでも称せるほどに知的で艶やかです。

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33: HAKEN “VECTOR”

多様なモダンプログレッシブのマイルストーンとなった “Mountain” の成功の後も HAKEN はその挑戦的な姿勢を緩めることはありませんでした。”Affinity” でレトロフューチャーの領域を開拓した後、彼らが辿り着いたのはよりヘヴィーなロックオペラのコンセプトだったのです。
その舵取りに Mike Portnoy との共闘が影響を与えたのは確かでしょう。プロデューサーとして ex-PERIPHERY の Adam “Nolly” Getgood に白羽の矢を立てたことも決して偶然ではありません。
“Vector” のインスピレーションは “シャイニング”, “時計仕掛けのオレンジ” といった映画、同時に20世紀中盤の心理学からも得られています。Tejeida は実際、ミュージシャンになっていなければ精神分析医となっていただろうと語ります。「僕はは長い間、人間の心という概念全体に興味を持ってきたんだ。無意識を意識に持ち込むことができる方法をね。精神分析を歌詞に織り込むため、僕はは自分自身の経験を利用したんだけど、ただし僕たちがいつもそうであるようにその内容はフィクションと混ざり合っているのさ。」手がかりのみを提供する。それがヘイケンメソッドです。リスナーはいつもそのヒントを深く掘り下げる必要があるのです。

34: SWARRRM “こわれはじめる”

“Chaos & Grind” を御旗に掲げる気概と熱情のグラインドコア烈士 SWARRRM。激しさに豊かな感情を宿す愛と破壊の狼煙 “こわれはじめる” は、スタンダードなハードコア的ルールに別れを告げ、アレンジや表現の幅を止めどなく拡大しジャンルの垣根を意に介さない強靭で普遍的な魅力に満ちています。
「ハードコアルール的なものにはもうあまり興味ありません。それよりも刺激を欲しています。」 とインタビューで KAPO 氏が語るように、”こわれはじめる” は怒りや絶望、憤りといったオールドスクールなハードコアに根差すネガティブなアティテュードや類型的なスタイルが文字通り壊れ始めるレコードだと言えるのかも知れません。
刺激という意味では、例えば CONVERGE が新作でその多様なサウンドデザインによって語らずしてハードコア本来の刺激を更新したように、混沌の先を見据え変化を渇望する SWARRRM が保守的な地下室から這い出し少なからず陽の光を欲することは必然にも思えます。
アルバムオープナー “ここは悩む場所じゃない” は変化の象徴。「前作 ”FLOWER” 収録の ”幸あれ” ”あがれ” といった曲に可能性を感じていたのは間違いない」 「より普遍的なロックテイストに辿り着くべくして辿り着いた」と KAPO 氏が語る通り、この楽曲が指し示すレコードのイメージはキャッチーで歌心を携えた前代未聞の歌謡グラインド。伝説 HELLCHILD 時代から、原川 司氏がこれほど “歌った” ことは勿論ないでしょう。
司氏が発する歌心、エモーションが、J-Pop ではなく70年代の歌謡曲を想起させる事実は重要です。ここに存在するのはロマンではなく浪漫、ラブではなく愛、儚さと寂寞そして感謝。

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35: VOLA “APPLAUSE OF A DISTANT CROWD”

モダンプログレッシブのフロントランナー VOLA は、ジャンルのアイデンティティーを保ちながら進化を遂げる荊棘を成し遂げるユトランドの至宝。
Djent 由来の重厚なグルーヴ、シンコペーションの創造性をメロウでヴィンテージなイヤーキャンディーで包み込み、シンセウェーブのフィヨルドへと注ぎ込む彼らのやり方は、まさしくデンマーク発祥のトレンド、”ヒュッゲ” “甘美な時” をリスナーへと運びます。
レトロ&フューチャーが交差する衝撃のデビューフル “Inmazes” から4年。世界一幸福と言われるデンマークに降臨した “時をかけるバンド” が次なるテーマに選んだのは、皮肉にもテクノロジーや SNS が人類にもたらす栄華と暗部、幸せの価値。
レトロとフューチャーを自在に操る時間魔法師の煌きはすなわち “ビタースイート”。そしてよりオーガニックに、オルタナティブの領域へと接近した新たな旅路は、MEW や MUSE のインテリジェントな方法論とも入念にシンクロしていると言えるでしょう。
一方で、「それでも僕たちは、今でもプログやメタルを愛しているよ。それは変わらないね。」と語るように、MESHUGGAH や DECAPITATED の凶暴なポリリズムが一際そのサウンドスケープを拡大させていることは明らかです。

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36: UNCLE ACID & THE DEADBEATS “WASTELAND”

COMING UP NEXT!! INTERVIEW WITH UNCLE ACID & THE DEADBEATS !

37: ORPHANED LAND “UNSUNG PROPHETS & DEAD MESSIAHS”

オリエンタルメタルの創始者にして、愛と平和の伝道師。イスラエルの至宝 ORPHANED LAND。偏見の鎖を断ち切る最新作 “Unsung Prophets & Dead Messiahs” は複雑で荘厳、そして何より怒れる正義のアルバムとして、世界を支配する全ての権力、不条理に対する強烈なプロテストとなるはずです。
90年代初頭からまさに “孤立した地” イスラエルで生を受けた ORPHANED LAND は、自らの地理的、文化的出自と真っ直ぐに向き合いながら不屈の精神でその活動を続けて来ました。
あのドキュメンタリー映画 “グローバルメタル” で驚愕と共に世界が発見した、西洋を起源とするメタルのフレームに中東のオリエンタルなフレーバーや民族楽器を持ち込む独特の手法は勿論正直で真摯なバンドの象徴だと言えますね。しかし、それ以上にアラビアを起源とするユダヤ、イスラム、キリスト三つの大宗教の融和を願い貫かれるバンドの高潔なるスピリットこそが多くのファンを魅了する理由なのかも知れません。
バンドが掲げるその崇高な理念が結実した傑作 “All is One” から5年のインターバルを経てリリースされた “Unsung Prophets & Dead Messiahs” は、祈りと願いで満たされた前作とは異なりより具体的に人の革新を促すアルバムだと言えるでしょう。
バンドはこれだけ政治、戦争、経済が危機に面する世界で沈黙を貫く世論に疑問を投げかけます。この状況はプラトンの “洞窟の比喩” ではないかと。残念ながら民衆は抜け出す努力を嫌い、暗い日常でも耐え時にはそれにしがみつきます。事実、キリストからガンジー、キング牧師、ケネディ大統領まで世界を救う “預言者”、もしくは “メシア” といった存在の多くは変革を起こす前に暗殺されて “歌い続ける” ことも叶わなかったのですから。
沈黙、停滞への義憤を宿すアルバムは、ギターと民族楽器を操る Yossi Sassi 脱退後初のアルバムともなりました。とは言え、当然 ORPHANED LAND に停滞などは似合いません。
「バンドにメインコンポーザーは存在しないよ。誰もが作曲していて、僕たちは各自のリフを巧妙にマッシュアップしているんだ。さながら大きなジグソーパズルのようにね。」 と Chen が語るように、より奔放で展開の妙を増したエピカルな楽曲群に大黒柱不在の影は感じられませんね。

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38: CONJURER “MIRE”

2015年、英国ミッドランズに突如として現れた魅力的なエクストリームミュージックの醸造所 CONJURER は、刺激に飢えたメタル中毒者を酔わせ、瞬く間に熱狂の渦を巻き起こしています。
スラッジ、ドゥーム、ハードコア、プログ、そしてブラック&デスメタル。香り高き金属片の数々をエクレクティックに調合し精製する芳醇なるアマルガムは、Holy Roar 主導で進められる Neo-New Wave of British Heavy Metal の象徴として踏み出す大胆で鮮烈な一歩です。
「僕にとっては GOJIRA と THE BLACK DAHLIA MURDER こそがスターティングポイントだった訳だからね。そして決定的な瞬間は YOB をライブで見た時だった。」
インタビューで Brady が語ってくれた通り、CONJURER が創成したのは圧倒的に面妖で不穏なスラッジ成分、神秘と思索のプログ成分に、相隔相反するファストで激烈なメタルコアの獰猛を配合した超俗の美酒 “Mire”。その崇高なる多様性の香気は、レーベルの理念とも完璧にシンクロしながら厳かに新時代の幕開けを告げています。

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39: NIGHT VERSES “FROM THE GALLERY OF SLEEP”

プログメタルのサルバドール・ダリが草創せし夢幻画廊。ファンタジーとリアリティー、テクニックとアトモスフィア、モダンとオーガニックのダイナミズムを、”夢” という自由な空想世界で交差させる無言の詩聖はインストゥルメンタルミュージックのドラスティックな再構築を試みています。
例えば Tilian Pearson を失った TIDES OF MAN が、故に音に語らせる創意工夫を磨き上げポストロックの妙手となったように、詩人の喪失は時に音楽それ自体の革新を誘います。そして急遽リードボーカル Douglas Robinson がバンドを離れることとなった NIGHT VERSES も同様に、彼の遺した “スペース” を埋めるチャレンジの中で一際精華な創造の翼を得ることとなったのです。
RED HOT CHILI PEPPERS, TOOL, RAGE AGAINST THE MACHINE、そして近年では INTRONAUT とある種独創性を追求したアートの都 L.A. で、NIGHT VERSES の資質が育まれたのは必然なのかも知れませんね。
実際、ポストロックのソニカルな音景とハイパーテクニカルな Djent の相反をオーガニックに融解し、ダウンテンポのエレクトロニカを織り込む前人未到のドリームスケープは、超現実的なダリのシュルレアリスムにも通じる倒錯と魅惑のアートです。

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40: NITA STRAUSS “CONTROLLED CHAOS”

「”間違いなく” 遂に女性の時代が来たと感じているのよ!!メタルシーンにとって素晴らしい時代になったのよ。」AS BLOOD RUNS BLACK, THE IRON MAIDENS, FEMME FATAL そして Alice Cooper。女性の存在がまだ極少だった時代から、華麗にキャリアを紡いで来た開拓者の精神はそして実にポジティブです。
「有名な哲学者の言葉に、”幸運とは、しっかりと準備する者の上に舞い降りる” というものがあるわ。そして私は心からその言葉を信じているのよ。私は全ての人生を通して、Alice Cooper のようなレジェンドと共にプレイするため準備を続けて来たの。出来るだけ様々なバンドとツアーをしながらね。」Nita はどんなギグであろうと、観客に彼女の名を刻みたいと語っています。そして、そうした努力と前向きな姿勢がショックロックレジェンドの右腕という場所へ彼女を誘ったのでしょう。
さらに Nita のソロアーティストとしての船出には、ヴァーチュオーゾ Steve Vai もその力を貸しています。Steve がエグゼクティブプロデューサーを務めた、ギターヒロインのみから成るコンピレーション “She Rocks, Vol. 1″。ここに収録された “Pandemonium” は、Lita Ford, Jeniffer Batten といった先達の楽曲をも凌ぐインパクトとパワーに満ちていました。

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BOSS KELOID : MELTED ON THE INCH】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PAUL SWARBRICK OF BOSS KELOID !!

“Marijuana Shouldn’t Be Prohibited Anywhere And Should Be Completely Legalised For Cultivation, Medical And Recreational Use. It Should Be a Normal Thing Like Eating a Potato And Part Of The Recommended 5 a Day.”

DISC REVIEW “MELTED ON THE INCH”

香ばしき霞とファズサウンドは心地良き酩酊を。マスマティカルで複雑怪奇なデザインは遥かな叡智を。英国ウィガンに実る罪なるハーブ BOSS KELOID は、その類稀なる両極性と多様性でオーディエンスの中毒症状を掻き立てます。
前作 “Herb Your Enthusiasm” でスラッジとストーナーの風変わりなキメラとして一躍脚光を浴びた破調の怪異は、ROLO TOMMASI, MOL, SVALBARD といった他の Holy Roar ロースターとシンクロするかのように更なるエクレクティックな進化を遂げています。
特筆すべきは、キーボーディスト Matthew Milne の加入でしょう。「キーボードは完璧にバンドへとフィットしたし、今では僕らのサウンドの本質にさえなっているんだよ。だけど、方向性をシフトした訳じゃないよ。言ってみればそれは自然な進化なんだ。」 とギタリスト Paul Swarbrick が語るように、バンドは新機軸と言うよりも、むしろパズルのラストピースとして迎えたレトロな鍵盤の響きを得て、エニグマティックなプログロックの領域をより大胆に探求することとなったのです。
幻想的でアンセミックな旋律、奇想天外なアイデアの波動、そして複雑繊細な感情の妙。プログ由来の素材と調味料をふんだんに使用し、出自であるスラッジ、ドゥーム、ストーナーの香ばしきバンズで挟み込んだ滑らかに溶け合う両極性のサウンドウィッチ “Melted on the Inch” は、そうして実際リスナーに刺激的な幻覚や研ぎ澄まされた感性をもたらす合法的なドラッグなのかも知れませんね。
事実、BOSS KELOID のダイアゴナルな魔法は、オープナー “Chronosiam” ですぐさまリスナーの時空間を歪ませます。
威風堂々のストーナーファンファーレをエントランスに、ハモンドとスタッカートの静謐な小部屋から、フォーキーにスウィングするダンスホール、シンガロングを誘うキャッチーな大劇場まで、多様な時代と背景をシームレスに行き交う進化を遂げたバンドの姿は、まさにダイナミズムの異世界迷宮。そしてそのエクレクティックな地脈回廊は、アルバム全体へと行き渡り胎動していくのです。
レゲエとラスタの多幸感をスラッジストーナーの重量感へ封じた “Peykruve” の実験も、ハーブマスターならではの奇妙でしかし鮮やかなコントラストでしょう。そして何より、PALLBEARER が PINK FLOYD や ASIA への憧憬を隠そうとしないように、BOSS KELOID も “Lokannok” で CAMEL をドゥームの領域へと誘って、伸張するモダンメタルの新たな潮流に一役買って見せました。
「もっとプログ寄りのファンからは、CAMEL, GENESIS, KING CRIMSON を想起させるなんて言われているしね。」 もしかすると、古の巨人が宿したプログレッシブな魂は、ジャンルの後進よりも BOSS KELOID のようなバンドこそが正しく継いでいるのかも知れませんね。
今回弊誌では、Paul Swarbrick にインタビューを行うことが出来ました。「マリファナの使用は、例えばポテトを食べるのと同じくらい普通のことだし、1日に5回摂取するのを推奨するのが我々の務めだ。」弊誌は別に推奨はしません。どうぞ!!

BOSS KELOID “MELTED ON THE INCH” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BOSS KELOID : MELTED ON THE INCH】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CULT LEADER : A PATIENT MAN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANTHONY LUCERO OF CULT LEADER !!

“I Do Feel The Weeping Skull Represnts The Concept Of The Album. Musically And Lyrically We Want The Band To Be An Expression Of The Negativity In Our Lives.”

DISC REVIEW “A PATIENT MAN”

ソルトレイクに兆すエクストリームミュージックの胡乱なニューリーダー。異端の唱道者 CULT LEADER が掲げる教義は、陶酔を誘う魔性のカオスとノワールです。
グラインドコアとスラッジの蜜月を象徴したバンド GAZA の解散は、アンダーグラウンドの世界にとって二重の意味でショッキングな出来事でした。鋭利で野放図なその独創性が途切れることはもちろん、当時のボーカリストが起こしたスキャンダルもまた、リスナーの大きな落胆を誘ったことは確かでしょう。
しかし障害の根源を断ち切り、ベーシスト Anthony をボーカルに据えて再始動を果たした CULT LEADER のある種麻薬的で、妖気振りまく夜叉の佇まいは、GAZA の悲劇を振り払って余る程に鮮烈かつ混沌です。
もちろん、2014年のデビュー EP “Nothing for Us Here” 以来、CULT LEADER はメタリックでブルータルなハードコアの鼓動に、プログレッシブやドゥーム/スラッジの息吹と悲哀の情操を投影し、カオティックで多様な宇宙を創造して来ました。
実際、インタビューで Anthony も 「もし僕たちがある特定のジャンルに限定されてしまったら、もはやバンドとして機能しないとさえ思うんだ。それほど僕たちの音楽性は多岐に富んでいるんだよ。」 と語っています。
ただし、それでも黒の指導者が提示する新たなバイブル “A Patient Man” は、敬虔な信者にこれまで以上の圧倒的驚愕とカタルシスをもたらす大いなる預言書、もしくは洗礼だと言えるでしょう。
CONVERGE と Chelsea Wolfe,  Nick Cave の薄幸なる婚姻。涙するスカルをアートワークにあしらったこの作品を、端的に表せばこういった表現になるでしょうか。
言い換えれば、ランニングタイムのおよそ半分はグラインドとハードコアのカオス。一方で残りの半分はバリトンボイスで紡がれるデリケートなノワールへと捧げられているのです。
ブラストビートに導かれ、ポリリズミックなメロディーと無節操なブレイクダウンが花開くオープナー “I Am Healed” や、不協和のシャワーとスラッジのスロウバーンがしのぎを削る “Isolation in the Land of Milk and Honey” が慣れ親しんだ CULT LEADER の経典だとすれば、連続する “To: Achlys”, “World of Joy” の2曲はさながら新経典でしょうか。
Nick Cave, Chelsea Wolfe, DEAD CAN DANCE のプリミティブでノワールな世界観。NEUROSIS の放射線状にも位置する13分間の穏やかなフューネラルは、哀しみと闇、美しき孤独と終焉を反映しながら、ダークアメリカーナにフォークやゴスまで内包し作品に傑出したデュエル、コントラストをもたらしました。
「音楽的にも詩的にも、僕たちはこのバンドを人生におけるネガティブな部分の代弁者としたいんだよ。」と Anthony が語るように、黒雲の途切れないアルバムにおいて、ただ “テンション” という素材を主軸としてこれほどの落差、ダイナミズムを創出するレコードは極めて稀だと言えるでしょう。
「頼むから俺を癒してくれ。」Anthony の咆哮、絶唱はリアルな苦痛、苦悶を掻き立てるマスターの所業。一方で、「愛に満ちた光が世界中の人間に注いでも、俺の下には来ないだろう。」と孤独を綴るその声は、全てを受け入れ語りかけるような慰めと寂寞のトーンでした。
孤高の唱道者は墓標の上で踊る。もしかすると、彼らの新たな教義は、THOU や CONVERGE の最新作とも根底ではシンクロしているのかも知れません。Kurt Ballou のプロダクション、リリースは Deathwish Inc. から。
今回弊誌では、Anthony Lucero にインタビューを行うことが出来ました。「自分たちのコンフォートゾーンの外へと冒険することを、僕たちはいつも心掛けているんだよ。」どうぞ!!

CULT LEADER “A PATIENT MAN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CONJURER : MIRE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRADY DEEPROSE OF CONJURER !!

“Dan And I Bonded Over Our Mutual Frustration With How Shit The Local Scene Had Become And How Bored We Were With Metalcore. Conjurer Ended Up Being The Product Of This.”

DISC REVIEW “MIRE”

2015年、英国ミッドランズに突如として現れた魅力的なエクストリームミュージックの醸造所 CONJURER は、刺激に飢えたメタル中毒者を酔わせ、瞬く間に熱狂の渦を巻き起こしています。
スラッジ、ドゥーム、ハードコア、プログ、そしてブラック&デスメタル。香り高き金属片の数々をエクレクティックに調合し精製する芳醇なるアマルガムは、Holy Roar 主導で進められる Neo-New Wave of British Heavy Metal の象徴として踏み出す大胆で鮮烈な一歩です。
「僕にとっては GOJIRA と THE BLACK DAHLIA MURDER こそがスターティングポイントだった訳だからね。そして決定的な瞬間は YOB をライブで見た時だった。」
インタビューで Brady が語ってくれた通り、CONJURER が創成したのは圧倒的に面妖で不穏なスラッジ成分、神秘と思索のプログ成分に、相隔相反するファストで激烈なメタルコアの獰猛を配合した超俗の美酒 “Mire”。その崇高なる多様性の香気は、レーベルの理念とも完璧にシンクロしながら厳かに新時代の幕開けを告げています。
アルバムオープナー “Choke” は、この混沌と斬新を見渡す眺望。濾過以前の純粋な憤激。あまりにハングリーなテンポチェンジの妙。
GOJIRA と NEUROSIS の遺伝子を纏った野太くもエッジーな唸りは、不協和音の沼沢、閉所恐怖症のハーモニーを彷徨いながら瞬時にファストで狂乱のブラックメタルへとその色を変えていきます。さらにその底流は Frederik Thordendal のプライドとも合流し、ただ陰鬱で悲惨な音景を表現するためのみに結束を強くするのです。
実際、泥と霧に覆われた不気味で不透明な原始沼をイメージさせる “Mire” というタイトルは、明らかに限られたリスニングエクスペリエンスでは全貌を掴めない、繰り返しの再生を要求するアルバムの深みと間口、そして芸術性を象徴していますね。
「多くのバンドは一つか二つのメジャーな影響を心に留めながら作曲していると思うんだけど、僕たちはどの瞬間も30ほどの影響を考慮しながらやっているんだ。」との言葉を裏付けるように、バンドは様々な風景をリスナーの脳裏へと刻み続けます。
“Hollow” で示されたドゥーミーなメランコリー、クリーントーンの旋律はポストロックの景観さえ抱きしめた、陰鬱なアルバムに残る微かな希望。しかしその幽寂なるサウンドスケープは、やがて宿命の如く地の底から襲い来るブラッケンドハードコアの波動、濁流に巻き込まれ押し流されてしまうのです。その落差、静と動、速と遅が司るダイナミズムの効果はまさしく無限大。
それにしてもバンドの落差を支えるリズム隊は破格にして至妙。特に様々なリムショットを華麗に使い分け、楽曲のインテンスを高める Jan Krause のドラムワークは新たなヒーローの名に相応しい創造性に満ちていますね。
“Thankless” で敬愛する MASTODON に感謝なき感謝を捧げ、”The Mire” で再びホラー映画のテンポチェンジをショッキングに見せつけた後、アルバムは終盤にハイライトを迎えます。
静謐の谷と激情の山脈を不穏に繰り返し行き来する “Of Flesh Weaker Than Ash” で 「GOJIRA はデス/ブラックメタルの要素を作曲に活用しながら、ヘヴィーな音楽を実にキャッチーに変化させることが出来ると教えてくれた訳さ。」の言葉通りエクストリームメタルのフック、イヤーキャンディーを張り詰めたテンションの中で実現し、SLEEP のファズサウンドをフューネラルドゥームの寂寞とプログスラッジのエピックに封じた “Hadal” でレコードは新世界への扉を開きながらは威風堂々その幕を下ろすのです。
今回弊誌では、ギター/ボーカル Brady Deeprose にインタビューを行うことが出来ました。「ギター/ボーカルの Dan Nightingale と僕は、当時同じようなフラストレーションを抱えて仲良くなったんだ。ローカルシーンがいかにクソになったか、メタルコアがいかに退屈かという鬱憤だよ。」 どうぞ!!

CONJURER “MIRE” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SLUGDGE : ESOTERIC MALACOLOGY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATT MOSS OF SLUGDGE !!

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Mollusk-themed Tech Death King, Slugdge Has Just Released Their Most Adventurous, Complex And Progressive Album Yet, “Esoteric Malacology”!!

DISC REVIEW “ESOTERIC MALACOLOGY”

イングランドとスコットランドの稜線より這い出し軟体動物王 SLUGDGE が、カウンターカルチャーとしてのメタルを存分に追求した “深遠なる軟体動物学” “Esoteric Malacology” をリリースしました!!
メタルの狂騒と尊厳を等しく抱きしめ、ドラマ性と知性を高次元で融合させた独創的なレコードは “メタルの進化” を雄弁に物語ります。
「ヘヴィーメタルはアウトサイダーのための音楽さ。君たちが愛していようが嫌悪していようが、カウンターカルチャーとして永遠に存在し続けるんだ。」と Matt が語るように、SLUGDGE のはヘヴィーメタルのジョークにも思える過度なファンタジーや想像力を敢えて前面に押し出しながら、シリアスかつハイクオリティーなサウンドをデザインすることでアウトサイダーとしての矜持を保つ以上の存在感を発揮していると言えるでしょう。
“Esoteric Malacology” も、当然その彼らの流儀に乗っ取って制作されたレコードです。楽曲はバンドのビッグテーマである “カタツムリ” “ナメクジ” その他軟体動物に捧げられ、歌唱やリフの持つ莫大なエネルギーで軟体動物の神々を祝福しています。
そして、ギミックにも思えるその大袈裟で奇想天外な劇画的手法は、例えば CANNIBAL CORPSE がそうであるように、キラーでシリアスな楽曲を伴うことで異端の享楽を宿す巨大なカタルシスを誘うこととなるのです。
GOJIRA の楽曲 “Esoteric Surgery” へのオマージュにも思えるアルバムタイトルは、確かにフランスが生んだ不世出のプログレッシブメタラーへの接近を示唆しています。そして、”The Spectral Burrows” が “The Way Of All Flesh” の息吹を胸いっぱいに吸い込んだ傑出したプログメタルチューンであることは明らかでしょう。
EDGE OF SANITY の “The Spectral Sorrows” を文字ったに違いないドラマティックなエピックは、複雑かつ重厚なテクスチャーがテクニックの荒波に跋扈する濃密な5分50秒。荘厳でしかし闇深きそのアトモスフィアは、聴く者の脳波を直接揺さぶり音の酩酊へと誘います。
比率の増した神秘のクリーンボーカルは絶妙のアクセント。ENSLAVED に備わった全てを洗い流すかのような神々しさとは異なり、混沌も崇高も全てを包括したダークロード “Mollusa” への捧物、破滅的にキャッチーなその調べは、異世界への扉を厳かに開く確かな “鍵” として機能しているようにも思えます。
軟体動物の柔軟性を活かした “Putrid Fairlytale” は SLUGDGE を象徴するプログレッシブデスメタル。NAPALM DEATH の “Lucid Fairytale” をオマージュしたタイトルからは想像もつかない劇的なドラマが繰り広げられています。
ここまで記して来た通り、”Esoteric Malacology” の楽曲タイトルは偉大な先人たちの足跡に対するオマージュとなっています。 “War Squids” は BLACK SABBATH の “War Pigs”、”Slave Goo World” は SEPULTURA の “Slave New World”、”Transilvanian Fungus” は DARKTHRONE の “Transylvanian Hunger” 等。そして “Putrid Fairlytale” にはそういった彼らが愛する様々なジャンルのメタルが触手で繋がり凝縮されているのです。
プログの色合いを帯びた鋭利なリフワークと相対するブラストビート。一方で、粘度の高いミッドテンポのグルーヴと荘厳なるボーカルメロディー。繊細かつ印象的な電光石火のギターシュレッドを極上の味付けに展開する魅惑のテクデスオデッセイは、Matt が語る “ヘヴィネスの秘密” を見事に体現しながらまさにバンドが理想とするメタルを描き出していますね。
スロウでドゥーミー、ロマンチックとさえ言える “Salt Thrower” で塩に溶けゆくナメクジの悲哀を全身で表現した後、アルバムは “Limo Vincit Omnia” でその幕を閉じます。ラテン語で “スライムは全てを征服する” の意を持つエネルギッシュなナンバーは、「メタルが進化し続けるためには影響の外側から新たなアイデアを取得する必要があるように感じるね。」と語る通りエレクトリックなサウンドまで包括し、意義深き実験と学問の成果を誇らしく報告しています。
今回弊誌では、バンドのギター/ボーカル Matt Moss にインタビューを行うことが出来ました。ギタリスト Kev Pearson とのデュオでしたが、インタビュー後に THE BLACK DAHLIA MURDER のドラマー Alan Cassidy と NOVENA の ベースマン Moat Lowe が加わり完璧すぎるラインナップを完成させています。どうぞ!!

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SLUGDGE “ESOTERIC MALACOLOGY” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BELL WITCH : MIRROR REAPER】2017 X’MAS SPECIALL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DYLAN DESMOND OF BELL WITCH !!

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Seattle Based Doom-duo, Bell Witch Takes You Poetic And Philosophical Deathly Journey With Timless Masterpiece “Mirror Reaper” !!

DISC REVIEW “MIRROR REAPER”

シアトルに居を置くベース/ドラムスのドゥームデュオ BELL WITCH が、1曲83分の暗重なる叙事詩 “Mirror Reaper” をリリースしました!!生と死を投影する難解なるあわせ鏡は、昨年逝去した前ドラマー Adrien Guerra へ捧げるトリビュートとしてその崇高なるメランコリー、哀しみの影を増しています。
紫煙のヘヴィートリオ SLEEP が1曲が一時間にも及ぶスロウでアトモスフェリックな反芻の集合体 “Dopesmoker” をリリースして以来、ドゥーム/スラッジ/ドローンのフィールドはメタルの実験性を最も反映する先端世界の一つとして、創造性のリミットを解除し、定石を覆しながらその歩みを続けて来ていました。
勿論、JESU や BORIS のエピカルな長編も、ジャンルの音楽性とは対極に位置する瑞々しくも天真爛漫なムードを追い風に創造された濃厚なサウンドスケープであったに違いありませんね。それでも、BELL WITCH の新たなチャレンジ、1曲83分の野心は想像を遥かに超えるサプライズでした。
“Mirror Reaper” を形作る要素自体は、前作から大きく変化を遂げてはいません。確かにヘヴィーなレコードですが、ランニングタイムの大半はラウドでもブルータルでもなく非常にオープンでスペーシー。ベース、ドラムス、ボーカルにハモンドB3が生み出すその空間に巣食うは巨大な絶望、悲哀と、全てを掻き集めても片手で掬い取れるほど希少なる希望。
しかし Dylan が 「誰にでも簡単に作れるようなレコードにする必要は全くないと決めたんだよ。楽曲を別々に分けてしまうと、説得力が失われる気がしたんだ。」 と語るように、48分の “As Above” と35分の “So Below” が自然と連続して織り成す構成の進化、常識の破壊は、より妥協のない緻密なコンポジション、Adrian の死に手向けるメランコリックな花束と共に、生と死の安直でステレオタイプな二分法へ疑問を投げかけ、”死のメディテーション” を指標しているのです。
アルバムは、アトモスフィアの波に溺れる6弦ベースの幽玄な調べで幕を開けます。実際、「Michael Hedges のギタープレイは実に参考になったね。」 と語るバンドのマスターマインド Dylan Desmond のベース捌きは驚異的で卓越しています。
左手のみならず、右手を強い感情と共にフレットへと叩きつけ、時に滑らし、時に揺らして生み出すトーンは唯一無二。
ギタリストの不在を感じさせない、むしろそれを不必要と思わせる、独特のウォームでメロディックなマルチディメンショナルサウンドは、新たなベースヒーローの誕生を強くアピールし、同時に崇高な意思と純潔なるムードをアルバムにもたらしていますね。
加えて、地を這うグロウルとミスティックな詠唱のコントラスト、SIGUR ROS を想起させるファルセットのハーモニー、ハモンドオルガンのオーガニックなサステイン、Jesse のセットから流れ出すシンバルの漣。アルバムは、瞑想の荒野、空虚な嵐、美麗なる責め苦を経て、いつしか全てが緩やかな生命と音の大河に注がれドゥームの奇跡、反復の魔術を完璧に創出します。そして挿入される亡き Adrian のボーカルは、”生と死の間に存在する共通要素” “ゴースト” を信じるバンド独特の素晴らしきトリビュートなのでしょう。
NEUROSIS, SWANS などと共闘を続ける鬼才 Billy Anderson のインプットにも触れない訳にはいきませんね。Billy ほど暗闇と混沌、そして壮大なサウンドを巧みに精製するプロデューサーは決して多くはないでしょう。そしてこの作品ほど、型破りで威厳を湛えたアンタッチャブルなメタルレコードも実際ほとんど存在しないはずです。
時間、場所、もしかしたら自分自身さえも忘れてただ広大な闇の迷宮で彷徨うだけの地獄、もしくは天国。コマーシャルと最も遠い場所にあるアートのエリジウム。
そして、詩的で哲学的な “死の旅路” は、作品で最も哀しく最も愛すべきポートレート、バンドのコラボレーター Erik Moggridge の消え入るような歌唱で幕を閉じるのです。
今回弊誌では、Dylan Desmond にインタビューを行うことが出来ました。海外メタル誌では軒並みベストの上位に撰されている傑作。そして弊誌にとっては、最もクリスマスらしい作品です。どうぞ!!

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BELL WITCH “MIRROR REAPER” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHELSEA WOLFE : HISS SPUN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHELSEA WOLFE !!

Chelsea Wolfe by Bill Crisafi

PHOTO BY BILL CRISAFI

Certainly, Folk/Rock/Experimental Artist Chelsea Wolfe Took A Step Toward More Dark Side, Heavy Realm, Sludge World With Her Outstanding New Record “Hiss Spun” !!

DISC REVIEW “HISS SPUN”

ダークでスピリチュアルな崇高美を追求する、ノースカリフォルニアの堕天使 Chelsea Wolfe が、そのゴシカルなイメージをスラッジメタルの世界へと解き放つ最新作 “Hiss Spun” をリリースしました!!審美のダークサイドを司るエクストリームアートの女王は、至上の環境、チームを得てより鮮明にその印象を増しています。
近年、Chelsea と彼女の右腕 Ben Chisholm の冒険は、出自であるゴシックフォークの枠を容易く超越し、ドゥームの翳りを宿すインダストリアル、エレクトロニカ、ノイズ、ドローンにまでアプローチの幅を拡げて来ました。陰鬱にして甘美、アーティスティックで創造性豊かなそのジャンルの邂逅は、Chelsea の幽美なビジュアルやスピリチュアルな一面とも共鳴しながら、この混沌とした世界に安寧を喚起するメディテーションの役割を果たして来たのかも知れませんね。
“Spun” の凄艶なディストーションサウンドでスラッジーに幕を開ける “Hiss Spun” は、リスナーの思念、瞑想にある種の直感性を差し伸べる、よりヘヴィーで正直なアルバムです。
「これは、ヘヴィーなレコードでロックソングを求めていたの。」 実際、Chelsea はそう語っています。故にRED HOST 時代のバンドメイト、ドラマー Jess Gowrie とのリユニオンは必然だったとも。
確かにこのレコードの陣容は彼女の言葉を裏付けます。リードギタリストに QUEENS OF THE STONE AGE の Troy Van Leeuwen を起用し、ex-ISIS の Aaron Turner をゲストボーカルとして招聘。さらに CONVERGE の Kurt Ballou をプロデューサーに指名した采配の妙は間違いなくこのレコードの方向性を諮詢していますね。
セカンドトラック “16 Phyche” はアルバムを象徴する楽曲かも知れません。蝶の羽を得て人間から変異を遂げた美しき魂の女神、そして火星と木星の間を公転する小惑星の名を共有するこのコズミックで漆黒のヘヴィーバラードは、自由を奪われ制限される人生をテーマとしています。
「8年間、故郷ノースカリフォルニアを離れてロサンゼルスにいたんだけど、LAは私と共鳴することは一度もなかったの。私の心はいつもノースカリフォルニアにあったのよ。大きな木々、山や川の側にね。」 Chelsea はそう語ります。
遂に家族と自然、スピリチュアルなムードに溢れた故郷へと帰還し、心の平穏と安寧を取り戻した彼女は、閉塞的で捌け口のない当時の自分を反映させた魂の情歌へと辿り着いたのでしょう。
実際、”Twin Fawn” にも言えますが、彼女も認める通りこの楽曲における Chelsea の歌唱はよりパーソナルで内面全てを曝け出すような壮絶さを宿します。フィードバックと不穏なムードが支配する重密なサウンドとも絶妙にシンクロし、彼女のエモーションは現代社会の閉所恐怖症とも形容可能なイメージをも楽曲に映し出しているのです。
“Hiss” とはホワイトノイズ、つまり雨音や川のせせらぎ、鳥の囀りといった自然と人間を繋ぐ雑音を意味する言葉だと Chelsea は教えてくれました。トレモロリフとポストメタルの重厚で奏でられる “Vex” で Aaron Turner の剛胆な咆哮は大地の感覚、アーシーなホワイトノイズだとも。
Aaron の声が大地の咆哮なら、浮遊感を伴う Chelsea の声はさながら虚空のスキャットでしょうか。楽曲の最後に挿入された森のざわめきに耳を澄ませば、彼女のメッセージが伝わるはずです。ヘヴィーとエセリアルのコントラストで表現される自然に対する強い畏怖は、現代社会が忘れつつある、しかし忘れてはならない貴き精神なのかも知れませんね。
確かにヘヴィーでスラッジーなアルバムですが、同時に “Twin Fawn”, “Two Spirit” のような自身のアイデンティティー、ゴシック/フォークにフォーカスした楽曲や、近年養って来たインダストリアル/ノイズ要素を分断に盛り込むことで、作品は Chelsea の多面的な才能を映す鏡、ある意味集大成的な意味合いも保持しています。そして勿論、女性としての一面も。
アルバムは、魔女の如き甲高い歌声が印象的な “Scrape” で幕を閉じます。様々な怒りやヘヴィーな祈りが込められたアルバムには、当然 Chelsea の一人の女性としての怒りも封じられています。あの禍々しき魔女裁判が行われたセイラムでレコーディングが行われたことも、偶然ではないのかも知れませんね。
今回弊誌では、Chelsea Wolfe にインタビューを行うことが出来ました。彼女がゲスト参加を果たしている MYRKUR の最新作も同様に素晴らしい内容。併せてチェックしてみてくださいね。どうぞ!!

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CHELSEA WOLFE “HISS SPUN” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SUBROSA : FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH REBECCA VERNON OF SUBROSA !!

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Minnesota Based Dramatic-Doom Quartet, SubRosa Has Just Released Beautiful, Magnificent Masterpiece “For This We Fought the Battle of Ages”!!

DISC REVIEW “FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES”

ソルトレイクシティの Dramatic-Doom マスター、SubRosa が自身の最高到達点 “For This We Fought the Battle of Ages” をリリースしました!!一世紀も前に書かれた SF ディストピア小説にインスピレーションを得て制作されたアルバムは、バンドのアイデンティティーである Dramatic-Doom のスケールを一層高めた、様々な音楽ファンに愛されるマイルストーンとなるでしょう。
SubRosa は Doom Metal バンドには珍しく、女性ボーカル Rebecca Vernon のミスティックな歌唱を中心に据えています。加えて、Sarah Pendleton と Kim Pack のダブルヴァイオリンとアディショナルボーカルが唯一無二の美麗な Doom を創出しているのです。
ALCEST や DEAFHEAVEN を見れば分かる通り、近年、メタルに “Beauty”, “Atmosphere” を持ち込む、才気溢れるバンドが注目を集め、シーンの限界を押し広げていますが、SubRosa のユニークなラインナップが生み出す手法、冒険、マジックは中でも際立っていると言えるでしょう。
インタビューにもある通り、”For This We Fought the Battle of Ages” はロシアの反体制活動家 Yevgeny Zamayatin の著書 “We” に触発された作品です。当時のソヴィエト初期社会主義時代の、閉塞された状況を描き揶揄したディストピア小説は、しかし、政府による管理、監視、支配という、実は現代社会が抱える問題に読み解くことも可能です。SubRosa はその命題を、人生、死、自由、愛といったテーマを与えた楽曲を通して、エピカルに、ドラマティックに、そしてドゥーミーに描いているのです。
アルバムオープナー、15分半のエピック、”Despair Is a Siren” は深化したバンドを象徴するような1曲です。Doom という特性上、勿論、長くなりがちな楽曲ですが、しっかりとストーリーやシーンを描写する彼女たちにとって、この長さは意図してデザインされた SubRosa’s Way。
静寂が支配するイントロとラウドで実験的なパートの対比が生むボリューム、テンポのダイナミクス、見事にレイヤーされたトリプルボーカルの魔術、そしてデュエットの如くメロディーとカウンターメロディーを行き来する、複雑で美麗なボーカルとヴァイオリン。バンドのトレードマークとも言える要素が、寄せてはは引く波のように揺らぎつつ、リスナーへと届きます。同時に、六拍子とリズムにフォーカスしたディストーションギターが交わり流れ出すカオスの潮流は、SubRosa が NEUROSIS 以来脈々と繋がる Experimental Metal の落胤であることを主張していますね。
アルバムの中心に据えられた “Black Majesty” も同様に15分を超える大曲。東洋的とも感じられるエスニックでエモーショナルなヴァイオリンが先導する、プログレッシブで極上の展開美を誇るこのエピックにおいて、Rebecca は “Isn’t it beautiful?” とリスナーに問いかけます。その1節、歌声からは “Doom Metal だけど美しいでしょ?” という自負心、アイデンティティーが強烈に伝わりますね。
後半の BLACK SABBATH meets GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR とでも形容したくなるパートでは、リズム隊を中心に、群を抜いたバンドアンサンブルを聴かせることも記して置くべきでしょう。
また、”Il Cappio” では Rebecca の多彩な一面を覗かせます。バンジョーと共に紡がれるリリックは何とイタリア語。囁くようにスイートなトーンで歌う新しいアプローチにより、陰影を帯びた切なくもフォーキッシュな楽曲は、続く “Killing Rapture” の完璧なプレリュードとして機能していると共に、作品の素晴らしいアクセントとして色を添えています。
ドラマティックでプログレッシブ。”美”にとことんまで拘り、”戦い”抜いた野心的な “For This We Fought the Battle of Ages” は、まさにモダンメタル、Experimental Metal, Post-Doom / Sludge の最新型、金字塔として、凛然と輝く名作に仕上がりました。今回弊誌では、バンドの創立メンバーで、ボーカル/ギター、無数の声を使い分ける才女 Rebecca Vernon にインタビューを行うことが出来ました。日本初取材です!どうぞ!!

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SUBROSA “FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES” : 9.8/10

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WORLD PREMIERE: “FOLLOWING THE VOICE” 【ANCIIENTS : VOICE OF THE VOID】


WORLD PREMIERE: NEW SONG !! “FOLLOWING THE VOICE” OF ANCIIENTS !!

Vancouver Metal Quartet ANCIIENTS Will Return With Constant Tension And High Dynamics New Record “Voice Of The Void” On 10/14 !!

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カナダはバンクーバーから現れた Modern Prog Metal 4人組 ANCIIENTS が待望の2ndアルバム “Voice of the Void” を10/14にリリースします!!
2013年にリリースされたデビューアルバム “Heart of Oak” は MASTODON や OPETH を想起させるエピカルなプログレッシブさを纏いつつ、よりエクストリームでスラッジーな音楽性が高く評価されました。実際、昨今のシーンにはプログレッシブに特化したバンド、エクストリームに振り切れたバンドが多い中、彼らのアグレッションとプログ性のバランスは白眉で、叙情性から攻撃性までカバーした “Falling in Line” はまさにモダンメタルの多様性を表現した名曲でした。
3年ぶりにリリースする新作 “Voice of the Void” はデビュー作に温かみ、ソリッドさ、ダークネス、を加えてまさに”オークのコークス”の中でウイスキーが熟成するがごとく、コンポジションに時間をかけたアルバムに仕上がっているそうです。グロウルとクリーンボーカルのデュエルが生み出すダイナミクス、クランチーなリフをカウンターパートとしたインストセクションの充実度も過去最高。実際、今回公開するシングル曲 “Following the Voice” を聴けば、その展開美、技術、メロディーに更なる進化があったことは明らかでしょう。ぜひアルバムリリースまで、過去作やシングルを聴いて待っていてくださいね!

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【MESSAGE FROM KENNY】

The new ANCIIENTS record is titled ‘Voice of the Void’ and somewhat of a step in a new direction lyrically and musically. I think, it still has the sound we developed on ‘Heart of Oak’, but the riffs are a lot heavier at times and the lyrics are far more cynical and dark. With all of the chaos happening on this planet as of late it seems as though things will get worse before they get better, and that kind of embodies the theme of this album as a whole. Jessie Gander did a great job capturing the music and his production far surpassed our expectations. The first new song out, ‘Following the Voice’ is about struggles with inner demons that many people face. Knowing what the right thing to do is, but not listening to your conscience and choosing the path that is best for yourself, but harms others in process. It is about following the evil voice in your head as opposed to the voice of reason.

新しい ANCIIENTS のレコード、タイトルは”Voice Of The Void”。音楽的にも歌詞の面でもいくらか新しい方向に進んだ作品さ。基本的には “Heart Of Oak” のサウンドを進化させたんだけど、リフはよりヘヴィーに、歌詞はシニカルでダークになっていると思うよ。
この星で最近起きている混沌は、より良くなる前の前兆だと思うんだ。このアルバムではそういったテーマを体現してみたよ。 Jessie Gandar はアルバムの音楽を見事に捉えて、期待よりはるかに素晴らしいプロダクションを行ってくれたね。
“Following The Voice” は多くの人が直面する、内なる悪魔との戦いについて。正しいことを行うべきだと知っているのに、自分にとってベストのチョイスを優先してしまうことは、その過程で他人を傷つけてしまうことにつながるよ。理性に反して悪魔の声に従ってしまうことについてだよ。

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Track-list
1. Following The Voice
2. Buried in Sand
3. Worshipper
4. Pentacle
5. Descending
6. Ibex Eye
7. My Home, My Gallows
8. Serpents
9. Incantations

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