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NEW DISC REVIEW + COVER STORY 【BARONESS : GOLD & GREY】


COVER STORY: BARONESS “GOLD & GREY” !!

“John Baizley And Baroness have battled through Life-Threaten Bus Accident to make a life-affirming record “Gold & Grey”. Baroness’s Color Cycle Has Come To An End, But Their Art Journey Will Not Stop!”

ABOUT COLOR WHEEL AND “GOLD & GREY”

「全ては色相環、カラーホイールから始まったんだ。」
アートメタルを切り開く BARONESS のフロントマン John Baizley は、色彩をテーマとしたアルバムタイトル、アートワークの起源をそう明かします。赤、青、黄緑、紫と色を紡ぎ続ける音画家がそうして次に選んだ輝きは黄金の灰でした。
「俺はアートスクールでアートの歴史や理論を学んだんだ。」驚くことに、John Baizley は全てのアートワークを自らで描いてもいます。
「普通のアーティストなら、カラーホイールは赤、紫、青、緑、黄、オレンジとなっているだろう。だけどオレンジがこのアルバムに相応しい色だとは思えなかった。それに “Gold & Grey” の方がソフィスティケートされているだろ?」
その音楽と同様に、”Gold & Grey” のアートワークは John の最高傑作と言えるでしょう。何百時間を費やし、ダリの万華鏡を封じたそのアートは、2007年 “Red” に端を発する色物語を終わらせる完璧なピースでした。
もちろん、WEEZER をはじめ色をテーマとしたアルバムの作り手は決して少なくありません。ただし、BARONESS はそのコンセプトをネクストレベルへと進めています。
「アートワークはリスニング体験と切っても切り離せないものだ。PINK FLOYD の “The Dark Side of the Moon” を聴けばリスナーは必ずすぐにあのプリズムとレインボーを思い出すだろう。音楽以外でリスナーを惹き付けるアートワークは、ただ聴くだけの体験とは別次元の体験を生み出すんだよ。」
アートワークに注がれる全ては、個人的な、特別な理由であると John は語っています。
「俺はいつだって人生からアートを描いている。モデルを使って、俺が描きたいものを探していくのさ。そのプロセスがまるで火花が散るように俺の興味を刺激するのさ。」
人生の変化、バンドの進化を象徴するものこそがアートワーク。
“Gold & Grey” は長年ギタリストを務めた Peter Adams 脱退後初のアルバムとなりました。2015年、”Purple” で大成功を収めたバンドは、新たに Gina Gleason を起用することに決めたのです。
「Gina とはフィラデルフィアで出会ったんだ。俺たち両方が住んでいる場所だ。Peter とは実に良い別れ方だったから、後任を探す時間も充分で、結果として最高にオーガニックな移行となったね。」
元 Cirque du Soleil のギタリストで、Santana にも起用されていたジャムのスペシャリスト Gina の加入は “Gold & Grey” をアートワークのように多様で入り組んだ螺旋の作品へと昇華させました。
温かみや憂いを湛えるシンセサイザーが重要な役割を果たす一方で、オールドスクールなインプロジャムも作品の肝となりました。何より、Gina のドリーミーなコーラスワークはバンドの新たなウェポンです。
モダン=多様性のポストミレニアムメタルにおいて、プログ、スラッジ、サイケデリック、エレクトロニカ、マスロック、インディーロック、デリケートなピアノの響きにスペイシーなサウンドエフェクト、そしてノイズの洪水までエクレクティックを極めたアルバムは “複雑なパズル” だと John は語ります。
「注意深く聴けば、全ての楽曲が何かで繋がっていることが分かるはずさ。メロディーであったり、リズムであったり、1箇所以上繋がっている楽曲だってあるよ。まるでオーディオのイースターエッグが隠されているようなものだよ。」
John はジャンルの話を好みませんが、1つのジャンルに固定されることほど彼を苛立たせるものはありません。実際、アンセミックでエナジーに満ち溢れ、静謐から轟音まで支配するこの作品はストーナーはもちろん、もはやメタルの狭い枠にすら収まることはないでしょう。
「ストーナーメタルの一言だけで全てをカバーできるアルバムではないよ。ロックバンドと名乗るかメタルバンドと名乗るかだけでも、リスナーに相当異なる印象を与える。だけどストーナーメタル?そんなの分かる人いるのかな?」
BARONESS の色円は終わりを迎えますが、彼らの旅が終わる訳ではありません。
「色をテーマとしたアルバムが6枚も続くなんてね。だけど、俺はこれからも描き続けるよ。アートに終わりはないんだから。」

BARONESS “GOLD & GREY” : 10/10

HISTORY OF BARONESS

BARONESS のマイルストーン “Blue” アルバムのリリースから10年。ポストミレニアムメタルの最高到達点と評されたレコードは、老舗メタル雑誌 Decibel Mag の巻頭を飾り10/10のフルマークを獲得しました。
MASTODON, KYLESA からは少し遅れ、BLACK TUSK には少し先立ってジョージアのストーナー/スラッジシーンへ登場した BARONESS。ただし、まだ若く、”hipster metal” “通好みのメタル” などと懐柔的にもとられていた BARONESS が、10年間、4枚のアルバムを経てメタルワールドの盟主にまで登り詰めたことには理由がありました。
SLEEP や KYUSS、そしてもちろん BLACK SABBATH の血を引きながら、彼らは決して最高にヘヴィーでも、最高にスロウなバンドでもありません。当然、最高にファストでも、最高にキャッチーでも、もしかしたら最高にクールなバンドでもないのかも知れませんね。
ただし、彼らは時にヘヴィーに、時にスロウに、時にファストに、時にキャッチーに、時にクールに変化する最高にビッグな変幻自在の化け物だったのです。

“Blue” アルバムをリリースした後、BARONESS の運命は一変します。マネージメントを持たなかった彼らに飛び込んだのは、RUSH, SCORPIONS, DEF LEPPARD を成功へと導いた大手 Q Prime からの契約を求める電話でした。その直後、彼らは Q Prime のロースターである METALLICA の前座を務めることになります。
ただし、全てが順風満帆だったわけではありません。バンド史上最も平凡なアルバムとも評される “Yellow & Green” のリリース後、2012年にイングランドで起きたツアーバスの事故はバンド存続の危機でした。死亡者こそ出なかったものの重傷者を多く出した悲劇的な事故により、リズムセクションの脱退に加え、John 自身もリハビリを経て一から奏法を学びなおす悪夢の事態に陥ったのです。
最高のリズム隊を加え、グラミーにもノミネートされた創造性の塊、2015年の “Purple” はバンドの完全な復活を告げるレコードでした。ドラマー Sebastian Thomson とベーシスト Nick Jost そしてサイケロックの大物プロデューサー Dave Fridmann。バンド史上最もストレートで短い “Chlorine + Wine” 、バンド史上最も軽快な “Shock Me” は確実に “メジャー感” という新たな領域へのドアを開く鍵となりました。

“Gold & Grey” はそうしたバンドの歴史全てが詰まった冒険とトリップと、そしてヒーリングも兼ねた”二枚組”の最高傑作です。
もちろん、肉体的にも精神的にも、事故の影響は今でも John から離れることはありません。ステージで、作曲中、アートワークの制作中にフラッシュバックすることは少なくはないと語ります。「それでも時には事故の影響をブロックすることが出来る。生来備わった人間の本能でね。苦痛に満ちた現実に対処するエレガントな方法だと思うよ。」
バンドの解散も考えたという John は前向きに戦い続けます。
「バンドがない、アートがない、創造性が活気づく場所もない人生はどのようなものになるのか考えてみたんだ。良い場所じゃなかったね。それははるかに暗く、はるかに憂鬱な場所だった。それでやめることは決して選択肢じゃないって気づいたんだ。困難な打撃を受ければ受けるほど、俺はもっと続ける義務があると感じたんだ。ただ事故の前の場所に戻るだけでなく、より強く、より大きく、より良く戻るためにね。」

“GOLD & GREY” TRACK BY TRACK GUIDE BY JOHN BAIZLEY

FRONT TOWARDS ENEMY

アルバムの最初のこの楽曲は、実のところライティングセッションの最後に書かれたんだ。俺らは実に長い間、特別ヘヴィーな楽曲を書くことを先延ばしにしていたんだ。だけど “Front Toward Enemy” はチューニングを下げて、まさにヘヴィーな楽曲を狙って作ったんだよ。
音楽的に異なる様々な要素をミキサーに入れて、それから歌詞とボーカルを結びつける試みだった。楽曲の大半は風変わりな変拍子に支配されているね。その中に、THIN LIZZY スタイルのギターソロがあって、続いて聴いたことがないような奇妙すぎるスラッシーなブリッジパートが現れる。最後のセクションは、ソウルや R&B とは言わないまでも、おそらくこれまでにないほどそれに近い感覚だね。6弦を可能な限り下げることで、深い重音を得ることができた。だけど同時にポップなコーラスも存在するね。なぜそんなことになったのかって?俺だって知らないよ!あたかも俺たちが意図してやったみたいにうまくいったからショックを受けたくらいさ。
確かに、インストゥルメンタルの楽曲でも充分通用すると感じたけど、結局真の “歌” だとわかったね。理由は謎なんだけど!

I’M ALREADY GONE

アルバムの2曲目は、MASSIVE ATTACK と TLC の “Waterfalls” をJohn Lennon がプレイしたような楽曲だ。かなり暗い歌詞だね。ほとんど一発録りだったと思う。
本質的にはループのドラムビートが最後のコーラスまで続くんだ。ちょうどヴァース、コーラス、ヴァース、コーラスって構成だね。全体がほとんど即興だったから、オーバーダブもほとんどされていないんだよ。というかあの演奏が何だったのか実際俺にもわかっていないから、あのギター・ラインを再現出来るかどうかも怪しいね。俺らにとって新しいタイプの曲で、サウンドチェックではたくさん演奏してきたね。とても誇りに思うよ。

SEASONS

アルバムからのセカンドシングルで、みんなの反応を聞いて一番興奮した楽曲だね。本当にめちゃくちゃ変わったギターソロを含んだ素晴らしい楽曲だよ。ライブで絶不調な POLICE かイカれた DURAN DURAN って感じに始まって、セカンドコーラスまでにブラストビートも存在する。そして楽曲の最後にはノイズだけになるんだ。あれがシンセだったのかギターだったのか、それとも他の何かだったのかはわからない。ただ、騒音を生み出して心の底から歌っただけさ。

SEVENS

レコードのインタルードの一つ。俺には Steve Reich みたいに思えるね。Nick が書いたピアノ曲を重ね合わせて、ピアノのように聴こえないようミックスしたんだ。

TOURNIQUET

このレコードのために最初に書いた楽曲。ギターの Gina がバンドに加わる前にほとんど書き上げていたね。俺にはちょっと FUGAZI みたいに思えるよ。このイントロはアルバムの中でも大好きなパートの一つだ。
俺は Gillian Welch の大ファンなんだけど、彼女とパートナー Dave Rollins がレコーディングしている写真が気に入っていてね。座ってお互いを見つめながら歌うんだ。だからこそ、彼女たちのハーモニーはとてもシンクロしているんだよ。Gina と俺もそういった絆を構築したかったんだ。ただ俺たち二人とアコースティックギターだけで、互いを見つめながらね。
そこから楽曲はラウドに奇妙な場所へと向かう。楽曲の最後には、”アンプヘンジ” (ストーンヘンジの言葉遊び) をやってみた。中央の一点に向けて、20の異なるラウドなアンプを集め円状に並べたんだ。さらに俺は全員の服装と動物のマスクまで用意してね。俺はパンダだった。あとは鮫、馬、恐竜だったな。そうして全員で中央に立ち、ミラーボールのスイッチを入れて、一つのコードを10分くらい鳴らし続けたんだ。その全てを使用することはなかったけど、楽曲のラストはこのサウンドなんだ。
この楽曲には一つ究極に変わった要素を入れていてね。それを伝えるつもりはないんだけど、リズミックで常に鳴っている何かさ。当ててみてよ。

ANCHOR’S LAMENT

“Anchor’s Lament” は “Tourniquet” のある種続編なんだ。Nick が書いたピアノピースをブレンドしている。素晴らしいヴァイオリン/ヴィオラ奏者で普段は別のジャンルでプレイしている、友人の Katie Jones が “Tourniquet” に入れるはずだったストリングスセクションを書いたんだけど、楽曲全体としてしっくりこなかったんだ。サウンドは良いんだけど、楽曲にとって必要ではなかったんだね。
それでそのストリングスをここに入れてみたら完璧に機能したんだよ。それで俺がコーラスを歌い、思い切って次の曲としたんだ。レコードで言えば、これで A 面が終わるんだよ。

THROW ME AN ANCHOR

この楽曲は、ドラムスの Sebastien Thomson が BARONESS 加入以降、メリーランドのポストロックレジェンドTRANS AM のメンバーとしてのアイデンティティーに再度アクセスする初めての機会だったんだ。これはまさしくTRANS AM のビートだよ。とにかく忙しないね。Nick も激しいベースラインをプレイしている。そういった変態リズムをバックに楽曲全てを書いたんだ。ブリッジなんて19, 20のビートを鳴らしているよ。
この楽曲ではメロディックな要素を気にかけなかったね。ただリズムの上でランダムにコードを鳴らして、極上のサウンドになるまで重ねていったんだ。
楽曲のラストに向かうところで、俺はこんな完全サイコな楽曲で出来得る限り最高にビックでエピック、センシブルなコーラスを思いついたんだ。

I’D DO ANYTHING

プロデューサー Dave Friedman とのレコーディングセッションで、Gina と書いた楽曲。彼女と俺しかいなかったんだ。Sebastien と Nick はその後彼らの全てのパートを完成させたんだ。
この曲には別のバージョンもあるんだけど、Gina はそのバージョンにはとても慎重だった。
当初は彼女がリードを歌っていたんだけど、何かがシンクロしていなかったんだ。それで俺がメインのメロディーを歌い、彼女がハーモニーをつける形にパートを交換することを決めたのさ。すると突然サウンドはビッグでラウドになり深みも増したんだ。俺がその上にピアノを弾き、ただ非常に単純なベースラインを作ろうとしたんだよ。Gina と俺は “ストリングスパート” “ホーンパート” と呼んでいた全てをプレイした。もちろんボーカルでだ。全てを素早くね。
翌日、Dave がスタジオに来た。そして俺らは彼に、ボーカルが密で露出されていることが重要だといったよ。もちろんやりたいようにやって欲しいとは言ったんだけど。それで彼はギターを取り出し、素晴らしい演奏を封じたんだ。おかげでボーカルがより前に出ることが出来た。
この楽曲を収録するのはリスクのようにも感じたね。俺らのバックカタログには存在しないから。けどこの音には心から感銘を受けたんだよ!

BLANKETS OF ASH

このアルバムのレコーディング中、俺はミネソタのインディーロッカー LOW の最新作をよく聴いていたんだ。このレコードに取り入れた唯一といっていい程の外部からのインスピレーションだったのかもしれないな。
それはとても奇妙だったね。この曲をレコーディング中のある時点で、Dave は俺を見上げて、この楽曲がちょうどその LOW のレコードのロック版のように感じたと言ったんだ。まるで似たような考え方で作られたようだとね。俺はそこで話された全てを録音していたんだ。そしてその会話を楽曲に混ぜ合わせるため不明瞭にミキシングしたんだよ。
Gina は、雷雨の間に俺の浴室でこの曲の中で数秒間演奏するアコースティックギターのパートを書いていたんだ。クールだよね。それからレコーディング前のユーロツアーで購入したこの30ドルのナイロン弦アコースティックギターをバスドラにしたんだ。あの巨大なベースドロップのサウンドは、ジーナがTシャツを巻いたドラムスティックでギターを叩いているだけなんだよ。ベースの音以外すべてを除外し、それがクレイジーな音にするためにギターのペダルの束を介した。だから3つの要素を合わせたと言えるんだけど、唯一無二の楽曲にしか聴こえないよね。

EMMETT – RADIATING LIGHT

この楽曲もバンドにとってまた別の到達点だと感じている。俺らはいつも”Purple” アルバムにアコースティックギターがほとんど収録されていなかったことを話題にしていたんだ。
Nick が俺には弾けないようなギターパートを書いたから Gina と演奏し、その間俺はただピアノとベルをプレイして歌っていたよ。
俺が書いたピアノ曲は別の曲のようなものだったけど、私は一方から他方へフェードインし、その後再び元に戻るという方法でアコースティックギターとピアノパートを一緒にすることを考え出したのさ。本当に美しいよね。繰り返すけど、これがどんな種類の曲であるか話すことも出来ないんだ。ただ、俺の声のレンジが思ったよりはるかに低くなることができると知ることはとても楽しく、興味深かったね。
そしてバックグラウンドノイズだね。Gina と俺は、レコーディングで長い一日を過ごした後、夜中の2時と3時の間ちょっと気味が悪い気分で Dave の森の小屋にいたんだ。俺らはポーチの外に出て美しいコオロギの鳴き声を聞いたんだ。そうして、その俺らのまわりに住んでいるノイズをワンテイクで録音することにしたんだ。彼女はそれを初めて打ちました。クールなレコーディングの経験だったね!

COLD-BLOODED ANGELS

この曲でやったようなレベルで、ソングライティングに本物のプライド感を感じたことはなかったね。この楽曲がどうなるのか、俺らは本当に分からなかったんだよ。最初にすべての音楽を書き、歌詞が音楽をうまく機能させる方法を考え出す必要があった。適切なパフォーマンスを得るにはしばらく時間がかかったね。出だしから、とても美しく、ハーモニーに満ちていてそれが続いていく。
娘がゲストとしてボーカルを追加したんだ。セカンドラインから入ってくるよ。コード進行はそうして少しだけねじれていく。それから歌が止まるんだ。後半はとても単純だよ。演奏はとても大変だったけど、レコーディングは楽しかった。この曲を誇りに思うよ。この曲でB面が終わるんだ!

CROOKED MILE

C面はまた別のインタルードで始まるよ。実際にはレコード上の別の曲が再想像されたものなんだけど。Gina はジャズマスターをプレイしていて、このギターには奇妙なワーミーバーがついている。俺はそのワーミーバーを動かしていて、彼女がずっと演奏していたものをねじ込み、バーをベンドさせて調子をずらして鳴らしたんだ。

BROKEN HALO

“Crooked Mile” は歌詞を伴って次の楽曲へ続く。B面には長い曲が多かったけど、これはレコードで最もノーマルな楽曲かもしれないね。それでも風変わりなところはあるけど。
ギターを捨てベースの音だけで即興した巨大なブリッジセクションだよ。Dave は Seb にただ楽曲の構造にあわせてドラムフィルを演奏するように言ったからとてもワイルドだね。ギターソロを聴くときは、俺がちょうど2、3のベースノートのみのセクションにレトロにフィットしなければならなかったことを忘れないで欲しい。本当に難しかったよ。
普通のコード進行からこんなビッグで悲しい叙事詩的なラブソングに成長したんだから楽しかったよ。心から直接何かを書きたかったんだ。この楽曲はまさにそうだね。

CAN OBSCURA

Gina と俺はギターをどこか別の場所でギターを録音していた。Nick とSebastian はおそらくこの退屈してしまったんだろう、大音量のベースとドラムのこの楽曲を書くためいなくなったんだ。そして俺と Gina はこの楽曲に夢中になったよ。カルトみたいだろ?奇妙な歌を歌い、E-Bowでスライドギターを弾いたり、巨大な鐘やゴングを叩いたり。ただトリップしたよ。
俺らは前回のツアーでこの曲をたくさんプレイしたよ。グルーヴするには楽しい曲だ。それに構造上、これは”Borderlines” へのすばらしい導入であるとも思ったね。なぜならこの曲でリスナーは、しばらくの間レコードから地球に戻ることが出来るからね。

BORDERLINES

俺たちがこのレコードのために書いた2番目の曲。3つのギターソロを入れてもやり過ぎじゃないと思ったね。ビッグなコーラス、クールなヴァース。俺が見た中で最も独創的な Seb のドラミング、それに、ベースフック。Nick とSebastien がインストゥルメンタリストとして何ができるのかを見せたかったから、Gina と俺は本当にただ彼らに合わせて演奏しただけだ。100%即興で行われたジャムの最後は、意図的じゃないけど、最高のものを残せたね!

ASSAULT ON EAST FALLS

シリアスなレコードだから、どこかで楽しむ必要がある。長年リハーサルでは、シンセサイザーをセットアップしてエフェクトで馬鹿らしくジャムっていたんだ。レコードの最後にリスナーの忍耐を確かめる2分間なんて楽しいだろうと考えたんだ。だからこそ最後の楽曲が完璧なインパクトを与える。

PALE SUN

最後の楽曲はジャムから始まる。100%即興だよ。Gina と俺はそれをどう楽曲へ落とし込むか考える必要があった。
おそらく “Cold-Blooded Angel” の次に書くのが難しかった楽曲だ。ベースラインもドラムグルーヴも反復を基盤としている。それに加えて、俺らは最も過酷な方法でレコードを終わらせる方法を選んだんだ。最高に気に入っているよ!

参考文献一覧
Kerrang! :BARONESS’ TRACK BY TRACK GUIDE TO GOLD & GREY
Revolver :BARONESS’ “ELEGANT SOLUTION” TO A “PAINFUL REALITY”: INSIDE ‘GOLD & GREY’
Stereogum : A Legacy-Defyning Masterpiece
BARONESS Facebook Page
BARONESS Official Site

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THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2018 : MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE


THE 40 MOST IMPRESSIVE ALBUMS OF 2018 : MARUNOUCHI MUZIK MAGAZINE

1: GHOST “PREQUELLE”

昨年 “最も印象的だったアルバム” の記事にも記しましたが、近年、MASTODON, VOLBEAT, Steven Wilson, PALLBEARER, Thundercat、さらに今年も GODSMACK, ALICE IN CHAINS, DISTURBED, SHINEDOWN など様々なジャンルの旗手とも呼べるアーティストが “ポップ” に魅せられ、レガシーの再構築を試みる動きが音楽シーン全体の大きなうねりとして存在するように思えます。当然、邪悪とポップを融合させた稀有なるバンド GHOST もまさしくその潮流の中にいます。
「JUDAS PRIEST はポップミュージックを書いていると思う。彼らはとてもポップな感覚を音楽に与えるのが得意だよね。PINK FLOYD も同様にキャッチー。ちょっと楽曲が長すぎるにしてもね。」
と語るように、Tobias のポップに対する解釈は非常に寛容かつ挑戦的。さらにモダン=多様性とするならば、70年代と80年代にフォーカスした “Prequelle” において、その創造性は皮肉なことに実にモダンだと言えるのかもしれません。実際、アルバムにはメタル、ポップを軸として、ダンスからプログ、ニューウェーブまでオカルトのフィルターを通し醸造されたエクレクティックな音景が広がっています。
もちろん、シンセサイザー、オルガン、キーボードの響きが GHOST を基点としてシーンに復活しつつあることは喜ばしい兆候だと言えますね。同時に、サックス、フルート、ハグストロムギターまで取り入れたプログレッシブの胎動は “Prequelle” 核心の一部。Tobias はプログロックの大ファンで、作曲のほとんどはプログレッシブのインスピレーションが原型となっていることを認めています。伝統的なプログロック、プログメタルの世界が停滞を余儀なくされている世界で、しかしプログレッシブなマインドは地平の外側で確かに引き継がれているのです。
ウルトラキャッチーでフックに満ち溢れたカラフルなレコードは、数多のリスナーに “メタル” の素晴らしさを伝え、さらなる “信者” を獲得するはずです。
ただし、匿名性を暴かれた Tobias の野望はここが終着地ではありません。多くのゲストスターを揃えたサイドプロジェクトもその一つ。すでに、JUDAS PRIEST の Rob Halford がコラボレートの計画を明かしていますし、これからもスウェーデンの影を宿したメタルイノベーターから目を離すことは出来ませんね。何より、全ては彼の壮大な計画の一部に過ぎないのですから。

READ ENTIER REVIEW & STORY HERE !!

2: YOB “OUR RAW HEART”

スラッジ、ドゥーム、ストーナーのプログレッシブで多様な進化はもはや無視できないほどにメタルの世界を侵食しています。中でも、オレゴンの悠久からコズミックなヘヴィネスと瞑想を標榜し、ドゥームメタルを革新へと導くイノベーターこそ YOB。バンドのマスターマインド Mike Scheidt は2017年、自らの終焉 “死” と三度対峙し、克服し、人生観や死生観を根底から覆した勝利の凱歌 “Our Raw Heart” と共に誇り高き帰還を遂げました。
「死に近づいたことで僕の人生はとても深みを帯びたと感じるよ。」と Mike は語ります。実際、”楽しむこと”、創作の喜びを改めて悟り享受する Mike と YOB が遂に辿り着いた真言 “Our Raw Heart” で描写したのは、決して仄暗い苦痛の病床ではなく、生残の希望と喜びを携えた無心の賛歌だったのですから。
事実、ミニマルで獰猛な2014年の前作 “Clearing the Path to Ascend” を鑑みれば、全7曲73分の巡礼 “Our Raw Heart” のクリエイティビティー、アトモスフィアに生々流転のメタモルフォーゼが訪れたことは明らかでしょう。
作品のセンターに位置する16分の過重と慈愛の融合 “Beauty in Falling Leaves” はまさに YOB が曝け出す “Raw Heart” の象徴でした。甘くメランコリックなイントロダクションは、仏教のミステリアスな響きを伴って Mike の迫真に満ちた歌声を導きます。それは嵐の前の静けさ。ディストーションの解放はすなわち感情の解放。ベースとドラムスの躍動が重なると、バンドの心臓ギターリフはオーバートーンのワルツを踊り、濃密なビートは重く揺らぐリバーブの海で脈動していくのです。バンド史上最もエモーショナルでドラマティックなエピックは、死生の悲哀と感傷から不変の光明を見出し、蘇った YOB の作品を横断するスロウバーン、全てを薙ぎ倒す重戦車の嗎は決して怒りに根ざしたものではありませんでした。
結果として YOB は THOU や KHEMMIS と共にドゥームに再度新風を吹き込むこととなりました。例えば CATHEDRAL の闇深き森をイメージさせるオープナー “Ablaze” ではジャンルのトレードマークにアップリフティングでドリーミーなテクスチャーを注入しドゥームの持つ感情の幅を拡大しています。
そうしてアルバムは僅かな寂寞とそして希望に満ちた光のドゥーム “Our Raw Heart” でその幕を閉じます。人生と新たな始まりに当てた14分のラブレターは、バンドに降臨した奇跡のマントラにしてサイケデリックジャーニー。開かれたカーテンから差し込むピュアな太陽。ポストメタルの領域にも接近したシネマティックでトランセンドな燦然のドゥームチューンは、彼らとそしてジャンルの息災、進化を祝う饗宴なのかも知れませんね。

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3: SVALBARD “IT’S HARD TO HAVE HOPE”

女性の躍動と、多様性、両極性を旨とする HOLY ROAR RECORDS の台頭は2018年のトピックでした。越流するエモーションをプロテストミュージックへと昇華し、英国ブリストルから咆哮を貫く至宝 SVALBARD はまさにその両者を象徴する存在です。熾烈なメタル/ハードコアにポストロックの叙情と風光、ポストメタルの思索と旅路を織り込みさらなる多様化の波動を導いた新作 “It’s Hard to Have Hope” はシーンの革新であり、同時に閉塞した世界が渇望する変化への希望となりました。
確かに “It’s Hard to Have Hope” は怒れるアルバムで、中絶、性的暴力、リベンジポルノ、インターンシップの無賃雇用など不条理でダークな社会問題をテーマとして扱っています。
さらには、「このアルバムは、ステージに女の子が立つことにネガティブなコメントを寄せる人たちに対する私からの返答よ。”女性をメタルから追い出せ!” と言うような人たち、コンサートで女性にハラスメント行為を行う人たち。これは彼らに対する私からの恐れなき怒りの返答なの。」と語るように、女性フロントマンとして Serena が長年メタルシーンで苦しんできたハラスメント行為の数々も、作品の持つ怒りの温度を “フェミニストのメタルアルバム” の名の下に上昇させていることは明らかです。
とはいえ、この類稀なる感情と表情の結晶が、唯一怒りにのみ根ざすわけではないこともまた事実でしょう。実際、Serena はこの作品の目的が “人々にこういった社会的不公平を伝えるだけではなく、なぜそういった問題が起き続けるのか疑問を投げかけることだった” と語っています。「誰が正しいのか互いに主張し合うのを止めてこう尋ねるの。一緒に前進するために何ができるだろう?より良き変化のためお互い助け合えないだろうか?とね。」とも。
そうして世界のターニングポイントとなるべくして示現した “It’s Hard to Have Hope” に、一筋の光明にも思える尊きアトモスフィア、荘厳なる音の風景がより深く織り込まれていることはむしろ当然の進化だと言えるでしょう。
CULT OF LUNA や MY BLOODY VALENTINE のイメージこそ深化の証。そうしてポストブラックの激しさと光明を背負った彼女は悲痛な叫びを投げかけます。「いったい誰が女性を守ってくれるの?」

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BOSS KELOID : MELTED ON THE INCH】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PAUL SWARBRICK OF BOSS KELOID !!

“Marijuana Shouldn’t Be Prohibited Anywhere And Should Be Completely Legalised For Cultivation, Medical And Recreational Use. It Should Be a Normal Thing Like Eating a Potato And Part Of The Recommended 5 a Day.”

DISC REVIEW “MELTED ON THE INCH”

香ばしき霞とファズサウンドは心地良き酩酊を。マスマティカルで複雑怪奇なデザインは遥かな叡智を。英国ウィガンに実る罪なるハーブ BOSS KELOID は、その類稀なる両極性と多様性でオーディエンスの中毒症状を掻き立てます。
前作 “Herb Your Enthusiasm” でスラッジとストーナーの風変わりなキメラとして一躍脚光を浴びた破調の怪異は、ROLO TOMMASI, MOL, SVALBARD といった他の Holy Roar ロースターとシンクロするかのように更なるエクレクティックな進化を遂げています。
特筆すべきは、キーボーディスト Matthew Milne の加入でしょう。「キーボードは完璧にバンドへとフィットしたし、今では僕らのサウンドの本質にさえなっているんだよ。だけど、方向性をシフトした訳じゃないよ。言ってみればそれは自然な進化なんだ。」 とギタリスト Paul Swarbrick が語るように、バンドは新機軸と言うよりも、むしろパズルのラストピースとして迎えたレトロな鍵盤の響きを得て、エニグマティックなプログロックの領域をより大胆に探求することとなったのです。
幻想的でアンセミックな旋律、奇想天外なアイデアの波動、そして複雑繊細な感情の妙。プログ由来の素材と調味料をふんだんに使用し、出自であるスラッジ、ドゥーム、ストーナーの香ばしきバンズで挟み込んだ滑らかに溶け合う両極性のサウンドウィッチ “Melted on the Inch” は、そうして実際リスナーに刺激的な幻覚や研ぎ澄まされた感性をもたらす合法的なドラッグなのかも知れませんね。
事実、BOSS KELOID のダイアゴナルな魔法は、オープナー “Chronosiam” ですぐさまリスナーの時空間を歪ませます。
威風堂々のストーナーファンファーレをエントランスに、ハモンドとスタッカートの静謐な小部屋から、フォーキーにスウィングするダンスホール、シンガロングを誘うキャッチーな大劇場まで、多様な時代と背景をシームレスに行き交う進化を遂げたバンドの姿は、まさにダイナミズムの異世界迷宮。そしてそのエクレクティックな地脈回廊は、アルバム全体へと行き渡り胎動していくのです。
レゲエとラスタの多幸感をスラッジストーナーの重量感へ封じた “Peykruve” の実験も、ハーブマスターならではの奇妙でしかし鮮やかなコントラストでしょう。そして何より、PALLBEARER が PINK FLOYD や ASIA への憧憬を隠そうとしないように、BOSS KELOID も “Lokannok” で CAMEL をドゥームの領域へと誘って、伸張するモダンメタルの新たな潮流に一役買って見せました。
「もっとプログ寄りのファンからは、CAMEL, GENESIS, KING CRIMSON を想起させるなんて言われているしね。」 もしかすると、古の巨人が宿したプログレッシブな魂は、ジャンルの後進よりも BOSS KELOID のようなバンドこそが正しく継いでいるのかも知れませんね。
今回弊誌では、Paul Swarbrick にインタビューを行うことが出来ました。「マリファナの使用は、例えばポテトを食べるのと同じくらい普通のことだし、1日に5回摂取するのを推奨するのが我々の務めだ。」弊誌は別に推奨はしません。どうぞ!!

BOSS KELOID “MELTED ON THE INCH” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CULT LEADER : A PATIENT MAN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ANTHONY LUCERO OF CULT LEADER !!

“I Do Feel The Weeping Skull Represnts The Concept Of The Album. Musically And Lyrically We Want The Band To Be An Expression Of The Negativity In Our Lives.”

DISC REVIEW “A PATIENT MAN”

ソルトレイクに兆すエクストリームミュージックの胡乱なニューリーダー。異端の唱道者 CULT LEADER が掲げる教義は、陶酔を誘う魔性のカオスとノワールです。
グラインドコアとスラッジの蜜月を象徴したバンド GAZA の解散は、アンダーグラウンドの世界にとって二重の意味でショッキングな出来事でした。鋭利で野放図なその独創性が途切れることはもちろん、当時のボーカリストが起こしたスキャンダルもまた、リスナーの大きな落胆を誘ったことは確かでしょう。
しかし障害の根源を断ち切り、ベーシスト Anthony をボーカルに据えて再始動を果たした CULT LEADER のある種麻薬的で、妖気振りまく夜叉の佇まいは、GAZA の悲劇を振り払って余る程に鮮烈かつ混沌です。
もちろん、2014年のデビュー EP “Nothing for Us Here” 以来、CULT LEADER はメタリックでブルータルなハードコアの鼓動に、プログレッシブやドゥーム/スラッジの息吹と悲哀の情操を投影し、カオティックで多様な宇宙を創造して来ました。
実際、インタビューで Anthony も 「もし僕たちがある特定のジャンルに限定されてしまったら、もはやバンドとして機能しないとさえ思うんだ。それほど僕たちの音楽性は多岐に富んでいるんだよ。」 と語っています。
ただし、それでも黒の指導者が提示する新たなバイブル “A Patient Man” は、敬虔な信者にこれまで以上の圧倒的驚愕とカタルシスをもたらす大いなる預言書、もしくは洗礼だと言えるでしょう。
CONVERGE と Chelsea Wolfe,  Nick Cave の薄幸なる婚姻。涙するスカルをアートワークにあしらったこの作品を、端的に表せばこういった表現になるでしょうか。
言い換えれば、ランニングタイムのおよそ半分はグラインドとハードコアのカオス。一方で残りの半分はバリトンボイスで紡がれるデリケートなノワールへと捧げられているのです。
ブラストビートに導かれ、ポリリズミックなメロディーと無節操なブレイクダウンが花開くオープナー “I Am Healed” や、不協和のシャワーとスラッジのスロウバーンがしのぎを削る “Isolation in the Land of Milk and Honey” が慣れ親しんだ CULT LEADER の経典だとすれば、連続する “To: Achlys”, “World of Joy” の2曲はさながら新経典でしょうか。
Nick Cave, Chelsea Wolfe, DEAD CAN DANCE のプリミティブでノワールな世界観。NEUROSIS の放射線状にも位置する13分間の穏やかなフューネラルは、哀しみと闇、美しき孤独と終焉を反映しながら、ダークアメリカーナにフォークやゴスまで内包し作品に傑出したデュエル、コントラストをもたらしました。
「音楽的にも詩的にも、僕たちはこのバンドを人生におけるネガティブな部分の代弁者としたいんだよ。」と Anthony が語るように、黒雲の途切れないアルバムにおいて、ただ “テンション” という素材を主軸としてこれほどの落差、ダイナミズムを創出するレコードは極めて稀だと言えるでしょう。
「頼むから俺を癒してくれ。」Anthony の咆哮、絶唱はリアルな苦痛、苦悶を掻き立てるマスターの所業。一方で、「愛に満ちた光が世界中の人間に注いでも、俺の下には来ないだろう。」と孤独を綴るその声は、全てを受け入れ語りかけるような慰めと寂寞のトーンでした。
孤高の唱道者は墓標の上で踊る。もしかすると、彼らの新たな教義は、THOU や CONVERGE の最新作とも根底ではシンクロしているのかも知れません。Kurt Ballou のプロダクション、リリースは Deathwish Inc. から。
今回弊誌では、Anthony Lucero にインタビューを行うことが出来ました。「自分たちのコンフォートゾーンの外へと冒険することを、僕たちはいつも心掛けているんだよ。」どうぞ!!

CULT LEADER “A PATIENT MAN” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CONJURER : MIRE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH BRADY DEEPROSE OF CONJURER !!

“Dan And I Bonded Over Our Mutual Frustration With How Shit The Local Scene Had Become And How Bored We Were With Metalcore. Conjurer Ended Up Being The Product Of This.”

DISC REVIEW “MIRE”

2015年、英国ミッドランズに突如として現れた魅力的なエクストリームミュージックの醸造所 CONJURER は、刺激に飢えたメタル中毒者を酔わせ、瞬く間に熱狂の渦を巻き起こしています。
スラッジ、ドゥーム、ハードコア、プログ、そしてブラック&デスメタル。香り高き金属片の数々をエクレクティックに調合し精製する芳醇なるアマルガムは、Holy Roar 主導で進められる Neo-New Wave of British Heavy Metal の象徴として踏み出す大胆で鮮烈な一歩です。
「僕にとっては GOJIRA と THE BLACK DAHLIA MURDER こそがスターティングポイントだった訳だからね。そして決定的な瞬間は YOB をライブで見た時だった。」
インタビューで Brady が語ってくれた通り、CONJURER が創成したのは圧倒的に面妖で不穏なスラッジ成分、神秘と思索のプログ成分に、相隔相反するファストで激烈なメタルコアの獰猛を配合した超俗の美酒 “Mire”。その崇高なる多様性の香気は、レーベルの理念とも完璧にシンクロしながら厳かに新時代の幕開けを告げています。
アルバムオープナー “Choke” は、この混沌と斬新を見渡す眺望。濾過以前の純粋な憤激。あまりにハングリーなテンポチェンジの妙。
GOJIRA と NEUROSIS の遺伝子を纏った野太くもエッジーな唸りは、不協和音の沼沢、閉所恐怖症のハーモニーを彷徨いながら瞬時にファストで狂乱のブラックメタルへとその色を変えていきます。さらにその底流は Frederik Thordendal のプライドとも合流し、ただ陰鬱で悲惨な音景を表現するためのみに結束を強くするのです。
実際、泥と霧に覆われた不気味で不透明な原始沼をイメージさせる “Mire” というタイトルは、明らかに限られたリスニングエクスペリエンスでは全貌を掴めない、繰り返しの再生を要求するアルバムの深みと間口、そして芸術性を象徴していますね。
「多くのバンドは一つか二つのメジャーな影響を心に留めながら作曲していると思うんだけど、僕たちはどの瞬間も30ほどの影響を考慮しながらやっているんだ。」との言葉を裏付けるように、バンドは様々な風景をリスナーの脳裏へと刻み続けます。
“Hollow” で示されたドゥーミーなメランコリー、クリーントーンの旋律はポストロックの景観さえ抱きしめた、陰鬱なアルバムに残る微かな希望。しかしその幽寂なるサウンドスケープは、やがて宿命の如く地の底から襲い来るブラッケンドハードコアの波動、濁流に巻き込まれ押し流されてしまうのです。その落差、静と動、速と遅が司るダイナミズムの効果はまさしく無限大。
それにしてもバンドの落差を支えるリズム隊は破格にして至妙。特に様々なリムショットを華麗に使い分け、楽曲のインテンスを高める Jan Krause のドラムワークは新たなヒーローの名に相応しい創造性に満ちていますね。
“Thankless” で敬愛する MASTODON に感謝なき感謝を捧げ、”The Mire” で再びホラー映画のテンポチェンジをショッキングに見せつけた後、アルバムは終盤にハイライトを迎えます。
静謐の谷と激情の山脈を不穏に繰り返し行き来する “Of Flesh Weaker Than Ash” で 「GOJIRA はデス/ブラックメタルの要素を作曲に活用しながら、ヘヴィーな音楽を実にキャッチーに変化させることが出来ると教えてくれた訳さ。」の言葉通りエクストリームメタルのフック、イヤーキャンディーを張り詰めたテンションの中で実現し、SLEEP のファズサウンドをフューネラルドゥームの寂寞とプログスラッジのエピックに封じた “Hadal” でレコードは新世界への扉を開きながらは威風堂々その幕を下ろすのです。
今回弊誌では、ギター/ボーカル Brady Deeprose にインタビューを行うことが出来ました。「ギター/ボーカルの Dan Nightingale と僕は、当時同じようなフラストレーションを抱えて仲良くなったんだ。ローカルシーンがいかにクソになったか、メタルコアがいかに退屈かという鬱憤だよ。」 どうぞ!!

CONJURER “MIRE” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SLUGDGE : ESOTERIC MALACOLOGY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH MATT MOSS OF SLUGDGE !!

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Mollusk-themed Tech Death King, Slugdge Has Just Released Their Most Adventurous, Complex And Progressive Album Yet, “Esoteric Malacology”!!

DISC REVIEW “ESOTERIC MALACOLOGY”

イングランドとスコットランドの稜線より這い出し軟体動物王 SLUGDGE が、カウンターカルチャーとしてのメタルを存分に追求した “深遠なる軟体動物学” “Esoteric Malacology” をリリースしました!!
メタルの狂騒と尊厳を等しく抱きしめ、ドラマ性と知性を高次元で融合させた独創的なレコードは “メタルの進化” を雄弁に物語ります。
「ヘヴィーメタルはアウトサイダーのための音楽さ。君たちが愛していようが嫌悪していようが、カウンターカルチャーとして永遠に存在し続けるんだ。」と Matt が語るように、SLUGDGE のはヘヴィーメタルのジョークにも思える過度なファンタジーや想像力を敢えて前面に押し出しながら、シリアスかつハイクオリティーなサウンドをデザインすることでアウトサイダーとしての矜持を保つ以上の存在感を発揮していると言えるでしょう。
“Esoteric Malacology” も、当然その彼らの流儀に乗っ取って制作されたレコードです。楽曲はバンドのビッグテーマである “カタツムリ” “ナメクジ” その他軟体動物に捧げられ、歌唱やリフの持つ莫大なエネルギーで軟体動物の神々を祝福しています。
そして、ギミックにも思えるその大袈裟で奇想天外な劇画的手法は、例えば CANNIBAL CORPSE がそうであるように、キラーでシリアスな楽曲を伴うことで異端の享楽を宿す巨大なカタルシスを誘うこととなるのです。
GOJIRA の楽曲 “Esoteric Surgery” へのオマージュにも思えるアルバムタイトルは、確かにフランスが生んだ不世出のプログレッシブメタラーへの接近を示唆しています。そして、”The Spectral Burrows” が “The Way Of All Flesh” の息吹を胸いっぱいに吸い込んだ傑出したプログメタルチューンであることは明らかでしょう。
EDGE OF SANITY の “The Spectral Sorrows” を文字ったに違いないドラマティックなエピックは、複雑かつ重厚なテクスチャーがテクニックの荒波に跋扈する濃密な5分50秒。荘厳でしかし闇深きそのアトモスフィアは、聴く者の脳波を直接揺さぶり音の酩酊へと誘います。
比率の増した神秘のクリーンボーカルは絶妙のアクセント。ENSLAVED に備わった全てを洗い流すかのような神々しさとは異なり、混沌も崇高も全てを包括したダークロード “Mollusa” への捧物、破滅的にキャッチーなその調べは、異世界への扉を厳かに開く確かな “鍵” として機能しているようにも思えます。
軟体動物の柔軟性を活かした “Putrid Fairlytale” は SLUGDGE を象徴するプログレッシブデスメタル。NAPALM DEATH の “Lucid Fairytale” をオマージュしたタイトルからは想像もつかない劇的なドラマが繰り広げられています。
ここまで記して来た通り、”Esoteric Malacology” の楽曲タイトルは偉大な先人たちの足跡に対するオマージュとなっています。 “War Squids” は BLACK SABBATH の “War Pigs”、”Slave Goo World” は SEPULTURA の “Slave New World”、”Transilvanian Fungus” は DARKTHRONE の “Transylvanian Hunger” 等。そして “Putrid Fairlytale” にはそういった彼らが愛する様々なジャンルのメタルが触手で繋がり凝縮されているのです。
プログの色合いを帯びた鋭利なリフワークと相対するブラストビート。一方で、粘度の高いミッドテンポのグルーヴと荘厳なるボーカルメロディー。繊細かつ印象的な電光石火のギターシュレッドを極上の味付けに展開する魅惑のテクデスオデッセイは、Matt が語る “ヘヴィネスの秘密” を見事に体現しながらまさにバンドが理想とするメタルを描き出していますね。
スロウでドゥーミー、ロマンチックとさえ言える “Salt Thrower” で塩に溶けゆくナメクジの悲哀を全身で表現した後、アルバムは “Limo Vincit Omnia” でその幕を閉じます。ラテン語で “スライムは全てを征服する” の意を持つエネルギッシュなナンバーは、「メタルが進化し続けるためには影響の外側から新たなアイデアを取得する必要があるように感じるね。」と語る通りエレクトリックなサウンドまで包括し、意義深き実験と学問の成果を誇らしく報告しています。
今回弊誌では、バンドのギター/ボーカル Matt Moss にインタビューを行うことが出来ました。ギタリスト Kev Pearson とのデュオでしたが、インタビュー後に THE BLACK DAHLIA MURDER のドラマー Alan Cassidy と NOVENA の ベースマン Moat Lowe が加わり完璧すぎるラインナップを完成させています。どうぞ!!

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SLUGDGE “ESOTERIC MALACOLOGY” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BELL WITCH : MIRROR REAPER】2017 X’MAS SPECIALL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DYLAN DESMOND OF BELL WITCH !!

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Seattle Based Doom-duo, Bell Witch Takes You Poetic And Philosophical Deathly Journey With Timless Masterpiece “Mirror Reaper” !!

DISC REVIEW “MIRROR REAPER”

シアトルに居を置くベース/ドラムスのドゥームデュオ BELL WITCH が、1曲83分の暗重なる叙事詩 “Mirror Reaper” をリリースしました!!生と死を投影する難解なるあわせ鏡は、昨年逝去した前ドラマー Adrien Guerra へ捧げるトリビュートとしてその崇高なるメランコリー、哀しみの影を増しています。
紫煙のヘヴィートリオ SLEEP が1曲が一時間にも及ぶスロウでアトモスフェリックな反芻の集合体 “Dopesmoker” をリリースして以来、ドゥーム/スラッジ/ドローンのフィールドはメタルの実験性を最も反映する先端世界の一つとして、創造性のリミットを解除し、定石を覆しながらその歩みを続けて来ていました。
勿論、JESU や BORIS のエピカルな長編も、ジャンルの音楽性とは対極に位置する瑞々しくも天真爛漫なムードを追い風に創造された濃厚なサウンドスケープであったに違いありませんね。それでも、BELL WITCH の新たなチャレンジ、1曲83分の野心は想像を遥かに超えるサプライズでした。
“Mirror Reaper” を形作る要素自体は、前作から大きく変化を遂げてはいません。確かにヘヴィーなレコードですが、ランニングタイムの大半はラウドでもブルータルでもなく非常にオープンでスペーシー。ベース、ドラムス、ボーカルにハモンドB3が生み出すその空間に巣食うは巨大な絶望、悲哀と、全てを掻き集めても片手で掬い取れるほど希少なる希望。
しかし Dylan が 「誰にでも簡単に作れるようなレコードにする必要は全くないと決めたんだよ。楽曲を別々に分けてしまうと、説得力が失われる気がしたんだ。」 と語るように、48分の “As Above” と35分の “So Below” が自然と連続して織り成す構成の進化、常識の破壊は、より妥協のない緻密なコンポジション、Adrian の死に手向けるメランコリックな花束と共に、生と死の安直でステレオタイプな二分法へ疑問を投げかけ、”死のメディテーション” を指標しているのです。
アルバムは、アトモスフィアの波に溺れる6弦ベースの幽玄な調べで幕を開けます。実際、「Michael Hedges のギタープレイは実に参考になったね。」 と語るバンドのマスターマインド Dylan Desmond のベース捌きは驚異的で卓越しています。
左手のみならず、右手を強い感情と共にフレットへと叩きつけ、時に滑らし、時に揺らして生み出すトーンは唯一無二。
ギタリストの不在を感じさせない、むしろそれを不必要と思わせる、独特のウォームでメロディックなマルチディメンショナルサウンドは、新たなベースヒーローの誕生を強くアピールし、同時に崇高な意思と純潔なるムードをアルバムにもたらしていますね。
加えて、地を這うグロウルとミスティックな詠唱のコントラスト、SIGUR ROS を想起させるファルセットのハーモニー、ハモンドオルガンのオーガニックなサステイン、Jesse のセットから流れ出すシンバルの漣。アルバムは、瞑想の荒野、空虚な嵐、美麗なる責め苦を経て、いつしか全てが緩やかな生命と音の大河に注がれドゥームの奇跡、反復の魔術を完璧に創出します。そして挿入される亡き Adrian のボーカルは、”生と死の間に存在する共通要素” “ゴースト” を信じるバンド独特の素晴らしきトリビュートなのでしょう。
NEUROSIS, SWANS などと共闘を続ける鬼才 Billy Anderson のインプットにも触れない訳にはいきませんね。Billy ほど暗闇と混沌、そして壮大なサウンドを巧みに精製するプロデューサーは決して多くはないでしょう。そしてこの作品ほど、型破りで威厳を湛えたアンタッチャブルなメタルレコードも実際ほとんど存在しないはずです。
時間、場所、もしかしたら自分自身さえも忘れてただ広大な闇の迷宮で彷徨うだけの地獄、もしくは天国。コマーシャルと最も遠い場所にあるアートのエリジウム。
そして、詩的で哲学的な “死の旅路” は、作品で最も哀しく最も愛すべきポートレート、バンドのコラボレーター Erik Moggridge の消え入るような歌唱で幕を閉じるのです。
今回弊誌では、Dylan Desmond にインタビューを行うことが出来ました。海外メタル誌では軒並みベストの上位に撰されている傑作。そして弊誌にとっては、最もクリスマスらしい作品です。どうぞ!!

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BELL WITCH “MIRROR REAPER” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【CHELSEA WOLFE : HISS SPUN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHELSEA WOLFE !!

Chelsea Wolfe by Bill Crisafi

PHOTO BY BILL CRISAFI

Certainly, Folk/Rock/Experimental Artist Chelsea Wolfe Took A Step Toward More Dark Side, Heavy Realm, Sludge World With Her Outstanding New Record “Hiss Spun” !!

DISC REVIEW “HISS SPUN”

ダークでスピリチュアルな崇高美を追求する、ノースカリフォルニアの堕天使 Chelsea Wolfe が、そのゴシカルなイメージをスラッジメタルの世界へと解き放つ最新作 “Hiss Spun” をリリースしました!!審美のダークサイドを司るエクストリームアートの女王は、至上の環境、チームを得てより鮮明にその印象を増しています。
近年、Chelsea と彼女の右腕 Ben Chisholm の冒険は、出自であるゴシックフォークの枠を容易く超越し、ドゥームの翳りを宿すインダストリアル、エレクトロニカ、ノイズ、ドローンにまでアプローチの幅を拡げて来ました。陰鬱にして甘美、アーティスティックで創造性豊かなそのジャンルの邂逅は、Chelsea の幽美なビジュアルやスピリチュアルな一面とも共鳴しながら、この混沌とした世界に安寧を喚起するメディテーションの役割を果たして来たのかも知れませんね。
“Spun” の凄艶なディストーションサウンドでスラッジーに幕を開ける “Hiss Spun” は、リスナーの思念、瞑想にある種の直感性を差し伸べる、よりヘヴィーで正直なアルバムです。
「これは、ヘヴィーなレコードでロックソングを求めていたの。」 実際、Chelsea はそう語っています。故にRED HOST 時代のバンドメイト、ドラマー Jess Gowrie とのリユニオンは必然だったとも。
確かにこのレコードの陣容は彼女の言葉を裏付けます。リードギタリストに QUEENS OF THE STONE AGE の Troy Van Leeuwen を起用し、ex-ISIS の Aaron Turner をゲストボーカルとして招聘。さらに CONVERGE の Kurt Ballou をプロデューサーに指名した采配の妙は間違いなくこのレコードの方向性を諮詢していますね。
セカンドトラック “16 Phyche” はアルバムを象徴する楽曲かも知れません。蝶の羽を得て人間から変異を遂げた美しき魂の女神、そして火星と木星の間を公転する小惑星の名を共有するこのコズミックで漆黒のヘヴィーバラードは、自由を奪われ制限される人生をテーマとしています。
「8年間、故郷ノースカリフォルニアを離れてロサンゼルスにいたんだけど、LAは私と共鳴することは一度もなかったの。私の心はいつもノースカリフォルニアにあったのよ。大きな木々、山や川の側にね。」 Chelsea はそう語ります。
遂に家族と自然、スピリチュアルなムードに溢れた故郷へと帰還し、心の平穏と安寧を取り戻した彼女は、閉塞的で捌け口のない当時の自分を反映させた魂の情歌へと辿り着いたのでしょう。
実際、”Twin Fawn” にも言えますが、彼女も認める通りこの楽曲における Chelsea の歌唱はよりパーソナルで内面全てを曝け出すような壮絶さを宿します。フィードバックと不穏なムードが支配する重密なサウンドとも絶妙にシンクロし、彼女のエモーションは現代社会の閉所恐怖症とも形容可能なイメージをも楽曲に映し出しているのです。
“Hiss” とはホワイトノイズ、つまり雨音や川のせせらぎ、鳥の囀りといった自然と人間を繋ぐ雑音を意味する言葉だと Chelsea は教えてくれました。トレモロリフとポストメタルの重厚で奏でられる “Vex” で Aaron Turner の剛胆な咆哮は大地の感覚、アーシーなホワイトノイズだとも。
Aaron の声が大地の咆哮なら、浮遊感を伴う Chelsea の声はさながら虚空のスキャットでしょうか。楽曲の最後に挿入された森のざわめきに耳を澄ませば、彼女のメッセージが伝わるはずです。ヘヴィーとエセリアルのコントラストで表現される自然に対する強い畏怖は、現代社会が忘れつつある、しかし忘れてはならない貴き精神なのかも知れませんね。
確かにヘヴィーでスラッジーなアルバムですが、同時に “Twin Fawn”, “Two Spirit” のような自身のアイデンティティー、ゴシック/フォークにフォーカスした楽曲や、近年養って来たインダストリアル/ノイズ要素を分断に盛り込むことで、作品は Chelsea の多面的な才能を映す鏡、ある意味集大成的な意味合いも保持しています。そして勿論、女性としての一面も。
アルバムは、魔女の如き甲高い歌声が印象的な “Scrape” で幕を閉じます。様々な怒りやヘヴィーな祈りが込められたアルバムには、当然 Chelsea の一人の女性としての怒りも封じられています。あの禍々しき魔女裁判が行われたセイラムでレコーディングが行われたことも、偶然ではないのかも知れませんね。
今回弊誌では、Chelsea Wolfe にインタビューを行うことが出来ました。彼女がゲスト参加を果たしている MYRKUR の最新作も同様に素晴らしい内容。併せてチェックしてみてくださいね。どうぞ!!

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CHELSEA WOLFE “HISS SPUN” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【SUBROSA : FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH REBECCA VERNON OF SUBROSA !!

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Minnesota Based Dramatic-Doom Quartet, SubRosa Has Just Released Beautiful, Magnificent Masterpiece “For This We Fought the Battle of Ages”!!

DISC REVIEW “FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES”

ソルトレイクシティの Dramatic-Doom マスター、SubRosa が自身の最高到達点 “For This We Fought the Battle of Ages” をリリースしました!!一世紀も前に書かれた SF ディストピア小説にインスピレーションを得て制作されたアルバムは、バンドのアイデンティティーである Dramatic-Doom のスケールを一層高めた、様々な音楽ファンに愛されるマイルストーンとなるでしょう。
SubRosa は Doom Metal バンドには珍しく、女性ボーカル Rebecca Vernon のミスティックな歌唱を中心に据えています。加えて、Sarah Pendleton と Kim Pack のダブルヴァイオリンとアディショナルボーカルが唯一無二の美麗な Doom を創出しているのです。
ALCEST や DEAFHEAVEN を見れば分かる通り、近年、メタルに “Beauty”, “Atmosphere” を持ち込む、才気溢れるバンドが注目を集め、シーンの限界を押し広げていますが、SubRosa のユニークなラインナップが生み出す手法、冒険、マジックは中でも際立っていると言えるでしょう。
インタビューにもある通り、”For This We Fought the Battle of Ages” はロシアの反体制活動家 Yevgeny Zamayatin の著書 “We” に触発された作品です。当時のソヴィエト初期社会主義時代の、閉塞された状況を描き揶揄したディストピア小説は、しかし、政府による管理、監視、支配という、実は現代社会が抱える問題に読み解くことも可能です。SubRosa はその命題を、人生、死、自由、愛といったテーマを与えた楽曲を通して、エピカルに、ドラマティックに、そしてドゥーミーに描いているのです。
アルバムオープナー、15分半のエピック、”Despair Is a Siren” は深化したバンドを象徴するような1曲です。Doom という特性上、勿論、長くなりがちな楽曲ですが、しっかりとストーリーやシーンを描写する彼女たちにとって、この長さは意図してデザインされた SubRosa’s Way。
静寂が支配するイントロとラウドで実験的なパートの対比が生むボリューム、テンポのダイナミクス、見事にレイヤーされたトリプルボーカルの魔術、そしてデュエットの如くメロディーとカウンターメロディーを行き来する、複雑で美麗なボーカルとヴァイオリン。バンドのトレードマークとも言える要素が、寄せてはは引く波のように揺らぎつつ、リスナーへと届きます。同時に、六拍子とリズムにフォーカスしたディストーションギターが交わり流れ出すカオスの潮流は、SubRosa が NEUROSIS 以来脈々と繋がる Experimental Metal の落胤であることを主張していますね。
アルバムの中心に据えられた “Black Majesty” も同様に15分を超える大曲。東洋的とも感じられるエスニックでエモーショナルなヴァイオリンが先導する、プログレッシブで極上の展開美を誇るこのエピックにおいて、Rebecca は “Isn’t it beautiful?” とリスナーに問いかけます。その1節、歌声からは “Doom Metal だけど美しいでしょ?” という自負心、アイデンティティーが強烈に伝わりますね。
後半の BLACK SABBATH meets GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR とでも形容したくなるパートでは、リズム隊を中心に、群を抜いたバンドアンサンブルを聴かせることも記して置くべきでしょう。
また、”Il Cappio” では Rebecca の多彩な一面を覗かせます。バンジョーと共に紡がれるリリックは何とイタリア語。囁くようにスイートなトーンで歌う新しいアプローチにより、陰影を帯びた切なくもフォーキッシュな楽曲は、続く “Killing Rapture” の完璧なプレリュードとして機能していると共に、作品の素晴らしいアクセントとして色を添えています。
ドラマティックでプログレッシブ。”美”にとことんまで拘り、”戦い”抜いた野心的な “For This We Fought the Battle of Ages” は、まさにモダンメタル、Experimental Metal, Post-Doom / Sludge の最新型、金字塔として、凛然と輝く名作に仕上がりました。今回弊誌では、バンドの創立メンバーで、ボーカル/ギター、無数の声を使い分ける才女 Rebecca Vernon にインタビューを行うことが出来ました。日本初取材です!どうぞ!!

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SUBROSA “FOR THIS WE FOUGHT THE BATTLE OF AGES” : 9.8/10

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WORLD PREMIERE: “FOLLOWING THE VOICE” 【ANCIIENTS : VOICE OF THE VOID】


WORLD PREMIERE: NEW SONG !! “FOLLOWING THE VOICE” OF ANCIIENTS !!

Vancouver Metal Quartet ANCIIENTS Will Return With Constant Tension And High Dynamics New Record “Voice Of The Void” On 10/14 !!

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カナダはバンクーバーから現れた Modern Prog Metal 4人組 ANCIIENTS が待望の2ndアルバム “Voice of the Void” を10/14にリリースします!!
2013年にリリースされたデビューアルバム “Heart of Oak” は MASTODON や OPETH を想起させるエピカルなプログレッシブさを纏いつつ、よりエクストリームでスラッジーな音楽性が高く評価されました。実際、昨今のシーンにはプログレッシブに特化したバンド、エクストリームに振り切れたバンドが多い中、彼らのアグレッションとプログ性のバランスは白眉で、叙情性から攻撃性までカバーした “Falling in Line” はまさにモダンメタルの多様性を表現した名曲でした。
3年ぶりにリリースする新作 “Voice of the Void” はデビュー作に温かみ、ソリッドさ、ダークネス、を加えてまさに”オークのコークス”の中でウイスキーが熟成するがごとく、コンポジションに時間をかけたアルバムに仕上がっているそうです。グロウルとクリーンボーカルのデュエルが生み出すダイナミクス、クランチーなリフをカウンターパートとしたインストセクションの充実度も過去最高。実際、今回公開するシングル曲 “Following the Voice” を聴けば、その展開美、技術、メロディーに更なる進化があったことは明らかでしょう。ぜひアルバムリリースまで、過去作やシングルを聴いて待っていてくださいね!

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【MESSAGE FROM KENNY】

The new ANCIIENTS record is titled ‘Voice of the Void’ and somewhat of a step in a new direction lyrically and musically. I think, it still has the sound we developed on ‘Heart of Oak’, but the riffs are a lot heavier at times and the lyrics are far more cynical and dark. With all of the chaos happening on this planet as of late it seems as though things will get worse before they get better, and that kind of embodies the theme of this album as a whole. Jessie Gander did a great job capturing the music and his production far surpassed our expectations. The first new song out, ‘Following the Voice’ is about struggles with inner demons that many people face. Knowing what the right thing to do is, but not listening to your conscience and choosing the path that is best for yourself, but harms others in process. It is about following the evil voice in your head as opposed to the voice of reason.

新しい ANCIIENTS のレコード、タイトルは”Voice Of The Void”。音楽的にも歌詞の面でもいくらか新しい方向に進んだ作品さ。基本的には “Heart Of Oak” のサウンドを進化させたんだけど、リフはよりヘヴィーに、歌詞はシニカルでダークになっていると思うよ。
この星で最近起きている混沌は、より良くなる前の前兆だと思うんだ。このアルバムではそういったテーマを体現してみたよ。 Jessie Gandar はアルバムの音楽を見事に捉えて、期待よりはるかに素晴らしいプロダクションを行ってくれたね。
“Following The Voice” は多くの人が直面する、内なる悪魔との戦いについて。正しいことを行うべきだと知っているのに、自分にとってベストのチョイスを優先してしまうことは、その過程で他人を傷つけてしまうことにつながるよ。理性に反して悪魔の声に従ってしまうことについてだよ。

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Track-list
1. Following The Voice
2. Buried in Sand
3. Worshipper
4. Pentacle
5. Descending
6. Ibex Eye
7. My Home, My Gallows
8. Serpents
9. Incantations

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