タグ別アーカイブ: Japan

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LOVEBITES : AWAKENING FROM ABYSS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH midori OF LOVEBITES !!

LOVEBITES_pic_ALBUM_mid

Female Power Metal Band From Japan,  LOVEBITES Make Their Mark On The Heavy Metal Scene, With Bigger, Louder Debut Full-length “Awakening From Abyss”!! Are You Ready For “Muse Metal”? 

DISC REVIEW “AWAKENING FROM ABYSS”

荒廃した”世界”に舞い降りた凛々しくも美しき女神たち。ミューズメタルの使者 LOVEBITES が下す怒りと希望の鉄槌 “Awakening From Abyss” は、文字通り世界を深淵から “覚醒” へと導きます!
欧州、米国、そして日本の香りが入り交じるオーセンティックかつダイナミックなメタルを、卓越した技術と豊潤なるエモーションで具現化したデビューEP “The Lovebites EP” から約6ヵ月。早くも届けられたバンド初のフルレングス “Awakening From Abyss” は、ギター/キーボード、さらに作曲でもバンドを支える mi-ya をオフィシャルメンバーとして加え、楽曲の幅、サウンド、メロディー共に全てがスケールアップを果たしたまさに “ネクストレベル” の黙示録です。
女神の “ネクストレベル” が世界を見据えていることは、その制作環境からも充分に伝わります。NIGHTWISH, CHILDREN OF BODOM で知られる Mikko KarmilaとMika Jussila のフィンランドチームがサウンドを司り、アートワークを HELLOWEEN の “Sweet Seductions” などを手がけたスペインチームが制作。さらに全てのリリックを英語詞に拘り、ヨーロッパ、北米、メキシコなど海外でのリリース及び、ロンドンでの初ライブに至る道程は既に世界基準と呼ぶに相応しいスケールです。
荘厳なるストリングスのタペストリー、序曲 “The Awakening” がバンドの強固なアンサンブルを導くと、アルバムは IRON MAIDEN を思わせるオリエンタルなテーマが印象的な “The Hammers of Wrath” で幕を開けます。
TESTAMENT の鋭角で迫り来るファストでシャープなリフワーク、メロディックヒステリックな本能のボーカル、タイトでラウドなリズムの息吹は、バンドがリアルなエクストリーム領域に在ることの確かなる証です。
リードトラック “Shadowmaker” を聴けば、必ずやメタルファンの血は湧き肉も躍るはずです。より複雑さと繊細さ、そしてダイナミズムを増した素晴らしき新たなバンドのアンセムは、あまりに扇情的かつドラマティック。細かなギミックを織り込んだ捻りの効いたプログレッシブなリフや、シンフォニックなシンセワーク、中盤のテクニカルなツインリードは、明らかに ANGRA の遺伝子を宿しつつリスナーにエキサイトメントを運びます。
R&B やブルーズの表情を垣間見せるスリージーな “Warning Shot”, “Scream For Me”、さらにストリングスやキーボードを効果的に使用しバラード的な感覚を内包させた “Liar” “Inspire” といった楽曲たちはバンドの持つ多様性、引き出しの多さをまざまざと見せつけています。元々、R&B やソウルを主戦場としていたボーカル asami の黒く眩いエモーションが、メタルの持つ重厚なアグレッションと融合し、想像以上の化学反応をもたらしているとも言えますね。
そして LIGHT BRINGER の Mao が作曲を担当した “Edge of the World” はバンドの未来を象徴する楽曲かも知れません。アコースティックギターとピアノの麗しき調べで幕を開ける世界の果ての物語は、さながら SYMPHONY X の如く、耽美な響きとプログレッシブな展開美でリスナーのイマジネーションを掻き立てます。切なく、甘く、そして激情をも孕んだ魅力的なメロディーの洪水は、リスナーを叙情の海へと沈降させるに充分のメランコリーを湛えているのです。
midori はインタビューで 「残念ながら、LOVEBITES も見た目のせいで “聴かない” “メタルじゃない” という意見があることは知っています。ですが喜ばしいことに、それ以上に、私たちの音楽を正当に評価してくれる人が増えてきていることも知っています。私たちには、”最高のヘヴィ・メタルをやる” という強い信念があるのです。」 と語ってくれました。実際、その想いに一点の曇もないことは、”Awakening From Abyss” のミューズメタルを聴けば伝わるはずです。
アルバムは、文字通りバンド全員の “勇敢な心” を乗せた “Bravehearted” で、闘い続けることを誓いながら勇壮に幕を閉じました。
今回弊誌では、バンドのギタリスト midori さんにインタビューを行うことが出来ました!PERIPHERY, ANIMALS AS LEADERS, そして abstracts という名前まで飛び出す、弊誌読者の皆さまにも非常に共感、シンクロする内容だと思います。どうぞ!!

1710Lovebites_AwakeningFromAbyss_cover_mid-2

LOVEBITES “AWAKENING FROM ABYSS” : 9.6/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LOVEBITES : AWAKENING FROM ABYSS】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GALNERYUS : ULTIMATE SACRIFICE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SYU & FUMIYA FROM GALNERYUS !!

20881954_913462622141003_7048560789978245881_n

The Best Power Metal Band In The World, Pride of Japan, GALNERYUS Has Just Released The Greatest Metal Opera Of The Year, “Ultimate Sacrifice” !!

DISC REVIEW “ULTIMATE SACRIFICE”

日本が誇るシネマティックメタルの英姿 GALNERYUS が、究竟の証 “Under The Force of Courage” の真秀なる続編 “Ultimate Sacrifice” をリリースしました!!前作の壮大かつ勇壮な世界観を威風堂々受け継ぎながら、さらにスケールアップを果たした雄渾無比なメタル活劇は、もはや世界でも最高峰のクオリティーを誇ります。
前作 “Under The Force of Courage” はバンド初のコンセプトアルバム。ギタリストでマスターマインド SYU の手による長編のドラマティックな戦記を元に、”人間の存在意義を問い、悟りに至るプロセスを描いた” 映画のような一大スペクタクルは、圧倒的な構成力に至上のメロディーとエモーションを湛えバンドの最高傑作とも評された作品でした。
リリース後にはアルバムの完全再現ツアーも行い順風満帆に見えた GALNERYUS は、しかし2003年からバンドのエンジンであり続けたドラマー Jun-ichi と袂を分かつ決断を下します。「Jun-ichiさんの脱退については、数年前から実はその傾向は見え隠れしていました。」 と SYU が語るように新たな血を加えるタイミングだったのかも知れません。
UNLUCKY MORPHEUS, THOUSAND EYES 等で名を馳せる FUMIYA を新たなダイナモに迎えて制作された “Ultimate Sacrifice” は事実、マイルストーンとなった前作の完成度、構成美に、瑞々しい躍動感や生命力が織り込まれた作品です。
“SIDOOH/士道” を描いた高橋ツトムのアートワークも映える自己犠牲の物語は、前作の主人公が遂に理想とする国家を打ち立てるも命が尽き果てる場面からスタートします。後任として仄暗く権力を握る主人公の部下と、真直ぐな主人公の息子が繰り広げる闘諍は “Enter the New Age”、まさに新世代のファンファーレで幕を開けます。
歌劇、メタルオペラ “Heavenly Punishment” の目も眩むような絢爛さ、圧倒的な造形美はすなわち GALNERYUS の真骨頂。息子の慟哭を封じ込めた悲傷の旋律は狂おしいまでにリスナーの胸を打つのです。実はバンドが得意とする、中盤の DREAM THEATER 的なメカニカルなデザインも楽曲を見事に引き締めていますね。終盤にはクワイアで一際高揚感を掻き立てます。
前作から続く畳み掛けの美学。さらにスピードを増した “Wings of Justice” を聴けば、新たな血がバンドのスピリットにしっかりと溶融したことが伝わるでしょう。SYU のファストなリフワークをランドマークに、破綻スレスレでバンド全体をごっそりと加速させる FUMIYA のアクセルワークは実にエキサイティング。
FALLUJAH や SikTh を最近のフェイバリットに挙げ、「昔からドラムも打楽器ではなくメロディ楽器として捉えている節がありまして、小口径のタムやエフェクトシンバルなどで曲中(特にフィルイン)に彩りを添えることは常々意識しています。」 と語るように、FUMIYA の彩り豊かでコンテンポラリーなドラム捌きは明らかにバンドの新たなる武器となっています。
武器と言えば、メンバー各自の多様な個性も GALNERYUS には欠かせない要素です。傑出した鍵盤奏者 YUHKI が創造した EL&P とパワーメタルの愛おしき邂逅 “With Sympathy”。戦いを重ねる中で生まれる戦士の友情を描いた雄々しくも希望に満ちたナンバーは、YUHKI が敬愛する Keith Emerson の風格を乗せて、アルバムに見事なコントラストを映し出すのです。
また、息子の運命的な恋愛を描く “Wherever You Are” は小野“SHO”正利と SYU の才能が見事にシンクロした一つのハイライトと言えるかも知れませんね。”SHO” よりも “小野正利” のペルソナにフォーカスした邦楽的なラブソングは、あまりに切なく、甘く、聴くものの過去の恋愛を脳裏に浮かび上がらせます。加えてアウトロの Gary Moore を思わせるエモーショナルでしかし巧みに起承転結を配置したリードギターは、さらに楽曲を遥かなる高みに導きます。
フレットポジションの異なる同音異弦チョーキングから、フルピッキングで加速しアルペジオにスケールを加えた独自のリックへと辿り着く刹那にはあまりの素晴らしさに、「やめて!!フェイドアウト!!しないで!!一時間でも二時間でも続けて!!」と叫ぶリスナーも多いはずです。
「テクニックを見せたい!という気持ちは最近は特に減退してて、トータルの音楽としてバランスを取りたいという気持ちが非常に強くなってます。」 テクニックと音楽の違いを浮き彫りにする SYU の言葉と演奏は、実際求道者故の凄みと説得力に溢れているのです。
アルバムを締めくくるのは、バンドの進化を見せつける目眩く二つの大輪、壮麗なる組曲。物語の最期はあまりに衝撃的。しかし GALNERYUS もストーリーもここが終着地ではないでしょう。アルバムは無垢なる胎動と共に、バンドの燦然たる未来と新たなるコンセプト作品を予感させて幕を閉じます。
今回弊誌では、SYU さんと FUMIYA さんにインタビューを行うことが出来ました。いつかは Wacken や Hellfest のヘッドラインを務めて欲しい。心からそう願わせるほどの感動がここにはあります。弊誌二度目の登場。GALNERYUS です、どうぞ!!

wpcl000012714_LLL-2

GALNERYUS “ULTIMATE SACRIFICE” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【GALNERYUS : ULTIMATE SACRIFICE】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ENDON : THROUGH THE MIRROR】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TAICHI NAGURA OF ENDON !!

ENDON_2017_KM1

“Catastrophic Noise-metal” Outfit ENDON Has Largely Eluded The Attention Of The Broader Western Underground Music Scene With New Extreme Masterpiece “Through The Mirror” !!

DISC REVIEW “THROUGH THE MIRROR”

エクストリームミュージックの光彩にして特異点。東京から世界を見据えるノイズの狂信者 ENDON が、シーンに “救い” という名の不可逆性をもたらすマスターピース 『THROUGH THE MIRROR』をリリースしました!!
「ENDON はメタルという言葉でイメージする音楽の領域を拡大する役目の一端を担っていると思います。言い換えれば私にはメタルの延命措置に関わっているという認識があります。」 と語る彼らの欲望は、残酷なまでに率直です。
ボーカル、ギター、ドラム、そして2名のノイズマニュピレーターを擁する ENDON。ノイズをその多様なソングストラクチャーへ大胆不敵に織り込む彼らの方法論は、エクストリームミュージックの最先端にあると言えます。
罪深きノイズの濁流 CODE ORANGE, ハードコア/グラインドのハイブリッドエクストリーム FULL OF HELL、そして ENDON。奇しくも等しくその最新作を CONVERGE の巨匠 Kurt Ballou に委ね、ノイズというキーワードで繋がる三傑は、創造性という核心において他の追従を許してはいませんね。
中でも ENDON が特異点であるべきは、インタビューにもあるように、彼らがノイズを “主人公” として扱っている部分だと言えるでしょう。勿論、エクスペリメンタルな極北たるデビューフル 、ノイズを中心に据えた “母盤”『MAMA』はその具象にして直接的な証です。しかし、ノイズを楽器の一つとして扱い楽曲を “構築” することで、よりロック/メタルのフォーマットへと接近した “父盤” 『THROUGH THE MIRROR』においてもその信念は揺らぐことすらありませんでした。
ENDON にとってノイズとは “有機性” の象徴なのかも知れません。つまり、音符や調に囚われないノイズは自由な胎動、母性。逆に緻密な楽曲の構築、音楽的な束縛は父性。二性の融合によりフォーカスした『THROUGH THE MIRROR』は、ENDON という稀代のバンドが産み落とした寵児だと言えるのではないでしょうか。
こうした変化、父性の強調をセルアウトと断じることは無意味です。那倉氏が 「私は「悟り」という言葉もあまり好きではありません。私は「悟り」を「去勢」と言い換えます。」 と語ったように、バンドは “去勢” とは対極に位置するマスアピールを欲しているのですから。
アルバムオープナー、6分間のノイズの弾幕、ブラストの洪水、地獄の責め苦 “Nerve Rain” をある種の踏み絵としたレコードは、実際アグレッションとカオス、エモーションとキャッチーさが奇跡のバランスで均衡を保つインテンスの塊です。
“Your Ghost is Dead” “Born in Limbo” を聴けば今回、特に彼らの獰猛さの一端をブラックメタルやハードコアのテクスチャーが支えていることに気づくはずです。歌詞を持たないボーカリスト、那倉太一の阿鼻叫喚は言語をも凌駕し、ギターやリズムと対等にレイヤーされたノイズのグラデーションは有機的にその残虐性を高めていますね。
殊更、 起伏が増し、繊細なる “オアシス” が存在感を放つ終盤の24分間は圧巻です。”Perversion ‘Till Death” における全てを破壊するかの如き非業の質量、修羅なる重量感は、狂気の狭間に挿入される仄暗くも耽美なるクリーンギターを伴って、スラッジーというワードのみで形容するにはあまりに背徳的で異端な世界観を作り上げています。
プリミティブなパンクのエナジーで疾駆するタイトルトラック “Through the Mirror” がメジャーキーで解決した刹那、世界はその色を変えます。”Torch Your House” で開花するエセリアルなムード、ノイズの宇宙、多幸感とさえ表現可能なサウンドスケープは、ポストロックやポストパンクの美麗なるイメージ、アンビエンス、崇高さを伴って作品に稀有なるコントラストをもたらし物語を締め括るのです。
アルバムを通してギタープレイヤー、宮部氏のルーズでクールなブルーステイストが、作品に更なる彩り、魅力を加えていることも付け加えておきましょう。
今回弊誌では、那倉太一氏にインタビューを行うことが出来ました。8/23からは FULL OF HELL, THE BODY, FRIENDSHIP の日本ツアーが始まりますが、ENDON も8/27に出演が決定しています。インタビューで、「小説が歌詞を補完しているという関係ではありません。」 と明言していますが、太一氏の弟、悦生氏が全ての楽曲タイトルに対応する小説を著しています。実に興味深い内容なので併せてぜひ。どうぞ!!

DYMC-275

ENDON “THROUGH THE MIRROR” : 10/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ENDON : THROUGH THE MIRROR】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【tricot : 3】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH tricot !!

unnamed-28

The Best Girls Trio On Earth, tricot Makes Math-Rock Great Again With Their New Milestone “3” !!

DISC REVIEW “3”

日本のマスロック/ポストロックのランドマークとなった歴史文化都市、京都から世界へと進出し快進撃を続けるガールズトリオ tricot が時代を切り拓く一撃 “3” をリリースしました!!ポップ、パンク、そしてプログまで取り込んだ前人未到の方程式は世界を驚かせるに充分なインパクトを纏っています。
日英米同時リリースとなった最新作 “3” は、インタビューにもあるようにバンドが最も自由を謳歌した「何でもアリ」な作品に仕上がりました。ドラムス komaki♂ 脱退後リリースされた “A N D”, “KABUKU EP” は共に数名のサポートドラマーたちと共に制作されましたが、今作ではライブのサポートも務める吉田雄介氏がほぼ全ての楽曲でプレイ。フレキシブルにトリオの意思に反響するセンシブルなドラムスを得て、バンドはその野性味と知性を最高の形で開花させたと言えるかも知れませんね。
勿論、変幻自在なリズム、マスマティカル(数学的)な変拍子の洪水がシンボルとなり、特に海外では “マスロック” “Math-rock” と称される tricot の音楽ですが、多彩を極めるのはリズムだけではありません。”3″ で確かに実現したカラフルで鮮やかな楽曲群、世界観はしなやかにバンドの成熟、進化を伝えています。
また、tricot のその自由な実験精神は CD のパッケージングにも表層化しています。ブックレットもアートワークもなく、透明のケースにただ “3” と書かれただけのミニマルパッケージ盤(1500円)と同時に、クリエイター・チョーヒカルとのコラボレーションによるアートボックス、999枚限定デラックス盤(4500円)を用意。「今通常盤として世に出されている形が果たして今もみんなにとって通常であるのか」。拡散するリスナーの要望と改革の進まぬ音楽産業の落差に疑念を抱き、一石を投じるバンドのチャレンジは実に潔く、大いに賞賛されるべきでしょう。
アルバムオープナー、園子温監督のオリジナルドラマに使用された “TOKYO VAMPIRE HOTEL” を聴けば、tricot がロックの持つ原衝動とインテリジェンス、そしてポピュラリティーをナチュラルに凝縮させていることに気づくはずです。楽曲の持つインテンシティー、パンキッシュな衝動、コンテンポラリーな展開は AT THE DRIVE-IN をも想起させ、その凄みはポストハードコアの領域へと達していますね。
進化の証である、ファストでアグレッシブな2分30秒が過ぎ去ると、バンドは別の顔を見せ始めます。メロディックでキュートな “WABI-SABI” はバンドの真骨頂であり、”TOKYO VAMPIRE HOTEL” の素晴らしきカウンターとして存在しています。tricot らしいポップなヴァースに色を添える楽器隊のコーラス、ハーモニーは楽曲に極上のアトモスフィアをもたらし、同時に生々しいサウンドプロダクションとリズムアプローチの妙は “マスポップ” のパイオニアであることを高らかに宣言しているのです。
実際、椎名林檎のリリカルなムードを内包する “節約家” にも言えますが、2人のギタープレイヤーが創造するインテンスは峻烈で、その意外性に満ちた休符の配置、スタッカートの切れ味、テンションノートの煌めきは作品のコアとして揺るがぬ存在感を放っています。
ダンサブルな “よそいき”、ジャズの息吹を吸い込んだ “DeDeDe”、ボーカルエフェクトや中国語まで活用した “ポークジンジャー” と実にバラエティーに富み色とりどりの作品において、トリッキーなバンドの魅力は “18, 19″ で最高潮に達します。
インタビューで語ってくれた通り、「やりたいこと詰め込んで全部やってやろう」という意気込みで制作されたチャレンジングな楽曲は、実に複雑怪奇。異なるイントロとコーラスのリズムに加え、突然のストップ&ゴーが多発する変則リズムの氾濫は、tricot のクリエイティビティとテクニックを完膚無きまでに見せつけています。特にアクティブでダイナミックなベースラインは群を抜いていますね。
さらにイントロのリズムを注意深く数えれば、”9・9・10・9″ と進行していることに気づくはずです。つまり、”18, 19” とは楽曲の拍子を表しており、タイトルや歌詞、そしてその淡いメロディーから不安定な青春時代の恋愛を想像するリスナーを見事煙にまいているのです。平然と宿された衝撃の”ダブルミーニング”。tricot の虜となる音楽ファンが後を絶たないのも納得ですね。
アルバムは、シンプルにスタートし徐々にコーラスやセブンスコードが重ねられて行く不思議で魅力的なポップチューン “メロンソーダ” でその幕を閉じます。人生を変えたアルバムを見れば分かる通り、貫かれるポップセンスは3人にとって不可欠で、そしてあまりに当然のものとして常に存在しているのでしょう。
今回弊誌では tricot の3人にインタビューを行うことが出来ました。4月には日本が誇るポストロック/ハードコアの祝祭 “After Hours” でプレイし、さらに8月には UK ポストロック/ハードコアの祭典 ArcTanGent への出演も決定しています。
余談ですが、「世に出回ってる tricot の楽譜はだいたい間違っている」そうなので、こちらも画期的な試み “目コピ動画” を公式ショップから購入してみるのも一興です。どうぞ!!

unnamed-29

tricot “3” : 9.9/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【tricot : 3】

WORLD PREMIERE : “Absolutego”【Boris : DEAR】


WORLD PREMIERE !! “Absolutego” From Boris’s Upcoming Record “DEAR” !!

The Most Dynamic & Energetic Heavy Rock Trio From Japan, Boris Will Celebrate Their 25th Anniversary With New Studio Album “DEAR” !!

Boris_DEAR_photo.MikiMatsushima

この秋、結成25周年を迎えるBorisが “NOISE” (2014)以来3年振りとなる最新スタジオ・アルバム “DEAR” を7/12にリリースします!!絶え間なく動き続け、先鋭であり続けるBorisの‘今現在’がこの “DEAR” にあるのです。
アルバムは、日本先行発売(全世界:7/14)、日本盤のみ3曲収録のボーナス・ディスクを追加した2枚組仕様でリリース。
本作も自らの息遣いや空気の振動まで封じ込めるセルフ・レコーディングで吹き込まれ、長年パートナーシップを続ける中村宗一郎氏(坂本慎太郎、OGRE YOU ASSHOLE 他)がミックスとマスタリングを担当。サウンド・プロデュースは直近2作同様に成田忍氏が手掛けています。
さらにアートワークは、大友克洋氏や多数のアパレル・ブランドとのコラボレーションで知られるコラージュ・アーティスト/グラフィック・デザイナー河村康輔氏の手に依ります。
4月の『After Hours』にヘッドライナーの一角として登場した際には、殆どが本作から演奏され、ライヴ映えする楽曲と世界観は大きな評判を呼びました。
冒頭を飾る “D.O.W.N” や “DEADSONG” のヘヴィ&ドローンはBorisのシンボルともいえるスタイルですが、メロディックなヴォーカルと多幸感を呼ぶ音の壁は、沈み込むヘヴィさとは一線を画すもの。ヘヴィを射抜いた先に拡がる音を体感したいですね。
最新ミュージック・ビデオとして公開された “Absolutego” は直感的反応を呼ぶロック・アンセム。ライヴ時にはアコーディオンもフィーチュアして聴かせる “Kagero” でも新しい表情が伺えます。そして、はかなさや切なさをまとった “Biotope” や “Dystopia” もまた Boris の真骨頂です。

unnamed-27

Boris “DEAR”

Disc one: DEAR
1. D.O.W.N -Domination of Waiting Noise-
2. DEADSONG -詩-
3. Absolutego -絶対自我-
4. Beyond -かのひと-
5. Kagero -蜉蝣-
6. Biotope -ビオトープ-
7. The Power
8. Memento Mori
9. Dystopia -Vanishing Point / 何処へ-
10. Dear
Disc two: [日本盤ボーナス・ディスク]
1. More
2. Evil Perspective
3. D.O.W.N -Domination of Waiting Noise- (Full Version)
レーベル:Daymare Recordings
2CD: DYMC-300 税抜価格:\3,200+税
3LP: DYMV-300 税抜価格:TBA
2017/7/12 日本先行発売 (全世界発売: 7/14)

Boris ARE:

92年より活動開始、96年にTakeshi、Wata、Atsuoという現在のメンバー編制へ。活動当初より自分達の居場所と方法論は自ら作り上げるスタンスで、ワールドワイドに展開。文字通り音を‘体感’するダイナミクスに満ちたライヴで熱狂的なファン・ベースを確立。そのパフォーマンスはナイン・インチ・ネイルズをも魅了し、USアリーナ・ツアーのサポートに抜擢。
断続的なスタジオ・セッションを通じ、ほぼ全て自ら録音する‘ひたすら音と向かい合うレコーディング’は、代表作『PINK』(05)、『SMILE』(08)、『NOISE』(14)をはじめとする30数作に及ぶフル・アルバム、サン O)))との共作『Altar』(07)他約20作品に及ぶコラボレーション作を産みました。『ニンジャスレイヤー フロムアニメイション』に書き下ろし新曲3曲と新録1曲を提供(15)したことも記憶に新しいですね。
また映画『リミッツ・オブ・コントロール』(09)『告白』(10)へも楽曲を提供、映像的と評されることが多い楽曲とのマッチングの良さで、音楽界以外でも注目を浴びています。
2013年より改めてゲスト・プレイヤーを含まない3人編成でのライヴ活動に主眼を置き、メンバー間の相互作用とバランスを更に強化。日本/北米/ヨーロッパ/オーストラリアを中心に行うワールド・ツアーは、現在も規模を拡大しながら2006年以降毎年行っています。
結成25周年を迎える2017年、最新スタジオ・アルバム『DEAR』を全世界同時発表。
Takeshi – Vocal, Bass & Guitar
Wata – Vocal, Guitar & Echo
Atsuo – Vocal, Drums, Percussion & Electronics
Boris “DEAR” 特設サイト
Boris Facebook Page
Boris Official Site
Daymare Recordings Official Site

mmmB5dvKwaCcAEznJZ

PLZ FOLLOW US ON FACEBOOK !!

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【川口千里 / SENRI KAWAGUCHI : CIDER ~Hard & Sweet~】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SENRI KAWAGUCHI !!

serri_kawaguchi_maina1-1_20161118143603774

20 Years Old Drum Maestro, Sernri Kawaguchi From Japan Has Just Released Hard & Sweet Fusion Record, “Cider” !!

DISC REVIEW “CIDER ~Hard & Sweet~”

“手数姫” こと女子大生スーパードラマー、川口千里が遂にメジャーデビュー作 “CIDER ~Hard & Sweet~” をリリースしました!!二十歳の節目にメンバーを固定して望んだ成長著しい快作は、まさに茫々と広がる世界への確かな切符となるでしょう。
インタビューにもあるように、5歳でドラムと運命的な出会いを果たし、8歳であの “手数王” 菅沼孝三氏に師事を始めたという彼女の物語は、さながら現代のお伽噺のごとく素敵な奇跡と共に幕を開けました。12歳で挑んだプレイスルー動画の総再生回数は4000万回に迫り、世界的なドラム関連サイト “ドラマーワールド” では世界のトップドラマー500に撰されるなど、もはやその存在はワールドワイドに熱い視線を浴びていると言えますね。
すでにインディーズで2枚のソロ作品をリリースしている川口千里。しかしその活躍は自身のリーダー作のみに留まりません。E-girls, Guthrie Govan のライブをサポートし、Lee Ritenour とも共演。さらには 映画 “さらばあぶない刑事” のサウンドトラック、ももいろクローバーZのアルバム “AMARANTHU” にも参加するなどその素晴らしくジャンルを股に掛けた活躍により、彼女はしっかりと自身の軌跡を刻んで行っているのです。
「20歳を記念するアルバムなので、大人をイメージしつつ爽やかな若さもあるタイトル」「私のドラミングの “Hard” な部分も “Sweet” な部分も両方感じてほしい」 という理由から名付けられた3作目のリーダー作 “CIDER ~Hard & Sweet~”。アニバーサリーの冒険で彼女がキーパーソンに指名し絶大な信頼を置いたのが、Philippe Saisse でした。THE ROLLING STONES, David Bowie から David Sanborn, Al Di Meora まで数多の巨人と共演しそのアレンジを手がけて来た、フランスの偉大なキーボーディストにしてコンポーザー、プロデューサーは自身のグループ PSP の “S” を Simon Phillips から Senri Kawaguchi に翻しその力を貸すことにも吝かではありませんでした。
アルバムオープナー “FLUX CAPACITOR” は “バックトゥザフューチャー”、時代を行き来する作品の予告編でしょうか?フュージョンがスムーズジャズと呼ばれる以前のクロスオーバーなエキサイトメントとフリーダムを掲げつつ、同時に Philippe のポップなセンスを活かすクリアーなプロダクションとモダンなテクニックを内包する楽曲は瑞々しさに満ちています。ゴーストノートやハイハットの細かな刻みまで隈なく見渡せるサウンドの透明度は本当に群を抜いていますね。
Philippe のビンテージな機材から繰り出されるキャッチーなテーマは、川口千里の刻々と拍子を移すダイナミックなリズムワークに牽引され、万華鏡のように鮮やかな広がりを見せて行きます。Pino Palladino の代役として参加したカメルーン生まれのテクニシャン Armand Sabal-Lecco は、低音域から高音域までフレキシブルなベース捌きを披露し、Philippe の Jan Hammer を想起させるスリリングなソロワークと相まってギターの不在を感じさせませんね。トリオのタイトなグルーヴがダブルタイムへ移行すると、そのカタルシスはさらに加速しロックの衝動をさえ孕みながら音のユーフォリアを創造していくのです。
マリンバを使用し野性的な雰囲気を演出する “Wupatki”、彼女自身が作曲を行ったロマンチックなバラード “Longing Skyline” を挟んで訪れる “Do Do Ré Mi” はアルバムのハイライトと言えるかもしれませんね。ジャズスタンダードの古典ようにスタイリッシュに幕を開ける楽曲は、突如その舞台を現代的なフュージョンへと移します。アルバムに収録するのが初めてとは思えないほど堂にいった4ビートから6/8拍子へと切り替わるその魔法の瞬間はリスナーに音楽の “楽しさ” を運ぶはずです。”間”を大切にしたという彼女の言葉通り、スティック一閃、バンドがピタリと完全に音を止める瞬間はあまりにクールで川口千里というコンダクターの実力を存分に見せつけています。
さらに 「現場での化学反応が想像以上に凄かった」 と語るように、楽曲終盤のサンバをベースとした、ドラムスがリード楽器に思えるほど壮絶なインタープレイは、”Ginza Blues~intro~” や “Senri and Armand Groove” と並んで “手数姫” の面目躍如であり、同時にメンバーの個性、そしてトリオのケミストリーが結実した得難き刹那だと感じました。
インタビューでフュージョンを音楽の “交差点” と位置づけた千里さんの想いを乗せたアルバムは、奇しくも個性的な三者の道が交差した証である “In Three Ways” でカラフルに幕を閉じました。「単なるスムーズジャズじゃない」という言葉に込められたプライドをしっかりと実現した充実の51分。
今回弊誌では、川口千里さんにインタビューを行うことが出来ました!世界を見据えつつ、同時に現役女子大生らしいかわいらしい部分も垣間見えると思いますよ。どうぞ!!

cider_jakcket

SENRI KAWAGUCHI “CIDER ~Hard & Sweet~” : 9.7/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【川口千里 / SENRI KAWAGUCHI : CIDER ~Hard & Sweet~】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【heaven in her arms : 白暈 / WHITE HALO】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KENT & KATSUTA OF heaven in her arms !!

170123_hiha_promo_pic_web

PHOTO: Taio Konisi

One Of The Most Dynamic Post-Hardcore Act From Japan, heaven in her arms Has Just Released Gorgeous and Awe-inspiring New Record “White Halo” !!

DISC REVIEW “白暈”

トリプルギターが映し出す濃密なシネマと、アーティスティックで詩的なリリックが交錯する東京のポストハードコアアクト heaven in her arms が実に7年ぶりとなる待望のフルレングス “白暈” を Daymare Recordings からリリースしました!!アートワークにも顕在する “White Halo”、白く差しそめし光芒の暈は、バンドの黒斑を侵食し遂にはその枷をも解き放ちました。
変化の予兆、耽美でアンビエントなイントロダクション “光芒の明時” が燭明のごとくリスナーを “白暈” の世界に導くと、作品は “月虹と深潭” でその幕を開けます。
激烈なトレモロの嵐はまさに深潭、エセリアルなクリーンパートはまさに月虹。前作 “幻月” で提示された、ひたすら深淵をのぞき込むがごときスラッジの閉塞はポストブラックの冷酷へと姿を移し、繊細で艶美なアルペジオは闇夜に映る月輪のように、”浄化” という名の詩情豊かなサウンドスケープをもたらします。
Kent の絶唱と朗読のコントラストは楽曲に豊潤な文体を与え、終盤に観せるリードギターとドラムスの知的で瑞々しいアプローチは風雅をすら運んでいますね。
「今回は”黒い”イメージを脱却したかった」 と Kent が語るように、闇と絶望を宿した黒を基調とするバンドの色彩に仄かな燐光をもたらしたのは、7年間の集大成とも言える “終焉の眩しさ” だったのかも知れません。
COHOL とのスプリットに収録された “繭” と “終焉の眩しさ” を融合し再録したこの名編は、狂気と正気を行き来する壮大な表現芸術です。Katsuta が「heaven in her arms ってどんなバンド?と聞かれた時に “終焉の眩しさ”はその答えとして分かりやすい」 と語るようにまさにバンドを象徴する名曲は、静と動、光と闇、絶望と救済が混淆するダイナミックな激情のドラマとして中軸に据えられ作品の趨勢を決定づけているのです。
奇数拍子と偶数拍子がせめぎ合う “終焉の眩しさ” の根幹はキャッチーとさえ言えるほどフックに満ち溢れたドラムスのアイデアに支えられ、同時にバンドのシグニチャーサウンドであるトリプルギターは轟音、アルペジオ、そして妖艶で耽美なメロディーを宿した極上のリードプレイを奏でます。
「ハーモニーに関して他のバンドとは一線を画したい」 と語るように、heaven in her arms のアンサンブル、コンポジションは決定的でプログレッシブと言えるほどに精密だと言えるでしょう。
実際、heaven in her arms はハーモニーのみならず、その巧みなリズムアプローチにおいても他のポストハードコアバンドと一線を画しています。パイプオルガンの荘厳な響きを “枷” として綯う “円環” は、”5″と”6″のリフレインが異国のメロディーを紡ぐ異形のロンド。ワルツに移行し踊るクラシカルな旋律は静謐も激情も平等に愛し、7年の月日で養ったバランス感覚を洗練という軌跡へと昇華させているように思えます。
“終焉” の先に見据えたものは何でしょう?ブラックゲイズの領域へと侵入したアルバムクローサー、11分のマボロシ “幻霧” では、儚き祈り、悲痛な叫びが霞む海霧の中、確実に希望という一筋の光がリスナーの元へと届くはずです。ワルツで始まりワルツに終わる45分。しかしどこか冷ややかな”光芒の明時” と “幻霧” の仄かな光明を比較した時、そこに更なる深淵が現れるのかも知れませんね。
今回弊誌では、Kent さん(Vo, Gt)と Katsuta さん(Gt)にインタビューを行うことが出来ました。先日出演を果たした日本が誇るハードコア/ポストロックの祭典 “After Hours” についても語ってくれました。どうぞ!!

17522864_10154335272480848_2161301912458109214_n-2

heaven in her arms “白暈” : 9.7/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【heaven in her arms : 白暈 / WHITE HALO】

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【Li-sa-X : Serendipity】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Li-sa-X !!

news_header_LisaX_art201702

12-Year-Old Young Shred Muse From Japan, Li-sa-X Has Just Released Her Amazing Debut Album “Serendipity” !!

DISC REVIEW “SERENDIPITY”

日本に舞い降りた、若干12歳の天才美少女ギタリスト Li-sa-X が記念すべきデビュー作 “Serendipity” をリリースしました!!穢れなき天使が紡ぐ圧倒的なフレーズの数々は、世界に賛嘆の嵐を巻き起こしています。
幼少時から父親のプレイを子守唄として育った Li-sa-X は、インタビューにもあるように、5歳で本格的にギターを手にします。8歳であの Paul Gilbert に認められ、オンラインギターレッスンに特待生として招待されたというのですから、天賦の才が備わっていることに疑いの余地はないでしょう。
実際、投稿したパフォーマンス動画は世界中のギター/ロック・ファンを驚愕させ瞬く間に400万回以上の再生を記録。これまでに「へヴィメタルの未来を担う天才少女10人」(米MTV)や「将来が楽しみな名キッズ・ギタープレイヤー10選」(米VH1)、「今年(2014年)最も話題の動画1位」(米ギター・ワールド誌)などに選出されるという快挙を演じてきたのです。しかし彼女は慢心することなく日々進化を続けて来ました
。”素敵な偶然”、”予期せぬ幸運” といった意を宿す “Serendipity” というタイトルには、これまでの出会い、応援、優しさ、幸運に対する Li-sa-X からの大きな感謝が込められているのです。
アルバムは、Li-sa-X 初のオリジナルトラックにして作品のタイトル名を冠した “Serendipity” で幕を開けます。ダイナミックなリフワークにファストなリック絡める師匠 Paul Gilbert 譲りのテクニカルなテーマは、マイスター Guthrie Govan を想起させる奔放にアウトするフレージングをも伴いながらマジカルな瞬間と至上のエキサイトメントを運びます。正確なピッキングから生み出されるクリエイティブなアイデアの洪水は、12歳らしい遊び心や瑞々しい感性と一級品のテクニックを包含し、世界に新たなギターヒロインの堂々たる誕生を告げているのです。
“温故知新”。Li-sa-X が演奏家、ミュージシャンとして優れている点はその一言に集約されます。ゲストに迎えた Paul Gilbert, POLYPHIA。さらに “人生を変えた5枚のアルバム” を見れば分かるように、Mr. BIG から PERIPHERY、Guthrie Govan から Jason Richardson まで、世代を超えた色彩豊かな影響はしっかりと彼女の宇宙に血肉として根づいています。実際、トラディショナルな Instru-metal に思える “Serendipity” の中にも、中間部にはモダンで美麗なアトモスフィアをさらりと織り込み、楽曲に立体感を創出しているのですから、その感性の柔軟さには驚くばかりですね。
童謡にプログレッシブで大胆なアレンジを施したアルバムクローサー “アルプス一万尺” は、彼女の未来を約束する楽曲にも思えます。ピアノやヘヴィーリフを巧みに配置し目まぐるしくも耳を惹きつけ離さない、万華鏡のようにカラフルな一曲には、スマートかつキャッチーな清新なるギターの可能性、POLYPHIA ともシンクロするモダンな感覚が息づいています。
クリケットやハーモニクスを巧みに使用し、ニュアンスやアーティキュレーションにまで強く拘った演奏からは、”聴かせる” こと、”楽曲” にプライオリティーを置いた Li-sa-X のギターに対する凛とした考え方が伝わりますね。オリジナルを増やすという彼女の決意も実に楽しみです。
Li-sa-X ワールドへの素晴らしき招待状となった “Serendipity”。今回弊誌では彼女にインタビューを行うことが出来ました。最近ではCMでもお馴染みとなりましたね!どうぞ!!

Li-sa-X

Li-sa-X “Serendipity” : 9.5/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【Li-sa-X : Serendipity】

NEW DISC REVIEW + ANATOMY 【ichika : forn】


EXCLUSIVE: ANATOMY OF ichika !!

unnamed-25

This Is The Next Level !! The Most Talented Contemporary Guitar Artist In Japan, ichika Has Just Released Amazing, Astonishing, Awe-inspiring Debut EP “forn” !!

DISC REVIEW “forn”

Toshin Abasi 以来の衝撃!クリスタルのように清廉なサウンドと研ぎ澄まされた感性で ichika は日本のみならず海外からも高い注目を集める新たなギターマエストロです。想像力を掻き立て感情を揺さぶる瑞々しい楽曲の数々は、フレッドボードを駆け巡る独創的で絢爛たる奇跡のテクニックから生み出されます。
Instagam, Twitter など SNS における圧倒的な動画の視聴数、シェア。さらに Tosin Abasi, Jason Richardson といった海外のモダンギターヒーローから注がれる熱い視線を追い風に受けリリースした待望のデビューEP “forn” はまさにインストゥルメンタルシーンに新たな時代の幕開けを告げるエポックメイキングな作品に仕上がりました。
アルバムのフォルムは想像を遥かに超えたものでした。おそらく多くのファンが思い描いた作品は、バンド形態の Instru-metal アルバムだったのではないでしょうか?しかしリスナーの元に届いた “forn” のサウンドは、ギター一本、清澄で無垢なクリーントーンが奏でる水晶彫刻のような崇高な美景、世界観だったのです。
ただ、ichika が今回弊誌に語ってくれた「人生を変えた5枚のアルバム」を念頭に置き、存慮すればこのディレクションは深く頷けるものだと思います。”Waltz for Debby”。彼が志向しデザインしたこの透徹した美意識によるスペクトルは、孤高のジャズピアニスト Bill Evans がかの歴史的傑作で提示したアーティスティックな表現世界と真に深く通じているのです。
実は幼少期に “Waltz for Debby” に感銘を受け、ジャズピアニストを志していたという ichika。静と動のダイナミズムが白眉で、詩情豊かな美しきワルツ “resolution” は “Waltz for Debby” への追憶かも知れません。 残響までをも計算した限りなく繊細で透明な、しかし同時に自身のペルソナ、小宇宙、エモーションを余すことなく描き出す若きマエストロの手法、秀絶な初演には、確かに巨匠の息吹が濃密に感じられますね。
ヴォイシングの妙、独演という観点から見れば、Bill Evans の “Alone” や Joe Pass の “Virtuoso” にも共振する部分はあるでしょう。そして勿論、彼が挙げている Russell Malone にも。ichika のどこか温かみのあるトーン、ベースラインと旋律の巧みな双饗、ハーモニクスやタッピングのナチュラルな浸透には Russell の遺伝子がしっかりと脈打っています。
さらにツーバスでスウィングする不世出のジャズドラマー Kendick Scott。”a bell is not a bell” を聴けば、コンテンポラリージャズを代表するリズムマスターのポリリズム、変拍子、モダンなアプローチをしっかりと消化し、自らの血肉としていることが分かりますね。
とは言え、”forn” はジャズレコードではありません。そしてジャズレコードでないことこそが ichika の ichika たる由縁だと言えるのではないでしょうか。VEIL OF MAYA の “The Common Man’s Collapse”、”the cabs” の “一番はじめの出来事”をジャズの名盤と共にピックアップしていることが表象するように、彼の音楽にはジャズと同様にモダンプログやマスロックといった現代的なアプローチもしっかりと根付いています。
そして日本人らしい叙情性。”戦場のメリークリスマス” にも通じるようなリリシズムを備えた “flowers” はジャズとコンテンポラリーギターの完璧なる融合であり、同時に日本らしい四季や侘び寂びを感じさせる絶佳のサウンドスケープを有した ichika を象徴する一曲だと感じました。
ichika の旅路、音楽的探求は “forn” で遂にその幕を開けました。少なくとも、今まで日本のアーティストに欠けていた世界で戦うに充分なオリジナリティー、インテリジェンス、そしてアピアランスを備えていることは確かです。”have a nice dream”、応援しましょう!!

a2323765957_10-2

ichika “forn” EP: 9.9/10

【FIVE ALBUMS THAT CHANGED ICHIKA’S LIFE】

BILL EVANS “WALTZ FOR DEBBY”

Bill_Evans_Trio_-_Waltz_for_Debby

KENDRICK SCOTT ORACLE “CONVICTION”

kendrickscott_conviction_mt.jpg

RUSSELL MALONE “RUSSELL MALONE”

21HFDDRRXTL

VEIL OF MAYA “THE COMMON MAN’S COLLAPSE”

The_common_man's_collapse

the cabs “一番はじめの出来事”

71dGiKK2P1L

【MESSAGE FOR JAPAN】

0009371710_10

“forn” EPを聴いていただいてありがとうございます。このEPを皮切りに、次の作品のリリースも予定していて、そこからライブを初めていこうとも思っています。皆さんにお会いできるのを心待ちにしています。

Thanks a lot for listening to “forn” EP. Starting with this EP, I plan to release the next work and I’m thinking of my first live from there. I am looking forward to seeing you all!

ichika

ichika Twitter
ichika Instagram
ichika Bandcamp
ichika iTunes
VIVIX Official Twitter

mmmB5dvKwaCcAEznJZ

PLZ FOLLOW US ON FACEBOOK !!

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WHISPERED : METSUTAN – SONGS OF THE VOID】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOUNI VALJAKKA OF WHISPERED !!

12671992_10156694014130721_6110065900649426731_o

Powerful Fusion Of Melodic Death Metal and Japanese Traditional Music, Unstoppable Finnish Samurais Strike Japan Again With The Epical Tribute To Japanese Culture, “Metsutan – Songs of the Void” !!

DISC REVIEW “METSUTAN – SONGS OF THE VOID”

フィンランドの侍、歌舞伎メタルの求道者 WHISPERED が遥かなる時空を超えて北欧と日本を繋ぐ待望の新作 “Metsutan – Songs of the Void” をリリースしました!!NHKに取り上げられ注目を集めている今、素晴らしいタイミングで2度目の来日も決定し、彼らが最もインスピレーションを受けてきたこの舞台で千両役者へと登り詰める準備は整いました。
WHISPERED ほど日本を前面に押し出して世界的な成功を収めたメタルバンドは、これまでほとんど存在しないと言えます。故に、琴や三味線など和楽器をメインに据え、日本古来のヨナ抜き音階をキャッチーでキラキラのスカンジナビアンメタルの中で大胆に使用。歌舞伎の隈取を施したビジュアルで、日本人でも知らないような深い古の伝承を巧みに表現するフィンランドの侍のやり方は、実に画期的で大きな可能性に満ちていますね。
アルバムはエピカルで壮大なイントロダクション、血のワルツに導かれし一撃必殺の “Strike!” で強烈に幕を開けます。CHILDREN OF BODOM を想起させるスリリングかつメロディックなゴーセンバークスタイルに、三味線をはじめとした和楽器の数々が自然にオーケストレートされ圧倒的な推進力で突き進む “Strike!” の一撃は、リスナーを一瞬で”滅譚”の世界へと連れ去ります。
“Sakura Omen” のシンフォニックなサウンドが生み出す高いドラマ性は、WHISPERED を数多のメロデスバンドたちと分かつ重要な個性です。まさに日本的な”侘び寂び”を理解しているかのような巧みな静と動の対比、荘厳なシンフォニーと激情のアグレッションの応酬は和楽器を組み込んで、桜の花に美しさのみならず儚さや死のイメージをも重ねることに成功しています。
一般的に桜は華やか、ゴージャスというイメージを懐く外国人がほとんどでしょう。しかし、まるで坂口安吾の”桜の森の満開の下”をイメージしたかのような和の情緒を宿す “Sakura Omen” は彼らが小手先だけの日本マニアではないことを証明していますね。
インタビューでも語ってくれたように、日本のゲーム音楽からも強く影響を受けている Jouni。宮本武蔵の決闘をテーマとした “Kensei” には”ロックマン 6″や”ロックマン X”のコンポーザー竹原裕子さんへのリスペクトが込められ、メロディーラインがオマージュとして使用されています。古き良き NORTHER や KALMAH の遺伝子とニンテンドーサウンドが見事にマッチした “Oriental-core” とも呼べるキラーチューンは、武士道に込められた想いと共にアルバムを代表する楽曲として強い輝きを放っています。
WHISPERED の作品は常にエピカルな10分を超える大曲で幕を閉じます。今回、彼らがそのテーマに選んだのが”江島縁起”でした。アートワークにも描かれる、江ノ島の起源に纏わる五頭龍の伝説をコンセプトとした “Bloodred Shores of Enoshima” は5部構成11分22秒の恋愛劇。美しき天女、弁財天に魅せられ悔い改めた五頭龍の物語を WINTERSUN が “Time I” で見せたような圧倒的構成力とシンフォニーでシアトリカルに現代へと再現しています。
アルバムを通して、壮大なオーケストレーションの中、ダブルギターと和楽器が影となり日向となりメインテーマとカウンターメロディーを行き来することで、作品には並々ならぬ立体感が生まれています。その立体感が極上のサウンドスケープをもたらした “Bloodred Shores of Enoshima” は、五頭龍が姿を変えた龍口山と弁財天が奉られる江ノ島の姿を描きながらも、同時に WHISPERED の中にある日本と北欧の姿をも一遍の曇りもなく露わにしているのです。
今回弊誌では、バンド唯一のオリジナルメンバーとなったギター/ボーカル Jouni Valjakka にインタビューを行うことが出来ました。来日は以前弊誌がインタビューを行った INSOMNIUM と5月!どうぞ!!

12936593_10156764284155721_2666869276130853509_n

WHISPERED “METSUTAN – SONGS OF THE VOID” : 9.7/10

続きを読む NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WHISPERED : METSUTAN – SONGS OF THE VOID】