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WORLD PREMIERE : “Absolutego”【Boris : DEAR】


WORLD PREMIERE !! “Absolutego” From Boris’s Upcoming Record “DEAR” !!

The Most Dynamic & Energetic Heavy Rock Trio From Japan, Boris Will Celebrate Their 25th Anniversary With New Studio Album “DEAR” !!

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この秋、結成25周年を迎えるBorisが “NOISE” (2014)以来3年振りとなる最新スタジオ・アルバム “DEAR” を7/12にリリースします!!絶え間なく動き続け、先鋭であり続けるBorisの‘今現在’がこの “DEAR” にあるのです。
アルバムは、日本先行発売(全世界:7/14)、日本盤のみ3曲収録のボーナス・ディスクを追加した2枚組仕様でリリース。
本作も自らの息遣いや空気の振動まで封じ込めるセルフ・レコーディングで吹き込まれ、長年パートナーシップを続ける中村宗一郎氏(坂本慎太郎、OGRE YOU ASSHOLE 他)がミックスとマスタリングを担当。サウンド・プロデュースは直近2作同様に成田忍氏が手掛けています。
さらにアートワークは、大友克洋氏や多数のアパレル・ブランドとのコラボレーションで知られるコラージュ・アーティスト/グラフィック・デザイナー河村康輔氏の手に依ります。
4月の『After Hours』にヘッドライナーの一角として登場した際には、殆どが本作から演奏され、ライヴ映えする楽曲と世界観は大きな評判を呼びました。
冒頭を飾る “D.O.W.N” や “DEADSONG” のヘヴィ&ドローンはBorisのシンボルともいえるスタイルですが、メロディックなヴォーカルと多幸感を呼ぶ音の壁は、沈み込むヘヴィさとは一線を画すもの。ヘヴィを射抜いた先に拡がる音を体感したいですね。
最新ミュージック・ビデオとして公開された “Absolutego” は直感的反応を呼ぶロック・アンセム。ライヴ時にはアコーディオンもフィーチュアして聴かせる “Kagero” でも新しい表情が伺えます。そして、はかなさや切なさをまとった “Biotope” や “Dystopia” もまた Boris の真骨頂です。

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Boris “DEAR”

Disc one: DEAR
1. D.O.W.N -Domination of Waiting Noise-
2. DEADSONG -詩-
3. Absolutego -絶対自我-
4. Beyond -かのひと-
5. Kagero -蜉蝣-
6. Biotope -ビオトープ-
7. The Power
8. Memento Mori
9. Dystopia -Vanishing Point / 何処へ-
10. Dear
Disc two: [日本盤ボーナス・ディスク]
1. More
2. Evil Perspective
3. D.O.W.N -Domination of Waiting Noise- (Full Version)
レーベル:Daymare Recordings
2CD: DYMC-300 税抜価格:\3,200+税
3LP: DYMV-300 税抜価格:TBA
2017/7/12 日本先行発売 (全世界発売: 7/14)

Boris ARE:

92年より活動開始、96年にTakeshi、Wata、Atsuoという現在のメンバー編制へ。活動当初より自分達の居場所と方法論は自ら作り上げるスタンスで、ワールドワイドに展開。文字通り音を‘体感’するダイナミクスに満ちたライヴで熱狂的なファン・ベースを確立。そのパフォーマンスはナイン・インチ・ネイルズをも魅了し、USアリーナ・ツアーのサポートに抜擢。
断続的なスタジオ・セッションを通じ、ほぼ全て自ら録音する‘ひたすら音と向かい合うレコーディング’は、代表作『PINK』(05)、『SMILE』(08)、『NOISE』(14)をはじめとする30数作に及ぶフル・アルバム、サン O)))との共作『Altar』(07)他約20作品に及ぶコラボレーション作を産みました。『ニンジャスレイヤー フロムアニメイション』に書き下ろし新曲3曲と新録1曲を提供(15)したことも記憶に新しいですね。
また映画『リミッツ・オブ・コントロール』(09)『告白』(10)へも楽曲を提供、映像的と評されることが多い楽曲とのマッチングの良さで、音楽界以外でも注目を浴びています。
2013年より改めてゲスト・プレイヤーを含まない3人編成でのライヴ活動に主眼を置き、メンバー間の相互作用とバランスを更に強化。日本/北米/ヨーロッパ/オーストラリアを中心に行うワールド・ツアーは、現在も規模を拡大しながら2006年以降毎年行っています。
結成25周年を迎える2017年、最新スタジオ・アルバム『DEAR』を全世界同時発表。
Takeshi – Vocal, Bass & Guitar
Wata – Vocal, Guitar & Echo
Atsuo – Vocal, Drums, Percussion & Electronics
Boris “DEAR” 特設サイト
Boris Facebook Page
Boris Official Site
Daymare Recordings Official Site

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【川口千里 / SENRI KAWAGUCHI : CIDER ~Hard & Sweet~】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SENRI KAWAGUCHI !!

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20 Years Old Drum Maestro, Sernri Kawaguchi From Japan Has Just Released Hard & Sweet Fusion Record, “Cider” !!

DISC REVIEW “CIDER ~Hard & Sweet~”

“手数姫” こと女子大生スーパードラマー、川口千里が遂にメジャーデビュー作 “CIDER ~Hard & Sweet~” をリリースしました!!二十歳の節目にメンバーを固定して望んだ成長著しい快作は、まさに茫々と広がる世界への確かな切符となるでしょう。
インタビューにもあるように、5歳でドラムと運命的な出会いを果たし、8歳であの “手数王” 菅沼孝三氏に師事を始めたという彼女の物語は、さながら現代のお伽噺のごとく素敵な奇跡と共に幕を開けました。12歳で挑んだプレイスルー動画の総再生回数は4000万回に迫り、世界的なドラム関連サイト “ドラマーワールド” では世界のトップドラマー500に撰されるなど、もはやその存在はワールドワイドに熱い視線を浴びていると言えますね。
すでにインディーズで2枚のソロ作品をリリースしている川口千里。しかしその活躍は自身のリーダー作のみに留まりません。E-girls, Guthrie Govan のライブをサポートし、Lee Ritenour とも共演。さらには 映画 “さらばあぶない刑事” のサウンドトラック、ももいろクローバーZのアルバム “AMARANTHU” にも参加するなどその素晴らしくジャンルを股に掛けた活躍により、彼女はしっかりと自身の軌跡を刻んで行っているのです。
「20歳を記念するアルバムなので、大人をイメージしつつ爽やかな若さもあるタイトル」「私のドラミングの “Hard” な部分も “Sweet” な部分も両方感じてほしい」 という理由から名付けられた3作目のリーダー作 “CIDER ~Hard & Sweet~”。アニバーサリーの冒険で彼女がキーパーソンに指名し絶大な信頼を置いたのが、Philippe Saisse でした。THE ROLLING STONES, David Bowie から David Sanborn, Al Di Meora まで数多の巨人と共演しそのアレンジを手がけて来た、フランスの偉大なキーボーディストにしてコンポーザー、プロデューサーは自身のグループ PSP の “S” を Simon Phillips から Senri Kawaguchi に翻しその力を貸すことにも吝かではありませんでした。
アルバムオープナー “FLUX CAPACITOR” は “バックトゥザフューチャー”、時代を行き来する作品の予告編でしょうか?フュージョンがスムーズジャズと呼ばれる以前のクロスオーバーなエキサイトメントとフリーダムを掲げつつ、同時に Philippe のポップなセンスを活かすクリアーなプロダクションとモダンなテクニックを内包する楽曲は瑞々しさに満ちています。ゴーストノートやハイハットの細かな刻みまで隈なく見渡せるサウンドの透明度は本当に群を抜いていますね。
Philippe のビンテージな機材から繰り出されるキャッチーなテーマは、川口千里の刻々と拍子を移すダイナミックなリズムワークに牽引され、万華鏡のように鮮やかな広がりを見せて行きます。Pino Palladino の代役として参加したカメルーン生まれのテクニシャン Armand Sabal-Lecco は、低音域から高音域までフレキシブルなベース捌きを披露し、Philippe の Jan Hammer を想起させるスリリングなソロワークと相まってギターの不在を感じさせませんね。トリオのタイトなグルーヴがダブルタイムへ移行すると、そのカタルシスはさらに加速しロックの衝動をさえ孕みながら音のユーフォリアを創造していくのです。
マリンバを使用し野性的な雰囲気を演出する “Wupatki”、彼女自身が作曲を行ったロマンチックなバラード “Longing Skyline” を挟んで訪れる “Do Do Ré Mi” はアルバムのハイライトと言えるかもしれませんね。ジャズスタンダードの古典ようにスタイリッシュに幕を開ける楽曲は、突如その舞台を現代的なフュージョンへと移します。アルバムに収録するのが初めてとは思えないほど堂にいった4ビートから6/8拍子へと切り替わるその魔法の瞬間はリスナーに音楽の “楽しさ” を運ぶはずです。”間”を大切にしたという彼女の言葉通り、スティック一閃、バンドがピタリと完全に音を止める瞬間はあまりにクールで川口千里というコンダクターの実力を存分に見せつけています。
さらに 「現場での化学反応が想像以上に凄かった」 と語るように、楽曲終盤のサンバをベースとした、ドラムスがリード楽器に思えるほど壮絶なインタープレイは、”Ginza Blues~intro~” や “Senri and Armand Groove” と並んで “手数姫” の面目躍如であり、同時にメンバーの個性、そしてトリオのケミストリーが結実した得難き刹那だと感じました。
インタビューでフュージョンを音楽の “交差点” と位置づけた千里さんの想いを乗せたアルバムは、奇しくも個性的な三者の道が交差した証である “In Three Ways” でカラフルに幕を閉じました。「単なるスムーズジャズじゃない」という言葉に込められたプライドをしっかりと実現した充実の51分。
今回弊誌では、川口千里さんにインタビューを行うことが出来ました!世界を見据えつつ、同時に現役女子大生らしいかわいらしい部分も垣間見えると思いますよ。どうぞ!!

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SENRI KAWAGUCHI “CIDER ~Hard & Sweet~” : 9.7/10

INTERVIEW WITH SENRI KAWAGUCHI

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Q1: First of all, what inspired you to start playing drums? You know, you were said to be genius drummer of high school student, haha.

【SENRI】: It is such a horrible thing to be a genius, haha.
When I was 5 years old, my father bought an electric drum suddenly. It was the first chance. Even though no one can play the drums by my family. The reason was he wanted to know the mechanism of the electronic drum. This expensive shopping became my “toy” with an incredible excuse of “I bought it for children” after that. Anyway, the drum that sounds out if you hit it was fun without any reason, so I immediately decided to search for a drum classroom in the neighborhood. It seemes Youtube video that I uploaded when I was 12 to 13 years old when I first caught the eye of many people. My father began to get into a video this time, I shot the performance of the animation piece I was talking about at that time and released it to the Internet. To be honest, I was embarrassed, but with this unexpected response, a lot of messages came from people all over the world. At this time, I think whether it began to become conscious of “the world” for the first time.

Q1: 本誌初登場です!まずは、川口さんがドラムスを始めたきっかけについて話していただけますか?女子高生時代には、すでに天才ドラマーとして大きな話題になっていましたね?

【SENRI】: 天才だなんて、そんな恐れ多いです(笑)。
きっかけは、私が5歳のころ、父が突然買ってきた電子ドラムです。家族にドラムを叩ける人は一人もいないのに。理由は、「電子ドラムの仕組みが知りたかった」から。この高額なお買い物は、そのあと「子供のために買った!」という信じられない言い訳とともに私の”おもちゃ”になりました。
とにかく、叩けば音が出るドラムは理屈抜きに楽しくて、すぐにハマって近所のドラム教室を探してもらうことになりました。
私が最初に多くの人の目に留まったのは、12~13歳のころにアップしたYoutube 動画ではないでしょうか。父が今度はビデオに凝り始めて、当時話題だったアニメ楽曲の演奏を撮影してインターネットに公開したんです。
正直なところ恥ずかしかったんですが、それが思わぬ反響で、世界各国の人からたくさんメッセージが来て。この時、初めて「世界」を意識するようになったのかなと思います。

Q2: What have you learned from your teacher, Mr. Kouzou Suganuma?

【SENRI】: You can see how I am influenced by Mr. Kozo Suganuma when you see my drumming and drum setting. I have taken a lesson of Suganuma since I was 8 years old. I think that it is “fun” of drums, above all, that I was taught most by my teacher. Then, when I was a elementary school student, when I went to see my teacher ‘s live, suddenly I was pulled out and there were times when I had a jump – in session. It was hard to play the songs for the first time ever, but my heart and improvisation were trained. I think now, this was a truly appreciated experience. However, I was sorry for the audiences who came to listen to professional performances, haha.

Q2: “手数姫” と称されることもあるように、師匠である “手数王” 菅沼孝三さんは川口さんにとって大きな存在だと思います。菅沼さんから学ばれたことは、テクニック以外にも多くのことがありそうですね?

【SENRI】: 私のドラミングやドラムのセッティングを見てもらうと、いかに菅沼孝三さんの影響を受けているか、わかってもらえますよね?
私は8歳から菅沼さんのレッスンを受けています。私が師匠から一番に教えてもらったのは、何よりも、ドラムの “楽しさ” だと思います。
それから、まだ小学生のころ、師匠のライブを観に行くと、突然引っ張り出されて飛び入りセッションをということが何度もありました。初めての曲を演奏することもあって大変でしたけど、度胸や即興力が鍛えられました。今思うと、これは本当にありがたい経験でしたね。ただ、プロの演奏を聴きに来たお客さんには申し訳なかったですけど(笑)。

Q3: Who do you respect as a drummer, musician?

【SENRI】: Actually, I will be immediately inspired. When I hear it by chance, I come to love it, haha. So, who will respect it will change soon. Dave Weckl, Steve Gadd, Dennis Chambers, and Buddy Rich etc, there are no dirt. But there was never aiming for one person forever. Artists other than drummers are the same. I am attracted to artists who are cool and listening with smiling.
Regarding my music field, basically I aim for activity in all genres. There is a part attracted by each genre, and the things obtained are also different, in other words.
the feeling that I do not want to divide music vertically in genres. The song that was impressed at that time is “the best!” So I am trying to touch various songs usually. It is because there is much activity in the field of jazz and fusion because it is like “intersection” that is going back and forth.

Q3: 菅沼さんは勿論ですが、これまでに目指してきたドラマーや、尊敬するアーティストについて話していただけますか?
川口さんはいわゆるジャズ/フュージョンのフィールドでご活躍されていますが、E-girls、ももいろクローバーZ、さらには過去に弊誌でもインタビューを行ったギターマスター、ガスリー・ゴーバンとの共演、”さらばあぶない刑事” のサントラにも参加されるなど幅広い活動を行っている印象です。
ポップス、プログロック、メタルなど他ジャンルからの影響も多いのでしょうか?

【SENRI】: 実は、私はすぐに感化されちゃうんですよ。たまたま聴いたらハマってしまったとか(笑)。なので、誰をリスペクトするかは、すぐに変わってしまうんです。
デイヴ・ウェックル、スティーブ・ガッド、デニス・チェンバース、そしてバディ・リッチなどなど、挙げればキリがない。でも、誰か一人をずっと目指したりすることはなかったです。ドラマー以外のアーティストも同じです。かっこよくて、聴いていてつい笑みがこぼれてくる”お茶目さ”というのか、そういうものがさりげなく溢れるアーティストに惹かれます。
私の音楽フィールドですが、基本的にはオールジャンルでの活動を目指してます。各ジャンルそれぞれ惹かれる部分があって得られるものも違う…というより、音楽をジャンルで縦割りしたくないという感覚。その時に感動した曲が「一番!」なんです。なので、普段から様々な楽曲に触れるようにしています。
ジャズ・フュージョン分野での活動が多いのは、そこが行ったり来たりしている”交差点”みたいな感じだからではないでしょうか?

Q4: So, let’s talk about your newest album “CIDER ~Hard & Sweet~”. What made you choose this title?

【SENRI】: Because it is an album that commemorating my 20 years old, the word which caught the eye when I thought that it was a title with fresh youthfulness, also imagining an adult was CIDER. Japanese cider is a refreshing drink, but knowing that there is also the meaning of drinking, “This is it!” And since it seems to call apple liqueur as hard cider and apple juice as sweet cider, it also means that I want both of the “Hard” part of my drumming and the “Sweet” part to feel both. I think that I could express that the sparkling image which Shuwashwa bounces is not just a smooth jazz, but how is it? Aside from that, my first solo work is “A LA MODE”, and my second work is “Buena Vista”. The first letter of the third work is determined by C if the initial letters are A and B, haha.

Q4: では、素晴らしい新作 “CIDER ~Hard & Sweet~” について話しましょう。”Cider” とはサイダー、リンゴ酒の意味を持つ単語ですが、このタイトルに決めた理由を教えてください。川口さんが20歳になられたことも関係していますか?

【SENRI】: 鋭いです(笑)。20歳を記念するアルバムですから、大人をイメージして、爽やかな若さもあるタイトルで、と考えていた時に目にとまった単語が CIDER でした。
日本語のサイダーは清涼飲料水ですが、本当はお酒という意味もあるんだと知って、「これだ!」と。そして、リンゴ酒を hard cider、リンゴジュースを sweet cider と呼ぶこともあるらしいので、私のドラミングの “Hard” な部分も “Sweet” な部分も両方感じてほしいという意味も込めてます。
シュワシュワっとはじけるスパークリングなイメージが、単なるスムーズジャズではないことを表現できたと思っているんですけど、いかがですか?余談ですが、私のソロ1作目が “A LA MODE”、2作目が “Buena Vista” なんです。頭文字がA、Bとくれば3作目の頭文字はCで決まりですよね(笑)。

Q5: What made you collaborate with Philippe Saisse, again?

【SENRI】: My past two solo records was produced with the feeling like “A LA MODE” to play with the great musicians inviting every music. Because I loved PSP (Philippe Saisse, Simon Phillips, Pino Palladino), I asked Philippe Saisse to participate in my second album “Buena Vista”. In creating a new album this time, there is a strong desire to “be a fixed member this time,” and again suggested to Philippe, “Why do not you try to make S of SSP, Senri Kawaguchi?” It is. It is reckless, haha. Then Philippe accepted! However, Pino Palladino did not meet the schedule and instead Philippe introduced Armand Sabal-Lecco who was on the tour of Al Di meora. I liked him for a moment and I decided to participate immediately. I was committed to recording at LA. In the last recording, because of the environment LA knows that the drum really sounds pleasantly. “I’d like to record the next work with LA!”, I asked selfish and it was realized.

Q5: あのフィリップ・セスがサウンドプロデューサーを務め、LAでレコーディングが行われたアルバムは、川口さんのリーダー作3作目にしてメジャーデビュー作品となりました。まずはこの最高の環境、布陣で制作に至った経緯について話していただけますか?

【SENRI】: 過去2作のソロアルバムは、楽曲ごとに素晴らしいミュージシャンの皆様をお呼びして演奏するという、まさに “A LA MODE” な感じで制作したんです。私は PSP(フィリップ・セス、サイモン・フィリップス、ピノ・パラディーノ)が大好きだったので、フィリップ・セスさんには2作目の”Buena Vista”で参加をお願いしました。
今回、新しいアルバムを作るにあたって、「今度は、ぜひ固定メンバーで!」という希望が強くあり、再びフィリップさんに、「PSP のSを、Senri Kawaguchi にしてみませんか?」と提案してみたんです。無謀でしょ(笑)。
そうしたらなんと、フィリップさんはこの話に乗ってくれたんです!ただ、ピノ・パラディーノさんはスケジュールが合わず、代わりにフィリップさんがアル・ディ・メオラのツアーで一緒だったアルマンド・サバルレッコさんを紹介してくれました。私は彼を一瞬で気に入ってしまい、即、参加してもらうことになりました。
LAでのレコーディングは私のこだわりがあったんです。前回のレコーディングで、環境のせいかLAでは本当に気持ち良くドラムが鳴るということを知ってしまって。「次の作品も、ぜひLAで録音したい!」と、わがままをいって実現してもらいました。

Q6: How was the impression of actually playing with Phillippe?

【SENRI】: Recording with Philippe, in a nutshell, exciting anyway! Just with him, the energy of the studio increases more and more. I felt this even at the time of the second work, but this time it was the whole album so I was able to feel its energy in particular. His physical strength to continue working on production is amazing. In this recording, it was only 3 days that all three people were able to record. From the morning to the night of that three days, I was deeply impressed by the way his work diligently without concentrating. Even after recording, he gave out ideas to make it better, so I thought that the expression “great” is perfect for his enthusiasm. I also have to work hard not to lose, haha.

Q6: 実際にそのジャズジャイアント、フィリップ・セスとの共演、制作を終えたご感想はいかがですか?

【SENRI】: フィリップさんとのレコーディングは、一言でいうと、とにかくエキサイティング!彼がいるだけで、スタジオのエネルギーがグーンと増すんです。
これは2作目の時も感じていたんですけど、今回はアルバム全体だったので、特にそのエネルギーを感じることができました。制作に取り組み続ける体力も凄いです。今回のレコーディングでは、3人そろって録れるのはたったの3日。その3日間の朝から夜まで、一度も集中を切らさずに真摯に取り組む姿には感動しました。
収録後も、より良くするためのアイデアを次々に出してくれて、作品を作り上げる情熱は、「偉大」という表現がピッタリだと思いましたよ。私も、負けないように頑張らなければいけません(笑)!

Q7: How was the writing process? What was the goal of this record?

【SENRI】: Since Philippe Saisse took full responsibility for producing, it was a stance to trust and leave everything to trust. Originally I thought “Since it is a piano trio, will it be an acoustic feeling that places emphasis on improvisation?”, But the field of view spread with the first demonstration sound source from Phillippe. I realized we aimed for a more precise and aggressive form. From that moment a new image grew steadily. I also wanted to challenge for a stylish drumming that made use of “space”. I devised not to become monotonous but consistent from the strong thought that one album is long and repeatedly heard. Of course, do not forget the occasional change unique to 3 pieces, we inspired each other at the recording site, and aimed at a higher place. Initially, “Ginza Blues ~ intro ~” and “Senri and Armand Groove” which were not in the schedule were put in the album is a manifestation that the chemical reaction in the field was more than imagined.
In this album, I composed three songs. Among them, “Longing Skyline” is my first ballad. Up to now, I first tried to think from the rhythm first, but in this song I made a melody first from a certain image and challenged by the way I applied the rhythm last. You guys consider the main melody first? You know, It’s a drummer way, I had a hard time, haha. After having arranged by Mr. Jun Abe and Philippe, I finished it as a really wonderful song and it became one of my favorite songs

Q7: ライティングプロセスではどういった手法を取ったのでしょう?
作品は、難解なリズムアプローチ一辺倒ではなく、”Am Stam Gram” のようなシンプルさや、8ビートのブルース “Ginza Blues” のモダンな感覚も光っています。アルバムで目指したゴールはどういった場所でしたか?

【SENRI】: フィリップ・セスさんがプロデュースを全面的に引き受けてくれましたので、信頼してすべてお任せするというスタンスでした。初め私は、「ピアノトリオだから、インプロビゼーション重視のアコースティックな感じになるのかな?」と思っていましたが、フィリップさんからの最初のデモ音源で視野がパッと広がりました。もっと緻密でアグレッシブな形を目指すんだとわかったんです。その瞬間から新しいイメージがどんどん湧いていきました。
“間”を活かした粋なドラミングにもチャレンジしたいという気持ちも込めました。一枚のアルバムを長く、そして繰り返し聴いて欲しいという強い思いから、一貫性がありつつも単調にならないように工夫しました。
もちろん、3ピースならではの臨機応変さも忘れず、レコーディング現場ではお互いにインスパイアしあって、さらに高いところを目指しました。当初は予定になかった “Ginza Blues~intro~” や  “Senri and Armand Groove” をアルバムに入れたのは、現場での化学反応が想像以上に凄かったことの現れです。
このアルバムで、私は3曲を作曲しました。その中で、”Longing Skyline” は私の初めてのバラードです。これまで私は、まずリズムから考えるというパターンが普通だったんですけど、この曲では、あるイメージからメロディを先に作って、あえてリズムは最後に当てはめる方法でチャレンジしました。
皆さんなら主旋律を先に考えますよね?ドラマーの性なんですよ、苦労しました(笑)。そのあと、安部潤さんとフィリップさんのアレンジを経て本当に素晴らしい曲に仕上げていただいて、私の大のお気に入りの一曲になりました。

Q8: Could you tell us about detail of the album?

【SENRI】: The most difficult thing for me is “Do Do Ré Mi” which is included in the fourth song. If you think that it is a 4beat song, it is a song that you can listen to when it comes to Latin tone or a rapidly developing configuration. Because it can not be made fake in the trio’s recording, practice was also equivalent and I was nervous. Initially, it was my first time to put 4 beat songs in my solo album. I think that my 4beat is still developing, because I started from Classic rock like Deep Purrple and Whitesnake. In this song I also dared to expose it, challenging to record with the excitement of “I wonder where my 4beat level has come.” I would be happy if you could hear such a part and feel something.

Q8: アルバムで特にチャレンジングだった楽曲や、この箇所は拘り抜いたので注意して聴いて欲しいと思う場面、テクニックについて話していただけますか?

【SENRI】: 私にとって一番の難関だったのは、4曲目に収録されている “Do Do Ré Mi” です。4beat の楽曲かと思えば、途中でラテン調になったりめまぐるしく展開する構成が聴きどころの楽曲です。トリオのレコーディングでは誤魔化しはできませんから、練習も相当しましたし緊張もしました。
そもそも、4beat の楽曲を自分のソロアルバムに入れることが初めてだったんです。DEEP PURPLE や WHITESNAKE といったロックからスタートした私の 4beat は、まだまだ発展途上だと思っています。この曲ではそれも思い切って曝け出して、「自分の4beat のレベルは何処まできたかな」というワクワクする気持ちでレコーディングに挑みました。そんな部分も聴き取って何かを感じてもらえたら嬉しいです。

Q9: Is it difficult to balance university students with professional drummer?

【SENRI】: I moved to Tokyo for entering the university, but with this, the density of my life became overwhelmingly high. Since I went to Tokyo from Mie prefecture every Saturdays, Sundays, and holidays when I was a junior high school and high school student, so now I have gained a lot of flexibility. It is fun to learn new knowledge from the university lecture, and every day is substantial enough to think that it is impossible to go to all over the country, America, China, South Korea, Europe and overseas. Of course sometimes it’s tough, but I think I can do my best with that tough situation. I tried to do my best with both my drum and study, and it made what I am now, I think.
Actually, I always have trouble with the question “What is your hobby other than drums?” Well, it’s often said “You play drums very well, so are you good at sports?”, But I’m not good at sports at all, haha. On the day off, I am basically withdrawing and drowning. I like to spend my day off while listening to music. Perhaps it is a reaction to what I usually go on a trip abroad like on a regular basis, haha.

Q9: さて、現在は現役女子大生でもある川口さんですが、学生生活とプロドラマーの両立は大変ですか?また、ドラムス以外にハマっていることがあれば教えてください。

【SENRI】: 大学入学を機に上京しましたが、このことで一日の密度は圧倒的に高くなりました。中学・高校生時代は、土日祝日のたびに三重県から上京していましたので、今はいろいろ融通がきくようになりました。大学の講義も新しい知識を学ぶことは楽しいし、全国各地やアメリカ・中国・韓国・ヨーロッパと海外にも行かせてもらって、「あり得ない」と思うぐらい毎日が充実しています。
もちろん大変なこともありますけど、私は追い詰めらた方が頑張れちゃうタイプなんだと思いますね。ドラムと勉強の両方を目いっぱい頑張ろうとしたからこそ、今の自分があるんだと思います。実は、「ドラム以外の趣味は?」という質問には、いつも困ってしまうんですよ。よく、「あれだけドラムを叩くんだから、運動とか得意でしょ?」と言われるんですが、運動はとても苦手です(笑)。
休みの日は、基本的に引きこもってぼーっとしています。音楽を聴きながらごろごろして過ごすのも好きです。おそらく、普段ライブなどで遠征に出ることが多いことの反動でしょうね(笑)。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED SENRI’S LIFE

DEEP PURPLE “MADE IN JAPAN”

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「ドラムを叩く」から「音楽を演奏する」に認識が変わったと思います。

MICHEL CAMILO TRIO “SUNTAN”

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変拍子のわくわく感を知り、音楽の幅の広さを知りました。

TOTO “PAST TO PRESENT 1977-1990”

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タイトなドラミング、唯一無二なドラミングとは何かを考えるきっかけとなりました。

PSP “LIVE”

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言うまでもなく、今回のアルバムに続く流れを作った重要なアルバムです。

THE DAVE WECKL ACOUSTIC BAND “OF THE SAME MIND”

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今、現在進行形でインスパイアされ続けています。

MESSAGE FOR JAPAN

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My goal is to become a drummer that is commonly accepted in the world. “Conquer the World!”…not that exaggeration, though, haha. As the drummer I admire is active without being confined to the region and music genre, there are many such people, so I will co-perform with musicians of various countries more and want to listen my performances to people all over the world. Senri Kawaguchi will continue to aim for the world still more, so please support me!

世界で普通に通用するドラマーになるのが目標です。「世界征服!」って、そんな大袈裟なことではないですけども(笑)。私が憧れるドラマーが地域や音楽ジャンルに囚われずに活躍している、そういう方が多いということもあって、もっともっと各国のミュージシャンと共演したり、世界中の人に私の演奏を聴いてもらいたいなと思ってます。
川口千里はまだまだ世界を目指して頑張っていきますので、応援をよろしくお願いします!

SENRI KAWAGUCHI

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【heaven in her arms : 白暈 / WHITE HALO】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KENT & KATSUTA OF heaven in her arms !!

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PHOTO: Taio Konisi

One Of The Most Dynamic Post-Hardcore Act From Japan, heaven in her arms Has Just Released Gorgeous and Awe-inspiring New Record “White Halo” !!

DISC REVIEW “白暈”

トリプルギターが映し出す濃密なシネマと、アーティスティックで詩的なリリックが交錯する東京のポストハードコアアクト heaven in her arms が実に7年ぶりとなる待望のフルレングス “白暈” を Daymare Recordings からリリースしました!!アートワークにも顕在する “White Halo”、白く差しそめし光芒の暈は、バンドの黒斑を侵食し遂にはその枷をも解き放ちました。
変化の予兆、耽美でアンビエントなイントロダクション “光芒の明時” が燭明のごとくリスナーを “白暈” の世界に導くと、作品は “月虹と深潭” でその幕を開けます。
激烈なトレモロの嵐はまさに深潭、エセリアルなクリーンパートはまさに月虹。前作 “幻月” で提示された、ひたすら深淵をのぞき込むがごときスラッジの閉塞はポストブラックの冷酷へと姿を移し、繊細で艶美なアルペジオは闇夜に映る月輪のように、”浄化” という名の詩情豊かなサウンドスケープをもたらします。
Kent の絶唱と朗読のコントラストは楽曲に豊潤な文体を与え、終盤に観せるリードギターとドラムスの知的で瑞々しいアプローチは風雅をすら運んでいますね。
「今回は”黒い”イメージを脱却したかった」 と Kent が語るように、闇と絶望を宿した黒を基調とするバンドの色彩に仄かな燐光をもたらしたのは、7年間の集大成とも言える “終焉の眩しさ” だったのかも知れません。
COHOL とのスプリットに収録された “繭” と “終焉の眩しさ” を融合し再録したこの名編は、狂気と正気を行き来する壮大な表現芸術です。Katsuta が「heaven in her arms ってどんなバンド?と聞かれた時に “終焉の眩しさ”はその答えとして分かりやすい」 と語るようにまさにバンドを象徴する名曲は、静と動、光と闇、絶望と救済が混淆するダイナミックな激情のドラマとして中軸に据えられ作品の趨勢を決定づけているのです。
奇数拍子と偶数拍子がせめぎ合う “終焉の眩しさ” の根幹はキャッチーとさえ言えるほどフックに満ち溢れたドラムスのアイデアに支えられ、同時にバンドのシグニチャーサウンドであるトリプルギターは轟音、アルペジオ、そして妖艶で耽美なメロディーを宿した極上のリードプレイを奏でます。
「ハーモニーに関して他のバンドとは一線を画したい」 と語るように、heaven in her arms のアンサンブル、コンポジションは決定的でプログレッシブと言えるほどに精密だと言えるでしょう。
実際、heaven in her arms はハーモニーのみならず、その巧みなリズムアプローチにおいても他のポストハードコアバンドと一線を画しています。パイプオルガンの荘厳な響きを “枷” として綯う “円環” は、”5″と”6″のリフレインが異国のメロディーを紡ぐ異形のロンド。ワルツに移行し踊るクラシカルな旋律は静謐も激情も平等に愛し、7年の月日で養ったバランス感覚を洗練という軌跡へと昇華させているように思えます。
“終焉” の先に見据えたものは何でしょう?ブラックゲイズの領域へと侵入したアルバムクローサー、11分のマボロシ “幻霧” では、儚き祈り、悲痛な叫びが霞む海霧の中、確実に希望という一筋の光がリスナーの元へと届くはずです。ワルツで始まりワルツに終わる45分。しかしどこか冷ややかな”光芒の明時” と “幻霧” の仄かな光明を比較した時、そこに更なる深淵が現れるのかも知れませんね。
今回弊誌では、Kent さん(Vo, Gt)と Katsuta さん(Gt)にインタビューを行うことが出来ました。先日出演を果たした日本が誇るハードコア/ポストロックの祭典 “After Hours” についても語ってくれました。どうぞ!!

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heaven in her arms “白暈” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【Li-sa-X : Serendipity】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH Li-sa-X !!

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12-Year-Old Young Shred Muse From Japan, Li-sa-X Has Just Released Her Amazing Debut Album “Serendipity” !!

DISC REVIEW “SERENDIPITY”

日本に舞い降りた、若干12歳の天才美少女ギタリスト Li-sa-X が記念すべきデビュー作 “Serendipity” をリリースしました!!穢れなき天使が紡ぐ圧倒的なフレーズの数々は、世界に賛嘆の嵐を巻き起こしています。
幼少時から父親のプレイを子守唄として育った Li-sa-X は、インタビューにもあるように、5歳で本格的にギターを手にします。8歳であの Paul Gilbert に認められ、オンラインギターレッスンに特待生として招待されたというのですから、天賦の才が備わっていることに疑いの余地はないでしょう。
実際、投稿したパフォーマンス動画は世界中のギター/ロック・ファンを驚愕させ瞬く間に400万回以上の再生を記録。これまでに「へヴィメタルの未来を担う天才少女10人」(米MTV)や「将来が楽しみな名キッズ・ギタープレイヤー10選」(米VH1)、「今年(2014年)最も話題の動画1位」(米ギター・ワールド誌)などに選出されるという快挙を演じてきたのです。しかし彼女は慢心することなく日々進化を続けて来ました
。”素敵な偶然”、”予期せぬ幸運” といった意を宿す “Serendipity” というタイトルには、これまでの出会い、応援、優しさ、幸運に対する Li-sa-X からの大きな感謝が込められているのです。
アルバムは、Li-sa-X 初のオリジナルトラックにして作品のタイトル名を冠した “Serendipity” で幕を開けます。ダイナミックなリフワークにファストなリック絡める師匠 Paul Gilbert 譲りのテクニカルなテーマは、マイスター Guthrie Govan を想起させる奔放にアウトするフレージングをも伴いながらマジカルな瞬間と至上のエキサイトメントを運びます。正確なピッキングから生み出されるクリエイティブなアイデアの洪水は、12歳らしい遊び心や瑞々しい感性と一級品のテクニックを包含し、世界に新たなギターヒロインの堂々たる誕生を告げているのです。
“温故知新”。Li-sa-X が演奏家、ミュージシャンとして優れている点はその一言に集約されます。ゲストに迎えた Paul Gilbert, POLYPHIA。さらに “人生を変えた5枚のアルバム” を見れば分かるように、Mr. BIG から PERIPHERY、Guthrie Govan から Jason Richardson まで、世代を超えた色彩豊かな影響はしっかりと彼女の宇宙に血肉として根づいています。実際、トラディショナルな Instru-metal に思える “Serendipity” の中にも、中間部にはモダンで美麗なアトモスフィアをさらりと織り込み、楽曲に立体感を創出しているのですから、その感性の柔軟さには驚くばかりですね。
童謡にプログレッシブで大胆なアレンジを施したアルバムクローサー “アルプス一万尺” は、彼女の未来を約束する楽曲にも思えます。ピアノやヘヴィーリフを巧みに配置し目まぐるしくも耳を惹きつけ離さない、万華鏡のようにカラフルな一曲には、スマートかつキャッチーな清新なるギターの可能性、POLYPHIA ともシンクロするモダンな感覚が息づいています。
クリケットやハーモニクスを巧みに使用し、ニュアンスやアーティキュレーションにまで強く拘った演奏からは、”聴かせる” こと、”楽曲” にプライオリティーを置いた Li-sa-X のギターに対する凛とした考え方が伝わりますね。オリジナルを増やすという彼女の決意も実に楽しみです。
Li-sa-X ワールドへの素晴らしき招待状となった “Serendipity”。今回弊誌では彼女にインタビューを行うことが出来ました。最近ではCMでもお馴染みとなりましたね!どうぞ!!

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Li-sa-X “Serendipity” : 9.5/10

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NEW DISC REVIEW + ANATOMY 【ichika : forn】


EXCLUSIVE: ANATOMY OF ichika !!

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This Is The Next Level !! The Most Talented Contemporary Guitar Artist In Japan, ichika Has Just Released Amazing, Astonishing, Awe-inspiring Debut EP “forn” !!

DISC REVIEW “forn”

Toshin Abasi 以来の衝撃!クリスタルのように清廉なサウンドと研ぎ澄まされた感性で ichika は日本のみならず海外からも高い注目を集める新たなギターマエストロです。想像力を掻き立て感情を揺さぶる瑞々しい楽曲の数々は、フレッドボードを駆け巡る独創的で絢爛たる奇跡のテクニックから生み出されます。
Instagam, Twitter など SNS における圧倒的な動画の視聴数、シェア。さらに Tosin Abasi, Jason Richardson といった海外のモダンギターヒーローから注がれる熱い視線を追い風に受けリリースした待望のデビューEP “forn” はまさにインストゥルメンタルシーンに新たな時代の幕開けを告げるエポックメイキングな作品に仕上がりました。
アルバムのフォルムは想像を遥かに超えたものでした。おそらく多くのファンが思い描いた作品は、バンド形態の Instru-metal アルバムだったのではないでしょうか?しかしリスナーの元に届いた “forn” のサウンドは、ギター一本、清澄で無垢なクリーントーンが奏でる水晶彫刻のような崇高な美景、世界観だったのです。
ただ、ichika が今回弊誌に語ってくれた「人生を変えた5枚のアルバム」を念頭に置き、存慮すればこのディレクションは深く頷けるものだと思います。”Waltz for Debby”。彼が志向しデザインしたこの透徹した美意識によるスペクトルは、孤高のジャズピアニスト Bill Evans がかの歴史的傑作で提示したアーティスティックな表現世界と真に深く通じているのです。
実は幼少期に “Waltz for Debby” に感銘を受け、ジャズピアニストを志していたという ichika。静と動のダイナミズムが白眉で、詩情豊かな美しきワルツ “resolution” は “Waltz for Debby” への追憶かも知れません。 残響までをも計算した限りなく繊細で透明な、しかし同時に自身のペルソナ、小宇宙、エモーションを余すことなく描き出す若きマエストロの手法、秀絶な初演には、確かに巨匠の息吹が濃密に感じられますね。
ヴォイシングの妙、独演という観点から見れば、Bill Evans の “Alone” や Joe Pass の “Virtuoso” にも共振する部分はあるでしょう。そして勿論、彼が挙げている Russell Malone にも。ichika のどこか温かみのあるトーン、ベースラインと旋律の巧みな双饗、ハーモニクスやタッピングのナチュラルな浸透には Russell の遺伝子がしっかりと脈打っています。
さらにツーバスでスウィングする不世出のジャズドラマー Kendick Scott。”a bell is not a bell” を聴けば、コンテンポラリージャズを代表するリズムマスターのポリリズム、変拍子、モダンなアプローチをしっかりと消化し、自らの血肉としていることが分かりますね。
とは言え、”forn” はジャズレコードではありません。そしてジャズレコードでないことこそが ichika の ichika たる由縁だと言えるのではないでしょうか。VEIL OF MAYA の “The Common Man’s Collapse”、”the cabs” の “一番はじめの出来事”をジャズの名盤と共にピックアップしていることが表象するように、彼の音楽にはジャズと同様にモダンプログやマスロックといった現代的なアプローチもしっかりと根付いています。
そして日本人らしい叙情性。”戦場のメリークリスマス” にも通じるようなリリシズムを備えた “flowers” はジャズとコンテンポラリーギターの完璧なる融合であり、同時に日本らしい四季や侘び寂びを感じさせる絶佳のサウンドスケープを有した ichika を象徴する一曲だと感じました。
ichika の旅路、音楽的探求は “forn” で遂にその幕を開けました。少なくとも、今まで日本のアーティストに欠けていた世界で戦うに充分なオリジナリティー、インテリジェンス、そしてアピアランスを備えていることは確かです。”have a nice dream”、応援しましょう!!

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ichika “forn” EP: 9.9/10

【FIVE ALBUMS THAT CHANGED ICHIKA’S LIFE】

BILL EVANS “WALTZ FOR DEBBY”

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KENDRICK SCOTT ORACLE “CONVICTION”

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RUSSELL MALONE “RUSSELL MALONE”

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VEIL OF MAYA “THE COMMON MAN’S COLLAPSE”

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the cabs “一番はじめの出来事”

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【MESSAGE FOR JAPAN】

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“forn” EPを聴いていただいてありがとうございます。このEPを皮切りに、次の作品のリリースも予定していて、そこからライブを初めていこうとも思っています。皆さんにお会いできるのを心待ちにしています。

Thanks a lot for listening to “forn” EP. Starting with this EP, I plan to release the next work and I’m thinking of my first live from there. I am looking forward to seeing you all!

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WHISPERED : METSUTAN – SONGS OF THE VOID】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOUNI VALJAKKA OF WHISPERED !!

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Powerful Fusion Of Melodic Death Metal and Japanese Traditional Music, Unstoppable Finnish Samurais Strike Japan Again With The Epical Tribute To Japanese Culture, “Metsutan – Songs of the Void” !!

DISC REVIEW “METSUTAN – SONGS OF THE VOID”

フィンランドの侍、歌舞伎メタルの求道者 WHISPERED が遥かなる時空を超えて北欧と日本を繋ぐ待望の新作 “Metsutan – Songs of the Void” をリリースしました!!NHKに取り上げられ注目を集めている今、素晴らしいタイミングで2度目の来日も決定し、彼らが最もインスピレーションを受けてきたこの舞台で千両役者へと登り詰める準備は整いました。
WHISPERED ほど日本を前面に押し出して世界的な成功を収めたメタルバンドは、これまでほとんど存在しないと言えます。故に、琴や三味線など和楽器をメインに据え、日本古来のヨナ抜き音階をキャッチーでキラキラのスカンジナビアンメタルの中で大胆に使用。歌舞伎の隈取を施したビジュアルで、日本人でも知らないような深い古の伝承を巧みに表現するフィンランドの侍のやり方は、実に画期的で大きな可能性に満ちていますね。
アルバムはエピカルで壮大なイントロダクション、血のワルツに導かれし一撃必殺の “Strike!” で強烈に幕を開けます。CHILDREN OF BODOM を想起させるスリリングかつメロディックなゴーセンバークスタイルに、三味線をはじめとした和楽器の数々が自然にオーケストレートされ圧倒的な推進力で突き進む “Strike!” の一撃は、リスナーを一瞬で”滅譚”の世界へと連れ去ります。
“Sakura Omen” のシンフォニックなサウンドが生み出す高いドラマ性は、WHISPERED を数多のメロデスバンドたちと分かつ重要な個性です。まさに日本的な”侘び寂び”を理解しているかのような巧みな静と動の対比、荘厳なシンフォニーと激情のアグレッションの応酬は和楽器を組み込んで、桜の花に美しさのみならず儚さや死のイメージをも重ねることに成功しています。
一般的に桜は華やか、ゴージャスというイメージを懐く外国人がほとんどでしょう。しかし、まるで坂口安吾の”桜の森の満開の下”をイメージしたかのような和の情緒を宿す “Sakura Omen” は彼らが小手先だけの日本マニアではないことを証明していますね。
インタビューでも語ってくれたように、日本のゲーム音楽からも強く影響を受けている Jouni。宮本武蔵の決闘をテーマとした “Kensei” には”ロックマン 6″や”ロックマン X”のコンポーザー竹原裕子さんへのリスペクトが込められ、メロディーラインがオマージュとして使用されています。古き良き NORTHER や KALMAH の遺伝子とニンテンドーサウンドが見事にマッチした “Oriental-core” とも呼べるキラーチューンは、武士道に込められた想いと共にアルバムを代表する楽曲として強い輝きを放っています。
WHISPERED の作品は常にエピカルな10分を超える大曲で幕を閉じます。今回、彼らがそのテーマに選んだのが”江島縁起”でした。アートワークにも描かれる、江ノ島の起源に纏わる五頭龍の伝説をコンセプトとした “Bloodred Shores of Enoshima” は5部構成11分22秒の恋愛劇。美しき天女、弁財天に魅せられ悔い改めた五頭龍の物語を WINTERSUN が “Time I” で見せたような圧倒的構成力とシンフォニーでシアトリカルに現代へと再現しています。
アルバムを通して、壮大なオーケストレーションの中、ダブルギターと和楽器が影となり日向となりメインテーマとカウンターメロディーを行き来することで、作品には並々ならぬ立体感が生まれています。その立体感が極上のサウンドスケープをもたらした “Bloodred Shores of Enoshima” は、五頭龍が姿を変えた龍口山と弁財天が奉られる江ノ島の姿を描きながらも、同時に WHISPERED の中にある日本と北欧の姿をも一遍の曇りもなく露わにしているのです。
今回弊誌では、バンド唯一のオリジナルメンバーとなったギター/ボーカル Jouni Valjakka にインタビューを行うことが出来ました。来日は以前弊誌がインタビューを行った INSOMNIUM と5月!どうぞ!!

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WHISPERED “METSUTAN – SONGS OF THE VOID” : 9.7/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【BAND-MAID : JUST BRING IT】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KANAMI OF BAND-MAID !!

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Welcome Home, Master & Princess. Are You Ready For The Next Babymetal ?! OK, Just Bring It! Japanese Hard-Rock Maid Girls BAND-MAID Has Just Released Really Cool Debut Full-Length “Just Bring It” !!

DISC REVIEW “JUST BRING IT”

ロマン溢れるメイド服に身を包み、タイトな正統派ハードロックサウンドを継承する BAND-MAID が遂に待望のメジャーデビューフルレングス “Just Bring It” をリリースしました!!楽曲の幅を広げ、著しい成長を遂げたメンバーの全てが注ぎこまれた作品は、世界を制圧するに充分なクオリティーを備えています。
Babymetal が日本が生んだ最高の女性メタルアーティストであることは、METALLICA, GUNS’N ROSES との共演、世界の熱狂ぶりをみれば明らかでしょう。しかし同時に彼女たちを認めない、アンチの存在も少なからず目に付く事も確かです。
先日、海外大手”トゥルーメタル”系レーベルのパブリッシャーと話す機会があったのですが、彼は Babymetal について「アイコンとして華があり、バンドも素晴らしいね。だけど彼女たちは自ら楽曲を作らないし、演奏もしない。さらにどれだけメタルを愛しているのかについても疑問だね。」 と語っていました。おそらくこれが Babymetal アンチの総意だと思います。
弊誌は別段”トゥルーメタルマガジン”と言う訳でもありませんので、その高い楽曲のクオリティー、kawaii×metal の新たなアプローチ、モダンな視点、ハイレベルなパフォーマンス、そして何より世界が認めてしまっているという事実から、結果が全てを語るというスタンスです。しかし、確かに演奏も作曲も出来る新たなロックンロールヒロインが日本から生まれたとしたら、この日出づる国の音楽ファンはさらに誇れるものが増えるはずですね。
BAND-MAID はまさにその Next-Babymetal の可能性を大いに秘めたアーティストだと思います。実際、彼女たちがまずブレイクを果たしたのは海外のラジオ局からでした。Facebook で150万ものフォロワーを持つ巨大ラジオ局 “Jrock Radio” が “Thrill” の PV を紹介するやいなや、BAND-MAID の名は一気に海外へ広まることとなりました。”Thrill” の Youtube 再生回数は 400万に迫る勢い。さらに昨年は国内と併せて本格的なワールドツアーも成功させており、”結果”をみれば間違いなくワールドクラスのアーティストへと成長しつつあると言えるでしょう。
では、BAND-MAID はそのインパクトだけで注目を浴びたのでしょうか?答えは否です。確かにライブを「お給仕」と言い、ファンを「ご主人様」「お嬢様」と呼ぶ5人の可愛らしいメイドには仄かな出オチ感がフンワリと漂っているかも知れません。しかし、ギャップ萌え極まる硬派な “Just Bring It” を聴けばその実力が本物であることが伝わるでしょう。
Just Bring It…「かかってこいや!」と名付けられた自信に満ちた作品は、13曲中9曲がメンバーの手によるもので、その事実は”バンド” BAND-MAID としての強みを存分にアピールしています。
アルバムを通して、とにかくギターリフがクール。トラディショナルとモダンを行き来するツインギターはその確かなテクニックと共にフックとメロディー、アグレッションを提供し続けます。そこに緩急織り交ぜたカラフルなツインボーカル、骨太で強烈なスラップまでお見舞いするベースにダイナミックなドラムスが加われば、彼女たちの可能性が無限に広がっていることを感じるはずです。
“CROSS” は BAND-MAID の今を象徴するような楽曲です。彼女たちがすんなりと海外で受け入れられた理由の一つはそのブルーステイストかもしれません。アルバムを通して活躍するブルーノートの響きは特にUSのリスナーにとっては非常に馴染み深いもの。しかし BAND-MAID はしっかりと J-Rock 由来のキャッチーさやギミックを同時に織り込んでオリジナリティーを創出しています。見事なフックを生む転調とシンコペーション、ブルージーなギターリフ、耳馴染みのよいメロディー、シンガロングパート。”CROSS” は端的に BAND-MAID の長所を物語っていますね。
加えて、マスロックテイストさえ感じさせるプログレッシブな “Awkward” は “CROSS” と対極に存在し新鮮な驚きをリスナーに与えます。ストリングを効果的に使用したこの感動的なピースは BAND-MAID の未来をチャレンジングスピリットと共に明るく照らしているように思えますね。
おそらく日本のロックファンが思うよりも、海外の音楽シーンは現在 EDM, hiphop に席巻されています。ピュアなハードロック、メタルを渇望する”トゥルーファッキンメタラー”の逆襲が BAND-MAID に託されていることは間違いないでしょう。
今回弊誌では、ギタリストでメインコンポーザー KANAMI さんにインタビューを行うことが出来ました。Mr. Big を想起させるスリリングな “モラトリアム” や “YOLO” の流暢なリードプレイを聴けば彼女の驚異的な才能が分かるはずです。Welcome Home, Master & Princess! どうぞ!!

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BAND-MAID “JUST BRING IT” : 9.6/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【JYOCHO: 祈りでは届かない距離 (A PRAYER IN VAIN)】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAIJIRO OF JYOCHO !!

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One Of The Most Talented Guitar Player From Japan, Daijiro Nakagawa With JYOCHO Has Just Released Very Impressing Math-Rock Meets J-Pop Record “A Prayer In Vain” !!

DISC REVIEW “祈りでは届かない距離”

Math-Rock という東洋が主たる発信地の魅力的で、しかし曖昧なジャンルにおいて、宇宙コンビニが果たした役割は非常に大きなものでした。短いキャリアで閃光のように強い輝きを放ったバンドは、時に幾何学的、時に有機的な美しきサウンドスケープに、日本らしいポピュラーミュージックの色合いを添え、ジャンルの曖昧さを逆手に取って Math-Rock の可能性を証明し、世界中から大きな賞賛を浴びたのです。
バンドの解散から一年半。リーダーでギタリストのだいじろー氏が JYOCHO というプロジェクト名でリリースしたデビュー作 “祈りでは届かない距離” は、さらに研ぎ澄まされたそのポップセンス、多様でカラフルな音楽性、高いミュージシャンシップを滑らかに溶け合わせ、今度は自身の可能性を証明したレコードとなりました。
JYOCHO とはすなはち”情緒”。インタビューにもあるように、日本らしい四季のような感情の変化を世界に伝えたいという想いで名付けられた JYOCHO はまさにこのカラフルなレコードを体現しています。
アルバムオープナー、”family” は宇宙コンビニと JYOCHO を繋ぐミッシングリンクのような存在です。クリーンでピュア、しかしテクニカル。宇宙コンビニ時代からだいじろー氏のトレードマークとも言えるマスマティカルなギターフレーズに導かれたリスナーは、流れ来るフルートの美しく雅な響きに驚きを覚えるでしょう。アルバムを通してこのフルートの音色は、JYOCHO の唯一無二の世界観”情緒”を醸し出すことに大いに貢献していますね。
確かにジャジーなリズムパターン、複雑なコンポジション、繊細なギターフレーズは Math-Rock のアイデンティティーを主張しますが、楽曲へと自然に溶け込み寄り添い、ただ深化を促すジグソーパズルのピースとして存在しているようにも思えます。
実際、ポップスの領域へと繋がるような、rionos の中性的でイノセントな歌声、メロディーが JYOCHO, そして “祈りでは届かない距離” を特別な存在にしていることは明らかです。
だいじろー氏が原点だと語る出身地、京都を想いながら作られたであろう “故郷” は、その Post-Rock 的なサウンドスケープを背景に歌い紡がれる rionos の優しく、懐かしく、実にエモーショナルなボーカルが、リスナーの心へフワリフワリと侵入し様々な感情を喚起します。勿論、そこに情緒を感じるファンも多いでしょう。
とは言え、アルバムにはロック的なスリルも当然存在します。”太陽と暮らしてきた” の変拍子、ギターとフルートのユニゾン、そして対位法的インプロヴァイズは実にエキサイティングで JYOCHO という集団のミュージシャンシップの高さを見せつけています。だいじろー氏のギターにより深く耳を傾ければ、タッピング以外にも、ベンドやアルペジオ、ハーモニクスの使用法が卓越していることにも気づくはずです。人生を変えたアルバムを見れば分かる通り、驚異的なアコースティックギタリストから影響を受け、右手の五本指をも自在に操る彼の奏法はロックのフィールドにおいては実に異端で革新です。
こうした JYOCHO の楽器とボーカルの素晴らしいバランス、見事な調和は、rionos の歌声にも相まって、偶然にも、”祈り”を捧げるアーティスト Cocco の名作群 “クムイウタ” や “ラプンツェル” を想起させる瞬間が存在します。確かに世界は “祈りでは届かない距離” で隔てられていますが、それでも私たちは”気づく”必要がありますし、”調和”へと向かうべきでしょう。
今回弊誌では、だいじろー氏にインタビューを行うことが出来ました。読者のみなさまにも”気づいて”いただければ幸いです。どうぞ!!

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JYOCHO “祈りでは届かない距離” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【world’s end girlfriend : LAST WALTZ】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH world’s end girlfriend !!

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Japanese Post-rock, Electronica, Classical Music Maestro, world’s end girlfriend Has Just Released Shining New Album “LAST WALTZ”!!

DISC REVIEW “LAST WALTZ”

Post-rock, Electronica, Classical といった要素をミックスし、独自の美しき純粋音楽を作り上げる world’s end girlfriend (以下WEG) がフルアルバムとしては実に6年振りとなる新作 “LAST WALTZ” をリリースしました!!
WEG は音楽家、前田勝彦氏のソロプロジェクト。Virgin Babylon Records の主催として、Vampillia, Have a Nice Day!, Matryoshka といった先鋭的かつ研ぎ澄まされた感性を持つアーティストの作品を発表、サポートしつつ、AKB48 ドキュメンタリー映画の音楽を担当するなど、昨今のミュージックシーンでその存在感は確実に際立っています。
前作 “SEVEN IDIOTS” のリリースが2010年。それから日本は3.11を経験しました。現代日本の価値観を根底から覆した災害を前にして、多くのアーティストが希望の歌を奏でたり、悲しみの歌を紡ぐ中、WEG は自然と音楽を比較します。
命を育む母なる海が多くの命を奪っていく現実。何の感情も伴わず、善悪を超えたただ圧倒的な光景は音楽を超えている…その人間を介さない根源的な世界観は WEG の世界と強く通じるものでした。自然への挑戦。”LAST WALTZ”のテーマを自身の名前 “world’s end girlfriend” とした意味もそこにあります。
インタビューを読めば分かるように、WEG ほど純粋に音楽への奉仕を貫くアーティストはいないでしょう。”LAST WALTZ” に存在するのはただ”美しさ”のみ。そこにメッセージ、感情というフィルター、つまり人間はほぼ介在していません。WEG は媒体としてただ音楽が求める先を具現化する。まさにこの表現方法こそが、今回彼が追求しチャレンジした世界なのです。
ジャケット、MV など今回何度も使用された花はそれを象徴しています。何も語らずとも、花はその美しさだけで世界に影響を与えています。WEG の美しき音楽もただ存在するだけでリスナーへ命のありようを伝えます。
地震の揺れをダンスとして捉えた “LAST WALTZ” というタイトルには、同時に「死の舞踏」という意味も込められています。死を前にしても美しく踊る魂でありたい。粛々と生を全うすることの尊さ、命の持つ根源的な強さを表しているのです。直接的な表現では決して生まれないであろう、誠実さ、純粋さがここにはあります。
ぜひ “Flowers of Romance” を聴いていただきたいと思います。13分の美しさを極めた至上のワルツはまさにメメント・モリ。死を前にして悠然と優雅に舞う魂が、音を通して見えるはずです。
ダークシンセ、ストリングス、ソプラノボイス、エレクトロビート、ノイズ。全てが WEG というマエストロの手に集まり具現化されたあまりにも圧倒的な死のダンスは、アートは自然に勝るのかという問に対する無言の回答として、その存在、楽曲という命に大きな意味を生んでいますね。
今回弊誌では、WEG にインタビューを行うことが出来ました。最もクリスマスらしく、実は最もクリスマスらしくないアルバムかもしれませんね。どうぞ!!

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world’s end girlfriend “LAST WALTZ” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LITE : CUBIC】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH NOBUYUKI TAKEDA OF LITE !!

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Japanese Math / Post Rock Hero Returns! Lite Goes Back To Their Roots And Opens Up A New Chapter With Accessible And Emotive Record “Cubic” !!

DISC REVIEW “CUBIC”

日本が生んだ Math-Rock / Post-Rock ヒーロー LITE が待望の新作 “Cubic” をリリースしました!!バンドの原点である、タイトで躍動感溢れる生の音像へと回帰した作品は、国内外でインストゥルメンタルミュージックを志すアーティストへの新たな道標となるでしょう。
LITE の近作はその理知的な一面が作風を支配していました。ジグソーパズルのピースを一つ一つ組み合わせるように綿密に、デリケートに構成された彼らのストラテジーは “For All the Innocence” で一つの完成形を提示したと言えます。シンセサイザーを多用し、ギターを何本も重ね、精巧でカラフルな絵画のようにレイヤーされた音世界は、極限までこだわり抜いた足し算の美学であったとも言えるでしょう。
“For All the Innocence” の流れを汲みつつ、やや人間味も戻ってきた前作 “Installation” リリース後、LITE は国内、海外でツアーを重ねます。インタビューにもあるように、そこで彼らはオーディエンスとの温度差に直面したのです。もっとダイレクトに伝わる方法を模索し、たどり着いた一つの結論が “原点回帰” でした。
3年半のインターバルを経て、リスナーの元へと届けられた最新作 “Cubic” にはそうした葛藤を乗り越え、さらにステージアップを果たした魅力的な LITE の現在が詰まっています。
アルバムオープナー “Else” を聴けばバンドの進化が伝わるでしょう。アグレッションと躍動感を前面に押し出し、生々しくフィジカルな感覚を宿す楽曲は、ストレートにロックの真価を表現し、引き算の美学を提示しています。有機物のように形を変えていくトラックには、ワウを使用したヘンドリックスを想起させる激しい熱量のギターソロすらハマっていますね。
勿論、リズムやリフにはマスマティカルなイデオロギーが貫かれていますが、オーガニックで力強いギターサウンドと、抜けの良いダイナミックなドラムスによって、リスナーはまるで4人のメンバーのみが目前に現れ生のライブを見ているかのような錯覚に陥ることでしょう。
アーテュキレーション、ゴーストノート、そしてギターのピッキング音までクリアに感じられる立体感。あの BATTLES を手がける Keith Souza をマスタリングで、THE MARS VOLTA との仕事で知られる Heba Kadry をミキシングで起用したことも、新たなサウンドに寄与していることは明らかですね。
ジャケットのルービックキューブとリンクするように、カラフルでチャレンジングな点も “Cubic” の特徴です。SOIL&”PIMP”SESSIONS のタブゾンビがトランペットで参加した “D” はアルバムを象徴する楽曲かも知れません。自由な雰囲気でジャムセッションからそのまま進化した楽曲は、良い意味でのルーズさ、即興の魅力、ロックの原衝動を合わせ持ち、クリエイティブなエナジーが溢れて出ています。後半の転調を繰り返すアイデアも実にスリリングですね。
以前にも挑戦したとは言え、インストゥルメンタルバンドとして知られる LITE が2曲にボーカルを導入したこともサプライズだと言えますね。アヴァンギャルドなアルバムクローサー “Zero” での根本潤氏の歌唱はエキセントリックで実に効果的ですし、何よりギタリスト武田氏自らが日本語で歌う “Warp” からは、海外で認められる LITE がクールな日本語の美しさ、リズムを伝えるという意味からも重要な1曲だと感じます。
実際、フロム JAPAN のアイデンティティーは、LITE を海外のバンドから際立たせている隠し味では無いでしょうか?”Square” が象徴するような、エモとはまた違った日本的な侘び寂び、哀愁はレコードの要所で現れ作品をさらに魅力的に彩っていますね。
今回弊誌では、バンドのギタリストでコンポーザー、武田信幸さんにインタビューを行うことが出来ました。海外では、toe や ENEMIES も所属する要注目の Topshelf Records からのリリース。どうぞ!!


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LITE “CUBIC” : 9.8/10

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