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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【RIVERS OF NIHIL : WHERE OWLS KNOW MY NAME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ADAM BIGGS FROM RIVERS OF NIHIL !!

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Pennsylvania Based Progressive Death Metal Quinted, Rivers Of Nihil Contribute To Re-branding Death Metal Into A Eclectic, Expressive Art-form With Incredible New Record “Where Owls Know My Name” !!

DISC REVIEW “WHERE OWLS KNOW MY NAME”

遂に食物連鎖の頂点へと躍り出たペンシルベニアの梟神 RIVERS OF NIHIL が、深遠かつエクレクティックなプログレッシブデスメタルへとドラスティックな変貌を果たす傑作 “Where Owls Know My Name” をリリースしました!!生と死、そして知性を司る伝承の神明は、猛禽の鋭さと神々しきアトモスフィアでシーンの潮流を支配します。
テクニカル、メロディック、デスコア、ブルータル。雨後の筍のごとく現れるデスメタルアクトの大半は、エモーションのスペクトルを怒りに起因する狭い領域へとフォーカスし、ある意味では檻の中で固定観念と共に囚われているようにも思えます。
「この作品では、僕たちが期待されているようなサウンドを放棄した。」と Adam が語るように、RIVERS OF NIHIL が “Where Owls Know My Name” で達成した偉業は、真にユニークな感性で鋼鉄の慣習から羽ばたいたその勇気にあると言えるでしょう。
多様で創造性に満ち、複雑でしかし凄艶な星の一生を目撃するサイエンスフィクションは、数年前に FALLUJAH がアトモスフィアと共に導入したジャンルのパラダイムシフトをも超越し、さらに時空を行き来するタイムマシンなのかも知れませんね。
アルバムオープナー “Cancer / Moonspeak” は来たるべき運命、旅路のムードを決定づけます。まるで CYNIC のような浮遊するアンビエントは、アコースティックの響き、レトロなシンセ、ムードに満ちたクリーンボイスを伴ってリスナーを深遠なるストーリーへと誘います。
刹那、雷鳴のように鋭利なギターリフが轟くと雰囲気は一変。革命的な “The Silent Life” がスタートします。揺るぎのない無慈悲なアグレッションとインテンスは、徐々に理知的なギターと官能のサクスフォンが支配するスロウなジャズブレイクへと転換していきます。その変化は驚くほどにナチュラルでオーガニック。そうして静と動、混沌と平穏のコントラストは終盤に向けて奇跡の融解を遂げるのです。まるで人生本来の姿を描くかのように。
CANNIBAL CORPSE と KING CRIMSON が果たした未知との遭遇。例えることは容易いですが、実際、獰猛な猟奇性と神々しき英知を寸分も失うことなく一つのサウンドクラフトに収めることがどれほど困難かは想像に難くありません。何より彼らのデザインはあまりに自然で、神々の創造物のように生き生きとした姿を晒しているのですから。
厳かなクリーンボーカルを導入し、モダンなメロディックデスメタルにサイケデリックな夢幻のアトモスフィアを付与した “A Home”、激烈なアサルトに一片の叙情を込めて老衰の無常を伝える “Old Nothing” を経て辿り着く “Subtle Change (Including the Forest of Transition and Dissatisfaction Dance)” はアルバムのハイライトだと言えるでしょう。
“Epitaph” を思わせる悲壮なアコースティックをイントロダクションに据えた8分30秒のエピックは 「KING CRIMSON は僕のオールタイムフェイバリットバンドなんだよ。」と Adam が語る通りクラッシックなプログロックの息吹を全身に宿した濃密な叙情のスロウダンス。ソフトでエレガントな繊麗と、野蛮で蒼然としたアグレッションは、ギターやサクスフォン、オルガンのトラディショナルで大胆ななソロワーク、プログロックのダイナミックな変拍子やシーケンスを抱きしめながら、詩情と偉観そして奇妙なカタルシスを伴って文明の移り変わりを描く壮大なマグナムオパスを形成するのです。
一方でこの大曲には、djenty なリフワークやシンフォブラックの狂騒などコンテンポラリーな一面も散りばめられており、幽玄なクリーンボイスが創出する崇高美とも相俟って、もしかすると NE OBLIVISCARIS が纏う神秘ともシンクロしているのかも知れませんね。
続くインストゥルメンタル “Terrestria III: Wither” では、情景を切り取るポストロックのデザインを導入し、コンテンポラリーなエレクトロニカやアンビエント、インダストリアルノイズのキャンパスに冷徹かつ耽美な絵巻物を描いてみせるのですから、バンドのエクレクティックな感性、タイムラインの混沌には驚かされるばかりです。
アルバムは、バンドの審美を全て詰め込んだタイトルトラックで再度サクスフォン、ヴィンテージシンセ、クリーンボイスの温もりを呼び起こし作品のコアを認識させた後、ダークなギターがメロトロンの海を切り裂く “Capricorn / Agoratopia” で荘厳にリリカルに、一握りの寂寞を胸に秘め星の死を見届けながらその幕を閉じました。
今回弊誌では、ベース/クリーンボーカルを担当する Adam Biggs にインタビューを行うことが出来ました。まさにメタルとプログのタイムラインに交差する異形のランドマーク。モダン=多様性とするならばこの作品ほど “モダン” なスピリットを抱いた奇跡は存在しないでしょう。ex-THE FACELESS の Justin McKinney、BLACK CROWN INITIATE の Andy Thomas もゲストとして素晴らしい仕事を果たしています。どうぞ!!

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RIVERS OF NIHIL “WHERE OWLS KNOW MY NAME” : 10/10

INTERVIEW WITH ADAM BIGGS

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Q1: This is our first interview with you. So, at first, could you tell us about you and band itself? What kind of music did you listen to, when you were growing up?

【ADAM】: I’m Adam Biggs, I play bass, write lyrics and do vocals for Rivers of Nihil. The band got started in Reading, Pennsylvania in 2009, we got signed to Metal Blade records in 2012 and we’ve been touring and putting out records ever since.

Q1: 本誌初登場です!まずはあなたのバックグラウンドからお話していただけますか?

【ADAM】: 僕は Adam Biggs。RIVERS OF NIHIL でベースをプレイし、歌詞を書いてボーカルも担当しているんだ。バンドは2009年に、ペンシルベニアのレディングで産声をあげたんだ。2012年に Metal Blade Records の契約を得て、以来ツアーとリリースを続けているよ。

Q2: What inspired you to start bass guitar or vocal? Who was your musical hero at that time?

【ADAM】: It’s hard to say really, I only barely knew what a bass was when I started playing. I got my first bass as a Christmas gift so I started looking more into the instrument then.
I think the first bassists I was really aware of were Feildy from Korn and Les Claypool, so I really wanted to emulate those styles. A little later on I discovered Cannibal Corpse and Alex Webster and that really set things off for me in a positive way.

Q2: では、ベースやボーカルを始めたきっかけや当時のヒーローについて教えていただけますか?

【ADAM】: その質問に答えるのはなかなか難しいね。というのも、僕はベースを始めた時、ベースという楽器についてほとんど何も知らなかったんだから。実は最初のベースはクリスマスプレゼントだったんだ。そして、そこからこの楽器について学んでいったんだよ。
最初に気になったベーシストは、おそらく KORN の Feildy と、PRIMUS の Les Claypool だったと思うんだ。だから、彼らのスタイルに匹敵するようなプレイをしたいと思っていたね。そらから少しして、CANNIBAL CORPSE の Alex Webster を発見したんだ。そしてその発見がポジティブな意味で、僕に火をつけたと言えるね。

Q3: How did the band come to be? What’s the meaning behind your band name “Rivers of Nihil”?

【ADAM】: The band, originally, was sort of a combination of members of a few bands from our area. We decided we wanted to take Music more seriously than a lot of our local peers at the time, so we put together a sort of “best of the best” of local metal talent, and thus Rivers of Nihil was born. The name was created by our vocalist and it sort of represents a “flow into nothingness”.

Q3: RIVERS OF NIHIL というバンド名にはどのような意味が込められているのでしょう?

【ADAM】: このバンドはもともと、僕たちの住むエリアでいくつかのバンドのメンバーが集まってプレイしていたところから始まったんだ。そこから、僕たちはその当時のローカルな雰囲気から脱して、より音楽をシリアスな段階へ進めようと決めたんだよ。だから、ペンシルベニアのメタルシーンで最強メンバー、メタルタレントを選りすぐって、RIVERS OF NIHIL が生まれたんだよ。
RIVERS OF NIHIL “虚無の川” というバンド名は、ボーカリスト Jake Dieffenbach が生み出したんだけど、”空虚へと流れ注ぐ” といった状態を表現しているんだよ。

Q4: So, let’s talk about your newest record “Where Owls Know My Name”. Actually, I really love your two previous albums, but I feel this one is your next stage. Definitely, it’s your milestone, I think. In the writing, recording process, how have you evolved or changed from your previous release?

【ADAM】: I think the major thing we accomplished with this record is we just sort of abandoned our expectations of what we’re supposed to sound like. We definitely didn’t want to feel pigeonholed into being a “technical death metal” band anymore, or at least not strictly that. We have a wide variety of music we enjoy as people, more things influence us than metal and we wanted to make “Where Owls Know My Name” really represent us in that way.

Q4: では最新作、”Where Owls Know My Name” について話しましょう。過去のレコードも良い作品でしたが、このアルバムは完全にネクストステージへと到達していますね?

【ADAM】: 僕たちがこのレコードで主に達成したのは、僕たちが期待されているようなサウンドを放棄したことだけだと思うんだ。間違いなく僕たちは、”テクニカルデスメタル” バンドみたいに狭い領域のレッテルを貼られたくはなかった訳だよ。少なくとも厳密にそう区別されたくはなかったんだ。
リスナーとしての僕たちは、幅広い音楽的な背景を持っていて、メタルよりも多くの影響を咀嚼して来ている訳さ。だから、”Where Owls Know My Name” ではそういった自分たちのありのままの姿を表現したかったんだ。

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Q5: It’s not big secret, Rivers of Nihil have a main theme about life and death. In the Ancient Greece, Owl is a symbol of Wisdom, and in Japan, Owl is a symbol of Death. Anyway, could you tell us about the concept or lyrical themes of this record?

【ADAM】: The story of the album follows the last intelligent being on Earth, who has walked for a millennia watching the world die around him. And, to be the sole intelligent witness of the death of the planet. This story, however, is sort of just an emotional framework for what’s going on in these songs. Really, there are a lot of very personal feelings being expressed in the album. It has a lot to do with getting older and feeling the world around you become unrecognizable, and maybe even becoming unrecognizable yourself.

Q5: 日本でフクロウは “死” の象徴で、古代ギリシャでは “知性” の象徴でした。RIVERS OF NIHIL の扱うビッグテーマが “生と死” についてであることは明らかですが、今回特にフォーカスしたコンセプトについてお話していただけますか?

【ADAM】: アルバムの物語は、地球上に残る最後の知性を持つ生物を主人公として追っているんだ。彼は何千年もの間、世界が彼の周りで滅ぶのを見ながら歩み続けて来たんだよ。そうして星の死を見届ける運命を背負っているんだよ。
だけどね、この話は、アルバムの楽曲で何が起こっているのかを写す感情的な枠組みのようなものなんだ。 アルバムには、本当に、非常に個人的な感情がたくさん存在しているんだからね。
そういった感情は、年を重ねる事ととても関係していてね。歳を取ると、周りの世界が認識できなくなり、遂にはきっと自分自身も認識できなくなってしまうんだよ。

Q6: I really surprised about songs like “The Silent Life” “Subtle Change (Including the Forest of Transition and Dissatisfaction Dance)”. Actually, there is no band who mixed death metal and prog such a natural way! OK, maybe most of music fans remind King Crimson from the songs and saxophone sound. Have you influenced by such a prog giants?

【ADAM】: Absolutely, King Crimson is my favorite band of all time. We (particularly Brody and myself) are huge classic prog fans. Influence from Crimson, Floyd, Genesis, and Yes really seeped into our minds while writing this one. But yes, it was always very important to us to include these influences naturally and not make them feel shoehorned into our sound. The emphasis is still heavily on the songcraft.

Q6: “The Silent Life” “Subtle Change (Including the Forest of Transition and Dissatisfaction Dance)” といった楽曲には本当に驚かされましたよ。デスメタルとプログロックをこれほどナチュラルに融合させたアーティストは、あなたたちが初めてでしょうね。今回、KING CRIMSON をはじめとするプログロックの巨人は大きなインスピレーションの源だったと言えますか?

【ADAM】: 間違いないね!KING CRIMSON は僕のオールタイムフェイバリットバンドなんだよ。僕たちは、まあ特に Brody と僕なんだけど、クラッシックなプログロックの大ファンなんだ。KING CRIMSON, PINK FLOYD, GENESIS, そして YES からの影響はこの作品を書いている間中、僕たちの精神に浸透していたんだよ。
それに、うん、君が言うようにそういったプログロックの影響を自然に取り入れることは、僕たちにとってとても重要だったんだ。無理矢理サウンドに組み込むのではなくね。それでもソングクラフトの中でしっかりと強調されているんだよ。

Q7: Speaking of Saxophone, the instrument and clean vocal is kind of “Key” elements of the album. Do you agree that? What’s these elements to you?

【ADAM】: To me, honestly, they just feel like added pieces of the production. Metal is the only genre I can think of where the “traditional” instrumentation is such an integral piece of what the genre even is. If you listen to music from almost any “non-metal” genre you’re going to hear all sorts of elements pop up all over the place, not just in an album to album basis but a song to song basis too. So we figured we could just treat our record like anything else we would hear outside of the greater metal purview.

Q7: KING CRIMSON ともシンクロするサクスフォン、そしてクリーンボーカルは今作における肝だと感じました。

【ADAM】: 正直、そういった要素はプロダクションの中で僕たちが意図的に “付け加えた” ピースだと考えているんだ。つまりそれは、メタルはどんなジャンルであれ、”伝統的な” 楽器がとても不可欠なものと思える唯一の音楽だからなんだけど。
対して、ほとんどの “メタル以外”の音楽を聴いてみれば、アルバムとアルバムの違いだけじゃなくて、一つのアルバムでも曲と曲の間に様々な要素が飛び出してしてくることに気づくはずさ。 だから僕たちは、偉大なるメタルの範囲外で聞く何かのように、僕たちのレコードを扱うことができればと考えたわけさ。

Q8: Also, “Terrestria Ⅲ: Wither” and title track “Where Owls Know My Name” have definitely post rock, electrical elements. Off Course, Fallujah has mixed such an “Atmosphere” and death metal, but I think Rivers of Nihil did it in more drastic, experimental way, right?

【ADAM】: It’s true that Fallujah and us use a lot of similar elements, but I think we’ve each made distinctly different uses of our available tools. The attitudes present in the music of each band are, in my opinion, drastically different. I think there’s plenty to enjoy in both bands that are totally unrelated.

Q8: 一方で、”Terrestria Ⅲ: Wither” やタイトルトラック “Where Owls Know My Name” にはポストロックのアトモスフィアも根付いていますよね? FALLUJAH にもアトモスフェリックな要素は存在しますが、あなた達の方がより大胆に導入しているようにも感じます。

【ADAM】: そうだね、確かに FALLUJAH と僕たちの間にはたくさん似た部分が存在するよね。ただし、利用可能なツールの使い方ははっきりと違ったものにしてきたと思っているんだ。僕の意見では、互いのバンドの音楽に存在するアティテュードは大きく異なると思うんだよ。それ故に、両方のバンドを完全に無関係なものとして楽しむことのできる部分がたくさんあると思うな。

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FIVE ALBUMS THAT CHANGED ADAM’S LIFE

KING CRIMSON “IN THE COURT OF THE CRIMSON KING”

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NECROPHAGIST “EPITAPH”

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MARILYN MANSON “MECHANICAL ANIMALS”

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THE FACELESS “PLANETARY DUALITY”

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BETWEEN THE BURIED AND ME “COLORS”

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MESSAGE FOR JAPAN

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Hopefully we see you soon!

出来れば、みんなとすぐに会えるといいな!

ADAM BIGGS

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ORPHANED LAND : UNSUNG PROPHETS & DEAD MESSIAHS】JAPAN TOUR 2018 SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH CHEN BALBUS OF ORPHANED LAND !!

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Israel Based Middle-East’s Oriental Metal King, Orphaned Land Shows Their Protest & Anger To “Big Machine” With Their Newest Record “Unsung Prophets & Dead Messiahs” !!

DISC REVIEW “UNSUNG PROPHETS & DEAD MESSIAHS”

オリエンタルメタルの創始者にして、愛と平和の伝道師。イスラエルの至宝 ORPHANED LAND が偏見の鎖を断ち切る最新作 “Unsung Prophets & Dead Messiahs” をリリースしました!!複雑で荘厳、そして何より怒れる正義のアルバムは、世界を支配する全ての権力、不条理に対する強烈なプロテストとなるはずです。
90年代初頭からまさに “孤立した地” イスラエルで生を受けた ORPHANED LAND は、自らの地理的、文化的出自と真っ直ぐに向き合いながら不屈の精神でその活動を続けて来ました。
あのドキュメンタリー映画 “グローバルメタル” で驚愕と共に世界が発見した、西洋を起源とするメタルのフレームに中東のオリエンタルなフレーバーや民族楽器を持ち込む独特の手法は勿論正直で真摯なバンドの象徴だと言えますね。しかし、それ以上にアラビアを起源とするユダヤ、イスラム、キリスト三つの大宗教の融和を願い貫かれるバンドの高潔なるスピリットこそが多くのファンを魅了する理由なのかも知れません。
バンドが掲げるその崇高な理念が結実した傑作 “All is One” から5年のインターバルを経てリリースされた “Unsung Prophets & Dead Messiahs” は、祈りと願いで満たされた前作とは異なりより具体的に人の革新を促すアルバムだと言えるでしょう。
バンドはこれだけ政治、戦争、経済が危機に面する世界で沈黙を貫く世論に疑問を投げかけます。この状況はプラトンの “洞窟の比喩” ではないかと。残念ながら民衆は抜け出す努力を嫌い、暗い日常でも耐え時にはそれにしがみつきます。事実、キリストからガンジー、キング牧師、ケネディ大統領まで世界を救う “預言者”、もしくは “メシア” といった存在の多くは変革を起こす前に暗殺されて “歌い続ける” ことも叶わなかったのですから。
沈黙、停滞への義憤を宿すアルバムは、ギターと民族楽器を操る Yossi Sassi 脱退後初のアルバムともなりました。とは言え、当然 ORPHANED LAND に停滞などは似合いません。
「バンドにメインコンポーザーは存在しないよ。誰もが作曲していて、僕たちは各自のリフを巧妙にマッシュアップしているんだ。さながら大きなジグソーパズルのようにね。」 と Chen が語るように、より奔放で展開の妙を増したエピカルな楽曲群に大黒柱不在の影は感じられませんね。
さらに思索を進めれば、「”All is One” では確かに僕たちは意図的にグロウルを避けていたね。だけど、”Unsung Prophets & Dead Messiahs” では、全ての側面でただ音楽にメッセージを語らせることにしたんだ。」 という言葉に目が止まるはずです。
怒りや嘆きがプログレッシブなデスメタルのムードへと幾分か変換された作風は確かに過去の “Mabool” や “The Never Ending Way of ORwarriOR” を想起させますが、同時にここには未だ前作で開花した祈りのオーケストレーションやシンフォニックなコーラスも華麗に息づいており、結果としてそのキャリアを集約したかのような進化を遂げたと言えるのかも知れませんね。
女性ボーカルと壮麗なストリングスが誘うオープナー “The Cave” はその進化の象徴。極上のエモーションを湛える当代きっての歌い手 Kobi Farhi が時に壮大なクワイアと、時に自らの凶暴なグロウルと繰り広げるコール & レスポンスは、コントラストの魔法、異国のメロディーとシンセサイザーの響きに抱かれオリエンタルメタルを一際尊きメタルオペラの高みへと導きます。
8分間の観劇の一方で、RAMMSTEIN を思わせるダンサブル & キャッチーな “We Do Not Resist” は、エレクトロニカとオーケストレーションの海原を中東の民族楽器がまるでモーゼのように闊歩する異端でしかし印象的な楽曲。コンパクトで強靭なデザインは確かに新機軸。ダイナミックで一切予定調和のない冒頭の2曲でリスナーは自らの “洞窟” から抜け出るはずです。
さらに PORCUPINE TREE や GENESIS, PINK FLOYD の面影を宿すプログレッシブメランコリックな “Chains Fall to Gravity” では Kobi の名唱とレジェンド Steve Hackett の名演を同時に堪能出来る佳曲。まるで演歌のような一期一会の熱唱が生み出す情念は、いつしか Steve の左手へと乗り移りブルースの優しさでリスナーを繋ぐ頑なな鎖を断ち切って行くのです。Jens Bogren のしなやかなサウンドデザインも相変わらずお見事。
BLIND GUARDIAN の Hansi Kursch がトレードマークのメロディーで色香を漂わせるトラディショナルなメタルアンセム “Like Orpheus”、AT THE GATES の Tomas Lindberg が唸りを上げるコンテンポラリーな “Only the Dead Have Seen the End of War” まで ORPHANED LAND はそうやって思想や人種、宗教のみならず音楽の世代やジャンルも繋いでいるのかも知れませんね。
今回弊誌ではギターと木琴、さらにブズーキ、サズ等の民族楽器を扱う Chen Balbus にインタビューを行うことが出来ました! 「影響力は僕たちが望むほど大きくはないんだよ。だけどね、一つくらいは希望が必要でしょ?」 4月の来日も決定しています。どうぞ!!

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ORPHANED LAND “UNSUNG PROPHETS & DEAD MESSIAHS” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IN VAIN : CURRENTS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JOHNAR HÅLAND OF IN VAIN !!

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Norwegian Progressive Extreme Metal Outfit, In Vain Has Just Released More Polished, More Varied, And More Intelligent Dynamic New Chapter “Currents” !!

DISC REVIEW “CURRENTS”

闇深きノルウェーの森から獰猛なる知性を叫喚する、プログレッシブエクストリームの至宝 IN VAIN がシーンの “潮流” を左右するマイルストーン “Currents” をリリースしました!!神々しきメランコリーと邪悪なブルータリティが融解するその奇跡の眺望は、古の摂理に贖ってリスナーを魂の冒険へと誘います。
IN VAIN にとって、前作 “Ænigma” における Jens Bogren との邂逅は、運命にして僥倖でした。暗騒と調和を司る音響の魔術師との出会いは、バンドに備わる神秘のメロディーや豊潤なコンポジションを一際研ぎ澄まし、多様で濃密なプログレッシブワールドへの扉をしめやかに開いたのです。
鍵盤奏者でクリーンボーカルの Sindre Nedland は “Currents” を “キャッチーでインテンスに満ち、そして普通ではない” レコードだと評しています。実際、バンドは “Ænigma” でついに発見したバンドの個性、対比と実験が生み出す魔法の緊張感を “Currents” で決定的なものへと昇華し、エクストリームメタルの頂きに鋭く光る知性の剣を突き立てたと言えるでしょう。
アルバムオープナー、”Seekers of the Truth” はバンドのルーツであるエクストリームサイドを探求したリフの覇道。ギターチーム Johnar Håland と Kjetil Domaas Petersen の繰り出す魔手は、プログレッシブメタルコアの猟奇性、ブラックメタルの中毒性、メロディックデスメタルの即効性、そして流麗で夢見るようなプログロックのリードプレイを操り、Andreas のスクリームを纏って怪しく疾駆します。
Johnar はアルバムのテーマである “潮流” について 「人々はまさに大陸や国境、さらに世代をも越えて移動しているんだよ。つまり、文化は融合しているんだ。」 と語ってくれました。米国、英国、北欧を股に掛けるワイドな “真実の探求” は、この多様な作品のオープナーに相応しい説得力を誇っていますね。
一方で、”Soul Adventure” はバンドのエセリアルな一面に特化した荘厳の極み。シャープでマスマティカルなリフワークは、ノルウェーに心酔する Matt Heafey のボーカルとも確かにシンクロし、重なり合うコーラスを携えて ENSLAVED にも匹敵する神々しきエピックフィールドを創造しています。
全面参加を果たした LEPROUS のドラマー Baard Kolstad の実力には今さら触れるまでもないでしょうが、それでもコーラスの最中に突如倍テンでブラストをお見舞いする迫真の瞬間には才能の煌めきを感じざるを得ませんね。
極上の対比で幕を開けたアルバムは、”Blood We Shed” では Johanar が近年バンドはブラックからデスメタルへと接近したと語るように OBITUARY の這いずる邪心と賛美歌を悪魔合体へと導き、さらにアルバムの肝であるハモンドが牽引する “En Forgangen Tid (Times of Yore Part II)” では SWALLOW THE SUN の持つドゥームの美意識を70年代のプログ性と溶融しながら対比の頂点 “Origin” まで、劇的なエクストリームミュージックを奏で続けるのです。
アルバムは7分のエピック “Standing on the Ground of Mammoths” でその幕を閉じます。シンセ、ストリングス、ブルーズギター、サックスを組み込み織り成すシネマティックな一大ドラマは、バンドの70年代への憧憬が遂に結実した楽曲なのかも知れません。
溢れ出すノスタルジックなエモーションとシアトリカルなイメージは、時代の “潮流” を飲み込み GENESIS の創造性ともリンクしてバンドを遥かなる高みへと到達させるのです。
今回弊誌では、Johnar Håland にインタビューを行うことが出来ました!初めてリリースされる日本盤には、”And Quiet Flows the Scheldt”, “Ghost Path” 2曲のロングエピックが追加され1時間を超えるランニングタイムでこの傑作をより深く楽しむことが可能です。インタビュー後にも、日本のみんなに僕の日本愛を伝えて欲しいと熱く語ってくれた Johnar の熱意が伝わるようなプレゼントですね。どうぞ!!

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IN VAIN “CURRENTS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【AKERCOCKE : RENAISSANCE IN EXTREMIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAVID GRAY OF AKERCOCKE !!

Photo by Tina Korhonen © 2017, all rights reserved.
Photo by Tina Korhonen © 2017.

UK Extreme Legend, Akercocke Returns For The First Time In A Decade! “Renaissance In Extremis” Delivers Euphoric Force And Mind-boggling Weirdness !!

DISC REVIEW “RENAISSANCE IN EXTREMIS”

90年代後半から漆黒の創造性でシーンを牽引する英国のアーティスティックなノイズメイカー AKERCOCKE が、10年の時を超え完璧なる復活祭 “Renaissance in Extremis” をリリースしました!!背徳には恍惚を、暴虐には知性を、混沌には旋律を、等しく与える “死のルネッサンス” でバンドはその邪悪を崇高の域にまで昇華します。
生々しき衝動のラフダイアモンド、”Rape of the Bastard Nazarene” でエクストリームシーンに登壇した突然変異のモンスター AKERCOCKE。デスメタル、ブラックメタル、プログ、アヴァンギャルドをその身に浴び降誕した凶暴なるカオスは、”Words That Go Unspoken, Deeds That Go Undone” を頂点とするトリロジーで、美麗なる異端の響き、クリーンパートまでをも宿し唯一無二の存在と化しました。
さらに、バンドの第一章を閉幕するシグナルとなったより実験的な2007年の “Antichrist” では、BBC 北アイルランドのディベート番組出演を騒動のピークとする “アンチクライスト” 論争を巻き起こすなど、その存在感もアンダーグラウンドメタルシーンのアイコンとして群を抜いていたのです。
しかし、残念ながらバンドのその際立つ個性も、長い沈黙の中で、まるで月が闇夜に欠けて行くかの如く徐々に忘れられて行きました。「本当は、僕たちは2012年に解散した訳ではないんだ。線香花火のようにフェイドアウトしていったような感じだね。」 と David が語るように、実際のところ、その仄かな月明かりはただ暗闇へと溶け込み潜伏していただけでしたが。
雌伏の時を終え、Jason Mendonça, David Gray, Paul Scanlan というオリジナルメンバーを軸に帰還を果たし、遂にリリースした “Renaissance in Extremis” は紛うことなきフルムーン、エクストリームメタルの新教典。”初めて制作したサタニックではないアルバム” と語る通り、バンド史上最もコントラストが際立ったワイドで濃密なレコードは、再びリスナーの記憶を呼び覚まし、確実にジャンルのランドマークとなるはずです。
DEATH の遺伝子を宿すメカニカルなイントロダクションが印象的な “Disappear” はバンドの帰還を高らかに告げるキラーチューン。フェンリルのようなデスメタルの獰猛さに、ミッドガルドの冬景色、冷徹なるアトモスフィアを抱きしめる諸行無常のオープナーは、トレイルブレイザーとしての威厳、凄みを見せつけるに充分なクオリティーを誇り、リスナーをあの素晴らしきトリロジーの時代へと誘います。
変化の兆し、ルネッサンスの予兆は “Unbound by Sin” で現れます。トレードマークであるサタニックなコンセプトから離れ、改めて内省的な痛みや苦しみに焦点を当てたアルバムは、ボーカリスト Jason Mendonca をより生々しい、絶望と儚さが同居する類希なるストーリーテラーへと仕立てあげました。実際、ガテラルにグロウル、狂気と正気のクリーンに詠唱まで巧みに使い分ける Jason のシアトリカルな歌唱、対比の魔法は “Theatre of Akercocke” のまさに主役です。
特にこの極めてプログレッシブな楽曲で、Jason の変貌を巧みに反映したメジャーキーのヒプノティックなクリーンパートはあまりに創造的でインプレッシブ。”One Chapter Ends For Another to Begin” にも言えますが、例えば ENSLAVED がしばしば生み出す至高の神々しさと同等の強烈なエモーションがここにはあります。
同時に、ギタリストでもある Jason のクラシカルなシュレッドと、復帰を果たしたスケールの魔術師 Paul Scanlan のホールトーンを旗印とした鮮烈のリードプレイ、Neal Peart のフィルインを受け継ぐ David Gray の繊細かつ大胆ななドラミング、勿論ボーカルを含め全てがスケールアップを果たし “足枷” を解かれた音楽の罪人は、よりフックとキャッチー、そしてインテリジェンスを携えてリスナーの五感を刺激するのです。
バンドの新たな容貌、アルバムのハイライトは5曲目に訪れます。「僕が今まで聞いた他の歌手とは違って、感情的な反応を誘発する、魂に響くシルヴィアンのボーカルはあまりに魅力的。」 インタビューで David は敬愛する JAPAN と David Sylvian への愛情を隠そうとはしませんでした。そして、耽美と実験性を纏った究極なる幽玄、”Familiar Ghosts” は確かに JAPAN のスピリットで幕を開けます。
同時に、DEATH のリフワーク、OPETH のデザイン、EMPEROR のアヴァンギャルドを7分の楽曲に無駄なく梱包した極上のエクストリームジグソーパズルは、シンセ、ストリングスを伴って、遂に David の野心を須らく投影した奇跡のアートとして語り継がれるに違いありません。
アルバムは、9月の英国をイメージさせるニヒルな混沌 “A Particularly Cold September” で幕を閉じます。 Paul のサックスを大胆に起用した、深く陰鬱でサイケデリックな9分間は AKERCOCKE の成熟を物語るショーケースとして完璧なアンビエンスを宿すクローサーと言えるでしょう。
一度死の淵に臨んだバンドは、進化という名のルネサンスに臆することはありません。今回弊誌では、バンドの創立メンバーでドラマー David Gray にインタビューを行うことが出来ました。取材は、アルバムのミキシングを担当した伝説的スタジオマスター Neil Kernon の協力の下行われました。当然ながら、彼の素晴らしい仕事にも拍手を。どうぞ!!

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AKERCOCKE “RENAISSANCE IN EXTREMIS” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ORIGIN : UNPARALLELED UNIVERSE】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PAUL RYAN OF ORIGIN !!

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The Originatior Of Technical Death Metal From Kansas, Origin Introduces Blasting Metallic And Technical Chaos With Their Newest Record “Unparalleled Universe” !!

DISC REVIEW “UNPARALLELED UNIVERSE”

テクニカルデスメタルの 象徴にして “起源”。貫禄と威信の US フォーピース ORIGIN が、バンドの宇宙を拡充する新作 “Unparalleled Universe” をリリースしました!!コントラストや政治性という新要素にフォーカスした作品は、まさしく “未曾有の” 第二章の幕開けを告げています。
ORIGIN は1997年に結成され、今年20周年を迎えたデスメタルのイノベーター。鬼神のようなハイテクニックと、獰猛なるブルータリティーを共存させた “ニュースクールデスメタル” の筆頭格だと言えるでしょう。「今日のキッズは色々なラベルをデスメタルに加えているね。ただ、僕は ORIGIN こそがデスメタルのサウンドを変えたと強く感じているんだよ。」 と語る孤高のギタープレイヤー Paul Ryan の言葉には、例えば DYING FETUS, NECROPHAGIST, VITAL REMAINS NILE などと共にシーンを牽引してきた当事者だからこその凄みとリアリティーが内包されています。
バンドとして初めて前作と同様のメンバーで制作した “Unparalleled Universe”。しかしフックに欠けるなどとの意見もあった前作 “Omnipresent” とは対照的に、ORIGIN の新たなる “比類なき世界” は魅力的なアイデアとリピートを誘うフックに満ちた実に創造的なレコードとなりました。
異世界のスイーピングで幕を開けるアルバムオープナー、”Infinitesimal to the infinite” は ORIGIN の残虐性が未だに一級品であることを伝えます。圧倒的な音の密度と生まれくるカオスは “無限に” リスナーの聴覚を襲い、参加2作目となるボーカル ex-SKINLESS の Jason Kayser も前作より遥かに堂にいったグロウルを披露しています。
何より、メカニカルかつファストな楽曲を牽引する超人 John Longstreth の、Flo Mounier にも比肩し得るスピードと正確性はバンドのストロングポイントとして強い光彩を放っていますね。
“Cascading Failuers, Diminishing Returns” はバンドが新たな領域へと進出した確かな証です。インタビューで、初期のアルバムをアクション映画に例えたバンドが “Unparalleled Universe” で見せつけたのは、抜群のインテリジェンスと多様な構成力でした。
無慈悲なブラスト一辺倒ではなく、起伏に富んだテンポコントロールで予想もつかない展開を構築するリズムセクション。シュレッドを効果的に盛り込みながら、時に激烈に、時にメロディアスに攻め立てるギターアンサンブル。トラディショナルなテクニカルデスメタルのように、音符を詰め込むだけの方法論では決して辿り着けない境地がここには存在しています。楽曲終盤に見せるアトモスフェリックとさえ表現可能な壮美で幽玄なムードは、まさにそれを象徴していると言えるでしょう。
“Invariance Under Transformation” はバンド史上最もスロウな楽曲かも知れません。グルーヴィーなベースラインと冷酷なまでに難解なパーカッションに刻まれるギターリフは、CANNIBAL CORPSE や SUFFOCATION を想起させるほどにプリミティブでオールドスクール。全てがタイトに一体化したバンドのパフォーマンスは、ブラックホールの質量を纏ってリスナーに激越なグラビティーの洗礼を浴びせます。
“Burden of Prescience” にも言えますが、地獄の罰 “火盆処” の如くジリジリと骨の髄まで焼き尽くすようなローテンポで、しかし重厚な責め苦のサウンドスケープは、バンドのファストな王道と見事にコントラストを描き、ORIGIN の新たなるトレードマークを誕生させているのです。
「現在のアメリカ政治がいかに厄災であるかを顧みれば、政治的な楽曲を収録する正しいタイミングだと感じたんだよ。僕は自分の国を恥ずかしく思っているんだ。」 これまで政治的なオピニオンを決して楽曲には取り入れてこなかったバンドを触発したのがトランプ政権であることは明らかですし、”ろくでなしの政府、全ての革命を目覚めさせる” と歌った BRUJERIA のカバー “Revolución” はまさに ORIGIN の主張を見事に代弁した楽曲だったのでしょう。
今回弊誌では、バンドのマスターマインド Paul Ryan にインタビューを行うことが出来ました!「最近のキッズは CD に合わせてプレイしているけど、僕たちは全くそんなことはしないよ。」 痺れます。どうぞ!!

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ORIGIN “UNPARALLELED UNIVERSE” : 9.6/10

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MASTERPIECE REVIEW + INTERVIEW 【WALTARI : SO FINE!】JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KÄRTSY HATAKKA OF WALTARI !!

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Legendary Avant-garde Metal Act From Finland, Waltari Will Come To Japan For The First Time Ever! Don’t Miss The Amazing Performance Of Pioneer!

DISC REVIEW “SO FINE!”

アヴァンギャルドメタルの創始者にして、北欧の伝説。フィンランドが生んだカメレオン、千変万化なミクスチャーゴッド WALTARI がその30年のキャリアで初の来日を果たします!!
80年代後半から90年代にかけてスカンジナビアから勃興した新たなメタルの波。MESHUGGAH, AMORPHIS, OPETH, IN FLAMES, EMPEROR といった傑物を輩出し、インタビューで Kärtsy Hatakka が “ポストファーストメタルタイム” と呼んだそのムーブメントは、メタルの転換期にして、モダンメタルと現在のメタルシーンにとって架け替えのない重要なピリオドとなりました。
「スカンジナビアのバンドたちは、より幅広いスペクトルの音楽を聴くことで、メタルに “クレイジーさ” を加えていったんだ。」
Kärtsy が語るように、ある者は複雑なリズムアプローチを、ある者はプログレッシブロックを、ある者はデスメタルを、ある者はエクストリームな残虐性を、ある者はフォルクローレを “ベーシック” なメタルに加えることで、彼らはモダンメタルの礎となる多様性を築き上げていったのです。
“ポストファーストメタルタイム” を語る上でWALTARI は決して外せないバンドです。メタル、デスメタル、スラッシュ、オルタナティブ、プログ、ヒップホップ、ファンク、ジャズ、ブルース、フォーク、インダストリアル、テクノ、パンク、シンフォニック、ポップなど全てを飲み込む音楽性は、まさにそのモダンメタルに宿る多様性の申し子と言えるでしょう。
バンドが 1994年にリリースした “So Fine!” はまさにゲームチェンジングなレコードでした。獰猛なデスメタルのイントロから一転、オルタナティブな浮遊感とパンキッシュなエナジーで突き進む “The Beginning Song” で幕を開けるアルバムは、同じ感覚を持った楽曲が2曲と存在しない奇跡の多様性を誇ります。
確かにスラッシュとデスメタルがアルバムを通して軸とはなっているのですが、あまりに広大なその数多のインフルエンスは、 “ロックが本来持つオープンマインドなアティテュードを守る” “ロックを革命的なその本来の意味に戻したかった” という Kärtsy の言葉を裏付けるように、唯一無二でオリジナリティーに満ちていますね。
中でも、タイトルトラック “So Fine!” の創造性、完成度は驚異的です。EDM、当時のユーロビートを大胆に導入した楽曲は、同郷のヨーデルフォークグループ ANGELIT とコラボレートすることにより、トライバルなビートとフォーキーなヨーデル、そしてロックのグルーヴがせめぎ合う一大エピックとして語り継がれることとなりました。時に Ozzy Osbourne を想起させる Kärtsy のサイケデリックでポップな歌唱も実に魅力的ですね。
ポップと言えば、”To Give” にはバンドのそのセンスが集約しています。WALTARI 印のダンサブルかつファンキーなアレンジメントは確かに Michael Jackson のイメージを宿し、”Beat it, Leave it” と嘯く女性ボーカルとのデュエットは究極なまでにキャッチーでシンガロングを誘います。
インタビューにもあるように、真に根っこの部分はパンクである WALTARI。”Piggy in the Middle” や “Autumn” を聴けば、当時、大半のハードコアアクトがより直線的にパンクのルーツに向かっていったのとは対照的に、WALTARI がメタル、スラッシュとのクロスオーバーに強くフォーカスしていたことも伝わるはずです。何より、ジャンルとジャンルを軽快に股に掛ける “So Fine!” の精神性が後続に与えた影響は計り知れません。
同じアルバムは2枚作らないと語るように、以降 WALTARI はレコードを通じて様々な冒険を行っていきます。”Yeah! Yeah! Die! Die” ではオーケストラとデス/スラッシュメタルの完璧なる邂逅を持たらし、”Space Avenue” ではエレクトロインダストリアルに振り切ったサウンドで周囲を圧倒しました。
素晴らしき “Blood Sample”, “Release Date” といった近年の比較的、普遍なモダンメタルへと接近した作風の中にさえ、煌めくような驚きの瞬間は星の数ほど散りばめられているのですから。
ただ、そういった振れ幅の中でも WALTARI, Kärtsy が紡ぐメロディーは常に途方もなくキャッチーかつ魅力的。不安や孤独、現代社会に対する嘆きを独自のアイロニーを交えつつ珠玉の旋律へと変換し楽曲へと反映する彼のやり方が、バンドのアイデンティティーとして頗る機能していたことは記して置かなければなりません。
遂にレジェンド初の来日です!今回弊誌では、Kärtsy Hatakka にインタビューを行うことが出来ました。ベースとキーボードもこなし、あの X Japan の hide も影響を受けたと言われる不世出のシンガー。さらには KREATOR の Sami Yli-Sirniö が在籍し、過去には ex-CHILDREN OF BODOM の Roope Latvala も所属していたというシュレッダー好きにも堪らないバンドです。どうぞ!!

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WALTARI “SO FINE!” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【IGORRR : SAVAGE SINUSOID】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GAUTIER SERRE A.K.A. Igorrr !!

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Mastermind Of Modern Metal Revolution, Igorrr Sets A New Standard Across Styles Of Music, With His New Masterpiece “Savage Sinusoid” !!

DISC REVIEW “SAVAGE SINUSOID”

多様性をランドマークとするモダンメタルシーンの最前線に立ち続ける、フランスの鬼才 Igorrr が待望の最新作 “Savage Sinusoid” をリリースします!!メガレーベル Metal Blade Records と契約を果たし、自身の最高峰を更新する傑作を完成させた Igorrr の世界制覇は目前です。
Igorrr とは誇り高きフランスのコンポーザー/マルチプレイヤー Gautier Serre のソロプロジェクト。ブレイクコア、グリッチホップ、トリップホップ、バロック、クラシカル、ワールドミュージック、サイバーグラインド、デスメタル、ブラックメタルなど百花斉放、極彩色のインスピレーションを濃縮し、時代もジャンルも超越したそのサウンドスケープは即ち規格外のモンスターだと言えるかもしれませんね。そして、インタビューにもあるように Gautier は、その至高の怪物を各ジャンルのスペシャリストを招集することで制御し、自らの意のままに操っているのです。”Savage Sinusoid” のアートワークに描かれた結合のスフィアは、まさにそのシンボルだった訳ですね。
アルバムオープナー、”Viande” は Igorrr の野蛮な “Savage” サイドを象徴する楽曲です。エクストリームメタルの新たなエイリアン、奇妙な咆哮を宿した2分弱のエレクトロブラッケンドデスメタルは、息を呑むほどに野蛮で斬新。邪悪で過重な質量を纏うギターリフと、鋭利なグリッチサウンドが交差し、リズムの主導権を奪い合う様はまさしく圧巻の一言で、同時に呪詛のごときシアトリカルなスクリームは地球上で最も多様な Igorrr 劇場の開幕を告げています。
Igorrr の多様性、 “Sinusoid” サイドを体現する “ieuD”, “Houmous” の流れがシーンに与えるインパクトは絶大でしょう。ハープシコードとエレクトロビート、バロック音楽とエレクトロニカ。400年の時を超えて邂逅した、17世紀と21世紀を象徴するサウンドとジャンルは、4世紀のギャップなど存在しないかのように “ieuD” で魅惑の融合を果たしています。
中盤、荘厳なる美の結晶、狂気すら入り交じる Laure Le Prunenec のオペラティックな歌唱をコアとして、ブラストビートとブレイクビーツが入り乱れる魔展開は確かにカオティックですが、テクニカルで深層まで注意深くデザインされたそのコントラスト、タペストリーサウンドは、奔放、野性味というよりはコントロールされたカオスといった印象を与えていますね。つまり、彼のエクレクティックなチャレンジは、決して客寄せのサーカスではなく、自身の創造性、シネマティックな絵画を完成させるための絵の具や技法であるとも言えるでしょう。
“Houmous” で Igorrr のサウンドはさらにその世界を広げて行きます。”ieuD” で時空を超えた彼の音楽は軽々と地平をも飛び越えて進化を続けます。バルカン半島へとたどり着いた彼のイマジネーションは、バルカン音楽とエレクトロニカ、そしてブラストビートを結びつけ異形のエモーションを創出します。
音楽も多様なら舞台に上がる楽器の種類も実に多様。アコーディオンにサックス、フルート、そして楽曲の後半にはニンテンドーの実機を使用したチップチューン8bitサウンドまで登場するのですから、インタビューで “No Limits, No Boundaries” と断言するのも頷けますね。何より、今回の作品では全ての楽器が、サンプルではなく実際にプレイされており、その繊細かつオーガニックなサウンドはアルバムのリアリティーを飛躍的に高めていると同時に、作品のディレクションさえ以前よりソリッドにフォーカス成し得ていると感じました。アコースティック楽器とエレクトロニカサウンドのシュールなコントラストはアルバムの特筆すべき場面の一つでしょうね。
ムーブメントとしての djent が終焉を迎えシーンに定着した中で、Igorrr の”Savage” と “Sinusoid” を融合させる時代も空間も超越したユーフォリアは EDM や hip-hop が席巻する現在の音楽シーンだからこそ、新たなトレンドとしてモダンメタルをさらに前進させる可能性を多分に孕んでいます。インタビューでも語ってくれた通り、少なくともこのジャンルは未だに進化を続けているのですから。最後に、CATTLE DECAPITATION の Travis Ryan が3曲で無慈悲なグロウルを披露し、作品の “Savage” をより際立たせていることを付け加えておきましょう。
今回弊誌では、Gautier Serre にインタビューを行うことが出来ました。ほとんど多様性とコントラストについてしか言及しない Marunouchi Muzik Magazine ですから当然この作品こそ2017年上半期の最重要アルバムだと断言いたします。どうぞ!!

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Igorrr “SAVAGE SINUSOID” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【FULL OF HELL : TRUMPETING ECSTASY】JAPAN TOUR SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH SPENCER & DYLAN OF FULL OF HELL !!

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Maryland / Pennsylvania Quartet, Full OF Hell Has Just Released The Newest Album “Trumpeting Ecstasy”!! Diverse, But More Into Extreme Metal Realms!

DISC REVIEW “TRUMPETING ECSTASY”

メリーランド、ペンシルベニアのカルテット、破壊者 FULL OF HELL がフルアルバムとしては2013年の “Rudiments of Mutilation” 以来となる新作 “Trumpeting Ecstasy” をリリースしました!!日本が誇るノイズゴッド MERZBOW, アヴァンギャルドノイズデュオ THE BODY とのコラボレート、さらには NAILS, PSYWARFARE とのスプリットを血肉としてリリースした作品は、要となる自身のルーツを軸としつつ、同時にエクストリームミュージックの領域を一際押し広げる重要なレコードとなりました。
CODE ORANGE, 日本の ENDON と並んで FULL OF HELL はハードコアとノイズ要素を融合させるアプローチの先端に立つアーティスト。もはやハードコアの大家となった感のある CONVERGE の Kurt Ballou が斬新なその三者全ての新作を手がけることとなったのも偶然ではないでしょう。
実験的な作風にシフトするかとも思われた “Trumpeting Ecstasy” は、意外にもストレートな楽曲が軸となり押し寄せる暗く激しい11曲23分となりました。インタビューにもあるように、サウンド、リフワークなど、確かにバンドはよりメタルの領域に接近したようにも思えますし、楽曲が”密着”していると語るのも頷けます。
しかし、勿論彼らの野心が一所に留まるはずもなく、レコードは同時にパワーバイオレンス、ノイズ、スラッジ、インダストリアルといった多様なアイデアを見事に昇華しコンテンポラリーなブルータリティーを散りばめたハイブリッドなエクストリームミュージックとして仕上がったのです。
“木々も鳥たちも悲しみに満ちている。彼らは歌っているんじゃない。ただ悲鳴をあげているんだ。” ニュージャーマンシネマの巨匠 Werner Herzog の言葉で幕を開けるアルバムオープナー “Deluminate” は文字通り世界の悲惨さ、絶望感の象徴です。不協和音をスクラッチする悪夢のデスメタルライクなリフワークと、疾走する巧みで手数の多い狂気のドラミングは無慈悲にもリスナーに地獄絵図を投下して行きます。”人間は地球の顔に出来た膿だ” と喉が張り裂けるほどシャウトする Dylan の苦痛を伴う憤怒は即ちハードコアのリアルで、聴く者に畏敬の念さえ感じさせますね。
禍々しい何かを引き摺るようにスローダウンする、スラッジーな “Gnawed Flesh” はまさに FULL OF HELL の真骨頂。脱退したベーシスト Brandon Brown のデモニックなガテラルは、Dylan の鋭いスクリームと凶悪なインタープレイを繰り広げバンドの顔となっていましたが、新たに加わった Sam DiGristine もしっかりとその伝統を引き継ぎ、自身のハラワタに宿した魑魅魍魎を地の底でスラッジパートに全てぶつけています。
さらに “Crawling Back to God” には ex-ISIS の Aaron Turner が、”At the Cauldron’s Bottom” には CONVERGE の Nate Newton がそれぞれボーカルでゲスト参加し、様々な声を得た作品は実に多様な色を加えているのです。
GRIMES のレーベルに所属するカナダのアーティスト Nicole Dollanganger の声を得たタイトルトラック “Trumpeting Ecstasy” はバンドが経てきたコラボレートの旅が結実した成果だと言えるでしょう。THE BODY の Lee Buford が生み出すビートと Nicole の天上の歌声は、不穏なノイズを宿した惨忍なバンドの暴虐と溶け合うこともなく、奇妙な二分法のまま冷やかなまでに無機質に進行して行きます。
インタビューで Dylan は、”Trumpeting Ecstacy” というタイトルが「他人の不幸は蜜の味」といった意味を持つと語ってくれましたが、この純美と非業、”喜び”と”悲しみ”の奇妙な共存はそのまま彼の語る人間の心の最も醜く陰湿な場所を映し出しているように感じました。
今回弊誌では、フロントマン Dylan とギタリスト Spencer にインタビューを行うことが出来ました!8月には THE BODY, FRIENDSHIP と回る日本ツアーも決定しています。どうぞ!!

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FULL OF HELL “TRUMPETING ECSTASY” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【ULCERATE : SHRINES OF PARALYSIS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAMIE SAINT MERAT OF ULCERATE !!

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Transcend Death Metal Trio From New Zealand, Ulcerate Has Just Released Modern Death Metal Art “Shrines of Paralysis” !!

DISC REVIEW “SHRINES OF PARALYSIS”

ニュージーランドから虎視眈々と世界を狙う、異能のトリオ ULCERATE が”宇宙的恐怖”を内包した新たな傑作 “Shrines of Paralysis” をリリースしました!!Death Metal を超越した “Transcend Death Metal” はシーンに驚きと賞賛をもって迎えられています。
Death Metal は時代と共に様々な影響を加え、枝葉が伸びるかの如く進化を続けてきました。昨今では、THE FACELESS を代表とする複雑でプログレッシブな所謂テクデス、FALLUJAH のようにヘヴィネスと美麗なアトモスフィアを兼ね備えた理知的な新鋭、アヴァンギャルドに突き進む GORGUTS など様々な個性が存在しています。ある意味洗練され拡散しすぎた感のあるシーンにULCERATE が提示しているのは、原点回帰からの進化です。
勿論、Death Metal 創世記の怪物たちが目指したのは、究極のブルータリティー、恐怖や狂気を脳髄へと突きつけるサウンドでした。ULCERATE はまず、ジャンルの原点とも言える場所へと立ち返り、ドロドロとしたラブクラフト的、もしくは和製ホラー的な世界観で “Shrines of Paralysis” を覆ってみせました。
プロダクションやラウドネス、そして耳を傾けるだけで伝わる底知れぬ恐怖。地を這うようなグロウルに奈落の底の重低音。確かにここには、Death Metal の創世記を彩った古の怪物たちの息遣いが感じられます。しかし、彼らはただ過去を再現しているに留まりません。
この”狂気のアンセム”とも言える作品は、アルバムを通して混沌と真理、黄泉と現世、スロウとファスト、ヘヴィネスとアトモスフィアを行き来します。その独特な対比を駆使した表現方法は、確実に世に溢れる “Technical Death Metal” とは一線を画しており、メタルシーンに新たなダイナミズムをもたらしていると言えるでしょう。
アルバムオープナー、”Abrogation” はまさに ULCERATE のやり方を示した楽曲です。個性的な奇妙に捻れ歪んだたリフワークに、混沌としたコンポジション。次元をワープするように繰り出されるテンポチェンジ。まるでストレートで洗練された”衛生的な”現代の Tech-Death を嘲笑うかのように、ブラストとドゥームの狭間で蠢き変化する”人間よりも遥かに昔から存在するものたち”は、禍々しくも妖麗で、その奇観、速と遅のダイナミズムにリスナーは吸い寄せられ一瞬たりとも目を逸らすことは不可能です。
続く “Yield to Naught” では ULCERATE の Death Metal を”Transcend”超越した部分がより強調されています。激烈な Death Metal パート、呪詛を湛えた Doom パートと対比するように、中間部にはアトモスフェリックな静寂と耽美なメロディーが用意されており、それはまるでホラー映画のお約束、惨劇の前の美女シャワーのように恐怖を増幅しています。前作 “Vermis” から進化を遂げたこのコントラストはアルバムを象徴する重要なポイントとなっていますね。
作品にそういったダイナミズムやコントラストを具現化しているのは、トリオならではのタイトなインタープレイ、とりわけメインコンポーザーでありドラマー Jamie Saint Merat のリード楽器のようなドラムスであることは明らかです。
偉大なジャズマエストロのようにアーティキュレーションやフレージングを意識した、3秒ごとに表情を変え続けるクリエイティブでカラフルなドラミングは、実にエキサイティングで魅力的。フレキシブルに Stop & Go、Loud & Quiet を司る Jamie はまさにバンドの原動力と言えるでしょう。”There Are No Saviours” の中間部で聴けるジャズとさえ言えそうな、幽玄でプログレッシブなパートはこのトリオの底知れぬ実力を物語っていますね。
今回弊誌ではその Jamie にインタビューを行うことが出来ました。今年の年間ベストメタルアルバムにも多く選出されている傑作をぜひ味わってみてくださいね。どうぞ!!

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ULCERATE “SHRINES OF PARALYSIS” : 9.9/10

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WORLD PREMIERE : “WONDERING TIMES” 【GORGUTS】


WORLD PREMIERE: “WONDERING TIMES” OF GORGUTS

The new GORGUTS EP entitled “Pleiades’ Dust” set to be released on 5/13!!And it consists out of a single narrative song with a special concept based around the medieval ‘House of Wisdome’ in the city of Baghdad !!

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カナダが生んでしまった異形のデスメタル集団 GORGUTS。2013年に12年ぶりの復活作にして傑作 “COLORED SANDS” 以来の新作 EP “PLEIADES’ DUST” を5/13に SEASON OF MIST よりリリースします。なんと33分1曲のみを収録するという作品はまたしても野心に満ち溢れてチャレンジングですね。今回のテーマは中世バグダッドに存在した”知恵の館” こと “HOUSE OF WISDOM”。ヨーロッパがまだ夜明け前だったこの時代に、様々な科学的発見がこの中東の図書館を通じて成されていたのです。メンバーは奇才 Luc Lemay を中心としてJohn Longstreath (ORIGIN, SKINLESS), Colin Marston (KRALLICE, BEHOLD THE ARCTOPUS) Kevin Hufnagel (DYSRHYTHMIA)というオールスター軍団。彼らが生み出す一癖も二癖もある暗黒の実験メタルに酔いしれましょう。今回弊誌では、楽曲から “Wandering Times” というチャプターを世界初公開致します!!

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【LUC LEMAY TALKS ABOUT “PLEIADES’ DUST”】

“As our EP ‘Pleiades’ Dust’ consists out of a single long narrative composition, it was not written with the intention of being edited in segments. As the storyline proceeds in chapters though, I was able to isolated this part called ‘Wandering Times’ which will give the listener a good idea of the composition aesthetics which are present throughout the whole piece. The lyrics tell the story of the ‘House of Wisdom’, which is referring to a library that was based in Baghdad sometime between the 8th and the 13th century. There much of the intellectual activity of the Middle Age took place while Europe was stuck in the Dark ages after the fall of Rome. Many scientific discoveries were made at the time such as algebra, optics, astronomy and many more… Without the translation movement that brought this library to life, we would have never had the Renaissance that we know. It is a story about curiosity, beautiful minds and sadly, about how man destroys great discoveries and achievements.”

新作 “PLEIADES’ DUST” は一曲の長い楽曲なんだ。分割するように書かれてはいないんだよ。だけどストーリーにチャプターは存在し、この章を “Wandering Times”と呼んでいるんだ。歌詞は “知恵の館” について。バグダッドに8~13世紀に存在した図書館のことだよ。ローマ帝国後、闇の時代を迎えていたヨーロッパに代わり沢山の知的な活動が行われていたんだよ。代数学、光学、天文学と様々な科学的発見があったんだ。この図書館がなければルネッサンスも起こらなかっただろうね。好奇心、美しい心、そして悲しいことに偉大な発見や成果を壊す過程についての話だよ。

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