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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【LITURGY : H.A.Q.Q.】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH HUNTER HUNT-HENDRIX OF LITURGY !!

“I Sincerely Think Philosophy Is a Very Important Tool For Having a Thoughtful Political Stance. People Have Such Strong Opinions That Have No Real Grounding, And I Think Even a Little Bit Of Critique Or Effort To Understand The Nature Of Reality And Of History Is Important In Deciding What It Would Mean For The World To Be a Better Place.”

DISC REVIEW “H.A.Q.Q.”

「”The Ark Work” は “欠陥のあるレコード” だったことに同意するよ。それが僕のフェイバリットレコードかもしれないとしてもね。まあ極端でラディカルなアルバムだったね。」
“定められた” 宗教的典礼、礼拝をバンド名に掲げる LITURGY は、皮肉にも自らが属するブラックメタル世界において完全なる異端です。
セオリーとフィロソフィーで超越するブラックメタルを解析したマニフェスト “Transcendental Black Metal” を聖書として創造した前作 “The Ark Work” は、その一線を越えた桁外れの実験性で賛否両論を一身に浴びた怪物でした。それを制約のない野心と褒め称える信者がいる一方で、アイデアの乱雑なコラージュと批判的な目を向けるリスナーも少なくないように思えます。
確かな事象は、哲音者 Hunter Hunt-Hendrix がバンドの、もしかするとブラックメタルそのもののアプローチまで一新してしまったことでしょう。
かつて、狂熱と数学の対比をノイズで装飾したブラックメタルを信条とした LITURGY の音楽は、”The Ark Work” (DECAYED SUN RECORDS の詳細な分析記事) で原理主義者には耐え難いオーケストラアレンジメントとトリップホップの “超越的”、もしくは “合成的” な無機質とも言えるブラックメタルの極北、インディーの彼方へと向かいました。
何しろ、人生を変えたアルバムに 2Pac や APHEX TWIN を挙げる鬼才。歪みを抑えラップに接近したボーカルサウンドもブラックメタルの “パブリックエネミー” と目されるに充分な理由だったはずです。
「”Haelegen” とは思索的な未来都市の名前であり、資本主義を超えたマルクスの新たな生産モードのアイデア、ニーチェのユーバーメンシュ (超人) のアイデア、そしてアブラハム系宗教が持つ天国の王国のビジョンの融合のようなものなんだ。」
音楽的にも哲学的にも自身から切り離すことは出来ないと語りながらも、どこか Hunter Hunt-Hendrix はブラックメタルを自らのイデアルを世界へ発信する乗り物として利用している節があります。
「LITURGY の言語に新たな何かを追加した訳では全くないんだけど、これまで作成した LITURGY サウンドの中でも最高かつ最もハイクオリティーのレンダリング、表現だとは思うんだ。ただ良い作品にしたかっただけなんだよ。優れた作曲、優れたパフォーマンス、優れたレコーディング、特に何か目新しいことを望まないでね。」
故に “The Ark Work” のオーケストラルでグリッチーな実験性を多少なり受け継ぎながら、”Aesthethica” のマスマティカルな複雑性、日本の雅楽まで取り入れる多様性、ハードコアの魂、メタルに回帰した熱情とアグレッション、その全てを抱きしめた壮大なマスターワーク “H.A.Q.Q.” についてもどこか飄々としてそう分析してくれました。
“目新しいことを望まない”。実際、ノイズの実験とポストブラックの鋭き対比を雅楽とオーケストラで包み込む “HAJJ”、KRALLICE の領域にも接近するメランコリックかつ重量感溢れるハープメタル “VIRGINITY”、何より Steve Reich のミニマルワールドさえイメージさせる8分のベヒーモス “GOD OF LOVE” を聴けば LITURGY がファンの元へと帰って来た事は明らかでしょう。
ただしそれは Hunter の戦略かもしれません。あまつさえ、 彼は LITURGY のアルバム以上に熱意をつぎ込み、これからリリースする自身のソロメタルオペラ作品 “Origin of the Alimonies” への単なる入り口として “H.A.Q.Q.” を考えているようにさえ思えます。
「哲学は思慮深い政治的スタンスを持つための非常に重要なツールだと、僕は心から思うんだ。だって今の世の中、特定の強い意見を持つ人にしたって、大抵そこに本当の根拠はないんだからね。」
もしかすると、Hunter Hunt-Hendrix の原動力は全てこの言葉に集約するのかもしれませんね。つまり彼は音楽、芸術、哲学の三原則を新たな三位一体とした、資本主義を超越する新世界の到来を啓蒙も厭わないほどに心から願っているのです。
「音楽コミュニティは一般的に反知的だから、アルバムの表紙に哲学システムを載せることで少なくともリスナーにそれを見てもらい、それが何を意味するのか気にして欲しかったんだ。」
世界を少しでもより良い場所へと導きたい。その想いは、アートワークのダイアグラムから始まり徹頭徹尾、”超越的な神” であり現実世界の活動原理である “H.A.Q.Q.” と、それを理想として生まれ来る未来都市 “Haelegen” の実現へと注がれています。
「ほとんどの人は、意志、想像力、理解の間に根本的な違いがあることには同意するけれど、誰もその理由を知らないんだ。実はこれら3つは音楽、芸術、哲学にそのままマッピングすることができて、この分野を発展させれば歴史的な運命の道筋を作ることが出来るんじゃないかな。」
“H.A.Q.Q.”、いや LITURGY でさえ、Hunter Hunt-Hendrix が標榜するより良い世界 “Haelegen” への道筋でしかありません。今回弊誌では、メタル世界随一の哲学者にインタビューを行うことが出来ました。
「僕は Twitter や YouTube を介して人々との繋がりをますます楽しんでいて、影響力の低下している大手メディアにサービスを提供しようとするのではなく、直接関与してくれる人々や関心を持っているメデイアのために、自主的に音楽を製作することにこそ完全に満足しているよ。」長年バンドを支えたモンスタードラマー Greg Fox の不在を差し引いても圧倒的なアルバムだと感じます。どうぞ!!

LITURGY “H.A.Q.Q.” : 10/10

INTERVIEW WITH HUNTER HUNT-HENDRIX

Q1: First of all, “H.A.Q.Q.” is really surprising release! And what a incredible record! You know, Liturgy is always a surprised band, but what made you release it all at once?

【HUNTER】: There were a few reasons. I really wanted to get it out quickly, because we were so happy with it, and I also wanted to have it in the air during the live-action debut of my opera Origin of the Alimonies, which took place this month. I think it’s kind of interesting to produce content for very different types of cultural platforms simultaneously, which has a way of forcing different audiences to encounter one another, if that makes sense. The only reason it was a ‘surprise’ was that my manager was fighting really hard against us releasing it this year, and had momentarily convinced me not to, but then I kind of freaked out and fired him and did it anyway – if we’d stuck with the original plan we would have released Pasaqalia as a second single and announced it a few weeks in advance. We released it without a label or any real support from traditional music media, which was perhaps unwise, but I think the world is really changing and it’s not clear that like giving The Wire three months to schedule an article or whatever moves the needle very much. I’m more and more enjoying connecting with people via twitter and youtube, and am perfectly happy to make music autonomously for people who are engaged directly and any press that takes interest, rather than trying to serve a media machine that’s kind of declining anyway.

Q1: “H.A.Q.Q.” はサプライズリリースとなりましたね?

【HUNTER】: それにはいくつか理由がある。まずアルバムに満足していたから早くリリースしたかったというのがあるね。それに今月行われた僕のオペラ “Origin of the Alimonies” ライブデビューの際に、流したかったというのもあるんだ。
非常に異なるタイプの文化的プラットフォームコンテンツを同時に制作することは、興味深いことだと思うんだ。異なるオーディエンスに交流を生むことが出来るからね。
ただ、”サプライズ” となった唯一の理由は、僕のマネージャーが今年 “H.A.Q.Q” をリリースすることに強く反対し、そうしないよう僕を説得していたからなんだ。それで僕もイライラして彼を解雇し、とにかくリリースに漕ぎつけたのさ。当初の計画では、”Pasaqalia” をセカンドシングルとしてリリースし、数週間前にアルバム発売を発表するはずだったんだけど。
結果としてレーベルや権威ある音楽メディアからのサポートなしでリリースすることとなった。それはおそらく賢明ではなかったけど、世界は本当に変化しているから、”The Wire” に3か月を与えて記事を書いてもらわなければ大きな変化を起こせないとも思わないんだ。
僕は Twitter や YouTube を介して人々との繋がりをますます楽しんでいて、影響力の低下している大手メディアにサービスを提供しようとするのではなく、直接関与してくれる人々や関心を持っているメディアのために、自主的に音楽を製作することにこそ完全に満足しているよ。

Q2: Regarding surprise, it seems Hunter-Hunt Hendrix will release the soundtrack to Hunter’s Origin of the Alimonies metal opera soon, right? What kind of record will it be?

【HUNTER】: The compositional style is close to Liturgy, its full of the burst beat and general tremolo and so on, but the overall shape of it is a lot closer to classical music. Lots of silence, rarely a steady meter, huge crescendos that are synced to speech patterns, microtonal improvisation and so on. I worked way, way, harder composing the music to Origin than the music for H.A.Q.Q., and I’m sure the audience will be much, much smaller, because it is a lot less accessible. A big portion of it is an arrangement and interpretation of an organ piece by Olivier Messiaen. I’m not sure if we’ll actually release the music as soon as we said we would, because there’s a film that goes with it and I”m not sure the film is quite ready. The opera tells the story of why the world was born, and its story is meant to be the aesthetic core to the philosophical system that I’ve been developing along with Liturgy. I’ve always wanted this project to have the character of total art, and this year we’re finally starting to deliver on that a little more concretely. Totally happy for anyone to just want to listen to the Liturgy album and enjoy it for the music, but I also want it to potentially be a window into this larger world.

Q2: サプライズと言えば、あなたのメタルオペラ作品 “Origin of the Alimonies” も近々リリースされるそうですね?どういった作品になりそうですか?

【HUNTER】: 作曲スタイルは LITURGY に近いね。”Burst beat” (彼らはブラストビートをより重量感を湛えたバーストビートと表現する) や典型的なトレモロがいっぱいだけど、ただ全体的な形はクラシック音楽にずっと近いんだ。多くの静寂、緩急の妙、セリフのパターンに同期する巨大なクレッシェンド、マイクロトーナルの即興演奏といった部分でね。
僕は “H.A.Q.Q” の音楽よりも、”Origin of the Alimonies” の作曲にとても、とてもハードに取り組んだんだ。その大部分は、オリヴィエ・メシアン (フランスの現代音楽作曲家、オルガニスト) によるオルガン作品のアレンジと解釈だったね。
とは言え僕たちが宣言したように、実際すぐにこのアルバムをリリースするかどうかは分からないんだ。この作品は映画のサウンドトラックで、その映画の準備が完璧に出来ているか分からないからね。
このオペラは世界がなぜ生まれたかを伝え、そのストーリーは僕が LITURGY と共に創造してきた哲学的システムの審美的コアとなることを意図しているんだ。つまり、ただ LITURGY のアルバムを聴いて音楽を楽しんでくれるのもとても嬉しいんだけど、同時に LITURGY のアルバムがこの “Origin of the Alimonies” という大きな世界への窓になってくれれば良いね。

Q3: “H.A.Q.Q.” stand for “Haelegen above Quality and Quantity”, right? You posted “Humanity is just the mask that Haelegen is currently wearing” on twitter before and of course, there was a song “Haelegen” in “The Ark Work”. So, it seems “Haelegen” is one of the big theme of Liturgy. Do you agree that?

【HUNTER】: Yeah I also have a Discord server called Haelegen now. It’s the name of a speculative future city, sort of a fusion Marx’s idea of a new mode of production beyond capitalism, Nietzsche’s idea of the Ubermensch, and the Abrahamic vision of the kingdom of heaven. If the opera Origin of the Alimonies is about the beginning of the world, Haelegen is the end of the world, basically. H.A.Q.Q. isn’t quite the same has Haelegen the city; the latter is an ideal that is modeled on the former, which is basically a transcendent God, an active principle that is generating the world we know and experience. There’s a system of archetypal characters and a theory of history embedded in the opera and in Liturgy albums. Basically the story of the opera is about two divine principles OIOION and SHEYMN that are torn apart by their own traumatizing love for one another, so form and matter appear as barriers to protect them from each other while also providing limited access, more and more over time as the divine principles are more able to handle one another. Haelegen is the moment when, at the end of world, history, OIOION and SHEYMN are able to be united while still differentiated from one another.

Q3: “H.A.Q.Q.” とは “Haelegen above Quality and Quantity” を意味するそうですね?
“The Ark Work” には “Haelegen” という楽曲が収録されていましたし、あなたの Twitter アカウントでもこの言葉はしばしば見かけます。

【HUNTER】: そうだね、僕は今 “Haelegen” って Discord サーバーを持っているんだ。それは思索的な未来都市の名前であり、資本主義を超えたマルクスの新たな生産モードのアイデア、ニーチェのユーバーメンシュ (超人) のアイデア、そしてアブラハム系宗教が持つ天国の王国のビジョンの融合のようなものなんだ。
オペラ “Origin of the Alimonies” が世界の始まりについてならば、基本的には、”Haelegen” は世界の終わりについてだよ。”H.A.Q.Q.” は 都市 “Haelegen” とまったく同じではないんだ。後者は前者をモデルにした理想。つまり “H.A.Q.Q.” とは基本的には超越的な神であり、僕たちが知り経験しているこの世界を生み出している活動的原理と言えるだろう。
オペラや LITURGY のアルバムには、典型的なキャラクターのシステムと歴史理論が組み込まれているんだ。基本的にオペラの物語は 、トラウマティックな愛によって引き裂かれた2つの神の原理 OIOION と SHEYMN について。そして “Haelegen” は世界の終わりに、OIOION と SHEYMN が互いに異なりながらも一つになる瞬間なんだ。

Q4: Also, the artwork of “H.A.Q.Q.” is also really unique. It looks like kind of an academic book, haha. It seems the artwork relate to your manifest “Transcendental Black Metal” . What does the artwork express?

【HUNTER】: The art is a diagram of my System of Transcendental Qabala, sort of a basic summary. It’s meant to be a philosophical system that has the scope and range of those of Hegel or Deleuze. Obviously I don’t claim to be a great thinker to the degree either of them are, but I am covering all the same topics as any original philosopher, and have a considered opinion on most of them at this point, as well as a way of tying them together. I’ve been developing the system on my arkwork.org website for a few years now. It traces a path of liberation from the consideration of the problem of good and evil (axiology) through a philosophical consideration of the nature of being and time, to a rational vision of the kingdom of heaven (eschatology). I sincerely think philosophy is a very important tool for having a thoughtful political stance. People have such strong opinions that have no real grounding, and I think even a little bit of critique or effort to understand the nature of reality and of history is important in deciding what it would mean for the world to be a better place. Music communities are typically so anti-intellectual, so I wanted to put the philosophy system on the cover of the album to really force people to at least see it and wonder what it is.

Q4: “H.A.Q.Q” のアートワークはまるで学術書のようで実にユニークです。あなたがかつて発表した “Transcendental Black Metal” と関連がありそうですが?

【HUNTER】: このアートは僕の超越的カバラ (ユダヤ教の伝統に基づいた創造論、終末論、メシア論を伴う神秘主義思想) のシステムのベーシックな部分を、要約してダイアグラムにしたものなんだ。それはヘーゲルやドゥルーズの視点とレンジを備えた哲学的システムとなるよう意図されているよ。
明らかに僕は彼らほど偉大な思想家ではないけれど、オリジナルな哲学者2人と同じトピック全てを扱っていて、2人を結ぶ考え抜かれた意見と方法論を持っているよ。僕は数年前から、arkwork.org のWebサイトでそのシステムを進化させて来たんだ。そのシステムは、善と悪の問題の考察(axiology)から存在と時間の性質の哲学的考察を通して、天国の合理的なビジョン(eschatology)までの解放の道を辿るものなんだよ。
哲学は思慮深い政治的スタンスを持つための非常に重要なツールだと、僕は心から思うんだ。だって今の世の中、特定の強い意見を持つ人にしたって、大抵そこに本当の根拠はないんだからね。現実と歴史の性質を理解するための少しの批判や努力も、それが世界がより良い場所になることを意味するかどうかを決めるのに重要だと思う。
音楽コミュニティは一般的に反知的だから、アルバムの表紙に哲学システムを載せることで、少なくともリスナーにそれを見てもらい、それが何を意味するのか気にして欲しかったんだ。

Q5: Perhaps, “The Ark Work” received pros and cons, mixed reviews. After that record, I feel “H.A.Q.Q” comes to have both mathematical complexity of “Aesthethica” and experimental spirit of “The Ark Work”. What’s your perspective about the musical direction of “H.A.Q.Q.”?

【HUNTER】: I agree that The Ark Work was a flawed record, even though it’s possibly my favorite, since it’s also so radical, and it was the one we worked the hardest on by far. I was also learning and developing brand new tools for composition as we were going, like I barely knew how to do digital production really. H.A.Q.Q. in my view doesn’t really add anything new to the Liturgy language, but it’s the best and most high-quality rendering of the Liturgy sound that we’ve produced. I just wanted to make it good. Good compositions, good performances, good recording, without being desperate to do something particularly new. It feels great to have built up this set of tools and skills and to just use them and enjoy that. The musicians playing on this record are so talented and skilled and such a joy to work with, the whole process has had this spirit of joy and fun that has honestly been lacking for every other Liturgy release.

Q5: 前作 “The Ark Work” は賛否両論が存在したレコードだったと思います。
そういった作品の次に位置する “H.A.Q.Q.” は、音楽的には、”The Ark Work” のグリッチーな実験性を多少なり受け継ぎながら、”Aesthethica” のマスマティカルな複雑性、メタルらしさも抱きしめた傑作に仕上がったと感じました。

【HUNTER】: “The Ark Work” は “欠陥のあるレコード” だったことに同意するよ。それが僕のフェイバリットレコードかもしれないとしてもね。まあ極端でラジカルなアルバムだったね。それに、デジタル制作を実際に行う方法をほとんど知らなかったから、そのために全く新しいツールを学び、開発していたこともあったしね。
“H.A.Q.Q.” は、僕の考えでは、LITURGY の言語に新たな何かを追加した訳では全くないんだけど、これまで作成した LITURGY サウンドの中でも最高かつ最もハイクオリティーのレンダリング、表現だとは思うんだ。ただ良い作品にしたかっただけなんだよ。優れた作曲、優れたパフォーマンス、優れたレコーディング、特に何か目新しいことを望まないでね。
そういった LITURGY のツールとスキルを構築し、それを使用してただ楽しめるのは素晴らしいことだよ。このレコードでプレイしたミュージシャンは非常に才能があり、熟練していて、共に働ける喜びもありしね。
逆に言えばこのレコードの全てのプロセスには、他の LITURGY のレコードには正直に欠けていたこの喜びと楽しみの精神がある訳さ。

Q6: As a Japanese, it was really surprised and pleased you mixed “Gagaku” elements in your music. How did you find Japanese “Gagaku” and take hichiriki & ryuteki in your music?

【HUNTER】: Yeah, I love gagaku. Not an expert at all, but a few years back I was introduced to the style and have listened to lots of recordings and performances. Its whole musical logic is so different from most of my influences in metal and classical, but it feels really resonant too because it touches on infinity and eternity in this way that is so emotional and yet so formal, so jarring and yet so calm, which is how people describe Liturgy too, though the materials are totally opposed. I though it would be interesting to try to combine the two, and it was quite difficult. We almost removed the gagaku production from HAJJ because it sounded so strange, but chose to just go with it.

Q6: 日本人として嬉しくもあり、驚きでもあったのが雅楽の導入です。

【HUNTER】: うん、雅楽は大好きだよ。エキスパートって訳では全くないんだけど、何年が前に紹介されて、それから沢山のレコードやパフォーマンスを堪能して来たんだ。
雅楽の音楽的なロジック全体は、これまで僕の影響の大半であるメタルやクラッシックとは非常に異なるんだけど、無限に永遠に感動を誘うという意味では、非常に共鳴しているように感じるね。
雅楽はとても感情的でありながらとてもフォーマルで、とても煩くありながらとても穏やかなんだ。 そういった完全に相対する要素の導入は LITURGY の真骨頂でもあるからね。
雅楽とメタルを組み合わせるのはとても面白いと思うけど、非常に難しくもあるね。実際、僕たちは”HAJJ” から雅楽の要素ををほとんど削除するところだったんだ。とても奇妙に聞こえたからね。だけど結局そのまま使用することにしたよ。

Q7: Musical diversity is of course, also, Liturgy mixes piano, harp, strings, percussion which exists normally outside metal realm. And for me, that’s really “Transcendental Black Metal”. But black metal is still center of your music even now, right? What’s the reason of that?

【HUNTER】: It would probably be a wiser branding choice to get rid of the black metal label, but I find it hard to. Partly it’s because the basic form almost always has the characteristic tremolo guitars, blast beats and high pitched screams as the end of the day. Another is that I find the place of black metal in the history of music to be really interesting and important, because it’s so contradictory – so connected to metal, punk, classical music, liturgical music, violence, spirituality, anti-modernism, philosophy. I feel like black metal has always been asking a question that still has not been answered.

Q7: 雅楽はもちろんですが、ピアノ、ハープ、ストリングス、パーカッションといった “アウトサイド・メタル” な楽器のシームレスな導入も、あなたが提唱するトランセンデンタルブラックメタルを象徴すると感じます。
とはいえ、それでもブラックメタルは LITURGY のコアとしてあり続けていますね?

【HUNTER】: うん、おそらくブラックメタルのラベルを取り除くのは賢明なブランディング戦略だろうけど、僕には難しいね。
その理由の1つは、ほとんどの場合、特徴的なトレモロギター、ブラストビート、高音のスクリームが結局は僕たちの音楽に含まれているから。
もう1つは、音楽の歴史におけるブラックメタルの場所は本当に面白くて重要だと思うからなんだ。なぜならブラックメタルは、メタル、パンク、クラシック、典礼音楽、暴力、スピリチュアリティ、アンチモダニズム、哲学なんかが非常に矛盾しながら繋がっているからなんだよ。
ブラックメタルは常に答えの出ない質問をし続けているように感じるね。

Q8: Art, music, thought. Could you tell us about the relationship between these three?

【HUNTER】: My theory is that music, drama and philosophy are elemental features of reality; they’re more real than the physical universe even, and we don’t yet know what either of them really is. I’m interested in the idea that they can and should be put into a productive relationship, or that doing this could be the generative principle of a new era for civilization. Specifically the idea is that as civilization’s productive force has expanded over the course of history, there have been three ternaries that have successively governed its superstructure, each more abstract than the last. The first was the Great Triad of nature mysticism which is described well by Rene Guenon. The second was the holy trinity of Abrahamic faiths, which began to tear civilization away from nature, pointing towards the scientific revolution. The currently reigning one is the capitalist trinity of industry, science and culture, which is liquidating culture and nature both. We can imagine a future trinity that would solve the problems capital is creating which taking advantage of the forces it is liberating, and this would have as its members music, drama and philosophy, liberated from the aesthetic sphere so as to become organizing principles of society itself. This would be the city Haelegen. All wildly speculative of course, but I think these things are worth thinking about. It’s also worth remembering that no one has a proven theory of history, no one knows why the arts exist. Most people agree there is a primal distinction between will, imagination and understanding, but no one knows why. I think these three can be mapped onto music, art and philosophy, and that the development of these disciplines can be made to trace an historical destiny.

Q8: 最後に、芸術、音楽、哲学のトライアングルについてお話ししていただけますか?

【HUNTER】: 僕の理論では、音楽、ドラマ、哲学は現実的な要素、特徴なんだ。それらは物理的な宇宙でさえよりも現実的であり、実際に何であるかはまだ分かっていないんだよ。
僕は、その3つが生産的な関係を築くこと、またそうすべきであるという考えが文明の新時代の生成原理になり得るという考えに興味があるね。具体的には、文明の生産力が歴史の中で拡大するにつれて、その上部構造を次々と支配する3つの三原則が登場するんだけど、それぞれが前のものよりも抽象的であるという考え方なんだけどね。
最初は、自然神秘主義の偉大なトライアドで、ルネ・ゲノンによってよく説明されているね。 2番目はアブラハム信仰の聖三位一体で、それは文明を自然から引き離し始め、科学革命を指し示したんだ。現在支配しているのは、産業、科学、文化の資本主義三位一体であり、文化と自然の両方を清算しているね。
僕たちは、資本主義が生み出している問題を解決する未来の三位一体を想像することが出来るはずだよ。資本主義が解放する力を利用し、そのメンバーとして音楽、ドラマ、哲学を戴き、社会の組織化の原則となるように美的領域からの解放を目指す。これが都市 “Haelegen” だよ。
もちろん乱暴で推論でしかないけど、考慮する価値はあると思うよ。それに、誰も歴史の実証を成し遂げていないこと、誰も芸術が存在する理由を知らないことも覚えておく価値があるだろうな。
ほとんどの人は、意志、想像力、理解の間に根本的な違いがあることには同意するけれど、誰もその理由を知らないんだ。実はこれら3つは音楽、芸術、哲学にそのままマッピングすることができて、この分野を発展させれば歴史的な運命の道筋を作ることが出来るんじゃないかな。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED HUNTER HUNT-HENDRIX’S LIFE

SMASHING PUNPKINS “SIAMESE DREAM”

2PAC “ALL EYEZ ON ME”

CONVERGE “JANE DOE”

APHEX TWIN “DRUKQS”

EMPEROR “IN THE NIGHTSIDE ECLIPSE”

MESSAGE FOR JAPAN

We’ve never toured in Japan and we’d like to!

日本はツアーしたことがないんだよ。だからぜひ行きたいね!

HUNTER HUNT-HENDRIX

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【XOTH : INTERDIMENSIONAL INVOCATIONS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH XOTH !!

“We All Were Highly Influenced By Video Game Soundtracks Growing Up. Those Are Some Of The Best Compositions Ever Created In My Opinion.”

DISC REVIEW “INTERDIMENSIONAL INVOCATIONS”

「全ての偉大なメタルのサブジャンルは明らかだけど、それ以外にもプログ、映画やゲームのサウンドトラック、古き良きロックンロールにパンク、ジャズフュージョン、カントリーのチキンピッキングでさえね!ただ愛する、様々な音楽をミックスしているんだよ。」
HORRENDOUS, TOMB MOLD, GATECREEPER を中心とする OSDM、オールドスクールデスメタル復興の波。REVOCATION, RIVERS OF NIHIL, VEKTOR が牽引するモダンな Tech-death の潮流。
デスメタルの世界は現在、2つの新興勢力が切磋琢磨を重ねつつネクストステージへとジャンルを誘っています。彼らに共通する理念は、偉大な過去の遺産へユニークな独自のフレイバーを注ぎ込み、創造性のレコンキスタを果たしている点でしょう。
そういった観点からシアトルの新鋭 XOTH を眺めれば、彼らが両軍の長所を御旗に掲げる勇敢な十字軍にも見えてきます。
「DEATH は間違いなく、僕たちに多大な影響をもたらしているね。彼らは耳と精神を等しく惹きつけるバンドの素晴らしい例だと思うんだ。」
オープナー “Casting the Sigil” が示すように、XOTH の最新作 “Interdimensional Invocations” には、知性とテクニック、そしてイヤーキャンディーに残虐性を併せ持った DEATH のレガシーが確かに眠っています。
ウルトラメロディックで、ジャズの波動を享受するエクストリームメタル。同時に VOIVOD や CYNIC にも滞留する “耳と精神を惹きつける” 飽くなき SF への挑戦、音楽のフラスコにしても間違いなく XOTH の血肉であるはずです。
「僕の意見だけど、ゲーム音楽の中には、これまでの音楽でも最高のコンポジションを誇るものがあるよ。全員気に入っているのは、オールドスクールなゲームのサントラさ。例えば、魂斗羅、悪魔城ドラキュラ、ロックマン、忍者龍剣伝、ソニック、マザー、スーパードンキーコング、ゼルダの伝説なんかだね。」
とは言え、XOTH の中にも他の新興勢力と同様に際立ったユニークスキルが備わっています。ゲーム/映画音楽のサウンドトラックからのインスピレーションはその筆頭格でしょう。
“Mountain Machines” のファストでファンタジックな未来志向のギターハーモニーは、”F-Zero metal” と称される XOTH の真骨頂。”Plague Revival 20XX” のディストピアな世界観ももちろん、忍者龍剣伝や魂斗羅のイメージとも繋がります。
同時に、”シュレッド” をバンドの心臓に据えた理由にも思えるミュージシャンシップの最高峰 “Back to the Jungle”、VOIVOD のカオスとメロデスのパトスを抱きしめる宇宙誘拐譚 “Unsenn Abductor”、THIN LIZZY のデスメタル “Haruspex”、トレモロやブラストを引き連れた “The Ghost Hand of God” のブラッケンドなアグレッション、そして7分のプログエピック “Melted Face of the Soul” まで、メタル/ノンメタル入り乱れた配合の妙に構築されるコズミックかつミステリアス、マルチディメンショナルで時をかける SF ワールドは XOTH をデスメタルのニューフロンティアへ導くに充分のインパクトを備えているのです。
SUFFOCATION, OBITUARY から THE BLACK DAHLIA MURDER まで手がける Joe Cincotta のスタジオも、過去と未来を繋ぐデスメタルのタイムリープに相応しき地の利となりました。
今回弊誌では、XOTH のメンバー全員にインタビューを行うことが出来ました。「特定のスタイルにきちんと収まらないバンドは最初、リスナーを見つけるのが難しいんだ。だけどね、その時期を超えれば、ユニークな方法論を創造し多くのリスナーを獲得するチャンスが巡ってくるんだよ。」 この曲者感。次の MASTODON を狙える逸材に違いありません。どうぞ!!

XOTH “INTERDIMENSIONAL INVOCATIONS” : 9.9/10

INTERVIEW WITH XOTH

Q1: This is the first interview with you. So, at first, could you tell us about the band and yourself? What kind of music were you listening to, when you were growing up?

【XOTH】: Even though we formed in Seattle, we all grew up in different places: Tyler is from Boise Idaho, Woody is from Salt Lake City Utah, Jeremy is from Long Island New York, and Ben grew up in London, Connecticut, and California. We all grew up listening to metal, but also other genres including punk, progressive, jazz, 80s, and video game music.

Q1: 本誌初登場です!まずはバンドの音楽的なバックグラウンドからお話ししていただけますか?

【XOTH】: バンドはシアトルで結成されたんだけど、全員が別々の場所で育ったんだ。Tyler はアイダホのボイシ、Woody はユタのソルトレイクシティー、Jeremy はニューヨークのロングアイランド、Ben はロンドンとコネチカットとカリフォルニア。
みんなメタルを聴いて育ったけど、パンクやプログレッシブ、ジャズ、80’s それにゲーム音楽といった他のジャンルも聴いていたね。

Q2: How did Xoth come to be? What was the initial musical plan of the band?

【JEREMY】: Woody and I filled in for the last show of Tyler’s old band (Phalgeron). The show was great and we all worked well together, so we started Xoth. We didn’t have a plan in the beginning and it took us a while to figure out what we wanted to play. We just knew that we were committed musicians who wanted to do something challenging and different. Ben came along shortly after, and the rest is history.

Q2: どういった経緯で XOTH は結成されたのですか?

【JEREMY】: Woody と僕は、Tyler がやっていた PHALGERON ってバンドの最期のライブでヘルプでプレイしたんだ。素晴らしいショウになって、お互い実に良い感じだったから XOTH を始めることにしたのさ。
最初は計画なんてなかったよ。でもしばらくすると、僕たちのやりたい音楽が分かってきたんだ。当初はチャレンジングで普通とは異なる音楽を求めているってことしか分かっていなかったんだけどね。Ben がすぐに加わって体制が整ったね。

Q3: It seems “Shred” is one of the most essential part of Xoth. Regarding shred and technique, what musicians were your “teacher”?
Q3: “シュレッド” という理念は XOTH にとって欠かせない要素の一つですよね?
テクニックの観点から、音楽的な “教師” をそれぞれ挙げていただけますか?

【WOODY】: Michael Romeo, Andy LaRocque, Rick Graham, Mattias IA Eklundh

【TYLER】: Andy LaRocque, Al DiMeola, Shawn Lane, Rick Graham, Bill Steer, Paul Gilbert

【JEREMY】: Pete Sandoval, Gene Hoglan, Richard Christy, Trym Torson

【BEN】: Frank Zappa, Larry Graham, Victor Bailey, Jaco Pastorius, Ice-T

Q4: You are often compared with legendary Death. Actually, when I first listen to Xoth, I reminded them (and a little Voivod). What’s Death and Chuck Schuldiner to you?

【JEREMY】: Death is obviously a huge influence on us. They’re a great example of a band that appeals to the ears and the mind equally. Great songwriting, great playing, technical enough to challenge the listener, catchy enough to be memorable.

Q4: DEATH との比較はよく耳にしますし、実際私も XOTH を初めて聴いた時、彼らの音楽を感じる部分がありました。

【JEREMY】: DEATH は間違いなく、僕たちに多大な影響をもたらしているね。彼らは耳と精神を等しく惹きつけるバンドの素晴らしい例だと思うんだ。
偉大なソングライティング、優れた演奏、リスナーを焚きつけるに充分なテクニック、そして記憶に残るキャッチーさ全てを備えていたね。

Q5: Also, sometimes I remind video game soundtracks from your music. Actually, Japan has one of the biggest video game or animation culture in the world. Are you interested in our culture?

【TYLER】: Very interested! We all were highly influenced by video game soundtracks growing up. Those are some of the best compositions ever created in my opinion. We love all of the old school games and soundtracks. Some of our favorite series/soundtracks are Contra, Castlevania, Mega Man, Ninja Gaiden, Sonic, Mother (Earthbound in the USA), Donkey Kong Country (even though that’s British, can’t leave it out), and The Legend of Zelda. My favorite modern series is Dark Souls by far.

【BEN】: The best manga that I’ve read is definitely REAL and Beck (Mongolian Chop Squad). Those mangas inspired me on a personal level to push past certain challenges I have had in life, and to appreciate the pain that life sometimes gives you. No pain no gain!

Q5: 同時に感じたのは、ゲーム音楽からの影響です。日本は世界でも特有のアニメ/ゲーム文化を有していますが、日本文化に興味はおありですか?

【TYLER】: もちろん!とても興味があるよ!だってバンド全員がゲームのサウンドトラックを聴いて育ったんだからね。僕の意見だけど、ゲーム音楽の中には、これまでの音楽でも最高のコンポジションを誇るものがあるよ。
全員気に入っているのは、オールドスクールなゲームのサントラさ。例えば、魂斗羅、悪魔城ドラキュラ、ロックマン、忍者龍剣伝、ソニック、マザー、スーパードンキーコング、ゼルダの伝説なんかだね。モダンなゲームシリーズだと、ダークソウルがお気に入りさ。

【BEN】: 僕が読んだ中で最高の漫画は、間違いなくリアルと BECK だね。この2つにはとてもインスパイアされているよ。
個人的に、過去の人生においてチャレンジを後押ししてくれたんだ。それに、人生で時に降りかかる苦痛も受け入れられるようになったね。痛みなしで得るものなしさ。

Q6: I really love the artwork of “Interdimensional Invocations”. Does it relate to album concept or lyrical themes?

【TYLER】: I would say that it relates to the album, lyrical themes, and sound as a whole. No one song in particular. We really wanted a combination of ancient earthly structures, horrific god-like extraterrestrial beings, and some alien architecture. Mark Richards of Heavy Hand Illustration really nailed it!

Q6: そのアニメ/ゲームのディストピア感が宿る最新作 “Interdimensional Invocations” のアートワークも素晴らしいですね。作品のコンセプトと関連しているのでしょうか?

【TYLER】: そうだね、歌詞のテーマからサウンドまでアルバム全体と関連しているよ。特にこの1曲って訳じゃなくてね。
僕たちは古代の地上構造から、恐ろしい神のような地球外生物、そして異星人が建築したいくつかの遺物までを融合させて扱いたいんだよ。Mark Richards の素晴らしい仕事で実現したアートワークさ。

Q7: Thrash and Death metal is definitely center of your music. But also, Dissection like black metal and King Crimson like progressive aspect becomes great accent in the record. Really eclectic! So, regarding genre, it seems we can’t explain your music by only Thrash or Tech-death label, right?

【JEREMY】: Definitely not! We’re a hybrid of many different styles. Death, Black, Thrash, Prog, and so on.

【TYLER】: We really keep our influences open and do our best to incorporate whatever we are feeling at the time. Obviously all of the great metal subgenres, but also prog, film/game soundtracks, good ol’ fashion rock and roll, punk, jazz fusion, and even some chicken pickin’ country sometimes! We just love music and all the different things it has to offer.

Q7: スラッシュとデスメタルは確かに XOTH のコアとして存在しますが、ゲーム音楽はもちろん、DISSECTION のようなブラックメタルや KING CRIMSON のようなプログロックの要素も混ざり合い実にエクレクティックなメタルを創造していますよね?
ただスラッシュとか、デスメタルの一言で表現するのは難しいように感じます。

【JEREMY】: 間違いないね!デス、ブラック、スラッシュ、プログ、様々な音楽のハイブリッドだからね。

【TYLER】: 僕たちは各自の影響をオープンにしながら、その時々感じていることを取り入れるべくベストを尽くしているんだ。
全ての偉大なメタルのサブジャンルは明らかだけど、それ以外にもプログ、映画やゲームのサウンドトラック、古き良きロックンロールにパンク、ジャズフュージョン、カントリーのチキンピッキングでさえね!ただ愛する、様々な音楽をミックスしているんだよ。

Q8: Recently, lot’s of newcomers of extreme metal like Obscura, Revocation, Vektor, Rivers of Nihil. All of them have wide range of music. Do you feel kind of empathy with them?

【JEREMY】: Yes, definitely. It’s difficult for any band that doesn’t fit neatly into one style to find an audience at first. But beyond that lies the opportunity to create your own way and gain many audiences. All of the bands you mentioned have done that in one way or another, and that is the opportunity we see for ourselves.

Q8: 近年、OBSCURA, REVOCATION, VEKTOR, RIVERS OF NIHIL といったワイドな音楽性を宿すエクストリームメタルの新星が登場しています。XOTH もそういったバンドと共鳴していますよね?

【JEREMY】: 間違いないね。特定のスタイルにきちんと収まらないバンドは最初、リスナーを見つけるのが難しいんだ。だけどね、その時期を超えれば、ユニークな方法論を創造し多くのリスナーを獲得するチャンスが巡ってくるんだよ。
君が言及した全てのバンドは、何らかの形でその儀礼を通過してきたね。だから僕たちにもそのチャンスは巡ってくるんじゃないかな。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED XOTH’S LIFE

Jeremy Salvo (Drums) :
METALLICA “…And Justice for All”
MORBID ANGEL “Formulas Fatal to the Flesh”
DEATH “Symbolic”
STRAPPING YOUNG LAD “City”
EMPEROR “Anthems to the Welkin at Dusk”

Woody Adler (Guitar & Vocal) :
KING CRIMSON “Discipline”
KING DIAMOND “Abigail”
DECAPITATED “Nihility”
SYMPHONY X “The Odyssey”
NECROPHAGIST “Epitaph”

Tyler Splurgis (Guitar & Vocal) :
KING DIAMOND “Conspiracy”
SIGH “Imaginary Sonicscape”
BAL-SAGOTH “The Power Cosmic”
GOBLIN “Roller”
GWAR “Scumdogs of the Universe”

Ben Bennett (Bass) :
Frank Zappa “Joe’s Garage”
Stanley Clarke “School Days”
WEATHER REPORT “Black Market”
AKERCOCKE “Words That Go Unspoken Deeds That Go Undone”
Ice-T “OG Original Gangster”

MESSAGE FOR JAPAN

We dream of playing in Japan one day! It is a place I have wanted to visit my entire life. I have received so much inspiration from your media, art, and culture, it would be amazing to share it with you. Hopefully this day will come soon! Thank you so much for the support, we greatly look forward to connecting even further with your country.

いつか日本でプレイすることを夢見ているんだ!人生でずっと行きたかった場所だからね。日本のアートや文化きら多くのインスピレーションを受けてきたね。それを君たちとシェア出来たら最高さ。すぐにそうなれば良いね!
サポートをありがとう。もっと君たちの国と繋がることを楽しみにしているよ。

TYLER SPLURGIS

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VOYAGER : COLOURS IN THE SUN】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALEX CANION OF VOYAGER !!

“As For a Band That Has Influenced The Band’s Sound As a Whole, It’d Have To Be Type O Negative. They’ve Been a Huge Inspiration.”

DISC REVIEW “COLOURS IN THE SUN”

「世界の生は今ほど良くなったことはないという事実と、同時にそうして実現しつつある人間としてのカラフルな多様性を祝うべきであるというテーマを扱っているよ。」
燦々と輝くオーストラリアの太陽の下、集結した5つの異なる個性は VOYAGER の名が表す通り人類の多様性を探求する音の船を大洋へと導きます。
メタル第三世界から現れた VOYAGERは、拡散と多様化のモダンメタルを象徴するのみならず、個性を尊重して育む現代世界の潮流まで確かに体現したバンドです。実際、彼らは音楽のルーツも各自の特徴も異なりながら、あたかも南天の夜空を彩る南十字のごとくそれぞれが際立って輝いているのです。
ショルダーキーボードを携え見た目もゴージャスなボーカリスト Danny Estrin は、紅旗からトヨタの MR2 までオールドスクールな車に情熱を燃やし、MODERN TALKING のようなシンセポップを崇拝。
一方で TesseracT の Dan Tompkins と ABSENT HEARTS も牽引するギタリスト Scott Kay は、”Dungeons & Dragons” のようなゲームを愛し、ARCHITECTS 的モダンギターの世界に心酔するニュータイプ。
今回インタビューに答えてくれたベーシスト Alex Canion にしても、バンドの外では声優の夢を追いマーシャルアーツに情熱を捧げ、LEVEL 42, THE CURE といった80’sをインスピレーションの中心に挙げているのですから。
ただし、VOYAGER という星座の中ではむしろそのバラバラにも思える個性が化学反応を起こします。
「出来るだけ単純化したプログレッシブポップメタルという言葉で、みんなが僕たちのプレイする音楽のイメージを掴みやすくしているんだけど、実際は、シンセウェーブメタルという表現が僕たちのマテリアルに対して最もしっくり来ると思うんだ。」
Danny のシンセポップ、Scott のモダンギター、Alex の80’s、それに紅一点 Simone の Devin Townsent 愛。全ての糸が絡み合い溶け合うことで、VOYAGER のカラフルかつアクセシブルな “シンセウェーブメタル” が織り上げられるのです。
「このアルバムではキーボードとシンセサイザーが大きな役割を果たしていて、アルバムを通して作品に “カラー” を仄めかし続けているね。」
Alex が語るように、バンドの最新作 “Colours in the Sun” は、これまで以上にキーボードとシンセサイザーを核に据えた、最もポップでしかし最もヘヴィーな作品だと言えるでしょう。
ノスタルジックなシンセサイザーの緩波と先鋭なポリリズムジェンティズムがせめぎ合うオープナー “Colours” はまさにアルバムの未来予想図。嫋やかで優雅な Danny の歌声は音のパレットへと染み渡り、アンセミックでダンサブルなビッグコーラスを導きます。
「バンド全体のサウンドに影響を与えたという意味では、TYPE O NEGATIVE だろうな。彼らからは巨大なインスピレーションを受けているよ。」
VOYAGER がゴシックメタルの偉大なる先駆者を最大のインスピレーションに挙げるのは、少々意外かもしれませんが理に適っています。事実、刻々と移ろうテンポの中で繊細なシンセサイザーのさざめきとメランコリー極まるメロディーを奏でる “Saccarine Dream” を聴けば “October Rust” の幽玄なゴシックホラー、TYPE O NEGATIVE に潜むニューウェーブへと連続性を認めるのも難しくはないでしょう。
当然、それ以上に彼らの実験性にシンクロニシティーを感じているのは確か。無論、これは祝祭のレコードですが、それでも耽美とメランコリーは VOYAGER を VOYAGER たらしめる絶佳の魔法です。
クライマックスは Alex も当代きってのシンガーと認める LEPROUS の Einar がゲスト参加を果たした “Entropy” で訪れます。最も才能に満ちたプログメタル最北端と最南端の衝突は、超常的なエナジーとエモーションを創出しました。
その実、エントロピーはレコードで最もスタンダードなメタルチューンかもしれませんが、故に VOYAGER のヘヴィーでプログレッシブな一面を深々と堪能出来る一つの熱量でしょう。
“Water Over the Bridge” で MESHUGGAH までもシンセウェーブに染めた後、”Runaway” でこの世のポップを追求するまさに千変万化、カラフル極まる祝祭のフィナーレ。PERTURBATOR や TesseracT に目配せをしながらよりレトロフューチャーに舞う太陽の蝶。
今回弊誌では Alex Canion にインタビューを行うことが出来ました。「パースはとても孤立している場所だから、故に世界の他の地域に追いつきたいという意欲が少なくとも小さな役割は果たしていると思うね。だから小さくてもオリジナルなシーンがとても繁栄してきたように思えるね。」 どうぞ!!

VOYAGER “COLOURS IN THE SUN” : 9.9/10

INTERVIEW WITH ALEX CANION

Q1: First of all, how was Japan’s Evoken Fest 2018? There were so many great band, right?

【ALEX】: Yes! It was a brilliant experience for us all. We’ve wanted to go to Japan to perform for many years, so it was amazing for us to finally get the opportunity. Also, seeing Per Nilsson play with Nocturnal Rites was amazing! I came back to holiday in Japan earlier this year and got to experience much more of the Japanese culture (and Junmai sake!). I honestly can’t wait to return!

Q1: まずは昨年、日本で開催された Evoken Fest 2018 の感想から聞かせていただけますか?素晴らしいバンドが多く名を連ねていましたね?

【ALEX】: まさに!僕たち全員にとって素晴らしい経験となったね。何年も前から日本でプレイしたかったんだ。だから遂にその機会を得ることが出来て最高だったね。それに Per Nilsson が NOCTURNAL RITES でプレイしているのを見られたのも素晴らしかったね!
実は今年の初頭、日本に戻って休暇を過ごしたんだ。より日本文化を掘り下げることが出来たよ。それに純米酒もね!正直言ってまた日本に戻るのが待ち切れないよ!

Q2: You are from Perth, Australia. And Perth has become kind of “hot spot” of prog, alternative rock in the decades. Karnivool, Pendulum, Bird of Tokyo, Tame Impala and of course, you create really attractive scene there. How is the connection of scene? What made Perth receive world’s attention?

【ALEX】: That’s a great question. We’re so isolated in Perth, so I think the drive to keep up with rest of the world certainly plays at least a small part. Perth has always seemed to have quite a thriving, albeit small, original music scene.

Q2: あなた達はもちろん、KARNIVOOL, BIRD OF TOKYO, PENDULUM, TAME IMPALA などオーストラリアのパースはプログやオルタナティブの “ホットスポット” となっていますよね? なぜこれほどまであなた達の出身地が世界から注目を集めているのでしょう?

【ALEX】: 素晴らしい質問だね。パースはとても孤立している場所だから、故に世界の他の地域に追いつきたいという意欲が少なくとも小さな役割は果たしていると思うね。
だから小さくてもオリジナルなシーンがとても繁栄してきたように思えるね。

Q3: Daniel’s singing with shoulder keyboard style is really cool! What made him start that style? Was there any inspired artist?

【ALEX】: Some years back, his friends all pitched in and bought him that keytar for his birthday. I think he brought it to the jam room to show us and we all encouraged him to use it seriously. One thing lead to another and now it’s still being used in our shows today!

Q3: ショルダーキーボード (Keytar) を携えて歌う Danny の姿は実にクールです。メタルアーティストの中では珍しいスタイルですが、始めたきっかけは何だったのでしょう?

【ALEX】: 何年か前に、Danny の友人たちがお金を出し合って、誕生日にあのショルダーキーボードをプレゼントしたんだよ。それで彼は僕たちに見せようとリハーサルルームに持ってきたんだよ。
そこで僕たちバンドメンバーは、真面目に彼にあの楽器を使うべきだとハッパをかけたんだ。それがきっかけで彼は今でもショルダーキーボードをライブで使い続けているんだ!

Q4: In your Facebook page, you introduce yourself as “Progressive Pop Metal”. Actually, I think you have one of the most accessible melody in the metal scene. Do you want to bring your prog metal to mainstream?

【ALEX】: It’s always been hard for us to categorize ourselves so we try and simplify it so people can grasp what it is we play. Synthwave metal seems to be the most fitting description of our latest material, but the pop element is what makes Voyager stand out from other metal bands in my opinion.

Q4: VOYAGER の Facebook ページでは “プログレッシブポップメタル” とバンドを紹介しています。実際、あなた達のメロディーはメタルシーンの中でも際立ってアクセシブルですよね。
いくらかは、プログをメインストリームに近づけたいという気持ちをお持ちなのでしょうか?

【ALEX】: 僕たちをカテゴライズするのはいつも悩みの種なんだ。だから出来るだけ単純化したプログレッシブポップメタルという言葉で、みんなが僕たちのプレイする音楽のイメージを掴みやすくしているんだよ。
実際は、シンセウェーブメタルという表現が僕たちのマテリアルに対して最もしっくり来ると思うんだけど、もちろんポップな要素も VOYAGER を他のメタルバンドから際立たせているに違いないからね。これは僕の考えだけど。

Q5: Sometimes I remind The Cure, Depeche Mode, even Duran Duran from your fantastic romantic music. Is there any inspiration from non-metal artists like new wave, goth, synthe-pop?

【ALEX】: Absolutely. We’re all huge fans of music of the 80s. I myself like bands like Level 42, The Cure, ABC among many others. As for a band that has influenced the band’s sound as a whole, it’d have to be Type O Negative. They’ve been a huge inspiration. We are fans of all music, and you could probably argue that we have more non-metal influences between us than metal ones.

Q5: 仰るように、VOYAGER の音楽からは、THE CURE, DEPECHE MODE のようなニューウェーブやゴス、シンセポップ的 “ノン・メタル” でロマンチックなフレイバーが感じられますね?

【ALEX】: 間違いないね。僕たちは80年代の音楽の大ファンなんだよ。個人的には、LEVEL 42, THE CURE, ABC みたいなバンドが好きなんだ。
バンド全体のサウンドに影響を与えたという意味では、TYPE O NEGATIVE だろうな。彼らからは巨大なインスピレーションを受けているよ。まあ全員が音楽全てのファンなんだけどね。だから、おそらくはメタルよりもノン・メタルな影響の方が大きいと言えるんじゃないかな。

Q6: I feel your newest record “Colours in the Sun” is your best record to date. Definitely, it’s really colorful, eclectic and even danceable. record. Does it have to do with album title and concept?

【ALEX】: Thank you so much. The keyboards and synths really play a big part on this album and it’s easy to hear how they can imply colour throughout the record, so Colours In The Sun is a very fitting title. The lyrics were all written by Danny, however what I understand about the concept is that it’s commenting on the fact that life in the world has never been as good as it is right now and that we should also be celebrating our diversity as people. Then again, Danny has written a song about not wanting to get out of bed in the morning, so it could easily be about eating a rainbow cake, who knows haha!

Q6: 最新作 “Colours in the Sun” はバンドの最高傑作に思えます。タイトル通り、間違いなくカラフルでエクレクティック、ダンサブルとさえ言えそうですね?

【ALEX】: どうもありがとう。このアルバムではキーボードとシンセサイザーが大きな役割を果たしていて、アルバムを通して作品に “カラー” を仄めかし続けているね。だから “Colours in the Sun” はとてもフィットしたタイトルだと思うよ。
歌詞は全て Danny が書いたんだけど、僕はコンセプトについて、世界の生は今ほど良くなったことはないという事実と、同時にそうして実現しつつある人間としてのカラフルな多様性を祝うべきであるというテーマを扱っていると理解しているよ。
もしかしたら、Danny は朝ベッドから起きたくないという歌詞を書いていて、カラフルなレインボーケーキを食べることについてのアルバムかもしれないけどね (笑)。

Q7: Compared with your previous record “Ghost Mile”, “Colours in the Sun” is more electronic, more keyboard oriented record, right? If so, what made you change some directions?

【ALEX】: We never make conscious decisions to take the music a certain way, it just happens organically. I think we all as musicians enjoy the bedrock of keys and synths that have always been present in Voyager’s music and encourage Danny when he adds them in.
Ghost Mile must be our darkest album, however I think Colours In The Sun might be our poppiest AND heaviest album yet.

Q7: 仰る通り、前作 “Ghost Mile” と比べると、明らかにキーボードのサウンドが増していて、キーボードオリエンテットと言えるほどですよね? その変化の理由を教えていただけますか?

【ALEX】: 僕たちは意識して音楽を特定の方向に導いたりはしないんだ。ただオーガニックに起こった変化なんだよ。
とは言え、VOYAGER に存在し続けてきたキーボード/シンセの基盤を全員が楽しんできたし、Danny がキーボードのサウンドを加える時はいつも賛成してきたんだよ。
“Ghost Mile” は僕たちにとって間違いなく最もダークなアルバムだったね。一方で、”Colours in the Sun” は最もポップでヘヴィーなアルバムかもしれないね。

Q8: Einar from Leprous joined in “Entropy”. How did it happen? Actually, I feel some common points between Voyager and Leprous, Do you agree that?

【ALEX】: We have toured Australia and Europe with Leprous and have become good friends with them as a result. In our past albums we’ve also had D.C Cooper (Royal Hunt) & Dan Tompkins (Tesseract) perform guest vocals on our songs, so it’s not really an odd choice for us to have another guest vocalist on this album.
Once we heard Einar sing live, we all wanted him on something of ours eventually. Just listen to his latest recording on Leprous’ latest album Pitfalls. His voice and range isincredible. I think in the future he’s going to be regarded as one of the best singers of our generation.

Q8: LEPROUS の Einar が “Entropy” にゲスト参加を果たしています。LEPROUS と VOYAGER にはいくつかの共通点も感じられますが?

【ALEX】: LEPROUS とはオーストラリアとヨーロッパでツアーを一緒に回り、良い友達になったんだ。過去には ROYAL HUNT の D.C. Cooper、TesseracT の Dan Tompkins が参加してくれたから、このアルバムにもゲストボーカルを呼ぶのはおかしくない決定だったね。
Einar の歌唱をライブで聴くと、僕たちはいつか彼に参加して欲しいと思ったね。彼らの最新作 “Pitfalls” を聴けば彼の声とレンジが驚異的だと分かるはずさ。僕は彼が将来、僕たちの世代で最高のシンガーの1人として認知されると思っているよ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED ALEX’S LIFE

ART OF NOISE “THE SEDUCTION OF CLAUDE DEBUSSY”

OPETH “STILL LIFE”

CRASH TEST DUMMIES “GOD SHUFFLED HIS FEET”

SYMPHONY X “THE ODYSSEY”

VOYAGER “UNIVERS”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you to all our Japanese fans and supporters. We can’t wait to come back and play more shows for you all! Arigatougozaimasu!

日本のファンのみんな、サポートをありがとう。また日本に戻ってプレイするのが待ちきれないね!ありがとうございます!

ALEX CANION

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SEASON OF MIST

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【ALCEST : SPIRITUAL INSTINCT】


COVER STORY : ALCEST “SPIRITUAL INSTINCT”

For Me, One Of The Most Difficult Things I Have To Live With Is That I Have Very Low Self-esteem. I Don’t Like Myself Very Much, And It’s Really Not Cool Because You Are Always Putting Yourself Down And This Is Not a Normal Way To Live. This Album Is Full Of Doubts, Full Of Questions. But I’m In a Better Place Now, I Think. The Album Was Part Of The Healing Process.

JOURNY TO “SPIRITUAL INSTINCT”: INTROSPECTION & SPIRITUALITY

フランス南部、プロバンス地方にある人口2万人足らずの街バニョール=シュル=セーズで生まれ育った Stephane Paut は、後に自身をフランス語で雪を意味する “Neige” と称し ALCEST のフロントマンとして世界に衝撃を与えることとなりました。
「クレイジーだよ。プロバンスはとても美しく、まるでポストカードみたいにゴージャスなんだ。だけど都市部は、本当に本当に面白くない。周りにあるもの全てが素晴らしいのに、街は最悪なんだ。南フランスにおけるアスホールみたいなものさ。決して何にも起こりはしない。だから僕にとって正しい場所にいるようには思えなかったね。」
しかし、バニョール=シュル=セーズの退屈で特徴のない毎日だけが Neige に自分の居場所ではないと思わせた理由ではありません。
「僕は少し夢見がちな人間で、絵を描くのが大好きだった。だけど南フランスのメンタリティーはとても荒くて厳しいんだ。とてもマッチョなんだよ。男ならこんな風に生きなきゃいけない、サッカーを好きにならなきゃいけないって感じなんだよ。」

実際、伝説の “寺CEST” を経験した後、”Kodama” リリース時の弊誌インタビューで Neige は日本のアニメ、ゲーム文化への深い愛情を示すと同時にスピリチュアルな世界へも敬意を抱く日本人に共感と憧憬にも近い感情を示しています。
「日本文化がここまでフランスを魅力しているのは”対比”が理由だと思う。実際、日本にはとてもモダンで高度なテクノロジーを備えた社会が存在するのに、伝統や自然、スピリチュアルなものに大きな敬意を抱いているよね。僕にはもののけ姫のサンと共感出来る部分がたくさんあってね。自分の中に存在する2面性、なにか自分の居場所ではないという感覚、まるで都市と自然、物質世界と精神世界の2つに生きているような気がしているんだよ。」
音楽に大きな価値を見出すような人間は Neige の周りには存在すらしませんでした。しかし Neige は絵を描くことと共に EMPEROR のようなブラックメタルのリアルなアグレッションに惹かれていきました。ただし重要なのは、アンダーグラウンドのリアルだけではなく、オルタナティブロックのブライトでメジャーなサウンドも同様に彼を惹きつけた事実でしょう。
事実、SMASHING PUMPKINS のクラッシック “Siamese Dream” は今でも Neige のオールタイムフェイバリットです。後にその特異なバランス感覚は、ブラックメタルにシューゲイズのテクスチャーを織り込んだポストブラック第一世代の中でも多次元で光と影を司り比類なきコントラストを描く ALCEST の雛形となったのです。

DEAFHEAVEN の “Sunbather” を含むアトモスフェリックブラックメタルに多大なる影響を与え、アンダーグラウンドの至高となった ALCEST も遂に羽化の時を迎えたようです。2005年に “Le Secret” をリリースしブラックメタル世界から憎しみさえ買ったバンドは、大きな成功を眼前に捉えているのです。
「ALCEST はゲイなんてよく言われたものさ。DEAFHEAVEN なんかのおかげで今はあまり言われなくなったけど、最初の頃はその意見が大勢を占めていたんだよ。」
最初の4枚のレコードで光と影の幻想的かつ気まぐれなダンスを披露した ALCEST。穏やかでソフトな切れ味のポストロックとシューゲイズの美学が支配する神秘のメタルは “Shelter” で完成を見たと言えるのかも知れません。”Kodama” で一握りのアグレッションを掬い上げた彼らは、”Spiritual Instinct” においてさらに野生的で生々しいブラックメタルの原衝動にアクセスしたようにも思えます。ただし、それは単純な原点回帰ではなく、痛みと快楽、ハイとローの麻薬的な相互作用。
「6枚のアルバム全てが異なっていると思う。全然違うって訳じゃないけどね。ただ “Shelter” だけは全然違う作風になったね。あのアルバムで僕たちはメタルの要素を全て取り払ったから。ただ、毎回異なるアングルで作品に挑んでいるのは確かさ。」

ALCEST にとって6枚目のフルアルバムとなった “Spiritual Instinct”。そのアルバムタイトルは前作 “Kodama” に伴う長期のツアーが要因となったようです。
「僕はいつも内性と霊性の中に存在していた。だけど長期のツアーで家を空けて日常から離れるうちに自分を失っていたんだ。僕は基本1人が好きだしね。体は死に絶え心は失われた。だからそれを取り戻す必要があったんだよ。だってスピリチュアルでいることは選んだ訳じゃなく、息をするのと同じように人生において必要としていることなんだから。つまり本能のようなものなんだ。だからタイトルにしたんだよ。このアルバムはこれまでの僕の旅路の集大成なんだ。」
影から闇へ。霊性の一時的な喪失は、Neige に自らと真摯に向き合い “Spiritual Instinct” に以前よりも内なる闇を持ち込む結果をもたらしました。故に多様と対比が最も際立つも自明の理。
「調子が良くなくて、だから正直になって自分の闇をもっと音楽に取り入れることにしたんだ。これまでは勇気がなくて向かい合うことが出来なかった部分をね。あるがままの自分を見つめるのは簡単じゃないよ。だけど人として成長を遂げるのに必要なことなんだ。」

故に “Spiritual Instinct” の製作は Neige にとってある意味ヒーリングプロセスとも言えるものでした。
「生きづらいと感じる原因の一つが自己評価の低さなんだ。自分が全然好きじゃなくてね。それってクールじゃないんだけどね。自分を貶めながら生きている訳だから。普通の生き方じゃないよ。だからこのアルバムは疑問と疑いに満ちている。だけど今はあの頃より良い場所にいる。だからこの作品は治療の意味合いもあったんだ。」
高貴な顔と羽の裏に獣の爪を隠し持つ対比の怪物、アートワークに使用したスフィンクスにも当然深淵と疑いが込められています。
「このモンスターはほとんど人間の顔をしているよね。僕はこのクリーチャーを見ると自分を当てはめてしまうんだ。生まれ育った南フランスでもアウトサイダー、メタルマガジンにも距離を置かれていた。自分の居場所を見つけられなかったからこそ、この怪物に共感を覚えるんだ。僕はとても落ち込んで疑念を抱く時もあれば、スピリチュアルでハイになることもある。このスフィンクスは両方を結んでいるんだ。エニグマと疑問のシンボル。大きなクエスチョンマーク。それこそがスピリチュアリティーだよ。死を迎える時何が起こる?魂はどうなる?つまりスフィンクスは疑問を宿したスピリチュアルな旅に誘う最高の象徴なんだ。」

“Protection” の MV に現れる危険なダンスは内なる苦しみの象徴。
「最初の2,3曲を書いたくらいでアルバムの方向性が露わになる。今回は、”Protection” を書いた時点で異なる作品になると分かったね。ヘヴィーでダイレクトなレコードさ。内なる悪魔から自らを守ることについて。自然をある種の盾として使っているんだ。これは内なる戦いなんだよ。」
最も深い闇は友人の自殺でした。
「彼は画家で大きな成功を手に入れ始めていた。パリでも数少ない、絵で裕福な暮らしを送れる人物だったんだ。才能があってとても重要な人物になるはずだった。何年も前から友人だったからとても動揺したね。彼が亡くなった次の日にタイトルトラック “Spiritual Instinct” を書いた。これは偶然じゃないよ。」
では “Spiritual Instinct” はリスナーにそれぞれの疑問に対する何かの答えをもたらすのでしょうか?
「僕自身答えを持っていないんだから、何かを答えることはできないね。僕がキリスト教か何かの権威なら知っているふりをするだろう。だけどそんなことはしないよ。神の本質や人生の意味を知っているふりをするなんて傲慢にも程がある。全てを超えたものなのにね。」

無慈悲な不協和音と荘厳なオーケストレーションがシームレスに融解し続けるブラックメタルの新たな次元 “Spiritual Instinct”。そこには FAILURE や CAVE IN の独創的な空間活用術でさえ活かされています。とは言え、Neige はテクノロジーへの過度な依存には否定的。
「テクノロジーはあまり好きじゃないね。コンピューターにも疎いんだ。このアルバムはどの瞬間もとてもシンプルに生み出されている。創造とは永遠のエニグマだよ。何処からかアイデアが浮かび音楽の形を形成していく。自分でもどうやったのかさえ分からないからマジカルな瞬間なんだ。」
さらに TOOL や SYSTEM OF A DOWN にも通じる “Sapphire” のリフドライブは神秘のアトモスフィアと霧の中で溶け合い、”Le Miroir” はブラックゲイズの森の奥でゴスのレースを織り上げます。何よりタイトルトラック “Spiritual Instinct” が抱きしめた究極にアクセシブルでポップな本能的メロディーと JESU や SUNNO))) のスピリチュアルな実験は、ALCEST が向かい合う地中海の多島美を象徴しているのかもしれませんね。

ALCEST をブラックメタルと呼ぶ事に長い間葛藤を抱いていた Neige。もちろん、”Les Jardins de Minuit” のブラストビートはジャンルの基盤ですが、それでも繊細で愛情さえこもったディティールとムードへの拘りは30年前ブラックメタルが生まれた時代には想像も及ばなかった創造的成果であり、ジャンルに対するある種のクーデターでしょう。そもそも Neige はメタルファンがダークなサウンド、イメージに惹かれる理由さえ当初は理解さえしていませんでした。
「全然理解できなかったんだよ。なぜいつもダークである必要があるんだい?だからこそ ALCEST のファーストアルバムが出た際に大きな論争を呼んだんだ。なんでメタルなのにブライトで繊細なんだ?ってね。ただ僕は憎しみに触れたくなかっただけなんだけどね。そこに興味が持てないから。それでも今でもオールドスクールなブラックメタルはよく聴くんだ。ただ最近のブラックメタルバンドはちょっと怠惰だと思うよ。ブラックメタルの慣習に従い、紋切り型の演奏を披露しているだけだからね。残念だよ。」
一足先にブレイクを果たした盟友 DEAFHEAVEN についてはどう思っているのでしょう?
「彼らの成功はピンクのカバーのお陰じゃない。全てが首尾一貫していて理に適っているからなんだ。ルックス、リリック、背景など、とてもサイコロジカルなメタルだよ。悪魔や炎、森、城について歌っている訳じゃないから、僕にとってブラックメタルではないよ。そもそも彼らはブラックメタルのふりなんてしたこともないんじゃないかな。そこはまさに ALCEST と同じだよ。僕たちはブラックメタルをプレイしてはいないんだ。トレモロとブラストを使用すればブラックメタルって訳じゃないから。ブラックメタルとは”ブラック”、つまり非人間的でダークな精神性を宿しているからね。僕たちはいつもそうじゃない。」

Neige が厳格に成文化されたブラックメタルの基準を回避して来たのは、その音楽の大部分が怒りに根差していないからとも言えます。自然からインスピレーションを受けるノルウェーのミュージシャンに共感する一方で、常に希望を伝える Neige の有り様はコープスペイントで木々に五芒星を書き殴るよりも、森の中のアニミストのようにも思えます。
実際、Neige は5歳のころから約4年間自らの精神が肉体を離れる幽体離脱、臨死体験のような超感覚的ビジョンを経験しています。
「何度も何度も、完全にランダムに起こる現象だった。この世界には存在しないような場所のイメージや感情、時にはサウンドまで心の中に浮かんで来るんだ。まさにスピリチュアルな体験で、人生を永遠に完全に変えたんだ。」

そうして物質宇宙を超えて別の領域が存在するという確信を得た Neige は、スピリチュアルに呼吸する” 音楽 “Spiritual Instinct” を完成へと導きました。
「あの臨死体験を経て、僕は死後の世界、魂とは何か、そして人生の意味を問うようになったんだ。ビッグクエッションだよね。」
多くのメタルアーティストが描く悪夢の死後世界と異なり、Neige は自らの目で見た “あの世” を恐ろしいとは感じていません。むしろ子供の頃に感じていたバニョール=シュル=セーズの厳しい現実、マッチョイズム、自分に対して冷酷な街の雰囲気を心から追いやるに充分の桃源郷。
「想像を遥かに超えた美しく、言葉には表せない世界だったね。直接アクセス出来なくなった今でも心の中奥底ではあの世界を感じているんだ。奇妙に聞こえるかもしれないけど、この物理的な世界に完全に属しているとは感じられていないんだ。皆んな本当はそうなのかもしれないよね。ここ以外に真の家があるのかも。だからある意味、僕たちはこのバンドでその場所を探求しているんだよ。」

つまり、Neige がフランス語で紡ぐ憂鬱と悲しみのイントネーションには、彼が憧れの中に垣間見た魔法の場所へと回帰するロマンチックな目的まで含まれているのです。ALCEST の動力源は審美の探求。例えその場所が死によってのみでしか到達できないとしても。
「ALCEST を始めたのは、臨死体験が僕を孤独にしたからなんだ。音楽を世に放つのは、海にボトルを投げて返事を待つようなものだよ。だから反響があるととても感動するよ。愛する誰かを失って、だけど僕たちの音楽が助けになったと話してくれる人もいるんだ。それって最高に美しいフィードバックだよ。」
そうして ALCEST は “Spiritual Instinct” でもその光と闇の探求を続けます。
「若い頃は死を迎える時、自分を待つ家があると感じられることが希望だった。だけど同時に世界から切り離されているようにも感じていたんだ。別の場所から来たように思えてね。だからいつも2つの世界に住んでいるようだった。だからこそ、ALCEST はその2つの世界、光と闇を1つに繋いでいるんだよ。」

参考文献: REVOLVER:”BLACKGAZE” LEADERS ALCEST ON “LIVING BETWEEN TWO WORLDS,” EMBRACING DARK SIDE

BILLBOARD:French Band Alcest Fuses Black-Metal Dissonance with Alt-Rock Guitar Orchestration for ‘Spiritual Instinct’

CoC:Alcest’s Neige on Spiritual Instinct, Initial Black Metal Backlash, Deafheaven’s Rise, and More

INVISIBLE ORANGES:http://www.invisibleoranges.com/alcest-neige-interview-spiritual-instinct/

MARUNOUCI MUZIK MAG “KODAMA”

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WILDERUN : VEIL OF IMAGINATION】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH DAN MULLER OF WILDERUN !!

“Epic Is Probably The Most Encapsulating Word You Could Use But I Feel Like It Still Leaves Out Some Of The More Progressive And Experimental Sides Of Our Music.”

DISC REVIEW “VEIL OF IMAGINATION”

「”エピック” はおそらく最も僕たちの音楽を要約した言葉だけど、ただ僕たちの音楽にあるいくつかのより進歩的で実験的な側面をそれでもまだ除外しているように感じるね。」
虚空に七色の音華を咲かせるフォーク-デス-ブラック-アトモスフェリック-シンフォニック-プログレッシブ-エピックメタル WILDERUN は、ジャンルという色彩のリミットを完全に排除してリスナーに名作映画、もしくは高貴なオペラにも似て胸踊るスペクタクルとドラマティシズムをもたらします。
「OPETH の音楽には特に昔の音源でダークな傾向があるんだけど、WILDERUN には常に見過ごされがちな明るく豊かな側面があったと思うんだ。」
時にアートワークから傑作を確信させるレコードが存在しますが、WILDERUNの最新作 “Veil of Imagination” はまさにその類でしょう。アートワークに咲き誇る百花繚乱はそのまま万華鏡のレコードを象徴し、”陽の”OPETHとも表現されるブライトでシンフォニックに舞い上がる華のモダンメタルは、シーンにおける “壮大” の概念さえ変えてしまうほど鮮烈なオーパスに仕上がりました。
「僕たちが様々な種類の音楽をブレンドする際に使用した最も重要なテクニックとは、単にストレートなフォークセクションをプレイしてから、お決まりのブラックメタルパートを始めるって感じじゃないんだよ。その代わりに、メタルと非常に異なるスタイルの音楽にしか存在しないと思われる特定の作曲テクニックを分析し、それをどうメタルの文脈に適応させるのか探っていったんだ。」
ベーシスト/オーケストレーター Dan Muller が語る通り、WILDERUN の多様性は単純な足し算ではなく複雑な掛け算により無限の可能性を見出しています。様々なジャンルの本質を抜き取り、その膨大なコンポーネントを最適に繋ぎネットワークを構築する彼らのやり方は、さながら人間の神経系統のように神々しくも難解な神秘です。
中でも、シンフォニックなアレンジメントは作品を通じて情炎と感奮、そして陶酔をもたらす WILDERUN のシナプスと言えるのかも知れませんね。メタルをはじめとした豊かな音の細胞は、優美でドラマティックなオーケストレーションにより有機的に結合し、思慮深くシームレスに互いを行き来することが可能となるのです。
オープナー “The Unimaginable Zero Summer” はその進化を裏付ける確固たる道標に違いありませんね。語りに端を発する抽象的かつファンタジックな15分の規格外に、目的のない誘惑など1秒たりとも存在していません。
オーケストラの名の下に、無慈悲なデスメタルからメランコリックアコースティック、浮遊するエレクトロニカ、オリエンタルな重量感、絶佳なワルツの大円団、そしてエセリアルなピアノのコーダまで、秩序と無秩序の間で悠々と整列した音の綺羅星はいつしか夜空にプログレッシブな夏の星座を映し出しているのです。WILDERUN に宿る平穏と焦燥の対比を完膚なきまでに描き象徴する Evanのボーカルレンジも白眉。
クライマックスは中盤に。”Scentless Core (Budding)” に蒔かれたエピックの種は、”Far From Where Dreams Unfurl” の青葉としてエアリーかつメランコリックな大合唱で天高く舞い上がり、”Scentless Core (Fading)” で老獪な叙情の花を咲かせるのです。まるでアルバムのテーマである無邪気から退廃へ、人の歩みを代弁するかのように。
例えばプログレッシブデスメタルなら “Blackwater Park”、シンフォニックエピックメタルなら “Imaginations From The Other Side”、オリエンタルフォークメタルなら “Mabool”。ファンタジックで知的なメタルには各方面に絶対のマイルストーンが存在します。しかし “Veil of Imagination” はOPETH よりも華やかに、BLIND GUARDIAN よりも多様に、ORPHANED LAND よりもシンフォニックに、数ある傑作の交差点として空想力に創造性、好奇心、そして多様性のモダンメタル新時代を切り開くのです。
今回弊誌では Dan Muller にインタビューを行うことが出来ました。「少なくとも僕にとってこのレコードの歌詞のゴールは、世界を実際あるがままに見せることなんだ。みんなの心の目を再度トレーニングしてね。」2度目の登場。どうぞ!!

WILDERUN “VEIL OF IMAGINATION” : 10/10

INTERVIEW WITH DAN MULLER

Q1: When I first saw beautiful artwork of “Veil of Imagination”, I believed it would be masterpiece of metal history. And that was true. “Veil of Imagination” is definitely one of the best metal record in decades! After all the creative process, did you feel confident about the results?

【DAN】: Thank you so much for the kind words! The response we’ve gotten thus far as been overwhelmingly positive and it certainly helps solidify my pride in this record. I certainly feel like this is the best record we’ve done yet.

Q1: “Veil of Imagination” の美しいアートワークを見た瞬間、傑作だと確信しました。実際、今世紀においてベストのメタルレコードの一枚だと感じています。
全ての作業を終えた時、手応えはいかがでしたか?

【DAN】: どうもありがとう!ファンからの反響は圧倒的にポジティブだし、それがこのレコードに対するプライドをより強固にしてくれているよ。うん、確実にこれまでで最高の作品だと感じているね。

Q2: It seems “Veil of Imagination” is your most natural, genuine thing you’ve created so far, right? Where did the inspiration or “imagination” of this record come from?

【DAN】: Definitely. We consciously tried to not lean on any one influence of ours too hard – favoring instead a healthy balance of very different kinds of music. Our influences on this album range from everything from electronic music to indie/folk music to classic death metal. I think the most important technique we used in blending all the different kinds of music is to not simply play a straight up folk section and then go into a straight up black metal part. Instead we’d try to analyze specific compositional techniques that seem to only exist in very different styles of music and figure out how that kind of technique could be applied in a more metal setting.

Q2: このアルバムは、WILDERUN にとって最も自然で、真摯な作品ではないでしょうか?”Veil of Imagination” の “イマジネーション” はどういった場所から得たのでしょう?

【DAN】: 間違いないね。今回僕たちは、意識的に一つの影響に頼りすぎないようにしたんだよ。その代わりに、様々にとても異なる音楽を “健康的な” バランスで結びつけるようにしたんだ。
“Veil of Imagination” には、エレクトロニカからインディー/フォーク、そしてクラッシックなデスメタルまで幅広い影響が存在する。そして、僕たちがその様々な種類の音楽をブレンドする際に使用した最も重要なテクニックとは、単にストレートなフォークセクションをプレイしてから、お決まりのブラックメタルパートを始めるって感じじゃないんだよ。
その代わりに、メタルと非常に異なるスタイルの音楽にしか存在しないと思われる特定の作曲テクニックを分析し、それをどうメタルの文脈に適応させるのか探っていったんだ。

Q3: Regarding concept, or lyrical themes, what’s the story of “Veil of Imagination”?

【DAN】: Veil of Imagination is all about the journey of transitioning from the innocence of the child mind to the corruption of the adult mind. As time goes on we become more jaded and cynical or simply indifferent to things that once filled us with wonder. The goal of the lyrics on the record, at least to me, is to force yourself to retrain your mind’s eye into seeing the world the way it really is, which is one of beauty. However, the journey to that goal is a difficult one and there are many pitfalls along the way.

Q3: では、アルバムのコンセプトや歌詞のテーマについてお話ししていただけますか?

【DAN】: “Veil of Imagination” は子供の無邪気な心から大人の腐敗した心へと移行する旅路を表現した物語だ。時間が経つにつれて、僕たちはかつて自分たちを満たしていた不思議に対して、うんざりし、冷笑的になり、もしくは単に無関心になっていくよね。
少なくとも僕にとってこのレコードの歌詞のゴールは、世界を実際あるがままに見せることなんだ。みんなの心の目を再度トレーニングしてね。だけどその目標への旅は困難で、途中多くの落とし穴もあるんだけどね。

Q4: Actually, I feel this is like a great movie or opera. If you compare, what kind of movie, novel, classical music or opera is this?

【DAN】: The most recent artistic work I’ve seen that kind of takes a similar approach in structure would be the film, The Ballad of Buster Scruggs. The film is comprised of what are essentially six short stories or vignettes that are independent from one another in plot yet all deal with similar settings and subject matters. It’s one of the most cohesive nonsingular films I’ve seen and I think Veil takes a similar approach.

Q4: 作品を聴き終えた後、名作映画やオペラを鑑賞したような感覚に陥りましたよ。”Veil of Imagination” をそういったアートに例えるならどういった作品を挙げますか?

【DAN】: 同様の構造を持ったアプローチとして最新のものは、映画 “バスターのバラード” “The Ballad of Buster Scruggs” だろうな。この映画は6つの短編小説、ビネットで構成されていて、プロットにおいては互いに独立しているけど、全ての短編が同じ設定とテーマを扱っているんだよ。
僕が見た中で最もまとまりのある非特異映画の1つであり、”Veil of Imagination” も同様のアプローチを取っていると思うんだ。

Q5: Regarding comparison, you are often compared with Opeth. But I feel “Veil of Imagination” is more bright, symphonic, eclectic, spectacular than Opeth music. What’s your perspective about that comparison?

【DAN】: We can’t deny that Opeth are a big influence on almost everyone in the band. I don’t think we can ever fully escape that comparison nor should we. We wouldn’t exist without them. But yes, I agree with you. Where Opeth’s music tends to linger in its darker tendencies (certainly in the older material), I think Wilderun has always had a brighter and more lush side that sometimes gets overlooked. I think a lot of that probably has to do with the fact that Sleep at the Edge of the Earth was the record that brought in a lot of new fans for us and that record in particular doesn’t stay to far from the darkness. But if you look at Veil and certainly Olden Tales you’ll see that we try to keep our sonic palette as large as possible.

Q5: “例え” と言えば、WILDERUN はしばしば OPETH の音楽性に例えられてきましたね? ただし、WILDERUN は彼らに比べてよりブライトでシンフォニックで多様にも思えます。

【DAN】: バンドのほとんど全員が OPETH から多大な影響を受けていることは否定できないね。だからその比較から完全に逃れることはできないだろうな。うん、彼らが居なければ僕たちは存在していないよ。
だけど君の見方には同意するよ。OPETH の音楽には特に昔の音源でダークな傾向があるんだけど、WILDERUN には常に見過ごされがちな明るく豊かな側面があったと思うんだ。その特徴が見逃されている理由の大部分はおそらく、新たに多くのファンを獲得したアルバム “Sleep at the Earth of the Earth” がダークな場所から遠い所に留まろうとはしていなかったからなんじゃかいかな。だけど “Veil of Imagination” や “Olden Tales & Deathly Trails” を聴けば、僕たちが音のパレットを可能な限り拡大しようとしているって伝わるはずだよ。

Q6: If it should be labeled, I’ll say this is perfect “Epic metal” record. Actually, when I first heard “Veil of Imagination”, I reminded Blind Guardian’s “Imagination from the Other Side”, or Orphaned Land’s “Mabool”. Are you comfortable to be labeled “Epic metal” than prog metal, folk metal, or something like that?

【DAN】: We always struggle with what to call ourselves these days. Epic is probably the most encapsulating word you could use but I feel like it still leaves out some of the more progressive and experimental sides of our music. Regardless of how you classify the sound of Wilderun, I always think of it in terms of that the vibe of Wilderun will always be one of fantasy and atmosphere – however that may translate from record to record.

Q6: もしジャンル分けが必要なら、私はこの作品を “エピックメタル” と称するでしょう。実際、BLIND GUARDIAN や ORPHANED LAND にも匹敵するスペクタクルですよね?

【DAN】: 確かに、最近は僕たちも WILDERUN を何と呼べばいいのか迷っているんだ。”エピック” はおそらく最も僕たちの音楽を要約した言葉だけど、ただ僕たちの音楽にあるいくつかのより進歩的で実験的な側面をそれでもまだ除外しているように感じるね。
まあ WILDERUN の音をどう分類するかに関係なく、僕は WILDERUN のヴァイブには常にファンタジーとアトモスフィアが存在すると考えていてね。ただそれはレコードからレコードで移り変わっていくかもしれないんだけどね。

Q7: For example, Enslaved started as viking, folk black metal, but they have been more eclectic, progressive as time goes by. It seems to me that the path you are walking is similar to them. Do you agree that?

【DAN】: I honestly don’t know what our path is. We’re just writing the music that inspires us at the time. In the case of Veil of Imagination, yes, the progressive elements took more of the forefront in the writing process. But that doesn’t mean at all that we’ll be operating the same way on the next record.

Q7: 例えば ENSLAVED は初期のヴァイキング/フォークブラックメタルからより多様でプログレッシブな領域へと進化を遂げています。WILDERUN も同様の道を辿っているようにも思えますが?

【DAN】: 正直言って、自分たちの方向性については僕たちもよく分かっていないんだ。その時々でインスパイアされた音楽を書くだけだからね。
ただ、”Veil of Imagination” に関しては、確かにライティングプロセスにおいてプログレッシブな要素が前面に出てはいるね。ただし、次のレコードで同じ道を辿るという意味では全くないんだよ。

Q8: Dan Swano & Jens Bogren’s production team is maybe one of the best in the scene. How was working with them?

【DAN】: Fantastic. Swanö was very easy to work with and he was incredibly accommodating in terms of our incessant mix notes. We have a tendency to go down the rabbit hole with the smallest details and ideas and he did a great job of leading us there when appropriate and holding us back when unnecessary. Jens was was also a pleasure to work with even though it was a fairly short period of time. We only had to revise the master once before it was where we wanted it to be and he made sure we were totally happy with it before we printed the final masters.

Q8: Dan Swano & Jens Bogren のプロダクションチームは、シーンでもベストの一つですよね?

【DAN】: 素晴らしかったよ。Dan Swano は非常に働きやすくて、僕たちの絶え間ない音をミックスすることにも実に親切だったんだ。僕たちには “ウサギの穴” のように細かいディティールとアイデアを掘り下げる傾向があるんだけど、彼は必要な時は導き、不必要なときには遠ざけるという素晴らしい仕事を行ってくれたね。
Jens とはかなり短期間だったけど、やはり一緒に仕事ができて嬉しかったね。マスターを修正する必要があったのは一度だけで、最終マスターを提出する前に、彼は僕たちが完全に満足していることを確認させてくれたのさ。

DAN’S RECENT FIVE FAVORITE ALBUMS 

OPETH “IN CAUDE VENENUM”

RAMMSTEIN “UNTITLED”

THE CURE “DISINTEGRATION”

HEILUNG “FUTHA”

FLEET FOXES “HELPLESSNESS BLUES”

MESSAGE FOR JAPAN

Thank you guys for all your support throughout the years and I hope we can make it out to your neck of the woods soon! Cheers!

何年ものサポートをありがとう!近いうちに、君たちの場所にも行けることを願っているよ。ありがとう!

DAN MULLER

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【JINJER : MACRO】


COVER STORY : JINJER “MACRO”

“I Was Too Young To Remember Life In Soviet Union, But The Spirit Of Soviet Union Is Still Here. I’m Living In An Apartment Built Maybe 40 Years Ago, And My Parents Live In Such An Apartment, As Well. All Our Shops And Supermarkets Are Situated In Buildings Built Then. So It Is Still Sike Soviet Union. And There Are a Lot Of People Who Still Have Soviet Union In Their Heads And Their Minds.”

HOW JINJER SINGER TATIANA CROSSES MUSICAL, LYRICAL, AND UKRANIAN BORDER 

「時に穏やかで平穏。だけど時に人々は何かが起こるのをただ待っている。今現在、少なくとも爆撃はされていないわ。それは良い事ね。」
JINJER のボーカリスト Tatiana Shmailyuk はウクライナのドネツクにある故郷ゴルロフカについてそう話します。彼女とバンドメイト、ベーシストの Eugene Abdiukhanov、ギタリスト Roman Ibramkhalilov、そしてドラマー Vladislav Ulasevich が最初にドネツクから逃れたのは2014年のことでした。それから程なくして、ウクライナの内戦を装った現在も続くウクライナとロシアの衝突、クリミア危機が勃発したのです。
「良い時期に脱出したと思うわ。だって数ヶ月後には国境地域を跨ぐことさえ本当に不可能となっていたんだから。」
戦場から逃れる中で、JINJER は東部から西部へと800マイルを移動してポーランドとの国境に近いリヴィウに立ち寄りました。
「だけどすぐに退屈してしまったわ。旅行者のための街だったから。家も借りたんだけど、水道、電気、暖房設備に問題があって住むことは難しかった。だからもっと文明化された場所へ移ることにしたの。」そうして Tatiana 達はウクライナの首都キエフへと移り住んだのです。

では、ウクライナの風土や国民性は JINJER にどういった特徴をもたらしているのでしょうか?
「JINJER は優しさと弱さが等しい土地から生まれたの。ウクライナは経済的には厳しい国よ。特に90年代前半、私たちの親の世代は大変だった。父と母は最低の賃金を得るためでさえ一生懸命働かなければならなかったの。兄と私を養うために。学校や家の近くにもいつも犯罪があったしね。そこから私たちは人生の教訓を多く学んだわ。
だからウクライナ人は精神的にタフなのよ。例えば少々痛くても、医者には行かないわよ。最後まで我慢する。 だからショウもキャンセルなんてしないわ。ジュネーブの灼熱で喉が腫れ上がっても、私はセットを完遂したわ。根性ね。」
ただし、素顔の Tatiana はシャイな一人の女性です。「みんな私を鉄の女か何かだと思っているようだけど、私だって人生全てを恐れているわ。だから演じているようなものよ。みんなと同じようにセンシティブで傷つきやすいの。いつもスクリームしている訳じゃないしね。まあ毎晩叫んでいるけど、朝は叫ばないわ (笑)。」

Tatiana は JINJER を始めるずっと以前から歌い、そしてその咆哮を響かせていました。
「母に言わせれば、とても幼い頃からスクリームしていたそうよ。叫びすぎておなかにヘルニアができたくらいにね。」
稀に叫んでいない時には、ラジオで聴いたロシアやウクライナのポップソングを歌っていました。1989年のヒットソング “Lambada” も彼女のお気に入りです。「ポルトガル語は分からないけど、シンガロングしていれば楽しいわよね。」
シリアスにボーカルへ取り組み始めたのは8歳の時。レッスンを受け、コンサートホールで合唱隊としてコンサートを行いましたが、ダンスの振り付けに悩まされてしまいます。
「二度とやらないわ!ダンスを誰かとシンクロさせるなんて苦行。一人でなら全てをコントロール出来るんだけどね。」
しかしすぐに兄によってロシアンメタルの世界へと誘われ人生が変わりました。中でも、ロシアの IRON MAIDEN と称される ARIA の存在は別格。
「ドネツク、特に私の故郷ゴルロフカの人間は音楽的なのよ。メタルが大好きだしね。偉大なバンドも沢山あったわ。兄もミュージシャンでダークなドゥームバンドでギターを弾いていたの。」

1991年、ソヴィエト連邦が崩壊すると変化は猛烈な勢いで押し寄せました。MTVはウクライナにも NIRVANA や OFFSPRING のウイルスを運びます。
「NIRVANA を聴いてすぐにロシアのロックを忘れたわ (笑)。MTV は最高だった。すぐに OFFSPRING にハマったわ。私たちの街で私は一番の OFFSPRING ファンに違いなかったの。父がテレビの音をカセットに録音する方法を教えてくれてね。友人やクラスメイトとテープの交換を始めたのよ。そうしてリスナーとして音楽体験を共有していたのね。」
OTEP の Otep Shamaya は Tatiana の感性に衝撃を与えました。「この男の人は最高にクールね!って言ったら友人が女の子よって。OMGって感じよ!こんな女の子は初めてだったわ。そうやって私も彼女みたいに衝撃を与えたいって思うようになったの。
私も9歳からずっと男物の服を着ているわ。それって結局、性別で世の男性を虜にしたくないからなんでしょうね。それよりも中身や心で惹きつけたいのよ。去年ツアーで会えたんだけど、酔っ払っていてずっと彼女を賞賛していたことしか覚えていないの。」
2009年、キエフに訪れた SOULFLY が初めてのメタルコンサート。「めったにない機会だったのに、彼氏が誰かと喧嘩をはじめて途中でセキュリティーに追い出されたのよ。その夜はずっと彼を責め続けたわ。」

近年、ツアーで家を開けることも多い Tatiana ですが、それでも継続中の紛争は彼女をウクライナから完全に切り離すことはありませんでした。ただしソヴィエトのアティテュードに魅力を感じることはありません。ソ連が崩壊した時 Tatiana はわずか4歳でしたが、それでも強硬な共産主義の残影は彼女を未だに訶みます。
「ソビエト連邦での生活を思い出すには幼すぎたけど、それでもソ連の精神はまだここにあるの。私はおそらく40年前に建てられたアパートに住んでいて、両親も同様にそんな感じのアパートに住んでいるわ。お店だってスーパーマーケットだって当時建てられたもの。だからここは今でもまるでソ連よ。それにまだ多くの人々が頭や心にソ連を宿しているの。
古い人間をマトリョーシカって呼んでるわ。私の容姿はバスの中でもジロジロ見られるし。ウクライナでは男性でもタトゥーは受け入れられていないの。まだ U.S.S.R の考え方でいるから、異なる人間が気にくわないのよ。そういった年配の人たちはテレビばかり見ているけど、そこに現実は映っていないわ。タトゥー?あなた60歳になったらどうするの?って感じよ。」

青春期を東欧の貧困家庭で過ごした Tatiana の人間に対するダークな見方は、彼女の故郷に限りません。「私は人類が好きじゃないの (笑)。進化で何かがおかしくなったのよ。今では神様や自然を蔑ろにしている。それが私の内なる怒りを呼び起こすのよ。」
母なる自然への愛情は Tatiana をヴィーガンに変えようとしています。「私はまだビーガンになろうとしているところなの。子供の頃あまり裕福じゃない家庭で育ったから、肉を食べる余裕があまりなくてね。だから最近肉をやめて、肉が大好きだって気づいたの。肉の匂いがすると、気が狂いそうよ。でも動物の苦しみや環境を思うとね…。」
幸いなことに、Tatiana はヴィーガンへの願望と肉食への渇望を両立させる解決策を持っています。「人間の肉を食べることが許されるならそうするわ (笑)。そんなに食に貪欲なら、お互いを食べてみない?」

DISC REVIEW “MACRO”

Facebook に次いで世界で2番目に人気のあるソーシャルメディアプラットフォーム YouTube。JINJER が公開した “Pisces” のライブビデオはすでに2800万回の視聴数を誇ります。
当然そこには、ウクライナという出自、さらにジキルとハイドを行き来する女性ボーカル Tatiana の希少性、話題性が要因の一つとして存在するはずです。
ただし、JINJER の音楽がオンラインによくある、短命のインスタントなエンターテインメントでないこともまた事実でしょう。ベーシスト Eugene にとっては音楽が全てです。
「ウクライナ出身だから政治性を求められるのも分かるんだけど、僕らの音楽にかんしては何物にも左右されないんだ。仮にロシア出身だろうと、イタリア出身だろうと同じだよ。音楽と僕たち。全てはそれだけさ。」
つまり、JINJER は同時代の若者に表層から衝撃を与えつつ、実のところその裏側では幾度ものリスニング体験に耐えうる好奇心と思考の奥深きトンネルを掘り進めているのです。
実際、Tatiana は JINJER がスポットライトを燦々とその身に浴びるような集団ではないと語ります。
「有名になりたいって訳じゃないの。今でも私は車ももっていないし築40年のアパートに住んでいるわ。だから第2の “Pisces” を作ろうなんて思わない。JINJER は大人気になるようなバンドじゃないわ。」

とは言え、PROTEST THE HERO の精子と KILLSWITCH ENGAGE の卵子が受精し生まれたようにも思える2012年の “Inhale, Don’t Breath” から JINJER は異次元の進化を遂げています。比較するべきはもはやメタル世界最大の恐竜 GOJIRA でしょうか。それとも MESHUGGAH?
テクニカルなグルーヴメタルに Nu-metal と djent の DNA を配合し、R&B からジャズ、レゲエ、ウクライナの伝統音楽まで多様な音の葉を吸収した JINJER のユニークな個性は全てを変えた “King of Everything” から本格化へ転じたと言えるでしょう。
2019年に届けられた EP “Micro” とフルアルバム “Macro” は双子のような存在で、創造性のオーバーフローの結果でした。
「もともとフルアルバムの予定はなかったんだ。”Micro” は次の作品までの繋ぎって感じだったんだけど、完成が近づくともっともっと楽曲を書きたくなってね。クリエイティブなエナジーが溢れていたんだ。」

無慈悲なデスメタルから東欧のメランコリー、そしてレゲエの躍動までを描く“Judgement (& Punishment)” はJINJER の持つプログのダイナミズムを代弁する楽曲でしょう。
「僕たちの音楽に境界は存在しない。いいかい?ここにあるのは、多様性、多様性、そして多様性だ。」そう Eugene が語れば Tatiana は 「JINJER に加わる前、私はレゲエ、スカ、ファンクをプレイするバンドにいたの。だからレゲエの大ファンなのよ。頭はドレッドにしていたし、ラスタファリに全て捧げていたわ。葉っぱはやらないけど。苦手なの。JINJER は以前 “Who Is Gonna Be the One” でもレゲエを取り入れたのよ。レゲエをメタルにもっともっと挿入したいわ。クールだから。」と幅広い音楽の嗜好を明かします。
判決を下し罰するというタイトルは SNS に闊歩する魑魅魍魎を揶揄しています。「気に入らなければ放って置けばいい。私ならそうするわ。なぜ一々批判的なコメントを残すのかしら?それって例えばスーパーに行って質の悪いバナナを見る度、おいクソバナナ!お前が大嫌いだ!さっさと木に戻りやがれ!って叫び始めるようなものでしょ?(笑) 私は他にやるべきことが沢山あるの。そんなことに割くエナジーはないわ。」

“On The Top” は2020年代の幕開けを告げる新たなプログアンセム。SOULFLY を想わせるトライバルパーカッシブと djent の小気味よいスタッカートシンコペートは Tatiana のフレキシブルな歌呪術へと怪しく絡みつき融けあいます。
「ラットレースのラットを演じてるって感じることはある?世界はどんどんそのスピードを増し、誰もが成功と呼ばれるあやふやなものに夢中よね。”On The Top” で訴えたのは、名声や成功に伴う孤独と満たされない心。”トップ” に到達するため犠牲にするものは多いわ。その梯子は本当に登る価値があるの?犠牲を払うのは自分自信なんだから。」
ウクライナの陰影を抱きしめたコケティッシュな “Retrospective”、ポルトガルのライター José Saramago の著作にインスピレーションを受け、死を地球を闊歩するクリーチャーになぞらえた “Pausing Death”、大胆にも聖書を再創造したと語る “Noah” など、Tatiana の扱う題材は多岐に富み、世界をマクロ、そしてミクロ、両方の視点から観察して切り取るのです。
「ウクライナでは決してメタルは歓迎されていないの。にもかかわらず素晴らしいバンドは沢山存在するわ。ただ、チャンスを把み国境を超えることは本当に難しいの。」
アイコニックな女性をフロントに抱き、多様性を音楽のアイデンティティーとして奉納し、ウクライナという第三世界から登場した JINJER は、実はその存在自体が越境、拡散するモダンメタルの理念を体現しています。音楽、リリックのボーダーはもちろん、メタファーではなく実際に険しい国境を超えた勇者 JINJER の冒険はまだ始まったばかりです。

参考文献: FROM WARZONES TO MOSH PITS: THE EVOLUTION OF JINJER’S TATIANA SHMAILYUK: REVOLVERMAG

Jinjer Singer Didn’t Want ‘Pisces’ to Become So Popular [Exclusive Interview] Read More: Jinjer Singer Didn’t Want ‘Pisces’ to Become So Popular | LOUDWIRE

Ukrainian Metal Band Jinjer Delivers on Its Promise With New Album ‘Macro’

METAL INJECTION “JINJER”

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MAYHEM : DAEMON】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH GHUL OF MAYHEM !!

“We Definitely Had In Mind That We Wanted Daemon To Be Some Sort Of Return To a Certain Mood From a Certain Era. Of Course Playing De Mysteriis So Many Times Over The Past Years Means It Bled Into The Creative Process For Sure.”

DISC REVIEW “DAEMON”

「俺もじきに Euronymous を殺ってやろうと思っていた。だからあの朝新聞であのニュースを読んで、家に帰って武器やドラッグを隠さねーとと思ったんだ。おそらく俺が第一容疑者だったはずだから。」
Necrobutcher が今年発したこの言葉は、ブラックメタルを司るノルウェーの闇司祭 MAYHEM に刻まれた、逃れられぬ呪われし過去の暗影を再び浮かび上がらせることとなりました。
MAYHEM 初期の歴史には死と犯罪の禍々しき臭気が立ち込めています。教会への放火は連鎖の序幕。オリジナルボーカル Dead は自らでその命を断ち、バンドの中心人物 Euronymous は Dead の死体写真を撮影し、彼の “死” をある種利用して MAYHEM の神秘性を高めました。ただしその宿悪は、1993年、MAYHEM でベースをプレイしていた BURZUM の Varg による Euronymous 殺害という狂気の終着駅を導く結果となったのです。
しかし一方で、その凄惨と背教、サタニズムに根差す闇の神秘が、異端に焦がれる数多の使徒を惹きつけ、今日の巨大で邪悪なメイヘム像を建築する下地となったのも確かでしょう。
「間違いなく、俺らの中には “Daemon” である特定の時代の、特定のムードへといくらか回帰したいという気持ちが存在したんだ。もちろん、ここ何年にも渡って “De Mysteriis Dom Sathanas” を何度もプレイしたことは、今回のクリエイティブプロセスに影響を与えたよ。それは確かだね。」
BEHEMOTH の Nergal をして “エクストリームメタルのマグナムオーパス” と言わしめる “De Mysteriis Dom Sathanas”。完全再現ツアーを続ける中で、MAYHEM は自身のマイルストーンを再発見し、拡散する音楽の進路を原点へと向かわせる決断を下したと Ghul は語ってくれました。
ただし5年ぶりとなる最新作 “Daemon” は、単純に “De Mysteriis Dom Sathanas” PT.2 を目論んだレコードではありません。何より、古典のインテグラルパートであった Euronymous と 歌詞を残した Dead は世界から失われて久しいのですから。
“De Mysteriis” は例えるならば悲愴と熾烈を意図的に掛け合わせたキメラ獣でした。ハンガリーのアクセントでさながら病んだ司祭のように歌い紡ぐ Attlia のシアトリカルでオペラ的なパフォーマンス、Euronymous のアイデアを基にしたエコーとリヴァーブ、マルチトラックの音の壁、Hellhammer の恐怖と抑制のドラミング。
圧倒的に悪意が貫かれたアルバムはブラックメタルのスタンダードでありながら、決してジャンルへの入り口となるようなアクセシブルな作品ではなく、むしろ部外者を拒絶し謝罪も譲歩も受けつけない唯一無二の無慈悲な威厳を纏っていました。
もちろん、旅路の果てに “Daemon” で取り払った装飾と実験性、そして時代を超えたプリミティブな獰猛と邪悪はオールドスクールな MAYHEM の姿を投影しています。しかし究極的には、”Daemon” で受け継いだと言われる “De Mysteriis” の遺産とは、原始的なピースとしての楽曲が、集合体として底知れない深み、知性を得る “De Mysteriis” のスピリット、構造そのものだと言えるのかもしれませんね。
そうして可能となった、内なる “悪魔” とのチャネリング。 Necrobutcher は “Daemon” こそがここ15年で MAYHEM の最高傑作だと断言します。
「2004年に “Chimera” をリリースしてから最も誇れる作品だ。ここ15年で最高のものだよ。おそらくそれは… “ライブフレンドリー” な仕上がりになったからだ。”Esoteric Warfare” や “Ordo Ad Chao” にはそこが決定的に欠けていたからね。
その2作も良いアルバムだったけど、ライブで再創造するのが難しかった。”Daemon” はそうじゃない。半数の楽曲はこれからライブでプレイする予定だよ。だから前2作とは全く関連がないとも言えるね。現行のメンバーで9, 10年は続けている。そうして成熟した成果なんだ。」
「俺らはこのレコードで全てを取り払い、”本質” へと戻したのさ。」”Daemon” に求めたものはブラックメタルの “本質”。ライブの原衝動は確かに本質の一部でしょう。では細分化、複雑化を極める現代のブラックメタル世界で Ghul の語る本質とは何を意味するのでしょう。初期の禍々しき “メイヘム” な記憶?
「俺にとってブラックメタルとは、いつだって精神を別の世界、領域へと誘う音楽なんだ。だから様々な表現方法があって然るべきだと思う。」
そう、彼らにとってサタニックテロリストの過激な姿はそれでも過ぎ去りし過去。それは Necrobutcher がかの “Lord Of Chaos” ムービーに放った 「全部でたらめだ。映画を見たけどただ悲しくなったね。良い映画じゃないよ。」 の言葉に投影されているようにも思えます。ブラックメタルの “本質” とは思想、信条にかかわらずリスナーを非日常の別世界、精神領域へと誘うパスポートだと言えるのかもしれませんね。
今回弊誌では、ギタープレイヤー Ghul にインタビューを行うことが出来ました。「彼らにとって大きな意味を持つ作品なんだと痛感したよ。だから、”De Mysteriis Dom Sathanas” を可能な限り忠実に、俺たちがライブで再創造することが重要だったんだ。」 どうぞ!!

MAYHEM “DAEMON” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【EXHORDER : MOURN THE SOUTHERN SKIES】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH KYLE THOMAS OF EXHORDER !!

“I Don’t Know If We Invented Anything. That Sounds Like a Science Laboratory. We Played What We Wanted To Hear. Along The Way We Influenced Many Bands, Some Of Which Went On To Greater Success Than We Achieved.”

DISC REVIEW “MOURN THE SOUTHERN SKIES”

「俺たちが何かを発明したかどうかは分からないよ。俺たちは俺たちが聴きたい音楽をプレイしていただけなんだ。そうして多くのバンドに影響を与えていくうち、その中のいくつかが俺たちよりも大きな成功を勝ち得たわけだよ。」
EXHORDER がグルーヴメタルを発明し、PANTERA が広めた。スラッシュ第2世代としてニューオリンズに生を受け、90年代初頭2枚の痛烈異色なレコードを残し四散したレジェンドは “他人の仕事” など歯牙にも掛けず豪胆に再び南部の風を運びます。
「クラッシックなニューオリンズのバンドを聴いて育てば、血や魂までその色に染まることになる。ここには偽りなき本物のスウィングとグルーヴが存在するんだ。そうやってルイジアナ南東部のリラックスしたアティテュードに浸れば、君も南部の男になれるさ。」
EXHORDER の咽喉笛 Kyle Thomas はそう語ります。Phil Anselmo も認めるように、”Slaughter in the Vatican” こそがメタルのアグレッションに “グルーヴ” の音魂を刻みつけた最初のアルバムだと言えるでしょう。MACHINE HEAD, LAMB OF GOD, そして GOJIRA へ脈々と受け継がれるそのスピリットにはアメリカ南部、”ディープサウス” の遺産とスラッシュメタル、さらに BAD BRAINS のパンクを熟成した香り高きウィスキーの濃厚な誇りが反映されているのです。
「そうだな…まあお互いを絞め殺したくないって気持ちが間違いなく役にたったな! 今回は様々に異なることを試したんだけど、これが異なる結果を得る唯一の方法だったんだよ。同じことを何度繰り返しても、どんなに強制しようとしても、結局アルバムという結果を得ることは出来ないんだから。」
そのタイトルにも南部のプライドが垣間見える “Mourn The Southern Skies” は、EXHORDER にとって実に27年ぶりの修羅。オリジナルメンバーこそ Kyle と Vinnie の2人だけとなりましたが、もはや Phil Anselmo の右腕とも言える Marzi Montazeri を筆頭に HEATHEN, FORBIDDEN の手練れを招き入れ宣戦の準備は整いました。
オープナー “My Time” は新生 EXHORDER があげる鬨の声。アイコニックなグルーヴとハイオクのアグレッションは30年の時を経ても不変にして至高。長い間メタル世界が彼らを待ち侘びた理由を突きつけます。
同時に、Kyle が TROUBLE, ALABAMA THUNDERPUSSY で培った幅広いレンジや中毒性を伴うメロディックな歌唱は復活の理由をも雄弁に伝え、「俺がボスだ。俺の時が来たんだよ、お前らなんて気にしねえ!」 と唯我独尊のアジテートを叩きつけるのです。
もちろん、”Asunder” や “Hallowed Sound” のスウィングするグルーヴに#9の南部の鼓動は “グルーヴメタル” のパイオニアとしての威厳と矜持を示威しますが、同時に Kyle のアンセミックな歌唱の魔法は “ファック” “ファンク” に加えて新たに備わった “エピック” の4文字を浸透させるに充分な説得力を誇ります。アコースティックの小技も光る7分のスラッシュ劇場 “Yesterday’s Bones” はまさしくその写し鏡でしょう。
今回弊誌では、Kyle Thomas にインタビューを行うことが出来ました。「俺たちが当時やっていたことは、80年代後半にとても成功し、俺たちの番になると衰退し始めていたんだよ。」 NYC の DEMOLTION HAMMER と合わせ鏡のようなキャリアを築いている点も興味深いですね。THRASH. IS. BACK. どうぞ!!

EXHORDER “MOURN THE SOUTHERN SKIES” : 9.8/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【THE NUMBER TWELVE LOOKS LIKE YOU : WILD GODS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH ALEXIS PAREJA OF THE NUMBER TWELVE LOOKS LIKE YOU !!

“Our Music Similarly Doesn’t Follow The Traditional Form Or Structure Of Most Music Out There. Overall It’s Fairly Volatile And Can Take Off In Any Direction At Any Given Time. We Have Always Enjoyed Exploring The Vast Possibilities Of Music And Prefer Not Be Cornered Into One Genre.”

DISC REVIEW “WILD GODS”

「僕たちの音楽は全体的にかなり不安定で、いつでもどの方向にでも進路を取れる。常に音楽の広大な可能性を探求して楽しみ、一つのジャンルに追い詰められることを望まないんだから。」
トワイライトゾーンのディストピアな未来において、画一化された “No.12” の外観を頑なに拒む伝統の破壊者 THE NUMBER TWELVE LOOKS LIKE YOU。デスメタル、ハードコア、スクリーモ、プログレッシブ、ワールドミュージック、ミニマル、ジャズといった幾千もの奇妙な混合物に数学的溶媒を注いだマスコアのパイオニアは、類稀なるライブのカタルシスを伴って00年代に君臨した怪物でした。そう2010年に人知れずその姿を消してしまうまでは。
ボーカリスト Jesse の言葉を借りれば失われた10年は “成長のための必要悪”。そして、インタビューに答えてくれたギタリスト Alexis に言わせれば “成長を実証” するためシーンへと帰還したモンスターは復活作 “Wild Gods” で拡散と成熟を同時に見せつけています。
「僕たちの音楽は常に変化を遂げている。僕の目標はつまり自分たちの過去を繰り返さないことなんだ。アルバムをいくつかリリースして、休息し、今はチャレンジ出来る。リスナーがオープンマインドで、ジャンルなど気にせずただ音楽に身を任せてくれたら嬉しいね。」
THE NUMBER TWELVE LOOKS LIKE YOU は確かに変化と共に進んできました。妥協を許さないアグレッシブなメタルコアとグラインドの紅い薔薇 “Put On Your Rosy Red Glasses” を出発点に、ポストハードコアを可能な限り最も苛性で迷路のような反復へ誘う “Grind. Sad. Nuclear”。 さらに “メランコリー” にヘヴィーとキャッチーを両輪に据えた出世作 “Mongrel” に、”ノン・メタル” な冒険を推し進めた “Worse The Alone” まで、ポリリズムと数学者の威厳を宿した “Polymath” の称号を手にしつつも、彼らは画一的な場所からは程遠い多種族のキメラとして常に保守、伝統へと挑んできたのです。
「確かにアルバムにはコンセプトがあるね。僕たち自身、そして自然界に纏わる現在の問題を反映しているんだよ。」
隠遁した10年の間に顕となった世界を覆う黒い雲。歌詞を書き上げた Jesse はこのアルバムがフィクションのように非常識極まる地球を宇宙人へと紹介する広告で、子供を虐待する司祭、司祭を守る教会、女性より優れていると信じる男性、動物を虐殺する人類といった “Wild Gods” をどうぞ見に来て下さいと嘯きます。そうしてバンドはその闇に、鋭き牙はそのままに咲き誇る多様性の嵐で贖うのです。
狂気とスリルに満ちた世の夜会を彩るサルサのダンス “Gallery of Thrills” はエクレクティック極まるアルバムの華麗なる招待状。エレクトロシンセとストリングスのサウンドスケープが過去と未来を行き来する “Ruin the Smile”、ラウンジジャズのアトモスフィアとメタルコアの残虐、プログレッシブの複雑がいとも容易く噛み合った “Raised and Erased”、サンバやボッサのメタリックな嘶き “Tombo’s Wound”。そうした多種多様な景観の中でも、テンポやムードは全て計算の下で刻々と移り変わり、さらに音の表情を増していくのですから驚きです。
“Ease My Siamese” が象徴するように、Jesse の囁き、荘厳に歌い紡ぎ、泣き叫ぶボーカルレンジがもたらすエモーションの振れ幅も絶妙に豊かで、フラメンコを基にした “Of Fear” では妻の Eva Spence (ROLO TOMASSI) と極上のデュエットまで披露しています。そうしてアルバムは、”Interspecies” のシロフォンとストリングスで異種間交流のロマンを運んだ後、ラテンのリズムと言語で究極の破滅をもたらす “Rise Up Mountain” で幕を閉じるのです。
2016 年に THE DILLINGER ESCAPE PLAN が活動を終えてから3年。CAR BOMB の新作と共鳴しながら “Wild Gods” は再びマスコアの時計を動かし始めます。今回弊誌では、Alexis Pareja にインタビューを行うことが出来ました。「MONO, envy, Melt-Banana みたいな日本のバンドはライブや音源を楽しんでいるよ。それにジャズの世界でも、上原ひろみ、福居良みたいな驚異的ミュージシャンがいてインスパイアされるね。」 昨年、来日も果たしています。どうぞ!!

THE NUMBER TWELVE LOOKS LIKE YOU “WILD GODS” : 9.9/10

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【LINGUA IGNOTA : CALIGULA】


COVER STORY: LINGUA IGNOTA “CALIGULA”

I’ve had a difficult time finding justice in the world, finding accountability for the people who have done harm to me… The music is my way of holding people accountable and finding justice. My way of finding revenge.

MY SWEET REVENGE…THE STORY BEHIND “CALIGULA”

「世界に正義を見出すこと、私を傷つけた人間に責任を見出すことにずっと苦労してきたの。だから音楽は奴らに責任を負わせ、正義を見つける私のやり方なの。私なりの復讐なのよ。」
家庭内暴力、虐待の生還者 Kristin Hayter のパワフルな言葉です。そして彼女の受けた恐ろしき痛みと攻撃性は、オペラからノイズ、インダストリアル、フォークに教会音楽、スピリチュアル、そしてメタルまで全てを渾淆した婀娜めきのプロジェクト LINGUA IGNOTA に注がれています。
「何か違うことがやりたかったの。新鮮で私のビジョンのみを投影したようなね。どんなジャンルやカテゴリーにも繋がりたくはなかったのよ。ルールや限界を設けることになるから。真正で正直な音楽を作りたかったのよ。」

LINGUA IGNOTA の新作 “Caligula” は確かに正直であり、そして同時に残酷なアルバムです。8分を超える楽曲3曲を含む11曲の連なりがリスナーに与えるのは罰にも思える疲労困憊の聴体験。
「もともとアルバムは、90分を超えていたの。さすがに音楽を詰め込みすぎだと思ってそれを75分にしたのよ。さらにそこから66,6分まで短縮したの (笑)。そんなちょっとしたジョークに溢れたアルバムでもあるのよ。リスナーをアルバムの “サイクル” へ誘うことで私は罰を受けなければならないの。だって彼らに示すのは家庭内暴力のサイクルなんだから。」
2017年の LP “All Bitches Die” に比べれば幾分かはアクセシブルかも知れません。ただし、それでも”アウトサイダーのオペラ” として生を受けた “Caligula” を咀嚼するには何度も何度もアルバムを噛みしめる必要がありそうです。
「言いようのないものに声を出したいし、本質的に表現が難しいものを人々に理解してもらいたいの。」と Kristin は説明します。 「それに、みんなが私についてあれこれ言うことを自虐ネタにもしているのよ。炎上商法とか、悪いフェミニストだとか。その反応を音楽にも取り入れているの。」

ただし、LINGUA IGNOTA は音楽プロジェクトとして始まった訳ではありませんでした。クラッシックのピアノと声楽を学び、シカゴでインターディシプリナリー (複数の学問の) クリエイティブアートを研究した後、実は Kristin の Brown 大学卒業論文こそが LINGUA IGNOTA の子宮でした。10,000ページに及ぶ論文のタイトルは “全てを燃やせ、誰も信じるな、自殺しろ”。THE MEAT SHITS のようなポルノグラインドバンドの性暴力的な歌詞を調べ、彼女自身の経験に照らして文脈化を果たします。
やがて彼女は自身の作品をロードアイランド州プロビデンスのDIYノイズ/メタルシーンへと持ち込み、自らと対立的な側面を実験し始め、2枚のレコードをリリースし、THE BODY とツアーを始めたのです。
「THE BODY にシーンを紹介してもらえたのがとてもラッキーだったわね。だって彼らは基本的に良い人間だけを周りに置いていて、奴らとは関わらない方がいい、クソだからってアドバイスをくれたから。」


そうして生まれた LINGUA IGNOTA に対する明確なビジョン、溢れる自信にもかかわらず、Kristin は彼女のアートをどこか客観的で距離を置いて見ている節があります。
「全ては私の中から生まれたものよ。だけどこの名前でパフォーマンスを行うことに何かしら距離を置いている部分もあるのよ。」
ライブにおいても、群衆の中に立ちライトで焦点をぼかし影に隠れて歌い紡ぐ Kristin。何より “未知の言語” を意味するラテン語の LINGUA IGNOTA という名前自体、中世ドイツのベネディクト会系女子修道院長であり神秘家、作曲家ヒルデガルト・フォン・ビンゲンが占いや神秘主義を目的に開発した言語 “リングア・イグノタ” を基にしているのですから。
そうした “ペンネーム” や “影のパフォーマンス” のみならず、歌詞の面でも Kristin は時に自身とアートの距離を考慮します。
「もちろん、個人的に経験したことをベースにしているけど、権力や暴力を乱用する男の言葉を引用することもあるわ。私に起こったことじゃなくても、(家庭内暴力の経験がある私なら)、その言葉に “重み” をもたらすことができるんだから。」

では “トランセンデンタル” とも形容され Chelsea Wolfe にも通づる音闇の聖堂の鍵はどこにあるのでしょう?
「リバーブね!ボーカルやピアノにリバーブをかけまくってウエットなサウンドにしているのよ。そうしてダークでありながら鮮明なサウンドスケープを創造しているの。」
カトリックと密接に思える LINGUA IGNOTA のアートですが、実は Kristin 自身は現在無神論者。
「教会で育ったけど、13で無神論者になったの。それ以来信じたり信じなかったりを続けているわ。今は…おそらく信じていない。だけどカトリックのイメージとか聖書の言語とは密接な繋がりを持っているの。カトリックに限らず、崇拝行為として構築された音楽やアートは実に美しく純粋な意図があるの。一方で、教会自体の不純な意図、腐敗に抑圧、虐待も存在するけどね。」
最近は DAUGHTERS の “You Won’t Get What You Want” がお気に入りです。
「他にもコーラルミュージックやドローンを良く聴くわ。サルディーニャやジョージアのポリフォニーも大好きよ。そういった音楽と Tim Hecker, Meredith Monk, それにハードコアやパンクをミックスしているのよ。」

血の滲むようなリリックとジャンルの枠を超えた音のマニフェスト “Caligula” のタイトルは、世の中全てを憎み全員を殺害しようとしたローマ皇帝のに因んで名付けられました。
「虐待の力、狂気、堕落、ナルシシズム…政治的なコミュニティーの世界で私は全てを見てきたわ…そしてそのトラウマの結果として自分自身にも狂気を宿すこととなったの。だからこそ、”Caligula” というタイトルが崩壊しかけて崖の淵にある現在の社会を例証していると感じたのよ。」
しかし、LINGUA IGNOTA の音楽は、差し迫った社会の衰退、崩壊と戦うための神器となるのでしょうか?
「時々、私の音楽が何かを助けているのか、それともノイズを追加しているだけなのかって自問自答するわ。私がを起こそうとしている変化をみんなが聞いてくれたらと望むわ。そして、私の音楽が弱く不可視とされている人々が虐待と戦うための力となることもね。」
権力を利用して他人を虐待する愚かな行為は政治の世界のみならず、ロックミュージックのコミュニティーを含む社会のあらゆる側面に存在します。ただ近年では、以前より多くの被害者が前に出て公の場で声を上げられるように改善が進んでいるようにも思えます。当然、やるべきことはまだまだありますが。
「エクストリームミュージックのコミュニティーは大部分がまだまだとても酷い状況よ。愚かな考えをもとにした醜い振る舞いや、ミソジニーが横行しているわ。実際、私を虐待した男の1人は有名なノイズミュージシャンだった。それに以前より保守的で右よりの政治性を欲しているようにも思えるわね。
ただ、だからと言ってコミュニティーやシーンを “取り締まって” 正すことが答えだとは思わないの。誰かを排除するコールアウトカルチャーは結局有毒でコミュニティーの助けにはならないわ。教育こそが正しい道だと思うの。複雑だけど、誰かを追放し排除するより考え方を変えたいのよ。」


Kristin は彼女の “音楽教育” がどの様な影響を与えたのか、虐待の被害者のみならず、加害者からも話を聞き前へと進む手助けになっていることを知り多少なりとも心の平安を得ます。
虐待というタブーに挑むのは、LINGUA IGNOTA だけではありません。SVALBARD はリベンジポルノを糾弾し、VENOM PRISON は代理出産やレイプについて叫びます。さらにそういった “正義の” バンドは増えるのでしょうか?
「家庭内暴力や性的暴力の経験はありふれたものよ。だからそういったテーマのプロジェクトは今後増えていくと思うの。ありふれていてリアルだからこそ、自らの経験やトラウマを扱うのは当たり前になっていくはずよ。」
そう、”リアル” こそが LINGUA IGNOTA を魅力的な妖魔としているのです。 ドラマのために作られたフィクションではなく、究極に恐ろしくしかし正直な場所に端を発するノンフィクションは、故に近寄りがたい音の葉を纏っていますが、奈落の底でヘヴィーなリスナーと深く深く繋がっています。
「どれだけの人が女性を嫌っているか、どれだけ世界が女性を嫌っているか知れば知るほど、”サバイバー” として他の女性への責任を感じるの。これからどこに行くのでしょうね?だけど最も重要なことは、リアルであり続けること。だから音楽を作ったり、暴力について語る必要がなくなればそうするわ。永遠に虐待の被害者になりたくはないからね。」

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