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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【百合花 (LILIUM) : 萬事美妙】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH 百合花 (LILIUM) !!

“If composing music is like cooking, I’m probably a chef who loves using local ingredients. Taiwan has such a rich musical heritage to explore”

DISC REVIEW “萬事美妙”

「作曲が料理のようなものだとしたら、僕は地元の食材を使うのが大好きなシェフなのかもしれない。 台湾には探求すべき豊かな音楽遺産が多くあり、僕は大学でも民俗学を学んできた。 学べば学ぶほどその魅力に取りつかれ、だから僕は常にそうした要素を自分の作品に織り込んでいるんだ」
台湾へ旅したことのある人なら、彼の地の料理、その本場の躍動感に圧倒された経験があるはずです。その地で育ち、その地の歴史や空気を吸って生み出された文化の蓄積は、あまりにも尊く、そして魅力的です。
近年、そうした唯一無二の審美や精神性を自らのアートに取り入れるメタルやプログレッシブの綺羅星が登場し、シーンを牽引していますが、台湾の百合花もそうしたバンドのひとつ。そして彼らが料理した音楽は、西欧というポップスやロックの出発点を置き去りにするほど、理想的な東洋の神秘だといえるでしょう。
「僕は音楽を聴くたびに、その要素を分解し、ジャンルの起源をたどることに惹かれる。 音楽は人間が作り出したものだから、文章と同じように分析することができるんだよ。その土地の語彙や借用語、さらには発音を間違えて生まれた新しい用語みたいなものを、音楽の中に発見できる。だから将来、百合花の音楽を聴いた人々が、その中に埋め込まれた北管や南管の要素を発見してくれることを願っているよ」
音楽を文章に例えるとしたら、百合花が記す言葉は豊かなクレオールなのかもしれませんね。プログレッシブやメタル、オルタナティブ・ロックはもちろん、ボサノバ、レゲトン、ディスコ・ファンク、そして演歌にいたるまで、西洋も東洋もなく、あまりにも多様な音の葉を飲み込んだ彼らの音楽は、しかしいかなる時も “台湾的” なバイブスに貫かれています。
台湾に根付いた伝統音楽、北管・南管に加えて、銅鑼、リコーダー、葬儀の音楽。そして、多くの台湾人がマンダリン、北京語の台湾方言を使用する中で、台湾伝統の Hokkien (福建語) で紡がれる百合花の音楽には確実に台湾固有のスピリットが宿っています。だからこそ、百合花の音楽は、色彩豊かでに驚きに満ちた万華鏡の中に、確固とした独自のビジョンを投影できるのです。
「音楽は、人々に過去に起こったことを思い出させ、同じ過ちを繰り返さないようにすることができる。 例えば、僕たちの曲のひとつである “もし私が女だったら”(假使我是一個女人)は、政治的犠牲者である蔡奇遠さんの獄中告白をもとに生み出した。 脱獄中、彼は女装して美容院に行き、髪をセットしてもらっていたんだ」
戦争の足音がゆっくりと、しかし確実に忍び寄る東アジアにおいて、最新作 “萬事美妙” で彼らは各曲で複数の主人公の物語が探求することに決めました。祝福を授ける神様から、無力感に苛まれる外国人の叫び、道端の占い師の問いかけ、大道芸人の送別パフォーマンス、そして政治犯の嘆きまで、バンドの楽曲は台湾音楽に台湾音楽ならではの想像力豊かで、思考を要する視点をもたらしました。
そう、音楽は世界を変えることはできなくとも、その身に宿った旋律やリズム、そしてリリックで心を動かすストーリーを伝えることならできるのです。過去や寓話、物語から学ぶのもまた、おそらくアートを嗜む私たちの義務なのですから。そうすればきっと、”すべてが素晴らしくなる” はずです。
今回弊誌では、ボーカル/ギターの林奕碩 (リン・ イースォ) とベーシスト林威佐 (リン・ウェーズォ) にインタビューを行うことができました。「台湾の文化は日本文化の影響を強く受けている。 僕たちが若い頃は、年長者が日本の演歌を歌っているのをよく耳にしたものだよ。 そして、台湾の歌の多くも演歌の影響を受けているんだ。 僕たちの歌 “藝術家” も演歌の影響を使っているんだ。台湾の年長者の様子を表現するためにね。 あと、”猿捕り唄”(掠猴之歌)のアレンジは、任天堂の “マリオブラザーズ” のサウンドトラックの影響を受けているよ」 どうぞ!!

百合花 “萬事美妙” : 10/10

INTERVIEW WITH 百合花

Q1: Our magazine focuses on heavy metal and progressive music, but in recent years, more and more such bands are valuing their own culture, language, and roots. I assume you are one of them. Why do you make music that values Taiwanese culture, music, and language?

【SHUO】: If composing music is like cooking, I’m probably a chef who loves using local ingredients. Taiwan has such a rich musical heritage to explore; I’ve studied both in university and through folk traditions. The more I learn, the more fascinated I become, and I constantly weave these elements into my own work.
Before I discovered traditional music, Progressive Rock was my go-to―I love the structures used by bands like Yes, Kansas, and Queen’s ‘Bohemian Rhapsody.’ So, when I try to fuse tradition with rock, my ideas naturally lean toward that Prog Rock vibe. I’m also a big fan of the ‘manic’ and unpredictable arrangements you hear in bands like System of a Down.

Q1: 本誌はヘヴィ・メタルやプログレッシブ・ミュージックを中心に扱っていますが、近年、そうしたバンドが自国の文化や言語、ルーツを大切にするようになってきているように感じます。
百合花もまた、そんなバンドのひとつだと思いますが、あなたはなぜ台湾の文化、音楽、言語を大切にした音楽を作るのですか?

【SHUO】: 作曲が料理のようなものだとしたら、僕は地元の食材を使うのが大好きなシェフなのかもしれない。 台湾には探求すべき豊かな音楽遺産が多くあり、僕は大学でも民俗学を学んできた。 学べば学ぶほどその魅力に取りつかれ、だから僕は常にそうした要素を自分の作品に織り込んでいるんだ。
伝統音楽に出会う前は、プログレッシブ・ロックが僕のお気に入りだった。YES
や KANSAS、それから QUEEN の “ボヘミアン・ラプソディ” のような構造が大好きなんだ。 だから、伝統とロックを融合させようとすると、僕のアイデアは自然とプログレッシブな雰囲気に傾くんだ。 また、SYSTEM OF A DOWN のようなバンドで聴くことができる、”マニアック” で予測不可能なアレンジメントの大ファンでもあるよ。

Q2: Your use of the Taiwanese language is another important factor for 百合花! What is the significance of sticking to Taiwanese when most people use Mandarin?

【SHUO】: While Mandarin has developed its own unique local flavors and accents in Taiwan over the last 70 years, my heart belongs to the older traditions. Growing up in a family where Taiwanese Hokkien (Taigi) was the primary language, I was surrounded by a way of speaking that felt incredibly alive―full of raw emotion, humor, and everyday energy.
As a singer, you have to truly believe in the words coming out of your mouth to be convincing. For me, everything just clicks when I sing in Taiwanese. It feels authentic and ‘right’ in a way that other languages just can’t match.

Q2: 台湾語を使うことも百合花にとって重要な要素ですね! 台湾でも多くの人が北京語ベースの言葉を使う中、台湾語にこだわる意義はなんですか?

【SHUO】: この70年の間に、台湾では標準語が独自の風味とアクセントを持つようになった。だけど、僕の心は古い伝統に根ざしている。 台湾の福建語(タイギ)を母国語とする家庭で育った僕は、生の感情、ユーモア、日常のエネルギーに満ちた、信じられないほど生き生きとした話し方に囲まれていたんだ。
歌手として説得力を持たせるには、自分の口から出る言葉を心から信じなければならない。僕の場合、台湾語で歌うとすべてがピタリとはまる。 他の言語にはない、本物の “正しい” 感じがするからね。

Q3: In the East, pop and rock music is more or less influenced by Western music, theory, and culture, as is the case in Japan, but you have to find a way to deal with it, would you agree?

【WEI】: I agree. But I think the crucial part is finding your own way to express yourself. After all, everyone is influenced by different cultures, so it is difficult to sort them by using labels like East or West. I think Japanese music does a great job. You can hear the influence of Western Music, but also did some iconic breakthroughs in timbre and style.

Q3: 東洋では、ポップスやロックが多かれ少なかれ西洋の音楽、理論、文化の影響を受けていて、それは日本も同じです。あなたたちは、その葛藤に対処する方法を見つけたようですね?

【WEI】: そうだね。 でも肝心なのは、自分なりの表現方法を見つけることだと思う。 結局のところ、誰もが異なる文化の影響を受けているわけだから、東洋とか西洋とかいうレッテルで分類するのは難しい。 日本の音楽は素晴らしい仕事をしていると思う。 西洋音楽の影響も感じられるけど、音色やスタイルにおいて象徴的なブレークスルーもあるからね。

Q4: I feel that 北管・南管 are in a way one of the major roots of Taiwan and 百合花. By incorporating this into your rock, do you also intend to introduce it to the younger generation and the world without letting it fade away?

【SHUO】: Whenever I listen to music, I’m drawn to deconstructing its elements and tracing the origins of its genres. Since music is a human creation, it can be analyzed much like a sentence: you find local vocabulary, loanwords, and even new terms born from mispronunciations.
My hope is that when people in the future hear Lilium’s music, they’ll discover the Beiguan and Nanguan elements embedded within―almost like clicking a link on a website that leads you to a whole new world of discovery.

Q4: 北管・南管もある意味、台湾や百合花の大きなルーツのひとつだと感じています。 そうした伝統音楽をロックに取り入れることで、若い世代や世界にも風化させることなく紹介していきたいのですか?

【SHUO】: 僕は音楽を聴くたびに、その要素を分解し、ジャンルの起源をたどることに惹かれる。 音楽は人間が作り出したものだから、文章と同じように分析することができるんだよ。その土地の語彙や借用語、さらには発音を間違えて生まれた新しい用語みたいなものを、音楽の中に発見できる。
だから将来、百合花の音楽を聴いた人々が、その中に埋め込まれた北管や南管の要素を発見してくれることを願っているよ。ウェブサイト上のリンクをクリックすると、まったく新しい発見があるようにね。

Q5: Taiwanese culture is not only influenced by the West, but also by Japanese culture, right?What is the connection between your music and Japanese music and other cultures, such as anime and video games?

【WEI】: Taiwanese culture is very influenced by Japanese culture. When we were young,we often heard the elders sing Japanese enka. Many Taiwanese songs are also influenced by enka. Our song ‘Artist’(藝術家) uses this type of music to describe the state of elders. The arrangement of ‘The Monkey Catching Song’(掠猴之歌) is also influenced by the soundtrack of Nintendo’s “Mario Brothers”.

Q5: 台湾の文化は西洋だけでなく、日本の文化からも影響を受けていますよね。あなたの音楽と日本の音楽、そしてアニメやビデオゲームなど他の日本文化との関係はどういったものですか?

【WEI】: 台湾の文化は日本文化の影響を強く受けている。 僕たちが若い頃は、年長者が日本の演歌を歌っているのをよく耳にしたものだよ。 そして、台湾の歌の多くも演歌の影響を受けているんだ。
僕たちの歌 “藝術家” も演歌の影響を使っているんだ。台湾の年長者の様子を表現するためにね。 あと、”猿捕り唄”(掠猴之歌)のアレンジは、任天堂の “マリオブラザーズ” のサウンドトラックの影響を受けているよ。

Q6: I was very impressed by the song about a Taiwanese funeral. Does 萬事美妙 also have songs that deal with Taiwanese culture and traditions?

【SHUO】: The second recorder interlude in the song ‘Strange Smell’ (怪味)is an adaptation of the melody from ‘Sui Di Yu’ (Fish Beneath the Water), a traditional Beiguan piece.
https://www.youtube.com/watch?v=Utg5mbjlznQ.

Q6: 台湾のお葬式を歌った曲はとても印象的でした。”萬事美妙” にも、そうした台湾の文化や伝統を扱った曲があるのですか?

【SHUO】: 2つ目のリコーダー間奏曲 “Strange Smell” (怪味)は、北管の伝統曲 “Sui Di Yu”(水底の魚)のメロディーをアレンジしたものだよ。
https://www.youtube.com/watch?v=Utg5mbjlznQ

Q7: East Asia has been hearing the footsteps of war in recent years… Taiwan in particular has some difficult political, diplomatic issues, how are you dealing with those political and social issues?

【SHUO】: While staying informed about global politics is a civic duty, my heart lies in my craft. To me, creating art is the act of accumulating culture; there is nothing more vital than laboring for one’s own roots. In this interconnected world, it’s a pity to see global tastes converging so heavily toward the style of major cultural exporters.

Q7: 東アジアでは近年、戦争の足音が近づいているように思えます。 特に台湾は政治的、外交的に難しい問題を抱えていますが、そうした問題にあなたは個人的にどう対処していますか?

【SHUO】: 世界の政治について情報を得ることは市民の義務だけど、僕の心は芸術、創造にある。 僕にとって、芸術を創造することは文化を蓄積する行為なんだよ。自らのルーツのために、自らの文化を蓄積するために労働することほど重要なことはない。
この相互接続された世界において、世界の嗜好が主要な文化輸出国のスタイルに大きく収束していくのを見るのは残念なことだけどね。

Q8: With Covid, war, and division, the world has been getting darker and darker since the beginning of the 20s. In such a world, what can music do?

【WEI】: Music can remind people of what happened in the past through singing, and prevent them from repeating the same mistakes. For example, one of our songs, “If I Were a Woman,”(假使我是一個女人) is based on the prison confession of Mr. Tsai Chi-Yuan, a political victim. During his escape, he dressed up as a woman and went to a beauty salon to get his hair done. The song describes how Tsai Chi-Yuan suffered after escaping dressed as a woman and began to doubt his desire to dress up.

Q8: パンデミック、戦争、分断と、20年代に入ってから世界はどんどん暗い場所となっています。 そんな世界で、音楽には何ができるのでしょう?

【WEI】: 音楽は、人々に過去に起こったことを思い出させ、同じ過ちを繰り返さないようにすることができる。
例えば、僕たちの曲のひとつである “もし私が女だったら”(假使我是一個女人)は、政治的犠牲者である蔡奇遠さんの獄中告白をもとに生み出した。 脱獄中、彼は女装して美容院に行き、髪をセットしてもらっていた。 この歌は、女装して脱獄した後、蔡氏がどのように苦しみ、自分の女装願望を疑うようになったかを描いているんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED LILIUM’S LIFE!!

Red Hot Chili Peppers “By the Way”

伍佰&China Blue “樹枝孤鳥”

Yes “Fragile”

Michael Jackson “Off the Wall”

Tenacious D “Tribute”

MESSAGE FOR JAPAN

SHUO: I truly admire the Japanese music scene―there’s an audience for every kind of unique sound. I really hope Japanese listeners will enjoy our music too! Can’t wait to see you all soon!

僕は心底、日本の音楽シーンを崇拝している。日本の音楽シーンには、どんなユニークなサウンドにも耳を傾けてくれるオーディエンスがいるからね。 だから、日本のリスナーにも僕らの音楽を楽しんでもらいたいね! 早くみんなに会いたいよ!

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【KARNIVOOL : IN VERSES】


COVER STORY : KARNIVOOL “IN VERSES”

“I do hope this album can help people in the way it has helped me, and also that it may inspire and encourage some people reading this, especially those entering their mid to later years to finish that project that they’ve wanted to finish for a while.”

IN VERSES

「目的を遂げる人もいる。遂げられない人もいる。何とかやっていける人もいる…やろうとしない人もいる」
これは、伝説的なオーストラリアのプログレッシブ・メタル・バンド、KARNIVOOL 4枚目のアルバム “In Verses” のコーラスの一部です。数々の賞を受賞したアルバム “Asymmetry” 以来、バンドは長き停滞状態に陥っていました。残ったファンは、滅多にないツアーと、時折の謎めいたソーシャルメディアの投稿でなんとか生き延びてきました。しかし、ついにその待ち時間は終わりました。
13年の時を超えたアルバム “In Verses” は、最高のプログレッシブ・メタル・バンドの一つである KARNIVOOL が時とともに強くなることをリスナーに粘り強く、そして辛抱強く思い出させてくれる作品です。リフはよりラウドに、リズムはより奔放に。しかし、このアルバムを最高傑作としているのは、メロディーとフックです。長年に渡って最高のモダン・プログ作品の一つとして記憶されるに違いないこのアルバムは、長い間オーブンの中で温められてきました。キッチンに常に料理人がいたわけではないにしても。
「まあ、すべての始まりと終わりをここで説明していたら永遠になってしまうけど、本当に長かった。実際、長すぎたよ。どのアーティストにも、ここまで長い時間をかけるのはお勧めしないね!過去10年ほど、新作に取り組んでいると何度か公言してきたはずにしても。以前のアルバムはどれも、いわゆる “オリンピック周期” の4年に沿っていたので、アルバム “Asymmetry” のリリース後、2014年初頭に4枚目のアルバムの制作に着手し、最初はほぼ同じ期間でのリリースを目指していたんだ。最初の試みは2016年半ば、プロデューサーの Forrester が西海岸に来て、アルバムの半分、あるいはEPの拡張版くらいの感じでレコーディングを始めた時だったね。最終的に “In Verses” に収録された曲のほとんどは、その時点ですでに制作中だった。今にして思えば、かなり生産的で、あのセッションのおかげで曲が完成に近づいたんだ。でも、まだ準備が整っていなかったのは明らかだった。
その後の数年間は、本当に軌道に乗ろうと努力する中で、厳しい日々だった。仕事は散発的で、たとえ進歩があったとしても、それは断片的で、試練の時期、個人的な葛藤、経済的な問題、そしてバンド内の勢いと結束力の深刻な欠如に満ちていたね。何かが芽生えたとしても、すぐに消えてしまうような感じ。この時期は僕にとって個人的にも大変な時期で、砂漠へ移住することにしたんだ。これは、健康と幸福を最優先にし、自分自身を癒し、再び自分の足で立つ機会を得るという点で、僕にとって大きな決断だった。この間には実に多くのことがあり、一段落にまとめるのは不可能だけど、これまでの道のり、あらゆる試練と苦難、失敗した試み、成功、そして僕たちの人生の年月はすべて価値があったと言えるだろう。それらすべての時間と経験が、アルバムに収録された曲という最終的な形へと凝縮されていった。今振り返ってみると、曲が息を吹き込み、熟成していくには、時間と空間が必要だったのだと思うんだ」

バンドの中心人物、ギタリスト Drew Goddard は紆余曲折を経たため、勢いという要素が逆に厄介な存在となったと感じていました。皮肉なことに、勢いを排除した “In Verses” はだからこそ素晴らしく、そして完璧に練られた構成となっています。無理強いするよりも、自分たちのプロセスを信頼していたからこそ、まとまりが生まれたのです。
「方向性を事前に決めることは決してないんだ。アルバムのテーマは直感的な創作上の決断からゆっくりと、しかも長い時間をかけて浮かび上がってくるイメージのようなものさ。だから、常にプロセスを信頼するという要素があり、音の冒険心とエネルギーが僕たちの創作プロセスを突き動かし、アルバムごとに共通のテーマを提供している。でも、僕たちは同じことを繰り返すのは好きじゃない。僕自身、自分が作る音楽の中に新しいサウンドや感覚を見つけ、それがこうして生まれたことに驚きたいという欲求に突き動かされている。振り返ってみると、”In Verses” はある意味、新境地を開拓したように聞こえる一方で、過去3枚のアルバムの要素も含まれており、バンドが共に歩んできた時間をより強固なものにしている。まるで一つの章の終わりと新たな章の始まりのようにね」
アルバムが形を成していくうち、ひとつのテーマが浮かび上がりました。それはまさに、13年という長い月日を経ても彼らが貫き通したもの。諦めないこと。挑戦を続けること。
「諦めないことが鍵だと思う!僕らはどのアルバムでもすごく挑戦的だけど、今回のアルバムはこれまでで最も挑戦的だった。人生は挑戦に満ちている。僕にとって KARNIVOOL の音楽は、逆境や困難を乗り越えて勝利を収めるためのサウンドトラックのようなもの。暗いけれど、一筋の光が僕たちを前に導いてくれる。だから、アルバム制作のプロセス、そこに込められた感情を作品に反映するのは、本当に自然な流れだった。僕にとっての報われた瞬間は、2023年初頭のヨーロッパツアーの頃。心身ともに健康で、ツアー前よりもずっと良くなり、バンドの雰囲気もポジティブになった。みんなで演奏し、ツアーを楽しみ、観客からのサポートと反応を喜べるようになった。8年間ヨーロッパツアーをしていなかった後、観客からこれほどの興奮と喜びを受け取ったことは、前進し続ける大きな原動力となったんだ。その気持ちが雪だるま式に大きくなり、そこから勢いがついたと感じているよ」

オーストラリアのパースから現れたことも、彼らの個性を強くしています。パースは地球上で最も孤立した大都市の一つであり、それが KARNIVOOL を世界的な音楽業界のトレンド追及のプレッシャーから守ってきたと言えるのかもしれません。
「初期の頃は、それが間違いなく役に立った。本当に未熟な中でも、自分たちの技術を磨くことができた。下手くそだったけど、世に出なくても手探りで自分たちの “もの” を見つけることができた。戸棚の下に眠って埃をかぶっている素材がたくさんあるんだ」
Goddard は活動休止期間中、この孤立をさらに一歩進め、自己反省のために砂漠へと移住しました。
「しばらくの間、人が少ない田舎で違う意味で自分がダメなことを許したんだ。でも、孤独と孤立の間には微妙な境界線があるんだよな。僕にとって最も孤独な瞬間は、人混みの中にいた時だったような気がするよ」
その “砂漠での時間” は、広大で同時に深く個人的な感覚を持つアルバム “In Verses” のDNAに深く影響を及ぼしました。現在彼らの影響は、依然として多岐にわたります。そもそもは MESHUGGAH, TOOL, SOUNDGARDEN のホーリー・トリニティを基盤としていましたが、新作はより意外な分野から影響を受けています。モロッコ音楽の微分音的変化、J Dillaの “酔ってよろめく” ヒップホップのリズム、そしてボイジャー探査機のゴールデン・レコードまで驚くべきカラフルなインスピレーションたち。
「ボイジャーのレコードでネイティブ・アメリカンの歌を聴いて、ゾクゾクしたんだ。強烈なダイナミクスの変化、何もない状態から巨大なものへと変化し、また元に戻る。僕たちは常に、これまで聴いたことのない音程やリズムを探しているんだ」

彼らのアルバムの中で最も精緻なアレンジメントを誇る “In Verses” ですが、最も長く聴き続けられる3曲は、作品の中間部にあります。もちろん、”Ghost” と “Drone” はプログではほとんど見られないような即時性を示し、”Opal” はアルバムで最も心を揺さぶるメロディーを収録しています。しかし、”In Verses” が輝かしい作品から特別な作品へと変貌を遂げるのは、 “Animation” から始まる部分であり、KARNIVOOL があらゆるツールを巧みに使いこなしその技巧を際立たせる、スリルとサスペンスに満ちたサウンドはまさに唯一無二でしょう。
「”In Verses” の中間部は、まさに今のバンドの特徴を体現している。”Animation”, “Conversations”, “ReAnimation” は、どれも同じ音楽モチーフ、いわば同じ音楽文化から生まれたと言えるだろう。それぞれ全く異なる独立した曲でありながら、共通のテーマを共有しているんだ。同様に、”Remote Self Control” は “Aozora” の制作から生まれた曲で、他の曲から曲が生まれた例も数多くある。こうした例は、長い時間をかけて書き上げられたアルバムに、統一感を与え、ひとつに繋がっていく。そうしたディテールの追求こそがこのアルバムの鍵だ。完成してもまだ突き詰めたい、放棄したくない気持ちがあるほどにね」
“Themata” が荒削りなオルタナ・メタルの導入部で、”Sound Awake” が広がりのあるメロディアスな傑作だとすれば、”Asymmetry” は難解で不協和音に満ちた作品でした。そして、このアルバムは音色の限界を押し広げ、しかしリスナーを “Asymmetry” の “煉獄” へ置き去りにはしません。
「 “The Refusal” が大好きなんだ。”Asymmetry” で最も耳障りな曲の一つ。解決しないキーで歌われている。最後の歌詞は “これは不可能だ” で、ただ奇妙な後味を残すだけだ。”In Verses” は、色々な意味でそれに対する反応なんだ。有機的な進行ではあるけど、僕らはもう少し何かを探求している…ストレートとは言いたくないけど、もっとハーモニーがあって、もっと安定したメロディーがある」

リード・シングル “Drone” はその言葉を裏付けています。推進力のある分厚いベースラインと、高らかに響くボーカルパフォーマンスが曲を牽引しますが、興味深いことに、この曲の起源は完全に機械的なものでした。
「タイトルは “Drone Commander” という機器に由来しているんだ。信号発生器なんだよ。それが生み出したドローン・サウンドが、この曲全体のベースになった。僕らはその機械にあわせて曲を書いたんだ。このトラックは、広大な西オーストラリアの砂漠の重みを響かせ、故郷ならではの壮大なロックリフに支えられている。それは、反映であり、再生でもある。”Opal” の”死がそばにあるかのように、私はじっと静かになるだろう” という歌詞も、ずっと心に留めていた。何かがひらめいて、最終的な歌詞にも反映されたんだ」
“Opal” の一部は、Goddard が KARNIVOOL と曲作りを始めた最初期に遡ります。
「中間とエンディングのリフは、実は “Themata” 時代に実家のパソコンで初めて録音した曲なんだ。そして20年後、収まる場所を見つけたんだ。より現代的にアレンジしてね。”You’ve been holding up…” で始まるヴァースは、”Asymmetry” 収録の “Aeons” からカットされた部分。曲全体が、今まで経験したことのない形でひとつにまとまった。昔からバラバラだったアイデアが、突然、ひとつの場所に収まったんだよね」
そして、ハープまで使用した深く心に響くこの曲は、バグパイプも含め、息を呑むようなクロージング “Salva” へと繋がっていきます。
「僕たちは今でもアルバムという音楽形態の価値を信じている。アルバムを最初から最後まで一つの旅として聴いてもらえれば、この曲の真髄はもっと伝わってくると思うんだ。KARNIVOOL の旅路を共に歩んでくれて、それを僕たちと共有してくれた人たちにとって、最後の2曲、”Opal” と “Salva” が何かを与えてくれるといいな… 僕自身、解放感、ある種のカタルシスを得られたからね」

“Drone” のアートワークは、灰色と白の海に浮かぶ荒涼とし傾いた船を描いていて、あるファンが “KARNIVOOL が最後にアルバムをリリースしたときは、あの船の下に水があった” とコメントしたジョークを彼らは気に入っています。つまり、”In Verses” の音楽やリリックは、そのアートワークから想像されるほど陰鬱なものではないと彼らは示唆しています。
「常に音楽主導なんだ。歌詞は音符への反応となる。だから何よりもまず、言葉の響きが重要だ。Ian は非常に即興的で、”Conversations” のような曲でそれは顕著だ。数テイクを録ると、突然彼の表情が変わる。”意味不明な言葉” を声に出して、それがやがて意味へと結晶化していく。僕らにとって、声はまず楽器であり、物語を語るのは次のステップなんだ。音楽にどう合うかが重要で、歌詞の意味は、言葉の響きによって決まることもある。発明というより発見だ。僕らは岩の中から歌を掘り出しているんだ」
THE BEATLES と MESHUGGAH は彼らのお気に入り二大バンドですが、制作のスピードは大きく違います。
「僕らの時代の4年は、ビートルズの世界では1週間くらいだろう (笑)。彼らがどうやってやったのか、わからないよ。ビートルズは MESHUGGAH と並んで僕のお気に入りのバンドだし、僕らの中でそのバランスは取れている。でも、彼らはあらゆるルールの例外なんだ」
彼らは困難を乗り越え、その努力に意味を持たせようとする勇気をリスナーに感じてほしいと願っています。そして、人生のピークを迎えた人、あるいはピークを越えた人に向けて、自らの音楽と姿勢を通して特別なメッセージを送っているのです。
「このアルバムが、誰かの力になればと願っている。僕自身を支えてくれたようにね。そして、特に中高年の人たちが、人生でずっとやりたかった作品なり、プロジェクトなりを成し遂げるきっかけになればと願っているんだ。僕はいつもこのことを考えていてね。時には辛い努力を経て、日の目を見るべき素晴らしい芸術。そんな芸術的な宝物が、世界中にたくさん眠っているはずなんだ。中高年になり、時間やお金、仕事や家族のことでアートを完成させることを諦めかけている人も多いだろう。だけどそれらは世界に残され、共有され、聞かれるに値するものであり、ハードディスクの中に永遠に埋もれてしまうべきではないんだよ。だから諦めずに、必要な助けを求め、ただ進み続けてほしい」

参考文献: NEW NOISE MAG :INTERVIEW: KARNIVOOL GUITARIST DREW GODDARD TALKS ‘IN VERSES’

MGM :KARNIVOOL: THE WAIT IS OVER – INSIDE THE 12-YEAR JOURNEY TO ‘IN VERSES’

THE MUSIC AU:Karnivool Detail The Epic Grind Behind ‘In Verses’: ‘Everyone’s Still Finding Really Beautiful Stuff On This Record’

COVER STORY + INTERVIEW 【WITHOUT GRIEF : DEFLOWER】REUNION SPECIAL !!


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH TOBIAS OLS OF WITHOUT GRIEF !!

“The Gothenburg scene was something we really looked up to and were heavily inspired by. Bands like In Flames, At the Gates, and Dark Tranquillity showed that extreme metal could be both aggressive and melodic without losing its edge.”

DISC REVIEW “DEFLOWER & ABSORBING THE ASHES”

「もしかしたら、今回の再結成は中年の危機のようなものかもしれないね。このままでいいのか…人生に対する虚無感、頭打ち、過去への後悔。過去を振り返り、かつて自分にとって全てだったメタルと再び繋がり、より現実的で誠実な方法であの感覚を味わいたいという思いが、今、芽生えているのかもしれないね」
ミッドライフ・クライシス。中年の危機。第二の思春期。中年にさしかかり、人生の残り時間がなんとなく見えてきて、自分の可能性がみるみる狭まっていくこの時期に、多くの人は心に揺らぎをおぼえ、葛藤や不安を感じるようになります。自分の人生はこのままで良いのだろうか、満たされているのだろうか、何者かになれたのだろうか。
そうして、虚無感や焦り、後悔に孤独を経験しながら、人生の目的を見出し、新たな生き方を見つける人もいるでしょう。そして、思春期に愛していたものや、若い頃やり残していたことに再び戻る人も少なくないはずです。スウェーデンの WITHOUT GRIEF も、かつては自らの “人生” だったヘヴィ・メタルに戻ってきた、再びメタルに人生の目的を見出した中年たち。
「”これで終わりだ” と正式に宣言したことはないんだ。バンドはゆっくりと衰退していった。リハーサルの回数は減り、コミュニケーションも少なくなり、ついには完全に消滅してしまった。メンバーの中には、他のバンドやキャリア、あるいは全く違う人生へと進んでいく人もいたけど、当時はそれが自然なことだったんだ。僕自身、10年以上ギターを弾くのをやめていたしね。数年後、ようやく再びギターを手に取った時、期待やプレッシャーを感じることなく、ただ音楽そのものを楽しむことができる、正しい理由で演奏できることに気づいたんだ。それが僕にとって重要な転機となったね」
メロデスの第二波、いわゆるイエテボリ・スタイルの波に乗って登場した WITHOUT GRIEF は、90年代後半に彗星の如く現れ、サポートもなく、野心と期待に押しつぶされ、ミレニアムを迎える前に歴史を閉じた短命のバンドでした。普通なら、すぐ忘れ去られてしまう数ある流れ星のひとつ。しかし、その強烈な扇情力とアグレッションを併合したメロデスは、わずか2枚のアルバムしか残していないにもかかわらず、彼らを伝説、もしくは幻の存在へと押し上げました。だからこそ、多くの待ち人が月の満ち欠けのごとく静かに、しかし輝きを灯したまま、WITHOUT GRIEF の復活をずっと願っていたのです。
「当時は IN FLAMES をよく聴いていて、”Whoracle” は “Deflower” の約1ヶ月後にリリースされたんだ。アルバム発売前にデモ曲を1曲聴いた時点で、何か特別なものが来ると確信していたよ。彼らの初期の作品は当時僕のお気に入りだったけど、”Whoracle” はまさにその伝統にふさわしい作品だった。メロディック・デスメタル全体にとって、とても刺激的な時代だったよね。多くのバンドが、それぞれ独自の方法で同時にジャンルを前進させていたんだ」
特に彼らのデビュー作 “Deflower” には、このジャンルを大人気に押し上げたあらゆる要素が詰め込まれていました。ツインギターによる繊細なリードとメロディ、クラシック・メタルの影響、正確で神速のドラミング、知的なテンポの変化、そして叫びと唸りを交互に織り交ぜた迫力のボーカル。また、スウェーデンのフォークロアの影響も非常に興味深く、初期の IN FLAMES 作品と同様に、ほぼすべての曲に魅力的に取り入れられています。実際、”Subterranean” や “The Jester Race” に比肩し、同じ年にリリースされた “Whoracle” を凌ぐと評する人も少なくなかったほど。
彼らに足りなかったのはただ、レーベルのサポートとほんの少しの運だけだったのかもしれませんね。それでも、四半世紀の後、彼らは戻ってきました。失ったものを、人生を、ヘヴィ・メタルを取り戻すために。プレッシャーからも、期待からも、自らの野心からも解き放たれ、中年となった今こそ、彼らには自由な創造の翼が宿ります。
今回弊誌では、ギタリスト Tobias Ols にインタビューを行うことができました。「ヘヴィ・メタルは国境やイデオロギーを超越し、同じ言葉を話さなくても、世界の反対側にいる人と瞬間や感情を共有することができる。人々を分断し続けるこの世界において、こうした繋がりはこれまで以上に重要なんだ。メタルは世界を変えることはできないけど、人々が目を覚まし、人間らしく意識を保つ助けとなる。時に、憎しみや単純化を静かに拒絶すること自体が、抵抗の形となるんだよ!」 どうぞ!!

WITHOUT GRIEF “DEFLOWER” : 10/10

INTERVIEW WITH TOBIAS OLS

Q1: It is indeed a return after a quarter of a century! Many fans have been waiting for you, but first of all, can you tell us why you decided to come back now? Do you plan to make new music?

【TOBIAS】: It just felt right this time. Over the years, we made a few attempts to reform the band in different ways, and me and Patrick even recorded some rough demos of new songs that never saw the light of day. For
one reason or another, the timing was never right, until now. We had talked many times over the years about doing some kind of reunion, but it always faded away. When 2025 marked 30 years since the band was formed, it felt like the perfect moment to at least do one show to celebrate that history, and from there, things naturally started to move forward. There are some new faces in the band now, since not all original members wanted or were able to participate, but the core with me and Nicklas as founding members and Björn who joined in after Ola left the band is still intact. Today, I actually think the band sounds better than ever. We have no obligations, no label pressure, and no expectations other than our own. That freedom is incredibly inspiring.
What happens next isn’t set in stone, but I would love to release new material if we can create something that truly represents Without Grief. For now, we’re focusing on rehearsing, reconnecting with the songs, and doing occasional live shows, then we’ll see where the road takes us.
Maybe it’s also a bit of a midlife-crisis thing, looking back, wanting to reconnect with something that once meant everything to you, and to relive that feeling in a more grounded and honest way.

Q1: 四半世紀ぶりの復活となりましたね! 多くのファンが復活を待ち望んでいましたが、まず最初に、なぜ今復帰を決意したのか教えていただけますか? 新曲を作る予定はありますか?

【TOBIAS】: 今がまさにその時だと感じたんだ。長年にわたり、様々な形でバンド再結成を何度か試み、僕と Patrick は新曲のラフなデモもいくつか録音していたんだけど、結局それが日の目を見ることはこれまでなかったんだ。
これまで、何らかの形での再結成について何度も話し合ってきたけど、結局実現には至らなかったんだよ。でも、2025年にバンド結成30周年を迎えるにあたり、その歴史を祝うために少なくとも一度はライブを行う絶好の機会だと感じ、そこから自然と物事が動き始めたんだ。オリジナルメンバー全員が参加を希望したり、参加できたわけではないから、現在は新しいメンバーもいる。それでも、創設メンバーである僕とNicklas、そして Ola の脱退後に加入した Bjorn という核となる部分は健在。今、バンドのサウンドはこれまで以上に良くなったと思っているよ。今の僕のたちには義務も、レーベルからのプレッシャーも、そして自分たち以外の人からの期待もない。この自由さが、信じられないほど刺激的なんだ。
今後の展開はまだ決まっていないけど、WITHOUT GRIEF を真に体現できる作品が作れたら、ぜひ新作をリリースしたいと思っているんだ。今はリハーサルに集中し、楽曲と再び向き合い、時折ライブも行っているよ。その後、どうなるか見守っていきたいと思う。
もしかしたら、これは中年の危機のようなものかもしれないね。このままでいいのか…人生に対する虚無感、頭打ち、過去への後悔。過去を振り返り、かつて自分にとって全てだったメタルと再び繋がり、より現実的で誠実な方法であの感覚を味わいたいという思いが、今、芽生えているのかもしれないね。

Q2: You released two albums and your activities seemed to be going well, but why did you break up around the year 2000?

【TOBIAS】: We were young, hungry, and full of expectations, probably too many and too big. We worked extremely hard and really believed things would move further than they did. When that didn’t happen, frustration slowly crept in. In the end, it all culminated in a live performance at a catastrophically badly arranged festival, which more or less became the final nail in the coffin. We never officially said, “This is the end.” The band just slowly faded away. Rehearsals became fewer, communication less frequent, and eventually we simply stopped existing. Some members moved on to other bands, careers, or completely different lives, which felt natural at the time.
I personally stopped playing guitar for more than a decade. When I finally picked up the guitar again years later, I realized I could enjoy playing for the right reasons again with no expectations or pressure, just the music itself. That was an important turning point for me.

Q2: 当時、あなたたちは2枚のアルバムをリリースし、活動も順調そうでしたが、2000年頃に解散したのはなぜだったんですか?

【TOBIAS】: 僕らは若く、ハングリー精神に満ち、期待に満ち溢れていた。おそらく、その期待が大きすぎたんだろう。僕たちは必死に働き、バンドがさらに発展していくと心から信じていた。しかし、それが叶わないと、徐々にフラストレーションが溜まっていったんだ。そしてついに、ひどく準備の行き届いていないフェスティバルでのライブパフォーマンスに至り、それがバンドの棺桶に打ち込む最後の釘となってしまった。
ただ、”これで終わりだ” と正式に宣言したことはないんだ。バンドはゆっくりと衰退していった。リハーサルの回数は減り、コミュニケーションも少なくなり、ついには完全に消滅してしまった。メンバーの中には、他のバンドやキャリア、あるいは全く違う人生へと進んでいく人もいたけど、当時はそれが自然なことだったんだ。
僕自身、10年以上ギターを弾くのをやめていたしね。数年後、ようやく再びギターを手に取った時、期待やプレッシャーを感じることなく、ただ音楽そのものを楽しむことができる、正しい理由で演奏できることに気づいたんだ。それが僕にとって重要な転機となったね。

Q3: You are also from Sweden, the home of melo-death, but your hometown is Falun, not Gothenburg. but were you following the scene in Gothenburg?

【TOBIAS】: Absolutely. The Gothenburg scene was something we really looked up to and were heavily inspired by. Bands like In Flames, At the Gates, and Dark Tranquillity showed that extreme metal could be both aggressive and melodic without losing its edge.
Falun wasn’t much of a music city back then, at least not when it came to metal. But that has definitely changed over the years. Today, I’d say Falun has a very alive and creative music scene, with several bands that have managed to make an impact both nationally and internationally. It’s great to see how things have evolved.

Q3: WITHOUT GRIEF はメロデスの本場スウェーデン出身ですが、出身地はイエテボリではなくファルンです。 少し場所は違いますが、イエテボリのシーンは追っていたのですか?

【TOBIAS】: まさにその通りだよ。イエテボリは僕たちが本当に尊敬し、多大な影響を受けたシーンだった。IN FLAMES, AT THE GATES, DARK TRANQUILLITY といったバンドは、エクストリーム・メタルがエッジを失うことなくアグレッシブさとメロディアスさを両立できることを示してくれたんだ。
当時、ファルンはメタルに関しては、それほど音楽の街といったわけではなかった。しかし、それは年月とともに確実に変化している。今では、ファルンは非常に活気がありクリエイティブな音楽シーンを擁していて、国内外で影響力を持つバンドが数多く存在する。こうして、地元が進化していく様子を見るのは素晴らしいことだよ 。

Q4: The first time I heard “Deflower” I was really surprised! 1997 was the year that “Whoracle”, a melodeath masterpiece, came out, and it was as good as that album. Were you aware of ”Whoracle”?

【TOBIAS】: Thank you! I listened to In Flames a lot at the time, and Whoracle was released about a month after Deflower. I had heard one of the songs in demo form before the album came out, so I knew something special was coming.
Their earlier records were among my favorite albums back then, and Whoracle absolutely lived up to that legacy. It was a very inspiring time for melodic death metal in general, so many bands pushing the genre forward simultaneously, each in their own way.

Q4: “Deflower” を初めて聴いたときは本当に驚きましたよ! 1997年といえば、メロデスの傑作 “Whoracle” が出た年ですが、あのアルバムに劣らない出来でしたからね。 “Whoracle” については、意識していましたか?

【TOBIAS】: ありがとう!当時は IN FLAMES をよく聴いていて、”Whoracle” は “Deflower” の約1ヶ月後にリリースされたんだ。アルバム発売前にデモ曲を1曲聴いた時点で、何か特別なものが来ると確信していたよ。
彼らの初期の作品は当時僕のお気に入りだったけど、”Whoracle” はまさにその伝統にふさわしい作品だった。メロディック・デスメタル全体にとって、とても刺激的な時代だったよね。多くのバンドが、それぞれ独自の方法で同時にジャンルを前進させていたんだ。

Q5: In fact, there were many unique melodeath bands in that era, such as At the Gates, In Flames, Dark Tranquillity, Arch Enemy, Amorphis, etc. Which of these bands did you particularly identify with?

【TOBIAS】: Those are all bands I listened to a lot, and still do today. We identified with all of them in different ways, but we never wanted to be a copy of anyone. Each of those bands had a strong musical identity, and they all had a big impact on us musically and creatively. If I had to narrow it down, I’d say In Flames and Arch Enemy are probably the closest to what Without Grief identifies with musically, but our sound was always a mix of many influences filtered through our own experiences and ideas.

Q5: 実際、あの時代には、IN FLAMES, AT THE GATES, DARK TRANQUILLITY, AMORPHIS, ARCH ENEMY など、個性的なメロデス・バンドがたくさん登場していました。 その中で特に共感していたのは、どのバンドでしたか?

【TOBIAS】: 君が挙げたのはすべて僕がよく聴いていたバンドで、今でも聴き続けているよ。それぞれに共感する部分があったけど、誰かの真似をしたいと思ったことはなかったよ。でも、それぞれのバンドが強い音楽的アイデンティティを持っていて、音楽的にもクリエイティブ面でも僕たちに大きな影響を与えてくれたね。
もし絞り込むとしたら、IN FLAMES と ARCH ENEMY が WITHOUT GRIEF の音楽的アイデンティティに最も近いと言えるだろう。でも、僕たちのサウンドは常に、僕たち自身の経験やアイデアを通して、様々な影響がミックスされたものだった。

Q6: You have two great albums, “Deflower” and “Absorbing the Ashes”. The first one is more melo-death and the second one is more ferocious, which do you like better?

【TOBIAS】: I like them both for what they are. Deflower was written when Nicklas was in the band, and we worked closely together on the songwriting. We had what felt like endless time to experiment, refine ideas, and really polish the songs.
Absorbing the Ashes was written under much more pressure, and I was mostly alone in the songwriting process. That resulted in a more direct, aggressive, and stripped-down album. It reflects a different state of mind and a different phase of life.
Now that Nicklas is back in the band, it will be interesting to see what impact that has on potential new material. You naturally evolve as a musician and songwriter over the years, so a third album would probably sound very different, but hopefully still unmistakably Without Grief, just with a more modern perspective. There’s no point in repeating the past exactly as it was.

Q6: WITHOUT GRIEF には、’Deflower” と “Absorbing the Ashes” という2枚の素晴らしいアルバムがありますね。1枚目はよりメロデス的で、2枚目はよりアグレッシブですが、個人的にはどちらがお好きですか?

【TOBIAS】: どちらも、ありのままの姿で気に入っているよ。 “Deflower” は Nicklas がバンドにいた頃に作曲されたもので、僕たちは密接に協力して曲作りをしていた。まるで無限に実験し、アイデアを洗練させ、曲を磨き上げる時間があったように感じられたね。
“Absorbing the Ashes” ははるかにプレッシャーの大きい中で作曲され、作曲プロセスはほぼ一人で進めたんだ。その結果、よりダイレクトでアグレッシブ、そして無駄を削ぎ落としたアルバムになった。それは、異なる心境、そして人生の異なる局面を反映していていたんだ。
Nicklas がバンドに復帰した今、それが新しい作品にどのような影響を与えるか、興味深いところだね。ミュージシャンとしてもソングライターとしても、人は年月とともに自然に成長していくものだから、3枚目のアルバムはおそらく大きく異なるサウンドになるだろう。しかし、より現代的な視点で、紛れもなく “Without Grief” であることに変わりはないはずだよ。過去をそのまま繰り返すことに意味はないけどね。

Q7: Your two albums and the other compilation all have “bones” as their artwork. That is very impressive, but why are they all bones?

【TOBIAS】: Both album covers were created by P. Grøn, who has also worked with bands like Hypocrisy and Dimmu Borgir. The idea of bones was his interpretation of the title Deflower, which means to strip away something’s beauty, essence, or outer shell.
Bones are what remain when everything else is gone, so it made perfect sense. I still think the Deflower cover is incredibly strong, both visually and symbolically. When it came time for Absorbing the Ashes, we wanted to continue exploring the same visual and thematic world.
Lyrically, Without Grief has always focused on the darker sides of life ― things that are often hidden beneath a person’s surface. The artwork reflects that idea very naturally.

Q7: 2枚のアルバムも、もう1枚のコンピレーションも、アートワークはすべて “骨” ですよね。 とても印象的ですが、なぜすべて骨にしていたのですか?

【TOBIAS】: 両アルバムのカバーは、HYPOCRISY や DIMMU BORGIR といったバンドも手掛けた P. Grøn の手によるものだ。”骨” というアイデアは、何かの美しさ、本質、あるいは外殻を剥ぎ取ることを意味するタイトル “Deflower” を、彼が解釈したものだったんだ。骨は、他のすべてが失われた後、最後に残るものなので、まさに理にかなったアイデアだったね。
“Deflower” のカバーは、視覚的にも象徴的にも、今でも非常に力強い作品だと思っている。だから、”Absorbing the Ashes” の制作にあたり、僕たちは同じビジュアルとテーマの世界を探求し続けたいと考えたんだ。
歌詞の面では、WITHOUT GRIEF は常に人生の暗い側面、つまり人の表面の下に隠れているものに焦点を当ててきた。アートワークもその考えを非常に自然に反映しているよ。

Q8: The music industry and the world have changed a lot in the last 25 years: social networking, war, division, discrimination, oppression… What can heavy metal do in such a dark world?

【TOBIAS】: Heavy metal cuts through borders and ideology, you can share a moment, a feeling, with someone from the other side of the world without speaking the same language. in a world that keeps pushing people apart, that kind of connection matters more than ever Heavy metal can’t fix the world, but it can help people stay awake, humane and aware. Sometimes that quiet refusal to accept hatred and simplification is its own form of resistance!
Heavy metal, and music in general, will always be something positive in a fucked-up world. It won’t fix wars or erase injustice, but it gives people a way to channel emotions that might otherwise stay buried. Music connects people across cultures, borders, and backgrounds. It gives a sense of belonging and understanding when the world feels divided. For me, music has always been a lifeline, and I honestly can’t imagine a world without it.

Q8: この25年間で、音楽業界も世界も大きく変わりました。SNS、戦争、分断、差別、抑圧…そんな暗い世界で、ヘヴィ・メタルには何ができるのでしょうか?

【TOBIAS】: ヘヴィ・メタルは国境やイデオロギーを超越し、同じ言葉を話さなくても、世界の反対側にいる人と瞬間や感情を共有することができる。人々を分断し続けるこの世界において、こうした繋がりはこれまで以上に重要なんだ。メタルは世界を変えることはできないけど、人々が目を覚まし、人間らしく意識を保つ助けとなる。時に、憎しみや単純化を静かに拒絶すること自体が、抵抗の形となるんだよ!
ヘヴィ・メタル、そして音楽全般は、この混乱した世界において、常にポジティブな存在であり続けるだろう。戦争を解決したり、不正を消し去ったりすることはできないけど、埋もれてしまうかもしれない感情を繋ぎ止める手段を与えてくれるんだ。音楽は文化、国境、そして背景を超えて人々を繋ぐ。世界が分断されていると感じる時、音楽は帰属意識と理解を与えてくれる。僕にとって、音楽は常に生命線であり、音楽のない世界は想像できないんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED TOBIAS’S LIFE!!

Metallica “Master of Puppets”

At the Gates “Slaughter of the Soul”

Devin Townsend “Ocean Machine”

Faith No More “The Real Thing”

Dissection “Storm of the Light’s Bane”

MESSAGE FOR JAPAN

Japan and its culture have always fascinated me. As a kid, I remember watching Starzinger and as many martial arts movies as we could get our hands on. Japanese martial arts are something I deeply respect and admire ― and honestly, who didn’t want to be a ninja as a kid? As for video games, Silent Hill on PlayStation 1 is still, in my opinion, one of the best games ever made, both atmospherically and emotionally.
Thank you for supporting Without Grief after all these years!!! We would love to come to Japan someday to perform ― it would truly be a dream come true!

日本とその文化は、常に僕を魅了してきた。子供の頃は、SF最遊記スタージンガーや手に入る限りのマーシャル・アーツ映画を観ていたのを覚えているよ。日本の格闘技は、僕が深く尊敬し、憧れているものだ。正直なところ、子供の頃に忍者になりたいと思わなかった人はいないよね?ビデオゲームに関しては、PlayStation1のサイレント・ヒルは、今でもアトモスフィアと感情の両面で、史上最高のゲームの一つだと思っているよ。
長年にわたり WITHOUT GRIEF を応援してくれて、ありがとう!!! いつか日本でライブができたら嬉しいよ。そうすれば、本当に夢が叶うね!

TOBIAS OLS

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【MARUJA : PAIN TO POWER】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JACOB HAYES OF MARUJA !!

“It’s very clear which artists have a lasting impression on us – it’s those that have stood the test of time and had a clear important message. Some of the most important figures in musical history are: Nina Simone, Marvin Gaye, The Beatles, Stevie Wonder, Michael Jackson, etc; all of which were unafraid to highlight how fractured our society has become and to help bring about change. Rage are right up there in this list, with their message ringing truer than ever.”

DISC REVIEW “PAIN TO POWER”

「音楽史における最も重要な人物には、ニーナ・シモン、マーヴィン・ゲイ、ビートルズ、スティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソンといった人たちがいる。彼らは皆、僕たちの社会がいかに分断しているかを恐れることなく浮き彫りにし、世界に変化をもたらすために尽力してくれた。RAGE AGAINST THE MACHINE もそのリストの上位に位置し、彼らのメッセージは今、これまで以上に真実味を帯びてきているんだ」
混迷を極めた世界。インターネットやSNSのとめどない発展は、幼稚で粗暴な欲まみれの行為、言論、デマを感染させ、正当化するためだけに利用されています。分断は加速し、もはや差別や抑圧、嘘の悪でさえ、多くの人と共感することが難しくなってしまいました。世の中がこうした暗い状態にある今、MARUJA の “Pain to Power” は、それでも愛、優しさ、正直さに宿る力こそが真に勝利することを強く信じさせてくれるアルバムです。かつての RAGE AGAINST THE MACHINE のように。
「ヒップホップの真髄は、その姿勢、反抗心、そして意義にある。Run-DMC、PUBLIC ENEMY、N.W.A、BEASTIE BOYS といった初期のアーティストの多くは、荒々しくノイジーなビートと力強い歌詞で、このパンク的な姿勢を体現していたんだ。ケンドリックはロックビートを使ったことはないけれど、彼の姿勢がパンクとロックの同じ起源、つまり反体制主義に根ざしていて、それがジャンル間の類似性を感じさせる根源となっているんだよ」
ポスト・パンクとヒップホップ、ノイズ、そしてフリージャズの鮮烈なる三位一体。そう称される MARUJA の音楽は実際、RAGE AGAINST THE MACHINE があの “Evil Empire” で叩きつけた衝撃と同様のインパクトを与えてきます。
時に唸りあげ、時に歌い紡ぐ、コルトレーンの遺志宿るサックスの嘶きはもちろん、MARUJA 独特のエネルギーを生み出す推進力。それは、束の間のジャジーなブレイクや、お決まりの “セクシーなソロ” として、単なるアクセサリーとして使われているのではありません。MARUJA はアルト・サックスとバリトン・サックスをシームレスに音楽の一部とすることで、ギターや他の楽器では真似できない、嘆き、悲しみ、怒りの感情を交互にもたらし、アルバムにもうひとつの声を付与しているのです。
「ロックが主流から外れていく中で、いつかはまたロックへの関心が高まってくると確信していたけど、”To Be Kind” のリリースによって、アルゴリズムの挙動を気にしたり、アルゴリズムを喜ばせることを気にしたりすることなく、音楽をうまく機能させることだけに集中することができたんだ。SWANS は、アーティストが与え得る最も刺激的なサウンドを作り上げることに専念しているバンドの代表例だよ」
そうした MARUJA の反発力、権力や抑圧に対する怒りや嘆きは “Bloodsport” のような短い楽曲で存分に感じられる一方で、彼らの神秘性が真に輝き、音楽の真髄に触れられるのは、”Look Down on US” のような長尺の楽曲なのかもしれませんね。ラップにも似た示唆に富む歌詞は深く心に刻まれ、深遠なメッセージは疾走するサックス、哀愁を帯びたストリングス、そして熱狂的なパーカッションの中で、見事に緊張感を高め、ついには爆発的な解放へと導かれます。
もちろん、我々はそこに BC,NR から連なるロンドンのシーンを想像しますが、それ以上にこれこそが、SWANS がかつて示した “正真正銘” の音楽でしょう。全身全霊で演奏を繰り広げる MARUJA の頭に “バイラル”、”アルゴリズム”、 “AI” といった欲に塗れた言葉は存在しません。ガラクタで飽和状態にあるストリーミングの暗い海においても、真の音楽は灯台の光のように光り輝き、我々が見失うことは決してありません。
今回弊誌では、ドラマー Jacob Hayes にインタビューを行うことができました。「僕たちは昔の英雄たちと同じように、僕たちが生きている時代を反映することがアーティストの仕事だと信じている。戦争の時代には、ニュースの正直さと真実を信頼することはできないよ。英国は長い間米国の影の下で暮らし、そのプロパガンダに固執している。今後の将来は非常に不確実だけど、疑いなく困難で、僕たちはそうした誤った行為を強調すると同時に、希望も提供したいと考えているんだ」 どうぞ!!

MARUJA “PAIN TO POWER” : 10/10

INTERVIEW WITH JACOB HAYES

Q1: First of all, please tell us about your impressions of the Japan tour. How did you feel about Japanese culture, anime, video games, and music?

【JACOB】: Touring Japan is something that most people can only dream of doing, so being fortunate enough to play shows in Osaka & Tokyo before we even had an album out was mind-blowing! We wish to return to Japan as soon as we can – we absolutely loved our time there and are dying to do more exploring. We only had limited time really, but we were able to get lost in pick up some cool records in DiscUnion, eat the best ramen ever and get lost in mega-Don Quijote (we did manage to buy some switch games too). Ramen is a luxury for us back home, so being able to have it everyday was perfect. There’s so much to do in Japan, so hopefully we can keep coming back and discovering new amazing things!

Q1: まず、日本ツアーの印象からお話ししていただけますか?

【JACOB】: 日本ツアーはほとんどの人にとって夢でしかできないことなので、幸運にもアルバムをリリースする前に大阪と東京でショーを行うことができて本当にびっくりしたよ!僕たちはできるだけ早く日本に戻りたいと思っているんだ。
日本での滞在はとても楽しくて、もっと探索したいと思っているよ。本当に限られた時間しかなかったけど、ディスク・ユニオンでいくつかのクールなレコードを手に入れたり、史上最高のラーメンを食べたり、メガ・ドン・キホーテで迷ったりすることができたんだ。Switch のゲームもいくつか買うことができたしね。国に帰るとラーメンは贅沢品だから、毎日食べられるのは最高だったよね。
日本にはやるべきことがたくさんあるので、これからも日本に戻ってきて、新しい素晴らしいものを発見できればと思っているよ。

Q2: So, what kind of music did you grow up listening to?

【JACOB】: We all grew up listening to a variety of things. Joe with his dad being from Ireland listened to a lot of traditional folk music, as well as rock bands from 60s onwards like Thing Lizzy and The Pogues. Rest of our parents grew up in England & Scotland in the generation were punk bands like The Clash, The Sex Pistols, Stiff Little Fingers and The Specials were huge; they’d all come after the classic rock era of the 60s & 70s. So all this musical history would pour into our worlds. The height of the punk era divided music fans, you either loved it or you didn’t at all, this informed your personality and how you’d approach life – punk fans wouldn’t be caught listening to Led Zeppelin for example. But as we were growing up, this was no longer the case, so we’d be able to listen to punk and rock from our parents generation, then they’d show us jazz and blues, as well as classic rock, folk and all sorts. We were also the first generation to grow up when YouTube first arrived, so all of a sudden we could discover music without the help of our parents. We all collectively loved 90s Hip Hop, modern punk such as Nirvana, Rage Against the Machine etc and electronic music like the Gorillaz or Prodigy. This ability to explore different musical landscapes from young has definitely shaped us into the musicians we are today.

Q2: あなたの音楽的なバックグラウンドは、どんなものなのでしょう?

【JACOB】: 僕たちは皆、さまざまな音楽を聞​​いて育ったんだ。Joe は父親がアイルランド出身で、伝統的なフォーク音楽だけでなく、THIN LIZZY や THE POGUES のような60年代以降のロック・バンドもよく聴いていたね。他のメンバーの親はイングランドとスコットランド出身で、THE CLASH, THE SEX PISTOLS, STIFF LITTLE FINGERS, THE SPECIALS などパンク・バンドがビッグだった世代でね。彼らは皆、60年代と70年代のクラシック・ロック時代の後に生まれたんだ。つまり、結果として音楽の歴史すべてが僕たちの世界に注ぎ込まれることになったんだ。
パンク全盛期は音楽ファンを二分されて、パンクが好きか、まったく好きじゃないかでその後の性格や人生への取り組み方に影響を与えたよね。例えば、当時のパンク・ファンが LED ZEPPELIN を聴いているとは考えられないよね。だけど、僕たちの世代にとってそれはもう当てはまらなかったんだ。だから僕たちは親の世代からパンクやロックを聴くことができ、その後、ジャズやブルース、さらにはクラシック・ロック、フォークなどあらゆる種類の音楽を吸収することができた。
僕たちは YouTube が初めて登場したときに育った最初の世代だから、突然、親の助けなしで音楽に出会うことができるようになったんだよね。僕たちは皆、90年代のヒップホップ、NIRVANA, RAGE AGAINST THE MACHINE などのモダンなパンク、そして GORILLAZ, THE PRODIGY のような電子音楽が大好きだった。若い頃からさまざまな音楽の風景を探求するこの能力は、間違いなく今日の僕らを形作ったね。

Q3: The first thing that surprises me when I listen to your music is your use of the saxophone.Many bands incorporate the saxophone into rock, but no one else uses it as vibrantly and effectively as you do. Why did you decide to incorporate the saxophone into your music?

【JACOB】: Like most things about the band, it was just a really instinctive natural decision. Our previous guitarist Liam played drums in a college band with Joe, he then showed Harry & Matt a video which prompted them to ask Joe to come down for a jam. Simple as that. There wasn’t anything that deep about it. It sounded different and interesting, that’s always the most exciting for us. The music being made back then sounded a lot different to now, it took a slight line-up change and really understanding where we all fit with each other to begin writing the type of music we do today.

Q3: サックスをロックに取り入れるバンドは少なくありませんが、MARUJA ほど生き生きと効果的に使っているバンドは他にいないでしょう。なぜサックスを取り入れようと思ったのですか?

【JACOB】: バンドに関するほとんどのことと同様、それは本当に本能的で自然な決断だった。以前のギタリスト Liam は、Joe と一緒に大学のバンドでドラムを演奏していたんだけど、彼が Harry と Matt にビデオを見せ、それがきっかけで Joe にジャムに来てもらうようになったんだ。とてもシンプルだよ。そこまで深い内容はなかったよ。
でも彼のサックスが入るといつもと違っていて興味深く聞こえたよ。それって、僕たちにとって常に最もエキサイティングなことだった。当時作られていた音楽は今とはかなり違っていたけどね。今日僕たちがやっているタイプの音楽を書き始めるには、ラインナップを少し変更し、僕たち全員がどこに適合するかを本当に理解する必要があったけどね。

Q4: There are so many innovative and diverse rock and jazz bands coming out of the UK right now… Squid, Black Midi, Black Country New Road, and Gondwana Records… it’s like the LA scene that blossomed around Kamasi. You have described it as post-punk meets free jazz, and it is the music that symbolizes the UK scene today, would you agree?

【JACOB】: Not sure to be honest. We don’t really feel like we’re in a scene. The bands mentioned are all from down south, primarily coming out of indie labels in London. Gondwana is very much rooted in Jazz and don’t really show much inspiration from post-punk. Although the UK isn’t the biggest place, there isn’t a great deal of interconnection, especially in art forms. Most job opportunities come out of London, this is true for music as well, with most labels in the world having offices there. This means it’s a lot harder for acts such as ourselves who are outside of this position. We also don’t really think of ourselves as “post-punk”, although we are aware of how encompassing this genre tag is. Truthfully this is a difficult question, maybe it’s one that can only properly be answered looking back. Nirvana called themselves a punk band, the media labelled them a grunge band for marketing. Crank Wave is the one that encompasses a lot of bands from the UK, so we’ve seen people describe our sound as part of this ‘scene’. But it goes back to time and location to make a scene really, all the bands that encompass the ‘Crank Wave’ sound primarily are from London and are the generation of bands before ours – BCNR, Squid, black midi. A scene like Kamasi’s really thrived from being around one another, playing shows together and bouncing off each other for inspiration. As previously mentioned, we feel distant from a scene because we are physically. We don’t know these people and they’ve found success years before we put our debut out. If you can call it a scene, the one we have is with those coming up with us, which are: Enola Gay, Lambrini Girls, Gurriers, Big Special, Opus Kink, Nerves, Bucket. We make up a sort of anti-London scene without a central point or venue. To be honest it may not even be a scene as it contradicts what I’ve mentioned about location, but it is certainly a group of artists we share a lot of similarities with and care deeply about similar topics, we’re heavily inspired by one another and push each other forward. This is our era of bands coming out the UK & Ireland, like Fontaines & black midi before. If you’re unfamiliar with any of these artist, be sure to check them out so you can say you got on them early.

Q4: 今、イギリスからは革新的で多様なロックやジャズのバンドが多く登場していますね。Squid, Black Midi, Black Country New Road, それから Gondwana Records の面々…まるで Kamasi を中心に花開いたLAシーンのようにも見えてきます。あなたのポスト・パンクとフリー・ジャズが恋に落ちたような音楽は、まさに今のUKシーンを象徴するようにも思えますね?

【JACOB】: 正直なところ、よく分からない。自分たちが特定のシーンに属しているとは感じていないんだ。名前の挙がっているバンドは皆、南部出身で、主にロンドンのインディーズ・レーベルから出ているよね。Gondwana はジャズに深く根ざしていて、ポストパンクからはあまり影響を受けていないよね。
イギリスはそれほど大きな国ではないけれど、特に芸術分野においては、相互の繋がりがあまりないんだよね。仕事のチャンスはロンドンから来ることが多くて、音楽業界も同様で、世界中のほとんどのレーベルがロンドンにオフィスを構えている。つまり、僕たちのような、そこ以外のアーティストにとっては、仕事を得るのがはるかに難しいんだよな。
僕らは自分たちを “ポスト・パンク” だとは思っていないけど、このジャンルのレッテルがどれほど幅広いかは認識しているよ。正直なところ、これは難しい質問で、もしかしたらいつか振り返ってみなければ答えられないのかもしれないよね。NIRVANA は自分たちをパンク・バンドと呼んでいたけど、メディアはマーケティングのためにグランジだとレッテルを貼ったようにね。
Crank Waveはイギリスの多くのバンドを包含するシーンなので、僕たちのサウンドをこの “シーン” の一部だと表現する人たちを目にするね。でも、シーンを形成するには時間と場所が重要で、Crank Waveのサウンドを体現するバンドは主にロンドン出身で、BCNR、Squid、Black Midi といった僕たちより少し前の世代のバンドなんだ。Kamasiのようなシーンは、お互いに近くにいて、一緒にライブをし、刺激し合うことで発展してきた。でも先ほども言ったように、僕たちは物理的にシーンから離れていると感じています。僕たちはそうしたバンドを知らないし、彼らは僕たちがデビューする何年も前に成功を収めている。
だからもしシーンと呼べるのであれば、僕たちのシーンは、僕たちと一緒に活動しているEnola Gay、Lambrini Girls、Gurriers、Big Special、Opus Kink、Nerves、Bucket といったバンドたちと一緒のシーンだよね。僕たちは、中心となる場所や会場を持たない、いわばアンチ・ロンドン・シーンを形成しているんだよ。
正直に言うと、ロケーションの話と矛盾するので、シーンと呼ぶに値しないかもしれないけどね。でも、多くの共通点を共有し、同じようなテーマを深く大切にしているアーティストの集まりであることは確かだ。お互いに深く刺激し合い、お互いを鼓舞し合っているよ。かつてのFontaines D.C. や Black Midi のように、これがイギリスとアイルランドから出てきた僕らの時代のバンドだ。もしこうしたアーティストをまだ知らない人がいたら、ぜひチェックしてみてほしい。そうすれば、早くから彼らの音楽に出会ったと言えるだろうからね。

Q5: I love the words “Pain to Power” in the album title. In terms of turning such pain, suffering, or anger into power, and power of your music, it reminds me of Rage Against the Machine. In fact, does their music and message influence this record?

【JACOB】: For sure. They’re one of the most important bands for us. We’ve talked here a little bit about scenes of music and inspiration, and it’s very clear which artists have a lasting impression on us – it’s those that have stood the test of time and had a clear important message. Some of the most important figures in musical history are: Nina Simone, Marvin Gaye, The Beatles, Stevie Wonder, Michael Jackson, etc; all of which were unafraid to highlight how fractured our society has become and to help bring about change. Rage are right up there in this list, with their message ringing truer than ever.

Q5: アルバム・タイトルの “Pain to Power” という言葉がとても気に入っています。痛みや苦しみ、怒りをパワーに変えるという点で、RAGE AGAINST THE MACHINE を想起させますね?

【JACOB】: 確かにね。彼らは僕たちにとって最も重要なバンドの一つだよ。音楽シーンとインスピレーションについて少し話したけど、結局どんなアーティストが僕たちに永続的な印象を与えるかは明らかだ。それは、時代を超えて生き続け、明確で重要なメッセージを持ったアーティスト。
音楽史における最も重要な人物には、ニーナ・シモン、マーヴィン・ゲイ、ビートルズ、スティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソンといった人たちがいる。彼らは皆、僕たちの社会がいかに分断しているかを恐れることなく浮き彫りにし、世界に変化をもたらすために尽力してくれた。RATM もそのリストの上位に位置し、彼らのメッセージは今、これまで以上に真実味を帯びてきているんだ。

Q6: Speaking of Kamasi, Kendrick Lamar’s lyrics and raps clearly influence Maruja’s music. As does RATM, but rock and hip-hop are never oil and water, would you agree?

【JACOB】: The very essence of hip-hop is attitude, its defiance and meaning. Lots of early artists such as Run-DMC, Public Enemy, N.W.A and Beastie Boys showcase this punk-like attitude, with harsh noisy beats and potent lyrics. Although Kendrick has never used rock beats, his attitude stems from the same origins of punk and rock, it’s anti-establishment and that really roots that feeling of similarity between genres.

Q6: Kamasi といえば、ケンドリック・ラマーの歌詞とラップは明らかに MARUJA の音楽に影響を与えていますね。 RATMもそうですが、ロックとヒップホップは決して油と水ではないようですね?

【JACOB】: ヒップホップの真髄は、その姿勢、反抗心、そして意義にある。Run-DMC、PUBLIC ENEMY、N.W.A、BEASTIE BOYS といった初期のアーティストの多くは、荒々しくノイジーなビートと力強い歌詞で、このパンク的な姿勢を体現していたんだ。ケンドリックはロックビートを使ったことはないけれど、彼の姿勢がパンクとロックの同じ起源、つまり反体制主義に根ざしていて、それがジャンル間の類似性を感じさせる根源となっているんだよ。

Q7: At the same time, your music is very “free.” In this world of predetermined algorithms and filter bubbles, Maruja’s free and tolerant music seems very dependable. This freedom seems similar to that of Swans, what are they to you?

【JACOB】: Swans are potentially the most important band for us. They’re this strange anomaly which provided us with a lot of promise when we were beginning to figure out our sound. Matt was already a big fan and familiar with earlier work, but when To Be Kind dropped we all became huge fans, we had no idea a band could write 40 minute long songs and still have success. There’s a confidence to their music which is so self-assured – they’re not playing a 3 hour set of just 5 songs to be smug, they’re doing it because it’s right for the music. In an era where shorter and shorter music and videos sees bigger success, this felt like a real beacon of hope. With rock going out of the mainstream, we’ve always been confident that there’d be a growing taste for it to come back, but this allowed us to not worry or fuss about pleasing algorithmic behaviours and focus solely on making the music work. Swans are a leading example of a band dedicated to crafting their sound, which is the most inspiring an artist can be.

Q7: 同時に、あなたの音楽はとても “自由 “です。 決められたアルゴリズムやフィルター・バブル、バイラルやAIが支配する世界で、MARUJA の自由で寛容な音楽はとても頼もしく思えます。 あなたの自由さは SWANS の自由に似ているように思えますね?

【JACOB】: SWANS は僕たちにとって最も重要なバンドと言えるかもしれないね。自分たちのサウンドを模索し始めた頃、彼らは奇妙な異端児で、同様に異端児だった僕らに大きな希望を与えてくれたんだ。Matt は当時すでに彼らの大ファンで、初期の作品にも馴染みがあったけど、”To Be Kind” がリリースされた時、僕たち全員が熱狂的なファンになったんだよね。40分もの曲を書いて成功を収めるバンドがいるとは、想像もしていなかったから。
彼らの音楽には自信が溢れている。彼らは自己満足のために3時間もかけて5曲だけを演奏しているのではなく、それが彼らの音楽にとって正しいからそうしている。音楽やビデオがどんどん短くなっていく時代において、これは真の希望の光だと感じたよ。
ロックが主流から外れていく中で、いつかはまたロックへの関心が高まってくると確信していたけど、あのリリースによって、アルゴリズムの挙動を気にしたり、アルゴリズムを喜ばせることを気にしたりすることなく、音楽をうまく機能させることだけに集中することができたんだ。SWANS は、アーティストが与え得る最も刺激的なサウンドを作り上げることに専念しているバンドの代表例だよ。

Q8: With Covid, war, and division, the world has been getting darker and darker since the beginning of the 20s. In such a world, what can music do?

【JACOB】: As mentioned previously, like our heroes of old, we believe it to be the artists job to reflect the times we’re living in. In an era of war, you cannot trust mainstream news for honesty and truth. The UK has been living under the shadow of the US for so long, adhering to it’s propaganda, with the future ahead deeply uncertain but unquestionably difficult, we want to highlight these wrong doings but also provide hope.

Q8: パンデミック、戦争、分断と、20年代に入ってから世界はどんどん暗い場所になっています。 そんな世界で、音楽には何ができるのでしょう?

【JACOB】: 前述したように、僕たちは昔の英雄たちと同じように、僕たちが生きている時代を反映することがアーティストの仕事だと信じている。戦争の時代には、ニュースの正直さと真実を信頼することはできないよ。英国は長い間米国の影の下で暮らし、そのプロパガンダに固執している。今後の将来は非常に不確実だけど、疑いなく困難で、僕たちはそうした誤った行為を強調すると同時に、希望も提供したいと考えているんだ。

FIVE ALBUMS THAT CHANGED JACOB’S LIFE!!

THE CINEMATIC ORCHESTRA “Every Day”

KAMASI WASHINGTON “The Epic”

SWANS “To Be Kind”

KENDRICK LAMAR “To Pimp A Butterfly”

DEATH GRIPS “Ex Military”

MESSAGE FOR JAPAN

We honestly had the best time visiting Japan and cannot wait to visit again! We’d like to immediately shout out Takako – she greeted us before the Tokyo show as we were going to get some food, gifting us a cute bag (with a letter) which was filled with personalised Japanese sweets. It was the most amazing interaction with a fan we’ve ever had and a truly crazy experience for us. She maybe symbolised our whole trip, as everyone was incredibly welcoming, warm and amazing to be around – thanks also to Katoman for showing us around! We love you Takako, we love you Katoman, we love you Japan. Hope to be back as soon as we can! Arigatou gozaimashita

本当に最高の日本滞在だった。また日本に行くのが待ちきれないよ!まずはTakakoさんにお礼を言いたい。東京公演の前に食事をしようとしていた僕たちに、Takakoさんが挨拶をしてくれて、素敵なバッグ(と手紙)をプレゼントしてくれたんだ。中には名前入りの和菓子がいっぱい詰まっていたよ。今までで一番素敵なファンとの交流で、本当に最高の経験だったね。彼女は僕たちの旅の象徴だったのかもしれないね。
みんなが信じられないほど歓迎してくれて、温かく、一緒にいるのが本当に楽しかった。案内してくれたKatomanさんにも感謝を!Takakoさん、Katomanさん、そして日本のみんなが大好きだよ。できるだけ早くまた戻ってきたいね!ありがとうございました!

JACOB HAYES

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COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【PARADISE LOST : ASCENSION】 JAPAN TOUR 26′


COVER STORY : PARADISE LOST “ASCENSION”

“Ironically, miserable music is always the most fun to listen to and the most fun to write.”

ASCENSION

「雨が好きなんだ」
Nick Holmesは、惨めな気分でいる方が楽な場合が多いそうです。そして、PARADISE LOST の長いキャリアを少しでも追ってきた人なら、これは自明の理だといえます。1988年にヨークシャーのハリファックスで結成され、デスメタルとスラッジ、ドゥームの暗黒が融合した1990年のデビューアルバム “Lost Paradise” 、そしてゴシック・メタルの名となり、定義付けとなった続編 “Gothic” で世界にその名を轟かせて以来、彼らはつねに暗い雲に覆われ続けています。
彼らの最新作 “Ascension” は、だからこそ当然のように、まさにそんな、いつも通りの暗雲メタルです。つまり、PARADISE LOST は長年にわたりデスメタル、シンセ、アリーナ・ロック、スラッジ、ドゥーム、エレクトロニカなど、さまざまなジャンルを巧みに操ってきましたが、彼らの中には常にダークな芯が宿っていたのです。
「ヨークシャーがなぜ悲惨なメタルの温床になっているのかはわからない。 暗い、悪魔のような工場や天候と関係があるのかもしれない。 スウェーデンも同じだ。 スウェーデンはとてもダークなバンドを何組か育てたが、あそこは天気もよく似ているんだ!
それに、狭い街だから、僕の母の寝室の窓から MY DYING BRIDE の Aaron Stainthorpe の家が見えたくらいでね」
言い換えれば、そうした暗い気候と地理が、彼らをメタル世界において特別な存在に押し上げたのです。ヨークシャーのアンダーグラウンド・レーベル、ピースヴィルが擁する “ドゥーム・ビッグスリー” の一つとして、MY DYING BRIDE、ANATHEMAと共に彼らは、悲しみに浸り、それを鍛鉄のような重厚さで表現する、実に英国的で異端で革新的なサウンドの構築に大きく貢献してきました。
晴れも嫌い。王道も嫌い。レジリエンス、反発力といえば聞こえはよいですが、Nick Holmes は天性の天邪鬼なのかもしれません。
「ヘヴィ・メタルが好きになったのは、メタルがみんなに嫌われていたからだ。 いつも嫌われていた。 反抗的な感じがした。町中でメタルが好きな奴は2人くらいしかいなかったかもしれない。それが好きだった。 自分の小さなチームを持っているような感じだった。僕らが考えていたのはそれだけだったんだ。目が覚めて、寝る瞬間まで。メタルとデスメタルのことしか考えてなかったんだ!」

その小さなチームは活動を続ける中で、Ville Valo のようなダークな音楽の実践者たちに多大な影響を与えるようになり、CRADLE OF FILTH, OPETH, GREEN LUNG, GATECREEPER など、様々に多くのバンドが PARADISE LOST の悲しみや暗がりにインスピレーションを見出してきたのです。
“Ascension” でその陰鬱さは、かつてよりも年老いた、今の Nick Holmes によって表現されています。
「人生、不幸、幸福、死、そしてそれらに伴うあらゆることを、50代半ばの男の視点から見ているんだ。僕が最後にアルバムを作ったのはいつだったか分からないが、それって40代後半の男の視点とは正反対なんだ。50歳になってから、時間がどこへ消えるのか分からなくなってしまった。本当に恐ろしい。学校の6週間の休暇は永遠に続くように感じたよね?でも今は6週間なんて一瞬だ!
ただ、人生観はあまり変わっていない。音楽も歌詞も相変わらず悲惨だ。物事に対してかなりシニカルなところがある。昔からずっとそうだ。死ぬのが特に怖くない。若い頃は怖かったけど、今は特に気にしない。だから、そこは変化だね(笑)。物事に対して…静かに楽観的になるのが好きなんだと思う。でも、歌詞でそれを表現することはあまりないけどね!」
ただし、皮肉たっぷりのユーモアのセンスも持ち合わせている Nick は、実は同世代の中ではかなりエネルギッシュで元気なほうだと自認しています。
「周りの人たちは、僕よりずっと暗くて嫌味な人が多いことに気づいた。仲の良い友達の多くが、本当にそういう風になって、すごく意地悪になった。実は僕はそこまでひどい人間じゃないと思うんだ」
暗い時代だからこそ、PARADISE LOST にファンは今も悲惨さを期待しているのかもしれません。
「人々は僕らがもっと惨めになることを期待しているはずだ (笑)。”Ascension” というアルバムのタイトルは、地上から天国までの道中で、より良い場所に昇っていくという信念と、死という報酬をテーマにしている。実生活では、人は多くの場合、人生唯一の報酬が死であるという事実にもかかわらず、生まれたときからより良い場所に到達しようと努力し、なぜかより良い人間になろうと努力するよね」

PARADISE LOST がどこへ行こうとも、たとえ曲自体は変わっても、あのほとんど喜劇的なまでの悲惨さはずっと付きまとってきました。圧倒的な初期を経て、彼らは1993年の “Icon” と大ヒットを記録した続編 “Draconian Times” でスタジアム・ゴスメタルに転向し、1998年の当時物議を醸した “One Second” とそれに続く “Host” では DEPECHE MODE 風のエレクトロニクスを披露。髪を切り、ギターを削ぎ落としました。そうして近年は、彼らのトレードマーク・サウンドに初期のエッジを融合させる才能を発揮しています。今や彼らは “完全に元に戻った” と Nick は言いますが、いずれにせよ、PARADISE LOST の個性は常にそこにあったのです。
「僕たちは今でもデスメタル・キッズなんだ。そのルーツは決して消えたことはない。髪型をちょっといじっていた頃でさえ、その頃は棚上げになっていただけで、今は確実に復活しているんだ。
僕はダークな映画が好きなんだ。僕はいつも同じ作品を勧めるんだけど、”The Hereditary 継承” だ。あの作品が公開されてから何年も経つけど、僕はまだあの映画を、現代ホラーの文脈において、本当にある意味不気味なものの一種のベンチマーク映画だと考えているからね。ヘヴィ・メタルにハマる前はホラーが好きで、だから VENOM のようなハードなバンドには自然とハマっていった。でも、あの頃のデスメタル・キッズは僕の中に今でもまだいるし、Greg の中にもいる。それは決して消えることはないんだ」

しかし、人々はそうした彼らのメタル魂を見抜けていませんでした。ある時期、彼らを終わった存在、つまりルーツから大きく離れすぎていると見なす者も多く存在したのです。文字通り、まさに “Believe In Nothing” の時代。
「奇妙な時代だった。インターネットもなかった。でも、もしネットがあったらネガティブなコメントが殺到して、サーバーがダウンしていただろう。
僕たちはかなり混乱していた。蜂がたくさん描かれたアルバム・カバーは覚えている。デザイン会社と仕事をしていたんだ。確か、OASIS の最初の数枚のアルバムをデザインした会社だったと思う。OASIS にとっては素晴らしい仕事だったけど、僕たちにとっては…とにかく奇妙な時代だった。あのカバーは、俺たちの脳内で何が起こっていたかを象徴しているような感じだったね。
今なら気楽にふらりと別の音楽に立ち寄って、普段の領域から少し外れたことをすることもできる。でも当時は、メタルを作るならメタルだけしか許されないような感じだった。それ以外のものを作ると、呪われてしまったんだ!
僕らのオリジナリティは演奏スタイルに現れることが非常に多い。 メタルは “創造性” に関してガラスの天井があり、ファンもあまり実験的なことを好まない傾向があったからね。でも僕にとっては、本当に曲がすべてなんだ。 力強い詩とコーラスがある良い曲を聴きたいんだ。 ギターの神様やヴォーカル・ジムナスティックスなどには興味がない。 最後はいい曲がいつも勝つんだから」
とはいえ、そうしたメタルにとっての異端な作品を残したことを、彼らは後悔してはいません。
「バンドを続けるのは散髪のようなもので、髪型を試行錯誤し続けても、最終的には若い頃と同じ髪型になる。つまり、失ったと思っていた興味が再び燃え上がり、また戻ってくるんだよな。
特に音楽の分野では、主にここ10年で、僕たちは戻ってきたような気がするね。古いサウンドや昔のデスメタルやドゥームメタルのバンドに対する新たな愛と懐かしさを本当に見つけたんだ。そして、この10年でそれを取り戻した。僕たちが “Host” を作ったとき、おそらくその頃、人生のより実験的な領域にいたんだよな。でも、そうだね、過ちではないよ。僕たちは常に直感に従い、自分の心に従い、その時に正しいと感じたことを書き、記録してきたんだよ」

“Icon” と “Draconian Times” のまさにアイコニックなゴシック・メタルこそが、PARADISE LOST の雛形だと考えている人は多いでしょう。
「”Icon” を(30周年を記念して)再レコーディングした時、実際にまた歌ったり演奏したりした。そうすることで、あのアルバムを作った頃、若い頃、どんなふうに曲を書いていたかを思い出したんだよな。ある意味、すごく刺激的だったし、このアルバムでは曲作りへのアプローチも変えたから。今、あのアルバムの何かをそのまま真似しようとしたわけではないんだけどアプローチが少し変わって、それがこのアルバムの多くの曲の形を作るのに役立ったんだ。もちろんあれからたくさんのことを経験して、たくさんのことを学んできたから同じじゃない。でも、あのアルバムのおかげで、”ちょっと待って。あの頃の雰囲気に近い曲を何曲か作ってみよう” って思えるようになったんだ。でも、このアルバムには “Shades Of God” の要素もあるんだよ。これは僕たちがずっと大好きだったアルバムだけど、あまり注目されていなかったからね」
PARADISE LOST がそうした時代の変化の中で、翻弄されながらも生き残ってこられたのは、”悲惨の達人” という評判を堅持しているからでしょう。その評判は決して揺らぐことはありません。
「VENOM が結成された頃は、彼らのことを何も知らなかった。”At War With Satan” を聴いて、すごく気に入ったんだ。”こいつらは一体誰だ?” って感じだったけど、頼りになるのは写真1枚だけだったからね。今は情報が豊富にあるから、謎は完全に消え失せている。どれだけミステリアスであろうとも、誰かがテスコで猫砂を買っているところを写真に撮るだろう」
35年経った今、Nick はバンドの揺るぎない成功の理由を “自分たちがやっていることを愛しているから”
であり、引退など考えたこともないと語ります。

「9時5時のちゃんとした仕事なんてしたことない。これがずっと僕たちの仕事で、僕たちの完全な中心なんだ。そして、この仕事がなくなったことは一度もない。だって、気を散らすものが何もなかったからね。 “ああ、こっちの方が稼げるんだ” って思えるような高給の仕事に就いて解散して、お酒とかが恋しくなって3年後にまた再結成するなんてこともないんだ」
こんなに長い間、陰鬱な音楽をやり続けられるのは、それが自分の知っている全てだからだと Nick は誇らしげに語ります。
「ある種、悲惨さが重なり合っているような感じだけど、その悲惨さの中に希望の光がある。映画を観て、すべてが暗くて悲惨なのに、誰かがその状況から抜け出す方法を見つけそうになるのを見るのが好きなんだ。でも、扉が閉まってしまい、もう逃げ場がない。そういうかすかな希望の光がほのめかされるのが好きなんだ。だから、曲全体を通して、実はすごく前向きな歌詞を入れることもある。そうすると、観客は “ちょっと待って、これ、前向きでいい感じ…いや、違う。いや、消えてしまった。また暗くなってしまった” って思うんだ」
“Ascension” もまさに暗さの中に救いがあり、しかしその救いが脆くも消えさって暗闇に戻る…そんなアルバムです。結局、PARADISE LOST はいつの時代も自然体の PARADISE LOST そのものなのです。
「僕たちにとっては自然なことさ。でも、光はちゃんとある。メランコリックに感じられるなら、それはある意味正しい道を進んでいるということ。必ずしも惨めな気分になりたいわけではないが、少しのメランコリーと少しの希望のきらめきがあっても構わない。名前は出さないけど、いくつかバンドを知っているけど、外見はすごく明るくて、自分たちも明るいバンドだとアピールしてる。でも、裏では今まで会った中で一番悲惨な奴らだよ!
僕らも明るくなったとは言わないけど、もう40歳も過ぎたしね。だから、もうあとは死ぬことしか考えられない!でも皮肉なことに、悲惨な音楽はいつだって聴いていて一番楽しいし、書いていて一番楽しいんだ」

来日公演の詳細はこちら。Evoken de Valhall Production

日本盤のご購入はこちら。Ward Records

参考文献 : KERRANG! :“We were laughing at one of the titles because it was so miserable”: Paradise Lost on three decades of turning woe into iconic metal

WIKI METAL :Paradise Lost Interview: Nick Holmes talks about the band’s 37-year career.

HEAVY MUSIC HQ: PARADISE LOST INTERVIEW

LOUDER SOUND:”I liked heavy metal because everyone hated it.” Paradise Lost’s Nick Holmes on dodging plant pots, nearly-severed fingers and why nu metal ruined metal

COVER STORY + NEW DISC REVIEW 【MEGADETH : MEGADETH】


COVER STORY : MEGADETH “MEGADETH”

“The body will disappear, but the legend will remain. And the music will go on forever”

MEGADETH

「肉体は消えるが、伝説は残る。そして音楽は永遠に続いていく…」
スラッシュ・メタルの最前線で40年間戦い続け、MEGADETH は壮大な別れの挨拶の準備をしています。
64歳のメガデスのリーダーは、不屈の男。テコンドーと空手の黒帯を持つ男であり、人生のどん底の時期からスラッシュ帝国を築き上げた男であり、2020年に咽頭がんを克服した男。そんな男が、腕の負傷やガン診断ではなく、なぜ今 MEGADETH の終焉を決めたのでしょうか?
「咽頭がんや首の癒着、腕の麻痺みたいな病気に悩まされると、ほとんどの人は立ち止まると思う。ほとんどの人は恐怖を感じるだろう。でも俺は一歩下がって、態勢を立て直していった。なぜなら、これが俺のやりたいことだから。それでも、いつかは最後のショーの時が来ることは分かっている」
Dave が薬物とアルコールへの依存症を克服し、癌の回復が未だ “進行中” であることを考えると、60歳に到達したこと自体、驚くべきことなのかもしれません。
「俺は長寿とかには囚われていないし、80代になるまでプレイできるアーティストの一人でもある。それでも、人は生きていつか死ぬということを覚えておかなければならないんだ。だから俺は、これから自分自身の世話をする必要があるんだよ」
これが MEGADETH 最後のアルバムになるというきっかけやひらめきの瞬間はありませんでしたが、家庭、そして頂点のままやめるという引き際の美学がそこにはありました。
「俺は手に問題を抱えている。手の真ん中にデュピュイトラン拘縮と呼ばれるものがあってね。これから指が内側に曲がっていくんだ。だから、スタジオに戻って何かをしようとしてできないよりは、自分の最高の作品を作ってリリースし、トップに立ったままやめたいんだ。それに俺たちは皆、そばにいてほしい家族や家庭生活を持っている。成功を追い求めているとき、すでに恋愛関係にあることがよくあると思うが、名声を追うために幸せを道に捨ててしまうなんてあるべきではない。それは俺にとって悲劇でしかないんだ」
手の状態はあまり良くないようです。
「正直なところ、俺の手の状態はまだプレーできるが、これから病気が進行すればどうなるか分からない。でも、俺たちがプレーする意思がある限り、俺はできる限り長くプレーするつもりだよ。そしてそれが続くことを願っている。
クレイジーなことに、ツアーが予約されているのにもうプレーできなくなって、誰かにプレーを頼まなければならなくなったらどうしようかとずっと考えていたんだ。そして、俺はそのアイデアが気に入らなかった。それは俺ではない。だから俺は最後の瞬間までプレーするつもりだ。そして、プレーできなくなったら、そのときに止めるつもりだ」

このセルフ・タイトルのアルバムのレコーディングが進むにつれて、これが MEGADETH の総仕上げとなるという会話が本格的に始まり、だからこそ、これが “素晴らしいアルバム” に仕上げることがより最優先事項になったといいます。加えて、Teemu Mäntysaari という新たな血が入ることで、この作品は新鮮に保たれることとなりました。実際、この作品における MEGADETH は、一周回ってファースト・アルバムに戻ったかのようなアグレッション、野心、そしてギターにおける挑戦心が感じられます。
「俺は Teemu に、このアルバムではとにかくソロをたくさんやる必要があると何度も言ったんだよな」
これが最後のアルバムになると言ったとき、バンドはどう反応したのでしょう?
「James Lomenzo は…彼は俺よりも年上なので、問題ないよ。彼は家でビデオ編集をしながらとても楽しい生活を送っているからね。MEGADETH にいることは彼にとって喜びだけど、彼には他にやることがあるからね。
Dirk Verbeuren は非常に魅力的なドラマーだから、バンドがなくなっても絶対に大丈夫だ。Teemu も同様。 Teemu はこのレコードで名を馳せることになる。
でもそうだね、この発表をしてからは本当に素晴らしい期間だった、なぜなら俺は彼らにこう言ったからね。”スタジオ・アルバムをもう作らないと言っているからといって、二度と演奏しないという意味ではないよ。またプレイしよう” ってね。それに俺たちは単なるアメリカのバンドではない。国際的なバンドだから、ワールドツアーを終えるまでに、おそらく3、4年はプレイすることになるだろう。だから、それもとても励みになる」

同時に、最後の総決算として、自伝的なレンズを通して彼らを見ることがさらに重要になっているのは間違いありません。たとえば、オープニング・トラック “Tipping Point” には、「お前の心に侵入する/音で怖がらせる/そこには存在しない声で/周りには誰もいない」という歌詞があり、まるで怒りの代償として誰かにつきまとっているように聞こえます。
「誰かのことを念頭に置いていたわけじゃない。誰かについて曲を書くと、その人そのものというよりも、その行動や不当な行為が問題になることがある。誰かと友情を築いてそれを捨てるのは、俺にとってとても大変なことだった。とはいえ、ここ何年にもわたって、メンバーやマネージャー、あるいはレーベルなど、組織にいた人々と深く関係のある曲はたくさんあったけどね」
たとえば、MEGADETH の2000年のベスト・アルバム “Capitol Punishment” は文字通り、バンドが7枚のレコードをリリースしていた以前のレーベル、キャピトル・レコードに向けたものでした。Dave はもともと、80年代半ばに彼らと契約した時は夢の実現であり、音楽業界で望まれるすべてを備えているレーベルだと信じていましたが、その印象は長続きしませんでした。
「ゲイリー・ガーシュという名前の新しいCEOが就任してね。彼は全員を解雇し、次の NIRVANA と契約したいと考えていた。なぜなら、彼は NIRVANA と契約した人だったから。俺らは終わりに向かって虐待を受けていて、そこにいるのがあまりにも楽しくなくなった。だからレーベルを去ったんだ」
“I Don’t Care” は Dave が口を閉ざすことのできなかった多くのことを列挙した楽曲。「お前は俺の言うことが気に入らない/でも俺は気にしないし従わない」これは、彼が何年にもわたって投石や矢に直面し、払いのけてきた後の信条のようなものを表しているのかもしれません。そしてそれは、OVERKILL がかつて “!!!Fuck You!!!” で示したように、自身のパンクな側面を強調することにもつながりました。
MEGADETH のパンクの影響は有名で、それはバンドの美しさの一部となり、彼らのサウンドに長い間組み込まれてきたスタイルの豊かなタペストリーの一部となっています。
「俺たちは、さまざまな音楽のかなり広範なカタログを持っている。右へ、左へ。ジャズであり、クラシックであり、パンクであり、メタルだった。しかし、それは常に MEGADETH の音楽だった。俺の声、俺たちのリフを聞くと、いつも MEGADETH だとわかったんだよ」

確かに、Dave の比類なき声は、おそらく “憎まれることもあり、崇拝されることもあるが、決して無視されることはない” という言葉で説明がつくのかもしれませんね。Dave の唯一無二の声は、彼らのサウンドの重要な要素で、型破りで賛否両論ですが、焦燥と怒り、灼熱と皮肉を交互に繰り返す非常に特徴的な楽器。
「歌っているときは裸だ。歌は後天的に得たものなんだ。初めて自分の歌を聞いたとき、”うわ、まったく歌手っぽくない、誰かがアジテートして叫んでいるみたいだ” と思ったね。俺は寝室でヘアブラシに向かって歌うような人間ではなかったけど、それでも歌い続けた。ギターが先で歌は次の重要事項だったけどね」
歌が Dave にもたらしたものを考えると、彼は今、自分の声を受け入れることができるようになったのでしょうか?
「受け入れるのには時間がかかったけど。なぜなら、俺は自分の歌を評価するとき、スタジオでやった素晴らしい仕事ではなく、ライブ・パフォーマンスのことを考えることが多いからね。たとえば、”Countdown to Extinction” には、俺のキャリアの中で最も大人な歌唱が収録されていた。その時点から、俺は歌うことを学び始め、音楽を聴いている人にとって歌うことがどれほど重要かを学び始めたんだ。映画 “パープル・レイン” の中で、クラブのマネージャーがプリンスのところに行って、”あなたの音楽を理解しているのはあなただけだ” と言うシーンがある。まあ、俺はそんな奴にはなりたくないけど、俺たちの音楽は楽しいものでありたいよ!」
歌詞の制作にはとても時間がかかりました。
「とても難しいプロセスだった。時間がかかったね。すぐにできた曲は “Hey, God?!” と “I Don’t Care” だけ。他のすべてを作るのは永遠にも思えたね。
ただ、俺は孫子の兵法が好きだから、”I Am War” は楽しかった。あと “Let There Be Shred”は、クリント・イーストウッドの “フィストフル・オブ・ドルラーズ” のようなギター対決を思い出させるので、書くのが楽しかった」

過激な歌詞や言動が時に物議を醸すフロントマンですが、自身を “右翼” 的だとは思っていません。
「俺はクリスチャンで、天使からのメッセージに応えているんだ。俺は法律に従うけど、右翼ではないよ。そして宗教よりもスピリチュアリティを大切にしている。俺は、宗教は地獄に行くのを恐れている人々のためのものであり、スピリチュアリティは地獄に行ったことのある俺たちのような人々のためのものだといつも言っているんだ」
“Ride the Lightning”。METALLICA の名曲の MEGADETH バージョンで Dave は、深い意味で過去を振り返っていることが分かります。
Dave と METALLICA との関係、そして、彼の過去のインタビューを読んだり、2004年のドキュメンタリー “Some Kind of Monster” を観たりした人なら誰でも証言できるように、Dave の脱退の状況とその余波を再評価しようとする数十年にわたる試みは、強迫観念に近いものになっている可能性があります。
しかし、Dave にとって、自分が携わった曲に取り組むことは、単にすべてが始まった場所に戻ることであり、”輪を閉じる” ことであり、”すべてが始まったところへの敬意を示すこと” なのです。
「カバー曲をやるなら、それ以上ではないにしても、少なくとも同等にうまくやらなければならない。でも、この曲は俺も書いたんだよな。だから他の人もそう言うと思うけど、俺に言わせれば、これはカバー曲ではないんだよ。完成したとき、俺たちは何人かの人々の前でこの曲を演奏したけど、俺たちの知っている多くの人は METALLICA やあの曲のファンなので、彼らは自分たちが何を聴いているのか、すべてを理解していた。そしてコンセンサスはほぼ同じだった。つまり、俺たちがふさわしいオマージュをしたということだよ。少なくとも同じくらい良い演奏ができたと思う。少し速くなったけどね」
とはいえ、”Killing Is My Business” の最後の曲 “Mechanix” で Dave は、”The Four Horsemen” が自分のものだと明らかに主張していました。今回も作品を締めくくるのは METALLICA の楽曲です。
「それはただのランダムだよ (笑) そんなつもりはなかった。正直に。嘘じゃない。失礼なことをしようとしていたわけじゃないんだ。俺は James Hetfield のギターを本当に尊敬しているし、Lars Ulrich は素晴らしいソングライターだと思う。彼らとの時間は本当に楽しかった。だから終わったときはとても辛かったんだ。これは俺が敬意を表し、輪を閉じていくことを表現した形なんだ」

“Ride the Lightning” をカバーすることを、METALLICA のメンバーとは話したのでしょうか?
「いや、期待していないよ。だけど、いつか彼らの意見を聞くことになると確信している。皆も知っているように、俺は彼らが好きだった。友人関係が再開されたとしても、俺はそれを受け入れるよ。あのときのことをもう一度振り返ってみると良いと思う。でも、俺たちが一緒に過ごした時間には、たくさんの傷や誤解があったから、過去のことを持ち出さないのは難しいだろうとも思っている。
起こる必要があるのは、MEGADETH と METALLICA のツアーだと思う。それだけさ。そうすればきっとすべてがうまくいくだろう。ぶらぶらすることもできるし、一緒に時間を過ごせる。でも、彼らが俺らみたいに実際にツアーをするわけではないことは分かっている。つまり、ツアーに出ると、本当にたくさんのショーを行うからね」
あまりにも長い歴史を経てから、誰かとの関係を再構築するのは本当に難しいことです。
「そうだね。やり直しだ。時々思うのだけど、恨みがあるときは、それを乗り越えることは実に難しい。個人的に、俺は恨みを乗り越えるのがかなり得意だと思うけど…でも分からない…サンフランシスコのカウ・パレスで一緒に演奏したのを覚えているけど、James は俺に “My Last Words” を演奏して欲しいと言ったんだ。彼のお気に入りの曲だから。それは本当にすごいことだと思う。ありがとう、James。好きな曲があると言ってくれて、本当に嬉しかった」
“Killing Is My Business” を書いてレコーディングしていた過去の Dave は、今の Dave のことをどう思っているのでしょう?
「彼は俺がまだ生きていたことに驚くだろう。そして、孤独から抜け出し、素晴らしい人たちに囲まれている。周りに良い人がいると素晴らしいね。俺は鍵っ子で、母親は離婚経験があり、すべてのひどいことを経験してきた。今、家族がいるのは素晴らしいことだ。俺には本当に強い家族がいて、仕事でも非常に優れたチームがいる。だから、人々に俺のことはこう憶えていてほしい。愛し、笑い、生きた人間だったということを」

孤独でひどい人生を送っていた Dave には、幸運にも 音楽という “ギフト” “才能” が贈り物として与えられていました。
「音楽は贈り物だ。俺は練習をしない。だから、これは明らかに才能なんだ。そして、これだけ長く演奏できて、どこからともなく曲を思いつくことができることも、明らかに才能だ。だから…まあそれが俺の見方だよ」
数年後に MEGADETH 最後のショーが行われるとき、メタルの灯火は確実に受け継がれていくのでしょうか?
「”Nevermind”, “Appetite For Destruction”, “Rust In Peace”, “Master Of Puppets” といったアルバムを聴いてからどのくらい経つ?ああしたレコードはもうリリースされていない。今では、レコードには良い曲が 1 曲入っているだけで、人々はトラックをスキップすることに慣れすぎている。それが悲しいんだ。なぜなら、何度も聴くと、もっとたくさんの意味があるように聞こえる曲がたくさんあるからね。
ずっと前に POLICE がどこかで演奏していたとき見たんだけど、彼らは楽器を外して、U2 のメンバーに手渡した。それは本当に正当な聖火の受け渡しだった。俺がギターを外して他の人に渡す時が来たら、それが誰になるかは分からないけどね。でもね、新世代のスラッシュ・ビッグ4が誕生する時が来たと思うよ」
実際、アルバム “Megadeth” を聴くと、崇高な音楽性に多くの疑問を引き起こす鋭い歌詞など、じっくりと吟味して聴くべき層が緻密に存在しています。その中には、”The Last Note” という最後のアルバムにふさわしくタイトルが付けられた最後の曲も含まれていて、そこで Dave は自身のバンドが達成したことを振り返り、その終結の言葉でキャリアを要約しています。”彼らは俺に金を与え、俺に名前を与えた/しかし、すべての契約は血と炎の中で署名された/だから、これが俺の最後の遺言、最後の冷笑である/彼らが来て、俺が支配し、今俺は消える”
「まあ、俺たちは本当に厳しい取り組みをしてきたよ。そして MEGADETH は40年間にわたって成功を収めてきた。今俺たちは、メタルファンが同人誌を交換していた時代の、初期のオーガニックな時代に物事が戻ったように感じているんだ。いつか俺たちの肉体は消滅するだろう。しかし、伝説は残る。そして音楽は永遠に続いていく」

参考文献: KERRANG! :Megadeth: “The body will disappear, but the legend will remain. And the music will go on forever”

REVOLVER :DAVE MUSTAINE ON FINAL MEGADETH ALBUM, METALLICA COVER, CLINT EASTWOOD INSPIRATION

NEW YORK TIMES: As Megadeth Countdown To Extinction

NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【TIBERIUS : SINGING FOR COMPANY】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH JAHAN TABRIZI OF TIBERIUS !!

“I think as a band, we very much try to be as authentic as we possibly can be, in a world of bands trying to be scary, masculine and tough, we’re just not like that as people, we like to think we’re cutting through the noise by being different and being honest about who we are.”

DISC REVIEW “SINGING FOR COMPANY”

「バンドとして、僕たちは可能な限り本物で、信頼できる存在であろうと努めているんだ。怖くて男らしく、タフであろうとするバンドの世界の中で、僕たちはどう考えてもそういう人間じゃない。僕たちはメタルのステレオタイプとは違っていて、自分たちがどんな人間かについて正直であることで、雑音を跳ね除けられると思いたいんだ」
ヘヴィ・メタルは男のもの。タフで強いもの。悪魔と死体の音楽。そんなステレオタイプは、21世紀に入って変わろうとしています。今では、女性のアーティストは少なくありませんし、死体や悪魔、剣と鎧のファンタジーだけではなく、内省的でパーソナルなテーマを扱うバンドも増えてきました。
そんなメタル世界で、スコットランドの新鋭 TIBERIUS はありのままの自分を見せることこそ、今のヘヴィ・メタルのあるべき姿だと信じています。なぜなら、ヘヴィ・メタルは正直な音楽だから。弱さを抱きしめる音楽だから。許しの音楽だから。そして、強い人間など、実はこの世界には存在しない、それこそ非現実的なファンタジーだから。
「僕たちは明るい色が大好きでね! 2018年に “Dissipate” のビデオ撮影でこの色にバイブスして、それ以来、ライブの演出やアートワーク、あるいは僕のピンクとブルーのギターを通して、この色をバンドの一貫したテーマにしてきたんだ!」
そんな TIBERIUS の、いやヘヴィ・メタルの現在地が如実にあらわれたミュージック・ビデオこそ、”Mosaic” だといえるでしょう。これほど、メンバー全員が幸せそうに、自然な笑顔でメタルを奏でるMVがこれまであったでしょうか?これほど、ピンクやブルーのビビッドカラーが映えるバンドがこれまで存在したでしょうか?これほど、ポジティブで、優しく、高揚感あふれる楽曲がこれまで聴けたでしょうか?
そう、TIBERIUS はメタルのステレオタイプを、そして閉塞感あふれる現代の暗がりを、”ありのままの自分” を見せることで打ち破り、正直で寛容な “より良い世界” を目指そうとしているのです。だからこそ、彼らは “Singing for Company”、仲間のために声を上げて歌います。
「複雑なリズムや曲の構成、テクニックを、リスナーにとって親しみやすいものにしているというだけで、”プログレとしては物足りない” と考える批評家もいる。一方で、”パワー・メタルとしては重すぎる” “激しすぎる” と考える人もいる。僕はそれを誇りに思っているんだ。もし君が心を開いてくれさえすれば、僕たちは誰にとっても何かを与えることができるし、もし君が心を開かないのなら、それは君の損失となる!」
ゆえに、彼らの音楽自体もメタルのステレオタイプで推し量ることは不可能。欧州版 AVENGED SEVENFOLD、あるいは IRON MAIDEN と LEPROUS の婚姻などと評される彼らの音楽は、パワー・メタルというには複雑すぎる、激しすぎる。プログ・メタルと呼ぶには高揚感がありすぎる…そんな批評家の声を浴びることもありました。しかし、それは逆に言えば前代未聞、唯一無二なる彼らの個性。メタルに加わる新たな魅力。そうした “異端” をも、心を開けば好奇心の新たな翼となる…TIBERIUS は自身の特異な音楽を通して、音楽の力で、世界に寛容さと許しの本質、そして何より笑顔を届けるのです。
今回弊誌では、ギタリスト Jahan Tabrizi にインタビューを行うことができました。「日本文化は間違いなく僕に影響を与えている。僕は子供の頃から X Japan の大ファンで、最近では The Gazette、The Back Horn、MIYAVI、LOUDNESS といった J-ROCK もよく聴いているので、おそらくそれらのいくつかが長年にわたって僕のソングライティングに浸透しているのだろうね」笑顔のメタル。 どうぞ!!

TIBERIUS “SINGING FOR COMPANY” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【VALHALORE : BEYOND THE STARS】 JAPAN TOUR 26′


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH LACHLAN NEATE OF VALHALORE !!

“Our goal has always been to deliver what we refer to as “The Three E’s” – Escapism, Empowerment and Entertainment. We want our music, and our live shows, to give listeners the opportunity to escape their troubles for an hour or two. We want to leave the world a more positive place than when we found it.”

DISC REVIEW “BEYOND THE STARS”

「オーストラリアには “ヨーロッパ的” なサウンドのバンドが少なかったからね。オーストラリアにいても、僕が聴きたい、観たい音楽を作って演奏したかったんだ!」
VALHALORE。ヴァルハラの伝承という、まるで北欧神話から抜け出てきたような名前の彼らは、実はオーストラリアのバンドです。太陽の日差しが降りそそぐグレート・バリアリーフと、極寒の北欧神話はあまりにも正反対ですが、だからこそ VALHALORE は欧州的なサウンドを探求しました。そこにないなら、自分たちが作ればいい。ヘヴィ・メタルの寛容さは、ルール違反を罰することなどありません。
「僕たちは常に、自分たちの音楽を通してファンに高揚感や力を与えるエネルギーをもたらすことを目指してきた。 僕たちは皆、映画やゲームのサウンドトラックから大きな影響を受けているから、日本文化からの影響も間違いなくたくさんあるよね。WINTERSUN のような和楽器を積極的に取り入れているバンドが大好きだし、僕たちもそうなんだ。”Aether” という曲では琴だって弾いたんだよ! 」
ただし、その欧州的なサウンドは実にカラフルで、魅力的。なぜなら、彼らの根底には、白夜の太陽 WINTERSUN から流れる “混血の美学” を受け継いでいるから。WINTERSUN のセルフ・タイトルと “Time” が、21世紀を代表する北欧メタルの逸品であることに疑いの余地はありませんが、その傑作の誕生に寄与したのがまさにその “混血の美学” であり、モダン・メタルらしい多様性でした。
メロデス、パワー・メタル、フォーク・メタル、シンフォニック・メタル、プログ・メタル…どのジャンルにも収まりきらない面妖でしかし起伏と驚きに満ちたオーロラの楽曲は、凄まじいシュレッドと様々な民族楽器に彩られた理知的なごった煮。VALHALORE の探求する北欧神話の宇宙には、明らかにあの “Time” と同様の美しき “混血の美学” が宿っています。
「僕たちが進歩するにつれて、Sophie のホイッスルと木管楽器は僕たちのサウンドの象徴的な側面になったんだ。ただ、大変なのは主にライブのサウンド・エンジニアかな。メタル・バンドの獰猛さに対して、穏やかなアコースティック楽器をミックスしなければならないからね!」
マンドリン、チェロ、パイプ、ホイッスルに縦笛、横笛。さらに和楽器の琴まで使用する伝統民族楽器のるつぼもまた、VALHALORE の魅力のひとつ。Sophie の操る艶やかな管楽器は、硬質な彼らの音楽を徐々に溶かして、テンポの速いメタルの嘶きに濃密なアクセントを加えていきます。
ここにのチェロとマンドリンの欧州的で荘厳な響きが加わることで、力強いメタルとオーガニックで本格的なフォークの生命が見事に重なり合います。さらに、佳曲 “Heart on the Sea” には、あの Anna Murphy が参加。ELUVEITIE で培った先駆者の威厳を見せつけながら、このジャンルの弛まぬ進化に目を細めます。そう、歴史に彩られたフォーク・メタルもまた、歴史を重ね、その文化を広げているのです。
今回弊誌では、ボーカル、チェロ、マンドリンとひとり三役の Lachlan Neate にインタビューを行うことができました。「僕たちの目標は常に、僕たちが “3つのE” と呼ぶもの、すなわちエスケープ、エンパワーメント、エンターテインメントを提供することなんだ。 僕たちの音楽、そしてライブを通して、リスナーに1時間でも2時間でも悩みから逃避する機会を与えたい。僕たちは、自分たちが今いる世界よりもポジティブな世界を後世に残したいんだ」 来日も決定。どうぞ!!

VALHALORE “BEYOND THE STARS” : 9.9/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【WINGS OF STEEL : WINDS OF TIME】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH PARKER & LEO OF WINGS OF STEEL !!

“Power needs emotion, and technicality needs soul, and that balance is something we’ve always aimed to carry forward into Wings of Steel rather than focusing on technique for its own sake.”

DISC REVIEW “WINDS OF TIME”

「ヘヴィ・メタルは、常に単なる音楽以上の存在だった。人々が集い、仲間に理解され、自分よりも大きな一体感の中に強さを見出せる場所なんだよ。困難な時期には、解放、内省、そして繋がりのための空間となる。恐怖、怒り、希望、そして回復力といった感情を受け止め、人々を孤立させるのではなく、強い力へと変える方法を与えてくれる。ヘヴィ・メタルはコミュニティを創り出し、自分が孤独ではないことを思い出させてくれるんだ。国境、言語、そしてバックグラウンドを超えた一体感を与えてくれる」
SNS という人間のほんの一面だけを切り取って強調し、分断を加速させる悪魔のツールに汚染された現代社会において、ヘヴィ・メタルほど一体感や前向きな力を得られる場所は他に多くはないでしょう。ヘヴィ・メタルを聴いている間は、体感している間は、ライブを浴びている間は孤独から解放される。異なる意見、異なる国籍、異なる文化、異なる人種であっても、ヘヴィ・メタルにおいてはひとつになれる。ヘヴィ・メタルの回復力で困難を克服できる。
そんな素晴らしきヘヴィ・メタルの世界は、その寛容さ故に伝統や壁を破壊し、様々なジャンルや文化を養分として、細分化という枝葉を瑞々しく伸ばしています。だからこそ一方で、”バンディエラ”、旗頭の欠如という問題に直面しているのかもしれませんね。自由極まりないメタル世界だからこそ、メタルらしいメタルをやりづらい、焼き直しになりかねない。WINGS OF STEEL はそんなメタル世界で “時の風” を駆け抜け、”現代的な” 伝統的ヘヴィ・メタルを復活させ、メタルのバンディエラへ堂々たる名乗りをあげたのです。
「80年代について僕たちが最も共感するのは、特定のバンドやグループではなく、あの時代の全体的な精神…つまり強烈なソング・ライティング、真のミュージシャン・シップ、力強いメロディー、そして誠実で妥協のない個性なんだ」
メタルのメタルらしいバンディエラとなるためには、ソング・ライティング、ミュージシャン・シップ、メロディ、そして揺るぎない個性…そのすべてが必要とされますが、WINGS OF STEEL はまさにその “すべて” を兼ね備えています。彼らには、あの “Painkiller” で JUDAS PRIEST が提示した強烈なテクニックを超越した現代技巧の最高峰が備わっていますし、IRON MAIDEN が “Somewhere In Time” で刻み込んだ作曲術の極みも宿っています。そして憂を帯びた雄々しきメロディと11分の長尺曲で勝負する強い個性。つまりWINGS OF STEEL には、80年代にメタルを牽引した二大巨頭に備わる奇跡的な才能と似た可能性を確実に秘めているのです。
「80年代に生まれた素晴らしいヘヴィ・メタルには、本当に大きな敬意を抱いているんだ。 VICIOUS RUMORS や初期の QUEENSRYCHE, METAL CHURCH, CRIMSON GLORY, RIOT といったバンドは、このジャンルの歴史において重要な位置を占めている。あの時代はヘヴィ・メタル全体の形成に大きな役割を果たし、当然のことながら、当時のレコードの多くは、僕たちの音楽的ルーツの一部となっていったんだ」
加えて重要なのは、彼らがまだ20代という若さにして、私たちの愛する古き良きアメリカン・ヘヴィ・メタルの真髄を極めていることでしょう。当時パワー・メタルと呼ばれていたアメリカのメタル・ソルジャーたちは、メタルという狭い枠の中でいかに個性を、フックを、起伏を出せるかに心血を注いでいました。そうした伝統や格式の中に光るアイデンティティ、不自由の中の自由を、WINGS OF STEEL は誰よりも今、謳歌しているのです。
そう、21世紀最初のメタル四半世紀が過ぎ、メタルは原点への回帰を志向します。何よりも、耳馴染みがよく歌えて聴きやすい。流行りの NWOTHM、ETERNAL CHAMPION や HAUNT のいなたさも悪くはないですが、WINGS OF STEEL のトラディショナル・ヘヴィ・メタルはもっと明快でわかりやすく、より多くのリスナーにアピールし、鋼鉄の翼を広げてアリーナへと上り詰めるはずです。
今回弊誌では、ギタリストの Parker Halub と ボーカリスト Leo Unnermark にインタビューを行うことができました。「パワーには感情が必要であり、テクニックには魂が必要だ。僕たちは、このバランスを WINGS OF STEEL で継承することを目指してきたんだ」 ギターソロに見事なストーリーがあり、ボーカルの声質も相まって STRATOVARIUS を想起させる場面も。とにかく、DIO の “Lock Up the Wolves” が人生を変えたアルバムなのですから、間違いありませんね。どうぞ!!

WINGS OF STEEL “WINDS OF TIME” : 10/10

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NEW DISC REVIEW + INTERVIEW 【UUHAI : HUMAN HERDS】


EXCLUSIVE: INTERVIEW WITH UUHAI !!

“Heavy metal cannot stop wars, but it can inspire the people who will build peace. It cannot erase division, but it can create moments where division disappears. It cannot solve every problem, but it can open hearts and minds.”

DISC REVIEW “HUMAN HERDS”

「メタルは新たな自由の時代に入り、様々な文化がジャンルの中で真摯に自己表現できるようになったと確信しているよ。メタルは世界の限られた場所で生まれたけど、その感情的な言語は無限大だ。強さ、闘争、アイデンティティ、そして意味の探求を語ってくれる。そうしたテーマは地球上のあらゆる文化が共有する経験。だからこそ、メタルは今、その起源をはるかに超えて広がっているんだと思う」
2025年。メタルの生命力、感染力、包容力はその可能性をますます広げています。モダン・メタルに宿る寛容さは、世界の壁を壊し、さまざまな文化を包容していきます。そうして、世界中に根を張ったメタルの種子は、その多様な音の枝葉を存分に伸ばしているのです。
モンゴルに生まれた UUHAI も、そうしたメタルの自由を謳歌するバンドのひとつ。彼らは祖先の英雄チンギス・ハーンに学んだ勇気、正義、責任、リーダーシップを噛み締めながら、共感と団結というまた別のやり方で世界を席巻しようとしています。
「Uuhai は、深い歴史的、精神的な意味を持つ力強いモンゴル語だ。僕たちの祖先が戦いや儀式、そして団結と勇気が必要な瞬間に使っていた古代の呼び声なんだ。それは単なる叫び以上のもの。それは共有された精神の声なんだ。それは単なる名前ではない。僕たちの声であり、アイデンティティであり、モンゴルの魂との繋がりなんだよ」
勇気、強さ、そして団結を象徴する古来の戦いの雄叫び、UUHAI という名前は決して偶然選ばれたわけではありません。伝統と現代を結ぶため。草原に轟いた一致団結の雄叫びを、暗い現代社会へと響かせるため。だからこそ、当然その叫びのエネルギーは彼らの音楽にも反映されています。
モンゴルから先に世界的成功を収めた THE HU はフォークとロックのバランスを巧みに取りますが、UUHAI はより断固としたメタル寄りのサウンドを追求しています。そして、彼らのデビュー・フル “Human Herds” は、まさにその真髄でしょう。タイトルの一部は英語ですが、歌詞は彼らのルーツに忠実で、すべてモンゴル語で歌われています。だからこそ、彼らの楽曲にはステップ民族の力強さがもたらされ、草原の響きを響かせる馬頭琴(モリンホール)や、世界遺産にも登録されている喉歌といった伝統的な楽器が、より一層、真実の音をもって響き渡ります。喉歌のスピリチュアルな神秘、悍馬のように力強いリフ、草原から吹き寄せるギターソロ、そして馬頭琴独特の響きが、壮大なスケールの楽曲へと溶け合います。このシンプルな二弦楽器と人に備わる声帯が、修練と創意工夫を経てメタルの包容力に包まれる時、これほどまでに緊張感と感情を呼び起こせるものなのでしょうか…まさにモンゴルは蒼き狼、メタルは白き牝鹿。
「今日、世界は様々な闘争に直面している。戦争、分断、差別、そして恐怖が多くの場所で蔓延しているんだ。こうした課題は力で解決できるものではない。理解と団結をもって立ち向かわなければならないんだよ。
こうした世界において、ヘヴィ・メタルは特別な役割を担っている。メタルは感情を隠さない。正直で、率直で、恐れることなく真実を語る。社会が沈黙に包まれたとき、メタルは声をあげられない人々の声となる。怒り、悲しみ、そしてフラストレーションを表現するだけでなく、そうした感情を強さと繋がりへと変える力も持ち合わせているんだ。
UUHAI にとって、メタルは単なる音楽ジャンルではない。メタルは人々に共通の人間性を思い出させる力であり、国境や文化を超えたメッセージを届けることができるもの。出会うことのない人々でさえ、音楽の中で同じ鼓動を感じ、一つに繋がることができるんだ」
長い歴史の中で、モンゴルの人々は自然と調和しながら生きてきました。そして、誇り高き戦士としても。母なる大地が泣く時、それは人類への警告。世界が歴史の暗黒面を忘れ去り暗雲に包まれる時、戦士は人々を守るため恐れず、怯まず、勇気を持って武器を手に取ります。ヘヴィ・メタルという剣には、どんな弾圧も抑圧も敵いません。そうして、彼らは国境も文化も超えて、古の英雄の如く世界を、そして人と自然を再びひとつにつなげるのです。Uuhai! の雄叫びとともに。
今回弊誌では、UUHAI にインタビューを行うことが出来ました。「ヘヴィ・メタルは戦争を止めることはできないけど、平和を築こうと願う人々を鼓舞することができる。分断を消し去ることはできないけど、ライブで分断が消え去る瞬間を作り出すことはできる。すべての問題を解決することはできないけど、人々の心と精神を開くことはできる」素晴らしい言葉ですね。どうぞ!!

UUHAI “HUMAN HERDS” : 10/10

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